JP4630702B2 - 熱源システム最適運転制御装置 - Google Patents
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I.3E評価について
操作変数の最適解を評価する指標として、一次エネルギ(Energy)の他に、経済性(Economy)、環境性(Ecology)の3つが存在し、これらのどれかを指標として最適解を求める手法を各アルファベットの頭文字を取り、3E評価と称する。熱源システムの動力は一般に電力とガスであるので、この3E評価においては、熱源システムで消費されるトータルの電力消費量Eと、トータルのガス消費量Gを基に次のようにして算出される。
(1)一次エネルギ評価(省エネルギ性)
電力一次エネルギ換算係数e(1)とガス一次エネルギ換算係数g(1)とにより、エネルギ評価関数3E(Energy)は[数1]で定義される。
[数1]
3E(Energy)=e(1)×E+g(1)×G
(2)経済性評価(Economy)
電力料金単価係数e(2)とガス料金単価係数g(2)とにより、経済性評価関数3E(Economy)は[数2]で定義される。
[数2]
3E(Economy)=e(2)×E+g(2)×G
(3)環境性評価(Ecology)
電力のCO2排出換算係数e(3)とガスのCO2排出換算係数g(3)とにより、環境評価関数3E(Ecology)は[数3]で定義される。
[数3]
3E(Ecology)=e(3)×E+g(3)×G
熱源システムにおいて、各機器の動力である電力消費量Eとガス消費量Gが求まれば、3E評価における夫々の換算係数を乗じることで、各評価関数f1(x)〜f3(x)を定義できる。この評価関数f1(x)〜f3(x)をどのように求めるかが最大の課題であり、独自の方式で求めているので、これを高効率運転制御関数と定義する。この高効率運転制御関数の求め方の詳細は、後述の機器動力の求め方の説明において記述しているので、以下にそのポイントのみを示す。
高効率運転制御関数の入力パラメータとしては、取得可能な計測値(例えば、外気温度、冷水、冷却水の流量等)や、制御に利用可能なインバータ出力(例えば、冷水ポンプ、冷却水ポンプ、冷却塔のファン等のインバータ出力)のみで作成する。この入力パラメータは、機器の組合せや、熱源運転方法にとって、最適な入力パラメータを選定する。なお、入力パラメータには、実際の制御時には2種類存在する。計測値(外気温度等)は一つに決まる。一方、制御対象となる設定値(冷水出口温度設定値等)については、実用上の意味のある範囲内の複数の値が許容されるために、最適値を探索し求めた値を設定値とする。このように最適値探索により求まる入力パラメータを操作変数と定義する。その他に、計測値や操作変数によって一つに決定される計算値が存在することもある。
ガス消費量Gが発生する機器は、主としてガス吸収式冷凍機である。冷凍機メーカから提供されるカタログ値あるいは仕様書の値を読み取り、負荷率と冷却水入口温度から、ガス消費量を求める近似式を作成する。
電力消費量Eが発生する機器は、電動駆動の冷凍機(インバータターボ冷凍機等)本体、ポンプ、冷却塔ファンである。冷凍機の動力は成績係数COP(=機器出力エネルギ/機器入力エネルギ)が求まれば、出力エネルギ(生成熱量)は既知であるので入力エネルギである電力が求まる。このCOPを求めるには、冷凍機メーカから提供されるカタログ値あるいは仕様書の値を読み取り、適当な近似式を作成する。成績係数COPの算出にあたって、冷却水入口温度がパラメータとなる。この冷却水入口温度は、冷凍機等における熱源の凝縮器に対する入口の温度で、冷却水が冷却塔で冷却されて送出される際の冷却塔出口温度である。冷却塔出口温度は、冷却塔固有の数値と、外気湿球温度、冷却塔ファン送風量(冷却塔ファンインバータ出力)、冷却水量(冷却水ポンプインバータ出力)より解析的に求めることができるので、近似式を作成することができる。
上述の(I)〜(III)により、入力パラメータが決まれば、電力消費量Eとガス消費量Gが一意に決まる。仮に電力消費量Eは3つの機器(a,b,c)で決定され、aはi,j,kの関数、bはj,kの関数、cはkの関数として定義されるとする。更に、iは5,6,7(3通り)、jは90,100(2通り)、kは26,27,28,29(4通り)の値をとるとすると、電力消費量Eは[数4]で決定される。
[数4]
E=a(i,j,k)+b(j,k)+c(k)
そこで、多変量解析を導入することで、[数4]は各入力パラメータに係数がかかった一次独立した数式[数5]で代用できる。多変量解析は、一般的な手法であるので詳細は割愛する。実際には、表計算ソフトとして一般的なExcel(登録商標・・・以下においても同様である。)を用いて処理しているが、多変量解析を行うための関数(LINEST関数)が予め用意されているので、一覧表を作成できれば比較的簡単に[数5]を得ることができ、これを電力消費量Eの高効率運転制御関数とする。I,J,Kは各入力パラメータの係数、Lは定数である。
[数5]
E=I×i+J×j+K×k+L
電力消費量Eの高効率運転制御関数が[数5]により求まったとする。次に、簡単のためにガス消費量Gは零とし、経済性による3E評価を行う場合で説明する。ちなみに、[数1]〜[数3]でガス消費量Gの項がないと、電力消費量Eの項だけとなり、単に換算係数が異なるだけであるので、操作変数の最適値は、3Eのどの評価方法を使ったとしても同じ結果となることを補足する。
[数6]
3E(Ecology)=e2×(I×i+J×j+K×k+L)
最適解を求める手順をまとめると以下の通りである。
[1] 制御対象とする熱源システムにおける入力パラメータを選定する。
[2] 入力パラメータにより、近似式等を使って全体の電力消費量を定義する関数[数4]を作成する。なお、電力消費量Eの具体的な求め方は後述する。
[3] 入力パラメータが取り得る全ての値(例えば、外気湿球温度を26℃、27℃、28℃、29℃とする等)についての関係図表(図15参照)を作成する。
