JP4635299B2 - 露光方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光材料としての印画紙に焼き付けられ、現像処理液(以下、単に処理液と記載する)によって現像される画像において、用いる印画紙および処理液ごとに階調を滑らかに表現できるように印画紙を露光する露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、写真処理の分野においては、デジタル露光による画像の焼き付けが一般的に知られている。このデジタル露光は、写真フィルム(例えばネガフィルム)に記録された画像をスキャナ等で読み取って得られる画像データや、デジタルカメラでの撮影によって得られる画像データなどに基づいて露光ヘッドの各画素を駆動し、各画素を介して得られる光を印画紙に照射することにより、上記画像データに応じた画像を印画紙に焼き付ける方式である。
【0003】
ここで、上記デジタル露光を行う写真処理装置の露光部について、本発明の方法が適用される装置の構成図である図3に基づいて簡単に説明する。この種の写真処理装置は、光源7、調光フィルタ8、回転フィルタ9、光ファイバー束10、露光ヘッド11およびレンズアレイ12を備えている。
【0004】
光源7は、例えばハロゲンランプで構成されている。調光フィルタ8は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色フィルタで構成されており、光源7と光ファイバー束10との間の光路中への各色フィルタの挿入量を変えることによって光の調光が行われる。回転フィルタ9は、B(青)、G(緑)、R(赤)の各色フィルタを備えてなり、各色フィルタが順次上記光路中に位置するように回転される。これにより、各色フィルタを介してBGRの各色の光を順次、光ファイバー束10に供給することが可能となる。
【0005】
光ファイバー束10は、入射光を露光ヘッド11の各シャッタ部(後述する)に供給する複数の光ファイバーで構成されている。レンズアレイ12は、露光ヘッド11の各シャッタ部と対応する複数のレンズで構成され、上記各シャッタ部を透過した光を印画紙Pの所定画素に集光させるものである。
【0006】
露光ヘッド11は、例えばPLZT露光ヘッド(以下、単にPLZTと記載する)で構成される。このPLZTは、透明強誘電性セラミックス材料であるPLZT素子を一対の偏光板(偏光子と検光子)の間に配し、各画素ごとに光の透過を制御するためのシャッタ部を例えばライン状に構成したものである。例えば0(黒)から255(白)までの256階調の画像データを、0(白)から65535(黒)までの露光データに変換し、露光データに応じた時間だけ開状態となるように各シャッタ部をON/OFF駆動することにより、光源7からの光のうち露光データに応じた光量の光が各シャッタ部を介して印画紙Pに導かれる。
【0007】
つまり、上記構成においては、光源7から出射された光が調光フィルタ8において調光され、回転フィルタ9の所定の色フィルタを透過して光ファイバー束10に到達する。そして、光ファイバー束10を介して露光ヘッド11の各シャッタ部に供給された光は、当該シャッタ部でのシャッタタイム(シャッタが開状態となる時間)が、画像データに対応する露光データに基づいてBGRごとに調整されることによってその透過光量がBGRごとに調整され、レンズアレイ12を介して印画紙Pに照射される。
【0008】
したがって、露光ヘッド11の各シャッタ部が印画紙Pの搬送方向(以下、副走査方向と記載する)とは垂直方向(以下、主走査方向と記載する)に並ぶように上記露光ヘッド11を配置しておき、印画紙Pを副走査方向に搬送しながら印画紙PをBGRごとに露光することにより、印画紙Pには画像データに応じた2次元のカラー画像を焼き付けることが可能となる。
【0009】
このように印画紙Pに焼き付けられた画像は、その後、写真処理装置の図示しない現像部の現像処理液(以下、単に処理液と記載する)によって現像される。そして、現像済みの印画紙Pは、図示しない乾燥部にて例えば熱風が吹き付けられて乾燥され、その後、プリント画像として機外に排出される。
【0010】
ところで、上記した256階調の画像データの露光データへの変換は、図21に示す目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとを利用することで行うことができる。目標濃度曲線Aは、ある画像データで露光したプリントはどのような濃度でプリントされるべきなのかを示す曲線であり、従来では、全印画紙Pおよび全処理液の各組み合わせに共通してただ1つだけ設定されている。一方、測定濃度曲線Bは、あるシャッタタイム(露光データ)で露光したときに得られるプリント濃度を示す曲線であり、例えばデイリーセットアップごとに得られるものである。
【0011】
同図のように、目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとを濃度軸のスケールを共通にとって考えれば、あるプリント濃度を得るための画像データに対応する露光データを求めることができる。一般的には、上記画像データを入力とし、当該画像データに対応する露光データを出力としたものをLUT(ルックアップテーブル)として持つことで、画像データに対応する露光データを最終的に得るようになっている。
【0012】
ただし、目標濃度曲線Aは、上記したように全印画紙Pおよび全処理液の各組み合わせに対して共通のものであり、用いる印画紙Pおよび処理液に固有の測定濃度曲線Bとは最高濃度および最低濃度が異なる場合が多い。例えば、同図の例では、目標濃度曲線Aの最高濃度3.0は、測定濃度曲線Bの最高濃度2.5よりも大きくなっており、目標濃度曲線Aの最低濃度0.7は、測定濃度曲線Bの最低濃度0.3よりも大きくなっている。したがって、このままでは、2.5〜3.0の濃度範囲に対応する画像データを使って濃度変化を出すことはできず、また、0.3〜0.7の濃度範囲を表現することもできなくなる。
【0013】
そこで、従来では、図22に示すように、BGRごとに、目標濃度曲線Aの最高濃度および最低濃度が測定濃度曲線Bの最高濃度および最低濃度に一致するように、目標濃度曲線Aの最高濃度付近および最低濃度付近を、曲線上の任意の点P1 ・P2 から強制的に変形させることにより、上記の問題を解決するようにしている。なお、最高濃度における黒バランスを考慮して変形させる場合には、目標濃度曲線Aの最高濃度と測定濃度曲線Bの最高濃度とが一致しない場合もある。以下、目標濃度曲線Aの上記変形を濃度調整と言うことにする。
【0014】
このような濃度調整を行うにあたっての大まかな流れは、例えば図23のフローチャートに示す通りである。なお、説明の理解をしやすくするため、最高濃度における黒バランスを考慮しないものとする。
【0015】
まず、S101では、BGRともに0から255までの画像データを例えば18段階に分け、各画像データに対応する露光データで露光ヘッド11を駆動することにより、所定の印画紙Pに18階調のグレースケールを焼き付ける。なお、各画像データに対応する露光データとしては、予め設定されたものを用いる。そして、S102にて、上記グレースケールを所定の処理液で現像する。
【0016】
続いて、S103では、上記グレースケールの各階調のYMC濃度を濃度計にて測定し、BGRの各露光データとYMCの濃度との関係を示す測定濃度曲線Bを作成する。なお、この測定濃度曲線Bは、18個のデータに基づいて補間演算を行うことにより得ることができる。
【0017】
次に、S104にて、予め記憶部に記憶させておいた目標濃度曲線Aを読み込む。そして、S105にて、目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとの濃度軸のスケールを合わせ、目標濃度曲線Aの最高濃度および最低濃度が測定濃度曲線Bの最高濃度および最低濃度に一致するように、目標濃度曲線Aの最高濃度付近および最低濃度付近を変形させる。
【0018】
その後、S106にて、所定の画像データにおいて、曲線の変形前後における最高濃度同士の差および最低濃度同士の差が所定範囲であるか否かを判断する。S106にて、各濃度差が所定範囲に収まっていれば処理を終了し、所定範囲に収まっていなければ、S101に戻って再試行する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来における目標濃度曲線Aは、全印画紙Pおよび全処理液の各組み合わせに共通して設定されているため、用いる印画紙Pおよび処理液によっては、変形前の目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとにおける最高濃度同士の差および最低濃度同士の差が大きくなる場合がある。この場合、目標濃度曲線Aの変形後においては、図22の破線部C1・C2で示すように、変形点P1 ・P2 での折れ曲がりが顕著になる。特に破線部C2では、曲線の折れ曲がり顕著であることが分かる。その結果、このような目標濃度曲線Aを利用して印画紙Pを露光した場合には、画像データの変化に対して印画紙P上で階調変化を滑らかに表現することができず、画質が損なわれるという問題が生ずる。
