JP4630702B2 - 熱源システム最適運転制御装置 - Google Patents

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本発明は熱源システム最適運転制御装置に関する。
空調設備においては、二次側冷房負荷(空調機等で処理した冷房負荷)に応じて、ガス吸収式冷温水機、インバータターボ冷凍機、フリークーリング用熱交換器等の熱源を、冷凍機能力や効率等を考慮して順次切換え使用する場合がある。
而して、斯かる空調設備では、夏期の暑い時期では、冷房用の熱源は冷却能力を100%近くで運転するので、ファンやポンプ等の補機類の制御も略定格運転(フル運転)の状態になるため、選択肢が限られてしまい、何れの制御方式を用いても結果にあまり相違が生じない。
ところが、春季や秋季のような中間期のようにそれほど暑くない時期では、熱源システムの冷房負荷は60%以下となる場合があり、どの熱源をどの程度の出力で運転を行なうかは重要であり、又、夫々の熱源の補機類に変流量制御装置(インバータ)が導入されていれば、冷却水や冷水の流量を小さくすることで、省エネルギ効果を得られる。この場合に、どの熱源を使用するのか、どのくらいの出力をさせるのか、各補機をどのくらいのインバータ出力とするのかは、多種多用な選択肢が存在するため、その運転の仕方によっては、生成する熱量が同じでも、使用する電力量やガス量が大きく異なることが考えられ、エネルギ的に無駄な運転となる場合もある。
而して、エネルギ的に望ましい状態で空調設備が運転できる空調設備の制御方法及びこのように制御される空調設備としては、特許文献1がある。而して、特許文献1においては、消費エネルギを第一の評価軸として空調設備各機器の最適化運転をするに当り、部分負荷の各機器特性を重ね合わせて総合的な最適運転点を見つけるため、空調設備運転シミュレータ(計算アルゴリズム)を使い、数式化された各機器パラメータ毎の消費エネルギにつき、各センサから取得されたリアルタイム運転データを逐一代入計算してその最適点を求めそれに基き制御するようにしている。
又、特許文献1は、空調機の送風温度、冷温熱源の冷温熱媒温度、冷却塔の冷却水温度という3種類の夫々複数個の条件の組合せと、このときの消費エネルギ量が示されるデーータテーブルを予め作成しておき、このデータテーブルにアクセスすることにより各設定値を変更するようにもしている。
特開2004−53127号公報
しかしながら、特許文献1においては、予め各機器の負荷特性を実測してその結果をプロットし数式化した関係式を空調設備運転シミュレータというコンピュータの記憶媒体に保存し、空調設備運転データとして各計測値をリアルタイムで入力し、各温度や流量の設定値を最適化する計算を逐一行なうようにしており、空調機の送風温度、冷温熱源の冷媒温度、冷却塔の冷却水温度に加えて、空調機の送風流量、冷温熱源の冷媒温度、冷却塔の冷却水温度、空調機の送風流量、冷温熱源の冷媒流量、冷却塔の冷却水量もパラメータではあるが、これらは何れも実際には、外的条件(外気、冷房負荷)に応じて変化するパラメータであり、これらをリアルタイムで計算するには、算出精度が向上する反面、制御手段に用いられるメモリの増大、処理速度の増加を招来し、非常に高価で処理の遅い制御装置となり、最適制御を良好に行なえない虞がある。又、熱源システム更新時等にもシミュレータを修正する必要がある。
本発明は、斯かる実情に鑑み、特許文献1が有する問題点を解決して、簡単な手段で簡易且つ正確にしかも効率的に空調機器類の制御を行なうことができる信頼性の高い熱源システム最適運転制御装置を提供することを目的としてなしたものである。
先ず、本発明に至った経緯について説明する。すなわち、熱源が部分負荷の場合に、各機器特性を重ね合わせて総合的な最適運転点を見つけ、熱源最適運転制御を行なう空調設備各機器の最適化運転をすることにより、トータルの消費一次エネルギが最小となる運転が可能である。ここで、最適化とは、図13に示すように、入力101と出力102が明確に定義されているシステムにおいては、ある拘束条件103の基で評価関数104を最小(或は最大)にするよう出力102を決定することである。
ところで、複雑な制御系では、上記入力101と出力102との関係は、非線形となり、解析的に最適解を求めるのは困難である。このような非線形制御系において、最適解の探索は次のようにして行なう。すなわち、例えば、ある拘束条件103における評価関数が一意に定義できた場合、ある拘束条件のパラメータにおける評価関数で、制御変数をその定義域の最小値から適当な移動幅で増加させて行き、ある制御変数に対する値Yを記憶し、これを定義域の最大値まで、繰返し、この結果からある拘束条件における制御変数の最適解X(Yが最小値となるX)を求めることができる。而して、パラメータを想定された範囲で変化させ、夫々のパラメータにおける最小値である値Yが想定される拘束条件における最小値であるので、このときのパラメータが最終的に求める最適解Xとなる。
