以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る定着装置を備えた電子写真式画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略構成を示す構成図である。
このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像をそれぞれ対応した像担持体としての感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkの表面上に形成するために電子写真方式の4組の像形成手段としての画像形成部10Y,10M,10C,10Bkを備えている。
これら画像形成部10Y,10M,10C,10Bkの下方には、各画像形成部を通して用紙(記録材)を搬送するための搬送ベルト20が張架されている。
各画像形成部10Y,10M,10C,10Bkの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、搬送ベルト20にそれぞれ転接配置され、用紙は、搬送ベルト20の表面に静電的に吸着される。
4組の画像形成部10Y,10M,10C,10Bkは、略同じ構造を有する。そのため、ここでは用紙の搬送方向最上流側に配設されたイエロー用の画像形成部10Yについて代表して説明し、他の色用の画像形成部10M,10C,10Bkについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。
画像形成部10Yは、その略中央位置に搬送ベルト20に転接された感光体ドラム1Yを有する。感光体ドラム1Yの周囲には、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電装置2Y、帯電されたドラム表面を色分解された画像信号に基づいて露光し、ドラム表面上に静電潜像を形成する露光装置3Y、ドラム表面上に形成された静電潜像にイエロートナーを供給して現像する現像装置4Y、現像したトナー像を搬送ベルト20を介して搬送される用紙上に転写する転写装置としての転写ローラ5Y、転写されずにドラム表面に残留した残留トナーを除去するクリーナ6Y、及び図示しないドラム表面に残留した電荷を除去する除電ランプが、感光体ドラム1Yの回転方向に沿って順に配設されている。
搬送ベルト20の図中右下方には、用紙を搬送ベルト20上に給紙するための給紙機構30が配設されている。
搬送ベルト20の図中左側には、定着装置40が配設されている。搬送ベルト20によって搬送された用紙は、搬送ベルト20から連続して定着装置40を通って延びた搬送路を搬送され、定着装置40を通過する。
定着装置40は、搬送された用紙、即ちその表面上に各色のトナー像が転写された状態の用紙を加熱及び加圧する。そして、各色のトナー像を溶融して用紙に浸透させて定着させる。そして、定着装置40の搬送経路下流側に排紙ローラを介して排紙する。
次に、本実施形態の定着装置40を説明する。
定着装置40は、図2に示すように、ベルト定着装置として構成されており、被加熱体としての発熱層を具備した回転体としての加熱ローラ(支持ローラ)51、定着ローラ(定着補助ローラ)52、加熱ローラ51と定着ローラ52に張架された定着部材としての定着ベルト30、定着ベルト30を介して加熱ローラ51に対向する誘導加熱手段60、及び定着ベルト30を介して定着ローラ52に当接する加圧ローラ55を備える。
本実施形態では、加熱ローラ51には、非磁性のステンレス鋼(SUS)であって、芯金層の厚さ0.2〜1mm程度を有するものを用いる。芯金表面には発熱層としての銅(Cu)を厚さ3〜20μm程度形成し、発熱効率を高めている。この場合、Cu表層には、防錆目的でニッケルめっきを施すことも好適である。また、発熱効率を高めるために、ローラ内部にフェライトコアを配置することも可能である。
ステンレス鋼以外の例として、160〜240℃程度のキュリー点を有する整磁合金を用いることもできる。整磁合金内部には、アルミニウム部材(図示せず)を配置し、これによって特別な制御機構なしにキュリー点近傍での昇温停止が可能となる。整磁合金を用いた場合もローラ表面にCuめっき層を形成することで発熱効率を高めることができる。
定着ローラ52は、例えばステンレス、炭素鋼等の金属製の芯金52aと、耐熱性を有するシリコーンゴム等をソリッド状又は発泡状にして芯金52aを被覆した弾性部材52bと、からなる。そして、加圧ローラ55からの押圧力で加圧ローラ55と定着ローラ52の間に所定幅の接触部(定着ニップ部N)を形成する。定着ローラ52の外径は30〜40mm程度、その弾性部材の厚さは3〜10mm程度、硬度は10〜50°(JIS−A)程度、とすると好ましい。