【0020】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、用いる印画紙および処理液の各組み合わせごとに、階調を滑らかに表現することができ、これによって、焼き付け画像の画質を向上させることができる露光方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る露光方法は、上記の課題を解決するために、画像データとプリント濃度との関係を示す目標濃度情報と、露光データとプリント濃度との関係を示す測定濃度情報とに基づいて、所望のプリント濃度を得るための画像データに対応する露光データを求め、当該露光データに基づいて感光材料を露光する露光方法であって、特性の異なる複数の感光材料と、感光材料上に焼き付けられた画像を現像するための複数の処理液との各組み合わせに対応する目標濃度情報を記憶部に記憶させる目標濃度記憶工程と、用いる感光材料および処理液の組み合わせに対応する目標濃度情報を上記記憶部から読み出し、上記測定濃度情報における最低濃度から最高濃度までの濃度範囲をほぼ発色できるように、読み出した目標濃度情報を変更し、変更後の目標濃度情報と上記測定濃度情報とに基づいて感光材料を露光する露光工程とを有していることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、目標濃度情報が有する画像データとプリント濃度との関係と、測定濃度情報が有する露光データとプリント濃度との関係とから、所望のプリント濃度を得るための画像データに対応する露光データが得られ、この露光データに基づいて感光材料が露光される。
【0023】
上記目標濃度情報は、従来のように複数の感光材料と複数の処理液との各組み合わせに対して共通に設定されているのではなく、上記各組み合わせの個々に対応して設定されており、各目標濃度情報が記憶部に記憶されている。そして、感光材料の露光の際には、用いる感光材料および処理液の組み合わせに対応する目標濃度情報が上記記憶部から読み出され、上記測定濃度情報における最低濃度から最高濃度までの濃度範囲をほぼ発色できるように、読み出された目標濃度情報が変更される。
【0024】
例えば、目標濃度情報の最高濃度が測定濃度情報の最高濃度を上回っている場合には、目標濃度情報の最高濃度が測定濃度情報の最高濃度以下となり、かつ、最高濃度付近において、用いる感光材料および処理液に応じた黒バランスが得られるような濃度となるように目標濃度情報が変更される。また、例えば、目標濃度情報と測定濃度情報とにおける最低濃度同士が一致していない場合には、最低濃度同士が一致するように目標濃度情報が変更される。
【0025】
このような変更により、目標濃度情報における最低濃度から最高濃度までの濃度範囲が、測定濃度情報における最低濃度から最高濃度までの濃度範囲以内に確実に収まるようになる。したがって、変更後の目標濃度情報と上記測定濃度情報とに基づいて感光材料を露光し、感光材料に焼き付けられた画像を上記処理液で現像すれば、感光材料上において、測定濃度情報における最低濃度から最高濃度までの濃度範囲をほぼ発色させることが可能となる。
【0026】
ここで、上記構成では、複数の感光材料と複数の処理液との各組み合わせごとに目標濃度情報を設定しているので、上記各組み合わせごとに、測定濃度情報における最高濃度および最低濃度に近い最高濃度および最低濃度を有する目標濃度情報を得ることができる。つまり、従来では、上記各組み合わせに共通して目標濃度情報を設定していたため、用いる感光材料および処理液の組み合わせによっては、目標濃度情報と測定濃度情報とにおける最高濃度同士の差および最低濃度同士の差が大きくなる場合が生じていたが、上記構成では、各組み合わせごとに目標濃度情報を設定することにより、上記最高濃度同士の差および上記最低濃度同士の差を、各組み合わせごとに小さくすることが可能となる。
【0027】
これにより、目標濃度情報の変更量が従来に比べて小さくなるので、変更後の目標濃度情報において画像データに対応するプリント濃度の変化が急激になることはない。その結果、用いる感光材料および処理液の各組み合わせごとに、階調を滑らかに表現することができ、感光材料に焼き付けられた画像の画質を向上させることができる。
【0028】
請求項2の発明に係る露光方法は、上記の課題を解決するために、請求項1の構成において、上記目標濃度記憶工程は、所定の感光材料に異なる色の画像を焼き付け、上記各色の画像を所定の処理液で現像する第1の工程と、上記各色の画像から無彩色もしくはこれに近い色の画像を複数選択する第2の工程と、選択した画像の明度(輝度)に基づいて、画像の明度を画像データに変換するためのテーブルを作成する第3の工程と、選択した各画像の明度を上記テーブルによって画像データに変換すると共に、選択した各画像のYMC濃度を求め、選択した各画像のYMC濃度と上記画像データとに基づいて上記目標濃度情報を取得し、これを記憶部に記憶させる第4の工程と、上記第1から第4の工程を、全感光材料および全処理液の各組み合わせのそれぞれについて行う第5の工程とを有していることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、所定の感光材料に複数色の画像が焼き付けられ、これらの画像が所定の処理液によって現像される。そして、上記各色の画像から無彩色もしくはこれに近い色の画像が複数選択され、選択された画像の明度に基づいて、明度を画像データに変換するためのテーブルが作成される。これにより、選択された各画像を、個々の明度に基づいて画像データに対応付けることが可能となる。
【0030】
選択された各画像の明度が上記テーブルによって画像データに変換される一方で、選択された各画像のYMC濃度が求まると、当該YMC濃度と上記画像データとに基づいて上記目標濃度情報が得られ、これが記憶部に記憶される。以上の工程が感光材料および処理液の各組み合わせごとに行われることにより、上記各組み合わせに対応する目標濃度情報が、各組み合わせごとに上記記憶部に記憶されることになる。
【0031】
ところで、無彩色は、例えば青や赤への色の偏りのない色であり、また、無彩色でなくても、無彩色に近ければ近いほど色の偏りは少ない。したがって、上記のように、無彩色もしくはこれに近い色の画像を選択し、これらの画像をもとにして目標濃度情報を取得することにより、無彩色もしくはこれに近い色の濃度バランスと同じ濃度バランスを持つ目標濃度情報を得ることができる。これにより、上記目標濃度情報を用いて感光材料を露光したときに、全濃度域において色の偏りをなくすことができる。
【0032】
請求項3の発明に係る露光方法は、上記の課題を解決するために、請求項2の構成において、上記第2の工程では、無彩色もしくはこれに近い色であるか否かを色彩計を用いて判断することを特徴としている。
【0033】
無彩色もしくはこれに近い色は、Lab表色系で言えば、aおよびb(色度(色相および彩度))の値が0もしくは0に近い値であるような色と考えることができる。色彩計では、このようなaおよびbの値を直接得ることができるので、色彩計を用いることにより、無彩色もしくはこれに近い色の画像の選択を容易かつ適切に行うことができる。
【0034】
請求項4の発明に係る露光方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし3のいずれかの構成において、特性の異なる複数の感光材料と複数の処理液との各組み合わせに対応する黒バランスを上記記憶部に記憶させる濃度バランス記憶工程をさらに有し、上記露光工程では、用いる感光材料および処理液に応じた黒バランスを読み出すと共に、上記目標濃度情報の最高濃度が測定濃度情報の最高濃度以下となり、かつ、最高濃度付近において読み出した黒バランスが得られるように、上記目標濃度情報を変更することを特徴としている。
【0035】
上記の構成によれば、最高濃度が測定濃度情報の最高濃度以下となるように目標濃度情報を変更するので、変更後の目標濃度情報における最高濃度が、測定濃度情報における濃度範囲以内に確実に収まることになり、発色できない濃度を目標にして感光材料が露光されることがなくなる。
【0036】
また、感光材料および処理液の各組み合わせに対応する黒バランスも上記記憶部に記憶されており、用いる感光材料および処理液に応じた黒バランスが最高濃度付近で得られるように目標濃度情報を変更するので、変更後の目標濃度情報と測定濃度情報とに基づいて感光材料を露光し、感光材料上に黒画像を形成した際には、当該黒画像を良好な黒で表現することが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0038】
本実施形態に係る写真処理装置は、本発明に係る露光方法を使用できる装置であって、図2に示すように、焼付部1、印画紙格納部2、現像部3、乾燥部4および図示しないPC(Personal Computer )を備えている。
【0039】
印画紙格納部2は、焼付部1に供給する感光材料としての印画紙P(図3参照)を格納するものであり、例えばサイズの互いに異なるロール状の印画紙Pを格納している。そして、出力画像のサイズに応じた印画紙Pが印画紙格納部2から焼付部1に供給される。
【0040】
なお、印画紙Pの焼付部1への搬送経路の途中にカッターを設けておけば、焼付部1にシート状の印画紙Pを供給することもできる。また、印画紙Pの特性は、メーカーや感度によって微妙に異なるものである。
【0041】
