JP3859357B2 - 絶縁膜評価方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は絶縁膜評価方法および絶縁膜評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路装置の集積度の向上に伴って、素子のサイズは縮小の一途をたどっている。超LSIの分野でゲート絶縁膜として用いられるシリコン酸化膜(SiO2)の厚さは10nmを下回っており、その信頼性の評価が以前にもまして重要になってきている。ゲート絶縁膜の信頼性を評価する方法として、定電圧ストレス印加方法および定電流ストレス印加方法が広く用いられている。
【0003】
図32を参照しながら、従来の定電圧ストレス印加方法を最初に説明する。
【0004】
まず、ステップS50で、評価用としてあらかじめ設定された任意の電圧V0、判定電流量I0、および、測定を行なう試料の個数Nを設定する。
【0005】
次に、ステップS51で、複数の試料の中から選択された最初の試料へ測定用プローブ端子を移動させる。
【0006】
次に、ステップS52で、評価用電圧V0を試料の絶縁膜に供給する。そして、ステップS53で、評価用電圧V0の供給状態をt1秒間保持したのち、ステップS54で、電流量Iを測定する。ステップS55で、電流量Iの大きさから絶縁破壊が発生したかどうかの判定を行う。たとえば、電流量Iの絶対値が判定電流量I0の絶対値よりも大きい場合に絶縁破壊が発生したと判定する。
【0007】
ステップS55で、絶縁破壊が発生していないと判定された場合、ステップS53に戻り、絶縁膜に絶縁破壊が発生するまでステップS53、ステップS54、およびステップS55の操作を繰り返す。
【0008】
ステップS55で、絶縁破壊が発生していると判定された場合には、ステップS56で、評価用電圧V0供給開始から絶縁破壊が発生するまでに要した所要時間tを記録する。
【0009】
N個の試料について測定を終了した場合には(ステップS57)、ステップS58で、N個の試料について測定された所要時間tを統計的に処理し、これらの試料についての絶縁破壊時間tBDを算出する。統計的な処理方法としては、一般にワイブルプロットと呼ばれる手法が用いられている。以下に、その手法を説明する。
【0010】
まず、累積不良率Fから算出される指数Wを、logスケールのストレス印加時間tに対してプロットする。ここで、累積不良率Fは、ある時間までに絶縁破壊した試料の個数の割合を示し、ストレス印加時間tは、評価用電圧V0印加時間を示す。すると、指数Wは以下の式(1)により計算される。
【0011】
W=ln[ln{1/(1−F)}] 式(1)
このようにして算出されたWとtとは、上記ワイブルプロットを行なうことによって直線的な関係を有することが経験的に知られており、絶縁膜の寿命を簡便に知る方法として使用されている。測定の結果得られたデータをワイブルプロットし、たとえばF=50%になるときのストレス印加時間を求める。次に、これを絶縁膜の50%絶縁破壊寿命tBDまたはt50して記述する。
【0012】
ステップS57でN個の試料についての測定を終了していない場合には、次の試料へ移動し(ステップS59)、ステップS52に戻り、N個の試料をすべて測定するまで、ステップS52からステップS59までの各操作を繰り返す。
【0013】
測定個数Nは、通常、20から100である。これは、個々の測定におけるt値が統計的な分布を有するため、数回程度の測定によって得られたt値に基づいては、その分布を正確に知ることが不可能だからである。
【0014】
このようにして得られるtBDは、絶縁膜の絶縁破壊に要する時間を表している。そのため、tBDは、絶縁膜の品質を定量的に検証して比較・検討するためや、品質保証を示す情報としては最適であり、絶縁膜質・信頼性を表現する指標として広く用いられている。
【0015】
次に、図33を参照しながら、従来の定電流ストレス印加方法を説明する。
【0016】
まず、ステップS60で、評価用としてあらかじめ設定された任意の電流量I0、判定電圧V0、および、測定を行なう試料の個数Nを設定し、ステップS61で初めの試料へと移動する。
【0017】
次に、ステップS62で、評価用電流I0を絶縁膜に供給する。そして、評価用電流I0の供給状態をt1秒間保持したのち(ステップS63)、ステップS64で電圧値Vを測定し、ステップS65で絶縁破壊が発生したかどうかの判定を行う。たとえば電圧値Vの絶対値が判定電圧V0の絶対値よりも小さいときには、絶縁破壊が発生したと判定する。ステップS65で、絶縁破壊が発生していないと判定される場合には、ステップS62に戻り、絶縁膜に絶縁破壊が発生するまでステップS63からステップS65までの操作を繰り返す。
【0018】
ステップS65で絶縁破壊が発生していると判定された場合には、ステップS66で、評価用電流I0供給開始から絶縁破壊が発生するまでに要した所要時間をtとして記録する。N個の試料について測定を終了した場合には(ステップS67)、N個の試料についての各所要時間tを統計的に処理することにより、これらの試料における絶縁破壊時間tBDをおよび絶縁破壊までの総注入電荷量QBDを算出する(ステップS68)。絶縁破壊時間tBDの算出には、前述のワイブルプロットが一般に用いられる。ここで、QBDはtBDと評価用電流I0の積を面積Sで割った値として定義される。
【0019】
ステップS67で、N個の試料について測定を終了していない場合には、ステップS69で、次の試料へ移動し、N個の試料のすべてについて測定を終了するまでステップS62からステップS69までの操作を繰り返す。この場合も、測定個数Nは、20から100程度である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
従来の絶縁膜信頼性評価方法によれば、測定個数Nが通常20から100程度であるため、多数の試料を用意することが必要になるとともに、膨大な測定時間を必要とするという問題点を有している。測定個数をN個とすると、その測定誤差は一般に(N1/2)/Nに比例することが知られており、測定個数が少ない場合にはその測定結果は十分に信用できないものとなる。そこで、測定結果の信頼性を上げるためには、測定個数を多くすることが必要となるが、測定に要する時間も増大してしまい、また、測定用に多数の試料を用意することが必要となる。
【0021】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、測定結果の信頼性を低下させることなく、測定に要する時間および試料数を抑制することが可能となる絶縁膜評価方法および装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の絶縁膜評価方法は、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用電圧を設定する第2ステップと、評価対象の絶縁膜に評価用電圧を所定時間印加する第3ステップと、第3ステップの後、評価対象の絶縁膜に対して判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第4ステップと、第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上かどうかを判定する第5ステップと、第5ステップにおいて、第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値よりも小さい場合は第3ステップ〜第5ステップを繰り返し、第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上の場合は第3ステップの開始からの評価用電圧の全供給時間を求めて、評価対象の絶縁膜の評価用電圧における寿命とする第6ステップとを包含する。
【0023】
本発明の第2の絶縁膜評価方法は、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用電流量を設定する第2ステップと、評価対象の絶縁膜に評価用電流を所定時間印加する第3ステップと、第3ステップの後、評価対象の絶縁膜に対して判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第4ステップと、第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上かどうかを判定する第5ステップと、第5ステップにおいて、第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値よりも小さい場合は第3ステップ〜第5ステップを繰り返し、第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上の場合は第3ステップの開始からの評価用電圧の全供給時間を求める第6ステップと、第6ステップで求めた第3ステップの開始からの評価用電圧の全供給時間をもとに評価対象の絶縁膜の絶縁破壊までの総注入電荷量を算出する第7ステップとを包含する。
【0024】
本発明の第1又は第2の絶縁膜評価方法において、第1ステップの判定Aモードストレス誘起リーク電流量の決定方法は、評価対象の絶縁膜と同じ種類及び同じ膜厚の複数の絶縁膜に対してそれぞれストレスを印加してAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第1サブステップと、複数の絶縁膜のそれぞれにおいて、Aモードストレス誘起リーク電流量に不連続な増加が観測される直前の測定におけるAモードストレス誘起リーク電流量、またはAモードストレス誘起リーク電流量が単調・連続的に増加する際の増加を表す直線または曲線をAモードストレス誘起リーク電流量に不連続な増加が観測される直前まで外挿して決定されるAモードストレス誘起リーク電流量を、絶縁膜が絶縁破壊する時のAモードストレス誘起リーク電流量として求める第2サブステップと、第2サブステップで得られた、複数の絶縁膜が絶縁破壊する時のAモードストレス誘起リーク電流量を統計的に処理することで、評価対象の絶縁膜の絶縁破壊しきい値となる判定Aモードストレス誘起リーク電流量を決定する第3サブステップとを包含する。
【0025】
