JP7074418B1 - 発酵茶抽出液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発酵茶本来の香味を維持しながらも効果的に清澄化された発酵茶抽出液を製造する手段を提供すること。【解決手段】発酵茶抽出液に対して、少なくともプロシアニジン若しくはプロデルフィニジンのいずれかを部分構造として含む縮合型タンニンおよび/またはタンニン酸を添加し、これを一定時間保持すると、白濁物質が成長して凝集する。この凝集物を遠心分離などで除去することによって、発酵茶本来の香味が維持された清澄な発酵茶エキスが得られる。この発酵茶エキスは発酵茶飲料に利用できるほか、乾燥してインスタント粉末発酵茶とすることもできる。【選択図】なし

Description

本発明は、発酵茶抽出液の製造方法に関するものである。
発酵茶の抽出液、とりわけ紅茶の抽出液は抽出後から液温の低下に伴って「クリーミング」と呼ばれる白濁化する現象や、さらなる時間経過によって白濁化した物質が凝集して沈降する「クリームダウン」と呼ばれる現象が起こる。この現象は紅茶などの発酵度の高い茶葉の抽出液に特有なものであり、その発生メカニズムは茶葉から浸出した重合ポリフェノールとカフェインが複合体を形成するためであることが知られている。このような白濁化現象はアルコールなどの有機溶媒中では生じないが、茶葉を高温の抽出液で抽出された際にみられる特有のものであり、茶飲料や茶エキスの外観を著しく損ねる原因となるため、発酵茶抽出液を清澄化させる手段が従来から検討されてきた。
白濁化の原因となる重合ポリフェノールとカフェインの複合体の形成には、重合ポリフェノールのガレート基(没食子酸エステル部分)が関与するため、ガレート基を分解する酵素であるタンナーゼで処理することで白濁化を防止する方法が広く利用されている(非特許文献1)。その他、白濁化しにくい抽出液を得る手段として、特許文献1には、紅茶葉を15~25℃の温度で水抽出し、抽出液の糖度が2.0に達した時点で抽出を止めることによる、白濁を生じない紅茶抽出液の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、低温で抽出した紅茶抽出液を冷却後に低温で遠心分離することによるクリームダウンを発生しにくい紅茶飲料の製造方法が開示されている。
ところで、清酒中に残留したタンパク質が変性沈殿する「白ボケ」と呼ばれる現象の防止策として、柿渋(柿タンニン)をタンパク質と結合沈殿させる清澄化剤(滓下げ剤)として用いる手段が古くから利用されてきた。その応用例として特許文献3には、ウーロン茶抽出液を含むアルコール溶液に対して柿渋とゼラチンを用いて清澄化したことが記載されている。また、特許文献4には、アルコールまたはアルコールと水との混合液で抽出した植物の抽出液に柿渋を添加し、生じた析出物を除去する植物抽出液の清澄化方法が記載されている。また、非特許文献2にはワインの品質向上を目的として、ワイン中のタンパクに由来する滓の除去にタンニン酸を添加する技術や、過剰なポリフェノールによる渋みの低減にゼラチンを添加する技術が記載されている。
その他、柿渋の吸着作用を茶成分に利用した技術としては、柿タンニン水溶液を酸素存在下で酸化させて得られる水不溶性のゲルを用いてカテキン溶液中のカフェインを選択的に吸着除去する方法(特許文献5)や、柿渋とカフェイン含有食品産業廃棄物を接触させることによってカフェインを低減し、カフェインを含有する産業廃棄物を早期に肥料化する方法(特許文献6)が開示されている。
特開昭53-024099号公報 特開平01-171435号公報 特開昭61-052270号公報 特開平8-127796号公報 特開2013-106535号公報 特開平10-29884号公報
日本食品工業学会誌、1974年、第22巻、第6号、pp.286-291 日本ブドウ・ワイン学会誌、2005年、16巻、第1号、pp.22-32
紅茶抽出液の白濁化を防止して清澄化させる手段として、タンナーゼを利用する方法では、紅茶特有のポリフェノールが酵素反応で分解することによって紅茶本来の爽快な渋みが抑制されてしまう。さらに、分解によって遊離する没食子酸は、紅茶抽出液に酸味を帯びさせる原因にもなってしまう。したがって、このような酵素反応は紅茶抽出液の清澄化に一定の効果はあるものの、紅茶本来の香味に対する影響を避けることができない。また、紅茶葉を低温で抽出する方法では紅茶成分の抽出が緩慢となるため、紅茶本来の香味や色調を十分に引き出すことが難しく、その効果は必ずしも満足できるものではなかった。
また、茶成分を含有する酒類の清澄化や茶成分中のカフェインの除去を目的として柿渋を使用する技術のほか、ワイン中のタンパクを除去する手段としてタンニン酸を添加する技術が開示されている。しかしながら、これらはいずれもカフェインとポリフェノールからなる複合体の形成からなる白濁を抑制することを目的としたものではなかった。したがって、本発明の課題は、紅茶本来の香味を維持しながらも効果的に清澄化された紅茶抽出液を製造する手段を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた過程で、紅茶抽出液に柿タンニンを添加することによって、紅茶抽出液の白濁化現象が強力に促進されることを発見した。さらに、この白濁は一定時間保持することで凝集して分離可能なまでに成長することを認め、この凝集物を分離除去することによって清澄で良好な香味の紅茶抽出液が得られることを見出した。また、この効果は柿タンニン以外にも、ブドウ種子タンニンやリンゴタンニン、タンニン酸でも同様にして得られることを確認した。そのことから、本技術における有効成分は、少なくともプロシアニジン若しくはプロデルフィニジンのいずれかの部分構造を構造中に含む縮合型タンニンまたはタンニン酸であることを突き止め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]発酵茶葉を水性媒体で抽出した発酵茶抽出液に対し、少なくともプロシアニジン若しくはプロデルフィニジンのいずれかを部分構造として含む縮合型タンニンおよび/またはタンニン酸を添加後に一定時間保持し、生じた凝集物を除去することを特徴とする発酵茶抽出液の製造方法。
