JP5199158B2 - 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5199158B2
JP5199158B2 JP2009068014A JP2009068014A JP5199158B2 JP 5199158 B2 JP5199158 B2 JP 5199158B2 JP 2009068014 A JP2009068014 A JP 2009068014A JP 2009068014 A JP2009068014 A JP 2009068014A JP 5199158 B2 JP5199158 B2 JP 5199158B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resonance
capacitors
switching elements
electromagnetic induction
induction heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009068014A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010181850A (ja
Inventor
一海 瀬口
高史 永末
陽一 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2009068014A priority Critical patent/JP5199158B2/ja
Publication of JP2010181850A publication Critical patent/JP2010181850A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5199158B2 publication Critical patent/JP5199158B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Control Or Security For Electrophotography (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)

Description

本発明は、電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真プロセスにより記録紙に画像を形成する画像形成装置(プリンタ、ファクシミリ、複写機及び複合機など)においては、感光体から記録紙上に転写された未定着のトナーを、加熱溶融するとともに記録紙に圧着させる定着装置が設けられている。この種の定着装置では、加熱効率や熱応答性の向上等を目的として、加熱ベルトや加熱ローラ等の被加熱体を電磁誘導作用によるジュール熱で加熱する電磁誘導加熱方式が広く用いられている。
この電磁誘導加熱方式では、励磁コイルと共振コンデンサとにより共振回路を構成するとともに、インバータ回路によって励磁コイルに高周波電力を供給することで、被加熱体の近傍に高周波磁界を発生させて加熱を行う技術が存在する。これによれば、記録紙への熱伝達や周囲への放熱により被加熱体(定着部)の温度が適正範囲の下限値付近まで低下すると、励磁コイルへの電力供給を開始(または増大)して温度を上昇させる一方、被加熱体の温度が上限値付近まで上昇すると、励磁コイルへの電力供給を停止(または低減)して温度を低下させるように制御することができ、定着温度を適正範囲内に保持することが可能となる。
そのような電磁誘導加熱に用いられるインバータ回路としては、商用電源からの交流電力を整流した直流電力を、スイッチング素子のオン/オフ駆動により高周波電力に変換する構成が一般的となっており、例えば、励磁コイル及びこれに並列接続した共振用コンデンサにより電圧共振回路を構成し、インバータ回路に設けた1石のトランジスタを制御装置から出力される駆動信号によりオン/オフ駆動することで、励磁コイルに高周波電力を供給するインバータ回路が知られている(特許文献1参照)。
また、例えば、励磁コイル及びこれに直列接続された共振コンデンサにより電流共振回路を構成し、互いに直列接続された2石のトランジスタを一定の周波数で交互に駆動することで、励磁コイルに高周波電力を供給するインバータ回路が知られている(特許文献2参照)。
また、例えば、励磁コイル及びこれに直列接続された共振コンデンサにより電流共振回路を構成し、ブリッジ回路に設けられた4石のトランジスタを制御装置から出力される駆動信号によりオン/オフ駆動することで、励磁コイルに高周波電力を供給するインバータ回路が知られている(特許文献3参照)。
特開2005−190765号公報 特開平5−21150号公報 特開2005−318698号公報
ところで、上記画像形成装置では、近年、ユーザの利便性の向上等を目的としてウォームアップ時間の短縮が望まれており、これにともない定着装置における電磁誘導加熱の高出力化、及び国外等の高電圧商用電源への対応が重要な課題となっている。
ここで、励磁コイルに流れる電流をI、励磁コイルのインダクタンスをLとすると、励磁コイルに蓄積されるエネルギWは、W=(1/2)LI<sup>2</sup>と表すことができる。この電流Iは、商用電源の交流電圧を整流した直流電圧をE、インバータ回路のスイッチング素子のターンオン時間をTonとすると、I=(E/L)Tonと表すことができる。従って、電磁誘導加熱の高出力化のためには、電流Iの増大、即ち、電圧Eの増大、インダクタンスLの低減、またはターンオン時間Tonの増大が必要となる。
しかしながら、上記特許文献2に記載の従来技術では、そのような電磁誘導加熱の高出力化は実際上困難であった。即ち、まず、電圧Eの増大については、商用電源の交流電圧が画像形成装置の使用地により制限される(例えば、日本国内100V、北米100〜120V、欧州220〜240V等)だけでなく、力率改善を考慮すると整流電圧を高く設定することにも限界があった。また、励磁コイルのインダクタンスLの低減については、コイルの巻数を減らすことで可能となるが、コイルの巻数を減らすとコイル1巻きに対する磁界の重みが大きくなる(即ち、わずかな巻数の増減でも磁界が大きく変動する)ので、磁界分布を適切に維持することが難しくなり、結果として温度ムラ等が生じて定着温度を適切に制御できなくなるという問題があった。さらに、ターンオン時間Tonの増大については、電力効率を考慮すると2石のトランジスタは双方のオン時間を等しく駆動させることが望ましいため、それらの駆動周波数を下げる必要があるが、電波法による規制(20.05〜100kHzの範囲内)から、20.05kHz以下では駆動できないという制限があった。
また、上記特許文献3に記載の従来技術は、電流共振回路を用いて電磁誘導加熱の高出力化を達成するのに比較的適した構成とも考えられるが、使用するトランジスタの数が多くなりコストが嵩むという問題があった。
