JP4635353B2 - 吸・放湿性に優れた塗装金属板 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた吸・放湿性を呈し、外装材,内装材,表装材等に使用される塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
内装材,外装材等の建材や、家電機器,家具調度品等の表装材に使用される塗装鋼板としては、生産性,経済性に優れたプレコート鋼板が多用されている。プレコート鋼板は、連続塗装設備を用いてコイルのまま塗装焼付けすることにより製造される。一部には、鋼板を所定形状に成形した後で塗装を施すポストコート方式も採用されている。
【0003】
従来の塗装金属板では、冷延鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板等を塗装原板とし、塗装前処理を施した塗装原板に下塗り塗膜及び上塗り塗膜を形成している。場合によっては、中塗り塗膜を設けることもある。しかし、基材として断熱性に乏しい金属板を使用し、塗膜厚みもほぼ数百μm以下であり、塗膜の吸水性も高くないことから、木質系,プラスチック等の他の材料に比較して結露しやすいことが欠点である。
そこで、吸水性高分子を含む樹脂シート(特開平8−30052号公報)や吸水性高分子を含む発泡樹脂シート(特開平8−30053号公報)をラミネートすることにより結露を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、吸水性高分子を含むラミネートフィルムでは、フィルムを構成する樹脂中に吸水性高分子の大半が埋没してしまう。また、フィルム表面に露出した吸水性高分子があっても、フィルム成形時に吸水性高分子の表面が樹脂層で覆われる。その結果、吸水性高分子が雰囲気に直接露出する割合が少なく、吸水性高分子本来の吸湿性を十分に発現させることができない。
【0005】
吸水性高分子を含む発泡樹脂層で塗膜最表層を形成することによって、フィルム構成樹脂への吸水性高分子の埋没をある程度解消できる。しかし、発泡樹脂層で最表層を形成すると、塗膜硬度等の塗装金属板としての要求特性を満足しなくなる。
しかも、従来から使用されている吸水性高分子は、飽和吸水性能に優れているものの、低湿度雰囲気での吸湿性が十分でなく、吸湿速度も遅く、一旦吸湿した水分を放出しがたい。そのため、吸水性高分子で塗装金属板に吸・放湿性を付与することには限界がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、吸・放湿性のある樹脂粒子の塗膜中における分散形態を制御することにより、樹脂粒子の吸・放湿性を効果的に活用し、結露のない塗装金属板を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の塗装金属板は、その目的を達成するため、塩型カルボキシル基を5.0〜12.0m eq /g含み、架橋構造及び平均細孔径0.005〜3μmの細孔をもち、且つ比表面積が0.5m 2 /g以上である吸・放湿性のある樹脂粒子を塗膜固形分100質量部に対して2〜100質量部の割合で最表層塗膜に分散させ、且つ最表層塗膜から樹脂粒子の表面の一部を露出させていることを特徴とする
【0008】
【作用】
吸・放湿作用のある樹脂粒子を最表層塗膜から突出した状態で分散させるとき、従来の吸湿性塗装金属板に比較して格段に優れた吸・放湿性が付与される。樹脂粒子の分散形態が吸・放湿性に及ぼす影響は次のように推察される。
図1で模式的に示すように、下地金属板1の表面に形成した最表層塗膜2に吸・放湿性のある樹脂粒子3を分散させ、最表層塗膜2から外部雰囲気に樹脂粒子3の一部が突出させると、樹脂粒子3が外部雰囲気に直接接触する割合が多く、樹脂粒子3本来の吸・放湿作用が十分に発揮される。また、突出した樹脂粒子3の間に生じる窪み4が毛管現象によって雰囲気中の水分をトラップし、トラップされた水分が樹脂粒子3に吸収される。その結果、塗膜面を触っても樹脂粒子3の凸部に触れるだけであり、濡れた感触を与えることがない。
【0009】