例えば熱源システムの制御目標は、室内環境(例えば室温25℃)を快適に維持するための冷熱量を生成することにある。冷熱量Qは、一般に冷水流量と冷水往還温度差ΔTに比例する。熱源システムは最大負荷に対して設計されるので、最大負荷あるいは最大負荷に近い状況(夏期)では、熱源に要求する冷熱量Qは最大値となるので、冷水流量Vは最大値、冷水往還温度差ΔTを最大(通常5℃)となるように冷水往温度設定値は最小値(通常7℃程度)で運転する。つまり、各制御パラメータは最大値或は最小値として運転するしかなく、制御パラメータの組合せ等を考慮する必要がない。
ところが、部分負荷運転時(中間期や冬期)では、室内温度25℃を維持するために熱源に要求される冷熱量Qは最大負荷時に比べて小さく(例えば50%)、要求される冷熱量Qを生成するための流量あるいは冷水往還温度差ΔTの組合せは多数存在する(例えば流量50%、ΔT=5℃等)。又、同じ冷熱量Qであったとしても、制御パラメータの組合せの違いによって、各制御部(冷凍機本体や冷水ポンプ、冷却塔ファン等)で消費する総消費一次エネルギは大きく異なる。つまり、熱源システムに求められる最適解とは、部分負荷運転時において、室内環境を快適に維持するために要求される冷熱量を熱源が生成しつつ、且つ最も消費エネルギが最小となる制御パラメータの組合せで運転することと定義できる。
そこで、このような場合には、図14に示す手法を採用するのが良い。すなわち、横軸に例えば冷水温度、冷却水温度等を制御変数として採り、又縦軸に例えば消費エネルギ、経済性等を出力として採った場合、ある条件においては、ある補機類の入力関数105,106から、これらを合成することにより出力関数107を得ることができ、入力関数106,108から出力関数109を得ることができる。
例えば、空調機−冷凍機−冷却塔で構成される空調熱源システムにおける一般的な冷水往温度とエネルギ消費量は、最大負荷時では、冷水往温度は最小値(通常7℃)となるが、部分負荷時においては、冷水往温度をある程度高く(例えば12℃)することができる。この場合、冷水往温度は7℃〜10℃のどの値を採用しても室内環境を維持できるということである。これをエネルギ面から検討すると、冷水往温度を7℃から徐々に上げていくと、冷凍機における蒸発器の冷媒温度は高くても支障がなくなり、冷媒ガスの圧縮エネルギが低下するので、冷凍機のエネルギ消費量も低下する。
同様に、冷凍機の凝縮器側の放熱量は圧縮エネルギ減少分だけ低下するので、冷却水ポンプ、冷却塔ファンのエネルギ消費量も減少する。一方、冷水往還温度差ΔTが小さくなった分、同じ熱量を搬送するために流量でカバーしようとするために、冷水ポンプや空調機ファンのエネルギ消費量は増大する。このときの総エネルギ消費量の評価関数は、図14に示す出力関数107,109であり、ある冷水温度で最小値となるので、この冷水温度が最適点Pとなり、この最適点Pが制御を行なう場合の設定値となる。一方、ある制御変数(設定値)を変更すると、ある動力は減少し、その他の動力は増加するトレードオフの関係があるために、最適解を求めることは重要であり、最適解で運転することで、室内温度環境を快適に維持しつつ、省エネルギを達成することができる。
次に、熱源システムにおいて本発明において補機類の制御を行なうための操作変数の最適解の求め方について説明する。
I.3E評価について
操作変数の最適解を評価する指標として、一次エネルギ(Energy)の他に、経済性(Economy)、環境性(Ecology)の3つが存在し、これらのどれかを指標として最適解を求める手法を各アルファベットの頭文字を取り、3E評価と称する。熱源システムの動力は一般に電力とガスであるので、この3E評価においては、熱源システムで消費されるトータルの電力消費量Eと、トータルのガス消費量Gを基に次のようにして算出される。
(1)一次エネルギ評価(省エネルギ性)
電力一次エネルギ換算係数e(1)とガス一次エネルギ換算係数g(1)とにより、エネルギ評価関数3E(Energy)は[数1]で定義される。
[数1]
3E(Energy)=e(1)×E+g(1)×G
(2)経済性評価(Economy)
電力料金単価係数e(2)とガス料金単価係数g(2)とにより、経済性評価関数3E(Economy)は[数2]で定義される。
[数2]
3E(Economy)=e(2)×E+g(2)×G
(3)環境性評価(Ecology)
電力のCO排出換算係数e(3)とガスのCO排出換算係数g(3)とにより、環境評価関数3E(Ecology)は[数3]で定義される。
[数3]
3E(Ecology)=e(3)×E+g(3)×G
次に、高効率運転制御関数の求め方を一般的に説明する。
熱源システムにおいて、各機器の動力である電力消費量Eとガス消費量Gが求まれば、3E評価における夫々の換算係数を乗じることで、各評価関数f1(x)〜f3(x)を定義できる。この評価関数f1(x)〜f3(x)をどのように求めるかが最大の課題であり、独自の方式で求めているので、これを高効率運転制御関数と定義する。この高効率運転制御関数の求め方の詳細は、後述の機器動力の求め方の説明において記述しているので、以下にそのポイントのみを示す。
