JP4641282B2 - Δς変調回路、及びその発振防止方法 - Google Patents

Δς変調回路、及びその発振防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、ΔΣ変調回路、及びその発振防止方法に係り、特に、ΔΣ変調回路の入力信号レベルが大きくなったときに発生する発振現象を防止することができるΔΣ変調回路、及びその発振防止方法に関する。
音声再生装置においてスピーカを駆動する増幅器としてリニアアンプが多く使用されているが、電力効率が低く、省電力化にとって不利である。また放熱のために装置の小型化が困難であるという問題もある。これに対しスイッチング技術を用いたD級アンプが最近音声再生装置の増幅器として採用されるようになってきている。このD級アンプは電力効率が高く省電力に有利であり、また、構成がシンプルで装置の小型化を容易に実現できるという特長を有している。
D級アンプにはパルス幅変調方式とパルス密度変調方式があるが、音声再生装置のD級アンプとしてはノイズシェービング特性を有するΔΣ変調回路を用いたパルス密度変調方式が多く採用されている。
例えば、スーパーオーディオCD(SACD)方式で記録した光ディスクからの1ビットディジタル信号や、アナログ信号をΔΣ変調方式で変調した1ビットディジタル信号をマルチチャンネルオーディオ装置に入力してスピーカ出力するホームシアターシステムが最近多く採用されるようになってきた。
1ビットディジタル信号は、量子化ビット数は1ビットの2値しか持たないが、周波数を十分高くすることにより、ダイナミックレンジが確保される。なお、以下の説明ではパルス密度変調方式による1ビットディジタル信号を1ビット信号ということにする。
しかしながら、従来のΔΣ変調回路は、ΔΣ変調回路の入力信号レベルが大きくなり、ある値を超えると発振してしまうという問題があった。一旦、発振が起こると、入力レベルが小さくなっても、回路が初期化されない限り発振を継続し続ける場合もある。したがって、発振が発生しないよう十分余裕を持って、入力を制限することが必要であった。
この問題を解決するため、いくつかの提案がなされている。特開平7−131881号公報(特許文献1)、特開平7−307994号公報(特許文献2)、特開2003−332867号公報(特許文献3)はこの提案の例である。
特開平7−131881号公報 特開平7−307994号公報 特開2003−332867号公報
上記ΔΣ変調回路の発振を防止するために提案された従来技術の特許文献1〜3は、いずれも、ΔΣ変調回路の入力信号レベルが大きくなったとき発振を起こすレベルを超えないように入力信号レベルをクリップするものである。しかし、これら従来技術で提案されたような入力信号レベルをクリップする手段を用いると、出力信号レベルも強制的にクリップされ、ある値以上を切り取ったような出力波形となる。そして、この音声信号によりスピーカから音声を再生すると、上記クリップしたことに起因してノイズが発生するという問題があった。
また、この発振現象は、入力信号レベルがある値を超えるとΔΣ変調回路において発生するものであるが、入力信号の1ビット信号は瞬間の値をみても元の信号の大小を判定することができない。元の信号の大小を判定するにはLPF(Low Pass Filter)を通すなどの処理を施す必要があり、検出までに時間がかかる。したがって入力信号でその大きさを判定しようとした場合、ΔΣ変調回路の発振現象開始タイミングが正しく検出できず、発振を防止するためには問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み、ΔΣ変調回路の発振を防止する際に、発振を防止することによって、スピーカから再生される音声にノイズが含まれてしまうことがなく、また、より確実に発振を防止することができるΔΣ変調回路、及びその発振防止方法を提供することを目的とする。