[2]縮合型タンニンが構造中にガレート基を有することを特徴とする[1]に記載の発酵茶抽出液の製造方法。
[3]縮合型タンニンが、柿タンニン、ブドウ種子タンニンおよびリンゴタンニンから選ばれる1種以上であることを特徴とする[1]に記載の発酵茶抽出液の製造方法。
[4]縮合型タンニンおよび/またはタンニン酸の添加量が発酵茶由来固形分に対して0.5%以上であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の発酵茶抽出液の製造方法。
[5]保持中の抽出液温度が0~37℃であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の発酵茶抽出液の製造方法。
[6]発酵茶が紅茶または烏龍茶である[1]から[5]のいずれかに記載の発酵茶抽出液の製造方法。
[7][1]から[6]のいずれかに記載の製造方法で得られる発酵茶抽出液を用いることを特徴とする発酵茶飲料の製造方法。
[8][1]から[6]のいずれかに記載の製造方法で得られる発酵茶抽出液を乾燥することを特徴とする粉末発酵茶の製造方法。
[9]発酵茶葉を水性媒体で抽出した発酵茶抽出液に対し、少なくともプロシアニジン若しくはプロデルフィニジンのいずれかを部分構造として含む縮合型タンニンおよび/またはタンニン酸を添加後に一定時間保持し、生じた凝集物を除去することを特徴とする発酵茶抽出液の清澄化方法。
本発明によれば、発酵茶本来の香味を維持しながらも効果的に清澄化された発酵茶抽出液を提供することができ、得られる抽出液の澄明性を活用して各種の飲食品を調製することが可能である。また、本発明の有効成分は発酵茶中に含まれるカテキン重合物(発酵茶特有のポリフェノール)と類似した部分構造を有し、その苦渋味を伴う呈味性も近いため、発酵茶本来の香味に与える影響が少ない。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、特別な記載がない場合、「%」は質量%を示す。また、「下限値~上限値」の数値範囲は、特に他の意味であることを明記しない限り、「下限値以上、上限値以下」の数値範囲を意味する。また、液体中の固形分とはブリックス固形を意味する。
本発明の製造方法において、発酵茶の白濁化を促進することのできる有効成分は、少なくともプロシアニジン若しくはプロデルフィニジンのいずれかを構造中に含む縮合型タンニン、またはタンニン酸である。本発明においてはそれぞれを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
ここで、本発明において縮合型タンニンとは、プロアントシアニジンに属する化合物であって、フラバン-3-オールを構成単位として、それらの4位と8位または4位と6位の炭素間で構成単位同士が結合したポリマーを指す。このようなプロアントシアニジンは、塩酸のような無機酸で加熱することによって炭素間の結合が切れてアントシアニジン(anthocyanidin)を生じるものとして知られている。生じるアントシアニジンは構成単位がカテコール型である場合にはシアニジン、ピロガロール型である場合にはデルフィニジンであり、このようなアントシアニジンを生じるプロアントシアニジンはそれぞれ、プロシアニンジン、プロデルフィニジンと呼ばれている。天然に存在する縮合型タンニンは、その構成単位が単一ではない場合が多く、本発明技術の有効成分の一つである縮合型タンニンは、その構造中に少なくともプロシアニジンまたはプロデルフィニジンの部分構造を含むものである。例えば、リンゴタンニンやブドウ種子タンニンはプロシアニジン構造を部分構造に含み、柿タンニンはプロシアニンジン構造とプロデルフィニジン構造を部分構造に含んでいる。さらに、ブドウタンニンや柿タンニンではその構造中にフラバン-3-オールの3位水酸基がガレート基に置換されたプロシアニジンガレートやプロデルフィニジンガレートの部分構造を含んでいる。このようなガレート基を有する縮合型タンニンは発酵茶抽出液の製造に適用した際の清澄化能力が高く、本発明の実施にあたって特に好適に使用することができる。
