JP4632529B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外周面に製版済みのマスタが巻装された版胴に印刷用紙を押圧して印刷を行う孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷装置では、内部にインキ供給手段を備えた版胴の外周面にサーマルヘッド等で穿孔製版されたマスタを巻装し、例えばプレスローラ等の押圧部材で印刷用紙を版胴に押圧して印刷することが行われている。
一般に、版胴内部のプレスローラに対向する位置には、インキ供給手段の構成要素であるインキローラが設けられており、インキローラから版胴内周面に供給されたインキがプレスローラとの押圧力(印圧)により版胴の開孔を通ってマスタの穿孔部から滲み出し、滲み出たインキが印刷用紙に転移してインキ画像が形成される。
【0003】
版胴は、一般に、版胴本体としての円筒状の多孔性支持板と、この多孔性支持板の外周面に巻装されたメッシュスクリーン等から構成されており、このメッシュスクリーンの外周面に製版済みのマスタが巻装されるようになっている。
メッシュスクリーンは、多孔性支持板の開孔から出たインキを拡散させてマスタに対するインキ供給を均一化するためのものであり、ポリエステル又はステンレスの細線等で織られて形成されており、1〜3層程度巻装されている。
【0004】
この種の孔版印刷装置では、十分な画像濃度を確保するために、画像比率の大小に拘らずインキ供給は定量的に行われている。極端な例を挙げれば、ベタ部が多い画像の場合と、ドットが1つしか存在しない画像の場合とにおいてインキ供給量には差がない。
このため、インキ供給過多となり易く、いわゆる「裏移り」や「ドットの過剰な太り」などの印刷品質の低下を招き易い。また、インキローラによって版胴内周面に供給されたインキはその都度全てが印刷のために消費される訳ではなく、印刷に使用されなかったインキは版胴内周面に付着したまま残る。その量は、新たなインキの供給がなくても印圧さえあればその後しばらくは印刷を継続できる程度である。この残存インキの量は、画像比率が少ない場合には当然に多くなる。
版胴内周面におけるインキの付着量が多くなり過ぎると、インキが版胴外部に漏れて印刷用紙を汚損するなどの弊害が生じる。
【0005】
また、印刷に使用されなかったインキが版胴内周面に残存じた状態で装置が使用されずに長時間、例えば2,3日放置された場合、インキの経時的状態変化による印刷物の品質低下の問題が発生する。特に、インキがエマルジョンタイプの場合には、水分が蒸発して粘度が低下するため、放置後、製版して新たな印刷を行う際、最初の数十枚から最悪の場合には百枚以上にも亘って、使用に耐えない滲み画像が発生する。状態変化したインキが入れ替わらない限り、印刷品質は安定しないのである。
従来においては、粘度の低下した残存インキの影響が無くなるまで最初ヤレ紙で印刷したり、あるいは新しいマスタに染み込ませて廃棄するなどの対策を講じているが、多大な経済的損失と時間の無駄となっている。
【0006】
この問題に対処すべく、特開平2000−177226号公報には、インキローラの下流直後にインキ回収手段を設けて版胴内周面に付着したインキを印刷する毎に掻き取ってインキローラに戻す技術が提案されている。すなわち、1枚の印刷用紙への印刷が終了する毎に版胴内のインキ付着状態を初期状態に戻し、版胴内周面におけるインキ量を常に1枚の印刷用紙に必要な適正量に保とうというものである。
インキ回収手段は、版胴の内周面に接触してインキを掻き取る掻取部材(インキ回収ブレード)と、該掻取部材によって掻き取られたインキをインキローラへ戻すインキ戻し部材を有している。掻取部材はその基端部をインキローラを支持するブラケットに固定されており、自由端部は版胴内周面の開孔との接触抵抗を低減するために、掻き取り機能が損なわれない範囲で丸みが付けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記掻取部材の丸みは自由端のインキ流れに対向する部分のみに付けられているため、自由端部の両側(両角部)にはエッジが存在し、このエッジが版胴内周面の開孔に引っ掛かって版胴回転時に騒音が大きくなるという問題があった。丸みが存在する部分でも、版胴内周面の開孔のエッジとの接触によって騒音が発生していた。
また、掻取部材で掻き取られたインキがインキローラの脇(軸方向両端)へ回り込み、そこで溜まって数時間の放置で緩んでしまい、版胴外部へ流れ出すという問題があった。
