JP4639473B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカード端子等の半導体パッケージングや、携帯情報端末等の電子機器に組み込まれる高密度プリント配線板であって、特に可撓性を有するプリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、可撓性を有するプリント配線板に半導体チップを直接実装する方法は、ワイヤボンディング方式、テープオートメイテッドボンディング方式、フリップチップボンディング方式などがある。特にワイヤボンディング方式は多くの電気的接合技術の中でも歴史的に長い実績があり、数多くの製品に幅広く用いられている。ここで、ワイヤボンディング方式とは、半導体チップ等の電極とプリント配線板の回路パターンの一部であるボンディングパッドとの間を金線等の細線を通じて接合するものであり、接合には熱と圧力と超音波等が加えられ、接合部の酸化膜を破壊し、清浄金属面の接触相互拡散によって非常に強固な接合が得られるものである。
【0003】
しかしながら、プリント配線板に半導体チップをワイヤボンディング方式で直接実装する場合には、下記に示すような問題が生じる場合があった。
【0004】
ワイヤボンディングを用いた半導体実装には、半導体チップをプリント配線板に接着固定するダイボンディング工程と、この半導体チップの電極をプリント配線板のボンディングパッドと電気的に結線するワイヤボンディング工程と、最後に結線された半導体チップ及び結線部を保護するため樹脂封止する樹脂モールド工程とからなっている。
【0005】
したがって、ダイボンディング工程とワイヤボンディング工程においては加熱が行われるため、これらの工程に用いられるプリント配線板等の部材は加熱によるアウトガスが極力発生しないものを使用する必要がある。そして、部材からのアウトガスが多量に発生した場合は、半導体チップの電極表面やプリント配線板のボンディングパッド表面をアウトガスによる有機物が汚染する。更に、接合表面が汚染されると、ワイヤボンディングの際に清浄金属面どうしを接触させる事ができないので、接合強度が弱くなり、接合部が外れてしまう可能性があった。
【0006】
また、ワイヤボンディング方式では、熱と圧力と超音波等によって接合を行うものである。しかし、プリント配線板自体が反っており平坦性が悪く、ワイヤボンディングの際にプリント配線板のボンディングパッドが浮き上がって固定されていない場合は、超音波がうまく伝わらず、接合部の酸化膜を充分に破壊することができない。そして、接合強度が弱くなり、接合部が外れてしまう事が起こる可能性もあった。
【0007】
この様に、可撓性を有するプリント配線板に半導体チップをワイヤボンディング方式で直接実装する場合には、ワイヤボンディングの接合強度を確保するため、アウトガスの発生が無くかつ平坦性の良いプリント配線板を使用する必要がある。しかしながら、その様な要求を満足するプリント配線板を製造する事は容易では無い。その理由を以下に説明する。
【0008】
従来の可撓性を有するプリント配線板の一般的な製造方法は、まず、可撓性を有するポリイミドフィルム等の絶縁性フィルムをベースフィルムとし、前記ベースフィルム表面に熱硬化性の接着剤を介して銅箔を貼り付け、銅箔付絶縁性フィルムを得る。次に、前記銅箔をエッチング法により選択的に除去し回路パターンを形成する。更に、前記銅箔表面に実装部品との絶縁性と銅箔自身の保護を行うためソルダーレジストを形成する。最後に、ソルダーレジストから露出した回路パターン表面にメッキ膜を形成する。このようにして、可撓性を有するプリント配線板を得ることができる。
【0009】
ここで、使用される接着剤やソルダーレジストは、熱硬化型の樹脂であり、未硬化の状態では反応の抑制と使用上適正な粘性を維持するため、高沸点の溶剤で未硬化樹脂を溶解させている。この高沸点の溶剤は、樹脂の硬化の際に加えられる充分な熱と時間によって全て蒸発気化し、硬化後の樹脂中には存在しない。しかし、充分な熱と時間によってこの樹脂を完全硬化させた場合、プリント配線板は構造上ベースフィルムの片側表面にのみ接着剤及びソルダーレジストが存在するので、硬化反応による樹脂収縮が発生し、プリント配線板自体に反りが生じてしまう。特に電子機器の軽量化薄型化が進む近年、更にプリント配線板のベースフィルムの薄膜化が進む傾向にあり、それに伴ってこのプリント配線板の反りは大きくなる傾向にある。これは無視できない問題となっており、実装時にワイヤボンディングの接合強度低下の要因となっている。
