JP4633213B2 - 手術用顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼科や、耳鼻科、脳神経外科などの外科手術に用いられて観察者による術部の拡大観察を可能とする手術用顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、手術用顕微鏡は、眼科や、耳鼻科、脳神経外科などの外科手術に用いられており、観察者による術部の拡大観察を可能にし、手術の効率を向上させる等の重要な役割を果たしている。また、近年では手術用顕微鏡を用いた手術の有効性が広く一般に認識されてくるとともに、手術用顕微鏡が適用される手術の種類も増加傾向にある。この為、1台の手術用顕微鏡を複数の科で共用したいという要望が多くなってきた。
【0003】
耳鼻科や、脳神経外科などの外科手術では、術者を介助する目的や手術の手技、手法を教育する目的で、助手用に観察鏡筒が用いられる場合がある。これは、術者の左右の眼に対応する一対の観察光学系の中にビームスプリッターなどの光分割素子をあらかじめ配置しておいて、その光分割素子の反射方向に、必要に応じて助手の観察鏡筒を取りつけて、術者の左右の眼に対応するどちらか一方の像を観察するようにしたものが一般的である。また、観察対象を照明する照明系は、観察光学系の光軸と照明光学系の光軸とが互いに一致していない、いわゆる傾斜照明式が一般的である。
【0004】
これに対して、眼科手術の大半を占めている白内障手術では、助手による手術の介助が非常に重要な役割を担っている。例えば、網膜などの生体組織を傷つけることなく手術を行う為には、助手も術者と同じ観察像を得る事が重要である。即ち、助手の観察光学系は、術者側の観察光学系の光軸と同軸で、且つ立体観察が可能な事が必要である。助手用の観察光学系に関する従来技術としては、実開昭62−158413号公報がある。
【0005】
また、白内障手術では、白濁した水晶体を摘出した後の残留皮質を取り除く場合に、眼球の網膜に照明光が当たって散乱反射することによって発生する赤色反射を十分に得ることが重要である。ここで、眼球の瞳孔から照明光を入射し、網膜からの赤色反射光を観察する為には、観察光学系の光軸と照明光学系の光軸とが互いに一致した、いわゆる同軸照明が必要である。そして、同軸照明と傾斜照明とを切換えて使用できる手術用顕微鏡としては特開昭63−27810号公報がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来構成の装置では次のような問題がある。すなわち、実開昭62−158413号公報の装置では、術者側と同軸の観察光を助手側へ分割する為の反射プリズム、及び助手用の顕微鏡が、術者側観察鏡筒のハウジングに一体的に構成されている。そのため、助手を必要とせず一人で手術を行う事を好む術者に対しても、必要の無い助手用顕微鏡や、分割プリズムを装着した大型で、且つ高価な顕微鏡を提供する事になり、術者に不要な負担をかけてしまうおそれがある。
【0007】
また、特開昭63−27810号公報の装置では、助手側で術者側と同軸に立体観察可能にする為には、この従来技術に示された同軸照明装置とは別に、さらに術者側観察鏡筒のハウジングに助手用の顕微鏡を新たに取りつけなければならない問題がある。従って、顕微鏡の鏡体が大型化し、手術時の作業スペースが制限されてしまう問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、助手を必要とせずに一人で手術を行う場合や、眼科以外の外科手術に使用する場合には、コンパクトで安価な手術用顕微鏡を提供することができ、眼科の外科手術に使用する場合には、この手術用顕微鏡に後から1つの付属品を追加するだけで、術者側観察光学系に対して同軸、且つ立体観察が可能な助手用観察光学系と、同軸照明光学系とを実現することができる手術用顕微鏡を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、対象部位を観察する術者用の観察光学系及び前記対象部位を傾斜方向から照明する照明光学系を内蔵する第1ハウジングと、前記第1ハウジングに対して着脱可能に連結され、助手用の観察光学系及び前記照明光学系を前記術者用観察光学系に対して同軸化させる光学指向部材を内蔵させた第2ハウジングとを設け、前記第1ハウジングに前記第2ハウジングを非連結状態で前記第1ハウジングのみを単独で使用する第1のセット状態と、前記第1ハウジングに前記第2ハウジングを連結した状態で前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを同時に使用する第2のセット状態とに切換え可能にしたことを特徴とする手術用顕微鏡である。
そして、第1ハウジングに第2ハウジングを装着しない場合には、顕微鏡は術者用の観察光学系及び照明光学系のみを有し、照明光学系から出射される照明光は対象部位を傾斜方向から照明する。また、第1ハウジングに第2ハウジングを装着した場合には、顕微鏡は術者用の観察光学系、照明光学系及び助手用の観察光学系を有すると共に、照明光学系から出射される照明光は光学指向部材によって術者用観察光学系に対して同軸化され、対象部を術者用観察光学系と同方向から照明するようにしたものである。
請求項2は、前記光学指向部材は、出射される照明光の光軸が前記術者用の観察光学系の一部を構成する対物レンズの光軸と同軸になるべく、前記第2ハウジングに支持されていることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡である。
請求項3は、前記助手用の観察光学系は、撮影レンズ及び該撮影レンズから出射される光束を受ける撮像素子とを有している事を特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡である。