本発明の第3の絶縁膜評価方法は、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用ストレス印加条件および全ストレス印加時間を設定する第2ステップと、評価対象の絶縁膜に評価用ストレス印加条件に基づくストレス試験および判定電圧を印加してのAモードストレス誘起リーク電流量測定を、全ストレス印加時間を経過するまで繰り返し実施する第3ステップと、第3ステップの後、ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間と当該ストレス印加時間におけるAモードストレス誘起リーク電流量との関係をlog−logスケールでプロットする第4ステップと、第4ステップで得られたプロットをlog−logスケールで直線近似する第5ステップと、第4ステップでプロットされたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が最終的に判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上の場合は、第4ステップでプロットされたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値に到達するまでのストレス印加時間を求めて、評価対象の絶縁膜の寿命とし、第4ステップでプロットされたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が最終的に判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値に満たない場合は、第5ステップで求めた直線を長時間側に外挿して判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値に到達するまでのストレス印加時間を求めて、評価対象の絶縁膜の寿命とする第6ステップとを包含する。
【0026】
本発明の第4の絶縁膜評価方法は、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用ストレス印加条件および全ストレス印加時間を設定する第2ステップと、評価対象の絶縁膜に評価用ストレス印加条件に基づくストレス試験および判定電圧を印加してのAモードストレス誘起リーク電流量測定を、全ストレス印加時間を経過するまで繰り返し実施する第3ステップと、第3ステップの後、ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間(t)におけるAモードストレス誘起リーク電流量(I A )を関係式I A =a×t b に代入してフィッティングし、フィッティングパラメータa、bを決定する第4ステップと、第4ステップで決定したフィッティングパラメータa、bを関係式I A =a×t b に代入して、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が判定Aモードストレス誘起リーク電流量になるまでのストレス印加時間を求めて、評価対象の絶縁膜の寿命とする第5ステップとを包含する。
【0027】
本発明の第3又は第4の絶縁膜評価方法において、第2ステップにおいて全ストレス印加時間を設定する代わりに、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量があらかじめ指定した電流量以上になったときにストレス試験を終了するとした指定電流量を設定し、第3ステップにおいてストレス試験を、全ストレス印加時間を経過するまで実施する代わりに、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が指定電流量以上になるまで実施する。
【0028】
本発明の第3又は第4の絶縁膜評価方法において、第3ステップのストレス試験は、評価対象の絶縁膜に評価用ストレス印加条件を所定時間印加する第1サブステップと、第1サブステップの後、評価対象の絶縁膜に対して判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第2サブステップと、第2サブステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量およびストレス印加時間を記録する第3サブステップと、第3サブステップにおいてストレス試験開始からのストレス印加時間の経過時間が、全ストレス印加時間以上になったかどうかを判定する第4サブステップと、第4サブステップにおいて、ストレス印加時間の経過時間が全ストレス印加時間に到達しない場合は第1サブステップ〜第4サブステップを繰り返し、ストレス印加時間の経過時間が全ストレス印加時間以上になった場合はストレス試験を終了する第5サブステップとを包含する。
【0029】
本発明の第3又は第4の絶縁膜評価方法において、第3ステップのストレス試験は、評価対象の絶縁膜に評価用ストレス印加条件を所定時間印加する第1サブステップと、第1サブステップの後、評価対象の絶縁膜に対して判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第2サブステップと、第2サブステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量およびストレス印加時間を記録する第3サブステップと、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が指定電流量以上になったかどうかを判定する第4サブステップと、第4サブステップにおいて、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が指定電流量に到達しない場合は第1サブステップ〜第4サブステップを繰り返し、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が指定電流量以上になった場合はストレス試験を終了する第5サブステップとを包含する。
【0030】
本発明の第5の絶縁膜評価方法は、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する第1評価用ストレス印加条件(第1評価用ストレス印加電界および第1全ストレス印加時間)と第2評価用ストレス印加条件(第1評価用ストレス印加電界とは異なる第2評価用ストレス印加電界および第2全ストレス印加時間)を設定する第2ステップと、第1の評価対象の絶縁膜に、第1評価用ストレス印加条件に基づく第1ストレス試験を、第1全ストレス印加時間を経過するまで実施すると共に、第1の評価対象の絶縁膜と同じ種類及び同じ膜厚の第2の評価対象の絶縁膜に、第2評価用ストレス印加条件に基づく第2ストレス試験を、第2全ストレス印加時間を経過するまで実施する第3ステップと、第3ステップの後、第1ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間(t 1 ′)におけるAモードストレス誘起リーク電流量(I A1 )を関係式I A1 =a 1 ×t b1 に代入してフィッティングし、フィッティングパラメータa 1 、b 1 を決定すると共に、第2ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間(t 2 ′)におけるAモードストレス誘起リーク電流量(I A2 )を関係式I A2 =a 2 ×t b2 に代入してフィッティングし、フィッティングパラメータa 2 、b 2 を決定する第4ステップと、第4ステップで決定したフィッティングパラメータa 1 、b 1 を関係式I A1 =a 1 ×t b1 に代入して、第1の評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が判定Aモードストレス誘起リーク電流量になるまでのストレス印加時間を求めて、第1の評価対象の絶縁膜の寿命(t 1 )とする第5ステップと、第4、第5ステップで決定したフィッティングパラメータa 1 、a 2 および第5ステップで求めた第1の評価対象の絶縁膜の寿命(t 1 )を関係式t 2 =(a 1 /a 2 )×t 1 に代入して第2の評価対象の絶縁膜の寿命(t 2 )を求める第6ステップとを包合する。
【0031】
本発明の第5の絶縁膜評価方法において、第6ステップにおいて関係式t 2 =(a 1 /a 2 )Xt 1 を用いる代わりに、第4、第5ステップで決定したフィッティングパラメータa 1 、a 2 および第5ステップで求めた第1の評価対象の絶縁膜の寿命(t 1 )を関係式t 2 =(a 1 /a 2 ) c/b ×t 1 (cは定数、b=(b 1 +b 2 )/2)に代入して第2の評価対象の絶縁膜の寿命(t 2 )を求める。
【0035】
【発明の実施の形態】
ゲート酸化膜の厚さが約6nm程度以下になると、2つのモードのストレス誘起リーク電流(Stress Induced Leakage Current:以下、「SILC」と称する)が観察されることが知られている(K. Okada, S. Kawasaki and Y. Hirofuji:Extended Abstructs of the 1994 International Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS (1994) p.565)。これら2つのモードの電流は、それぞれ「Aモードストレス誘起リーク電流」および「Bモードストレス誘起リーク電流」と呼び、区別される。本願明細書では、Aモードストレス誘起リーク電流を「A−SILC」と称し、Bモードストレス誘起リーク電流を「B−SILC」と称することとする。
【0036】
図1は、本発明の絶縁膜評価方法に使用されるMOSキャパシタの一例の断面構造を示している。このMOSキャパシタは、P型の単結晶シリコン基板1上に形成された厚さ4.3nmのゲート酸化膜(面積0.01mm2)2と、そのゲート酸化膜2上に形成されたゲート電極3とを備えている。ゲート電極3の側面には絶縁性のサイドウォール4が設けられている。ゲート酸化膜2はシリコン基板1の表面を熱酸化することによって形成され、ゲート電極3は、例えば、CVD法で堆積した多結晶シリコン膜をパターニングすることによって形成される。
【0037】
シリコン基板1およびゲート電極3は、それぞれ、絶縁膜評価装置5の測定部に電気的に接続される。このようなMOSキャパシタのゲート電極3に負電圧を繰り返し印加することによって、ゲート絶縁膜2に電気的なストレスを与えることができる。
【0038】
図2は、図1のMOSキャパシタを用いて、そのゲート絶縁膜2に電気的ストレスを与えた場合に測定される、「電流−電圧特性」の変化を示している。この電流−電圧特性は、ゲート電極3に負電圧を可変的に印加しながら、シリコン基板1からゲート絶縁膜2を介してゲート電極3へ流れるリーク電流(以下、「ゲート電流」と称する場合がある)を測定することによって得られる。電流−電圧特性の測定は、前述のストレス印加を時折中断して実行される。
【0039】
図2のグラフには、典型的なA−SILCおよびB−SILCが観測されている。ストレス印加前の初期特性では、ファウラー・ノードハイム(FN)トンネル電流、および直接トンネル電流が支配的であるが、ストレス印加を開始すると、まず、A−SILCが観察されるようになる。A−SILCは、ストレス印加時間の経過とともに連続的に増大する。さらにストレス印加を継続すると、やがて、より大きな電流レベルを有するB−SILCが観察されるようになる。A−SILCはストレス印加時間の経過に伴って連続的に増大するのに対し、B−SILCは突然不連続に現れる。さらにストレス印加を継続することによって、完全な絶縁破壊に至る。この完全絶縁破壊は、厚さが10nm程度を越える比較的に厚い絶縁膜で観察される絶縁破壊と同様のものである。