本発明においては、プロデルフィニジンガレートを構造中に含む縮合型タンニンが効果の点においてとりわけ好適に利用することができる。その代表的なものとしては、柿タンニンが挙げられ、本発明では、一般的に「柿渋」として扱われている素材を好適に使用することができる。柿由来のタンニンは柿に含まれる渋み成分であり、主に4種のカテキン類(EGC:エピガロカテキン、EGCg:エピガロカテキンガレート、EC:エピカテキン、ECg:エピカテキンガレート)から構成される高分子量の縮合型タンニンであり、その構成比はEC:ECG:EGC:EGCG=1:1:2:2、重量平均分子量は1.12×10であると考えられている(Agricultural and Biological Chemistry、1978年、42巻、pp.1637-1643)。柿渋は渋柿の未熟な果実を粉砕・圧搾し、それを発酵・熟成させて得られる赤褐色の液体である。柿渋の中には多量の柿タンニンが含まれており、防腐・防虫・防水作用を有する塗料や、タンパク質との結合性による清酒の清澄化剤(滓下げ剤)として古くから利用されている。なお、柿渋中にはタンニン成分の他に、有機酸やアミノ酸、糖類などの低分子化合物が含有されている。そのため、本発明の適用にあたっては、たとえば限外ろ過膜などでこれらを除去することによって、添加対象の香味への影響を低減することができる。柿タンニンの力価はコロイド分析法(国税庁所定分析法、平成19年改正)で求めることができる。
上記のような柿タンニンの市販品としては、例えば「精製柿タンニン・H-1」(岩本亀太郎本店製、限外ろ過膜で分子サイズ1万以上の画分を回収した製品)を本発明の実施おいて好適に利用することができる。その他縮合型タンニンの市販品としては、例えばリンゴタンニンとして「アップルフェノン」シリーズ(BGGJapan株式会社製)、ブドウ種子タンニンとして「グラヴィノール」シリーズ(キッコーマンバイオケミファ株式会社製)などを本発明の実施おいて好適に利用することができる。その他、縮合型タンニンは、ミモザ(ワットル)やケブラッチョから得られるタンニン分も同様に使用することができる。
また、本発明においては、有効成分としてタンニン酸を使用することもできる。タンニン酸は加水分解型タンニンに分類され、CAS番号:1401-55-4として登録されている化合物であり、ヌルデ属植物やブナ科植物の虫こぶである五倍子や没食子を抽出して得られる。タンニン酸は試薬メーカーから試薬として販売されているもののほか、食品添加物グレードとしても販売されており、例えば「タンニン酸AL」(富士化学工業)を本発明の実施において好適に利用することができる。
本発明の製造方法における原料茶葉としては、チャノキ(学名:Camellia sinensis)の葉や茎などの摘採物を原料として発酵を含む工程で製造された発酵茶葉(荒茶や仕上げ茶)である。発酵茶葉の種類としては、ダージリン、アッサム、ニルギリ、ディンブラ、ウバ、ヌアラエリア、ケニア、キーモン等の紅茶葉、赤烏龍、東方美人、武夷岩茶、水仙、鉄観音、黄金桂、色種、台湾凍頂等の烏龍茶を1種あるいは2種以上の茶葉をブレンドしたものを原料として使用できる。また、やぶきた、べにほまれ、べにひかり、べにふじ、べにふうきなどの品種から加工された日本産の紅茶葉や烏龍茶を使用してもよい。本発明の製造方法は発酵茶の中でも特に紅茶のような完全発酵茶が有効であるが、発酵度が高い烏龍茶等の半発酵茶、プアール茶などの後発酵茶なども紅茶同様に白濁化することがあり、これらに対しても本発明の製造方法を用いることができる。なお、本発明においては一般に流通している市販の茶葉を使用してもよい。
本発明における発酵茶抽出液とは発酵茶を原料茶葉として水性媒体を用いて抽出して得られる抽出液を意味する。その抽出方法としては、例えばニーダーや抽出用タンクなどを用いたバッチ式抽出法や抽出塔などを用いたカラム式抽出法などの公知の方法が挙げられる。抽出の条件は原料茶葉の種類、抽出機の種類、香味設計などにより適宜選択されるものであるが、例えば原料茶葉1重量部に対して3~50重量部の抽出溶媒を用いれば良く、4~30重量部が抽出効率、製造コストおよび品質などの点で好ましい。水性媒体とは具体的には水を意味し、冷水~沸騰水の温度範囲で使用されるが、本発明の技術は高温の水で抽出する場合に特に有効である。抽出時の温度と時間は特に制限されず、例えば5~100℃、30秒~24時間の範囲で原料茶葉の性質や目的とする香味設計に応じて適宜設定すればよい。抽出時は必要に応じて撹拌を行い、上記抽出工程の後にカートリッジフィルター、ネルろ布、ろ過板、ろ紙、ろ過助剤を併用したフィルタープレスなどのろ過や遠心分離などにより固液分離して発酵茶抽出液を得ることができる。
本発明は発酵茶抽出液に対して縮合型タンニンやタンニン酸を添加することによって、白濁化を促進させる処理工程を含む。この工程において縮合型タンニンやタンニン酸の添加量は、発酵茶抽出液中の茶葉由来の固形分(本明細書では単に「茶固形分」ということもある)に対する固形分量として0.5%以上であることが好ましい。添加量が0.5%以上であると白濁化が促進され、短時間で白濁化成分を凝集させることができる。一方、清澄化作用は添加量に依存するが、多すぎる場合には香味に影響する場合がある。そのため、添加量は8.0%以下とするのが好ましい。8.0%以下であれば、縮合型タンニンやタンニン酸に由来する渋みや異味異臭が僅かであり、発酵茶抽出液が有する本来の香味への影響を抑えることができる。また、縮合型タンニンやタンニン酸の添加量は、より好ましくは1.0~6.0%、さらに好ましくは2.0~5.0%である。なお、縮合型タンニンやタンニン酸の有効な濃度は発酵茶中の発酵度やポリフェノール含有率によっても影響を受けることがあるため、実施にあたってはコストや香味への影響を抑える意味で、事前に最適添加量を検討しておくのが望ましい。また、発酵茶抽出液の茶固形分濃度が低すぎると凝集物の成長速度が遅く、効率が低下する。一方、茶固形濃度が高すぎる場合には凝集物の分離が困難となったり、歩留まりが低下するおそれがある。そのため、縮合型タンニンおよび/またはタンニン酸を添加して清澄化処理する際の抽出液のブリックス固形濃度としては0.2~30%が好ましく、より好ましくは1~20%、さらに好ましくは1.5~10%である。