【0010】
一方、プリント配線板の平坦性を確保するために、接着剤やソルダーレジストの硬化条件を低温短時間にすると、この場合には、プリント配線板の平坦性は確保できる反面、硬化後の接着剤やソルダーレジスト中に高沸点の溶剤が残留溶剤として残り、これも実装時のアウトガス発生を誘発しワイヤボンディングの接合強度低下の要因となる。
【0011】
したがって、硬化後の接着剤やソルダーレジスト中に残る残留溶剤の除去と、接着剤やソルダーレジストの硬化収縮によるプリント配線板の平坦性確保とは、相反する問題であり、その解決は容易では無かった。
【0012】
また、残留溶剤の除去方法の一例として、特開平7−307548号公報に開示された発明がある。この公報に記載されたプリント配線板の処理方法は、完成したプリント配線板に後処理として300℃以下10分以上の熱処理を施すことで硬化した接着剤やソルダーレジスト中の残留溶剤を除去すると言うものである。しかしながら、この発明においては、利用分野であるハードディスクドライブ内部で100℃程度の環境を考慮しているに過ぎず、200℃程度という非常に高温である半導体チップ実装時の熱履歴においては、残留溶剤の除去効果が充分ではなく、実装時のアウトガス発生の可能性が高いものであった。したがって、ハードディスク表面への汚染は防げても、プリント配線板自体のワイヤボンディング表面が汚染されてしまう可能性があり、ワイヤボンディングの接合強度低下を防止する事はできないと言う問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、プリント配線板の製造方法においては、接着剤やソルダーレジストの熱硬化型の樹脂が用いられているが、硬化後の接着剤やソルダーレジスト中に残る残留溶剤の除去と、接着剤やソルダーレジストの硬化収縮によるプリント配線板の平坦性確保とを両立することは容易では無く、プリント配線板に半導体チップをワイヤボンディング方式で直接実装する上での課題となってきている。
【0014】
また、前述の特開平7−307548号の提案では、利用分野であるハードディスクドライブ内部で100℃程度の環境を考慮しており、200℃程度と非常に高温である半導体チップ実装時の熱履歴において、本発明の除去方法では、残留溶剤の除去効果は不充分であり、半導体実装時の課題となる可能性もあった。
【0015】
従って、残留溶剤の除去とプリント配線板の平坦性確保との両立を可能とするプリント配線板の製造方法が要求されていた。
【0016】
そこで本発明は、ワイヤボンディングの接合強度を良好とするために、実装時にアウトガスの発生が無くかつ平坦性の良いプリント配線板を安定した品質で生産できるプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明のプリント配線板の製造方法は、可撓性を有する絶縁性フィルム表面に形成された接着層と銅箔とを貼り合わせ硬化させた銅箔付絶縁性フィルムをエッチング法により回路パターンを形成し、回路パターン表面に絶縁性と任意のパターンを有するソルダーレジストを塗布硬化させ、ソルダーレジストから露出した回路パターン表面にメッキ膜を形成するプリント配線板の製造方法であって、回路パターン形成直後でかつソルダーレジスト塗布前においては真空中、減圧下で接着層の残留溶剤の除去を行うための第一の熱処理を施し、ソルダーレジストの硬化は、ソルダーレジストの塗布直後にソルダーレジストのタック性が無くなる程度に半硬化させるための第二の熱処理を施した後、真空中、減圧下で第三の熱処理を施し、第三の熱処理はソルダーレジストの残留溶剤の除去を同時に行うことを特徴とするものである。
【0018】