[4] 多変量解析により電力消費量Eの高効率運転制御関数[数5]を得る。
[5] 指定の3E評価関数と、高効率運転制御関数に、入力パラメータ(計測値と操作変数)を代入する。計測値は一意に決定する。操作変数は、想定される値を次々に代入していき、最適値を探索し、最終的に得られた最適値を決定する操作変数の値を最適解とする。
II.熱源システムにおける電力消費量E及びガス消費量Gの算出の具体例、高効率運転制御関数の求め方の具体例
先ず、上述の熱源システムで消費される電力消費量Eと、ガス消費量Gの求め方を説明する。
熱源システム全体で消費される電力消費量Eとしては、熱源の動力、ファンやポンプ類の動力の総和であって[数7]で表され、熱源システム全体で消費されるガス消費量Gはガスを消費する機器(ガス吸収式冷凍機)のガス消費量の総和であって[数8]で表される。
[数9]
D=aR3
[数10]
D=ARtn+B
[数10]において、Rt<低負荷上限のとき(低負荷)はD=Boとなり、低負荷上限≦中負荷上限Rtcのとき(中負荷)はD=A1×Rt2〜3+B1となり、中負荷上限≦Rtのとき(高負荷)は、D=A2×Rt3+B2となる。但し、A1、A2、Bo、B1、B2はポンプやファンの機器特性、現場の配管抵抗や実揚程等によって決まる定数である。
[数11]
Tcd=F1(Twb、ΔTcd1、Vcd、Fct、Pcd)
[数11]において、Pcdは高次多項式のパラメータである。
[数12]
COP=F2(Lp2、Tcd、Tcs、Pcop)
[数12]において、Pcopは高次多項式のパラメータである。又、処理熱量演算部118では、負荷率Lpを基に処理熱量が求められるようになっている。従って、ターボ冷凍機動力演算部121では、熱源2であるターボ冷凍機動力Dturbは[数14]で求められるようになっている。
[数13]
COP=機器の出力エネルギ/機器への投入エネルギ
[数14]
Dturb=ターボ冷凍機の処理した冷熱量/COP
[数15]
g=F3(Lp1、Tcd、Tcs、Pg)
[数15]において、Pgは高次多項式のパラメータである。
なお、図17〜図20のグラフは、各メーカの仕様書、実測値、文献等のデータを基に作成する。
[数16]
E=Dct+Dcd+Dcs+Dturb+Dcs
[数17]
G=g
[数18]
E=aE×Lp+bE×Twb+cE×Vct+dE×ΔTct+eE×Fct+fE×Tcs+gE×ΔTcs+CE
[数19]
G=aG×Lp+bG×Twb+cG×Vct+dG×ΔTct+eG×Fct+fG×Tcs+gG×ΔTcs+CG
前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)、
及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第一の熱源(1)と該第一の熱源(3)に付随する補機、及び第二の熱源(2)と該第二の熱源(2)に付随する補機、及び第三の熱源(3)と該第三の熱源(3)に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源(1)、及び第二の熱源(2)、及び第三の熱源(3)ごとの下位コントローラ(73)、(74)、(75)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO2排出とガスCO2排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)、(35)、(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したものである。
ガスをエネルギ源とする吸収式冷凍機である第一の熱源(1)、及び、電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)からなる2つ以上の熱源と、
前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第一の熱源(1)と前記第一の熱源に付随する補機、及び第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1、Lp2)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源(1)、及び第二の熱源(2)ごとの下位コントローラ(73)、(74)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 2 排出とガスCO 2 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)(35)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことものである。
又、請求項3の熱源システム最適運転制御装置は、
電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)、及び、冷却塔(13)により熱交換可能な外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である第三の熱源(3)からなる2つ以上の熱源と、
前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)、
及び、前記各冷却水ポンプ(35)(40)により第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び第三の熱源(3)と前記第三の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp2)、(Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第二の熱源、及び第三の熱源ごとの下位コントローラ(74)、(75)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 2 排出とガスCO 2 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2、Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(35)(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したものである。
