以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るステアリングシステム10Aの全体構成図である。ステアリングシステム10Aは、車両においてステアリングホイール12の回転を前輪54の転舵に変換するシステムである。本図は、ステアリングシステム10Aを車両上方から下方に向かって見た図である。ステアリングシステム10Aは、ステアリング装置80Aおよび転舵ユニット40を有する。
ステアリング装置80Aは、ステアリングホイール12、ステアリングシャフト14、舵角センサ16、イグニッションセンサ18、ステアリングロック機構20、出力軸15、トルクセンサ24、電動パワーステアリング機構32、連結軸17、伝達比可変ユニットECU(ECU:電子制御ユニット)100、およびEPSECU(EPS:Electric Power Steering)150を有する。
ステアリングホイール12は、車両室内に設けられ、運転者によって回転操作される。ステアリングシャフト14は、ステアリングホイール12と共に回転するように一端がステアリングホイール12に連結される。
舵角センサ16はステアリングシャフト14に設けられ、ステアリングホイール12の操舵角および操舵方向を検出する。舵角センサ16は伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150に接続されている。舵角センサ16の検出結果は、伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150に出力される。
イグニッションセンサ18は、ユーザによるイグニッションキーのオンおよびオフの操作を検出する。イグニッションセンサ18は伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150に接続されている。イグニッションセンサ18の検出結果は、伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150に出力される。
ステアリングロック機構20は、ロックバー(図示せず)およびロックホルダ(図示せず)を有する。ロックホルダは円環状に設けられ、ステアリングシャフト14に同軸に嵌着され固定される。ロックホルダの外周には、径方向外向きに突出する複数の歯部が形成されている。ロックバーは、棒状または平板状に形成され、車両のキーが挿入されるキーシリンダと連結されている。
ユーザによってキーと共にキーシリンダがイグニッションキーがオフとなる位置まで回転されると、ロックバーがロックホルダの歯部の間に進出する。この状態でステアリングホイール12を回転させようとするとロックバーの側面がロックホルダの歯部の側面に当接する。このため、イグニッションキーがオフにされている間は、ステアリングロック機構20によってステアリングホイール12の回転が規制される。
キーシリンダにキーが挿入され、キーとともにキーシリンダがイグニッションキーがオンとなる位置まで回転されると、ロックバーがロックホルダの歯部の間から退出する。このため、イグニッションキーがオンにされている間は、ステアリングロック機構20によるステアリングホイール12の回転の規制が解除される。
伝達比可変ユニット22は、後述する差動発生機構および差動ロック機構を有する。伝達比可変ユニット22は、ステアリングロック機構20の後述する転舵ユニット側に設けられ、同軸に配置されたステアリングシャフト14の他端および出力軸15の一端に連結される。差動発生機構は、モータ(図示せず)、波動発生器(図示せず)、フレクスプライン(図示せず)、ドリブンギヤ(図示せず)、およびステータギヤ(図示せず)を含む。
波動発生器は、プラグ(図示せず)および可撓性ベアリング(図示せず)により構成される。プラグは外周が楕円形状の板状に形成される。プラグの楕円形状の中心はモータ軸に固定される。プラグの外周には可撓性を有する可撓性ベアリングが取り付けられる。ドリブンギヤとステータギヤは同一のピッチ円および異なる歯数を有する内歯として形成される。ステータギヤは、ステアリングシャフト14と共に回転するようにステアリングシャフト14に連結される。ドリブンギヤは、出力軸15と共に回転するように出力軸15に連結される。ドリブンギヤとステータギヤは同軸に隣接して設けられる。
