JP4900905B2 - 容器詰茶飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、茶本来の風味を保持しつつ、保存時の綿状浮遊物及び/又は沈殿物(以下、「フロック」という。)の発生が抑制乃至防止された容器詰茶飲料及びその製造方法に関する。
茶に含まれる苦渋味成分である茶カテキンは、抗う触作用、血圧上昇抑制作用、体脂肪抑制作用等の生理機能を有することが明らかにされ、注目を集めている。最近では、こうした茶カテキンの生理効果をより享受しやすくするために、高濃度の茶カテキンを含有させた飲料を製造する方法などが報告されており(特許文献1参照)、従来の嗜好性飲料という位置づけから健康飲料としての役割も持つようになってきている。また、茶飲料の摂取形態として従来の茶葉を急須等で浸出させて飲用する方法以外に、市販の容器詰茶飲料を利用する消費者が増えており、容器詰茶飲料の携帯性を利用して様々な場で茶飲料が飲用されるようになってきた。
一般的に容器詰茶飲料は、然るべき殺菌処理により微生物的な安全性が高められているが、一方で殺菌(加熱)処理された容器詰茶飲料を長期間保存すると、次第にフロック(綿状浮遊物及び/又は沈殿物)が発生するという問題がある。フロックは、時間の経過と共に、徐々にその大きさと量が増し、好ましくない濁りを有する外観を与えるだけでなく、その形状や大きさから微生物による汚染と誤認されやすい等、容器詰茶飲料の好ましくない経時的変化として扱われている場合が多い。フロック発生現象は茶飲料全般に見られるが、緑茶を原料とする飲料において特に起こりやすい現象である。フロックの本体については分子量が2万以上の水溶性多糖成分であるとの報告(非特許文献1参照)や、茶成分の一つであるストリクチニンが加熱によってエラグ酸に分解され、このエラグ酸がタンパク質等と結合することによって形成される物質であるとの報告(非特許文献2参照)等があるが、ポリフェノール、カフェイン、有機酸、金属イオン等、他成分の関与も推定され、フロックの発生原因や構成成分等について未解明な部分も多い。
茶飲料のフロック発生を抑制乃至防止する方法としては、例えば、フロック発生の原因物質と考えられている高分子多糖を酵素処理により分解する方法、原因物質や沈殿を限外濾過やケイ藻土濾過によって物理的に取り除く方法、フロック発生を抑制する成分を添加する方法、またはフロック発生の原因となる成分の含有量が少ない原料を使用する方法などの従来技術が開示されている。
これら従来技術の具体例を挙げれば、緑茶の温水抽出液を通常の遠心分離または濾過により清澄化処理した液にアスコルビン酸またはその塩を添加し、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素で処理し、必要により加熱殺菌処理する緑茶飲料の製造方法(特許文献2参照)、緑茶又は生鮮乃至乾燥茶葉を抽出して得た水溶性茶成分を限外濾過法により分画し、分子量約1万以上の高分子成分をほぼ除去することによる清澄緑茶飲料の製造方法(特許文献3参照)、フコイダン含有物を茶飲料および茶抽出液に添加することにより、茶飲料保存時に発生する綿状沈殿物(フロック)の発生を防止する方法(特許文献4参照)、容器詰緑茶飲料中のアルミニウムイオンと水不溶性固形分の量を調整する方法(特許文献5参照)、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンと珪素イオンの含有量を調整する方法(特許文献6参照)、容器詰飲料中のマグネシウムと粒子径0.2〜0.8μmの水不溶性固形分含量を調整する方法(特許文献7参照)、ストリクチニンの含有量を指標に茶葉を選定し、茶飲料製造時のストリクチニン含有量を調整することにより製造後に発生するフロックを未然に防止する方法(特許文献8参照)、製造工程のいずれかの段階で有効量のアルミニウムを添加して溶解せしめることを特徴とする容器詰め茶飲料のフロック発生抑制方法(特許文献9参照)などが提案されている。一方、工業的には濁りやオリの除去を目的として微細な濾過膜を利用した微細濾過が一般的に用いられている(非特許文献3参照)。
特開2002−272373号公報 特開平8−228684号公報 特開平4−45744号公報 特開2000−116327号公報 特開2004−180574号公報 特開2004−159665号公報 特開2004−289号公報 特開2003−235452号公報 特開2005−143331号公報 竹尾忠一、ソフトドリンクス技術資料、1号、P85、1993年 NIINO T、他4名、Journal of Agricultual and Food Chemistry、53号、P3995、2005年 (社)日本缶詰協会編集、「缶・びん詰、レトルト食品、飲料製造講義II 各論編」、P567、2002年
茶飲料におけるフロックの発生を抑制する方法に関しては、上記のような様々な方法が開示されている。しかし、これらの方法は、少なくとも次のような欠点を有する。例えば、限外濾過処理など、特別な製造工程を設ける方法では、新規な製造設備が必要となるのに加え、工程が煩雑になる。
