JP4252552B2 - 誘導加熱方法及び装置 - Google Patents

誘導加熱方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4252552B2
JP4252552B2 JP2005094185A JP2005094185A JP4252552B2 JP 4252552 B2 JP4252552 B2 JP 4252552B2 JP 2005094185 A JP2005094185 A JP 2005094185A JP 2005094185 A JP2005094185 A JP 2005094185A JP 4252552 B2 JP4252552 B2 JP 4252552B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
induction heating
induction
control
resonance circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005094185A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006278097A (ja
Inventor
直喜 内田
一博 尾崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Mitsui E&S Holdings Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Mitsui E&S Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd, Mitsui E&S Holdings Co Ltd filed Critical Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Priority to JP2005094185A priority Critical patent/JP4252552B2/ja
Publication of JP2006278097A publication Critical patent/JP2006278097A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4252552B2 publication Critical patent/JP4252552B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、誘導加熱方法、及び誘導加熱装置に係り、特に複数の誘導加熱コイルを近接配置して被加熱物の加熱を行う高磁気結合の誘導加熱装置における誘導加熱方法及び誘導加熱装置に関する。
近接配置された複数の誘導加熱コイルを用いて被加熱物を加熱する際の課題として、当該被加熱物を均一加熱する、あるいは高精度に加熱制御するということが挙げられている。この課題の解決を妨げる要因として、近接配置された誘導加熱コイル間に発生する相互誘導電圧が知られている。
高磁気結合の誘導加熱装置における誘導加熱コイル間の相互誘導の影響を抑制する方法や、その方法に対応した装置としては、特許文献1〜3に開示されているようなものを挙げることができる。
特許文献1には、近接配置する誘導加熱コイルに投入する電流の周波数を異ならせ、コイルの配置方向(例えば巻き方向)を近接するコイルと逆向きにすることで、コイル内に発生する相互誘導電圧を相殺することが開示されている。しかし、特許文献1では、コイルのサイズを考慮していない。このため、実際に高磁気結合の誘導加熱装置に適応させた場合には、相互誘導電圧を完全に相殺することはできないと考えられる。また、コイル内に発生する相互誘導電圧を相殺する場合には、被加熱物を加熱するための磁界も相殺されてしまい、被加熱物の加熱が困難となる可能性もある。
また、特許文献2、特許文献3には、複数の誘導加熱コイルに供給する電力を時分割で切り換えることで、相互誘導の影響を排除することが開示されている。このような技術によれば、稼動しているコイルは相互誘導の影響を受けることは無くなる。しかし、稼動していないコイル内には依然として相互誘導電圧が発生することとなる。また、被加熱物を同時加熱することができないため、被加熱物には加熱ムラが発生する。
特開平10−27681号公報 特開2000−243544号公報 特開2004−220928号公報
上記特許文献1〜3に開示されているものの他にも、コイル間に生じる相互誘導の影響を抑制・排除するための技術は数多く提案されている。しかし、いずれの技術においても、高磁気結合の誘導加熱装置において相互誘導の影響を完全に抑制することはできない。