(I)入力パラメータの選定
高効率運転制御関数の入力パラメータとしては、取得可能な計測値(例えば、外気温度、冷水、冷却水の流量等)や、制御に利用可能なインバータ出力(例えば、冷水ポンプ、冷却水ポンプ、冷却塔のファン等のインバータ出力)のみで作成する。この入力パラメータは、機器の組合せや、熱源運転方法にとって、最適な入力パラメータを選定する。なお、入力パラメータには、実際の制御時には2種類存在する。計測値(外気温度等)は一つに決まる。一方、制御対象となる設定値(冷水出口温度設定値等)については、実用上の意味のある範囲内の複数の値が許容されるために、最適値を探索し求めた値を設定値とする。このように最適値探索により求まる入力パラメータを操作変数と定義する。その他に、計測値や操作変数によって一つに決定される計算値が存在することもある。
(II)ガス消費量Gの算出
ガス消費量Gが発生する機器は、主としてガス吸収式冷凍機である。冷凍機メーカから提供されるカタログ値あるいは仕様書の値を読み取り、負荷率と冷却水入口温度から、ガス消費量を求める近似式を作成する。
(III)電力消費量(動力)Eの算出
電力消費量Eが発生する機器は、電動駆動の冷凍機(インバータターボ冷凍機等)本体、ポンプ、冷却塔ファンである。冷凍機の動力は成績係数COP(=機器出力エネルギ/機器入力エネルギ)が求まれば、出力エネルギ(生成熱量)は既知であるので入力エネルギである電力が求まる。このCOPを求めるには、冷凍機メーカから提供されるカタログ値あるいは仕様書の値を読み取り、適当な近似式を作成する。成績係数COPの算出にあたって、冷却水入口温度がパラメータとなる。この冷却水入口温度は、冷凍機等における熱源の凝縮器に対する入口の温度で、冷却水が冷却塔で冷却されて送出される際の冷却塔出口温度である。冷却塔出口温度は、冷却塔固有の数値と、外気湿球温度、冷却塔ファン送風量(冷却塔ファンインバータ出力)、冷却水量(冷却水ポンプインバータ出力)より解析的に求めることができるので、近似式を作成することができる。
ポンプやファン等の軸動力の回転によるものについていえば、一般的に消費電力は、回転数(負荷)の3乗に比例することが知られている。負荷が大きいとき、つまり、流量が定格流量のある割合以上のときは、この3乗則が有効であるが、負荷が低い場合、つまり、流量が少ない場合でもポンプ(ファン)動力をある値よりも低くできないレンジが存在する。そこで、負荷が大きいときには3乗則或は2乗則、負荷が小さいときには一定値をとるような近似式を作成する。
(IV)入力と出力の関係表
上述の(I)〜(III)により、入力パラメータが決まれば、電力消費量Eとガス消費量Gが一意に決まる。仮に電力消費量Eは3つの機器(a,b,c)で決定され、aはi,j,kの関数、bはj,kの関数、cはkの関数として定義されるとする。更に、iは5,6,7(3通り)、jは90,100(2通り)、kは26,27,28,29(4通り)の値をとるとすると、電力消費量Eは[数4]で決定される。
[数4]
E=a(i,j,k)+b(j,k)+c(k)
ある入力パラメータに対する機器の出力(電力消費量)Eを調べるために、全ての組合せに対する値を一覧表形式で作成することは可能である。組合せの数は、図15の図表に示すように、順列組合せの計算により、24通り(3×2×4=24)である。もし、この程度の組合せ数によって電力消費量Eを定義できるのであれば、この入力と出力の関係表をコントローラ内に用意し、実際の制御時に入力パラメータを代入することで電力消費量Eを求めることができる。しかし、実際の熱源制御におけるこの組合せ数は膨大であり(100万通り以上)、コントローラのCPUやメモリ容量に対する負荷が大きくなり、コントローラの性能を低下させる要因にもなり得る。
(V)多変量解析
そこで、多変量解析を導入することで、[数4]は各入力パラメータに係数がかかった一次独立した数式[数5]で代用できる。多変量解析は、一般的な手法であるので詳細は割愛する。実際には、表計算ソフトとして一般的なExcel(登録商標・・・以下においても同様である。)を用いて処理しているが、多変量解析を行うための関数(LINEST関数)が予め用意されているので、一覧表を作成できれば比較的簡単に[数5]を得ることができ、これを電力消費量Eの高効率運転制御関数とする。I,J,Kは各入力パラメータの係数、Lは定数である。
[数5]
E=I×i+J×j+K×k+L
同様に、ガス消費量Gの高効率運転制御関数を得ることができる。
(VI)最適値の算出
電力消費量Eの高効率運転制御関数が[数5]により求まったとする。次に、簡単のためにガス消費量Gは零とし、経済性による3E評価を行う場合で説明する。ちなみに、[数1]〜[数3]でガス消費量Gの項がないと、電力消費量Eの項だけとなり、単に換算係数が異なるだけであるので、操作変数の最適値は、3Eのどの評価方法を使ったとしても同じ結果となることを補足する。
