JP2014119653A - 誘導加熱定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度制御をより正確で高速に、かつ共振周波数が変動した場合にも安定して行うことが可能な誘導加熱定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る誘導加熱定着装置1は、誘導加熱コイルL1と、これに接続されたコンデンサC2,C3と、直流電力を生成する直流電源部30と、誘導加熱コイルL1に供給される電流を制御するIGBT22,23と、その駆動信号を生成する駆動信号生成部5を備える。駆動信号生成部5は、駆動信号と誘導加熱コイルL1の電流との位相差に基づく位相電圧を生成する位相電圧生成部70と、起動時の少なくとも一時点において位相電圧、駆動周波数及び出力電力を記憶する記憶部41と、記憶部41に記憶された値に基づいて、駆動周波数を含む駆動パラメータを算出する算出部42と、駆動パラメータに基づいてIGBT22,23を制御する駆動部90と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る誘導加熱定着装置1は、誘導加熱コイルL1と、これに接続されたコンデンサC2,C3と、直流電力を生成する直流電源部30と、誘導加熱コイルL1に供給される電流を制御するIGBT22,23と、その駆動信号を生成する駆動信号生成部5を備える。駆動信号生成部5は、駆動信号と誘導加熱コイルL1の電流との位相差に基づく位相電圧を生成する位相電圧生成部70と、起動時の少なくとも一時点において位相電圧、駆動周波数及び出力電力を記憶する記憶部41と、記憶部41に記憶された値に基づいて、駆動周波数を含む駆動パラメータを算出する算出部42と、駆動パラメータに基づいてIGBT22,23を制御する駆動部90と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、誘導加熱定着装置及び画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置の分野において、トナーを熱溶融させる定着ローラ又は定着ベルトを加熱する際に、電磁誘導により熱を生じさせる誘導加熱定着装置を備える画像形成装置が知られている。誘導加熱定着装置は、誘導加熱コイルに交流電流を流して交流磁界を発生させ、この交流磁界により、定着ローラ又は定着ベルトの内部に配置された導体部に渦電流を発生させてジュール熱を生じさせる。誘導加熱コイルには、直列にコンデンサが接続され、これらの誘導加熱コイル及びコンデンサにより共振回路が形成されている。共振回路には、共振回路に流れる交流電流を制御するためのスイッチング素子が接続されている。導体部の温度の調整は、スイッチング素子の駆動周波数やデューティ比を調整することによって行われる(例えば特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載の技術では、駆動周波数と電力との関係に基づいて、駆動周波数を所望の電力値に対応する値とすることにより、電力の調整が行われる。電力は、共振回路の共振周波数において極大値をとる。したがって、所望の電力に対応する駆動周波数は、共振回路の共振周波数より高周波側に1個と、低周波側に1個と、の計2個が存在する。このため、電力を安定に制御するためには、共振回路の共振周波数より高周波数側又は低周波数側のいずれか一方の周波数領域のみを使用する必要がある。
ここで、共振回路の共振周波数は、負荷のばらつき等により変動する。そのため、例えば特許文献1の技術のように、共振周波数よりも高周波数側の領域を使用する場合、どのような条件下でも駆動周波数が共振周波数よりも高周波数側にあることを保証するためには、駆動周波数の下限値を共振周波数と比べてある程度高くする必要がある。したがって、共振周波数に近い領域でスイッチング素子を駆動して、電力を大きくすることができなくなる。また、特許文献1に記載の技術では、駆動周波数のみを変動させることにより誘導加熱コイルへの出力電力を制御しているため、温度検出センサ出力から所望の電力値を算出し、算出された電力値に基づいて周波数を変動させることにより、誘導加熱コイルへの出力電力を所望の電力値に近づける制御を正確に行うことが難しかった。
本発明は、温度制御をより正確で高速に、かつ共振周波数が変動した場合にも安定して行うことが可能な誘導加熱定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係る誘導加熱定着装置は、誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルに接続されたコンデンサと、直流電力を生成する直流電源部と、直流電源部から誘導加熱コイルに供給される電流を制御するスイッチング素子と、スイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備えている。駆動信号生成部は、駆動信号と誘導加熱コイルに供給される電流との位相差に基づく位相電圧を生成する位相電圧生成部と、起動時に誘導加熱コイルへの出力電力を増加させる過程における少なくとも1つの時点において、当該時点での位相電圧、駆動信号の周波数である駆動周波数、及び出力電力を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された位相電圧、駆動周波数、及び出力電力の値に基づいて、駆動周波数を含む駆動パラメータを算出する算出部と、算出部により算出された駆動パラメータに基づいて、スイッチング素子を制御する駆動部と、を有する。
この誘導加熱定着装置では、駆動信号生成部において、記憶部により、起動時の少なくとも1つの時点において、当該時点での位相電圧、駆動周波数、及び出力電力が記憶されている。そして、算出部により、記憶部に記憶された位相電圧、駆動周波数、及び出力電力の値に基づいて駆動パラメータが算出される。そして、駆動パラメータに基づいて、スイッチング素子が制御される。このため、記憶部に記憶された位相電圧、駆動周波数、及び出力電力といった数値には誘導加熱定着装置の変動やばらつきが反映されており、これらの数値に基づいて、誘導加熱コイルへ出力される電力が制御される。したがって、この誘導加熱定着装置によれば、温度制御をより正確で高速に、かつ共振周波数が変動した場合にも安定して行うことが可能となる。
