JP4635118B2 - 非侵襲的な生理学的評価システムおよびその方法 - Google Patents
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Description
よび/または圧縮を検出することにより、標的組織の医学的に関連する生理特性を評価す
ることである。他の目的は、ある種の生理特性を有する組織または集束超音波(音響探査
または触診)の適用に対するある種の生物学的な反応を生じる組織を空間的に局在定位す
ることである。したがって、本発明は、内因性および/または誘発性の組織変位および/
またはこれに関連する生物学的反応に関する、少なくとも1つのパラメーターを検出する
ことによる、組織の特性と生理学的な状態との非侵襲的な局在定位、評価および監視のた
めのシステムおよび方法に関する。
/またはこれに関連する生物学的反応に関係し、それゆえ、組織の特性および生理状態に
関係する。これらのシステムおよび方法は、中枢神経系(CNS)組織を評価するために
、特に有効である。本発明のシステムおよび方法の具体的な用途は、中枢神経系の急性、
慢性および外傷性の損傷または傷害と、頭蓋内圧(ICP)と、動脈血圧(ABP)と、
中枢神経系自己調節の状態または能力と、脳潅流圧(CPP)と、血管痙攣と、卒中と、
局所的な浮腫と、感染と、脈管炎との非侵襲的評価および監視と、アルツハイマー病と、
多発性硬化症と、虚血状態と、低酸素状態と、硬膜下、硬膜上およびクモ膜下の血腫と、
脳内出血、腫瘍その他の頭蓋内の塊状物等のような、組織特性の生理的変化により特徴づ
けられる疾患および病状の診断および監視とを含む。末梢神経組織、心臓組織その他の非
骨組織を含む他の組織タイプの内因性および/または誘発性の変位の検出も、中枢神経系
以外の生理状態の評価および監視のために利用される場合がある。
よびシステムが提供される。内部組織が、痛覚反応を生じさせるために、集束超音波の適
用により標的とされ、選択的に刺激される。音響ビームは標的を合わせて集束されるため
、全身化された痛みの部位の中で個々の部位を音響的に探査することにより、痛覚の発生
源が局在定位され同定される。集束された部位の標的音響探査は、超音波画像化法または
磁気共鳴コンピュータ断層撮影法(MRI)のような画像化技術を用いて補完され、ある
いは、可視化される場合がある。これらの痛みの局在定位技術は、脊椎と、その他の関節
と、さまざまな構造的に複雑な部位における痛みの発生源を局在定位し同定するため、お
よび、例えば、虫垂炎、胆嚢炎、骨盤の炎症、リンパ節症、末梢神経関連疾患等のような
内部の痛みの発生源を局在定位し同定するために有効である。
られている。非侵襲的で非外傷的な技術を用いる内部組織の特徴づけは、多くの領域で有
用である。さまざまな癌の非侵襲的な検出は、未だに問題があり、信頼性がないままであ
る。同様に、頭蓋内圧の非侵襲的な評価および監視も、かかる技術の開発に捧げられた努
力にもかかわらず、実用的な挑戦である。
一種である。医療用画像処理の分野では、超音波は、患者の内部の物体または構造の画像
を作成するためにさまざまなモードで利用されている。送信モードでは、超音波送信機が
物体の1の側面に配置され、前記超音波が、前記物体を通って、超音波受信機に送信され
る。各画素の明るさは前記受信機に到達した超音波の振幅に相関する(減衰モード)か、
あるいは、各画素の明るさは超音波が前記受信機に到達するのに要する時間に相関する(
飛行時間モード)かであるように画像が作成される場合がある。代替的に、受信機が送信
機と物体の同じ側面に位置する場合には、画像は、画素の明るさが反射した超音波の振幅
に相関する(反射または後方散乱またはエコーモード)ように作成される場合がある。ド
ップラーモードの動作では、組織(または物体)は、前記組織(または物体)から受信機
に反射した超音波の位相のシフトを測定することにより画像化される。
気素子すなわち圧電素子から構成される。かかる圧電素子は、例えば、チタン酸ジルコン
酸鉛(PZT)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、PZTセラミック/ポリマ
ー複合材料等から構成される場合がある。電極が電源に接続され、電圧波形が適用される
と、圧電素子は、適用された電圧の周波数に対応する周波数でサイズが変化する。電圧波
形が適用されるとき、圧電素子は、接続されている媒体に励振波形に含まれる周波数の超
音波を発生する。逆に、超音波が圧電素子に当たるとき、圧電素子はその電極の間に対応
する電圧を発生する。多数の超音波トランスデューサの構成が当業者に知られている。
素子を有する超音波トランスデューサが提供される。適用された電圧の位相および振幅を
制御することにより、超音波は、合成され、所望のビーム方向に伝搬されて、前記ビーム
に沿って選択された一点に集束される合成超音波を発生させる。適用された電圧の位相お
よび振幅を制御することにより、前記ビームの集束する点は、被検者をスキャニングする
ために平面上を移動させることができる。かかる超音波画像化システムの多くが当業者に
周知である。
スデューサによって発生した音響放射力の利用は、組織の硬直性の測定との関係で提唱さ
れてきた。以下の非特許文献1を参照せよ。この刊行物は、集束した超音波放射パルスが
トランスデューサの焦点にある物体を変形させるために適用される実験を説明する。この
変形は、別のパルス−エコー超音波システムを用いて測定された。組織の硬直性の計測は
、前記音響力が連続的に適用されるときの物体の変形の量または速度または音響力が除去
された後の変形の緩和の速度にもとづいて実行される。
スギモトら、「集束超音波の放射力を利用する組織の硬直性の測定(Tissue Hardness Measure Using the Radiation Force of Focused Ultrasound)」、IEEE Ultrasonics Symposium、377−80頁、1990年 他のシステムは以下の非特許文献2に説明されている。このシステムでは、低周波(350kHz)が打診用の力として用いられ、超音波(5MHz)が被検者の画像を作成するために用いられる。前記打診用の力は組織における二次非線形相互作用を攪乱し、これにより従来の超音波パルス−エコーシステムよりの多くの構造的情報が明らかになる場合がある。 T.サトウら、「音響的非線形パラメーターの画像化とその医療および産業上の応用:一般化された打診法としての視点」、Acoustical Imaging、20巻、9−18頁、1993年、Plenum Press刊。
波ビームにより発生した局所的周期的放射力に対する物体の機械的反応をマッピングする
ために音響放出を利用する画像化技術を報告している。物体は、2つの異なる周波数の集
束された連続的な超音波ビームの交差する点が前記物体上の選択された点になるように配
置することにより、探査される。前記2つのビームが交差する領域における干渉は、超音
波エネルギー密度の変調を起こさせ、上記の選択された領域で前記物体に振動を発生させ
る。前記振動は測定可能な音場を発生する。著者は、超音波音響振動スペクトル法が、材
料の非破壊検査と、石灰化した動脈の画像化のような硬い組織封入体の医療画像化および
非侵襲的検出と、胸部の微小石灰化の検出と、硬い腫瘍の可視化と、異物の検出とのため
の潜在的な用途があると推測する。
高周波音響ビームを指向させることにより、標的部位で音響放射力を発生させるための方
法およびシステムを開示する。振幅可変放射力は、可変高周波音響ビームを用いることか
、あるいは、高周波音響ビームをベースバンドの低周波で振幅変調することかにより、発
生する場合がある。物体の機械特性または物体の存在は、適用された音響放射力によって
前記物体から発生した音波を解析することにより検出できる。前記物体のイメージは、高
周波音響ビームで前記物体をスキャニングし、それぞれのスキャニングされた位置で発生
した音波を解析することによって、作成できる。物体の機械的特徴は、高周波音響ビーム
の交差する部位で発生する動きを検出し、この動きをドップラー超音波核磁気共鳴画像化
法を用いて解析することによって評価することもできる。液温、密度および化学的組成の
ような液体(例えば、血液)の特徴の変化も、振動周波数信号の振幅の変化を評価するこ
とにより、検出できる。アテローム性動脈硬化症の検出、液体中の気泡の検出、血流中の
造影剤の濃度の測定、物体の位置の測定、物体の動きおよび速度の測定等を含む、さまざ
まな用途が言及されている。画像化システムも開示されている。
正常で健康な哺乳類、特にヒトは、一般に一定の頭蓋内体積を有し、それゆえ、一般に一
定の頭蓋内圧を有する。さまざまな病状が頭蓋内体積の変化を生じさせ、その結果、頭蓋
内圧の変化を発生させる。頭蓋内圧の亢進は、頭蓋内圧が正常以上に上昇して、平均動脈
圧に近づくか、あるいは、等しくなるような条件を生じさせて、脳への血流を減らすこと
になる。亢進した頭蓋内圧は、脳への血流を減らすだけでなく、脳内の細胞の正常な代謝
にも影響を与える。
乳児揺さぶり症候群、硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳出血、髄膜炎、脳炎、鉛中毒、ライエ
症候群、ビタミンA過剰症、糖尿病ケトアシドーシス、水中毒、脳腫瘍、頭蓋腔内のその
他の塊状物または血塊、脳膿瘍、卒中、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)、代謝異常、水
頭症および硬膜静脈洞血栓症を含む。頭蓋内圧の変化、特に頭蓋内圧の亢進は、非常に重
症で、生命の危険がある場合もある。これらは、即時に治療し継続的に監視する必要があ
る。
ィステル形成術カテーテルおよび光ファイバーカテーテルを含む。これらの方法およびシ
ステムは全て侵襲的である。硬膜外カテーテルは、例えば、脳手術の間に挿入される。硬
膜外カテーテルは比較的感染のリスクが低く、頭部の動きにともなうトランスデューサの
調整の必要はないが、硬膜を介するため観測精度は低下し、CSFを排出することはでき
ない。クモ膜下ボルト/スクリュー法は、最小限の脳への穿通しか必要ではなく、比較的
感染リスクが低く、直接的な圧力の測定値を提供するが、無傷の頭蓋骨に穿通することが
必要であり、CSFをほとんど排出することはできない。脳室フィステル形成術カテーテ
ル法は、CSFの排出および試料採取を提供し、頭蓋内圧の直接的な測定を提供するが、
カニューレの軌跡に沿っての感染、脳内出血および水腫のリスクは著しく、頭部の動きに
ともなうトランスデューサの再定位が必要である。最後に、光ファイバーカテーテル法は
、カテーテルを脳室内またはクモ膜下腔内に設置できるため、多目的に使用でき、頭部の
動きに伴ってトランスデューサを調整する必要はないが、独立した監視システムを必要と
し、カテーテルが比較的脆弱である。これらの従来技術の全てが侵襲的な手順を必要とし
、これらのいずれも、定期的に頭蓋内圧を長期間監視するのにはあまり適さない。さらに
、これらの手順は、有資格者の神経外科医が勤務する病院でしか実施することはできない
。そのうえ、これらの従来技術の全てが、頭蓋内圧を局所的に測定するものであって、こ
の局所的な頭蓋内圧が脳全体の頭蓋内圧を反映すると仮定している。
するために開発されてきた。これらの方法のいくつかは超音波技術に関する。例えば、以
下のラガウスカス(Ragauskas)らの特許文献5は、頭蓋内および頭蓋内の両方
で眼動脈内の血流の速度を検出する超音波ドップラー装置を使って頭蓋内圧を非侵襲的に
測定するための装置を開示する。血流が監視される眼は少し圧力をかけられるが、この圧
力は、眼動脈の頭蓋の内部と頭蓋の外部の血流測定値を平衡化するために十分である。か
かる平衡化が起こる圧力は、頭蓋内圧の受け入れ可能な指標であると開示されている。実
際には、与圧チャンバーが眼の周囲に密封され、前記チャンバーの圧力が眼動脈の頭蓋内
部分と頭蓋外部分の血流速度を平衡化するように制御される。
動脈血圧は個体の健康状態の基本的で客観的な測定値である。実際、動脈血圧は、「生存
症状」と考えられており、医療と保健の全ての領域で決定的に重要である。動脈血圧の正
確な測定は、安定状態、切迫状態、緊急状態および手術状態での心臓血管系および血行力
学的な健康状態の決定を補助し、患者の健康を最大にするために適切な介入を示す。
ロトコフ法としてしばしば説明される空気カフを使用して非侵襲的に測定される。この測
定モードは、実行するのは簡便で安価であるが、動脈血圧の最も正確な測定値を提供する
わけではなく、動脈壁の状態、患者のサイズ、患者の血行力学的状態および脈管平滑筋の
自立的緊張に由来するアーティファクトが起こりやすい。さらに、動脈血圧のカフ測定の
繰り返しは、その動脈壁の血管収縮により、誤って亢進した動脈血圧の測定値をもたらす
。これらの問題を克服するためと、連続した動脈血圧の測定値を提供するためとに、侵襲
的な動脈カテーテルが用いられる。かかるカテーテルは、非常に信頼性が高く、最も正確
な動脈血圧の測定値を提供するが、訓練された医療関係者、通常、内科医による取り付け
を必要とし、かさばり、精巧で、こわれやすく、無菌状態の器具の使用を必要とする。さ
らに、カテーテルを取り付けるときに、虚血事象につながる永久的な動脈の傷害のリスク
がある。その結果、これらの侵襲的な監視装置は、病院内の環境で、かつ、重篤な患者ま
たは手術中の患者についてのみ使用される。
レチスモグラフィー式の脈管の体積用ゲージを備えた圧力カフで設置点を決定すること、
そして、動脈血圧を推測するために、測定された動脈の体積を一定に保つことによる、体
表から圧迫可能な動脈での自動的で非侵襲的な連続動脈血圧の決定方法を開示する。基本
的な血圧波動に重なる圧力の振動を起こす発生器と、血圧波動の振動の変化とが、一定の
動脈体積を保つために常時前記カフの圧力を調節する能動的なサーボ機構により監視され
ており、血圧波動の最高の高調波成分よりも高い血圧波動の振動周波数が、動脈血圧を決
定するために用いられる。
頭蓋内圧、血圧および自己調節は、密接に関連している。経頭蓋ドップラー(TCD)信
号において観察されてきた、「A波」、「B波」、「C波」および「プラトー波」として
知られる、詳しく記述された周期的な現象が、例えば、動脈血圧および頭蓋内圧と関連す
る。
神経系組織に出入りする血流は、一般に拍動性があり、心臓周期のいずれかの時点での脳
内全血体積は、全身の血圧と、脳脈管系の保護的な自己調節機構とに関係づけられる。ミ
リメートル単位の直径を有する主要動脈から、ミクロン単位の直径を有する細動脈まで、
これらののさまざまな脳脈管系の生理的なスケールは、頭蓋内圧および自己調節に対して
、異なる時間スケールおよび異なる寄与レベルで反応する。脳脈管系の異なるクラスは、
脳の異なる変位特性に寄与するヤング係数のような、異なる物性を有する。脳組織が心臓
周期とともに拡張すると、脳脈管系は脳に流入する血量を調節し、同時に脳脊髄液は頭蓋
腔から出て脊髄領域に入っていき、これにより、相対的に一定の頭蓋内圧を維持する。血
液が脳から出て行くと、脳脊髄液は脊髄腔から頭蓋領域へ再流入する。
、脳脈管系は、動脈圧平均値のいかなる変化についても補償するために、脳脈管系の抵抗
を動的に調整する。脳は、実質的に一定速度の血流を受け入れるが、この速度は脳潅流圧
によって決定される。ここで広範囲の動脈圧平均値にわたって
脳潅流圧=動脈圧平均値−頭蓋内圧
である。このようにして、正常条件下では、脳およびその脈管系は、脳への適当な血流を
維持するために脳潅流圧を変化させることが可能である。これは自己調節の正常状態と呼