本発明のΔΣ変調回路は、ΔΣ変調の次数に応じてカスケードに接続された複数の積分器と、前記複数の積分器における最終段の積分器の出力を量子化し1ビット信号として出力する量子化器と、前記量子化器から出力されるパルス波高値を所定の大きさに増幅して前記積分器に帰還させる増幅器と、前記最終段の積分器の出力信号レベルが所定の値を超えたとき前記増幅器のゲインを大きくするように変更するゲイン制御手段を備えたΔΣ変調して1ビット信号を出力するΔΣ変調回路において、前記ゲイン制御手段は、前記最終段の積分器の出力信号レベルが異常の前兆が現れても元に戻すことができる信号レベルとして設定された第1のレベルを超えたとき前記増幅器のゲインを現在設定されている第1のゲインより大きな第2のゲインに変更して設定し、それに続いて、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第1のレベルより低い元の安定な状態に戻ったことを判定する第2のレベルを下回ったとき、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第2のレベルを下回ってから、前記出力信号レベルが前記第2のレベルを下回った状態でΔΣ変調回路が確実に安定状態になったことを確認するために設定された所定時間が経過した後に前記増幅器のゲインを前記第2のゲインより前記第1のゲインに変更して設定することを特徴とする。
また、本発明のΔΣ変調回路は、前記第2のレベルとして複数のレベル値が設定され、前記最終段の積分器の出力信号レベルが該設定された複数のレベル値のいずれかのレベル値を下回ったとき該レベル値に対応して前記増幅器のゲインがより小さなゲインに変更されることを特徴とする。
また、本発明のΔΣ変調回路の発振防止方法は、複数の積分器をΔΣ変調の次数に応じてカスケードに接続し、前記複数の積分器における最終段の積分器の出力を1ビット信号に量子化して出力し、前記1ビット信号のパルス波高値を増幅器により所定の大きさに増幅して前記積分器に帰還させ、前記最終段の積分器の出力信号レベルが所定の値を超えたとき前記増幅器のゲインを大きくするようにΔΣ変調して1ビット信号を出力するΔΣ変調回路の発振防止方法において、前記最終段の積分器の出力信号レベルが異常の前兆が現れても元に戻すことができる信号レベルとして設定された第1のレベルを超えたとき前記増幅器のゲインを現在設定されている第1のゲインより大きな第2のゲインに変更して設定し、それに続いて、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第1のレベルより低い元の安定な状態に戻ったことを判定する第2のレベルを下回ったとき、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第2のレベルを下回ってから、前記出力信号レベルが前記第2のレベルを下回った状態でΔΣ変調回路が確実に安定状態になったことを確認するために設定された所定時間が経過した後に前記増幅器のゲインを前記第2のゲインより前記第1のゲインに変更して設定することを特徴とする。
また、本発明のΔΣ変調回路の発振防止方法は、前記第2のレベルとして複数のレベル値が設定され、前記最終段の積分器の出力信号レベルが該設定された複数のレベル値のいずれかのレベル値を下回ったとき該レベル値に対応して前記増幅器のゲインがより小さなゲインに変更されることを特徴とする。
本発明によれば、ΔΣ変調回路の積分器出力の信号レベルをみて、ΔΣ変調回路が発振を起こす前に積分器出力の信号レベルが所定の値を超えたときΔΣ変調回路のゲインを下げて発振を防止するので、出力信号がある値以上を切り取ったような波形ではなく、滑らかに信号レベルが制限され、スピーカから音声を再生したときノイズとして知覚されることがないという効果を奏する。
また、本発明によれば、ΔΣ変調回路の入力信号の大きさではなく、ΔΣ変調回路の積分器出力の信号レベルをみることにより、発振が開始される前兆を時間遅れなく検知することができ、より確実に発振を防止することができるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明によるΔΣ変調回路の制御回路構成を示している。
まず、本実施の形態のΔΣ変調回路の制御回路構成を説明する。
図1において、1は本実施の形態のΔΣ変調回路である。2はΔΣ変調回路の1ビット信号入力端子である。1ビット信号入力端子1には+1、0の1ビット信号が入力される。また、3は1ビット信号のパルス波高値をA倍する増幅器である。したがって、増幅器3の出力は+A、0のパルス信号となる。4、5は加算器である。6は量子化器であり、加算器5から入力された信号のレベルを所定の閾値と比較することにより2値化し1ビット信号として出力する。7はΔΣ変調回路の1ビット信号出力端子である。1ビット信号出力端子7からは+1、0の1ビット信号が出力される。8は1ビット信号のパルス波高値をτ倍する増幅器である。したがって、増幅器8の出力は+τ、0のパルス信号となる。9は加算器5の出力から増幅器8の出力を引き算する減算器である。10、11はz-1で表される1サンプリング遅延回路である。ここでzはz変換パラメータである。12は1ビット信号のパルス波高値を2倍する増幅器である。13は1ビット信号のパルス波高値を−1倍する増幅器である。
