JP4638780B2 - 誘導加熱装置の制御方法、及び誘導加熱装置 - Google Patents

誘導加熱装置の制御方法、及び誘導加熱装置 Download PDF

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Description

本発明は、近接して配置された複数の誘導加熱コイルに供給する電力を、各ゾーン毎に個別制御することを可能にしたゾーンコントロールインバータの運転技術に関する。
複数の誘導加熱コイルを近接配置した加熱装置の運転については、誘導加熱コイル間における干渉(相互誘導)の抑制を目的として、種々技術開発が行われている。複数の誘導加熱コイルを近接配置した誘導加熱装置の運転方法を大別すると、下記に示す2つの方法を挙げることができる。
第1に挙げる技術は精密な温度制御を必要としない一般調理器具等に用いられる技術であり、例えば特許文献1に開示されている技術を挙げることができる。特許文献1に開示されている技術は、近接して配置された複数の誘導加熱コイルのそれぞれに個別にインバータ回路が接続された装置を運転するための技術であり、電力を供給するインバータを順次切り替えて運転するという技術に関するものである。特許文献1によれば、各インバータに対する電力供給の切り替えタイミングを調整することで、電力供給の切り替え時の負荷変動による電源電圧の変動を抑制することができる旨記載されている。具体的には、電源電圧のゼロクロスを検出し、この電圧のゼロクロスの検出タイミングで、電力を供給するインバータの切り替えを行うというものである。
第2に挙げる技術は半導体の熱処理等の精密な温度制御を要する分野に適した技術であり、本願出願人が鋭意研究を進める技術でもある。一例として特許文献2に開示する技術を挙げることができる。特許文献2に開示した技術は、複数の誘導加熱コイルに個別に接続したインバータに同時に電力を供給し、複数の誘導加熱コイルを同時に稼動させる技術に関するものである。具体的には、直列共振回路に接続された各インバータからの出力電流のゼロクロスを検出し、各インバータからの出力電流のゼロクロス位置と、基準パルスの立ち上がり位置(ゼロクロス位置)とを比較する。比較により個別に算出される基準パルスからの位相差が0となるように、あるいは0に近づくように出力電流の周波数を調整することで各インバータからの出力電流を同期させる。また、各インバータの出力電流が同期した後には、各インバータの出力電圧を増減させることで各誘導加熱コイルに供給する電流の制御を行い、被加熱物の温度分布の均一化を図るというものである。
特開2004−22501号公報 特開2004−146283号公報
特許文献1に開示されている技術による加熱装置の運転は、汎用の電磁調理器等に用いる技術としては許容できる範囲の温度分布を保つことができると考えられる。しかし、精密かつ高速な温度制御を必要とする半導体分野に用いる技術としては、致命的な温度ムラを生じる可能性を否定できない。
一方、特許文献2に開示した技術は、上述した半導体分野を視野にいれて研究を進めた技術であり、精密かつ高速な温度制御を行う場合であっても、必要十分な均一加熱を実現することができる。しかし、特許文献1に開示されている技術に比べて複雑な電力制御を行うこととなる本技術では、安定運転に移行する前、すなわち装置起動直後における出力電流の同期制御は困難とされている。つまり、装置起動直後は相互誘導の影響によりインバータからの出力電流の制御が不安定となることが考えられる。
よって、本願出願人は、電流同期制御を行う直列共振型の誘導加熱装置において、各インバータの起動を安定して行うことができれば、より安全で精密、かつ高速な温度制御を実現することができるのではないかと考え、これらを実現可能な制御方法、及び当該制御方法を実施するための誘導加熱装置を提供することを本発明の目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱装置の制御方法は、複数の加熱コイルのそれぞれに対応させた共振型インバータを有する誘導加熱装置の制御方法において、起動時に加熱コイルに投入する電流を定格運転時よりも小さくし、各加熱コイルに投入する電流周波数を一時的に変化させて電流波形ゼロクロスを同期制御した後、あるいは電流波形ゼロクロスの同期制御が完了する時間として予め定めた時間が経過した後、電流を定格運転時の値に向けて増加させることを特徴とする。
