JP4639008B2 - 無線端末、ビーコン局及び無線通信システム - Google Patents

無線端末、ビーコン局及び無線通信システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システムにおけるアンテナの自動切替え制御及び異常検出技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体間の無線通信技術の開発による移動体(車両)間の無線通信の可能性は、例えば、道路交通システムや鉄道車両システム等への応用が大変期待されるものである。具体的には、同一進路上の前方車両の速度や位置を後続車へ通報したり、他車両の異常情報が入手できることは、走行中の車両制御にとって大変貴重な情報となる。
【0003】
基地局を用いることなく車両間の通信を行なうためにコンテンション方式をそのまま導入すると車両の台数や運用形態を考慮したシステム設計が不可能となるといった問題点がある。
【0004】
一方、車両間の通信手段として、線路や道路側に各車両との無線通信制御を行なう装置等の高度なバックボーンを必要とせず、簡便に利用できる無線システムの構築が望まれているが、車両間のこのような無線通信システムの構築に際しては無線通信であるが故に、通信の信頼性、周波数の有効利用、隠れ端末問題や通信チャンネルの確保等を考慮した無線通信システムが当然考慮されなければならないという無線通信技術上の要請がある。
【0005】
このような課題を解決するための技術として、本願出願人が平成11年10月20日に出願(特願平11−298386号)の発明、すなわち、特開2001−118191公報に開示の車両間無線通信システムがある。
【0006】
上記公報開示の無線通信システムでは、例えば、図8に示すような車両間無線通信システム100で、無線通信機器を搭載した車両1−1、・・、1−3、車両2−1、2−2、車両3−1、3−2からなる車両グループ1、2、3、・・・に属している各車両の無線通信機器がビーコン(Beacon:基準信号)制御フレーム(ビーコンパケット)と呼ばれるグループ内の各無線通信機器の通信チャンネル割当てを行う機能を備えた制御フレームを用いて通信チャンネルの取得を行なうようにすることにより、グループ内の各無線通信機器(スレーブ局)が割当てられた各データスロット期間において特定の無線通信機器にのみデータフレームの送信を行う権利があるようにし、他の無線通信機器とのデータフレーム(データパケット)の衝突が発生しないように構成している。
【0007】
従来、移動体間の無線通信システムでは移動中の無線通信の信頼性を向上させるために、異常時に無線が使用できなくなる部分や故障の可能性の高い部分は多重化が行なわれて、特に、アンテナ部は移動体の外側に設置され、系の切断や、アンテナ自体の破損の危険性が高く、故障時にはシステムそのものに悪影響を及ぼすために多重化されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記本願出願人が出願済みの発明(特開2001−118191)の改善提案として本願出願人が平成13年3月23日に出願の「特願2001−85585」には信頼性向上のために無線システム起動時における無線通信機の異常検出技術が開示されているが、無線通信機が搭載された移動体の移動中(例えば、車両の走行中)の無線通信機の通常運用時における無線機の異常検出方法や多重化されたアンテナの有効的利用手段については明確でないといった問題点があった。
【0009】
本発明は、グループで移動中の移動体における無線通信の通常運用時のアンテナ異常検出とアンテナ異常が生じた場合に無線通信を確保して信頼性を向上し得る無線端末、ビーコン局及び無線通信システムの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明の無線端末は、複数の無線端末間でグループを形成して無線通信を行なう際、各グループのうちの一つの無線端末をビーコン局としてビーコン信号を発生するようにし、同一グループ内の他の無線端末はビーコン局が発するビーコン信号の後に続くデータフレームのうちで各無線端末に割り当てられた特定のデータスロットにおいて送信する通信プロトコルと、複数のアンテナと、複数のアンテナを切替えるアンテナ切替え手段と、各無線機の各アンテナの正常又は異常を弁別するアンテナ状態情報を記憶する記憶手段と、ビーコン局からビーコン信号を受信する受信手段と、受信手段によって受信したビーコン信号にアンテナ切替え制御情報及び指示アンテナ情報を含むビーコン信号が含まれているとき、アンテナ状態情報を参照して該指示アンテナ情報に対応するアンテナの状態を基にアンテナ切替え手