ばれている。脳への適当な血流を維持するための脳潅流圧を変化させる能力が失われると
き、自己調節が異常で、頭蓋内圧は動脈圧平均値に直接的に比例するようになる。
的な決定は、一般に、脳血流量(CBF)および動脈圧平均値を監視することによってな
される。脳血流量は、脳内の大きい血管の血流速度を測定するための経頭蓋ドップラー法
(TCD)を用いて監視され、動脈圧平均値は、標準的な技術のいずれかを用いて測定さ
れる場合がある。全身の血圧を変調−亢進または減退−させるような生理学的なチャレン
ジが、脳血流量を監視しながら患者に投与される。全身血圧は、例えば、個体の手足の圧
力を増大させる(例えば、手足のどれかに圧力カフを適用する)こと、全身血圧を変化さ
せる利尿剤その他の医薬を投与すること等によって変調させられる。全身血圧は、個体に
くしゃみまたはせきをさせることによっても変調させることができる。自己調節が正常の
とき、脳血流量は一般に広範囲の動脈圧平均値にわたって一定であるが、自己調節が異常
のとき、脳血流量は広範囲の動脈圧平均値にわたって増加または減少する。従来の臨床的
な自己調節の決定技術は不正確で負担が大きい。さらに、経頭蓋ドップラー法を用いる脳
血流量の測定は、患者および該患者の中枢神経系が静止していない場合があるのに、装置
の焦点を大きい脳血管に合わせてその状態を維持するために、熟練した超音波診断技師が
必要である。
痙攣のような症状の臨床的な決定は、経頭蓋ドップラー(TCD)法を用いて行われるの
が一般的である。血管痙攣は、脳脈管系が、患部の血管を通る血流が著しく減少するくら
い異常な収縮を起こすが、血流速度の測定値は実際には増加して、一時的な、そして、し
ばしば永久的な、神経性欠損(例えば、卒中)を引き起こす症状をいう。脳動脈瘤の破裂
に由来するクモ膜下出血の結果であることがしばしばである。従来の経頭蓋ドップラー超
音波診断法は、血管痙攣の程度を評価するために、大きな脳血管の流速を使用するが、そ
れは、より小さな血管は、正確に局在定位して経頭蓋ドップラーで超音波診断することが
不可能だからである。関心のある血管内の血流速度が一定値を超えるとき、血管痙攣が推
測される。実際には、経頭蓋ドップラー法は脳内のより小さな血管での血管痙攣を評価す
るのに十分な感度はないため、経頭蓋ドップラー法は頭蓋基部の大きな血管での血管痙攣
を評価することに限定されるのが一般的である。現在のところ、血管痙攣の存在を確認す
るための一般的な臨床診察は、従来の脳血管造影法を行うことである。これは、大がかり
で高価な手順である。したがって、本発明は、中枢神経系組織における、血管痙攣と、卒
中、局所的浮腫、感染および血管炎のようなその他の症状との状況における自己調節の状
態を評価および監視するためのシステムおよび方法にも向けられている。
痛みは多数の病状のよくある主症状であり、何かがおかしいという最初の警告になること
もしばしばである重要な役割を果たすが、極端に非特異的であることもある。痛みの特異
性および局在性を増強するための技術から利益が得られる複数のありふれた病状がある。
腰痛(low back pain、LBP)は、1つのありふれた病状の主要な例であ
る。腰痛の生涯発症率は60〜90%で、年間発症率は5%であると報告されている。国
立保健統計センターによると、毎年、プライマリー・ケアの医師を訪問する新患の14%
が腰痛のためであり、約1300万回の訪問が慢性腰痛に関係する。残念ながら、痛みの
正確な発生源の同定は困難である。複雑な構造のいくつかの構成部分は密接に関係してい
るが、ただ1つだけが発生源かもしれない。米国の労働力の半分が腰痛を訴えているが、
これらの患者の約20%だけが痛みの発生源を特定する診断につながっている。X線、コ
ンピュータ断層撮影法および磁気共鳴映像法は、腰痛患者の主要な画像診断テストであり
、これらは解剖学的な異常を鋭敏に映し出すが、解剖学的な知見と患者の症状との間の関
連性はせいぜい中くらいである。
促進するようなテストに頼り始めている。医師は、痛みを誘発するように椎間板造影法用
の注射針を椎間板に挿入し、局部麻酔およびステロイドの注射により痛みを誘発し、その
後痛みを取り除くために、関節面および仙腸骨関節の間に注射針を挿入する。これらのテ
ストは患者にとってしばしば不快で、感染および対比反応(contrast reac
tion)のリスクをともなう。
,000骨折例で、毎年160,000回の医師への訪問と500万日以上の行動の制限
された日々とを生じさせている。最近まで、よい治療の選択肢はなかった。メチルメタク
リレートを椎体に経皮的に注入する椎体形成術は、これらの骨折の新規で有望な治療法で
ある。しかし、複数箇所の骨折をした患者では、痛い骨折箇所を同定することは困難な場
合がある。痛い骨折箇所を局在定位するための試みとして、打診、あるいは理学的検査と
、骨スキャニングと磁気共鳴画像化法とは、全て利用されてきたが、その成功の程度はさ
まざまであった。
在する。虫垂炎の診断は困難で不正確である。CTおよび超音波のようなハイテク画像診
断法の使用にもかかわらず、JAMAの最近の総説は、虫垂摘出術での偽陽性の発生率に
変化がないことを証明した。さらに、手作業での腹部の触診が、特異性が低いけれども、
いまだに標準テストであって、その結果は一定しない。
診察する医師によって引き出される。上記の病状において、痛みの症状は、問題があると
いう信号を発するが、その問題の所在を特定することはないのがしばしばである。したが
って、腰痛その他の疾患、特に、炎症性の要素がある疾患(例えば、虫垂炎、胆嚢炎、膵
炎、骨盤の炎症疾患等)のケースでは、精度が高く、信頼性があり、非侵襲的なやり方で
、体内の複雑な構造の個々の構成部分(例えば、椎間板、椎体、椎弓板および脊椎関節突
起)を刺激して、痛みの正確な発生源を同定し、空間的に局在定位させる。それゆえ、本
発明の方法およびシステムは、さらに、痛みのような、生理状態および/または生物学的
な反応を局在定位させることにも向けられる。
本発明は、誘発性および/または内在性の組織変位および/または生物学的反応に関する
データにもとづいて、誘発性および/または内在性の組織変位の検出および生理学的な組
織特性の評価のための方法およびシステムを提供する。内部組織の生理特性は、本発明の
技術を用いて非侵襲的に評価される場合がある。例えば、心臓周期および/または呼吸周
期に由来するか、あるいは、明確な時間空間的な特徴を示しつつ、非侵襲的かつ非傷害的
なやり方で誘発された内在性の組織変位を経験するいずれかの組織は、本発明の方法およ
びシステムを用いて評価することができる。痛みのような、生理状態および/または生物
学的な反応は、本発明の方法およびシステムを用いて局在定位することができる。例えば
、組織変位および生物学的な反応は、音響放射力または温度変化または組織の空洞形成を
生じる、1または2以上の音響的なビームの適用によって誘発される。音響探査信号を標
的組織部位に適用すること、音響散乱データを取得することをともなう音響的な検出技術
が好ましいが、近赤外スペクトル(NIRS)法、磁気共鳴法、ハイドロホン等を含む、
代替的な検出技術を用いる場合がある。
、局在定位させ、監視するうえで、そして、さまざまな病状、反応および疾患の状態を診
断し、局在定位させ、監視するうえで有用である。これらの方法およびシステムは、例え
ば、非侵襲的に組織の硬直性およびコンプライアンスを検出するうえで、そして、組織の
硬直性およびコンプライアンスに関連する状態を評価するうえで有用である。前記方法お
よびシステムは、例えば、集束超音波を利用して非侵襲的に標的組織部位を探査して、損
傷を受けた組織または進行中の疾患の過程に関連する痛みのような組織の反応を局在定位
するうえでも有用である。集束超音波を適用することにより内部組織を標的として探査す
ることは、痛みの高感度の局在定位を提供し、虫垂炎、胆嚢炎、骨盤の炎症疾患、膵炎お
よびリンパ節症のような痛みを生じる多数の病状を診断するためと、脊椎その他の関節お
よびその他の体内の部位での痛みの発生源を局在定位し同定するためとに用いる場合があ
る。
である可能性がある部位を、集束的に、非侵襲的に、そして、安全に、刺激することによ
って、痛みを鑑別診断し局在定位するために、非侵襲的で集束超音波を利用する。組織の
標的音響探査は、標的組織部位に集束超音波パルスを適用することによって提供される。
例えば損傷している組織を含む標的部位に、適当な規模(magnitude)、周波数
、強度(intensity)および/またはパルス反復速度の音響(超音波)パルスを
適用することは被検者に痛覚を誘発するが、損傷していない組織部位に超音波ビームを適
用することは痛覚を生じない。痛みのレベルまたはタイプは、痛みの反応を誘発するため
に要する、集束音響ビームの規模、周波数、強度および/またはパルス反復速度に関係す
る場合がある。
の全身的な部位の中で、痛みのような生物学的反応の発生源を局在定位するために用いら
れる。音響探査は、離散的な「ポーク(poke)」を生じる集束超音波の離散的な適用
をともなうか、あるいは、グリーンリーフ(前出)によって説明されたとおりの、組織の
振動を生じる音響エネルギーの適用をともなう場合がある。痛みの発生源を局在定位する
ために集束音響探査を利用する主な利点の1つは、痛みの鑑別診断が全く非侵襲的なやり
方で提供されることであるが、痛みのようなさまざまな生物学的反応を刺激する音響的な
技術の使用は、さまざまなタイプの診断および外科用の装置(例えば内視鏡等)のような
、侵襲的、半侵襲的、または、最小限に侵襲的装置および手順と連繋して使用される場合
がある。
技術のような画像診断技術と組み合わされて、音響プローブの位置を特定し、痛み反応が
誘発されるとき、その痛みの発生源を特定することができる。被検者の意識があるときは
、該被検者の主観的な痛覚が上記の画像化技術と併用されて、全身的な痛みの部位の中を
音響プローブの焦点が移動するときに痛みの発生源を特定することができる。被検者の意
識がないとき、または、被検者の痛みがマヒまたはブロックされているときには、他の痛
みの生理的反応または指標が痛みの発生源を同定するために用いられる。超音波ビームの
集束的な標的への放射は、例えば、音響トランスデューサの位置および/または焦点を選
択的に変化させることにより達成され、集束的な音響ビームおよび前記反応の発生源の局
在定位は付属の画像化装置によって提供される。
束音響ビームの適用および通過のために十分な音響的な窓が利用可能ないずれの組織部位
でも使用することができる。腹部および/または骨盤の領域での全身的で未分化の痛みの
局在定位は、虫垂炎、胆嚢炎、膵炎、痛みを特徴とする多数の胃腸疾患、胆石、腎臓結石
、膀胱炎およびさまざまな痛みのある膀胱の病状、月経障害、卵巣および子宮の病状等の
診断に供される。脊椎領域と、膝、足首、肩、臀部、仙腸骨その他の関節のような関節と
における、全身化された未分化の痛みは、本発明の集束音響探査技術を用いて局在定位さ
れ、痛みの発生源は、例えば、軟骨、筋肉、神経、靱帯、腱等のように同定される場合が
ある。音響的打診を誘発するために集束超音波を使用して、例えば、腰痛が椎間板に関係
するか、あるいは、関節面、椎体、神経、筋肉等に発するかであるとして局在定位および
同定される場合がある。末梢神経に関する痛みと、例えば、癌および感染に由来するリン
パ節症とが、診断および局在定位される場合もある。
る場合がある。音響探査は、肥大し、あるいは異常な組織部位の中に局在した痛みの部位
があるかどうかを同定し、それにより、陽性の診断を提供するためか、あるいは、少なく
ともある種の診断を排除するためかに用いられる場合がある。肥大した組織部位は、例え
ば、腫瘍、他の異常増殖、炎症を起こした組織等に由来する場合がある。癌性のリンパ節
は一般に痛まないが、炎症の二次性の肥大したリンパ節は痛むのが一般的である。したが
って、ここに説明する技術を用いる音響探査は、頭頚部に既知の原発腫瘍を有する患者に
おいて、リンパ節症が良性か転移性かの鑑別診断を提供する。本技術は、縦隔および骨盤
のような、他の解剖学的な部域での鑑別診断を提供するうえでも有用である。
む関連する臨床的パラメーターとを非侵襲的に評価するために用いられ、代表的な実施態
様は、中枢神経系の組織特性と頭蓋内圧との非侵襲的評価との関係で説明される。本発明
の非侵襲的方法およびシステムは、動脈血圧および脳潅流圧とを評価するためと、急性、
慢性および外傷性の中枢神経系の損傷と、傷害、血管痙攣、卒中、局所的浮腫、感染血管
炎、硬膜下および硬膜上血腫、クモ膜下出血、虚血状態、多発性硬化症、アルツハイマー
病、低酸素状態、脳内出血、腫瘍その他の頭蓋内塊状物等のような中枢神経系の病状とを
、評価、診断、局在定位および監視するにも有用である。他の面において、本発明の方法
およびシステムは、心臓組織、末梢神経その他の非骨組織を含む、他の組織における異常
の評価、診断、局在定位および監視をするために用いられる一部のケースでは、評価は、
比較組織サンプルとの対比とは独立に行われるが、別のケースでは、評価は、さまざまな
標的組織部位の特性の比較により行われる。一部の実施態様では、測定された組織特性が
経験的に決定された基準と対比される。
発性の組織変位か、関連する生物学的反応かに関する中枢神経系組織の特性との関係で、
頭蓋内圧を含むさまざまな臨床的パラメーターを評価し、監視することに関する。「正常
(normal)」な脳組織は、コンプライアンスおよび弾性がある。脳は脳脊髄液の中
にあり、閉鎖された頭蓋の円蓋によって保護されている。心臓周期の各サイクルごとに、
一塊りの動脈血が流入し、静脈血が脳実質から流出して、呼吸により変調されるやり方で
、心臓周期の間に脳組織の拡張と収縮とを起こさせる。心臓周期の中のいかなる時点にお
いても脳内の全血液体積は、全身の血圧と、脳の脈管系の保護的な自己調節機構との関数
である。脳の周期的な収縮および拡張の間、脳への血流が維持され、脳脈管系は、動脈圧
平均値の変化を補償するために、動的にその抵抗を調節する。
で、監視することはさらに困難な、必須の臨床パラメーターである。図1Aは、伝統的な
侵襲的手段によって測定された、典型的な頭蓋内圧の波形を示す。この頭蓋内圧曲線は、
呼吸周期および動脈血圧の波形に重なる。図1Bは、図1Aのボックスに囲まれた波形の
拡大図を示し、心臓周期および自己調節システムの要素に由来する波形の標準的な形状を
示す。脳脊髄液圧の波形は、全身の血圧の波形と同様である。これは、「衝撃波」(P1
)、「動揺波」(P2)および「重拍波」(P3)という3つのほぼ一貫した成分を有す
る。P2とP3との間の重複切痕は、動脈波の重複切痕に対応する。
際、動脈血圧と同様に、胸部の内腔の体積が拡張するため、胸内圧は低下し、それゆえ、
頭蓋内圧は低下する。排気の際、胸内圧は胸部の内腔の体積が減少するため、動脈血圧が
増加し、それゆえ、頭蓋内圧が増加する。呼吸が機械的なベンチレータによって呼吸が介
助される被検者についても反対が正しい。機械的なベンチレータを用いる胸内圧の調節は
、ある程度までは、動脈血圧および頭蓋内圧を調節するために用いられる。正常には、心
拍の振幅は約1.1mmHgで、心臓および呼吸による変動の合計は約3.3mmHgで
ある。
脳神経等を含む、他の中枢神経系組織とは、頭蓋内圧の評価に適した標的組織部位である
。中枢神経系組織に内在性の力が脳に加えられるとき、あるいは、中枢神経系組織に外来
の(誘発された)力が加えられるとき、頭蓋内圧の亢進は、呼吸、周期的な血流、補償的
な脳脊髄液および静脈の流出および脳脈管系の自己調節にもとづく変化の結果、脳その他