このような制御方法によれば、起動直後における電流同期前の状態時に、出力電流の値を小さくしておくことで、各インバータから出力される電圧値も小さな値となる。したがって相互誘導の影響等によって出力電圧の増減があった場合でも、回路内に投入される電流に急激な変化が生じることを防止することができ、誘導加熱装置の起動時の運転を安定させることができる。
また、上記のような誘導加熱装置の制御方法では、起動時に加熱コイルに投入する電流の周波数を定格運転時の周波数よりも高く設定すると良い。
このような制御方法によれば、上記制御方法による効果に加え、起動時における各インバータからの出力電流の位相差の幅を少なくすることができ、擬似的に同期制御を行った状態とすることができる。また、実際に電流の同期制御を行う場合も短時間で同期をとることが可能となり、定格運転に到るまでの時間を短くすることができ、安全性を高めることができる。また、定格運転後には出力電流の周波数を低下させるため、インバータにかかる負荷を抑えることができると共に、エネルギーロスも少ない。
また、上記のような誘導加熱装置の制御方法では、起動時における各インバータの電圧値または電圧値比率、及びインバータ間の電圧位相差をそれぞれ設定して運転すると良い。
このような制御方法によれば、各インバータについて設定する電圧値または電圧値比率、及びインバータ間の電圧位相差によって、起動時に所望する運転状態を実現することが可能となる。
さらに、上記のような誘導加熱装置の制御方法では、定格運転時における電圧比率、及びインバータからの出力電圧のパルス位置をそれぞれ起動時における設定値とすることが望ましい。
このような制御方法によれば、出力電流の同期制御を行う前に定格運転における電圧バランスを実現することができるため、起動時の運転状態を安定させることができる。
上記目的を達成するための誘導加熱装置であって、上述した制御方法を実施するための誘導加熱装置は、複数の加熱コイルのそれぞれに対応させて電流波形のゼロクロスを検出し、電流周波数を一時的に変化させることで前記ゼロクロスの同期制御を行うことを可能とした共振型インバータを備える誘導加熱装置であって、起動時における各インバータの電流値、電流周波数、電圧値または電圧値比率、及びインバータ間の電圧位相差を設定する設定手段を備えたことを特徴とする。
このような特徴を有する誘導加熱装置であれば、上記誘導加熱装置の制御方法を実施することができる
上記のような誘導加熱装置の制御方法によれば、誘導加熱装置の起動直後の運転を安定に行うことが可能となる。また、上記構成の誘導加熱装置によれば、上記制御方法を実施することができる。
以下、本発明の誘導加熱装置の制御方法、及び誘導加熱装置に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明に係る一部の実施形態・実施例であって、本発明は、以下の形態のみに拘束されるものではない。
図1に本発明に係る誘導加熱装置10の概略ブロック図を示す。
本実施形態における誘導加熱装置10の概略構成は、図示しない被加熱物を加熱するための複数の誘導加熱コイル(加熱コイル)20(20a,20b)と、前記それぞれの誘導加熱コイル20に電流・電圧を供給するための電源部とから成る。
前記複数の誘導加熱コイル20は、近接配置されており、被加熱物の均一加熱を可能とするために、後述する電源部により各誘導加熱コイル20内に生じる相互誘導電圧を抑制して、それぞれの誘導加熱コイル20への投入電力の制御を可能としている。なお、図1においては、模式的に回路に係る内部抵抗24(24a,24b)を示している。
前記電源部は、電圧調整回路と、当該電圧調整回路によって電圧調整された電流が入力される電流調整回路であるインバータ18(18a,18b)とより成る。ここで、電圧調整回路とは、例えば、装置全体の電源となる三相交流電源12と、前記三相交流電源12からの出力電流を直流電流に変換するコンバータ(順変換器)14と、出力する電流の電圧を制御するチョッパ回路16(16a,16b)との組合せなどであれば良い。また、前記インバータ18は、誘導加熱コイル20への出力電流の周波数を制御し、前記コンバータ14によって直流に変換された電流を交流に変換して出力する逆変換器のことを言う。なお、ここで定義した電圧調整回路は、他の構成であっても良い。また、電圧調整回路には、平滑コンデンサ30,34やコイル32を備え、インバータ18に供給する電力の安定化を図っている。