本発明の製造方法では、発酵茶抽出液に縮合型タンニンを添加した後に一定時間保持することによって白濁物質を凝集させる工程を含む。この工程によって、発酵茶抽出液中の白濁物質を分離可能な程度にまでに成長させることができる。この際の保持時間は0.5~24時間が好ましく、保持時間がこの範囲にあれば白濁物質を成長させることができ、分離しやすい状態とすることができる。さらに、保持時間は1~8時間がより好ましく、2~5時間がさらに好ましい。保持時間をこのような範囲とすることによって、より効率的に白濁物質を成長させながら、発酵茶抽出液本来の香味への影響を抑えることができる。
また、保持中の抽出液の温度は0~37℃であることが好ましい。液温が37℃以下であれば、白濁物質の凝集が進行し、それを除去することで抽出液の清澄度を高めることができる。また、液温を0℃以上に保つことで凍結・融解により液中成分が過飽和になることによって必要な成分が析出する可能性を避けることができる。さらに、保持中の液温は0~25℃がより好ましく、0~15℃がさらに好ましい。液温をこのような範囲とすることによって、より効率的に白濁物質を成長させながら、発酵茶抽出液本来の香味への影響を抑えることができる。なお、生じる凝集物の結合力はあまり強くないため、凝集物の再分散を抑制するために、保持中の溶液は静置するか、撹拌するとしても緩やかな撹拌に留めるのが好ましい。
さらに、保持中の発酵茶抽出液のpHを低く調整し酸性条件下で処理することによって、清澄化の効率を向上させることができる。例えば、縮合型タンニンやタンニン酸を添加する前に発酵茶抽出液のpHを好ましくは2~5、より好ましくは3~5に調整することで、縮合型タンニンの添加量を少なくできるほか、凝集物を分離除去できる状態に成長するまでの保持時間を短縮することもできる。pHをこの範囲にすることによって、さらに効率的に発酵茶抽出液を清澄化することができる。このようにして得られる発酵茶抽出液は、酸性の発酵茶飲料に応用する際に有利となる。一般的に発酵茶抽出液は酸性条件下では中性条件に比べて濁りを生じやすいが、本発明の技術を酸性条件で行うことで得られる発酵茶抽出液はフルーツティーのような酸性の発酵茶飲料でも濁りを生じにくく、好適に利用することができる。
本発明の製造方法では凝集によって成長した白濁物質を分離除去する工程を含む。この際の分離方法としては発酵茶抽出液と凝集物とが分離できる方法であれば良く、例えば遠心分離、沈降分離、ろ過などの方法を提示できる。本発明の実施による沈降物がやや脆い凝集物である点と抽出液との比重差があまり大きくない点から、これらの中では特に遠心分離による方法が連続処理が可能な点も含めて効率が良く、好適に採用される。遠心分離の際には、使用する装置によって凝集物を分離できる条件を適宜設定すればよいが、一般的な装置の場合には遠心力として500G以上、好ましくは1000G以上、より好ましくは3000G以上の能力があると、遠心分離後に得られる上清の清澄度を高くすることができるため好ましい。その他、ろ過による方法を採用する場合には、カートリッジフィルター、ネルろ布、ろ過板、ろ紙、ろ過助剤を併用したフィルタープレスなどのろ過方法が挙げられ、特に珪藻土などのろ過助剤を併用してろ過するのが望ましい。沈降ろ過の場合には、抽出液が凍結しない程度の低温で長時間保持するのが望ましい。
本発明の製造方法により得られる発酵茶抽出液はその用途を問わず、各種の飲料や食品に添加することができるが、高い澄明性が長期間に亘って保持できる点を考慮すると、飲料製品、特に透明容器詰めの飲料に好適に使用することができる。その際、必要に応じて各種の食品に使用可能な添加物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、乳化剤、香料、pH調整剤、栄養強化剤などの成分を適宜選択して配合してもよい。一般的に、発酵茶抽出液を用いて果汁や酸味料を配合した酸性の発酵茶は保存中に白濁が生じやすいが、本発明の製造方法で得られる発酵茶抽出液を用いることによって、高濃度で発酵茶成分を配合することができるため、発酵茶本来の本格的な香味を得ることができる。
また、本発明の製造方法で得られる発酵茶抽出液は高濃度にした場合でも澄明性を保つことができるため、濃縮タイプの発酵茶飲料の調製に好適に用いることができる。濃縮タイプの発酵茶飲料とは希釈して飲用に供する茶飲料であって、例えば、茶固形分として1~15%を含み、甘味料や香料等が適宜配合された、飲用時に3倍から50倍に希釈して飲用に供する濃縮品を例示できる。ここでいう濃縮とは飲用濃度よりも高濃度であることを意味し、濃い抽出液を得る公知の方法を用いれば必ずしも濃縮の作業を伴わなくてもよい。その他、本発明の発酵茶抽出液を利用して、ゼリー状などのデザート系食品とすることもできる。さらに、本発明の製造方法で得られる発酵茶抽出液を乾燥することによって、冷水でも澄明に溶解するインスタント粉末発酵茶にすることもできる。その際の乾燥方法は噴霧乾燥や凍結乾燥などの公知の手段を用いればよい。本発明の発酵茶抽出液の製造方法を用いることによって、粉末に加工した場合にも溶解時に濁りの少ない発酵茶飲料が得られる。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<濁度の測定方法>
