以下、図面を参照しつつ本発明の参考例及び実施例について説明する。図1ないし図5は参考例を示すものである。
この明細書の冒頭で紹介した図10に示された従来の構成の場合、硬性鏡104は、手術用顕微鏡による観察視野の死角の部位を観察する必要から、その先端部が手術用顕微鏡の鏡体102から術部側に大きく突出している。また、鏡体102と硬性鏡104との相対位置が固定されているにも拘らず、鏡体102の観察光軸Oと硬性鏡104の観察光軸とが一致していない。従って、硬性鏡104による観察を行なう場合、術者は、手術用顕微鏡の架台のアーム101を肉眼下で操作して3次元的に移動し、硬性鏡104によって術部を傷つけないように注意を払いながら、硬性鏡104の先端を術部の死角部位が観察できる位置まで導かなければならない。
また、図10の構成では、硬性鏡104が観察位置にある場合、硬性鏡104の先端部は、術者の保持する鏡体グリップ106よりも、アーム101の回転軸に対するモーメントが大きい。従って、術者は細心の注意を払って鏡体グリップ106を操作する必要がある。特に、硬性鏡104を用いて死角部位を観察している最中に、不用意にアーム101を動かすと、硬性鏡104の先端部が患部に接触してその患部を傷つける虞れがある。また、硬性鏡104の観察位置を変更したり或いは硬性鏡104を抜去する際にも、術者は硬性鏡104の先端部で術部を傷つけないように細心の注意を払わなければならない。
このように、図10の構成によると、術部を硬性鏡104によって観察する場合、術者に細心の注意と大きな負担を強いることとなり、結果的に手術時間が長くなってしまうことになる。
一方、図11に示された従来の構成の場合には、ファイバースコープ118の先端部を手術用顕微鏡の観察視野における死角部位に導くため、内視鏡先端保持アーム119を移動する必要がある。また、ファイバースコープ118の観察方向を変更する場合にも、内視鏡先端保持具110の付近を手で把持して、内視鏡先端保持アーム119を操作しなければならない。この場合、内視鏡先端保持アーム119とこれに保持されるファイバースコープ118とが鏡体112から術部側に大きく突出しているため、ファイバースコープ118の先端部等で術部を傷つけないように、顕微鏡のアライメント変更およびファイバースコープ118の観察位置変更には十分に注意を払う必要がある。こうした慎重を要する操作は、結果的に手術の流れを中断することとなり、術者にとって非常に負担であるばかりでなく、手術時間の延長により患者にも負担をかけることとなる。
なお、以上説明してきた事情は何も内視鏡だけに関わらず、ミラーの場合にも同様な問題がある。
従って、本参考例の目的は、観察手段によって術部を傷つけることがない安全性の高い手術用顕微鏡を提供することにある。
図1は、本参考例の手術用顕微鏡1の全体構成を概略的に示したものである。図示のように、この手術用顕微鏡1は、2つの観察手段すなわち顕微鏡本体たる鏡体25とこれに付設された硬性鏡(内視鏡)32とを有している。
手術用顕微鏡1の架台20の上端には水平アーム21の一端が軸aを中心として回動可能に取り付けられている。水平アーム21の他端には、部材22を介して、パンタグラフアーム23の一端が回動自在に取り付けられている。この場合、パンタグラフアーム23は、図示のように、互いに直交する軸b(垂直軸)および軸c(水平軸)の回りを回動することができるようになっている。
また、パンタグラフアーム23の他端には鏡体アーム24の一端が垂直な軸dを中心として回動可能に取り付けられている。この鏡体アーム24には鏡体25が回転可能かつ俯仰可能に支持されている。すなわち、鏡体25は、鏡体アーム24の中心軸である軸eの回りに回転することができ、軸eと直交する軸fを中心として回動して俯仰動作を行なうことができる。
以上説明した各回動部は、図示しないバランス調整部によってバランス調整が可能である。これらの回動部で各アーム21,23,24を回動させることによって、鏡体25の観察位置および観察方向を3次元空間の所望の位置及び所望の向きにセッティングすることができる。
図2に示すように、鏡体25には、軸gを光軸中心とした図示しない双眼光学系が内蔵されている。また、鏡体25には顕微鏡用ライトガイド27が取り付けられており、この顕微鏡用ライトガイド27を介して図示しない光源からの照明光を鏡体25に供給することにより、この照明光を術部に照射して、術部の立体観察像を鏡体25の接眼部を通じて得ることができるようになっている。
また、鏡体25の下端には内視鏡取り付けアダプタ28が回動可能に取り付けられている。このアダプタ28は前記双眼光学系の光軸中心gを中心に回動することができる。さらに、鏡体25の下端には、アダプタ28を図2に実線で示す収納位置と図2に破線で示す観察位置とにそれぞれ位置決めする図示しないストッパーが設けられている。従って、内視鏡取り付けアダプタ28は収納位置(実線位置)と観察位置(破線位置)との間を図2に示す矢印の方向に回動できることとなる。