14はΔΣ変調回路の積分器を構成している部分をDSP(Digital Signal Processor)として集積化するブロックの一例を示している。DSP14内の回路は2次のΔΣ変調回路の例を示しており、一般に良く知られた回路構成である。もちろん、3、6、8、15を含めて集積化することも可能である。
15は加算器5の出力を入力し増幅器8のゲインτを変更する指令信号を出力するゲイン制御部である。なお、加算器5の出力はΔΣ変調回路の積分器の出力になっている。
図1には2次のΔΣ変調回路の例を示したが、2次に限定されることはなく、1次や更に高次のΔΣ変調回路とすることもできる。本実施の形態として使用できる高次のΔΣ変調回路は、種々の回路構成のものを挙げることができるが、図2に高次ΔΣ変調回路の例を挙げてある。図2において、21〜23、50は1サンプリング遅延回路である。31〜33は減算器である。41〜43は加算器である。1サンプリング遅延回路21と加算器41、1サンプリング遅延回路22と加算器42、1サンプリング遅延回路23と加算器43はそれぞれ積分器を構成する。60はDSP14と同様、DSPとして集積化するブロックの一例を示している。100は他の実施の形態としての高次のΔΣ変調回路である。もちろん、3、6、8、15を含めて集積化することも可能である。
図2に示した高次ΔΣ変調回路は、ΔΣ変調の次数に応じてカスケードに接続された複数の積分器が備わっている。そして、その複数の積分器における1サンプリング遅延回路23と加算器43で構成された最終段の積分器の出力は量子化器6に接続され、量子化器6から1ビット信号が出力されるようになっている。また、量子化器6から出力される1パルス信号の波高値は増幅器8によりτ倍に増幅され、このτ倍された1パルス信号が1サンプリング分だけ遅延されて上記複数の積分器における少なくとも初段の積分器の入力部に入力信号と差分をとるように帰還されるようになっている。
なお、図1に示された2次ΔΣ変調回路は、図2の1サンプリング遅延回路21と加算器41、1サンプリング遅延回路22と加算器42で構成された積分器がカスケードに2段接続されたものと等価な回路になっている。
図1のΔΣ変調回路の入力Iと出力Yの関係を求めると、次の関係式で表される。
Y={I・A+Nq・(1−z−1}/τ
ここで、Aは増幅器3のゲイン、Nqは量子化誤差である。量子化誤差Nqは(1−z−1倍され、微分回路(1−z−1)の2次の大きさでノイズシェービングされている。m次のΔΣ変調回路であれば量子化誤差Nqは微分回路(1−z−1)のm次の大きさでノイズシェービングされる。
また、出力Yは1/τ倍されており、τを大きくすると出力はτに反比例して小さくなる。
次に、図1の回路動作を説明する前に、ΔΣ変調回路の発振現象を説明する。
図3乃至図6はΔΣ変調回路の入力Iの信号レベルに対するΔΣ変調回路の積分器の出力aを示したオシログラムである。図3乃至図6のオシログラムの測定条件は、図1において、増幅器3のゲインA=5、増幅器8のゲインτ=1としている。また、入力Iとして1ビット信号で1kHzの正弦波信号が入力されている。
図3乃至図6において、縦軸はΔΣ変調回路の積分器の出力aの信号レベルを示しており、最大目盛りが±256(8ビット)である。横軸には時間をとってある。
図3は、入力Iの信号レベルが0.001の場合を示しており、ΔΣ変調回路は安定な状態にある。
また、図4は入力Iの信号レベルが0.1の場合を示しており、入力Iとしての1kHzの正弦波信号が出力信号として得られており、ΔΣ変調回路は安定な状態にある。
また、図5は入力Iの信号レベルが0.2の場合を示しており、入力された1kHzの正弦波信号が出力信号として現れているものの、入力Iの1kHzの正弦波信号の波高値付近が異常に大きくなり正常な変調状態ではなくなっている。
また、図6は入力Iの信号レベルが0.21の場合を示しており、積分器の出力aは完全に発振状態となっている。
なお、入力Iの信号レベルは図3では0.001、図4では0.1、図5では0.2、図6では0.21としているが、これは入力Iの正弦波信号波高値に相当する部分のパルス密度(デューティ)を表している。
このようにΔΣ変調回路の積分器の出力信号は、ΔΣ変調回路が発振状態になる前に、図5のような異常に大きな信号を出力することが分かる。本実施の形態では発振を防止するために、ΔΣ変調回路の積分器の出力aの異常波形を検知し、この異常波形の瞬時値が所定の値を超えたことを検知し、ΔΣ変調回路の帰還信号のゲイン、即ち増幅器8のゲインτを変更するものである。
