JP3717893B2 - 手術用顕微鏡 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡観察を併用する場合の手術用顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、脳神経外科、耳鼻咽喉科、眼科等では、手術用顕微鏡観察下で行われる外科手術であるマイクロサージャリが盛んに行われている。さらに、より低侵襲であることを目的として、マイクロサージャリには、内視鏡観察が用いられている。
【0003】
このような手術用顕微鏡と内視鏡との組み合わせにおいては、特許文献1,2にそれぞれ開示されている。前者は、顕微鏡観察では立体観察不可能な細孔部内の観察を行うために、立体観察用内視鏡を実体顕微鏡に可動自在に設け、さらに、共用するファインダ光学系を有する実体顕微鏡を開示している。このファインダ光学系により、実体顕微鏡もしくは、内視鏡の観察像の両方、または、いずれか一方の観察が行えるものである。
【0004】
また後者は、顕微鏡観察、内視鏡観察のいずれにおいても同一の接眼レンズにより観察するために顕微鏡観察像および、内視鏡観察像の切り換え、重畳をおこなう顕微鏡装置を開示している。
【0005】
しかし、実際にマイクロサージャリに内視鏡を利用する面では、顕微鏡観察下の死角を主に観察するためでもあるので、複雑かつ、微細な三次元構造をなす体腔内深部へ、即ち術部へ内視鏡を位置決めしなければならない。この操作は、当然、周囲の正常組織を侵襲しないように顕微鏡観察下で慎重に行われなければならず、且つ、その時の内視鏡で観察する場所も確認しなければならない。
【0006】
このような状況において、従来の装置では、いずれにおいても顕微鏡での観察下にて内視鏡の位置決め操作を行い、目的部位と思われる時に内視鏡観察に切り換えている。そして内視鏡による観察において挿入された位置が目的部位と異なる場合は、また顕微鏡下での観察に戻して、内視鏡位置決め操作をやり直し、再度、内視鏡観察への切り換えという繰り返し操作となる。またいずれの装置においても、1画面を分割してそれぞれを同時に観察できないが、顕微鏡観察像と内視鏡観察像を重畳した画面であれば、同時に観察することはできる。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−166310号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平3−105305号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の顕微鏡装置では、体腔内での内視鏡観察時のオリエンテーションがつけにくく、またその操作においても、顕微鏡観察像であたりをつけ、内視鏡観察像で確認するという操作の繰り返しで行われるため、非常に効率の悪い作業となり、手術という緊急を要する状況下では問題となる場合がある。
【0010】
さらには、顕微鏡観察下で内視鏡の位置決めを行い、内視鏡観察に切り換えた場合、内視鏡観察時ではたとえ、目的部位の観察ができたとしても内視鏡先端部の周辺は確認できないため、内視鏡先端部を移動させることは危険すぎてできないことになる。このような移動は盲目的な内視鏡操作となり、周囲の正常組織を損傷しかねないからである。
【0011】
この時、顕微鏡観察像と内視鏡観察像を重畳した観察像により位置決めを行うとしても、操作時に同じ位置を観察している場合は少なく、多くは異なる部位の観察像であることから、異なる像を重畳された観察像は認識し難く、有効でないばかりか、各々の観察像における正確な情報さえも得られないことになり、逆に誤った判断を促す結果となる場合がある。
【0012】
そこで本発明は、顕微鏡による光学的観察時であっても、内視鏡観察が同時にでき、顕微鏡観察下での内視鏡観察のための操作性が向上し、より安全な操作が可能になる手術用顕微鏡を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、術部を観察するための光学式実体顕微鏡からなる第1の観察手段と、前記術部を観察するための第2の観察手段と、前記第1の光学式観察像による一部又は全部を任意の大きさで遮蔽する遮蔽手段と、前記第1の観察像と、前記第1の観察像中に前記第2の観察像を任意の大きさで表示するモニターと、を具備し、前記第1の光学式観察手段は、該第1の光学式観察手段による前記術部の第1の観察像と、前記第2の観察手段による前記術部の第2の観察像と、を同時に観察可能であり、さらに、前記遮蔽手段による遮蔽の大きさと、前記第2の観察像の大きさを関連づけて制御し前記モニターに表示する手術用顕微鏡を提供する。
【0014】
以上のような構成の手術用顕微鏡は、実体顕微鏡による観察像を任意の大きさで遮蔽し、その遮光部分に第2の観察手段による観察像を挿入させることにより、術者は共通の観察手段にて同時に2つの観察像を観察する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1には、本発明による第1の実施形態としての手術用顕微鏡の鏡体部(顕微鏡)の概略的な構成を示し、図2には、第1の実施形態の手術用顕微鏡の全体構成を示し、また図3は、表示モード一覧表、図4は、観察像を示す図である。
【0016】
この手術用顕微鏡においては、図2に示すように架台21が床面を移動自在なベース21aと、該ベース21a上に支柱21bが立設され、その支柱21bの上端部には、図示しない照明用の光源が内蔵された第1アーム22の一端が軸Oaを中心に回動自在に取り付けられている。
さらに、前記第1アーム22の他端には、軸Obを中心に回動自在に第2アーム23の一端が取り付けられている。
【0017】