また、酵素処理による方法では、酵素反応に時間がかかり、カテキンなどの酸化によって風味が変化し、苦渋味を感じ易くなってしまう。また、外観の色調安定性にも大きな障害を与える。さらに、濾過処理等によって特定の内容成分を除去する方法、酵素処理による内容成分を変化させる方法、フコイダン含有物を添加する方法では、茶浸出液が本来有している成分を乱すことになるため、味のバランスが崩れて風味への影響が避けられない。
特に、水溶性高分子多糖類は、フロックや変色の原因となる可能性がある一方で、茶飲料のボディー感を構成し、苦渋味を柔らかくマスキングする重要な働きを持っており、これを分解または除去する方法では、茶飲料独特の風味が著しく損なわれ、強い苦味、渋味、収斂性が目立ってしまい、保存安定性を付与する目的を達成できても嗜好性が劣ってしまうという問題がある。
また、容器詰茶飲料中のアルミニウムイオン濃度と水不溶性固形分の量をコントロールする方法、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンと珪素イオンの含有量をコントロールする方法、容器詰飲料中のマグネシウムと粒子径0.2〜0.8μmの水不溶性固形分含量を調整する方法、アルミニウムを添加する方法、ストリクチニン含有量を指標に茶葉を選定し、茶飲料製造時のストリクチニンの含有量を調整する方法では、フロックの原因となる他成分の関与を考えると確実な方法とは言い難い。また、茶葉を選定する方法では、必然的に使用できる茶葉が限定される場合があるため、味覚を主眼においた茶葉の選択ができず、嗜好性の高い茶飲料を提供することが困難となる。
以上のように、フロックの発生を抑制乃至防止するいくつかの手段が提案されているが、その効果は万全では無く、現実的には発生したフロックの存在を極力目立たなくさせる手段として、珪藻土等の濾過助剤を利用した濾滓濾過方法の他、デプスフィルターまたはプリーツフィルターのような精密濾過膜のカートリッジを利用した微細濾過により、フロックに凝集結合するコロイド状の不溶性固形物微粒子を除去する手段に頼らざるを得ないのが実情である。しかしながら、必要以上の過剰な濾過は茶飲料本来のうっすらと白濁した外観を不自然に澄明な外観と変化させてしまうとともに、濾過工程に必要なランニングコストの負担が大きくなってしまう。一方で、本来の外観を保つために単純に濾過の精度を落としたのでは、フロックが発生しやすくなり、それに伴って浮遊状態にあった微粒子がフロックに凝集結合するため、その外観は次第に澄明度上昇の経時変化を辿ることになる。
本発明の目的は、上記問題点を克服し、従来の技術では困難であった本来の風味及び外観を保持し、且つフロックの発生が抑制乃至防止された容器詰茶飲料及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、容器詰茶飲料に含まれるマグネシウム、アルミニウム、カテキン類、キナ酸ガレート類の重量比率を一定範囲内に調整することで、フロックの発生が長期間にわたり抑制乃至防止され、且つ外観及び風味の良好な容器詰茶飲料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の容器詰茶飲料は、請求項1記載の通り、次の成分、(A)アルミニウム、(B)マグネシウム、(C)カテキン類、(D)キナ酸ガレート類、を含有し、その含量(mg/100ml)から導かれる 、(D)×〔(B)/(A)〕を式(II)、とするとき、(イ) 1<(II)<80(ロ) 20<(C)<500(ただし、珪素イオンを10〜30mg/kg含有する容器詰直茶飲料を除く)であることを特徴とする。
また、請求項2記載の本発明の容器詰茶飲料は、請求項1記載の容器詰茶飲料であって、(B)/(A)を式(I)とするとき、(イ) 0.8<(I)<5.0 且つ 1<(II)<80 であることを特徴とする。
また、請求項記載の本発明の容器詰飲料は、請求項1〜記載の容器詰茶飲料において、(ハ) 0.5<(D)<10であることを特徴とする。
また、本発明の容器詰茶飲料 は請求項に記載の通り、茶抽出物を添加したものである請求項1〜3記載の容器詰飲料であることを特徴とする。
本発明によれば、茶本来の外観及び風味を保持しつつ、フロックの発生が抑制乃至防止された容器詰茶飲料を提供することができる。また、本発明の容器詰茶飲料の製造方法によれば、特別な装置を必要とせず、既存の設備を利用して製造できるため、生産性、製造コストに対する効果が非常に大きい。
以下において、本発明を詳細に説明する。
本発明において「茶飲料」とは、茶樹(Camellia sinensis var. sinensisやCamellia sinensis var. assamica、またはこれらの雑種)の葉や茎から製造された茶葉(例えば、煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、釜炒り緑茶等の不発酵茶、不発酵茶に花の香りを移したジャスミン茶等の花茶、白茶等の弱発酵茶、烏龍茶等の半発酵茶、紅茶等の発酵茶等)を原料又はその一部として、抽出、加工された飲料を意味する。茶飲料は、原料となる茶葉の他に、玄米、大麦、小麦、ハト麦、とうもろこし、アマランサス、キヌア、ナンバンキビ、モズク、甘草、ハス、シソ、マツ、オオバコ、ローズマリー、桑、ギムネマ、ケツメイシ、大豆、昆布、霊芝、熊笹、柿、ゴマ、紅花、アシタバ、陳皮、グァバ、アロエ、ギムネマ、杜仲、ドクダミ、チコリー、月見草、ビワ等の各種植物の葉、茎、根等を併用して得られるものであってもよい。
