JP2004273477A - シリコンウエーハの評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化膜を絶縁破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を判別して把握することができ、さらにはこの絶縁破壊を引き起こす部分の観察を行って、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を解析したり、酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報を得ることのできるシリコンウエーハの評価方法を提供する。
【解決手段】MOSキャパシタを用いてシリコンウエーハの電気特性を評価する評価方法において、前記シリコンウエーハ上に酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングし、該酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、該リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することを特徴とするシリコンウエーハの評価方法。
【選択図】 図1
【解決手段】MOSキャパシタを用いてシリコンウエーハの電気特性を評価する評価方法において、前記シリコンウエーハ上に酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングし、該酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、該リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することを特徴とするシリコンウエーハの評価方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエーハの電気特性を評価する評価方法に関するものであり、特にシリコンウエーハに形成された酸化膜を絶縁破壊させる部分の検出・評価を行い、酸化膜耐圧劣化のメカニズムを解明するための有効な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエーハの評価方法の一つにGOI(Gate Oxide Integrity)評価がある。このGOI評価は、シリコンウエーハを酸化して酸化膜(ゲート酸化膜)を形成し、この酸化膜に電極を形成してMOS(Metal Oxide Semiconductor)構造を作製した後、電極に電気ストレスを印加して酸化膜を破壊させ、その酸化膜破壊電界強度からシリコンウエーハの品質を評価することができるものである。
【0003】
また、このようなGOI評価では、特にシリコン単結晶中に存在する結晶欠陥であるCOP(Crystal Originated Particles)を非常に優れた感度で検出することができる。例えば、MOSキャパシタに電圧を0Vから0.5Vステップで徐々に上昇させながら印加してゲート酸化膜の絶縁破壊電界強度を評価する、いわゆるTZDB(Time Zero Dielectric Breakdown)評価では、一般的に3〜8MV/cm(例えば、ゲート酸化膜を25nmの厚さで形成した場合には、7.5〜20Vの比較的低い電圧領域)でブレイクダウンするものをBモードと呼び、シリコンウエーハ中のCOPに起因することが知られている。現在、このようなCOPに起因して生じるブレイクダウンは、8面体形状を有するCOPのコーナー部分に電界集中が起こり、酸化膜がブレイクダウンすると考えられている(非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記TZDB評価のような従来の酸化膜耐圧の測定方法では、酸化膜を絶縁破壊させて評価を行っているために、ブレイクダウンを引き起こした欠陥は、評価後には絶縁破壊時に生じた熱により元の形状を残しておらず、評価後の酸化膜を例えば集束イオンビーム(FIB)装置や透過型電子顕微鏡(TEM)等により同点観察を行っても、通常大きな空洞が観察されるのみであった。また、極稀にTZDB評価後の酸化膜にブレイクダウンを引き起こした欠陥が元の形状のままで同定されることもあったが、この場合FIB装置やTEM等による測定を繰り返して行い、その評価数を多くする等の工夫が必要とされ、また評価工程が煩雑で評価時間も長くなってしまい、結果的に作業者への負担やコストへの負担が大きくなるといった問題があった。
【0005】
また、COPに起因する酸化膜耐圧劣化は、上述のように8面体形状のCOPのコーナー部分に電界集中が起こって酸化膜がブレイクダウンすると考えられているが、このブレイクダウンは酸化膜に印加される電気ストレスがある大きさ以上となったときに急激に起こる現象として捉えられている。そのため、従来の評価方法では、酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報を得ることができず、酸化膜絶縁破壊のメカニズムを解明することは非常に困難であった。
【0006】
【非特許文献1】
M. Tamatsuka, et. al, ”Medium Field Breakdown Origin on Metal Oxide Semiconductor Capacitor Containing Grown−in Czochralski Silicon Crystal Defect”, Jpn. J. Appl. Phys., 37, 1236 (1998).
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、酸化膜を絶縁破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を判別して把握することができ、さらにはこの絶縁破壊を引き起こす部分の観察を行って、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を解析したり、酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報を得ることのできるシリコンウエーハの評価方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、MOSキャパシタを用いてシリコンウエーハの電気特性を評価する評価方法において、前記シリコンウエーハ上に酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングし、該酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、該リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することを特徴とするシリコンウエーハの評価方法が提供される(請求項1)。
【0009】
このように、シリコンウエーハ上にMOSキャパシタを作製した後、その酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲でモニタリングし、その酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによってリーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別すれば、酸化膜を絶縁破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握することが可能となり、酸化膜絶縁破壊の原因やそのメカニズムの究明に大きく寄与することができる。
【0010】
尚、本発明で言うリーク電流とは、測定対象とする試料(MOSキャパシタ)と同条件で作製した試料の中でCモードの絶縁破壊を示すもの(絶縁破壊強度が8MV/cm以上)の絶縁破壊特性を予め同一条件で測定しておき、そして測定対象とする試料の酸化膜に流れる電流を観察したときに、上記の予め測定したCモードの絶縁破壊特性を示すものと比較して、1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲で増加している部分の電流のことを意味するものであり、以下に記載するリーク電流についても上記と同様の意味を示すものとする。
【0011】
このとき、前記酸化膜に印加する電圧を0Vからステップ状に徐々に上昇させることが好ましい(請求項2)。
このように、MOSキャパシタの酸化膜に印加する電圧を0Vからステップ状に徐々に上昇させることによって、酸化膜に流れる電流を精度良くモニタリングすることができ、またリーク電流の発生も正確に観察することができる。
【0012】