図3の断面図を用いて、定着ベルト30の一例について説明する。定着ベルト30は、図3に示すように、基材31、この上に積層された弾性層32、さらにこの上に積層された離型層33からなる。
基材31は、ベルトを張り渡した際の機械的強度、柔軟性、定着温度での使用に耐え得る耐熱性等が特性として求められる。本実施形態では、加熱ローラ51を誘導加熱するために、基材31としては絶縁性の耐熱樹脂材料が好ましい。耐熱樹脂材料としては、例えばポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素樹脂等が適している。厚さは、熱容量や強度の関係から30〜200μmの範囲にあることが望ましい。
弾性層32は、光沢むらのない均一な画像を得るためにベルト表面に柔軟性を与える目的で形成され、ゴム硬度は5〜50°(JIS−A)、厚さは50〜500μmが望ましい。また、定着温度における耐熱性の観点から、材質としてはシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が好ましい。
離型層33に使用される材料として、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)及び四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、又はこれらの樹脂の混合物若しくは耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものが挙げられる。
離型層33が弾性層32を被覆すると、シリコーンオイル等を使用しなくともトナー離型性と紙粉固着防止が可能になる(オイルレス化)。しかしながら、これらの離型性を有する樹脂は、一般にゴム材料のような弾性を有さないことから、弾性層32上に厚く離型層33を形成するとベルト表面の柔軟性を損ない光沢むらを発生させてしまう。離型性と柔軟性を両立させるために、離型層33の膜厚は、5〜50μm、望ましくは10〜30μmの範囲内とする。
また、必要に応じて各層間にプライマー層を設けても良い。また、基材の内面に摺動の際の耐久性を向上させる層を設けても良い。
基材31には、発熱層を具備させることも好適である。例えば、ポリイミド等からなる基層上にCu層を3〜15μm形成し、発熱層として用いることも可能である。
加圧ローラ55は、金属製の円筒部材からなる芯金55aと、耐熱性の高い弾性層55bと、離型層55cから構成され、定着ベルト30を介して定着ローラ52を押圧して定着ニップ部Nを形成している。加圧ローラ55の外径は、30〜40mm程度とする。弾性層55bは、0.3〜5mm程度の厚さと硬度20〜50°(Asker硬度)程度を有している。また、耐熱性が必要であるため、弾性層55bの材質としては、シリコーンゴムを用いると良い。更に、両面印刷時の離型性を高めるために、弾性部材4b上にフッ素樹脂を使用した離型層55cを10〜100μm程度形成している。
加圧ローラ55の弾性層55bの硬度を定着ローラ52の弾性層の硬度に比べて硬くすることによって、加圧ローラ55が定着ローラ52及び定着ベルト30へ食い込む。そして、この食い込みにより、記録材Pは、定着ニップ部Nの出口において定着ベルト30の表面に沿うことができない曲率を有する。そのため、記録材Pの加圧ローラ55からの離型性を向上させることができ、ジャム発生等を予め防止することができる。
次に、本実施形態の定着装置40の誘導加熱装置100について説明する。
本実施形態の定着装置40の誘導加熱装置100は、図4に示すように、商用交流電源の電源電圧(交流電源電圧)101、入力AC(Alternating Current)電力検出回路102、整流回路103、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)104を有する。また、本実施形態の誘導加熱装置100は、電圧制御回路110a,110b、コイル駆動部120,130,140、誘導加熱用コイル123,133,143を有する。
本実施形態では、2種類の用紙サイズとしてA3ノビサイズとA4サイズを想定し、3つの誘導加熱用コイル123,133,143を備えている。なお、コイルの数や分割パターンは、本実施形態の態様に限定されず、2分割であっても4分割以上であっても良い。