このような現状において、本願出願人の研究により、次のようなことが解明された。
複数の誘導加熱コイルを制御する高磁気結合の誘導加熱装置においては、各コイルから発生される磁力線は、他のコイルにおける被加熱物(ワーク)の加熱領域(ゾーン)にも影響を及ぼす。このため、1つのコイルの磁力線を受けてワーク内に発生した誘導起電力が、他のコイルに対して相互誘導電圧として影響を与えるという現象が起こる。
ここで、ワーク内における他の加熱コイルに対応した加熱ゾーンに干渉し、ワークの加熱を促す誘導起電力によって回路内に生ずる電圧成分(ワーク内に生じる干渉磁場によって回路内に誘起される電圧成分)を有効分の相互誘導による相互誘導電圧(有効分の相互誘導電圧)と定義する。そして、ワークの加熱に関与しないコイル間の相互誘導電圧を、無効分の相互誘導電圧と定義する。
上記理論によると、隣接配置した誘導加熱コイルには、無効分の相互誘導による相互誘導電圧の他に、有効分の相互誘導による相互誘導電圧が発生することとなる。このため、無効分の相互誘導電圧を抑制する従来の制御方法では、予期しない有効分の相互誘導によりコイル内に発生する相互誘導電圧を抑制することができず、インバータからの出力電流の制御が不安定となる。
したがって本発明では、上記有効分の相互誘導によって生じる相互誘導電圧を考慮してインバータの出力電圧を設定し、インバータからの出力電流の制御を安定させ、その制御性能を向上させることを目的とする。
インバータの出力電流の制御は、誘導加熱コイルを含む回路内の共振素子(回路)に対し、投入を予定する電流を得るための電圧を確保するようにインバータの出力電圧を制御すれば良いと考えられる。すなわち、インバータの出力電圧が、無効分の相互誘導によって回路内に生ずる相互誘導電圧と、有効分の相互誘導電圧によって回路内に生ずる相互誘導電圧と、共振素子に投入する電流を得るために必要とする電圧との総和と等しい値となれば良い。
そこで、上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱方法は、近接配置された複数の誘導加熱コイル毎に直列共振回路を構成し、各々の周波数・電流を同期させると共に個別に電力制御することを可能とした電源部を備えた誘導加熱装置により被加熱物を誘導加熱コイルに対応した加熱ゾーン単位に誘導加熱する方法であって、前記電源部からの出力電圧の制御を行うに際し、一の共振回路におけるインピーダンスと当該一の共振回路に投入する電流値から成る電圧と、前記被加熱物内における他の共振回路の誘導加熱コイルによる干渉磁場により加熱を生じさせる誘導起電力によって前記一の共振回路内に生ずる有効分の相互誘導電圧、および前記被加熱物の加熱に関与せずに一の共振回路内に生ずる無効分の相互誘導電圧の和を電圧制御値として求め、前記インピーダンスが誘導性となる値に出力電流の周波数を設定または制御することで、前記電源部からの出力電圧が前記有効分の相互誘導電圧と前記無効分の相互誘導電圧との和よりも高い値となるようにしたことを特徴とした。
このような誘導加熱方法であれば、電源部からの出力電圧は常に、回路内に生ずる相互誘導電圧よりも高い値となる。したがって、誘導加熱コイルに対して電流を供給することができなくなる虞が無く、誘導加熱装置を安定して運転させることが可能となる。
また前記電源部からの出力電圧が前記有効分の相互誘導電圧と前記無効分の相互誘導電圧との和よりも高い値となるようにフィードフォワード制御するようにすると良い。
このような誘導加熱方法によれば、変動する相互誘導電圧に対して、電源部からの出力電圧をフィードフォワード制御を踏まえて設定することができる。このため、電源部からの出力電圧として、前記インピーダンスと設定した出力電流の値とから算出される電圧値を精度良く確保することができる。したがって、設定した出力電流を安定して出力することができる。
また、上記のような誘導加熱方法では、前記電源部からの出力電圧が、出力電流に対して、所望される分解能を得ることができる値となるように共振回路のインピーダンスを設定することが望ましい。
このような方法により、出力電流が、相互誘導電圧の変動による影響を受けにくくなる。
上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱装置は、近接配置された複数の誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイル毎に構成される直列共振回路と、前記直列共振回路毎に周波数・電流を同期させると共に個別に電力制御することを可能とした電源部と、を備えて被加熱物を誘導加熱する誘導加熱装置であって、