請求項4は、前記撮像素子からの映像出力は、ヘッドマウント液晶モニターに導かれる事を特徴とする請求項3に記載の手術用顕微鏡である。
請求項5は、前記第2ハウジングは、内蔵された光学指向部材を、前記術者用観察光学系の対物レンズの光軸中心に回転させて照明光を入射する位置から退避させるための退避手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡である。
請求項6は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは、各々が接続された時に各々の変倍系が連動するための連動手段を備えている事を特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照して説明する。図1(A),(B)は本実施の形態の手術用顕微鏡の鏡体部を示すものである。この鏡体部には手術用顕微鏡の鏡体部本体である第1ハウジング1が設けられている。この第1ハウジング1の下部には1つの第1対物レンズ2が下面開口部に臨ませた状態で設置されている。
【0011】
この第1対物レンズ2の上方には、この第1対物レンズ2の中心軸Oの両側に術者用の左右一対の観察光学系K1a,K1bが設けられている。ここで、左側の観察光学系K1aには第1ズーム変倍レンズ3と、第1結像レンズ4と、第1接眼レンズ5とが順次、設置されている。なお、左右一対の観察光学系K1a,K1bは同一構成になっている。そして、右側の観察光学系K1bにも同様に第1ズーム変倍レンズ3と、第1結像レンズ4と、第1接眼レンズ5とが順次、設置されている。
【0012】
また、第1ハウジング1の下部には下面開口部の周縁部位に直線状に延設されたガイド溝であるアリ溝1aが第1対物レンズ2の下方に形成されている。このアリ溝1aには第1ハウジング1に着脱自在に連結される第2ハウジング6の鳩尾部6aがこのアリ溝1aに沿ってスライド可能に係合されている。そして、この鳩尾部6aを第1ハウジング1側のアリ溝1aに嵌め込んで係合させることにより、第2ハウジング6を第1ハウジング1側の所定のセット位置に装着させるようになっている。なお、このような装着構造であるため、第2ハウジング6は第1ハウジング1から取り外すこともできる。
【0013】
また、第2ハウジング6には図1(A)に示すように第1ハウジング1の第1対物レンズ2の下方に配置される下部構成体6bと、第1ハウジング1の側方に配置される側部構成体6cとが設けられている。ここで、第2ハウジング6の側部構成体6cには助手用の左右一対の観察光学系K2a,K2bが設けられている。
【0014】
また、助手用の左側の観察光学系K2aには第2対物レンズ9と、第2ズーム変倍レンズ10と、第2結像レンズ11とが順次、設置されている。さらに、第2結像レンズ11の上方には観察角度変換プリズム12と、第2接眼レンズ13とが順次、設置されている。
【0015】
なお、助手用の左右一対の観察光学系K2a,K2bは同一構成になっている。そして、右側の観察光学系K2bにも同様に第2対物レンズ9と、第2ズーム変倍レンズ10と、第2結像レンズ11とが順次、設置され、さらにこの第2結像レンズ11の上方に観察角度変換プリズム12と、第2接眼レンズ13とが順次、設置されている。
【0016】
また、第2ハウジング6の下部構成体6bには第1対物レンズ2の中心軸Oを通る平面内で、且つ図1(B)に示すようにこの第1対物レンズ2の中心軸Oの両側に一対の第1反射プリズム(光学指向部材)7が設置されている。さらに、各第1反射プリズム7の位置から中心軸Oに対して垂直方向に向けて一対の第2反射プリズム(光学指向部材)8が設置されている。図1(A)に示すようにこれらの一対の第2反射プリズム8は第2ハウジング6の側部構成体6cの下端部に配置されている。なお、図1(A)には一対の第2反射プリズム8のうちの一方のみを示す。
【0017】
また、左右の各第2反射プリズム8の上方には、助手用の左右の各観察光学系K2a,K2bの第2対物レンズ9がそれぞれ配設されている。そして、助手用の観察光学系K2a,K2bの第2対物レンズ9には第1反射プリズム7および第2反射プリズム8を順次介して術者用の左右の観察光学系K1a,K1bと同じ対象部位の観察像が入射されるようになっている。これにより、第1反射プリズム7および第2反射プリズム8によって術者用観察光学系K1a,K1bに対して助手用の観察光学系K2a,K2bを同軸化させる同軸化機構が構成されている。
【0018】
さらに、第1ハウジング1には第1ズーム変倍レンズ3を駆動するための図示しないモーターの回転力を出力する第1ピニオンギヤ14が組込まれている。そして、第2ハウジング6には第1ピニオンギヤ14の回転力を第2ズーム変倍レンズ10の図示しない駆動系に伝達するための第2ピニオンギヤ15が設置されている。
【0019】
また、第1ハウジング1には対象部位を傾斜方向から照明する照明光学系Lが内蔵されている。この照明光学系Lには図1(B)に示すように第1対物レンズ2の上方で、かつこの第1対物レンズ2の中心軸Oから外れた位置に配置された照明反射プリズム18と、この照明反射プリズム18の側方に配置された照明レンズ19とが設けられている。
【0020】
さらに、照明レンズ19の側方には光源装置からの照明光を伝送するライトガイド20の射出側口金部20aが設置されている。このライトガイド20の反対側の入射端部は図2に示すように照明光を出射する後述する光源装置21に接続されている。そして、光源装置21からの照明光はライトガイド20を通して伝送され、照明レンズ19に入射されたのち、照明反射プリズム18によって第1対物レンズ2側に向けて反射されるようになっている。ここで、第1ハウジング1側に第2ハウジング6が連結されていない場合には照明反射プリズム18からの照明光は第1対物レンズ2を通して対象部位に傾斜方向から照射されて対象部位を傾斜方向から照明するようになっている。
