JP4640203B2 - 半導体ウエーハの評価方法 - Google Patents
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そこで、近年ではテスターの開発も進み、上記リーク電流等の微少電流を高感度、高精度で測定できるように改善および工夫がなされている。
しかしながら、上記のような高感度・高精度のテスターを使用して従来方法で測定する場合、リーク電流の値がなかなか安定しないために、測定に長時間を要するという問題があった。
このとき、リーク電流の測定前に、予め酸化膜への充電を済まし、リーク電流を安定化させるのに必要な時間を節約できる。すなわち測定に要する時間を大幅に削減することができるので、測定効率の向上を図ることができる。
なお、この所定の電荷量とは、上記MOSキャパシタの酸化膜への充電を十分とするに要する電荷量、あるいはそれ以上の電荷量である。
このように、所定の電荷量を見積もるときのリーク電流の値を、値の大きな測定初期のリーク電流値にすることによって、少なくとも、酸化膜への充電を十分なものとするのに必要な電荷量を確実に見積もることが可能である。充電に必要な電荷量よりも小さく見積もってしまうことを防止することができる。
従来SOIウエーハのBOX膜やシリコンウエーハ上に作製したMOSキャパシタなどのリーク電流を測定するとき、リーク電流の値が安定するのに長時間かかり、測定効率が低くなってしまうという問題があった。これは、リーク電流の測定において、MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加させたとき、この酸化膜への充電が行われてしまうことによるものと考えられる。
一方、高出力テスターを使用すれば、キャパシタへの充電効率は良いが、微小なリーク電流を測定するにあたっては、能力的に不足しており、正確に測定することが難しい。
図1は、本発明に係るSOIウエーハの評価方法における手順の一例を示している。
図1を参照して、本発明の半導体ウエーハの評価方法の全体的な流れについて述べる。まず、予備測定用の半導体ウエーハとしてSOIウエーハを用意し、該ウエーハにMOS構造を作製する。次に、予備測定として、従来のリーク電流測定のように、MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加し、リーク電流が安定するまで測定を行う。そして、この測定結果からMOSキャパシタの酸化膜への充電に必要な電荷量を見積もる。この後、MOS構造を形成した被測定ウエーハ(評価対象のウエーハであり、本測定でリーク電流を測定するウエーハ)に対して、予備測定の結果から見積もった電荷量を酸化膜へ注入し、その後リーク電流の測定を行う。
まず、予備測定用の半導体ウエーハとしてSOIウエーハを用意する(工程A)。この予備測定用のウエーハは、当然被測定ウエーハと同様のものとするのが好ましい。これは、以下に述べる予備測定の結果をもとにして、本測定において被測定ウエーハに注入する電荷量を決定するため、条件をそろえて充電に必要な電荷量を一致させるためである。ここで、用意する半導体ウエーハをSOIウエーハとしたが、もちろん通常の鏡面ウエーハ(PW)やエピタキシャルウエーハ(EPW)とすることもできる。
上記のSOI層のエッチング除去や、エッチング除去後の洗浄に使用する薬液等は特に限定されるものではない。また電極の形成方法等も特に限定されるものではない。リーク電流の測定のため、MOS構造を形成することができれば良い。
このように、MOS構造をその上に形成することができれば良く、ウエーハの大きさや種類等は特に限定されない。
図2には、テスターによりリーク電流を測定する場合の一例が示されている。リーク電流測定時、予備測定用ウエーハとして電極1、酸化膜(BOX)2を形成したシリコンウエーハ3は、テスター4のステージ5上に載置される。このテスター4はプローブ7を備えており、リーク電流の測定の際、その下端をMOSキャパシタの電極1に接触させることができるように移動自在に支持されている。また、プローブ7は、印加する電圧または電流の大きさを変化させることのできる可変電源6の一端子に接続されており、一方で、電源6の他端子はステージ5に接続され、接地されている。また、プローブ7と可変電源6との間には電流計8が設置されており、さらに測定レンジ調節器9が接続されている。通常、リーク電流のような微小の電流を測定できるよう感度が自動的に設定されるようになっているが、測定レンジ調節器9によって、意図的に測定レンジを変えることもできる。
この予備測定においては、少なくともリーク電流が安定するまで測定を行い、その安定化までに要する時間を測定する。
なお、酸化膜へ注入する電荷量を見積もる方法は、酸化膜への充電に必要な電荷量を測定・計算等により求めることができる方法であれば良く、上記の方法に限定されない。
また、この注入電荷量の見積もりは必ずしも毎回行う必要はなく、被評価物が同様の条件のものであれば、前に見積もった電荷量を参考にして省略することもできる。例えば酸化膜厚が似たサンプルの場合が挙げられる。シリコンウエーハ面内に多数作製したMOSキャパシタのリーク電流測定を行う場合、まず1箇所のキャパシタにおいて予備測定を行って電荷量を見積もり、他の多数のキャパシタに対してはその電荷量をそれぞれ当てはめれば良い。見積もりを行う頻度はサンプル条件やコスト、測定時間等からその都度適宜決定することができる。