図3は、内視鏡取り付けアダプタ28の詳細を示すものである。図示のように、内視鏡取り付けアダプタ28は、鏡体25に対して回動するアダプタ本体28aと、このアダプタ本体28aにボールジョイント30を介して回動自在に連結された内視鏡用ガイド31とを有している。内視鏡用ガイド31は、硬性鏡32の挿入部が挿通可能な挿通孔31aを有しており、この挿通孔31aに硬性鏡32の挿入部を挿通させることによって硬性鏡32を支持できるようになっている。 また、内視鏡取り付けアダプタ28のボールジョイント30の部位には摘み33が設けられており、この摘み33を緩めることにより、ボールジョイント30をフリー状態にして、内視鏡用ガイド31に取り付けられている硬性鏡32を所望の方向に向けることができる。また、内視鏡用ガイド31には操作重さ調整ハンドル34が取り付けられており、このハンドル34によって硬性鏡32の摺動および回転操作の重さを調整することができるようになっている。
なお、内視鏡取り付けアダプタ28に取り付けられた硬性鏡32には内視鏡用ライトガイド35が接続されており、このライトガイド35を介して図示しない光源装置からの照明光を硬性鏡32に供給することにより、この照明光を術部に照射して、術部の観察像を硬性鏡32の接眼部を通じて得ることができるようになっている。
次に、図4および図5を参照しながら、パンタグラフアーム23の回動機構について説明する。
図4中、22はパンタグラフアーム23と水平アーム21とを連結する部材である。部材22に連結されるパンタグラフアーム23の基端部の両側面には、パンタグラフアーム23の長手方向に対して直交する方向にアーム軸40,40(軸c)が突設されている。パンタグラフアーム23の両側面から突出するこれらの各アーム軸40,40は、部材22の左右両側に固定されたベアリング41,42内に別々に嵌挿支持されて、パンタグラフアーム23と一体に回動することができるようになっている。
パンタグラフアーム23の一方の側面から突出するアーム軸40には、アーマチュア45が、ベアリング41よりもパンタグラフアーム23側に位置して、摺動自在に嵌め込み挿入されている。また、このアーマチュア45は、アーム軸40に非回転的に取り付けられており、アーム軸40及びパンタグラフアーム23と一体に回動するようになっている。さらに、アーマチュア45は、パンタグラフアーム23にスプリング44によって支持されている。
ベアリング41とアーマチュア45との間には、部材22に固定された電磁ブレーキ43が、アーム軸40に嵌め込み挿入された状態で配置され、アーマチュア45と微小の隙間zを介して対向している。
こうした構造は、軸a〜fを中心として回動する各回動部の全てに設けられている。
ここで、軸a〜fを中心に回動する各回動部に設けられている電磁ブレーキについて簡単に説明する。各回動部の電磁ブレーキ(後述する電磁クラッチ46を除く)は、鏡体25に取り付けられたグリップ26(図1参照)の図示しないスイッチを操作することによって電磁的に制御される。すなわち、前記スイッチがOFFの状態にあると、回動軸a〜fの各電磁ブレーキに対して電流が供給されないため、各アーム21,23,24及び鏡体25と一体に回動するアーマチュアが電磁ブレーキに電磁的に吸着されている。従って、各アーム21,23,24及び鏡体25の回動が阻止(ロック)される。また、前記スイッチをON操作すると、回動軸a〜fの各電磁ブレーキに対して電流が供給されて、各アーム21,23,24及び鏡体25と一体に回動するアーマチュアが電磁ブレーキから離れてフリー状態になる。従って、各アーム21,23,24及び鏡体25は所望の位置及び方向に自由に動作することができ、これによって、鏡体25の観察位置及び観察方向を容易に変更することができる。そして、このように変更した鏡体25の観察位置及び観察方向は、スイッチを再度OFFにして各アーム21,23,24及び鏡体25をロックすれば、確実に保持される。
このような動作を、以下、前記アーマチュア45と電磁ブレーキ43との動作を例にとって具体的に述べる。まず、グリップ26のスイッチがOFFの状態にあると、電磁ブレーキ43に電流が供給されないため、アーマチュア45は、スプリング44のばね力に抗して電磁ブレーキ43に電磁的に吸着されてロックされる。従って、アーマチュア45と一体に回動するアーム軸40及びパンタグラフアーム23の回動が阻止され、部材22とパンタグラフアーム23とが固定された状態となる。
このアーマチュア45のロック状態、すなわち、電磁ブレーキ43の電磁吸着作用は、前記スイッチをONにして電磁ブレーキ43へ電流を供給することによって解除される。アーマチュア45のロック状態が解除されると、アーマチュア45は、スプリング44の弾性力によりアーム軸40の軸方向に沿ってパンタグラフアーム23側に距離zだけ摺動されて、そのフリーな初期位置に戻される。従って、パンタグラフアーム23は軸cを中心に自由に回動することができる。