【0040】
A−SILCは、酸化膜のほぼ全面を流れる電流であるのに対し、B−SILCは、数nm〜数10nm程度のサイズを有する局所領域を流れる電流である。B−SILCが現れる現象は、絶縁破壊過程の一部であることがわかっている (K. Okada and S. Kawasaki:Extended Abstructs of the 1995 International Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS (1995) p.473, およびK. Okada:Extended Abstructs of the 1996 International Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS (1996) p.782)。従って、この現象を部分絶縁破壊(partial-breakdown、以下、p−BD)と呼び、B−SILC状態から完全に絶縁破壊に至る反応を完全絶縁破壊(complete-breakdown、以下、c−BD)と呼んでいる。
【0041】
また、B−SILC状態を経ることなく完全に絶縁破壊に至る場合もある。なお、p−BDを疑似絶縁破壊(quasi−breakdown)もしくはソフトブレークダウン(soft-breakdown)、B−SILCを疑似絶縁破壊電流(quasi−breakdown current)と呼ぶこともあるが、本願明細書では、A−SILC、B−SILC、p−BD、c−BDの用語を用いることにする。
【0042】
p−BDの発生によってリーク電流は増大するが、直ちにデバイスが動作しなくなることはない。このため、ゲート酸化膜の寿命としては完全絶縁破壊が発生するまでの時間をとるべきである。しかしながら、デバイス構造によってはB−SILCのリーク電流でも動作不良の原因となりうるし、また、リーク電流レベルの規格の厳しいデバイスについてはp−BDまでの時間を寿命と考えるべきである。したがって、p−BDまでの時間を測定もしくは推定することが、デバイス評価のために重要となる。そこで、本願明細書においては、p−BDが発生する現象、およびp−BDを経ることなく完全絶縁破壊する現象を含めて絶縁破壊と呼ぶこととし、それまでの時間をゲート酸化膜の寿命と定義し用いることとする。
【0043】
図3は、図1のMOSキャパシタのゲート電極3に負の一定電圧(−6V)を印加した場合における、ゲート電流量の時間変化を示している。この試料については、ストレス電圧(−6V)の印加開始から410秒後にp−BDが発生し、B−SILCが流れ始めている。ストレス電圧が印加された状態でのゲート電流量はストレス印加時間の経過とともに連続的に増大しているが、その変化は、410秒間に0.823μAから0.889μAへと僅か8%程度の増加に過ぎない。この変化の割合(変化率)は、酸化膜厚が薄くなるほど、より小さくなることが知られている。したがって、ストレス印加電圧と同じレベルの電圧がゲート電極に印加されているときのゲート電流の時間変化をモニタするだけでは、絶縁破壊の発生を予見することは非常に困難である。前述したように、従来の絶縁膜信頼性評価は、このようなゲート電流量をモニターするため、実際に絶縁破壊が発生するまでストレスの印加を続けることが必要となり、非常に長い測定時間を要している。
【0044】
測定時間を短縮するためにストレス条件を厳しく、すなわち、評価用電圧の絶対値をより大きくするか、もしくはストレス印加時の温度を高くする、などの方法が用いられている。これは電界もしくは温度加速試験と呼ばれている。この方法によれば、デバイスの実使用条件下におけるゲート酸化膜寿命を推定するためには、ゲート酸化膜寿命が電界もしくは温度によってどのように変化するかを知ることが必要になる。そのモデルとしていくつか存在するが、未だにどのモデルが正しいのか明確になっていないのが現状である。また電界もしくは温度加速試験により求めた寿命をデバイスの実使用条件(電界、温度)まで外挿することによって実使用条件下におけるゲート酸化膜寿命を求めるため、正確な寿命推定を行うためには、より低電界・低温度で試験を行うことが求められる。
【0045】
以上のように、試験時間を短縮すると推定寿命の精度が低下するため、精度を上げるためには試験時間が非常に長くなってしまう原因となっている。
【0046】
図4は、厚さ4.3nmのシリコン酸化膜を有するMOSキャパシタについて定電圧ストレス印加を行ったときの電流−電圧特性の時間変化を示している。ストレス印加は、MOSキャパシタのゲート電極側に負一定電圧(−6V)を印加することによって行った。ストレス印加前にはカーブ1で示される特性を示していたが、ストレス印加時間の増加とともに、ゲート電圧が−2Vから−5V程度までの領域におけるゲート電流、すなわちA−SILCが連続的に増大し、p−BDの直前にはカーブ2で示される特性を示している。ゲート電圧が−4Vのときのゲート電流量(A−SILC)は、2けた以上変化している。
【0047】
図5は、ストレス印加時間と、ゲート電圧が−4Vのときのゲート電流量(A−SILC)との関係を示している。図5のグラフの縦軸は、上記MOSキャパシタのゲート電極に−4Vの電圧を印加したときのAモードSILC電流量を示し、横軸はストレス印加時間を示している。図5に示されるように、ゲート電圧が−4Vのときのゲート電流量(A−SILC)は、ストレス印加時間に対して、log−logスケールにおける直線関係にある。
【0048】
図6は、異なるストレス条件下での、AモードSILC電流量(ゲート電圧−4V)の時間変化を示している。図6のグラフ中においては、絶縁破壊の発生時間およびそのときのA−SILC電流量を逆三角形のマーク(▼)で示している。ストレス電界の大きさに応じて、直線の位置が変化しているが、直線の傾きは変化していない。さらに、絶縁破壊までのストレス印加時間は電界強度に応じて変化しているが、絶縁破壊時のA−SILC電流量は概略一定である。
【0049】
図7は、異なる作製プロセスにより形成した膜厚3.8nmの3種類のシリコン酸化膜(試料1〜3)についての、AモードSILC電流量(ゲート電圧−4V)の時間変化を示している。ストレス印加は、ゲート電極に−6Vの定電圧を印加することによって行った。試料1〜3の作成プロセスの相違点は、ゲート酸化膜の形成プロセスの差にある。具体的には、酸化炉中にシリコン基板(シリコンウェハ)を挿入する際の炉の温度と酸化工程中の炉内雰囲気の組み合わせが異なっている。試料1の炉挿入時温度は800℃、酸化雰囲気は酸素(ドライ酸化)であり、試料2の炉挿入時温度は700℃、酸化雰囲気は水蒸気(パイロ酸化)であり、試料3の炉挿入時温度は500℃、酸化雰囲気は水蒸気(パイロ酸化)である。なお、酸化温度は、各試料に共通で800℃である。図7のグラフ中においても、絶縁破壊の発生時間およびそのときのA−SILC電流量を逆三角形のマーク(▼)で示している。作製プロセスの違いに応じて、直線の位置が変化しているが、直線の傾きは変化していない。さらに、絶縁破壊までのストレス印加時間は試料毎に異なるが、絶縁破壊時のA−SILC電流量はほぼ一定である。
【0050】
実際の個々の試料における絶縁破壊寿命には多少のばらつきが存在するため、個々の試料における絶縁破壊時点でのA−SILC電流量にもばらつきが存在する。
【0051】
本願発明者は、上記絶縁破壊時点でのA−SILC電流量がストレス条件(ストレス電圧およびストレス電流の大きさ)やプロセス条件にほとんど依存しないことに着目し、その現象を利用して絶縁膜の寿命推定を行う方法に想到した。具体的には、複数の試料について、絶縁破壊時点でのA−SILC電流量を実際に測定し、測定値を統計的に処理することによって、絶縁膜寿命推定に最適な「絶縁破壊しきい値」を決定する。この「しきい値」を決定する際に測定値のばらつきを考慮することによって、従来例のように多数の試料の寿命を実際に測定することなく、統計的に信用できる寿命値を得ることが可能になる。
【0052】
このように本願発明では、上述した極薄絶縁膜の破壊メカニズムに関する研究成果を基礎とすることにより、測定結果の信頼性を低下させることなく、測定に要する時間および試料数を抑制できる絶縁膜評価方法および装置を提供するこができる。
【0053】
以下、図面を参照しながら、本発明による絶縁膜評価方法の実施形態を説明する。
【0054】
(第1の実施形態)
図8のフローチャートを参照する。
【0055】
本実施形態の絶縁膜信頼性評価方法(定電圧ストレス法)においては、まず、ステップS1で、判定電圧Vmと判定AモードSILC電流量Imとを設定し、ステップS2で、評価用電圧V0を設定する。ここで、「判定電圧Vm」は、A−SILC電流量を測定するためにゲート電極に印加する電圧であり、例えば、−4Vである。「判定AモードSILC電流量Im」としては、試料の絶縁膜と同じ種類・同じ膜厚の絶縁膜について絶縁破壊が生じるときに、その絶縁膜を流れるAモードSILC電流量が用いられ得る。なお、本願明細書で用いる「絶縁破壊が生じるときのAモードSILC電流量」という言葉は、単調・連続的に増加するA−SILC電流量を有限の時間間隔をおいて測定し、測定値が突然に大きく増加した場合において、そのような電流量の大きな増加が実際に測定された時の直前の測定時(電流量が単調・連続的な増加を示している状態の最後の測定時)におけるAモードSILC電流量を意味するものとする。また、ストレス電圧を実質的に連続に印加している間に絶縁膜を流れる電流を計測し、その電流が急に増加した時を特定し、それまでに不連続的に計測してきたAモードSILC電流量の変化を示す直線(または曲線)を前記特定した時まで延長(外挿)することによって、その特定した時におけるAモードSILC電流量を「絶縁破壊が生じるときのAモードSILC電流量」としてもよい。このような絶縁破壊が生じるときに絶縁膜を流れるAモードSILC電流量を、本願明細書では、「絶縁破壊しきい値」と称する場合がある。「絶縁破壊しきい値」は、本実施形態の絶縁膜評価方法を実施する前に、前もって、後述する方法によって決定されたものである。「判定AモードSILC電流量Im」としては、「絶縁破壊しきい値」の代わりに、「絶縁破壊しきい値」に比較的に近い値を用いても良い。例えば、絶縁破壊しきい値の90%ないしは110%の値を「判定AモードSILC電流量Im」として用いても良い。「評価用電圧V0」は、ストレス印加工程で絶縁膜に印加する電圧であり、例えば、−6Vである。なお、ステップS1およびステップS2は、その順序を交換しても良いことは言うまでもない。
【0056】