さらに、前記酸化膜に印加する電圧をステップ状に徐々に上昇させる際に、各ステップにおいて、電圧がステップ上昇した後から電流値のモニタリングを始めるまでのステップ遅延時間を200m秒以内とし、該ステップで流れる電流値を複数回測定して平均化するアベレージング時間を50m秒以内とすることが好ましい(請求項3)。
【0013】
酸化膜に印加する電圧をステップ状に徐々に上昇させる際に、上記のようにステップ遅延時間及びアベレージング時間を設定することによって、酸化膜への電気ストレスの経時的な蓄積を低減して酸化膜の経時的劣化を防止でき、測定感度をより向上させて一層正確な電流値のモニタリングを行うことができる。さらに、評価時間の短縮にもつながる。
【0014】
また、前記シリコンウエーハ上にMOSキャパシタを作製する際に、シリコンウエーハに酸化膜を形成した後、該酸化膜上に多結晶シリコンを堆積し、その後堆積した多結晶シリコンに、該多結晶シリコンと前記酸化膜とのエッチング選択比が10以上となるようにして選択エッチングを行うことが好ましい(請求項4)。
【0015】
このようにしてシリコンウエーハ上にMOSキャパシタを作製すれば、酸化膜がエッチングされるのを抑制して電極を形成することができるため、酸化膜の電流値を前記の低電流範囲で測定する際に、ノイズ等を低減して極めて高精度に測定を行うことができる。
【0016】
さらに、前記MOSキャパシタを作製する際に、前記シリコンウエーハの裏面に形成された酸化膜及びステイン膜を除去する裏面処理を行うことが好ましい(請求項5)。
【0017】
このように、MOSキャパシタを作製する際に、シリコンウエーハの裏面に形成された酸化膜及びステイン膜を除去する裏面処理を行えば、例えばウエーハ裏面をウエーハチャックを介してグラウンドに接続して、電極とウエーハ裏面との間で電気ストレスを印加する場合でも、非常に高感度で酸化膜の電流値を測定することができる。
【0018】
また、本発明のシリコンウエーハの評価方法では、前記酸化膜への電圧の印加を遮光性のあるプロ−バーを用いて行い、また前記酸化膜に流れる電流値のモニタリングを、配線部がシールド配線からなりかつ該配線部が固定されているテスタを用いて行うことが好ましい(請求項6)。
【0019】
上記のようなプロ−バー及びテスタを用いることによって、酸化膜の電流値をモニタリングする際の環境要因を排除して、ノイズ等の発生を抑制することができるため、1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲の測定も極めて高精度に行うことができる。
【0020】
さらに、本発明では、前記リーク電流が観察されると判別された部分をOBIC、EBIC、エミッション顕微鏡のうちの少なくとも一つの方法を用いて観察することができる(請求項7)。
【0021】
このように、リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別して、絶縁破壊を引き起こす部分を酸化膜が絶縁破壊される前に正確に把握した後、このリーク電流が観察されると判別された部分、すなわち絶縁破壊を引き起こす部分をOBIC、EBIC、エミッション顕微鏡のうちの少なくとも一つの方法を用いて観察すれば、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を調査・解析することができ、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報も得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、MOSキャパシタを用いたシリコンウエーハの電気特性評価において、絶縁破壊を引き起こす原因やそのメカニズムを解明するため、絶縁破壊が生じる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握できるような方法について鋭意実験及び検討を重ねた。そして、本発明者等は、MOSキャパシタの酸化膜について様々な方法で調査したところ、酸化膜に電圧を印加してその酸化膜に流れる電流を測定する際に、1×10−12Aの非常に小さいレベルから電流値をモニタリングすれば、絶縁破壊が起こる前の酸化膜にリーク電流が観察されることを発見した。
【0023】
すなわち、本発明者等は、MOSキャパシタの酸化膜に流れるリーク電流について詳細に調べるために、以下のような実験を行った。
(実験)
先ず、CZ法によりボロンをドープして直径200mmで導電型がP型のシリコン単結晶インゴットを育成し、得られた単結晶インゴットをスライスしてシリコンウエーハを作製した。その後、このシリコンウエーハ上に25nmの厚さを有するゲート酸化膜と300nmの厚さを有する電極を順次形成してMOSキャパシタを作製し、そのMOSキャパシタのゲート酸化膜に電圧を0Vからステップ状に上昇するように印加して、酸化膜に流れる電流の値を1×10−12Aからモニタリングした。
【0024】
尚、この実験において酸化膜に流れる電流値を1×10−12Aから精度良くモニタリングするために、上記MOSキャパシタを作製する際には、電極パターン形成時に酸化膜がエッチングされるのを抑制したり、シリコンウエーハの裏面を裏面処理して酸化膜やステイン膜の除去等を行った。また、酸化膜の電流値をモニタリングする際には、測定時の環境要因を排除してノイズ等の発生を抑制した。
【0025】
図5に、MOSキャパシタのゲート酸化膜に流れる電流値を1×10−12Aからモニタリングした結果を示す(尚、この図5では、ブレイクダウンが観察された地点を×で示しており、ブレイクダウン直後の電流値の急激な増加は省略されている)。図5に示したように、酸化膜に流れる電流の値を1×10−12Aからモニタリングしたことにより、3〜8MV/cmの絶縁破壊電界(ゲート酸化膜厚が25nmの場合、7.5〜20V程度の比較的低い電圧領域)でブレイクダウンするもの(Bモード破壊)は、ブレイクダウン前の酸化膜に1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲においてリーク電流(Cモード破壊を示すもの(太い黒線)の電流値に比べて増加している部分の電流であり、図5中の楕円で囲まれた部分)が必ず観察されることがわかった。
【0026】
以上の実験の結果から、シリコンウエーハに作製したMOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加してそこに流れる電流値をモニタリングするときに、1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲で酸化膜の電流を観察できるようにすれば、酸化膜の絶縁破壊が起こる前、特にBモードで酸化膜絶縁破壊が生じるものについては、その前にリーク電流が観察されること、さらにそのリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることにより、酸化膜破壊に至る前にリーク電流が観察される部分を判別できて、絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握することが可能となることを見出した。
【0027】
そして、本発明者等は、以上の実験・調査で得られた知見を踏まえた上で、鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のシリコンウエーハの評価方法は、シリコンウエーハ上に酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングし、該酸化膜から流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、該リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することに特徴を有するものである。
【0028】
以下、本発明のシリコンウエーハの評価方法について、図面を参照しながら更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図3は、本発明においてシリコンウエーハ上に形成するMOSキャパシタの構成を示す概略構成図である。
先ず、本発明のシリコンウエーハの評価方法では、測定対象となるシリコンウエーハ3に例えば熱酸化処理を行って酸化膜(ゲート酸化膜)2を形成し、続いてこの酸化膜2上にCVD法等によりリンをドープした低抵抗率の多結晶シリコンを堆積する。
【0029】
その後、この酸化膜2上に堆積した多結晶シリコンにフォトリソグラフィ及び多結晶シリコンの選択エッチングを行なうことによって、多結晶シリコンからなる電極1を形成してMOSキャパシタ4を作製する。このとき、酸化膜のエッチングを抑制するために多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比が10以上、さらには30以上となるようにして多結晶シリコンに選択エッチングを行うことが好ましい。例えば、多結晶シリコンにフォトリソグラフィを行ってマスクを形成した後、マイクロ波を用いた等方性プラズマエッチング装置を使用し、CF4とO2をエッチングガスとしてそのトータルガス流量(CF4+O2)に占めるCF4の比率を75%程度にすることによって、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比を35程度にして選択エッチングを行うことができる。