なお、グリップ26に設けられた前記スイッチは、架台20に内蔵された図示しない制御部に接続されている。そして、この制御部からの制御信号に基づいて図示しない電流供給源からケーブル(図示しない)を介して電磁ブレーキに電流が供給されるようになっている。また、グリップ26に設けられた前記スイッチは通常OFF状態となっており、各回動軸a〜fに設けられた電磁ブレーキ(後述する電磁クラッチ46を除く)は、通常、電流が供給されていない状態にある。従って、各アーム21,23,24及び鏡体25は、通常、ロックされた状態にある。
また、図4に示すように、パンタグラフアーム23の他方の側面から突出するアーム軸40には、アーマチュア47が、ベアリング42よりもパンタグラフアーム23側に位置して、摺動自在に嵌め込み挿入されている。
ベアリング42とアーマチュア47との間には、部材22に固定された電磁クラッチ46が、アーム軸40に嵌め込み挿入された状態で配置され、アーマチュア47と微小の隙間yを介して対向している。なお、後述するように電磁クラッチ46に電流が供給されると、アーマチュア47が電磁クラッチ46に電磁的に吸着されるようになっている。
また、アーム軸40は、アーマチュア47よりもパンタグラフアーム23側の位置で部材22に固定されたベアリング48内に挿通されている。このベアリング48の内面には内側に歯が切られた歯車49が回動可能に取り付けられており、アーム軸40はこの歯車49の内側に挿通されている。また、この構成では、アーマチュア47がスプリング52を介して歯車49と接続されている。
ベアリング48の詳細が図5に示されている。図示のように、アーム軸40には軸55を中心に揺動可能な爪50が取り付けられている。この爪50は、アーム軸40と一体に回転するとともに、アーム軸40に取り付けられたスプリング51によって歯車49の内面に突き当てられて歯車49の歯と噛合している。この場合、爪50は、アーム軸40の回転に伴って歯車49が一方向だけに回転し且つその逆方向には回転しないような態様で歯車49と噛合している。すなわち、アーム軸40が一方向(図中では時計回り)に回転すると、この回転に伴って爪50と噛合する歯車49もその回転方向に回転するが、アーム軸40がこれと逆方向(図中では反時計回り)に回転すると、爪50と歯車49との噛合状態が解除されて爪50のみが回転するようになっている。
なお、アーム軸40が図中時計回りに回転すると、パンタグラフアーム23が下方に回動し、アーム軸40が図中反時計回りに回転すると、パンタグラフアーム23が上方に回動する。
ところで、内視鏡取り付けアダプタ28の収納位置(図2に実線で示した位置)にはマイクロスイッチ29が設けられている。このマイクロスイッチ29はアダプタ28を収納位置に位置決めするストッパー(既に述べた)の近傍に設けられている。また、マイクロスイッチ29は、アダプタ28が収納位置に位置した時にのみ、このアダプタ28によって押圧されるようになっている。そして、このマイクロスイッチ29の動作状態によって、電磁クラッチ46への電流の供給が制御される。
すなわち、マイクロスイッチ29は、図示しないケーブルを介して架台20に内蔵された前記制御部に接続されており、マイクロスイッチ29がアダプタ28によって押圧されている時(アダプタ28が収納位置に位置している時…ON状態)には電磁クラッチ46に電流が供給されないが、アダプタ28が収納位置から外れてマイクロスイッチ29がアダプタ28によって押圧されていない状態(OFF状態)になると、前記制御部を介して電磁クラッチ46に電流が供給される。つまり、電磁クラッチ46は、他の電磁ブレーキと異なり、グリップ26のスイッチのON/OFFに関わらずマイクロスイッチ29のON/OFFのみによって電磁的に制御されるものである。
なお、マイクロスイッチ29がOFFの状態(アダプタ28が収納位置から外れた状態)になると、グリップ26のスイッチのON/OFFに関わらず、電磁ブレーキ43を除く回動軸a〜fの各電磁ブレーキに電流が供給されなくなるようになっている。
次に、上記構成の手術用顕微鏡1の動作について説明する。まず初めに、術者は、アダプタ28を収納位置に配置させた状態で、鏡体25に内蔵された図示しない双眼光学系を用いて術部を立体的に観察しながら、生体に穿設した微小切開孔Hを通じて患部Pにアプローチしていく。この際、術者は、グリップ26に設けられた前記スイッチ(図示せず)を操作して、架台20に内蔵された前記制御部(図示せず)に信号を送る。前記制御部は、前記スイッチがON操作されると、通常はロック状態にある軸a〜軸fの回動部をフリーにするべく、この回動部に設けられた電磁ブレーキ(電磁クラッチ46を除く)へ電流を供給する。これによって、電磁ブレーキに電磁的に吸着されていたアーマチュアがフリー状態となり、術者は、軸a〜軸fの回動部すなわち各アーム21,23,24及び鏡体24を自由に回動操作して鏡体25の観察位置および観察方向を変更し、術部の所望部位を観察することができる。
また、このフリー状態では、軸cとしてのアーム軸40の回転に伴ってこれに取り付けられた爪50が回転する。さらに、この状態では、アダプタ28が収納位置に配置されてマイクロスイッチ29がONされていることから、軸cに内蔵された電磁クラッチ46に電流が供給されず、従って、アーマチュア47が電磁クラッチ46に吸着されることなくフリー状態になっているため、爪50と噛み合う歯車49も、アーマチュア47によってその回転が拘束されることなく、アーム軸40とともに回転することができる。