誘導加熱用コイル133は、A4タテ相当サイズの加熱ローラ51の中央加熱に対応する。一方、誘導加熱用コイル123、143は、A3ノビサイズまでの加熱ローラ51の端部加熱に対応する。誘導加熱用コイル123、143の大きさは、誘導加熱用コイル133と異なる。コイル123,133,143の周囲は、磁束を発熱体に導くための磁路を形成するためアーチ形状コア(図示せず)やサイドコア(図示せず)を備える。
誘導加熱用コイル123,133,143は、絶縁被覆を施したφ0.05〜0.2程度の導線を50〜500本程度撚り合わせたリッツ線を5〜100回巻き回したものである。リッツ線の表面には融着層を備えており、通電加熱又は恒温槽で加熱することで融着層が固化し、巻き回したコイルの形状保持が可能となる。なお、融着層を保持しないリッツ線を用いてコイルを巻き、それをプレス成型することで形状を与えることも可能である。リッツ線には定着温度以上の耐熱性が必要であることから、素線の絶縁被覆材にはポリアミドイミド、ポリイミドなどの耐熱性と絶縁性を兼ね備えた樹脂を用いる。
巻き終えたコイルは、ケース(図示せず)にシリコーン接着剤等を用いて接着する。ケースは、定着温度以上の耐熱性が必要になるため、耐熱性の高い樹脂であるPETや液晶ポリマ等を用いる。
コアは、その材質にMn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト等のフェライト材料を用いる。
誘導加熱装置100のCPU104は、外部通信IF(インターフェイス)106を介して外部制御CPU105から定着の指示を受ける。そして、コイル駆動部120,130,140により誘導加熱用コイル123,133,143を加熱し、加熱ローラ51を加熱する。
外部通信IF(インターフェイス)106は、誘導加熱装置100に設けられている。外部通信IFは、内部電子回路への破損を防ぐため、一般的にはフォトカプラ等により絶縁される。なお、外部通信IFは、誘導加熱装置100の外部に設けられていても良い。
外部制御CPU105は、例えば誘導加熱装置100が搭載される画像形成装置のメイン制御部である。
加熱ローラ51は、誘導加熱装置100の外部に配置されている。なお、加熱ローラ51は、誘導加熱装置100が有していても良い。
電圧制御回路110a,110bは、コイル駆動部120,140に制御電圧を供給し、誘導加熱用コイル123,143を駆動させる。
コイル駆動部130には、CPU104から誘導加熱用コイル133を駆動させる駆動信号が供給される。
コイル駆動部120,130,140は、共振コンデンサ121,131,141、スイッチング素子122,132,142を有する共振回路である。
各共振コンデンサ121,131,141は、誘導加熱用コイル123,133,143とそれぞれが並列に接続されて、共振回路を構成している。
各スイッチング素子122,132,142は、誘導加熱用コイル123,133,143と直列に接続されており、上述の共振回路の駆動を制御する。
スイッチング素子122,132,142は、例えばパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等であり、それぞれのゲートにCPU104から出力される信号が印加される。本実施形態のスイッチング素子122,132,142は、CPU104の指示に従ってオン/オフが制御される。
電源電圧101から出力される電圧を整流回路103により整流した整流電圧としての電圧Vrectが電圧制御回路110a,110b及びコイル駆動部130に供給される。また、CPU104から出力される制御信号Vcontが電圧制御回路110a,110bに供給される。
次に、本実施形態の加熱ローラ51について説明する。図5は、誘導加熱用コイル123,133,143と加熱ローラ51の概略を示している。
誘導加熱用コイル123,133,143、定着装置に通紙される紙幅に応じて加熱ローラ51の長手方向に分割される。
具体的には、誘導加熱用コイル123の加熱ローラ51の長手方向の幅をW1、誘導加熱用コイル133の加熱ローラ51の長手方向の幅をW2、誘導加熱用コイル143の加熱ローラ51の長手方向の幅をW3とする。そして、W1=W3<W2となるように各誘導加熱用コイルを設ける。即ち、加熱ローラ51の中央部分を加熱する誘導加熱用コイル133を設ける。そして、誘導加熱用コイル133よりも幅の狭い誘導加熱用コイル123、143を誘導加熱用コイル133の両側に設ける。
本実施形態の誘導加熱装置100は、この3つの誘導加熱用コイル123,133,143を駆動させるコイル駆動部120,130,140を同じ周波数で駆動させることで、干渉音を発生させずに連続的に電力を誘導加熱用コイル123,133,143に供給する。