また、上記特許文献1に記載の従来技術では、電圧Eの増大及びインダクタンスLの低減については、上述の場合と同様であるが、1石のトランジスタでターンオン時間Tonを比較的長く確保することが可能となる。しかし、このような1石型の電圧共振回路では、スイッチング素子の劣化や破壊を防止するための許容電圧及び許容電流による制約の問題があった。即ち、例えば、商用電源の交流電圧が比較的大きい場合(例えば、200V)、トランジスタは1500〜1700V程度の耐圧が要求されるが、そのような高耐圧のトランジスタは高価であり、比較的安価な汎用のトランジスタを使用するには電力投入を1200W程度に抑える必要があった。一方、商用電源の交流電圧が比較的小さい場合(例えば、100V)、電磁誘導加熱の高出力化のためには上記電流Iをより大きくする必要があるが、トランジスタの許容電流の制約による電力投入の限界があった。
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、許容電圧または許容電流が比較的低い低廉なスイッチング素子を用いた低コストかつ簡易な回路構成により、電磁誘導加熱の高出力化、及び国外等の高電圧商用電源への対応を実現可能とした電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置を提供することを主目的とする。
本発明の電磁誘導加熱インバータ装置は、励磁コイルと、当該励磁コイルにそれぞれ接続されるとともに、互いに直列接続された略同一の静電容量を有する2つの共振コンデンサとを有する共振回路と、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力を高周波電力に変換して前記励磁コイルに供給すべく、前記2つの共振コンデンサが介在した状態で互いに接続される2つのスイッチング素子と、当該スイッチング素子にそれぞれ接続されるとともに、互いに直列接続された略同一の静電容量の2つのバランスコンデンサとを有するインバータ回路と、前記2つのスイッチング素子の動作を制御する駆動制御手段とを備え、前記2つの共振コンデンサの接続点と、前記2つのバランスコンデンサの接続点とが電気的に接続され、前記駆動制御手段は、前記2つのスイッチング素子を略同時にオン/オフ駆動することを特徴とする。
このように本発明によれば、スイッチング素子に印加される電圧を2つのスイッチング素子に分担させて軽減することができるとともに、2つのスイッチング素子の電圧分担に関して電気的中点が設定されるため、各スイッチング素子に印加される電圧を均一化することが可能となる。従って、許容電圧が比較的低い低廉なスイッチング素子を用いた低コストかつ簡易な回路構成により、電磁誘導加熱の高出力化を実現することが可能となるという優れた効果を奏する。
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、励磁コイルと、当該励磁コイルにそれぞれ接続されるとともに、互いに直列接続された略同一の静電容量を有する2つの共振コンデンサとを有する共振回路と、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力を高周波電力に変換して前記励磁コイルに供給すべく、前記2つの共振コンデンサが介在した状態で互いに接続される2つのスイッチング素子と、当該スイッチング素子にそれぞれ接続されるとともに、互いに直列接続された略同一の静電容量の2つのバランスコンデンサとを有するインバータ回路と、前記2つのスイッチング素子の動作を制御する駆動制御手段とを備え、前記2つの共振コンデンサの接続点と、前記2つのバランスコンデンサの接続点とが電気的に接続され、前記駆動制御手段は、前記2つのスイッチング素子を略同時にオン/オフ駆動する構成とする。
これによると、スイッチング素子に印加される電圧を2つのスイッチング素子に分担させて軽減することができるとともに、2つのスイッチング素子の電圧分担に関して電気的中点が設定されるため、各スイッチング素子に印加される電圧を均一化することが可能となる。従って、許容電圧が比較的低い低廉なスイッチング素子を用いた低コストかつ簡易な回路構成により、電磁誘導加熱の高出力化を実現することが可能となる。
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記2つの共振コンデンサの接続点と、前記2つのバランスコンデンサの接続点とが、電流制限用コイルを介して電気的に接続される構成とすることができる。
これによると、ゼロクロススイッチングができない動作領域での両スイッチング素子間の発熱差を小さくすることができる。即ち、ゼロクロススイッチングができない動作領域では、両スイッチング素子で突入電流が生じた場合に、両者の駆動タイミングのズレ等により突入電流に差が生じ、この突入電流の差分は、2つの共振コンデンサの接続点と、2つのバランスコンデンサの接続点とを結ぶ配線を流れる。そこで、この配線上に電流制限用コイルを介在させることにより、突入電流の差分を小さくし、両スイッチング素子間の発熱差を小さくすることができる。また、投入電力を小さくして駆動周波数が高くなると、スイッチング素子の突入電流の大きさと発熱量が問題となり得るが、上記電流制限用コイルを設けた構成では、突入電流及び発熱のピークが抑えられるため、両スイッチング素子の最小電力をより小さく設定することが可能となり、電磁誘導加熱の出力の連続制御範囲を拡大できるといった利点がある。
また、第3の発明は、励磁コイルと、当該励磁コイルに接続される共振コンデンサとをそれぞれ有し、当該共振コンデンサの静電容量が略同一に設定された2つの共振回路と、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力を高周波電力に変換して前記励磁コイルに供給すべく、前記各共振回路における前記励磁コイルおよび前記共振コンデンサに接続されるスイッチング素子と、前記共振コンデンサおよび前記スイッチング素子に対して並列接続されるバランスコンデンサとをそれぞれ有し、当該バランスコンデンサの静電容量が略同一に設定された2つのインバータ回路と、前記2つのスイッチング素子の動作を制御する駆動制御手段と、前記2つの共振回路及び前記2つのインバータ回路を、前記整流回路に対して並列または直列に接続する切替接続手段と、前記切替接続手段の動作を制御する接続制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、前記2つのスイッチング素子を略同時にオン/オフ駆動し、前記接続制御手段は、前記商用電源の電圧値に応じて制御を実行する構成とする。
これによると、整流回路に対する2つの共振回路及びインバータ回路の接続を、商用電源の電圧値に応じて並列または直列に切り替える構成としたため、許容電圧または許容電流が比較的低い低廉なスイッチング素子を用いた簡易な回路構成により、電圧の異なる商用電源に対応することが可能となる。この場合、両共振回路における励磁コイルは、同種(または同一)のものを用いることができ、商用電源の電圧に応じて交換する必要もない。