更に、請求項4の熱源システム最適制御運転装置は、
前記冷却塔(6)はインバータ(13a)を備えたファン(13)を有し、
前記下位コントローラには、前記所定の冷却水ポンプのインバータ出力を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である第一の熱源(1)又は第二の熱源(2)又は第三の熱源(3)や、各補機類の合計エネルギ消費量、又は電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 2 排出とガスCO 2 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合または冷却塔出口温度(Tcto_sp)をパラメータとして多変量解析を行って、外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合(Fct)又は冷却塔出口温度(Tcto_sp)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、
計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数である前記冷却水ポンプのインバータ出力の最適値を出力する下位最適値演算部を備えたことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。
高効率運転制御関数をE=aE×Lp+bE×Twb+cE×Vct+dE×ΔTct+eE×Fct+fE×Tcs+gE×ΔTcs+CE、
G=aG×Lp+bG×Twb+cG×Vct+dG×ΔTct+eG×Fct+fG×Tcs+gG×ΔTcs+CG
(ここで、aE、bE、cE、dE、eE、fE、gE、CE、aG、bG、cG、dG、eG、fG、gG、CGは、制御パラメータ係数であり、Lpは熱源の負荷率、Twbは外気湿球温度、Vctは冷却水流量、ΔTctは冷却水入口温度、Fctは冷却塔ファン割合、Tcsは冷水出口温度、ΔTcsは冷水出入口温度差を示し、これら式の項のうち、受けた請求項に対応する制御パラメータ係数に0を代入する。)
として最適値演算部に保存し、計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導くものである。
図1〜図12は本発明を実施する形態の一例である。
而して、熱源システムの一例としては図1に示すものがある。図1に示すように、熱源システムにおいては、ガスをエネルギ源とするガス吸収式冷凍機である熱源1、電力をエネルギ源とするインバータターボ冷凍機である熱源2、外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である熱源3を備えており、熱源1,2,3は並列配置されている。
温度検出器41が設けられている。
[数20]
Qtotal=C1×Vo×(Tcsi−Tcso)×Vcs
ここで、C1(=水比重×水比熱×時間換算)は係数であり、Voは単位時間当たりの冷水設計流量である。
[数21]
Lp1=(Qtotal/Qgaso)×100
[数22]
Lp2=(Qtotal/Qinvo)×100
[数23]
Lp2=(Qtotal−Qfctout)/Qinvo)×100
[数24]
Lp3=(Qfctout/Qfco)×100
[数25]
Lp3=(Qtotal/Qfco)×100
[数26]
Lp3=(Qtotal/Qfco)×100
[数27]
Tcaluculat=L+C2×T
[数28]
Ecs1=(Tcsi1−Tcso1)−ΔTcs_sp1
[数29]
Ecs2=(Tcsi2−Tcso2)−ΔTcs_sp2
[数30]
Ecs3=(Tcsi3−Tcso3)−ΔTcs_sp3
[数31]
Ect3=Tcdi3−Tcsf_sp3
[数32]
Ect=Tcto−Tcto_sp
図1に示す熱源システムの運転は、後に詳述するように、外気温度Toを基に冷房負荷Qtotalを求め、冷房負荷Qtotalにより以下のような切換え運転が行なわれるが、先ず冷却水及び冷水の流れについて説明する。
からの冷水往温度Tcso、還り冷水温度検出器63からの冷水還温度Tcsi、還り冷水流量検出器62からの冷水流量割合Vcs、外気温湿度検出器82からの外気温度Toが与えられ、熱源1〜熱源3の何れかが運転の場合には、[数20]により冷房負荷Qtotalが演算されると共に、図11に示す切替えマップに従い、熱源運転パターンZ1〜Z5の何れのパターンになるかが判断され、更に、熱源運転パターンZ1〜Z5に対応して[数19]〜[数24]により負荷率Lp1〜Lp3の何れかが演算され、演算された負荷率Lp1〜Lp3は熱源機器発停制御演算部80へ与えられる。
からの冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp3を基に、[数28]により、熱源3の冷水出入口温度差制御偏差Ecs3が演算されて冷水ポンプ出力演算部94へ与えられる。
(1)オープンネットワーク(LONWORKS(登録商標 以下においても同様である))に対応するコントローラ利用によるメリット
(i)制御上必要なデータ以外にも、エネルギ解析用に利用可能なデータ等多種多様なデータを比較的容易に取得できる。制御データとその他の計測値を、BEMSとして収集したり、PC上で実行で動作する調整用ツール70での収集を行い、各種解析が可能である。
(ii)LONWORKSに対応していれば、ベンダ(メーカ)に依存しないので、マルチベンダ方式のシステム構成が可能となり、国内外の様々な機器の中から、最適な機器を選定できる。