また、掻取部材と版胴の接触部から掻取部材の裏面にインキが回り込み、そこで溜まって数時間の放置で緩んでしまい、その後の印刷画像にムラを生じるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、インキ回収ブレードの形状、寸法等に起因した上記諸問題を解消できる孔版印刷装置の提供を、その目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、多数の開孔を有する円筒状の多孔性支持板を備えた版胴と、該版胴の内部に設けられ該版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、該版胴内の該インキローラの版胴回転方向下流近傍に設けられ該版胴の内周面に残ったインキを回収して該インキローラへ戻すインキ回収手段を有する孔版印刷装置において、上記インキ回収手段が、自由端部により上記版胴の内周面からインキを掻き取るインキ回収ブレードを有し、該インキ回収ブレードの上記自由端部は上記内周面側へV字状に折り返されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、上記インキ回収ブレードの上記インキローラの軸方向における幅は該インキローラの同幅以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の孔版印刷装置において、V字状に折り返された上記自由端部の先端が上記内周面から離れる状態に曲げられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のうちの一つに記載の孔版印刷装置において、上記インキ回収ブレードの上記インキローラの軸方向における幅がインキの流れ方向に沿って狭くなっていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のうちの一つに記載の孔版印刷装置において、上記インキ回収ブレードの上記内周面に対向する面と反対側の面に、該インキ回収ブレードによって掻き取られたインキを上記インキローラに戻すインキ戻し部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の孔版印刷装置において、上記インキ戻し部材の上端が、上記インキローラの中心位置より上方にあることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の孔版印刷装置において、上記インキ戻し部材が、上記インキ回収ブレードに沿って延びるとともに上記インキローラの表面に沿って立ち上がる形状を有するインキ戻しベースと、該インキ戻しベースのインキローラの表面に沿って立ち上がる部分に固定された弾性を有するインキ戻し本体を有していることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の孔版印刷装置において、上記インキ戻し本体の下端は上記インキ回収ブレードに圧接され、上端は上記インキローラに圧接されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項5乃至8のうちの一つに記載の孔版印刷装置において、上記インキローラを支持するブラケットに固定されるブレードホルダを有し、該ブレードホルダと上記インキ戻し部材との間に上記インキ回収ブレードを挟んだ状態で該ブレードホルダとインキ戻し部材がネジにより固定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の孔版印刷装置において、上記インキ回収ブレードに、上記ネジによる該インキ回収ブレードの締付位置をインキ流れ方向に調整可能とする調整用長孔が形成されていることを特徴とする
【0022】
【発明の実施の形態】
孔版印刷装置の一つの例を図1乃至図7に基づいて説明する。
先ず、図7に基づいて、孔版印刷装置の全体構成及び印刷動作の概要を説明する。
孔版印刷装置1は、給紙装置2と、版胴4と、該版胴4内に設けられたインキローラ6と、該版胴4内においてインキローラ6の下流近傍に設けられたインキ回収手段8と、該版胴4に対向して設けられた押圧部材としてのプレスローラ10と、印刷済みの用紙を搬送する排紙搬送手段12と、排紙台14等を有している。
給紙装置2は、図示しない給紙台駆動モータによって昇降可能で、用紙Pが積載される給紙台16と、分離コロ18と、給紙コロ20と、分離コロ18に対向して分離ニップ部を形成する分離パッド22と、給紙された用紙Pを所定のタイミングで印刷ニップ部へ送るレジストローラ対24等を有している。
【0023】
版胴4は、周知の構成と同様に、内部にインキローラ6を含むインキ供給手段を7有しており、外周面には図示しないマスタを挟持する図示しないクランパを有している。プレスローラ10は図示しない接離機構により版胴4に対して接離自在となっている。
排紙搬送手段12は、搬送ベルト26と、吸引ファン28等を有しており、印刷済みの用紙Pを吸着しながら搬送する機能を有している。
【0024】