この接着剤である接着層とソルダーレジストの残留溶剤の除去を真空中にて熱処理を施すことにより、硬化後の樹脂中の残留溶剤を低温短時間で完全に除去することができる。更に、低温短時間で熱処理を行うために樹脂の硬化反応はそれ程進行せず、プリント配線板の平坦性を確保することができる。これにより、残留溶剤の除去とプリント配線板の平坦性確保との両立が可能となる。また、低温短時間で熱処理を行うために、接着層とソルダーレジストを劣化させることが無く、本処理方法によってプリント配線板の品質を損なうことは無い。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載のプリント配線板の製造方法は、可撓性を有する絶縁性フィルム表面に形成された接着層と銅箔とを貼り合わせ硬化させた銅箔付絶縁性フィルムをエッチング法により回路パターンを形成し、回路パターン表面に絶縁性と任意のパターンを有するソルダーレジストを塗布硬化させ、ソルダーレジストから露出した回路パターン表面にメッキ膜を形成するプリント配線板の製造方法であって、回路パターン形成直後でかつソルダーレジスト塗布前においては真空中、減圧下で接着層の残留溶剤の除去を行うための第一の熱処理を施し、ソルダーレジストの硬化は、ソルダーレジストの塗布直後にソルダーレジストのタック性が無くなる程度に半硬化させるための第二の熱処理を施した後、真空中、減圧下で第三の熱処理を施し、第三の熱処理はソルダーレジストの残留溶剤の除去を同時に行うことを特徴とするものである。
【0022】
この接着剤である接着層とソルダーレジストの残留溶剤の除去を真空中にて熱処理を施すことにより、硬化後の樹脂中の残留溶剤を低温短時間で完全に除去できる。更に、低温短時間で熱処理を行うために樹脂の硬化反応が抑制され、プリント配線板の平坦性は変化しない。また、低温短時間で熱処理を行うために、接着層とソルダーレジストを劣化させることが無い。
【0030】
以下本発明の一実施の形態について図1から図4を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、重複した説明は省略させている。また、実施の形態において示されている数値は種々選択し得る中の一例であり、これに限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態)
以下に本発明の一実施の形態におけるプリント配線板の製造方法について説明する。
【0032】
まず、本発明のプリント配線板の製造方法によって作製されたプリント配線板について図1で説明する。図1(a)は本発明の一実施の形態におけるプリント配線板の製造方法によって作製されたプリント配線板の斜視断面図、図1(b)は本発明の一実施の形態におけるプリント配線板の製造方法によって作製されたプリント配線板の要部断面図である。
【0033】
図1(a)、図1(b)において、1はポリイミド材のベースフィルム、2はベースフィルム1表面に銅箔5を貼り付けるための接着層、3は銅回路パターン5表面上に積層メッキ膜6が形成されている構造からなる回路パターンであり、この回路パターン3は実装時にワイヤボンディング可能な様に表層が金、下層がニッケルの積層メッキ膜6が施されている。さらに、4は実装部品との絶縁性と回路パターン3の保護を行うためのソルダーレジストであり、この部分に実装部品が搭載される。
【0034】
次に、この様なプリント配線板の製造方法について図2、図3及び図4を用いて更に詳しく説明する。
【0035】
最初に、銅回路パターン5を形成する工程について図2を用いて説明する。
【0036】
ここで、図2(a)はベースフィルムと銅箔を接着層で貼り付ける工程を示す要部断面図、図2(b)はエッチング処理により銅回路パターンを形成する工程を示す要部断面図、図2(c)は真空加熱炉により接着層の残留溶剤を除去する工程を示す要部断面図、図2(d)は処理槽により汚染層を除去する工程を示す要部断面図である。
【0037】
まず、図2(a)に示すように、厚み75μmのポリイミドのベースフィルム1の表面に接着剤をブレード法にて塗布し乾燥させ厚み20μmの接着層2を形成し、これを厚み35μmの銅箔7と加熱加圧し貼り合わせる。ここで、使用される接着剤は硬化後の密着強度や耐久性を考慮して熱硬化型のエポキシ系接着剤が使われる場合が多い。
【0038】
更に、貼り合わせた後にベースフィルム1と銅箔7との密着強度を確保するため本硬化を160℃×8時間程度で処理する。これにより、ベースフィルム1に接着層2を介して銅箔7を充分な密着強度で接着することができる。
【0039】