また、茶飲料には酸化防止剤、香料、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、乳化剤、保存料、甘味料、着色料、増粘安定剤、調味料、強化剤などを添加されている場合も含む。さらに製造時に茶葉を直接的な原料とせず、市販の茶抽出物を添加溶解してなる飲料についても、そもそもの出発原料が茶葉である点で茶飲料として扱う。
また、本発明において「容器詰茶飲料」とは、金属、ガラス、プラスチック、金属やプラスチックフィルムと複合された紙、等を素材とする「容器」に上記「茶飲料」が充填、密封されてなる状態を意味する。特に、外部から内容物である茶飲料が目視可能な透明容器として、ガラス瓶、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、酸素バリヤー層等を設けた多層成形容器等の透明プラスチック容器を使用する場合には、そのフロックの発生を抑制乃至防止することが重要となる。
茶飲料を調製する際の茶葉の抽出条件は、茶葉の種類、抽出機の種類、最終製品の形態等により適宜選択されるものであるが、例えば、抽出液温は、不発酵茶や弱発酵茶では50〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。半発酵茶や発酵茶では60〜100℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。また、抽出時間は、1〜60分が好ましい。抽出液量は、茶葉に対して5〜50重量倍量が好ましい。
茶抽出液は、以上のような条件で茶葉を抽出した後、茶葉浸出液をカートリッジフィルター、ネル濾布、濾過板、濾紙、濾過助剤を併用したフィルタープレス等の濾過法や遠心分離法によって固液分離し、茶葉や粒子を除去して得ることができる。
得られた茶抽出液は、適宜濃度調整して茶調合液とし、茶飲料として製品化される。この際、所望する組成の茶調合液を容易に得るために茶抽出物を添加してもよい。ここで「茶抽出物」とは、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の茶葉を熱水、含水有機溶媒、有機溶媒により抽出したものであって、市販品としては、例えば、三井農林(株)の商品名「ポリフェノン」、(株)伊藤園の商品名「テアフラン」、太陽化学(株)の商品名「サンフェノン」等が挙げられる。また、茶調合液には、必要に応じて、アスコルビン酸やアスコルビン酸ナトリウム等の酸化防止剤、香料、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、乳化剤、保存料、甘味料、着色料、増粘安定剤、調味料、強化剤等の添加剤を単独又は組み合わせて配合することもできる。
また、調合液のpH設定は、25℃換算値で3.0〜7.0が好ましい。pH7.0以上の塩基性条件下ではカテキンなどポリフェノール成分の劣化が著しく、pH3.0以下の強酸性ではポリフェノール成分の凝集による沈澱が発生しやすく、苦渋味が強く感じられるようになるため好ましくない。調合液のpH設定は、4.0〜6.9がより好ましく、5.0〜6.8がさらに好ましい。
本発明の容器詰茶飲料は、必要に応じて製造工程のいずれかの段階で殺菌を行って製造される。殺菌の条件は食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択すればよいが、例えば、容器として耐熱容器を使用する場合にはレトルト殺菌を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器を用いる場合、本発明の容器詰茶飲料は、例えば、茶調合液を予めプレート式熱交換機等で高温短時間殺菌後、所定温度まで冷却し、熱時充填するか30〜50℃で無菌充填を行うことで製造することができる。
容器詰茶飲料におけるフロックの発生は茶飲料を高濃度に調製するほど促進されるが、本発明によれば、カテキンを効率よく摂取するためにカテキンが高濃度となるような茶飲料を調製する場合においても、フロックの発生を効果的に抑制することが可能である。他方、飲料中のカテキンは苦渋味の直接的な原因となるため、飲料100mlあたりのカテキン濃度が500mgを上回ると、サイクロデキストリン等を用いた苦渋味低減技術を用いても苦渋味の制御が困難となる恐れがあるため、嗜好性が著しく損なわれる。従って本発明における容器詰茶飲料は飲料100mlあたりのカテキン類の含量(C)が20〜500mgであることが好ましく、40〜400mgであることがより好ましく、60〜300mgであることがさらに好ましく、80〜250mgであることが特に好ましく、100〜200mgであることが最も好ましい。なお、ここで「カテキン類」とは、エピカテキン、カテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキンガレート、カテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレートの総称であり、これらは一般的にはHPLCで定量分析することができる。