【0030】
尚、上記トータルガス流量に占めるCF4の比率を70%未満まで小さくするとエッチング選択比をさらに大きくすることができるものの、多結晶シリコンのエッチングレートが低下するため、電極を形成するのに多くの時間を要することが予想される。また一方、CF4の比率を80%を超えて大きくしてしまうと、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比が低下する恐れがある。したがって、トータルガス流量に占めるCF4の比率は75%程度にすることが好ましい。
【0031】
さらに、このMOSキャパシタ4を作製する際、シリコンウエーハの裏面には熱酸化処理時に酸化膜が形成されたり、その他の各処理を行ったとき等にステイン膜が形成されたりすることがある。しかしながら、このようにシリコンウエーハの裏面に酸化膜やステイン膜が形成されていると、その後電極とウエーハ裏面との間で電気ストレスを印加して酸化膜に流れる電流値をモニタリングするときに、その測定感度を低下させる恐れがある。したがって、例えば上記多結晶シリコンに選択エッチングを行なった後には、シリコンウエーハに希HF等でウエットエッチングする裏面処理を行って、ウエーハ裏面に形成された酸化膜及びステイン膜を完全に除去することが好ましい。また、CVD法等を行った際にシリコンウエーハの裏面にも多結晶シリコンが堆積した場合では、さらにフッ硝酸によるエッチング等を追加して、ウエーハ裏面の多結晶シリコンを除去すると良い。そして、このようにシリコンウエーハの裏面に裏面処理を行った後には、シリコンウエーハを純水で洗浄することが望ましい。本発明では、極めて低電流の測定が必要であるため、このような裏面処理を行うことによってノイズ等の原因を取り除くのが良い。
【0032】
このようにしてシリコンウエーハ上にMOSキャパシタ4を作製した後、酸化膜2にプローバーを用いて電圧を図4(a)に示すように0Vからステップ状に徐々に上昇させて印加するとともに、アベレージング機能を持つテスタを使用して酸化膜2に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングする。ここで言うアベレージング機能とは、電圧をステップ状に徐々に印加したときに、各ステップにおいて酸化膜に流れる電流値を決められた周期の間に複数回測定して平均化する機能である。このようなアベレージングを行うことによって、データの平均化が行なわれて、ノイズ等の外乱の影響を排除することができる。
【0033】
また、このように電圧の印加をステップ状に上昇させて行う場合、各ステップにおいて、図4(b)に示すような、電圧がステップ電圧高さ7でステップ上昇した後から電流値の測定を始めるまでのステップ遅延時間5及び上記のアベレージングを行うアベレージング時間6が長くなると、酸化膜への電気ストレスが経時的に蓄積されて、酸化膜の経時的劣化を引き起こすことが考えられる。そのため、酸化膜に流れる電流の観察を高精度に行うためには、ステップ遅延時間5及びアベレージング時間6はできるだけ短くする方が良く、特にステップ遅延時間5を200m秒以内とし、またアベレージング時間6を50m秒以内とすることが好ましい。
【0034】
例えば、各ステップにおいて、ステップ遅延時間を200m秒に設定し、またアベレージング時間を50m秒に、具体的には10m秒間で4回の電流値測定を行うのを1周期としてこれを5周期行なうようにアベレージング機能を設定することによって、酸化膜への電気ストレスの経時的な蓄積を低減し、測定感度をより向上させて極めて高精度に電流値をモニタリングすることができる。さらにこのようにステップ遅延時間及びアベレージング時間を設定すれば、評価時間の短縮を図ることもできる。
【0035】
さらに、上記のように酸化膜に流れる電流値をモニタリングする際に、1×10−12レベルの電流が測定できる測定感度が確実に得られるようにするために、電圧の印加を外部からの光の影響を受けない遮光性のあるプロ−バーを用いて行い、また酸化膜に流れる電流値のモニタリングを、配線部がシールド配線からなりかつその配線部が固定されているテスタを用いて行うことが好ましい。このようなプロ−バー及びテスタを用いることによって、酸化膜の電流値測定時の環境要因を排除して、ノイズ等の発生を一層抑制することができるため、酸化膜に流れる1×10−12以上1×10−9A未満の大きさの電流値のモニタリングを確実にかつ極めて高精度に行うことができる。
【0036】
上記のようにすることで、酸化膜に電圧を印加したときに流れる電流を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲で高精度にモニタリングすることができ、そしてその酸化膜に流れるリーク電流の観察も容易に行うことができる。尚、本発明で言うリーク電流とは、上述のように、予め測定しておいたCモードの絶縁破壊特性を示したものの酸化膜に流れる電流と比べて、1×10−12以上1×10−9A未満の範囲で増加している部分の電流のことを指している。
【0037】
そして、酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することができる。このようにリーク電流が観察される部分を絶縁破壊前に判別できれば、破壊の前兆を捕らえて絶縁破壊の原因となる部分を酸化膜が絶縁破壊される前に正確に把握でき、これによって酸化膜破壊に至るまでの詳細なデータを得ることも可能となるので、酸化膜絶縁破壊の原因やそのメカニズム等を究明するのに大きく寄与することができる。
【0038】
さらに、本発明のシリコンウエーハの評価方法では、上記のようにリーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別して、このリーク電流が観察されると判別された部分、すなわち絶縁破壊を引き起こす部分をOBIC、EBIC、エミッション顕微鏡のうちの少なくとも一つの方法を用いて観察することができる。このように絶縁破壊を引き起こす部分を絶縁破壊前に観察することによって、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を明確にでき、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの情報を詳細に得ることができる。さらに、これらの評価結果をシリコンウエーハの製造条件等にフィードバックすれば、シリコンウエーハのさらなる品質向上を図ることに寄与することができる。
【0039】
ここで、OBIC及びEBICについて簡単に説明する。OBIC(Optical Beam Induced Current)とは、光によって発生したキャリアを検出するものであり、詳しくは、半導体の禁制帯エネルギー幅よりも大きいエネルギーを持つ光を照射した時に発生するキャリアを電流として取り出すことで半導体内部の現象を評価する方法である。
【0040】
一方、EBIC(Electron Beam Induced Current)は、上記OBICで用いている光の代わりに電子ビームを用いてキャリアを注入し評価する方法である。以下、EBICによる評価について図6を参照しながらより具体的に説明する。図6は、EBICによる評価装置の構成例を示しており、主として走査型電子顕微鏡システム(SEM:Scanning Electron Microscope)16、EBIC電流増幅器18、SEM用CRT19から構成されている。
【0041】
例えば、EBICによる評価では、評価対象となるMOSキャパシタが作製されたシリコンウエーハ13を、SEM16の試料台に載せ、裏面側をGND(接地マイナス、EBIC電流増幅器18の入力側)に、多結晶シリコン電極側をプラス電位(p型基板の場合。n型基板では多結晶シリコン電極側をマイナス電位とする)が出力できるようにプローブ10を通してDC電源11に接続する。
【0042】
次に、SEM16の電子ビーム17を走査しながら照射する。このとき、MOSキャパシタへの印加電圧を0からプラス方向へ大きくして行くと、例えば酸化膜にかかる電界強度換算で2MV/cmあたりから、MOSキャパシタ全面から強いEBICが観察される。この時発生する微弱電流をEBIC電流増幅器18で増幅し、電子ビーム照射位置情報とを合成してSEM用CRT19に欠陥画像を表示する。その時、検出感度を調整することでMOSキャパシタ内のある部分からのEBIC像であることが確認でき、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因や絶縁破壊に至るまでの情報等を詳細に得ることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
