JP4634409B2 - 風味の改質された茶抽出処理物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カテキン類特有の苦渋味・収斂味が低減され、かつ、酸味・えぐ味を有さない風味の改質された茶抽出処理物の製造方法に関する。
茶は古くより、嗜好飲料として親しまれてきたが、ここ十数年来、手軽に飲用することができる缶あるいはペットボトル等に充填した容器詰め飲料が提供されており、消費者の甘味ばなれから高い支持を得てその生産量は増加の一途をたどっている。一方、茶は、近年その機能性においても注目され、盛んに研究が行われており、カテキン類のヒトの体脂肪蓄積抑制(非特許文献1)等の生理効果が報告されている。しかしながら容器詰め飲料としてカテキン類を多く配合しようとすると苦渋味・収斂味が強くなり、風味的に非常に摂取しづらくなってしまうという欠点がみられた。
茶中の非重合体カテキン類の主な成分として遊離型カテキン(エピカテキン、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン)およびエステル型カテキン(エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、カテキンガレート、ガロカテキンガレート)が挙げられるが、これらのうち遊離型カテキンは渋味、収斂味の閾値が高く、エステル型カテキンは渋味、収斂味の閾値が低いことが報告されている(特許文献1)。
一方、タンナーゼはカテキンと没食子酸とのエステル結合に作用してカテキンと没食子酸に加水分解する酵素であるが、茶飲料の清澄化に用いることが出来ることが知られている。茶飲料中のクリームダウン(沈殿生成)は、ガレート型カテキン(エステル型カテキンと同義)とカフェインなどが複合体を形成することにより発生することが知られているが、その防止策としてタンナーゼ処理を行うことでガレート型カテキンを非ガレート型カテキン(遊離型カテキンと同義)に分解し、カフェインとの複合体形成をしづらくする方法が報告されている(非特許文献2)。
また、前記タンナーゼ処理を緑茶の製茶工程に応用し、茶葉中に含まれる苦渋味の強いエピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートをタンナーゼにて処理することで、没食子酸と爽快な苦みを持つエピカテキン、エピガロカテキンに分解する方法が開示されている(特許文献2)。
一方、容器詰め飲料においても、前記の通りカテキン類の機能性に着目し、カテキン類を多く配合することが求められているが、カテキン類を高濃度に含有する茶飲料を、タンナーゼ処理することによりカテキン類の苦渋味を低減する方法が開示されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献3の方法では、カテキン類をタンナーゼ処理することによりエステル型カテキンが遊離型カテキンと没食子酸に分解し、エステル型カテキン由来の渋味・収斂味は低減するものの、それにより没食子酸由来の酸味・えぐ味が発生してしまい、やはり風味的に満足できるものとはいえない。
また、一方では非重合体カテキン類のタンナーゼによる分解を制御し、カテキン類における、ガレート体率を40〜60重量%の範囲内にコントロ−ルすることにより、エステル型カテキン由来の渋味・収斂味を低減させ、かつ風味を改善する方法(特許文献4)が開示されている。
特許文献4には、非重合体カテキン類中のガレート体率が40〜60重量%である風味の改質された緑茶抽出物が開示されているが、この方法においてもやはりタンナーゼ処理により遊離の没食子酸が生成し、没食子酸由来のえぐ味を伴った酸味を呈するという課題が依然として未解決のままであった。
そこで、本出願人は前記課題の解決を目的として茶抽出物の風味改質のため鋭意検討を行い、先の出願(特願2006−18062)において、茶抽出液をタンナーゼ処理して非重合体カテキン類の総量に対するガレート型カテキンの含量を低減させ、さらにこのタンナーゼ処理した茶抽出物をイオン交換樹脂処理することで、遊離した没食子酸を効率的に除去し、没食子酸特有の酸味・えぐ味を有さない茶抽出物を得る方法を開示した。