個々の回路に設定されたインダクタンスとキャパシタンスとに基づいて、共振回路のインピーダンスが誘導性となる周波数を算出し、当該周波数を出力電流の周波数に対する制御値として前記電源部に備えるインバータに出力する制御手段と、前記インバータの入力側に設けられた電圧調整回路とを備え、前記制御手段は、前記回路内に生ずる相互誘導電圧に対する制御相当値を一の共振回路におけるインピーダンスと当該一の共振回路に投入する電流値から成る電圧と、前記被加熱物内における他の共振回路の誘導加熱コイルにおける干渉磁場により加熱を生じさせる誘導起電力によって前記一の共振回路内に生ずる有効分の相互誘導電圧、および前記被加熱物の加熱に関与せずに一の共振回路内に生ずる無効分の相互誘導電圧の和として算出し、算出された値を電圧制御値として前記電圧調整回路に与える構成としたことを特徴とする。
また、上記特徴を有する誘導加熱装置において、前記制御手段は、PWM制御率を求め、前記電圧調整回路にて前記PWM制御率に従った出力電圧の制御を行うことで前記電圧制御値を前記電源部からの出力電圧として出力させるフィードフォワード制御を行う構成とすると良い。
さらに、上記構成の誘導加熱装置において、前記制御手段は、前記インバータからの出力電圧が、出力電流に対して所望される分解能を得ることができるインピーダンスを算出し、当該インピーダンスに基づいて出力電流の周波数を算出する構成とすることが望ましい。
上記構成の装置によれば、上記誘導加熱方法を実施することができ、上記誘導加熱方法による効果を奏することができる。
以下、本発明の誘導加熱方法および誘導加熱装置に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態・実施例は、本発明に係る一部の実施形態・実施例であって、本発明は、以下の形態のみに拘束されるものではない。
図1に本発明に係る誘導加熱装置の概略ブロック図を示す。なお、図1において、図1(A)は平面図を示し、図1(B)は側面断面図を示す。
本実施形態における誘導加熱装置の概略構成は、被加熱物(ワーク)10と、前記ワーク10の下面側に備えられ、前記ワーク10を加熱するための誘導加熱コイル12、14、16、18、20、22と、前記それぞれの誘導加熱コイルに電流・電圧を供給するための電源部とから成る。
前記ワーク10は、導電性物質から構成されており、本実施形態の場合、図1に示すように円形の板状体としている。このようなワーク10は、加熱効率を高める場合には、体積あたりの固有抵抗が高い物質を採用することが望ましい。
前記誘導加熱コイル12、14、16、18、20、22は、それぞれ同心円上となるように環状(C型)に近接配置されており、ワーク10の均一加熱を可能とするために、後述する電源部により相互誘導の影響によって各誘導加熱コイル内に生じる相互誘導電圧を抑制して、それぞれの誘導加熱コイル12、14、16、18、20、22への投入電力を制御可能に設定されている。
前記電源部は、電圧調整回路と、当該電圧調整回路によって電圧調整された電流が入力されるインバータ32(32a〜32f)とより成る。ここで、電圧調整回路とは、例えば、装置全体の電源となる三相交流電源24と、前記三相交流電源24からの出力電流を直流電流に変換するコンバータ(順変換器)26と、出力する電流の電圧を制御するチョッパ回路30(30a〜30f)とのことを言う。また、前記インバータ32は、誘導加熱コイル12〜22への出力電流の周波数を制御し、前記コンバータ26によって直流に変換された電流を交流に変換して出力する逆変換器のことを言う。なお、ここで定義した電圧調整回路は、他の構成であっても良い。
本実施形態の誘導加熱装置の場合、前記インバータ32は直列共振型インバータとしており、誘導加熱コイルと、インバータ32との間に、前記誘導加熱コイルと直列にキャパシタ(コンデンサ)42を接続している。また、誘導加熱コイルと、インバータ32との間には、前記誘導加熱コイルと並列に変圧器38が設けられ、前記誘導加熱コイルと直列に変流器36が設けられており、インバータ32からの出力電圧と出力電流を検出できるようになっている。なお、変圧器38及び変流器36によって検出されたインバータ32からの出力電圧、及び出力電流は、後述する制御ユニット34(34a〜34f)へフィードバックされる構成としている。
制御ユニット34には、インバータ32やチョッパ回路30の駆動を制御する駆動制御部(不図示)や、近接配置した誘導加熱コイル内を流れる負荷電流(出力電流)の位相を調整する位相制御部(不図示)、及び各種信号に基づいて制御値を算出する演算部(不図示)等が備えられている。制御ユニット34には、基準信号生成部28から各誘導加熱コイル12〜22に供給する電流波形が入力され、これを基に各インバータ32や各チョッパ回路30へ制御信号を送る。
