JP4088637B2 - 茶抽出物 - Google Patents

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本発明は、茶飲料に添加した際にフロック発生の抑制乃至防止の効果を有し、茶に由来する苦味・渋味を低減する茶抽出物、及びそれを添加してなる茶飲料及びその製造方法、並びに茶飲料のフロック発生の抑制乃至防止方法及び茶飲料の苦味・渋味の低減方法に関する。
茶に含まれる苦渋味成分である茶カテキンは、抗う触作用、血圧上昇抑制作用、体脂肪抑制作用等の生理機能を有することが明らかにされ、注目を集めている。そこで、飲料を摂取する時にこうした茶カテキンの生理効果をより享受するために、茶カテキンを含む茶抽出物を添加して、高濃度の茶カテキンを含有させた飲料を製造する方法などが報告されている(特許文献1参照)。茶抽出物にはカフェインの少ないタイプや、カテキンを高濃度に含むタイプなど、様々なバリエーションで市販されており、手軽に飲料の成分をコントロールできる点で飲料の製造に欠かせない存在となってきている。
一方、茶飲料を長期間保存すると、次第にフロック(綿状浮遊物及び/又は沈殿物)が観察されるようになる。フロックは、時間の経過と共に、徐々にその大きさと量が増し、好ましくない濁りを有する外観を与えるだけでなく、このフロック発生現象はその形状や大きさから微生物による汚染と誤認されやすい等、茶飲料の好ましくない経時的変化として扱われている場合が多い。フロック発生現象は茶飲料全般に見られるが、緑茶において特に起こりやすい現象である。フロックの本体については分子量が2万以上の水溶性多糖成分であるとの報告(非特許文献1参照)や、茶成分の一つであるストリクチニンが加熱によってエラグ酸に分解され、このエラグ酸がタンパク質等と結合することによって形成される物質であるとの報告(特許文献2参照)等があるが、ポリフェノール、カフェイン、有機酸、金属イオン等、他成分の関与も推定され、フロックの発生原因や構成成分等について未解明な部分も多い。
茶飲料のフロック発生を抑制乃至防止する方法としては、例えば、フロック発生の原因物質と考えられている高分子多糖を酵素処理により分解する方法、原因物質や沈殿を限外濾過やケイ藻土濾過によって物理的に取り除く方法、フロック発生を抑制する成分を添加する方法、またはフロック発生の原因となる成分の含有量が少ない原料を使用する方法などの従来技術が開示されている。
これら従来技術の具体例を挙げれば、緑茶の温水抽出液を通常の遠心分離または濾過により清澄化処理した液にアスコルビン酸またはその塩を添加し、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素で処理し、必要により加熱殺菌処理する緑茶飲料の製造方法(特許文献3参照)、緑茶又は生鮮乃至乾燥茶葉を抽出して得た水溶性茶成分を限外濾過法により分画し、分子量約1万以上の高分子成分をほぼ除去することによる清澄緑茶飲料の製造方法(特許文献4参照)、フコイダン含有物を茶飲料および茶抽出液に添加することにより、茶飲料保存時に発生する綿状沈殿物(フロック)の発生を防止する方法(特許文献5参照)、容器詰緑茶飲料中のアルミニウムイオンと水不溶性固形分の量を調整する方法(特許文献6参照)、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンと珪素イオンの含有量を調整する方法(特許文献7参照)、ストリクチニンの含有量を指標に茶葉を選定し、茶飲料製造時のストリクチニン含有量を調整することにより製造後に発生するフロックを未然に防止する方法(特許文献2参照)などが提案されている。
特開2002−272373号公報 特開2003−235452号公報 特開平8−228684号公報 特開平4−45744号公報 特開2000−116327号公報 特開2004−180574号公報 特開2004−159665号公報 竹尾忠一、ソフトドリンクス技術資料、1号、1993年、P85
茶飲料におけるフロックの発生を抑制する方法に関しては、上記のような様々な方法が開示されている。しかし、これらの方法は、少なくとも次のような欠点を有する。例えば、限外濾過処理など、特別な製造工程を設ける方法では、新規な製造設備が必要となるのに加え、工程が煩雑になる。また、酵素処理による方法では、酵素反応に時間がかかり、カテキンなどの酸化によって風味が変化し、苦渋味を感じ易くなってしまう。また、外観の色調安定性にも大きな障害を与える。さらに、濾過処理等によって特定の内容成分を除去する方法、酵素処理による内容成分を変化させる方法、フコイダン含有物を添加する方法では、茶浸出液が本来有している成分を乱すことになるため、味のバランスが崩れて風味への影響が避けられない。茶に含まれる水溶性高分子多糖類は、フロックや変色の原因となる可能性がある一方で、茶飲料のボディー感を構成し、苦渋味を柔らかくマスキングする重要な働きを持っており、これを分解または除去する方法では、茶飲料独特の風味が著しく損なわれ、強い苦味、渋味、収斂性が目立ってしまい、保存安定性を付与する目的を達成できても嗜好性が劣ってしまうという問題がある。