この第2アーム23は、上下移動操作を行うべく、リンク機構とバランス調整用のガススプリングからなるパンタグラフアームであり、その他端には、軸Ocを中心に回動自在に、第3アーム24が取り付けられ、さらに軸Odを中心とした鏡体1の術者の観察方向に対する前後方向の俯仰、軸Oeを中心とした術者の左右方向の俯仰を可能とした俯仰アーム25が設けられ、その先端部には鏡体1、観察部2及び、ハンドル26が設けられている。
【0018】
さらに、前記鏡体1が空間的に自在に位置調整を行うために、これらの軸Oa〜Oeにおける回動部には図示しない電磁ブレーキが各々設けられ、ハンドル26に設けた図示しないスイッチによりロック/フリーの操作を行うよう構成され、その図示しない電源部は前記支柱21bに内蔵されているものとする。
【0019】
次に、図1に示す手術用顕微鏡の構成について説明する。
この手術用顕微鏡の鏡体1は、左右の観察光路に共通の対物レンズ3、一対の変倍光学系4a,4b、一対の結像レンズ5a,5b、及びRGB撮像装置6a,6bが被観察部側から順次配設されて構成される。前記RGB撮像装置6a,6bは各々図示しない色分解プリズムと、その各色に対応すべくR,G,B撮像素子が取り付けられて構成され、各々プロセッサ7a,7bに接続されている。
【0020】
これらのプロセッサ7a,7bは、前記RGB撮像装置6a,6bによる信号を画像信号として生成すべく回路構成されている。またプロセッサ7aからプロセッサ7bに同期信号が入力されるように接続されている。
【0021】
また術部Pにおいては、顕微鏡観察の死角などを観察するための斜視用内視鏡12が用いられ、その観察像を撮像するTVカメラ13が取り付けられており、コントロールユニット14により内視鏡観察の画像信号が生成される。
【0022】
モードスイッチ15には、後述する観察モードとスーパーインポーズすべく内視鏡による観察画像の大きさを選択する複数の操作スイッチが設けられ、その信号出力がモード設定回路9に出力するように接続されている。モード設定回路9は、スーパーインポーズ回路8a,8bに選択されたモード信号を送信するように構成されたロジック回路である。
【0023】
前記スーパーインポーズ回路8aは、さらにプロセッサ7aからの顕微鏡観察用の画像信号と、内視鏡用TVカメラのコントロールユニット14からの内視鏡観察用の画像信号が接続されている。前記モード設定回路9からの信号に応じて、スーパーインポーズする画像信号の縮小処理を行う画像信号処理回路(図示しない)とその縮小された内視鏡観察画像を顕微鏡観察用画像信号にスーパーインポーズするための合成処理回路(図示しない)とから構成されている。スーパーインポーズ回路8bにおいては同様であり、ここでの説明は省略する。
【0024】
前記スーパーインポーズ回路8a,8bからの画像信号は、各々術者の右眼用観察モニタ10aと左眼用の観察モニタ10bに接続されている。その各々の観察モニタ10a,10bには、接眼レンズ11a,11bが設けられている。
【0025】
次に、このように構成された手術用顕微鏡の動作について説明する。
まず、得られる術部Pの像は、鏡体1に配設される対物レンズ3と変倍光学系4a、結像レンズ5aにより、RGB撮像装置6aに導かれ撮像される。そしてプロセッサ7aにより、顕微鏡観察用の右眼用画像信号として生成される。同様にして、対物レンズ3、変倍光学系4b、結像レンズ5bとRGB撮像装置6bにより撮像され、プロセッサ7bにおいて顕微鏡観察用の左眼用の画像信号が生成される。また、斜視内視鏡12による観察像は、斜視内視鏡12に図示しないアダプタにより取り付けられたTVカメラ13により撮像され、コントロールユニット14にて内視鏡観察用の画像信号が生成される。
【0026】
そして、顕微鏡観察を用いて手術を行う場合、術者はモードスイッチ15にて、例えば図3に示す表示モード一覧に示した“0”の顕微鏡画像のみの表示モードを選択する。この時、モード設定回路9からは、スーパーインポーズ回路8a,8bに表示モード“0”の信号が送られ、スーパーインポーズ回路8aでは、プロセッサ7aからの顕微鏡観察用の画像信号のみを観察部2に設けられている観察モニタ10aに出力し、表示させる。
【0027】
同様に、スーパーインポーズ回路8bでも、プロセッサ7bからの顕微鏡観察用の画像信号のみを観察モニタ10bに表示させる。そして接眼レンズ11a,11bにより術者は、右眼で観察モニタ10aの画像を、左眼で観察モニタ10bの画像を観察することにより立体観察を行う。
【0028】
さらに術者は、術部Pを観察するために俯仰アーム25に設けられているハンドル26を支持し、そこに設けられているスイッチをONすることにより鏡体1を支持する全てのアームの関節に設けられている電磁ブレーキがフリー状態になり、鏡体1を空間的に任意の位置に移動させ、スイッチをOFFすると前述の全ての電磁ブレーキがロック状態になり鏡体1の位置固定が行える。
【0029】
そして術者が顕微鏡観察の死角にあたる部分を観察しようとして斜視内視鏡を用いる場合は、モードスイッチ15にて表示モードを“1”一部内視鏡画像とし、さらに挿入画像の大きさを入力する。モード設定回路9は、この情報をスーパーインポーズ回路8a,8bに出力し、スーパーインポーズ回路8aでは、画像信号処理回路によりコントロールユニット14からの内視鏡観察用の画像信号を縮小処理し、合成処理回路によりプロセッサ7aからの顕微鏡観察用の画像信号に図4に示すようにスーパーインポーズを行い、観察モニタ10aに表示させる。同様に、スーパーインポーズ回路8bでもプロセッサ7bからの顕微鏡観察用の画像信号に内視鏡観察による画像の大きさを縮小処理した画像をスーパーインポーズし、観察モニタ10bに表示させる。術者は、顕微鏡観察画像による立体視を行いながら、内視鏡観察による画像を同時に観察する。
【0030】
そして、顕微鏡観察下において斜視内視鏡12の位置操作を慎重に行い観察部位を決定したら、次にモードスイッチ15で表示モード“2”内視鏡画像のみのモード設定を行う。この場合、スーパーインポーズ回路8aでは、モード設定回路9からの信号に従って、コントロールユニット14からの内視鏡観察による画像信号のみを観察モニタ10aに表示させる。同様に、スーパーインポーズ回路8bは、コントロールユニット14からの内視鏡観察による画像信号のみを観察モニタ10bに表示させる。術者は、斜視内視鏡による観察を行う。このようにして、術者は適宜表示モードを選択し、手術を進めてゆく。