フレクスプラインは、可撓性のある材料によって円筒状に成形される。フレクスプラインは外周に外歯としてのギヤ部を有する。フレクスプラインはドリブンギヤおよびステータギヤの内部に配置される。波動発生器は円筒形のフレクスプラインの内部に配置される。波動発生器がフレクスプラインの内部に配置されることによりフレクスプラインの一部が撓められ、フレクスプラインのギヤの一部とステータギヤおよびドリブンギヤの一部が噛合する。この状態でモータによって波動発生器が駆動されると、フレクスプラインのギヤとステータギヤおよびドリブンギヤが噛合する箇所が周方向に移動する。上述したようにステータギヤとドリブンギヤとは歯数が異なるため、ステアリングシャフト14と出力軸15との間に回転方向の差動が発生する。このように、差動発生機構は、ステアリングシャフト14と出力軸15との間に回転方向の差動を発生させるアクチュエータとして機能する。
差動ロック機構は、ソレノイド(図示せず)、ロックピン(図示せず)、およびロックホルダ(図示せず)を有する。ロックホルダは円環状に形成され、伝達比可変ユニット22のモータ軸に嵌着され固定される。ロックホルダの外周には、径方向外向きに突出する複数の歯部が形成されている。ロックバーは、棒状または平板状に形成され、ソレノイドと連結している。ソレノイドが作動すると、ロックピンはロックホルダの歯部の間に進出し、モータ軸の回転が規制される。差動ロック機構は、こうしてステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動を規制する。ソレノイドの作動が停止すると、ロックピンはバネの付勢力などによってロックホルダの歯部の間から退出し、モータ軸の回転の規制が解除される。差動ロック機構は、こうしてステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動の規制を解除する。
ユーザによってキーと共にキーシリンダがイグニッションキーがオフとなる位置まで回転されると、ロックバーがロックホルダの歯部の間に進出する。この状態でステアリングホイール12を回転させようとするとロックバーの側面がロックホルダの歯部の側面に当接する。このため、イグニッションキーがオフにされている間は、ステアリングロック機構20によってステアリングホイール12の回転が規制される。
トルクセンサ24は、出力軸15に設けられ、出力軸15に与えられるトルクを検出する。トルクセンサ24にはトーションバーが設けられている。トルクセンサ24は、トーションバーの捻れ角度を検出することによって出力軸15に与えられるトルクを検出する。トルクセンサ24は、伝達比可変ユニット22の転舵ユニット側に設けられる。トルクセンサ24は伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150に接続されている。トルクセンサ24の検出結果は、伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150に出力される。
電動パワーステアリング機構32は、トルクセンサ24の転舵ユニット側に設けられる。電動パワーステアリング機構32は、モータ28、減速機構26、および角度センサ30を有する。モータ28のモータ軸は減速機構26に接続される。減速機構26にはギヤが設けられ、出力軸15に設けられたギヤ部と噛合する。モータ28が作動すると、その回転運動が減速機構26によって減速され、出力軸15が回転駆動される。角度センサ30はモータ28の回転角度を検出する。角度センサ30はEPSECU150に接続される。角度センサ30による検出結果はEPSECU150に入力される。
出力軸15の他端は、ユニバーサルジョイント34を介して連結軸17の一端に連結される。連結軸17の他端にはピニオンギヤ(図示せず)が設けられている。
転舵ユニット40は、ギヤボックス44、操舵軸46、タイロッド48、ナックルアーム50を含む。ギヤボックス44は略円筒形状に形成され、軸方向が車両左右方向と平行となるように配置される。ギヤボックス44の内部には操舵軸46が挿通される。操舵軸46は、両端がギヤボックス44から突出するよう配置される。操舵軸46にはラックギヤが設けられている。連結軸17のピニオンギヤと操舵軸46のラックギヤがギヤボックス44内部において噛合し、ラックアンドピニオン機構42が構成される。ラックアンドピニオン機構42によって、ステアリングホイール12の回転が操舵軸46の軸方向の推進に変換される。
操舵軸46の端部にはそれぞれタイロッド48の一端が連結される。タイロッド48の他端は、前輪54を支持するナックルアーム50に連結される。ナックルアーム50は、キングピン52を中心に回動可能に車両に取り付けられる。操舵軸46が軸方向に推進すると、タイロッド48を介してナックルアーム50が回動され、前輪54が転舵される。