本実施形態の誘導加熱装置10の場合、前記インバータ18は直列共振型インバータとしており、誘導加熱コイル20と、インバータ18との間に、前記誘導加熱コイル20と直列にキャパシタ(コンデンサ)22(22a,22b)を接続している。また、誘導加熱コイル20、インバータ18との間には、前記誘導加熱コイル20と並列に変圧器26(26a,26b)が設けられ、前記誘導加熱コイル20と直列に変流器28(28a,28b)が設けられており、誘導加熱コイル20に投入される電流と電圧(インバータ20からの出力電圧と出力電流)を検出できるようになっている。なお、変圧器26及び変流器28によって検出された電圧、及び電流は、後述する制御ユニット50へ入力される。
制御ユニット50には、インバータ18やチョッパ回路16に信号を送り、それぞれの駆動を制御する駆動制御部56や、近接配置した誘導加熱コイル20内を流れる負荷電流(出力電流)の位相角を検出する位相差検出部52、前記誘導加熱コイル20内を流れる電流・電圧を検出する電力検出部54、検出した各種信号の情報に基づいて電流周波数の補正値、並びに供給電圧の制御値を算出し、当該算出値を前記駆動制御部56へ出力する演算部58等が備えられている。
また、本実施形態の誘導加熱装置10では、制御ユニット50に図示しない設定手段を備え、起動時にインバータ18から出力される電流値、電流周波数、チョッパ回路16によって制御されてインバータ18から出力される電圧の電圧値又は電圧値比率(電圧レベル比率)、及び各インバータ18における電圧位相差(パルス位置)等を設定することを可能としている。設定手段の具体例の1つとして図1に示すような記憶部60を挙げることとする。記憶部60は、例えば、インバータ18から出力される電流やチョッパ回路16によって制御された電圧のパルス位置、レベル比率、並びに起動時に設定する出力電流の値、起動時に設定する出力電流の周波数の値、定格運転時に目安とする出力電流の値、定格運転時に目安とする出力電流の周波数等を記憶することを可能とし、記憶したデータを演算部58が算出する制御値又は補正値に反映させることができる。
上記のような構成の誘導加熱装置10では、定格運転時においては次のような制御が行われることで相互誘導の影響を回避可能としている。まず、位相差検出部52が、各ゾーンに設けられた変流器28を介して各誘導加熱コイル20を流れる電流(インバータ18からの出力電流)の波形情報I,Iを取得する(図2参照)。取得した情報に基づいて各誘導加熱コイル20を流れる電流のゼロクロスを検出し、このゼロクロスの位置と、基準とする波形、例えば誘導加熱コイル20aを流れる電流の波形Iにおけるゼロクロスの位置とを比較し、ズレ量である位相差θを導き出す。演算部58は前記位相差θに基づいて、対応するインバータ18bの出力電流Iのゼロクロスを、基準とする出力電流Iのゼロクロスに合致させるための補正値を算出する。電流波形におけるゼロクロスの位置の補正は、出力電流の周波数を一時的に変化させることにより実施することができる。よって演算部58では、各インバータ18の出力電流のゼロクロス位置を補正するための周波数を算出し、これを補正値として駆動制御部56へ出力する。駆動制御部56は、補正値として与えられた周波数で電流を出力するように各インバータ18を制御する。この制御を繰り返すことにより、各インバータ18からの出力電流は一定の範囲内で同期されることとなり、各誘導加熱コイル20に規定の電流を投入するために定められる電圧値が安定することとなる。そして、電圧値の安定と共に各誘導加熱コイル20に投入される電流も安定させることができる。なお、電力検出部54は、誘導加熱コイル20に投入されている電圧、電流の値と、制御値である電圧、電流の値との差分を補正するために、変圧器26、変流器28を介して実際に誘導加熱コイル20に投入されている電圧、電流を取得し、演算部58へフィードバックし、駆動制御部56に補正値を与える構成とされている。なお、同期制御を行った電流は、電力の損失を防止するために、電圧に対して遅れ位相となるように制御される。