ΔΣ変調回路の積分器の出力信号が完全に発振状態になってしまった場合は勿論であるが、ある程度の大きさになると入力信号を小さくしても元の安定な状態に戻らなくなる場合がある。しかしながら、ΔΣ変調回路の積分器の出力信号が図3乃至図6の最大目盛以下の所定の値になったことを検出し増幅器8のゲインτを大きくなるように制御することにより、異常の前兆が現れても確実に元に戻すことができる。上記確実に元に戻すことができる所定の値としては、計算により求めることが難しいので、増幅器8のゲインτを増加させる割合などを考慮に入れて実際に動作させて求めるようにするとよい。一例を挙げれば、図3乃至図6の最大目盛が256(8ビット)で増幅器8のゲインτを1から5に変える場合に、その1/4である64(6ビット)程度の値を設定すればよいが、これには限定されない。
次に図1と図7、図8を参照して、ΔΣ変調回路の発振現象を防止するための制御の概要を説明する。図7はΔΣ変調回路の制御フローチャートを示している。また、図8はΔΣ変調回路の積分器の出力aを示している。
図8において、横軸は時間、縦軸はΔΣ変調回路の積分器の出力信号の状態を示したものである。積分器の出力aの値aはΔΣ変調回路が発振状態になる前に、異常の前兆が現れても元に戻すことができる信号レベルとして設定された値である。積分器の出力aの値が信号レベルaに達したことを検知したときはΔΣ変調回路の帰還信号のゲインを大きな値に変更する。
また、aはΔΣ変調回路の帰還信号のゲインを大きな値とした後、元の安定な状態に戻ったことを判定する信号レベルである。本実施の形態では、積分器の出力aの値が信号レベルaになってから所定時間が経過したとき安定状態になったと判断するようにしている。
まず、図7のステップS1において、増幅器8のゲインτが1に設定され、ΔΣ変調回路は安定に動作しているとする。
次にステップS2においてΔΣ変調回路の積分器の出力aの大きさを検知し、ステップS3において積分器の出力aの値が信号レベルaを超えたか否かをチェックする。積分器の出力aの値が信号レベルaを超えていない場合にはステップS2に戻り処理を継続する。
この状態で、時間tにおいて入力に過大な信号が入力されると、積分器の出力aの値は増加して行く。
図8における時間t〜tの状態はステップS1、S2の状態を示している。
時間tで積分器の出力aの値が信号レベルaに達すると、この積分器の出力aを入力しているゲイン制御部15がこれを検知し、ステップS3において積分器の出力aの値が信号レベルaを超えたと判断して、ステップS4に進む。
ステップS4において、ゲイン制御部15は増幅器8のゲインτの設定値を1から5に変更する。
このように増幅器8のゲインτを1から5に変更すると、ΔΣ変調回路の出力Yが1/τ倍=1/5に抑制される。したがって、増幅器8のゲインτが1のままであれば積分器の出力aの値が1点鎖線で示したように上昇するところ、図8に示したように時間tから減少に転じる。
次にステップS5に進み、ゲイン制御部15は積分器の出力aの値を検知し、ステップS6において積分器の出力aの値が信号レベルaを下回ったか否かをチェックする。aの値が信号レベルaを下回らないときはステップS5に戻り処理を継続する。
図8における時間t〜tの状態は、このステップS5、S6の状態を示している。
積分器の出力信号aの値が減少して行き、時間tで積分器の出力aの値が信号レベルaに達したとする。積分器の出力aの値が信号レベルaに達すると、この積分器の出力aを入力しているゲイン制御部15がこれを検知し、ステップS6において積分器の出力aの値が信号レベルaを下回ったと判断して、ステップS7に進む。
ステップS7では、ゲイン制御部15に内蔵されたタイマーのカウント値を初期化しt=0とする。このタイマーは所定のタイマー時間Tが設定されており、時間Tだけ時間がカウントされるとカウントアップするようになっている。このタイマー時間Tは、ΔΣ変調回路が確実に安定状態になったことを確認するための期間として設定されている。図8では100msの例を示している。
次にステップS8に進み、カウンタは時間のカウントを開始し、ステップS9において、タイマーカウント値が所定のタイマー時間Tに達したか否かがチェックされる。タイマーカウント値が所定のタイマー時間Tに達しないときは、ステップS9の処理を継続しタイマーのカウントアップを監視する。
