JP3724434B2 - 露光量調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光材料の種類および/または現像処理液の状態に応じて、感光材料を露光する露光ヘッドの異なる色ごとの露光量を調整する露光量調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、写真の焼き付けは、原画像が記録されている写真フィルムに光を照射し、この写真フィルムを透過した光を印画紙(感光材料)上に照射することによって焼き付けを行うアナログ露光が行われている。また、近年では、写真フィルム上の画像をスキャナ等によって読み取ることによって得られる画像データや、デジタルカメラによる撮影によって得られる画像データなどに基づいて、B,G,R(ブルー,グリーン,レッド)の単色光を印画紙上に照射することによって、各画素を焼き付けるデジタル露光が行われるようになっている。
【0003】
このデジタル露光を行う構成としては、種々のものが提案されているが、その一例として、レーザー光を画像データに応じて変調させながら印画紙を走査露光する構成がある。このような構成の焼付装置は、B,G,Rの各色のレーザー光を発生する露光ヘッドを備えており、次のような手順で焼き付け動作を行う。まず、入力される画像データに基づいて各色のレーザー光が変調される。そして、変調されたレーザー光が、ポリゴンミラー等の偏向器によって主走査方向に偏向され、fθレンズなどの光学系を介して印画紙上に照射される。さらに、これと同時に印画紙を副走査方向に搬送移動させることによって走査露光が行われ、2次元のカラー画像が印画紙上に焼き付けられる。
【0004】
ところで、印画紙の発色特性は、印画紙のメーカー毎に異なっており、さらに、同じメーカーの印画紙であってもロット(乳剤ナンバー)により異なっている。そのため、種類の異なる印画紙を同じ処理液を通して現像しても、それぞれの印画紙における色の現れ方は互いに異なるものとなる。また、同じ印画紙を用いた場合であっても、現像処理液の状態(例えば、現像処理液の濃度等)によっては、印画紙の発色特性に微妙なズレが生じてくる。
【0005】
そこで、従来では、所定の階調に対して目標濃度値を再現できるように、B,G,Rの露光量を、用いる印画紙に応じて調整(セットアップ)するようにしてきた。以下、このセットアップの手順について説明する。なお、焼付装置におけるB,G,R光の露光量(0〜65535)は、16ビット(0〜65535)の階調にそれぞれ対応付けられているものとする。
【0006】
まず、0〜65535の階調を18段階に分け、B,G,R各色から、18段階のテストパターン(無彩色のみによる18段階のグレースケール)を印画紙に露光する。より具体的には、B,G,Rのそれぞれについて、0(白)〜65535(黒)までの階調を18段階に分け、各段階でB,G、Rの各色から露光を行うことにより、18ステップのテストパターンを印画紙に露光する。
【0007】
続いて、上記テストパターンを処理液にて現像し、得られるプリントの18段階それぞれのY,M,Cの各濃度値を測定する。そして、図9(a)に示すように、横軸に階調、縦軸に濃度をとって、各段階における階調と濃度とをプロットした後、各点の間を補間することによって、図9(b)に示す濃度特性曲線を求めることができる。このとき、横軸にBの階調をとったときは縦軸にY濃度をとり、横軸にGの階調をとったときは縦軸にM濃度をとり、横軸にRの階調をとったときは縦軸にCの濃度をとる。
【0008】
つぎに、1〜18段階に対応する濃度値が、予め設定されている目標濃度値に近づくように、1〜18段階におけるB,G,Rの露光量を補正する。例えば、10段階目の目標濃度値が0.9であるとすると、10段階目の露光量を変化させて印画紙を露光し、このときの濃度を測定する。そして、得られる濃度値が0.9±0.02の範囲に収まるまで、この処理を繰り返す。これにより、1〜18段階の目標濃度値に対応する露光量を求めることができる。さらに、横軸に階調、縦軸に目標濃度値に対応する露光量をプロットした後、各点の間を補間することによって、ガンマカーブを求めることができる。このガンマカーブを上記焼付装置のLUT(ルックアップテーブル,補正用演算メモリ)に設定することにより、上記セットアップが完了する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、デジタル露光では、印画紙を副走査させねばならないことから、各画素を露光する時間に限りがある。よって、デジタル露光において、最高階調で高濃度の画素を露光する場合、できるだけハイパワーのレーザー光を露光しなければ、単色の色再現領域が狭くなるという問題が生じる。したがって、デジタル露光では、最高階調において、露光ヘッドの持つ最大能力をほぼ100%発揮できるように露光量を調整することで、色再現領域を広く確保する必要がある。
【0010】
しかし、フルパワーで露光すると、以下に示す問題が発生する。印画紙が実現できる画像の濃度には限界があり、ある露光量を超えたレーザー光で画素を焼き付けても、焼き付けられた画像の濃度が飽和状態となり、それ以上の濃度を超えた濃度を再現することはできない。
【0011】