なお、ゲート電流量(IG)の中に、AモードSILC電流量以外の電流(直接トンネル電流やFN電流)の成分(IG0)が無視できない割合で存在する場合は、これらの電流量(IG0)をゲート電流量(IG)から引いた残りの電流量をAモードSILC電流量として用いても良い。
【0057】
ステップS1およびS2の後、ステップS3で、絶縁膜に評価用電圧V0を供給し、ストレス印加工程を開始する。そして、評価用電圧V0の供給状態をt1秒間保持したのち(ステップS4)、ステップS5で、電圧VmにおけるAモードSILC電流量IAを測定し、ステップS6でIAの絶対値がImの絶対値以上になったかどうかの判定を行う。なお、評価用電圧V0の供給状態を保持する時間は、一定間隔である必要はなく、logスケールで増加させていってもよい。
【0058】
ステップS6において、IAの絶対値がImの絶対値以上になっていないと判定された場合には、ステップS4に戻り、ステップS4〜ステップS6の操作を繰り返す。
【0059】
ステップS6において、IAの絶対値がImの絶対値以上になっていると判定された場合には、ステップS7で評価用電圧V0供給開始から要した所要時間をtBDとして記録する。この時間tBDは、評価対象絶縁膜の寿命に相当している。なぜなら、ストレスの印加時間の経過にともなって増加するIAの絶対値がImの絶対値以上になったときに、統計的に有意な確率で絶縁膜の絶縁破壊が生じるからである。
【0060】
このような測定を、1つの試料(1つのMOSキャパシタ内のゲート絶縁膜)に対して1度だけ実施することにより、測定対象絶縁膜と同一種類・同一膜厚の絶縁膜を有する複数の試料全体について、そのtBD値を得ることができる。ここでいう「複数の試料」は、上記測定対象となった絶縁膜が形成されたシリコンウェハ内の他の場所に形成された他の絶縁膜を含む。この「他の絶縁膜」は、測定対象絶縁膜を含むチップとは別のチップ内に含まれていてもよい。また、測定対象絶縁膜が形成されたシリコンウェハが経験してきた製造プロセスと実質的に同一の製造プロセスを経験してきた他のシリコンウェハ内に含まれる絶縁膜も上記「複数の試料」に含まれ得る。上記測定は、ある試料(絶縁膜)について、現実に絶縁破壊(p−BD)が生じるか、または、絶縁破壊が生じると判断し得るレベル程度のAモードSILC電流量IAが測定されるまでストレス印加を続けている。
【0061】
次に、「判定AモードSILC電流量Im」または「絶縁破壊しきい値」の決定方法を説明する。
【0062】
上記測定方法とほぼ同様にして、MOSキャパシタ内のゲート絶縁膜にストレスを印加し、ゲート電流量を測定する(モニタする)。そして、実際にゲート絶縁膜が絶縁破壊するまでストレス印加を継続して行う。ゲート電流の不連続的な増加が観測された場合、観測時点直前の測定時(電流量が単調・連続的な増加を示している状態の最後の測定時)点でのゲート電流量、または、電流量の単調・連続的な増加を表現する直線(または曲線)を電流の不連続な増加時点の直前にまで外挿して決定したゲート電流量を、絶縁破壊時点の「AモードSILC電流量」として記録する。言い換えると、「絶縁膜が絶縁破壊するとき」のAモードSILC電流量の値を記録する。この作業を複数の試料について実行する。試料の数としては、例えば、20〜100個が適当である。
【0063】
こうして、複数の試料(複数の絶縁膜)について、「絶縁破壊が生じるとき」の「AモードSILC電流量」の測定値を得ることができる。これを統計的に処理することによって、「絶縁破壊しきい値」を決定することができる。
【0064】
図9は、複数の試料について測定された「絶縁膜が絶縁破壊するとき」の「AモードSILC電流量」の値と累積不良率との関係を示している。図9のグラフは、一枚のシリコンウェハ内に同時形成された17個のMOSキャパシタについて、そのゲート絶縁膜の絶縁破壊を行うことによって得た測定値をワイブルプロットしたものである。測定は、複数の異なるストレス電界を絶縁膜に与えて行った。
【0065】
図9において、「50%しきい値」と表記されている値は、統計的に全体の50%の試料(絶縁膜)について絶縁破壊が生じるAモードSILC電流量である。たとえば、この「50%しきい値」を「判定AモードSILC電流量Im」として用いることができる。その場合、図8のフローチャートに示す方法を一回だけ実行することにより、絶縁膜の50%絶縁破壊寿命tBD(またはt50)が求められる。
【0066】
なお、図9において、「1%しきい値」および「99%しきい値」と表記される値は、それぞれ、統計的に全体の1%の試料(絶縁膜)について絶縁破壊が生じるAモードSILC電流量、および、統計的に全体の99%の試料(絶縁膜)について絶縁破壊が生じるAモードSILC電流量である。
【0067】
このように統計的処理によって図9に示す関係を得れば、所望の累積不良率に対するAモードSILC電流しきい値を「絶縁破壊しきい値」として決定し、絶縁膜の寿命の測定・推定に用いることができる。
【0068】
この「絶縁破壊しきい値」は、絶縁膜の面積やストレス印加時の温度によって変化することがわかっている。「絶縁破壊しきい値」と絶縁膜の面積との関係や、「絶縁破壊しきい値」とストレス印加時の温度と関係が求まれば、絶縁膜の面積やストレス印加時の温度に応じて「絶縁破壊しきい値」を補正して使用しても良い。
【0069】
このように本実施形態によれば、ストレス印加にともなうA−SILC電流量IAの時間変化をモニタすることによって、より短時間に精度の高い酸化膜寿命の測定を行なうことが可能となる。なお、AモードSILC電流量IAの絶対値が判定AモードSILC電流量Imの絶対値以上になったかどうかにより前述の「判定」を行う代わりに、ある一定のAモードSILC電流量が流れるために必要なゲート電圧値を用いることによっても判定することが可能である。これは、ある一定のAモードSILC電流が絶縁膜を流れる際に、その絶縁膜に印加される電圧(ゲート電圧)の値が、ストレス印加時間の経過によって単調・連続的に減少し、絶縁破壊(p−BD)が生じたときに、大きく不連続的に減少するからである。絶縁破壊が生じるときに前記ゲート電圧値にも「しきい値」があり、そのしきい値もストレス条件や製造プロセス条件によらず、ほぼ一定である。
【0070】
(第2の実施形態)
図10のフローチャートを参照する。
【0071】
本実施形態の絶縁膜信頼性評価方法(定電流ストレス法)においては、まず、ステップS11で判定電圧Vmと判定AモードSILC電流量Imとを設定し、ステップS12で評価用電流量I0を設定する。ここで、「判定電圧Vm」および「判定AモードSILC電流量Im」は、第1の実施形態について説明したとおりである。「評価用電流量I0」は、定電流ストレス印加工程において、測定対象の絶縁膜に与えるストレス電流である。
【0072】
次に、ステップS13で絶縁膜に評価用電流(I0)を供給する。そして、ステップS14で評価用電流(I0)の供給状態をt1秒間保持したのち、ステップS15で判定電圧VmにおけるAモードSILC電流量IAを測定し、ステップS16でIAの絶対値がImの絶対値以上になったかどうかの判定を行う。
【0073】
ステップS16で、IAの絶対値がImの絶対値以上になっていないと判定された場合には、ステップS14に戻り、ステップS14〜ステップS16の操作を繰り返す。
【0074】
ステップS16で、IAの絶対値がImの絶対値以上になっていると判定された場合には、ステップS17で評価用電流量I0の供給開始から要した所要時間をtBDとして記録し、ステップS18でtBDから絶縁破壊までの総注入電荷量QBDを算出する。ここで、QBDは、tBDと評価用電流I0の積を面積Sで割った値として定義される。
【0075】
本実施形態では、絶縁膜に定電圧ストレスを印加する代わりに、定電流ストレスを印加している点で前述の実施形態と異なっている。しかし、本実施形態によっても、基本的には同様の方法で絶縁膜の寿命tBDが求められる。従って、第1の実施形態について説明した理由と同様の理由から、上記測定を1度だけ実施すれば、その試料を含む試料全体におけるtBD値を得ることが可能である。また、本実施形態の場合は、絶縁破壊までの総注入電荷量QBDが簡単に算出され得る。
【0076】
以上のように本実施形態によれば、ストレス印加にともなうA−SILC電流量の時間変化をモニタすることによってより短時間に精度の高いゲート酸化膜寿命推定を行なうことが可能となる。
【0077】
なお、本実施形態においても、AモードSILC電流量IAの絶対値が判定AモードSILC電流量Imの絶対値以上になったかどうかにより判定する代わりに、ある一定のAモードSILC電流量が流れるために必要なゲート電圧値を用いることによっても判定することが可能である。
【0078】
(第3の実施形態)
図11のフローチャートを参照する。以下に述べる本実施形態によれば、絶縁膜の寿命を簡単に推定することができる。
【0079】
本実施形態では、まず、ステップS21で、判定電圧Vmと判定AモードSILC電流量Imとを設定し、ステップS22で、評価用ストレス印加条件およびストレス印加時間ttotalを設定する。「評価用ストレス印加条件」は、例えば、第1の実施形態で採用した定電圧ストレス、第2の実施形態で採用した定電流ストレスなどの条件である。ストレスは、室温から昇温した加速試験状態で印加してもよい。
【0080】
次に、ステップS22で設定したストレス条件のもと、ステップS23で絶縁膜に対するストレス試験を実施する。絶縁膜へのストレス印加開始後、ストレス印加時間ttotalが経過したとき、ストレス試験を終了する。ストレス試験終了後、ステップS24で、ストレス試験中に記録しておいた各ストレス印加時間tにおけるAモードSILC電流量IAをlog−logスケールでストレス印加時間tに対してプロットする。ステップS25で、このプロットにlog−logスケール上で直線を当てはめる。そして、ステップS26で、AモードSILC電流量IAの絶対値が判定AモードSILC電流量Imの絶対値よりも大きくなっている場合には、判定AモードSILC電流量Imに到達するまでの時間をtBDとする。また、大きくなっていない場合には直線を長時間側へ外挿し、判定AモードSILC電流量Imに到達するまでの時間をtBDとする。
【0081】
次に、図12を参照しながら、ステップS23のストレス試験の具体的な手順を説明する。
【0082】
まず、ステップS31で、指定されたストレス印加条件のもとでストレスを絶縁膜に印加する。この状態をt1秒間保持したのち(ステップS32)、ステップS34で指定電圧Vm(例えば、−4V)におけるAモードSILC電流量IAを測定し、ステップS35でIAおよび時間tを記録する。ストレス試験開始からの経過時間が指定のストレス印加時間ttotal以上になった場合には(ステップS36)、ストレス印加を終了し、ストレス試験を終了する。ステップS36で、ストレス試験開始からの経過時間が指定のストレス印加時間ttotal以上になっていない場合には、ステップS32に戻り、ステップS32、ステップS34、ステップS35、ステップS36の操作を繰り返す。t1は、例えば、0.1〜10秒であり、ストレス印加時間ttotalは、例えば、10〜10000秒である。