【0031】
以上、前述した第1の実施形態の手術用顕微鏡から以下のような効果が得られる。 術者は、簡単なモード変更により顕微鏡画像による立体観察と斜視内視鏡による顕微鏡観察の死角部分の画像観察が行えるだけでなく、顕微鏡画像による立体観察を行いながら斜視内視鏡の観察画像を同時に観察できることとなり、斜視内視鏡の位置操作を顕微鏡画像観察下において実施できる。
【0032】
よって、本実施形態の手術用顕微鏡によれば、内視鏡位置決め操作を安全に行うことができ、他の正常な組織に損傷を与えることなく、且つ、術部Pにおける内視鏡観察部位のオリエンテーションがつけやすくなり、操作性向上が手術時間の短縮につながる。
【0033】
なお、本実施形態では、単眼視の内視鏡装置にTVカメラの組み合わせを用いているが、立体観察が行える立体内視鏡を用いても同様な効果が得られる。さらに、顕微鏡と同様に左右2本の観察光路の各々にTVカメラを取り付け、得られる画像信号を右眼と左眼が対応するように、前記スーパーインポーズ回路8aには、右眼用の画像信号を、8bには左眼用の画像信号を接続するだけ両眼による観察が可能になる。また、立体内視鏡による観察画像に顕微鏡観察画像をスーパーインポーズさせることも同様にして容易に実施することができる。
【0034】
このような立体内視鏡を用いれば、内視鏡観察も立体観察でき、単に観察だけでなく処置を行うことも容易となる。このとき顕微鏡観察画像を一部に表示しておくことより術部全体の状況も把握できる。
【0035】
次に本発明による第2の実施形態としての手術用顕微鏡について説明する。 図5には第2の実施形態の手術用顕微鏡における鏡体部の構成を示し、図6(a)には顕微鏡観察像を示し、図6(b)には液晶シャッタを示す。
この手術用顕微鏡は、光学的観察を行う顕微鏡の接眼観察視野内の一部に内視鏡による画像を挿入することを可能にする。
【0036】
すなわち、図5に示すように、手術用顕微鏡の鏡体部には、左右の観察光路に共通の対物レンズ3、一対の変倍光学系4a,4b、レンズ31a,31b、レンズ32a,32b、ビームスプリッタ33a,33bが、被観察部側から順次配設されて構成されている。ここで、レンズ31aは変倍光学系4aからの像をQaに結像させるように配置され、レンズ32aは、その像をアフォーカルに戻すように設けられている。このQaの位置は、物体面と共役な位置とし、この位置に液晶シャッタ34を配置する。レンズ31bとレンズ32bにおいては同様に配置される。
【0037】
また、モニタ38により表示された画像は、レンズ37、ミラー36、リレーレンズ35によりビームスプリッタ33aに入射されるよう設けられており、前記対物レンズ3、変倍光学系4a、レンズ31a,32aによる右側観察光路の光束と合成され、一回結像タイプの図示しない接眼鏡筒(BI)の右側光路に入射させるべくビームスプリッタ33aが設けられている。
【0038】
一方、ビームスプリッタ33bは、前記対物レンズ3、変倍光学系4b、レンズ31b,32bとによる左側観察光路の光束を前述の図示しない一回結像タイプの接眼鏡筒の左側光路とTVカメラなどの記録装置用の光路とに分割すべく設けられている。
【0039】
ここで斜視内視鏡12は、前述した第1の実施形態と同様に、顕微鏡観察の死角などの観察するためのものであり、図示しないアダプタによりTVカメラ13が取り付けられ、画像信号生成回路からなるコントロールユニット14に接続されている。
【0040】
そして、第1の実施形態と同様に、図3に示すモードを選択するためのスイッチ (図示せず)を備えるモードスイッチ41は、スーパーインポーズ回路40に接続されている。スーパーインポーズ回路40は、コントロールユニット14からの画像信号が接続され、前記モードスイッチ41からの出力信号に応じて表示する画像の大きさを変える図示しない画像縮小処理回路を有し、モニタ38に接続されている。さらに、モードスイッチ41からの出力信号に応じて、図6(b)に示す液晶シャッタ34の動作をコントロールする図示しない液晶コントロール回路を備え、液晶駆動回路39に接続されている。
さらに本実施形態は、第1の実施形態と同様に、鏡体部も空間的に位置自在に移動可能な支持装置により、保持されている。
【0041】
次に、このように構成された第2の実施形態の手術用顕微鏡の動作について説明する。
まず、術者が顕微鏡観察を行う場合、モードスイッチ41により表示モード “顕微鏡観察のみ”を選択する。この時、スーパーインポーズ回路40ではモードスイッチからの信号により、コントロールユニット14からの内視鏡観察画像はモニタ38へ出力されず、且つ、液晶駆動回路39には図6(b)に示す液晶シャッタ34の斜線部A,B領域共に“ON”(透過状態)するように出力され、駆動される。
【0042】
そして術部P′の観察像は、対物レンズ3、変倍光学系4a、レンズ31a、液晶シャッタ34、レンズ32aとビームスプリッタ33aを介して、一回結像タイプの図示しない接眼鏡筒の右側接眼レンズにより、同様に対物レンズ3、変倍光学系4b、レンズ31b、レンズ32bとビームスプリッタ33bを介して、一回結像タイプの図示しない接眼鏡筒の左側接眼レンズにより得られ、立体観察ができる。
【0043】