さらに、露光ヘッドの露光量を際限なく増加させても、印画紙上に形成される画素において飽和状態となる濃度(以下、飽和濃度とする)以上の濃度を実現することができないばかりでなく、過剰な露光が原因して、飽和状態となった画素の周囲に余分な滲みが発生することもある。また、上記飽和濃度は、印画紙の種類またはケミカルコントロールのレベル(処理液の状態)によって異なるものであり、用いる印画紙によっては、露光ヘッドの持つ露光能力が十分に活かされない状態で、最高階調に対する目標濃度値が設定されることもあった。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、印画紙の種類および/または現像処理液の状態に依存せず、露光ヘッドの有する露光能力をできるだけ有効に活かしながら、余分な滲みが生じることない画像を再現できる露光量調整方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る露光量調整方法は、上記の課題を解決するために、デジタル画像データに基づいて、光源から露光することにより感光材料に画像を焼き付ける露光ヘッドの露光量を調整する露光量調整方法において、最高階調に対する露光量を減少させ、露光量の減少の度に感光材料を露光して、画像を焼き付けるステップと、上記露光量を減少させて焼き付けた各画像における色成分の濃度を測定するステップと、上記露光量の減少に対し、相関が生じ始める色成分の濃度を上記感光材料の最高濃度とするステップと、最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整するステップとを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る露光量調整方法は、上記の課題を解決するために、デジタル画像データに基づいて、光源から露光することにより感光材料に画像を焼き付ける露光ヘッドの露光量を調整する露光量調整方法において、最高階調に対する露光量を増加させ、露光量の増加の度に感光材料を露光して、画像を焼き付けるステップと、上記露光量を増加させて焼き付けた各画像における色成分の濃度を測定するステップと、上記露光量の増加に対し、相関がなくなる色成分の濃度を上記感光材料の最高濃度とするステップと、最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整するステップとを備えることを特徴とする。
【0015】
ここで、階調とは、入力画像データについて各画素の濃淡の程度を表す数値をいう。
【0016】
上記手順によれば、最高階調に対する露光量を減少または増加させ、露光量の減少または増加の度に感光材料を露光して、画像を焼き付ける。さらに、露光量を減少または増加させて感光材料に焼き付けた各画像における色成分の濃度を測定する。したがって、最高階調に対する露光量を減少または増加させた場合に、焼き付けた画像の色成分の濃度変化を検出することができる。
【0017】
一方、感光材料が実現できる画像の濃度には限界があり、ある露光量を超えた光で画像を焼き付けても、焼き付けた画像の濃度が飽和状態となり、それ以上の濃度の画像を実現することができない。また、露光ヘッドの露光量を際限なく増加させても、感光材料上に焼き付けられる画像において飽和状態となる濃度(以下、飽和濃度とする)以上の濃度を実現することができないばかりでなく、過剰な露光が原因して、感光材料上に焼き付けられる画像に余分な滲みが発生することもありえる。
【0018】
ここで、上記手順によれば、最高階調における露光量を減少または増加させた場合の、上記色成分の濃度変化を検出できる。そして、上記露光量の増加に対して、相関が生じ始める色成分の濃度を上記感光材料における飽和濃度とみなすことができる。また、上記露光量の増加に対して、相関がなくなる色成分の濃度を上記感光材料における飽和濃度とみなすことができる。そして、上記手順では、このような飽和濃度を上記感光材料における最高濃度とする。
【0019】
さらに、最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整する。これにより、上記手順によれば、露光ヘッドは、上記感光材料において最高濃度の画像を焼き付けることができると共に、光源から過剰な露光を防止することができる。
【0020】
したがって、使用する印画紙に応じて、上記手順で最高階調における露光量を調整することにより、露光ヘッドの有する露光能力をできるだけ有効に活かしながら、余分な滲みを生じさせずに、使用する感光材料における最高濃度の画像を焼き付けることができる。
【0021】
本発明に係る露光量調整方法は、上記の課題を解決するために、上記の手順に加えて、光源は複数かつ異なる色を感光材料に露光でき、上記複数かつ異なる色の露光量のうち、少なくとも1色の露光量を調整することを特徴とする。
【0022】
上記手順によれば、複数かつ異なる色の露光量のうち、少なくとも1色の露光量を変化させているので、焼き付けられる画像における複数の色成分毎に飽和濃度を検出することが可能となる。
【0023】
それゆえ、複数かつ異なる色から、他の色の画像(例えば、黒色画像)を焼き付ける場合でも、露光ヘッドの有する露光能力をできるだけ有効に活かしながら、余分な滲みを生じさせずに、使用する感光材料における最高濃度の画像を焼き付けることが可能な露光量調整方法を提供できる。
【0024】
本発明に係る露光量調整方法は、上記の課題を解決するために、上記の手順に加えて、用いる感光材料の種類に応じて、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の各ステップを実行することを特徴とする。
【0025】
一般的に、写真の焼き付けに用いられる感光材料は、印画紙の種類(メーカー別またはロットナンバーの相違)によって、異なる感光特性を示すものである。したがって、例えば、写真処理装置に対して、工場出荷時のみ請求項1ないし3の手順を実行する場合、焼き付け画像に余分な滲みを生じさせないために、写真処理店で使用が予定される種々の感光材料のうち、最も飽和濃度が高い感光材料を基準に露光量を調整する必要がある。
【0026】
ところが、請求項4の手順によれば、用いる感光材料の種類に応じた最高濃度を決定し、露光量を調整できるので、焼き付け画像に余分な滲みを生じさせないだけでなく露光ヘッドの持つ露光能力を有効に活かすことができる。例えば、あらゆるメーカーの感光材料の最高濃度を工場出荷前に決定しておき、写真処理店において、その日に用いる感光材料の種類に応じて露光ヘッドの露光量を調整すれば、露光ヘッドの能力を過不足なく有効活用できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0028】