【0021】
また、第2ハウジング6には第1ハウジング1側に第2ハウジング6が連結された場合に第1対物レンズ2の中心軸O上に配置されるプリズムからなる第1光学指向部材16が設置されている。この第1光学指向部材16は第1対物レンズ2と第1反射プリズム7の間に配置されている。
【0022】
さらに、図1(B)に示すように、第1光学指向部材16の位置から中心軸Oに対して垂直方向にプリズムからなる第2光学指向部材17が設置されている。この第2光学指向部材17の上方には照明反射プリズム18が第1対物レンズ2を間に挟み込むような位置に設置されている。そして、第1ハウジング1側に第2ハウジング6が連結された場合には照明反射プリズム18からの照明光は第1対物レンズ2を通った後、第2光学指向部材17、第1光学指向部材16を順次介して対象部位に第1対物レンズ2の中心軸Oの方向から照射されて対象部位を第1対物レンズ2の中心軸Oの正面方向から照明するようになっている。したがって、第1光学指向部材16および第2光学指向部材17によって第1ハウジング1の照明光学系Lを術者用観察光学系K1a,K1bに対して同軸化させる同軸化機構が構成されている。
【0023】
また、図2は光源装置21の一例を示すものである。この光源装置21のハウジング21aにはライトガイド20の入射側口金部20bが挿入固定されている。さらに、この光源装置21の内部には、ランプ基板23が図2中で、矢印A方向にスライド可能に設けられている。
【0024】
このランプ基板23には図2中で、矢印A方向に延設された細長いガイド溝23aが形成されている。このガイド溝23aには2つのガイド部材22が挿入されている。これらのガイド部材22には図3(A)に示すようにねじ部22aが形成されている。そして、各ガイド部材22のねじ部22aが光源装置21のハウジング21aにねじ込み固定されている。これにより、ランプ基板23が光源装置21のハウジング21aに2箇所で固定されている。そして、2つのガイド部材22のねじ込みを緩めることにより、2つのガイド部材22に沿ってランプ基板23のガイド溝23aがガイドされる状態で、ランプ基板23が光源装置21のハウジング21aに対して図2中で、矢印A方向にスライドするようになっている。
【0025】
また、ランプ基板23の前面側には図2に示すようにガイド溝23aの延設方向に沿って3箇所に位置決め溝23c、23d、23eが形成されている。これらの位置決め溝23c、23d、23eは、図2中の矢印C方向から見た場合に図3(B)に示すようにV字形状に形成されている。
【0026】
さらに、ランプ基板23の前面側における1つの位置決め溝23dと対応する位置には1つの光源ランプであるハロゲンランプ27、他の位置決め溝23cと対応する位置には他のの光源ランプであるキセノンランプ42がそれぞれ設置されている。
【0027】
また、光源装置21のハウジング21aにはランプ基板23の係止機構28が設けられている。この係止機構28にはランプ基板23の3つの位置決め溝23c、23d、23eに選択的に係脱可能に係合する鋼球29aと、この鋼球29aを支持する板ばね状のばね部材29bとが設けられている。このばね部材29bの基端部は光源装置21のハウジング21aに固定されている。そして、このばね部材29bによって鋼球29aが3つの位置決め溝23c、23d、23eのいずれか1つに係脱可能に係合される方向に付勢されている。
【0028】
ここで、図3(B)に示すように鋼球29aが位置決め溝23eに係合された場合には図2に示すように光源ランプであるハロゲンランプ27およびキセノンランプ42が両方ともライトガイド20の入射側口金部20bに対向配置されていない状態で光源装置21のハウジング21aにランプ基板23が係止されるようになっている。また、ランプ基板23のスライド動作にともないランプ基板23の位置決め溝23dに鋼球29aが係合された場合には図4(A)に示すように光源ランプであるハロゲンランプ27がライトガイド20の入射側口金部20bに対向配置された状態で光源装置21のハウジング21aにランプ基板23が係止されるようになっている。さらに、ランプ基板23がスライド動作し、ランプ基板23の位置決め溝23cに鋼球29aが係合された場合には図4(B)に示すように光源ランプであるキセノンランプ42がライトガイド20の入射側口金部20bに対向配置された状態で光源装置21のハウジング21aにランプ基板23が係止されるようになっている。
【0029】
また、ランプ基板23には背面側の略中央部位に突出部23bが突設されている。さらに、光源装置21のハウジング21aにはこのランプ基板23の突出部23bによって切換え操作される3つのマイクロスイッチ24、25、26が固定ねじ40によって固定されている。これらの3つのマイクロスイッチ24、25、26はランプ基板23のガイド溝23aと平行に並設された状態で配置されている。
【0030】
また、3つのマイクロスイッチ24、25、26の機能としては、次の通り設定されている。すなわち、第1マイクロスイッチ24には光源装置21全体の電源ON及びOFF、第2マイクロスイッチ25にはハロゲンランプ27のON及びOFF、第3マイクロスイッチ26にはキセノン光源42のON及びOFFがそれぞれ割り付けられている。
【0031】
そして、ランプ基板23が光源装置21のハウジング21aに対して図2中で、矢印A方向にスライドする動作にともない図2の位置と、図4(A)の位置と、図4(B)の位置とに切換え操作されるようになっている。このとき、ランプ基板23のスライド動作にともないライトガイド20の入射側口金部20bに対向配置される光源ランプがハロゲンランプ27と、キセノンランプ42とに切換え操作されるとともに、ランプ基板23の突出部23bによって3つのマイクロスイッチ24、25、26が切換え操作されるようになっている。