図示しないADF(オートドキュメントフィーダ)に原稿をセットし、オペレータが図示しない製版スタートキーを押すと、図示しない原稿読み取り装置によって原稿画像の読み取りがなされる。
読み取られた原稿の画像情報に基づいて図示しない製版手段によりマスタが製版され、一方、図示しない排版手段により版胴4に巻装された使用済みのマスタが剥離される。
製版されたマスタは上記クランパで挟持され版胴4の外周面に巻装される。給紙装置2により最上の用紙Pが1枚分離されて給紙され、給紙された用紙Pは一旦レジストローラ対24で止められて斜めずれ等を修正された後、レジストローラ対24により版胴4の画像先端と搬送方向の所定位置とが一致するタイミングで印刷ニップ部へ送られる。
これに対応してプレスローラ10が上昇し、用紙Pを版胴44に押圧する。このプレスローラ10による押圧により版胴4の内面に供給されたインキが版胴4の開孔部を通過してマスタの穿孔部から滲み出し、用紙Pに転移する。
インキ画像を転写された用紙Pは、図示しない分離爪により版胴4の外周面から剥離され、排紙搬送手段12により搬送されて排紙台14へスタックされる。
【0025】
次に、図1に基づいて版胴4内部のインキ供給手段7、インキ回収手段8等について詳細に説明する。
版胴4はインキ供給パイプを兼ねる支軸30に回転自在に支持されており、該回転支軸30にはインキローラ6を支持するブラケット32,32と、インキ分配部材34が設けられている。インキローラ6の右上部にはドクターローラ36が設けられており、インキローラ6との間にインキ溜まり38を形成している。
版胴4の外部から支軸30を介して導入されたインキはインキ分配部材34によりインキ溜まり38へ落とされる。インキ溜まり38のインキはドクターローラ36によって層厚みを一定に規制されながらインキローラ6へ供給される。支軸30、インキ分配部材34、インキローラ6、ドクターローラ36等によりインキ供給手段7が構成されている。
【0026】
インキ回収手段8は、ブラケット32に固定されるブレードホルダ40と、該ブレードホルダ40にネジ固定されるインキ戻し部材42と、ブレードホルダ40とインキ戻し部材42との間に挟まれて固定されたインキ回収ブレード44を有している(請求項5,9)。
図2は、インキ回収手段8を取り外した状態を示している。各ブラケット32には、ブレードホルダ40を固定するためのネジ止め用孔32aが形成されている。
【0027】
図3に示すように、ブレードホルダ40は、ブレード支持板46と、該ブレード支持板46の両端に立ち上げられた固定用片48を有している。固定用片48にはブラケット32のネジ止め用孔32aに対向するネジ止め用孔48aが形成されており、ブレード支持板46にはインキローラ6の軸方向に間隔をおいてネジ止め用孔46aが形成されている。
インキ戻し部材42は、ブレード支持板46に沿って(インキ回収ブレード44に沿って)延びるとともにインキローラ6の表面に沿ってくの字状に立ち上がる形状を有するインキ戻しベース50と、該インキ戻しベース50のインキローラ6の表面に沿って立ち上がる部分50aに固定された弾性を有するインキ戻し本体52を有している(請求項7)。本実施形態におけるインキ戻し本体52はマイラーで形成されている。
【0028】
インキ戻しベース50のブレード支持板46に沿って延びる部分50bには、ブレード支持板46のネジ止め用孔46aに対向する位置をもってネジ止め用孔50cが形成されている。
ブレードホルダ40とインキ戻し部材42との間に挟まれるインキ回収ブレード44には、ブレード支持板46のネジ止め用孔46a及びインキ戻しベース50のネジ止め用孔50cに対応する位置をもって、インキ回収ブレード44の締付位置をインキ流れ方向に調整可能とする調整用長孔44a,44bが形成されている(請求項10)。
【0029】
インキ戻しベース50のネジ止め用孔50c、インキ回収ブレード44の調整用長孔44a,44b、ブレード支持板46のネジ止め用孔46aを貫通するように図示しないネジが通され、該ネジに図示しないナットが螺合されて締め付けられる。これにより、ブレードホルダ40、インキ回収ブレード44、インキ戻し部材42の3者が一体に固定される。
一体に固定され、ブラケット32に固定された状態で、インキ戻し本体52の下端はインキ回収ブレード44に圧接し、上端はインキローラ6の表面に圧接するように設定されている(請求項8)。
ネジを緩めてインキ回収ブレード44をずらすことにより、版胴4の内周面に対するインキ回収ブレード44の接触状態を調整することができる。
【0030】
図4に示すように、インキ回収ブレード44の自由端部44cの両端角部44dには丸みが付けられている。また、図5に示すように、自由端部44cはインキローラ6の軸方向全体に亘って丸みを有している。これらの丸みは、インキ回収ブレード44の掻き取り性能が低下しない範囲で設定される。