本発明の特徴は、焼付装置の有する露光能力をできるだけ有効に活かしながら、余分な滲みを生じさせずに、使用する印画紙(感光材料)における最高濃度の画像を形成することが可能な露光量調整方法を提供することにある。以下、この点を踏まえ、まず、本発明の露光量調整方法が適用される画像出力装置について説明し、その後、本発明の露光量調整方法について説明する。
【0029】
本実施形態に係る画像出力装置は、原画像の画像データに基づいて、印画紙に対して焼き付け,現像および乾燥処理を施すことにより、原画像を印画紙にプリントするデジタル写真プリンタである。
【0030】
図4に示すように、画像出力装置は、画像形成部1、印画紙格納部2、現像部3、乾燥部4および図示しないPC(Personal Computer)を備えている。
【0031】
印画紙格納部2は、画像形成部1に供給する感光材料としての印画紙を格納するものであり、例えばサイズの互いに異なるロール状の印画紙を格納している。そして、出力画像のサイズに応じた印画紙が印画紙格納部2から画像形成部1に供給される。
【0032】
なお、印画紙の画像形成部1への搬送経路の途中にカッターを設けておけば、画像形成部1にシート状の印画紙を供給することもできる。また、印画紙の発色特性は、メーカーやロットによって微妙に異なるものである。
【0033】
画像形成部1は、搬送ローラR1・R2、露光ヘッド6および制御部7を備えている。搬送ローラR1・R2は、印画紙格納部2から供給された印画紙を、露光ヘッド6を経由して現像部3に送り込むためのものである。なお、同図では、2個の搬送ローラR1・R2を示しているが、この他にも多数の搬送ローラが所定位置に設けられている。
【0034】
露光ヘッド6は、B,G,Rそれぞれのレーザー光が出射制御されることにより印画紙を焼き付けるものであるがその詳細については後述する。制御部7は、露光ヘッド6に対して、ネガ/ポジ等のフィルムあるいは反射原稿を読み取ることによって得られる画像データ、パーソナルコンピュータなどによって画像処理された画像データ、デジタルカメラなどによって撮影された画像データなどを送り、露光ヘッド6を駆動するためのものである。
【0035】
現像部3は、画像形成部1にて焼き付け処理の施された印画紙を現像処理液や漂白定着液等(以下、単に処理液と記載する)に浸しながら搬送することによって、印画紙に焼き付けられた画像を現像するものである。乾燥部4は、現像部3にて現像された印画紙を、例えば熱風の吹き付けにより乾燥させるためのものである。PCは、画像出力装置の全動作を制御する制御部であり、原画像の画像データを保存する機能や、画像データに対してデータ処理を施す機能等を有している。
【0036】
このように、本実施形態に係る画像出力装置は、PCでの制御により、印画紙の露光、現像処理、乾燥処理を一元管理の下に連続して行う構成となっている。よって、使用者に操作上の負担をかけることなしに、多量の写真を連続的にプリントすることが可能となっている。なお、図中のTは、印画紙の搬送経路を示している。
【0037】
以上のような構成の画像形成部1によって、印画紙は、露光ヘッド6に対向する露光位置において焼き付け処理される。具体的には、各色の画像データを露光ヘッド6に入力することによって、R,G,B各色の画像が同時に印画紙上に焼き付けられることになる。また、印画紙は露光ヘッド6の駆動に同期した速度で搬送され、走査露光方式によって1コマ分のカラー画像が印画紙上に焼き付けられる。
【0038】
つぎに、図5に基づいて露光ヘッド6の構成を説明する。露光ヘッド6は、光源部8と走査部9とから構成される。
【0039】
光源部8は、レーザー10B・10G・10Rと、AOM(Acousto-Optic Modulator :音響光学変調素子)11B・11G・11R、ミラー12B・12G・12Rから構成される。
【0040】
レーザー10B・10G・10Rは、それぞれ青色、緑色、赤色成分の波長のレーザー光を発する半導体レーザーである。これらのレーザー10B・10G・10Rは、それぞれ一定の強度で各色のレーザー光を出射するように設定されている。
【0041】
AOM11B・11G・11Rは、音波により透明媒質中に作り出された屈折率分布が位相回折格子として働くことによる回折現象、いわゆる音響光学回折を利用した光変調器であり、印加する超音波の強度を変えることによって、回折された光の強度を変調するものである。このAOM11B・11G・11Rは、制御部7と接続されており、画像データに応じて振幅が変調された高周波信号が入力される。なお、本実施の形態では、上記のように、各色成分のレーザー光の強度変調を行う構成、すなわち、光ビーム変調手段として、AOM11B・11G・11Rを用いているが、これに限定されるものではなく、各色成分のレーザー光の強度を変化させることが可能な構成であればどのような構成を用いても構わない。例えば、上記のAOM11B・11G・11Rの代わりに、例えばEOM(Electro-Optic Modulator )、MOM(Magneto-Optic Modulator )を適用してレーザー光の強度変調を行う構成としてもかまわない。また、AOM11B・11G・11Rを設けずに、レーザー10B・10G・10Rからの出力自体を直接変調させることによって、レーザー光の強度変調を行う構成としてもよい。ミラー12B・12G・12Rは、AOM11B・11G・11Rから出射したレーザー光を走査部9が配置されている方向へ反射させる部材である。
【0042】
つぎに、走査部9について説明する。走査部9は、エキスパンダレンズユニット13B・13G・13R、ミラー14B・14G・14R、シリンダレンズ15B・15G・15R、プリズム16、ポリゴンミラー(偏向手段)17、Fθレンズ(光学手段)18から構成される。
【0043】
エキスパンダレンズユニット13B・13G・13Rは、入射した光を拡大するエキスパンダレンズ、および入射した光を平行光として出射するコリメートレンズなどを備えたレンズユニットである。
【0044】
ミラー14B・14G・14Rは、エキスパンダレンズユニット13B・13G・13Rから出射された各色のレーザー光をシリンダレンズ15B・15G・15Rが配置されている方向へ反射させる部材である。