試験液を25℃に調温し、濁度計(商品名:Turbidmator TN100IR、メーカー:EUTECH INSTRUMENTS)を使用し、ホルマジン標準液を用いた比濁法(ISO7027準拠ネフェロメトリック法(90°))によって、単位「NTU」(Nephelometric Turbidity Unit)で表される比濁法濁度を測定した。この濁度の結果より、50NTU以下を◎(澄明性に優れている)、50NTU以上で500NTU未満を○(澄明性が高い)、500NTU以上で1000NTU未満を△(弱い濁り)、1000NTU以上を×(強い濁り)として評価した。
<タンニンの測定方法>
「七訂 日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル・解説」(文部科学省監修、建帛社、2016年2月発行)に記載の酒石酸鉄吸光光度法に従って測定した。
<官能評価方法>
香味や異臭についての識別やそれらの濃度識別についてトレーニングされた専門パネラー5名で官能評価した。評価は、紅茶らしい香りと味に着目し、比較例1(コントロール)を0点とした場合に、-3点(低評価)~0点(同等)~+3点(高評価)の基準で相対比較によって評点させた。5名の評価点は平均化し、平均点が-0.5以上を◎(コントロールと差異が無い、または優れている)、-1.0以上で-0.5未満を○(コントロールとほぼ同等)、-1.5以上で-1.0未満を△(コントロールと比較してやや劣る)、-1.5未満を×(コントロールと比較して明らかに劣る)と評価した。
<総合評価>
濁度と香味の官能評価の結果に基づいて総合評価する場合には以下の基準を用いて評価した。
◎:濁度評価が◎かつ香りと味の評価がいずれも〇以上で少なくとも一方が◎である
○:濁度評価が◎かつ香りと味の評価のいずれも〇、または濁度評価が◎かつ香りと味の評価のいずれかが〇以上かつ一方が△、または濁度評価が○かつ香りと味の評価のいずれも〇以上である
△:濁度評価が○かつ香りと味の評価のいずれかが〇以上で一方が△、または濁度評価が○以上かつ香りと味の評価がいずれも△、または濁度評価が△かつ香りと味の評価がいずれも△以上である
×:濁度評価が×、又は香りと味の評価の少なくとも一方が×である
[試験例1]
<比較例1-1>
スリランカ産の紅茶葉(BOPグレード)80gを80℃の温水1200gで15分間抽出した。これを20メッシュフィルターで固液分離し、30℃まで冷却した後に、ろ紙(No.26、アドバンテック東洋)でろ過して、901g(ブリックス固形濃度:2.61%、タンニン:594.32mg/100mL)の比較例1-1の紅茶抽出液を得た。
<比較例1-2>
比較例1-1の紅茶抽出液40gを取り分け、6.0℃で20時間冷蔵保管した後、遠心分離機(スウィングローター式)にて1500Gで10分間遠心分離後に上清を回収し、低温遠心分離法で処理した比較例1-2の紅茶抽出液を得た。
<比較例1-3>
比較例1-1の紅茶抽出液40gを取り分け、タンナーゼ(商品名:タンナーゼ、メーカー:三菱ケミカルフーズ株式会社、力価:500U/g)を紅茶抽出液の茶固形分に対して、20U/g(紅茶抽出液40gに対して40mg)となるように添加し、常温で2時間反応させた後に沸騰湯浴中で反応液が90℃に達するまで加熱して酵素を失活させ、タンナーゼ処理法による比較例1-3の紅茶抽出液を得た。
<比較例1-4>
比較例1-1でも用いたスリランカ産の紅茶葉(BOPグレード)50gを18℃の温水500gで抽出した。抽出中に定期的にブリックス固形濃度を測定し、2.0%に達した時点(55分経過)で20メッシュフィルターで固液分離し、ろ紙(No.26、アドバンテック東洋)でろ過して、387g(ブリックス固形濃度:2.05%、タンニン:251.79mg/100mL)の低温抽出法による比較例1-4となる紅茶抽出液を得た。
<実施例1-1>
比較例1の紅茶抽出液40gを取り分け、精製柿タンニン(商品名:膜分離精製柿タンニンH-1、メーカー:(株)岩本亀太郎本店、固形分:3.0%、コロイド滴定法でのタンニン力価:140)を紅茶抽出液の茶固形分に対して、精製柿タンニンの固形分量が3.0%となるように添加し、常温(20℃)で保持することで、生じた白濁物質を凝集物に成長させた。添加から3時間経過後に遠心分離機(スウィングローター式)にて1500Gで10分間処理して凝集物を沈降させ、その上清を回収し、本発明の実施例1-1の紅茶抽出液を得た。
上記の実施例1-1および比較例1-1から1-4の紅茶抽出液について、濁度、タンニン、香味について、上記の方法で評価した。その他、pHと固形濃度(ブリックス固形濃度:%)は一般的な公知の方法で測定した。なお、本試験例においては、紅茶抽出液のブリックス固形濃度を2.0%に調整したものについて濁度や香味等を総合的に評価した。これら結果を表1に示した。
Figure 0007074418000001
表1に示したように、従来の白濁化抑制技術である抽出液を低温で遠心分離する方法(比較例1-2)とタンナーゼで処理する方法(比較例1-3)では、白濁を低下させる効果は不十分であった。また、低温で抽出する方法(比較例1-4)では濁りのない抽出液が得られるものの、紅茶らしいシャープな苦渋味に乏しく、紅茶本来の香味は維持されていなかった。一方で、本発明実施にあたる柿タンニンを添加する方法(実施例1-1)では、顕著に白濁が除去され、香味への影響はほとんど認められなかった。なお、実施例1-1では比較例1-2と同様に遠心分離しているが、白濁の低下が著しいのは縮合タンニンの添加によって遠心分離で沈降されるまでに白濁物質が凝集して成長し、十分な比重差が生じたためであると考えられた。