本発明の容器詰茶飲料中における(A)アルミニウム含量は飲料100mlあたり、0.02〜2.0mgが好ましい。アルミニウムの含量が飲料100mlあたり、2.0mgを上回ると、アルミニウムがポリフェノール等の茶成分と反応して沈殿を形成する原因となる恐れや、アルミニウム特有の金属臭が目立つようになる恐れがある。一方、アルミニウムの含量が飲料100mlあたり0.02mg/100mlを下回ると、フロックの発生を効果的に抑制乃至防止することが困難となる。アルミニウムの含量は飲料100mlあたり、0.05〜1.8mgがより好ましく、0.10〜1.6mgがさらに好ましく、0.20〜1.4mgが特に好ましく、0.30〜1.2mgが最も好ましい。
本発明の容器詰茶飲料中における(B)マグネシウム含量は飲料100mlあたり、0.040〜4.0mgが好ましい。マグネシウム含量が飲料100mlあたり、4.0mgを上回ると、フロックの発生を効果的に抑制乃至防止することが困難となる。飲料中のマグネシウム濃度は低いほど好ましいが、一方で、マグネシウム濃度を飲料100mlあたり0.040mg以下まで極端に下げるような場合には特殊な操作が必要となり、生産性が低下するばかりか茶飲料中の呈味成分が必要以上に取り除かれることになるため好ましくない。マグネシウムの含量は飲料100mlあたり、0.060〜3.0mgがより好ましく、0.080〜2.0mgがさらに好ましく、0.10〜1.0mgが特に好ましく、0.20〜0.45mgが最も好ましい。
本発明の容器詰茶飲料は(D)キナ酸ガレート類の含量として、0.50〜10mg/100mlを含有するのが好ましい。茶飲料中のキナ酸ガレート類の含量が高すぎると、長期保存時にフロックの発生する確率が高くなり好ましくないが、茶飲料の呈味に関与する重要な因子であるため、含量が低すぎると全体の風味バランスに欠けてしまう。キナ酸ガレート類が0.50〜10mg/100mlの範囲にあると、(A)アルミニウムと(B)マグネシウムの含有比をコントロールした際に、風味に優れた茶飲料とすることができる。キナ酸ガレート類の含量は、1.0〜5.0mg/100mlがより好ましく、1.5〜7.5mg/100mlがさらに好ましく、2.0〜5.0mg/100mlが最も好ましい。
ここで、 本発明における「キナ酸ガレート類」とは、キナ酸−3−ガレート(テオガリン)、キナ酸−4−ガレート、キナ酸−5−ガレートからなる3種類のキナ酸モノガレートをあわせた総称を意味する。従って、キナ酸ガレート類の含量とは、これら3種類の化合物の合計含量と定義される。ここで、キナ酸−3−ガレートとはケミカルアブストラクツ登録番号(以下ではCAS登録番号)が17365−11−6の化合物、キナ酸−4−ガレートとはCAS登録番号が110170−37−1の化合物、キナ酸−5−ガレートとはCAS登録番号が53584−43−3の化合物である。いずれも公知の化合物であり、容器詰茶飲料に含まれるこれらの化合物は、茶葉やウラジロガシ(学名:Quercus stenophylla)の樹皮(必要ならばH.Nishimura、他2名、Phytochemistry、第23巻、第11号、1984年、P2621を参照)等を原料として自体公知の方法で単離精製した標準物質を使用し、HPLCを用いて定量分析することができる。
また、茶飲料の呈味性としては主としてカテキン類等に由来する特有の渋味が特徴的であるが、本発明の茶飲料においては、(D)キナ酸ガレート類と(C)カテキン類の含量比[(D)/(C)]が、0.01〜0.1の範囲であると、風味のバランスの点で好ましい。[(D)/(C)]がこの範囲にあると、(A)アルミニウムと(B)マグネシウムの含量をコントロールした本発明の茶飲料において、カテキン含量が比較的高くても、カテキンの直接的な渋みが緩和され、爽やかな渋みを呈するようになり、のど越しに優れた茶飲料とすることができる。その作用機構は明らかではないが、キナ酸ガレート類は分子構造中に親水性に富むキナ酸部分と疎水性のガレート部分からなる物性から、カテキン等渋み成分と会合体を形成することによって、味覚細胞への渋み刺激を穏やかにするためと考えられる。
本発明の茶飲料においては、(D)キナ酸ガレート類と(C)カテキン類の含量比[(D)/(C)]は、0.015〜0.09が好ましく、0.02〜0.08がより好ましく、0.03〜0.07が特に好ましい。