焼付部1は、搬送ローラR1・R2、内蔵濃度計(以下、単に濃度計と記載する)5および露光部6を備えている。搬送ローラR1・R2は、印画紙格納部2から供給された印画紙Pを、露光部6を経由して現像部3に送り込むためのものである。なお、同図では、2個の搬送ローラR1・R2を示しているが、この他にも多数の搬送ローラが所定位置に設けられている。濃度計5は、BGRの各波長の光の反射光量に基づいてYMCの各濃度値を算出する計器であり、本装置によって印画紙Pに焼き付けられ、現像された画像の濃度が、この濃度計5にて測定される。露光部6は、印画紙Pを搬送しながら走査露光を行うことにより、印画紙P上に2次元の画像を焼き付けるものであるが、その詳細については後述する。
【0042】
現像部3は、焼付部1にて焼き付け処理の施された印画紙Pを現像処理液(以下、単に処理液と記載する)、漂白定着液等に浸しながら搬送することによって、印画紙Pに焼き付けられた画像を現像するものである。上記処理液の特性はメーカーによって微妙に異なるものである。乾燥部4は、現像部3にて現像された印画紙Pを、例えば熱風の吹き付けにより乾燥させるためのものである。PCは、本写真処理装置の全動作を制御する制御部であり、原画像の画像データを保存する機能や、画像データに対してデータ処理を施す機能等を有している。
【0043】
このように、本実施形態に係る写真処理装置は、PCでの制御により、印画紙Pの露光、現像処理、乾燥処理を一元管理の下に連続して行う構成となっている。よって、使用者に操作上の負担をかけることなしに、多量の写真を連続的にプリントすることが可能となっている。なお、図中のTは、印画紙Pの搬送経路を示している。
【0044】
また、上記写真処理装置は、例えばハードディスクからなる記憶部(図示せず)をさらに備えている。この記憶部には、全印画紙Pおよび全処理液の各組み合わせに対応する、画像データと目標濃度との関係を示す目標濃度曲線(後述する)の情報、および、用いる印画紙P上に人間が目で見て黒と判断できる色を発色するYMCの濃度バランス(後述する)が記憶されるようになっている。
【0045】
本発明は、用いる印画紙Pおよび処理液に応じた目標濃度曲線を用いて印画紙Pの露光を行う点に特徴があるが、この点については後述する。
【0046】
次に、上記の露光部6の構成について説明する。露光部6は、印画紙Pを副走査方向に搬送しながら走査露光を行うものであり、図3に示すように、光源7、調光フィルタ8、回転フィルタ9、光ファイバー束10、露光ヘッド11およびレンズアレイ12を備えている。
【0047】
光源7は、白色光を出射する例えばハロゲンランプで構成されている。調光フィルタ8は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色フィルタで構成されており、光源7と光ファイバー束10との間の光路中への各色フィルタの挿入量を変えることによって光の調光を行うことが可能となっている。
【0048】
上記各フィルタは、図示しない駆動部によって位置制御されるが、上記各フィルタの上記光路に対する挿入量は、駆動部に与えるパルス数に応じて制御される。例えば、上記パルス数が0のときは各フィルタが上記光路から外れた状態となり、上記パルス数が720のときは各フィルタが上記光路に全部入る状態となる。そして、各フィルタは、上記した移動範囲内でパルス数に応じた位置となるように、駆動部によって位置制御される。なお、以下では、パルス数a(aは0から720までの整数)に応じた各フィルタの位置を、単にaの位置あるいは位置aと記載することにする。
【0049】
なお、上記各フィルタは、装置の工場出荷前に記憶部に記憶させるデータ(後述する目標濃度曲線に対応する情報)を取得する際にはその位置が調節されることになるが、上記目標濃度曲線を用いて印画紙Pを露光する際には、露光ヘッド11において漏れ光が生じないような位置、すなわち、露光ヘッド11の各シャッタ部(後述する)を閉状態にしたときに漏れ光が印画紙Pに到達しないような位置に固定される。
【0050】
印画紙Pの露光時における調光フィルタ8の位置設定(漏れ光のない位置の設定)は、例えば毎朝装置を立ち上げる時などにYMCの各フィルタ位置を微調整することによって行われ、デイリーセットアップと呼ばれている。
【0051】
回転フィルタ9は、円形ホイールの中心から放射状に3等分した領域にB(青)、G(緑)、R(赤)の各色フィルタを備えた円盤状のフィルタであり、各色フィルタが順次上記光路中に位置するように上記中心を回転軸として回転される。これにより、各色フィルタを介してBGRの各色の光を順次、光ファイバー束10に供給することが可能となる。
【0052】
光ファイバー束10は、回転フィルタ9を透過した光を露光ヘッド11の各シャッタ部(後述する)に供給する複数の光ファイバーで構成されている。光ファイバー束10により、スポット状に入射する光が上記各シャッタ部に対応する点光源に変換される。
【0053】
露光ヘッド11は、例えばPLZT露光ヘッド(以下、単にPLZTと記載する)で構成される。このPLZTは、透明強誘電性セラミックス材料であるPLZT素子を一対の偏光板(偏光子と検光子)の間に配し、各画素ごとに光の透過およびその阻止を制御するためのシャッタ部を、上記副走査方向とは垂直な主走査方向に1列または2列で千鳥状に構成したものである。なお、上記のPLZT素子とは、ジルコン酸鉛(PbZrO3 )とチタン酸鉛(PbTiO3 )とを適当な比率で固溶体としたもの(PZT)に、ランタンを添加してホットプレスして得られる(Pb1-x Lax )(Zry Ti1-y )1-x/4 O3 系固溶体である。
【0054】
各シャッタ部に所定の電圧を印加し、各シャッタ部に入射する光の偏光状態を変調することにより、PLZT素子の光出射側の偏光板の偏光方向に振動する光のみが各シャッタ部から出射される。このとき、例えば0(黒)から255(白)までの256階調の画像データを、例えばLUTにより0(白)から65535(黒)までの露光データに変換した後、この露光データに応じた時間だけ開状態となるように各シャッタ部をON/OFF駆動することにより、光源7からの光のうち露光データに応じた光量の光が各シャッタ部を介して印画紙Pに導かれる。
【0055】
レンズアレイ12は、露光ヘッド11の各シャッタ部を介して得られる光を印画紙Pの所定画素に集光させるものであり、複数のレンズを露光ヘッド11の各シャッタ部と対応するように主走査方向に1列もしくは2列で千鳥状に配置されて構成されている。上記のレンズは、例えば円筒状のガラスで構成され、中心部で最も屈折率が大きく、周縁部に向けて徐々に屈折率が小さくなるように構成された屈折率分布型のレンズであり、例えば日本板硝子社製のセルフォックレンズ(『セルフォック』は登録商標)で構成される。
【0056】
上記構成により、光源7から出射された光は調光フィルタ8において調光され、回転フィルタ9の所定の色フィルタを透過して光ファイバー束10に到達する。そして、光ファイバー束10を介して露光ヘッド11の各シャッタ部に供給された光は、当該シャッタ部でのシャッタタイム(シャッタを開状態としている時間)が画像データに応じてBGRごとに調整されることによってその透過光量がBGRごとに調整され、レンズアレイ12を介して印画紙Pに到達する。
【0057】
露光ヘッド11の各シャッタ部が主走査方向に形成されているので、印画紙Pを副走査方向に搬送しながら、回転フィルタ9の回転によってBGRの各色ごとに上記主走査方向の露光を行うことにより、印画紙Pには最終的に画像データに応じた2次元のカラー画像が焼き付けられることになる。
【0058】
このようにして焼付部1での露光を終えた印画紙Pは、その後、現像部3に搬送され、印画紙Pに焼き付けられた画像が処理液によって現像される。そして、印画紙Pは乾燥部4において熱風の吹き付けによって乾燥された後、機外に排出される。
【0059】
次に、本発明の露光方法について説明する。上記露光方法は、目標濃度記憶工程と、濃度バランス記憶工程と、露光工程とを有している。以下、まず、目標濃度記憶工程について説明する。
【0060】
(目標濃度記憶工程)
目標濃度記憶工程は、特性の異なる複数の印画紙Pと複数の処理液との各組み合わせに対応する目標濃度曲線を求め、当該目標濃度曲線を目標濃度情報として、装置の工場出荷前に予め記憶部に記憶させておく工程である。上記の目標濃度曲線とは、あるプリント濃度を出すための画像データと当該濃度との関係を示す曲線である。
【0061】
この工程は、図1のフローチャートに示すように、S1〜S8の工程からなっている。なお、この工程では、露光ヘッド11の各シャッタ部は全開状態(最も露光時間が長くなるような状態)に設定されている。
【0062】
まず、S1では、調光フィルタ8の各フィルタ位置を次のように変化させて、様々な色を所定の印画紙Pに焼き付け、S2にて、様々な色の画像を所定の処理液で現像する。
【0063】
調光フィルタ8のYMCのフィルタは、0(完全に光路外)から720(完全に光路中)までの位置に配置されることは上述の通りであるが、本工程では、そのうち、各フィルタ位置を例えば300から20ずつ増加させて600まで変化させ、その都度印画紙Pを露光するようにしている。
【0064】
