JP5928788B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
このような場合には、誘導加熱装置のインバータ回路を用いて加熱コイルに適切な高周波交流電力を供給することができず、所望の加熱効果を得ることができない。
図8は、特許文献1に記載された誘導加熱装置の概略的な構成を示した図である。図8において、100a,100b,100cは誘導加熱ユニット、101a,101b,101cはインバータ回路、102a,102b,102cは共振コンデンサ、103a,103b,103cは交流電源、104a,104b,104cは整流器、105a,105b,105cは互いに近接して配置された加熱コイルである。また、200は誘導加熱ユニット100a,100b,100cを一括して制御するための自動追尾選択回路、201は位相比較回路、202は駆動回路、203は表示回路である。
駆動回路202は、このマスター機信号に基づいて、当該マスター機に相当するインバータ回路の共振周波数と同一のスイッチング周波数で、すべてのインバータ回路101a,101b,101cを駆動するための駆動信号を出力する。
従って、近接して配置された加熱コイル105a,105b,105cを流れる高周波交流電流の周波数や位相を一致させることができ、加熱コイル相互の電磁干渉を防止することができる。
例えば、被加熱物の温度分布などの都合により加熱コイルを更に増設する場合には、システム全体の構成を見直す必要があり、このことは、一部の加熱コイルを除去(すなわち減設)する場合も同様である。
前記誘導加熱ユニットは、前記インバータ回路の半導体スイッチング素子をオンオフ制御するための制御回路を個別に備え、前記制御回路は、他の誘導加熱ユニット内の制御回路との間で相互に通信を行う通信手段を備えると共に、前記通信手段を介して各誘導加熱ユニットの前記インバータ回路の出力電流の周波数及び位相を同期させた後に、前記インバータ回路によりそれぞれの加熱コイルに給電する誘導加熱装置において、
複数台の誘導加熱ユニットのうち任意の1台の誘導加熱ユニットの前記制御回路に、当該誘導加熱ユニットをマスター装置として選択するマスター装置選択指令が外部から入力されたときに、前記インバータ回路を運転するためのキャリアに基づき当該制御回路により生成した同期パルスを、スレーブ装置としての他の誘導加熱ユニット内の制御回路に送信し、
前記同期パルスを受信した他の誘導加熱ユニット内の制御回路は、前記マスター装置から送信された前記同期パルスと自己のインバータ回路を運転するためのキャリアとの時間差及び前記キャリアの振幅に基づいて自己の判定レベルの大きさを調整し、自己のキャリアと前記判定レベルとを比較して生成される自己の同期パルスの位相を、前記マスター装置から送信された同期パルスと同期させることを特徴とする。
また、従来技術のように1台の誘導加熱ユニットの位相検出信号に基づいてすべての誘導加熱ユニットのインバータ回路の駆動信号を得るものではないから、位相検出回路等の故障によってすべての誘導加熱ユニットが運転不能に陥る恐れがなく、仮にマスター装置としての誘導加熱ユニットが故障で停止した場合でも、外部からの指令によりマスター装置を他の誘導加熱ユニットに切り替えることで容易に復旧させることができる。
更に、マスター装置としての誘導加熱ユニットから送信された同期パルスに基づいてスレーブ装置としての他の誘導加熱ユニットが同期処理を行い、加熱コイルに流す高周波交流電流の周波数及び位相の同期が確保されてから加熱コイルに給電することにより、近接配置された加熱コイルの相互間で給電当初に電磁干渉を起こす心配もない。
図1は、本実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示すブロック図である。この誘導加熱装置は、複数台の誘導加熱ユニット1a〜1n(nは任意の複数とする)を並列に配置し、互いに近接配置された各ユニットの加熱コイル6a〜6nによって被加熱物20を加熱するシステムとして構成されている。
誘導加熱ユニット1aにおいて、2aは交流電力を直流電力に変換する整流回路であり、整流回路2aから出力された直流電力はインバータ回路3aにより交流電力に変換され、共振コンデンサ4aを介して加熱コイル6aに高周波交流電流が流れることにより、周知の原理によって被加熱物20が誘導加熱される。
制御回路10aには、外部から送られるマスター装置選択指令がマスター装置選択手段(スイッチ)15を介して入力可能となっている。また、すべての誘導加熱ユニット1a〜1nの制御回路10a〜10n相互間では、有線または無線の通信路16を介してデータ通信が可能である。
ここで、制御回路10a〜10nは、CPU等を含むマイコンや通信回路を備えている。
ここでは、外部から送られるマスター装置選択指令及びマスター装置選択手段15により誘導加熱ユニット1aをマスター装置として選択し、その他の誘導加熱ユニット1b〜1nをスレーブ装置として選択したものとする。