また術者は、内視鏡観察を行う場合、まずモードスイッチ41により表示モード1の“一部内視鏡観察”を選択する。スーパーインポーズ回路40はモードスイッチ41からの信号により、内蔵する画像縮小処理回路により、コントロールユニット14からの内視鏡観察の画像を縮小処理を行う。液晶コントロール回路では、図6(b)に示す液晶シャッタ34のうち、斜線部Bのみ“ON”(透過状態)とし、斜線部Aは“OFF”(遮蔽状態)するように、液晶駆動回路39に出力し、駆動させる。さらにモニタ38で一部に表示された画像をレンズ系とビームスプリッタ33aにより、図6(a)に示す顕微鏡観察視野において、前記視野絞り位置に設けてある液晶シャッタ34に対応し斜線部Cに内視鏡観察画像を挿入する。この時、顕微鏡観察像は液晶シャッタ34により、挿入された内視鏡観察画像に対応する部分は光束を遮蔽していることとなり、挿入された内視鏡観察画像が無理なく観察される。
【0044】
次に、斜視内視鏡12の位置決めが完了したら、術者はモードスイッチ41にて、“内視鏡観察画像のみ”の表示モード2とすれば、スーパーインポーズ回路40にて、液晶シャッタ34の斜線部A,B領域共に“OFF”(遮蔽状態)することにより、接眼鏡筒における右側観察視野には顕微鏡観察像はなく、モニタ38による内視鏡観察画像のみとなる。この時、内視鏡観察画像は縮小処理されず、図6(a)に示す顕微鏡観察視野において、点線で示される位置に表示される。
【0045】
以上のことから第2の実施形態の手術用顕微鏡は、光学的観察時であっても、内視鏡観察が同時に可能とする事ができる。特に顕微鏡観察像の性能を劣化させることなく、その一部で内視鏡観察像が観察できることから、顕微鏡観察下での内視鏡観察のための操作性が向上し、内視鏡観察を併用する場合でも、他の正常な組織に損傷を与えることなく、より安全な操作が可能になる。
【0046】
次に本発明による第3の実施形態としての手術用顕微鏡について説明する。 本実施形態は、前述した第2の実施形態の一部を改良し、さらに高解像のデータ表示を行うことを可能にした顕微鏡である。ここで、本実施形態の部位において、特徴部分のみを説明し、他の部位においては前述した第1,第2の実施形態と同等部位とし、その説明を省略する。
【0047】
この第3の実施形態の手術用顕微鏡において、図7には手術用顕微鏡の画像挿入部の構成を示し、図8にはRGB液晶カラーシャッタモニタの動作を説明するためのタイミングチャートを示し、図9には、顕微鏡の観察視野内に表示されるデータの一例を示し、説明する。この図7に示す手術用顕微鏡は、図5に示した構成のうちの一部を改良したものであり、顕微鏡観察光学系は同様である。
【0048】
モードスイッチ46は前述した実施形態で示した3モードの他に、顕微鏡観察に画像データを重畳させる“データオン”モードの計4モードの選択を行うスイッチを有する。スーパーインポーズ回路45は、前記モードスイッチ46からの信号に応じて、内視鏡観察画像信号と神経モニタ機器からの画像データ信号Sが入力され、表示する画像信号を選択する図示しない画像選択回路と選択された画像信号の縮小処理を行う図示しない画像縮小処理回路とから構成されている。
【0049】
前記スーパーインポーズ回路45から出力される画像信号は、RGBデコーダ47を介してコンバータ48に入力される。前記RGBデコーダ47は、画像信号がコンポジット信号である場合には、RGB画像信号に変換するように構成されている。前記コンバータ48は、RGBデコーダ47からのRGB画像信号を図8に示すシリアルRGB画像信号に変換すべく、画像信号圧縮処理回路とスイッチング回路とRGB液晶カラーシャッタ51を液晶カラーシャッタ駆動回路49を介して、制御する液晶コントロール回路(いずれも図示しない)とから構成される。
【0050】
そして、3倍速モニタ50は、コンバータ48からのシリアルRGB画像信号が接続される垂直周波数180Hzの白黒モニタであり、モニタ面にRGB液晶カラーシャッタ51が配設されている。RGB液晶カラーシャッタ51は図8に示すカラーシャッタ駆動信号により、時分割でR,G,Bの色付けするように構成されている。
【0051】
このRGB液晶カラーシャッタ51は、3倍速モニタ50の表示画像を投影する光路上で挿脱自在に配設される。
本実施形態では、“顕微鏡観察のみ”の状態は前述した各実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
術者が術中に監視している神経モニタの波形を顕微鏡観察視野内に合成させて合わせて観察する場合、モードスイッチ46を“データオン”に操作して、モードを選択する。スーパーインポーズ回路45はモードスイッチ46からの信号に従って、画像選択回路にて神経モニタ機器の画像データ信号Sを選択する。画像縮小処理回路にて縮小処理を行い、さらにRGBデコーダ47にてRGB画像信号に変換する。
【0053】
さらに、コンバータ48において図8に示す垂直周波数180HzのシリアルRGB画像信号に変換し、3倍速モニタ50にて表示する。このモニタ50にて表示される画像は、RGB画像信号の各色の画像の輝度分であり、白黒画像である。
【0054】
前記コンバータ48のRGB液晶コントロール回路により、3倍速モニタ50に表示されるシリアルRGB画像信号に対応して前記白黒画像に、R,G,Bの色付けを行うように、液晶カラーシャッタ駆動回路49を駆動する。図8に示す通り、モニタ表示画像R1に応じて、RGB液晶カラーシャッタ51が“R” (RED)の発色となり、R画像となる。以下、G,B画像についても同様に処理される。
【0055】
この時、図7に示すビームスプリッタ33aの下に設けられている図5,6 (b)に示す液晶シャッタ34は、液晶シャッタ駆動回路39により斜線部A,B領域全てが“ON”(透過状態)とされ、顕微鏡観察像は“顕微鏡観察のみ”のモードと同様に観察される。すなわち、図9に示す顕微鏡観察像のように観察される。
【0056】
さらに、このRGB液晶カラーシャッタ方式のディスプレイにおいては、解像力という面では白黒モニタの解像力をフルに生かして、カラー化を図ることが可能ではあるが、反面、RGB液晶カラーシャッタでの透過率が低いため、明るさという点では問題が残る。特に、顕微鏡観察像に重ねるという場合が問題となる。本実施形態では、このRGB液晶カラーシャッタ51を挿脱自在に設けてあることから、単にデータ表示の場合ではカラーである必要性も低く、逆にRGB液晶カラーシャッタのために3倍速モニタ50は輝度出力をUPさせていることを利用すれば、このRGB液晶カラーシャッタ51を外すことで顕微鏡観察像に重畳させることも可能となる。ここでは、神経モニタ機器の画像データ信号を取り上げたが、術前のCT、MRI画像、その他画像情報を利用することも同様に可能である。