つまり、例えばYおよびMのフィルタを300の位置に固定しておき、Cのフィルタを300、320、340、・・・600の位置に順に移動させて、その都度印画紙Pを露光する。そして、次に、Yのフィルタはそのままの位置で、Mのフィルタを320の位置に固定しておき、この状態でCのフィルタを上記と同様に300、320、340、・・・600の位置に順に移動させて、その都度印画紙Pを露光する。このような処理を、Mのフィルタが340、360、・・・600の位置においても同様に行う。そして、以上の処理を、Yのフィルタが320、340、・・・600の位置においても同様に行う。
【0065】
結局、上記の例では、上記YMCの各フィルタは、その組み合わせによって16×16×16=4096通りの位置に配置されることになる。各フィルタの位置ごとに各フィルタの光路中への挿入量は異なっているので、S1では、最終的に4096通りの色の画像が印画紙Pに焼き付けられ、S2では、これら4096色の画像が所定の処理液によって現像されることになる。
【0066】
なお、各フィルタの移動範囲(上記の例では300〜600)および移動のさせ方(上記の例では20ずつ)は、上記の例に限定されるわけではない。低濃度部から高濃度部までの画像を複数色形成できるように、各フィルタを移動させればよい。
【0067】
次に、S3にて、現像された印画紙P上の各色を色彩計で読み取り、L(明度)、aおよびb(色度(色相および彩度))の各値を得る。ここで、色彩計について説明すれば以下の通りである。
【0068】
図4(a)は、人間の目に対応する分光感度特性を示している。なお、同図(a)において、x(λ)は主にRの波長域での分光感度特性を、y(λ)はGの波長域での分光感度特性を、z(λ)はBの波長域での分光感度特性をそれぞれ示している。また、縦軸の感度は、Gの波長域での最大感度を1.0とした場合に、他のBやRの波長域での感度を相対的に表している。
【0069】
一方、図4(b)は、濃度計の分光感度特性を示している。なお、同図(b)において、x’(λ)はRの波長域での分光感度特性を、y’(λ)はGの波長域での分光感度特性を、z’(λ)はBの波長域での分光感度特性をそれぞれ示している。また、縦軸の感度は、Rの波長域での最大感度を1.0とした場合に、他のBやGの波長域での感度を相対的に表している。同図(b)では、大きな感度に対応する波長域が同図(a)とは若干ずれていることが分かる。
【0070】
ここで、人間が色を知覚できるのは、BGRの光の3原色に対応した感覚(センサ)が人間の目にはある、つまり、同図(a)に示すようにBGRの各波長域に対応した大きな感度を人間の目が持っている、と考えることができるからである。したがって、人間の目に対応する分光感度とはずれた特性を有する濃度計で色を測定した場合には、人間の目に対応する分光感度の高い波長(BGR)を濃度計が感度よく認識できないために、人間が目で見て判断する結果とは若干異なる結果がYMC濃度として得られることになる。
【0071】
これに対して、色彩計は、図4(a)で示した人間の目に対応する分光感度とほぼ同一の感度を持つ3つのセンサを有しており、試料を測定した際には、BGRに対応した三刺激値を算出し、これらの値からL、a、bの各値を演算して出力するものである。
【0072】
ここで、以下の表1は、印画紙Aに焼き付けられ、処理液Aで現像された黒画像のYMC濃度およびLabの値と、印画紙Bに焼き付けられ、処理液Bで現像された黒画像のYMC濃度およびLabの値とを示している。
【0073】
【表1】
【0074】
この表を見ても分かるように、印画紙Aおよび処理液Aの組み合わせAと、印画紙Bおよび処理液Bの組み合わせBとでは、YMC濃度はそれぞれほぼ同じような値となっているが、Labの値はばらついている。このことは、濃度計では組み合わせAとBとで色(濃度)の違いを判断できない場合であっても、色彩計では色の違いを確実に判断できることを意味する。したがって、人間の目と同じようなBGR感度を有する色彩計を用いることにより、人間の目とはBGR感度のずれた濃度計では得られない情報(濃度の微妙な違い)を確実に得ることができ、人間の目と同じような感覚で色の判断を適切に行うことができる。
【0075】
なお、S3では色彩計を用いているが、これ以外に例えば分光測色計(分光光度計)を用いることもできる。分光測色計は、複数(例えば40個)のセンサで試料から反射された光を分光し、各波長ごとの反射率を測定するものである。例えば、分光測色計にて得られたデータに基づいて演算部で積分計算を行い、BGRに対応した上記の三刺激値を算出すれば、これらの値から上記のL、a、bの各値を算出することができる。したがって、分光測色計を用いても、人間の目と同じような感覚で色の判断を適切に行うことができる。
【0076】
次に、S4にて、色度(aおよびbの値)が0もしくはこれに近い色を複数個選択する。以下、この理由について説明する。
【0077】
図5は、Lab表色系の色空間立体イメージを示している。同図において、a軸とb軸との交点から+aは赤方向、その反対方向は緑方向、+bは黄方向、その反対方向は青方向をそれぞれ示す。そして、ab平面において、a軸とb軸との交点からの距離が彩度を示し、上記交点を中心とする円の円周方向が色相を示す。また、L軸はab平面とは垂直方向に形成されており、a軸とb軸との交点から+Lは白方向、その反対方向は黒方向をそれぞれ示す。
【0078】
aおよびbの値が0もしくはこれに近い色を選ぶということは、図5の色空間でL軸になるべく近い色、すなわち、無彩色に近い色を選ぶということである。無彩色は、例えば青や赤への色の偏りのない色であり、また、無彩色でなくても、無彩色に近ければ近いほど色の偏りは少ない。したがって、無彩色もしくはこれに近い色のYMC濃度バランスと同じような濃度バランスを持つ目標濃度曲線がBGRごとに得られれば、この目標濃度曲線を用いて印画紙Pを露光したときに全濃度域において色の偏りをなくすことができると考えられる。したがって、このような露光に用いられる目標濃度曲線をS7で求めるようにするため、S4では、所定の印画紙Pに形成された複数色の画像から、aおよびbの値が0もしくはこれに近い色の画像を複数個選択し、次のS5につなげている。
【0079】
また、S3では、aおよびbの値を直接得ることのできる色彩計を用いていることにより、S4での無彩色もしくはこれに近い色の画像の選択を容易かつ適切に行うことができる。
【0080】
なお、S4において、aおよびbの値が完全な0のみではなく、0もしくはこれに近い色を選択するとしたのは、実際には、プリント上でaおよびbがともに完全に0となる色を得ることが難しいからであるが、aおよびbの値が0となる色があれば、勿論その色を優先的に選択するようにすればよい。
【0081】
S4では、aおよびbの最大値を60としたときに、aおよびbとして0±1以下の値を選択時の許容範囲とし、aおよびbがその範囲内にあるような色を選択するようにしている。
【0082】
続いて、S5では、S4にて選択した色のLの値に基づいて、各色の明度(輝度)を画像データに変換するためのLUTを作成する。このLUTは、図6に示すように、S4にて選択した色のうち、最高輝度(白)を画像データ255、最低輝度(黒)を画像データ0とし、その間は輝度と画像データとが線形に近い関係を有する変換テーブルである。このようなLUTを作成することにより、選択された各画像を、個々の明度に基づいて画像データに対応付けることが可能となる。
【0083】
次に、S6では、S4にて選択した色を濃度計5で読み取ってYMCの各濃度値を取得すると共に、選択した色の各濃度値と、S5にて求まる画像データとを対応付ける。
【0084】
例えば、選択したある色について色彩計にて得られたLの値が、図6に示すMであれば、それに対応する画像データはnとなるので、L=M、a≒0、b≒0となる色を濃度計5で測定した場合に得られるYMCの各濃度は、画像データnとそれぞれ対応することになる。
【0085】
次に、S7では、図7に示すように、横軸にBの画像データを、縦軸にYの濃度値をとり、S6にて得られた画像データと濃度値との関係をプロットした後、各点の間を補間することによって図8に示す目標濃度曲線Aを求める。同様に、横軸にGの画像データを、縦軸にMの濃度を考えたときに得られる目標濃度曲線Aと、横軸にRの画像データを、縦軸にCの濃度を考えたときに得られる目標濃度曲線Aとを求める。このように、B−Y、G−M、R−Cについて曲線を考えているのは、印画紙PにBGRの各光を照射することによってYMCがそれぞれ発色するからである。そして、BGRの各目標濃度曲線の情報(0から255までの画像データと濃度との関係)を記憶部に記憶させる。
【0086】
S7の後は、S8での判断により、全印画紙および全処理液の各組み合わせのそれぞれに対して終了するまで、以上のS1からS7の工程が繰り返し行われる。これにより、上記各組み合わせのそれぞれに対応する目標濃度曲線Aの情報がBGRごとに記憶部に記憶される。
【0087】
ここで、補間により目標濃度曲線Aを求める手法について説明する。
【0088】
画像データをx、プリントを濃度計5で計った濃度値をyとし、yをxの関数として考えると、濃度計5で測定した値はその関数上にあると考えられる。そして、0〜255までの間の全ての画像データに対するプリント濃度を知るためには、測定できた点(図7の例では13個)からデータとして存在しない部分を補間しなければならない。しかし、全ての点を通る1つの近似曲線を求めることは困難なので、それぞれの点と点の間の区間を個別の曲線を使って補間する。しかも、各点の間を補間する曲線が滑らかにつながるようにする。