【0045】
シリンダレンズ15B・15G・15Rは、ミラー14B・14G・14Rにおいて反射された各色のレーザー光を、副走査方向においてポリゴンミラー17の反射面に集光させるレンズである。プリズム16は、3枚の波長選択膜から構成され、B,G,Rの各色レーザー光を集光して、ポリゴンミラーに出射するためのものである。
【0046】
ポリゴンミラー17は、複数の反射面が正多角形を形成するように設けられた回転体であり、図示しないポリゴンドライバによって回転駆動される。プリズム16から出射するレーザー光は、ポリゴンミラー17の1つの反射面で反射されて印画紙方向に進行する。そして、このポリゴンミラー17からのレーザー光の反射方向は、ポリゴンミラー17の回転に応じて主走査方向に移動する。また、ポリゴンミラー17の回転によって1つの反射面におけるレーザー光の反射が終わると、その反射面に隣り合う反射面にレーザー光の照射が移り、同じ範囲で主走査方向にレーザー光の反射方向が移動する。このように、1つの反射面で1つの走査ラインが走査され、隣り合う反射面で次の走査ラインが走査されることになるので、副走査方向に隣り合う走査ライン同士の間のタイムラグを極めて小さくすることが可能となっている。
【0047】
Fθレンズ18は、ポリゴンミラー17から印画紙に照射されるレーザー光による走査面の両端近傍での像の歪みを補正するための光学系であり、複数のレンズから構成されている。この走査面の両端近傍での像の歪みは、ポリゴンミラー17から印画紙に到る光路の長さが異なることによって生じるものである。また、Fθレンズ18では、主走査方向および副走査方向ともにビーム径を絞っている。
【0048】
以上に示したように、本実施の形態における露光ヘッド6は、画像情報に応じて変調されたB,G,Rの各色に対応したレーザー光を、主走査方向に移動させながら印画紙を露光するとともに、印画紙を副走査方向に搬送することによって、印画紙に2次元の焼付画像を形成する構成となっている。この露光ヘッド6における異なる色(B,G,R)ごとの最大露光量は、後述する本発明の露光量調整方法によって調整される。
【0049】
次に、本発明の露光量調整方法について説明する。
【0050】
まず、印画紙の露光量調整の大まかな流れについて説明すると、この露光量調整は、イニシャルセットアップと、デイリーセットアップと、マガジンセットアップとを順に経ることで行われる。
【0051】
イニシャルセットアップは、装置の工場出荷時および工場から出荷された装置を店舗に設置した時に行われるものである。より具体的には、イニシャルセットアップでは、特定の印画紙Pを用いて、所定の階調に対して予め設定されている目標濃度値が得られるように、露光ヘッド6における異なる色(B,G,R)ごとの露光量を補正する処理が行われる。この補正する処理とは、所定の階調に対して、目標濃度が得られるような露光量を表したテーブルを作成し、このテーブルを制御部7の図示しないLUT(ルックアップテーブル,補正演算用メモリ)に設定する処理をいう。
【0052】
なお、上記の特定の印画紙Pとは、店舗にてよく使用される、特定のメーカーおよび特定幅の印画紙のことを指し、主ペーパーとも称する。この主ペーパーを用いてイニシャルセットアップを行うのは、他のペーパーについてもイニシャルセットアップを行うと、セットアップに多大な時間を要するからである。他のペーパーについてのセットアップは、デイリーセットアップおよびマガジンセットアップで行うことになる。
【0053】
デイリーセットアップとは、用いる印画紙の種類(印画紙のメーカーの種類)や装置を立ち上げた日の温度や処理液の状態に応じて露光量を調整する処理である。つまり、このデイリーセットアップは、用いる印画紙のメーカーを変更するときおよび装置を立ち上げるときに行われる。これは、印画紙の発色特性がメーカーごとに異なっていると共に、装置を立ち上げた日の温度や処理液の状態が印画紙の発色特性に影響を与えるからである。また、デイリーセットアップでは、同一メーカーの印画紙であれば、幅が異なっていても、そのうちのいずれか1つに対してのみ行われる。同一メーカーの印画紙であれば、その日の温度や処理液の状態に応じて同じような傾向で発色特性が変化するので、幅の異なる全ての印画紙について行う必要がないからである。
【0054】
マガジンセットアップは、目標濃度値が得られるように、イニシャルセットアップまたはデイリーセットアップで設定された露光量を、用いる印画紙ごとに調整することを主な目的としている。すなわち、このマガジンセットアップは、露光時に使用する印画紙をこれとは幅の異なる印画紙に変更したり、1ロールの印画紙がなくなり、これと同じ種類で同じ幅の印画紙を新たに装置に装填したとき(ロットが変更されたとき)に行われる。
【0055】
次に、本発明の露光量調整方法の詳細について説明する。本発明の露光量調整方法は、露光ヘッドの最高階調に対する目標濃度値(以下、最高濃度値とする)の設定手順に特徴がある。具体的には、イニシャルセットアップ、デイリーセットアップ、マガジンセットアップを実行する際に予め定められている目標濃度値のうち、最高濃度値を本発明の露光量調整方法で新たに設定する。そして、設定された最高濃度値が得られるように、上記各セットアップにて露光量を調整する。したがって、本発明の手順は、イニシャルセットアップが行われる前から実行されることになる。
【0056】
なお、デイリーセットアップおよびマガジンセットアップについては、説明の便宜上、ここではその説明を省略し、以下では、露光ヘッド6における最高濃度値の設定手順およびイニシャルセットアップの詳細について説明する。
【0057】
(最高階調の目標濃度値の設定)
最高階調の目標濃度値の設定について、図1ないし図3に基づいて説明する。ここで、説明の便宜上、露光ヘッド6におけるB,G,R光の露光量は、例えば、0〜255の階調にそれぞれ対応付けられていて、0〜255までの露光量で印画紙を露光できるものとするが、この数値に限定されるものではない。例えば、16ビットの画像データに基づいて印画紙を露光する場合は、0〜65535の露光量で露光できる。