【0032】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の手術用顕微鏡を眼科の外科手術において使用する場合には図1(A),(B)に示すように第1ハウジング1に第2ハウジング6を連結させた状態にセットされる。このとき、ライトガイド20の射出側口金部20aから射出された照明光は照明レンズ19を通り、照明反射プリズム18により第1対物レンズ2の中心軸Oと角度αをなす方向に反射させられる。さらに、その反射光は第1対物レンズ2を通り第2光学指向部材17及び第1光学指向部材16により、第1対物レンズ2の中心軸Oと同軸に反射させられ、術部を照射する。
【0033】
また、照明光が照射されることにより術部から発した反射光は、一部は第1対物レンズ2から第1ズーム変倍レンズ3、第1結像レンズ4を通り、第1接眼レンズ5に伝送され、術者に観察される。さらに、このとき術部から発した反射光の他の一部は第1反射プリズム7から分光され、第2反射プリズム8、第2対物レンズ9、第2ズーム変倍レンズ10、及び第2結像レンズ11を通り、観察角度変換プリズム12により角度を変換され、第2接眼レンズ13に伝送され、助手に観察される。
【0034】
また、顕微鏡観察中に、術者が変倍操作を行った場合には、図示しないモーターにより第1ズーム変倍レンズ3が駆動されるとともに、図示しないモーターの回転力は第1ピニオンギヤ14から、第2ピニオンギヤ15に伝達され、第2ピニオンギヤ15の回転は図示しない第2ズーム変倍レンズ10の駆動系に伝達される。これによって、術者側がズーム倍率の変更を行うと、助手側のズーム倍率も同期して変更される。
【0035】
また、本実施の形態の手術用顕微鏡を耳鼻科や、脳神経外科の外科手術に使用する場合には、第1ハウジング1のアリ溝1aから第2ハウジング6の鳩尾部6aを外すことにより、第1ハウジング1から第2ハウジング6が取外され、第1ハウジング1のみが使用される。これによって、第2ハウジング6の中に構成されていた、助手用観察光学系K2a,K2bに観察先を分割するための第1反射プリズム7、第2反射プリズム8ならびに助手用観察光学系K2a,K2b、及び第1ハウジング1の傾斜照明光学系Lを同軸照明に変換するための第1光学指向部材16と第2光学指向部材17、さらには術者用観察光学系K1a,K1b側のズーム変倍操作を伝達するための第2ピニオンギヤ15が同時に外される。
【0036】
このように第1ハウジング1のみが使用される形態では、ライトガイド20から射出された照明光は照明レンズ19を経て照明反射プリズム18により反射され、第1対物レンズ2を通過した後、直接術部を照明し、角度αの傾斜照明となる。
【0037】
この手術用顕微鏡を再度、眼科の外科手術にて使用する場合には、第1ハウジング1のアリ溝1aに第2ハウジング6の鳩尾部6aを再び取付け、第1ハウジング1に第2ハウジング6を連結させる。これによって、助手用観察及び同軸照明に関する当初の機能が容易に再現される。
【0038】
次に、光源装置21の作用を図2〜図4(A),(B)を参照して説明する。
まず、図2は光源装置21の電源がOFFの状態である。この状態では、鋼球29aがランプ基板23の位置決め溝23eに係合し、ランプ基板23が図2の位置で固定される。このとき、光源ランプであるハロゲンランプ27およびキセノンランプ42が両方ともライトガイド20の入射側口金部20bに対向配置されていない状態で保持されるとともに、ランプ基板23の突起部23bが第1マイクロスイッチ24のスイッチ部に当接し、電源が切られた状態で保持される。
【0039】
また、光源装置21の電源をONにする場合にはランプ基板23をガイド溝23aに沿って矢印A方向にスライドさせる。このランプ基板23のスライド動作にともない第1マイクロスイッチ24のスイッチ部からランプ基板23の突起部23bが外れ、電源スイッチがON状態になる。
【0040】
さらに、図4(A)に示す位置までランプ基板23がスライドされると、鋼球29aが位置決め溝23dに係合され、ランプ基板23が図4(A)の位置で固定される。この状態では、光源ランプであるハロゲンランプ27がライトガイド20の入射側口金部20bに対向配置されるとともに、ランプ基板23の突出部23bが第2マイクロスイッチ25のスイッチ部に当接する。そのため、ハロゲンランプ27の電源がONになり、ハロゲンランプ27からの発射光はその光軸方向にあるライトガイド20に入射される。
【0041】
また、ランプ基板23を図4(A)に示す位置からさらに矢印A方向に移動すると、ランプ基板23の突出部23bが第2マイクロスイッチ25から外れ、ハロゲンランプ27がOFFになる。そして、図4(B)に示す位置までランプ基板23がスライドされると、鋼球29aがランプ基板23の位置決め溝23cに係合し、ランプ基板23が図4(B)の位置で固定される。この状態では、キセノンランプ42がライトガイド20の入射側口金部20bに対向配置されるとともに、ランプ基板23の突出部23bが第3マイクロスイッチ26のスイッチ部に当接する。そのため、キセノンランプ42の電源がONになり、キセノンランプ42の発射光がライトガイド20に入射される。
【0042】
また、この電源装置21の電源をOFFにする場合には、ランプ基板23を図4(B)中で、矢印Bの方向へ移動させて、図2に示す位置に戻すことにより、電源を切ることができる。
【0043】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では助手を必要とせずに一人で手術を行う場合や、眼科以外の外科手術に使用する場合には、第1ハウジング1から第2ハウジング6を取外し、第1ハウジング1のみを使用する状態にセットすることにより、コンパクトで安価な手術用顕微鏡を提供することができる。