また、誘導加熱定着装置において、駆動パラメータには、駆動信号のデューティ比が含まれていてもよい。この場合、駆動周波数を一定としたまま、デューティ比を変化させることにより、スイッチング素子を制御することができるため、誘導加熱コイルへの出力電力の制御の自由度が高まり、一層正確で高速な温度制御を行うことができる。
また、誘導加熱定着装置において、算出部により算出された駆動パラメータに基づく制御を開始した後、位相電圧が所定の範囲外の値である場合に、位相電圧が所定の範囲内の値となるように、記憶部に記憶された駆動周波数を変更してもよい。この場合、誘導加熱コイルとキャパシタにより構成される共振回路の共振周波数の変動等により位相電圧が所定の範囲外の値となった場合に、駆動周波数を変更することができるため、共振回路の共振周波数の変動に対応して誘導加熱コイルへの出力電力の制御を行うことができる。
また、誘導加熱定着装置において、駆動周波数の変更時には、変更後の駆動周波数の値に応じて、位相電圧の所定の範囲を変更してもよい。この場合、駆動周波数の変動に応じた適切な位相電圧の範囲に位相電圧が入るように、誘導加熱コイルへの出力電力の制御を行うことができる。
また、誘導加熱定着装置において、位相電圧が所定の最小値を下回った場合に、誘導加熱コイルに供給される電流を遮断してもよい。この場合、駆動周波数が低くなりすぎて、誘導加熱コイルへの出力電力が過大となった場合に、誘導加熱コイルに供給される電流が遮断されるため、誘導加熱コイルへの出力電力の制御を安全に行うことができる。
また、誘導加熱定着装置において、位相電圧生成部は、駆動信号と誘導加熱コイルに供給される電流との位相差を表す位相差パルス信号を生成する位相差パルス生成回路と、位相差パルス生成回路により生成された位相差パルス信号を平滑化することにより位相電圧を生成するローパスフィルタと、を備えていてもよい。この場合、位相差パルス信号をそのまま使用する場合と比較して、位相差パルス信号が入ったタイミングで割り込み制御を行う必要がないため、駆動信号生成部等における処理に支障をきたすことがなくなる。また、パルス幅が小さくなった場合にパルス幅を正確に計測できなくなることによる誤動作の発生を防止することもできる。
また、本発明に係る画像形成装置は、上述の誘導加熱定着装置を備える。この画像形成装置においても、上述した誘導加熱定着装置と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、温度制御をより正確で高速に、かつ共振周波数が変動した場合にも安定して行うことが可能な誘導加熱定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る誘導加熱定着装置の構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。誘導加熱定着装置1は、例えば画像形成装置に設けられ、トナー像をシート上に定着させるための装置である。誘導加熱定着装置1は、定着ローラ10を備える。定着ローラ10は、加熱されることにより、トナーを熱溶融させる。定着ローラ10の内部には、導体部が配置されている。この導体部の周囲に交流磁界が発生すると、導体部に渦電流が流れ、この渦電流に起因するジュール熱により、定着ローラ10が加熱される。定着ローラ10の温度は、後述するように、PID制御により制御される。このPID制御を行うために、定着ローラ10には、定着ローラ10の温度を検知するための温度センサ21が設けられている。なお、誘導加熱定着装置1は、定着ローラ10に代えて、定着ベルトを備えていてもよい。以下の説明では、誘導加熱定着装置1が定着ローラ10を備えるものとする。
まず、第1実施形態に係る誘導加熱定着装置の構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。誘導加熱定着装置1は、例えば画像形成装置に設けられ、トナー像をシート上に定着させるための装置である。誘導加熱定着装置1は、定着ローラ10を備える。定着ローラ10は、加熱されることにより、トナーを熱溶融させる。定着ローラ10の内部には、導体部が配置されている。この導体部の周囲に交流磁界が発生すると、導体部に渦電流が流れ、この渦電流に起因するジュール熱により、定着ローラ10が加熱される。定着ローラ10の温度は、後述するように、PID制御により制御される。このPID制御を行うために、定着ローラ10には、定着ローラ10の温度を検知するための温度センサ21が設けられている。なお、誘導加熱定着装置1は、定着ローラ10に代えて、定着ベルトを備えていてもよい。以下の説明では、誘導加熱定着装置1が定着ローラ10を備えるものとする。
誘導加熱定着装置1は、定着ローラ10の加熱のための交流磁界を発生するハーフブリッジ出力回路20を備える。ハーフブリッジ出力回路20は、誘導加熱コイルL1を備える。誘導加熱コイルL1に交流電流が流れると、誘導加熱コイルL1の周囲に交流磁界が発生し、この交流磁界が定着ローラ10に渦電流を流す。
ハーフブリッジ出力回路20は、直列に接続された2個のコンデンサC2,C3を備える。誘導加熱コイルL1の一端は、コンデンサC2とコンデンサC3との間に接続される。これらの誘導加熱コイルL1及びコンデンサC2,C3が、共振回路を構成する。この共振回路は、固有の共振周波数を有する。
ハーフブリッジ出力回路20は、直列に接続された2個のIGBT22,23(スイッチング素子)を備える。IGBT22のエミッタは、IGBT23のコレクタに接続される。IGBT22のエミッタ及びIGBT23のコレクタは、電流トランス24の一次側巻線を介して誘導加熱コイルL1の一端に接続される。誘導加熱コイルL1の他端は、コンデンサC2の一端及びコンデンサC3の一端に接続されている。IGBT22,23のゲートは、駆動部90を介して温度制御部40に接続されている。このように、ハーフブリッジ回路を構成するIGBT22,23は、誘導加熱コイルL1に供給される電流を制御する。電流トランス24は、誘導加熱コイルL1に供給される電流の大きさを検出するために設けられている。図1においては、便宜上、電流トランス24の一次側巻線の接続構成のみをハーフブリッジ出力回路20内に示し、電流トランス24の二次側巻線の接続構成については、図1の左下側に分離して示している。電流トランス24の二次側巻線には、電流トランス24の二次側巻線に電流が流れることを可能とするために、抵抗R3が並列に接続されている。