【0058】
最初に、R,G,B各色同時に最高階調(黒)で露光する場合の露光量を、各色ごとに10ステップ変化させた3種類のデータおよび、各色同時に10ステップ変化させたデータを設定する。
【0059】
ここで、上記3種類のデータの作成例を図2(a)〜図2(c)に示し、その説明を以下に示す。まず、上記3種類のデータにおいて、露光量を変化させる色の最終ステップの露光量が、露光ヘッド6の最大露光能力である255になるように設定する。つぎに、露光量を変化させる色について、1ステップの減少に対して露光量が1減少するように、10ステップのデータを作成する。すなわち、露光量を変化させる色においては、1ステップ目の露光量が246となり、1ステップの増加に対して1ずつ露光量が増加し、10ステップ(最終ステップ)の露光量が255となる。そして、上記3種類のデータにおいて、1ステップ目のR,G,B各色の露光量が、それぞれ等しくなるように設定する。すなわち、上記3種類のデータにおいて、1ステップ目のB,G,Rの露光量は、それぞれ246となる。さらに、変化させない色の各ステップの露光量は、1ステップ目の露光量と同一になるように設定する。つまり、露光量を変化させない色については、各ステップの露光量はそれぞれ246となるように設定する。
【0060】
つぎに、各色同時に露光量を10ステップ変化させたデータの作成例を図2(d)に示す。この場合、10ステップ目(最終ステップ)におけるB,G,Rの各露光量が、それぞれ255になるように設定する。そして、各色の露光量が、1ステップの減少に対して1つ減少するように、10ステップのデータを作成する。すなわち、1ステップ目のB,G,Rの露光量は、それぞれ246となり、1ステップの増加に対して各色の露光量は1ずつ増加し、10ステップ(最終ステップ)目における各色の露光量が255となるように設定する。
【0061】
つまり、このようなデータ作成は、露光ヘッド6において最高階調でB,G,Rを同時露光した場合の露光量について、B,G,Rごとに幾らか振ったデータ(変化させたデータ)を用意したものである(このような処理をリングアラウンドプリントと呼ぶ)。
【0062】
また、ここでは、各データに対して10ステップ分の露光量が設定されているが、これに限定されるものではなく複数ステップで変化させていれば構わない。さらに、ここでは、変化させる色において、ステップを減少または増加させるごとに均等に露光量を減少または増加させているが、均等でなくても構わない。また、ここでは、ステップを減少または増加させるごとに、露光量を1ずつ減少または増加させているが、この値に限定されるわけではない。
【0063】
そして、図1に示すように、このようにして得られた各データに基づいて、印画紙Pに無彩色のベタ画像を焼き付ける(S1)。ここでは、合計40枚のベタ画像がプリントされることになる。つぎに、得られたベタ画像を現像した後、各色成分C,Y,M(シアン、イエロー、マゼンタ)の濃度を測色濃度計にて測定する(S2)。ここで、図2(a)のデータに基づいて得られる10枚のベタ画像は、Rの露光量を変化させているので、C成分の濃度に着目する。同様に、図2(b)のデータに基づいて得られる10枚のベタ画像では、Gの露光量を変化させているので、M成分の濃度に着目し、図2(c)のデータに基づいて得られる10枚のベタ画像では、Rの露光量を変化させているので、Y成分の濃度に着目する。
【0064】
ここで、図2(a)〜図2(c)のデータについての露光量と得られた濃度との関係についての一例を図3に示す。図3(a)は、Rの露光量を変化させた場合のC成分の濃度変化を表したグラフであり、横軸はRの露光量を示し、縦軸はC成分の濃度を示す。ここで、C成分の濃度に着目すると、7ステップ目からC成分の濃度が変化していないことがわかる。この現象を、以下に説明する。印画紙に焼き付けられる画像の濃度には、印画紙の種類に応じて限界があり、ある露光量を超えた光で画像を焼き付けても、焼き付けられた画像の濃度が飽和状態(このときの濃度を「飽和濃度」とする)となり、それ以上の濃度で画像を焼き付けることができない。すなわち、上記手順によれば、各色の露光量の増加に対して、対応する色成分の濃度変化が生じなくなるときの濃度を、上記印画紙について各色成分の飽和濃度とみなすことができる。
【0065】
ここで、図3(a)のグラフに着目すると、Rの露光量の増加に対して、C成分の濃度は、6ステップ目まで増加しているものの、7ステップ目から変化していないので、C成分の飽和濃度は7ステップ目の濃度である1.97と判断することができる。同様にして、図3(b)より、Gの露光量の変化に対するM成分の飽和濃度は6ステップ目の濃度である1.94と判断することができ、図3(c)より、Bの露光量の変化に対するY成分の飽和濃度は6ステップ目の濃度である1.96と判断することができる。なお、C,M,Yの各濃度値は、印画紙にB,G,Rの各光を照射して得られる光の反射率に基づいて得られるものであり、単位は特にない。そして、印画紙PにおけるC,M,Yの飽和濃度値を、1.97,1.94,1.96と決定し、各色成分ごとの飽和濃度値を、印画紙Pにおける最高濃度値とする(S3)。すなわち、印画紙Pにおける最高濃度値は、C=1.97,M=1.94,Y=1.96と設定する。
【0066】
また、上記手順によれば、最高階調における露光量の減少に対して、対応する色成分の濃度に減少が生じるとき(相関が生じるとき)の濃度を飽和濃度と判断しているが、最高階調における露光量の増加に対して、対応する色成分の濃度において増加がしなくなるとき(相関がなくなるとき)の濃度を飽和濃度と判断してもよい。
【0067】