(iii)遠隔からの調整やアプリケーションソフトウェアの更新が比較的容易であるので、調整の手間が省けたり、メンテナンスが容易となる。複数のコントローラに対して、調整用パラメータの一括更新や一括取得も可能である。
(iv)低価格でコンパクトなシステム構成が可能である。市販の汎用コントローラが使えるので、従来システムと比較すると大幅なコストダウンとなる。また、コントローラ自体が小型化(従来比の1/7程度等)であることや、省配線により、制御盤が小型化できる。
(v)竣工後に、より性能の良い他社製コントローラがリリースされた場合、ハードウェア自体の移行も比較的容易である。
3E評価自体は、他社でも実施していることである。しかし、比較的に操作変数の最適解を探索できる山登り法が適用可能な一次独立結合された関数で簡潔化させ、コントローラの負荷低減と調整時の省力化を両立させた仕組みは現在のところ他にない。例えば、日立プラントの「OH Saver」というシステムでは、制御時にシミュレーションを行いながら操作変数の最適解を求めるというものであり、かなり大がかりなハードが必要であるし、シミュレーションを精度良くするためにはかなりのコストと手間がかかることが予想される。
各冷水ポンプ49,53,57、冷却水ポンプ31,35,40や冷却塔6のファン13等の軸動力の回転によるものは、一般的に消費電力は、前述したように回転数(負荷)の3乗に比例することが知られている。負荷が大きい時は、この3乗則が有効であるが、負荷が低い場合でもポンプ(ファン)動力をある値よりも低く出来ないレンジが存在する。そこで、負荷が大きいときには3乗則、負荷が小さいときには一定値をとるような近似式を作成する。このように、理論的な考え方を、現状の動きに合うように(負荷の大小による切替等)柔軟に対応できる数式を導入した。
通常の熱源システムの制御では、管理員により季節毎に手動で切替えることも多い。熱源運転切替マップによる運転パターン切替えの基本の考えはこの手動切替えにある。ただし、調整員による手動切替えだと、調整員自信のスキルによって省エネルギ性能が左右されることと、何より調整員に対して負担をかけることになる。そこで、この省エネルギ性能を充分に発揮させる判断を自動化させたものが、熱源運転切替マップによる熱源運転パターンZ1〜Z5の切替えである。外気温度でおおよその季節を判断し、冷房負荷を考慮して、一次エネルギ又は経済性、環境性を最小となるようにし、どの熱源を運転するかという、熟練調整員のノウハウを置き換えたものである。(1)と同様に、オープンネットワーク経由による調整が可能であるので手間もかからない。
通常は経験的に予め設定された制御周期を採用することが一般的と思われる。本システムでは、過渡応答の考えを導入し、外乱を抑制し、かつ追従性を損なわない制御周期を設定する仕組みを調整パラメータの一つとして組み込む。
通常はメーカの調整員による初期調整のみで、完了することが多いと考えられる。本システムでは学習機能を用意しているために、比較的容易に、最も現状に見合うような調整が可能である。技術的にはオープンネットワーク対応としたことにより、PCとの親和性が格段にアップしたこと、データ収集が容易になり多くのデータによる多角的な解析により高精度の調整が期待できる。
(i)自律分散制御に適したコントローラであるので、一部のコントローラがダウンしても、全体のシステムがダウンすることはない。例えば中央監視装置がダウンしても上位コントローラ72と下位コントローラ73,74,75が活きていれば、多少の障害はあるもののほぼ問題なく制御できる。同様に、上位コントローラ72がダウンした場合、あるいは下位コントローラ73,74,75の一部がダウンしても、ある程度の制御は行える。このように機能分散し、コントローラが自律的な制御が可能であるので、安全強度が高いシステムと言える。
(ii)何らかの障害が発生した場合、比較的切り分けがしやすい。また、そのような場合に、異常と思われるコントローラのみを切り離すことで、システム全体が停止する危険性が少ない。
(iii)一部の機能追加を行う場合、対象となるコントローラに対する限定的なソフトウェア更新で済む。
(iv)ハードウェアの寿命や故障が発生した場合のメンテナンスが容易である。
2 熱源(インバータターボ冷凍機)(第二の熱源)
3 熱源(フリークーリング用熱交換器)(第三の熱源)
6 冷却塔
13 ファン
16 空調機負荷
31 冷却水ポンプ
31a インバータ
35 冷却水ポンプ
35a インバータ
40 冷却水ポンプ
40a インバータ
49 冷水ポンプ
49a インバータ
53 冷水ポンプ
53a インバータ
57 冷水ポンプ
57a インバータ
72 上位コントローラ
73 下位コントローラ
74 下位コントローラ
75 下位コントローラ
81 最適値演算部(上位最適値演算部)
85 最適値演算部(下位最適値演算部)
89 最適値演算部(下位最適値演算部)
Claims (5)
- ガスをエネルギ源とする吸収式冷凍機である第一の熱源(1)、及び、電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)、及び、冷却塔(6)により熱交換可能な外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である第三の熱源(3)からなる3つ以上の熱源と、
前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)、