EPSECU150は、舵角センサ16およびトルクセンサ24の検出結果を利用して、出力軸15を駆動する目標アシストトルクを算出する。EPSECU150は、算出した目標アシストトルクを発生させるための電流をモータ28に供給するよう、制御電流を駆動回路152に出力する。駆動回路152は、EPSECU150から供給された制御電流に応じた電流をバッテリ90からモータ28に供給し、モータ28を作動させる。EPSECU150は、このように操舵角やトルクに応じてユーザによるステアリングホイール12の操舵をアシストする。EPSECU150は、イグニッションセンサ18によってイグニッションキーがオンにされたと検出されてからオフにされたと検出されるまでの間、ユーザによるステアリングホイール12の操舵をアシストする操舵アシスト制御を実行する。
伝達比可変ユニットECU100は、ユーザによる操舵の操作性を向上させるため、伝達比可変ユニット22を作動させてステアリングシャフト14と出力軸15との間に回転方向の差動を発生させる。以下、図2を参照して伝達比可変ユニットECU100について詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る伝達比可変ユニットECU100の機能ブロック図である。伝達比可変ユニットECU100は、差動ロック制御部104、差動制御部106、記憶部108、およびタイマ110を有する。差動ロック制御部104は、差動ロック機構60による差動発生機構62のロックを制御する。差動制御部106は、差動発生機構62によるステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動の発生を制御する。記憶部108には、経過時間の閾値や出力軸15に与えられるトルクの閾値などが格納されている。タイマ110は時間を計測する。
伝達比可変ユニット22のモータには、回転センサ(図示せず)が設けられている。回転センサは伝達比可変ユニットECU100に接続されており、回転センサの検出結果は伝達比可変ユニットECU100に出力される。差動ロック制御部104は、回転センサの検出結果を利用して、たとえば伝達比可変ユニット22にフェールが発生したと判定されるための条件など、伝達比可変ユニット22による差動をロックする必要があると認められる所定の条件を満たすか否かを判断する。検出結果が所定の条件を満たす場合、差動ロック制御部104は、差動ロック機構60のソレノイドへ電力を供給するよう、駆動回路102に制御電流を供給する。駆動回路102は、差動ロック機構60のソレノイドに電力を供給し、ステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動をロックする。たとえば伝達比可変ユニット22にフェールが生じた場合、このようにステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動がロックされることにより、運転者はその後固定された伝達比によって確実に車輪を転舵することが可能となる。
差動制御部106は、舵角センサ16、トルクセンサ24、および車輪の回転速度を検出する車輪速センサ36の検出結果を利用して、ステアリングシャフト14と出力軸15の間の相対的な目標差動角度を算出する。差動制御部106は、算出した目標差動角度に応じた電流をモータに供給するよう、制御電流を駆動回路102に出力する。駆動回路102は、供給された制御電流に応じた電流をバッテリ90からモータに供給する。差動制御部106は、このように操舵角、トルクおよび車輪速に応じてステアリングシャフト14と出力軸15の間に回転方向の差動を発生させる。
伝達比可変ユニットECU100は、イグニッションセンサ18によってイグニッションキーがオンにされたと検出されてからオフにされたと検出されるまでの間、ステアリングシャフト14と出力軸15の間に回転方向の差動を発生させる伝達比可変制御を実行する。
図1に戻って、たとえば前輪54の一方が転舵されたまま縁石などに乗り上げた場合、前輪54には転舵方向への力が作用する。本実施形態に係るステアリング装置80Aでは、ステアリングホイール12から転舵ユニット40に向かって、ステアリングロック機構20、伝達比可変ユニット22、トルクセンサ24、減速機構26という順にそれぞれが配置される。したがって、ステアリングロック機構20から転舵ユニット40までに配置される、ステアリングロック機構20、伝達比可変ユニット22、トルクセンサ24、および電動パワーステアリング機構32には前輪54の転舵方向に作用する力が伝達される。
このため前輪54の転舵方向に作用する力はステアリングロック機構20に伝達され、ステアリングロック機構20におけるロックバーの側面とロックホルダの歯部の側面とが強く押圧される。これによって、ロックバーの側面とロックホルダの歯部の側面との摩擦力が増加する。このような摩擦力の増加を考慮して、引き抜き力の強いステアリングロック機構20の採用するとコストアップに繋がる。