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、 前記2つの共振コンデンサの一方と、当該一方の共振コンデンサに対して並列接続される前記2つのバランスコンデンサの一方とが、第1の電流制限用コイルを介して電気的に接続されるとともに、前記2つの共振コンデンサの他方と、前記2つのバランスコンデンサの他方とが、第2の電流制限用コイルを介して電気的に接続され、前記第1の電流制限用コイルおよび前記第2の電流制限用コイルの誘導係数が略同一であることを特徴とする請求項3に記載の電磁誘導加熱インバータ装置。
これによると、2つの共振回路及びインバータ回路が整流回路に対して直列接続された場合において、ゼロクロススイッチングができない動作領域での両スイッチング素子間の発熱差を小さくすることができる。即ち、ゼロクロススイッチングができない動作領域では、両スイッチング素子で突入電流が生じた場合に、両者の駆動タイミングのズレ等により突入電流に差が生じ、この突入電流の差分は、共振コンデンサとバランスコンデンサとを結ぶ配線を流れる。そこで、この配線上に電流制限用コイルを介在させることにより、突入電流の差分を小さくし、両スイッチング素子間の発熱差を小さくすることができる。また、投入電力を小さくして駆動周波数が高くなると、スイッチング素子の突入電流の大きさと発熱量が問題となり得るが、上記電流制限用コイルを設けた構成では、突入電流及び発熱のピークが抑えられるため、両スイッチング素子の最小電力をより小さく設定することが可能となり、電磁誘導加熱の出力の連続制御範囲を拡大できるといった利点がある。
また、第5の発明は、上記第1から第4の発明のいずれかに係る電磁誘導加熱インバータ装置を備えた定着装置である。
また、第6の発明は、上記第5の発明に係る定着装置を備えた画像形成装置であって、前記整流回路により変換された直流電力の電圧を検出する電圧検出手段を有し、前記接続制御手段は、前記電圧検出手段が検出した電圧値に応じて制御を実行する構成とする。
これによると、電磁誘導加熱インバータ装置は画像形成装置からの制御指令を必要とせずに駆動制御を実施することが可能となるため、駆動制御の処理時間が短縮されるとともに、画像形成装置の処理負荷が軽減される。
また、第7の発明は、上記第5の発明に係る定着装置を備えた画像形成装置であって、前記励磁コイルに発生する交番磁束によって加熱される被加熱体と、前記被加熱体の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段が検出した温度に基づき前記定着装置の定着温度を制御すべく、前記駆動制御手段に制御指令を送出する定着制御手段とを備え、前記駆動制御手段は、画像形成装置の起動時には前記制御指令によらずに制御を実行し、前記被加熱体の温度が目標温度まで到達した後に、前記制御指令に基づく制御を開始する構成とする。
これによると、許容電圧または許容電流が比較的低い低廉なスイッチング素子を用いた低コストかつ簡易な回路構成により、電磁誘導加熱の高出力化を実現して装置のウォームアップ時間を短縮することができる。さらに、画像形成装置の起動時に駆動制御手段は定着制御手段からの制御指令によらずに駆動制御を実行するので、簡易な制御で処理時間も短縮でき、ウォームアップ時間をより一層短縮することができるという利点がある。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1の主要部の構成を示す模式図である。画像形成装置1は、トナー像が形成される作像面を有する感光体ドラム2と、感光体ドラム2の作像面を所定の電位に均一に帯電させる帯電器3と、その均一に帯電させた作像面に対してレーザー光を走査して静電潜像を形成するLSU(Laser Scanning Unit)4と、その静電潜像をトナーで現像する現像器5と、感光体ドラム2に対向して配置され、転写バイアスの印加によって感光体ドラム2のトナー像を記録材S(記録紙等)に転写するための転写ローラ6と、転写後の感光体ドラム2の作像面に残留するトナー等を除去するクリーニング装置7と、記録材Sに転写された未定着のトナーを記録材に定着させるための定着装置8と、記録材Sを格納する給紙部9とを主として備える。
画像形成装置1において画像形成処理が開始されると、給紙部9の記録材Sは、給紙経路11に沿って設けられたガイド部材12上を所定のタイミングで搬送され、矢印方向に回転する感光体ドラム2と転写ローラ6とのニップ部にてトナー像が転写された後、定着装置8においてトナー像の定着処理が実施され、装置外部に露出する排紙トレイ13に載置される。
図2は、図1の画像形成装置1における定着装置8の詳細構成を示す模式図である。定着装置8は、加熱ローラ21及び当該加熱ローラ21から所定の距離をおいて平行に配置された定着ローラ22と、加熱ローラ21及び定着ローラ22に架け渡されて定着ローラ22の回転にともない回転するとともに、加熱ローラ21に対向配置された誘導加熱部23による電磁誘導加熱の被加熱体として加熱ローラ21とともに誘導加熱される加熱ベルト24と、加熱ベルト24を介して定着ローラ22に圧接されることにより、定着ローラ22に対する加熱ベルト24の巻き掛け部分との間に、定着処理される記録紙を挟み込むための定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ25と、加熱ベルト24の内周面側に配置され、加熱ベルト24における定着ニップ部N近傍の温度を検出するサーミスタ(温度検出手段)26とを備えている。未定着トナー像Tが形成された記録材Sは、定着ニップ部Nにおいて矢印方向に回転する加熱ベルト24及び加圧ローラ25により押圧及び加熱されることにより、トナー像Tが溶融して定着される。
ここで、例えば、加熱ローラ21は、鉄、ニッケル、銅またはその合金類からなる中空円筒状の強磁性金属部材を有し、定着ローラ22は、SUS等の金属製の芯金及び表層を構成するシリコンスポンジ等からなる弾性層を有し、加圧ローラ25は、ステンレス鋼またはアルミニウム等の金属部材からなる芯金及び表層を構成するシリコーンゴム等からなる弾性層を有する。また、加熱ベルト24は、ポリイミド樹脂またはフッ素樹脂等からなる耐熱性のフィルム基材上に、シリコーンゴム等からなる弾性層及びPTFE(polytetrafluoroethylene)等からなる表面離型層などの各部材を重ねた無端状ベルトである。
誘導加熱部23は、高周波磁界を発生することにより加熱ローラ21及び加熱ベルト24を電磁誘導によって発熱させる励磁コイル31と、この励磁コイル31の内面31aの形状に適合する半円柱状をなす載置部32aと、加熱ローラ21及び加熱ベルト24の一部を取り囲むように配置されたコイルガイド32と、励磁コイル31の外面31bを覆うように配置されたアーチコア33と、励磁コイル31の中央部に挿入されるように配置されたセンターコア34と、アーチコア33の両側に配置されたサイドコア35とを備え、回転する加熱ローラ21及び加熱ベルト24を電磁誘導加熱によって加熱する。