本実施形態の制御ユニット34は、詳細を後述するように、誘導加熱コイルを含む回路内のインダクタンスと、直列共振用のキャパシタンスとから求められるインピーダンスが誘導性となる周波数値を算出し、これを前記インバータ32に対する周波数制御値として出力する。このような制御を行うことにより、インバータからの出力電圧が回路内に発生する相互誘導電圧よりも高い値となるため、誘導加熱装置の運転が安定する。
また、本実施形態の制御ユニット34は、FF(フィードフォワード)制御を考慮したPID(Proportional Integral Derivative)制御によりPWM(Pulse Width Modulation)制御率を求め、これをチョッパ回路30の制御値として与えることでインバータ32からの出力電圧を制御する構成としている。このような制御を行うことにより、インバータ32からの出力電圧の制御性能が格段に向上する。
上記のような構成の誘導加熱装置において、インバータ32からの出力電流・電圧の検出、電流位相差の検出、電流位相差、出力電流・電圧の補正、を高速で行うことにより、相互誘導の影響を抑制して近接配置した誘導加熱コイルを制御することができる。
なお、詳細な回路構成、及び電流制御に関しては既知の技術(例えば特開2003−17426号公報)及び後述する制御理論に基づくものとする。
上記のような構成の誘導加熱装置を制御するにあたり、誘導加熱コイルを備える各回路内に発生する相互誘導電圧は、発明が解決しようとする課題の項で述べたように、無効分の相互誘導によって生じる相互誘導電圧(無効分の相互誘導電圧)と、有効分の相互誘導によって生じる相互誘導電圧(有効分の相互誘導電圧)である。以下、これらの相互誘導電圧を考慮してインバータ32からの出力電流を安定制御する誘導加熱方法、及びインバータの制御性能を向上させる誘導加熱方法について説明する。
以下、説明を簡単化するために、図2を参照して2ゾーンでワークの誘導加熱を行う場合における誘導加熱方法について説明する。
インバータIVに接続した回路に設定電流(所望する電流)Iを流すためには、誘導加熱コイルLを含む回路内のインダクタンス(L+Ls)と、コンデンサのキャパシタンスCとから構成される共振素子に対して負荷する電圧VzをインバータIVからの出力電圧として確保する必要がある。
インバータIV1とIV2のそれぞれに接続された回路に同時に電流を投入した場合、各回路内には、図2に示すように無効分の相互誘導電圧Vmと、有効分の相互誘導電圧Vrとが発生する。したがって、共振素子に対して電圧Vzを負荷するためには、インバータの出力電圧Vivが、
Figure 0004252552
となるように制御する必要がある。
インバータIVに接続された回路に干渉する無効分の相互誘導電圧Vm21と有効分の相互誘導電圧Vr21とはそれぞれ、数式2のように表すことができる。
Figure 0004252552
ここで、Vr11とは、当該回路の電流によって誘起される電圧(有効分の電圧)を示し、Vr21とは有効分の相互誘導の影響により誘起される相互誘導電圧(有効分の相互誘導電圧)を示し、Vrはその和を示す。また、kは無効分の相互誘導の結合係数であり、αは有効分の結合係数である。また、Rwはワークの等価抵抗を示す。
また、共振素子に対して所望される電圧Vzは共振素子のインピーダンスZ×回路に投入する電流値Iであるから、数式1は、
Figure 0004252552
と表すことができる。すなわち、共振素子のインピーダンスZが定まれば、回路に対して所望する電流値Iを供給するために必要とする電圧Vzが求まる。ここで、共振素子を構成するインダクタンスLに係るインピーダンスZと、キャパシタンスCに係るインピーダンスZはそれぞれ、
Figure 0004252552
と表すことができる。よって回路内の共振素子(共振回路)のインピーダンスZは、
Figure 0004252552
となる。ここで、jは虚数を表し、L、Cはそれぞれ定数であるから、Zを定めるには周波数ωを制御すれば良いこととなる。
ここで、インピーダンスZには誘導性(プラス)と容量性(マイナス)とがあることを考慮する。インピーダンスZが誘導性の場合、上記数式2においてインバータIVからの出力電圧Vivを計算した場合の設定値は、
Figure 0004252552
となる。この場合、Vivは相互誘導電圧の総和(Vm21+Vr21)よりも必ず高い値となる。一方、インピーダンスZが容量性となった場合のインバータIVからの出力電圧Vivの設定値を表すと、
Figure 0004252552