また、たとえば前輪54の一方が転舵されたまま縁石などに乗り上げた状態が長時間継続した場合、ロックバーの側面およびロックホルダの歯部の側面に長時間強い押圧力が与えられる。このような長時間の押圧力を考慮してロックバーおよびロックホルダの強度を上げると、ステアリングロック機構20の大型化などに繋がる。
また、トルクセンサ24は、トーションバーの所定角度以上の捻れを規制する規制部材を有する。ステアリングロック機構20によってステアリングシャフト14の回転がロックされた状態で前輪54に転舵する方向の力が与えられると、前輪54出力軸15に大きなトルクが与えられる。これによってトーションバーが所定角度捻れた場合、規制部材によってそれ以上の角度の捻れが規制される。この状態が長時間継続することによるトーションバーや規制部材の変形などを抑制するために、トーションバーや規制部材の強度を上げると、トルクセンサ24の大型化などに繋がる。
このため、本実施形態に係るステアリング装置80Aにおいて、伝達比可変ユニットECU100は、ステアリングロック機構20によりステアリングシャフト14がロックされた後、ステアリングシャフトまたは出力軸に与えられるトルクが低減するように、ステアリングシャフトと出力軸との間に回転方向の差動を発生させるよう、伝達比可変ユニット22を制御する。以下、この制御手順について、図3のフローチャートを参照して詳細に説明する。
図3は、第1の実施形態に係るステアリング装置80Aの動作手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、イグニッションキーがオンにされたときに開始する。
伝達比可変ユニットECU100は、イグニッションセンサ18の検出結果を利用してイグニッションキーがオフにされたか否かを判定することにより(S11)、ステアリングロック機構20によってステアリングシャフト14の回転がロックされているか否かを判定する。このため、イグニッションセンサ18は、ステアリングロック機構20によってステアリングシャフト14の回転がロックされているか否かを検出するロック状態検出手段として機能し、伝達比可変ユニットECU100は、ステアリングロック機構20によってステアリングシャフト14の回転がロックされているか否かを判定するロック状態判定部として機能する。
イグニッションキーがオフにされていないと判定された場合(S11のN)、ステアリングロック機構20によってステアリングシャフト14の回転はロックされていないと判定し、伝達比可変ユニットECU100は、引き続きイグニッションキーがオフにされたか否かを所定時間毎に判定する。イグニッションキーがオフにされたと判定された場合(S11のY)、ステアリングロック機構20によってステアリングシャフト14の回転はロックされ車両が駐車された判定し、タイマ110は、イグニッションキーがオフにされてから経過した経過時間tの計測を開始する(S12)。
時間の計測が開始されると、伝達比可変ユニットECU100は、所定時間毎に経過時間tが所定時間t1に達したか否かを判定する(S13)。経過時間tが所定時間t1より小さいと判定された場合(S13のN)、伝達比可変ユニットECU100は、引き続き経過時間tが所定時間t1に達したか否かを所定時間毎に判定する。
経過時間tが所定時間t1以上と判定された場合(S13のY)、トルクセンサ24の検出結果から出力軸15に与えられるトルクTを算出する。伝達比可変ユニットECU100は、記憶部108に格納された第1所定トルクT1を参照し、出力軸15に与えられるトルクTの絶対値が第1所定トルクT1以上か否かを判定する(S14)。このときの第1所定トルクT1は、そのトルクが与えられて所定時間t1を経過しても、ステアリングロック機構20によるロックの解除やトルクセンサ24のトーションバーなどに与える影響が低い値に設定される。
出力軸15に与えられるトルクTの絶対値が第1所定トルクT1より小さいと判定された場合(S14のN)、ステアリングロック機構20やトルクセンサ24に与えられるトルクを低減する必要性は低いため、再びS12の処理に戻る。このように所定時間毎にステアリングロック機構20やトルクセンサ24に与えられるトルクが所定の値を越えているかを判定することによって、トルクを低減するための処理を実行する頻度が抑制され消費電力が低減される。また所定の値を超えていない場合にこのトルクを低減する処理を実施しないことによって、ステアリングロック機構20やトルクセンサ24に与えられるトルクを低減する必要性が低い場合にトルクを低減する処理を実施することが抑制され、消費電力が低減される。