の中枢神経系組織において、相対的に硬直性を高くし、あるいはよりコンプライアンスが
少なくする。組織が圧縮されたり拡張したりするとき、あるいは、それぞれ血管収縮また
は血管拡張の際、血管の特性は変化する、すなわち、管壁が、より硬直したり、より柔軟
になったりして、例えば、脳脈管系の拍動の局所的徴候を生じる。
たは誘発性の中枢神経系組織変位または関連する生物学的反応に関する音響特性の観察に
よって、評価することができることを確立した。関連する生物学的反応は、局所的潅流速
度、血流速度および電気生理学的活性の変化を含むが、これらに限定されない。組織の音
響特性と、組織の硬直性と、内在性および/または誘発性の組織変位と、関連する生物学
的反応とは、頭蓋内圧その他の中枢神経系の状態に経験的に関係がある。
組織の硬直性またはコンプライアンスのような組織特性の評価のために用いられる内在性
および/または誘発性の組織変位および関連する生物学的反応に関するパラメーターは、
近赤外分光技術(NIRS)、光コヒーレンス断層撮影法(OCT)、磁気共鳴技術、陽
子射出断層撮影法(PET)、外部電気生理学的刺激法等のような非侵襲的光学検出技術
を含む、他の非侵襲的な技術を用いて測定される場合がある。携帯式の比較的安価な磁気
共鳴スキャナは、例えば、以下の非特許文献3に説明されている。組織変位および関連す
る生物学的反応のさまざまな時間空間的側面を測定するためにこれらの技術を利用するこ
とは、一般に知られている。
California Institute of Technology Engineering and Science publication(カリフォルニア工科大学科学技術刊行物)、64巻、2号、2001年 超音波検出技術を用いることが、多くの実施態様について好ましい。超音波の発生源および検出器は、放出モードか、あるいは、圧力波の剪断波への転移とその反対とを調べるモードを含む、さまざまな反射または散乱モードかで使用される場合がある。超音波検出技術は、超音波照射を受けた組織からの音響放出を監視するためにも用いられる場合がある。音響散乱、特に後方散乱の変化または音響放出の変化の測定をともなう検出技術は、本発明の方法およびシステムに使用するために特に好ましい。組織特性に関する典型的な音響散乱または放出のデータは、音響信号の振幅の変化、音響信号の位相の変化、音響信号の周波数の変化、質問信号と比較した散乱または放出された信号の長さの変化、心臓周期および/または呼吸周期の中での音響信号の主要なおよび/またはその他の最大および/または最小振幅の変化、を含む散乱または音響放出の変化と、心臓周期の中のその後の平均または偏差または分布に対する最大および/または最小振幅の比と、同一の位置での異なる時点および/または同一の時点での異なる位置における、散乱または放出された信号の時間的または空間的な偏差の変化と、変位の速度または加速度のような内在的な脳組織変位または緩和の全ての可能な変化速度と、これらに類するものとを含む。複数の質問信号が、同一または相異なる周波数、パルス長、パルス反復周波数、強度で使用される場合があり、前記複数の質問信号は、同一の場所または複数の場所から、同時におよび/または逐次的に送られる場合がある。
、組織硬直性等のような派生的な(derivative)測定値は、有用な組織特性ま
たは頭蓋内圧のような臨床パラメーターに対して、経験的な関係式および/または数学的
なモデルを用いて関係づけられる。一般に、高い組織硬直性および/または低いコンプラ
イアンスは高い相対的頭蓋内圧を表し、低い組織硬直性および/または高いコンプライア
ンスは低い相対的頭蓋内圧を表す。同様に、組織硬直性と関係する音響散乱および/また
は放出の部域的な相違および/または変化は、血管痙攣か、虚血性または低酸素性の病状
か、腫瘍またはその他の塊状物か、アルツハイマー病、多発性硬化症等のようなさまざま
なの疾患状態の存在または進行かのような、局所的な病状を表す。平均動脈血圧および/
または連続動脈血圧の非侵襲的測定と、心臓周期および/または呼吸周期の軌跡とのよう
な、追加的なデータは、頭蓋内圧その他の臨床的なパラメーターか、組織の病状かを評価
するために、音響的なデータと併用される。
/または異なる時間に照射された、単一または複数の質問信号は、単一または複数の標的
組織部位を照射する場合がある。照射された標的組織の音響特性は、内在性および/また
は誘発性の組織変位か関連する生物学的反応かを評価するために、散乱データまたは放出
データを、同時におよび/または逐次的に獲得することにより評価される場合がある。一
部の実施態様では、内在性および/または誘発性の組織変位の測定値の絶対値が有用であ
る場合があるが、他の実施態様では、内在性および/または誘発性の組織変位の測定値は
、獲得されたデータと経験的に決定された基準値との対比、同一または相異なる時点で相
異なる標的組織部位から獲得されたデータとの対比および/または経時的に標的組織部位
から獲得されたデータとの対比によって、評価される。能動的および受動的なモードは、
個別に、あるいは、併用して、標的組織を評価するのに用いられる場合がある。
域に関するデータを提供する場合がある。しかし、本発明の方法およびシステムの利点の
1つは、高い空間的解像度で局所的な組織部位からのデータを提供するために、標的組織
部位の体積が小さく、空間的に分解されている場合があることである。このようにして、
組織特性の局所的な差異が、同定され、検査された組織内での空間的な位置と関係づけら
れる場合がある。1の実施態様によると、さまざまなサイズおよび/または位置の組織部
位が、同時にまたは逐次的に評価される。たいていの用途について、1mm3から100
cm3までの体積を有する標的組織部位に質問信号を発し、検出することができる、音響
発生源および/またはトランスデューサの使用が適当である。
圧のような中枢神経系の組織特性を評価および/または監視するために、標的組織部位は
、脳組織か、視神経または視神経円板組織のような、他の中枢神経系組織かであることが
好ましい。心臓周期および呼吸周期の過程での音響散乱データおよび/または放出データ
の獲得および処理によって決定された、脳、視神経および視神経円板組織の硬直性および
/またはコンプライアンスは、頭蓋内圧と関係がある。一部の用途については、中枢神経
系の標的組織部位は、組織サンプルの均一性にもとづいて選択されるが、他の用途につい
ては、標的部位は、その標的部位の内部での組織タイプの既知の変化または予測された変
化にもとづいて選択される。
系標的部位が一般に好ましい。脳室、脈絡叢、脊柱等のような液体貯蔵部位またはその近
傍の中枢神経系の部位のような、脳室の標的組織部位は、臨床的に重要なパラメーターを
評価するために、動脈血圧データが、内在性および/または誘発性の組織変位に関する音
響データと併用されるとき、適当な標的組織部位である場合がある。また、能動的動作モ
ードまたは能動/受動併用動作モードにおいては、脳室の標的組織部位が適当である。1
または2以上の中枢神経系標的組織部位が、同時に、あるいは逐次的に、監視され、評価
に寄与する場合がある。
および/または誘発性の組織変位か、あるいは関連する生物学的反応かに関する、音響散
乱データまたは音響放出データを、同時にまたは逐次的に獲得することにより評価される
場合がある。異なる頭蓋内圧または動脈血圧特性と異なる組織特性とを有する、組織部位
を局在定位する能力は、頭蓋内圧および動脈血圧の異常、血管痙攣を表す血管異常、卒中
、低酸素性または虚血性の病状、硬膜下および硬膜上血腫、脳内出血、感染、血管炎等を
局在定位するうえで有用である。異なる組織硬直特性を有する組織部位を局在定位する能
力は、「異常な」コンプライアンス特性を有する組織を局在定位し同定するうえで有用で
あり、アルツハイマー病、多発性硬化症、腫瘍その他の頭蓋内塊状物等のような病状を、
診断し監視するために用いられる場合がある。
織部位の評価および監視は、脳脈管系の状態および病状の測定値を提供する。例えば、血
管痙攣は、大きい脳血管の流速を調べるための経頭蓋ドップラー超音波診断法を用いて評
価されるのが伝統的である。関心のある血管内での血流速度が一定の値を超えるとき、血
管痙攣が推測される。血管痙攣を起こす場合がある小さい脳血管は、経頭蓋ドップラー技
術を用いて正確に局在定位することはできないのが一般的である。中枢神経系(例えば脳
)の組織変位を評価するための本発明の方法およびシステムを用いて、選択された標的組
織部位の拍動性の変化が評価され、血管痙攣の病状にある組織を空間的に局在定位し同定
する場合がある。これらの方法およびシステムを用いて、血管痙攣は、頭蓋底部の大血管
だけでなく、脳全体で評価できる場合がある。同様に、超音波で測定され、ここに説明さ
れる技術を用いる、脳の中枢神経系組織特性の変化の評価は、卒中、局所的水腫、感染お
よび血管炎のような、さまざまな病理的状態の重篤度および進行の決定と監視とを可能に
する。
の他の中枢神経系組織特性の決定とともに、あるいは、前記決定とは切り離して、患者の
自己調節の状態を非侵襲的に決定するために用いる場合がある。ここに説明された、心臓
周期および/または呼吸周期の過程での内在性および/または誘発性の組織変位を評価す
るための本発明の非侵襲的な方法およびシステムは、患者の自己調節状態または能力を評
価するための従来のアプローチにおける、頭蓋内圧、脳潅流圧および/または自己調節の
評価のための従来の侵襲的な方法およびシステムの代わりとなる場合がある。前記内在性
および/または誘発性の組織変位のデータは、以下のより詳しく説明されるとおり、自己
調節状態または能力を評価するために、平均および/または連続動脈血圧に関するデータ
で補われる場合がある。そして、例えば、予測可能なやり方で動脈血圧を変化させる行動
を被検者にやらせることによるか、ベンチレータを用いて胸内圧を調節することによるか
、利尿剤および/または血管拡張剤または血管収縮剤のような、動脈の血流を変調させる
薬物を投与することによって、生じた動脈血圧の変調を起こすチャレンジが、自己調節を
評価するために、本発明の方法およびシステムと併用される場合がある。
よび/または数学的モデルを用いて、断面の収縮および拡張の繰り返しその他の動脈また
は静脈の幾何学的特性または材料特性を測定するために、音響技術を用いて動脈および静
脈の血圧の測定値を提供する。別の面では、血圧は、心臓周期とともに血管が収縮し拡張
するのにともなって変位する、血管周辺の組織の収縮および拡張の繰り返しを測定するた
めに、音響技術を用いて決定される。音響検出技術を用いて決定される幾何学的特性は、
直径、断面積、アスペクト比、直径、速度等の変化の変化速度を含む。音響検出技術を用
いて決定される材料特性は、血管壁の硬直性または血管壁の近傍の組織の硬直性を含む。
血圧は、例えば、1または2以上の血管またはその近傍の標的組織部位から、能動的およ
び/または受動的モードで音響データを獲得することにより、評価される場合がある。中
枢神経系標的組織部位からの音響データが組織硬直性と関係づけられ、前記硬直性が頭蓋
内圧と関係づけられるのと同様に、音響データは血管壁または支持組織の硬直性と関連づ
けられ、前記硬直性は血圧と関係づけられる。動脈または静脈の血圧を決定するために適
当な標的組織は、いずれかの血管または周辺組織を含むものであってもよい。超音波散乱
データの検出は、例えば、同一の血管の中の同調的なドップラー血流測定値と関係づけら
れる場合がある。
込まれる場合がある。血管壁の振動速度のような血管の拍動性の音響的な代理パラメータ
ーが、これらの定量の直接的な測定値の代わりとなる場合がある。この方法では、監視さ
れる血管の直径(またはその他の幾何学的特性)の自発的な変化が超音波を用いて評価さ
れ、この情報が、(例えば相関技術を用いて、)同一の血管内の同調的ドップラー血流計
測値と関係づけられる。血管の直径(またはその他の幾何学的特性)は、血液によって血
管壁に加えられる圧力の関数であり、血流速度はその血液が通過する血管の直径(または
半径)に依存するため、血圧は、ドップラーによって測定される流速から計算される。関
心のある血管の拍動性と、この部位の近位および遠位のドップラー流速とを同時に測定す
ることにより、連続的な血圧を決定することができる。
が、組織変位または関連する生物学的反応を表す、以下の1または2以上の動作モードで
の超音波信号を検出する。送信、反射、散乱、放出、後方散乱、エコー、ドップラー、カ
ラー・ドップラー、高調波画像法(harmonic、subharmonic or
superharmonic imaging)、aモード、mモードまたはbモード、
既知の周波数、強度およびパルス反復速度を有する超音波質問パルスが、所望の標的組織
部位に照射される。前記超音波質問パルスの周波数、強度およびパルス反復速度は、前記
質問パルスが望ましくない副作用を発生せず、例えば、血流および呼吸に由来する内在性
の組織変位と実質的に干渉しないように、選択される。送信された信号、信号反射、音響
放出、後方散乱のような散乱および/または前記質問パルスのエコーが、検出され、内在
性の組織変位および/または標的組織部位での組織特性を評価するのに用いられる。受動
的評価モードの好ましい実施態様では、音響検出器は、照射された質問信号の後方散乱を
検出するように実施される。音響検出器は、さらに、あるいは、代替的に、ドップラーモ
ードで作動され、検出器に反射した超音波の位相シフトを測定する場合がある。
応に関する獲得された音響データを解析するために用いられる場合がある。例えば、相互
相関、自己相関、ウェーブレット解析、フーリエ解析、CWドップラー、重み付き差分絶
対値和(sum absolute difference)等のような、超音波画像法
との関連で開発され利用されている解析技術は、組織の変形のさまざまな特性を決定し、
組織の変形を組織特性と関係づけるために用いられる場合がある。偽ピーク補正技術は、
評価の精度を向上するために用いられる場合がある。さらに、心臓周期の中での大小の内
在性の脳組織の振動特性、すなわち、心臓周期の中または複数回の呼吸周期にわたる大小
の内在性振動の間の関係は、経験的に、頭蓋内圧その他の組織の特性および病状と関係づ
けられている。これらの決定は、動脈血圧および/または呼吸および/または外在性の組
織変位に関する追加の情報とともに、あるいは、かかる追加の情報なしで、実行される場
合がある。
と、データの保存および操作との特徴と同様の制御と、データの保存および操作との特徴
を取り込んでいることが好ましい。制御の特徴、データ保存の特徴、データ処理の特徴、
データ出力の特徴等のさまざまなタイプは、当業者に周知であり、本発明とともに使用す
るために適合される場合がある。
の説明において説明される。
「受動的」音響モードでは、本発明の方法およびシステムは、内在的(内発的)組織変位
に関するデータを獲得するために、超音波のような音響技術を利用する。例えば、超音波
後方散乱および/または放出のデータは、内在性組織変位と関係するが、この内在的組織
変位は、頭蓋内圧と、動脈血圧と、脳潅流圧と、血管痙攣、卒中、局所的水腫、感染およ
び血管炎と、アルツハイマー病、多発性硬化症、虚血状態、低酸素状態、硬膜下および硬
膜上血腫、クモ膜下出血、脳内出血、腫瘍その他の頭蓋内塊状物等とのような病状を表す
、さまざまな組織特性に関係づけられる。音響散乱測定は、また、中枢神経系組織の自己
調節状態および/または能力を評価するためにも用いられる場合がある。さらに、平均動