容器詰茶飲料中のアルミニウムイオンと水不溶性固形分の量をコントロールする方法、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンと珪素イオンの含有量をコントロールする方法、ストリクチニン含有量を指標に茶葉を選定し、茶飲料製造時のストリクチニンの含有量を調整する方法では、フロックの原因となる他成分の関与を考えると確実な方法とは言い難く、またこれらの方法では必然的に使用できる茶葉が限定されてしまうため、味覚を主眼においた茶葉の選択ができず、本来の目的である味のバランスが優れている嗜好性の高い茶飲料を提供するという目的を達成することが困難となる。以上のように、従来開示されている技術では、フロック発生を抑制乃至防止することと苦味・渋味が改善された嗜好性の向上という二点を十分に満足させうるものはなかった。
そこで本発明は、茶飲料に添加した際にフロック発生の抑制乃至防止効果を有し、また、苦味・渋味を緩和することができる茶抽出物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、アルミニウム含有量とテオガリン含有量の関係をバランス良くコントロールすることによって、茶飲料に配合した際に、保存時のフロック生成を抑制乃至防止することができ、かつ茶由来の苦味や渋味を改善する茶抽出物を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の茶抽出物は、請求項1に記載の通り、
次の成分(A)、(B):
(A)アルミニウム0.15〜15.0重量%、
(B)テオガリン
を含有し、成分(A)と成分(B)の重量比率〔(B)/(A)〕が0.001〜13.0であることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の茶抽出物は、請求項1記載の茶抽出物において、テオガリンの含有量が3.0重量%以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の茶抽出物は、請求項1または2記載の茶抽出物において、(C)カフェイン及び(A)アルミニウムの重量比率〔(C)/(A)〕が30.0以下であることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の茶抽出物は、請求項1乃至3のいずれかに記載の茶抽出物において、タンニンの含有量が50重量%以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の茶抽出物は、請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物において、緑茶を原料としたものであることを特徴とする。
また、本発明の茶飲料の製造方法は、請求項6に記載の通り、請求項1乃至5のいずれかに記載の茶抽出物を添加することを特徴とする。
また、本発明の茶飲料は、請求項7に記載の通り、請求項6に記載の製造方法で製造されてなることを特徴とする。
また、本発明の茶飲料のフロック発生の抑制乃至防止方法は、請求項8に記載の通り、請求項1乃至5のいずれかに記載の茶抽出物を添加することを特徴とする。
本発明の茶飲料の苦味・渋味の低減方法は、請求項9に記載の通り、請求項1乃至5のいずれかに記載の茶抽出物を添加することを特徴とする。
本発明の茶抽出物を茶飲料に添加すると、味のバランスの乱れによって生じる茶の苦味、渋味が抑えられ、かつフロック発生を抑制乃至防止することができる。これまでに実施されている茶飲料に茶抽出物を添加する試みとしては、単に茶に含まれるカテキン類の優れた生理作用を効果的に発現させることを目的としており、茶飲料のフロックの発生を抑制乃至防止する手段として茶抽出物が用いられた例は全く見当たらない。
また、本発明の茶抽出物を添加して茶飲料のフロックの発生を抑制乃至防止すれば、特別な装置を必要とせずに既存の設備を利用することができるため生産性、製造コストに対する効果が非常に大きく、更に長期間にわたりフロックの発生が抑制乃至防止されるため保存性に優れており、かつ、苦渋味を気にすることなく嗜好性の高い茶飲料を提供することができる。
以下において、本発明を詳細に説明する。
本発明の茶抽出物は、成分(A)としてアルミニウム0.15〜15.0重量%、成分(B)としてテオガリンを含有し、成分(A)と成分(B)の重量比率〔(B)/(A)〕が0.001〜13.0であることを特徴とするものである。本発明で言う茶抽出物とは、原料となる茶葉を水又は熱水又は含水有機溶媒で抽出し、遠心分離、濾過などの固液分離手段で不溶物を除去した茶抽出液、或いはこれを必要に応じてエバポレーターや凍結乾燥機等により濃縮液や乾燥物の形態にしたものである。本発明の茶抽出物は、例えば、原料となる茶葉や抽出方法を適宜選択してアルミニウム及びテオガリンの含有量を所定の組成となるように調整することで製造することができる。