【0057】
この第3の実施形態において、“一部内視鏡観察像”“内視鏡観察のみ”のモードにおいては、前述した実施形態と基本的に同様の動作であるため、ここでは説明を省略する。
以上説明した第3の実施形態には、光学的な顕微鏡観察像にデータなどを重畳させる場合でも、十分な表示能力を備えているために術中に術者はいちいち顕微鏡観察を止める必要なく即ち、手術を中断することなく必要な情報を正確に得られることになる。術者は手術に専念でき、手術時間の短縮につながるという効果がある。
【0058】
次に本発明による第4の実施形態としての手術用顕微鏡について説明する。
本実施形態は、手術用顕微鏡の付属ユニットとして、視野内表示装置を用いるものであり、TVカメラなどの撮影記録装置を取り付けるための撮影アダプタ等と同様に、容易に着脱可能な構成例である。
【0059】
本来、撮影アダプタの場合、顕微鏡観察光路からの光束を分割して、撮影アダプタ側に導くようにビームスプリッタが配設されている。しかし、視野内表示装置の場合、逆に顕微鏡観察光路に光束を挿入するよう配設されなければならない。従来は視野内表示装置においては、専用のビームスプリッタなどの光路合成部を含む専用の装置を設けている。これに対して、本実施形態は、簡素な構成で着脱操作性の向上を図るものである。
【0060】
第4の実施形態の手術用顕微鏡において、図10は、鏡体部の構成を示す図、図11は、付属品取り付けマウントおよび、ビームスプリッタの構成を示す図、図12は、視野内表示装置を挿入したときの状態を示す図、図13は、ビームスプリッタ回転機構を示す図である。
【0061】
図10を参照して、手術用顕微鏡の鏡体部の構成を説明する。ここで、本実施形態の部位において、特徴部分のみを説明し、他の部位においては前述した第1,第2の実施形態と同等部位の参照符号を付し、その説明を省略する。
この鏡体部は、左右の観察光路において、変倍光学系4a,4bの観察鏡筒 (BI)側に各々観察像遮蔽部としてシャッタ56a,56bと、図10に示す矢印の如く回動自在に配設されたビームスプリッタ57a,57bとが設けられ、観察光束をBIへ導く。図10には、右側観察光路のマウント62に視野内観察ユニット60を取り付けた例である。
【0062】
次に図11乃至図13を参照して、ビームスプリッタ57a,57bの回転機構を説明する。いずれの図も右側観察光路を例に示している。図11に示すように鏡体部には、視野内表示ユニット60や図示しないTVアダプタ、助手用観察装置などを取り付けるための円筒状のマウント62が設けられ、その一部にキー溝63が設けられている。ビームスプリッタ57aには軸76が固着された金属板が接着され、反対面には同様に軸75、平歯車71が一体に取り付けられている。ここで、軸75、76は鏡体部に回転自在に支持されている。前記平歯車71は平歯車72と歯合しており、平歯車69はその平歯車72と一体に軸73により設けられ、軸73は鏡体部に回動自在に支持されている。
【0063】
同様に、平歯車68は前記平歯車69と歯合し、軸74により鏡体部に回動自在に支持されている。この平歯車68は、一端がラックを形成するラック65と歯合している。ラック65の他端には、一端を鏡体カバー61に固定されたコイルバネ64の抑えも兼ねる支持部材66が設けられ、前述のキー溝63内をスライド自在に設けられている。コイルバネ64は図11に示す状態に戻すべく、常に反力が掛かるよう構成されている。
【0064】
さらに、視野内表示ユニット60のマウント62への取り付け部には、図12に示す位置決めピン70がキー溝63を移動すべく設けられている。マウント62の外周に設けてあるネジ部と視野内表示ユニット60に対して回転自在であり、ネジ部を有するリング58を締め付けることにより固定する構成となっている。 一方、図示しないTVアダプタや助手用観察装置においては、この位置決めピンは設けていないが取り付け部においては、互換性を備えている。
【0065】
このように構成された手術用顕微鏡の動作について説明する。
通常は、コイルバネ64の反力により、図11に示すようにビームスプリッタ57aは、鏡体部の右側観察光路の光束を分割し、一方をBIへ、他方をマウント62へ介してTVアダプタや助手用観察装置へ導く。この状態では、TVアダプタによるTVカメラ撮影、およびモニタ観察や、助手用観察装置により助手が術者と同じ術部を観察する。
【0066】
前記視野内表示ユニット60を取り付ける場合は、図12に示すようにマウント62のキー溝63に位置決めピン70を合わせて、視野表示ユニット60を挿入し、リング58を締め付けることにより取り付ける。この時、位置決めピン70により支持部材66がキー溝63内をスライドさせられラック65もスライドする。ラック65により平歯車68が、平歯車68により平歯車69、軸73を介して平歯車72が回動され、平歯車71、軸75、76によりビームスプリッタ57aが90度回転される。
【0067】
この状態では、視野内表示ユニット60によるBIへの投影光束が観察光路Orに合成され、BIにて観察される。この状態は顕微鏡観察像に重ねるモードである。ここで観察像遮蔽部であるシャッタ56aを閉じ、顕微鏡観察像を遮断することにより視野内表ユニット60による内視鏡観察像のみのモードである。
【0068】
また鏡体部の左側観察光路においても、前述した右側観察光路と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0069】
