JP3632364B2 - p型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法に関するもので、詳しくは表面光電圧法によりp型エピタキシャル層表層の真のキャリア濃度を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンエピタキシャルウェーハは、その優れた特性から広く個別半導体やバイポーラIC等を製造するウエーハとして、古くから用いられてきた。また、MOS LSIについても、ソフトエラーやラッチアップ特性が優れている事から、マイクロプロセッサユニットやフラッシュメモリデバイスに広く用いられている。さらに、シリコン単結晶製造時に導入される、いわゆるGrown−in欠陥によるDRAMの信頼性不良を低減させるため、エピタキシャルウェーハの需要はますます拡大している。
【0003】
このようなエピタキシャルウエーハにおいては、エピタキシャル層は、直接にデバイス活性領域となるため、そのキャリア濃度を正確に制御すること及び測定する事は、デバイス動作上極めて重要である。
【0004】
従来よりシリコンウェーハのエピタキシャル層のキャリア濃度を測定する方法としては、一般的にショットキー接合を形成し、いわゆるC−V法(Capacitance−Voltage法)により測定する方法が行なわれている。ショットキー接合を形成するには、エピタキシャル層表面に金属電極を蒸着することにより行なうのが一般的であるが、エピタキシャル層表面にHgプローブを接触させることにより、ショットキー接合を形成する方法も行なわれている。
【0005】
しかしながら、上記従来のCーV法では、真空蒸着によるショットキー接合を形成する前処理に約1時間を必要とし、測定までに時間がかかり、結果としてその間エピタキシャル成長を中断せざるを得ず、生産性を落とすという問題がある。また、金属蒸着あるいはHgプローブをウェーハ表面に接触させる為、いわゆる破壊検査となり、検査用のモニターウェーハが別途必要で、コストの点でも問題があった。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するものとして、キャリア濃度の評価について、表面光電圧法(Surface Photovoltage法:SPV法)を用いた方法が、近年検討されている。この方法は、例えば測定点1点につき約0.1秒しか測定時間がかからず、その上非接触で測定できるため、ウエーハを汚染、破壊することなく生産性、コストともに有利な方法として期待されている。
【0007】
この表面光電圧法によるキャリア濃度の評価は、表面光電圧法により空乏層幅Wを測定できることを利用し、空乏層幅Wからキャリア濃度を求めるものである。表面光電圧法により空乏層幅Wを求める点については、例えば、J.Voc.Sci.Technol.20(1982)p.811のEq.15に示されている。また最大空乏層幅Wmax と空乏層中でのドーパント濃度(キャリア濃度)NS については、例えば、Physics and technology of semiconductor devices(Jhon Willey & Sons,Inc.,New York,1967) p.270において示されている。
【0008】
この表面光電圧を測定する装置としては、例えば主に表面汚染の評価、あるいは表面ライフタイムの評価に用いられている装置であるQC Solutions社製のSurface Charge Profiler(以後、SCPと略す)が知られている。
【0009】
SCPの測定原理は、熱平衡状態にあるウェーハにSiのバンドギャップエネルギー以上の光(hν)をサンプル表面に照射すると、照射した光の波長に対応した侵入深さで過剰キャリアが発生する。発生した電子は表面側へ、ホールは空乏層の端へ移動する。発生した少数キャリア(p型半導体では電子e)は表面の障壁高さをδVS だけ変化させる。この電位δVS をSPV値と呼ぶ。
【0010】
このSPV値を用い、次の(1)式に従って空乏層幅Wd を算出することができる。
δVS =−j(δφ/ω)(1−R)q(Wd /εS ) ・・・(1)
ここで、jは虚数単位、φは励起光強度、ωは励起光の角周波数、Rはウェーハ表面の反射率、qは単位電荷量、εS は半導体の誘電率である。
【0011】
そして、SCPでは測定された空乏層幅Wd が最大空乏層幅Wmax と仮定し、次の(2)式よりキャリア濃度NS を算出することができる。
Wmax =[2εS kTln(NS /ni )/q2 NS ]1/2 ・・・(2)
ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、ni は真性自由キャリア濃度を表す。
【0012】
測定に用いる励起光源として通常の表面光電圧法で用いられるものよりも短波長である、例えば450nmの励起光源を用いれば、光の侵入深さが0.4μm以下となり、ウェーハ表層のみのキャリア濃度(厳密にはドーパント濃度)を評価することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述のように表面光電圧法は、p型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度の測定を、迅速・簡便かつ非接触で行なえ、特にエピタキシャル層の表層の評価ができるという利点があるけれども、その反面測定値が安定せず、経時的に変化したり、測定ウエーハの洗浄その他の処理方法によって、データが変わってしまうという問題があることがわかった。