ここで、[数5]を[数2]に代入すると、[数6]が求まる。
[数6]
3E(Ecology)=e2×(I×i+J×j+K×k+L)
iは計測値でi=5とする。jとkが操作変数とし、j=20,30,40,50,60,70,80,90,100で、k=25,26,27,28,29,30が許容される範囲とする。JとKの最適値は図14に示す手法により求める。
[1] k=25、j=20を[数5]に代入しそのときの3E(Ecology)をとりあえず最適値3Eminとし、kmin=25,jmin=20とする。
[2] k=25のままで、j=30とし、例えば、環境性評価関数3E(Ecolgy)を求める。先ほどの3Eminよりも小さければこれを新たな最適解3Eminとし、kmin=25,jmin=30とする。大きければ最適解の更新をしない。
[3] k=25のままで、jを40,50・・・・100と変えて行き、[3]と同様にEminよりも小さい値があれば新たな最適解3Eminとし、kmin,jminとともに更新する。
[4] k=26とし、j=20に戻して[3]と同様の処理をする。
[5] k=26の処理が完了したら、k=27,28・・・30と処理し、[3]と同様の処理をする。
[6] j,kの全ての組合せ(54通り)についての処理が完了した時点のkminminの値が最適解である。
(VII)まとめ
最適解を求める手順をまとめると以下の通りである。
[1] 制御対象とする熱源システムにおける入力パラメータを選定する。
[2] 入力パラメータにより、近似式等を使って全体の電力消費量を定義する関数[数4]を作成する。なお、電力消費量Eの具体的な求め方は後述する。
[3] 入力パラメータが取り得る全ての値(例えば、外気湿球温度を26℃、27℃、28℃、29℃とする等)についての関係図表(図15参照)を作成する。
[4] 多変量解析により電力消費量Eの高効率運転制御関数[数5]を得る。
[5] 指定の3E評価関数と、高効率運転制御関数に、入力パラメータ(計測値と操作変数)を代入する。計測値は一意に決定する。操作変数は、想定される値を次々に代入していき、最適値を探索し、最終的に得られた最適値を決定する操作変数の値を最適解とする。
II.熱源システムにおける電力消費量E及びガス消費量Gの算出の具体例、高効率運転制御関数の求め方の具体例
先ず、上述の熱源システムで消費される電力消費量Eと、ガス消費量Gの求め方を説明する。
熱源システム全体で消費される電力消費量Eとしては、熱源の動力、ファンやポンプ類の動力の総和であって[数7]で表され、熱源システム全体で消費されるガス消費量Gはガスを消費する機器(ガス吸収式冷凍機)のガス消費量の総和であって[数8]で表される。
Figure 0004630702
Figure 0004630702
電力消費量Eとガス消費量Gを求める際には、図16に示すような演算手段が使用される。図中、111は冷却塔6の回りの機器に対する動力演算部、112は後述の熱源2(インバータターボ冷凍機)に用いられる機器の動力演算部、113は後述の熱源1(ガス吸収式冷凍機)に用いられる機器の動力及びガス消費量演算部である。
動力演算部111には、後述の冷却塔6のファン13のうち駆動されている台数と全ファンの比率が冷却塔ファン割合Fct(%)、冷却塔6から送出される冷却水量の最大値に対する冷却水流量割合Vcd(%)、外気湿球温度Twb(℃)、冷却塔6へ戻る冷却水の温度と冷却塔6から送出される冷却水の温度差である冷却水温度差ΔTcd(℃)が入力条件として設定されている。
動力演算部112には、熱源2から後述の空調機負荷16へ送給される冷水の熱源2における出口温度である冷水出口温度Tcs(℃)、熱源2の最大出力可能な負荷に対する実際に運転されている際の負荷である負荷率Lp(%)、熱源2から空調機負荷16へ送給される冷水の熱源2における出口温度と空調機負荷16から戻ってきて熱源2へ導入される冷水の熱源2における入口温度との差である冷水温度差ΔTcs(℃)が入力条件として設定されている。
動力及びガス消費量演算部113には、熱源1から後述の空調機負荷16へ送給される冷水の熱源1における出口温度である冷水出口温度Tcs(℃)、熱源1の最大出力可能な負荷に対する実際に運転されている際の負荷である負荷率Lp(%)が入力条件として設定されている。
而して、動力演算部111は、冷却塔ファン動力演算部114、冷却水ポンプ動力演算部115、冷却水出口温度演算部116を備えており、動力演算部112は、成績係数演算部117、処理熱量演算部118、冷水流量割合演算部119、冷水ポンプ動力演算部120、ターボ冷凍機動力演算部121を備えており、動力及びガス消費量演算部113は、処理熱量演算部122、冷水流量割合演算部123、冷水ポンプ動力演算部124、ガス消費量演算部125を備えている。