この第4の実施形態の手術用顕微鏡によれば、鏡体部に設けたビームスプリッタをTVアダプタや助手用観察装置のための光路分割部としてばかりでなく、視野内表示装置などのために観察光路への合成部として用いることができるものである。従って、前述した各々の付属品を取り付けるのみで、必要に応じてビームスプリッタが作用するため、専用の光路分割ユニットや合成ユニットが不要になる。
【0070】
次に本発明による第5の実施形態としての手術用顕微鏡について説明する。本実施形態は、顕微鏡観察視野内に重ねるデータ画像において、その観察視野の一部に投影する場合でも表示装置の解像力を劣化させることなく表示させる例である。
【0071】
この手術用顕微鏡として、図14には、鏡体部の構成および、電気系のブロック図を示し、図15には、対物レンズ89と各々の結像レンズ88a〜88dと液晶シャッタ87a〜87dの位置関係を示し、さらに図16には、顕微鏡観察像の例を示し、説明する。
【0072】
前記手術用顕微鏡の鏡体部の構成は、図14に示すように、対物レンズ81と、紙面に対して垂直な方向で一対設けてある変倍光学系82a,82bと、同じく一対の結像レンズ83a,83bと、一対の接眼レンズである実体顕微鏡光学系84a,84bとで構成されている。さらにモニタ85と、対物レンズ89と、図14に示す矢示Q方向から見た図15に示すような対物レンズ89からの光束を4分割してT面に結像させる結像レンズ88a〜88dと、各々結像レンズ88a〜88dによる光束を遮断、透過する液晶シャッタ87a〜87dと、リレーレンズ93と、ハーフプリズム86と、2点鎖線で示すハウジング95内に配置された視野内表示装置である。
【0073】
そして操作スイッチ91は、図示しない視野内表示ON/OFFの表示スイッチと、投影すべき表示位置を選択する選択スイッチとを有し、液晶駆動回路92に接続されている。液晶駆動回路92は前記液晶シャッタ87a〜87dを駆動するための回路構成であり、操作スイッチ91の視野内表示ON/OFF信号をスーパーインポーズ回路90に出力する。スーパーインポーズ回路90は、スイッチ回路から構成されデータ信号Vをモニタ85へ出力するように接続されている。
【0074】
次にこのように構成された手術用顕微鏡の動作について説明する。
まず、術部Rは対物レンズ81、一対の変倍光学系82a,82b、結像レンズ83a,83b、と右側観察光路では更にハーフプリズム86を介してSa,Sbに結像され、接眼レンズ84a,84bにより術者が観察する。但し、図14では、右側観察光路の構成のみを示してある。
【0075】
そして、モニタ85で表示された画像は、対物レンズ89により、アフォーカル光束とされ、4つの結像レンズ88a〜88dを介して同一平面内Tに4箇所結像する。ここに設けられた液晶シャッタ87a〜87bで顕微鏡視野内への投影位置を決定する。
【0076】
前記液晶シャッタ87a〜87dにて選択された光束がリレーレンズ93とハーフプリズム86を介してSaに結像され、接眼レンズ84aにて観察される。術者が図16に示す右側顕微鏡観察視野のように斜線部にデータを重ねる場合、操作スイッチ91の選択スイッチにより投影位置を選択し、表示スイッチをONさせる。液晶駆動回路92では操作スイッチ91からの信号にしたがって、スーパーインポーズ回路90にデータ表示命令を送ることにより、モニタ85ではデータ画像が表示される。それと同時に、液晶駆動回路92では、前記操作スイッチ91からの選択信号により、対応する液晶シャッタ87aのみを透過状態に、液晶シャッタ87b〜87dを遮蔽状態にする。
【0077】
従って、リレーレンズ93により図15に示す結像レンズ88aによる光束のみがハーフプリズム86で術部Rの顕微鏡観察像に重ねられて接眼レンズ84aを介して観察される。投影位置を変更する場合は、操作スイッチ91にて位置を選択すると、同様に対応する液晶シャッタのみが透過状態となり同様なデータ画像を投影位置を変えて観察することになる。
【0078】
以上、第5の実施形態の手術用顕微鏡によれば、顕微鏡観察視野内の一部に必要なデータを表示し顕微鏡観察像と同時に観察する場合にも、十分な解像力を有する画像として表示でき、さらに投影位置を簡単に選択できる。このことにより、術中顕微鏡観察視野内の手術の邪魔にならない位置で必要なデータが得られることになり、手術に専念したまま中断する事もなく、術部から眼を離す必要なく効率的に手術が行える。
【0079】
また、従来では、モニタに写し出される画像を術者の視野内に表示させ、術部の画像と同時に観察させるには、左右の観察光路のいずれか一方のビームスプリッタを通常の反射面の方向を逆にして、専用的に表示させるため、TVカメラ若しくは助手用顕微鏡のいずれか一方が使用できなくなる。また、視野内表示装置と、TVカメラ若しくは助手用顕微鏡を鏡体への取付け位置は一通りのみに限定される。
【0080】
そこで、1つの視野内表示で、モニタ画像を術者の両眼の観察系に表示させ、且つTVカメラ及び助手用顕微鏡を共に使用でき、左右どちらの観察系にも取り付け可能な手術用顕微鏡の観察光学系について説明する。
【0081】
次に本発明による第6の実施形態としての手術用顕微鏡の観察光学系について説明する。本実施形態は、偏光ミラー(例えば、ダイクロイックミラー)を用いて光束を分割する光束分割部を有し、助手やTVカメラも同時にモニタ画像を観察することができる手術用顕微鏡である。
【0082】
この手術用顕微鏡は、画像を写し出すモニタ96と、液晶シャッタ97と、S波を反射し、P波を透過させるダイクロイックミラー98aと、S波を透過させP波を反射させるダイクロイックミラー98bと、モニタ96からの画像を2分割するプリズム99とで構成される。
【0083】
この観察光学系において、液晶シャッタ97は所定間隔でモニタ96からの画像をS波とP波に切換えを行う。モニタ96は写し出す画像を前記液晶シャッタ97の切換えタイミングと同期して、画像の左右を入れ替える。
【0084】