また、本実施形態ではインキ回収ブレード44の自由端部44cを、表面粗さ1.6a(中心線平均粗さ)程度以上に研磨している(請求項3)。
図6に示すように、インキ回収ブレード44のインキローラ6の軸方向における幅Aはインキローラ6の同幅Bより2mm程度小さく設定されている。
インキ回収ブレード44の材質としては、燐青銅板、ステンレス薄板(SUS420やSUS304等)、ウレタンブレード等のプラスチックの弾性材料を採用できる。
【0031】
版胴4の内周面に付着したインキは、版胴4の回転に伴ってインキ回収ブレード44の自由端部44cで掻き取られ、自由端部44cの上面を競り上がる。この場合、自由端部44cの丸み及び両端角部44dの丸みにより、版胴4の内周面に存在する開孔との接触抵抗が緩和され、騒音が低減される。また、自由端部44cの研磨処理により開孔との接触抵抗がさらに緩和され、騒音が一層低減される。
研磨の代わりに、インキ回収ブレード44の自由端部44cに窒化チタンコーティングやフッ素コーティング等の表面処理を施してもよい。
また、インキ回収ブレード44の幅がインキローラ6より小さく設定されているので、印刷時にインキ回収ブレード44とインキローラ6の間からインキが押し出され、図6に矢印Cで示すように、インキローラ6の脇にインキが回り込んで滞留するのが防止される。
【0032】
インキ回収ブレード44の自由端部44cの上面に競り上がったインキは、その後、インキ戻し本体52により案内され、インキローラ6表面に戻される。
インキ戻し本体52によりインキローラ6に戻されるインキが、図1において矢印Sで示すように途中で落下しないように、インキ戻し本体52の上端は、インキローラ6の中心位置6aより上方に位置するように設定されている(請求項6)。
【0033】
次に、図8乃至図10に基づいて一つの実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り、既にした構成上及び機能上の説明は省略する。また、要部のみ説明する。
図8及び図9に示すように、本実施形態におけるインキ回収ブレード54は、その自由端部54cが版胴4の内周面側へV字状に折り返されており(請求項1)、且つ、折り返し部54dの先端54eは、内周面から離れる方向に丸みを有する状態に曲げられている(請求項3)。本実施形態における折り返し角度θは約20°である。符号54a,54bは調整用長孔を示す。
インキ回収ブレード54の幅とインキローラ6の幅との関係は、図10に示すように、自由端部54cの幅をA、先端54eの幅をD、基端部の幅をE、インキローラ6の幅をBとした場合、B≧A>E>Dの関係を満たすように設定されている(請求項4)。
【0034】
このようにインキ回収ブレード54の自由端部54cを鋭角のV字状とすることにより、版胴4の内周面に付着したインキを掻き取ることができるとともに、インキ回収ブレード54の裏面側Rにインキが回り込んで滞留するのを防止することができる。
また、折り返し部54dの先端54eを丸く曲げているので、版胴4が逆転した際の多孔性支持板の重ね合わせ部(図8のW部)段差部に先端54eが入り込んで衝突するのを防止でき、接触音の少ない円滑な乗り越えが可能となる。
また、インキの流れ方向に沿って幅が狭くなる形状とすることで、インキローラ6の脇にインキが回り込んで滞留するのが防止される。
【0035】
本実施形態ではインキ回収ブレード54の自由端部54cを鋭角の尖った形状としたが、図11に示すように掻き取り性能が低下しない範囲で丸みを付けてもよい。また、図12に示すように、一部が重なった形状としてもよい。
また、折り返し部54dの先端54eの曲げ形状は本実施形態の如く円弧状に限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、鋭角に曲げてもよく、図14に示すように、鈍角に曲げてもよい。
【0036】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、インキ回収ブレードの上記自由端部は内周面側へV字状に折り返されている構成としたので、インキローラの脇にインキが回り込んで滞留するのを防止することができ、これに起因した版胴外部へのインキ漏れ、印刷画像のムラの発生を抑制できる。
【0037】
請求項2記載の発明によれば、インキ回収ブレードのインキローラの軸方向における幅がインキローラの同幅以下である構成としたので、インキローラの脇にインキが回り込んで滞留し、放置によって緩んで版胴外部に流れ出すのを防止できる。
【0038】
請求項3記載の発明によれば、V字状に折り返された自由端部の先端が内周面から離れる状態に曲げられている構成としたので、版胴の逆回転時、版胴の段差部にインキ回収ブレードが衝突するのを防止することができる。
【0039】