[試験例2]
試験例1で柿タンニンを添加する手段によって清澄な紅茶抽出液が得られることが確認されたため、柿タンニン以外の素材についても同様の作用が得られるか確認した。試験例1の比較例1-2と同様にして得た紅茶抽出液を比較例2-1とした。また、試験例1の実施例1-1で添加した柿タンニンを次の通りに変更し、保持中の温度を6℃とした以外は試験例1の実施例1-1と同条件で操作して、比較例2-1の紅茶抽出液から実施例2-1から2-4の紅茶抽出液を得た。実施例2-2では、タンニン酸(製品名:タンニン酸AL、メーカー:富士化学工業株式会社)とした。実施例2-3では、リンゴタンニン(製品名:APPLEPHENON(登録商標)、型番:APE-018P、メーカー:BGG JAPAN)とした。実施例2-4ではブドウ種子タンニン(製品名:グラヴィノール-SE、メーカー:キッコーマンバイオケミファ)とした。実施例2-1は試験例1の実施例1-1と同様に、精製柿タンニン(商品名:膜分離精製柿タンニンH-1、メーカー:(株)岩本亀太郎本店)を用いた。これらの紅茶抽出液について濁度等を評価した結果を表2に示した。
Figure 0007074418000002
表2に示されたように、タンニン酸やリンゴタンニン、ブドウ種子タンニンにも柿タンニンと同様に白濁物質を成長させる作用があることが確認された。これらの結果から、縮合型タンニンであれば広域に渡って本発明に適用できることが示された。縮合型タンニンの構造と効果に注目した場合、いずれでも十分な効果が得られるが、構造中にガレート基を有する柿タンニンやブドウ種子タンニンではガレート基を持たないリンゴタンニンに比べて強く作用し、さらに、プロデルフィニジン構造を有する柿タンニンは特に強く作用することが確認された。
[試験例3]
縮合型タンニン添加後の保持時間の影響について検討した。試験例1の比較例1-1と同様にして得た紅茶抽出液に対して、縮合型タンニン添加後の保持時間を0、1、2、3、4、5時間とし、保持中の温度を6℃とした以外は試験例1の実施例1-1と同条件で操作して、それぞれ比較例3-1、および実施例3-1から3-5の紅茶抽出液を得た。これらについて濁度等を評価した結果を表3に示した。
Figure 0007074418000003
表3に示した結果のとおり、保持時間の経過に伴って濁度が低下した。この結果から保持の時間は1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、3時間以上がより好ましい条件となることが確認された。なお、より保持時間の長い5時間の場合でも保持時間の短い実施例と比べても特に香味の差異は認められず、低温で保持する限りは保持中の香味劣化についての影響は少ないものと考えられた。
[試験例4]
縮合型タンニンの添加量の影響について検討した。試験例1の比較例1-1と同様にして得た紅茶抽出液を比較例4-1とした。また、比較例4-1の紅茶抽出液に対し、縮合型タンニン添加量を1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、8.0%とし、保持中の温度を6℃とした以外は試験例1の実施例1-1と同条件で操作して、比較例4-1の紅茶抽出液からそれぞれ実施例4-1から4-7の紅茶抽出液を得た。これらについて濁度や香味等について総合的に評価した結果を表4に示した。
Figure 0007074418000004
上記の結果より、縮合型タンニンの添加量に応じて明らかに濁度が低下する傾向が認められた。添加量1.0%では無添加に対して少なくとも白濁は1/5以下に減少し、また、添加量2.0%ではごく僅かに濁りが認められる程度に清澄され、さらに添加量3%以上ではほぼ澄明に見えるレベルにまで到達していることが確認された。一方で、香味に関しては低い添加量の方が良好な結果が得られたことから、総合的には3%前後がより好ましい添加量であると判断された。
[試験例5]
縮合型タンニン添加後の保持中の温度の影響について検討した。試験例1の比較例1-1と同様にして得た紅茶抽出液(ブリックス固形濃度:2.51%、タンニン:587.87mg/100mL)に対して、縮合型タンニン添加後の保持中の温度を6℃、15℃、25℃、37℃とする以外は試験例1の実施例1-1と同条件で操作して、それぞれ実施例5-1から5-4となる紅茶抽出液を得た。これらについて濁度等を評価した結果を表5に示した。
Figure 0007074418000005
保持中の温度は試験した範囲ではいずれにおいても濁度の改善作用が認められたが、低温で処理した方が低い濁度を示し、良好な清澄性を示していた。特に6℃や15℃で処理した実施例では肉眼的には濁りのない状態であった。
[試験例6]