【0089】
例えば、図9に示すように、隣り合う4点をP1 、P2 、P3 、P4 とすると、P2 −P3 間の曲線が滑らかにつながるようにするためには、P2 −P3 間の曲線が以下の4つの条件を満たさなければならない。
【0090】
▲1▼点P2 を通る。
【0091】
▲2▼点P3 を通る。
【0092】
▲3▼点P2 での傾きが、P1 −P2 間の曲線の点P2 での傾きに一致する。
【0093】
▲4▼点P3 での傾きが、P3 −P4 間の曲線の点P3 での傾きに一致する。
【0094】
点P2 ・P3 での傾きが決まっていると、上記▲1▼〜▲4▼の条件から一意に3次関数の式を求めることができるので、P2 −P3 間の関数は3次関数として扱う。なお、点P2 ・P3 での傾きは、連続する3点から算出する。つまり、点P2 での傾きは、直線P1 P3 の傾きを使い、点P3 での傾きは、直線P2 P4 の傾きを使う。
【0095】
点P2 、P3 の座標を(x2 ,y2 )、(x3 ,y3 )とし、点P2 、P3 での傾きをm2 、m3 とする。求める関数をy=ax3 +bx2 +cx+dとすると、上記▲1▼〜▲4▼の条件より、以下の式が得られる。
【0096】
y2 =ax2 3+bx2 2+cx2 +d
y3 =ax3 3+bx3 2+cx3 +d
m2 =3ax2 2+2bx2 +c
m3 =3ax3 2+2bx3 +c
以上の式をa、b、c、dについて解くと、a、b、c、dは以下のように表される。
【0097】
したがって、このようにしてP2 −P3 間の3次曲線を得ることができるので、この曲線を参照することで、点P2 と点P3 との間の画像データに対応する未知の濃度を得ることができる。上記と同様にして他の2点間を補間することにより、0〜255までの画像データに対応するプリント濃度を求めることができる。
【0098】
なお、両端(画像データ0および255)での傾きは、端から2つ目の点の傾きに、その点の両隣を結んだ直線の傾きの比をかけたものとする。例えば点P1 が端点の場合、P1 での傾きは、
P1 での傾き=P2 での傾き×(直線P1 P2 の傾き/直線P2 P3 の傾き)とする。
【0099】
なお、BGRのそれぞれについて同じ画像データで印画紙Pを露光しても、印画紙Pの感度等により発色する濃度が互いに異なる。したがって、図8に示す曲線としては、BGRのそれぞれについて異なる特性が得られる。
【0100】
本工程では、色彩計での測定結果に基づいて得られる目標濃度曲線Aの情報を、予め装置の出荷前に記憶部に記憶させているので、出荷する装置に色彩計を載せる必要がなく、装置のコストアップが生じることがない。つまり、装置のコストアップを生じさせることなく、出荷した装置に搭載された濃度計の測定結果のみに基づいて、後述する目標濃度曲線Aの変形を行うことが可能となる。換言すれば、装置に搭載すべき色彩計を濃度計で代用することによりコストダウンを図ることができるとも言える。
【0101】
(濃度バランス記憶工程)
濃度バランス記憶工程は、特性の異なる複数の印画紙Pと複数の処理液との各組み合わせに応じた黒バランス(YMCの濃度バランス)を装置の工場出荷前に予め記憶部に記憶させておく工程であり、図10のフローチャートに示すように、S11〜S17の工程からなっている。なお、この工程では、露光ヘッド11の各シャッタ部は全開状態(最も露光時間が長くなるような状態)に設定されている。
【0102】
まず、S11では、調光フィルタ8の各フィルタ位置を次のように変化させて、様々な色を所定の印画紙Pに焼き付け、S12にて、様々な色の画像を所定の処理液で現像する。
【0103】
S11では、そのうち、各フィルタ位置を例えば500から10ずつ増加させて600まで変化させ、その都度印画紙Pを露光するようにしている。
【0104】
つまり、例えばYおよびMのフィルタを500の位置に固定しておき、Cのフィルタを500、510、520、・・・600の位置に順に移動させて、その都度印画紙Pを露光する。そして、次に、Yのフィルタはそのままの位置で、Mのフィルタを510の位置に固定しておき、この状態でCのフィルタを上記と同様に500、510、520、・・・600の位置に順に移動させて、その都度印画紙Pを露光する。このような処理を、Mのフィルタが520、530、・・・600の位置においても同様に行う。そして、以上の処理を、Yのフィルタが510、520、・・・600の位置においても同様に行う。
【0105】
結局、上記の例では、上記YMCの各フィルタは、その組み合わせによって11×11×11=1331通りの位置に配置されることになる。各フィルタの位置ごとに各フィルタの光路中への挿入量は異なっているので、S11では、最終的に1331通りの色の画像が印画紙Pに焼き付けられ、S12では、これら1331色の画像が所定の処理液によって現像されることになる。
【0106】
なお、これら1331色の画像は、YMCの各フィルタを透過する量が比較的多いBGR光によって形成されるので、比較的高濃度の画像となっている。また、上記では各フィルタ位置を500から600まで変化させているが、この範囲に限定されるわけではなく、印画紙Pに高濃度の画像を複数色形成できるようにYMCの各フィルタを移動させればよい。
【0107】
S12では、S11にて印画紙Pに焼き付けられた様々な色の画像を所定の処理液で現像する。そして、S13にて、現像された印画紙P上の各色を色彩計(または分光測色計(分光光度計))で読み取る。
【0108】
なお、先に説明した目標濃度記憶工程のS1において、本工程のS11でのフィルタ位置を含むように 各フィルタを移動させるようにすれば、本工程では、目標濃度記憶工程でのS3の測定結果をそのまま利用することができる。つまり、その場合は、本工程におけるS11〜S13は省略可能である。
【0109】
次に、S14にて、色度(aおよびbの値)が0もしくはこれに最も近い色を1個選択する。これは、無彩色に近ければ近いほど色の偏りは少なく、無彩色もしくはこれに最も近い色の濃度バランスと同じ濃度バランスが黒画像において得られるようにすれば、当該黒画像における色の偏りをなくすことができると考えられるからである。このような濃度バランスを次のS15にて取得して、後述する露光工程につなげるため、S14では、所定の印画紙Pに形成された複数色の画像から、aおよびbの値が0もしくはこれに最も近い色の画像を選択するようにしている。
【0110】
なお、S14において、aおよびbの値が完全な0ではなく、0もしくはこれに最も近い色を選択するとしたのは、実際には、プリント上でaおよびbがともに完全に0となる色を得ることが難しいからであるが、aおよびbの値が0となる色があれば、勿論その色を選択するようにすればよい。
【0111】
なお、S14では、aおよびbの最大値を60としたときに、aおよびbとして0±1以下の値を選択時の許容範囲とし、aおよびbがその範囲内にあるような色のうち、L軸に最も近い色を1個だけ選択するようにしている。
【0112】
続いて、S15では、S14にて選択した色を濃度計5で読み取ってYMCの各濃度値を取得すると共に、読み取ったYMCの各値からYMCの濃度バランスを取得し、S16にて、これを上記記憶部に記憶させる。
【0113】
例えば、S14にて選択した色のYMCの各濃度値が、それぞれ例えば2.0、2.2、2.3である場合には、Yを基準にして、M=Y+0.2、C=Y+0.3というYMCの濃度バランスを求め、S16にて上記濃度バランスを記憶部に記憶させる。
【0114】
なお、S16では、S15にて得られたYMCの各濃度値をそのまま記憶部に記憶させてもよいが、印画紙の発色特性や処理液の状態が経時的に微妙に変化するので、そのような経時的変化を起こした後でも上記色を再現できるように、上記各濃度値そのものよりも、YMC間での相対的な濃度バランスを記憶部に記憶しておくほうがよい。
【0115】
また、記憶部にYMCの各濃度値を記憶させる構成を採るのであれば、その後、上記各値からYMCの濃度バランスを算出するようにすればよい。とにかく、S14にて選択した色についてのYMCの濃度バランスが最終的に得られるようにすればよい。
【0116】
S16の後は、S17での判断により、全印画紙および全処理液の各組み合わせのそれぞれに対して終了するまで、以上のS11からS16の工程が繰り返し行われる。これにより、上記各組み合わせのそれぞれに対応するYMCの濃度バランスが記憶部に記憶される。
【0117】
この濃度バランス記憶工程では、無彩色もしくはこれに最も近い色であるか否かを、Lab表色系で言うaおよびbの値を直接得ることができる色彩計を用いて判断しているので、無彩色もしくはこれに最も近い色の画像の選択を容易かつ適切に行うことができる。
【0118】
また、色彩計での測定結果に基づいて得られる濃度バランスを、予め装置の出荷前に記憶部に記憶させているので、出荷する装置に色彩計を載せる必要がなく、装置のコストアップが生じることがない。つまり、装置のコストアップを生じさせることなく、出荷した装置に搭載された濃度計の測定結果のみに基づいて、次の目標濃度曲線Aの変形を行うことが可能となる。換言すれば、装置に搭載すべき色彩計を濃度計で代用することによりコストダウンを図ることができるとも言える。
【0119】
(露光工程)