請求項4記載の発明によれば、インキ回収ブレードのインキローラの軸方向における幅がインキの流れ方向に沿って狭くなっている構成としたので、インキがインキ回収ブレードの裏面に回り込んで滞留するのを防止することができ、これに起因した版胴外部へのインキ漏れ、印刷画像のムラの発生を抑制できる。
【0040】
請求項5記載の発明によれば、インキ回収ブレードの内周面に対向する面と反対側の面に、該インキ回収ブレードによって掻き取られたインキをインキローラに戻すインキ戻し部材が設けられている構成としたので、回収されたインキが緩んで版胴外部に流れ出すのを防止できるとともに、インキの緩みによる印刷画像のムラの発生を抑制でき、且つ、インキの有効なリサイクル化を実現できる。
【0041】
請求項6記載の発明によれば、インキ戻し部材の上端が、インキローラの中心位置より上方にある構成としたので、回収されたインキがインキローラへの戻し過程において途中で落下するのを防止できる。
【0042】
請求項7記載の発明によれば、インキ戻し部材が、インキ回収ブレードに沿って延びるとともにインキローラの表面に沿って立ち上がる形状を有するインキ戻しベースと、該インキ戻しベースのインキローラの表面に沿って立ち上がる部分に固定された弾性を有するインキ戻し本体を有している構成としたので、回収されたインキが緩んで版胴外部に流れ出すのを防止できるとともに、インキの緩みによる印刷画像のムラの発生を抑制でき、且つ、インキの有効なリサイクル化を実現できる。
【0043】
請求項8記載の発明によれば、インキ戻し本体の下端はインキ回収ブレードに圧接され、上端はインキローラに圧接されている構成としたので、インキのリサイクル化を高精度に達成できる。
【0044】
請求項9記載の発明によれば、インキローラを支持するブラケットに固定されるブレードホルダを有し、該ブレードホルダとインキ戻し部材との間にインキ回収ブレードを挟んだ状態で該ブレードホルダとインキ戻し部材がネジにより固定されている構成としたので、回収されたインキが緩んで版胴外部に流れ出すのを防止できるととに、インキの緩みによる印刷画像のムラの発生を抑制でき、且つ、インキの有効なリサイクル化を実現できる。
【0045】
請求項10記載の発明によれば、インキ回収ブレードに、ネジによる該インキ回収ブレードの締付位置をインキ流れ方向に調整可能とする調整用長孔が形成されている構成としたので、版胴内周面に対するインキ回収ブレードの接触状態を容易に調整でき、製造精度等に拘らずインキ回収ブレードの回収機能の最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するインキ回収手段周辺の要部正面図である。
【図2】 インキ回収手段を取り除いた状態の要部正面図である。
【図3】 インキ回収手段の分解斜視図である。
【図4】 インキ回収ブレードの概要平面図である。
【図5】 図4におけるY−Y線での断面図である。
【図6】 インキ回収ブレードとインキローラの幅寸法関係を示す図で、(a)はインキ回収ブレードの概要平面図、(b)はインキローラの概要断面図である。
【図7】 孔版印刷装置の概要正面図である。
【図8】 本発明の実施形態におけるインキ回収手段周辺の要部正面図である。
【図9】 図8で示した実施形態におけるインキ回収手段の分解斜視図である。
【図10】 図8で示した実施形態におけるインキ回収ブレードとインキローラの幅寸法関係を示す図で、(a)はインキ回収ブレードの概要平面図、(b)はインキローラの概要断面図である。
【図11】 図8で示した実施形態におけるインキ回収ブレードの自由端部の形状の変形例を示す要部正面図である。
【図12】 図8で示した実施形態におけるインキ回収ブレードの自由端部の形状の他の変形例を示す要部正面図である。
【図13】 図8で示した実施形態におけるインキ回収ブレードの自由端部の折り返し部の形状の変形例を示す要部正面図である。
【図14】 図8で示した実施形態におけるインキ回収ブレードの自由端部の折り返し部の形状の他の変形例を示す要部正面図である。
【符号の説明】
4 版胴
6 インキローラ
8 インキ回収手段
32 ブラケット
40 ブレードホルダ
44,54 インキ回収ブレード
44c,54c 自由端部
42 インキ戻し部材
50 インキ戻しベース
52 インキ戻し本体
54a、54b 調整用長孔
Claims (10)
- 多数の開孔を有する円筒状の多孔性支持板を備えた版胴と、該版胴の内部に設けられ該版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、該版胴内の該インキローラの版胴回転方向下流近傍に設けられ該版胴の内周面に残ったインキを回収して該インキローラへ戻すインキ回収手段を有する孔版印刷装置において、