誘導加熱定着装置1は、直流電力を生成する直流電源部30をさらに備える。直流電源部30は、交流電源V1、ヒューズ31、ダイオードブリッジDB1、バリスタ32、コモンモードチョークコイル33及びコンデンサC1を備える。交流電源V1は、例えば商用電源である。ヒューズ31は、過電流が流れた場合に溶けて切断されることにより、回路を保護する。ダイオードブリッジDB1は、交流電源V1からの交流電流を整流し、直流を出力する。バリスタ32は、サージ電圧などにより高電圧がかかった場合に抵抗値が低くなることにより、その両端間の電圧が極端に高くなることを防止し、サージ電圧から回路を保護する。コモンモードチョークコイル33は、コモンモードのノイズ電流を除去する。このコモンモードチョークコイル33とコンデンサC1とが、ノイズフィルタを形成する。ダイオードブリッジDB1の直流側の2つの端子は、コモンモードチョークコイル33を介してハーフブリッジ出力回路20に接続される。これらの2つの端子間には、直列に接続された2つの抵抗R1,R2が接続されている。抵抗R1,R2は、AC電圧を検出するために設けられている。
誘導加熱定着装置1は、IGBT22,23を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部5を備える。駆動信号生成部5は、少なくとも、位相電圧生成部70と、記憶部41及び算出部42を含んだ温度制御部40と、駆動部90と、を備える。これらの詳細な構成については、後述する。
駆動信号生成部5は、温度制御部40を備える。温度制御部40は、例えばメモリを内蔵する1個のマイクロコントローラである。温度制御部40は、記憶部41、算出部42、設定レジスタ43、ADC44、入力電力算出部45、割込み/IOポート46、ADC47、PID演算部48、DAC49及び駆動パルス生成カウンタ51を備える。
記憶部41は、後述する位相電圧の値、IGBT22,23の駆動信号の周波数である駆動周波数の値、及び誘導加熱コイルL1への出力電力の値を記憶する。
算出部42は、後述する方法により、記憶部41に記憶された位相電圧、駆動周波数、及び出力電力の値に基づいて、IGBT22,23を駆動するための駆動信号の駆動周波数を含む駆動パラメータを算出する。駆動パラメータには、駆動周波数の他、IGBT22,23の駆動信号のPWMデューティ比、定着ローラ10の温度を制御する際のPID制御のための比例定数の選択、などがある。算出部42は、その他の演算として、例えば温度制御部40の動作状態の制御や、誘導加熱コイルL1への出力電力が過大となった場合に電流を遮断するための判定処理を行うようにしてもよい。
設定レジスタ43は、算出部42での演算に使用されるレジスタ値を記憶する。レジスタ値の例としては、最大電力値Po_Max、設定温度T_target、温度制御開始温度T_control、共振周波数、最大周波数fMax、PWMデューティ比の最大値PWM_Maxと最小値PWM_Min、PID制御のための比例定数である比例ゲインKp、積分ゲインKi、微分ゲインKd、などがある。これらのレジスタ値がどのように使用されるかについては、後述する。
ADC44は、後述の整流回路81によって出力された、誘導加熱コイルL1に流れる電流の大きさを表す信号、及び後述のAC電圧フィルタ・増幅回路部86によって出力された、ハーフブリッジ出力回路20に印加される電圧の大きさを表す信号をデジタル信号に変換するためのAD変換器である。
入力電力算出部45は、ADC44によって出力された、電流及び電圧の大きさを示すデジタル信号を乗算し、誘導加熱コイルL1への入力電力を算出する。
割込み/IOポート46は、後述のコンパレータ85及びコンパレータ87の入力を受け付ける部分である。割込み/IOポート46は、コンパレータ85,87からの入力が変化した際に割込み信号を発生させてもよいし、通常のIO処理により、コンパレータ85,87からの信号入力を受け付けるようにしてもよい。
ADC47は、温度センサ21によって出力された、定着ローラ10の温度を表す温度信号をデジタル信号に変換するためのAD変換器である。
PID演算部48は、ADC47から入力された定着ローラ10の表面温度を検知する温度センサ21の温度情報に基づき、PID演算を行って、定着ローラ10の設定温度を維持するために必要な出力電力を決定し、この出力電力を算出部42に送信する。
DAC49は、算出部42によって演算された、位相電圧の最小値をDA変換してコンパレータ85に出力するとともに、算出部42によって演算された、誘導加熱コイルL1に流れる電流の最大値をDA変換してコンパレータ87に出力する。
駆動パルス生成カウンタ51は、IGBT22,23を駆動するための駆動信号としての駆動パルスを生成するためのカウンタである。駆動パルス生成カウンタ51には、算出部42から、カウント上限値PWMCountが出力される。駆動パルス生成カウンタ51は、カウント値を0にリセットした後、基準クロックに基づいてカウント値を1からカウント上限値PWMCountまでカウントし、カウント値がカウント上限値に達すると、再びカウント値を0にリセットし、再びカウントを始める。駆動パルス生成カウンタ51は、カウント値が0にリセットされてから、再びカウント値が0にリセットされるまでの時間、IGBT22,23の駆動信号の1周期とする。したがって、カウント上限値PWMCountは、IGBT22,23の駆動信号の駆動周波数に反比例する。
また、駆動パルス生成カウンタ51には、算出部42からPWMデューティ比の値が出力される。駆動パルス生成カウンタ51は、カウント上限値PWMCountによって規定される駆動信号の1周期のうち、このPWMデューティ比に比例した時間長においてパルスのレベルをHiとし、残りの時間長においてパルスのレベルをLowとすることにより、IGBT22,23の駆動信号を生成する。なお、駆動パルス生成カウンタ51は、IGBT22の駆動信号の位相と、IGBT23の駆動信号の位相とが180度ずれるように、IGBT22及びIGBT23それぞれの駆動信号を生成する。
メインCPU60は、誘導加熱定着装置1の外部に設けられ、温度制御部40に対して信号を入出力して、誘導加熱定着装置1の制御を行う。メインCPU60は、温度制御部40に対して、誘導加熱定着装置1の動作開始を指示するSTART信号及び誘導加熱定着装置1の動作停止を指示するSTOP信号を送信する。また、メインCPU60は、温度制御部40から、プリント可能規定温度になっていることを示すREADY信号及び何らかのエラーが発生していることを示すERROR信号を受信する。さらに、メインCPU60は、設定レジスタ43との間で、データを書き込み、又は読み出すためのDATA信号を送受信する。