出力軸15に与えられるトルクTの絶対値が第1所定トルクT1以上と判定された場合(S14のY)、伝達比可変ユニットECU100は、ステアリングロック機構20やトルクセンサ24に与えられるトルクを低減する必要があると判定する。このため、これらに与えられるトルクを低減するトルク低減処理を実行する。
このトルク低減処理において、まず差動制御部106は、ステアリングシャフト14と出力軸15との間に発生させるべき目標差動角度を算出する(S15)。記憶部108には、トルクセンサ24の検出結果により得られる出力軸15に与えられるトルクと、ステアリングロック機構20やトルクセンサ24への影響が低いとされる値までこのトルクを低減させるために必要な差動角度が対応付けられたマップが格納されている。差動制御部106は、このマップを参照して目標差動角度を算出する。
差動ロック制御部104は、差動ロック機構60のソレノイドに供給している電力を停止させてロックピンをロックホルダから退出させ、ステアリングシャフト14と出力軸15の間の差動のロックを解除する(S16)。差動のロックが解除されると、差動制御部106は、差動発生機構62に供給する電流を制御して、ステアリングシャフト14と出力軸15との間に目標角度の差動が発生するまで差動発生機構62を作動させる(S17)。
目標角度まで差動が発生すると、伝達比可変ユニットECU100は、出力軸15に与えられるトルクTの絶対値が第2所定トルクT2以下まで低下したか否かを判定する(S18)。第2所定トルクは、長時間そのトルクがステアリングロック機構20やトルクセンサ24に与えられてもステアリングロック機構20によるロックの解除やトルクセンサ24のトーションバーなどに与える影響が充分に低い値に設定される。なお、第2所定トルクT2がゼロに設定されてもよいことは勿論である。
出力軸15に与えられるトルクTの絶対値が、まだ第2所定トルクT2より大きいと判定された場合(S18のN)、S15の処理に戻る。伝達比可変ユニットECU100は、出力軸15に与えられるトルクTの絶対値が第2所定トルクT2以下となるまでこの処理を繰り返す。
出力軸15に与えられるトルクTの絶対値が第2所定トルクT2以下と判定された場合(S18のY)、差動ロック制御部104は、ステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動をロックするよう差動ロック機構60を作動させる(S19)。これによって前輪54の転舵が抑制される。
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るステアリングシステム10Bに含まれるステアリング装置80Bの動作手順を示すフローチャートである。本実施形態に係るステアリングシステム10Bおよびこれに含まれるステアリング装置80Bの構成は、第1の実施形態に係るステアリングシステム10Aおよびこれに含まれるステアリング装置80Aの構成と同様であることから説明を省略する。本フローチャートにおける処理は、イグニッションキーがオンにされたときに開始する。なお、S31、S32、およびS33は、図3におけるS11、S12、およびS13と同様であることから説明を省略する。
経過時間tが所定時間t1より小さいと判定された場合(S33のN)、伝達比可変ユニットECU100は、引き続き経過時間tが所定時間t1に達したか否かを所定時間毎に判定する。
経過時間tが所定時間t1以上と判定された場合(S33のY)、ステアリングシャフト14または出力軸15に与えられるトルクにかかわらず、差動ロック制御部104は、差動ロック機構60のソレノイドに供給している電力を停止させてロックピンをロックホルダから退出させ、ステアリングシャフト14と出力軸15の間の差動のロックを解除する(S34)。これによって、伝達比可変ユニット22にトルクが与えられている場合には、そのトルクによってステアリングシャフト14と出力軸15との間に差動が発生し、ステアリングロック機構20およびトルクセンサ24に与えられるトルクを低減することができる。このため、伝達比可変ユニット22を作動させる場合に比べ消費電力を低減することができる。差動のロックが解除されると、差動ロック制御部104は、差動をロックする(S35)。これによって前輪54の転舵が抑制される。