ところで、術者の観察する術野が体腔内深部へ至ると、各アーム21,23,24を操作して観察位置および観察方向を変更しても、微小切開孔Hによってケラれた内面や内側の血管の裏側等といった顕微鏡では観察できない死角部位が現れる。この場合、術者は、腫瘍の取り残しや動脈瘤のクリッピング状態を観察するために、硬性鏡32を使用して死角部位の観察を行なう。
硬性鏡32を使用して死角部位の観察を行なう場合には、まず、内視鏡取り付けアダプタ28を収納位置から観察位置に移動する。内視鏡取り付けアダプタ28を収納位置から観察位置に移動させると、それまで内視鏡取り付けアダプタ28に押圧されていたマイクロスイッチ29がON状態からOFF状態に切り替わり、その状態が図示しないケーブルにより架台20に内蔵された制御部に伝達される。
前記制御部は、マイクロスイッチ29がOFF状態であることを検出すると、グリップ26に設置された図示しないスイッチの状態に関わらず軸a,軸b,軸d〜軸fの各回動部に設けられた電磁ブレーキへの電流供給を停止して、各アーム21,24及び鏡体25をロックする。この時、軸cに設置された電磁ブレーキ43は、マイクロスイッチ29のON/OFFに関わらず、グリップ26に設置された図示しないスイッチのON/OFF状態によってその電磁的な制御が行なわれる。また、このようにマイクロスイッチ29がOFF状態になると、電流が供給されていなかった軸cの電磁クラッチ46に電流が供給され、それまでフリーであったアーマチュア47が電磁クラッチ46に吸着されてロックされる。従って、アーマチェア47にスプリング52を介して接続されている歯車49もロックされる。その結果、アーム軸40は、爪50と歯車49とが噛合する時計回り方向には回転することができず、反時計回り方向のみに回転可能となる。つまり、パンタグラフアーム23は、上方向のみに回動することができ、下方向には回動することができない。
この状態で、術者は、内視鏡取り付けアダプタ28を観察位置に移動した後、摘み33を操作してボールジョイント30をフリーにし、硬性鏡32の観察方向を調整する。次に、術者は、ガイド31に取り付けられた操作重さ調整ハンドル34を操作して、ガイド31に沿って硬性鏡32を上下にスライドさせて所望の観察位置に導いて、硬性鏡32による死角部位の観察を行なう。
この際、術者・助手またはその他の観察者が誤ってグリップ26に設けられたスイッチをON操作してしまった場合でも、前述したように、軸a,軸b,軸d〜軸fの各回動部に設けられた電磁ブレーキには電流が供給されないため、アーム21,24及び鏡体25はそのロックされた状態を保持している。また、この場合、軸cでは、前記スイッチのON操作によって電磁ブレーキ43へ電流が供給されてアーマチュア45はフリー状態となるが、アーマチュア47は、電磁クラッチ46への電流供給が継続されているため、ロックされたままの状態である。従って、アーマチェア47にスプリング52を介して接続されている歯車49もロックされたままの状態である。つまり、依然として、パンタグラフアーム23は上方向にのみ回動するが、下方向には回動できない。
以上説明したように、本参考例の手術用顕微鏡1は、硬性鏡32を取り付けた内視鏡取り付けアダプタ28を観察位置に配置すると、鏡体25を支持するアーム(パンタグラフアーム23)の回動方向が上方向のみに制限されるため、硬性鏡32が鏡体25から突出する内視鏡観察時および内視鏡の導入時において、手術用顕微鏡1の誤操作により硬性鏡32の先端で患部Pを傷つけてしまう虞がない。
また、本参考例では、硬性鏡32による観察状態を検出する手段(マイクロスイッチ29)を内視鏡取り付けアダプタ28に設けたが、硬性鏡32を案合するガイド部31に硬性鏡32の挿入部の突出量を検出する検出手段を設け、その検出結果によりアームの動きを制限するようにしても良い。つまり、例えば図6に示すように、内視鏡取り付けアダプタ28の先端部に設けられているガイド31にフォトインタラプタ61を設けるとともに、硬性鏡32の挿入部に遮光板60を設ける。
この場合、遮光板60は、硬性鏡32の挿入部が十分に引き込まれている場合(鏡体25からの突出量が小さい場合)にフォトインタラプタ61を遮らず、硬性鏡32の挿入部が鏡体25から大きく突出する観察状態に位置する場合にフォトインタラプタ61を遮る位置に設けられる。なお、フォトインタラプタ61は、架台20に内蔵された図示しない制御部に接続される。
従って、この構成では、硬性鏡32が十分に引き込まれた収納状態にあってフォトインタラプタ61が遮光板60によって遮られていない場合には、グリップ26に設けられた図示しないスイッチを押圧すると、軸a〜軸fに設けられた電磁ブレーキへ電流が供給されて、各アームがフリー状態になる。従って、鏡体25を所望の位置に移動することができる。
また、硬性鏡32をガイド31に沿って下降させて観察状態に位置させると、フォトインタラプタ61が遮光板60によって遮られるため、架台20に内蔵された前記制御部が、フォトインタラプタ61が遮光されたことを検出し、前述の参考例と同様にアームの動きを軸cの上方向のみに制限する。