駆動信号生成部5は、位相電圧生成部70を備える。位相電圧生成部70は、リミッタ回路71、位相比較論理回路72(位相差パルス生成回路)、及びLPF(Low Pass Filter)73を備える。
リミッタ回路71は、電流トランス24の二次側巻線に接続されている。リミッタ回路71は、電流トランス24によって検出された、誘導加熱コイルL1の電流の振幅を制限する。
位相比較論理回路72は、駆動パルス生成カウンタ51から出力された駆動信号の位相と、リミッタ回路71から出力された、誘導加熱コイルL1に供給される電流であるコイル電流との位相を比較して、これら位相の差に応じたパルスである位相差パルス信号を生成する。この位相差パルス信号の一例は、図2に示されるように、例えば、IGBT22の駆動信号である駆動電圧1が正であり、かつコイル電流の値が負である時間にのみ、DC5ボルトとなり、その他の時間には0ボルトとなるようなパルスである。この場合、位相差パルス信号は、コイル電流の駆動電圧1に対する位相遅れ時間に比例した時間長のパルスとなる。位相比較論理回路72による位相差パルス信号の生成のしかたは、図2に示した例には限定されず、駆動信号の位相と誘導加熱コイルL1の電流の位相との位相差に応じたパルスであれば、どのようなものでもよい。また、パルスの電圧値も、DC5ボルトでなく、例えばDC3.3ボルトであってもよい。
LPF73は、位相比較論理回路72により生成されたパルスを平滑化することにより、位相電圧を生成するローパスフィルタである。この位相電圧は、コイル電流の駆動電圧1に対する位相遅れ時間に比例する。また、位相遅れ時間が同じである場合には、位相電圧は、駆動電圧の周波数に比例した値となる。表1に、位相差パルス信号の電圧値がDC5ボルトの場合における、駆動信号の周波数が30kHz〜40kHz、位相遅れ時間が1μ秒から25μ秒の場合の位相電圧値を示す。
駆動信号生成部5は、さらに整流回路81、アンプ82,83,84、コンパレータ85、AC電圧フィルタ・増幅回路部86、コンパレータ87を備える。
整流回路81は、電流トランス24の二次側巻線に接続されている。整流回路81は、電流トランス24により検出された、誘導加熱コイルL1に供給されるAC電流を整流して、ADC44及びコンパレータ87に出力する。
アンプ82,83,84は、LPF73により検出された位相電圧を増幅し、それぞれ電圧信号PhaseV1,PhaseV2,PhaseV3をADC44へ出力する。アンプ82,83,84の利得はそれぞれ異なっている。アンプ82の利得が最も大きく、アンプ84の利得が最も小さく、アンプ83の利得は、アンプ82の利得とアンプ84の利得の中間程度である。このように、異なる利得のアンプ82,83,84を用いることにより、次の効果が得られる。すなわち、位相電圧の値が0ボルトに近い小さな値である場合には、大きな利得のアンプ82から出力された、十分に増幅された電圧信号PhaseV1を用いることにより、位相電圧をノイズに埋もれさせることなく正確な制御が可能となる。一方で、位相電圧の値が大きな値である場合には、小さな利得のアンプ84から出力された電圧信号PhaseV3を用いることにより、位相電圧が過剰に増幅されることによる電圧信号の飽和を防げるため、広い範囲の位相電圧に対して正確な制御が可能となる。
コンパレータ85は、アンプ82から出力された、増幅された位相電圧と、算出部42からDAC49を介して出力された位相電圧の最小値とを比較する。位相電圧が小さすぎる場合には、大きな利得のアンプ82により位相電圧が大きく増幅されたとしても、算出部42により出力された位相電圧の最小値よりも小さくなる。この場合、割込み/IOポート46は、コンパレータ85の出力結果に応じて、位相電圧所定の最小値を下回っている旨を示す信号を算出部42に出力する。この場合、算出部42は、例えば、誘導加熱コイルL1に供給される電流を遮断するようにIGBT22,23を制御することにより、誘導加熱コイルL1への出力電力が過大となった場合に、誘導加熱コイルL1への出力電力の制御を安全に行うことができる。
AC電圧フィルタ・増幅回路部86は、ダイオードブリッジDB1により出力された電圧を抵抗R1,R2によって分圧して得られたAC電圧を低域通過させるローパスフィルタと、このローパスフィルタの出力を増幅するアンプと、このアンプの出力電圧を、ハーフブリッジ出力回路20や直流電源部30のグラウンド電位から温度制御部40のグラウンド電位に合わせて伝送するためのアイソレーション部を含む。
駆動信号生成部5は、さらに駆動部90を備える。駆動部90は、フォトカプラ91及びIGBT駆動回路92を含む。フォトカプラ91は、例えば発光ダイオードと、個の発光ダイオードからの光を受光するフォトトランジスタとからなる。フォトカプラ91は、ハーフブリッジ出力回路20及び直流電源部30のグラウンド電位と温度制御部40のグラウンド電位を分離しながら、駆動パルス生成カウンタ51により生成された駆動信号をIGBT駆動回路92に伝達する。IGBT駆動回路92は、駆動パルス生成カウンタ51からフォトカプラ91を介して受信した駆動信号に基づき、IGBT22,23のゲート電極を駆動する。
次に、このような構成を備えた誘導加熱定着装置における、定着ロールの温度の制御方法について、図3〜9を参照しつつ説明する。図3及び図5は、定着ロールの電力制御時の温度の制御方法を示すフローチャートである。図4は、定着ロールの温度の制御において行われるEnable確認処理を示すフローチャートである。図6は、定着ロールの温度制御時の温度の制御方法を示すフローチャートである。図7は、誘導加熱定着装置の電源投入時から最大電力に至るまでの各部の電圧及び電流の波形を模式的に示す図である。図8は、誘導加熱定着装置の電源投入時から温度制御状態に入るまでの位相電圧と出力電力との関係を示す図である。図9は、誘導加熱定着装置の起動時から、定着ロールの温度が定常状態となるまでの定着ロール温度と、誘導加熱コイルへの出力電力との変動を示す図である。以下、図3及び図6に沿って、定着ロールの温度の制御方法の説明を行うが、必要に応じて他の図を参照する。
まず、メインCPU60が、設定レジスタ43のレジスタ値を適宜設定する初期レジスタ設定処理を行う(ステップS1)。初期レジスタ設定処理で設定されるレジスタ値は、例えば、最大周波数fMax、最大電力Po_Max、リミット電力Po_Limit、温度制御開始温度T_Control、PWMデューティ比最大値PWM_Max、PWMデューティ比最小値PWM_Min、ソフトスタート時間softstart_timeなどである。