【0044】
また、手術用顕微鏡を眼科の外科手術に使用する場合には、第1ハウジング1に第2ハウジング6を連結した状態にセットすることにより、顕微鏡は術者用の観察光学系K1a,K1bと、照明光学系L及び助手用の観察光学系K2a,K2bを有すると共に、第1ハウジング1の照明光学系Lから出射される照明光は第2光学指向部材17および第1光学指向部材16によって術者用観察光学系K1a,K1bに対して同軸化され、対象部を術者用観察光学系K1a,K1bと同方向から照明することができる。そのため、第1ハウジング1に後から1つの付属品である第2ハウジング6を追加するだけで、術者側観察光学系K1a,K1bの観察光軸と同軸、かつ立体的に観察が可能な助手用観察光学系K2a,K2bと同軸照明が得られる。したがって、眼科と眼科以外の科で手術用顕微鏡を共通に使用する場合にも、助手用観察光学系K2a,K2bと同軸照明用の第2光学指向部材17および第1光学指向部材16の着脱が同時かつ簡単に行えるため、眼科以外の科において手術用顕微鏡が大型化し、手術作業スペースが制限されてしまうという問題がなく、複数の科で使い勝手の良い手術用顕微鏡が提供できる。
【0045】
さらに、術者用観察光学系K1a,K1bのズーム倍率に合わせて、助手用観察光学系K2a,K2bのズーム倍率も自動的に変更されるようにしたので、助手がズーム倍率変更の操作を行う必要が無く、助手の操作が楽になる効果がある。
【0046】
また、本実施の形態の光源装置21では、電源をONにした時には、必ず先にハロゲンランプ27から点灯するようになっているため、電源を入れたとたんに間違えてキセノンランプ42が点灯されるおそれがない。そのため、眼球の網膜に光の強いキセノン光を照射してしまうといったミスを防止できて安全である。
【0047】
ことができる。
【0048】
なお、本実施の形態では第1光学指向部材16及び第2光学指向部材17としてプリズムを使用したが、これに限るものではなく、プリズムの代わりにミラーを使用しても同様の効果が得られる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、光源装置21内の複数のマイクロスイッチ24〜26と各ランプ27、42の配列により、安全機構を実現しているが、これに限るものではなく、図4(C)のフローチャートに示すようにハロゲン光源の点灯を確認後、必ずキセノン光源が点灯できる状態になるように電気的な制御を行うようにしても同様の効果が得られる。すなわち、図4(C)のフローチャートでは光源装置21の電源ONの後、ステップS1で、初期化が行われる。続いて、次のステップS2で、ハロゲンランプ27の点灯処理が行われる。その後、次のステップS3で、ハロゲンランプ27の点灯チェックが行われる。このステップS3で、ハロゲンランプ27の点灯が確認できない場合には次のステップS4で、キセノンランプ42の点灯不可処理が行われる。また、ステップS3で、ハロゲンランプ27の点灯が確認できた場合には次のステップS5に進み、キセノンランプ42の点灯許可処理が行われる。
【0050】
また、図5(A),(B)乃至図8は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A),(B)乃至図4(A),(B)参照)の手術用顕微鏡の第2ハウジング6の構成を次の通り変更したものである。なお、第1ハウジング1の内部構成、及び第1ハウジング1と第2ハウジング6との接続部の構成は、第1の実施の形態と同一であり、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付してここではその説明を省略する。
【0051】
すなわち、本実施の形態の第2ハウジング6Aには図5(A)および図6に示すように第1反射プリズム7の位置から第1対物レンズ2の中心軸Oに対して垂直方向に一対の撮像レンズ30、及びCCDカメラ撮像素子31がそれぞれ設置されている。さらに、CCDカメラ撮像素子31の出力端はヘッドマウント液晶モニター32に接続されている。そして、これらの第1反射プリズム7、撮像レンズ30、及びCCDカメラ撮像素子31によって助手用顕微鏡の観察光学系K2a,K2bが構成されている。
【0052】
また、第1対物レンズ2の中心軸O上には第1対物レンズ2と第1反射プリズム7との間に、図5(B)に示すように略平行四辺形状のプリズムからなる光学指向部材33が設置されている。この光学指向部材33は、図6に示すように第1対物レンズ2の中心軸Oを中心に実線で示すセット位置と点線で示す退避位置との間で回転可能に支持されている。そして、この光学指向部材33がセット位置で保持されている場合には図5(B)に示すように照明反射プリズム18による照明光の射出範囲に挿入された状態にセットされるようになっている。ここで、光学指向部材33が退避位置に回転操作された場合には照明反射プリズム18による照明光の射出範囲から退避可能になっている。なお、この光学指向部材33には図示しないモーター、または電磁ソレノイドによる駆動機構が設けられている。そして、この駆動機構の図示しないモーター、または電磁ソレノイドを図7および図8に示すフットスイッチ34からのスイッチ入力によって作動制御することにより、光学指向部材33の回転移動が制御されている。
【0053】
また、図7および図8はフットスイッチ34の一例を示すもので、図7はフットスイッチ34の上面図、図8は側面図である。このフットスイッチ34のフットスイッチハウジング34aの上面には手術用顕微鏡を操作するための複数のスイッチ群35が配置されている。さらに、このフットスイッチハウジング34はベース部36に対して図示しない例えばリニアベアリングなどの直線運動機構を介して図7中に矢印D方向に移動可能に固定されている。これによってフットスイッチハウジング34はベース部36に対して矢印Dの方向に移動可能になっている。