また、本参考例では、付設の観察手段として硬性鏡を使用したが、硬性鏡の変わりにミラーを使用しても前述した参考例と同様の効果が得られる。
さらに、本参考例では硬性鏡32が観察位置或いは収納位置のどちらに位置しているかを検出することによって、鏡体25及び硬性鏡32を支持するアームの駆動を制限しているが、硬性鏡32の先端に近接センサーまたは接触センサーを設け、その出力によってアームの駆動を制限しても良い。例えば、硬性鏡32の先端に超音波センサーを設け、この超音波センサーによって硬性鏡32と患部Pとの距離を検出し、その値が予め定めた距離に近づいた場合にアームの動きを制限する。或いは、硬性鏡32の先端部にタッチセンサーを設け、内視鏡の先端が何らかの物体に接触した場合にそれをタッチセンサが検出し、前述の参考例と同様にアームの動きを軸cの上方向のみに制限する。この方法によっても、前述した参考例と同様の効果が得られるのは明らかである。
なお、このように、超音波センサーやタッチセンサーを使用する場合は、硬性鏡32の大まかなオリエンテーション設定の作業を手術用顕微鏡1のアームを駆動させることで行なえるため、作業性が向上し、手術時間を短縮できるといった効果がある。
また、このように超音波センサーやタッチセンサーを設けた場合には、患部の接近方向または接触方向の検出も容易に可能であるため、顕微鏡視野内或いはモニター上等に患部の方向を表示することにより、術者に事前に危険を認識させることが可能となる。
さらに、アームの動きが制限されていることを術者に知らせるような表示を、顕微鏡視野内またはモニター上に行なっても良い。また、アームの動きが制限されていることを、音で術者に知らせても良い。これにより、術者は手術をスムーズに進めることが可能となり、疲労も少なくなるといった効果がある。
図7及び図8は、本発明の第1の実施例を示すものである。
図7は、本実施例の手術用顕微鏡1´の全体構成図であり、図8は手術用顕微鏡1´の架台20内に設けられた制御部のブロック図である。なお、参考例と同一の部材については同一符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、手術用顕微鏡1´の架台20の上端には水平アーム21の一端が軸aを中心として回動可能に取り付けられている。水平アーム21の他端には、部材22を介して、パンタグラフアーム23の一端が回動自在に取り付けられている。この場合、パンタグラフアーム23は、図示のように、互いに直交する軸b(垂直軸)および軸c(水平軸)の回りを回動することができるようになっている。
また、パンタグラフアーム23の他端にはXY駆動装置80を介して鏡体25が垂直な軸dを中心として回動可能に取り付けられている。鏡体25の側面にはグリップ26が取り付けられており、このグリップ26に設けられた図示しないスイッチを操作すると、前記軸a,b,c及びdに内蔵された図示しない電磁ブレーキが作動し、鏡体25を3次元空間の所望の位置に配置できることは、前述した参考例と同様である。
鏡体25の下端には把持アーム75が取り付けられており、把持アーム75の内視鏡挿通穴75aにはファイバースコープ72が挿入されている。把持アーム75は図示する観察位置と図示しない収納位置との間を摺動可能である。また、図7には図示しないが、把持アーム75が前記収納位置に収納されている場合にのみ押圧されるマイクロスイッチ87(図8参照)が設けられている。
さらに、アングル部73を除いたファイバースコープ72の先端部が、把持アーム75に設けられた内視鏡先端保持アーム71と内視鏡先端保持具74とによって、保持されている。ファイバースコープ72は図示しない電動アングル機構を有しており、この電動アングル機構の制御部91(図8参照)が架台20に内蔵されている。
架台20にはフットスイッチ81が接続されている。このフットスイッチ81には、鏡体25に設けられた図示しないフォーカス機構及び図示しないズーム機構を操作するためのシーソースイッチ83,84とXY駆動装置80を操作するためのジョイスティックスイッチ85とが設けられている。前記フォーカス機構とズーム機構とXY駆動装置80とを制御する各制御部88、89,90は、架台20に内蔵されている(図8参照)。
図8に示すように、前記フォーカス機構を操作するためのシーソースイッチ83は、架台20に内蔵されたフォーカス機構制御部88に直接に接続されており、前記ズーム機構を操作するためのシーソースイッチ83も架台20に内蔵されたズーム機構制御部89に直接に接続されている。
また、XY駆動装置80を操作するためのジョイスティックスイッチ85は架台20に内蔵された切り換え回路86に接続されており、XY駆動装置制御部90は切り換え回路86のノーマルクローズ側の端子に接続されている。また、電動アングル機構制御部91は切り換え回路86のノーマルオープン側の端子に接続されている。さらに、鏡体25に設けられたマイクロスイッチ87の信号出力が切り換え回路86に入力されるようになっている。