脈血圧および/または連続動脈血圧、血流等のような追加のデータが、これらの決定にお
いて使用される場合がある。
系の標的組織部位からの音響散乱の規模または振幅または位相は、例えばヤング率のよう
な中枢神経系組織の硬直性と直接関係があり、したがって、経験的に頭蓋内圧と関係があ
る。代替的に、あるいは、追加的に、1回の心臓周期か、1または2回以上の呼吸周期に
よって変調された1回の心臓周期かの間の、中枢神経系組織の大小の内在性の振動の間の
関係は、経験的に頭蓋内圧と関係づけられている。決定され、組織特性と関係がある追加
的な内在性の組織変位の特性は、以下のとおりである。心臓周期の中の最大振幅、前記最
大振幅と心臓周期の間のその後の振動の平均または偏差との比、変位の速度または加速度
のような、内在性の中枢神経系組織変位または緩和の全ての可能な変化速度等。動脈血圧
測定値および/または呼吸のデータのような、追加的なデータは、収集され、前記音響デ
ータとともに、頭蓋内圧、脳潅流圧、自己調節状態または能力等のさまざまな評価および
測定を行うために利用される場合がある。
第1の「能動的」モードでは、本発明の方法およびシステムは、集束超音波の適用により
、標的組織を刺激または探査するか、あるいは、標的組織部位に反応を誘発する。集束超
音波の適用に対する標的組織の反応は、変位または相対的な位置の変化か、痛みのような
感覚か、温度変化か、血流の変化か、その他の検出可能な反応かの場合がある。例えば、
標的組織部位を「打診」するために音響放射力を提供することは、1または2以上の音響
信号を照射することによって達成される場合がある。超音波のような非侵襲的技術と、近
赤外分光法および光コヒーレンス断層撮影法のような光学的技術と、磁気共鳴技術、外部
電気生理学的刺激、患者の反応等を含む他の技術とは、集束超音波の適用に対する少なく
とも1つの反応を評価するために用いられる。超音波画像法または磁気共鳴画像法のよう
な、可視化または画像化技術は、集束超音波パルスの狙いを定めるのを補助し、差次的に
反応する組織を局在定位するのを補助するために用いられる場合もある。
みまたは変形させるために用いられる場合がある。例えば、以下の非特許文献4は、集束
超音波の短いパルスがヒトの組織の表層および深部のレセプター構造を刺激して、特に痛
覚を含む、異なる体性感覚の感知を誘発することを示した。
デービス(Davies)ら、「痛覚研究のための集束超音波の適用」、Pain、67巻、17−27頁、1996年、International Association for the Study of Pain(痛覚研究国際協会)。
際に吸収する。以下の非特許文献5を参照せよ。さらに、脳脊髄液と脳組織との間のよう
な異なる組織タイプの間の境界には、超音波が界面を押すことを可能にする、「インピー
ダンス不適合」(すなわち、ある組織から別の組織への音響の密度および速度の積の間の
相違)が存在する。非特許文献6を参照せよ。非特許文献6に説明される放射力に起因す
る歪みは、硬膜と脳の間の距離より著しく小さい波長の超音波で脳脊髄液/脳の界面に発
生するか、硬膜と脳との間の距離より著しく大きい波長の超音波で骨/脳の有効な界面に
発生するかのいずれかの非特許文献5に説明される放射力より大きいと考えられる。放射
圧に対する前記2つの寄与についての方程式は、硬膜と脳との距離とに相当する音響の波
長について改変されることがある。
ルデンコ(Rudenko)ら、「集束非線形超音波により誘発された消音性媒体中の音響放射力および流れ」、J.Acoust.Soc.Am、99巻、5号、2791−2798頁、1996年。 チュー(Chu)およびアプフェル(Apfel)「音響ビームにより発生した音響放射圧」、J.Acoust.Soc.Am、72巻、6号、1673−1687頁、1982年。
、ある種の単純化する仮定を設けた。非特許文献6に示された2つの組織の間での全圧力
(単位面積あたりの力)Pについての以下の方程式(69)を注記することは有用である
。
rho_0*c_0))^(−2)
ここでrho_iは媒体(i)の密度で、c_iはその音速で、Kは媒体1の「非線形
性」パラメーターで、<E>は標的部位での超音波入射波にともなう時間平均エネルギー
密度で、関心のある界面での音響波の振幅がわかれば計算できる。本発明の目的には、媒
体「1」は脳で、媒体「0」は、脳脊髄液か骨かのいずれかである。
適用により、変位その他の生物学的反応と、音響放出とを発生させる。音響放射力を用い
て、単一周波数の音響発生源は、脳組織のように少なくともある程度コンプライアンスが
ある材料を、伝搬中に前記発生源に対して単一方向に移動させるが、前記音響発生源から
の伝搬が停止するときには前記材料はそのもとあった場所に復帰する。反復パルスは組織
変位と緩和との一連の反復を誘発する。
ンスデューサが被検者の頭蓋と接触して、あるいはその近傍に配置される。以下に説明さ
れ、超音波技術を用いるのが好ましい、初期環境評価が、望ましい場合には、音響発生源
と標的組織部位との間の環境の特徴を評価するために実施され、前記標的組織に適用され
る音響力の規模が決定される。音響トランスデューサと、脳の表面、頭蓋の厚さ、硬膜の
厚さ、脳脊髄液を含むクモ膜の厚さ、さまざまな構造および組織の間のインピーダンス不
適合等のようなさまざまな構造的な指標が決定される場合がある。前記初期環境評価は、
さまざまな方法およびシステムのパラメーターを決定する。環境評価は、診断または監視
の手順の間中、間隔を置いて追加的に更新される場合もある。
数で適用され、脳の表面のような所望の場所の脳組織を変位させる。音響放射力を発生さ
せる超音波トランスデューサの焦点に依存して、変形は組織のいかなる所望の場所で起こ
させることができる。一部のシステムでは、焦点可変式の超音波トランスデューサが提供
され、複数の標的組織部位を用いて診断手順が実行される。頭蓋内圧の評価のための1の
実施態様によると、脳と脳脊髄液との間または脳と骨との間(適用される超音波の周波数
に依存する)のインピーダンス不適合により生じる放射圧によって誘発される組織変位を
最大にするため、超音波トランスデューサの焦点は、皮質表面の近傍または皮質表面の下
の短い距離に提供されることが好ましい。本発明の方法およびシステムは、ルデンコらに
よる非特許文献5に説明されたインピーダンス不適合より著しく大きいチューおよびアプ
フェルによる非特許文献6に説明されたインピーダンス不適合によって生じた放射力を必
要としないことを再度注記することは重要である。
すなわち、適用された超音波ビームが検出可能な生物学的反応を発生させるのに十分であ
り、医学的に望ましくないいかなる変化も調べられた組織に起こさない。例えば、適用さ
れた音響放射力は、組織を切断または損傷するのに十分な規模の剪断力を標的組織の近傍
の組織に発生させてはならない。さらに、適用された超音波は、調べられる組織の温度を
、受け入れがたい損傷を起こすくらい明らかに上昇させてはならないし、調べられる組織
に、大規模な、あるいは、有害な、空洞化その他の有害な機械的効果の原因を誘発しては
ならない。適当な超音波の照射量は、周知の技術を用いて決定される場合がある。例えば
、非特許文献7において、Fryらは、哺乳類の脳組織に構造的な変化を起こす超音波照
射量の閾値を研究して、非特許文献7の図1に、哺乳類(ネコ)の脳の白質に閾値の損傷
を発生させる、音響強度対単一パルス持続時間を示している。
フライ(Fry)ら、「哺乳類脳に構造的変化を起こす超音波照射量の閾値」、The Journal of the Acoustical Society of America、48巻、6号、(第2部)、1413−1417頁、1970年。
の標的組織に測定可能な変形を発生させるのに十分高くなければならない。上記に概説し
たパラメーターの範囲内で、より高い周波数の音波は、より容易く集束されるので好まし
い。強度は、組織を変形させるのに十分強くなければならないが、調べられる組織に望ま
しくない変化を誘発するほど強くてはならない。パルスの長さは、比較的短いことが好ま
しいが、標的組織の計測可能な所望の変形および振動を発生させるのに十分な長さである
ことが好ましく、パルス反復周波数は、医学的に受け入れがたい変化を組織に誘発するこ
となく、組織に医学的に興味深い時間的な特徴を分離するのに十分に大きくなければなら
ない。
、決定され、組織の特性と関係づけられ、究極的には、臨床的に重要なパラメーターと関
係づけられる。例えば、既知の音響力によって誘発された変位の規模または振幅は、中枢
神経系組織の弾性(あるいは、硬直性またはコンプライアンス、例えば、ヤング率)に直
接的に関係し、それゆえ、経験的に頭蓋内圧と関係づけられる。決定され、組織特性と関
係づけられる標的組織変位のその他の特性は、音響力の方向の最大振幅または音響力の方
向と垂直な最大振幅のような、振幅のさまざまな構成成分と、変位または緩和の速度また
は加速度のような、組織変位またはその後の緩和の全ての可能な変化速度と、変位の形状
のさまざまな構成成分の振幅または変化速度と、変位にともなう音響散乱信号のフーリエ
またはウェーブレット表示の変化と、音響放射力により発生した剪断波の特性と、誘発さ
れた2次高調波変形の特性と、これらに類するものとを含む。標的組織から返ってきたパ
ルスのエコーの時間変位も、変位振幅を表し、決定される場合がある。これらの特性は、
全て、「変位」の測定という。
第2の「能動的」動作モードでは、集束超音波の適用は、標的組織の振動を発生させ、前
記標的組織から放出された音響信号に関するデータが収集される。これらの信号は、ここ
では音響放出という。一般に、集束超音波の適用に関する本発明の方法およびシステムは
、標的組織の振動を発生させるのに用いられる場合があり、放出された音響信号は組織特
性および生理状態と関係する。
射力を誘発するために、異なる周波数で駆動される少なくとも2つの音響トランスデュー
サを含む共焦点音響システムか、特定のパルス反復周波数(PRF)で駆動される単一の
音響トランスデューサを含む集束音響システムかを利用する。得られる振動の周波数は、
2つの共焦点音響ビームの重複部分で示される標的の場所での適用された周波数の差であ
るか、あるいは、単一のトランスデューサの場合ではパルス反復周波数である。集束超音
波を適用する間およびその後、標的組織はその固有特性と関係のある音響信号を放出する
。したがって、第2の能動的動作モードは、組織を特徴づけるために用いられる場合があ
る。診断用超音波技術は、周波数その他の放出音響信号の特性を測定するために用いられ
、前記放出音響信号は、経験的に組織特性と関係がある。
本発明の方法およびシステムはさまざまな異なる形式で具体化される場合があるが、図面
に示され、ここに説明される具体的な実施態様は、今回の開示が発明の原理の代表例と考
えられるべきであって、ここに提供される図面および説明に本発明を限定することを意図
するものではないという理解とともに提供される。特に、本発明の方法およびシステムの
好ましい実施態様は、脳組織および頭蓋内圧の評価と関連して説明されている。本発明の
方法およびシステムは、他の哺乳類の組織の標的、より広くは、他のタイプの材料の標的
に適用される場合があることを当業者は認知するであろう。
代表的なシステムが以下に説明される。かかるシステムは商業的に入手可能な構成要素を
使用する場合があるが、獲得されたデータの処理と獲得されたデータに医学的な関連があ
る生理特性との対応づけとは、多数の生理パラメーターを非侵襲的に評価するための新規
なモダリティを提供する。獲得された音響散乱または放出データを用いて内在性および/
または誘発性の組織変位を検出し、前記音響散乱または放出データ、あるいは、変位デー
タを、頭蓋内圧、動脈血圧、自己調節状態および痛みの発生源のような臨床的に重要なパ
ラメーターと関係づけるための代表的なデータ処理技術も以下に説明される。これらの技
術は代表的なものであって、本発明の方法およびシステムは、これらの代表的な技術の利
用に限定することは意図されていない。
織評価に必要な質問信号を受動的モードで提供し、組織変位に必要な音響力を能動的モー
ドで提供し、さらに、内在性(受動的モード)または誘発性(能動的モード)の組織変位
を示す散乱質問信号の検出を提供する。例えば、商業的に入手可能な超音波トランスデュ
ーサは十分な帯域幅を有していて、単一のトランスデューサが、第1の周波数、第1のパ
ルス反復速度および第1の強度で作動するときには、内在性の組織変位を測定するための
質問信号を放出するために使用され、第2の周波数、第2のパルス反復速度および第2の
強度で作動するときには、組織の(外来性)変位または振動を誘発するために使用され、
例えば、第3の周波数または追加の周波数で作動するときには、内在性または誘発性の組
織変位または放出を評価し、あるいは、前記内在性または誘発性の組織変位に対する生物
学的反応を評価するために、前記組織から反射されるか、後方散乱されるか、エコーされ
るか、放出されるかした信号を検出するために使用される。複数の音響トランスデューサ
も使用される場合がある。別の実施態様では、1または2以上の診断用超音波プローブと
、1または2以上の変位超音波プローブとが単一の音響エレメントに具体化される場合が
ある。
高い周波数とを有し、より短い。例えば、音響質問パルスは、典型的な周波数が0.5と
15MHzの間で、パルスあたり1〜50サイクルで、毎秒3〜10,000パルスから
なり、0.5W/cm2未満の時間平均強度である。音響打診信号は、例えば、周波数が
0.5から10MHzで、0.1〜100msの長い音のバーストからなり、毎秒1〜1
00パルスからなり、100〜1000W/cm2未満の時間平均強度であり、例えば、
より長いパルスはより低い強度を有する。打診され、あるいは、振動された組織からの音
響放出は、500Hzから10KHzの周波数範囲にあると予想される。
の少なくとも1つを誘発および/または検出するための本発明のシステムを示す概念図で
ある。図2に示すとおり、本発明のシステムは、組織変位または放出を離れたところで非
侵襲的に評価するための音響発生源および受信機の複合機10を含む。内在性の組織変位
を評価するために受動的モードで使用するのに適当な1の実施態様では、音響発生源およ
び受信機の複合機10は、質問信号を発生させるための1または2以上の音響発生源22
を含む。誘発性の組織変位または放出を評価するための能動的モードでの使用に適当な別
の実施態様では、音響発生源および受信機の複合機10は、音響放射力を発生させるため
か、振動放射力を発生させるためか、音響放出を誘発するためかの1または2以上の音響
発生源12を含む。音響発生源12は、増幅器または電源14により駆動され、動作可能
に接続されており、増幅器または電源14は、1または2以上の機能発生器16に動作可
能に接続されており、機能発生器16はコントローラ20に動作可能に接続されている。
コントローラ20は、データ獲得、保存および解析の能力があることが好ましい。
音響放射力(能動的)モードで音響発生源12を駆動する。受動的モードでは、コントロ
ーラ30、機能発生器28および増幅器26が、望ましくない副作用を奏することなく、
かつ、著しい(外来性の)変位を生じることなく、中枢神経系のような組織標的32のた
めの質問信号を発生させるために、ダイプレクサー24を介して音響発生源22を所望の
周波数、強度およびパルス反復速度で駆動する。得られた散乱信号は、ダイプレクサー2
4を介してコントローラ30で受信される。能動的モードでは、コントローラ20、機能
発生器16および増幅器14が、望ましくない副作用を奏することなく、中枢神経系のよ