キナ酸ガレート類とカテキン含量の濃度比率をコントロールする手段としては、市販茶抽出物の利用を挙げることができ、適当な市販緑茶抽出物を選択して添加する方法があり、例えば、カテキン含量を増加させたい場合には、カテキンが高純度に精製された素材を選択すればよい。一方、キナ酸ガレート類を増加させたい場合にはシリカゲル、逆相系シリカゲル、合成吸着樹脂等の吸着担体に茶葉抽出液、又は茶飲料調合液に接触させる方法が挙げられ、この方法によって市販の茶抽出物を再精製したものを添加しても良い。ここでカテキン類は前記担体に吸着しやすく、一方でキナ酸ガレート類は前記担体に吸着しにくい性質であることを利用してキナ酸ガレート類の比率を上げることができる。
本発明の容器詰茶飲料は、長期間にわたりフロックの発生を抑制乃至防止する手段として飲料中の(A)アルミニウムと、(B)マグネシウムの含量がコントロールされていることに大きな特徴がある。飲料中のアルミニウムとマグネシウムはそれぞれフロックの発生に関与するが、これら単独の含量調整ではフロックの発生を抑制する効果が弱かったり、場合によってはその効果が得られなかったりと確実な方法とはならない。本発明の容器詰茶飲料はそれら両者のバランス、すなわち、飲料中の(A)アルミニウムと、(B)マグネシウムの含量比〔(B)/(A)〕を0.8〜5.0の範囲にコントロールすることで長期間にわたるフロックの発生を抑制乃至防止する効果が達成される。この比が5.0以上ではフロックの発生を効果的に抑制乃至防止することが困難となる。一方、0.8以下では茶中の呈味成分のバランスが乱れ、苦渋味が強く感じられるようになり、飲料としての嗜好性が劣ってしまう。〔(B)/(A)〕は、好ましくは0.85〜4.0、より好ましくは0.9〜3.5、特に好ましくは0.95〜3.0、最も好ましい範囲1.0〜2.5である。
また、飲料中の(A)アルミニウムと、(B)マグネシウムの含量比〔(B)/(A)〕と(D)キナ酸ガレート類の含量は、ともにフロックの形成と密接に関連しているため、両者をコントロールすることによっても、長期間にわたるフロックの発生を抑制乃至防止する効果が得られると共に風味バランスに優れた茶飲料とすることができる。そこで、本発明の容器詰茶飲料においては、次式(II)=(D)×〔(B)/(A)〕を1〜80の範囲に調整するのが良い。式(II)の値は、好ましくは2〜60、より好ましくは3〜40、さらに好ましくは4〜30、特に好ましくは5〜20である。なお、式(II)を1〜80の範囲に調整するだけでも十分な効果は得られるが、前記〔(B)/(A)〕を同時に調整することにより、さらに効果的にフロックの発生を抑制乃至防止することが可能となる。
飲料中の(A)アルミニウム、(B)マグネシウムの含量をコントロールする方法としては、茶抽出液又はこれを飲料としての状態に調製した茶調合液をキレート樹脂若しくはキレート樹脂膜、又は陽イオン交換樹脂若しくは陽イオン交換膜に接触させる方法、電気透析装置を利用する方法、等を適宜選択して行うことによって〔(B)/(A)〕をコントロールすれば良く、必要に応じて前記の手段を組み合わせて採用しても良い。また、〔(B)/(A)〕は適当な茶抽出物を副原料として添加することによってもコントロールすることが出来る。さらには、主原料となる茶葉から抽出液を調製し、該抽出液の(A)アルミニウム、(B)マグネシウム濃度を測定し、得られたデータを基に〔(B)/(A)〕が所望の範囲となるようにブレンドしても良い。
キレート樹脂としては、交換基としてイミノジ酢酸、アミノリン酸を有する樹脂が利用でき、イミノジリン酸を有する樹脂が好ましい。具体例としては、三菱化学(株)のダイヤイオンシリーズ(商品例:ダイヤイオンCR10、CR11)、オルガノ(株)のアンバーライトシリーズ(商品例:アンバーライトIRC748)、室町ケミカル(株)のムロキレートシリーズ(商品例:ムロキレートB1)やデュオライトシリーズ(商品例:デュオライトC467)等、工業的に利用されている樹脂を挙げることができる。また、陽イオン交換樹脂としては、交換基としてスルホン酸基、カルボン酸基等を有する樹脂が利用でき、具体例としては、三菱化学(株)のダイヤイオンシリーズ(商品例:SK1B、PK208、WK10)、オルガノ(株)のアンバーライトシリーズ(商品例:IR120B、IRC76)、ダウケミカル社のダウエックスシリーズ(商品例:ダウエックス50W、マラソンC、モノスフィアー650C、マラソンMSC、MAC−3)等、工業的に利用されている樹脂を挙げることが出来る。
これらのうち、金属イオンの除去選択性の点でキレート樹脂を用いるのが好ましく、イミノジ酢酸を有するキレート樹脂がより好ましい。樹脂と茶抽出液又は茶調合液との接触方法としては、カラム式又はバッチ式の処理方法を用いることができるが、連続的な生産性の点からカラム式が好ましい。電気透析膜装置としては工業的に用いられるスケールの製品として(株)アストムのアシライザーシリーズ(商品例:アシライザー50)等を利用することで溶液中の金属イオン濃度を減少させることができる。