次に、上記構成の手術用顕微鏡1´の動作について説明する。まず初めに、術者は、手術用顕微鏡1´を用いて患部にアプローチする。その際、術者は、鏡体25に設けられたグリップ26を握り、さらに、グリップ26に設けられた図示しないスイッチを操作することにより、軸a〜dをフリーにして、患部の観察点に対して鏡体25の大まかな位置合わせを行なう。この点は参考例と同様である。さらに、術者は、フットスイッチ81に設けられたシーソースイッチ83,84を用いて、焦準及び観察倍率の変更を行なう。
視野の微妙な移動を行う際には、フットスイッチ81に設けられたジョイスティックスイッチ85を操作する。この時、ファイバースコープ72を保持している把持アーム75は収納位置にあるため、マイクロスイッチ87が押圧された状態にあり、その信号が架台20に内蔵された切り換え回路86に入力されている。この状態では、切り換え回路86の接点はノーマルクローズ側に接続されているため、ジョイスティックスイッチ85はXY駆動装置制御部90に接続されている。従って、術者がジョイスティックスイッチ85を操作すると、XY駆動装置制御部90に制御信号が送られて、XY駆動装置80が術者の所望の方向に駆動するため、視野の微妙な移動が可能となる。
顕微鏡25によって観察不可能な死角部位(体腔内深部等)はファイバースコープ72によって観察される。この場合は、まず、把持アーム75を収納位置から図示する観察位置に移動するが、この時、鏡体25に設置されたマイクロスイッチ87が開放され、その信号が架台20に内蔵された切り換え回路86に入力される。切り換え回路86は、この入力信号を受け取ると、接点がノーマルオープン側に切り換わる。従って、ジョイスティックスイッチ85が電動アングル機構制御部91に接続されることになる。
この状態で、術者は、内視鏡先端保持アーム71を操作してファイバースコープの先端部を体腔内に挿入し、死角部位の観察を行なう。術者がファイバースコープ72の観察方向を変えたい場合には、ジョイスティックスイッチ85を操作することにより電動アングル機構制御部91に制御信号を送る。これによって、ファイバースコープ72のアングル部73が術者の所望の方向に駆動し、観察方向が変更される。
また、このように把持アーム75が観察位置に配置されている場合には、水平アーム21及びパンタグラフアーム23の駆動が参考例と同様に制限されるのに加えて、XY駆動装置80の駆動も禁止される。
以上説明したように、本実施例の手術用顕微鏡1´は、参考例における効果に加え、ファイバースコープ72による観察中においてXY駆動装置80がジョイスティックスイッチ85から切り離されるため、XY駆動装置80を誤操作する虞がなく、安全性がさらに向上するといった効果を奏する。
また、本実施例の手術用顕微鏡1´は、第1の観察手段である顕微鏡鏡体25と、この顕微鏡鏡体25によっては観察できない死角部分を観察するための第2の観察手段たるファイバースコープ72とを有し、且つ、顕微鏡鏡体25の電動視野移動装置であるXY駆動装置80の制御部90と、ファイバースコープ72の電動視野移動装置である電動アングルの制御部91と、XY駆動装置制御部90及び電動アングル制御部91に操作信号を出力する共通の入力手段であるジョイスティックスイッチ85と、前記操作信号をXY駆動装置制御部90または電動アングル制御部91に選択的に出力するための選択手段86とを備えているため、ファイバースコープ72の接眼部に設けられたスイッチを操作するといった構成のものに比べて操作性が格段に良い。
また、視野移動機構といった点では同一の機能を有する顕微鏡鏡体25のXY駆動装置80とファイバースコープ72の電動アングルとを操作する操作手段85を1つのスイッチに集約させたため、つまり、ジョイスティックスイッチ85それ1つでこれらの両者を操作できるようにしたため、術者は違和感なく操作することができる。また、ファイバースコープ72を使用するにあたって、新たにスイッチを設ける必要がないため、システムを安価に構成できるという効果もある。さらに、このように同一機能を一つのスイッチで共用するといった手法は、視野移動機構に限らず、変倍機構、焦準機構、撮影装置の露出機構、照明装置の調光機構等に適用しても良い。
また、同様の方法により、シーソースイッチ83とシーソースイッチ84とがファイバースコープ72の送気/送水/吸引等の操作をも兼用するようにすれば、より効率の良い観察が行なえるようになる。
図9は本発明の第2の実施例を示すものである。なお、参考例及び第1の実施例と同一の部材については同一符号を付してその説明を省略する。図示のように、鏡体25は、対物レンズ64と、一対のズーム光学系62,62と、一対のハーフミラー79,79と、一対の結像レンズ78,78と、一対の接眼レンズ77,77とを有しており、これらによって立体光学系を構成している。鏡体25の任意の側面にはTVアダプタ96が接続されており、このTVアダプタ96は鏡体25に内蔵された前記ハーフミラー79,79からの反射光を受光している。