例えば、予備測定に使用したものと同様のテスター4を用い、同様のMOS構造を形成した被評価ウエーハをステージ5上にセットする。この後、プローブ7をウエーハの電極1に接触させ、電源6により電圧を印加して、リーク電流の測定前に、まず、予備測定の結果から見積もった所定の電荷量を注入することによってMOSキャパシタの酸化膜への充電を行う。
上述したように、リーク電流は欠陥がなければ微小電流であり、この微小電流を正確に測定できるように、一般的なテスターにおいては測定レンジが自動的に調整されてしまう。このように測定レンジが微小電流用に調整されてしまうと、テスターの出力もまた小さくなり、MOSキャパシタへの充電に長時間を要してしまう。
なお、この電荷量Qの注入方法は、上記のテスターの測定レンジを上げることにより行う方法に限定されるものではなく、短時間で確実にMOSキャパシタへの充電を十分に行うことができれば、測定用のテスターを用いなくとも、他の方法であっても良い。
また、電荷量Qを注入する為のレシピをリーク電流測定前に入れても良い。
MOSキャパシタへの充電が十分に行われているため、リーク電流は短時間で安定し、しかも微小な電流値を正確に測定することができる。
特に、上記のように予め酸化膜への充電に要する電荷量を見積もるための工程A〜Cを実施しておくと、より確実にかつ効率的に充電を行ってリーク電流の評価を行うことができる。
(実施例)
本発明の半導体ウエーハの評価方法によって、SOIウエーハのBOX膜のリーク電流を測定する。
まず予備測定用の試料として、貼り合せ法により作製されたものであり、直径200mm、SOI層の厚さがおよそ100nm、BOX膜の厚さが150nmのSOIウエーハを準備した。
このSOIウエーハのBOX膜のリーク電流を評価するために、MOS構造を作製した。まず、SOI層を除去する工程としてアルカリエッチングを使用し、水洗及びRCA洗浄を行った。その後、金属マスクを通じて真空蒸着し、直径0.5cm(面積:0.2cm2)で、およそ1000nmの厚さのAl電極を形成した。
このMOS構造を用い、テスター(ケースレー4200:ケースレー社製)を使用して従来方法のように電圧を印加してリーク電流の測定を行った。
この予備測定における時間−リーク電流値のグラフを図5に示す。図5が示すように、リーク電流が測定時間の経過とともに変化しており、不安定であることが分かる。このリーク電流が安定するまでに、およそ30分以上の長時間を要していることが分かる。
Q=I×t
Q:電荷量[C]
t:測定時間[sec]
I:電流[A]
これらの値を上記式に代入し、注入電荷量Qを求めると、
Q=1×10−9×1800=1.8×10−6[C]
となる(もちろん、採用する電流値Iを平均値としたり、注入電荷量Qを積分して求めることもできるが、初期の値を用いることで簡便かつ十分に安定化させる電荷量を求めることができる)。
この後、測定レンジを元に戻して微小電流用のレンジとし、リーク電流の測定を行った。
このように、本発明の半導体ウエーハの評価方法により、高出力のテスターを使用することなく、現行のテスターを用いつつ、MOSキャパシタの酸化膜への充電を効果的に行い、リーク電流が安定するまでの時間を短縮化することが可能なので、リーク電流の測定にかかる時間を、従来方法による測定時間よりも大幅に短縮することができる。しかも従来方法と同様に、高精度にリーク電流を評価することができる。特に、同様のサンプルを多量に評価する場合に著しく測定効率の向上を図ることができ有効である。
4…テスター、 5…ステージ、 6…可変電源、 7…プローブ、
8…電流計、 9…測定レンジ調節器。
Claims (3)
- MOSキャパシタを用いて半導体ウエーハの電気特性を評価する方法であって、
前記半導体ウエーハ上にMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れるリーク電流を測定するとき、
前記リーク電流の測定前に、予め前記MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加し、前記リーク電流を安定させて、安定化するまでに必要な時間を測定し、該安定化までの時間と前記リーク電流の値から見積もった所定の電荷量を、前記MOSキャパシタの酸化膜に注入することにより充電を行い、その後リーク電流の測定を行うことを特徴とする半導体ウエーハの評価方法。 - 前記所定の電荷量を見積もるとき、前記リーク電流の値を測定初期のリーク電流の値とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエーハの評価方法。
- 前記所定の電荷量の注入は、前記MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れるリーク電流を測定するときに、テスターの測定レンジを上げることにより行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体ウエーハの評価方法。
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