試料として、CZ法により引き上げたシリコン単結晶インゴットをスライスして、直径200mm、導電型としてはボロンをドープしたp型のシリコンウエーハを準備した。このシリコンウエーハ表面のCOP密度をパーティクルカウンターによって測定したところ、0.1μmを超えるサイズのパーティクルが700個/ウエーハ観察された。
【0044】
次に、このシリコンウエーハに900℃の乾燥雰囲気中でおよそ100分間の熱酸化処理を行って25nmのゲート酸化膜を形成し、このゲート酸化膜上にCVD法によりリンをドープした多結晶シリコンを堆積した。このとき、多結晶シリコンをおよそ300nmの厚さで堆積し、またそのシート抵抗値が25Ω/□程度となるようにした。
【0045】
続いて、多結晶シリコンにフォトリソグラフィを行ってマスクを形成した後、選択エッチングを行って、ウエーハ面内に8mm2のMOSキャパシタを多数作製した。尚、この多結晶シリコンに行う選択エッチングには、マイクロ波を用いた等法性プラズマエッチング装置を使用し、エッチングガスとしてCF4とO2を用いた。このとき、エッチングガスのトータルガス流量に占めるCF4の比率を75%にすることによって、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比がおよそ35となるようにして選択エッチングを行った。
【0046】
選択エッチングを行った後、シリコンウエーハの裏面に形成されている多結晶シリコン、酸化膜、及びステイン膜を除去するために、シリコンウエーハの表面にレジストを塗布してから、ウエーハ裏面にフッ硝酸のウエットエッチング及び希HFのウエットエッチングによる裏面処理を行った。
【0047】
その後、フルオートプロ−バーに接続したテスタを用いて、シリコンウエーハ上に作製したMOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して、酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングした。このとき、プロ−バーとして遮光性の優れているものを用い、またテスタとして配線部がシールド配線からなりかつその配線部が固定されているものを用いてノイズ等の発生を抑制することによって、1×10−12Aレベルの電流をテスタで高感度に測定できるようにした。
【0048】
さらに、電圧の印加条件は、電圧を0Vから0.25MV/cmのステップ電圧高さ(酸化膜厚25nmでは、0.625V)でステップ状に徐々に上昇させるようにし、また各ステップでのステップ遅延時間を200m秒、アベレージング時間を50m秒に設定して電流のモニタリングを行った。
【0049】
そして、酸化膜に流れる電流を観察し、リーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めてリーク電流が観察される部分の判別を行った。このようにリーク電流が観察されて電気ストレスの印加を止めた部分の測定結果の一例を図1に示す。
【0050】
上記のようにしてリーク電流が観察される部分の判別を行った後、電気ストレスの印加を止めた部分のいくつかをEBICにて観察を行った。その結果、この部分にCOPが存在することを確認した。このような結果から、ブレイクダウン前に観察されるリーク電流とCOPとの間には相関があることがわかり、さらにCOP起因での酸化膜耐圧劣化は、8面体構造のコーナー部に電界が集中することで、酸化膜中にトラップが生成し、その膜質劣化によりリーク電流が増加し、最終的にブレイクダウンすることが考えられる。なお、8面体構造のコーナー部への電界集中であるが、これは大きく湾曲した部分であるという構造的な要因により電界が集中することと、大きく湾曲した部分へ形成される熱酸化膜の膜厚が若干薄くなっていることの2つの要因が重なっていると推測される。
【0051】
このように、リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することにより、酸化膜を破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握でき、さらにその部分をEBIC等にて観察することによって、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を明確にし、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの過程も詳細に解析できる。
【0052】
(比較例)
試料として、上記実施例と同様にして直径200mm、p型のシリコンウエーハを準備し、このシリコンウエーハに実施例と同様の条件で熱酸化処理を行ってゲート酸化膜を形成し、そのゲート酸化膜上にCVD法により多結晶シリコンを堆積した。続いて、多結晶シリコンにフォトリソグラフィを行ってマスクを形成した後、フッ硝酸による多結晶シリコンのウエットエッチングを行って、ウエーハ面内に8mm2のMOSキャパシタを多数作製した。このフッ硝酸によるウエットエッチングにおいて、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比はおよそ5〜8程度であった。尚、このフッ硝酸によるウエットエッチングの際に、ウエーハ裏面に形成されていた多結晶シリコンも同時にエッチング除去した。
【0053】
フッ硝酸によるウエットエッチング後、シリコンウエーハの裏面に形成されている酸化膜を除去するために、シリコンウエーハの表面にレジストを塗布してから、ウエーハ裏面に希HFのウエットエッチングによる裏面処理を行った。尚、今回の試料にはウエーハ裏面にステイン膜の生成はなかった。
【0054】
その後、フルオートプロ−バーに接続したテスタを用いて、シリコンウエーハ上に作製したMOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して、酸化膜に流れる電流値の測定を行った。尚、今回の比較例では、プロ−バー及びテスタの配線部に特にノイズ対策を施さなかった。
【0055】
また、電圧の印加条件は、電圧を0Vから0.25MV/cmのステップ電圧高さ(酸化膜厚25nmでは、0.625V)でステップ状に徐々に上昇させるようにし、各ステップでのステップ遅延時間を200m秒、アベレージング時間を100m秒に設定して電流のモニタリングを行った。その測定結果を図2に示す。
【0056】
図2に示したように、0〜15V程度の低電圧領域で測定される酸化膜に流れた電流値は1×10−9A台と上記実施例に比べて測定される電流の値が大きくなっていることがわかる。またそのため、上記実施例でブレイクダウンが生じる前に観察されたリーク電流が、今回の比較例では観察されなかった。すなわち、比較例では、酸化膜絶縁破壊が急激に起こることは確認されても、その原因となるものを観察することはできず、酸化膜破壊のメカニズムを推測することも困難であった。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、酸化膜を絶縁破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握することが可能となり、さらにその絶縁破壊を引き起こす部分をEBIC等により観察すれば、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を明確にでき、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例でモニタリングした電流の測定結果を示す図である。
【図2】比較例でモニタリングした電流の測定結果を示す図である。
【図3】MOSキャパシタの構成を示す概略構成図である。
【図4】(a)は、酸化膜に印加する電圧と時間との関係を示す図であり、(b)は、その一部を拡大した図である。
【図5】酸化膜に流れる電流値を1×10−12Aからモニタリングした結果を示すグラフである。
【図6】EBICによる評価装置の構成例を示す構成概略図である。
【符号の説明】
1…電極、 2…酸化膜(ゲート酸化膜)、
3…シリコンウエーハ、 4…MOSキャパシタ、
5…ステップ遅延時間、 6…アベレージング時間、
7…ステップ電圧高さ、 10…プローブ、
11…DC電源、 13…シリコンウエーハ、
16…走査型電子顕微鏡システム(SEM)、 17…電子ビーム、