また、誘導加熱装置100は、誘導加熱用コイル123,143に供給する電圧と、誘導加熱用コイル133に供給する電圧と、を調整する。具体的には、誘導加熱用コイル133が加熱ローラ51を加熱する領域は、誘導加熱用コイル123,143が加熱ローラ51を加熱する領域よりも広くなる。そのため、誘導加熱用コイル133に供給される電力は、誘導加熱用コイル123,143に供給される電力よりも大きくする必要がある。
ここで、本実施形態のコイル駆動部120,130,140は、周波数が同じ駆動信号で動作する。これは、コイル駆動部120,130,140のそれぞれに電圧が供給される時間が同一であることを示す。そして、電圧制御回路110a,110bは、誘導加熱用コイル123,143に印加する電圧を、誘導加熱用コイル133に印加する電圧よりも低くなるように制御する。即ち、複数の誘導加熱用コイル123,133,143を同じ周波数で駆動させ、かつそれぞれに供給される電力が予め設定された目標値となるように、複数の誘導加熱用コイル123,133,143に印加する電圧を制御する。
具体的には、コイル駆動部130は、CPU104に設定された電力(目標値)に対応したPWM信号で駆動する。また、CPU104から出力される制御信号Vcontが電圧制御回路110a,110bに供給されると、電圧制御回路110a,110bは、制御信号Vcontにより設定された電力に対応した電圧を出力する。電圧制御回路110a,110bから出力された電圧は、コイル駆動部120,140に供給され、誘導加熱用コイル123,143に印加される。
次に、本実施形態の誘導加熱装置100のCPU104の動作について説明する。CPU104は、AC入力電力検出回路102により、電源電圧101から供給される電力を検出する。次に、CPU104は、誘導加熱装置100の外部にあるCPU105から設定された電力の目標値を参照し、各コイル駆動部のスイッチング素子122,132,142を同一のタイミングでオン/オフさせるPWM信号を出力する。このような制御をすることで、スイッチング素子122,132,142の駆動周波数を一致させ、誘導加熱用コイル123,133,143同士の干渉音を抑制することができる。
次に、本実施形態における電圧制御回路110a,110bの電圧の制御について説明する。なお、電圧制御回路110a,110bの電圧の制御は、同等の構成による制御であるため、以下の説明では、電圧制御回路110aの電圧制御だけ説明し、電圧制御回路110bの電圧制御の説明を省略する。
図6は、電圧制御回路110aによる電圧の制御を説明する図である。図6では、例えば電圧制御回路110aが誘導加熱用コイル123に印加する電圧を制御した場合を示している。
コイル駆動部120において、スイッチング素子122に供給されるPWM信号がオン状態(Hレベル)のとき、誘導加熱用コイル123にはコイル電流Icoilが流れる。このとき、スイッチング素子122のコレクタ−エミッタ間は導通した状態となり、コレクタ−エミッタ間電圧Vceは、図6(A)に示すように0Vとなる。次に、PWM信号がオフ状態(Lレベル)になると、コイル電流IcoilはGNDに流れず、共振コンデンサ121を充電し、スイッチング素子122のコレクタ−エミッタ間電圧Vceが上昇する。
また、共振コンデンサ121に充電された電荷は放電されるため、誘導加熱用コイル123に対して逆向きのコイル電流Icoilが流れ、コイル電流Icoilが0から負になる。
このとき、スイッチング素子122に内蔵されたダイオードが導通し、コレクタ−エミッタ間電圧Vceは、ほぼ0Vになる。コイル駆動部120では、内蔵されたダイオードが導通している期間でPWM信号を再びオン状態にすることで、低損失でスイッチング素子122を動作させることが可能となる。この共振動作を利用したスイッチング動作を繰り返すことで、誘導加熱用コイル123に高周波電流を流すことが可能となる。
図6(B)は、誘導加熱用コイル123に印加される電圧V2を、図6(A)の電圧V1よりも低くすることにより、PWM信号のオン幅が同じ状態でスイッチング動作を繰り返したまま誘導加熱用コイル123のコイル電流Icoilが減ることを示した図である。本実施形態では、電圧を低くすることでコイル電流Icoilを小さくする。
図6(C)は、誘導加熱用コイル123に印加される電圧V3を、図6(A)の電圧V1よりも高くすることにより、PWM信号のオン幅が同じ状態でスイッチング動作を繰り返したまま誘導加熱用コイル123のコイル電流Icoilが増えることを示した図である。