しかしながら、接着層2の形成時には、接着剤に適度な粘性とポットライフが必要であるので、高沸点の溶剤で未硬化樹脂を溶解させている。この高沸点の溶剤は硬化時の熱履歴により完全に蒸発気化して硬化後の接着層2からは除去されているはずであるが、接着層2はベースフィルム1と銅箔7に挟み込まれているサンドイッチ構造になっているので、この段階で硬化後の接着層2から残留溶剤を完全に除去することは難しい。
【0040】
次に、図2(b)に示すように、銅箔7をエッチング処理し、任意のパターンを有する銅回路パターン5を形成する。エッチング処理の方法としては、銅箔7の表面に任意のパターンを有するエッチングレジストをフォトリソグラフィー法により形成し、このエッチングレジストをマスクとして銅箔7を塩化鉄や塩化銅等のエッチング液を使用して選択的に除去する。更にこのエッチングレジストを水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液により除去し、任意のパターンを有する銅回路パターン5を形成する。ここで、エッチングレジストの形成方法は要求されるパターン精度に応じて、フォトリソグラフィー法、印刷法、転写法等を適宜使い分けることができる。
【0041】
次に、図2(c)に示すように、真空加熱炉9により接着層2の残留溶剤を完全に除去する。ここで、本発明において、真空とは大気圧(760Torr)以下の減圧雰囲気のことである。なお、1Torr=133.322Paである。
【0042】
そして、この段階では、銅箔7が部分的に除去され接着層2が露出している部分が多いので接着層2の残留溶剤を除去しやすく、処理条件も非常に低温短時間で処理できる。
【0043】
この様に残留溶剤を完全に除去する事により、実装時プリント配線板からのアウトガスの発生を無くす事ができる。また、低温短時間で処理する事により、接着層2の硬化反応による収縮が抑制されるので平坦性の良いプリント配線板を作製することができる。このアウトガスの発生が無くかつ平坦性の良いプリント配線板を使用することにより、実装時のワイヤボンディングの接合強度を充分確保する事ができる。また、低温短時間で熱処理を行うことによって、接着層2を劣化させることも無く、更に、この接着層2の表面にソルダーレジストが形成される前に熱処理を実施し、残留溶剤を完全に除去するので、後工程の熱履歴によって接着層とソルダーレジストの界面にアウトガスが充満することも無く、この界面の密着強度を劣化させることが無い。これらによって、品質の高いプリント配線板を安定して生産することができる。
【0044】
なお、真空加熱の保持温度としては100℃以上180℃以下の範囲であり、かつ、真空度が50Torr以下の範囲で処理するのが最も適している。なぜなら、100℃未満の温度で処理した場合は、残留溶剤を短時間で除去できない。また、接着層2やソルダーレジスト4はエポキシ樹脂であり、200℃以上の温度で熱処理した場合、樹脂の熱劣化が促進される恐れがあるからである。一方、真空度を50Torr以下で熱処理することにより、残留溶剤の沸点が著しく低下し、低温短時間の熱処理にて残留溶剤の完全除去が可能となる。更に、低温短時間処理により、プリント配線板の平坦性を確保できる。
【0045】
なお、真空度が50Torr以下とは、その数値が50Torr以下であって、例えば、10Torrのような真空度を意味し、50Torr以下に減圧された状態であり、高真空を意味するものである。
【0046】
また、真空加熱の条件としては、一定の温度だけで硬化後の樹脂中の残留溶剤を除去するのでは無く、なるべく高い温度は短時間で熱処理するような温度勾配で熱処理を行なうとなお良い。これにより、樹脂の硬化反応を充分抑制し、プリント配線板の平坦性が更に向上できる。また、接着層2とソルダーレジスト4を熱劣化させることも無く、このため、信頼性の高いプリント配線板を安定して生産することができる。
【0047】
また、全工程を生産性の高いリールトウリール方式で生産する場合、処理時のフィルムの形態はロール状に巻き取ってから熱処理を行なっても良い。これにより、熱処理を長いトンネル炉で処理する必要も無く、ロール状に巻き取ってから処理するため処理設備が簡単になる。また、複数のロールを一度に処理することもできるので、生産性が向上できる。
【0048】