樹脂粒子3の突出分散形態は、樹脂粒子3を分散させた塗料を下地金属板1に塗布して硬化させる段階で、液状の塗料から樹脂粒子3が浮遊することによって実現される。なかでも、細孔のある樹脂粒子3を使用すると、小さな比重のために液状塗料からの浮遊が促進される。最表層塗膜2の膜厚よりも大きな粒径の樹脂粒子3を使用することによっても、突出状態で樹脂粒子3が最表層塗膜2に分散する。
【0010】
【実施の形態】
塗装原板(下地金属板1)としては、溶融亜鉛めっき鋼板,溶融亜鉛合金めっき鋼板,電気亜鉛めっき鋼板,溶融アルミニウムめっき鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板,銅合金板等が使用される。塗装原板には、必要に応じアルカリ脱脂、表面調整、クロメート処理,クロムフリー処理等の化成処理が施される。
【0011】
樹脂粒子3を分散させた塗料を塗装原板に塗布・焼き付けることによって最表層塗膜2が形成されるが、最表層塗膜2の形成に先立って下塗り塗膜,中塗り塗膜を設けることも可能である。塗料は、常法に従ったロールコート法,スプレー法,カーテンフロー法等で塗装原板に塗布され、連続塗装設備等のラインで焼き付けされる。
【0012】
下塗り塗膜を設ける場合、密着性,加工性,耐食性,耐湿性等の要求特性に応じて塗料種が選択される。下塗り塗膜にクロム系,非クロム系等の防錆顔料を添加すると、塗装鋼板の耐食性が向上する。また、下塗り塗膜に防食機能を負担させるため、最表層塗膜2の選択自由度が向上する。
【0013】
最表層塗膜2も、塗料種に特段の制約が加わるものではなく、加工性,耐食性,耐光性,耐汚染性,耐摩耗性等の要求特性に応じて塗料種が選択され、必要に応じて抗菌剤,防かび剤,非粘着剤,汚れ防止剤,潤滑剤,耐摩耗性向上剤等の各種添加物を加えてもよい。具体的には、エポキシ系,オレフィン系,アクリル系,ポリエステル系,ウレタン系,エポキシポリエステル系,フッ素系,シリコーンポリエステル系,シリコーン系等の樹脂塗料が最表層塗膜2の形成に使用される。
【0014】
最表層塗膜2用の塗料には、吸・放湿作用のある樹脂粒子3が配合される。吸・放湿作用のある樹脂粒子3としては、従来から使用されている吸水性高分子でも良いが、塩型カルボキシル基を5.0〜12.0meq/g含み、架橋構造及び平均細孔径0.005〜3μmの細孔をもち、比表面積が0.5m2/g以上の樹脂粒子を使用するとき特に優れた効果を呈する。
【0015】
樹脂粒子3に使用される樹脂としては、本発明を拘束するものではないが、以下に掲げるアクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,イタコン酸,ビニルプロピオン酸等のカルボキシル基を含むビニル及び/又はビニリデン系の塩型単量体の単独重合体又は共重合体、或いは共重合可能な他の単量体と共重合させた樹脂等が挙げられる。
【0016】
・アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基を有する単量体
・アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,イタコン酸,ビニルプロピオン酸等の無水物及びその誘導体
・(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸ノルマルプロピル,(メタ)アクリル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸ノルマルブチル,(メタ)アクリル酸ノルマルオクチル,(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル,ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のエステル化合物
【0017】
・(メタ)アクリルアミド,ジメチル(メタ)アクリルアミド,モノエチル(メタ)アクリルアミド,ノルマル-t-ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド
上記単量体と共重合可能な他の単量体としては、次の化合物が挙げられる。
・塩化ビニル,臭化ビニル,フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物
・塩化ビニリデン,臭化ビニリデン,フッ化ビニリデン等のビニリデン系単量体
・アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びこれらの塩類
【0018】
・アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸オクチル,アクリル酸メトキシエチル,アクリル酸フェニル,アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エステル類
・メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸オクチル,メタクリル酸フェニル,メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類
【0019】
・メチルビニルケトン,エチルビニルケトン,フェニルビニルケトン,メチルイソブテニルケトン,メチルイソプロペニルケトン等の不飽和ケトン類
・蟻酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酪酸ビニル,安息香酸ビニル,モノクロロ酢酸ビニル,ジクロロ酢酸ビニル,トリクロロ酢酸ビニル,モノフルオロ酢酸ビニル,ジフルオロ酢酸ビニル,トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類
【0020】
・メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類
・アクリルアミド及びそのアルキル置換体
・ビニルスルホン酸,アリルスルホン酸,メタリルスルホン酸,スチレンスルホン酸,2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸,スルホプロピルメタクリレート,ビニルステアリン酸,ビニルスルフィン酸等のビニル基含有酸化合物又はその塩,無水物,誘導体
・スチレン,メチルスチレン,クロロスチレン等のスチレン及びそのアルキル又はハロゲン置換体
【0021】
・アリルアルコール及びそのエステル又はエーテル類
・N-ビニルフタルイミド,N-ビニルサクシノイミド等のビニルイミド類
・ビニルピリジン,ビニルイミダゾール,ジメチルアミノエチルメタクリレート,N-ビニルピロリドン,N-ビニルカルバゾール,ビニルピリジン類等の塩基性ビニル化合物
・アクロレイン,メタクリロレイン等の不飽和アルデヒド類
【0022】
・グリシジルメタクリレート,N-メチロールアクリルアミド,ヒドロキシエチルメタクリレート,トリアリルイソシアヌレート,トリアリルシアヌレート,ジビニルベンゼン,エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ビニル化合物
【0023】
塩型カルボキシル基は、非常に親水性が非常に高い極性基であり、樹脂粒子3に吸水性を付与する。塩型カルボキシル基が多いほど樹脂粒子3の吸水性が高くなるが、極性基が増加することから塗料に対する樹脂粒子3の分散性が低下して凝集しやすくなる。塩型カルボキシル基の増量は、架橋すべき反応基の減少を意味し、樹脂粒子3、ひいては最表層塗膜2の硬度を低下させる原因となる。このようなことから、塩型カルボキシル基の含有量を5.0〜12.0meg/gの範囲に調整することが好ましい。
【0024】
塩型カルボキシル基を構成する塩は、他の特性に悪影響を及ぼすことなく塩の形成が可能なものである限り、特段の制約を受けるものではない。たとえば、Na,K等のアルカリ金属、Mg,Ca,Ba,Sr等のアルカリ土類金属、Cu,Zn,Al,Mn,Ag,Fe,Co,Ni,Ti等の金属、NH4,アミン等の有機イオンが挙げられ、塩型カルボキシル基を有する単量体を単独重合又は共重合することによって有機物に導入できる。或いは、カルボキシル基を有する単量体を単独重合又は共重合して塩型に変える方法も採用可能である。