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係るステアリングシステム10Cの全体構成図である。なお、本実施形態に係るステアリング装置80Cを構成するイグニッションセンサ18、伝達比可変ユニット22、トルクセンサ24、および電動パワーステアリング機構32の伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150への接続状態は、第1の実施形態に係るステアリング装置80Aと同様であることから説明を省略する。また転舵ユニット40についても第1の実施形態と同様であることから説明を省略する。
このように、本実施形態に係るステアリング装置80Cでは、ステアリングホイール12から転舵ユニット40に向かって、ステアリングロック機構20、トルクセンサ24、伝達比可変ユニット22、電動パワーステアリング機構32という順にそれぞれが配置される。したがって、ステアリングロック機構20から転舵ユニット40までに配置される、ステアリングロック機構20、トルクセンサ24、伝達比可変ユニット22、および電動パワーステアリング機構32には前輪54の転舵方向に作用する力が伝達される。
本実施形態に係るステアリング装置80Cの伝達比可変ユニットECU100も、図3のフローチャート、または図4のフローチャートに記載される処理を実施する。これによって、このような順序で各構成要素が配置されたステアリング装置80Cにおいても、前輪54の転舵方向に作用する力によるステアリングロック機構20やトルクセンサ24への影響が低減される。
(第4の実施形態)
図6は、第4の実施形態に係るステアリングシステム10Dの全体構成図である。なお、本実施形態に係るステアリング装置80Dを構成するイグニッションセンサ18、伝達比可変ユニット22、トルクセンサ24、および電動パワーステアリング機構32の伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150への接続状態は、第1の実施形態に係るステアリング装置80Aと同様であることから説明を省略する。また転舵ユニット40についても第1の実施形態と同様であることから説明を省略する。
このように、本実施形態に係るステアリング装置80Dでは、ステアリングホイール12から転舵ユニット40に向かって、ステアリングロック機構20、トルクセンサ24、電動パワーステアリング機構32、伝達比可変ユニット22という順にそれぞれが配置される。したがって、ステアリングロック機構20から転舵ユニット40までに配置される、ステアリングロック機構20、トルクセンサ24、電動パワーステアリング機構32、および伝達比可変ユニット22には前輪54の転舵方向に作用する力が伝達される。
本実施形態に係るステアリング装置80Dの伝達比可変ユニットECU100も、図3のフローチャート、または図4のフローチャートに記載される処理を実施する。これによって、このような順序で各構成要素が配置されたステアリング装置80Dにおいても、前輪54の転舵方向に作用する力によるステアリングロック機構20やトルクセンサ24への影響が低減される。
(第5の実施形態)
図7は、第5の実施形態に係るステアリングシステム10Eの全体構成図である。なお、本実施形態に係るステアリング装置80Eを構成するイグニッションセンサ18、伝達比可変ユニット22、トルクセンサ24、および電動パワーステアリング機構32の伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150への接続状態は、第1の実施形態に係るステアリング装置80Aと同様であることから説明を省略する。また転舵ユニット40についても第1の実施形態と同様であることから説明を省略する。
このように、本実施形態に係るステアリング装置80Eでは、ステアリングホイール12から転舵ユニット40に向かって、トルクセンサ24、電動パワーステアリング機構32、伝達比可変ユニット22という順にそれぞれが配置される。また、ステアリングロック機構20は、電動パワーステアリング機構32の減速機構26の回転をロックする。したがって、ステアリングロック機構20から転舵ユニット40までに配置される、ステアリングロック機構20、電動パワーステアリング機構32の減速機構26、および伝達比可変ユニット22には前輪54の転舵方向に作用する力が伝達される。
本実施形態に係るステアリング装置80Eの伝達比可変ユニットECU100も、図3のフローチャート、または図4のフローチャートに記載される処理を実施する。これによって、このような順序で各構成要素が配置されたステアリング装置80Eにおいても、前輪54の転舵方向に作用する力によるステアリングロック機構20や電動パワーステアリング機構32の減速機構26への影響が低減される。
(第6の実施形態)