段による複数のアンテナの切替え動作を制御するアンテナ切替え制御手段と、アンテナの状態の如何に拘わらず自機に割り当てられたデータスロットにおいて現在のアンテナ番号とアンテナ切替え実施情報を送信データ信号に含めてグループ内の無線端末に送信する送信手段と、ビーコン局からアンテナ切替え指示情報がクリアされたアンテナ切替え制御指示情報を含むビーコン信号を受信したとき、アンテナ切替えを禁止する切替え禁止手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、第2の発明は上記第1の発明の無線端末において、複数のアンテナのうち、他の無線端末からのビーコン信号やデータ信号を所定期間又は所定回数受信できないアンテナを異常としそれ以外は正常とするアンテナ状態弁別手段を備え、アンテナ状態情報は、このアンテナ状態弁別手段によって作成されることを特徴とする。
【0012】
また、第3の発明は上記第1の発明の無線端末において、グループ内の他の無線端末からのビーコン信号やデータ信号が受信できない回数をカウントする未受信状態計測手段と、アンテナ切替えを行なう目安とする切替え限界値を備え、アンテナ切替え制御手段は、更に、下記手順でもアンテナ切替え制御を行なうことを特徴とする:(1)無線端末の起動時に未受信状態計測手段をクリアするステップと、(2)無線端末の起動後、a:使用中のアンテナで他の無線端末からのビーコン信号やデータ信号が受信できなかった場合は未受信状態計測手段の値を増加させ、下記ステップcに遷移するステップと、b:上記ビーコン信号又はデータ信号が受信できた場合は未受信状態計測手段をクリアするステップと、未受信状態計測手段と切替え限界値を比較するステップと、c:比較の結果、受信状態計測手段の値が切替え限界値以上の場合は、▲1▼現在使用中のアンテナを異常としてアンテナ状態情報に書き込むステップと、▲2▼該現在使用中のアンテナを別のアンテナに切替えるステップと、▲3▼アンテナの切替えと同時に未受信状態計測手段をクリアするステップと、d:未受信状態計測手段の値が切替え限界値に達しなければ現在使用中のアンテナの切替えを行なわないステップと、(3)無線端末の起動中は上記(2)のa〜dの手順を繰り返すステップ。
【0013】
また、第4の発明のビーコン局は、上記第1乃至第3のいずれかの発明の無線端末であって、ビーコン信号を送出する際に、定期的に、アンテナ切替え制御情報と切替え指示したアンテナ情報を送出するビーコン信号に含めて送信するビーコン送信手段と、グループ内のすべての無線端末からアンテナ切替え実施情報を含んだデータを受信したとき、アンテナ切替え指示情報をクリアするアンテナ切替え制御指示情報クリア手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、第5の発明の無線通信システムは、複数の無線端末間でグループを形成して無線通信を行ない、しかも、各グループのうちの一つの無線端末をビーコン局としてビーコン信号を発生するようにし、同一グループ内の他の無線端末はビーコン局が発するビーコン信号の後に続くデータフレームのうちで各無線端末に割り当てられた特定のデータスロットにおいて送信する通信プロトコルを備えた無線通信システムにおいて、ビーコン局は上記第4の発明のビーコン局からなり、複数の無線端末は上記第1乃至第3のいずれかの発明の無線端末からなることを特徴とする。
【0015】
また、第6の発明は上記第5の発明の無線通信システムにおいて、無線端末は移動体に搭載されていることを特徴とする。
【0016】
また、第7の発明は上記第5又は第6の発明の無線通信システムにおいて、移動体は車両であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
(グループ内通信手順)
図1はグループ内通信手順の説明図であり、時間軸上に各々のグループの通信手順を示したものであり、前述した「特願2001−85585」に開示のグループ内通信手順と同様である。
【0018】
ここで、図1(a)のグループ内通信とは、そのグループ1,2,3,4に属している車両の無線通信機器が通信チャンネルを取得している期間(図1(c))を示している。各グループ1,2,3,4の通信チャンネルはビーコン(Beacon:基準信号)制御フレームと呼ばれる特別な制御フレームを用いて通信チャンネルの取得を行なう。
【0019】
このビーコン制御フレームには、グループ内の各無線通信機器の通信チャンネル割当て(slot)を行なう機能が備わっている。この通信チャンネル割当て機能とは、自無線通信機器が所属しているグループIDを持つビーコン制御フレームを受信した無線通信機器が自無線通信機器に割当てられたデータスロット(data slot)(図1(b)の例では4個のスロットslot1〜slot4)期間にデータフレームを送信する為の割当て時刻を計算する基準時刻を示す機能である。