図8における時間t〜tの状態は、このステップS5、S6の状態を示している。
所定の時間Tが経過しタイマーがカウントアップしたときはステップS1に進む。
ステップS1でゲイン制御部15は、増幅器8のゲインτの設定値を5から1に変更する。このステップS1以降の状態は図8における時間t以降の状態を示し、以下同様に処理が継続される。
以上の実施の形態において、ΔΣ変調回路の次数を2次としたが。本発明はこれに限定されない。
以上、本実施の形態によれば、ΔΣ変調回路の積分器の出力aの信号レベルをみて、ΔΣ変調回路が発振を起こす前に積分器の出力aの信号レベルが所定の値を超えたときΔΣ変調回路のゲインを下げて発振を防止するので、出力信号Yがある値以上を切り取ったような波形ではなく、滑らかに信号レベルが制限される。したがって、例えば本ΔΣ変調回路を音響装置に使用した場合、スピーカから音声を再生したときノイズとして知覚されることがないという効果を奏する。
また、本実施の形態によれば、ΔΣ変調回路の入力信号の大きさではなく、ΔΣ変調回路の積分器の出力aの信号レベルをみることにより、発振が開始される前兆を時間遅れなく検知することができ、より確実に発振を防止することができるという効果を奏する。
また、図7の動作は、ソフトウェアにより実現することもできるが、ハードウェアにより実現することもできる。また、上記の例ではΔΣ変調回路の積分器の出力aの信号レベルを最大目盛りが±256(8ビット)としているが、これに限定されることはない。また、増幅器8のゲインを1と5の例で説明したが、これに限定されず発振を防止できる範囲で適宜変更して実施できることは言うまでもない。また、ΔΣ変調回路の積分器の出力aの信号レベルがaを下回ってから100msをもって増幅器8のゲインを変更するようにしたが、これに限定されず発振を防止できる範囲で適宜変更して実施できることは言うまでもない。
以上の実施の形態では積分器の出力aの値が信号レベルaを超えたか否かをチェックしているが、信号レベルaは1つでなく、複数の信号レベルを設定するようにし、これら複数の信号レベルのそれぞれに対応して増幅器8のゲイン変更値を設定するようにしてもよい。例えば、信号レベルa11、a12、a13、・・・を設定し、積分器の出力aの値が信号レベルa11を上回ったことを検出したとき増幅器8のゲインτをτ11からτ12に変更し、信号レベルa12を上回ったことを検出したとき増幅器8のゲインτをτ12からτ13に変更し、信号レベルa13を上回ったことを検出したとき増幅器8のゲインτをτ13からτ14に変更し、・・・というようにする。このとき、設定された複数の信号レベルとこれらに対応する増幅器8のゲインτの変更値は任意の値とすることができるが、a11<a12<a13<a14<a15<・・・、τ11<τ12<τ13<τ14<τ15<・・・というように設定すれば、複数設定された信号レベルが大きくなるに従って増幅器8のゲインτの設定値も大きくなるように変化するので、積分器の出力aが急に大きくなった場合でも滑らかに速く安定な状態に収束させることができる。
信号レベルaについて上記のように複数の信号レベルa11、a12、a13、a14、a15、・・・を設定する変形例を説明したが、信号レベルaについても複数の信号レベルa21、a22、a23、a24、a25、・・・を設定することができる。この場合も、積分器の出力aの値が信号レベルa21、a22、a23、a24、a25、・・・を下回ったことを検出したとき、検出されたこれら複数の信号レベルに対応して増幅器8のゲインτを小さくなるように設定すればよい。
以上説明したように、本発明のΔΣ変調回路は、入力信号が大きく変わるような用途で特に効果を発揮する。例えば騒音キャンセルヘッドフォンなどの負帰還のフィードバック制御ループの誤差信号を扱うような箇所に本発明によるΔΣ変調回路が使用すれば特に有効である。負帰還のフィードバック制御ループは、誤差信号が定常的には非常に小さな値であるが、一時的に突発的な信号が帰還されるというようなことが起こる。この場合、一瞬ではあるが過大な信号がΔΣ変調回路に入力されることになるが、本発明によればこの過大な入力による発振を効果的に防止することができる。
また、上記具体的な実施の形態によって本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することができることは言うまでもない。
本発明は、ΔΣ変調回路を使用した音響機器、その他1ビット信号をΔΣ変調回路で処理する電子装置などに利用できる。