このように本実施形態では、誘導加熱用コイル123に印加される電圧を制御することにより、コイル駆動部120のスイッチング素子122に供給するPWM信号のオン幅を変えずに設定された電力を供給することができる。
即ち、本実施形態では、各コイル駆動部120,130,140を同じ周波数のPWM信号で制御しながら、誘導加熱用コイル123,143に印加される電圧を制御できる。そのため、例えば誘導加熱用コイル133に大電力を投入する際に、PWM信号のオン幅を同じにして、誘導加熱用コイル123,143に印加する電圧を誘導加熱用コイル133に印加する電圧よりも低くできる。
次に、本実施形態の電圧制御回路110a、110bについて図7、図8を参照して説明する。なお、本実施形態では、電圧制御回路110a、110bの構成は同様であるから、以下の説明では電圧制御回路110aの構成を例として説明する。図7は、電圧制御回路の一例を示す図である。
電圧制御回路110aは、図7に示すように、フライバック方式のAC/DC(Direct Current)変換回路を用いている。フライバック方式では、幅広い周波数制御により、電力制御における電力リップルを低減できる。また、フライバック方式は他の電源方式に比べ部品点数が少ない構成である。
本実施形態の電圧制御回路110aは、トランス111、スイッチング素子112、CPU113、ダイオードD1、コンデンサC1、抵抗R1、抵抗R2等を有する。
電圧制御回路110aには、整流回路103においてAC電圧が整流された電圧Vrectが供給される。
電圧制御回路110aの入力端子Tinは、トランス111の1次巻線を介しスイッチング素子112と接続されている。スイッチング素子112は、CPU113からの駆動信号(以下、Vctrl信号)によってオン/オフが制御される。
トランス111の2次巻線は、ダイオードD1を介して電圧制御回路110aの出力端子Toutに接続されている。出力端子Toutから出力される出力電圧Voutは、コイル駆動部120に供給される。
ダイオードD1と出力端子Toutとの間には、コンデンサC1の一端が接続されている。コンデンサC1の他端は、接地されている。また、出力端子Toutには、出力電圧Voutを分圧する分圧回路114が接続されている。分圧回路114は、抵抗R1と抵抗R2との直列回路である。抵抗R1と抵抗R2との接続点は、CPU113と接続されている。
CPU113には、CPU104から制御信号Vcontが供給される。CPU113は、制御信号Vcontによりコイル駆動部120に供給する電力の目標値が設定される。そして、CPU113は、電力の目標値と、抵抗R1と抵抗R2との接続点の電圧Vfbとに基づき、電圧制御回路110aの出力電圧Voutが目標値と対応する電圧となるように、スイッチング素子112のオン/オフを制御するVctrl信号を出力する。
図8は、電圧制御回路の動作波形の一例を示す図である。電圧制御回路110aでは、Vctrl信号がオン状態(ハイレベル)になると、1次巻線に三角波状の電流Idsが流れる。Vctrl信号がオンからオフ状態(ローレベル)に切り替わると、1次巻線の電流Idsが0になり、トランス111の2次側のダイオードD1に電流Ioutが流れる。出力電圧Voutは、スイッチング素子112へのVctrl信号のオン幅により、昇降圧が可能となる。
即ち、CPU113は、Vctrl信号のオン幅を広げることで出力電圧Voutを昇圧し、オン幅を狭くすることで出力電圧Voutを降圧する。
また、コイル駆動部120,130,140のスイッチング素子122,132,142のオン/オフの制御を同一のタイミングで行う。このような制御により、干渉音を発生させずに連続的に誘導加熱用コイルに電力を供給できる。
なお、本実施形態では、誘導加熱用コイル123,133,143を全て駆動する場合について説明したが、この態様に限定されない。例えば誘導加熱用コイル123,143は、定着対象となる記録材の幅に応じて、駆動を停止させても良い。具体的には、記録材の幅が誘導加熱用コイル123のコイル幅よりも狭い場合等に、CPU104は、誘導加熱用コイル123のみを駆動さる。また、例えば外部制御CPU105が画像データに基づき記録材の幅を検出し、CPU104に通知しても良い。
次に、フライバック方式のAC/DC変換回路の制御について、図17,18,19を参照して説明する。図17に示すPは、サージ電圧であり、図18に示すn,mは、スイッチング素子に並列接続されたサージ電圧を抑えるRCスナバ回路である。図19は、本構成の駆動波形を示すグラフである。