【0083】
本実施形態では、測定対象試料について、絶縁膜の絶縁破壊に至るまでストレスを印加する必要はない。ストレス印加時間ttotalとして、前述した絶縁膜の寿命tBDに比較して充分に短い時間を設定してもよい。本実施形態では、AモードSILC電流量IAおよびストレス印加時間tが、図6および図7に示されるように、log−logスケールで直線的な関係を持つことに着目して、絶縁膜の寿命を推定している。これは、AモードSILC電流量IAが「絶縁破壊しきい値」以上になったときに絶縁破壊が生じることに基づいている。
【0084】
第1の実施形態について説明した理由と同様の理由によって、上記測定を1度だけ実施すれば、その試料全体におけるtBD値を得ることが可能である。
【0085】
なお、本実施形態において、AモードSILC電流量IAをプロットする代わりに、ある一定のAモードSILC電流量が流れるために必要なゲート電圧値を用いることによっても可能である。
【0086】
以上のように本実施形態によれば、より短時間に精度の高いゲート酸化膜寿命推定を行なうことが可能となる。本実施形態は実際に絶縁膜が絶縁破壊するまでストレス試験を継続する必要がないため、試験時間を短縮することが可能であるという点で、第1の実施形態と比べて優れている。
【0087】
本実施形態では、ストレス試験開始からの経過時間が指定のストレス印加時間ttotal以上になったときにストレス試験を終了するが、こうする代わりに、AモードSILC電流量IAがあらかじめ指定した電流量IAA以上になったときにストレス試験を終了するようにしてもよい。図13および図14は、そのような方法の手順を示しており、図11および図12のステップS22およびステップS36が、それぞれ、ステップS22’およびステップS36’に入れ替わっている。図13および図14に示す方法は、AモードSILC電流量IAとストレス時間との間に図15に示されるような関係がある場合に特に効果的である。なぜなら、ストレス印加時間ttotalの設定が短すぎると、絶縁膜の劣化に伴ってAモードSILC電流量IAの実質的な増加が観察される前にストレス試験が終了してしまうおそれがあるからである。なお、絶縁膜に印加する電気的ストレスが比較的に小さい場合に、AモードSILC電流量IAは図15に示すような変化を示す可能性がある。
【0088】
(第4の実施形態)
図16のフローチャートを参照する。
【0089】
まず、ステップS41で、判定電圧Vmと判定AモードSILC電流量Imとを設定する。次に、ステップS42で評価用ストレス印加条件およびストレス印加時間ttotalを設定する。ステップS42で設定したストレス条件で絶縁膜に対してストレス試験を実施する(ステップS43)。ストレス試験終了後、ステップS44で、ストレス試験中に記録しておいた各ストレス印加時間tにおけるAモードSILC電流量IAを以下の式(2)または式(3)に代入し、フィッティングを実行する。
【0090】
IA= a×tb 式(2)
log(IA)=log(a) + b・log(t) 式(3)
ここで、IAはAモードSILC電流量電流量、tはストレス時間、aおよびbはフィッティングパラメータである。
【0091】
フィッティングの実行により、パラメータaおよびbの値が決定される。次に、ステップS44で求めたaおよびbの値を式(2)に代入し、IAが既定値(判定AモードSILC電流量Im)になるときのストレス時間tを算出すれば、tBDが得られる(ステップS45)。
【0092】
なお、ステップS43のストレス試験の具体的な手順は、図11のストレス試験と同じように(図12または図14のフローにされている)行えばよい。
【0093】
本実施形態によっても、第1の実施形態において説明した理由と同様の理由によって上記測定を1度だけ実施すれば、その試料全体におけるtBD値を得ることが可能である。なお、本実施形態において、AモードSILC電流量IAを用いる代わりに、ある一定のAモードSILC電流量が流れるために必要なゲート電圧値を用いることによっても可能である。
【0094】
また、第3の実施形態について説明したように、ストレス試験開始からの経過時間が指定のストレス印加時間ttotal以上になったときにストレス試験を終了する代わりに、AモードSILC電流量IAがあらかじめ指定した電流量IAA以上になったときにストレス試験を終了するようにしてもよい。
【0095】
以上のように本実施形態によれば、より短時間に精度の高いゲート酸化膜寿命推定を行なうことが可能となる。本実施形態は実際に絶縁膜が絶縁破壊するまでストレス試験を継続する必要がないため、試験時間を短縮することが可能であるという点で、第1の実施形態と比べて優れており、また、数式化することによりフィッティングパラメータaおよびbの値を定量化することが可能となり、aおよびbの値をチェックすることによって、測定および寿命推定が妥当であるかどうか知ることができる。この点で本実施形態は第3の実施形態に比べて優れている。
【0096】
なお、ストレス印加時間tとAモードSILC電流量IAとの関係が、本実施形態で用いた式以外の式を用いてフィッティングする方がより好ましいフィッティングを達成できる場合は、適宜、前述の式(2)または式(3)を他の式と交換するか、補正することが好ましい。図6や図7のグラフでは、ストレス印加時間tとAモードSILC電流量IAと関係が直線的であるが、前述したように、AモードSILC電流量IAが比較的に小さい領域と大きい領域との間で直線の傾きが異なることもあり得る。従って、ストレス印加時間tとAモードSILC電流量IAとの関係は、図6や図7に示されるような関係に限定されるわけではない。
【0097】
(第5の実施形態:絶縁膜評価装置)
以下に、図17を参照しながら、本発明の絶縁膜評価方法の実施のために用いる絶縁膜評価装置を説明する。
【0098】
図示されている絶縁膜評価装置は、試料10を保持するサンプルホルダ20と、サンプルホルダ20上に置かれた試料10に電気的に接触するプローブ(探針)21と、プローブ21を介して試料10に電気的ストレスの印加と電流・電圧の測定を実行するための測定部22と、得られたデータを解析するための解析部26とを備えている。
【0099】
試料10は、シリコン基板11と、基板11上に形成されたゲート酸化膜12と、ゲート酸化膜上に形成されたゲート電極13とを有している。この試料10を保持するホルダ20は、ストレス印加工程中に試料10を加熱することができるようにヒータを備えている。ホルダ20は、試料10のシリコン基板11に電気的に接触するとともに、接地されている。
【0100】
測定部22は、電圧印加部23と、電流測定部24と、記録部25とを備えており、電圧印加部23は、ストレス印加工程では、試料10に評価用電圧V0(ストレス電圧:例えば−6V)を印加し、AモードSILC電流量IAを測定する工程では、試料10に判定電圧Vm(例えば、−4V)を印加する。電流測定部24は、AモードSILC電流量IAを測定する工程において、試料10に判定電圧Vmが印加されたときに絶縁膜12を流れる電流を測定する。測定されたAモードSILC電流量IAは、測定時刻(ストレス時間t)に関連づけられて記録部25に記録される。定電流ストレスを印加する場合には、不図示の定電流供給部から定電流が試料に供給される。
【0101】
第4の実施形態の方法を実施する場合には、記録部25に記録されたデータに対して、解析部26の演算器で前述のフィッティングが実行され、フィッティングパラメータaおよびbが求められるともに、既定値(判定AモードSILC電流量Im)が与えられていると、tBDが算出される。
【0102】
なお、上記各実施形態では、判定AモードSILC電流量Imまたは絶縁破壊しきい値がストレス条件やプロセス条件によらず一定であるとして、絶縁膜寿命の推定を行っているが、絶縁膜破壊しきい値は、ストレス印加時の温度に応じて変化することがわかっている。このため、前記絶縁破壊しきい値をストレス印加時の温度の関数として表現するようにしてもよい。
【0103】
また、本発明は、絶縁膜の寿命・信頼性の観点から最適なプロセスを選択する方法にも適用できる。図7に示されるように、同一の絶縁膜についても、その絶縁膜が経験したプロセス条件が異なる場合、ストレス時間とAモードSILC電流量との関係が大きく変化する。図7のグラフからは、試料3が経験したプロセス条件が他の試料が経験したプロセス条件に比較して最も好ましく、絶縁膜の寿命を長くするものであることがわかる。プロセス条件の異なる試料に対して、ストレス時間が例えばtx秒におけるAモードSILC電流量を測定し、その測定値を比較することによって、絶縁膜の信頼性向上にとって最適なプロセス条件を選択することが可能である。
【0104】
上記実施形態では、絶縁破壊時点でのA−SILC電流量がストレス条件(ストレス電圧およびストレス電流の大きさ)やプロセス条件にほとんど依存しないことに着目し、その現象を利用して絶縁膜の寿命推定を行っている。しかし、ストレス電圧が変化すると、絶縁破壊時点でのA−SILC電流量も変化する場合があることが発明者の実験によって明らかになっている。以下、絶縁破壊時点でのA−SILC電流量とストレス電圧との間の関係を導きだし、その関係に基づいて、寿命を推定する方法(酸化膜寿命の電界依存性評価方法)を説明する。
【0105】
(第6の実施形態)
以下、本発明による絶縁膜評価方法の他の実施形態を説明する。
【0106】
まず、酸化膜寿命の電界依存性を調べるための2つの異なるストレス電界を決定する。例えば、第1のストレス電界として−6ボルト、第2のストレス電界として−5.5ボルトを選択することが可能である。次に、決定した2つのストレス電界の各々において、AモードSILC電流量の時間変化を特定するa値およびb値を測定する。この測定方法の一例を、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
【0107】
まず、ステップ71で、判定電圧Vmと判定AモードSILC電流量Imとを設定する。次に、ステップ72で、評価用ストレス印加条件およびストレス印加時間ttotalを設定する。
【0108】
その後、ステップ72で設定したストレス条件で絶縁膜に対してストレス試験を実施する(ステップ73)。ストレス試験終了後、ステップ74で、ストレス試験中に記録しておいた各ストレス印加時間tにおけるAモードSILC電流量IAを前記式(2)または式(3)に代入し、フィッティングを実行する。フィッティングの実行により、パラメータaおよびbの値が決定される。
【0109】
以上のようにして得られる2つのストレス電界におけるa値およびb値を用いることにより、2つの異なるストレス電界における寿命tの関係は以下のように表される。
【0110】
t2= (a1/a2)×t1 式(4)