冷却塔ファン動力演算部114、冷却水ポンプ動力演算部115、冷水ポンプ動力演算部120、冷水ポンプ動力演算部124には、図17に示すような回転数割合Rtと動力との関係を表すグラフが設定されている。すなわち、ポンプ、ファン等の回転数割合Rtと動力Dの関係は理論式として[数9]で与えられる。この[数9]により動力(電力消費量)を算出すると、春、秋の中間期のような部分負荷時の場合に実際に冷熱を搬送するのに必要な電力消費量より少なく見積もってしまい、エネルギ評価関数3E(Energy)、環境性評価関数3E(Ecology)、経済性評価関数3E(Economy)を計算する場合に誤差となる。
[数9]
D=aR
しかし、本発明においては、[数10]により動力Dを決定している。このようにすることにより、熱源1,2が部分負荷の場合であっても、制限限界を考慮した実際の回転数制御を想定して算出でき、冷水や冷却水の流量制御において実際の電力消費量に近い値が得られる。
[数10]
D=ARt+B
[数10]において、Rt<低負荷上限のとき(低負荷)はD=Boとなり、低負荷上限≦中負荷上限Rtcのとき(中負荷)はD=A1×Rt2〜3+B1となり、中負荷上限≦Rtのとき(高負荷)は、D=A2×Rt+B2となる。但し、A1、A2、Bo、B1、B2はポンプやファンの機器特性、現場の配管抵抗や実揚程等によって決まる定数である。
冷却水出口温度演算部116には、図18に示すような外気湿球温度Twbと冷却塔6における冷却水出口温度Tcdとの関係を、ある冷却流量割合Vcdと冷却塔ファン割合Fctの際において示すグラフが、温度差レンジΔTcd1、ΔTcd2、ΔTcd3ごとに設定されている。而して、冷却水出口温度演算部116においては、図18を基に高次多項式で数式化して[数11]が得られるようになっている。なお、以下の説明において冷却塔ファン割合Fctは冷却塔ファンインバータ出力Fctと同義である。
[数11]
Tcd=F1(Twb、ΔTcd1、Vcd、Fct、Pcd)
[数11]において、Pcdは高次多項式のパラメータである。
成績係数演算部117には、図19に示すような負荷率Lpと成績係数COPとの関係を示すグラフが、冷水温度Tcs1の場合における冷却水温度Tcd1、Tcd2、Tcd3ごとに設定されている。而して、成績係数演算部117においては、図19を基に高次多項式で数式化して[数12]が得られるようになっている。
[数12]
COP=F2(Lp2、Tcd、Tcs、Pcop)
[数12]において、Pcopは高次多項式のパラメータである。又、処理熱量演算部118では、負荷率Lpを基に処理熱量が求められるようになっている。従って、ターボ冷凍機動力演算部121では、熱源2であるターボ冷凍機動力Dturbは[数14]で求められるようになっている。
但し、COPは、[数13]のように表されるため、ターボ冷凍機動力Dturbは[数14]のように示される。
[数13]
COP=機器の出力エネルギ/機器への投入エネルギ
[数14]
Dturb=ターボ冷凍機の処理した冷熱量/COP
ガス消費量演算部125には、図20に示すような熱源1であるガス吸収式冷凍機の負荷率Lpとガス消費量gの関係を示すグラフが、冷水温度Tcs1の場合における冷却水温度Tcd1、Tcd2、Tcd3ごとに設定されている。而して、ガス消費量演算部125では、図20を高次多項式で数式化して、[数15]によりガス消費量gが求められるようになっている。
[数15]
g=F3(Lp1、Tcd、Tcs、Pg)
[数15]において、Pgは高次多項式のパラメータである。
なお、図17〜図20のグラフは、各メーカの仕様書、実測値、文献等のデータを基に作成する。
電力消費量E及びガス消費量Gを求める際には、先ず、各機器の電力やガス消費量が求められる。すなわち、動力演算部111の冷却塔ファン動力演算部114では、冷却塔ファン割合Fctを基に求めた回転数割合Rtから[数10]により後述の冷却塔6におけるファン13の冷却塔ファン動力Dct(kW)が求められ、冷却水ポンプ動力演算部115では、冷却水流量割合Vcdを基に求めた回転数割合Rtから[数10]により、後述の冷却水ポンプ31,35,40の冷却水ポンプ動力Dcd(kW)が求められる。又、冷却水出口温度演算部116では、冷却塔ファン割合Fct、冷却水流量割合Vcd、外気湿球温度Twb、冷却水温度差ΔTcdを基に、[数11]により冷却水出口温度Tcd(℃)が求められ、求められた冷却水出口温度Tcdは、動力演算部112の成績係数演算部117及びガス消費量演算部113のガス消費量演算部125へ与えられる。
動力演算部112の成績係数演算部117では、負荷率Lp、冷水出口温度Tcs、冷却水出口温度Tcdを基に[数12]により成績係数COPが求められ、求められた成績係数COPはターボ冷凍機動力演算部121へ与えられる。又、処理熱量演算部118では、熱源2の負荷率Lpを基に熱源2における処理熱量(冷熱量)Q(kW)が求められ、求められた処理熱量Qは、冷水流量割合演算部119及びターボ冷凍機動力演算部121へ与えられる。