【0054】
また、フットスイッチハウジング34aの上面のスイッチ群35には手術用顕微鏡以外の手術機器、例えば超音波吸引装置やレーザー装置などを操作するための入力スイッチ42、43が設けられている。なお、各々の機器のスイッチはその機器用のスイッチ毎に、集中された配置となっている。
【0055】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の手術用顕微鏡を眼科の外科手術において使用する場合には図5(A),(B)に示すように第1ハウジング1に第2ハウジング6Aを連結させた状態にセットされる。このとき、光学指向部材33は図6中に実線で示すように照明反射プリズム18による照明光の射出範囲に挿入されたセット位置で保持されている。
【0056】
この場合にはライトガイド20の射出側口金部20aから射出された照明光は照明レンズ19を通り、照明反射プリズム18により第1対物レンズ2の中心軸Oと角度αをなす方向に反射させられる。さらに、その反射光は第1対物レンズ2を通り光学指向部材33により、第1対物レンズ2の中心軸Oと同軸に反射させられ、術部を照射する。
【0057】
また、照明光が照射されることにより術部の物体から反射された光の一部は第1反射プリズム7により垂直方向に反射される。そして、撮像レンズ30を通りCCD撮像素子31に結像し、電気信号として取り込まれる。そのCCD撮像素子31によって取り込まれた映像は、ヘッドマウント液晶モニター32によって表示され、助手の観察像となる。なお、術部の物体から反射された光の一部は第1の実施の形態と同様に第1対物レンズ2から第1ズーム変倍レンズ3、第1結像レンズ4を通り、第1接眼レンズ5に伝送され、術者に観察される。
【0058】
また、この状態でフットスイッチ34を操作し、光学指向部材33を中心軸O周りに回転させて、照明反射プリズム18による照明光の射出範囲から退避させると、照明反射プリズム18の射出光は直接術部を照明し、角度αの傾斜照明となる。反対にフットスイッチ34の操作により光学指向部材33を照明反射プリズム18による照明光の射出範囲内に挿入させることにより、同軸照明に変更することができる。
【0059】
次に、本実施の形態の手術用顕微鏡を耳鼻科や、脳神経外科などの外科手術に使用する場合には、第1の実施形態に示したものと同様に、第1ハウジング1から第2ハウジング6Aを取外す。これによって、第2ハウジング6Aの中に構成されていた、助手用顕微鏡に観察光を分割するための第1反射プリズム7ならびに助手用顕微鏡の観察光学系K2a,K2b、及び傾斜照明を同軸照明に変換するための光学指向部材33が外される。この状態では、ライトガイド20から射出された照明光は照明反射プリズム18により反射された後、直接、術部を照明する傾斜角度αの傾斜照明となる。
【0060】
また、手術中に操作する人の位置が動いた場合や、レーザー装置等の手術機器を使用する場合には、フットスイッチ34のフットスイッチハウジング34を図7中で矢印D方向に動かすことによって、操作者の位置に対して使用するスイッチの位置関係を最適な状態に調整して使用することができる。
【0061】
そこで、本実施の形態では次の効果を奏する。すなわち、上記の構成、作用により、第1の実施の形態に示した顕微鏡の効果に加え、本実施の形態では特に助手用の顕微鏡をよりコンパクトに構成することができるとともに、助手の観察位置、姿勢の自由度を向上させることができる効果がある。また、眼科の外科手術での使用状態においても、傾斜照明と同軸照明の選択ができるため、より広い外科手術の手技、手法に対応できる。
【0062】
なお、本実施の形態では光学指向部材33としてプリズムを使用したが、これに限るものではなく、プリズムの代わりにミラーを組み合わせ使用しても同様の効果が得られる。また、本実施の形態のフットスイッチ34では、手術中におこる操作者の位置の移動や、使用する手術機器の変更に応じて、簡単にフットスイッチ34の位置を移動できるので大変使いやすい効果もある。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、図9(A),(B)は第2の実施の形態の手術用顕微鏡の変形例を示すものである。ここでは、マイクロスコープ用のチェアー37にフットスイッチ38をこのチェアー37の中心軸Q回りに回転自在に設置したものである。この場合にはフットスイッチ38をこのチェアー37の中心軸Q回りに回転操作することによって、フットスイッチ38の位置の変更や、退避を可能となる。そのため、この場合も第2の実施の形態のフットスイッチ34と同様の効果が得られる。
【0064】
また、図10(A)〜(C)は第2の実施の形態の手術用顕微鏡のフットスイッチ34の取付け状態の変形例を示すものである。ここでは、ベース部36に対してフットスイッチ保持部材39を図示しない例えばリニアベアリングなどの直線運動機構を介して固定するようにしたものである。このフットスイッチ保持部材39には第2の実施の形態のフットスイッチ34に代えて市販されている通常のフットスイッチ41を取付けることができる。そのため、この場合には術者の好みに応じたフットスイッチ41を選択的に使用することができ、より使いやすさを高めることができる。
【0065】
さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 術者用の観察光学系及び照明光学系を内蔵する第1ハウジングと、助手用の観察光学系、及び前記照明光学系を前記術者用観察光学系に対して同軸化せしめる光学指向部材を内蔵する第2ハウジングより成り、前記第1ハウジングと第2ハウジングを着脱自在にしたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0066】