コイルガイド32は、加熱ローラ21及び加熱ベルト24から励磁コイル31への熱伝達を抑制する断熱部材としても機能する。また、アーチコア33、センターコア34及びサイドコア35は、ともに磁路を構成し、励磁コイル31によって生成された磁束を通すことで外部への漏洩を防ぎ、効率的な電磁誘導加熱を可能とする。これらのコア33−35は、例えば、フェライトやパーマロイ等の強磁性体から形成することができる。
図3は、第1実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置50の概略を示す構成図である。電磁誘導加熱インバータ装置50は、図2に示した定着装置8に組み込まれて電磁誘導加熱を行うためのものであり、励磁コイル31及びこれに並列接続された2つの共振コンデンサC1,C2を有する共振回路51と、商用電源52から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路53と、2つのスイッチング素子Q1,Q2を有するとともに、整流回路53から出力される直流電力を高周波電力に変換して励磁コイル31に供給するためのインバータ回路54と、両スイッチング素子Q1,Q2の動作を制御するIH制御部(駆動制御手段)55とを主として備える。
インバータ回路54においては、両スイッチング素子Q1,Q2が、共振回路51(即ち、2つの共振コンデンサC1,C2)を挟み込むようにして互いに直列接続され、また、両スイッチング素子Q1,Q2には、2つのバランスコンデンサC3,C4が並列接続されている。共振コンデンサC1,C2は、互いに直列接続され、略同一(同一を含む)の静電容量を有する。同様に、バランスコンデンサC3,C4は、互いに直列接続され、略同一の静電容量を有する。両共振コンデンサC1,C2の間の接続点N1と、両バランスコンデンサC3,C4の間の接続点N2とは、配線56によって電気的に接続されている。また、スイッチング素子Q1,Q2には、ダイオードD1,D2がそれぞれ並列接続されている。ここでは、スイッチング素子Q1,Q2としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いるが、これに限らず同様のスイッチング動作が可能なパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等を用いることができる。
IH制御部55は、電流検出部61及び電圧検出部62からのアナログ出力(回路に入力される電流値及び電圧値)をデジタル量に変換するA/D変換部63と、所定の処理プログラム及びデータを用いて電磁誘導加熱インバータ装置50の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)64と、CPU64が実行する処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)65と、CPU64の制御のためのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)66とを主として有しており、両スイッチング素子Q1,Q2の動作を制御するための駆動制御信号を駆動回路67に対して送出する。ここで、図1に示した画像形成装置1は、その装置全体の動作を制御する図示しないシステム制御部を備えており、CPU64は、そのシステム制御部のCPU70(定着制御手段)からの電力投入指示信号(制御指令)に応じて駆動制御信号を送出する。
駆動回路67は、CPU64からの駆動制御信号に基づき、所定レベルの駆動電圧をパルス信号として両スイッチング素子Q1,Q2の制御端子(ゲート)に対してそれぞれ出力し、それらのスイッチング動作を制御する。これにより、整流回路53によって整流された直流電力が高周波電力に変換されて励磁コイル31に供給される。
第1実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置50において、CPU70は、サーミスタ26が検出した温度に基づき定着ニップ部Nにおける定着温度(定着装置8の処理温度)を適正に保持するために、フィードバック制御を実行する。
より詳細には、CPU70は、サーミスタ26の検出結果を取得すると、予め設定された目標温度との比較により加熱ベルト24及び加熱ローラ21の加熱に必要な電力値を演算し、励磁コイル31へ供給する電力の目標値(以下、「目標電力値」という。)として設定する。続いて、CPU70は、その目標電力値の情報をサーミスタ26の検出温度情報とともに電力投入指示信号としてCPU64に出力する。
そして、CPU64は、その電力投入指示信号に従って、駆動回路67に出力する駆動制御信号のオンデューティ(即ち、スイッチング素子をオン状態にする時間の割合に相当)を変化させて、励磁コイル31に供給される電力(ここでは、回路構成上、電流検出部61で検出される電流値及び電圧検出部62で検出される電圧値からの演算値)を目標電力値に近づけるようにデューティ制御する。このとき、駆動回路67から出力されるパルス信号は、両スイッチング素子Q1,Q2の制御端子(ゲート)に出力され、それらを略同時(同時を含む)にオンまたはオフ駆動させる。
ここで、上述のCPU64の制御は、装置起動後(商用電源52の電源投入後)に所定のウォームアップ時間が経過(即ち、サーミスタ26の検出温度が予め設定した目標温度まで到達)して画像形成装置1が動作可能な状態となると、電力投入指示信号に応じて実行される。その一方で、ウォームアップ時(即ち、ウォームアップ時間が経過するまで)は、CPU64は、電力投入指示信号(即ち、サーミスタ26の検出温度及び目標電力値)によらずに、電流検出部61及び電圧検出部62の検出値に基づき励磁コイル31に対して一定電力を供給するように制御を実行する。これにより、定着装置8のウォームアップ時には、画像形成装置1の本体側(CPU70)からの制御指令によらずに制御を実行するので、簡易な制御で処理時間も短縮でき、ウォームアップ時間をより一層短縮することができる。
第1実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置50では、駆動回路67から出力されるパルス信号は、絶縁トランス71を介して一方のスイッチング素子Q1のみの制御端子に出力される。一方、図4の変更例に示すように、駆動回路67から出力されるパルス信号が、絶縁トランス71を介して両スイッチング素子Q1,Q2の制御端子にそれぞれ出力される構成も可能である。図4に示す構成によれば、両スイッチング素子Q1,Q2に入力する信号の波形を制御しやすいという利点がある。なお、図4においては、図3と同様の構成要素に同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5および図6は、図3に示したインバータ回路54の主要部における電流及び電圧の変化の様子を示す波形図である。駆動回路67からスイッチング素子Q1,Q2のゲートに対してオン(ON)信号が出力されると(図5(a))、スイッチング素子Q1,Q2が略同時にオン状態となり、整流回路53の出力電圧が励磁コイル31に印加される。これにより、励磁コイル31に電流が流れ、その電流値はインダクタンスによって徐々に増加する(図5(d))。このとき、スイッチング素子Q1,Q2には、コイル電流ILと略同じの大きさのコレクタ電流Ic1,Ic2が流れる(図5(b),(c),(d))。