TVアダプタ96にはミラー76が内蔵されている。このミラー76は、通常、ハーフミラー79,79からの反射光をTVアダプタ96の上方向に反射する位置に設定されている。TVアダプタ96の上面には結像レンズ65及びTVカメラ98が取り付けられており、結像レンズ65の結像位置にTVカメラ98の図示しない撮像素子が位置決めされるようになっている。
TVアダプタ96に内蔵された前記ミラー76は、図中実線で示す通常位置と図中破線で示す内視鏡観察位置との間を、ミラー76に固着されたミラー操作つまみ97を操作することによって、軸99を支点として回動することができる。また、TVアダプタ96の内部にはマイクロスイッチ95が取り付けられている。このマイクロスイッチ95は、ミラー76が前記内視鏡観察位置に設定されている場合にのみ押圧されるように位置決めされている。
TVアダプタ96の下面にはファイバースコープ72が取り付けられており、ファイバースコープ72の図示しない観察光軸は前記結像レンズ65の図示しない光軸と一致している。ファイバースコープ72の先端部は内視鏡先端保持アーム71と内視鏡先端保持具74とによって保持されている。
ファイバースコープ72にはポンプ93が接続されており、ポンプ93には生理食塩水容器94が取り付けられている。また、ポンプ93は、ポンプ制御部92によってその駆動が制御されるようになっている。
光源67の前方にはハーフミラー66が設けられている。このハーフミラー66は、光源67の光軸上に位置することができ(図中実線で示す)、また、この光軸上から外れた位置に移動することができる(図中破線で示す)。つまり、光源67の光軸に対して略垂直に移動することができる。そのため、ハーフミラー66にはその移動動作を制御するハーフミラー制御部59が接続されている。
光源67からの光の一部はハーフミラー66を透過して、ライトガイド63に入射し、鏡体25を介して図示しない患部へと導かれる。ハーフミラー66で反射された光源67からの光は、絞り68を介して、ファイバースコープ72の図示しないライトガイドに入力され、ファイバースコープ72の先端に導かれる。なお、絞り68は、絞り制御部69に接続されている。
フットスイッチ81は、切り換え回路86に接続されている。切り換え回路86のノーマルクローズ側の端子は、架台20に内蔵されたフォーカス機構制御部88とズーム機構制御部89とXY駆動装置制御部90とに接続されている。また、切り換え回路86のノーマルオープン側の端子は、電動アングル制御部91とポンプ制御部92とハーフミラー制御部59及び絞り制御部69とに接続されている。さらに、マイクロスイッチ95は、切り換え回路86と架台20に内蔵された図示しないアーム制御部とに接続されている。なお、前記アーム制御部は鏡体25を支持するアーム(参考例及び第1の実施例で示した各アーム)の回動部の駆動を制御する。
次に、上記構成の手術用顕微鏡の動作について説明する。まず初めに、術者は、顕微鏡鏡体25を介して患部の観察を行なう。この時、光源67から出射された観察光は全て、ライトガイド63に入射されて鏡体25まで導かれ、鏡体25から図示しない患部へと投射される。患部からの反射光は、対物レンズ64を通じて鏡体25内に入射し、ズーム光学系62を介してハーフミラー79に到達する。ハーフミラー79に入射した入射光の50%はそのまま上方に透過され、残りの50%は鏡体25の側面方向に反射される。ハーフミラー79の上方に透過された観察光は結像レンズ78で結像される。従って、術者は、その像を接眼レンズ77で拡大することにより立体像として観察することができる。
ハーフミラー79の側方に反射された観察光は、TVアダプタ96内に入射された後にミラー76で反射され、結像レンズ65上すなわちTVカメラ98に内蔵された図示しない撮像素子上に結像する。つまり、図示しないモニターには術者が観察している顕微鏡像と同一の映像が投影される。この時、TVアダプタ96に内蔵されたマイクロスイッチ95は開放された状態であるため、この信号は切り換え回路86に入力されている。この状態では、切り換え回路86の接点がノーマルクローズ側に接続されたままであるため、フットスイッチ81は架台20に内蔵されたフォーカス機構制御部88とズーム機構制御部89とXY駆動装置制御部90とに接続されており、術者はフットスイッチ81を用いて図示しないフォーカス駆動部とズーム駆動部とXY駆動装置80とを操作することができる。さらに、鏡体25を支持する図示しないアームも3次元空間で任意の位置に移動することができる。
次に、術者がファイバースコープ72を用いて顕微鏡の死角を観察する場合には、内視鏡先端保持アーム71を操作してファイバースコープ72の先端を所望の観察位置に位置決めする。次に、TVアダプタ96に設けられたミラー操作つまみ97を操作して、ミラー76を内視鏡観察位置(図中破線で示す位置)に設定する。これにより、TVアダプタ96に内蔵されたマイクロスイッチ95が押圧され、その信号が切り換え回路86に入力される。切り換え回路86は、マイクロスイッチ95が押圧された信号を受け取ると、接点をノーマルオープン側に切り換える。これによって、フットスイッチ81は、顕微鏡の各制御部88,89,90から切り離され、電動アングル制御部91、ポンプ制御部92、ハーフミラー制御部59、絞り制御部69にそれぞれ接続される。