18…EBIC電流増幅器、 19…SEM用CRT。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエーハの電気特性を評価する評価方法に関するものであり、特にシリコンウエーハに形成された酸化膜を絶縁破壊させる部分の検出・評価を行い、酸化膜耐圧劣化のメカニズムを解明するための有効な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエーハの評価方法の一つにGOI(Gate Oxide Integrity)評価がある。このGOI評価は、シリコンウエーハを酸化して酸化膜(ゲート酸化膜)を形成し、この酸化膜に電極を形成してMOS(Metal Oxide Semiconductor)構造を作製した後、電極に電気ストレスを印加して酸化膜を破壊させ、その酸化膜破壊電界強度からシリコンウエーハの品質を評価することができるものである。
【0003】
また、このようなGOI評価では、特にシリコン単結晶中に存在する結晶欠陥であるCOP(Crystal Originated Particles)を非常に優れた感度で検出することができる。例えば、MOSキャパシタに電圧を0Vから0.5Vステップで徐々に上昇させながら印加してゲート酸化膜の絶縁破壊電界強度を評価する、いわゆるTZDB(Time Zero Dielectric Breakdown)評価では、一般的に3〜8MV/cm(例えば、ゲート酸化膜を25nmの厚さで形成した場合には、7.5〜20Vの比較的低い電圧領域)でブレイクダウンするものをBモードと呼び、シリコンウエーハ中のCOPに起因することが知られている。現在、このようなCOPに起因して生じるブレイクダウンは、8面体形状を有するCOPのコーナー部分に電界集中が起こり、酸化膜がブレイクダウンすると考えられている(非特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記TZDB評価のような従来の酸化膜耐圧の測定方法では、酸化膜を絶縁破壊させて評価を行っているために、ブレイクダウンを引き起こした欠陥は、評価後には絶縁破壊時に生じた熱により元の形状を残しておらず、評価後の酸化膜を例えば集束イオンビーム(FIB)装置や透過型電子顕微鏡(TEM)等により同点観察を行っても、通常大きな空洞が観察されるのみであった。また、極稀にTZDB評価後の酸化膜にブレイクダウンを引き起こした欠陥が元の形状のままで同定されることもあったが、この場合FIB装置やTEM等による測定を繰り返して行い、その評価数を多くする等の工夫が必要とされ、また評価工程が煩雑で評価時間も長くなってしまい、結果的に作業者への負担やコストへの負担が大きくなるといった問題があった。
【0005】
また、COPに起因する酸化膜耐圧劣化は、上述のように8面体形状のCOPのコーナー部分に電界集中が起こって酸化膜がブレイクダウンすると考えられているが、このブレイクダウンは酸化膜に印加される電気ストレスがある大きさ以上となったときに急激に起こる現象として捉えられている。そのため、従来の評価方法では、酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報を得ることができず、酸化膜絶縁破壊のメカニズムを解明することは非常に困難であった。
【0006】
【非特許文献1】
M. Tamatsuka, et. al, ”Medium Field Breakdown Origin on Metal Oxide Semiconductor Capacitor Containing Grown−in Czochralski Silicon Crystal Defect”, Jpn. J. Appl. Phys., 37, 1236 (1998).
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、酸化膜を絶縁破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を判別して把握することができ、さらにはこの絶縁破壊を引き起こす部分の観察を行って、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を解析したり、酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報を得ることのできるシリコンウエーハの評価方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、MOSキャパシタを用いてシリコンウエーハの電気特性を評価する評価方法において、前記シリコンウエーハ上に酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングし、該酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、該リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することを特徴とするシリコンウエーハの評価方法が提供される(請求項1)。
【0009】
このように、シリコンウエーハ上にMOSキャパシタを作製した後、その酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲でモニタリングし、その酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによってリーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別すれば、酸化膜を絶縁破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握することが可能となり、酸化膜絶縁破壊の原因やそのメカニズムの究明に大きく寄与することができる。
【0010】
尚、本発明で言うリーク電流とは、測定対象とする試料(MOSキャパシタ)と同条件で作製した試料の中でCモードの絶縁破壊を示すもの(絶縁破壊強度が8MV/cm以上)の絶縁破壊特性を予め同一条件で測定しておき、そして測定対象とする試料の酸化膜に流れる電流を観察したときに、上記の予め測定したCモードの絶縁破壊特性を示すものと比較して、1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲で増加している部分の電流のことを意味するものであり、以下に記載するリーク電流についても上記と同様の意味を示すものとする。
【0011】
このとき、前記酸化膜に印加する電圧を0Vからステップ状に徐々に上昇させることが好ましい(請求項2)。
このように、MOSキャパシタの酸化膜に印加する電圧を0Vからステップ状に徐々に上昇させることによって、酸化膜に流れる電流を精度良くモニタリングすることができ、またリーク電流の発生も正確に観察することができる。
【0012】
さらに、前記酸化膜に印加する電圧をステップ状に徐々に上昇させる際に、各ステップにおいて、電圧がステップ上昇した後から電流値のモニタリングを始めるまでのステップ遅延時間を200m秒以内とし、該ステップで流れる電流値を複数回測定して平均化するアベレージング時間を50m秒以内とすることが好ましい(請求項3)。
【0013】
酸化膜に印加する電圧をステップ状に徐々に上昇させる際に、上記のようにステップ遅延時間及びアベレージング時間を設定することによって、酸化膜への電気ストレスの経時的な蓄積を低減して酸化膜の経時的劣化を防止でき、測定感度をより向上させて一層正確な電流値のモニタリングを行うことができる。さらに、評価時間の短縮にもつながる。
【0014】
また、前記シリコンウエーハ上にMOSキャパシタを作製する際に、シリコンウエーハに酸化膜を形成した後、該酸化膜上に多結晶シリコンを堆積し、その後堆積した多結晶シリコンに、該多結晶シリコンと前記酸化膜とのエッチング選択比が10以上となるようにして選択エッチングを行うことが好ましい(請求項4)。
【0015】
このようにしてシリコンウエーハ上にMOSキャパシタを作製すれば、酸化膜がエッチングされるのを抑制して電極を形成することができるため、酸化膜の電流値を前記の低電流範囲で測定する際に、ノイズ等を低減して極めて高精度に測定を行うことができる。
【0016】
さらに、前記MOSキャパシタを作製する際に、前記シリコンウエーハの裏面に形成された酸化膜及びステイン膜を除去する裏面処理を行うことが好ましい(請求項5)。
【0017】
このように、MOSキャパシタを作製する際に、シリコンウエーハの裏面に形成された酸化膜及びステイン膜を除去する裏面処理を行えば、例えばウエーハ裏面をウエーハチャックを介してグラウンドに接続して、電極とウエーハ裏面との間で電気ストレスを印加する場合でも、非常に高感度で酸化膜の電流値を測定することができる。
【0018】
また、本発明のシリコンウエーハの評価方法では、前記酸化膜への電圧の印加を遮光性のあるプロ−バーを用いて行い、また前記酸化膜に流れる電流値のモニタリングを、配線部がシールド配線からなりかつ該配線部が固定されているテスタを用いて行うことが好ましい(請求項6)。
【0019】