うな組織標的32に変位を発生させるために所望の周波数、強度およびパルス反復速度で
音響発生源12を駆動する。一部の実施態様では、コントローラ20および30は、互い
に連絡をとって、例えば、時間的にこれらの信号をインターリーブする。トランスデュー
サ22にもとづくシステムは、トランスデューサ12によって誘発された変位および/ま
たは放出を監視することができる。
作業によって決定される場合がある。音響発生源またはトランスデューサの焦点は、前記
トランスデューサの機械的形状の結果、固定され調整不能の場合がある。代替的に、複数
のトランスデューサが提供され、焦点の変化および調整を可能にするように配置される場
合がある。音響発生源またはトランスデューサは、環状の形状であることが好ましく、好
ましい実施態様では、音響発生源12は、同心円状に配置された複数の環状のトランスデ
ューサを含む。音響発生源およびトランスデューサは、焦点が重なるか、あるいは、重な
らないように、互いに軸方向にまたは軸方向をはずすように配置される場合がある。
ダイプレクサー15は増幅器または電源17に動作可能に接続され、増幅器または電源1
7は機能発生器19に動作可能に接続され、機能発生器19はコントローラ20および/
またはコントローラ30と連絡し、図2に示すとおりこれらが提供される場合がある。音
響発生源13は、音響発生源と標的組織との間の環境の特徴を評価するために用いられる
場合があり、前記標的組織の評価のために用いられるトランスデューサ12と関連するド
ライバおよびコントローラ要素とは独立に作動する場合もあり、トランスデューサ12と
協動して作動する場合もある。
ローブの複合機40の1の実施態様を示す。音響発生源およびプローブの複合機40は、
共焦点環状音響発生源42および44と、診断用超音波プローブ46とを含む。音響発生
源42および44を少し異なる周波数に設定することにより、場所48の脳表面近傍のよ
うな、脳内に示された共通の焦点にのみ著しい放射力を発生させ、組織を変形させる。単
一の音響発生源が使用されるか、複数の音響発生源が、周波数の違いがないように使用さ
れるとき、結果は、重複する焦点と一致する標的での脳の一方向的への変位であって、各
音響パルスの持続している間は、振動成分が無視できる。これらの状況下では、反復され
た単一周波数のパルスは、パルス反復周波数での定期的な組織のパルス振動を発生させる
。いずれの実施態様でも、音響放出は一時的に変形した組織から発生する場合があり、前
記放出はトランスデューサ46で監視され、組織特性または生理状態と関係づけられる。
代替的には、前記変位は、トランスデューサ46で監視され、組織特性または生理状態と
関係づけられる場合がある。
音響的に標的部位の組織を打診して、痛みのような集束超音波に対する組織の反応を局在
定位するために使用される場合もある。前記画像システムは、超音波か、磁気共鳴画像法
、コンピュータ断層撮影法、蛍光透視法等のような、他の組織画像化のモダリティかを利
用する場合がある。音響発生源を、例えば、超音波画像化能力を有するプローブ複合機と
ともに使用することは、標的部位の可視化を提供し、音響放射力の狙いを定めること、痛
みのような反応の局在定位をすることを補助する。痛みの反応は被検者により主観的に報
告される場合が一般的である。
、52、53および54を含む、別の音響発生源およびプローブの複合機50を示す。そ
れぞれの環状の音響発生源は、他の音響発生源と協動して、選択された場所で組織を質問
および/または変位する単一の周波数発生源を表す。環状のトランスデューサの焦点は、
質問信号および放射力の焦点で、かつ、内在性の組織変位および/または誘発性の組織変
位の評価の場所および/または放出の評価の場所の場合がある。より多くの、あるいは、
より少ない超音波トランスデューサを使用する場合がある。環状トランスデューサが多い
ほど、質問信号または放射力が集束される場所についての制御および精度の程度を高める
のが一般的である。この環状トランスデューサの配置は、標的組織に振動放射力を発生さ
せるために、可変周波数モードで使用される場合がある。複数の音響発生源が使用される
とき、それぞれの音響発生源は、コントローラ、増幅器および機能発生器によって作動す
るが、別々の音響発生源の動作は集中制御システムを用いて制御することが可能である。
この音響システムは、さらに、さらなる超音波ビーム形成または電子制御を可能にするた
めに、トランスデューサの環状でない分布または軸方向でない分布を用いることにより、
一般化され、あるいは、特定の用途のために改変される場合がある。
も1つの内在性および/または誘発性の組織変位を検出する。1の実施態様では、エレメ
ント56は、超音波パルスを組織変位の部位に向けて放出し、そのエコーを検出して組織
変位の規模その他を追跡する、診断用超音波プローブを含む。別の実施態様では、エレメ
ント56は、組織変位によって発生するドップラーシフトを検出する経頭蓋ドップラーの
ような超音波プローブを含む。さらに別に実施態様では、検出エレメント56は、音響放
射力が発生する組織によって放出された音波を検出するハイドロホンを含む。
部分の以下の説明は代表的なものであり、本発明のシステムは、これらの構成部分にいか
なる場合も限定されない。高集束度超音波トランスデューサはSonic Concep
ts(ソニック・コンセプツ、ワシントン州、Woodinville)から入手可能で
ある。マルチエレメントトランスデューサは研究者に使用されてきており、文献に説明さ
れている。高度集束超音波にもとづく外科用の複数の集束プローブのアプローチは、例え
ば、以下のチャウハン(Chauhan)らの非特許文献8に説明されている。例えば、
同軸に複数の環状エレメントが配置されたマルチエレメントトランスデューサが適当であ
る。かかるシステムは、商業的に入手可能な技術を用いて、Sonic Concept
s(ワシントン州、Woodinville)の様な商業的な提供者により組み立てられ
ている場合がある。ENIモデルA−150のような増幅器が適当で、商業的に入手可能
である。RitecのモデルREX−6のようなダイプレクサーが適当で、商業的に入手
可能である。HPのモデル33120Aのような機能発生器が適当で、商業的に入手可能
である。多くのタイプのコントローラが適当で、商業的に入手可能である。1の実施形態
では、DellのディメンジョンXPS PCは、データ取り込みのためにGageのモ
デルCS8500のA/Dコンバータを一体化し、データ取り込みおよび装置の制御のた
めにNational StandardのLabViewソフトウェアを利用する。一
部の実施態様では、ATLの経頭蓋ドップラープローブのモデルD2TCが検出に用いら
れている。
チャウハン、S.ら、Ultrasonics、39巻、1号、33−44頁、2001年。
音響的な焦点を提供するように調節できるように、表面の近傍に安定的に取り付けられる
か、あるいは、保持される。前記音響発生源/検出器の複合機は、単一の構成部分として
提供されることが好ましいが、別々の構成部分でも同様に使用できる。例えば、頭蓋内圧
の決定のための脳または視神経組織のような中枢神経系組織の解析には、前記音響発生源
/検出器の複合機は、スタビライザーの上に取り付けられるか、頭に取り付けることがで
きるヘルメット型の構造物のような構造物の中に取り付けられるかの場合がある。代替的
に、あるいは、追加的に、ゲルのような音響透過性の材料を含むアプリケータが、前記音
響発生源/検出器の複合機の表面と頭との間に配置される場合がある。痛みのような、集
束超音波探査に対する組織の反応の局在定位のためには、音響発生源/プローブの複合機
が、全身の場所の中でさまざまな標的組織部位の探査を容易にするために操作できるホル
ダーに提供される場合がある。音響プローブ装置の操作は手作業で達成されるか、電子操
作機構のような自動化機構を用いて達成されるかの場合がある。かかる機構は当業者に周
知である。
標的組織がサンプル化されることを保証するために、標的組織の場所は、代表的なサンプ
ルを提供するために十分大きな体積でなければならない。もちろん、サンプル化する体積
についての要件は、組織のタイプおよび場所によって異なる。一般に、1mm3から約1
00cm3までの組織体積を有する標的部位が適当であり、約5cm3未満の組織体積を
有する標的組織が好ましい。頭蓋内圧、脈管系その他の中枢神経系の病状の評価には、一
般に均質な脈管系および組織タイプを有する中枢神経系組織標的が好ましい。
本発明の方法およびシステムによって処理され、頭蓋内圧、動脈血圧、自己調節状態その
他の病状または組織の状態のような、医学的に関連する生理特性と関係づけられる。さま
ざまなタイプの獲得されたデータにもとづいてさまざまな対応関係をつけるための代表的
なデータ処理技術は以下に説明される。これらのデータ処理技術は音響散乱データの取り
込みにもとづくが、これらの技術は、当業者に周知の改変を施して、近赤外分光学(NI
RS)のモダリティと、磁気共鳴モダリティとのような、他のモダリティで、適用される
場合がある。
頭蓋内圧のような臨床的パラメーターを受動的作動モードでの内在性組織変位に関係づけ
るための複数の代替的な方法がある。これらの代表的な方法および技術は図示の目的のた
めだけに提供され、本発明の方法およびシステムはこれらの実施例に限定されない。
1の方法は、中枢神経系標的組織部位からの音響散乱を解析することにより決定された、
(血流、脳脊髄液等に起因する)自発的(内在性)組織変位と、動脈血圧と、侵襲的に監
視された頭蓋内圧との間の関係を用いて、侵襲的または非侵襲的に測定された組織変位お
よび動脈血圧から頭蓋内圧を推定する。100kHz以上で作動する超音波プローブを用
いて、一定体積の組織が、特定の周波数および振幅を有する波形で超音波照射され、反射
超音波信号の時間または位相のシフトが内在性組織変位を計算するために用いられる。時
間または位相のシフトを組織変位に関係づける式は、
d=t*1500m/秒
である。ここで、dは組織変位、tは反射した信号の時間または位相のシフトで、150
0m/秒は脳内での推定音速である。
動脈圧平均値=(2*拡張期動脈血圧+収縮期動脈血圧)/3
で、Fは、指数、ベクトル、行列、積分等のような、いかなる関数であってもよいか、あ
るいは、単位脳潅流圧と経験的な関係であってもよいかであって、
d=F(脳潅流圧)であるとき、
頭蓋内圧=脳潅流圧−動脈圧平均値
であるから、F2=F−1として、
脳潅流圧=動脈圧平均値−頭蓋内圧=F2(d)
となる。F2は、さまざまな状況下のさまざまな患者からの測定値を得ることにより、経
験的に決定され、変位および動脈血圧の測定は、
頭蓋内圧=F2(d)−動脈圧平均値
として頭蓋内圧を計算するのに用いられる。
この方法は、中枢神経系組織部位から反射した音響信号の振幅と、動脈血圧と、侵襲的に
監視された頭蓋内圧との間に導かれた関係を用いて、非侵襲的に測定された音響信号と動
脈血圧とから頭蓋内圧を推定するものである。100kHz以上で作動する超音波プロー
ブを用いて、一定体積の組織が特定の周波数および振幅を有する波形で超音波照射され、
後方散乱の振幅が組織の反射/吸収の波形を発生させるのに用いられる。この新しい波形
αは、前記後方散乱の振幅を(ECGのトレースで測定された心臓周期のような)有限の
時間(epoch)にわたって積分し、前記時間の期間によって正規化することによって
作成することができる。前記後方散乱信号は動脈拍動波と関係があるため、αは、(上記
のとおり定義された)動脈圧平均値に対して正規化されて、波形βを発生することができ
る。この正規化された波形βと、侵襲的に測定された頭蓋内圧との関係は、後方散乱信号
と、動脈血圧と頭蓋内圧との同時計測を行って、Fは、いずれかの数学的関数か、単なる
経験的な関係かであるとして、
頭蓋内圧=F(β)
という式を解くことにより決定される。(さまざまな既知の条件下のさまざまな患者から
の複数の経験的な測定により)一旦Fが確立すると、非侵襲的な組織変位の決定と、非侵
襲的な動脈血圧の決定とにより、非侵襲的なβの決定が頭蓋内圧を計算するために用いら
れる。
上記と同様のやり方で、一定の時間(例えば、心臓周期)にわたる後方散乱信号のピーク
振幅が、同一の時間にわたる動脈圧平均値によって正規化され、数値*を生成し、これが
頭蓋内圧の侵襲的な同時計測と関係づけられて、頭蓋内圧=F(*)の関係ができるが、
ここで、Fは数学的な関数か、*と頭蓋内圧との間の経験的な関係かである。
状態を推定するために多くの試みがなされてきた。別の実施態様では、本発明の方法およ
びシステムは、標準的な経頭蓋ドップラー法の計測にもとづいた既存の非侵襲的な頭蓋内
圧のアッセイを用いて、中脳動脈の平均速度の非侵襲的計測を、血流、心臓周期および呼
吸によって生じた中枢神経系組織変位の非侵襲的計測で置換する。1つのかかる例が、以
下のシュミット(Schmidt)、B.らの非特許文献9にもとづいて提供される。以
下に説明する本発明の処理ステップは、非侵襲的に決定された変位および動脈血圧のデー
タのみを用いて頭蓋内圧を正確に予測する一連の式を生成するために、侵襲的な頭蓋内圧
と、侵襲的または非侵襲的な動脈血圧と、変位(またはこれに類するもの)との同時連続
測定を必要とする。
シュミット、B.ら、「経頭蓋ドップラー超音波断層法および血圧両方とを用いる非侵襲的な頭蓋内圧曲線の予測」、Stroke、28巻、12号、1997年12月。
線形式系を用いて、動脈血圧と頭蓋内圧との間の重み関数が計算される。この式系の解は
、前記重み関数の係数を含むベクトルになる。この系をモデル化するために何個の係数を
選択してもよい。例えば、25個の係数が選択される。いずれかの特定の重み関数(f0
、f1、...、f24)について、時間配列における点kでの頭蓋内圧の値ICPkは
、時間k−24、k−23、...、k−1、kで記録された動脈血圧ABPk−24、
ABPk−23、...、ABPk−1、ABPkの値により以下の方程式
ICPk=f0 *ABPk+f1 *ABPk−1+...+f23 *ABPk−23+f
24 *ABPk−24
によって計算できる。
変位と動脈血圧の曲線との間の重み関数の係数が動き特性(movement char
acteristics)として用いられる。計算は、ステップ1に記載のものと同様で
、同時に実行される。これについても、何個の係数を用いてもよく、この実施例について
は6個が選択される。
ステップ2に記載の動き特性と、ステップ1に記載の25個の重み関数の係数との間の関
係は、近似的な線形関数(すなわち、行列AおよびベクトルB)によって記述され、この
関数は患者のデータの25個の重回帰分析の配列を通して計算される。
。変位(またはこれに類するもの)と動脈血圧曲線とは、新たな患者(上記のシミュレー
ション関数の導出には用いられなかった患者)について非侵襲的に記録される間、動き特
性が10秒毎に計算され、前記シミュレーション関数に移送される。最後に、前記シミュ
レーション関数が、動脈血圧曲線をシミュレーションされた頭蓋内圧曲線に変換する。
本発明の方法およびシステムの別の面においては、血管の直径その他の幾何学的特性の内
在性および/または誘発性の変化か、血管周囲の組織の内在性または誘発性の変位の変化
かが、超音波を用いて監視および評価され、この情報が、同一の血管の中の同期ドップラ
ー流速計測値と関係づけられる。能動的モードでは、組織変位および関連する放出は、上
記のとおり、音響放射力の適用によって、血管または血管周囲の組織の中に誘発される場