次に、算出部42が、イネーブル信号EnableがLowになっているか否かを確認する(ステップS2)。イネーブル信号Enableは、通常時はHiであり、誘導加熱定着装置1の動作開始を指示するSTART信号がメインCPU60から温度制御部40に入ることによりLowとなる。また、誘導加熱定着装置1の動作停止を指示するSTOP信号がメインCPU60から温度制御部40に入ることによりHiとなる。その他、誘導加熱定着装置1において何らかの異常が発生した場合に、イネーブル信号EnableがHiになるようにしてもよい。
次に、算出部42が、駆動パルス生成カウンタ51を介してPWM駆動信号を定着ローラ10に出力開始するとともに、出力電力Po_3を算出し、出力電力Po_3などの各種パラメータを記憶部41に保存する(ステップS3)。ステップS3において、出力電力値Po_3は、AC電圧フィルタ・増幅回路部86を介して得られたAC電圧値と、電流トランス24を介して得られたAC電流値と、補正係数Xとを乗算することにより算出される。補正係数Xは、AC電圧値とAC電流値との積と、実際の出力電力値との間のずれを補正するための係数である。補正係数Xは、例えばAC電圧値及びAC電流値に対応したテーブルに格納されていてもよい。また、以下で説明する各ステップにおいても、出力電力は、同様にして計算される。
この段階では、駆動周波数に反比例するレジスタ値PWMCountの値は、最大周波数fMaxに対応した値である。なお、この時の最大周波数fMaxを、値F2として記憶部41に記憶させておく。この値F2は、後で説明する温度制御時に用いられる。また、PWMデューティ比を示すレジスタ値PWMDutyは、最小値PWM_Minである。ステップS3でのIGBT22,23の駆動信号である駆動電圧1,2と、誘導加熱コイルL1の電流であるコイル電流と、位相比較論理回路72の出力である位相電圧パルスと、LPF73の出力である位相電圧と、の波形は、図7のTZ1の部分に示される通りである。ステップS3での位相電圧及び出力電力は、図8の点P1(V2,Po_3)に相当する。また、ステップS3は、図9では、時間T=0でインバータ出力電力が0から上昇を始める時点に相当する。
次に、算出部42が、PWMデューティ比を増加させる(ステップS4)。具体的には、レジスタ値PWMDutyを増加させる。このステップS4は、図7では時間帯TZ2に相当する。時間帯TZ2では、時間帯TZ1と比較して駆動電圧1及び駆動電圧2のデューティ比が増加している。また、ステップS4は、図8では、点P1(V2,Po_3)から、位相電圧をV2としたまま、点P2(V2,Po_2)まで移動することに相当する。なお、図8において、曲線W1は、PWMデューティ比が最大値PWM_Maxであることを示し、曲線W2は、PWMデューティ比が最小値PWM_Minであることを示す。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS5)。ここで、Enable確認処理について、図4を参照して説明する。Enable確認処理では、算出部42が、Enable信号がHiであるか否かを判定する(ステップS61)。Enable信号がHiであれば、算出部42は、誘導加熱定着装置1の制御動作を停止する。Enable信号がHiでなければ、そのままEnable確認処理を終え、元の処理に復帰する。
次に、算出部42が、PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっているか否かを判定する(ステップS6)。PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっていなければ、ステップS4に戻る。PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっていれば、次のステップS7に進む。
次に算出部42が、このときの位相電圧値V2を記憶部41に保存するとともに、出力電力Po_2を算出し、記憶部41に保存する(ステップS7)。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS8)。そして、算出部42が、出力電力をPo_2に保ったまま、PWMデューティ比及び駆動周波数を低下させつつ、PWM出力を続ける(ステップS9)。また、ステップS9は、図8では、電力=Po_2の直線に沿って、PWMデューティ比及び位相電圧を低下させながら、点P2(V2,Po_2)から点P3(V1,Po_2)へ移動することに相当する。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS10)。そして、算出部42が、PWMデューティ比が最小値PWM_Minになっているか否かを判定する(ステップS11)。PWMデューティ比が最小値PWM_Minになっていなければ、ステップS9に戻る。PWMデューティ比が最小値PWM_Minになっていれば、次のステップS12に進む。
次に、算出部42が、駆動周波数を一定としたまま、PWMデューティ比を増加させる(ステップS12)。そして、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS13)。
次に、算出部42が、駆動周波数を一定としたまま、PWMデューティ比を増加させる(ステップS12)。ステップS12は、図8では、位相電圧=V1の直線に沿って、PWMデューティ比を増加させながら、点P3(V1,Po_2)から点P4(V1,Po_1)へ移動することに相当する。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS13)。そして、算出部42が、PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっているか否かを判定する(ステップS14)。PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっていなければ、ステップS12に戻る。PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっていれば、次のステップS15に進む。
次に、算出部42が、PWMデューティ比が最大値PWM_Maxとなったときの出力電力Po_1を算出し、記憶部41に保存するとともに、このときの位相電圧V1と駆動周波数F1とを記憶部41に保存する(ステップS15)。