冷水流量割合演算部119では、冷水温度差ΔTcsと処理熱量Qから冷水流量割合Vcs(%)が求められ、求められた冷水流量割合Vcsは冷水ポンプ動力演算部120へ与えられる。而して、冷水ポンプ動力演算部120では、冷水流量割合Vcsを基に求めた回転数割合Rtから[数10]により、後述の冷水ポンプ53の冷水ポンプ動力Dcs(kW)が求められる。又、動力演算部112のターボ冷凍機動力演算部121では、成績係数COP及び処理熱量Qを基に、[数14]によりターボ冷凍機動力Dturb(kW)が求められる。
ガス消費量演算部113の処理熱量演算部122では、熱源1であるガス吸収式冷凍機の負荷率Lpから処理熱量(冷熱量)Qが求められ、求められた処理熱量Qは冷水流量割合演算部123へ与えられ、冷水流量割合演算部123では、処理熱量Q及び冷水出口温度Tcsから冷水流量割合Vcsが求められ、冷水ポンプ動力演算部124へ与えられる。又、冷水ポンプ動力演算部124では、冷水流量割合Vcsから冷水ポンプ49の回転数割合Rtが求められ、[数10]により冷水ポンプ動力Dcs(kW)が求められる。又、ガス消費量演算部125では、冷水出口温度Tcs及び冷却水出口温度Tcdを基に、[数15]により熱源1である吸収式ガス冷凍機のガス消費量g(Nm)が求められる。
而して、上述のようにして求めた各機器の動力の合計は[数4]により合計されて電力消費量Eが求められ、ガス消費量Gの合計は[数5]により合計されてガス消費量Gが求められる。本図示例の場合は、具体的には電力消費量Eは[数16]により求められ、ガス消費量Gは[数17]により求められる。なお、[数16]中の2つのDcsのうち、一つは熱源1の冷水ポンプ動力、他の一つは熱源2の冷水ポンプ動力である。
[数16]
E=Dct+Dcd+Dcs+Dturb+Dcs
[数17]
G=g
熱源1〜熱源3について、例えば、外気湿球温度Twb、負荷率Lp(熱源1の場合はLp1、熱源2の場合はLp2、熱源3の場合はLp3)、冷水流量割合Vcd等種々の物理量を変えると共に、入力パラメータである外気湿球温度Twbを12(℃)、14(℃)・・・と、又、負荷率Lp1,Lp2,Lp3を10(%)、20(%)・・・と、Vct1、Vct2、Vct3のように変えて、上記[数7]〜[数17]により各機器の動力やガス消費量を求めると共に、合計した電力消費量Eやガス消費量Gを基に[数1]〜[数3]により、エネルギ評価関数3E(energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)を求めるのは計算数量が多いため、実際の運転制御時に行なうのは大変である。
エネルギ評価関数3E(energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)である3E評価の最小値を求めるためには、与えられた外気条件である外気湿球温度Twb、冷房の負荷率Lpに対して、各熱源1,2,3の機器特性に係わる操作変数、例えば冷却水流量割合Vcd、冷却水温度差ΔTcd、冷却塔ファン割合Fct、冷水出口温度Tcs、冷水温度差ΔTcsに関する図21の図表に示す全ての組合せについて演算し、その中から3E評価の最小値なる操作変数の組を求める。これを制御信号として熱源機器回りの各補機に与えることで、熱源を高い効率で運転することができる。又、全ての組合せについて計算することで、操作変数の最小値の次に小さいセカンドベストの操作変数の組も求めることができる。又、上述の説明における信号名称に付される記号と、後述の具体的な制御における信号名称に付される記号と異なっている場合もある。
しかし、上述のように、エネルギ評価関数3E(energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)を演算するたびに多数の計算をするのは大変である。そこで、本発明では、高効率運転制御関数の考え方を導入した。すなわち、コンパクトなコントローラを使用する場合、プログラム用メモリには容量的に制限があるため、図15を基礎的な考え方として、熱源システムの種々の制御要素について図21に示すような図表を求め、この図表のデータを多変量変換して、[数18]、[数19]の一次結合式を取得し、これを高効率運転制御関数とする。この高効率運転制御関数により熱源1〜3に対応した各機器の電力消費量Eやガス消費量Gを求めるようにする。なお、図21の図表においては、記号1の欄において記号の末尾に付されている数値は、熱源の番号を示す。たとえば、末尾が1の場合は熱源1、末尾が2の場合は熱源2、末尾が3の場合は熱源3を示しているが、[数13]、[数14]においては、末尾の数値は省略してある。又、末尾に数値のない記号は熱源1〜熱源3において共通である。
[数18]
E=a×Lp+b×Twb+c×Vct+d×ΔTct+e×Fct+f×Tcs+g×ΔTcs+C
[数19]
G=a×Lp+b×Twb+c×Vct+d×ΔTct+e×Fct+f×Tcs+g×ΔTcs+C