上記のようなプロ−バー及びテスタを用いることによって、酸化膜の電流値をモニタリングする際の環境要因を排除して、ノイズ等の発生を抑制することができるため、1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲の測定も極めて高精度に行うことができる。
【0020】
さらに、本発明では、前記リーク電流が観察されると判別された部分をOBIC、EBIC、エミッション顕微鏡のうちの少なくとも一つの方法を用いて観察することができる(請求項7)。
【0021】
このように、リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別して、絶縁破壊を引き起こす部分を酸化膜が絶縁破壊される前に正確に把握した後、このリーク電流が観察されると判別された部分、すなわち絶縁破壊を引き起こす部分をOBIC、EBIC、エミッション顕微鏡のうちの少なくとも一つの方法を用いて観察すれば、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を調査・解析することができ、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報も得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、MOSキャパシタを用いたシリコンウエーハの電気特性評価において、絶縁破壊を引き起こす原因やそのメカニズムを解明するため、絶縁破壊が生じる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握できるような方法について鋭意実験及び検討を重ねた。そして、本発明者等は、MOSキャパシタの酸化膜について様々な方法で調査したところ、酸化膜に電圧を印加してその酸化膜に流れる電流を測定する際に、1×10−12Aの非常に小さいレベルから電流値をモニタリングすれば、絶縁破壊が起こる前の酸化膜にリーク電流が観察されることを発見した。
【0023】
すなわち、本発明者等は、MOSキャパシタの酸化膜に流れるリーク電流について詳細に調べるために、以下のような実験を行った。
(実験)
先ず、CZ法によりボロンをドープして直径200mmで導電型がP型のシリコン単結晶インゴットを育成し、得られた単結晶インゴットをスライスしてシリコンウエーハを作製した。その後、このシリコンウエーハ上に25nmの厚さを有するゲート酸化膜と300nmの厚さを有する電極を順次形成してMOSキャパシタを作製し、そのMOSキャパシタのゲート酸化膜に電圧を0Vからステップ状に上昇するように印加して、酸化膜に流れる電流の値を1×10−12Aからモニタリングした。
【0024】
尚、この実験において酸化膜に流れる電流値を1×10−12Aから精度良くモニタリングするために、上記MOSキャパシタを作製する際には、電極パターン形成時に酸化膜がエッチングされるのを抑制したり、シリコンウエーハの裏面を裏面処理して酸化膜やステイン膜の除去等を行った。また、酸化膜の電流値をモニタリングする際には、測定時の環境要因を排除してノイズ等の発生を抑制した。
【0025】
図5に、MOSキャパシタのゲート酸化膜に流れる電流値を1×10−12Aからモニタリングした結果を示す(尚、この図5では、ブレイクダウンが観察された地点を×で示しており、ブレイクダウン直後の電流値の急激な増加は省略されている)。図5に示したように、酸化膜に流れる電流の値を1×10−12Aからモニタリングしたことにより、3〜8MV/cmの絶縁破壊電界(ゲート酸化膜厚が25nmの場合、7.5〜20V程度の比較的低い電圧領域)でブレイクダウンするもの(Bモード破壊)は、ブレイクダウン前の酸化膜に1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲においてリーク電流(Cモード破壊を示すもの(太い黒線)の電流値に比べて増加している部分の電流であり、図5中の楕円で囲まれた部分)が必ず観察されることがわかった。
【0026】
以上の実験の結果から、シリコンウエーハに作製したMOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加してそこに流れる電流値をモニタリングするときに、1×10−12以上1×10−9A未満の低電流範囲で酸化膜の電流を観察できるようにすれば、酸化膜の絶縁破壊が起こる前、特にBモードで酸化膜絶縁破壊が生じるものについては、その前にリーク電流が観察されること、さらにそのリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることにより、酸化膜破壊に至る前にリーク電流が観察される部分を判別できて、絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握することが可能となることを見出した。
【0027】
そして、本発明者等は、以上の実験・調査で得られた知見を踏まえた上で、鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のシリコンウエーハの評価方法は、シリコンウエーハ上に酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングし、該酸化膜から流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、該リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することに特徴を有するものである。
【0028】
以下、本発明のシリコンウエーハの評価方法について、図面を参照しながら更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図3は、本発明においてシリコンウエーハ上に形成するMOSキャパシタの構成を示す概略構成図である。
先ず、本発明のシリコンウエーハの評価方法では、測定対象となるシリコンウエーハ3に例えば熱酸化処理を行って酸化膜(ゲート酸化膜)2を形成し、続いてこの酸化膜2上にCVD法等によりリンをドープした低抵抗率の多結晶シリコンを堆積する。
【0029】
その後、この酸化膜2上に堆積した多結晶シリコンにフォトリソグラフィ及び多結晶シリコンの選択エッチングを行なうことによって、多結晶シリコンからなる電極1を形成してMOSキャパシタ4を作製する。このとき、酸化膜のエッチングを抑制するために多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比が10以上、さらには30以上となるようにして多結晶シリコンに選択エッチングを行うことが好ましい。例えば、多結晶シリコンにフォトリソグラフィを行ってマスクを形成した後、マイクロ波を用いた等方性プラズマエッチング装置を使用し、CF4とO2をエッチングガスとしてそのトータルガス流量(CF4+O2)に占めるCF4の比率を75%程度にすることによって、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比を35程度にして選択エッチングを行うことができる。
【0030】
尚、上記トータルガス流量に占めるCF4の比率を70%未満まで小さくするとエッチング選択比をさらに大きくすることができるものの、多結晶シリコンのエッチングレートが低下するため、電極を形成するのに多くの時間を要することが予想される。また一方、CF4の比率を80%を超えて大きくしてしまうと、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比が低下する恐れがある。したがって、トータルガス流量に占めるCF4の比率は75%程度にすることが好ましい。
【0031】
さらに、このMOSキャパシタ4を作製する際、シリコンウエーハの裏面には熱酸化処理時に酸化膜が形成されたり、その他の各処理を行ったとき等にステイン膜が形成されたりすることがある。しかしながら、このようにシリコンウエーハの裏面に酸化膜やステイン膜が形成されていると、その後電極とウエーハ裏面との間で電気ストレスを印加して酸化膜に流れる電流値をモニタリングするときに、その測定感度を低下させる恐れがある。したがって、例えば上記多結晶シリコンに選択エッチングを行なった後には、シリコンウエーハに希HF等でウエットエッチングする裏面処理を行って、ウエーハ裏面に形成された酸化膜及びステイン膜を完全に除去することが好ましい。また、CVD法等を行った際にシリコンウエーハの裏面にも多結晶シリコンが堆積した場合では、さらにフッ硝酸によるエッチング等を追加して、ウエーハ裏面の多結晶シリコンを除去すると良い。そして、このようにシリコンウエーハの裏面に裏面処理を行った後には、シリコンウエーハを純水で洗浄することが望ましい。本発明では、極めて低電流の測定が必要であるため、このような裏面処理を行うことによってノイズ等の原因を取り除くのが良い。