及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第一の熱源(1)と該第一の熱源(3)に付随する補機、及び第二の熱源(2)と該第二の熱源(2)に付随する補機、及び第三の熱源(3)と該第三の熱源(3)に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源(1)、及び第二の熱源(2)、及び第三の熱源(3)ごとの下位コントローラ(73)、(74)、(75)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO2排出とガスCO2排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)、(35)、(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。 - ガスをエネルギ源とする吸収式冷凍機である第一の熱源(1)、及び、電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)からなる2つ以上の熱源と、
前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第一の熱源(1)と前記第一の熱源に付随する補機、及び第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1、Lp2)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源、及び第二の熱源ごとの下位コントローラ(73)、(74)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、Tcso_sp2)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、又は電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 2 排出とガスCO 2 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)(35)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。 - 電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)、及び、冷却塔(13)により熱交換可能な外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である第三の熱源(3)からなる2つ以上の熱源と、
前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)、
及び、前記各冷却水ポンプ(35)(40)により第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び第三の熱源(3)と前記第三の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp2、Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第二の熱源、及び第三の熱源ごとの下位コントローラ(74)、75)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 2 排出とガスCO 2 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2、Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(35)(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の熱源システム最適運転制御装置において、
前記冷却塔(6)はインバータ(13a)を備えたファン(13)を有し、
前記下位コントローラには、前記所定の冷却水ポンプのインバータ出力を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である第一の熱源(1)又は第二の熱源(2)又は第三の熱源(3)や、各補機類の合計エネルギ消費量、又は電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 2 排出とガスCO 2 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合または冷却塔出口温度(Tcto_sp)をパラメータとして多変量解析を行って、外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合(Fct)又は冷却塔出口温度(Tcto_sp)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、
計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数である前記冷却水ポンプのインバータ出力の最適値を出力する下位最適値演算部を備えたことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。 - 高効率運転制御関数をE=aE×Lp+bE×Twb+cE×Vct+dE×ΔTct+eE×Fct+fE×Tcs+gE×ΔTcs+CE、
G=aG×Lp+bG×Twb+cG×Vct+dG×ΔTct+eG×Fct+fG×Tcs+gG×ΔTcs+CG
(ここで、aE、bE、cE、dE、eE、fE、gE、CE、aG、bG、cG、dG、eG、fG、gG、CGは、制御パラメータ係数であり、Lpは熱源の負荷率、Twbは外気湿球温度、Vctは冷却水流量、ΔTctは冷却水入口温度、Fctは冷却塔ファン割合、Tcsは冷水出口温度、ΔTcsは冷水出入口温度差を示し、これら式の項のうち、受けた請求項に無い項にはついては、その項に対する制御パラメータ係数は0を代入する。)
として最適値演算部に保存し、計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導く請求項1乃至請求項4の何れかに記載の熱源システム最適運転制御装置。
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