次に、算出部42が、出力電力をPo_1に保ったまま、PWMデューティ比及び駆動周波数を低下させつつ、PWM出力を続ける(ステップS16)。ステップS9は、図8では、電力=Po_1の直線に沿って、PWMデューティ比及び位相電圧を低下させながら、点P4(V1,Po_1)から点P5(V0,Po_1)へ移動することに相当する。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS17)。そして、算出部42が、PWMデューティ比が最小値PWM_Minになっているか否かを判定する(ステップS18)。PWMデューティ比が最小値PWM_Minになっていなければ、ステップS16に戻る。PWMデューティ比が最小値PWM_Minになっていれば、次のステップS19に進む。
次に、算出部42が、駆動周波数を一定としたまま、PWMデューティ比を増加させる(ステップS19)。ステップS19は、図8では、位相電圧=V0の直線に沿って、PWMデューティ比を増加させながら、点P5(V0,Po_1)から点P6(V0,Po_Max)へ移動することに相当する。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS20)。そして、算出部42が、PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっているか否かを判定する(ステップS21)。PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっていなければ、ステップS19に戻る。PWMデューティ比が最大値PWM_Maxになっていれば、次のステップS22に進む。
次に、算出部42が、PWMデューティ比が最大値PWM_Maxとなったときの出力電力Po_Maxを算出し、記憶部41に保存するとともに、このときの位相電圧V0と駆動周波数F0とを、記憶部41に保存する(ステップS22)。
次に、算出部42が、PWMデューティ比を最大値PWM_Maxとしたまま、駆動周波数を低下させて出力電力を増加させる(ステップS23)。ステップS23は、図8では、曲線W1に沿って、点P6(V0,Po_Max)から点P7(VL,Po_Limit)へ移動することに相当する。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS24)。そして、算出部42が、出力電力を算出し、出力電力がPo_Limitになっているか否かを判定する(ステップS25)。出力電力がPo_Limitになっていなければ、ステップS23に戻る。出力電力がPo_Limitになっていれば、次のステップS26に進む。
次に、算出部42が、出力電力がPo_Limitになったときの位相電圧VLを記憶部41に保存する(ステップS26)。そして、算出部42が、PWMデューティ比を最大値PWM_Maxとしたまま、駆動周波数を上昇させて出力電力を減少させる(ステップS27)。ステップS27は、図8では、曲線W1に沿って、点P7(VL,Po_Limit)から点P6(V0,Po_Max)へ移動することに相当する。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS28)。そして、算出部42が、出力電力を算出し、出力電力がPo_Maxになっているか否かを判定する(ステップS29)。出力電力がPo_Maxになっていなければ、ステップS27に戻る。出力電力がPo_Limitになっていれば、次のステップS30に進む。
以上で説明したステップS1〜S29は、図9では、時間0から時間t_softstartまでの間の、インバータ出力電力を0からPo_Maxまで上昇させている部分に相当する。
次に、算出部42が、定着ローラ10の温度が温度制御開始温度T_controlまで上昇したか否かを判定する(ステップS30)。定着ローラ10の温度がT_controlに達していなければ、再びステップS30に戻り、引き続き駆動周波数、デューティ比ともに最大としたまま定着ローラ10の温度を上昇させる。定着ローラ10の温度がT_controlに達したら、図6のステップS31に進む。ステップS30は、図8では、点P6(V0,Po_Max)上に停止し続けることに相当する。また、ステップS30は、図9では、時刻t_softstartから時刻t_changeまでの間に相当する。時刻t_changeは、定着ローラ10の温度がT_controlに達する時刻である。以上で説明したステップS1〜S30は、定着ローラ10の温度を常温から、所定の温度T_controlまで上昇させる電力制御に相当する。
以下、図6に移り、定着ローラ10の温度をPID制御する際の温度制御について説明する。まず、温度制御、すなわちPID制御を開始する(ステップS31)とともに、必要な初期設定を行う。具体的には、旧モード値を1に設定するとともに、変数PWM_wideをPWM_Max−PWM_Minに設定する。
ここで、温度制御値のモード値について、図8を参照して説明する。本実施形態において、温度制御時のモードは、目標出力電力値に応じた3つのモードに分かれている。
第1のモードは、モード値が1のモードであり、出力電力がPo_1以上Po_Max以下の場合である。この第1のモードでは、位相電圧をV0としたまま、デューティ比を調節することにより、出力電力値をPo_1以上Po_Max以下で調節する。図8でいえば、点P5(V0,Po_1)と点P6(V0,Po_Max)との間でデューティ比を調節するモードである。
第2のモードは、モード値が2のモードであり、出力電力がPo_2以上Po_1未満の場合である。この第2のモードでは、位相電圧をV1としたまま、デューティ比を調節することにより、出力電力値をPo_2以上Po_1以下で調節する。図8でいえば、点P3(V1,Po_2)と点P4(V0,Po_1)との間でデューティ比を調節するモードである。
第3のモードは、モード値が3のモードであり、出力電力がPo_3以上Po_2未満の場合である。この第3のモードでは、位相電圧をV2としたまま、デューティ比を調節することにより、出力電力値をPo_3以上Po_2以下で調節する。図8でいえば、点P1(V2,Po_3)と点P2(V2,Po_2)との間でデューティ比を調節するモードである。
図6に戻って説明を続ける。ステップS31の後、PID演算部48が、PID演算を行って目標出力電力値を決定し、目標出力電力値に基づいて算出部42がモード値を1〜3のいずれかに設定する(ステップS32)。
PID演算部48は、次式(1)により、目標出力電力値Pt_nを決定する。