となる。この場合、インバータIVからの出力電圧Vivの設定値は相互誘導電圧の総和(Vm21+Vr21)よりも低い値となってしまう(図3参照)。こうした場合、電流がインバータ側に逆流し、装置の故障原因となることがある。したがって、インバータIVは、出力電流の周波数を定めるにあたり、インピーダンスZが誘導性となるように設定、又は制御する必要がある。また、インピーダンスZが誘導性となるように設定、又は制御することにより、インバータからの出力電圧が回路内に発生する相互誘導電圧の総和よりも高い値となるため、誘導加熱装置の運転が安定する。
ここで、インピーダンスZを誘導性とするためには、
Figure 0004252552
が成り立てば良い。この式を周波数ωについて解くと、
Figure 0004252552
となる。すなわち、数式9が成り立つようにインバータの出力周波数ωを定めることにより、インピーダンスZを誘導性とすることができる。そして、周波数ωを設定、又は制御して所望のインピーダンスZを定めることにより、共振回路への投入電流Iに対する電圧値Vzが定まる。これにより、インバータの出力電圧Vivが求まるため、電源部はインバータの出力電圧がVivとなるようにチョッパ回路30にて出力電圧の制御を行うことにより、インバータ32からの出力電流Iを安定させることが可能となる。
上述のようにして算出された回路への投入電流Iを安定制御するための投入電圧Vivを安定して出力するために、上記制御ユニット34は、FF(フィードフォワード)制御を考慮したPID(Proportional Integral Derivative)制御によりPWM(Pulse Width Modulation)制御率を求め、これをチョッパ回路30の制御値として与えることでインバータ32からの出力電圧Vivを制御することとした(図4参照)。
この場合、インバータからの出力電圧Vivは、
Figure 0004252552
となる。ここで、VDC1はコンバータ26から出力される直流電流の電圧を示す。また、PWM制御率とは、チョッパ回路のON/OFF周期:TにおけるON時間:tの割合(t/T)のことをいう。すなわち、コンバータ26からの出力電圧VDC1をチョッパ回路に入力し、チョッパ回路にてPWM制御率に従った出力制御を行うことで、インバータからの出力電圧がVivとなるように制御するのである。したがって、PWM制御率の精度によりインバータ32からの出力電圧Vivの制御精度が変わることとなる。
本実施形態では、次のような方法でPWM制御率を算出することとしている。例えば、ある時nにおけるPWM制御率:PWMは、数式11のように表すことができる。
Figure 0004252552
ここで、FFcrn−1、FFcrはそれぞれ、フィードフォワード電圧(FF)に対して与えられるPWM制御相当値(cr:contain reading)である。また、Isetは回路に投入する電流の目標(設定)値であり、I1nはある時nにおいて回路に投入されている電流値である。なお、k、kはそれぞれ積分ゲイン、比例ゲインを示す。
数式11においてフィードフォワード電圧(FF)として取得する電圧は、無効分の相互誘導電圧と有効分の相互誘導電圧の総和である。したがって、ある時nにおけるフィードフォワード電圧FFは次のように示すことができる。
Figure 0004252552
このように、インバータ電圧Vivを制御するチョッパ回路30のON/OFF制御におけるON時間の制御率(PWM制御率)を算出する際に、無効分の相互誘導電圧と有効分の相互誘導電圧との総和電圧に相当する制御値をフィードフォワード値として与えることで、インバータの出力電圧Vivの安定制御が可能となる。ここで注目すべきことは、フィードフォワード値として与える制御値に、有効分の相互誘導電圧に対する制御相当値を含むことである。このように、従来考慮されていなかった変動値(有効分の相互誘導に対する制御相当値)をフィードフォワード値として演算に反映させることにより、制御系の制御性能は格段に向上する。
また、本実施形態に係る誘導加熱方法及び装置では、図5(A)、(B)に示すようにインピーダンスZの値を大きくすることにより、投入電流Iの変動に対するVivの変化が大きくなる。換言すれば、Vivの変動に対する投入電流Iの変化が小さくなるということである。
すなわち、インピーダンスZの設定値を向上させることにより、インバータ32からの出力電圧Vivによる出力電流Iの分解能を、向上させることができるのである。また、相互誘導の影響により相互誘導電圧の総和が変動し、共振回路への投入電圧Vzが変動した場合であっても、インバータ32からの出力電流Iに及ぶ影響が少なくなるため、ワークの加熱制御が安定する。