ここで、a1およびt1は、それぞれ、第1のストレス電界におけるa値および寿命であり、a2およびt2は、それぞれ、第2のストレス電界におけるa値および寿命である。
【0111】
次に、寿命が式(4)によって表現される理由を説明する。
【0112】
図19は、膜厚4.5nm、ゲート面積0.01mm2のシリコン酸化膜に8.3MV/cmから12.4MV/cmまでの種々のストレス電界を印加したときのAモードSILC電流量の時間変化をlog-logスケールでプロットしたグラフである。このグラフのデータに式(4)をフィッティングすることによって各ストレス電界におけるaおよびb値が得られる。図20は、このaおよびb値の電界依存性をプロットしたグラフを示している。図20からわかるように、図19の各直線のy軸切片に相当するa値は電界に依存し、電界が低くなるほど減少している。また、上記直線の傾きに相当するb値は電界に依存せず、約0.53で一定である。
【0113】
図21は、a値および実測により求めた酸化膜寿命を、ストレス電界に対してプロットしたグラフである。a値はストレス印加の結果生成された酸化膜欠陥に起因して流れるAモードSILC電流量を反映するパラメータであるため、a値が大きいほど劣化速度が大きいことを示している。これに対して寿命が長いほど劣化速度が遅いことを示しており、劣化速度を反映するのは寿命の逆数であると考えられる。図21では、寿命の代わりに寿命の逆数をプロットしている。図21において、「a値」および「寿命の逆数」は、ともに、ストレス電界の低下とともに減少している。それら電界依存性(傾き)は同じである。これは、a値の電界依存性から酸化膜寿命の電界依存性を求めることが可能であることを示しており、式(4)を裏付けるものである。
【0114】
式(4)を用いることにより、種々のストレス電界において実際に絶縁破壊に至るまでストレス印加を継続することなく、試料の絶縁破壊寿命の電界依存性を知ることが可能となる。さらに、たとえば第1のストレス電界における寿命t1が既知であれば、第2のストレス電界において絶縁破壊に至るまでストレス印加を継続することなく、第2のストレス電界における寿命を得ることが可能となる。
【0115】
以上のように本実施形態によれば、より短時間に精度の高いゲート酸化膜寿命推定を行なうことが可能となる。本実施形態は実際に絶縁膜が絶縁破壊するまでストレス試験を継続する必要がないため、試験時間を短縮することが可能であり、また、数式化することによりフィッティングパラメータaおよびbの値を定量化することが可能となるので、aおよびbの値をチェックすることによって、測定および寿命推定が妥当であるかどうか知ることができる。
【0116】
なお、ストレス印加時間tとAモードSILC電流量IAとの関係が、本実施形態の説明に用いた式以外の式を用いてフィッティングすることができる場合は、適宜、前述の式(2)または式(3)を他の式と交換するか、これらの式を補正して使用してもよい。
【0117】
このようにして酸化膜寿命の電界依存性が得られると、ある電界のもとでの酸化膜寿命を求めるだけで、他の電界での酸化膜寿命を高い精度で推定することができる。ある電界のもとでの酸化膜寿命を得る方法としては、本願明細書に開示している実施形態の方法だけではなく、従来の寿命測定方法を用いても良い。
【0118】
(第7の実施形態)
次に、本発明による酸化膜寿命の電界依存性評価方法の他の実施形態を説明する。
【0119】
まず、第6の実施形態と同様にして、寿命の電界依存性を調べる2つの異なるストレス電界を決定する。次に、両ストレス電界において、AモードSILC電流量の時間変化を観測し、その時間変化を特徴づけるa値およびb値を測定する。その測定方法としては、第6の実施形態について説明した方法を用いることができる。
【0120】
以上のようにして得られた2つのストレス電界におけるa値およびb値を用いることにより、2つのストレス電界における寿命tの関係を以下のように表現する。
【0121】
t2= (a1/a2)c/b×t1 式(5)
ここで、a1およびt1は第1のストレス電界におけるa値および寿命を、a2およびt2は第2のストレス電界におけるa値および寿命を、cは定数を、bは両ストレス電界におけるb値の平均値(=(b1+b2)/2)を示している。
【0122】
次に、寿命t2が式(5)により表現できる理由を説明する。
【0123】
図22は、膜厚3.5nm、ゲート面積0.1225mm2のシリコン酸化膜に0から6Vのゲート電圧を印加したときに測定されるゲート電流の変化を示している。ゲート酸化膜が薄くなると、F−Nトンネル伝導機構から直接トンネル伝導機構へと伝導機構が変化するため、初期の段階から大きなゲート電流が流れる。図22において、ゲート電圧の絶対値が約4V未満の領域では直接トンネル伝導機構が、約4V以上の領域ではF−Nトンネル伝導機構が支配的である。直接トンネル伝導機構が支配的になるような膜厚・電圧領域においては、AモードSILCの時間的変化は、図23に示すように小さい。そのため、AモードSILC電流量の増大を観測することが困難になる。さらにどのゲート電圧(読み取りゲート電圧)におけるAモードSILC電流量をプロットするかにより、AモードSILCの変化量およびb値が変化する。図24は、ストレス電界として10.4、11.1および11.4MV/cmを用いた場合のAモードSILC電流量の時間変化を示している。これらの各ストレス電界のもとで、 読み取りゲート電圧を1.0、 1.5および3.0Vとした場合のAモードSILC電流量の時間変化に基づいて推定した寿命を図25に示す。この寿命推定は、第6の実施形態について説明した方法を用いて行った。図25のグラフには、実測により求めた酸化膜絶縁破壊寿命をも示している。図25から、AモードSILC電流量を測定するときに印加するゲート電圧(読み取りゲート電圧)によって推定寿命が変化していることがわかる。この原因は、b値が、図26に示すように、読み取り電圧に
よって変化しているためであると考えられる。
【0124】
図19や図24のグラフ上のデータに関して、ある任意のレベルにあるAモードSILC電流量に到達する時間を各ストレス電界について求めた後、その到達点を通過する直線をb値が0.5であると仮定したうえでグラフ上に表現し、それによって、式(4)のフィッティングを行ってもよい。そうすることによって、a値を求め、第6の実施形態について述べた方法で寿命推定を行うことができる。その推定した寿命を図27に示す。
【0125】
このような処理を行うことにより、読み取りゲート電圧には関係なくほぼ同じ推定寿命が得られ、さらにこの結果は実測した寿命の比とも良く一致している。そこで、AモードSILC電流量の時間変化に式(4)を当てはめ、得られたa値およびb値を補正することと等価な処理として、式(5)に示した換算をおこなうことが有効である。c値として0.4から0.6まで変化させたときの推定寿命の誤差をプロットしたグラフを図28に示す。ここで誤差は各ストレス電界および読み取り電圧における推定寿命比と実際の寿命比との際の自乗平方根で定義した。c値が0.535程度で誤差は最小となり、その前後では誤差が大きくなっている。この最適値自体は膜種、膜質、膜厚、面積等によって変化する可能性がある。
【0126】
以上のように、任意の読み取りゲート電圧におけるAモードSILC電流量を測定した後、第6の実施形態について説明した方法によってa値およびb値を求め、これを式(5)に適用することによって、読み取りゲート電圧の影響を補正することが可能である。この方法を用いることにより、第6の実施形態の特徴である、種々のストレス電界において絶縁破壊に至るまでストレス印加を継続することなく、試料の絶縁破壊寿命の電界依存性を得ることが可能になる。また、たとえば第1のストレス電界における寿命t1が既知であれば、第2のストレス電界において絶縁破壊に至るまでストレス印加を継続することなく、第2のストレス電界における寿命を得ることが可能となる。さらに本実施形態によれば、AモードSILC電流量の変化がもっとも大きく、測定精度の得られるような任意の読み取りゲート電圧を選ぶことが可能である。
【0127】
以上のように本実施形態によれば、より短時間に精度の高いゲート酸化膜寿命推定を行なうことが可能となる。本実施形態は実際に絶縁膜が絶縁破壊するまでストレス試験を継続する必要がないため、試験時間を短縮することが可能である。また、数式化することによりフィッティングパラメータaおよびbの値を定量化することが可能となるため、aおよびbの値をチェックすることによって、測定および寿命推定が妥当であるかどうか知ることができる。
【0128】
なお、ストレス印加時間tとAモードSILC電流量IAとの関係が、本実施形態で用いた式以外の式を用いてフィッティングする方がより好ましいフィッティングを達成できる場合は、適宜、前述の式(2)または式(3)を他の式と交換するか、補正することが好ましい。
【0129】
なお、図29はゲート電圧−3VにおけるAモードSILC電流量の時間変化をプロットしたグラフである。図中矢印で示した時間に絶縁破壊が発生しているが、ストレス印加前と絶縁破壊直前とにおけるAモードSILC電流量の変化は1.6倍に過ぎない。図29のプロットに対して、寿命推定を行うために直線のフィッティングを行うことは困難であり、第6の実施形態における寿命推定を行うことは困難である。また、これを行ったときの推定寿命の信頼性は低いものとなってしまう。そこで、前述の図23においてゲート電流変化のもっとも大きくなるゲート電圧でのAモードSILC電流量をプロットすることが必要となる。図23においては約1Vから1.5Vまでのゲート電圧領域におけるゲート電流変化がもっとも大きい。このため、このゲート電圧領域中に任意のゲート電圧を読み取りゲート電圧として採用することが好ましい。なお、ストレス印加時間がゼロ秒のときの初期ゲート電流(IG0)が、図29に示すように相対的に大きいときは、その後のゲート電流IGから初期ゲート電流IG0を引いた値をAモードSILC電流量とすることが好ましい場合がある。
【0130】
次に、図30を参照しながら、2つの異なるストレス電界における寿命tの関係を作図によって求める方法を説明する。
【0131】
まず、任意のある値を示すAモードSILC電流量IXに対応する水平直線を例えば図19のグラフまたはそれと同様なlog−logスケールのグラフ上に引く。更に、任意に選択した2種類のストレス電圧(第1および第2各ストレス電圧)でのデータ直線と上記水平直線との交点PおよびQを求める。交点PおよびQからグラフ横軸(時間軸)に対して垂線を引き、垂線と時間軸との交点を求める。第1および第2ストレス電圧のもとで測定したデータ直線に対して、上記垂線と時間軸との交点は、それぞれ、時間tq1およびtq2に対応する。
【0132】
このとき、以下の関係が近似的に成り立つ。
【0133】
IX= a1×(tq1)b= a2×(tq2)b 式(6)
ここで、bはb1およびb2の平均値であり、b1およびb2は何れもbにほぼ等しいとする。