従って、グループ内の各無線通信機器は、割当てられた各データスロット期間slot1〜slot4において、特定の無線通信機器にのみデータフレーム送信を行なう権利があるので他無線通信機器とのデータフレームの衝突が発生しない。このようにビーコン制御フレームを用いることにより、通信チャンネルの確保、衝突の起こらないデータ通信環境を実現することができる。
【0020】
(車載用無線端末の構成)
図2は本発明の車両間の無線通信システムにおいて各車両に搭載する無線通信機器(以下、車載用無線端末)の一実施例の構成を示すブロック図であり、図2(a)で、車載用無線端末10はアンテナ11、12、アンテナ切替え部13、無線通信部14、メモリ15、制御部16及び車両インターフェイス17を備えている。
【0021】
アンテナ11、12はアンテナ切替え部13によって適時切替えられ、無線通信部14からのデータの送信を行なうと共に、他の車載用端末からのデータを受信して無線通信部14に渡す。また、アンテナ切替え部13はスイッチ装置からなり、制御部16の制御により送受信アンテナをアンテナ11又はアンテナ12のいずれか一方に高速で切替える。なお、アンテナ11、12及びアンテナ切替え部13は多重化されたアンテナ部を構成する。図3に車両用無線端末10のアンテナ11,12が設けられた車両20を示す。
【0022】
無線通信部14は制御部16の制御下で所定の通信手順(例えば、図1に示す無線通信チャンネルの通信手順)により、アンテナ11又はアンテナ12を介してビーコン制御フレームの受信及びデータフレームの送受信を行なう。なお、車載用無線端末10が後述するビーコン局の場合にはビーコン制御フレームの送受信及びデータフレームの送受信を行なう。
【0023】
メモリ15は無線通信部14を介して受信したビーコン制御フレーム及びデータフレームの記憶や車両インターフェース17を介して取得した車両データ(車速、進行方向の方位、現在位置(座標)等)のほか、後述するアンテナフェールマップ(AFM)を制御部16の制御下で記憶する。
【0024】
制御部16は図2(b)に示すようなCPU(又はMPU)161と、ROM162のようなプログラム格納メモリ、RAM163及び内部時計等の周辺回路から構成されるコンピュータ構成をなしている。
【0025】
CPU(又はMPU)161はROM162に記録された制御プログラムにより装置全体の制御を実行する。また、ROM162に記録された通信制御プログラムにより他グループとのビーコン通信手順の実行及び本発明に係わるアンテナの自動切替え制御手順及び異常検出手順を含む無線通信手順の実行等を行なう。
【0026】
ROM162には制御プログラムや上記無線通信手順等を含む通信制御プログラム及びビーコン情報、各種設定値及びその他の処理プログラムが記録されている。また、RAM163はワークメモリとして用いられ、車載用無線端末10の起動時に、ROM162に格納されている制御プログラムを常駐させる他、適時、上述した通信制御プログラム、ビーコン情報等、或いはその他の処理プログラムをプログラム格納メモリから読み出して実行に必要な間だけ駐在させる。
【0027】
また、車両インターフェース17は車両に備えられたセンサー等によって取得される車速、進行方向の方位、現在位置(座標)等の車両データをデジタルデータに変換して制御部16の制御下でメモリ15に送ったり、メモリ15から読み出したデータを信号変換して車両側に送る(例えば、メモリ15から駆動系制御データを読み出した場合には、車両に備えられている駆動系制御部(図示せず)に送る)。
【0028】
(アンテナ切替え制御手順)
図4は各車両におけるアンテナ切替え制御手順を示すフローチャートである。
以下の説明で、各車両の無線端末10は図6に示すようなアンテナフェールマップ(AFM)を持っているものとする。
【0029】
ここで、AFMは各車両の状態を示す変数である。また、各車の無線端末10は変数としてAFMのほかに未受信の期間(又は回数)を示す「切替えカウンタ」を持っている。これらAFM及び「切替えカウンタ」はメモリ15に保持される。更に、各車の無線端末10は、定数として、どのくらいの期間未受信が続けば使用中のアンテナが切替えられて異常となるかを示す「切替え限界値」を持っている(メモリ15に設定され、記憶されている)。また、制御の基点となる車両の無線端末をビーコン局と呼ぶ。また、下記ステップF2からステップF10を繰り返すループは一定時間毎に起こる処理を示している。
【0030】