キレート樹脂を用いる場合、樹脂量は茶葉100gあたり1〜100ml程度が好ましい。100ml以上の使用では、金属イオン以外にカテキン等の吸着量が多くなり風味に影響する。また、1ml以下の使用では、金属イオンの除去効果が期待できない。なお、処理液の液性はキレート樹脂の機能上、pH4以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上に保つことが重要であるが、塩基性下では処理中にポリフェノールの褐変反応が進行するので、pH9以下が好ましい。
また、電気透析装置を使用する際には、金属イオンとポリフェノール成分の錯体を解離させるために、液性をpH5以下、好ましくは4以下に調整することで、透析効果を促進させることができる。
その他飲料中の〔(B)/(A)〕をコントロールする方法としては、〔(B)/(A)〕が2.0以下である茶抽出物を副原料として添加しても良い。本条件を満たす市販の茶抽出物として三井農林(株)のポリフェノンFR等が挙げられ、その他市販の茶抽出物でも前記の樹脂(膜)や電気透析装置を利用して再調製して用いることができる。茶抽出物中の〔(B)/(A)〕が2.0より大きい場合、最終的な茶飲料の〔(B)/(A)〕を調製し難く、主原料茶葉由来の風味を損ねることになり好ましくない。茶抽出物中の〔(B)/(A)〕は1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
さらに、その他の飲料中の〔(B)/(A)〕をコントロールするための副原料として、無機アルミニウム化合物や有機アルミニウム化合物の他、アルミニウムを含有する天然物等の利用が挙げられる。具体的には、活性白土、酸性白土、ゼオライト、カオリン、ベントナイト等のアルミニウム含有鉱物性物質の他、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、三フッ化アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム等の無機アルミニウム化合物や有機アルミニウム化合物が挙げられる。各種のアルミニウム塩は水和物の形態であってもよい。
これらの中では、硫酸アンモニウムアルミニウム(焼アンモニウムミョウバン)、硫酸カリウムアルミニウム(焼ミョウバン)とこれらの水和物である硫酸アンモニウムアルミニウム・12水(アンモニウムミョウバン)、硫酸カリウムアルミニウム・12水(ミョウバン又はカリミョウバン)は、食品添加物として認可されているため好適に用いることができる。また、アルミニウムを含有する葉菜類、海藻類、貝類等の動植物の抽出物を用いることもできる。
なお、本発明の容器詰茶飲料におけるフロックの発生の抑制乃至防止効果は、それ自体でも十分であるが、その効果を補完したり増強したりするために、必要に応じて公知のフロックの発生を抑制乃至防止する方法、例えば、酵素処理により水溶性多糖成分を分解する方法、原因物質や沈殿を限外濾過やケイ藻土濾過によって物理的に取り除く方法等を併用してもよい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、タンニン濃度の測定は、日本食品分析センター編、「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」、中央法規、2001年7月、p.252に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)に従って求めた。
(実施例1〜3)
茶飲料用にブレンドした緑茶葉(ロットA)100gを557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。次に、この緑茶抽出液2000gにL−アスコルビン酸3.0gを加え、炭酸水素ナトリウムを加えてpH6.5に調製した後、キレート樹脂ダイヤイオンCR11(三菱化学(株)製)10mlを充填したカラムに通液し(通液速度:SV=200、樹脂量は原料茶葉100gあたり10ml)、カラム通過液を得た。この通過液をイオン交換水で希釈し、タンニン濃度をそれぞれ、75mg/100ml(実施例1)、100mg/100ml(実施例2)、200mg/100ml(実施例3)となるように調製した。これらのpHを6.5に再調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って実施例1〜3の容器詰緑茶飲料を作製した。
(実施例4〜5)
茶飲料用にブレンドした緑茶葉(ロットB)100gを557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をイオン交換水で希釈し、タンニン濃度を55mg/100mlとなるように調製した。この希釈液に市販の緑茶抽出物(ポリフェノンFR※1、三井農林(株)製)を実施例4として83ppm、実施例5として333ppm、となるように添加した。次いで、これら1LあたりにL−アスコルビン酸を0.3g加え、炭酸水素ナトリウムによりpH6.5に調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って実施例4及び5の容器詰緑茶飲料を作製した。
(実施例6〜7)