【0025】
樹脂粒子3は、架橋によって硬度が上昇し、塗膜強度を向上させる。架橋構造は、特段の制約を受けるものではなく、共有結合,イオン結合,ポリマー分子間相互作用,結晶化等の何れによる架橋でも良い。架橋は、重合段階又は重合後の架橋反応で導入でき、塗料貯蔵時に樹脂粒子3が膨潤することによる細孔構造の閉塞や焼付け時の樹脂粒子3の熱変形を防止する。これに対し、架橋構造を持たない樹脂粒子3では,度が不足し、塗膜硬度の低下,吸湿時や塗料貯蔵時の膨潤,焼付け時の変形(溶融)等を引き起こしやすい。
【0026】
樹脂粒子3を細孔構造とすることにより表面積が増加し、吸・放湿性能が向上する。なかでも、水分子の拡散速度が遅い吸水性高分子を細孔構造にすると、本来の水吸収能が活かされ、優れた吸・放湿性能が発現する。重合体樹脂の溶液を貧溶媒中で凝固させ、或いは水性溶媒中での沈殿重合によって多孔質体とした後、ヒドラジン等で架橋させることによって、架橋した多孔質重合体が得られる。このときの条件を変えることにより、樹脂粒子3の比表面積及び細孔構造の平均径が調整される。
【0027】
細孔構造をもつ樹脂粒子3は、小さな比重のため沈降することなく塗料に懸濁される。塗料焼付け時にあっては、温度上昇に応じて樹脂粒子3内部の空気が膨張して細孔構造の開口部を覆っている塗料樹脂が排除させるため、塗料樹脂で覆われていない樹脂粒子3の表面が露出する。その結果、吸・放湿に有効な表面積が大きくなり、優れた吸・放湿性能が得られる。これに対し、細孔構造のない樹脂粒子では、実効表面積が小さく、しかも塗料樹脂で覆われる表面割合が大きくなるので、高い吸・放湿性能を示さない。
【0028】
樹脂粒子3の細孔は、水分を効果的に吸・放湿する上で平均径0.005〜3μmのサイズが好ましい。0.005μm未満の平均径では水分が細孔に入り難く、逆に3μmを超える平均径では細孔に塗料樹脂が侵入して吸・放湿性能の低下がみられる。細孔構造により樹脂粒子3の実効表面積が大きくなるが、比表面積0.5m2/g以上で細孔構造による吸・放湿性能の改善効果が顕著になる。
樹脂粒子3は、最表層塗膜2の表面から突出する限り粒径に制約が加わるものではないが、数μmから数百μmの膜厚で塗膜が下地金属板1の上に形成されることを考慮すると、粒径がこの範囲にある樹脂粒子3が好ましい。
【0029】
最表層塗膜2形成用の塗料は、最表層塗膜2に吸・放湿作用を付与するため、塗料固形分100質量部に対して2〜100質量部の割合で樹脂粒子3を配合することにより調製される。2質量部以上の割合で樹脂粒子3を配合するとき、樹脂粒子3による吸・放湿効果が顕著になる。しかし、100質量部を超える過剰量の樹脂粒子3を配合すると、加工性等の塗膜性能が劣化しやすくなる。
樹脂粒子3が配合された塗料は、ロールコート法,スプレー法,カーテンフロー法等で塗装原板に塗布され、熱風オーブン,誘導加熱オーブン,赤外線オーブン等を用い、最表層塗料の焼付け条件に応じて最高到達板温150〜300℃,焼付け時間30〜200秒程度で焼き付けられる。
【0030】
【実施例】
板厚0.5mmの溶融亜鉛めっき鋼板にクロメート処理を施し、エポキシ変性ポリエステル樹脂のプライマを塗布し、最高到達板温200℃で30秒加熱焼付けし、乾燥膜厚5μmのプライマ塗膜を形成した。
最表層塗膜2形成用に、樹脂粒子(表1)を種々の割合で分散配合した塗料を調製した。該塗料をプライマ塗膜上に塗布し、最高到達板温230℃で40秒加熱することによって焼き付け、最表層塗膜2を形成した。
なお、本発明例3は参考例である。
【0031】
表中、吸・放湿剤Aは、次の工程に従って調製した。先ず、水1000質量部が入った重合槽に還元剤としてピロ亜硫酸ナトリウム6.2質量部を添加し,次いでアクリロニトリル450質量部とアクリル酸メチル50質量部のモノマー混合溶液及び過硫酸アンモニウム5質量部を水100質量部に溶解した水溶液を微量ずつ滴下し、更に80℃に昇温して2時間重合することにより重合体を得た。重合体を冷却した後、重合体100質量部に60質量%ヒドラジン50質量部及び水850質量部を混合し、90℃で3時間架橋反応させた。更に100質量部の苛性ソーダを添加して120℃で5時間反応させ、残存するニトリル基を加水分解し、カルボン酸基(ナトリウム型)を導入し、吸・放湿剤Aを得た。