ハーフミラー制御部59がフットスイッチ81に接続されると、ハーフミラー66が光軸上に移動される。従って、鏡体25に入射されていた観察光は50%となり、ファイバースコープ72には残りの照明光が入射される。ファイバースコープ72に入射された前記照明光は、図示しない導光手段によりファイバースコープ72の先端から出射され、ファイバースコープ72での観察を可能とする。
この時、術者は、フットスイッチ81を操作することにより絞り制御部69に信号を送り、ファイバースコープ72の照明光路上に設けられた絞り68を観察部位及び術者の好み等に合わせて制御することが可能である。また、第1の実施例と同様、電動アングル制御部91を介してファイバースコープ72のアングル角度をフットスイッチ81を用いて変更することも可能である。さらに、フットスイッチによりポンプ制御部92に信号を送り、送水・吸引等の作業を行うことも可能である。そして、本実施例の場合も、ファイバースコープ72が観察状態にある場合は、参考例と同様にアームの動きが制限される。
以上のように、本実施例の手術用顕微鏡は、参考例及び第1の実施例と同様の効果を奏するとともに、第1の観察手段である顕微鏡25の画像と第2の観察手段であるファイバースコープ72の画像とが切り換えられたことを検出する検出手段95を有しているため、検出手段95の出力にともなって容易にアームのロックが行うことができる。
さらに、本実施例の手術用顕微鏡は、検出手段95によって作動し、光量調整・送水・吸引等の内視鏡に関わる操作を全て顕微鏡のフットスイッチ81で行なうことを可能とする切り換え手段86を有しているため、術者は、内視鏡観察中もファイバースコープ72を保持する必要が全くなく、両手を手術に専念させることができ、手術の効率が大幅にアップする。また、ファイバースコープ72を観察に使用しない時でも、簡単な操作で送水・吸引を術者自らフットスイッチ81を用いて行なうことも可能である。
なお、以上説明してきた態様により、以下の項で示す各種の構成が得られる。
1.被検物を観察する第1の観察手段と、前記第1の観察手段の光学系のうちの少なくとも一つの光学要素を非共通とする第2の観察手段と、第1及び第2の観察手段を3次元空間の任意の位置及び方向に移動可能に保持する保持手段とを有する手術用顕微鏡において、前記第2の観察手段が観察可能状態にあることを検知する検知手段と、この検知手段からの検知情報に基づいて前記保持手段の動きを制限する制限手段とを具備することを特徴とする手術用顕微鏡。
この第1項の構成では、第2の観察手段を用いて観察している時に、術者が誤って前記保持手段を誤操作等により動かそうとしても、前記保持手段の動きが制限されるため、例えば観察方向に突出している第2の観察手段によって術部を傷付けてしまうことがない。
2.前記第2の観察手段は、被検物を観察する時に前記第1の観察手段よりも被検物側に突き出して使用されることを特徴とする第1項に記載の手術用顕微鏡。
3.前記制限手段は、前記第2の観察手段が観察可能状態にある時に、前記第2の観察手段がその突出方向と略反対方向にのみ移動可能となるように、前記保持手段の動きを制限することを特徴とする第2項に記載の手術用顕微鏡。
以上の構成によれば、第2の観察手段が観察可能状態にある時に、第2の観察手段を保持する保持手段の動きが制限されるため、術者の不用意な顕微鏡操作によって患者に損傷を与える危険を回避することができる。また、これによって、手術の安全性が大幅に向上するため、術者は手術作業に専念することができ、手術効率が大幅に向上する。
4.被検物を観察する第1の観察手段と、この第1の観察手段によって観察不可能な死角部位を観察可能な第2の観察手段とを有する手術用顕微鏡において、前記第1の観察手段の電動駆動部を制御する第1の制御部と、前記第2の観察手段の電動駆動部を制御する第2の制御部と、前記第1の制御部及び前記第2の制御部に操作信号を出力する操作信号出力手段と、前記操作信号を第1の制御部または前記第2の制御部に選択的に出力するための出力選択手段とを具備することを特徴とする手術用顕微鏡。
この第4項の構成では、前記第1の観察手段を使用している場合には操作信号出力手段が第1の制御手段に接続され、前記第2の観察手段を使用している場合には操作信号出力手段が第2の制御手段に接続される。
5.前記第1の観察手段の電動駆動部と、前記第2の観察手段の電動駆動部とが同一機能であることを特徴とする第4項に記載の手術用顕微鏡。
6.前記第1の観察手段の電動駆動部と、前記第2の観察手段の電動駆動部は、視野移動機構、変倍機構、焦準機構、撮影装置の露出機構、照明装置の調光機構、のいずれかであることを特徴とする第4項に記載の手術用顕微鏡。
7.前記第1の観察手段と前記第2の観察手段のうち、どちらが観察状態にあるかを検出する検出手段を有し、前記出力選択手段が前記検出手段からの検出情報に基づいて前記操作信号出力手段からの操作信号の出力先を選択することを特徴とする第5項または第6項に記載の手術用顕微鏡。