その後、駆動回路67からスイッチング素子Q1,Q2のゲートに対してオフ(OFF)信号が出力されると(図5(a))、スイッチング素子Q1,Q2が略同時にオフ状態となる。これにより、励磁コイル31の電流は徐々に低下し、共振コンデンサC1,C2に共振電流として流れ込み、共振コンデンサC1,C2が充電される。このとき、スイッチング素子Q1のエミッタ側の電圧は、徐々に低下してその後上昇する(図5(e))。また、スイッチング素子Q2のコレクタ側の電圧は、徐々に上昇してその後低下する(図5(f))。また、コイル電圧VLは、スイッチング素子Q1,Q2の電圧の和と等しくなる(図5(e),(f),(g))。その後は、同様の動作周期が繰り返し実行される。
また、図6(a)〜(c)に示すように、バランスコンデンサC3,C4にそれぞれ印加される電圧Vc3,Vc4は、整流回路53による全波整流電圧Vbの1/2となる。例えば、商用電源52によりAC230Vが入力された場合、バランスコンデンサC3,C4に印加される電圧のピークは、162V程度となる。
このように、第1実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置50では、スイッチング素子Q1,Q2が直列に接続され、しかも両共振コンデンサC1,C2の間の接続点N1と、両バランスコンデンサC3,C4の間の接続点N2とが、電気的に接続された構成としたため、2つのスイッチング素子Q1,Q2の電圧分担に関して電気的中点が設定される。これにより、各スイッチング素子Q1,Q2に印加される電圧を軽減しつつ均一化することが可能となる。また、バランスコンデンサC3,C4は、共振波形の影響を受けない部位に配置されるため、耐圧を低く設定できる。さらに、最初にスイッチング素子Q1,Q2をターンオンする場合(即ち、装置起動時におけるオン/オフ駆動の開始時)や、電力投入量を比較的小さくしてスイッチング素子Q1,Q2の両端電圧が零になりきらずにターンオンする場合に、スイッチング素子Q1,Q2に印加され得る突入電流の偏りが抑制されるため、スイッチング素子Q1,Q2の発熱や破壊を防止することができる。従って、許容電圧(最大定格電圧等)が比較的低い低廉なスイッチング素子を用いた低コストかつ簡易な回路構成により、電磁誘導加熱の高出力化を実現することが可能となる。
なお、両スイッチング素子Q1,Q2のオンまたはオフ動作は、同時に実行されることが望ましいが、本発明の範囲は、必ずしもスイッチング素子Q1,Q2のオン/オフ動作が厳密に同時である場合に限定されるものではなく、印加される電圧を各々に分担させて軽減することができる限りにおいて、スイッチング素子Q1,Q2のオンまたはオフ動作のタイミングをずらした構成も可能である。
図7は、第2実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置の概略を示す構成図である。図7において、図3に示した構成要素と同様のものについては、同一の符号が付してあり、以下で特に言及する事項を除いて第1実施形態の場合と同様とする。
電磁誘導加熱インバータ装置50は、2つの共振回路51A,51Bを備えており、共振回路51Aは励磁コイル31A及びこれに並列接続された共振コンデンサC1を有し、共振回路51Bは励磁コイル31B及びこれに並列接続された共振コンデンサC2を有する。共振コンデンサC1,C2は、略同一の静電容量を有する。両励磁コイル31A,31Bは、同一の構成(即ち、同一の巻線材料、巻数、コイル径、コイル長さ等)を有し、図8に示すように、加熱ローラ21の幅方向全域を加熱可能なように、加熱ローラ21の軸方向に略一列に連ねられるとともに、それらが発生する磁束の向きが略同一となるように配置される。
また、電磁誘導加熱インバータ装置50は、整流回路53から出力される直流電力を高周波電力に変換して励磁コイル31A,31Bにそれぞれ供給するための2つのインバータ回路54A,54Bを備えいる。インバータ回路54Aは、共振回路51Aに接続されるスイッチング素子Q1と、共振コンデンサC1およびスイッチング素子Q1に対して並列接続されるバランスコンデンサC3とを有する。また、インバータ回路54Bは、共振回路51Bに接続されるスイッチング素子Q2と、共振コンデンサC2およびスイッチング素子Q2に対して並列接続されるバランスコンデンサ4とを有する。共振コンデンサC1,C2は、略同一の静電容量を有する。同様に、バランスコンデンサC3,C4は、略同一の静電容量を有する。
励磁コイル31Aの両端は、共振コンデンサC1側の接続点N15と、スイッチング素子Q1側の接続点N17とに接続され、また、励磁コイル31Bの両端は、共振コンデンサC2側の接続点N16と、スイッチング素子Q1側の接続点N18とに接続される。両励磁コイル31A,31Bを同一の構成(特性)とすることで、1つの電源で両者を同時に動作させることが可能となるため、電磁誘導加熱インバータ装置50は、加熱ローラや加圧ローラを2つ備えたような画像形成装置にも好適に適用可能である。
共振コンデンサC1及びバランスコンデンサC3の間の接続点N11と、整流回路53の一方側に位置する接続点N12とは、スイッチS1を介して接続される。また、共振コンデンサC2及びバランスコンデンサC4の間の接続点N13と、整流回路の他方側に位置する接続点N14とは、スイッチS2を介して接続される。さらに、励磁コイル31A及び共振コンデンサC1の間の接続点N15と、励磁コイル31B及び共振コンデンサC2の一側の接続点N16とは、スイッチS3を介して接続される。なお、スイッチS1〜S3は、例えば、リレーにより構成される。
図示は省略するが、図7に示す電磁誘導加熱インバータ装置50の変更例として、図4の場合と同様に、駆動回路67から出力されるパルス信号が、絶縁トランス71を介して両スイッチング素子Q1,Q2の制御端子にそれぞれ出力される構成が可能である。
第2実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置50において、IH制御部(接続制御手段)55は、装置起動時(商用電源52の電源投入時)に、電圧検出部62が検出した電圧値に応じて、スイッチ(切替接続手段)S1〜S3の開閉動作を制御する。
より詳細には、IH制御部55は、電圧検出部62が検出する電圧値から商用電源52の入力電圧値の大小を判定し、入力電圧値が比較的小さい100V系(ここでは、100V)の場合には、スイッチS1,S2を閉状態とするとともに、スイッチS3を開状態とすることで、2つの共振回路51A,51Bおよびインバータ回路54A,54Bを整流回路53に対して並列接続する。