【0014】
そして、安定したキャリア濃度を測定するには、ウエーハをこの経時変化が完全に一定になるまで保持しておき、その後測定すればよいが、それでは測定までに時間がかかり過ぎ、C−V法と同様な問題が生じてしまう。
【0015】
また、ウエーハに洗浄その他の何らかの前処理を施し、ウエーハの表面状態を安定させてから測定することも考えられるが、そのような前処理で簡便かつ有効な方法は見いだされていない上に、このような前処理を追加することによって、設備及び工程が増えてしまい、表面光電圧法の利点が失われてしまう。
【0016】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、表面光電圧法によってp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度を測定する方法において、試料に特別な処理を行うことなく、p型シリコンエピタキシャル層の真のキャリア濃度を非接触かつ迅速・簡便に測定できる方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載した発明は、シリコン基板上に成長させたp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度を表面光電圧法によって測定する方法において、
予めキャリア濃度の経時変化を求めておき、エピタキシャルウエーハ製造装置からウエーハを取り出してから表面光電圧法によりキャリア濃度を測定するまでの時間を計測することによって、キャリア濃度の測定値NS と前記キャリア濃度の経時変化とから真のキャリア濃度NO を求める、
ことを特徴とするp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法である。
【0018】
このように、表面光電圧法によってp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度を測定する場合において、予めキャリア濃度の経時変化を求めておけば、その後実際の測定においては、エピタキシャルウエーハ製造装置からウエーハを取り出してから表面光電圧法によりキャリア濃度を測定するまでの時間を計測することによって、該キャリア濃度の測定値NS と前記キャリア濃度の経時変化とから真のキャリア濃度NO を求めることができる。
したがって、たとえエピタキシャルウエーハを成長させた後すぐに測定したとしても、その後の経時変化量がわかるので、真のキャリア濃度を知ることができ、表面光電圧法の利点を生かし、簡易かつ迅速なキャリア濃度測定が可能とされる。
【0019】
そして、本発明の請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法において、予め行うキャリア濃度の経時変化の測定は、エピタキシャルウエーハ製造装置毎に行なうことを特徴とする。
【0020】
このように、エピタキシャルウエーハ製造装置毎に、予めキャリア濃度を測定しておけば、決め細やかな経時変化の修正ができ、より正確なキャリア濃度の測定が可能となる。
【0021】
また、本発明の請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載したp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法において、表面光電圧法によるキャリア濃度の測定は、ウエーハをエピタキシャルウエーハ製造装置から取り出したままの状態で行なうことを特徴とする。
【0022】
このように、表面光電圧法によるキャリア濃度の測定を、洗浄その他の前処理をすることなく、ウエーハをエピタキシャルウエーハ製造装置から取り出したままの状態で行なうようにすれば、きわめて簡単かつ低コストであるとともに、前処理による経時変化の仕方の変化が起こることもないので、より正確な測定ができる。
【0023】
以下、本発明につきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
本発明者らは、表面光電圧法において、測定値が安定せず、ばらつきが大きい原因について鋭意調査・検討した結果、これはエピタキシャル層成長後のみかけのキャリア濃度が時間と共に減少する現象、いわゆる経時変化を起こしていることを見出した。
【0024】
これは、p型シリコンエピタキシャルウエーハの表面の電荷状態の変化に影響されているものと思われる。すなわち、一般にp型シリコンエピタキシャルウエーハでは、表面の正電荷密度が増加すると空乏層が広がり、やがて飽和状態に達する。前述のように、SCPでは測定された空乏層幅Wd が最大空乏層幅Wmax と仮定し、(2)式よりキャリア濃度NS を算出するのであるから、正確な測定をするためには、ウエーハ表面に十分な量の正電荷が存在し、Wmax に達していることが重要となる。
【0025】