図4で、車載用無線端末10の起動時に制御部16はメモリ15に保持されているAFMをすべて正常にプリセットして「切替えカウンタ」をクリアする(ステップF1)。次に、制御部16は他の車両のデータ又はビーコンが正常に受信されたか否かを調べ(ステップF2)、正常に受信された場合は「切替えカウンタ」をクリアし、ステップF5に遷移する(ステップF3)。
【0031】
また、ステップF2で他の車両のデータ又はビーコンが正常に受信されなかった場合や受信エラーとなっている場合には、制御部16は「切替えカウンタ」を定期的に所定値ずつ増分(インクリメント:increment)させ、ステップF5に遷移する(ステップF4)。
次に、制御部16は各局(各車両の無線端末)で受信されたビーコンやビーコン局が送信するビーコンがアンテナ切替え制御指示フラグを含んでいるか否かを調べ(ステップF5)、切替え制御指示フラグがある場合は更に切替え先のアンテナのAFMの状態を調べ(ステップF6)、正常である場合はアンテナ切替え制御フラグをアンテナ切替え部13に出してアンテナ11又は12をアンテナ12又は11に切替え、「切替えカウンタ」をクリアする(ステップF7)。
【0032】
また、上記ステップF5で受信したビーコンにアンテナ切替え制御指示フラグがない場合、上記ステップF6で切替え先のアンテナのAFMの状態が正常でない場合、又は上記ステップF7でアンテナを切替えた場合は、「切替えカウンタ」の値を調べ(ステップF8)、「切替え限界値」以上であればステップF9に遷移し、「切替え限界値」未満であれば、ステップF2に戻る(ステップF8)。
【0033】
上記ステップF8で「切替えカウンタ」の値が「切替え限界値」以上の場合は制御部16はビーコンが受信されていなかった期間が長かったとして使用中のアンテナが異常であることをAFMにマッピングし(ステップF9)、アンテナ切替え処理、つまり、アンテナ切替え制御指示フラグのアンテナ切替え部13への送出によるアンテナの切替え及び「切替えカウンタ」のクリア、を行なう(ステップF10)。
【0034】
(アンテナの自動切換による車両走行中の無線通信の確保)
上記図4のフローチャートに示したアンテナの制御手順により、ビーコン局となった無線端末(走行中のある車両グループの内のある車両に搭載されている無線端末)はアンテナを自動的に切替えて走行中の車両に搭載された他の無線端末との無線通信を確保することができる。
【0035】
図5は図1のグループ内通信手順に基くフレーム伝達の時間的推移を示す図であり、説明上、車両1をビーコン局とする。
【0036】
先ず、ビーコン局(車両1)の無線通信部14は、ビーコン制御フレームにセットされたアンテナ切替え制御指示フラグと指示アンテナ番号を含めて送信する(図5(a))。また、ビーコン局(車両1)の制御部16は指示されたアンテナがAFM上で異常でなければアンテナ切替え部13に切替え指示信号を送って自機のアンテナを切替え、無線通信部14はアンテナの異常/正常に拘わらず、データフレームにアンテナ切替え実施フラグと自己の使用アンテナ番号を含めて送信する(図5(b))。
【0037】
各スレーブ局(車両2、3、4)の制御部16はビーコン局からのビーコン及びデータを受け取るとアンテナ切替え部13に切替え指示信号を送ってアンテナを切替える。また、無線通信部14はアンテナの異常/正常に拘わらず、データフレームにアンテナ切替え実施フラグと自己の使用アンテナ番号を含めて送信する(図5(c)、(d)、(e))。
上記図5に示したようなフレーム伝達の下で、ビーコン局(車両1)は全車両のデータフレームを受信でき、ビーコン局の制御部16はデータフレームに含まれているアンテナ切替え実施フラグが受信できたらビーコン制御フレームのアンテナ切替え制御指示フラグをクリアし、しばらくフレーム伝達サイクル(図5)を運用する。また、各スレーブ局(車両2、3、4)の制御部16は受信したビーコン信号に含まれているアンテナ切替え制御指示フラグがクリアされたことを検出することでデータフレーム上のアンテナ切替え実施フラグをクリアする。
【0038】
つまり、ビーコン局(車両1)は一定時間毎にアンテナの切替え指示をアンテナ番号順に出しながら走行する。また、各車両は前記図4に示したアンテナ切替え制御手順にしたがって動作する。
【0039】
(アンテナの異常検出)
また、ビーコン局はアンテナ異常を検出すると共に、AFMの状態により図7に示すようにアンテナ異常を検出することができる。ここで、図6はアンテナフェールマップ(AFM)の一実施例を示す図であり、図7はアンテナ異常が生じた場合のAFMの推移を示す図である。
【0040】