上記インキ回収手段が、自由端部により上記版胴の内周面からインキを掻き取るインキ回収ブレードを有し、該インキ回収ブレードの上記自由端部は上記内周面側へV字状に折り返されていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記インキ回収ブレードの上記インキローラの軸方向における幅は該インキローラの同幅以下であることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1又は2記載の孔版印刷装置において、
V字状に折り返された上記自由端部の先端が上記内周面から離れる状態に曲げられていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1乃至3のうちの一つに記載の孔版印刷装置において、
上記インキ回収ブレードの上記インキローラの軸方向における幅がインキの流れ方向に沿って狭くなっていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1乃至4のうちの一つに記載の孔版印刷装置において、
上記インキ回収ブレードの上記内周面に対向する面と反対側の面に、該インキ回収ブレードによって掻き取られたインキを上記インキローラに戻すインキ戻し部材が設けられていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項5記載の孔版印刷装置において、
上記インキ戻し部材の上端が、上記インキローラの中心位置より上方にあることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項5又は6記載の孔版印刷装置において、
上記インキ戻し部材が、上記インキ回収ブレードに沿って延びるとともに上記インキローラの表面に沿って立ち上がる形状を有するインキ戻しベースと、該インキ戻しベースのインキローラの表面に沿って立ち上がる部分に固定された弾性を有するインキ戻し本体を有していることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項7記載の孔版印刷装置において、
上記インキ戻し本体の下端は上記インキ回収ブレードに圧接され、上端は上記インキローラに圧接されていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項5乃至8のうちの一つに記載の孔版印刷装置において、
上記インキローラを支持するブラケットに固定されるブレードホルダを有し、該ブレードホルダと上記インキ戻し部材との間に上記インキ回収ブレードを挟んだ状態で該ブレードホルダとインキ戻し部材がネジにより固定されていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項9記載の孔版印刷装置において、
上記インキ回収ブレードに、上記ネジによる該インキ回収ブレードの締付位置をインキ流れ方向に調整可能とする調整用長孔が形成されていることを特徴とする孔版印刷装置。
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JPS5163716A (en) * | 1974-10-15 | 1976-06-02 | Zimmer Johannes | Dokutasochi |
JPS5567463A (en) * | 1978-11-14 | 1980-05-21 | Stork Brabant Bv | Sqeeze for screen printing machine |
JPH11321062A (ja) * | 1998-05-12 | 1999-11-24 | Riso Kagaku Corp | 印刷装置 |
JP2000177226A (ja) * | 1998-12-16 | 2000-06-27 | Tohoku Ricoh Co Ltd | 孔版印刷装置 |
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-
2000
- 2000-12-08 JP JP2000374311A patent/JP4632529B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5163716A (en) * | 1974-10-15 | 1976-06-02 | Zimmer Johannes | Dokutasochi |
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JP2000326616A (ja) * | 1999-05-18 | 2000-11-28 | Tohoku Ricoh Co Ltd | 孔版印刷装置 |
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