スリランカ産の紅茶葉(BOPグレード)100gを80℃の温水1500gで15分間抽出した。これをろ紙(No.26、アドバンテック東洋)でろ過して、1143g(ブリックス固形濃度:2.82%、タンニン:620mg/100mL)の紅茶抽出液Aを得た。この紅茶抽出液Aの400gを6℃まで冷却し、精製柿タンニン(商品名:膜分離精製柿タンニンH-1、メーカー:(株)岩本亀太郎本店、固形分:3.0%)を紅茶抽出液の茶固形分に対して、精製柿タンニンの固形分量が5.0%となるように添加し、6℃で保持した。添加から3時間経過後に遠心分離機(スウィングローター式)にて1500Gで10分間遠心処理して白濁物質の凝集物を沈降させて上清を回収し、本発明実施の紅茶抽出液B(ブリックス固形濃度:1.88%、タンニン:362mg/100mL)を得た。この紅茶抽出液Bの182gにイオン交換水24gと重曹を0.1g添加してpH6.00、タンニン濃度を320mg/100mLに調合した。この調合液を80℃まで昇温後、スチール缶(東洋製罐(株)製TULC)に充填した。次いで、ヘッドスペースを窒素ガスで満たし、缶シーマーにて密封後、レトルト殺菌処理(110℃達温後に急冷)を行って実施例6-1の4倍希釈用無糖紅茶飲料(ブリックス固形濃度:1.70%、タンニン:324mg/100mL)を得た。この紅茶飲料を製造から5日間冷蔵保管した後に、イオン交換水で4倍に希釈し(タンニン濃度81mg/100mL)、専門パネラー5名で官能評価した。その結果、希釈液は濁りがなく、紅茶らしい鮮やかな赤橙色を呈しており、紅茶本来のすっきりとした渋みと華やかな香りが感じられると評価された。また、実施例6-1の4倍希釈用無糖紅茶飲料を希釈せずにクラッシュアイスを入れたカップへ直接注いだ場合においても白濁は生じなかった。
[試験例7]
スリランカ産の紅茶葉(BOPグレード)80gを80℃の温水1200gで15分間抽出した。これをろ紙(No.26、アドバンテック東洋)でろ過して、920g(ブリックス固形濃度:2.68%、タンニン:606.8mg/100mL)の紅茶抽出液Cを得た。この紅茶抽出液Cの400gを6℃まで冷却し、精製柿タンニン(商品名:膜分離精製柿タンニンH-1、メーカー:(株)岩本亀太郎本店、固形分:3.0%)を紅茶抽出液の茶固形分に対して、精製柿タンニンの固形分量が3.0%となるように添加し、6℃で保持した。添加から3時間経過後に遠心分離機(スウィングローター式)にて1500Gで10分間遠心処理して白濁物質の凝集物を沈降させて上清を回収し、本発明実施の紅茶抽出液D(タンニン:407.6mg/100mL)を得た。この紅茶抽出液Dの86gにグレープフルーツ濃縮透明果汁(5.1倍濃縮品)9.8g、果糖ブドウ糖液糖50g、クエン酸0.4g、クエン酸三ナトリウム0.2g、香料0.75gを加え、イオン交換水で全量を500gに加水して調合した。この調合液を80℃まで昇温後、スチール缶(東洋製罐(株)製TULC)に充填した。次いで、ヘッドスペースを窒素ガスで満たし、缶シーマーにて密封後、レトルト殺菌処理(110℃達温後に急冷)を行って、実施例7-1のフルーツティー(10%果汁入りグレープフルーツティー、ブリックス固形濃度:9.07%、タンニン含量68.9mg/100mL)を得た。比較対象として、紅茶抽出液Cから試験例1の比較例1-3と同条件でタンナーゼ処理して得た紅茶抽出液Eを得た。抽出液Dをこの抽出液Eに変更する以外は実施例7-1と同様に操作して比較例7-1のフルーツティーを得た。これらの製造から4日間冷蔵保管した後に、専門パネラー5名で官能評価した。実施例7-1のフルーツティーは濁りがなく(NTU33)、紅茶らしい鮮やかな橙色を呈しており、グレープフルーツ果汁の香味とともに紅茶本来の渋みと華やかな香りが調和した良好な風味であると評価された。一方で比較例7-1のフルーツティーは澄明性に劣り(NTU109)、紅茶由来の香味についても実施例7-1のフルーツティーよりも弱いとの評価であった。
[試験例8]
試験例6で調製した紅茶抽出液Bを200g取り分け、ロータリーエバポレーターで約40gまで濃縮し、凍結乾燥器で一晩凍結乾燥させた。乾燥後の凍結乾燥品を乳鉢ですりつぶして粉末状とし、実施例8-1のインスタント粉末紅茶を得た。この実施例8-1のインスタント粉末紅茶0.75gに常温のイオン交換水200gを加えて溶解して紅茶飲料とし、専門パネラー5名で官能評価した。その結果、この紅茶飲料は濁りがなく(1.7NTU)、紅茶らしい鮮やかな赤橙色を呈しており、紅茶本来のすっきりとした渋みと華やかな香りが感じられると評価された。また、この実施例8-1のインスタント粉末紅茶は冷水にも速やかに溶解することが確認され、溶解時水色と冷水溶解性において、従来のインスタント粉末紅茶と比較して優れた特徴を有していた。
[試験例9]
セイロン産紅茶葉240kgを下流式抽出機(2000kg容量)に投入し、70℃の抽出水を流速3600L/hで抽出機上部から注入した。抽出水を1300L投入した後に30秒攪拌し、さらに抽出水400Lを追加注入した時点で抽出機底のバルブを全開にして抽出液を回収した。この抽出操作を4回繰り返し、合一した抽出液を遠心分離して不溶物を除去し、4320kgの抽出液を得た(ブリックス固形濃度:5.84%、タンニン1278.2mg/100ml、pH:4.94)。前記抽出液3020kgを真空濃縮機で濃縮して濃縮液771kgを得た(ブリックス固形濃度:22.86%)。次いで、得られた濃縮液に対して精製柿タンニン(商品名:膜分離精製柿タンニンH-1、メーカー:(株)岩本亀太郎本店、固形分:3.0%)176.37kgを添加し(茶固形に対する柿タンニンの固形量は3.0%)、これを8℃で保持した。柿タンニン添加から3時間経過後に遠心分離を2回繰り返し、本発明の実施例9-1として紅茶抽出液637kgを得た(ブリックス固形濃度:13.53% pH:4.95)。この紅茶抽出液に加水し、重曹1.5kgを加え、実施例9-2の濃縮紅茶飲料783kgを得た(ブリックス固形濃度:11.27%、タンニン:1671.5mg/100ml、pH:5.51)。