次に、露光工程について説明する。本工程は、工場出荷後の装置において、上記記憶部に記憶された目標濃度曲線Aおよび濃度バランスを用いて露光を行う工程であり、図11に示すS21〜S27の工程からなっている。
【0120】
なお、本工程を行う前には、露光ヘッド11からの漏れ光が印画紙Pに到達するのを防ぐことができるような位置に調光フィルタ8のYMCの各フィルタを配置するデイリーセットアップが行われているものとする。
【0121】
まず、S21にて、256階調の画像データに対応する露光データを求めるためのLUTを作成する。このLUTによって、入力される画像データに対応する露光データが得られることになり、次のS22にて、当該露光データに基づいてグレースケールを印画紙Pに焼き付けることが可能となる。このLUTは、具体的には、以下の手法により作成される。
【0122】
まず、記憶部から、用いる印画紙Pおよび処理液に応じた目標濃度曲線Aの情報をBGRの全てについて読み出す。以下、読み出した各目標濃度曲線Aの情報を第1のグラフと称することにする。なお、上記印画紙Pは、次のS22にてグレースケールを焼き付ける印画紙Pを指し、上記処理液は、その次のS23にてグレースケールの画像を現像するための処理液を指す。
【0123】
次に、第1のグラフにおける最高濃度および最低濃度が一致し、かつ、これらの間の濃度が露光データと線形な関係を有するようなグラフを作成する。以下、このグラフを第2のグラフと称することにする。図12は、上記第1のグラフ(同図中、左半分のグラフ)および上記第2のグラフ(同図中、右半分のグラフ)を示している。これらのグラフにより、所定の画像データ(例えばi)に対応する露光データ(例えばj)を求めることが可能となる。図12の各グラフから、上記画像データを入力とし、上記画像データに対応する露光データを出力とするLUTが作成される。
【0124】
なお、図12では、横軸としてBを考えている場合には縦軸としてYを、横軸としてGを考えている場合には縦軸としてMを、横軸としてRを考えている場合には縦軸としてCを考える。つまり、図12に示す逆T字の軸を持つグラフは、B−Y、G−M、R−Cについての3通りが得られる。
【0125】
次に、S22にて、例えば18階調のグレースケール(無彩色のみによる18段階のグラデーション)を上記印画紙Pに焼き付ける。より具体的には、BGRのそれぞれについて、0から255までの画像データを例えば18段階に分け、図12のグラフで示されるLUTにより、各階調の画像データに対応する露光データをBGRごとに求める。そして、各露光データでBGRの各露光を行うことにより、グレースケールを印画紙Pに焼き付ける。
【0126】
そして、S23にて、上記グレースケールを上記処理液で現像し、S24にて、上記グレースケールの各階調のYMC濃度を濃度計5にて読み取る。
【0127】
続いて、S25では、横軸に露光データを、縦軸に濃度をとって、各階調における露光データと濃度とをプロットする。このとき、横軸にBの露光データをとったときは縦軸にY濃度をとり、横軸にGの露光データをとったときは縦軸にM濃度をとり、横軸にRの露光データをとったときは縦軸にC濃度をとる。図13は、例えばBの露光データとY濃度とをプロットしたものを示している。そして、各点の間を補間して図14に示すようなグラフをBGRごとに求め、これを上記第2のグラフとしてそれぞれ更新する。なお、補間方法については、図9を用いて説明した目標濃度曲線Aの場合と全く同様である。
【0128】
ここで、図15は、用いる印画紙Pおよび処理液に応じた第1のグラフ(実線A1 )と、全印画紙Pおよび全処理液の各組み合わせに対して共通に設定されている従来の第1のグラフ(破線A2 )と、S25にて更新した後の第2のグラフ(同図中、右半分のグラフ)との関係を示している。同図からも分かるように、第1のグラフと第2のグラフとにおける最高濃度同士の差および最低濃度同士の差は、第1のグラフとして破線A2 を考えた場合よりも実線A1 を考えたほうが確実に小さくなっている。これは、実線A1 が、用いる印画紙Pおよび処理液の組み合わせに応じた発色特性を考慮して設定されることになるからにほかならない。
【0129】
次に、S26にて、上記記憶部から、用いた印画紙Pおよび処理液に対応するYMCの濃度バランスを読み出す。そして、S27にて、最高濃度(黒)の画像において、読み出したYMCの濃度バランスが得られるように、かつ、発色できない濃度を目標にしないように、BGRに対応する各第1のグラフの最高濃度付近および最低濃度付近を変形する。つまり、第1のグラフの最高濃度が第2のグラフの最高濃度以下となり、かつ、最高濃度付近において読み出した黒バランスが得られるように、そして、第1のグラフと第2のグラフとで最低濃度が一致するように、上記第1のグラフを変形する。この変形により、第1のグラフにおける濃度範囲が第2のグラフにおける濃度範囲以内に確実に収まることになる。そして、変形後の第1のグラフと、S25にて求めた第2のグラフとに基づいて、256階調の画像データに対応する露光データを求めるためのLUTをBGRごとに再作成する。
【0130】
以下、上記第1のグラフの変形について詳細に説明する。なお、以下では、例として、B−Yについてのグラフの変形を説明するが、残りのG−M、R−Cについてのグラフの変形についても同様である。
【0131】
まず、BGRの各色について、S25にて求めた第2のグラフから、最大シャッタタイムで露光したときのYMCの各濃度を求める。この結果、上記YMC濃度が、例えば、Y=2.2、M=2.3、C=2.7であったとする。
【0132】
ここで、S26にて記憶部から読み出した、用いた印画紙Pおよび処理液に対応するYMCの濃度バランスが、M=Y+0.2、C=Y+0.3であるとする。この場合、Cを基準にしてYおよびMの最高濃度を考えると、Y=C−0.3=2.4、M=Y+0.2=2.6となり、YおよびMのいずれにおいても、最大シャッタタイムでも発色できない濃度となる(Y=2.2、M=2.3を越えているため)。したがって、このような濃度を出すことは不可能であるので、Cを基準にしてYおよびMの最高濃度を考えることはできない。
【0133】
また、Yを基準にしてMおよびCの最高濃度を考えた場合でも、M=Y+0.2=2.4、C=Y+0.3=2.5となり、Mの濃度が最大シャッタタイムでも発色できない濃度となる(M=2.3を越えているため)。したがって、このような濃度を出すことはやはり不可能であるので、Yを基準にしてMおよびCの最高濃度を考えることはできない。
【0134】
一方、Mを基準にしてYおよびCの最高濃度を考えた場合は、Y=M−0.2=2.1、C=Y+0.3=2.4となり、YおよびCのいずれにおいても、最大シャッタタイムに対応する最高濃度を下回る。したがって、この例では、Mを基準にしてYおよびCの最高濃度を考え、黒画像において、すなわち、画像データ値が0の場合に、Y=2.1、M=2.3、C=2.4を発色できるように、BGRの各第1のグラフの最大濃度付近(画像データ値0付近)を変形する。上記YMC濃度は、発色の目標とされる濃度であることから、以下では、上記YMC濃度のことを目標濃度と呼ぶことにする。
【0135】
次に、第1のグラフの実際の変形の仕方について説明する。
【0136】
上記のようにしてYの目標濃度が決定されると、図16に示すように、画像データ値0における目標濃度となる点aの位置が決定される。そこで、まず、点aに対する一定の濃度範囲bを考慮して、第1のグラフにおける変形点cを決定する。上記濃度範囲bは、オペレータによって自由に設定することができる値であるが、本実施形態では、例えば、点aに対応する濃度(目標濃度)と、変形前の第1のグラフ(同図中、破線のグラフ)における最低濃度との間を100%としたときに、濃度範囲bがその5%に相当するように、変形点cが決定されている。
【0137】
なお、上記の5%は一例であり、この数値に限定されるわけではない。しかし、濃度範囲bをあまり大きくすると、本来の目標濃度からずれる範囲が広くなる。この場合、他の色とのバランスがくずれ、良好な無彩色を発色できなくなるので、そのような点を考慮して濃度範囲bを設定することが必要である。つまり、濃度範囲bとしては、点aに対応する濃度と、変形前の第1のグラフにおける最低濃度との間を100%としたときに、その5%以下の範囲に設定されることが望ましい。
【0138】
このようにして変形点cを求めると、次に、点a−c間が滑らかに結ばれ、かつ、変形前の元の第1のグラフと変形点cにおいて滑らかにつながるように、点a−c間の曲線SB を求める。この曲線SB を求めるための条件は、以下の通りである。
【0139】
▲1▼点aを通る。
【0140】
▲2▼変形点cを通る。
【0141】
▲3▼変形後の第1のグラフの変形点cでの傾きが、変形前の第1のグラフの変
形点cでの傾きと一致する。
【0142】
▲4▼単調に減少(増加)する。
【0143】
このような条件を考えることにより、点a−c間および変形点cをまたぐ区間の画像データに対応する濃度を滑らかに変化させることができ、滑らかな階調変化を出すことが可能となる。上記▲1▼〜▲4▼の条件を満たす関数としては、以下の式で表される関数を用いることができる。
【0144】
【数1】
【0145】
ただし、ya;点aでの濃度(目標濃度)
yc;変形点cでの濃度
xa;点aでの画像データ値(0)
xc;変形点cでの画像データ値
ma;点aでの傾き