さらに、上記手順では、最高階調における露光量の増加に対して、対応する色成分の濃度が増加しなくなるときの濃度を飽和濃度と判断しているが、官能評価により飽和濃度を判断することも可能である。この場合、図2(a)〜図2(c)に示した各色ごとに露光量を変化させたデータに基づいて印画紙Pを焼き付けた30枚のベタ画像のみならず、図2(d)に示した各色同時に露光量を変化させたデータに基づいて印画紙Pを焼き付けた10枚のベタ画像も使用する。つまり、最高階調付近で露光量を幾らか振ったリングアラウンドプリントを用意して、オペレータが、焼き付けられた40枚の無彩色ベタ画像の中から、最適な無彩色ベタ画像を、官能評価によって選択する。そして、選択されたベタ画像における各色成分の濃度を飽和濃度と判断する。
【0068】
また、上記手順では、印画紙Pに対してのC,M,Yの飽和濃度値を設定している。しかし、上記飽和濃度は、印画紙の種類(メーカー)によって異なるものである。したがって、印画紙Pとは異なるメーカーの印画紙についても、上記と同様の手順で、C,M,Yの飽和濃度値を設定する。ただし、ここでは、説明の便宜上、印画紙Pとは異なるメーカーの印画紙についての最高濃度値の設定についての説明は省略する。
【0069】
(イニシャルセットアップ)
つぎに、イニシャルセットアップについて、図6に基づいて説明する。まず、18段階のテストパターン(無彩色のみによる18段階のグレースケール)を印画紙Pに露光する(S4)。より具体的には、B,G,Rのそれぞれについて、0(白)〜255(黒)までの階調を18段階に分け、各段階でB,G,Rの各色について露光を行うことにより、18段階のテストパターンを印画紙Pに焼き付ける。
【0070】
続いて、上記テストパターンを処理液にて現像し、得られるプリントの18段階それぞれのY,M,Cの各濃度値を濃度計にて読み取る(S5)。そして、図9(a)に示すように、横軸に階調を、縦軸に濃度をとって、各段階における階調と濃度とをプロットする。このとき、横軸にBの階調をとったときは縦軸にY濃度をとり、横軸にGの階調をとったときは縦軸にM濃度をとり、横軸にRの階調をとったときは縦軸にC濃度をとる。その後、プロットした各点の間を補間することにより、図9(b)に示す階調と濃度との関係を表した特性曲線(B−Y曲線、G−M曲線、R−C曲線)を求める(S6)。
【0071】
つぎに、1〜16段階目に対応する濃度値が、予め設定されている目標濃度値に近づくように、1〜16段階目の露光量を補正する(S7)。例えば、10段階目の目標濃度値が0.90であるとすると、10段階目の露光量を変化させて印画紙Pを露光し、このときの濃度値を濃度計にて読み取る。そして、得られた値が0.90±0.002の範囲に収まるまで、この処理を繰り返す。また、上記の±0.002は、濃度計の読み取り誤差を考慮したものであり、この値に限定されるわけではない。なお、露光量は、AOM16B・16G・16Rに入力する高周波信号を調整することにより補正することができる。
【0072】
つぎに、18段階目に対応する濃度値が、印画紙Pについて設定した最高濃度値に近づくように、18段階目の露光量を調整する(S8)。この補正の方法については、S7と全く同様である。すなわち、C=1.97±0.002,M=1.94±0.002,Y=1.96±0.002の濃度値が得られるように、B,G,Rの各露光量を調整する。
【0073】
つぎに、印画紙Pについて設定した最高濃度値と予め定められている16段階目の目標濃度値とに基づいて、17段階目の目標濃度値を決定する(S9)。これは、16〜18段階目の濃度変化を滑らかにするためである。したがって、17段階目の目標濃度値の決定方法は、16〜18段階までの濃度値を滑らかに変化させることができればどのような方法でもよい。例えば、上記両濃度値の単なる平均をとってもよいし、どちらかの濃度に重みを持たせてその平均をとってもよい。
【0074】
そして、S9にて得られた17段階目の目標濃度値に近づくように、17段階目のB,G、Rの露光量を補正する(S10)。なお、この補正の方法は、S7と全く同様である。
【0075】
さらに、このようにして得られた1〜18段階の露光量について、横軸に1〜18までの階調を、縦軸に目標濃度値に対応する露光量をとって、これをプロットすることにより、印画紙Pについて、全ての階調に対する露光量を示したテーブルを求めることができる。さらに、制御部7の図示しないLUTに、このテーブルを設定することによりイニシャルセットアップが完了する。
【0076】
すなわち、上記イニシャルセットアップでは、最高階調(18段階目)における露光量を、印画紙Pについての最高濃度で焼き付けることができる露光量に調整することができる。換言すれば、飽和濃度付近の濃度の画像を焼き付けることができる露光量で、印画紙Pを露光することができるため、印画紙Pにおいて最高濃度の画像を実現できると共に、光源部8から過剰な露光を防止することができる。したがって、このような手順を実行することにより、露光ヘッド6の有する露光能力をできるだけ有効に活かすことができる。
【0077】
また、露光ヘッド6の露光量を際限なく増加させても、印画紙P上に実現される画像において飽和濃度以上の濃度を焼き付けることができないばかりでなく、過剰な露光が原因して、印画紙Pに焼き付けられる画像に余分な滲みが発生することもありえる。ところが、上記手順を実行することにより、最高階調において、飽和濃度付近の濃度の画像を焼き付けることができる露光量で印画紙Pを露光することができるため、印画紙Pに余分な滲みを生じさせることはない。
【0078】
また、装置を工場から出荷した後、写真処理店において、装置を立ち上げるたびにイニシャルセットアップが実行され、用いる印画紙の種類を変更する場合はマガジンセットアップが実行される。ここで、上記デイリーセットアップおよびマガジンセットアップも上記イニシャルセットアップと同様の手順で露光量が調整される。但し、デイリーセットアップおよびマガジンセットアップにおいては、その日に用いられる印画紙を用いてセットアップを実行する。ここで、印画紙Pとは異なる印画紙Mを用いる場合、最高階調の露光量を印画紙Mにおける最高濃度を焼き付けることができる露光量に調整する。
【0079】