また、特に制限されないが、上記の方法で得られたアルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成ではない茶抽出物に対し、さらに溶媒分画法、限外濾過法、ゲル濾過法、透析などの公知の分離・精製方法を実施することによって、アルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成になるように調整することで製造することもできる。また、複数の茶抽出物を混ぜ合わせてアルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成になるように調整することも可能である。このような方法を用いれば、例えば、本実施例2にもあるように、アルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成ではない茶抽出物、アルミニウム化合物、アルミニウムを含有する天然物等を、組み合わせ原料の一部として用いることが可能である。
上記に示す原料となる茶葉とは、茶樹(Camellia Sinensis)の葉、又は茎、或いはこれらを原料として製造された加工品を指す。この加工品としては、例えば、緑茶や花茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の完全発酵茶を挙げることができ、いずれも本発明の茶抽出物を製造するための原料として使用可能であるが、中でも緑茶を原料とすることが好ましい。緑茶葉中に含まれるアルミニウムとテオガリンの存在比は、本発明の茶抽出物を製造するために好適なものであり、また、添加対象である茶飲料との風味の兼ね合いに優れるからである。
ここで言う緑茶は、茶樹の葉、又は茎を収穫後速やかに蒸気または火熱で熱する作業を含む工程により茶葉中の酵素活性を停止させ、すなわち茶の加工における発酵を防止することにより茶葉本来の成分や緑色が保持されるように製造されてなるものである。緑茶には茶樹の栽培方法や製造方法の違いにより様々なタイプがあり、具体的には煎茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、抹茶、番茶、ほうじ茶、茎茶、釜炒り茶などを例示することができる。添加する茶抽出物のアルミニウム含有量が多いとフロックが発生しにくく、テオガリン含有量が多いとフロックが発生し易い為、例えば、アルミニウム含有量の多い茶葉として中国茶や番茶、ほうじ茶等を使用すれば良いし、テオガリン含有量の少ない茶葉としては茎茶や番茶等を使用すればよく、これらの緑茶葉を適宜選択、および組み合わせて原料とすれば、目的とする茶抽出物を製造する事が可能となる。
なお、アルミニウムは煎茶(乾燥茶葉)に45mg%、番茶に300mg%程度含まれているが、湯温ではそのうち20%程度しか浸出されず(村松敬一郎、杉山公男、「茶の機能」、学会出版センター、p401)、一般的な茶抽出物におけるその含有量は0.01〜0.10重量%となっている。さらに、テオガリンは緑茶、ウーロン茶、紅茶等の茶葉(乾燥)に通常0.1〜4.0g%程度含まれている。
また本発明の茶抽出物は、市販されている複数の種類の茶抽出物を混ぜ合わせ、アルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成になるように調整することで製造することもできる。市販の茶抽出物としては、三井農林(株)の商品名「ポリフェノン」、(株)伊藤園の商品名「テアフラン」、太陽化学(株)の商品名「サンフェノン」などが挙げられる。
本発明の茶抽出物は、成分(A)としてアルミニウム0.15重量%〜15.0重量%を含有する。アルミニウム含有量が上限を上回ると、茶飲料のフロック抑制乃至防止効果は発揮するものの、茶飲料に含まれるカテキン等のポリフェノール成分がアルミニウムと結合体を形成して沈殿を起こす原因となったり人体に悪影響を及ぼしたりする恐れがあるため望ましくない。一方、アルミニウム含有量が下限値を下回ると、目的とするフロック発生抑制乃至防止効果が期待できないため望ましくない。アルミニウムの含有量は、好ましくは0.28重量%〜8.0重量%、より好ましくは0.35重量%〜5.0重量%、特に好ましくは0.42重量%〜3.0重量%、最も好ましくは0.50重量%〜1.0重量%である。
また前述したように、本発明の茶抽出物は、アルミニウム化合物やアルミニウムを含有する天然物等を組み合わせ原料の一部として用いることが可能である。具体的には、活性白土、酸性白土、ゼオライト、カオリン、ベントナイト等のアルミニウム含有鉱物性物質の他、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、三フッ化アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム等の無機アルミニウム化合物や有機アルミニウム化合物等が挙げられる。各種のアルミニウム塩は水和物の形態であってもよい。これらの中では、硫酸アンモニウムアルミニウム(焼アンモニウムミョウバン)、硫酸カリウムアルミニウム(焼ミョウバン)とこれらの水和物である硫酸アンモニウムアルミニウム・12水(アンモニウムミョウバン)、硫酸カリウムアルミニウム・12水(ミョウバン又はカリミョウバン)は、食品添加物として認可されているため好適に用いることができる。