特開平6−343389号公報 特開平5−308901号公報 特開2005−130809号公報 特開2004−321105号公報 Journal of Oleo Science Vol.50(2001), No.9 p717−728 「食品と開発」32(12)、1997年、p14−16
陰イオン交換樹脂として一般的に最も良く用いられる型はCl型またはOH型である。しかしながら、Cl型の陰イオン交換樹脂を使用した場合、イオン交換処理物中に交換されたClイオンが増加してしまうという欠点があることが予想され、また、OH型の陰イオン交換樹脂を使用した場合、OHイオンの影響によりpHが上昇し、カテキンが不安定な状態にさらされるという欠点があることが予想される。また、陰イオン交換樹脂の陰イオンの型により、没食子酸の除去効率に違いがあると考えられる。
したがって、本発明の目的は、タンナーゼ処理された茶抽出液から、陰イオン交換樹脂処理により、苦渋味・収斂味および酸味・えぐ味などを感じさせる味を有さない優れた風味を有する茶抽出物を製造する方法において、没食子酸の除去効率が高く、ClイオンやOHイオンを含まない茶抽出処理物を提供することにある。
そこで、本発明者等は、前記特願2006−18062の方法についてさらに改質を重ねるべく鋭意研究を行ったところ、意外なことに、陰イオン交換樹脂として、通常用いられるOH型またはCl型ではなく、通常はほとんど使用されることのないL−アスコルビン酸型とした陰イオン交換樹脂がきわめて選択的に効率よく没食子酸を除去することを見出し、また、実質的にアミノ酸含量が低減しないことを見出し、本発明の完成に至った。
かくして本発明は、タンナーゼ処理された茶抽出液を、L−アスコルビン酸型とした陰イオン交換樹脂を充填したカラムに通液し、没食子酸を吸着させ、没食子酸が選択的に除去された未吸着部を回収することを特徴とする茶抽出処理物の製造方法を提供するものである。
発明はさらに、前記の方法により得られる茶抽出処理物を提供するものである。
本発明によればタンナーゼ処理により非重合カテキン中のガレート型カテキン類含量を低減させることにより苦渋味・収斂味を低減させ、さらにタンナーゼ処理により遊離した没食子酸含量を低減させることにより酸味・えぐ味を除くことができ、風味の良好な茶抽出物の製造方法を提供することができる。
また、処理物中にClイオン濃度が増加することもなく、また処理物が工程の途中でOHイオンによる高いpHにさらされることがないため、工程全体を通じてカテキン類が安定である。さらに、処理物中にはL−アスコルビン酸がイオン交換樹脂より遊離されて、含まれることになるため、工程中および製品の保管中においても酸化が防止され、カテキンの劣化が防止できるという、優れた効果が得られる。
さらに、本発明では、実質的にアミノ酸含量が低減しないため、アミノ酸含量が高い玉露や高級煎茶を原料として使用した場合に、旨味も保持したまま前記呈味の改質を行うことができるという、優れた効果も得られる。
本発明に用いられる茶葉としては、ツバキ科の常緑樹であるチャ(学名:Camellia sinensis(L)O.Kuntze)から得られる茶葉から製茶された煎茶、番茶、ほうじ茶、玉露、かぶせ茶、てん茶等の蒸し製の不発酵茶;嬉野茶、青柳茶、中国緑茶等の釜炒り製の不発酵茶;包種茶、凍頂烏龍茶、東方美人等台湾烏龍茶や鉄観音、黄金桂、武夷岩茶、鳳凰水仙、色種等中国烏龍茶の半発酵茶;ダージリン、ウバ、ジャワティー、キーモン紅茶等の発酵茶;阿波番茶、碁石茶、プーアール茶、六堡茶等の後発酵茶を挙げることができる。
これらの茶葉中には非重合体カテキン類が含まれており、その主な成分として遊離型カテキン(エピカテキン、エピガロカテキン、カテキン、ガロカテキン)およびエステル型カテキン(エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、カテキンガレート、ガロカテキンガレート)が挙げられる。これらのうち遊離型カテキンは渋味、収斂味の閾値が高く、エステル型カテキンは渋味、収斂味の閾値が低い。本発明におけるガレート体率とは、前記8種からなる非重合体カテキン類の重量和に対するエステル型カテキン類4種の重量和の100分率である。