誘導加熱ユニット1a〜1nの制御回路10a〜10nは、相互にデータ通信を行うためにRS-485トランシーバ11a〜11nを備え、ノイズによるデータエラーの発生を防止するようになっている。なお、本発明における通信プロトコルは、上記RS-485に限定されないことは言うまでもない。
制御回路10bでは、図4に示すように、自己のキャリアと受信パルスとの時間差t1,t2,t3,t4,……を求める。なお、ここでは、時間差t1,t2,t3,t4,……をキャリアの大きさに相当する縦軸方向の値として表している。
すなわち、図5(a)に示すように、スレーブ装置のキャリア周波数がマスター装置のキャリア周波数より低い場合には、一定期間にわたって時間差が次第に小さくなる動作を繰り返す。一方、図5(b)に示すように、スレーブ装置のキャリア周波数がマスター装置のキャリア周波数より高い場合には、一定期間にわたって時間差が次第に大きくなる動作を繰り返す。
マスター装置とスレーブ装置との間で、インバータ回路の出力電流の位相が同期していない場合があり、その場合に加熱コイル同士が近接して配置されていると、電磁干渉によってそれぞれの誘導加熱ユニットからの給電が不安定となり、高周波交流電流のハンチングによる保護動作や、場合によってはインバータ回路を破損させる恐れがある。これらを防止するため、各加熱コイルに給電する前に、インバータ回路の出力電流の位相を一致させることが望ましい。
この一定時間をシフト量とし、このシフト量に相当する量だけ、スレーブ装置の同期パルスを生成している判定レベル1,判定レベル2を図の上方向にシフトする。なお、判定レベル1と判定レベル2との差は、キャリアの振幅をTとするとT/2である。
これにより、スレーブ装置のキャリアとシフト後の判定レベル1,判定レベル2とから生成される同期パルスは図6の最下段に示す通りとなり、マスター装置側の同期パルスと位相が一致することになる。
スレーブ装置側の制御回路10bでは、図6の進み位相の場合と同様にして、スレーブ装置側の同期パルスがマスター装置側の同期パルスよりも一定時間(t1=t2=t3=t4=……)だけ遅れ位相であることが検出される。この場合、一定時間(t1=t2=t3=t4=……)をシフト量とし、当初の判定レベル2を前記シフト量に相当する量だけ図7の下方向にシフトすると共に、当初の判定レベル1をT/2+シフト量(t1=t2=t3=t4)に相当する量だけ上方向にシフトする。
これにより、スレーブ装置のキャリアとシフト後の判定レベル1,判定レベル2とから生成される同期パルスは図7の最下段に示す通りとなり、図6と同様にマスター装置側の同期パルスと位相が一致することになる。
上記のようにして、すべての誘導加熱ユニット1a,1b,……,1nにおけるインバータ回路3a,3b,……,3nの出力の周波数及び位相を同期させてから加熱コイル6a,6b,……,6nに給電することにより、加熱コイル6a,6b,……,6nが互いに近接して配置されている場合でも電磁干渉を起こす心配はない。
2a,2b,2c,……,2n:整流回路
3a,3b,3c,……,3n:インバータ回路
4a,4b,4c,……,4n:共振コンデンサ
5a,5b,5c,……,5n:位相検出手段
6a,6b,6c,……,6n:加熱コイル
10a,10b,10c,……,10n:制御回路
11a,11b,11c,……,11n:トランシーバ
15:マスター装置選択手段
16:通信路
20:被加熱物
Claims (2)
- 複数台の誘導加熱ユニット内のインバータ回路により、各誘導加熱ユニットに接続されて互いに近接配置された加熱コイルに高周波交流電流をそれぞれ通流させて被加熱物を加熱する誘導加熱装置であって、
前記誘導加熱ユニットは、前記インバータ回路の半導体スイッチング素子をオンオフ制御するための制御回路を個別に備え、前記制御回路は、他の誘導加熱ユニット内の制御回路との間で相互に通信を行う通信手段を備えると共に、前記通信手段を介して各誘導加熱ユニットの前記インバータ回路の出力電流の周波数及び位相を同期させた後に、前記インバータ回路によりそれぞれの加熱コイルに給電する誘導加熱装置において、
複数台の誘導加熱ユニットのうち任意の1台の誘導加熱ユニットの前記制御回路に、当該誘導加熱ユニットをマスター装置として選択するマスター装置選択指令が外部から入力されたときに、前記インバータ回路を運転するためのキャリアに基づき当該制御回路により生成した同期パルスを、スレーブ装置としての他の誘導加熱ユニット内の制御回路に送信し、
前記同期パルスを受信した他の誘導加熱ユニット内の制御回路は、前記マスター装置から送信された前記同期パルスと自己のインバータ回路を運転するためのキャリアとの時間差及び前記キャリアの振幅に基づいて自己の判定レベルの大きさを調整し、自己のキャリアと前記判定レベルとを比較して生成される自己の同期パルスの位相を、前記マスター装置から送信された同期パルスと同期させることを特徴とする誘導加熱装置。 - 請求項1に記載した誘導加熱装置において、
前記通信手段は、前記同期パルスを送受信するためのRS−485トランシーバを備えたことを特徴とする誘導加熱装置。
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