[数16]、[数17]を用いることにより、メーカカタログ値を数式化した複雑な式の演算をすることなく、シンプルな高効率運転制御関数により電力消費量E及びガス消費量Gが求められる。この電力消費量E及びガス消費量Gにより[数1]、[数2]、[数3]により容易に3E評価値であるエネルギ評価関数3E(energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)を求めることができる。
ここで、a、b、c、d、e、f、g、C、a、b、c、d、e、f、g、Cは、制御パラメータであり、予め後述の上位コントローラ72、下位コントローラ73,74,75に与えられる。又これらの制御パラメータは制御対象となる制御機器により値は異なる。又、実際にシステムの運用後においては、エネルギ計測データ解析の結果、熱源1,2,3の性能状態に変化があった場合、すなわち、図21の図表に違いが生じたときに再び解析を行い、制御パラメータの再定義を行い、これを上位コントローラ72、下位コントローラ73,74,75に加えることにより、実システムに適した高効率運転制御関数へ調整することができる。なお、上述の説明における信号名称に付される記号と、後述の具体的な制御における信号名称に付される記号と異なっている場合もある。
請求項1の熱源システムにおいては、 ガスをエネルギ源とする吸収式冷凍機である第一の熱源(1)、及び、電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)、及び、冷却塔(6)により熱交換可能な外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である第三の熱源(3)からなる3つ以上の熱源と、
前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機であるインバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)、
及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)
を備えた前記第一の熱源(1)と該第一の熱源(3)に付随する補機、及び第二の熱源(2)と該第二の熱源(2)に付随する補機、及び第三の熱源(3)と該第三の熱源(3)に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源(1)、及び第二の熱源(2)、及び第三の熱源(3)ごとの下位コントローラ(73)、(74)、(75)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO2排出とガスCO2排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)、(35)、(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したものである。
請求項2の熱源システムにおいては
ガスをエネルギ源とする吸収式冷凍機である第一の熱源(1)、及び、電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)からなる2つ以上の熱源と
前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第一の熱源(1)と前記第一の熱源に付随する補機、及び第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1、Lp2)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源(1)、及び第二の熱源(2)ごとの下位コントローラ(73)、(74)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 排出とガスCO 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)(35)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことものである。
又、請求項3の熱源システム最適運転制御装置は、
電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)、及び、冷却塔(13)により熱交換可能な外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である第三の熱源(3)からなる2つ以上の熱源と、
前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)、
及び、前記各冷却水ポンプ(35)(40)により第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