本発明によるΔΣ変調回路の実施の形態を示す制御回路構成図である。 本発明による高次ΔΣ変調回路の実施の形態を示す制御回路構成図である。 ΔΣ変調回路の発振現象を説明する図である(入力I=0.001)。 ΔΣ変調回路の発振現象を説明する図である(入力I=0.1)。 ΔΣ変調回路の発振現象を説明する図である(入力I=0.2)。 ΔΣ変調回路の発振現象を説明する図である(入力I=0.21)。 本発明によるΔΣ変調回路の実施の形態の動作フローチャートである。 本発明によるΔΣ変調回路の実施の形態の動作を説明する図である。
符号の説明
1、100・・・ΔΣ変調回路
2・・・1ビット信号入力端子
3・・・増幅器
4、5、41〜43・・・加算器
6・・・量子化器
7・・・1ビット信号出力端子
8・・・増幅器
9、31〜33・・・減算器
10、11、21〜23、50・・・1サンプリング遅延回路
12、13・・・増幅器
14、60・・・DSP(Digital Signal Processor)
15・・・ゲイン制御部

Claims (4)

  1. ΔΣ変調の次数に応じてカスケードに接続された複数の積分器と、前記複数の積分器における最終段の積分器の出力を量子化し1ビット信号として出力する量子化器と、前記量子化器から出力されるパルス波高値を所定の大きさに増幅して前記積分器に帰還させる増幅器と、前記最終段の積分器の出力信号レベルが所定の値を超えたとき前記増幅器のゲインを大きくするように変更するゲイン制御手段を備えたΔΣ変調して1ビット信号を出力するΔΣ変調回路において、
    前記ゲイン制御手段は、前記最終段の積分器の出力信号レベルが異常の前兆が現れても元に戻すことができる信号レベルとして設定された第1のレベルを超えたとき前記増幅器のゲインを現在設定されている第1のゲインより大きな第2のゲインに変更して設定し、それに続いて、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第1のレベルより低い元の安定な状態に戻ったことを判定する第2のレベルを下回ったとき、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第2のレベルを下回ってから、前記出力信号レベルが前記第2のレベルを下回った状態でΔΣ変調回路が確実に安定状態になったことを確認するために設定された所定時間が経過した後に前記増幅器のゲインを前記第2のゲインより前記第1のゲインに変更して設定することを特徴とするΔΣ変調回路。
  2. 前記第2のレベルとして複数のレベル値が設定され、前記最終段の積分器の出力信号レベルが該設定された複数のレベル値のいずれかのレベル値を下回ったとき該レベル値に対応して前記増幅器のゲインがより小さなゲインに変更されることを特徴とする請求項1に記載のΔΣ変調回路。
  3. 複数の積分器をΔΣ変調の次数に応じてカスケードに接続し、
    前記複数の積分器における最終段の積分器の出力を1ビット信号に量子化して出力し、
    前記1ビット信号のパルス波高値を増幅器により所定の大きさに増幅して前記積分器に帰還させ、
    前記最終段の積分器の出力信号レベルが所定の値を超えたとき前記増幅器のゲインを大きくするようにΔΣ変調して1ビット信号を出力するΔΣ変調回路の発振防止方法において、
    前記最終段の積分器の出力信号レベルが異常の前兆が現れても元に戻すことができる信号レベルとして設定された第1のレベルを超えたとき前記増幅器のゲインを現在設定されている第1のゲインより大きな第2のゲインに変更して設定し、それに続いて、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第1のレベルより低い元の安定な状態に戻ったことを判定する第2のレベルを下回ったとき、前記最終段の積分器の出力信号レベルが前記第2のレベルを下回ってから、前記出力信号レベルが前記第2のレベルを下回った状態でΔΣ変調回路が確実に安定状態になったことを確認するために設定された所定時間が経過した後に前記増幅器のゲインを前記第2のゲインより前記第1のゲインに変更して設定することを特徴とするΔΣ変調回路の発振防止方法。
  4. 前記第2のレベルとして複数のレベル値が設定され、前記最終段の積分器の出力信号レベルが該設定された複数のレベル値のいずれかのレベル値を下回ったとき該レベル値に対応して前記増幅器のゲインがより小さなゲインに変更されることを特徴とする請求項3に記載のΔΣ変調回路の発振防止方法。
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