本発明のタンナーゼ処理された茶抽出液とは、茶の抽出中にタンナーゼを作用させて得られた抽出液または抽出中はタンナーゼ処理を行わず、抽出された液に対してタンナーゼ処理が行われた抽出液を指す。
本発明で使用されるタンナーゼは、ガレート体カテキン類の没食子酸エステル結合を分解する活性を有するものであれば任意のものが使用可能である。具体的には、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属、ムコール属等に属するタンナーゼ生産菌をこれら糸状菌の培養に用いられる培地を用い、常法に従って固体培養又は液体培養し、得られた培養物またはその処理物を常法により精製処理したものを挙げることができる。これらのうち、アスペルギルス・オリゼ由来のものが特に好ましい。なお、市販されているタンナーゼ、例えばタンナーゼ(キッコーマン社製)、タンナーゼ(三共社製)、タンナーゼ(新日本化学社製)等を用いても良い。
茶葉の抽出中にタンナーゼ処理を行う場合は茶葉に水と共にタンナーゼを添加し、タンナーゼでエステル型カテキンを分解しつつ抽出を行う。抽出に使用する水の量は茶類原料のタンナーゼ処理を行うために必要な量であれば、任意の量を使用することができるが、茶類原料が水と十分接触できる量であること、さらには攪拌可能な量であることが好ましい。具体的には茶類原料のカットサイズにもよるが茶類原料に対して5〜200倍量、好ましくは10〜100倍量、より好ましくは20〜50倍量を例示することができる。水の量が少なすぎる場合、茶葉と水の接触が十分でないため、タンナーゼが十分作用せず、好ましくない。
茶葉に対するタンナーゼの使用量は、茶葉の種類、茶葉中のカテキン類含量、タンナーゼの力価等により一概に言えないが、茶類原料の重量を基準として0.1〜50U/gの範囲を例示することができる。なお、1Unitは、30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1分間に1マイクロモル加水分解する酵素量で定義される。タンナーゼ処理条件としては、攪拌、あるいは静置条件下で、その系のpHは4.0〜6.0、好ましくは4.5〜5.5にすることが適当であり、その反応中の温度は30〜50℃、好ましくは35〜40℃で行うことが適当である。また、タンナーゼの反応時間は苦渋味の強いガレート型カテキンのエステル結合を分解して苦渋味を低減させる範囲であれば任意の時間を選択することができ、30分〜24時間、好ましくは1時間〜16時間を例示することができる。
また、タンナーゼ処理するに際し、ペクチナーゼ、セルラーゼ、プロトペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、βーグルコシダーゼ等の細胞壁分解酵素やプロテアーゼ等を同時に作用させることも可能である。特に、プロテアーゼ処理を行った場合においては、低級緑茶を原料として使用してもアミノ酸の豊富な抽出液を得ることができ、本発明であるL−アスコルビン酸型とした陰イオン交換樹脂と接触せしめても、アミノ酸を低減させることがなく没食子酸を選択的に除去することができる。
反応終了後は適宜加熱等により酵素活性を失活させた後、遠心分離、濾過等により、茶葉残渣を除去した抽出液を得ることができる。
一方、茶の抽出後にタンナーゼ処理を行う場合は、例えば、茶葉の抽出物又はその濃縮物をタンナーゼ処理する方法が挙げられる。茶葉の抽出物を得る方法としては、茶葉原料を水又は水溶性有機溶媒で、例えば、10〜100℃にて、3分〜2時間、攪拌又はカラム抽出し、遠心分離など適宜な分離手段を採用して抽出液を分離した抽出物を例示することができ、茶葉抽出物の濃縮物としては、茶葉抽出物を有機溶媒、減圧濃縮、膜濃縮等により濃縮した濃縮物を例示することができる。また、市販の「ポリフェノン」(三井農林(株))、「テアフラン」((株)伊藤園)、「サンフェノン」(太陽化学(株))、「サンウーロン」(サントリー(株))、「PF−TP」((株)ファーマフーズ)、「ポリフェノンHG」(東京フードテクノ(株))などのカテキン粉末を水又は水溶性有機溶媒に溶解して茶抽出液とすることもできる。