上記より理解できるように、本発明でいう定格運転時とは、各インバータ18から対応する誘導加熱コイル20へ出力される電流の位相を同期させる制御を行い、同期制御が行われた状態で出力電圧の制御が成され、誘導加熱コイルへ出力する電流の値を制御している状態のことをいう。
本発明では誘導加熱装置10の制御にあたり、特に起動時(起動直後)の制御に着目し、起動時における誘導加熱装置10を安定運転するために、以下に示すような制御方法を提案する。
第1の制御方法の概略は、起動時におけるインバータ18からの出力電流(誘導加熱コイル20を流れる電流)の値を、定格運転時の出力電流の値に比べて小さくするというものである。そして、小電流の運転にて各インバータからの出力電流の同期制御を行い、その後、インバータ18からの出力電流の値を定格運転時の出力電流の値に近づけるというものである。
起動時における出力電流の値は、電流周波数のゼロクロスが検出可能な程度の極めて小さな値で良い。ここで、インバータ18からの出力電流には相互誘導の影響などによりノイズが生ずるため、ノイズの影響によって装置がゼロクロスを誤認しないようにする必要がある。本実施形態では装置の誤動作を防止するために、ゼロクロスを検出するための閾値を設け、電流がその値を超えた位置をゼロクロスの位置と判定している。したがって、起動時の出力電流Ist,Istは、電流値0Aに対する閾値を超え、かつ実際のゼロクロス位置から閾値を超えるまでの位相差Δθが予め定めた範囲内とすることができる程度の小さな値とすることが望ましい。
なお、ゼロクロスを検出する際の誤差であるΔθは、電流値の多寡の影響によるパルスの立ち上がり角度の違いがあるため、定格運転時における誤差である位相差Δθに比べて大きな値となるが、起動時における出力電流Ist,Istの値が、定格運転時における出力電流I,Iの値に対して5%程度の値であれば、電流同期を行う上で十分な精度でゼロクロス位置を得ることができると考えられる。すなわち、本発明でいう同期制御とは、完全同期を成すことのみでなく、予め定められた閾値の範囲内で同期をとる制御を含むものである。
起動直後における電流同期前の状態時に、出力電流の値を小さくしておくことで、各インバータ18における電圧値も小さな値となる。したがって相互誘導の影響等によって出力電圧の増減があった場合でも、回路内に投入される電流に急激な変化が生じることを防止することができ、誘導加熱装置10の起動時の運転を安定させることができる。
次に第2の制御方法について説明する。第2の制御方法の概略は、上記制御方法に加え、起動時におけるインバータ18からの出力電流の周波数の値を定格運転時の出力電流の周波数に比べて高く設定するというものである。そして、高周波数の運転にて各インバータ18からの出力電流の同期制御を行い、その後、インバータ18からの出力電流の周波数の値を定格運転時における出力電流の周波数の値に近づけるというものである。このような制御を行うことにより、起動時における各インバータ18からの出力電流の位相差の幅が少なくなり、擬似的に同期制御を行った状態とすることができる。また、実際に電流の同期制御を行う場合も短時間で実行することが可能となり、安定運転に到るまでの時間が短くなり安全性を高めることができる。また、安定運転後には出力電流の周波数を低下させて定格運転に移行するため、インバータ18にかかる負荷を抑えることができると共に、エネルギーロスも少ない。なお当然に、上述した第1の制御方法の効果を奏することもできる。
起動時における電流周波数の設定値の目安は、次の通りである。加熱部を構成する共振素子、すなわち誘導加熱コイル20とコンデンサ22とのインピーダンスのリアクタンス成分が、回路の抵抗成分(内部抵抗24)よりも十分に大きな値となるように周波数を設定するのである。共振素子のインピーダンスをZ、リアクタンス成分をX、抵抗成分(内部抵抗)をRと示すとすると、
Figure 0004638780
と表すことができる。ここで、数式1は、
Figure 0004638780
と表すことができ、Lはコイル容量(インダクタンス)、Cはコンデンサ容量(リアクタンス)、ωは角周波数、fは周波数を示すため、R、L、Cの値が既知であれば、周波数fの設定値を向上させるほど数式1におけるXの値は大きくなり、