【0134】
式(6)から次式が求められる。
(a1/a2)1/b= tq2/tq1 式(7)
式(7)の関係に基づいて式(5)を変形すると、式(8)が得られる。
【0135】
従って、上記作図法によってtq1およびtq2を求めれば、寿命t1およびt2の関係を簡単に決定することが可能である。
【0136】
次に、図31を参照しながら、他の作図方法を説明する。
【0137】
まず、2種類のストレス電界に対応するデータ直線と水平直線(IA=IX)と交点P’およびQ’の各々から、今度は「傾きcの直線」を引き、その直線と任意の時間tXとの二つの交点を求める。傾きcの大きさとしては0.4から0.6までの範囲に含まれる値を選択することが好ましい。これらの交点に対応するAモードSILC電流量を、それぞれ、Iq1およびIq2とする。
【0138】
このとき、傾きcの直線は以下の式で表現できる。
【0139】
IA= a1'×tc 式(9)
IA= a2'×tc 式(10)
ここで、a1'およびa2'は、傾きcの直線の各y切片である。
【0140】
電流Iq1およびIq2は、時間tXを用いて、次のように表現される。
【0141】
Iq1= a1'×(tX)c 式(11)
Iq2= a2'×(tX)c 式(12)
式(11)および式(12)から次式が得られる。
【0142】
a1'/a2'= Iq1/Iq2 式(13)
一方、式(9)および式(10)を用いて、次の関係を得ることができる。
【0143】
IX= a2'×(tq2)c= a1'×(tq1)c 式(14)
式(14)から、次式が成立する。
【0144】
(tq2/tq1)c=a1'/a2' 式(15)
式(15)の関係に基づいて、式(8)を変形すると、次式を得ることができる。
【0145】
t2= (a1'/a2')×t1 式(16)
式(13)の関係を用いて式(16)を変形すると、次式を得ることができる。
【0146】
t2= (Iq1/Iq2)×t1 式(17)
従って、上記作図法によってIq1およびIq2を求めれば、寿命t1およびt2の関係を簡単に決定することが可能である。
【0147】
【発明の効果】
本発明によれば、種々のストレス電界において実際に絶縁破壊に至るまでストレス印加を継続することなく、試料の絶縁破壊寿命の電界依存性を知ることが可能となる。
【0148】
また、たとえば第1のストレス電界における寿命t1が既知であれば、第2のストレス電界において絶縁破壊に至るまでストレス印加を継続することなく、第2のストレス電界における寿命t2を得ることが可能となる。その結果、より短時間に精度の高いゲート酸化膜寿命推定を行なうことが可能となる。また、実際に絶縁膜が絶縁破壊するまでストレス試験を継続する必要がないため、試験時間を短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絶縁膜評価方法に用いる試料の構造の一例を示した断面図である。
【図2】極薄シリコン酸化膜における2つのモードのストレス誘起リーク電流の電流−電圧特性を示したグラフである。
【図3】膜厚4.3nmのシリコン酸化膜にゲート電圧−6Vの定電圧ストレス印加を行ったときのゲート電圧−6Vにおけるゲート電流量の時間変化を示したグラフである。
【図4】膜厚4.3nmのシリコン酸化膜にゲート電圧−6Vの定電圧ストレス印加を行ったときの電流−電圧特性の時間変化を示したグラフである。
【図5】膜厚4.3nmのシリコン酸化膜にゲート電圧−6Vの定電圧ストレス印加を行ったときのゲート電圧−4VにおけるAモードSILC電流量の時間変化を示したグラフである。
【図6】膜厚4.3nmのシリコン酸化膜に種々の大きさの定電圧ストレス印加を行ったときのゲート電圧−4VにおけるAモードSILC電流量の時間変化を示したグラフである。
【図7】種々の作製プロセスにより形成した膜厚3.8nmの3種類のシリコン酸化膜にゲート電圧−6Vの定電圧ストレス印加を行ったときのゲート電圧−4VにおけるAモードSILC電流量の時間変化を示したグラフである。
【図8】本発明による絶縁膜評価方法の第1の実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図9】 絶縁破壊時点のAモードSILC電流量の複数の測定値から絶縁破壊しきい値を決定する方法を説明する図である。
【図10】本発明による絶縁膜評価方法の第2の実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明による絶縁膜評価方法の第3の実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明による絶縁膜評価方法で行うストレス試験の手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明による絶縁膜評価方法の第3の実施形態の改変された手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明による絶縁膜評価方法で行うストレス試験の改変された手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】シリコン酸化膜に比較的に小さなストレス印加を行ったときのゲート電圧−4VにおけるAモードSILC電流量の時間変化を示したグラフである。
【図16】本発明による絶縁膜評価方法の第4の実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図17】 本発明による絶縁膜評価装置の構成例を示す模式的なブロック図である。
【図18】本発明による絶縁膜評価方法の第6の実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図19】膜厚4.5nm、ゲート面積0.01mm2のシリコン酸化膜に8.3MV/cmから12.4MV/cmまでの種々のストレス電界を印加したときのAモードSILC電流量の時間変化をlog-logスケールでプロットしたグラフである。
【図20】図19のデータにIA= a×tbをフィッティングすることによって得たaおよびb値を示すグラフ。
【図21】a値および実測により求めた酸化膜寿命を、ストレス電界に対してプロットしたグラフである。
【図22】膜厚3.5nm、ゲート面積0.1225mm2のシリコン酸化膜に0から6Vのゲート電圧を印加したときに測定されるゲート電流の変化を示すグラフである。
【図23】ゲート電流とゲート電圧との関係を示すグラフである。
【図24】ストレス電界として10.4、11.2および11.4MV/cmを用いた場合のAモードSILC電流量のストレス時間依存性を示すグラフである。
【図25】各ストレス電界のもとで、 読み取りゲート電圧を1.0、 1.5および3.0Vとした場合のAモードSILC電流量の時間変化に基づいて推定した寿命を示すグラフである。
【図26】b値のゲート電圧依存性を示すグラフである。
【図27】11.4M/cmでの寿命に対する比とストレス電界との関係を示すグラフである。
【図28】c値として0.4から0.6まで変化させたときの推定寿命の誤差をプロットしたグラフである。
【図29】ゲート電圧3VにおけるAモードSILC電流量の時間変化をプロットしたグラフである。
【図30】本発明の絶縁膜評価方法で使用できる作図方法の一例を説明するためのグラフである。
【図31】本発明の絶縁膜評価方法で使用できる作図方法の他の例を説明するためのグラフである。
【図32】従来の絶縁膜信頼性評価方法の手順を示すフローチャートである。
【図33】従来の他の絶縁膜信頼性評価方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 ゲート絶縁膜
3 ゲート電極
4 絶縁性サイドウォール
5 絶縁膜評価装置
10 試料
11 シリコン基板
12 ゲート絶縁膜
13 ゲート電極
20 試料ホルダ
21 プローブ
22 測定部
23 電圧印加部
24 電流測定
25 記録部
26 解析部
Claims (10)
- 評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、前記評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、
前記評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用電圧を設定する第2ステップと、
前記評価対象の絶縁膜に前記評価用電圧を所定時間印加する第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記評価対象の絶縁膜に対して前記判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第4ステップと、
前記第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上かどうかを判定する第5ステップと、
前記第5ステップにおいて、
前記第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値よりも小さい場合は前記第3ステップ〜第5ステップを繰り返し、
前記第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上の場合は前記第3ステップの開始からの評価用電圧の全供給時間を求めて、前記評価対象の絶縁膜の前記評価用電圧における寿命とする第6ステップと
を包含する絶縁膜評価方法。 - 評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、前記評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、
前記評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用電流量を設定する第2ステップと、
前記評価対象の絶縁膜に前記評価用電流を所定時間印加する第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記評価対象の絶縁膜に対して前記判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第4ステップと、
前記第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上かどうかを判定する第5ステップと、
前記第5ステップにおいて、
前記第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値よりも小さい場合は前記第3ステップ〜第5ステップを繰り返し、
前記第4ステップで測定されたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上の場合は前記第3ステップの開始からの評価用電圧の全供給時間を求める第6ステップと、