茶抽出液をタンナーゼ処理する場合の非重合体カテキン類濃度は特に限定はされないが、1〜10%、好ましくは1〜5%、更に好ましくは1〜3%で行うと効率的に反応を行うことができる。非重合体カテキン類濃度が10%を越えると、非重合体カテキン類の浸透圧によりタンナーゼの活性が低下し、同じガレート体率を得るためにはタンナーゼ使用量を増やす必要があり効率が悪い。また非重合体カテキン類濃度が1%未満の場合、処理する液体の量が増えてしまい、生産効率が低下し製造コストの増大を引き起こす。この非重合体カテキン類濃度範囲内でタンナーゼ処理を行うことにより、工業的規模において効率よく作業を行うことが出来る。
茶抽出液に対するタンナーゼの添加量は非重合体カテキン類量1mgあたりに換算すると、約0.02〜約2.0Unit、好ましくは約0.05〜約0.4Unitである。タンナーゼ処理条件としては、その水溶液のpHは4.0〜6.0、好ましくは4.5〜5.5にすることが適当であり、その水溶液の温度は30〜45℃、好ましくは35〜40℃で行うことが適当である。タンナーゼ処理後はできるだけ速やかに70〜90℃に昇温し、タンナーゼを失活させ反応を停止する。
茶抽出液中の非重合体カテキン総量に対するエステル型カテキン含量は特に限定されるものではないが、0〜40重量%となるように調整することが好ましい。非重合体カテキン総量に対するエステル型カテキン含量を0〜40重量%に調整することにより苦渋味・収斂味を低減させることができる。エステル型カテキン含量が40重量%を越えた場合、苦渋味・収斂味が強く感じられ好ましくない。
タンナーゼ処理により、エステル型カテキンは分解され没食子酸が遊離する。この没食子酸はえぐ味のある酸味を有している。本発明ではタンナーゼ処理後のカテキン類含有水溶液をL−アスコルビン酸型とした陰イオン交換樹脂と接触させることにより遊離した没食子酸を除去する。使用する陰イオン交換樹脂は特に限定されるものではなく、市販品の陰イオン交換樹脂を使用することが出来る。
使用可能な陰イオン交換樹脂としては、例えば、強塩基性のイオン交換樹脂としてはダイヤイオンSA−10A、SA−11A、SA−20A、SA−21A(以上、三菱化成社製)、アンバーライト IRA−400、IRA−410、IR−45(以上ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックスAG−1、21K、2、3、AG−4(以上ザ・ダウ・ケミカル社製)、また弱塩基性陰イオン交換樹脂処理の例としては、ダイヤイオンWA20、WA21、WA30(以上、三菱化成社製)、アンバーライトIRA−93ZU、IRA94S、IRA−94S−HG(以上ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックスS40285(ザ・ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
陰イオン交換樹脂をL−アスコルビン酸型とする方法としては、陰イオン交換樹脂をL−アスコルビン酸水溶液と接触させることにより行うことができる。具体的には、例えば、市販の陰イオン交換樹脂をカラムに充填した後水洗し、次いで0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%のL−アスコルビン酸水溶液を樹脂に対し5倍量〜100倍量、好ましくは10〜40倍量を、SV=5〜40程度の流速で通液することにより得られれる。L−アスコルビン酸型とした陰イオン交換樹脂は、さらにイオン交換水で水洗し使用まで待機する。