茶飲料用にブレンドした緑茶葉(ロットC)100gを557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をイオン交換水で希釈し、タンニン濃度を実施例6では55mg/100ml、実施例7では110mg/100mlとなるように調整し、さらに市販の緑茶抽出物(ポリフェノンFR※1、三井農林(株)製)を実施例6では250ppm、実施例7では750ppmを添加した。次いで、これら1LあたりにL−アスコルビン酸を0.3g加え、炭酸水素ナトリウムによりpH6.5に調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って実施例6及び7の容器詰緑茶飲料を作製した。
(実施例8)
市販の緑茶抽出物(ポリフェノンCG※2、三井農林(株)製)をタンニン濃度が100mg/100mlとなるようにイオン交換水に溶解し、濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過した。次いで、市販の緑茶抽出物(ポリフェノンFR※1、三井農林(株)製)を167ppmとなるように添加した。この溶液に1LあたりにL−アスコルビン酸を0.3g加え、炭酸水素ナトリウムによりpH6.5に調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って比較例8の容器詰緑茶飲料を作製した。
(比較例1〜3)
茶飲料用にブレンドした緑茶葉(ロットA)100gを557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をイオン交換水で希釈し、タンニン濃度をそれぞれ、75mg/100ml(比較例1)、100mg/100ml(比較例2)、200mg/100ml(比較例3)となるように調製し、これら希釈液1LあたりにL−アスコルビン酸を0.3g加え、炭酸水素ナトリウムによりpH6.5に調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って比較例1〜3の容器詰緑茶飲料を作製した。
(比較例4)
希釈液に市販の緑茶抽出物を添加しない以外は実施例4と同様の操作を行い、比較例4の容器詰緑茶飲料を作製した。
(比較例5)
茶飲料用にブレンドした緑茶葉(ロットB)100gを557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をイオン交換水で希釈し、タンニン濃度を110mg/100mlとなるように調製した。この希釈液に市販の緑茶抽出物(ポリフェノンCG※2、三井農林(株)製)を1250ppm、となるように添加した。次いで、これら1LあたりにL−アスコルビン酸を0.3g加え、炭酸水素ナトリウムによりpH6.5に調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って比較例5の容器詰緑茶飲料を作製した。
(比較例6〜7)
希釈液に市販の緑茶抽出物を添加しない以外は、比較例6を実施例6と同様に、比較例7を実施例7とそれぞれ同様の操作を行い、比較例6及び比較例7の容器詰緑茶飲料を作製した。
(比較例8)
市販の緑茶抽出物(ポリフェノン70A※3、三井農林(株)製)をタンニン濃度が100mg/100mlとなるようにイオン交換水に溶解し、濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過した。次いで、ミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム・12水和物)をアルミニウム量として緑茶飲料調合液100mlあたり0.1mg加えた。この溶液に1LあたりにL−アスコルビン酸を0.3g加え、炭酸水素ナトリウムによりpH6.5に調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って比較例8の容器詰緑茶飲料を作製した。
(比較例9)
市販の緑茶抽出物(ポリフェノン70A※3、三井農林(株)製)をタンニン濃度が100mg/100mlとなるようにイオン交換水に溶解し、濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過した。次いで、市販の緑茶抽出物(ポリフェノンFR※1、三井農林(株)製)を167ppmとなるように添加した。この溶液に1LあたりにL−アスコルビン酸を0.3g加え、炭酸水素ナトリウムによりpH6.5に調整し、緑茶飲料調合液を作製した。この緑茶飲料調合液を300ml容耐熱性ガラス容器に80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って比較例9の容器詰緑茶飲料を作製した。
※1: (A)アルミニウム含量:0.59%、(B)マグネシウム含量:0.42%、(C)カテキン含量:14.9%、(D):キナ酸ガレート類含量:0.26%、[(B)/(A)]=0.71
※2: (A)アルミニウム含量:0.075%、(B)マグネシウム含量:0.41%、(D):キナ酸ガレート類含量:1.62%、[(B)/(A)]=5.47