Figure 0004638780
を成立させることができる。また、誘導加熱コイル20を流れる電流の電圧に対する位相差θは、
Figure 0004638780
と表すことができ、X/Rは、
Figure 0004638780
と表すことができるため、数式3におけるRと|X−X|との差が大きくなればなるほど、各誘導加熱コイル20を流れる電流の電圧に対する位相差は90°に近づくこととなり、各インバータ18間における電圧に対する位相差のバラツキは少なくなる。よって、上述したように、周波数を高めることにより誘導加熱コイル20に投入される電流の擬似的な同期制御が可能となり、起動直後の安定運転を実現することができる。すなわち、各誘導加熱コイル20を備える回路の回路定数が異なる非対称負荷の誘導加熱装置であっても、起動を安定させることができるのである。
本制御方法実施時における出力電圧V、出力電流I、電流周波数fの偏移傾向変移傾向を図3に示す。なお、それぞれの詳細な数値は、任意設定によって種々変化するため本図では傾向のみを示すものとする。
出力電圧Vは、起動時に設定された値から電流同期期間にいたるまでの間に僅かに上昇がみられる。これは、出力電流を同期制御可能な状態に調整するために成される電圧調整である。その後、電流同期期間においては略一定値を維持し、移行期間で出力電流の値を上昇させることに伴って上昇し、定格運転に到り、高電圧で安定状態を維持することとなる。
出力電流Iは、起動時から電流同期期間にかけて、同期制御可能な電流値まで上昇する。電流同期期間では、略一定電流を維持した状態で同期制御が成される。移行期間では定格運転を行うための電流値に向けて同期制御を保ったまま、電圧値と共に急激に上昇する。定格運転に到った後は、被加熱物を均一加熱するために必要とされる電流値を確保するため、電流値に急激な変化の無い状態が維持される。
本制御方法における周波数fは、起動時に高く設定されるため、電流同期期間が終了し、移行期間に到るまでは急激な変化は無い。なお、電流同期期間では、インバータ間の電流同期制御を目的として一時的に周波数の調整は行われるものの、基準とされる周波数に変化は無い。移行期間では、インバータの負荷を軽減するために、定格運転時の周波数に向けて電流周波数を下げる。定格運転期間は当然に、電流同期制御が実行されているため、急激な変化は無い。
図3から読み取れるように、本制御方法によれば、移行期間にはすでに電流同期制御が完了し、安定運転に到っていることがわかる。また、起動時から電流同期期間までの間、すなわち起動運転時であっても、第1の制御方法に記載したように、出力電流の値を小さくしているために電流値に急激な変化が起こることの無い状態、すなわち安定した状態であるといえる。さらに、起動時における出力電流の周波数を高く設定することにより、起動運転における安定状態を確かなものとすることができる。さらにまた、起動時の出力電流の周波数を高く設定することにより、起動時から移行期間に到るまでの間、すなわち起動運転の期間を短縮することができ、早期に安定運転に到ることができる。
次に、第3の制御方法について説明する。第3の制御方法の概略は、定格運転時における各インバータ18からの出力電圧(チョッパ回路16によって制御された電圧)のパルス位置、及び電圧比率を予め取得し、取得した出力電圧のパルス位置、及び電圧レベル比率を、起動時におけるインバータ18からの出力電圧のパルス位置、及び電圧レベル比率として設定し、その後に上記第1、又は第2の制御方法を実施するというものである(図4参照)。
出力電圧のパルス位置(位相差Δθ)、及び電圧レベル比率(VL1:VL2)は、通常、出力電流の同期制御を行った後に、出力電流の同期を維持するために自動調整が行われるものである。よって、この出力電圧のパルス位置、及び電圧レベル比率を起動時の値として演算部58に入力し、駆動制御部56への制御値として反映させることで、出力電流の同期制御を行う前に定格運転時における電圧バランスを実現することができる。このため、起動時にインバータ18から出力される電流が異常な値を示すことが無くなり、起動直後の運転状態を安定させることができる。また、上記制御を行った後に上述した第1、第2の制御方法を実施することにより、上記それぞれの効果を奏することができる。