本発明の誘導加熱装置における概略構成を示す図である。 2ゾーンにおける相互誘導の関係を示すブロック図である。 インピーダンスの違いによる出力電圧の変化を示す図である。 誘導加熱装置における電源部及び制御ユニットのブロック図である。 インバータからの出力電圧の変化と、インピーダンスの変化との関係を示す図である。
符号の説明
10………被加熱物(ワーク)、12,14,16,18,20,22………誘導加熱コイル、24………三相交流電源、26………順変換器(コンバータ)、28………基準信号生成部、30(30a〜30f)………チョッパ回路、32(32a〜32f)………逆変換器(インバータ)、34(34a〜34f)………制御ユニット。

Claims (6)

  1. 近接配置された複数の誘導加熱コイル毎に直列共振回路を構成し、各々の周波数・電流を同期させると共に個別に電力制御することを可能とした電源部を備えた誘導加熱装置により被加熱物を誘導加熱コイルに対応した加熱ゾーン単位に誘導加熱する方法であって、
    前記電源部からの出力電圧の制御を行うに際し、一の共振回路におけるインピーダンスと当該一の共振回路に投入する電流値から成る電圧と、前記被加熱物内における他の共振回路の誘導加熱コイルによる干渉磁場により加熱を生じさせる誘導起電力によって前記一の共振回路内に生ずる有効分の相互誘導電圧、および前記被加熱物の加熱に関与せずに一の共振回路内に生ずる無効分の相互誘導電圧の和を電圧制御値として求め、
    前記インピーダンスが誘導性となる値に出力電流の周波数を設定または制御することで、前記電源部からの出力電圧が前記有効分の相互誘導電圧と前記無効分の相互誘導電圧との和よりも高い値となるようにしたことを特徴とする誘導加熱方法。
  2. 前記電源部からの出力電圧が前記有効分の相互誘導電圧と前記無効分の相互誘導電圧との和よりも高い値となるようにフィードフォワード制御することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱方法。
  3. 前記電源部からの出力電圧が、出力電流に対して、所望される分解能を得ることができる値となるように共振回路のインピーダンスを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導加熱方法。
  4. 近接配置された複数の誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイル毎に構成される直列共振回路と、前記直列共振回路毎に周波数・電流を同期させると共に個別に電力制御することを可能とした電源部と、を備えて被加熱物を誘導加熱する誘導加熱装置であって、
    個々の回路に設定されたインダクタンスとキャパシタンスとに基づいて、共振回路のインピーダンスが誘導性となる周波数を算出し、当該周波数を出力電流の周波数に対する制御値として前記電源部に備えるインバータに出力する制御手段と、前記インバータの入力側に設けられた電圧調整回路とを備え
    前記制御手段は、前記回路内に生ずる相互誘導電圧に対する制御相当値を一の共振回路におけるインピーダンスと当該一の共振回路に投入する電流値から成る電圧と、前記被加熱物内における他の共振回路の誘導加熱コイルにおける干渉磁場により加熱を生じさせる誘導起電力によって前記一の共振回路内に生ずる有効分の相互誘導電圧、および前記被加熱物の加熱に関与せずに一の共振回路内に生ずる無効分の相互誘導電圧の和として算出し、算出された値を電圧制御値として前記電圧調整回路に与える構成としたことを特徴とする誘導加熱装置
  5. 前記制御手段は、PWM制御率を求め、前記電圧調整回路にて前記PWM制御率に従った出力電圧の制御を行うことで前記電圧制御値を前記電源部からの出力電圧として出力させるフィードフォワード制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱装置。
  6. 前記制御手段は、前記インバータからの出力電圧が、出力電流に対して所望される分解能を得ることができるインピーダンスを算出し、当該インピーダンスに基づいて出力電流の周波数を算出する構成としたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の誘導加熱装置。
JP2005094185A 2005-03-29 2005-03-29 誘導加熱方法及び装置 Active JP4252552B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005094185A JP4252552B2 (ja) 2005-03-29 2005-03-29 誘導加熱方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005094185A JP4252552B2 (ja) 2005-03-29 2005-03-29 誘導加熱方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006278097A JP2006278097A (ja) 2006-10-12