また、アルミニウムを含有する葉菜類、海藻類、貝類等の動植物の抽出物等を、本発明の茶抽出物を作製する際の組み合わせ原料の一部として用いてもよく、中でも、茶飲料との相性に優れる点で植物抽出物を用いることが好ましい。
また、本発明の茶抽出物は、成分(A)であるアルミニウムと成分(B)であるテオガリンの重量比率〔(B)/(A)〕が、0.001〜13.0である。この重量比率が上限値を超えると、フロック発生の抑制乃至防止効果が発揮しにくくなる恐れがある。また下限値を下回ると、茶飲料独特の風味が著しく損なわれ、強い苦味、渋味、収斂性が目立つ等嗜好性が劣ってしまう。この重量比率は、好ましくは0.003〜6.0、より好ましくは0.005〜2.5、特に好ましくは0.008〜1.5、最も好ましくは0.01〜1.0である。
本発明の茶抽出物が茶飲料に添加した際に、フロックの発生をより効果的に抑制乃至防止する為には、茶抽出物のテオガリンの含有量は3.0重量%以下が好ましく、より好ましくは2.5重量%以下、更に好ましくは2.4重量%以下、殊更に好ましくは2.3重量%以下、最も好ましくは2.2重量%以下である(なお下限値は通常0.001重量%である)。ここで、テオガリンとはケミカルアブストラクツ登録番号(CAS登録番号)が17365−11−6の公知の化合物であり、茶飲料に含まれるこの化合物は、茶葉やウラジロガシ(学名:Quercus stenophylla)の樹皮(必要ならばH. Nishimura、他2名、Phytochemistry、第23巻、第11号、1984年、P2621を参照)等を原料として自体公知の方法で単離精製した標準物質を使用し、HPLCを用いて定量分析することができる。
また、本発明の茶抽出物は、成分(A)であるアルミニウムと成分(C)であるカフェインの重量比率〔(C)/(A)〕が、30.0以下である。この重量比率が上限値を超えると、強い苦味が口中に残り不快感を感じることがあり、フロック発生の抑制乃至防止効果が弱まる恐れがある。この重量比率は、好ましくは25.0以下、より好ましくは20.0以下、特に好ましくは16.0以下、最も好ましくは12.0以下である(なお下限値は通常0.01重量%である)。
また、本発明で用いる茶抽出物に含まれるタンニン含有量は50重量%以下が好ましく、より好ましくは40重量%以下である(なお下限値は1.0重量%である)。茶抽出物中のタンニン含有量が多すぎると、飲料に添加した際に苦味や渋味が強く、味のバランスが崩れて嗜好性を損なってしまう。
なお、本発明の茶抽出物には、その効果を阻害しない範囲内において、茶カテキン等の茶抽出物に通常含まれる成分を含んでいてもよい。
本発明の茶抽出物の茶飲料への添加は、茶飲料の製造工程のいずれかの段階で行えばよく、いずれの段階で行っても、保存中におけるフロックの発生を抑制乃至防止することができる。茶飲料の一般的な製造工程としては、まず飲料の原料とする茶葉を20〜50倍重量の温水又は熱水にて抽出する。抽出時間、温度は使用する茶葉の種類、求める茶飲料の品質や呈味性(例えば低温で抽出すると旨みが強くなり高温で抽出すると渋味が強くなる)等によって適宜調整するが、通常は45℃以上95℃以下で3分〜30分の抽出を行い、必要に応じて抽出中に撹拌を行う。次いで茶殻等を濾過や遠心分離により除去することにより茶抽出液を得る。これに、水を加えて飲用に適した濃度に希釈し、必要に応じて茶希釈液に対して100〜2000ppmのアスコルビン酸又はその塩等を添加し、同じく100〜2000ppmの炭酸水素ナトリウム等によりpHを5.0〜7.0の間に調整し、茶飲料調合液とする。最後にこの茶飲料調合液を金属缶やプラスチック容器、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器などの密封容器に充填して製品化する。また、これら工程中には必要に応じて殺菌工程が含まれる。本発明の茶抽出物はこれら工程中のいずれでも添加することができるが、本発明の茶抽出物の茶飲料への添加は、茶抽出液を希釈して茶飲料調合液とする段階か茶飲料調合液に対して行うことが作業効率上好ましい。
本発明の茶抽出物の茶飲料への添加量は、本発明の茶抽出物が所定の効果を奏する添加量であれば特に限定されるものではなく、茶飲料の製造工程における原料とする茶葉の種類や使用量、抽出方法、茶飲料の成分組成や形態等によって適宜調節すればよいが、一般的に、本発明の茶抽出物を添加する前の茶飲料調合液(密封容器への充填工程と殺菌工程を行う前のもの)のタンニンの含有量に基づき、その0.05〜20.0倍量、すなわち、例えば、タンニンの濃度が50mg%の茶飲料調合液においては、茶飲料調合液100mlに対して本発明の茶抽出物を2.5mg〜1g添加するのが効果的である(茶抽出物がタンニンを多量に含有している場合は、本発明の茶抽出物を添加した後の茶飲料調合液の含有量に基づいて添加量を設定するのが好ましい)。茶飲料調合液のタンニンの含有量に対する茶抽出物の添加量は、より好ましくは0.1〜10倍量であり、特に好ましくは0.2〜5倍量である。一般的にタンニンの含有量が多く、濃い茶飲料ほど、フロックの発生原因となる他の成分の影響等もあり、フロックが発生し易いため、茶抽出物の添加量も多めにするのが好ましい。