また、真空加熱で処理する被処理フィルムの巻き方としては、回路パターンを外側にしてロール状に巻き取り熱処理するとなお良い。通常、プリント配線板は構造上ベースフィルムの片側表面にのみ接着剤及びソルダーレジストが存在するので、硬化反応による樹脂収縮が発生し、接着剤及びソルダーレジストが存在する回路パターン側を上にして凹形状に反る傾向がある。したがって、この反りを強制するため、回路パターンを外側にして巻き取り、プリント配線板に凸形状を与えることにより、処理中プリント配線板に凸形状を与え続ける事で、プリント配線板の平坦性が更に向上できる。
【0049】
最後に、銅回路パターン5表面には残留溶剤の再凝結による汚染層8が形成されるため、図2(d)に示すように、アルカリ洗浄液10により汚染層8を除去する。ここで、汚染層8は主に有機物であるのでアルカリ性溶液及び有機溶剤に可溶である。しかしながら、洗浄処理されたプリント配線板のダメージや廃液処理の簡便さを考慮すると、アルカリ性溶液にて洗浄することが望ましい。尚、この工程は次工程であるソルダーレジスト形成工程の前洗浄工程も兼ねており、工程数の増加によるタクトの増加や設備の増大を招くものではない。
【0050】
次に、ソルダーレジスト4を形成する工程について図3を用いて説明する。
【0051】
ここで、図3(a)はソルダーレジストを形成する工程を示す要部断面図、図3(b)は真空加熱炉によりソルダーレジストの残留溶剤を除去する工程を示す要部断面図、図3(c)はアルカリ洗浄液により汚染層を除去する工程を示す要部断面図である。
【0052】
まず、図3(a)に示すように、銅回路パターン5表面に任意のパターンを有するソルダーレジスト4を塗布し、取り扱いを容易にするため100℃×10分程度で表面をタック性が無くなる程度に半硬化させる。一般にソルダーレジスト4の塗布方法としてはスクリーン印刷法が広く用いられている。
【0053】
次に、図3(b)に示すように、真空加熱炉9によりソルダーレジスト4の本硬化を行うと共に、残留溶剤を完全に除去させる。処理条件は100℃×3時間から20時間程度と非常に低温で処理する。これにより、前記接着層2の残留溶剤の熱処理同様、低温で残留溶剤を完全に除去することができ、アウトガスの発生が無くかつ平坦性の良いプリント配線板を作製することができる。なお、真空加熱の処理条件等は前記接着層2と同様であるのでここでは省略する。
【0054】
そして、ソルダーレジスト4も接着層2と同様に、真空加熱炉9を用いて、真空中、減圧下で、熱処理することによって、残留溶剤を完全に除去する事ができるので、実装時プリント配線板からのアウトガスの発生を無くす事ができる。また、低温短時間で処理する事により、ソルダーレジスト4の硬化反応による収縮が抑制されるので平坦性の良いプリント配線板を作製することができる。このアウトガスの発生が無くかつ平坦性の良いプリント配線板を使用することにより、実装時のワイヤボンディングの接合強度を充分確保する事ができる。また、低温短時間で熱処理を行うために、接着層2とソルダーレジスト4を劣化させることも無い。これらによって、品質の高いプリント配線板を安定して生産することができる。
【0055】
次に、露出した銅回路パターン5表面には残留溶剤の再凝結による汚染層8が形成するため、図3(c)に示すように、アルカリ洗浄液10により汚染層8を除去する。尚、この工程は次工程であるメッキ膜形成工程の前洗浄工程も兼ねており、全体の工程数は増加しない。
【0056】
最後に、積層メッキ膜6を形成する工程について図4を用いて説明する。
【0057】
ここで、図4(a)は露出した銅回路パターン表面に積層メッキ膜を形成する工程を示す要部断面図、図4(b)は本発明の一実施の形態におけるプリント配線板の製造方法により得られたプリント配線板を示す要部断面図である。
【0058】
そして、図4(a)に示すように、メッキ液11中にて露出した銅回路パターン5表面に積層メッキ膜6をニッケル、金と順次メッキする。この段階では樹脂中の残留溶剤は完全に除去されているので、積層メッキ膜6は付着強度が良好であり、かつ、この積層メッキ膜6表面は清浄性に優れたものが得られる。
【0059】