そして、ダイクロイックミラー98a,98bにより、それぞれ反射されたモニタ画像が術者の両眼により観察できる。前記ダイクロイックミラー98aで透過したS波はTVカメラに入力され、前記ダイクロイックミラー98bで透過したP波は、助手用の顕微鏡に導かれる。図17(b)は、前述した光束分割部を含む手術用顕微鏡の光学系の構成を示す図である。この手術用顕微鏡は、対物レンズ100及び変倍レンズ系101a,101bからなる光学系と、前記光束分割部と、像を反射、所定の箇所に導く複数のミラー102,103とで構成される。
【0085】
従って、この手術用顕微鏡は、モニタ96に写し出される像の左右を液晶シャッタ97と同期するタイミングで入れ替えて、右目光路と左目光路に入るモニタ画像の向きを揃えて、術者に供することができ、また分岐したモニタ画像は、TVカメラに入力され、且つ助手用の顕微鏡にも導かれる。
【0086】
次に図18には、第7の実施形態としての手術用顕微鏡の観察光学系について説明する。本実施形態は、前述した第6の実施形態の観察光学系の液晶シャッタとダイクロイックミラーを排し、モニタ画像の左右入れ替えが省かれたものである。
【0087】
すなわち、プリズム105で分割されたモニタ104の画像が、ハーフミラー106で反射され、それぞれがビームスプリッタ107a,107bに入射される。前記ビームスプリッタ107aでは、モニタ画像を術者の右目とTVカメラ側に分岐してそれぞれ与える。同様に前記ビームスプリッタ107bでは、モニタ画像を術者の左目と助手の顕微鏡側に分岐してそれぞれに与える。
【0088】
従って、本実施形態は、簡素化された構成で第6の実施形態と同様に、モニタ画像を術者に供すると共に、また分岐したモニタ画像は、TVカメラに入力され、且つ助手用の顕微鏡にも導くことができる。
【0089】
次に、本発明による第8の実施形態としての手術用顕微鏡の観察光学系について説明する。
本実施形態は、プリズム及びビームスプリッタを用いて光束を分割する光束分割部を有し、助手用顕微鏡やTVカメラも同時にモニタ画像を観察することができる手術用顕微鏡である。
【0090】
この観察光学系においては、モニタ111に写し出される画像がプリズム112で分割される。分割された画像は、左右に配置される、それぞれにギヤ部を有するビームスプリッタ113a,113bに入射される。
【0091】
これらのビームスプリッタ113a,113bのギア部は噛み合わせられており、逆方向に回転するようになっている。また、ビームスプリッタ113bのギア部にギアを有するモータ114が取り付けられており、高速に回転可能に構成される。
【0092】
この観察光学系は、前記ビームスプリッタ113a,113bを高速に回転させることにより、術者の両眼(主側)には、モニタ111の画像と手術用顕微鏡による観察像を重畳した観察が可能であると共に、TVカメラ及び助手用顕微鏡は、従来の手術用顕微鏡とまったく同様に使用することができる。
【0093】
なお、本発明の実施態様によれば、以下のごとき方法及び構成が得られる。
【0094】
(1)術部を観察するための第1の観察手段である実体顕微鏡光学系と第2の観察装置を有し、前記実体光学系による観察像と、第2の観察装置による観察像のための共通の観察手段を備える手術用顕微鏡において、
前記のうちのいずれか一方の観察像の一部に他の観察像を挿入可能な観察像合成手段を設けたことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0095】
(2)前記第1、第2の観察像は、各々撮像された電子画像であることを特徴とする手術用顕微鏡。
(3)前記観察画像合成手段は、一方の画像を縮小する画像縮小処理回路と、他方へ合成するスーパーインポーズ回路とから構成されることを特徴とする手術用顕微鏡。
【0096】
(4)術部を観察するための第1の観察手段である実体顕微鏡光学系と第2の観察手段を有し、前記実体光学系による観察像と、第2の観察手段による観察像のための共通の観察手段を備える手術用顕微鏡において、
前記実体顕微鏡光学系の物体面と共役な位置に観察像遮蔽手段を設け、観察像遮蔽手段より観察手段側に観察像合成手段を備え、前記観察像遮蔽手段により遮蔽する観察像位置に第2の観察像を前記観察像合成手段を介して投影する表示手段とを有することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0097】
(5)前記観察像遮蔽手段は、視野絞りであることを特徴とする。第4項記載の手術用顕微鏡。
(6)前記表示手段は、第2の観察装置による観察画像の縮小処理回路と表示装置と表示装置による画像を投影すべく光学系とを備えることを特徴とする第4項記載の手術用顕微鏡。
【0098】
(7)術部を観察するための実体顕微鏡光学系と第2の観察装置を有し、前記実体光学系による観察像と、第2の観察装置による観察像のための共通の観察手段を備える手術用顕微鏡において、
前記実体顕微鏡光学系に観察像遮蔽手段を設け、観察像遮蔽手段より観察手段側に観察像合成手段を備え、第2の観察像を前記観察像合成手段を介して投影する表示手段とを有することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0099】
(8)前記観察像遮蔽手段は顕微鏡観察光路に対して挿脱自在に設けられていることを特徴とする第7項記載の手術用顕微鏡。
(9)前記観察像遮蔽手段は液晶シャッタであることを特徴とする第7項記載の手術用顕微鏡。
【0100】
(10)前記表示手段は、シリアルRGB画像信号を構成するRGB画像信号処理回路とRGBカラーフィルタを備えたハイスキャンモニタとからなることを特徴とする第7項記載の手術用顕微鏡。
(11)実体顕微鏡光学系にその光束を分割すべく光線分割手段と、前記光線分割手段により分割された光路に取り付けマウントを有する手術用顕微鏡において、
前記光線分割手段を回動自在に支持する光路切り換え手段と、前記取り付けマウントに光路切り換え手段を操作させるべく操作手段が設けられていることを特徴とする手術用顕微鏡。