合がある。同様に、受動的モードでは、血管またはその近傍での内在性組織変位は、さま
ざまな技術をもちいて検出される場合があり、超音波技術が好ましい。一部の実施態様で
は、所望の血管の場所を探し、それにより、前記血管またはその近傍に内在性および/ま
たは誘発性の変位を同定するための焦点を提供するように、ドップラー流速計測または超
音波検出技術を用いて、最初の評価が実行される。
れる圧力と関係して変化するため、そして、血流速度は血液が通過する血管の直径(また
は半径)に依存するため、血圧がドップラーによって計測された流速から計算できる。本
発明の方法およびシステムを用いて評価できる場合がある血管の幾何学的特性は、直径の
変化、断面積、アスペクト比、直径、速度および関連するパラメーターの変化速度を含む
。関心のある血管の拍動性と、この部位の近位および遠位のドップラー流速とを同時に計
測することにより、連続的な血圧が決定される。動脈血圧を評価するための具体的な方法
は以下に説明される。
響特性を調べることにより、評価される場合がある。前記血管またはその近傍の標的組織
部位の音響特性は、組織の硬直性またはコンプライアンスと関係づけられ、中枢神経系に
おける組織の硬直性が頭蓋内圧と関係づけられるのとほぼ同じやり方で、これらは血圧と
関係づけられる。
侵襲的または非侵襲的な血圧監視装置の較正にも利用する場合がある。したがって、以下
の方法論、特に能動的音響モードを用いる血圧決定に関する方法論は、例えばMedwa
ve社(ミネソタ州、St.Paul)から入手可能な、既存の血圧監視装置と併用され
る場合がある。
この方法は、(血行力学的な状態に対する血圧および平滑筋の収縮反応による)自発的な
血管壁の変位と、関心のある血管の中の同期血流速度と、侵襲的に監視される動脈血圧と
の間に導かれる関係を利用して、非侵襲的に計測された血管壁の変位とドップラー流速と
から動脈血圧を推定する。超音波プローブを用いて、関心のある血管が特定の周波数およ
び振幅の波形で照射され、特定の反射または後方散乱またはエコーの信号の時間または位
相のシフトが、自発的な組織変位の計算に用いられる。
d=t*1500m/秒
であり、ここで、dは組織試料で、tは反射された信号の時間または位相のシフトで、1
500m/秒は組織内を通過する推定音速である。そこで、dと、同期的に測定された関
心のある血管の中のドップラー流速(i)と、侵襲的に測定された動脈血圧との間の関係
は、自発的な血管壁の変位と、流速と、動脈血圧ABPとを同時に計測して、式ABP=
F(d,i)を解くことにより決定されるが、ここで、Fは、指数、ベクトル、行列、積
分等のような、いかなる関数であってもよく、あるいは、単に経験的な関係性であっても
よい。(さまざまな状況の下にあるさまざまな患者からの複数の経験的な測定により)一
旦Fが確立すると、血管壁の変位と流速との非侵襲的な決定が、動脈血圧を計算するため
に用いられる。例えば動脈血圧を測定するために、カフ・プレチスモグラフィーを用いる
較正ステップが、連続的な非侵襲的動脈血圧計測の前に実施される場合がある。
この方法は、反射された血管壁信号の振幅と、ドップラー流速と、侵襲的に監視された動
脈血圧との間に導かれた関係を用いて、非侵襲的に計測された血管壁信号およびドップラ
ー流速(i)から動脈血圧を推定するものである。超音波プローブを用いて、関心のある
特定の血管が特定の周波数および振幅の波形で照射され、後方散乱の振幅が、血管壁の反
射/吸収の波形を生成するのに用いられる。この新しい波形αは、(ECGトレースで測
定された心臓周期のような)有限の時間(epoch)にわたる後方散乱の振幅を積分し
て、これを前記時間の期間によって正規化することによって生成される。この導かれた波
形αと、侵襲的に計測された動脈血圧との間の関係は、つぎに、後方散乱信号と、ドップ
ラー流速と、動脈血圧とを同時に計測して、式
頭蓋内圧=F(α,i)を解くことにより決定されるが、ここで、Fはいかなる数学的関
数でもよく、あるいは、単に経験的な関係であってもよい。(さまざまな状況下でのさま
ざまな患者からの複数の経験的な測定により)一旦Fが確立すると、αの非侵襲的な決定
が動脈血圧ABPの計算に用いられる。動脈血圧を計測するためにカフ・プレチスモグラ
フィーを用いる較正ステップは、連続的で非侵襲的な動脈血圧の測定が行われる前に実施
される場合がある。
上記と同様のやり方で、(例えば、心臓周期のような)一定の時間(epoch)にわた
る後方散乱信号のピーク振幅が、同一の時間にわたる後方散乱信号の基線値によって正規
化され、これが、ドップラー流速とともに、動脈血圧の非侵襲的な同時計測値と関係づけ
られる。動脈血圧を計測するためにカフ・プレチスモグラフィーを用いる較正ステップが
、連続的で非侵襲的な動脈血圧の測定が行われる前に実施される場合がある。
例えば、誘発性の組織変位が評価される、第1および第2の能動的作動モードの両方にお
いて、初期環境評価は、音響発生源と標的組織との間の環境のさまざまなパラメーターを
決定して、適切な音響力が脳のような標的組織に適用されるようにするために実施される
のが一般的である。音響トランスデューサと、脳の表面、頭蓋の厚さ、硬膜、クモ膜、軟
膜および脳脊髄液の層の厚さ、さまざまな構造および組織の間のインピーダンス不適合等
のさまざまな構造上の特徴との距離のような環境的因子が決定される場合がある。前記初
期環境評価は、さまざまな方法およびシステムのパラメーターを決定する。環境評価は、
診断または監視の手順の間を通じて間隔を置いて更新されるのが好ましい。
離は、個人ごとに違いがある。したがって、環境的分析は、先験的に行われる疫学的な解
析を補充または厳密にするために、測定時に推奨される。例えば、高い周波数の超音波の
短いパルスは、音響発生源から、骨、液体、硬膜、脳組織等のように異なる特性を有する
生物学的構造の縁までの時間的距離を同定するために用いられる場合がある。それぞれの
タイプの生物学的構造における音速と、それぞれのパルスによって通過する時間的距離と
の知識を有するとき、各セクションの厚さが測定できる。所望の放射圧パルスを発生させ
る音響パルスの減衰は、各セクターを通過する距離と、各材料の減衰係数とに関係して変
化する。文献または疫学的研究から複数の層からなるシステムについての減衰の数値が与
えられるとき、別々のパルスがそれぞれの層に向けられて、生物学的構造の厚さと前記構
造の間のインピーダンス不適合とを遠隔的に決定する場合がある。
ある組織での減衰に関する情報が与えられるとき、隣接する組織間のインピーダンス(密
度時間音速)不適合の厳密な数値を決定するために、一連のパルスを照射する。代替的に
、関心のある組織の音速または密度の数値がこの過程で厳密になる場合がある。ストリッ
ピング法は、トランスデューサから、特徴がよくわかった共役媒体を通って、打診パルス
の波長に応じて、皮膚または皮膚/脂肪/筋肉複合体(打診パルスが比較的高い周波数の
ときは前者、比較的低い周波数のときは後者)に向けて既知の振幅および高い周波数を有
する第1の音響パルスを送ることによって達成される。測定可能な量の音響が音響受信機
に反射するが、その振幅は、十分に確立した方程式と既知の減衰値とを通じて、したがっ
て、共役媒体の密度と音速の積を通して、皮膚または皮膚/脂肪/筋肉複合体のインピー
ダンスと関係がある。つぎに、著しい反射が次の重要な層から生じるように最適化された
波長を有する、第2の音響パルスが照射される。その層のインピーダンスは上記のとおり
特徴づけられる場合がある。この過程は、例えば脳のインピーダンスを決定するまで、間
に入ったさまざまな層について繰り返される。打診トランスデューサから送られた音響と
の関連で脳の表面に受ける音響の振幅を特徴づけるのに必要な音響パラメーターの異なる
サブセットについて、よい推定値が入手可能である場合には、他の有用な音響パラメータ
ーについて相当するストリッピング法が同様に構築される。例えば、さまざまな生物学的
構造の間の距離とこれらの減衰係数とに関する、かかる経験的なデータは、本発明による
環境パラメーターを予測するために、そして、最終的には、脳の表面に到達してその表面
に変形を誘発する音響の量を決定するために、制御システムに利用され、一体化されてい
る場合がある。
の音響パルス(A_0)が打診信号の周波数で脳の表面に向けて照射される場合がある。
間に入る組織層(皮膚または皮膚/脂肪/筋肉、骨、硬膜等)からこのパルスの複数の反
射があるが、脳から直接反射して最初に音響受信機に到達するパルスが、唯一ではなくて
も、最大のドップラーシフトを有する。診断用超音波装置が受信したこの最初のドップラ
ーシフトのあるパルスは、
振幅(A_1)=a2A0R
を有し、較正され、診断用パルスが間に入った環境を、脳の表面を往復して通って伝搬し
た結果として、照射された信号の振幅から「a」の係数の分だけ減少し、問題のパルスの
一部だけが、前記のストリッピング法によって決定された、脳と隣接する層との間のイン
ピーダンス不適合の既知の関数である、反射係数Rの脳の表面から反射してこないために
減少した。この情報とともに、脳の表面に受け取られた音響の振幅(aA0として定義さ
れたA_2)は、既知の量との関係で、
A_2=(A0A1)/R
として計算される。脳の表面に到達してその表面の変形を誘発する音響の量は、このよう
にして決定される。また、ドップラーシフトした信号を検出することにより、トランスデ
ューサに対する脳表面の位置が決定される。
られた空間的な位置に適用されて、前記標的組織の変形を発生させる。1または2以上の
音響発生源が使用される場合がある。単一の音響トランスデューサが音響発生源と検出器
との両方の役割を果たす場合がある。前記1または2以上の音響発生源は、所望の標的組
織の位置に対応する固定した、調節できない焦点を有する場合がある。代替的に、前記1
または2以上の音響発生源は、個別に、かつ、互いに対して、可変の焦点を有し、1また
は2以上の発生源の焦点が異なる標的組織の位置および被検者について調節される場合が
ある。第1のモードでの動作について、音響発生源は位相を揃えて作動して、それらの焦
点で放射力を発生させ、その結果は脳の一方向への変位で、装置のパルス反復周波数での
振動成分は無視できる。両方のモードでの動作については、音響発生源が位相および/ま
たは周波数で変調され、所望の標的組織の位置で組織の振動を発生させる。
が、変形を定量するために使用され、それにより、組織特性および/または頭蓋内圧に関
する情報を提供する。診断用超音波プローブは、例えば、標準のAまたはBまたはMモー
ドのいずれかで作動する。例えば、診断用超音波プローブは、標準のBモードの画像化モ
ードで作動するとき、変位を画像化し、あるいは、脳の表面から反射した診断用パルスの
帰還時間での動きとして変位を追跡する。図5A〜5Cの概念図は以下のことを示す。(
1)変形を起こす放射力の適用の前の変位していない脳の表面(図5A)、(2)最大振
幅Zを有する放射力の適用の結果生じた変位した脳の表面(図5B)、(3)音響発生源
の停止の後の変位していない状態への脳組織の緩和(図5C)。図5Bに示された一時的
に誘発された変位は、やがて変位前の状態(図5C)に緩和するときに音響を放出する。
ハイドロホンとして作動する適当な診断用超音波プローブは、放出された音響信号を受信
する場合があり、この放出された音響信号は、単独または変位のデータと併用されて、組
織の生理状態または病状を評価するために用いられる場合がある。
頭蓋内圧を定量化する非侵襲的な手段の、最も単純な実施態様および最も経験的な実施態
様とともに示す。図5Dに示された、放射力が適用されずに変位のない組織の表面の状態
では、反射された音波は時間tに検出される。放射力が組織変位を誘発するために適用さ
れるときには、図5Eに示すとおり、反射した音波は時間Δtだけ遅延する。その後、組
織は原状の変位のない状態に緩和し、反射した音波は、図5Fに示すとおり、また、もと
の時間tに検出される。希望する場合には、脳脊髄液の音速を知って、これを空間的な変
位Zに翻訳することができる。ΔtかZかのいずれかを、純粋に経験的なやり方で、頭蓋
内圧と関係づける場合がある。
圧を決定するか、という例として、以下の非特許文献10に記載のSadowskyの方
程式が以下の非特許文献11に引用されているので、参照せよ。
F=8*G*R*Z(1+(G/K)/(1+(G/3K)))^(−1)
ここで、Fは、剪断弾性係数Gおよび圧縮弾性係数Kの粘弾性固体の半径Rの表面の一部
に均一に加えられた力で、最大量Zの変形を前記粘弾性固体に起こす。かかる材料につい
て、G*2*(1+v)=Eとなり、ここで、「v」はポアソン比で、Eはヤング率であ
る。たいていの生物学的材料については、G/Kは非常に小さく、この方程式は、実際に
は、F=8*G*R*Zに還元される点に注意せよ。
サドウスキー(Sadowsky)、Z Angew Math Mech、8巻、107頁、1928年。 サルバジアン(Sarvazyan)ら、「弾性画像法の生物物理学的基礎」、Acoustical Imaging V21、Sarvazyan編、Plenum Press、ニューヨーク市、1995年。
積の集束超音波により脳に加えられた全ての力を計算するのに用いられるが、この式は、
脳の剪断弾性率Gについての方程式を作成するためにFについての方程式に置換できる。
G=2(rho_1/rho_0)*K*<E>*(1+(rho_1*c_1)/(r
ho_0*c_0))^(−2)*(PI*R)/(8*Z)
Gは、剪断ストレスを支持する脳の能力の尺度を与える。上記のとおり、これは圧縮ス
トレスを支持する脳の能力と密接に関係がある。だから、脳におけるその数値は、直接的
に、たぶん線形的に、脳の頭蓋内圧と関係づけられる。したがって、上記の方程式を評価
することにより頭蓋内圧を推定し、経験的な手段により、Gを頭蓋内圧に関係づけること
ができる。
しそうな年齢および人種)と、脳の平均密度(媒体1)と、脳脊髄液または骨(媒体2)
と、非線形パラメーターKとの関数として決定することができる。媒体1および2のイン
ピーダンスの比は、実際に決定することはなくても、上記の「レイヤー・ストリッピング
法」を用いて厳密にできる。入射音響ビームのエネルギー密度は、脳の表面での音響パル
スの振幅を測定することにより、上記のとおり計算できる。最後に、音響ビームは半径R
の円形の断面を有するように設計できる。前記音響ビームは、音響密度の少なくとも弱い
勾配を有する。したがって、音響ビームの不均一性が、前記音響ビームの「実効」半径、
すなわち、かなり大多数の放射圧が生じる半径を定義することによって考慮される。Rの
スケールでの骨表面の不規則性による、音響ビームの形状の散乱または変形の可能性も考
慮される。これらの効果は、骨の特性(厚さ、減衰、密度、音速等)の水平勾配がわかっ
ている頭蓋の周知の場所に超音波を適用することにより最小にできる。
とは可能である。
sで、KはほぼSで、<Ei>=<Ii>/C0であり、ここで<Ii>は脳の表面に入
射する音響の時間平均空間ピーク強度である。この式は、以下の解に還元される。Zは、
R<Ii>x10−7mと、R<Ii>x10−6mとの間である。
i>は102〜103w/cm2未満か、<Ii>は106〜107w/m2未満かであ
る。これらの強度を容易に達成することができる既存の装置にもとづいて、Rは10−3
mと10−2mとの間である。したがって、R=10−3mのとき、Zは約100ミクロ
ンから1ミリメートルであり、R=10−2mのとき、Zは1ミリメートルから1センチ