【0032】
このようにしてシリコンウエーハ上にMOSキャパシタ4を作製した後、酸化膜2にプローバーを用いて電圧を図4(a)に示すように0Vからステップ状に徐々に上昇させて印加するとともに、アベレージング機能を持つテスタを使用して酸化膜2に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングする。ここで言うアベレージング機能とは、電圧をステップ状に徐々に印加したときに、各ステップにおいて酸化膜に流れる電流値を決められた周期の間に複数回測定して平均化する機能である。このようなアベレージングを行うことによって、データの平均化が行なわれて、ノイズ等の外乱の影響を排除することができる。
【0033】
また、このように電圧の印加をステップ状に上昇させて行う場合、各ステップにおいて、図4(b)に示すような、電圧がステップ電圧高さ7でステップ上昇した後から電流値の測定を始めるまでのステップ遅延時間5及び上記のアベレージングを行うアベレージング時間6が長くなると、酸化膜への電気ストレスが経時的に蓄積されて、酸化膜の経時的劣化を引き起こすことが考えられる。そのため、酸化膜に流れる電流の観察を高精度に行うためには、ステップ遅延時間5及びアベレージング時間6はできるだけ短くする方が良く、特にステップ遅延時間5を200m秒以内とし、またアベレージング時間6を50m秒以内とすることが好ましい。
【0034】
例えば、各ステップにおいて、ステップ遅延時間を200m秒に設定し、またアベレージング時間を50m秒に、具体的には10m秒間で4回の電流値測定を行うのを1周期としてこれを5周期行なうようにアベレージング機能を設定することによって、酸化膜への電気ストレスの経時的な蓄積を低減し、測定感度をより向上させて極めて高精度に電流値をモニタリングすることができる。さらにこのようにステップ遅延時間及びアベレージング時間を設定すれば、評価時間の短縮を図ることもできる。
【0035】
さらに、上記のように酸化膜に流れる電流値をモニタリングする際に、1×10−12レベルの電流が測定できる測定感度が確実に得られるようにするために、電圧の印加を外部からの光の影響を受けない遮光性のあるプロ−バーを用いて行い、また酸化膜に流れる電流値のモニタリングを、配線部がシールド配線からなりかつその配線部が固定されているテスタを用いて行うことが好ましい。このようなプロ−バー及びテスタを用いることによって、酸化膜の電流値測定時の環境要因を排除して、ノイズ等の発生を一層抑制することができるため、酸化膜に流れる1×10−12以上1×10−9A未満の大きさの電流値のモニタリングを確実にかつ極めて高精度に行うことができる。
【0036】
上記のようにすることで、酸化膜に電圧を印加したときに流れる電流を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲で高精度にモニタリングすることができ、そしてその酸化膜に流れるリーク電流の観察も容易に行うことができる。尚、本発明で言うリーク電流とは、上述のように、予め測定しておいたCモードの絶縁破壊特性を示したものの酸化膜に流れる電流と比べて、1×10−12以上1×10−9A未満の範囲で増加している部分の電流のことを指している。
【0037】
そして、酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することができる。このようにリーク電流が観察される部分を絶縁破壊前に判別できれば、破壊の前兆を捕らえて絶縁破壊の原因となる部分を酸化膜が絶縁破壊される前に正確に把握でき、これによって酸化膜破壊に至るまでの詳細なデータを得ることも可能となるので、酸化膜絶縁破壊の原因やそのメカニズム等を究明するのに大きく寄与することができる。
【0038】
さらに、本発明のシリコンウエーハの評価方法では、上記のようにリーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別して、このリーク電流が観察されると判別された部分、すなわち絶縁破壊を引き起こす部分をOBIC、EBIC、エミッション顕微鏡のうちの少なくとも一つの方法を用いて観察することができる。このように絶縁破壊を引き起こす部分を絶縁破壊前に観察することによって、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を明確にでき、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの情報を詳細に得ることができる。さらに、これらの評価結果をシリコンウエーハの製造条件等にフィードバックすれば、シリコンウエーハのさらなる品質向上を図ることに寄与することができる。
【0039】
ここで、OBIC及びEBICについて簡単に説明する。OBIC(Optical Beam Induced Current)とは、光によって発生したキャリアを検出するものであり、詳しくは、半導体の禁制帯エネルギー幅よりも大きいエネルギーを持つ光を照射した時に発生するキャリアを電流として取り出すことで半導体内部の現象を評価する方法である。
【0040】
一方、EBIC(Electron Beam Induced Current)は、上記OBICで用いている光の代わりに電子ビームを用いてキャリアを注入し評価する方法である。以下、EBICによる評価について図6を参照しながらより具体的に説明する。図6は、EBICによる評価装置の構成例を示しており、主として走査型電子顕微鏡システム(SEM:Scanning Electron Microscope)16、EBIC電流増幅器18、SEM用CRT19から構成されている。
【0041】
例えば、EBICによる評価では、評価対象となるMOSキャパシタが作製されたシリコンウエーハ13を、SEM16の試料台に載せ、裏面側をGND(接地マイナス、EBIC電流増幅器18の入力側)に、多結晶シリコン電極側をプラス電位(p型基板の場合。n型基板では多結晶シリコン電極側をマイナス電位とする)が出力できるようにプローブ10を通してDC電源11に接続する。
【0042】
次に、SEM16の電子ビーム17を走査しながら照射する。このとき、MOSキャパシタへの印加電圧を0からプラス方向へ大きくして行くと、例えば酸化膜にかかる電界強度換算で2MV/cmあたりから、MOSキャパシタ全面から強いEBICが観察される。この時発生する微弱電流をEBIC電流増幅器18で増幅し、電子ビーム照射位置情報とを合成してSEM用CRT19に欠陥画像を表示する。その時、検出感度を調整することでMOSキャパシタ内のある部分からのEBIC像であることが確認でき、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因や絶縁破壊に至るまでの情報等を詳細に得ることができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
試料として、CZ法により引き上げたシリコン単結晶インゴットをスライスして、直径200mm、導電型としてはボロンをドープしたp型のシリコンウエーハを準備した。このシリコンウエーハ表面のCOP密度をパーティクルカウンターによって測定したところ、0.1μmを超えるサイズのパーティクルが700個/ウエーハ観察された。
【0044】
次に、このシリコンウエーハに900℃の乾燥雰囲気中でおよそ100分間の熱酸化処理を行って25nmのゲート酸化膜を形成し、このゲート酸化膜上にCVD法によりリンをドープした多結晶シリコンを堆積した。このとき、多結晶シリコンをおよそ300nmの厚さで堆積し、またそのシート抵抗値が25Ω/□程度となるようにした。
【0045】
続いて、多結晶シリコンにフォトリソグラフィを行ってマスクを形成した後、選択エッチングを行って、ウエーハ面内に8mm2のMOSキャパシタを多数作製した。尚、この多結晶シリコンに行う選択エッチングには、マイクロ波を用いた等法性プラズマエッチング装置を使用し、エッチングガスとしてCF4とO2を用いた。このとき、エッチングガスのトータルガス流量に占めるCF4の比率を75%にすることによって、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比がおよそ35となるようにして選択エッチングを行った。
【0046】
選択エッチングを行った後、シリコンウエーハの裏面に形成されている多結晶シリコン、酸化膜、及びステイン膜を除去するために、シリコンウエーハの表面にレジストを塗布してから、ウエーハ裏面にフッ硝酸のウエットエッチング及び希HFのウエットエッチングによる裏面処理を行った。
【0047】