図8は、第6の実施形態に係るステアリングシステム10Fの全体構成図である。なお、本実施形態に係るステアリング装置80Fを構成するイグニッションセンサ18、伝達比可変ユニット22、トルクセンサ24、および電動パワーステアリング機構32の伝達比可変ユニットECU100およびEPSECU150への接続状態は、第1の実施形態に係るステアリング装置80Aと同様であることから説明を省略する。また転舵ユニット40についても第1の実施形態と同様であることから説明を省略する。
このように、本実施形態に係るステアリング装置80Fでは、ステアリングホイール12から転舵ユニット40に向かって、トルクセンサ24、電動パワーステアリング機構32、ステアリングロック機構20、伝達比可変ユニット22という順にそれぞれが配置される。したがって、ステアリングロック機構20から転舵ユニット40までに配置される、ステアリングロック機構20および伝達比可変ユニット22には前輪54の転舵方向に作用する力が伝達される。
本実施形態に係るステアリング装置80Fの伝達比可変ユニットECU100も、図3のフローチャート、または図4のフローチャートに記載される処理を実施する。これによって、このような順序で各構成要素が配置されたステアリング装置80Fにおいても、前輪54の転舵方向に作用する力によるステアリングロック機構20への影響が低減される。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
図3のS11、または図4のS31において、イグニッションキーがオフにされたか否かを判定する代わりに、差動ロック機構60のロックピンがロックホルダに進出しているか否かを判定してもよい。この場合、差動ロック機構60には、ロックピンのロックホルダへの進退を検出するロックセンサが設けられる。これによって、ステアリングシャフト14がステアリングロック機構20によってロックされているか否かを直接検出することができる。
図3のS11、または図4のS31において、イグニッションキーがオフにされたか否かを判定する代わりに、キーがキーシリンダに無いか否かを判定してもよい。この場合、ステアリング装置80には、キーシリンダにキーが挿入されているか否かを検出するキー有無検出センサが設けられる。これによっても、車両駐車時か否かを判定することができる。
ステアリングロック機構20は、キーシリンダの回転と機械的に連動してステアリングシャフト14の回転をロックするものではなく、電動でステアリングシャフト14の回転をロックするものであってもよい。この場合、ロックバーにはモータまたはソレノイドなどの電動アクチュエータが連結される。イグニッションセンサ18の検出結果を利用して、イグニッションキーがオフにされたと判定された場合に電動アクチュエータが作動されてステアリングシャフト14の回転がロックされ、イグニッションキーがオンにされたと判定された場合に電動アクチュエータが逆に作動されてステアリングシャフト14の回転のロックが解除される。このように電動でステアリングシャフト14の回転をロックするステアリングロック機構20が設けられたステアリング装置80では、前輪54の転舵方向に作用する力がステアリングロック機構20に伝達されることを考慮してステアリングロック機構20を大型化する必要性が低減され、コストを抑制することが可能となる。
差動ロック機構は、フレクスプラインと、ステータギヤまたはドリブンギヤとを噛合させ、または噛合を解除することによって、ステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動のロックおよびロックの解除を実施してもよい。たとえば、差動ロック機構は、波動発生機構と共にフレクスプラインをステータギヤ側またはドリブンギヤ側に移動することによって、フレクスプラインと、ドリブンギヤまたはステータギヤとの噛合を解除してもよい。また、差動ロック機構60は、フレクスプラインをステータギヤおよびドリブンギヤの双方と噛合する位置に移動することによって、ステアリングシャフト14と出力軸15との間の差動をロックしてもよい。これによっても伝達比可変ユニット22にトルクが与えられている場合に、ステアリングシャフト14と出力軸15との間に回転方向の差動を発生させることができ、ステアリングロック機構20またはトルクセンサ24に与えられるトルクを低減することができる。
10A及至F ステアリングシステム、 12 ステアリングホイール、 14 ステアリングシャフト、 15 出力軸、 16 舵角センサ、 18 イグニッションセンサ、 20 ステアリングロック機構、 22 伝達比可変ユニット、 24 トルクセンサ、 32 電動パワーステアリング機構、 80A及至F ステアリング装置、 100 伝達比可変ユニットECU、 150 EPSECU。