また、上記のような添加量で本発明の茶抽出物を添加した後の茶飲料調合液(密封容器への充填工程と殺菌工程を行う前のもの)の成分(A)であるアルミニウムと成分(B)であるテオガリンの重量比率〔(B)/(A)〕は、0.001〜8であるのが好ましく、0.03〜5であるのがより好ましく、0.3〜3であるのが更に好ましい。このような重量比率であると、茶飲料調合液のフロック発生は効果的に抑制乃至防止されるとともに、苦味・渋味等の嗜好性が改善される。なお、テオガリンは加熱殺菌工程中における熱によって変化してしまい、調合液時の30〜60%量までに減少してしまうので、加熱殺菌工程を経た容器詰飲料における〔(B)/(A)〕の値は、0.0003〜4.8であるのが好ましく、0.009〜3であるのがより好ましく、0.09〜1.8であるのが更に好ましい。
本発明の茶抽出物の添加対象である茶飲料としては、緑茶、花茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の完全発酵茶などがあげられる。通常、発酵が弱い茶葉ほど、柔らかなのど越しによる苦渋味のマスキング作用に長けている。従って、本発明の茶抽出物は、このような発酵が弱い茶葉を用いた、茶飲料、具体的には、緑茶又は花茶(ジャスミン茶等)の製造に適用することでより効果的に機能する。また本発明の茶抽出物の添加対象である茶飲料は、金属缶やプラスチック容器、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器などの密封容器に充填して製品化された容器詰飲料であることが、特に顕著なフロック抑制乃至防止効果を示す点から望ましい。なお、容器詰茶飲料の製造時には、主原料の茶葉以外に、副原料として玄米や各種植物の葉、茎、根などをブレンドしたものや、酸化防止剤、保存料、環状オリゴ糖、食物繊維、乳化剤、色素、香料、安定剤、pH調整剤、酸味料、甘味料、果汁、栄養強化剤などを単独、又は組み合わせて使用しても構わない。
なお、本発明の茶抽出物を茶飲料に添加することによるフロックの抑制乃至防止効果は、単独で行っても十分な効果が得られるが、その効果を補完したり増強したりするために、必要に応じて、公知のフロック発生抑制乃至防止方法、例えば、酵素処理により水溶性高分子多糖類を分解する方法、原因物質や沈殿物を限外濾過やケイ藻土濾過などの精密濾過により物理的に取り除く方法等を併用してもよい。
なお、本発明の茶抽出物は茶飲料以外にも、キャンディー、ガム、ゼリー等の菓子類や、医薬部外品、化粧料などの原料となる茶濃縮エキスの沈殿防止にも用いることもできる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:
アルミニウムとテオガリンの含有量が異なる種々の茶抽出物等(本発明品1、比較品1〜6、対照品)について、容器詰緑茶飲料に対するフロック発生の抑制乃至防止効果と、容器詰緑茶飲料の苦味・渋味に与える影響を調べた。
本発明品1:
緑茶葉(番茶)100gを90℃の熱水1000mLに投入し、撹拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離する。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、緑茶抽出液を得た。次に、これをポリスチレン樹脂(商品名:DIAION HP−20(三菱化学(株)製)を充填したカラムに通液後、15%メタノール水溶液を流して、画分を回収した。この画分を濃縮、乾固して、本発明品となる緑茶抽出物17g(アルミニウム含有量(A)=0.587重量%、テオガリン含有量(B)=0.166重量%、(B)/(A)=0.282、タンニン含有量=14.4重量%、カフェイン含有量(C)=6.156重量%、(C)/(A)=10.484)を得た。
比較品1:
緑茶葉(煎茶)50gを90℃の熱水500mLに投入し、本発明品1と同様の方法で抽出、濃縮、乾固を行い、比較品となる緑茶抽出物15g(アルミニウム含有量(A)=0.010重量%、テオガリン含有量(B)=1.813重量%、(B)/(A)=188.765、タンニン含有量=47.3重量%、カフェイン含有量(C)=9.575重量%、(C)/(A)=999.964)を得た。
比較品2:
緑茶葉(煎茶)50gを90℃の熱水500mLに投入し、本発明品1と同様の方法で抽出、濃縮、乾固を行い、比較品となる緑茶抽出物13g(アルミニウム含有量(A)=0.283重量%、テオガリン含有量(B)=3.988重量%、(B)/(A)=14.092、タンニン含有量=42.2重量%、カフェイン含有量(C)=10.500重量%、(C)/(A)=37.102)を得た。
比較品3:
ウーロン茶葉50gを90℃の熱水500mLに投入し、本発明品1と同様の方法で抽出、濃縮、乾固を行い、比較品となるウーロン茶抽出物14g(アルミニウム含有量(A)=0.075重量%、テオガリン含有量(B)=0.400重量%、(B)/(A)=5.332、タンニン含有量=31.6重量%、カフェイン含有量(C)=2.014重量%、(C)/(A)=26.853)を得た。
比較品4:
緑茶葉(煎茶)50gを90℃の熱水500mLに投入し、本発明品1と同様の方法で抽出、濃縮、乾固を行い、比較品となる緑茶抽出物15g(アルミニウム含有量(A)=0.075重量%、テオガリン含有量(B)=3.787重量%、(B)/(A)=50.543、タンニン含有量=53.2重量%、カフェイン含有量(C)=5.582重量%、(C)/(A)=74.493)を得た。
比較品5:
三井農林(株)の商品名「ポリフェノンCH」(アルミニウム含有量(A)=0.204重量%、テオガリン含有量(B)=3.027重量%、(B)/(A)=14.859、タンニン含有量=35.2重量%、カフェイン含有量(C)=7.134重量%、(C)/(A)=35.023)を比較品となる緑茶抽出物として用いた。
比較品6:
食品添加物として市販されているミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム・12水、和光純薬(株)製)(アルミニウム含有量(A)=5.692重量%、テオガリン含有量(B)=0重量%、(B)/(A)=0、タンニン含有量=0重量%、カフェイン含有量(C)=0重量%、(C)/(A)=0)を比較品として用いた。
なお、上記のアルミニウム、テオガリン、カフェイン、タンニンの含有量は、各サンプルを適量の純水に溶解した後、0.45μmメンブランフィルター(DISMIC−13HP;ADVANTEC)でろ過し、以下の条件でICP−AES分析またはHPLC分析に供して求めた。
1.アルミニウム含有量の測定方法
アルミニウム含有量は誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)を用いて以下の条件で測定を行った。
装置 :ICP−AES CIROS CCD−M(リガク)
プラズマ電力 :1400W
ポンプ流量 :1ml/min
プラズマガス流量 :Ar,13.0L/min
補助ガス流量 :Ar,1.0L/min
ネブライザーガス流量 :Ar,1.0L/min
分析線 :396.152nm
標準液 :関東化学製化学分析用標準液を使用
2.テオガリン及びカフェイン含有量の測定方法
テオガリン及びカフェイン含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件で測定を行った。
装置 :アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社 )
カラム: Mightysil RP−18 GP、4.6mmφ×150mm(5μm)(関東化学株式会社)
移動相:A液 アセトニトリル:0.05%リン酸水=25:1000
B液 アセトニトリル:0.05%リン酸水:メタノール=10:400:200 (体積比)
グラジエント:注入3分後から25分後にA液100%からB液100%に達するリニアグラジエント
流速:1ml/min
検出:UV275nm
カラム温度:40℃
3.タンニン含有量の測定方法
日本食品分析センター編、「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」、中央法規、2001年7月、p.252に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)に従って求めた。
(試験方法)
茶飲料用にブレンドした緑茶葉100gを、557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をタンニン濃度が50mg%(50mg/100ml)となるようにイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液に、本発明品1の緑茶抽出物を緑茶飲料調合液1000gに対して350mgを添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って容器詰緑茶飲料を作製した。一方、対照用容器詰緑茶飲料として、緑茶飲料調合液自体をそのまま耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌したものを製造した。
また本発明品1の緑茶抽出物の代わりに比較品1の緑茶抽出物、比較品2の緑茶抽出物、比較品3のウーロン茶抽出物、比較品4の緑茶抽出物、比較品5の緑茶抽出物、比較品6のミョウバンをそれぞれ用い、緑茶飲料調合液1000gに対して350mgずつ添加して、同様に容器詰緑茶飲料を製造した。