トランス111を駆動するスイッチング素子112のVctrl信号であるPWMのオンタイミングの制御は、Ioutの電流がゼロ電流のポイントで、次のPWMをオンさせる。そして、Vdsの共振電圧の一番低い電圧点で、次のPWMをオンさせる。Idsをゼロ電流、かつVdsを小さい電圧でスイッチングすることで、電源の変換損失を抑えることが可能となる。また、図19に示すように、電流を正弦波出力することにより、PFC回路を不要としつつ、力率を悪化させることなく、電圧を可変させる電力制御が可能となる。
本発明の特徴的な誘導加熱装置の構成を図9、10、11で説明する。なお、交流入力電圧系統は、便宜上100V系(83〜138V)と200V系(170V〜276V)の場合で説明するが、この態様に限定されないことは言うまでもない。
電圧制御回路は、通常、交流入力電圧が100V系の場合、出力電圧を概ね100Vで出力する。交流入力電圧が200V系の場合、出力電圧を概ね200Vで出力する。そして、従来の画像形成装置では、異なる交流入力電圧系統が入力された場合、100V系及び200V系の部品で通常異なる構成となる。異なる構成の部品としては、加熱コイル123の巻き数及びインダクタンスや、IGBT212、共振コンデンサ121、電解コンデンサC1等が挙げられる。
本実施形態に係る誘導加熱装置100では、交流入力電圧が100V系又は200V系の出力電圧を、交流入力電圧が100V系の出力電圧である100Vに合わせている。そのため、例えば100V系基板、200V系基板において、電圧制御回路の出力は異なる交流入力電圧系統でも概ね同じ電圧を出力できる。その結果、本実施形態に係る画像形成装置は、図9に示すように、異なる交流入力電圧系統で異なる構成の一部を、共通の部品構成にできる。
次に、異なる交流入力電圧系統でも概ね同じ電圧で出力する第1の手段を説明する。図10はトランス111の1次側、2次側の巻線を現している。トランス条件は、入力電圧、駆動周波数、駆動オン時間、効率、1次側電流、出力電流、出力電圧、トランスコアの磁束密度、コア間ギャップ等から決定される。本発明では、1次側と2次側の巻き数を調整し、200V系構成において、100V系の出力電圧と同様の出力電圧になるようにする。
具体的には、異なる交流入力電圧系統である電圧制御回路に備えるトランスにおいて、200V系のトランスの1次側と2次側の巻き数比を概ね1:1から概ね2:1にすることで、トランスを変圧器として降圧する。
100V系の入力電圧をV1、出力電圧をV2、1次側巻線の巻き数をN1、2次側巻線の巻き数をN2とする。200V系の入力電圧をV1’、出力電圧をV2’、1次側巻線の巻き数をN1’、1次側巻線の巻き数をN2’とする。そうすると、100V系の電圧と巻き数の関係は、V1/V2=N1/N2で表せる。また、200V系の電圧と巻き数の関係は、V1’/V2’=N1’/N2’で表せる。
ここで、100V系と200V系の出力電圧を同一、即ちV2=V2’となるように巻き数比を変更し、200V系の出力電圧を100V系の出力電圧とを、概ね同じ電圧に降圧する。電力制御を行う上で、この出力電圧は、同様の挙動を示す。なお、トランスの結合係数、コアの磁束密度、周辺回路の影響もあるため、実際の巻き数比とは異なる。
次に、異なる交流入力電圧系統でも概ね同じ電圧で出力する第2の手段を説明する。異なる交流入力電圧系統の電圧制御回路において、トランスの駆動周波数を変え、制御により降圧して、200V系の出力電圧を100V系の出力電圧と概ね同じの電圧に降圧する。
具体的には、整流電圧Vrectとしての入力電圧Vinが、図11に示すように、100V系、200V系であっても同電位の出力電圧Voutを出力する。これは、CPU113のPWMの駆動周波数f1、f2や、そのデューティを変えることにより、異なる交流入力電圧系統でも概ね同じ出力電圧Voutにできる。
次に、異なる交流入力電圧系統でも概ね同じ電圧で出力する第3の手段を説明する。異なる交流入力電圧系統の電圧制御回路において、実施例1、2を複合して行う。
具体的には、図10、図11に示すように、トランスの巻き数、制御周波数を最適化することにより、電圧制御回路の出力電圧をより高精度に合わせることを可能とする。
なお、第1〜3の手段では、200V系の出力電圧を100V系の出力電圧に概ね同じ電圧に降圧する場合について説明したが、この態様に限定されない。例えば、100V系の出力電圧を200V系の出力電圧に概ね同じ電圧に昇圧しても良い。