したがって、測定値の経時変化は、空乏層幅の変化、詳しくはウエーハ表面の電荷の状態の変化によるものであると予想される。すなわち、通常のエピタキシャル成長の条件では、エピタキシャル層表面の正電荷量はWmax に達するほど十分ではなく、時間の経過とともに増加して行く。これに伴い見かけ上のキャリア濃度が減少してゆき、空乏層幅がWmax に達してからは一定となるのである。
【0026】
そこで、本発明者らは、キャリア濃度の経時変化を予めエピタキシャル製造装置毎に測定しておき、ウエーハを装置から取り出した後の経過時間(ウエーハ保管時間)より、キャリア濃度の測定値を補正することを発想し、本発明を完成させたものである。
【0027】
すなわち、本発明は、シリコン基板上に成長させたp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度を表面光電圧法によって測定する方法において、予めキャリア濃度の経時変化を求めておき、エピタキシャルウエーハ製造装置からウエーハを取り出してから表面光電圧法によりキャリア濃度を測定するまでの時間を計測することによって、キャリア濃度の測定値NS と前記キャリア濃度の経時変化とから真のキャリア濃度NO を求めるというものである。
【0028】
具体的な手順としては、まずそれぞれのエピタキシャル製造装置において、エピタキシャル層成長後の任意のウェーハについて表面光電圧法によりキャリア濃度を時経列的に測定し、検定線あるいは補正式等を作成し、キャリア濃度の経時変化を予め求めておく。そしてその後、実際の製品の測定を行うが、これはエピタキシャル層成長後に製品を抜き取り、表面光電圧法により空乏層幅Wを測定し、キャリア濃度NS を求める。この時、ウエーハをエピタキシャル層製造装置から取り出してから測定までの時間を計測しておく。そして、この測定までの時間から、前記予め用意していた経時変化の関係を用い、キャリア濃度の測定値NS に補正を加えることで、真のキャリア濃度N0 を求めることができる。
【0029】
こうして、p型エピタキシャルウェーハについて、任意のウェーハでエピタキシャル層成長後の経時変化を予め確認しておき、補正式等を作成しておくことで、常に真のキャリア濃度を評価することが可能となった。経時変化の補正は、補正式を用いる場合は、例えばN0 =f(t)×NS の形で補正すればよいし、検定線を用いる場合は、予め時間に対する検定線をグラフ化しておけば簡単に測定値NS から真のキャリア濃度N0 を求めることができる。(ここで、f(t)はエピタキシャル層成長後の時間tの任意の関数で、経時変化に応じた関数を選択する。)
【0030】
したがって、本発明の方法では、エピタキシャル層成長後、いつ測定しても時間さえ確認しておけば正確なキャリア濃度を評価することができるようになった。特に、エピタキシャル層成長後、すぐに測定することが可能であるので、従来に比較し極めて時間の短縮化がはかれる。しかも、本法の表面光電圧法は非接触で測定でき、破壊検査ではないので、歩留の向上をも図ることができる。
【0031】
この場合、本発明では、予め測定した経時変化からその後の実際の測定値を補正するものであるから、経時変化は再現性のあるものであることが前提となる。したがって、予め行なう経時変化の測定は、エピタキシャル層製造装置毎に行なうとともに、エピタキシャル層成長後、キャリア濃度測定までのウエーハの処理条件を統一する必要がある。
【0032】
これは、p型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度の経時変化は、みな同様な減衰傾向を有しているのではあるが、製造機種さらには各製造装置毎に微妙な相違があり、これを校正するために予め行うキャリア濃度の経時変化の測定は、エピタキシャルウエーハ製造装置毎に行なうのが好ましいのである。そして、このようにエピタキシャルウエーハ製造装置毎に、経時変化を校正することによって、測定値のきめ細やかな修正ができ、より正確なキャリア濃度の測定が可能となる。
【0033】
また、エピタキシャル層成長後、キャリア濃度測定までのウエーハの処理条件を統一する必要があるのは、例えば、測定前にウエーハを洗浄等を行った場合、その時点で経時変化の仕方が急激に変化してしまい、予め行なった経時変化の補正ができなくなるからである。
【0034】
したがって、エピタキシャル層成長後、キャリア濃度測定までのウエーハの処理条件は、決まった同一の工程で流すことが必要であり、予め行なう経時変化の測定の時と、実際の製品の測定の時とで統一させるようにする。
そして、このキャリア濃度測定までのウエーハの処理条件としては、特別な理由がないかぎりエピタキシャル層成長後、洗浄その他の処理を加えることなく、ウエーハをエピタキシャルウエーハ製造装置から取り出したままの状態(as−grownの状態)で測定することが最も好ましい。
【0035】
これは、前述のように、洗浄等の前処理をウエーハに加えると、キャリア濃度の経時変化の仕方が急激に変わり、コントロールができず、かえってばらつきの原因となるからである。したがって、ウエーハに特別な前処理を加えることなく、そのまま保管し測定する方が、かえって正確な測定ができる。しかも、特別な前処理をすることなくそのまま測定するのであるから、きわめて簡単かつ低コストとなる。
【0036】