図6でAFM30は各車両の無線端末毎に保持されるテーブルであり、メモリ15に保持される。AFM30にはグループ内の各車両(この例では車両1〜4)の無線端末(10)のアンテナ(11、12)の状態(正常/異常)がそれぞれ記憶されている。また、図6で○/×で示してあるのは正常又は異常のどちらかの状態を示すマーク(○又は×)が記憶されることを意味する。なお、図示の例では○印を正常、×印を異常を示すマークとしたが実際には所定のフラグ値、例えば、アンテナが正常→0アンテナが異常→1が記憶される。
【0041】
例えば、グループ内の車両1〜4の無線端末がそれぞれ同じAFM30を内部に保持しており(図7(a))、車両1〜4の走行中に車両3のアンテナ11が故障又は破損すると、先ず車両3の無線端末のAFM30が図示のように変化し、車両3の無線端末のアンテナ11がアンテナ12に自動的に切替えられると共に、アンテナ異常フラグ及び異常アンテナ番号を含むデータフレームが車両3の無線端末から送信される(図7(b))。
【0042】
アンテナ異常フラグが含まれているデータフレームを受信した車両1、2、4では、制御部16はそれぞれが保持するAFMのうち受信データフレームに含まれている車両ID及び異常アンテナ番号に対応する部分に異常マーク×(実際にはフラグ値=1)を書き込む。つまり、ビーコン局が切替え指示を出していないにも係わらず車両3のアンテナが切り替わることとなり、車両3以外の車両1、2、4のAFM30も車両3のAFM30と同様に変化する(図7(c))。これにより、どの車両の無線端末も車両3の無線端末のアンテナが異常であることを検出でき、図4のフローチャートに示したアンテナ切替え制御手順によりアンテナの自動切替えを行なうことができる。
【0043】
以上、本発明の一実施例について説明したが本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能であることはいうまでもない。
【0044】
【発明の効果】
上記説明したように、上記第1及び第3の発明の無線端末によれば、グループ内の無線端末のアンテナに異常が生じたとき、どの無線端末もアンテナ異常が生じた無線端末のアンテナが異常であることを検出でき、アンテナの自動切替えを行なうことができる。
【0045】
また、第2の発明の無線端末によれば他の無線端末からのビーコン信号やデータ信号を所定時間受信できないとき又は所定回数受信できないときをアンテナ異常とし、それ以外をアンテナ正常としてアンテナ状態情報を作成するので、ビーコン信号やデータ信号の受信間隔や受信回数を計測し、限界値と比較するだけで簡単にアンテナ異常を検出することができる。
【0046】
また、第4の発明のビーコン局によれば、ビーコン局はアンテナ切替え制御指示情報と指示アンテナを含むビーコン信号を送出するので、他の無線端末のアンテナを自動的に切替えて無線端末との無線通信を確保することができる。
【0047】
また、第5乃至第7の発明の無線通信システムによれば、多重化したアンテナのうちのあるアンテナに故障等の異常が発生した場合にこれを自動的に検出でき、アンテナが自動的に切り替えられるので、無線通信を確保でき、信頼性の高い移動体間(車両間)の無線通信手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】グループ内通信手順の説明図である。
【図2】本発明の車両間の無線通信システムにおいて各車両に搭載する車載用無線端末の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】多重化アンテナを備えた車載用無線端末を搭載した車両の一実施例を示す図である。
【図4】各車両におけるアンテナ切替え制御手順を示すフローチャートである。
【図5】図1のグループ内通信手順に基くフレーム伝達の時間的推移を示す図である。
【図6】アンテナフェールマップ(AFM)の一実施例を示す図である。
【図7】アンテナ異常が生じた場合のAFMの推移を示す図である。
【図8】車両間無線システムの説明図である。
【符号の説明】
1 車両(ビーコン局)
2、3、4、20 車両
10 車載用無線端末(無線端末)
11、12 アンテナ
13 アンテナ切替え部(アンテナ切替え手段)
14 無線通信部(受信手段、送信手段、ビーコン送信手段)
15 メモリ(記憶手段)
16 制御部(アンテナ切替え制御手段、切替え禁止手段、アンテナ状態弁別手段、アンテナ切替え制御指示情報クリア手段)
30 AFM(アンテナフェールマップ(アンテナ状態情報))

Claims (7)

  1. 複数の無線端末間でグループを形成して無線通信を行なう際、各グループのうちの一つの無線端末をビーコン局としてビーコン信号を発生するようにし、同一グループ内の他の無線端末は前記ビーコン局が発するビーコン信号の後に続くデータフレームのうちで各無線端末に割り当てられた特定のデータスロットにおいて送信する通信プロトコルと、