L−アスコルビン酸型としたイオン交換樹脂による茶抽出液の処理は、バッチ方式あるいはカラム方式のいずれも採用できるが、作業性の点からカラム方式を好ましく採用することができる。カラム方式で処理する方法としては、例えば、上記のようなイオン交換樹脂を充填したカラムに、該樹脂の10倍〜1000倍の茶抽出液をSV=1〜100の流速で通液し、没食子酸を吸着させ、その未吸着部を採取することにより本発明の苦渋味、収斂味の低減された茶抽出処理物を得ることができる。本発明では、タンナーゼ処理液中の非重合体カテキン類の濃度、タンナーゼ処理液のブリックス、イオン交換樹脂の使用量、イオン交換樹脂への通液速度等を調整し、茶抽出処理物中の遊離没食子酸の含有量を制御することが可能である。
また、L−アスコルビン酸型とした陰イオン交換樹脂による茶抽出液の処理では没食子酸は低減するが、アミノ酸は実質的に低減しない。したがって、原料として玉露や高級煎茶を用いた場合には、旨味をそのまま保持した茶抽出処理物を得ることが可能である。
上記した方法により得られる本発明の茶抽出処理物は、そのまま水溶液の形態として使用することもできるが、所望により適宜な濃縮手段を採用して濃縮物の形態とする
こともできる。また、さらに所望により該水溶液にデキストリン、加工澱粉、サイクロデキストリン、アラビアガム等の賦形剤を添加又は添加しないで噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの適宜な乾燥手段を採用して乾燥することにより粉末状とすることもできる。
かくして、本発明によれば、苦渋味、収斂味の低減されかつ酸味・えぐ味を有しない茶抽出処理物を含有する飲食品類、香粧品類、保健・衛生・医薬品類等を提供することができる。これらの例としては、例えば、茶類飲料、スポーツ飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳飲料、酒類などの飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類などの冷菓類;和・洋菓子、チューインガム類、チョコレート類、パン類、コーヒー、紅茶などの嗜好品類;各種のスナック類などに本発明の製造方法によって得られる茶抽出処理物を配合することにより、各種の機能性が付与された飲食品類を提供することができる。 以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
参考例1
タンナーゼ処理された茶抽出液(参考品1)の調製
静岡産緑茶葉600gを10リットル容の抽出カラムに仕込み、カラムの上部よりL−アスコルビン酸ナトリウム0.05%を含有する60℃のイオン交換水6000gを仕込み、30分間浸漬抽出後、抽出カラム下部より抽出液3960gを抜き取った(抽出液のBx3.2°)。抽出液にタンナーゼ(500u/g:三共(株)社製)6gを添加して溶解後、38℃にて4時間酵素処理を行った。酵素処理後、90℃にて2分間殺菌した後、25℃まで冷却後、遠心分離により清澄な緑茶エキス3840g(参考品1:Bx3.99°、pH4.78)を得た。
参考品1のカテキン類含量、没食子酸含量及びカフェイン含量、主なアミノ酸含量を表1に示す。
Figure 0004634409
カテキン類、没食子酸およびカフェインの含量の測定方法
試料を蒸留水で希釈した後、フィルター(0.45μm)でろ過し、Waters製高速液体クロマトグラフィー(Waters2695型セパレーションモジュール、Waters2996フォトダイオードアレーモジュール)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:(財)化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法で行い、移動相A液は酢酸を0.1モル/リットル含有の水溶液、B液は酢酸を0.1モル/リットル含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は10μL、UV検出波長は280nmの条件で行った。
アミノ酸含量の測定方法
日立高速アミノ酸分析計 L−8800Aによって行った。
実施例1(L−アスコルビン酸型弱塩基性陰イオン交換樹脂による処理)