なお、ここで、本発明とは異なり、メッキ処理後に真空加熱処理をした場合は、残留溶剤が残った状態のプリント配線板を50℃程度に加熱したメッキ浴中に浸漬する事になる。その結果、この残留溶剤はメッキ液中に溶出し、メッキ液を汚染してしまう可能性がある。これは、メッキ膜の品質上、また、高価な金メッキ液を劣化させるというランニングコスト上問題がある。更に、前述の様にワイヤボンディングの接合強度を確保するためには積層メッキ膜6表面の清浄性が非常に重要である。しかしながら、メッキ処理後の真空加熱処理は、積層メッキ膜6表面に汚染層を直接付着させるので、後の洗浄工程を新たに付け加える必要があり、この洗浄工程はかなり念入りに処理する必要がある。このことは、工程数の増加によるタクトや設備の増加を発生させ、更に、洗浄処理されたプリント配線板にダメージを与え品質を低下させる可能性もあった。したがって、プリント配線板の品質、製造コスト、及び設備コストの観点からメッキ処理前に真空加熱処理をする方が好ましい。これにより、アウトガスの発生が無くかつ平坦性の良いプリント配線板を安定した品質で作製することができる。
【0060】
以上のことにより、実装時にアウトガスの発生が無くかつ平坦性の良いプリント配線板を安定した品質で生産できる。
【0061】
また、上述した本発明の一実施の形態においては、銅箔付絶縁性フィルムとして、ポリイミド材のベースフィルムを用い、これにエポキシ系接着剤を介して、銅箔を積層した構成を例示したが、ポリイミドフィルム、エポキシ系接着剤、銅箔は、加工適正、汎用性に優れるものであるが、本発明においては、絶縁性フィルム等による絶縁性基板として、ポリイミドフィルム以外にも、従来公知のプリント配線板に使用される絶縁性基板を用いることもできる。また、この絶縁性基板は、可撓性、柔軟性を有していることが好ましい。また、その接着剤もエポキシ系接着剤以外に、他の熱硬化型接着剤を用いることができるのは言うまでもない。更に、金属箔として、銅箔以外にも従来公知のプリント配線板に使用される金属箔を使用することもできる。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、実装時にアウトガスの発生が無く、かつ、平坦性の良いプリント配線板を安定した品質で生産できるプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態におけるプリント配線板の製造方法によって作製されたプリント配線板の斜視断面図
(b)本発明の一実施の形態におけるプリント配線板の製造方法によって作製されたプリント配線板の要部断面図
【図2】(a)ベースフィルムと銅箔を接着層で貼り付ける工程を示す要部断面図
(b)エッチング処理により銅回路パターンを形成する工程を示す要部断面図
(c)真空加熱炉により接着層の残留溶剤を除去する工程を示す要部断面図
(d)処理槽により汚染層を除去する工程を示す要部断面図
【図3】(a)ソルダーレジストを形成する工程を示す要部断面図
(b)真空加熱炉によりソルダーレジストの残留溶剤を除去する工程を示す要部断面図
(c)アルカリ洗浄液により汚染層を除去する工程を示す要部断面図
【図4】(a)露出した銅回路パターン表面に積層メッキ膜を形成する工程を示す要部断面図
(b)本発明の一実施の形態におけるプリント配線板の製造方法により得られたプリント配線板を示す要部断面図
【符号の説明】
1 ベースフィルム
2 接着層
3 回路パターン
4 ソルダーレジスト
5 銅回路パターン
6 積層メッキ膜
7 銅箔
8 汚染層
9 真空加熱炉
10 アルカリ洗浄液
11 メッキ液
Claims (1)
- 可撓性を有する絶縁性フィルム表面に形成された接着層と銅箔とを貼り合わせ硬化させた銅箔付絶縁性フィルムをエッチング法により回路パターンを形成し、前記回路パターン表面に絶縁性と任意のパターンを有するソルダーレジストを塗布硬化させ、前記ソルダーレジストから露出した前記回路パターン表面にメッキ膜を形成するプリント配線板の製造方法であって、前記回路パターン形成直後でかつ前記ソルダーレジスト塗布前においては真空中、減圧下で前記接着層の残留溶剤の除去を行うための第一の熱処理を施し、前記ソルダーレジストの硬化は、前記ソルダーレジストの塗布直後に前記ソルダーレジストのタック性が無くなる程度に半硬化させるための第二の熱処理を施した後、真空中、減圧下で第三の熱処理を施し、前記第三の熱処理は前記ソルダーレジストの残留溶剤の除去を同時に行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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