そして、SCPによるp型エピタキシャル層のキャリア濃度測定においては、測定点1点につき約0.1秒と非常に高速であるため、迅速にエピタキシャル層成長直後のキャリア濃度評価が可能である。例えば、直径6インチウェーハの面内約4000点のキャリア濃度分布の測定時間は約5分程度しかかからない。
【0037】
この場合、エピタキシャル層成長直後であると、この測定時間内にも2%程度の経時変化が起こり得る。しかし、通常のインラインにおける検査では、ウエーハ面内9点程度の測定であるため、測定中の経時変化量は無視できる程度に非常に小さい値に過ぎない。また、SCPで面内の分布を測定するためには、最低200点程度の測定が必要であるが、その場合でも20秒程度しか時間がかからないので、測定中の経時変化量はそれほど大きいものとはならない。因に、従来のC−V法による測定精度が、2%程度であるので、本発明の方法は、これと同等以上の精度で評価が可能である。
【0038】
また、測定可能な抵抗率の範囲としては、装置の能力にもよるが、SCPの場合通常0.1〜1000Ωcmまで評価が可能である。
【0039】
なお、前述のように表面光電圧法でキャリア濃度を評価するには空乏層が存在することが必要であり、SCPで評価する場合、エピタキシャル層成長後のウェーハの表面は普通は正に帯電している為、p型エピタキシャル層の評価には有効であるが、n型ウェーハでは空乏層がなくなる方向に進むので、キャリア濃度測定は困難である。また、通常のエピタキシャル層のない鏡面ウエーハ表層のキャリア濃度は、表層のボロンが水素により不活性化しているため、本法で測定するのは難しい。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の具体的実施形態を示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
(予め行なうキャリア濃度の経時変化の測定)
単一のエピタキシャルウエーハ製造装置で、0.007Ωcmのp型シリコンウエーハ上に、抵抗率の水準20、10、5Ωcm狙いのp型エピタキシャル層を膜厚6μm で形成した、いわゆるP/P++エピタキシャルウェーハを作製し、ウエーハを製造装置から取り出したまま特別な処理を加えることなく、SCPによりエピタキシャル層のキャリア濃度を、時経列的に測定した。
【0041】
その結果を、図1にエピタキシャル層成長後の経過時間(装置からウエーハを取り出してからの時間)に対するキャリア濃度の変化として示した。
図1を見ると、キャリア濃度は経時変化していることが明らかであり、エピタキシャル層成長直後に測定した場合と長時間保持した後に測定した場合とでは、最大約20%の測定値のズレが生じることがわかる。また、経時変化の割合は、ウエーハの抵抗率にはよらず、同じ傾向を示すことがわかる。したがって、抵抗率が異なり、製造バッチが異なるにもかかわらず、製造装置を特定し、同じ後処理をすれば、任意の抵抗率のエピタキシャルウエーハにつき1度経時変化を測定すれば、その後の製品の経時変化を知ることができる。
【0042】
したがって、予め行なう経時変化の測定は、一水準の抵抗率のエピタキシャルウエーハについて、1度だけ行なえば足り、抵抗率の水準毎に経時変化を確認したり、その後製造される製品と同じ抵抗率のもので測定する等の必要は必ずしもないので、この測定にかかる手間も少なくてすむ。
【0043】
次に、測定値を補正をするための経時変化の関係式を求める。
上記結果を、エピタキシャル層成長後15分での測定値を1として規格化すると、図2に示すようになる。
この図2からもわかるように抵抗率によらず、キャリア濃度の経時変化の傾向は同じで、表面の電荷密度が飽和するまで、一定の減衰率であることがわかる。したがって、この関係を求めておけば、その後の測定値を簡単に補正して、真のキャリア濃度を知ることができる。
【0044】
本実施例においては、真のキャリア濃度N0 の状態になるまで、約5日かかることがわかる。したがって、エピタキシャル層成長後この間にキャリア濃度測定を測定する場合には、補正が必要となる。
そして、本実施例で用いたエピタキシャル層成長装置での経時変化は、例えば図からN0 =0.7851×t(min)0.02718 ×NS と求めることができるので、表面電荷密度が飽和するまで、このような関係式で測定値を補正すれば良い。但し、補正式あるいは補正の仕方はこの例に限るものではなく、検定線、検量線等を作成してもよく、種々変形応用することが可能である。
【0045】
この場合、エピタキシャル層成長直後、例えば15分程度後にいつも測定するものとすれば、一律約20%の補正を行えばよいことになるが、実際には工程の都合上検査するまでの時間を一律に規定することは、きわめて困難であるといえる。
【0046】
(製品エピタキシャルウエーハのキャリア濃度測定)
上記のように経時変化を予め求めたエピタキシャルウエーハ製造装置で、エピタキシャル層抵抗率の水準30、13、4.2、1.4Ωcm狙いで、エピタキシャル層の膜厚6μm 、P/P++エピタキシャルウェーハの製品を作製し、上記同様ウエーハを製造装置から取り出したまま特別な処理をすることなく、SCPによってキャリア濃度の測定を行った。そして、この時ウエーハを取り出してから測定するまでの経過時間を計測しておいた。得られた測定値を、上記図2から求められた補正式にしたがって補正を行ない、真のキャリア濃度N0 を求めた。