次に、本実施形態の第1変形例について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例の誘導加熱用コイルは、図23に示すように、1つの電圧制御回路110c及びコイル駆動部120cを介して、加熱ローラ51の長手方向両端部の誘導加熱用コイル123c,143cを直列に接続する。1つの電圧制御回路110cと1つのコイル駆動部120cにより、2つの誘導加熱用コイル123c,143cを制御することで、部品費や作業工数の削減を図れる。
次に、本実施形態の第2変形例について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例の誘導加熱用コイルは、図24に示すように、1つの電圧制御回路110d及びコイル駆動部120dを介して、加熱ローラ51の長手方向両端部の誘導加熱用コイル123d,143dを並列に接続する。1つの電圧制御回路110dと1つのコイル駆動部120dにより、2つの誘導加熱用コイル123d,143dを制御することで、部品費や作業工数の削減を図れる。
次に、本実施形態の第3変形例について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例の誘導加熱用コイルは、図25に示すように、各誘導加熱用コイル123e,133f,143gにそれぞれ個別の電圧制御回路110e,110f,110gを設ける。各電圧制御回路110e,110f,110gがそれぞれ誘導加熱用コイル123e,133f,143gを制御することで、異なる入力電源系統で、全ての誘導加熱用コイル等を共通化でき、コスト削減を図れる。
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態の画像形成装置は、電圧制御回路に上述のフライバック方式に替えて、フォワード方式を用いたという点で第1の実施形態と異なる。フォワード方式は、高出力の電力出力が必要な場合に用いる。
図12は、電圧制御回路の一例を示す図である。本実施形態の電圧制御回路210aは、トランス211、スイッチング素子212、CPU213、ダイオードD1、D2、コンデンサC1、コイルL1、抵抗R1、抵抗R2を有する。
トランス211の2次巻線は、ダイオードD1とコイルL1とを介して出力端子Toutに接続されている。ダイオードD1とコイルL1との接続点と接地との間には、ダイオードD2が接続されている。
図13は、電圧制御回路の動作波形の一例を示す図である。本実施形態の電圧制御回路210aでは、Vctrl信号がオン状態(ハイレベル)になると、1次巻線に三角波状の電流Idsが流れる。また、トランス211の2次側のダイオードD1、D2に電流Ioutが流れ、コイルL1に蓄電される。電圧制御回路210aにおいてVctrl信号がオンからオフ状態(ローレベル)に切り替わると、1次巻線の電流Idsが0になり、コイルL1に蓄電された電流Ioutが流れる。出力電圧Voutは、スイッチング素子112へのVctrl信号のオン幅により、昇降圧が可能となる。
本実施形態に係る誘導加熱装置200では、交流入力電圧が100V系又は200V系の出力電圧を、交流入力電圧が100V系の出力電圧である100Vに合わせている。そのため、例えば100V系基板、200V系基板において、電圧制御回路の出力は異なる交流入力電圧系統でも概ね同じ電圧を出力できる。その結果、本実施形態に係る画像形成装置は、図14に示すように、異なる交流入力電圧系統で異なる構成の一部を、出力電圧を共通化することにより、共通の部品構成としている。
なお、本実施形態に係る誘導加熱装置においても、図15、図16に示すように、異なる交流入力電圧系統でも概ね同じ電圧で出力する第1の実施形態の第1〜3の手段を適用できる。
次に、フォワード方式のAC/DC変換回路の制御について説明する。図20のP’は、サージ電圧を鈍らせており、図21のm’は、スイッチング素子212に並列接続されたサージ電圧を抑えるCスナバ回路である。図22は、本構成の駆動波形である。
トランス211を駆動するスイッチング素子212のVctrl信号であるPWMのオンタイミングの制御は、Ioutの電流がゼロ電流のポイントで、次のPWMをオンさせる。そして、Vdsの共振電圧が0Vで、次のPWMをオンさせている。Idsをゼロ電流、かつVdsを小さい電圧でスイッチングすることで、電源の変換損失を抑えることが可能となる。また、図22に示すように、電流を正弦波出力することにより、PFC回路を不要としつつ、力率を悪化させることなく、電圧を可変させる電力制御が可能となる。
次に、本発明の第3実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態の画像形成装置は、電圧制御回路に上述のフライバック方式に替えて、ハーフブリッジ方式を用いたという点で第1の実施形態と異なる。