すなわち、デイリーセットアップおよびマガジンセットアップにより、イニシャルセットアップで用いた印画紙と感光特性が異なる印画紙を用いる場合でも、露光ヘッド6の有する露光能力をできるだけ有効に活かすことができると共に、最高階調において、飽和濃度付近の濃度の画像を実現できる露光量で印画紙Mを露光することができるため、印画紙Mに余分な滲みを生じさせることはない。したがって、デイリーセットアップおよびマガジンセットアップにおいて、使用する印画紙に応じて、最高濃度が得られるように露光量を設定できるため、印画紙の実現できる飽和濃度はメーカごとに異なるものであっても、異なる印画紙ごとに、露光ヘッド6の有する露光能力をできるだけ有効に活かすことができると共に、余分な滲みが生じない画像を実現することができる。
【0080】
ここで、本実施の形態の手順によってセットアップがなされた画像出力装置と、従来のセットアップがなされた画像出力装置とでテスト露光を行った。まず、本実施の形態の画像出力装置と従来の画像出力装置とについて、グレー、イエロー、シアン、マゼンタ、ブルー、グリーン、レッドの各画像を焼き付ける。そして、各焼き付け画像における色成分(Y,M,C)の濃度とLab表色系における色度とを測定する。ここで、各画像についての階調(0〜255)は以下の通りである。
グレー (B=128,G=128,R=128)
イエロー (B=0,G=255,R=255)
マゼンタ (B=255,G=0,R=255)
シアン (B=255,G=255,R=0)
ブルー (B=255,G=0,R=0)
グリーン (B=0,G=255,R=0)
レッド (B=0,G=0,R=255)
図7(a)は、本実施の形態の手順でセットアップをおこなった画像出力装置における焼き付け画像の色成分の濃度を示し、図7(b)は、従来の手順でセットアップをおこなった画像出力装置における焼き付け画像の色成分の濃度を示す。
【0081】
なお、従来の手順とは、無彩色ベタ画像を焼き付けた場合に、各階調においてあらかじめ設定されている目標濃度値が得られるように露光量を調整する手順をいう。なお、従来の手順における最高階調の目標濃度値は、Y=M=C=2.1とする。
【0082】
まず、図7(a)と図7(b)とを比較した場合、シアンを焼き付けた場合のPrimary Color濃度がほぼ等しいことがわかる。これは、従来の手順でセットアップした画像出力装置においても、露光ヘッドの最高露光能力が発揮されているものと考えることができる。ここで、Primary Color濃度とは、イエローの画像を焼き付けた場合はY成分の濃度、シアンの画像を焼き付けた場合はC成分の濃度、マゼンタの画像を焼き付けた場合はM成分の濃度をいう。
【0083】
ところが、イエローを焼き付けた場合とマゼンタを焼き付けた場合とでは、従来よりも本実施の形態に係る画像出力装置のほうが0.13〜0.15程度、Primary Color濃度が高いことがわかる。
【0084】
また、焼き付けた各画像における各色成分について、図7(a)の測定結果と図7(b)の測定結果との差を表したグラフを図7(c)に示すが、レッドを焼き付けた場合、従来よりも本実施の形態に係る画像出力装置のほうが、露光ヘッドの露光能力を有効に発揮していることがわかる。
【0085】
このように、露光ヘッドのもつ最高露光能力を有効に発揮するためには、本実施の形態の手順で画像出力装置をセットアップしたほうが有利であることがわかる。
【0086】
また、上記各焼き付け画像をLab表色系で色度を測定した結果を図8に示す。図8(a)は、本実施の形態の手順でセットアップがなされた画像出力装置における測定結果を示し、図8(b)は、従来の手順でセットアップがなされた画像出力装置における測定結果を示す。
【0087】
なお、本実施形態では、露光ヘッド6をレーザーで構成した場合について説明したが、例えばLCD、LCS、DMD、PLZT露光ヘッド等、時間制御により光量を調節してデジタル露光を行う光変調素子で構成した場合でも、本発明の露光量調整方法を適用することが可能である。この場合、上記イニシャルセットアップを実施する前に光源の発光レベルを均一化させる処理(ユニフォーミティー調整)を行う必要がある。
【0088】
最後に、上述した実施の形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0089】
【発明の効果】
本発明に係る露光量調整方法は、以上のように、最高階調に対する露光量を減少させ、露光量の減少の度に感光材料を露光して、画像を焼き付けるステップと、上記露光量を減少させて焼き付けた各画像における色成分の濃度を測定するステップと、上記露光量の減少に対し、相関が生じ始める色成分の濃度を上記感光材料の最高濃度とするステップと、最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整するステップとを備えることを特徴とする。
【0090】
また、本発明に係る露光量調整方法は、以上のように、最高階調に対する露光量を増加させ、露光量の増加の度に感光材料を露光して、画像を焼き付けるステップと、上記露光量を増加させて焼き付けた各画像における色成分の濃度を測定するステップと、上記露光量の増加に対し、相関がなくなる色成分の濃度を上記感光材料の最高濃度とするステップと、最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整するステップとを備えることを特徴とする。
【0091】
ここで、上記手順によれば、最高階調における露光量を減少または増加させた場合の、上記色成分の濃度変化を検出できる。そして、上記露光量の増加に対して、相関が生じ始める色成分の濃度を上記感光材料における飽和濃度寸前の濃度とみなすことができる。また、上記露光量の増加に対して、相関がなくなる色成分の濃度を上記感光材料における飽和濃度寸前の濃度とみなすことができる。そして、上記手順では、このような飽和濃度寸前の濃度を上記感光材料における最高濃度とする。
【0092】
さらに、最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整する。これにより、上記手順によれば、露光ヘッドは、上記感光材料において最高濃度の画像を焼き付けることができると共に、光源から過剰な露光を防止することができる。