【0047】
次に、比較として上記本発明方法で測定が終了したウエーハを、従来法であるショットキーC−V法によりキャリア濃度を測定し、これらの結果をC−V法とSCPによる本発明方法とを比較する形で図3に示した。
【0048】
図3から明らかなように、従来のC−V法と本発明の方法とでは、極めてよい相関があり、従来のように時間をかけなくとも、キャリア濃度の測定が可能であり、表面光電圧法の測定値のばらつき、不安定性を完全に解消できていることがわかる。
【0049】
ここで、図3において、C−V値と本法の測定値とで、完全には1:1の相関になっていないが、これはSCP装置もしくはC−V装置毎の装置間差であり、標準サンプル等で合わせ込み(校正)を行うことによって簡単に正しい値へ校正することができる。
【0050】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0051】
例えば、本発明では製品のエピタキシャル層成長後の経過時間を、「エピタキシャルウエーハ製造装置からウエーハを取り出してから表面光電圧法によりキャリア濃度を測定するまでの時間」という文言を用いたが、この文言は厳密に解されるべきものではなく、単に表面光電圧法によりキャリア濃度を測定するためには、製造装置からウエーハを取り出さなければ測定できないために、このような表現としたまでのことで、製造装置内でエピタキシャル層の成長を停止した時からカウントしてもよく、あるいは装置内でのウエーハの冷却時間が終了した時点からとしても良いもので、本発明はこのようなものも当然に含むものである。
【0052】
そして、エピタキシャルウエーハ製造装置についても、バッチ方式であると、いわゆる枚葉方式であるとは問わないことは言うまでもなく、例えば、枚葉方式の場合、エピタキシャル層の成長が終わり、ウエーハがカセットにセットされた時点をスタート時間とすることにより、経過時間を容易に計測することができる。
すなわち、予め行なう経時変化の測定と同じ工程とし、製品測定までの経過時間が容易に把握できるようにするものであれば、いずれの時点を起算点としても良く、本発明はそのような場合にも当然に適用できる方法であり、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0053】
また、上記実施形態では、表面光電圧法による測定装置として、SCPを用いる場合を挙げたが、本発明はこの装置を用いる場合に限られるものではなく、表面光電圧法により、エピタキシャル層のキャリア濃度を測定できるものであれば原則としてどのようなものであってもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明では、表面光電圧法によってp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度を測定する場合において、予めキャリア濃度の経時変化を求めておき、その後製品の測定値を経時変化にしたがって補正するようにしたので、たとえエピタキシャルウエーハを成長させた後すぐに測定したとしても、真のキャリア濃度を知ることができる。
そして、表面光電圧法は、非破壊かつ迅速にエピタキシャル層のキャリア濃度を測定できるので、製造装置のキャリア濃度測定待ち時間が大幅に短縮され、生産工程の生産性が著しく向上する。また非接触であるためモニタウェーハを必要とせず、コスト削減効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】予めキャリア濃度の経時変化を測定した結果図である。
【図2】エピタキシャル層成長後15分での測定値を1として規格化した、キャリア濃度の経時変化を表した図である。
【図3】従来法のC−V法と本発明の方法とでの相関関係を示した図である。
Claims (3)
- シリコン基板上に成長させたp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度を表面光電圧法によって測定する方法において、
予めキャリア濃度の経時変化を求めておき、エピタキシャルウエーハ製造装置からウエーハを取り出してから表面光電圧法によりキャリア濃度を測定するまでの時間を計測することによって、キャリア濃度の測定値NS と前記キャリア濃度の経時変化とから真のキャリア濃度NO を求める、
ことを特徴とするp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法。 - 前記予め行うキャリア濃度の経時変化の測定は、エピタキシャルウエーハ製造装置毎に行なう、ことを特徴とする請求項1に記載したp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法。
- 前記表面光電圧法によるキャリア濃度の測定は、ウエーハをエピタキシャルウエーハ製造装置から取り出したままの状態で行なう、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載したp型シリコンエピタキシャル層のキャリア濃度測定方法。
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