図26は、電圧制御回路の一例であるハーフブリッジ方式の構成の一例である。ハーフブリッジ方式は、トランス311が双方向で励磁するので、大電力出力に有利な構成である。本実施形態の電圧制御回路310aは、トランス311、スイッチング素子Q1,Q2,ダイオードD1,D2、コンデンサC1,C2、チョークコイルL1を有する。なお、トランス311の2次巻線は、接地からダイオードD1を介してとチョークコイルL1に接続されている巻線と、接地からダイオードD2を介してとチョークコイルL1に接続されている巻線と、がある。
電圧制御回路の動作径路を図27を参照して説明する。図27中の点線の矢印は、電流径路を表している。CPU304がスイッチング素子Q1をVctrl1にてオンさせる。このとき、スイッチング素子Q2はオフのままである。コンデンサC1に充電され、トランス311の1次側電流が流れ、トランス311を励磁する。トランス311の2次側では、接地からD1の方向に電流が流れ、その電流はチョークコイルL1にて平滑される。平滑された電流は、コンデンサC2に充電される。
次に、電圧制御回路の動作径路を図28を参照して説明する。図28中の点線の矢印は、電流径路を表している。CPU304がスイッチング素子Q2をVctrl2にてオンさせる。このとき、スイッチング素子Q1をオフする。コンデンサC1に充電された電荷やトランス1次側に励磁したエネルギーは、トランス1次側からスイッチング素子Q2に向けて放電する。トランス2次側では、接地からD2の方向に電流が流れ、その電流はチョークコイルL1にて平滑される。平滑された電流は、コンデンサC2に充電される。
スイッチング素子Q1、Q2のパルスであるVctrl1、Vctrl2のオンタイミング、オン幅を可変することによって、出力電圧Voutの昇降圧が可能となる。
次に、本発明の第4実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。本実施形態の画像形成装置は、電圧制御回路に上述のフライバック方式に替えて、フルブリッジ方式を用いたという点で第1の実施形態と異なる。
フルブリッジ方式は、図29に示すように、ハーフブリッジの構成が2個複合した構成となっており、ハーフブリッジ方式に比べて大電力出力が可能となる。本実施形態の電圧制御回路410aは、トランス411、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4、CPU104、ダイオードD1,D2、コンデンサC1、チョークコイルL1を有する。なお、トランス411の2次巻線は、接地からダイオードD1を介してとチョークコイルL1に接続されている巻線と、接地からダイオードD2を介してとチョークコイルL1に接続されている巻線と、がある。
電圧制御回路の動作径路を図30を参照して説明する。図30中の点線の矢印は、電流径路を表している。CPU404がスイッチング素子Q1、Q4をVctrl1にてオンさせる。このとき、スイッチング素子Q2、Q3はオフのままである。電流は、トランス411に1次側電流が流れ、トランス411を励磁する。トランス411の2次側では、接地からD1の方向に電流が流れ、その電流はチョークコイルL1にて平滑される。平滑された電流はコンデンサC2に充電される。
次に、電圧制御回路の動作径路を図31を参照して説明する。図31中の点線の矢印は、電流径路を表している。CPU404がスイッチング素子Q2、Q3をVctrl2にてオンさせる。このとき、スイッチング素子Q1、Q4をオフする。トランス411の1次側に励磁したエネルギーは、トランス411の1次側からスイッチング素子Q2、Q4に向けて放電する。トランス411の2次側では、接地からD2の方向に電流が流れ、その電流はチョークコイルL1にて平滑される。平滑された電流はコンデンサC2に充電される。
スイッチング素子Q1、Q2のパルスであるVctrl1、Vctrl2のオンタイミング、オン幅を可変することで、出力電圧Voutの昇降圧が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上述の実施形態では、2サイズの用紙に対応する画像形成装置を想定して説明したが、コイルの分割数はこの態様に限らず、更に細分化することも可能である。また、上述の実施形態は、単独又は少なくとも2つを組合わせて実施することが可能である。
なお、上述の実施形態で紹介した各構成の材質、寸法はあくまで一例であり、本発明の作用を発揮し得る範囲内で様々な材質や寸法を選択可能であることは言うまでもない。