吸・放湿剤B,Cには、細孔のない市販の高分子吸収剤を使用した。吸・放湿剤Dは、水に代えてチオシアン酸ナトリウム水溶液を使用する以外は吸・放湿剤Aと同じ方法で調製した。
【0032】
Figure 0004635353
【0033】
形成された最表層塗膜2の膜厚及び樹脂粒子3の種類,添加量を表に示す。また、塗装鋼板の断面を顕微鏡及びSEMで観察したところ、本発明例1,3及び比較例2では個々の樹脂粒子3が粒径のほぼ半分だけ最表層塗膜2の表面から突出しており、本発明例2では樹脂粒子3が粒径のほぼ1/4だけ最表層塗膜2の表面から突出していた。他方、比較例1,3では、最表層塗膜2から突出した樹脂粒子3が検出されなかった。
【0034】
Figure 0004635353
【0035】
次いで、各塗装鋼板から試験片を切り出し、吸・放湿試験及び結露試験に供した。
吸・放湿試験では、10cm×10cmの試験片を105度で6時間乾燥させた後で重量測定した。プライマ塗膜乾燥後に予め測定しておいた下塗り鋼板の重量を測定値から差し引き、最表層塗膜2の乾燥重量W1を算出した。また、20℃,65%RHの恒温恒湿槽に試験片を所定時間放置して吸湿させた後で重量測定し、同様に最表層塗膜2の吸湿重量W2を求めた。乾燥重量W1及び吸湿重量W2から次式に従って吸湿率(%)を算出した。
吸湿率(%)=〔(W2−W1)/W1〕×100
【0036】
更に、20℃,80%RHで24時間飽和吸湿させた最表層塗膜2の重量W3及び20℃,40%RHに試験片を1時間放置した後での最表層塗膜2の重量W4から、次式に従って放湿率(%)を算出した。
放湿率(%)=〔(W3−W4)/W1〕×100
【0037】
結露試験では、JIS A1514に準拠した結露試験によって結露状態を目視観察した。観察結果から曇りのない膜面を◎,若干曇りがある膜面を○,小さな水滴が検出される膜面を△,大きな水滴又は液滴の流下が生じた膜面を×として結露防止特性を評価した。
【0038】
表3の調査結果にみられるように、樹脂粒子3を最表層塗膜2の表面から突出させた本発明例1,2では、10分,1時間の短時間での吸湿性に優れ、結露防止作用も強いことが判った。また、細孔構造をもたない樹脂粒子3であっても、最表層塗膜2の表面から樹脂粒子3を突出させた本発明例3は、最表層塗膜2の内部に樹脂粒子3が分散している比較例1,2に比較して吸湿速度及び結露防止性の双方に優れていた。
【0039】
他方、比較例1では,試験後の塗膜面にベタツキが検出された。多孔性の樹脂粒子3を使用した比較例2であっても、樹脂粒子3が最表層塗膜2の表面から突出していないと、吸湿性及び結露防止性共に劣っていた。シリカゲルを使用した比較例3も、吸湿性及び結露防止性に劣っていた。
【0040】
Figure 0004635353
【0041】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の塗装金属板は、吸・放湿能のある樹脂粒子を最表層塗膜の表面から突出した状態で最表層塗膜に分散させることにより、吸・放湿作用に有効な樹脂粒子の活性表面を確保している。この塗膜構造のため、優れた吸・放湿作用が発現し、また結露防止も図られる。したがって、内装材,外装材,表装材等、広範な分野で使用される塗装金属板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従って樹脂粒子3を分散させた最表層塗膜2の模式図

Claims (1)

  1. 塩型カルボキシル基を5.0〜12.0m eq /g含み、架橋構造及び平均細孔径0.005〜3μmの細孔をもち、且つ比表面積が0.5m 2 /g以上である吸・放湿性のある樹脂粒子を塗膜固形分100質量部に対して2〜100質量部の割合で最表層塗膜に分散させ、且つ最表層塗膜から樹脂粒子の表面の一部を露出させていることを特徴とする吸・放湿性に優れた塗装金属板。
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