具体的には、定格運転の状態にある誘導加熱装置10では、出力電流の波形は各ゾーン間で同期し、出力電圧のパルス位置、電圧レベルはわずかにずれた状態となり、例えば図4に示すような波形を見ることができる。
本実施形態では、図4に示す出力電圧の波形(パルス位置、電圧レベル比率)を事前の実験、あるいは経験から取得・算出し、これを設定手段、本実施形態でいう制御ユニット50の記憶部60に入力する。そして入力された情報は、演算部58を介して制御値として駆動制御部56へ入力され、起動時の出力電圧のパルス位置、電圧レベル比率に反映させるのである。
本実施形態では誘導加熱装置10を制御するための電流や電圧のパルス位置、レベル比率、起動時に設定する出力電流の値、起動時に設定する出力電流の周波数の値、定格運転時に目安とする出力電流の値、定格運転時に目安とする出力電流の周波数等を制御ユニット50に備えた記憶部60に記憶させて制御を行う旨記載したが、これらの情報は誘導加熱装置を操作するオペレータによって逐次入力される場合であっても、他の設定手段を介して入力される場合であっても、本発明に係る誘導加熱装置の制御方法を実施することに変わりは無い。
また、実施形態に示した誘導加熱装置は、誘導加熱コイルを2つ備えるものであるが、当然に、さらに複数の誘導加熱コイルを備えるものであっても良い。
また、上記実施形態では、起動時における電流の同期制御を確実に行って運転を安定させた後に定格運転に移行するように記載しているが、起動時に設定された条件によって同期制御が成されるまでに予測される時間を測定、あるいは算出し、この時間をもって同期制御が行われたとみなし、定格運転に移行する制御を行っても良い。
本発明の誘導加熱装置の構成を示すブロック図である。 定格運転時の電流波形の例と、起動時の電流波形の例とを示す図である。 出力電圧、出力電流、電流周波数の変移傾向を示す図である。 電圧波形、及び電流波形の例を示す図である。
符号の説明
10………誘導加熱装置、12………三相交流電源、14………コンバータ、16(16a,16b)………チョッパ回路、18(18a,18b)………インバータ、20(20a,20b)………誘導加熱コイル、22(22a,22b)………コンデンサ、24(24a,24b)………内部抵抗、26(26a,26b)………変圧器、28(28a,28b)………変流器、50………制御ユニット。

Claims (5)

  1. 複数の加熱コイルのそれぞれに対応させた共振型インバータを有する誘導加熱装置の制御方法において、
    起動時に加熱コイルに投入する電流を定格運転時よりも小さくし、
    各加熱コイルに投入する電流周波数を一時的に変化させて電流波形ゼロクロスを同期制御した後、あるいは電流波形ゼロクロスの同期制御が完了する時間として予め定めた時間が経過した後、電流を定格運転時の値に向けて増加させることを特徴とする誘導加熱装置の制御方法。
  2. 起動時に加熱コイルに投入する電流の周波数を定格運転時の周波数よりも高く設定することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置の制御方法。
  3. 起動時における各インバータの電圧値または電圧値比率、及びインバータ間の電圧位相差をそれぞれ設定して運転することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱装置の制御方法。
  4. 定格運転時における電圧比率、及びインバータからの出力電圧のパルス位置をそれぞれ起動時における設定値とすることを特徴とする請求項3に記載の誘導加熱装置の制御方法。
  5. 複数の加熱コイルのそれぞれに対応させて電流波形のゼロクロスを検出し、電流周波数を一時的に変化させることで前記ゼロクロスの同期制御を行うことを可能とした共振型インバータを備える誘導加熱装置であって、
    起動時における各インバータの電流値、電流周波数、電圧値または電圧値比率、及びインバータ間の電圧位相差を設定する設定手段を備えたことを特徴とする誘導加熱装置。
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