また、前述の試験方法と同様にして、緑茶抽出液を得、これをタンニン濃度が100mg%(100mg/100ml)となるようにイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.6gずつ加え、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液に、本発明品1の緑茶抽出物を緑茶飲料調合液1000gに対して4gを添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って容器詰緑茶飲料を作製した。一方、対照用容器詰緑茶飲料として、緑茶飲料調合液自体をそのまま耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌したものを製造した。
また本発明品1の緑茶抽出物の代わりに比較品1の緑茶抽出物、比較品2の緑茶抽出物、比較品3のウーロン茶抽出物、比較品4の緑茶抽出物、比較品5の緑茶抽出物、比較品6のミョウバンをそれぞれ用い、緑茶飲料調合液1000gに対して4gずつ添加して、同様に容器詰緑茶飲料を製造した。
以上で得られた容器詰緑茶飲料を室温に冷却後、25℃の恒温機中に保存し、経時的なフロックの発生を目視観察して、保存を開始してからフロックが発生するまでにかかった日数(以下、「フロック発生日数」とする)を記録した。フロック発生日数が30日以上の場合は「発生なし」と評価した。また茶抽出物未添加の対照品と比較してフロックの発生を2倍以上遅らせた場合に、「効果あり」と評価した。また、これらの容器詰緑茶飲料を2週間保存した後、苦渋味などの味覚について官能試験を行った。試験は10人のパネラーによる3点満点の評価(3点:良い、2点:やや良い、1点:やや悪い、0点:悪い)で行い、全パネラーから得られた平均点で表した。
実施例2:
次に、実施例1で用いた本発明品1の茶抽出物と、比較品1〜5の茶抽出物又は比較品6の添加物をブレンドすることで調製した、アルミニウム含有量とテオガリン含有量が異なる種々の茶抽出物(本発明品2〜7)について、容器詰緑茶飲料に対するフロック発生の抑制乃至防止効果と、容器詰緑茶飲料の苦味・渋味に与える影響を調べた。
本発明品2:
本発明品1の緑茶抽出物3.5gと比較品2の緑茶抽出物6.5gをブレンドし、本発明の緑茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.389重量%、テオガリン含有量(B)=2.650重量%、(B)/(A)=6.804、タンニン含有量=32.5重量%、カフェイン含有量(C)=8.980重量%、(C)/(A)=23.056)を得た。
本発明品3:
本発明品1の緑茶抽出物5.0gと比較品5の緑茶抽出物5.0gをブレンドし、本発明の緑茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.396重量%、テオガリン含有量(B)=1.596重量%、(B)/(A)=4.035、タンニン含有量=24.8重量%、カフェイン含有量(C)=6.645重量%、(C)/(A)=16.797)を得た。
本発明品4:
本発明品1の緑茶抽出物4.5gと比較品4の緑茶抽出物5.5gをブレンドし、本発明の緑茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.306重量%、テオガリン含有量(B)=2.157重量%、(B)/(A)=7.062、タンニン含有量=27.3重量%、カフェイン含有量(C)=5.840重量%、(C)/(A)=19.117)を得た。
本発明品5:
本発明品1の緑茶抽出物6.5gと比較品1の緑茶抽出物3.5gをブレンドし、本発明の緑茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.385重量%、テオガリン含有量(B)=0.742重量%、(B)/(A)=1.927、タンニン含有量=25.9重量%、カフェイン含有量(C)=7.353重量%、(C)/(A)=19.089)を得た。
本発明品6:
本発明品1の緑茶抽出物2.5gと比較品3のウーロン茶抽出物7.5gをブレンドし、本発明の茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.203重量%、テオガリン含有量(B)=0.341重量%、(B)/(A)=1.682、タンニン含有量=27.3重量%、カフェイン含有量(C)=3.050重量%、(C)/(A)=15.018)を得た。
本発明品7:
本発明品1の緑茶抽出物8.0gと比較品6のミョウバン2.0gをブレンドし、本発明の茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=1.608重量%、テオガリン含有量(B)=0.133重量%、(B)/(A)=0.226、タンニン含有量=11.5重量%、カフェイン含有量(C)=4.925重量%、(C)/(A)=8.387)を得た。
(試験方法)
実施例1の試験方法と同様にして、緑茶抽出液を得、タンニン濃度が50mg%(50mg/100ml)となるように希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液に、本発明品2〜7に示す茶抽出物をそれぞれ緑茶飲料調合液1000gに対して350mgずつ添加し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って容器詰緑茶飲料を製造した。一方、対照用容器詰緑茶飲料として、茶抽出物無添加のものも作製した。