このとき、図7のインバータ回路54A,54Bの主要部における電流及び電圧の変化は、図9に示したものとなる。この場合、2つの共振回路51A,51Bは整流回路53に対して並列接続された状態にあり、励磁コイル31A,31Bの電圧は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2の電圧と等しくなる(図5(e),(f),(g),(h))。また、図10(a)〜(c)に示すように、バランスコンデンサC3,C4にそれぞれ印加される電圧Vc3,Vc4は、整流回路53による全波整流電圧Vbと等しくなる。例えば、商用電源52によりAC100Vが入力された場合、バランスコンデンサC3,C4に印加される電圧のピークは、141V程度となる。
一方、入力電圧値が比較的大きい200V系(ここでは、230V)の場合には、IH制御部55は、スイッチS1,S2を開状態とするとともに、スイッチS3を閉状態とすることで、2つの共振回路51A,51Bおよびインバータ回路54A,54Bを整流回路53に対して直列接続する。
このとき、図7のインバータ回路54A,54Bの主要部における電流及び電圧の変化は、図11に示したものとなる。この場合、2つの共振回路51A,51Bは整流回路53に対して直列接続された状態にあり、コイル31A,31Bの電圧は、スイッチング素子Q1,Q2の電圧の和と等しくなる(図11(e),(f),(g))。
IH制御部55およびCPU70は、装置起動時におけるスイッチS1〜S3の切替後は、上述の第1実施形態と同様の制御を実行する。このとき、CPU70は、IH制御部55から電圧検出部62の検出電圧情報を取得することで、商用電源52の入力電圧値に応じてスイッチS1〜S3の開閉(即ち、直列接続と並列接続との切替)制御を実行する。なお、IH制御部55は、例えば、電圧検出部62が検出する電圧値と予め設定した閾値との比較により、商用電源52の入力電圧値の大小を判定することができる。
このように、第2実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置50では、整流回路53に対する2つの共振回路51A,51B及びインバータ回路54A,54Bの接続を、商用電源の電圧値に応じて並列または直列に切り替える構成としたため、商用電源の電圧値に応じてスイッチング素子Q1,Q2に印加される電圧を変更することができ、スイッチング素子Q1,Q2として許容電圧(最大定格電圧等)または許容電流(最大定格電流等)が比較的低い低廉な素子を用いた簡易な回路構成により、商用電源52の異なる入力電圧(例えば、100Vと230V)に対応することが可能となる。この場合、両共振回路51A,51Bにおける励磁コイル31A,31Bは、同種(または同一)のものを用いることができ、商用電源52の入力電圧に応じて交換する必要もない。画像形成装置1は、製品出荷後の電圧の変更(例えば、100Vおよび230V間の変更)に対応可能であるため、異なる入力電圧に対応して構成の異なる画像形成装置を準備する必要はなく、機種の削減や在庫の削減にも寄与する。
励磁コイル31A,31Bは、従来の100V電源用の励磁コイルに比べて軸方向の巻数を大きく(例えば、2倍に)することが可能となるため、加熱ローラの温度ムラを低減することができるという利点がある。また、入力電圧値が比較的大きい場合(200V系)でも、大型のコイルを採用する必要はなく、A0サイズ等の大型の定着装置に対応できるという利点もある。
また、2つの共振回路51A,51B及びインバータ回路54A,54Bが整流回路53に対して直列に接続される場合には、上述の第1実施形態と同様に、印加される電圧を2つのスイッチング素子Q1,Q2に分担させて軽減することができるとともに、2つのスイッチング素子Q1,Q2の電圧分担に関して電気的中点が設定されるため、各スイッチング素子Q1,Q2に印加される電圧を均一化することが可能となる。また、バランスコンデンサC3,C4は共振波形の影響を受けない部位に配置されるため、コンデンサの耐圧を低く設定できる。さらに、装置起動時におけるスイッチング素子への突入電流の偏りが抑制されるため、スイッチング素子の発熱や破壊を防止することができ、回路設計が容易となる。
図12は、第3実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置の概略を示す構成図である。図12において、図3に示した構成要素と同様のものについては、同一の符号が付してあり、以下で特に言及する事項を除いて第1実施形態の場合と同様とする。
図12に示す電磁誘導加熱インバータ装置50では、共振コンデンサC1,C2の間の接続点N1と、バランスコンデンサC3,C4の間の接続点N2とを電気的に接続する配線56上に、電流制限用コイル81が設けられている。
このような電流制限用コイル81を設けることにより、ゼロクロススイッチングができない動作領域での両スイッチング素子Q1,Q2間の発熱差を小さくすることができる。即ち、ゼロクロススイッチングができない動作領域では、両スイッチング素子Q1,Q2で突入電流が生じた場合に、両者の駆動タイミングのズレ等により突入電流に差が生じ、この突入電流の差分は、2つの共振コンデンサC1,C2の接続点N1と、2つのバランスコンデンサC3,C4の接続点N2とを結ぶ配線56を流れる。そこで、この配線56上に電流制限用コイル81を介在させることにより、突入電流の差分を小さくし、両スイッチング素子Q1,Q2間の発熱差を小さくすることができる。
また、投入電力を小さくして駆動周波数が高くなると、スイッチング素子Q1,Q2の突入電流の大きさと発熱量が問題となり得るが、上記電流制限用コイル81を設けた構成では、突入電流及び発熱のピークが抑えられるため、両スイッチング素子Q1,Q2の最小電力をより小さく設定することが可能となり、電磁誘導加熱の出力の連続制御範囲を拡大できるといった利点がある。なお、図13に示すように、配線56上の電流制限用コイル81に対して抵抗82を直列接続した構成によっても、上記と同様の効果が得られる。
また、図示は省略するが、図12に示す電磁誘導加熱インバータ装置50の変更例として、図4の場合と同様に、駆動回路67から出力されるパルス信号が、絶縁トランス71を介して両スイッチング素子Q1,Q2の制御端子にそれぞれ出力される構成が可能である。
図14は、第4実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置の概略を示す構成図である。図12において、図7に示した構成要素と同様のものについては、同一の符号が付してあり、以下で特に言及する事項を除いて第2実施形態の場合と同様とする。
図14に示す電磁誘導加熱インバータ装置50では、2つのインバータ回路54A,54Bは、直列接続される場合に、共振コンデンサC1,C2とバランスコンデンサC3,C4とが、それぞれ電流制限用コイル91,93を介して互いに電気的に接続されるように構成されている。より詳細には、共振コンデンサC1及びバランスコンデンサC3の間の接続点N11と、励磁コイル31A及び共振コンデンサC1の間の接続点N15とを電気的に接続する配線90上に、電流制限用コイル(第1の電流制限用コイル)91が設けられ、また、共振コンデンサC2及びバランスコンデンサC4の間の接続点N13と、励磁コイル31B及び共振コンデンサC2の間の接続点N16とを電気的に接続する配線92上に、電流制限用コイル(第2の電流制限用コイル)93が設けられている。両電流制限用コイル91,93は、略同一の構成を有し、電気的特性(誘導係数等)も略同一である。