前記第6ステップで求めた前記第3ステップの開始からの評価用電圧の全供給時間をもとに前記評価対象の絶縁膜の絶縁破壊までの総注入電荷量を算出する第7ステップと
を包含する絶縁膜評価方法。 - 前記第1ステップの判定Aモードストレス誘起リーク電流量の決定方法は、
前記評価対象の絶縁膜と同じ種類及び同じ膜厚の複数の絶縁膜に対してそれぞれストレスを印加してAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第1サブステップと、
前記複数の絶縁膜のそれぞれにおいて、前記Aモードストレス誘起リーク電流量に不連続な増加が観測される直前の測定におけるAモードストレス誘起リーク電流量、または前記Aモードストレス誘起リーク電流量が単調・連続的に増加する際の増加を表す直線または曲線を前記Aモードストレス誘起リーク電流量に不連続な増加が観測される直前まで外挿して決定されるAモードストレス誘起リーク電流量を、絶縁膜が絶縁破壊する時のAモードストレス誘起リーク電流量として求める第2サブステップと、
前記第2サブステップで得られた、複数の前記絶縁膜が絶縁破壊する時のAモードストレス誘起リーク電流量を統計的に処理することで、前記評価対象の絶縁膜の絶縁破壊しきい値となる前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量を決定する第3サブステップと
を包含する請求項1または2に記載の絶縁膜評価方法。 - 評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、前記評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、
前記評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用ストレス印加条件および全ストレス印加時間を設定する第2ステップと、
前記評価対象の絶縁膜に前記評価用ストレス印加条件に基づくストレス試験および前記判定電圧を印加してのAモードストレス誘起リーク電流量測定を、前記全ストレス印加時間を経過するまで繰り返し実施する第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間と当該ストレス印加時間におけるAモードストレス誘起リーク電流量との関係をlog−logスケールでプロットする第4ステップと、
前記第4ステップで得られたプロットをlog−logスケールで直線近似する第5ステップと、
前記第4ステップでプロットされたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が最終的に前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値以上の場合は、前記第4ステップでプロットされたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値に到達するまでのストレス印加時間を求めて、前記評価対象の絶縁膜の寿命とし、
前記第4ステップでプロットされたAモードストレス誘起リーク電流量の絶対値が最終的に前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値に満たない場合は、前記第5ステップで求めた直線を長時間側に外挿して前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量の絶対値に到達するまでのストレス印加時間を求めて、前記評価対象の絶縁膜の寿命とする第6ステップと
を包含する絶縁膜評価方法。 - 評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、前記評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、
前記評価対象の絶縁膜の寿命を評価したい評価用ストレス印加条件および全ストレス印加時間を設定する第2ステップと、
前記評価対象の絶縁膜に前記評価用ストレス印加条件に基づくストレス試験および前記判定電圧を印加してのAモードストレス誘起リーク電流量測定を、前記全ストレス印加時間を経過するまで繰り返し実施する第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間(t)におけるAモードストレス誘起リーク電流量(IA)を関係式IA=a×tbに代入してフィッティングし、フィッティングパラメータa、bを決定する第4ステップと、
前記第4ステップで決定したフィッティングパラメータa、bを前記関係式IA=a×tbに代入して、前記評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量になるまでのストレス印加時間を求めて、前記評価対象の絶縁膜の寿命とする第5ステップと
を包含する絶縁膜評価方法。 - 前記第2ステップにおいて全ストレス印加時間を設定する代わりに、前記評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量があらかじめ指定した電流量以上になったときにストレス試験を終了するとした指定電流量を設定し、
前記第3ステップにおいて前記ストレス試験を、前記全ストレス印加時間を経過するまで実施する代わりに、前記評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が前記指定電流量以上になるまで実施する
請求項4または5に記載の絶縁膜評価方法。 - 前記第3ステップのストレス試験は、
前記評価対象の絶縁膜に前記評価用ストレス印加条件を所定時間印加する第1サブステップと、
前記第1サブステップの後、前記評価対象の絶縁膜に対して前記判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第2サブステップと、
前記第2サブステップで測定された前記Aモードストレス誘起リーク電流量およびストレス印加時間を記録する第3サブステップと、
前記第3サブステップにおいてストレス試験開始からの前記ストレス印加時間の経過時間が、前記全ストレス印加時間以上になったかどうかを判定する第4サブステップと、
前記第4サブステップにおいて、
前記ストレス印加時間の経過時間が前記全ストレス印加時間に到達しない場合は前記第1サブステップ〜第4サブステップを繰り返し、
前記ストレス印加時間の経過時間が前記全ストレス印加時間以上になった場合はストレス試験を終了する第5サブステップと
を包含する請求項4または5に記載の絶縁膜評価方法。 - 前記第3ステップのストレス試験は、
前記評価対象の絶縁膜に前記評価用ストレス印加条件を所定時間印加する第1サブステップと、
前記第1サブステップの後、前記評価対象の絶縁膜に対して前記判定電圧におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定する第2サブステップと、
前記第2サブステップで測定された前記Aモードストレス誘起リーク電流量およびストレス印加時間を記録する第3サブステップと、
前記評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が前記指定電流量以上になったかどうかを判定する第4サブステップと、
前記第4サブステップにおいて、
前記評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が前記指定電流量に到達しない場合は前記第1サブステップ〜第4サブステップを繰り返し、
前記評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が前記指定電流量以上になった場合はストレス試験を終了する第5サブステップと
を包含する請求項6記載の絶縁膜評価方法。 - 評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する判定電圧と、前記評価対象の絶縁膜に絶縁破壊が生じるときの判定Aモードストレス誘起リーク電流量とを設定する第1ステップと、
前記評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量を測定するために印加する第1評価用ストレス印加条件(第1評価用ストレス印加電界および第1全ストレス印加時間)と第2評価用ストレス印加条件(前記第1評価用ストレス印加電界とは異なる第2評価用ストレス印加電界および第2全ストレス印加時間)を設定する第2ステップと、
第1の前記評価対象の絶縁膜に、前記第1評価用ストレス印加条件に基づく第1ストレス試験を、前記第1全ストレス印加時間を経過するまで実施すると共に、前記第1の評価対象の絶縁膜と同じ種類及び同じ膜厚の第2の前記評価対象の絶縁膜に、前記第2評価用ストレス印加条件に基づく第2ストレス試験を、前記第2全ストレス印加時間を経過するまで実施する第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記第1ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間(t1 ′)におけるAモードストレス誘起リーク電流量(IA1)を関係式IA1=a1×tb1 に代入してフィッティングし、フィッティングパラメータa1、b1を決定すると共に、前記第2ストレス試験中に記録された各ストレス印加時間(t2 ′)におけるAモードストレス誘起リーク電流量(IA2)を関係式IA2=a2×tb2に代入してフィッティングし、フィッティングパラメータa2、b2を決定する第4ステップと、
前記第4ステップで決定したフィッティングパラメータa1、b1を前記関係式IA1=a1×tb1に代入して、前記第1の評価対象の絶縁膜におけるAモードストレス誘起リーク電流量が前記判定Aモードストレス誘起リーク電流量になるまでのストレス印加時間を求めて、前記第1の評価対象の絶縁膜の寿命(t1)とする第5ステップと、
前記第4、第5ステップで決定したフィッティングパラメータa1、a2および第5ステップで求めた前記第1の評価対象の絶縁膜の寿命(t1)を関係式t2=(a1/a2)×t1に代入して前記第2の評価対象の絶縁膜の寿命(t2)を求める第6ステップと
を包合する絶縁膜評価方法。 - 前記第6ステップにおいて関係式t2=(a1/a2)Xt1を用いる代わりに、前記第4、第5ステップで決定したフィッティングパラメータa1、a2および第5ステップで求めた前記第1の評価対象の絶縁膜の寿命(t1)を関係式t2=(a1/a2)c/b×t1(cは定数、b=(b1+b2)/2)に代入して前記第2の評価対象の絶縁膜の寿命(t2)を求める
請求項9に記載の絶縁膜評価方法。
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