曲線SB が求まれば、元の第1のグラフの点a−c間の部分を、求めた曲線SB と置き換える。
【0146】
一方、低濃度部については、画像データ255に対応するY濃度と、露光データ0に対応するY濃度とが一致すると共に、変形点dにおいて第1のグラフと滑らかにつながるような曲線TB を求め、第1のグラフにおける低濃度部をこの曲線TB に置き換える。これは、印画紙Pを白から滑らかに発色させるようにするためである。この曲線TB を求める際にも、上述した曲線SB の求め方を適用することができる。図16中の左半分の座標軸における実線のグラフは、変形後(高濃度部および低濃度部を曲線SB およびTB に置き換えた後)の第1のグラフを示している。
【0147】
ここで、第1のグラフにおける低濃度部の変形範囲(変形点d以下の濃度範囲)は、点aに対応する濃度と、変形前の第1のグラフにおける最低濃度との差を100%としたときに、例えば15%を想定している。なお、この15%に限定されるわけではないが、低濃度部における変形範囲が広すぎると、本来の目標濃度からずれる範囲が広くなるので、他の色とのバランスがくずれ、良好な無彩色を発色できなくなる。また、中・低濃度部での色の違いは、高濃度部に比べて、人間の目にわかりやすいという問題もある。したがって、このような点を考慮すると、低濃度部における変形範囲は、点aに対応する濃度と、変形前の第1のグラフにおける最低濃度との差を100%としたときに、15%以下であることが望ましい。
【0148】
以上では、主にBについての第1のグラフを変形する場合について説明したが、GやRについての第1のグラフを変形する場合についても同様である。この結果、図17および図18に示すように、GやRについて変形後の第1のグラフ(実線部分)を得ることが可能である。なお、図17は、Gについての第1のグラフ(破線部分)の高濃度部および低濃度部を、曲線SG および曲線TG によって置き換えたものを示し、図18は、Rについての第1のグラフ(破線部分)の高濃度部および低濃度部を、曲線SR および曲線TR によって置き換えたものを示している。曲線SG およびSR は曲線SB と同様に求めることができ、曲線TG およびTR は曲線TB と同様に求めることができる。
【0149】
このようにして変形後の第1のグラフをBGRのそれぞれについて求めると、BGRのそれぞれについて変形後の第1のグラフおよびS25にて求めた第2のグラフ、すなわち、図16ないし図18に示す逆T字状の軸で表される実線のグラフに基づいて、0から255までの256階調の画像データに対応する露光データを求めることができる。
【0150】
最終的には、変形後の第1のグラフおよびS25にて求めた第2のグラフに基づいて、各階調の画像データを入力とし、各階調の画像データに対応する露光データを出力とするLUTがBGRごとに再作成される。図19の左下(第3象限)のグラフは、そのような出力LUTを示している。この出力LUTにおける所定の画像データに対応する露光データf1 は、第2のグラフで上記画像データと対応する露光データf2 と互いに等しいものとなっている。
【0151】
なお、図19において右下(第4象限)のグラフは、露光時のLUTを示している。この露光時のLUTとは、S22にて18階調のグレースケールを印画紙Pに焼き付けるときのみに利用されるものであり、図12の第1のグラフおよび第2のグラフに基づいて得られるものである。すなわち、露光時のLUTは、図12の第1のグラフにおける各階調の画像データを入力とし、各階調の画像データと図12の第2のグラフで対応する露光データを出力とするLUTである。この露光時のLUTを調整することにより、18段階のプロットした点の間隔は変わるが、この曲線の形は大きく変わるわけではない。
【0152】
以上のように、本発明では、複数の印画紙Pと複数の処理液との各組み合わせごとに目標濃度曲線Aを設定することによって、上記各組み合わせごとに、測定濃度曲線Bにおける最高濃度および最低濃度に近い最高濃度および最低濃度をそれぞれ有する目標濃度曲線Aを得ることができる(図15参照)。これにより、目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとにおける最高濃度同士の差および最低濃度同士の差を、上記各組み合わせに対して共通に目標濃度曲線を持つ従来に比べ、上記各組み合わせごとに小さくすることが可能となる。これにより、目標濃度曲線Aの変形量(最高濃度および最低濃度を変更する量)を従来に比べて確実に小さくすることができ、結果的に、変形点付近の濃度変化を滑らかにすることができる。
【0153】
ここで、図20は、従来の変形後の目標濃度曲線A’と本発明における変形後の目標濃度曲線Aとを示している。なお、図中、破線のグラフは、従来における変形前の目標濃度曲線を示している。目標濃度曲線Aを見れば、破線部C1の変形点P1 および破線部C2の変形点P2 での曲線の折れ曲がりが確実に改善されており、特に変形点P2 ではその効果が顕著に現れている。
【0154】
このように、本発明では、変形後の目標濃度曲線Aにおいて、従来のように変形点での顕著な折れ曲がりがなくなり、変形点付近の濃度変化が滑らかなものとなる。目標濃度曲線Aは、印画紙Pおよび処理液の各組み合わせに対応して設定されているので、このような効果は、用いる印画紙Pおよび処理液の各組み合わせごとに得られることになり、結果的に、上記各組み合わせごとに、印画紙Pに焼き付けられた画像の画質を向上させることが可能となる。
【0155】
また、本発明では、目標濃度曲線Aにおける最低濃度から最高濃度までの濃度範囲が、測定濃度曲線Bにおける最低濃度から最高濃度までの濃度範囲以内に確実に収まるように目標濃度曲線Aを変更(変形)するようにしている。これにより、変更後の目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとに基づいて印画紙Pを露光し、印画紙Pに焼き付けられた画像を処理液で現像すれば、印画紙P上において、測定濃度曲線Bにおける最低濃度から最高濃度までの濃度範囲をほぼ発色させることが可能となる。
【0156】
このとき、目標濃度曲線Aの最高濃度付近においては、最高濃度が測定濃度曲線Bの最高濃度以下となり、かつ、用いる印画紙Pおよび処理液に応じた黒バランスが得られるように変更されている。これにより、変更後の目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとに基づいて印画紙Pを露光し、印画紙P上に黒画像を形成した際には、当該黒画像を良好な黒で表現することが可能となる。
【0157】
一方、目標濃度曲線Aの最低濃度付近では、目標濃度曲線Aと測定濃度曲線Bとにおける最低濃度同士が一致するように目標濃度曲線Aが変更されており、印画紙Pを最低輝度から滑らかに発色させることが可能となる。
【0158】
なお、上述した露光工程において、YMCの最高濃度がY=2.2、M=2.3、C=2.7で一応得られた場合でも、M=2.3が最大シャッタタイムでプリントされたものでなかった場合には、M=2.4という濃度を発色できる可能性もある。この場合は、Yを基準として、Y=2.2、M=2.4、C=2.5を発色できるように第1のグラフを変形するようにしてもよい。
【0159】
なお、本実施形態では、露光ヘッド11をPLZT露光ヘッドで構成した場合について説明したが、例えばLCD、LCS、DMD等、時間制御により光量を調節してデジタル露光を行う光変調素子で構成した場合でも、本発明の露光方法を適用することが可能である。
【0160】
なお、無彩色の濃度が特定の色に偏っていると、例えば全体的に青っぽく見える、赤っぽく見える等の問題が発生するが、本実施形態のように、画像データがBGRで同じ値であった場合に、無彩色もしくはこれに最も近い色の濃度バランスでプリントするように装置を調整することにより、そのような色の偏りをなくすことができる。このとき、中・低濃度域については、目標濃度(無彩色)に調整することで対応できるが、印画紙Pおよび処理液の各組み合わせごとに発色限界が異なるので、最高濃度を目標濃度通りに合わせることができない。また、この問題は、黒文字をプリントした時や夜景等の写真をプリントした時に顕著に現れるので、高濃度部(黒)については特に調整を行う必要がある。本発明は、このような高濃度部における黒バランスの調整にも非常に有効となるものである。
【0161】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る露光方法は、以上のように、特性の異なる複数の感光材料と、感光材料上に焼き付けられた画像を現像するための複数の処理液との各組み合わせに対応する目標濃度情報を記憶部に記憶させる目標濃度記憶工程と、用いる感光材料および処理液の組み合わせに対応する目標濃度情報を上記記憶部から読み出し、上記測定濃度情報における最低濃度から最高濃度までの濃度範囲をほぼ発色できるように、読み出した目標濃度情報を変更し、変更後の目標濃度情報と上記測定濃度情報とに基づいて感光材料を露光する露光工程とを有している構成である。
【0162】
それゆえ、複数の感光材料と複数の処理液との各組み合わせごとに目標濃度情報を設定しているので、上記各組み合わせごとに、測定濃度情報における最高濃度および最低濃度に近い最高濃度および最低濃度を有する目標濃度情報を得ることができ、上記最高濃度同士の差および上記最低濃度同士の差を、各組み合わせごとに従来よりも小さくすることが可能となる。