このような電流制限用コイル91,93を設けることにより、ゼロクロススイッチングができない動作領域での両スイッチング素子Q1,Q2間の発熱差を小さくすることができる。即ち、ゼロクロススイッチングができない動作領域では、両スイッチング素子Q1,Q2で突入電流が生じた場合に、両者の駆動タイミングのズレ等により突入電流に差が生じ、この突入電流の差分は、2つの共振コンデンサと、2つのバランスコンデンサとを結ぶ配線90,92を流れる。そこで、これら配線90,92上に電流制限用コイル91,93をそれぞれ介在させることにより、突入電流の差分を小さくし、両スイッチング素子Q1,Q2間の発熱差を小さくすることができる。
また、第3実施形態の場合と同様に、上記電流制限用コイル91,93を設けた構成では、突入電流及び発熱のピークが抑えられるため、両スイッチング素子Q1,Q2の最小電力をより小さく設定することが可能となり、電磁誘導加熱の出力の連続制御範囲を拡大できるといった利点がある。なお、図13の場合と同様に、電流制限用コイル91,93の各々に対して抵抗を直列接続した構成によっても、上記と同様の効果が得られる。
また、図示は省略するが、図14に示す電磁誘導加熱インバータ装置50の変更例として、図4の場合と同様に、駆動回路67から出力されるパルス信号が、絶縁トランス71を介して両スイッチング素子Q1,Q2の制御端子にそれぞれ出力される構成が可能である。
本発明に係る電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置は、許容電圧または許容電流が比較的低い低廉なスイッチング素子を用いた低コストかつ簡易な回路構成により、電磁誘導加熱の高出力化、及び国外等の高電圧商用電源への対応を実現することを可能とし、電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置として有用である。
第1実施形態に係る画像形成装置の模式図 第1実施形態に係る定着装置の模式図 第1実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置の構成図 図3の電磁誘導加熱インバータ装置の変更例を示す図 第1実施形態に係るインバータ回路の主要部における電流及び電圧の波形図 第1実施形態に係るバランスコンデンサにおける電圧の波形図 第2実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置の構成図 第2実施形態に係る励磁コイルの概略構成図 第2実施形態に係るインバータ回路の主要部における電流及び電圧の波形図(入力電圧値100Vの場合) 第2実施形態に係るバランスコンデンサにおける電圧の波形図(入力電圧値100Vの場合) 第2実施形態に係るインバータ回路の主要部における電流及び電圧の波形図(入力電圧値230Vの場合) 第3実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置の構成図 図12の電磁誘導加熱インバータ装置の変更例を示す図 第4実施形態に係る電磁誘導加熱インバータ装置の構成図
1 画像形成装置
8 定着装置
21 加熱ローラ
24 加熱ベルト
26 サーミスタ(温度検出手段)
31 励磁コイル
50 インバータ回路
51 共振回路
52 商用電源
53 整流回路
54 インバータ回路
55 IH制御部(駆動制御手段、接続制御手段)
61 電流検出部
62 電圧検出部
70 CPU(定着制御手段)
C1,C2 共振コンデンサ
C3,C4 バランスコンデンサ
N1,N2 接続点
Q1,Q2 スイッチング素子
S1〜S3 スイッチ(切替接続手段)

Claims (7)

  1. 励磁コイルと、当該励磁コイルにそれぞれ接続されるとともに、互いに直列接続された略同一の静電容量を有する2つの共振コンデンサとを有する共振回路と、
    商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路と、
    前記整流回路から出力される直流電力を高周波電力に変換して前記励磁コイルに供給すべく、前記2つの共振コンデンサが介在した状態で互いに接続される2つのスイッチング素子と、当該スイッチング素子にそれぞれ接続されるとともに、互いに直列接続された略同一の静電容量の2つのバランスコンデンサとを有するインバータ回路と、
    前記2つのスイッチング素子の動作を制御する駆動制御手段と
    を備え、
    前記2つの共振コンデンサの接続点と、前記2つのバランスコンデンサの接続点とが電気的に接続され、
    前記駆動制御手段は、前記2つのスイッチング素子を略同時にオン/オフ駆動することを特徴とする電磁誘導加熱インバータ装置。
  2. 前記2つの共振コンデンサの接続点と、前記2つのバランスコンデンサの接続点とが、電流制限用コイルを介して電気的に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の電磁誘導加熱インバータ装置。
  3. 励磁コイルと、当該励磁コイルに接続される共振コンデンサとをそれぞれ有し、当該共振コンデンサの静電容量が略同一に設定された2つの共振回路と、
    商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路と、
    前記整流回路から出力される直流電力を高周波電力に変換して前記励磁コイルに供給すべく、前記各共振回路における前記励磁コイルおよび前記共振コンデンサに接続されるスイッチング素子と、前記共振コンデンサおよび前記スイッチング素子に対して並列接続されるバランスコンデンサとをそれぞれ有し、当該バランスコンデンサの静電容量が略同一に設定された2つのインバータ回路と、
    前記2つのスイッチング素子の動作を制御する駆動制御手段と、
    前記2つの共振回路及び前記2つのインバータ回路を、前記整流回路に対して並列または直列に接続する切替接続手段と、
    前記切替接続手段の動作を制御する接続制御手段と
    を備え、
    前記駆動制御手段は、前記2つのスイッチング素子を略同時にオン/オフ駆動し、
    前記接続制御手段は、前記商用電源の電圧値に応じて制御を実行することを特徴とする電磁誘導加熱インバータ装置。
  4. 前記2つの共振コンデンサの一方と、当該一方の共振コンデンサに対して並列接続される前記2つのバランスコンデンサの一方とが、第1の電流制限用コイルを介して電気的に接続されるとともに、前記2つの共振コンデンサの他方と、前記2つのバランスコンデンサの他方とが、第2の電流制限用コイルを介して電気的に接続され、