    複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナを切替えるアンテナ切替え手段と、
    各無線機の各アンテナの正常又は異常を弁別するアンテナ状態情報を記憶する記憶手段と、
    前記ビーコン局からビーコン信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段によって受信したビーコン信号にアンテナ切替え制御情報及び指示アンテナ情報を含むビーコン信号が含まれているとき、前記アンテナ状態情報を参照して該指示アンテナ情報に対応するアンテナの状態を基に前記アンテナ切替え手段による前記複数のアンテナの切替え動作を制御するアンテナ切替え制御手段と、
    前記アンテナの状態の如何に拘わらず自機に割り当てられたデータスロットにおいて現在のアンテナ番号とアンテナ切替え実施情報を送信データ信号に含めて前記グループ内の無線端末に送信する送信手段と、
    前記ビーコン局からアンテナ切替え指示情報がクリアされたアンテナ切替え制御指示情報を含むビーコン信号を受信したとき、アンテナ切替えを禁止する切替え禁止手段とを備えたことを特徴とする無線端末。
  2. 複数のアンテナのうち、他の無線端末からのビーコン信号やデータ信号を所定期間又は所定回数受信できないアンテナを異常としそれ以外は正常とするアンテナ状態弁別手段を備え、前記アンテナ状態情報は、このアンテナ状態弁別手段によって作成されることを特徴とする請求項1記載の通信端末。
  3. 前記グループ内の他の無線端末からのビーコン信号やデータ信号が受信できない時間又は回数を計測する未受信状態計測手段と、アンテナ切替えを行なう目安とする切替え限界値を備え、
    前記アンテナ切替え制御手段は、更に、下記手順でもアンテナ切替え制御を行なうことを特徴とする請求項1記載の無線端末:
    (1)前記無線端末の起動時に前記未受信状態計測手段をクリアするステップと、
    (2)前記無線端末の起動後、
    a:使用中のアンテナで他の無線端末からのビーコン信号やデータ信号が受信できなかった場合は前記未受信状態計測手段の値を増加させ、下記ステップcに遷移するステップと、
    b:上記ビーコン信号又はデータ信号が受信できた場合は前記未受信状態計測手段をクリアするステップと、前記未受信状態計測手段と前記切替え限界値を比較するステップと、
    c:前記比較の結果、前記未受信状態計測手段の値が切替え限界値以上の場合は、
    ▲1▼現在使用中のアンテナを異常として前記アンテナ状態情報に書き込むステップと、
    ▲2▼該現在使用中のアンテナを別のアンテナに切替えるステップと、
    ▲3▼アンテナの切替えと同時に前記未受信状態計測手段をクリアするステップと、
    d:前記未受信状態計測手段の値が切替え限界値に達しなければ現在使用中のアンテナの切替えを行なわないステップと、
    (3)前記無線端末の起動中は上記(2)のa〜dの手順を繰り返すステップ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線端末であって、ビーコン信号を送出する際に、定期的に、アンテナ切替え制御情報と切替え指示したアンテナ情報を送出するビーコン信号に含めて送信するビーコン送信手段と、
    前記グループ内のすべての無線端末から前記アンテナ切替え実施情報を含んだデータを受信したとき、アンテナ切替え指示情報をクリアするアンテナ切替え制御指示情報クリア手段と、を備えたことを特徴とするビーコン局。
  5. 複数の無線端末間でグループを形成して無線通信を行ない、しかも、各グループのうちの一つの無線端末をビーコン局としてビーコン信号を発生するようにし、同一グループ内の他の無線端末は前記ビーコン局が発するビーコン信号の後に続くデータフレームのうちで各無線端末に割り当てられた特定のデータスロットにおいて送信する通信プロトコルを備えた無線通信システムにおいて、
    前記ビーコン局は請求項4記載のビーコン局からなり、前記複数の無線端末は請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線端末からなることを特徴とする無線通信システム。
  6. 前記無線端末は移動体に搭載されていることを特徴とする請求項5記載の無線通信システム。
  7. 前記移動体は車両であることを特徴とする請求項5又は6に記載の無線通信システム。
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