【0163】
これにより、目標濃度情報の変更量が従来に比べて小さくなるので、変更後の目標濃度情報において画像データに対応するプリント濃度の変化が急激になることはない。その結果、用いる感光材料および処理液の各組み合わせごとに、階調を滑らかに表現することができ、感光材料に焼き付けられた画像の画質を向上させることができるという効果を奏する。
【0164】
請求項2の発明に係る露光方法は、以上のように、請求項1の構成において、上記目標濃度記憶工程は、所定の感光材料に異なる色の画像を焼き付け、上記各色の画像を所定の処理液で現像する第1の工程と、上記各色の画像から無彩色もしくはこれに近い色の画像を複数選択する第2の工程と、選択した画像の明度(輝度)に基づいて、画像の明度を画像データに変換するためのテーブルを作成する第3の工程と、選択した各画像の明度を上記テーブルによって画像データに変換すると共に、選択した各画像のYMC濃度を求め、選択した各画像のYMC濃度と上記画像データとに基づいて上記目標濃度情報を取得し、これを記憶部に記憶させる第4の工程と、上記第1から第4の工程を、全感光材料および全処理液の各組み合わせのそれぞれについて行う第5の工程とを有している構成である。
【0165】
それゆえ、無彩色は、例えば青や赤への色の偏りのない色であり、また、無彩色でなくても、無彩色に近ければ近いほど色の偏りは少ないので、上記のように、無彩色もしくはこれに近い色の画像を選択し、これらの画像をもとにして目標濃度情報を取得することにより、無彩色もしくはこれに近い色の濃度バランスと同じ濃度バランスを持つ目標濃度情報を得ることができる。これにより、請求項1の構成による効果に加えて、上記目標濃度情報を用いて感光材料を露光したときに、全濃度域において色の偏りをなくすことができるという効果を奏する。
【0166】
請求項3の発明に係る露光方法は、以上のように、請求項2の構成において、上記第2の工程では、無彩色もしくはこれに近い色であるか否かを色彩計を用いて判断する構成である。
【0167】
それゆえ、色彩計では、Lab表色系で言うaおよびb(色度(色相および彩度))の値を直接得ることができるので、このような色彩計を用いることにより、請求項2の構成による効果に加えて、aおよびbの値が0となる無彩色、もしくはこれに近い色の画像の選択を容易かつ適切に行うことができるという効果を奏する。
【0168】
請求項4の発明に係る露光方法は、以上のように、請求項1ないし3のいずれかの構成において、特性の異なる複数の感光材料と複数の処理液との各組み合わせに対応する黒バランスを上記記憶部に記憶させる濃度バランス記憶工程をさらに有し、上記露光工程では、用いる感光材料および処理液に応じた黒バランスを読み出すと共に、上記目標濃度情報の最高濃度が測定濃度情報の最高濃度以下となり、かつ、最高濃度付近において読み出した黒バランスが得られるように、上記目標濃度情報を変更する構成である。
【0169】
それゆえ、変更後の目標濃度情報における最高濃度が、測定濃度情報における濃度範囲以内に確実に収まるようになるので、請求項1ないし3のいずれかの構成による効果に加えて、発色できない濃度を目標にして感光材料が露光されることがなくなるという効果を奏する。
【0170】
また、感光材料および処理液の各組み合わせに対応する黒バランスも上記記憶部に記憶されており、用いる感光材料および処理液に応じた黒バランスが最高濃度付近で得られるように目標濃度情報を変更するので、変更後の目標濃度情報と測定濃度情報とに基づいて感光材料を露光し、感光材料上に黒画像を形成した際には、当該黒画像を良好な黒で表現することが可能となるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る露光方法の目標濃度記憶工程における動作の流れを示すフローチャートである。
【図2】上記露光方法が適用される写真処理装置の概略の構成を示す説明図である。
【図3】上記写真処理装置が備える露光部の概略の構成を示す斜視図である。
【図4】(a)は、人間の目に対応する分光感度特性を示すグラフである。(b)は、濃度計の分光感度特性を示すグラフである。
【図5】Lab表色系の色空間の立体的イメージを示す説明図である。
【図6】明度(輝度)を画像データに変換するためのLUTを示す説明図である。
【図7】画像データと濃度値との関係を座標軸上にプロットして示す説明図である。
【図8】上記プロットした各点を補間して得られるグラフである。
【図9】上記補間方法を説明するためのものであり、プロットした2点を滑らかに結ぶ曲線を求める手法を説明するための説明図である。
【図10】本発明に係る露光方法の濃度バランス記憶工程における動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る露光方法の露光工程における動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】用いる印画紙および処理液に対応する第1のグラフと予め設定されている第2のグラフとを示すグラフである。
【図13】18段階のBGRの画像データに対応する露光データに基づいてグレースケールを印画紙に焼き付けた後、各階調のYMC濃度を測定したときの、Bの露光データとY濃度との関係を座標軸上にプロットして示す説明図である。
【図14】上記プロットした各点を補間して得られるグラフである。
【図15】用いる印画紙および処理液に応じた第1のグラフと、全印画紙および全処理液の各組み合わせに対して共通に設定されている従来の第1のグラフとの違いを説明するための説明図である。
【図16】Bの画像データおよび露光データとY濃度との関係を示す第1のグラフの変形前後の形状を示す説明図である。
【図17】Gの画像データおよび露光データとM濃度との関係を示す第1のグラフの変形前後の形状を示す説明図である。
【図18】Rの画像データおよび露光データとC濃度との関係を示す第1のグラフの変形前後の形状を示す説明図である。
【図19】変形前後における第1のグラフと、更新した第2のグラフと、変形後の第1のグラフと上記第2のグラフとに基づいて得られる出力LUTと、グレースケールを印画紙に焼き付ける際に利用される露光時のLUTとを示す説明図である。
【図20】本発明および従来における変形後の第1のグラフの形状の違いを説明するための説明図である。
【図21】印画紙および処理液の各組み合わせに対して共通して設定されている従来の目標濃度曲線と、測定濃度曲線とを示す説明図である。
【図22】変形後の上記目標濃度曲線を示す説明図である。
【図23】従来の濃度調整を行う際の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
6 露光部
A 目標濃度曲線(目標濃度情報)
B 測定濃度曲線(測定濃度情報)
P 印画紙(感光材料)
Claims (3)
- 画像データとプリント濃度との関係を示す目標濃度情報と、露光データとプリント濃度との関係を示す測定濃度情報とに基づいて、所望のプリント濃度を得るための画像データに対応する露光データを求め、当該露光データに基づいて感光材料を露光する露光方法であって、
特性の異なる複数の感光材料と、感光材料上に焼き付けられた画像を現像するための複数の処理液との各組み合わせに対応する目標濃度情報を記憶部に記憶させる目標濃度記憶工程と、
用いる感光材料および処理液の組み合わせに対応する目標濃度情報を上記記憶部から読み出し、上記測定濃度情報における最低濃度から最高濃度までの濃度範囲をほぼ発色できるように、読み出した目標濃度情報を変更し、変更後の目標濃度情報と上記測定濃度情報とに基づいて感光材料を露光する露光工程と有し、
上記目標濃度記憶工程は、
所定の感光材料に異なる色の画像を焼き付け、上記各色の画像を所定の処理液で現像する第1の工程と、
上記各色の画像から無彩色もしくはこれに近い色の画像を複数選択する第2の工程と、
選択した画像の明度に基づいて、画像の明度を画像データに変換するためのテーブルを作成する第3の工程と、
選択した各画像の明度を上記テーブルによって画像データに変換すると共に、選択した各画像のYMC濃度を求め、選択した各画像のYMC濃度と上記画像データとに基づいて上記目標濃度情報を取得し、これを記憶部に記憶させる第4の工程と、
上記第1から第4の工程を、全感光材料および全処理液の各組み合わせのそれぞれについて行う第5の工程を有していることを特徴とする露光方法。 - 上記第2の工程では、無彩色もしくはこれに近い色であるか否かを色彩計を用いて判断することを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
- 特性の異なる複数の感光材料と複数の処理液との各組み合わせに対応する黒バランスを上記記憶部に記憶させる濃度バランス記憶工程をさらに有し、
上記露光工程では、用いる感光材料および処理液に応じた黒バランスを読み出すと共に、上記目標濃度情報の最高濃度が測定濃度情報の最高濃度以下となり、かつ、最高濃度付近において読み出した黒バランスが得られるように、上記目標濃度情報を変更すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の露光方法。
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