Pt_n=Kp*(en-en-1)+Ki*en+Kd*((en-en-1)-(en-1-en-2))+Pt_n-1 ・・・(1)
Pt_n=Kp*(en-en-1)+Ki*en+Kd*((en-en-1)-(en-1-en-2))+Pt_n-1 ・・・(1)
式(1)において、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、Kdは微分ゲインの値である。Pt_n,Pt_n−1は、それぞれ、第n回目、第(n−1)回目の出力電力の値である。en,en−1は、それぞれ、第n回目、第(n−1)回目の、温度センサ21により得られた定着ローラ10の実際の温度と、予め定められた定着ローラ10の目標温度T_targetとの残差である。
そして、算出部42は、目標出力電力値がPt_nがPo_1以上であれば、モード値を1に設定する。目標出力電力値Pt_nがPo_2以上Po_1未満であれば、モード値を2に設定する。目標出力電力値Pt_nがPo_2未満であれば、モード値を3に設定する。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS33)。そして、算出部42が、ステップS32で設定された現在のモード値と旧モード値とが等しいか否かを判定する(ステップS34)。現在のモード値と旧モード値とが等しければ、ステップS35の処理を省略してステップS36に進む。現在のモード値と旧モード値とが等しくなければ、算出部42が、現在のモード値に基づいて駆動周波数を決定するとともに、現在のモード値を旧モード値に保存する(ステップS35)。
次に、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS36)。そして、算出部42が、モード値と目標出力電力値Pt_nに応じてデューティ比を決定する(ステップS37)。デューティ比PWM_Dutyの決定は、モード値が1,2,3の場合には、それぞれ次式(2)、(3)、(4)により行われる。
PWMduty=((Pt_n-Po_1)*(PWM_Wide)/(Po_Max-Po_1))+PWM_Min ・・・(2)
PWMduty=((Pt_n-Po_2)*(PWM_Wide)/(Po_1-Po_2))+PWM_Min ・・・(3)
PWMduty=((Pt_n-Po_3)*(PWM_Wide)/(Po_2-Po_3))+PWM_Min ・・・(4)
PWMduty=((Pt_n-Po_1)*(PWM_Wide)/(Po_Max-Po_1))+PWM_Min ・・・(2)
PWMduty=((Pt_n-Po_2)*(PWM_Wide)/(Po_1-Po_2))+PWM_Min ・・・(3)
PWMduty=((Pt_n-Po_3)*(PWM_Wide)/(Po_2-Po_3))+PWM_Min ・・・(4)
次に、以下のステップS38〜S43により、位相電圧が所定の範囲外の値である場合に、位相電圧がこの所定の範囲内の値となるように、記憶部41に記憶された駆動周波数を変更する処理を行う。
まず、算出部42が、位相電圧が上限値を上回っているか否かを判定する(ステップS38)。位相電圧が上限値を上回っている場合は、算出部42が駆動周波数を低下させるとともに、フラグ変数Memory_changeを1に設定し(ステップS39)、その後ステップS38に戻る。ステップS38において、位相電圧が上限値を上回っていない場合は、ステップS40に進み、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS40)。
次に、算出部42が、位相電圧が下限値を下回っているか否かを判定する(ステップS41)。位相電圧が下限値を下回っている場合は、算出部42が駆動周波数を上昇させるとともに、フラグ変数Memory_changeを1に設定し(ステップS42)、その後ステップS41に戻る。ステップS41において、位相電圧が下限値を下回っていない場合は、ステップS43に進み、算出部42が、Enable確認処理を行う(ステップS43)。
次に、フラグ変数Memory_changeが1であるか否かが判定される。フラグ変数Memory_changeが1でなければ、特に処理を行うことなくステップS32に戻る。一方、フラグ変数Memory_changeが1であれば、ステップS45に進み、算出部42は、ステップS39又はステップS42で変更された駆動周波数の値を記憶部41に記憶させる。記憶部41は、現在のモード値が1であれば、変更後の駆動周波数の値をF0として記憶する。記憶部41は、現在のモード値が2であれば、変更後の駆動周波数の値をF1として記憶する。記憶部41は、現在のモード値が3であれば、変更後の駆動周波数の値をF2として記憶する。なお、駆動周波数の変更時には、変更後の駆動周波数の値に応じて、ステップS38及びステップS41の判定に用いられる位相電圧の上限値及び下限値を変更してもよい。
その後、再びステップS32に戻り、メインCPU60から温度制御部40にSTOP信号が入力されるなどしてEnable信号がHiになるまで、ステップS32〜S45の処理が繰り返される。このステップS32〜S45の処理は、図9でいえば、時刻t_change以後の状態にあたる。
以上、説明した通り、本実施形態に係る誘導加熱定着装置1では、駆動信号生成部5において、記憶部41により、起動時の少なくとも1つの時点において、当該時点での位相電圧、駆動周波数、及び出力電力が記憶されている。そして、算出部42により、記憶部41に記憶された位相電圧、駆動周波数、及び出力電力の値に基づいて駆動パラメータが算出される。そして、駆動パラメータに基づいて、IGBT22,23が制御される。このため、記憶部41に記憶された位相電圧、駆動周波数、及び出力電力といった数値には誘導加熱定着装置1の変動やばらつきが反映されており、これらの数値に基づいて、誘導加熱コイルL1へ出力される電力が制御される。したがって、この誘導加熱定着装置1によれば、温度制御をより正確で高速に、かつ共振周波数が変動した場合にも安定して行うことが可能となる。
また、誘導加熱定着装置1において、駆動パラメータには、駆動信号のデューティ比が含まれているため、駆動周波数を一定としたまま、デューティ比を変化させることによりIGBT22,23を制御できるため、誘導加熱コイルL1への出力電力の制御の自由度が高まり、一層正確で高速な温度制御を行うことができる。