JP4252552B2 true JP4252552B2 (ja) 2009-04-08

Family

ID=37212656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005094185A Active JP4252552B2 (ja) 2005-03-29 2005-03-29 誘導加熱方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4252552B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101395512B1 (ko) 2007-11-12 2014-05-14 엘지전자 주식회사 유도가열 조리기기의 전원 제어장치 및 방법
JP5063755B2 (ja) 2010-08-09 2012-10-31 三井造船株式会社 誘導加熱装置および誘導加熱方法
JP5612518B2 (ja) * 2011-03-23 2014-10-22 三井造船株式会社 誘導加熱装置、誘導加熱装置の制御方法、及び制御プログラム
CN102938948A (zh) * 2012-11-25 2013-02-20 淄博市临淄银河高技术开发有限公司 恒压精控型感应加热设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006278097A (ja) 2006-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7432481B2 (en) Induction heating method and unit
JP4638780B2 (ja) 誘導加熱装置の制御方法、及び誘導加熱装置
JP5388109B2 (ja) 誘導加熱装置、その制御方法、及びプログラム
JP4252552B2 (ja) 誘導加熱方法及び装置
JP4313775B2 (ja) 誘導加熱方法および装置
US20010015352A1 (en) Induction heating device with a switching power source and image processing apparatus using the same
JP5466905B2 (ja) 誘導加熱装置及び誘導加熱装置の制御方法
JP4964737B2 (ja) 金属材の誘導加熱方法及び装置
JP3962598B2 (ja) 誘導加熱装置
TWI752015B (zh) 電源裝置、及電源裝置的控制方法
JP5402241B2 (ja) 出力制御装置、画像形成装置および出力制御方法
JP2002124369A (ja) 誘導加熱装置及び該誘導加熱装置を備えた画像処理装置
JP4005931B2 (ja) 誘導加熱方法及び装置
JP2005152304A (ja) 炊飯器
TWI565365B (zh) 感應加熱裝置的控制裝置
JP3938587B2 (ja) 誘導加熱方法
JP2012199028A (ja) 加熱制御装置及び加熱制御方法
JP4015525B2 (ja) 誘導加熱システムの出力電流制御方法およびその装置
JP4431346B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP2008145671A (ja) 画像形成装置
JP2008187795A (ja) 電力変換装置
JP2014119653A (ja) 誘導加熱定着装置及び画像形成装置
JP2007157494A (ja) 誘導加熱装置
JP6854428B2 (ja) インバータ装置およびその制御方法
JP2018125961A (ja) 電力制御装置およびそれを用いた画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080909

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090109

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4252552

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150130

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250