メートルである。これらの数値は、脳の表面での超音波の強度に最も直接的に依存して、
もっと小さい場合も、もっと大きい場合もある。例えば、以下の非特許文献12のナイテ
ンゲール(Nightengale)らは、約5mmのRについて1〜100w/cm2
のIiを用い、上記の基準を満たす組織およびファントム組織について、1〜100μm
の範囲の変位Zを観察している。
ナイテンゲールら、「音響放射力を用いる遠隔打診の実施可能性について」、J.Acoust.Soc.Am.、110巻、1号、2001年7月。
フトが計測され、経験的に、あるいは、第一原理により、前記歪みのサイズと関係づけら
れる場合がある。
、少なくとも、頭蓋内圧の変化または頭蓋内圧の経時的変化を計算するために利用するこ
とができる。これらの頭蓋内圧の変化または頭蓋内圧の経時的変化は、医学的なコンプラ
イアンスと関係づけられる場合がある。
い可変時間スケールの複数の変位または放出を発生させる場合がある。この実施態様では
、音響放射力の第1のパルスの適用が、よくわかった組織変位または放出を発生させ、前
記変位の間の予め定められと時間に、第2の音響力が適用され、前記変位の変位と、一部
のケースでは、付随する放出とを発生させる。放射圧が同じときに、第1および第2の変
位の振幅の比か、前記放出にともなう周波数の比が1に等しくない場合には、この実施態
様は有用である。これは、例えば、最初の変位が、(有用な場合には診断用音響後方散乱
の変化によって調べることができる)局所的な血液供給および/または(有用な場合には
従来の経頭蓋ドップラー技術によって調べることができる)血流速度を変化させる。変位
または放出のある一対が、互いに相違する量か、局所的な血液供給または速度を変化させ
ることができる量かは、頭蓋内圧とともに、少なくとも脳の局所的な医学的コンプライア
ンス(すなわち、頭蓋内圧の過剰な値なしに頭蓋内液の体積のさらなる変化を吸収する能
力)と関係するはずである。この技術の利点は、環境の較正が不要であることである。す
なわち、この技術を用いると、適用された放射圧を知る必要がない。そのかわり、必要な
のは、ユーザが、医学的に受け入れられ、計測可能な脳の変位を起こす一連の同一の超音
波パルスを発生できること、および、上記の関係が明確に定義された集団の成員のついて
しっかりと適用可能であることである。
る医学的に受け入れられる変位または放出を発生させる別の実施態様では、例えば、心臓
周期の低い点と高い点とでの変位または放出の振幅、速度等の比を評価することができる
。潅流および/または血流速度の違いのため、この比は上記のように1に等しくはならず
、経験的な手段を用いて脳の局所的な医学的コンプライアンスの掲示液変化と頭蓋内圧と
のアッセイを可能にする。この実施態様が、血圧の平均および偏差の補助的な計測で補足
されることは有益である。
、医学的に受け入れられる中枢神経系組織変位または中枢神経系組織からの音響放出を発
生させるのに十分な音響パルスが照射される。変位した組織の緩和(特に、その最大量か
、変位のスロープか、その他の変位の幾何学的特性からの緩和)の速度および/またはこ
れにともなう音響放出が、直接的に頭蓋内圧と関係づけられる場合がある。頭蓋内圧が高
いほど、音響放出の周波数および/または組織の硬直性が高く、もとどおりの幾何学的構
造に適合するのが迅速である。変形からの回復または音響放出の崩壊のうちのより高速で
あるいずれかか、超音波変位により誘発された一時的な生物学的効果からの回復の速度の
いずれかが、本発明の方法とともに利用される場合がある。組織が「線形」の粘弾性領域
に留まる場合には、これらの速度は、変位を発生させる放射圧の絶対値とは独立であるは
ずである。超音波によって永久的な変形をしていない組織は、線形の粘弾性領域に留まる
。
織の医学的に受け入れられる変位を発生させるのに十分な音響パルスが、マッドセンらの
米国特許第5,919,144号明細書に開示されたような直接手作業で適用された圧力
ではなく、非侵襲的に適用された音響放射圧として適用される。マッドセンらによって開
示された解析技術は、組織の硬直性、頭蓋内圧その他の関連する臨床的パラメーターを決
定するために使用される場合がある。
、音響発生源と所望の標的組織との間の組織の場所および特性を決定するための初期環境
評価を行うことにより、音響伝搬環境の特徴づけをおこなうこと。(2)所望の標的位置
で標的組織を変位させることが一般にしられた音響放射力を適用すること。(3)前記標
的組織変位か、前記放射力によって誘発された標的組織変位に対する生物学的反応かの少
なくとも1つを調べること。(4)前記標的組織変位または標的組織変位に対する生物学
的反応との関数として、頭蓋内圧、動脈血圧その他の組織特性を含む、ここで説明された
組織特性を評価すること。
にある振動する物体は、前記音響的に圧縮可能な組織に、前記振動の周波数で、かつ、前
記振動の振幅と比例する振幅で、音響を放出する。第2の能動的な作動モードによると、
本発明の方法は以下を含む。(1)音響発生源と所望の標的組織との間の組織の場所およ
び特性を決定するための初期環境評価を行うことにより、音響伝搬環境の特徴づけをおこ
なうこと。(2)標的組織を所望の標的部位で振動させる1または2以上の音響発生源を
用いて、既知の音響放射力を適用すること。(3)前記振動させられた標的組織または前
記標的組織の近傍の液体からの音響放出の少なくとも1つを調べること。(4)前記音響
放出の少なくとも1つの関数として、頭蓋内圧、動脈血圧その他のここに説明された特性
を含む組織特性を決定すること。例えば、複数の音響発生源の周波数および/または位相
は、標的組織の所望の最大振動を発生させるように変調される場合があるが、それ自体が
、パルス反復周波数または打診周波数が一定の数値範囲をスキャニングされて決定される
。代替的には、1回または数回の打診が監視できる放出を誘発する場合がある。この実施
態様では、診断用のプローブが、振動する組織からの音響放出を検出するために用いられ
る。前記音響放出の振幅は、標的組織の組織の硬直性か、ヤング率または剪断弾性係数を
関係があるが、これは頭蓋内圧と経験的に関係がある。
硬直性が高く、コンプライアンスが小さい組織を表し、頭蓋内圧が決定されるところでは
、より高い頭蓋内圧を表す。相対的に大きい単位音響放射力あたりの振幅変位と、より高
いドップラー効果とは、より軟らかく、コンプライアンスが大きい組織を表し、頭蓋内圧
が決定されるところでは、より低い頭蓋内圧を表す。本発明の方法およびシステムを用い
て決定される頭蓋内圧と組織特性とは、例えば、頭蓋の厚さ、さまざまな組織特性および
条件、被検者の年齢、病状その他の特徴等と関係がある経験的な基準を比較される場合が
ある。
呼吸周期の両方とともに変化する。変形または振動を発生させる音響力がこれらの周期に
対して素早く適用される場合には、組織特性または頭蓋内圧の経時的変化が計測されるが
、これらは、医学的に興味深いか、頭蓋内圧の規模に関する情報を含む場合がある。患者
の動きもプローブの動きを発生させる場合があり、更新された環境評価を必要とする。1
の実施態様では、システムおよび環境のパラメーターは、患者の動きの効果を減らすため
に、患者の動きに対して素早く更新される。
患者の自己調節状態、あるいは、自己調節能力も、以下に詳しく説明するとおり、本発明
による内在性および/または誘発性の組織変位に関する音響データを用いて決定される場
合がある。頭蓋内圧と、自己調節状態、あるいは、自己調節能力とは密接に関係がある。
心臓周期のいずれかの時点での脳内の血液の全体積は、全身の血圧と、ミリメートルの単
位の直径を有する主要な動脈から、ミクロンの単位の直径を有する小動脈までの脳の脈管
系の保護的な自己調節機構との関数である。これらのさまざまな生理的スケールの脳脈管
系は、異なる時間スケールおよび異なるレベルの頭蓋内圧および自己調節の決定への寄与
で反応する。異なるクラスの脳脈管系は、ヤング率のような材料特性が異なり、これが、
脳の異なる変位特性に寄与する。
範囲の動脈圧平均値について、
脳潅流圧=動脈圧平均値−頭蓋内圧
の関係が成立する。このようにして、正常な条件下では、脳およびその脈管系は、脳への
適切な血流を維持するために、脳潅流圧を変化させることができる。これは、自己調節の
正常状態という。脳への適切な血流を維持するための脳潅流圧を変化させる能力が失われ
るとき、自己調節は異常で、頭蓋内圧は直接動脈圧平均値に比例するようになる。
よび/または誘発性の組織変位または放出に関する連続的に獲得された非侵襲的中枢神経
系標的部位の音響データを用いて、脳の自己調節の状態が評価される。脳潅流圧は、変位
または放出のデータと、動脈血圧のデータとから決定される。具体的には、時間平均流速
(FVm)と脳潅流圧(Mx)との間の相関係数と、収縮期の流速と脳潅流圧(Sx)と
の間の相関係数とが、数分間の分計算され、それぞれの検査ごとに平均される。これらの
相関係数は、自己調節と結果とがわかっているさまざまな臨床的状況について決定される
。これから、MxとSxの数値のいかなるの組についての脳の自己調節の状態でも推定す
るために、回帰直線が決定される。以下の非特許文献13を参照せよ。
ゾスニカ(Czosnyka)ら、「頭部負傷患者の脳の自己調節の監視」、Stroke、27巻、10号、1996年、10月。
な音響データが、連続的な動脈血圧の同時計測とともに、脳の自己調節の状態を決定する
ために用いられる。具体的には、圧力反応性指数(PRx)が、変位および/または放出
の数値の有限個の一連のサンプルと、数分間にわたって平均化された動脈血圧との間の移
動相関係数として計算される。したがって、動脈血圧の変化に対する脳脈管系の反応性(
自己調節)の連続指数が決定される。正のPRxは異常な自己調節を表し、悪い結果を予
想するが、負のPRxは正常な自己調節を表し、良い結果が予想される、以下の非特許文
献14を参照せよ。
ゾスニカら、「頭部負傷における、脳脈管系圧力反応性の連続監視」、Acta Neurochir [Suppl]、71巻、74−77頁、1998年。
侵襲的な音響データと、連続的な侵襲的または非侵襲的な動脈血圧のデータとのスペクト
ル解析が、脳の自己調節の状態を決定するために用いられる。伝達関数(TFn)は、高
速フーリエ変換(FFT)スペクトルから変位および/または放出と動脈血圧の高調波ピ
ーク振幅の比として計算され、血管反応性の状態を区別する。伝達関数はさまざまな既知
の臨床的病状について計算され、このデータが自己調節の特定の状態に対応する伝達関数
についての数値を決定するために用いられる。これらの伝達関数の数値は、異常な自己調
節を、亢進した頭蓋内圧または活発な血管拡張にのみ関係する効果から区別することがで
きる。非特許文献15を参照せよ。
ニコルズ(Nichols)、J.ら、「頭蓋内圧波のスペクトル解析を用いる異常な脳の自己調節の検出」、J.Neurotraum、13巻、8号、1996年。
る音響データの同時獲得は、脳脈管系の拡張の基準として役立つ相関係数を計算するため
に用いられる。変位および/または音響放出(D)と動脈血圧とは250Hzの速度で同
時に獲得される。この2つの信号の正規化相関関数は、以下のとおり計算される。
r(t)=E[D(t),ABP(t)]/sqrt(E[D(t),D(t)]*E[
ABP(t),ABP(t)]
この関数の数値は、もとは、2つの関数についての相関係数である。−1と1との間で
変化する2つの信号の間の類似性の解析的測定値である。前記2つの信号が比例するとき
は、前記信号は強く相関しており、数値は−1か1かのいずれかに近づき、自己調節が異
常であることを表す。相関係数が−0.70と0.70との間のときは、信号は類似では
なく、自己調節は正常であるらしい。以下の非特許文献16を参照せよ。
デーリー(Daley)ら、「頭蓋内圧および動脈血圧の間の相関係数、脳脈管系の拡張の基準」、Acta Neurochir [Suppl}、71巻、285−288頁、1998年。
および/または脳脊髄システムが、既知の頭蓋内圧の変動を起こすか、自己調節にチャレ
ンジするために、一定期間攪乱される必要がある場合がある。生理的なチャレンジをとも
なう複数の代表的なタイプの攪乱は以下に説明される。
水力式血圧カフを下肢の周りに取り付けて、静脈血の心臓への帰還を増大させるために膨
張させ、これにより血管の血液の体積を増大させ、脳へ流入する血流を増大させることに
つながることをともなう。自己調節の状態は、ドップラー情報の解析によって評価される
。脳に流入する血流を増大させる他の手段は、患者を重力服の中に入れること、挿管され
た患者のための機械式ベンチレータの換気パラメーターを変更すること、および、動脈の
血流の末梢への流入を制限することを含む。
き、脳は、この減少した血流に対して、血流の方向を変えたり、抵抗を変化させたりする
ことにより反応して、十分な潅流を受けることを保証する。代替的に、静脈内の液体濃縮
塊が、一時的に血液の体積を増大されて、脳に流入するように、投与される。自己調節が
正常のとき、脳は適切に反応する。血液の体積と流れを変化させるためのその他の手段は
、昇圧剤、血管拡張剤、変時性および収縮性の薬剤の使用を含む。
ンデレンブルグ体位)と、咳、くしゃみ等のような、頭蓋内圧を変化させる患者の平衡状
態の変化。
り、頭を上にしたりするのを含めて、頭部の体位のいかなる変化にも寛容である。完全に
正常で健康な人間であっても、かかる体位の変化にともなう一時的な頭蓋内圧の変化は数
秒以内に起こるが、身体は補償して頭蓋内圧は正常に戻る。体位の変化は、例えば、非侵
襲的に頭蓋内圧および自己調節を決定するために用いられる方法を較正またはリセットす
るために、頭蓋内圧または自己調節の既知の変化を起こすうえで必要である。
して詳しく説明したが、同様の方法およびシステムは、アルツハイマー病、多発性硬化症
、虚血状態、低酸素状態、硬膜下および硬膜上血腫、クモ膜下出血、脳内出血、腫瘍その
他の頭蓋外の塊状物等のような、組織特性の生理的変化を特徴とする疾患および病状の診
断および監視のために用いられる場合がある。その他の過程のステップは、標的組織内の
複数の予め定められた位置での組織特性の評価を、経験的に決定されたデータか、他の組
織タイプまたは位置からの相当する組織特性のデータかに対する、異なる位置での組織特
性と比較することを含む場合がある。
場面と、外科の場面と、入院および外来治療の場面と、住宅、航空機、列車、船舶、公共
の場所等を含む、さまざまな場面で用いられる場合がある。用いられる技術は非侵襲的で
、不可逆的に標的組織を損傷することはない。したがって、これらは、望ましくない副作
用を起こさずに必要に応じていくらでも頻繁に用いることができる。本発明の方法および
システムは、患者の参加を必要としないので、無能力な患者でもこれらのシステムの利点
を享受できる。頭蓋内圧を含む組織特性を評価するための方法およびシステムは、組織特
性または頭蓋内圧を監視するために連続的に、あるいは、間欠的に使用できる。
らの全体がここに取り込まれる。
図するものではない。実施例1および2を支持するデータは、トランスデューサ13と、
これを支持する電子ダイプレクサー15、増幅器17および機能発生器19を除く図2の
装置を具体化した装置を用いて収集された。
性とは、標準的なドップラー(TDC)トランスデューサと、既製品のデータ獲得システ
ムと、新規の脳からの音響後方散乱信号の解析とを用いて直接計測できることを、試験管
内で(図6A)および生体内で(図6B〜D)で示し、以下の詳しく説明した。
よび音響的に透過性の、脳に加えられる圧力を変化するためのハンドポンプに取り付けら