その後、フルオートプロ−バーに接続したテスタを用いて、シリコンウエーハ上に作製したMOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して、酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングした。このとき、プロ−バーとして遮光性の優れているものを用い、またテスタとして配線部がシールド配線からなりかつその配線部が固定されているものを用いてノイズ等の発生を抑制することによって、1×10−12Aレベルの電流をテスタで高感度に測定できるようにした。
【0048】
さらに、電圧の印加条件は、電圧を0Vから0.25MV/cmのステップ電圧高さ(酸化膜厚25nmでは、0.625V)でステップ状に徐々に上昇させるようにし、また各ステップでのステップ遅延時間を200m秒、アベレージング時間を50m秒に設定して電流のモニタリングを行った。
【0049】
そして、酸化膜に流れる電流を観察し、リーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めてリーク電流が観察される部分の判別を行った。このようにリーク電流が観察されて電気ストレスの印加を止めた部分の測定結果の一例を図1に示す。
【0050】
上記のようにしてリーク電流が観察される部分の判別を行った後、電気ストレスの印加を止めた部分のいくつかをEBICにて観察を行った。その結果、この部分にCOPが存在することを確認した。このような結果から、ブレイクダウン前に観察されるリーク電流とCOPとの間には相関があることがわかり、さらにCOP起因での酸化膜耐圧劣化は、8面体構造のコーナー部に電界が集中することで、酸化膜中にトラップが生成し、その膜質劣化によりリーク電流が増加し、最終的にブレイクダウンすることが考えられる。なお、8面体構造のコーナー部への電界集中であるが、これは大きく湾曲した部分であるという構造的な要因により電界が集中することと、大きく湾曲した部分へ形成される熱酸化膜の膜厚が若干薄くなっていることの2つの要因が重なっていると推測される。
【0051】
このように、リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することにより、酸化膜を破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握でき、さらにその部分をEBIC等にて観察することによって、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を明確にし、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの過程も詳細に解析できる。
【0052】
(比較例)
試料として、上記実施例と同様にして直径200mm、p型のシリコンウエーハを準備し、このシリコンウエーハに実施例と同様の条件で熱酸化処理を行ってゲート酸化膜を形成し、そのゲート酸化膜上にCVD法により多結晶シリコンを堆積した。続いて、多結晶シリコンにフォトリソグラフィを行ってマスクを形成した後、フッ硝酸による多結晶シリコンのウエットエッチングを行って、ウエーハ面内に8mm2のMOSキャパシタを多数作製した。このフッ硝酸によるウエットエッチングにおいて、多結晶シリコンと酸化膜とのエッチング選択比はおよそ5〜8程度であった。尚、このフッ硝酸によるウエットエッチングの際に、ウエーハ裏面に形成されていた多結晶シリコンも同時にエッチング除去した。
【0053】
フッ硝酸によるウエットエッチング後、シリコンウエーハの裏面に形成されている酸化膜を除去するために、シリコンウエーハの表面にレジストを塗布してから、ウエーハ裏面に希HFのウエットエッチングによる裏面処理を行った。尚、今回の試料にはウエーハ裏面にステイン膜の生成はなかった。
【0054】
その後、フルオートプロ−バーに接続したテスタを用いて、シリコンウエーハ上に作製したMOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して、酸化膜に流れる電流値の測定を行った。尚、今回の比較例では、プロ−バー及びテスタの配線部に特にノイズ対策を施さなかった。
【0055】
また、電圧の印加条件は、電圧を0Vから0.25MV/cmのステップ電圧高さ(酸化膜厚25nmでは、0.625V)でステップ状に徐々に上昇させるようにし、各ステップでのステップ遅延時間を200m秒、アベレージング時間を100m秒に設定して電流のモニタリングを行った。その測定結果を図2に示す。
【0056】
図2に示したように、0〜15V程度の低電圧領域で測定される酸化膜に流れた電流値は1×10−9A台と上記実施例に比べて測定される電流の値が大きくなっていることがわかる。またそのため、上記実施例でブレイクダウンが生じる前に観察されたリーク電流が、今回の比較例では観察されなかった。すなわち、比較例では、酸化膜絶縁破壊が急激に起こることは確認されても、その原因となるものを観察することはできず、酸化膜破壊のメカニズムを推測することも困難であった。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、酸化膜を絶縁破壊させる前に絶縁破壊を引き起こす部分を正確に把握することが可能となり、さらにその絶縁破壊を引き起こす部分をEBIC等により観察すれば、酸化膜が絶縁破壊を引き起こす原因を明確にでき、また酸化膜が絶縁破壊に至るまでの詳細な情報も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例でモニタリングした電流の測定結果を示す図である。
【図2】比較例でモニタリングした電流の測定結果を示す図である。
【図3】MOSキャパシタの構成を示す概略構成図である。
【図4】(a)は、酸化膜に印加する電圧と時間との関係を示す図であり、(b)は、その一部を拡大した図である。
【図5】酸化膜に流れる電流値を1×10−12Aからモニタリングした結果を示すグラフである。
【図6】EBICによる評価装置の構成例を示す構成概略図である。
【符号の説明】
1…電極、 2…酸化膜(ゲート酸化膜)、
3…シリコンウエーハ、 4…MOSキャパシタ、
5…ステップ遅延時間、 6…アベレージング時間、
7…ステップ電圧高さ、 10…プローブ、
11…DC電源、 13…シリコンウエーハ、
16…走査型電子顕微鏡システム(SEM)、 17…電子ビーム、
18…EBIC電流増幅器、 19…SEM用CRT。
Claims (7)
- MOSキャパシタを用いてシリコンウエーハの電気特性を評価する評価方法において、前記シリコンウエーハ上に酸化膜と電極を順次形成してMOSキャパシタを作製した後、該MOSキャパシタの酸化膜に電圧を印加して酸化膜に流れる電流値を1×10−12以上1×10−9A未満の範囲でモニタリングし、該酸化膜に流れる電流を観察してリーク電流が観察された時点で電気ストレスの印加を止めることによって、該リーク電流が観察される部分を絶縁破壊が生じる前に判別することを特徴とするシリコンウエーハの評価方法。
- 前記酸化膜に印加する電圧を0Vからステップ状に徐々に上昇させることを特徴とする請求項1に記載のシリコンウエーハの評価方法。
- 前記酸化膜に印加する電圧をステップ状に徐々に上昇させる際に、各ステップにおいて、電圧がステップ上昇した後から電流値のモニタリングを始めるまでのステップ遅延時間を200m秒以内とし、該ステップで流れる電流値を複数回測定して平均化するアベレージング時間を50m秒以内とすることを特徴とする請求項2に記載のシリコンウエーハの評価方法。
- 前記シリコンウエーハ上にMOSキャパシタを作製する際に、シリコンウエーハに酸化膜を形成した後、該酸化膜上に多結晶シリコンを堆積し、その後堆積した多結晶シリコンに、該多結晶シリコンと前記酸化膜とのエッチング選択比が10以上となるようにして選択エッチングを行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウエーハの評価方法。
- 前記MOSキャパシタを作製する際に、前記シリコンウエーハの裏面に形成された酸化膜及びステイン膜を除去する裏面処理を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシリコンウエーハの評価方法。
- 前記酸化膜への電圧の印加を遮光性のあるプロ−バーを用いて行い、また前記酸化膜に流れる電流値のモニタリングを、配線部がシールド配線からなりかつ該配線部が固定されているテスタを用いて行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のシリコンウエーハの評価方法。
- 前記リーク電流が観察されると判別された部分をOBIC、EBIC、エミッション顕微鏡のうちの少なくとも一つの方法を用いて観察することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のシリコンウエーハの評価方法。
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