    前記第1の電流制限用コイルおよび前記第2の電流制限用コイルの誘導係数が略同一であることを特徴とする請求項3に記載の電磁誘導加熱インバータ装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の電磁誘導加熱インバータ装置を備えた定着装置。
  6. 請求項5に記載の定着装置を備えた画像形成装置であって、
    前記整流回路により変換された直流電力の電圧を検出する電圧検出手段を有し、
    前記接続制御手段は、前記電圧検出手段が検出した電圧値に応じて制御を実行することを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項5に記載の定着装置を備えた画像形成装置であって、
    前記励磁コイルに発生する交番磁束によって加熱される被加熱体と、
    前記被加熱体の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段が検出した温度に基づき前記定着装置の定着温度を制御すべく、前記駆動制御手段に制御指令を送出する定着制御手段と
    を備え、
    前記駆動制御手段は、画像形成装置の起動時には前記制御指令によらずに制御を実行し、前記被加熱体の温度が目標温度まで到達した後に、前記制御指令に基づく制御を開始することを特徴とする画像形成装置。
JP2009068014A 2009-01-09 2009-03-19 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置 Active JP5199158B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009068014A JP5199158B2 (ja) 2009-01-09 2009-03-19 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009003855 2009-01-09
JP2009003855 2009-01-09
JP2009068014A JP5199158B2 (ja) 2009-01-09 2009-03-19 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010181850A JP2010181850A (ja) 2010-08-19
JP5199158B2 true JP5199158B2 (ja) 2013-05-15

Family

ID=42763444

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009068014A Active JP5199158B2 (ja) 2009-01-09 2009-03-19 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5199158B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6303472B2 (ja) * 2013-12-13 2018-04-04 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62250874A (ja) * 1986-04-23 1987-10-31 Fuji Electric Co Ltd 直列共振負荷用電圧形インバ−タ
JP3343870B2 (ja) * 1993-07-09 2002-11-11 株式会社電設 Dc−dcコンバータ
JP2000228883A (ja) * 1999-02-04 2000-08-15 Fuji Electric Co Ltd 電力変換装置
JP2007199357A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Konica Minolta Business Technologies Inc 電磁誘導加熱方式の定着装置およびそれを備えた画像形成装置
JP2007305400A (ja) * 2006-05-11 2007-11-22 Ricoh Co Ltd 誘導加熱による発熱装置、及び画像形成装置
JP2008185859A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010181850A (ja) 2010-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5026826B2 (ja) 昇圧回路と電源装置と画像形成装置
JP4917903B2 (ja) 加熱装置、定着装置、加熱部材の温度制御方法及び画像形成装置
JP4922229B2 (ja) 誘導加熱定着装置
JP5102079B2 (ja) 定着装置および画像形成装置および加熱制御方法
JP6671871B2 (ja) 定着装置
KR100392577B1 (ko) 화상 형성 장치용 전원 디바이스, 및 이를 이용한 화상형성 장치
JP2007199356A (ja) 電磁誘導加熱方式の定着装置およびそれを備えた画像形成装置
US9606482B2 (en) Fixing apparatus
JP6562599B2 (ja) 定着装置
JP5830587B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP5199158B2 (ja) 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置
JP2006114283A (ja) 加熱装置及び加熱装置の制御方法、画像形成装置
JP2022050118A (ja) 画像形成装置
JP2007140329A (ja) 画像形成装置及び定着装置
JP2008185859A (ja) 電磁誘導加熱インバータ装置並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置
JP5210731B2 (ja) 定着装置,画像形成装置
JP6667695B2 (ja) 定着装置
JP2008197319A (ja) 定着装置
JP4194530B2 (ja) 定着装置
JP6667694B2 (ja) 定着装置
JP2002169393A (ja) 加熱装置及びこの加熱装置を備える画像形成装置
JP6362491B2 (ja) 定着装置
JP6562598B2 (ja) 定着装置
JP2018066808A (ja) 定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置
JP2008249948A (ja) 定着装置および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110819

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5199158

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150