れたボトルに入った液体に浸された新鮮なウシの脳を用いて構築された。音響トランスデ
ューサ(ATL/Philips Medical Systems、ワシントン州、B
othell)と、前記ボトルとは、質問トランスデューサの焦点が脳の中にあって脳の
縁の近傍であるように、水中に設置された。その増幅器が200mVで駆動されるトラン
スデューサと、LeCroy Waverunnerのオシロスコープとを用いて、質問
信号発信器によって発生した脳から後方散乱した音波波形が収集されたが、その波形は、
到達時間の変化により計測したところ、ハンドポンプの目盛りによって決定された試験管
内のウシの脳に加えられる圧力の増加に対する関数としてのウシの脳の変位の増加は、直
線的な関係にあること(図6A)が示された。これは予測された結果であった。閉空間に
おける液体(脳脊髄液)の体積を増加した結果として、脳に加えられる圧力(頭蓋内圧)
が亢進すると、脳は容器から遠ざかることが予想される。
)ヒトの脳組織の内在性変位に関連する音響散乱信号を計測するための超音波技術を用い
て作成された。音響トランスデューサ(ATL/Philips Medical Sy
stem、ワシントン州、Bothell)が、毎秒10〜103個の音響パルスで、3
〜15サイクルを含む2.25MHzの超音波で、ピーク陰圧が2MPaまたは20ba
r未満の音響質問信号で標的中枢神経系組織を照射するのに用いられた。LeCroy
Waverunnerのオシロスコープを用いて、前記質問信号発信器によって発生した
脳からの後方散乱した音波波形が収集され、組織変位が計算された。
値と、時間的変位の計算値とが与えられると、ある瞬間の組織の空間的変位が計算できる
。前記空間的変位を経時的に追跡することは、診断用超音波により非侵襲的に探査された
脳組織変位の直接的な計測値を提供する。この計算は、質問信号が送信され、後方散乱信
号が受信された時間を記録する基準質問信号に、後方散乱信号を相関させることによって
も実行できる。関心のある領域からの後方散乱の振幅の変化も、頭蓋内圧波形を決定する
ために監視される。例えば、発明者たちは、約5から10msの短い時間間隔にわたる関
心のある領域の音響後方散乱信号を積分して、その積分をその時間間隔で正規化すること
によって、図1Aの信号の重要な特徴を有する時系列が得られることをみつけた。特に、
計測された脳の変位の小さい体積について、その後の変位から由来する信号または後方散
乱の正規化された積分に続いて由来した信号は、被検者の中脳動脈の平均速度の経時的変
化に一致するように見える。
された、ヒトの脳の特性の経時的変化を示す。息をとめたり、くしゃみをしたり等のよう
なある種の生理的な行動は、一時的に頭蓋内圧を亢進または減退させることが知られてい
る。
化を示す。図6Cは、相関技術にもとづいて、15サイクルの超音波のパルスを用いて、
被検者が息を止めている間のヒトの脳の変位を示す。特に、図6Cは、脳内の血液の体積
の蓄積のために脳に加えられる圧力が亢進したためにトランスデューサに向かって全体と
して増大した脳の変位を、図1Bで見られたのと同様の心臓で誘発された脳の変位信号と
ともに示す。
を使ったが、データを上記のとおり音響後方散乱信号にわたって積分することによって解
析した。図6Cと同様に、両方の波形とも被検者が息を止めていた10秒間にわたって変
化したが、これは被検者が息を止めるときの頭蓋内圧の既知の一時的変化とつじつまが合
う。脈管パルスと自己調節波形とは改変された形で図1Bと同様に図6Cにも存在してい
る。図6Bおよび6Cの時系列は、患者の中脳動脈で見られた速度パターンと同様に見え
る(データは示されない)。したがって、この計測は、主要な脳の動脈と、残りの脳脈管
系からの寄与による追加とに対して反応する脳実質の圧縮および膨張の正確な描写である
。
の脳の変位の変化の例を示す。呼吸および呼吸周期の変化は、一時的に頭蓋内圧を変化さ
せることが知られている。最初、脳表面のトランスデューサに向かう変位の総量は増加し
た。吸気の際、脳組織は、数回の心臓周期の間、トランスデューサから遠ざかる方向に移
動した。観察された変位は、被検者が息を止め(一時的な血液体積および頭蓋内圧が増加
)、その後、息を吸う(一時的な血液体積および頭蓋内圧の減少)ときに予想される、頭
蓋内圧の一時的変化とつじつまが合っている。
発明者は、比較的大きな体積(10cm3のオーダー)の脳組織は、図1Aの頭蓋内圧の
トレースと同じに見える信号を発生する、と予測する。この信号は、直接、または、動脈
血圧データとともに、上記のとおり、頭蓋内圧および/または自己調節状態を評価するた
めに用いられる。大きい体積の脳組織にわたる音響後方散乱信号の寄与は、複数の脳血管
によって生じる脳組織変位(膨張および圧縮)の結果であり、この個別の内在性振動は、
侵襲的に観察されたとおり、互いに強め合う主要なもの(重複切痕等)を除き、打ち消し
あう。
の打診超音波パルスが、大きな組織損傷を起こさずに、脳の変位を増大させることを示し
た。
、ボトルの中の液体に浸された。ATL音響トランスデューサ(ATL−Philips
Medical Systems、ワシントン州、Bothell)と前記ボトルとは
、音響打診および質問トランスデューサの焦点が脳の内部で脳の縁の近傍にくるように、
水中に設置された。発明者は、LeCroy Waverunnerのオシロスコープを
用いて、脳から後方散乱した質問音波波形を収集した。試験官内でウシの脳を打診および
質問するために、質問パルスは、図6Aについて説明したとおり照射されたが、打診パル
スは、30,000〜50,000サイクルを含む1Hzのパルス反復周波数を有し、5
00W/cm2未満の時間平均強度があった。
圧に比例して)増大するとき、ミクロンで与えられる前記ウシの脳の計測された変位も増
大する。発明者は、試験管内の上記の実験的なウシの脳のモデルで、同一の超音波打診パ
ルスによる脳の変位は、脳に加えられる圧力が0から55mmHgまで増大するとき、3
00μmから210μmまで減少することを示した。したがって、同一の音響力が超音波
で適用されるとき、脳と、試験管内の組織変位とは、予想どおり、頭蓋内圧と負の相関が
ある。非侵襲的な超音波にもとづく脳組織の超音波打診の計測は、血圧測定を要しないで
、ヒトの頭蓋内圧を安全に直接計測することができるが、それは、この方法によって、脳
に既知の(超音波)力が加えられるからである。代替的に、安全であると決定することが
容易ではない値の強度未満の強度の集束超音波ビームを用いて、既知の力で脳組織を探査
または打診することは、既知の圧縮力に曝されるときに脳組織が起こす変位の量を較正す
ることにより、頭蓋内圧決定の受動的方法を補完するデータを作る。
織変位に関する生データを処理するために改変される場合がある。ドップラー情報のよう
なデータは超音波トランスデューサ/受信機により獲得されるので、このデータは、従来
、血管壁の動き、組織変位、脳脊髄液の攪乱等によって説明できる信号の部分を除去する
ために設計された一組のフィルターを通され、血流で説明できる信号の部分のみがその後
の経頭蓋ドップラー解析のために残される。本出願については、経頭蓋ドップラー装置に
よって獲得された、血流とともに、血管壁の動き、脳組織変位および脳脊髄液の攪乱によ
り説明できる信号の部分を含む、フィルターを通さない信号が、本発明の方法によって頭
蓋内圧のような脳脊髄液組織特性を評価するために用いられる。
れた、フィルターを通さないデータは、単独で、あるいは、動脈血圧に関するデータと併
用して、頭蓋内圧、自己調節状態等を評価するための上記の方法によって、処理される。
解析は、ドップラー情報を動脈血圧情報に相関させること、ドップラーおよび動脈血圧の
波形のフーリエ解析を実行すること、上記のドップラーおよび動脈血圧の情報を組み合わ
せて頭蓋内圧および自己調節状態を決定することを含む。
を構築するために、連続的な動脈血圧のモニターが用いられる。非侵襲的に作動する適当
な動脈血圧モニターは、例えば、Medwave社(ミネソタ州、St.Paul)から
Vasotracという商品名で入手可能である。侵襲的な動脈血圧監視システムは、S
paceLabs Medical社(米国、ワシントン州、Redmond)から入手
可能である。これらのシステム、または、同様のシステムは、動脈血圧の情報を、動脈血
圧データを経頭蓋ドップラーデータとともに解析して頭蓋内圧を(上記のように)生成す
る、他のプロセッサーに提供するために改変される。
圧モニターは、生のドップラーデータの処理と、頭蓋内圧を(上記のように)生成するた
めの動脈血圧との相関とを提供するために経頭蓋ドップラー装置を改変することにより組
み立てられる場合がある。適当な商業的な経頭蓋ドップラー装置は、例えば、Spenc
er Technologies(ワシントン州、シアトル)から、TCD100Mとい
う商品名で入手可能である。
商業的に入手可能な構成部分を用いて組み立てられ、したがって、動脈血圧、頭蓋内圧お
よび自己調節の同時表示を提供する場合がある。図8は、頭蓋内圧、動脈血圧および自己
調節状態を監視するための装置の出力表示のサンプルを示す。頭蓋内圧出力は経時的なm
mHgで表現され、動脈血圧出力は、収縮期血圧、拡張期血圧および動脈圧平均値の内訳
を含む場合があり、自己調節は経時的な頭蓋内圧および動脈血圧に比例する相関係数Rと
して表現される。パラメーターのそれぞれについて、状況表示(正常、異常等)が提供さ
れる場合があり、アラームが提供され、パラメーターが予め定められた閾値を超えるか、
それ以下に下がるときに作動するように設定される場合がある。
C)とについての代表的な出力表示を示す。図8Aは、15mmHgの平均頭蓋内圧を示
すが、これは正常範囲内である。図8Bは123mmHgの収縮期圧と、75mmHgの
拡張期圧と、91mmHgの平均圧とを示すが、これは正常範囲内である。図8Cは0.
3の相関値Rを示すが、これは正常範囲内である。出力表示は、図に示すように、収集し
たデータのグラフを示す場合があるが、追加的に、あるいは、代替的に、正常か異常かの
状態を示したり、頭蓋内圧、動脈血圧、自己調節状態の数値が予め定められた閾値範囲外
のときに作動する視認または聴取可能なアラームが提供される場合もある。
関する出力データを含むが、これらの出力のいずれか1つか、これらの出力の組み合わせ
のいずれかが、さまざまな装置で表示される場合があり、表示は代替的な情報を用いて他
の形式をとる場合もあることは理解されるであろう。本発明の方法およびシステムは、さ
らに、他の検出および監視のシステムと組み合わされて、追加の出力データを提供する場
合がある。
その他の感染症について患者集団をスクリーニングするための方法が提供される。吸入炭
疽にともなう高い死亡率は、部分的には、診断の遅れの結果である。吸入炭疽の症状は、
さまざまなインフルエンザおよび肺炎の症状のような、他の呼吸器の病状にともなう症状
と類似する。しかし、吸入炭疽は、インフルエンザおよび肺炎とは異なり、縦隔リンパ節
の肥大が特徴である。肥大は、一般に、重篤で、相対的に発病が早い。グリンバーグ(G
rinberg)ら、「吸入炭疽の定量的病理学I:定量的な顕微鏡観察結果」、Mod
Pathol、14巻、5号、482−95頁、2001年、5月。炭疽感染にともな
うリンパ節症は痛みがあると信じられている。そこで、痛みの音響的刺激が、炭疽菌感染
の初期の指標として用いられる場合がある。
あるがどうかが決定される。さまざまなリンパ節が標的となり、打診されて、そのリンパ
節が痛みの発生源かどうか決定される。特に、縦隔リンパ節は、痛むかどうか決定するた
めに、標的にされ、打診される。そうである場合には、炭疽感染にともなうリンパ節症を
確認するための追加の診断スクリーニングが実施され、治療が開始される場合がある。こ
のスクリーニング技術は、どの患者がさらなる診断手順の対象になるべきか、あるいは、
どの患者が先に治療されるべきかを同定するための患者集団の迅速なスクリーニングに特
に有用である。
12、13、22 音響発生源
14、17、26 増幅器
15、24 ダイプレクサー
16、19、28 機能発生器
20、30 コントローラ
32 組織標的
40 音響発生源およびプローブの複合機
42、44 音響発生源
46 超音波プローブ
48 場所
50 音響発生源およびプローブの複合機
51、52、53、54 超音波トランスデューサ
56 検出エレメント
Claims (10)
- 超音波発生源と、超音波検出器とを含むシステムであって、前記超音波発生源及び超音
波検出器は動作可能に電源に接続され、該電源は動作可能に機能発生器に接続され、該機
能発生器は動作可能にコントローラに接続され、該コントローラは、データ獲得、保存及
び解析の能力を有し、前記コントローラは、中枢神経系標的組織部位で脳組織内の検出可
能な組織変位又は検出可能な組織振動を誘発するのに十分な音響放射力を非侵襲的に適用
する複数の超音波パルスの適用を制御する能力と、組織変位又は組織振動の誘発後に、前
記組織変位又は組織振動と関係づけられる前記組織部位からの音響データの取得を制御す
る能力と、前記組織変位又は組織振動に基づいて脳組織の頭蓋内圧(ICP)を計算する
能力とを有し、前記コントローラは、頭蓋内圧を表示するための表示装置に動作可能に接
続される、システム。 - 超音波発生源及び超音波検出器が経頭蓋ドップラー装置として提供される、請求項1に
記載のシステム。 - 前記表示装置は、頭蓋内圧、動脈血圧及び自己調節に関する情報を提供する、請求項1
に記載のシステム。 - 前記組織変位又は組織振動に関係づけられる前記取得された音響データは、音響散乱の
、規模、振幅及び位相のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。 - 前記超音波発生源及び超音波検出器は、発信モード、反射モード、散乱モード、後方散
乱モード、放出モード、エコーモード、ドップラーモード、カラードップラーモード、ハ
ーモニック又はサブハーモニックモード、aモード、bモード、mモードのうち、少なく
とも1つのモードで作動する、請求項1に記載のシステム。 - 前記コントローラは、前記組織変位又は組織振動に基づいて脳潅流圧及び動脈血圧のう
ちの少なくとも1つを計算する能力を有する、請求項1に記載のシステム。 - 前記コントローラは前記誘発された組織変位又は組織振動を経験的に決定された基準と
比較する、請求項1に記載のシステム。 - 前記コントローラは、第1の中枢神経系標的組織部位とは異なる第2の標的組織部位で
第2の組織変位又は組織振動を非侵襲的に誘発するべく、音響放射力を適用するために第
2の複数の超音波パルスの適用を制御する能力と、第2の標的組織部位での前記組織変位
又は組織振動に関係付けられる組織変位又は組織振動の誘発の後で、前記第2の標的組織
部位からのデータの獲得を制御する能力とを有する、請求項1に記載のシステム。 - 前記コントローラは、前記超音波発生源と前記標的組織部位との間の環境の音響的特徴
の評価を行い、該環境の評価に基づいて、前記組織変位又は組織振動を誘発するために前
記組織に適用される音響放射力の規模を決定する環境評価を実施する能力を有する、請求
項1に記載のシステム。 - 前記コントローラは、少なくとも1回の心臓周期にわたる複数の時点で前記中枢神経系
標的組織部位での内在性組織変位に関するデータを獲得する能力を有する、請求項1に記
載のシステム。
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