前記実施例9-2の濃縮紅茶飲料10gに常温のイオン交換水290gを加え(30倍希釈)紅茶飲料とし、専門パネラー5名で官能評価した。その結果、この紅茶飲料は濁りがなく(28.7NTU)、紅茶らしい鮮やかな赤橙色を呈しており、紅茶本来のすっきりとした渋みと華やかな香りが感じられると評価された。この結果から、濃縮抽出液の状態で縮合型タンニンを添加して清澄化した場合でも、本発明の効果が得られることが確認された。
[試験例10]
中国産の烏龍茶葉155gを容量1Lのステンレス製カラムに投入し、熱湯を流速50ml/分で注入し、抽出水投入開始から30分経過するまで保持した。その後流速50ml/分で抽出水を注入しながら、下端から抽出液を回収した。この回収液をろ紙(アドバンテック社製、No.26)でろ過して714gの烏龍茶抽出液A(茶固形分:3.72%)を得た。
前記烏龍茶抽出液Aを6℃まで冷却し、精製柿タンニン(商品名:膜分離精製柿タンニンH-1、メーカー:(株)岩本亀太郎本店、固形分:3.0%)を烏龍茶抽出液の茶固形分に対して、精製柿タンニンの固形分量が0.5%、1.0%、2.0%、3.0%となるように添加し、6℃で保持した。添加から18時間経過後に遠心分離機(スウィングローター式)にて1200Gで10分間遠心分離して上清を回収し、本発明の烏龍茶抽出液(実施例10-1~10-4)を得た。柿タンニンを添加せずに同様に処理したものを比較例10-1の烏龍茶抽出液とした。また、烏龍茶抽出液Aにタンナーゼ(商品名:タンナーゼ、メーカー:三菱ケミカルフーズ株式会社、力価:500U/g)を茶固形1gあたり15Uを添加し、6℃にて18時間静置して酵素反応させた後、前記と同条件にて遠心分離し、その上清を比較例10-2のウーロン茶抽出液とした。これらそれぞれの比較例と実施例の烏龍茶抽出液について、イオン交換水でイオン交換水と重曹を適宜添加し、pH5.80、ブリックス固形濃度0.6%に調合した。
これら調合液について理化学分析するとともに、専門パネラー5名で官能評価した。その結果を表6に示した。なお、濁度の評価は以下の基準を採用し、その他の評価基準は試験例1と同様にして、紅茶を烏龍茶に替えて評価した。
<濁度の測定方法>
試験液を25℃に調温し、濁度計(商品名:Turbidmator TN100IR、メーカー:EUTECH INSTRUMENTS)を使用し、ホルマジン標準液を用いた比濁法(ISO7027準拠ネフェロメトリック法(90°))によって、単位「NTU」(Nephelometric Turbidity Unit)で表される比濁法濁度を測定した。この濁度の結果より、100NTU以下を◎(澄明性に優れている)、100NTU以上で150NTU未満を○(澄明性が高い)、150NTU以上で200NTU未満を△(弱い濁り)、200NTU以上を×(強い濁り)として評価した。
Figure 0007074418000006
表6に示したように、烏龍茶抽出液においても紅茶抽出液と同様に縮合型タンニンを用いた清澄化方法が有効であることが確認された。低温で保持して遠心分離する方法(比較例10-1)やタンナーゼで処理する方法(比較例10-2)では香味や濁度の両方を満足させることはできなかったが、縮合型タンニンを用いた実施例ではいずれの添加量においても清澄度を高めることができ、すっきりとした烏龍茶らしい香味を得ることができた。これら結果から、本発明の技術は紅茶や烏龍茶などの発酵茶に適用可能であることが確認された。


Claims (9)

  1. 発酵茶葉を水性媒体で抽出した水性の発酵茶抽出液に対し、少なくともプロシアニジン若しくはプロデルフィニジンのいずれかを部分構造として含む縮合型タンニンを添加後に一定時間保持し、生じた凝集物を除去することを特徴とする発酵茶抽出液の製造方法。
  2. 縮合型タンニンが構造中にガレート基を有することを特徴とする請求項1に記載の発酵茶抽出液の製造方法。
  3. 縮合型タンニンが、柿タンニン、ブドウ種子タンニンおよびリンゴタンニンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の発酵茶抽出液の製造方法。
  4. 縮合型タンニンの添加量が発酵茶由来固形分に対して0.5%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発酵茶抽出液の製造方法。
  5. 保持中の抽出液温度が0~37℃であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発酵茶抽出液の製造方法。
  6. 発酵茶が紅茶または烏龍茶である請求項1から5のいずれかに記載の発酵茶抽出液の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の製造方法で得られる発酵茶抽出液を用いることを特徴とする発酵茶飲料の製造方法。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載の製造方法で得られる発酵茶抽出液を乾燥することを特徴とする粉末発酵茶の製造方法。
  9. 発酵茶葉を水性媒体で抽出した水性の発酵茶抽出液に対し、少なくともプロシアニジン若しくはプロデルフィニジンのいずれかを部分構造として含む縮合型タンニンを添加後に一定時間保持し、生じた凝集物を除去することを特徴とする発酵茶抽出液の清澄化方法。
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