また、実施例1の試験方法と同様にして、緑茶抽出液を得、これをタンニン濃度が100mg%(100mg/100ml)となるように希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを希釈液1000gあたり0.6gずつ加え、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液に、本発明品2〜7に示す茶抽出物をそれぞれ緑茶飲料調合液1000gに対して4gずつ添加した。各々の調合液を耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って容器詰緑茶飲料とした。一方、対照用容器詰緑茶飲料として、茶抽出物無添加のものも作製した。
こうして製造した容器詰緑茶飲料に対し、実施例1と同様の評価を行った。
Figure 0004088637
Figure 0004088637
表1および表2から明らかなように、茶抽出物を混合し、アルミニウム含有量とテオガリン含有量の値をコントロールした茶抽出物を添加すると、茶飲料のフロックの発生を抑制乃至防止し、苦味・渋味を抑えることが確認された。
実施例3:
実施例1で用いた本発明品1を添加して、容器詰緑茶飲料を製造した。
茶飲料用にブレンドした緑茶葉100gを、557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をタンニン濃度が50mg%(50mg/100ml)となるようにイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液に、本発明品1の緑茶抽出物を緑茶飲料調合液1000gに対して350mgを添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って本発明品となる容器詰緑茶飲料を作製した。
以上で得られた容器詰緑茶飲料を室温に冷却後、25℃の恒温機中に60日間保存したが、フロックの発生はみられず、さらに、この容器詰緑茶飲料を飲用しても強い苦味・渋味などは感じられず飲用しやすかった。
実施例4:
実施例2で用いた本発明品2を添加して、容器詰緑茶飲料を製造した。
茶飲料用にブレンドした緑茶葉100gを、557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をタンニン濃度が100mg%(100mg/100ml)となるようにイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.6gずつ加え、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液に、本発明品2の緑茶抽出物を緑茶飲料調合液1000gに対して4gを添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って本発明品となる容器詰緑茶飲料を作製した。
以上で得られた容器詰緑茶飲料を室温に冷却後、25℃の恒温機中に60日間保存したが、フロックの発生はみられず、さらに、この容器詰緑茶飲料を飲用しても強い苦味・渋味などは感じられず飲用しやすかった。
本発明の茶抽出物及びそれを添加してなる茶飲料は、前記の通り、特別な装置を必要とせず既存の設備を利用して簡便に、フロックの発生を長期間にわたり抑制乃至防止する効果を有し、且つ苦味・渋味を抑える高品質な茶抽出物及び茶飲料の製造に利用可能である。

Claims (8)

  1. 次の成分(A)ないし(C)
    (A)アルミニウム0.15〜15.0重量%、
    (B)テオガリン
    (C)カフェイン
    を含有し、成分(A)と成分(B)の重量比率〔(B)/(A)〕が0.001〜13.0であり、成分(A)と成分(C)の重量比率〔(C)/(A)〕が30.0以下である茶抽出物。
  2. テオガリンの含有量が3.0重量%以下である請求項1記載の茶抽出物。
  3. タンニンの含有量が50重量%以下である請求項1または2記載の茶抽出物。
  4. 緑茶を原料としたものである請求項1乃至のいずれかに記載の茶抽出物。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによる茶飲料の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物を、茶飲料調合液中のタンニン含量に対して0.1〜20倍量添加して得られる茶飲料。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによる茶飲料のフロック発生の抑制乃至防止方法。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによる茶飲料の苦味・渋味の低減方法。
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