L−アスコルビン酸型弱塩基性陰イオン交換樹脂の調整:市販の弱塩基性陰イオン交換樹脂WA30(三菱化学社製)50mlを95%エタノールに浸漬し樹脂臭を取り除いた後、カラムに充填し、イオン交換水10LをSV=400で通液しOH型とした後、5%L−アスコルビン酸水溶液1500mlをSV=20で通液しL−アスコルビン酸型とし、さらにイオン交換水10LをSV=400で通液して水洗しL−アスコルビン酸型弱塩基性陰イオン交換樹脂とした。
このL−アスコルビン酸型弱塩基性陰イオン交換樹脂50mlに、参考品1の1250g(対樹脂25倍量)をSV=20で通過させ、通過液(本発明品1)を得た。
比較例1
OH型弱塩基性陰イオン交換樹脂の調整:市販弱塩基性陰イオン交換樹脂WA30(三菱化学社製)50mlを95%エタノールに浸漬し樹脂臭を取り除いた後、カラムに充填し、イオン交換水10LをSV=400で通液し、OH型陰イオン交換樹脂とした。
このOH型弱塩基性陰イオン交換樹脂50mlに、参考品1の1250g(対樹脂25倍量)をSV=20で通過させ、通過液(比較品1)を得た。
比較例2
Cl型弱塩基性陰イオン交換樹脂の調整:市販弱塩基性陰イオン交換樹脂WA30(三菱化学社製)50mlを95%エタノールに浸漬し樹脂臭を取り除いた後、カラムに充填し、イオン交換水10LをSV=400で通液しOH型とした後、2%塩酸水溶液1500mlをSV=20で通液しCl型とし、さらにイオン交換水10LをSV=400で通液して水洗しCl型弱塩基性陰イオン交換樹脂とした。
このCl型弱塩基性陰イオン交換樹脂50mlに、参考品1の1250g(対樹脂25倍量)をSV=20で通過させ、通過液(比較品2)を得た。
参考品1に対する本発明品1、比較品1および比較品2の没食子酸除去率、カテキン収率(カテキン類8種の合計に対する)、各アミノ酸収率(4種)およびBx、pHを表2に示した。
Figure 0004634409
表2から明らかなとおり、L−アスコルビン酸型弱塩基性陰イオン交換樹脂にて処理した本発明品1はOH型弱塩基性陰イオン交換樹脂にて処理した比較品1およびCl型弱塩基性陰イオン交換樹脂にて処理した比較例2と比べて、没食子酸除去率およびカテキン収率が高く、没食子酸を含まないカテキン類の精製の目的に適合していることがわかる。比較品1はpHがやや高くOH型とした陰イオン交換樹脂中でアルカリと接触しているため、カテキンが劣化している可能性が予想される。また、比較品2にはClイオンが含まれていると考えられる。一方、本発明品1はアルカリとの接触もしておらず、Clイオンも含まれていないため、カテキン類の劣化も少なく、本発明品を使用した場合に最終製品中のClイオンを増加させる原因とはならない。また、アミノ酸についてはいずれの型の陰イオン交換樹脂を使用した場合でもほとんど低減しないという結果であった。
実施例2(風味評価)
本発明品1、比較品2および3をイオン交換水にてBx0.3°に希釈し、10名の良く訓練されたパネラーにより官能評価を行った。その平均的な評価結果を表3に示す。
Figure 0004634409
表3に示したとおり、陰イオン交換樹脂により没食子酸を除去した本発明品1および比較品1、2はいずれも、酸味・えぐ味等は感じられなく良好な風味を有していた。特に、L−アスコルビン酸型陰イオン交換樹脂にて没食子酸を除去した本発明品1は苦渋味・収斂味が抑えられていて酸味・えぐ味が感じられなく、色調も澄んだ輝きがあり良好であった。しかしながら、OH型陰イオン交換樹脂にて没食子酸を除去した比較品1は、苦渋味・収斂味が抑えられていて酸味・えぐ味が感じられないが、ややアルカリ的な臭気があり、色が黒ずんでいて本発明品1と比べると風味色調いずれもやや劣っていた。また、Cl型陰イオン交換樹脂にて没食子酸を除去した比較品2は苦渋味・収斂味が抑えられていて酸味・えぐ味が感じられないが、やや雑味があり、すっきり感に乏しく、やはり本発明品1と比べると劣っていた。
実施例3