※3: (A)アルミニウム含量:0.0005%、(B)マグネシウム含量:0.0050%、(D):キナ酸ガレート類含量:0.01%
上記の実施例1〜8、比較例1〜9で作製した容器詰緑茶飲料について、下記(1)〜(5)による評価を行った。その結果を表1に示す。
(1) アルミニウム及びマグネシウム含有量の測定方法
各試験溶液を0.45μmメンブランフィルター(DISMIC−13HP;ADVANTEC)でろ過した後、アルミニウム及びマグネシウム含有量を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)により次の条件で定量した。
装置:ICP−AES CIROS CCD−M(リガク)、プラズマ電力:1400W、ポンプ流量:1ml/min
プラズマガス流量:Ar,13.0L/min、補助ガス流量:Ar,1.0L/min、
ネブライザーガス流量 :Ar,1.0L/min、分析線:396.152nm、
標準液:関東化学製化学分析用標準液を使用
(2) カテキン類及びキナ酸ガレート類含有量の測定方法
各試験溶液を0.45μmメンブランフィルター(DISMIC−13HP;ADVANTEC)でろ過した後、カテキン類及びキナ酸ガレート類含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により次の条件で定量した。
装置 :アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社 )
カラム: Mightysil RP−18 GP、4.6mmφ×150mm(5μm)(関東化学株式会社)
移動相:A液 アセトニトリル:0.05%リン酸水=25:1000
B液 アセトニトリル:0.05%リン酸水:メタノール=10:400:200 (体積比)
グラジエント:注入3分後から25分後にA液100%からB液100%に達するリニアグラジエント
流速:1ml/min
検出:UV230nm(カテキン類)、UV275nm(キナ酸ガレート類)
カラム温度:40℃
(3) フロック発生の確認
方法:作製した容器詰茶飲料を50℃の恒温器内に保存し、7日経過時に目視観察によりフロックの発生を確認した。
評価:−(フロックの発生が認められない)、±(極僅かな浮遊状のフロックが存在する)、+(フロックの発生が認められる。存在量は+の数をもって表す)
(4) 透過率変化
装置:SPECTRONIC 20 GENESYS(Spectronic
Instruments,INC.製)
方法:作製直後、及び50℃で7日間保存した容器詰茶飲料溶液の上清を静かに取り出し、OD660nmの透過率(T%)を測定し、両者の差(ΔT%)を求めた。
(5) 風味評価
方法:作製した容器詰茶飲料溶液について、パネラー5名による官能評価を行った。
評価点:3(良い)、2(やや良い)、1(悪い)
評価:平均評価点が、2.4以上を◎、1.7〜2.3を○、1.6以下を×、とした。
Figure 0004900905
表1の結果から明らかな通り、実施例1〜3、5、6、8では保存後のフロックの発生が観察されず、透過率変化も僅かであった。実施例4及び7では極僅かな浮遊状フロックが認められたが、外観上問題となるレベルではなかった。また、これらの官能評価は良好で、何ら違和感を覚えなかった。特に、実施例1〜3、6、8もついては、渋みの後味が尾を引かない爽やかな喉越しとなっており、風味のバランスに優れていた。
一方、比較例1〜7については早期からフロックの発生が確認され、さらにはフロックの発生に伴って浮遊性の微粒子が凝集沈澱したことによって透過率が上昇し、初期の状態を逸脱していた。また、比較例8及び9では、フロックの発生は認められないものの、官能評価では苦渋味だけが強調され、茶飲料に求められる風味が欠落していた。
本発明は、茶本来の風味を保持しつつ、フロックの発生が抑制乃至防止された容器詰茶飲料を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。


Claims (4)

  1. 次の成分、(A)アルミニウム、(B)マグネシウム、(C)カテキン類、(D)キナ酸ガレート類、を含有し、その含量(mg/100ml)から導かれる(D)×〔(B)/(A)〕を式(II)、とするとき、
    (イ) 1<(II)<80
    (ロ) 20<(C)<500
    である容器詰茶飲料。
    (ただし、珪素イオン10〜30mg/kgを含有する容器詰緑茶飲料を除く)
  2. (B)/(A)を式(I)とするとき、
    (イ) 0.8<(I)<5.0、且つ1<(II)<80
    である請求項1記載の容器詰茶飲料。
  3. (ハ) 0.5<(D)<10である請求項1〜2のいずれか一項に記載の容器詰茶飲料。
  4. 茶抽出物を添加したものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器詰茶飲料。
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