(付記項2) 前記光学指向部材は、出射される照明光の光軸が前記術者用の観察光学系の一部を構成する対物レンズの光軸と同軸になるべく、前記第2ハウジングに支持されていることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
【0067】
(付記項3) 前記助手用の観察光学系は、撮影レンズ及び該撮影レンズから出射される光束を受ける撮像素子とを有している事を特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
【0068】
(付記項4) 前記撮像素子からの映像出力は、ヘッドマウント液晶モニターに導かれる事を特徴とする請求項3に記載の手術用顕微鏡。
【0069】
(付記項5) 前記第2ハウジングは、内蔵された光学指向部材を、前記術者用観察光学系の対物レンズの光軸中心に回転させて照明光を入射する位置から退避させるための退避手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
【0070】
(付記項6) 前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは、各々が接続された時に各々の変倍系が連動するための連動手段を備えている事を特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
【0071】
(付記項7) 複数の機器の操作を行なうフットスイッチにおいて、前記複数の機器毎に入力スイッチの配置が集中されていると共に、該フットスイッチは支持体に対して移動可能に支持されていることを特徴とするフットスイッチ。
【0072】
(付記項1〜7の従来技術) 従来技術には以下のものがある。
従来より、手術用顕微鏡は、眼科や耳鼻科、脳神経外科などの外科手術に用いられており、観察者による術部の拡大観察を可能にし、手術の効率を向上させる等の重要な役割を果たしている。また、近年では手術用顕微鏡を用いた手術の有効性が広く一般に認識されてくるとともに、手術用顕微鏡が適用される手術の種類も増加傾向にある。この為、1台の手術用顕微鏡を複数の科で共用したいという要望が多くなってきた。
【0073】
耳鼻科や脳神経外科などの外科手術では、術者を介助する目的や手術の手技、手法を教育する目的で、助手用に観察鏡筒が用いられる場合がある。これは、術者の左右の眼に対応する一対の観察光学系の中にビームスプリッターなどの光分割素子をあらかじめ配置しておいて、その光分割素子の反射方向に、必要に応じて助手の観察鏡筒を取りつけて、術者の左右の眼に対応するどちらか一方の像を観察するようにしたものが一般的である。また、観察対象を照明する照明系は、観察光学系の光軸と照明光学系の光軸とが互いに一致していない、いわゆる傾斜照明式が一般的である。
【0074】
これに対して、眼科手術の大半を占めている白内障手術では、助手による手術の介助が非常に重要な役割を担っており、網膜などの組織を傷つけることなく手術を行う為には、助手も術者と同じ観察像を得る事が重要である。即ち助手の観察光学系は、術者側観察光学系の光軸と同軸で且つ立体観察が可能な事が必要である。助手用の観察系に関する従来技術としては、実開昭62−158413がある。また白内障手術では、白濁した水晶体を摘出した後の残留皮質を取り除く場合に、眼球の網膜に照明光が当たって散乱反射することによって発生する赤色反射を十分に得ることが重要である。眼球の瞳孔から照明光を入射し、網膜からの赤色反射光を観察する為には、観察光学系の光軸と照明光学系の光軸とが互いに一致した、いわゆる同軸照明が必要である。同軸照明と傾斜照明を切換使用できる手術用顕微鏡としては特開昭63−27810がある。
【0075】
(付記項1〜7が解決しようとする課題) 実開昭62−158413の問題点は、術者側と同軸の観察光を助手側へ分割する為の反射プリズム、及び助手用の顕微鏡が、術者側観察鏡筒のハウジングに一体的に構成されていることである。
【0076】
従って、助手を必要とせず一人で手術を行う事を好む術者に対しても、必要の無い助手用顕微鏡や分割プリズムを装着した大型且つ高価な顕微鏡を提供する事になり、術者に不要な負担をかけてしまうことになる。
【0077】
特開昭63−27810の問題点は、助手用の顕微鏡を取りつけて助手が術者側と同軸に立体観察可能にする為には、この従来技術に示された同軸照明装置とは別に、さらに助手用の顕微鏡を取りつけなければならないことである。従って、鏡体が大型化し手術作業スペースが制限されてしまう。
【0078】
(付記項1〜7の目的) 助手を必要とせずに一人で手術を行う場合や、眼科以外の外科手術に使用する場合には、コンパクトで安価な手術用顕微鏡を提供する事ができ、眼科の外科手術に使用する場合には、この手術用顕微鏡に後から1つ付属品を追加するだけで、術者側観察光学系に対して同軸且つ立体観察可能な助手用観察光学系と、同軸照明光学系とを実現する事ができる手術用顕微鏡を提供することである。
【0079】
(付記項1〜7の作用) 第1ハウジングに第2ハウジングを装着しない場合には、顕微鏡は術者用の観察光学系及び照明光学系のみを有し、照明光学系から出射される照明光は対象部位を傾斜方向から照明する。また、前記第1ハウジングに第2ハウジングを装着した場合には、顕微鏡は術者用の観察光学系、照明光学系及び助手用の観察光学系を有すると共に、前記照明光学系から出射される照明光は光学指向部材によって前記術者用観察光学系に対して同軸化され、対象部を術者用観察光学系と同方向から照明することになる。
【0080】