【0093】
したがって、使用する印画紙に応じて、上記手順で最高階調における露光量を調整することにより、露光ヘッドの有する露光能力をできるだけ有効に活かしながら、余分な滲みを生じさせずに、使用する感光材料における最高濃度の画像を焼き付けることができるという効果を奏する。
【0094】
本発明に係る露光量調整方法は、以上のように、上記の手順に加えて、光源は複数かつ異なる色を感光材料に露光でき、上記複数かつ異なる色の露光量のうち、少なくとも1色の露光量を調整することを特徴とする。
【0095】
それゆえ、複数かつ異なる色の露光量のうち、少なくとも1色の露光量を変化させているので、焼き付けられる画像における複数の色成分毎に飽和濃度を検出することが可能となる。
【0096】
したがって、複数かつ異なる色から、他の色の画像(例えば、黒色画像)を焼き付ける場合でも、露光ヘッドの有する露光能力をできるだけ有効に活かしながら、余分な滲みを生じさせずに、使用する感光材料における最高濃度の画像を焼き付けることができるという効果を奏する。
【0097】
本発明に係る露光量調整方法は、上記の課題を解決するために、上記の手順に加えて、用いる感光材料の種類に応じて、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の各ステップを実行することを特徴とする。
【0098】
これにより、用いる感光材料の種類に応じた最高濃度を決定し、露光量を調整できるので、焼き付け画像に余分な滲みを生じさせないだけでなく露光ヘッドの持つ露光能力を有効に活かすことができる。例えば、あらゆるメーカーの感光材料の最高濃度を工場出荷前に決定しておき、写真処理店において、その日に用いる感光材料の種類に応じて露光ヘッドの露光量を調整すれば、露光ヘッドの能力を過不足なく有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る露光量調整方法の処理の一部である最高濃度を設定する手順を示したフローチャートである。
【図2】(a)〜(c)は、上記露光量調整方法において、R,G,B各色同時に最高階調(黒)で露光する場合の露光量を、各色ごとに10ステップ変化させた3種類のデータを示した説明図であり、(d)は、各色同時に10ステップ変化させたデータを示した説明図である。
【図3】(a)〜(c)は、図2(a)〜(c)のデータに基づいて焼き付けた画像において、露光量と各色成分の濃度との関係を示したグラフである。
【図4】上記露光量調整方法が適用される画像出力装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】上記画像出力装置が備える露光ヘッドと制御部との概略構成を示した模式図である。
【図6】上記露光量調整方法による処理の一部であるイニシャルセットアップでの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】画像出力装置についてテスト露光を行い、色成分の濃度と明度とを測定した結果を示した説明図であり、(a)は、上記露光量調整方法によってセットアップをおこなった場合における測定結果を示した説明図であり、(b)は、従来の手順でセットアップをおこなった場合における測定結果を示した説明図であり、(c)は、(a)の測定結果と(b)の測定結果との差を示したグラフである。
【図8】画像出力装置についてテスト露光を行い、Lab表色系による色度測定の結果を示した説明図であり、(a)は、上記露光量調整方法によってセットアップをおこなった場合における測定結果を示した説明図であり、(b)は、従来の手順でセットアップをおこなった場合における測定結果を示した説明図である。
【図9】(a)は、階調と濃度との関係を18段階にわけてプロットしたグラフであり、(b)は、階調と濃度との関係を特性曲線としたグラフである。
【符号の説明】
6 露光ヘッド
P 印画紙(感光材料)
M 印画紙(感光材料)
Claims (4)
- デジタル画像データに基づいて、光源から露光することにより感光材料に画像を焼き付ける露光ヘッドの露光量を調整する露光量調整方法において、
最高階調に対する露光量を減少させ、露光量の減少の度に感光材料を露光して、画像を焼き付けるステップと、
上記露光量を減少させて焼き付けた各画像における色成分の濃度を測定するステップと、
上記露光量の減少に対し、相関が生じ始める色成分の濃度を上記感光材料の最高濃度とするステップと、
最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整するステップとを備えることを特徴とする露光量調整方法。 - デジタル画像データに基づいて、光源から露光することにより感光材料に画像を焼き付ける露光ヘッドの露光量を調整する露光量調整方法において、
最高階調に対する露光量を増加させ、露光量の増加の度に感光材料を露光して、画像を焼き付けるステップと、
上記露光量を増加させて焼き付けた各画像における色成分の濃度を測定するステップと、
上記露光量の増加に対し、相関がなくなる色成分の濃度を上記感光材料の最高濃度とするステップと、
最高階調で露光ヘッドから感光材料を露光した際に、上記感光材料の最高濃度で画像を焼き付けるように露光ヘッドの露光量を調整するステップとを備えることを特徴とする露光量調整方法。 - 光源は複数かつ異なる色を感光材料に露光でき、
上記複数かつ異なる色の露光量のうち、少なくとも1色の露光量を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の露光量調整方法。 - 用いる感光材料の種類に応じて、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の各ステップを実行することを特徴とする露光量調整方法。
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