また、誘導加熱定着装置1において、算出部42により算出された駆動パラメータに基づく制御を開始した後、位相電圧が所定の範囲外の値である場合には、位相電圧が所定の範囲となるように、記憶部41に記憶された駆動周波数が変更されるため、共振回路の共振周波数の変動に対応して誘導加熱コイルL1への出力電力の制御を行うことができる。
また、誘導加熱定着装置1において、駆動周波数の変更時には、変更後の駆動周波数の値に応じて、位相電圧の所定の範囲を変更してもよい。この場合には、駆動周波数の変動に応じた適切な位相電圧の範囲に位相電圧が入るように、誘導加熱コイルL1への出力電力の制御を行うことができる。
また、誘導加熱定着装置1において、位相電圧が所定の最小値を下回った場合に、誘導加熱コイルに供給される電流を遮断してもよい。この場合、駆動周波数が低くなりすぎて、誘導加熱コイルL1への出力電力が過大となった場合に、誘導加熱コイルL1に供給される電流が遮断されるため、誘導加熱コイルL1への出力電力の制御を安全に行うことができる。
また、誘導加熱定着装置1において、位相電圧生成部70は、位相比較論理回路72とLPF73とを備えているため、位相比較論理回路72により生成された位相差パルス信号をそのまま使用する場合と比較して、位相差パルス信号が入ったタイミングで割り込み制御を行う必要がなくなるため、処理に支障をきたすことがなくなる。また、パルス幅が小さくなった場合にも、パルス幅を正確に計測できなくなることによる誤動作の発生を防止することもできる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る誘導加熱定着装置について説明する。第2実施形態に係る誘導加熱定着装置の構成は、図1に示した第1実施形態に係る誘導加熱定着装置と同様である。
次に、第2実施形態に係る誘導加熱定着装置について説明する。第2実施形態に係る誘導加熱定着装置の構成は、図1に示した第1実施形態に係る誘導加熱定着装置と同様である。
ただし、第2実施形態では、定着ローラ10の温度をPID制御により制御する際に、デューティ比を一定としたまま、駆動周波数のみを変化させることにより出力電力を調整する点が、駆動周波数とデューティ比の両方を変化させていた第1実施形態と異なっている。すなわち、図10でいえば、定着ローラ10の温度制御時においては、曲線W3に沿ってのみ移動することとなる点において、第2実施形態は第1実施形態と異なっている。なお、この曲線W3は、デューティ比を一定としたまま駆動周波数を変化させた場合の、位相電圧と出力電力との変化の関係を示す曲線である。
この第2実施形態によっても、第1実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、種々の変形を適用できる。例えば、IGBT22,23に代えてパワーMOSFETを用いてもよい。この場合、上記実施形態でのエミッタ、コレクタを、それぞれソース、ドレインと読み替えればよい。また、温度制御部40とメインCPU60との機能を別々のCPUによって行うのではなく、一つのマイクロプロセッサによって行うようにしてもよい。
また、第1実施形態においては、図8の点P2(V2,Po_2)と点P6(V0,Po_Max)との間で、点P4(V1,Po_1)の1点についてのみ、位相電圧及び駆動周波数を記憶部41に保存していた(図3のステップS15)。しかし、複数の位相電圧と駆動周波数との組み合わせを記憶部41に保存するようにしてもよい。
1…誘導加熱定着装置、5…駆動信号生成部、22,23…IGBT(スイッチング素子)、30…直流電源部、41…記憶部、42…算出部、70…位相電圧生成部、72…位相比較論理回路(位相差パルス生成回路)、73…LPF(ローパスフィルタ)、90…駆動部、C2,C3…コンデンサ、L1…誘導加熱コイル。
Claims (7)
- 誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルに接続されたコンデンサと、
直流電力を生成する直流電源部と、
前記直流電源部から前記誘導加熱コイルに供給される電流を制御するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記駆動信号生成部は、
前記駆動信号と前記誘導加熱コイルに供給される電流との位相差に基づく位相電圧を生成する位相電圧生成部と、
起動時に前記誘導加熱コイルへの出力電力を増加させる過程における少なくとも1つの時点において、当該時点での前記位相電圧、前記駆動信号の周波数である駆動周波数、及び出力電力を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された位相電圧、駆動周波数、及び出力電力の値に基づいて、駆動周波数を含む駆動パラメータを算出する算出部と、
前記算出部により算出された駆動パラメータに基づいて、スイッチング素子を制御する駆動部と、
を有することを特徴とする誘導加熱定着装置。 - 前記駆動パラメータには、前記駆動信号のデューティ比が含まれることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱定着装置。
- 前記算出部により算出された駆動パラメータに基づく制御を開始した後、前記位相電圧が所定の範囲外の値である場合に、前記位相電圧が前記所定の範囲内の値となるように、前記記憶部に記憶された駆動周波数を変更することを特徴とする請求項1又は2記載の誘導加熱定着装置。
- 前記駆動周波数の変更時には、変更後の駆動周波数の値に応じて、前記位相電圧の前記所定の範囲を変更することを特徴とする請求項3記載の誘導加熱定着装置。
- 前記位相電圧が所定の最小値を下回った場合に、前記誘導加熱コイルに供給される電流を遮断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の誘導加熱定着装置。
- 前記位相電圧生成部は、
前記駆動信号と前記誘導加熱コイルに供給される電流との位相差を表す位相差パルス信号を生成する位相差パルス生成回路と、
前記位相差パルス生成回路により生成された前記位相差パルス信号を平滑化することにより前記位相電圧を生成するローパスフィルタと、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の誘導加熱定着装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項記載の誘導加熱定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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