ポリフェノンHG(東京フードテクノ製:非重合体カテキン類含有量33.7重量%、ガレート体率50%)5.94重量%水溶液4,000gを調整し(非重合体カテキン類2.0%、ガレート体率50%、pH5.0)、35℃に加温した後タンナーゼ(キッコーマン社製5000Unit/g)を2.4g(非重合体カテキン類1mgに対し0.15Unit)添加した。同温度にて30分間静置保持した後、80℃に昇温することでタンナーゼを失活し反応を停止した(pH4.2、非重合体カテキン類1.74%、ガレート体率8.5%、没食子酸0.49%)。その後、重曹にてpH5.0に調整し、カテキン類含有水溶液4000gを得た(参考品2:非重合体カテキン類1.74%、ガレート体率8.5%、没食子酸含量0.49%、没食子酸/(没食子酸+非重合体カテキン類)=0.220)。
参考品2のうち1050gをL−アスコルビン酸型陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA10A、三菱化学社製)35mlに通液し、通過液980gを得た(本発明品2:非重合体カテキン類1.71%、ガレート体率8.5%、没食子酸含量0.13%、没食子酸/(没食子酸+非重合体カテキン類)=0.071)。
比較例3
参考品2のうち1050gをOH型陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA10A、三菱化学社製)35mlに通液し、通過液980gを得た(比較品3:非重合体カテキン類1.55%、ガレート体率8.5%、没食子酸含量0.18%、没食子酸/(没食子酸+非重合体カテキン類)=0.104)。
比較例4
参考品2のうち1050gをCl型陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA10A、三菱化学社製)35mlに通液し、通過液980gを得た(比較品4:非重合体カテキン類1.68%、ガレート体率8.5%、没食子酸含量0.15%、没食子酸/(没食子酸+非重合体カテキン類)=0.082)。
実施例4(緑茶飲料への配合例)
煎茶100gに60℃イオン交換水2000gを加え、時々攪拌しながら10分間静置した後、40メッシュ金網にて茶葉を分離した。茶葉の残渣をイオン交換水1000gにて洗浄し、抽出液と洗浄液をあわせNo.2濾紙(アドバンテック社製)を使用して吸引ろ過した後、ろ液にL−アスコルビン酸ナトリウム4gと重曹0.2gを加え、イオン交換水にて非重合体カテキン類濃度として500ppmとなるよう調製した(全体量約10Kg)。この緑茶飲料に本発明品2、比較品3または比較品4をそれぞれ非重合体カテキン類濃度として1000ppmとなるように配合し、138℃、30秒UHT殺菌を行い、88℃に冷却しペットボトルに充填し、さらに30℃まで水冷した。それぞれのペットボトル飲料は常温で2週間保存後、20名の良く訓練されたパネラーにて官能評価を行った。官能評価結果は苦渋味・収斂味、酸味・えぐ味、総合評価を対象としそれぞれ20点を満点とし、非常に好ましい:17〜20点、やや良い:14〜17点、普通:11〜14点、やや劣る:8〜11点、劣る:8点以下の評価基準で採点し20名のパネラーの平均点を表4に示す。
Figure 0004634409
表4に示したとおり本発明品2、比較品3または比較品4を添加した緑茶飲料は、1000ppmという高濃度の非重合体カテキン類を含有するにもかかわらず、苦渋味・収斂味および酸味・えぐ味等は感じられなかった。しかしながら、比較品3(OH型とした陰イオン交換樹脂により没食子酸を除去した茶抽出処理物を使用)を添加した緑茶飲料は本発明品2を添加した緑茶飲料と比べ、やや重たい風味があり、すっきり感に乏しかった。また、比較品4(Cl型とした陰イオン交換樹脂により没食子酸を除去した茶抽出処理物を使用)を添加した緑茶飲料は本発明品2を添加した緑茶飲料と比べ、やや雑味があり、すっきり感に乏しかった。

Claims (2)

  1. タンナーゼ処理された茶抽出液を、L−アスコルビン酸型とした陰イオン交換樹脂を充填したカラムに通液し、没食子酸を吸着させ、没食子酸が選択的に除去された未吸着部を回収することを特徴とする茶抽出処理物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法により得られる茶抽出処理物。
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