(付記項1〜7の効果) 本発明によれば、一人で手術を行う術者には安価で小型の手術用顕微鏡が提供できると共に、後からその顕微鏡を眼科で使用できるように変更したい場合でも、術者側観察光学系に対して同軸で且つ立体観察が可能な助手用顕微鏡と、同軸照明がユニットを追加するだけで簡単に達成できる。
【0081】
また、眼科と眼科以外の科で手術用顕微鏡を共通に使用する場合にも、助手用顕微鏡と同軸照明の着脱が同時かつ簡単に行えるため、眼科以外の科において手術用顕微鏡が大型化し手術作業スペースが制限されてしまうという問題がなく、複数の科で使い勝手の良い手術用顕微鏡が提供できる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、第1ハウジングに第2ハウジングを装着しない場合には、顕微鏡は術者用の観察光学系及び照明光学系のみを有し、照明光学系から出射される照明光は対象部位を傾斜方向から照明することができるので、一人で手術を行う術者には安価で小型の手術用顕微鏡が提供できる。さらに、後からその顕微鏡を眼科で使用できるように変更したい場合には第1ハウジングに第2ハウジングを装着することにより、顕微鏡は術者用の観察光学系、照明光学系及び助手用の観察光学系を有すると共に、照明光学系から出射される照明光は光学指向部材によって術者用観察光学系に対して同軸化され、対象部を術者用観察光学系と同方向から照明することができる。したがって、眼科と眼科以外の科で手術用顕微鏡を共通に使用する場合にも、助手用顕微鏡と同軸照明の着脱が同時かつ簡単に行えるため、眼科以外の科において手術用顕微鏡が大型化し手術作業スペースが制限されてしまうという問題がなく、複数の科で使い勝手の良い手術用顕微鏡が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示すもので、(A)は手術用顕微鏡の鏡体部の正面図、(B)は手術用顕微鏡の鏡体部の側面図。
【図2】 第1の実施の形態の手術用顕微鏡における光源装置の一例の概略構成を示す正面図。
【図3】 (A)は第1の実施の形態の手術用顕微鏡における光源装置の概略構成を示す側面図、(B)はランプ基板のV字形状の位置決め溝を示す側面図。
【図4】 (A)は第1の実施の形態の手術用顕微鏡における光源装置のハロゲンランプの点灯状態を示す正面図、(B)は光源装置のキセノンランプの点灯状態を示す正面図、(C)は光源装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】 本発明の第2の実施の形態を示すもので、(A)は手術用顕微鏡の鏡体部の正面図、(B)は手術用顕微鏡の鏡体部の側面図。
【図6】 図5(A)のVI−VI線断面図。
【図7】 第2の実施の形態の手術用顕微鏡におけるフットスイッチの平面図。
【図8】 第2の実施の形態の手術用顕微鏡におけるフットスイッチの側面図。
【図9】 第2の実施の形態の手術用顕微鏡の変形例を示すもので、(A)はマイクロチェアーの正面図、(B)はマイクロチェアーの平面図。
【図10】 第2の実施の形態の手術用顕微鏡のフットスイッチの取付け状態の変形例を示すもので、(A)はフットスイッチの取付け状態を示す平面図、(B)はフットスイッチの平面図、(C)はフットスイッチの取付け状態を示す側面図。
【符号の説明】
1 第1ハウジング
6 第2ハウジング
L 照明光学系
K1a,K1b 術者用観察光学系
K2a,K2b 助手用観察光学系
7 第1反射プリズム(光学指向部材)
8 第2反射プリズム(光学指向部材)
16 第1光学指向部材
17 第2光学指向部材
Claims (6)
- 対象部位を観察する術者用の観察光学系及び前記対象部位を傾斜方向から照明する照明光学系を内蔵する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに対して着脱可能に連結され、助手用の観察光学系及び前記照明光学系を前記術者用観察光学系に対して同軸化させる光学指向部材を内蔵させた第2ハウジングとを設け、
前記第1ハウジングに前記第2ハウジングを非連結状態で前記第1ハウジングのみを単独で使用する第1のセット状態と、前記第1ハウジングに前記第2ハウジングを連結した状態で前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを同時に使用する第2のセット状態とに切換え可能にしたことを特徴とする手術用顕微鏡。 - 前記光学指向部材は、出射される照明光の光軸が前記術者用の観察光学系の一部を構成する対物レンズの光軸と同軸になるべく、前記第2ハウジングに支持されていることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
- 前記助手用の観察光学系は、撮影レンズ及び該撮影レンズから出射される光束を受ける撮像素子とを有している事を特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
- 前記撮像素子からの映像出力は、ヘッドマウント液晶モニターに導かれる事を特徴とする請求項3に記載の手術用顕微鏡。
- 前記第2ハウジングは、内蔵された光学指向部材を、前記術者用観察光学系の対物レンズの光軸中心に回転させて照明光を入射する位置から退避させるための退避手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
- 前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは、各々が接続された時に各々の変倍系が連動するための連動手段を備えている事を特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
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