【0101】
(12)前記光線分割手段は、ビームスプリッタであることを特徴とする第11項記載の手術用顕微鏡。
(13)前記取り付けマウントに設けた前記操作手段は、顕微鏡観察像に他の画像を表示する視野内表示手段においてのみ操作されることを特徴とする第11項記載の手術用顕微鏡。
(14)立体観察するためのレンズ光学系により術部の第1の観察像を結像する顕微鏡光学系と、
光電変換機能を有する光学系により前記術部の第2の観察像を作成する内視鏡光学系と、
前記顕微鏡光学系における前記レンズ光学系の光路上で全視野に掛かるように配置され、結像される前記第1の観察像に対して、任意の位置及び大きさで遮蔽する液晶シャッターと、
前記液晶シャッターにより遮蔽された前記第1の観察像内の遮蔽部分に、予め又は直前に収集した前記術部に関するデータ及び前記内視鏡光学系により結像された前記第2の観察像を含む情報画像を投影する画像合成制御部と、
を具備することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0102】
また本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、他にも発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0103】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、顕微鏡観察下に行われる手術等において、顕微鏡により結像された術部の光学式観察像の任意の大きさの部分を遮蔽して、他の観察手段により作成された術部に関する第2の観察像をその部分に投影して、同時に2つの観察像を術者が観察できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施形態としての手術用顕微鏡の鏡体部(顕微鏡)の概略的な構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態の手術用顕微鏡の全体構成を示す図である。
【図3】図1に示した手術用顕微鏡に用いられる表示モードを示す図である。
【図4】図1に示した手術用顕微鏡で観察される観察像の一例を示す図である
【図5】本発明による第2の実施形態としての手術用顕微鏡における鏡体部の構成を示す図である。
【図6】図6(a)は顕微鏡観察像を示す図、図6(b)は液晶シャッタを示す図である。
【図7】本発明による第3の実施形態としての手術用顕微鏡における画像挿入部の構成を示す図である。
【図8】第3の実施形態の手術用顕微鏡におけるRGB液晶カラーシャッタモニタの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】第3の実施形態の手術用顕微鏡の観察視野内に表示されるデータの一例を示す図である。
【図10】本発明による第4の実施形態としての手術用顕微鏡における鏡体部の構成を示す図である。
【図11】第4の実施形態の手術用顕微鏡における付属品取り付けマウントおよび、ビームスプリッタの構成を示す図である。
【図12】第4の実施形態の手術用顕微鏡における視野内表示装置を挿入したときの状態を示す図である。
【図13】第4の実施形態の手術用顕微鏡におけるビームスプリッタ回転機構を示す図である。
【図14】本発明による第5の実施形態としての手術用顕微鏡の鏡体部の構成及び電気系のブロック構成を示す図である。
【図15】第5の実施形態の手術用顕微鏡における対物レンズと各結像レンズと液晶シャッタとの位置関係を示す図である。
【図16】第5の実施形態の手術用顕微鏡における顕微鏡観察像の例を示す図である。
【図17】本発明による第6の実施形態としての手術用顕微鏡の観察光学系の構成を示す図である。
【図18】本発明による第7の実施形態としての手術用顕微鏡の観察光学系の構成を示す図である。
【図19】本発明による第8の実施形態としての手術用顕微鏡の観察光学系の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…鏡体、2…観察部、3…対物レンズ、4a,4b…一対の変倍光学系、5a,5b…一対の結像レンズ、6a,6b…RGB撮像装置、7a,7b…プロセッサ、8a,8b…スーパーインポーズ回路、9…モード設定回路、10a…右眼用観察モニタ、10b…左眼用の観察モニタ、11a,11b…接眼レンズ、12…斜視用内視鏡、13…TVカメラ、14…コントロールユニット、15…モードスイッチ。

Claims (4)

  1. 術部を観察するための光学式実体顕微鏡からなる第1の観察手段と、
    前記術部を観察するための第2の観察手段と、
    前記第1の光学式観察像による一部又は全部を任意の大きさで遮蔽する遮蔽手段と、
    前記第1の観察像と、前記第1の観察像中に前記第2の観察像を任意の大きさで表示するモニターと、を具備し、
    前記第1の光学式観察手段は、該第1の光学式観察手段による前記術部の第1の観察像と、前記第2の観察手段による前記術部の第2の観察像と、を同時に観察可能であり、さらに、
    前記遮蔽手段による遮蔽の大きさと、前記第2の観察像の大きさを関連づけて制御し前記モニターに表示することを特徴とする手術用顕微鏡。
  2. 前記第2の観察手段は、内視鏡であることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
  3. 前記遮断手段は、液晶シャッターであることを特徴とする請求項1及び2に記載の手術用顕微鏡。
  4. 前記手術用顕微鏡において、
    前記液晶シャッターは、前記第1の光学式観察手段である実体顕微鏡の2つ有る観察光学系のうち、少なくとも一方の観察光学系の光束を覆って配置されることを特徴とする請求項3に記載の手術用顕微鏡。
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