を備えた前記第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び第三の熱源(3)と前記第三の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp2)、(Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第二の熱源、及び第三の熱源ごとの下位コントローラ(74)、(75)を備え、
前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 排出とガスCO 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2、Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(35)(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したものである
更に、請求項4の熱源システム最適制御運転装置は、
前記冷却塔(6)はインバータ(13a)を備えたファン(13)を有し、
前記下位コントローラには、前記所定の冷却水ポンプのインバータ出力を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である第一の熱源(1)又は第二の熱源(2)又は第三の熱源(3)や、各補機類の合計エネルギ消費量、又は電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 排出とガスCO 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合または冷却塔出口温度(Tcto_sp)をパラメータとして多変量解析を行って、外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合(Fct)又は冷却塔出口温度(Tcto_sp)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、
計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数である前記冷却水ポンプのインバータ出力の最適値を出力する下位最適値演算部を備えたことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。
請求項の熱源システム最適運転制御装は、
高効率運転制御関数をE=aE×Lp+bE×Twb+cE×Vct+dE×ΔTct+eE×Fct+fE×Tcs+gE×ΔTcs+CE、
G=aG×Lp+bG×Twb+cG×Vct+dG×ΔTct+eG×Fct+fG×Tcs+gG×ΔTcs+CG
(ここで、aE、bE、cE、dE、eE、fE、gE、CE、aG、bG、cG、dG、eG、fG、gG、CGは、制御パラメータ係数であり、Lpは熱源の負荷率、Twbは外気湿球温度、Vctは冷却水流量、ΔTctは冷却水入口温度、Fctは冷却塔ファン割合、Tcsは冷水出口温度、ΔTcsは冷水出入口温度差を示し、これら式の項のうち、受けた請求項に対応する制御パラメータ係数に0を代入する。)
として最適値演算部に保存し、計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導くものである。
本発明の請求項1〜に記載の熱源システム最適運転制御装置によれば、簡易且つ正確にしかも効率的に空調機器類の制御を行なうことができ、信頼性の高い熱源システム最適運転を行なうことができ、又、演算周期を求めることにより、第一の熱源〜第三の熱源の発停を適切に行なうことができて、第一の熱源〜第三の熱源の発停自体が外乱にならず、且つ各制御機器の寿命を延長することができ、しかも室内の温度環境を快適に維持することができる。
又、本発明では、学習機能を有するため、常時最適な操作変数により運転制御を行なうことができるため、各制御機器の寿命の更なる延長が可能となり、信頼性のより高い制御が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図12は本発明を実施する形態の一例である。
而して、熱源システムの一例としては図1に示すものがある。図1に示すように、熱源システムにおいては、ガスをエネルギ源とするガス吸収式冷凍機である熱源1、電力をエネルギ源とするインバータターボ冷凍機である熱源2、外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である熱源3を備えており、熱源1,2,3は並列配置されている。
熱源1,2の凝縮器1a,2a側には、凝縮器1a,2aにおいて冷熱を放出し昇温して送出された戻り冷却水を送給するための戻り冷却水管路4,5が接続され、戻り冷却水管路4,5は、戻り冷却水を冷却塔6へ送給するための戻り冷却水主管路7に接続されている。又、熱源3の冷却塔6側には、熱源3において冷熱を放出し昇温して送出された戻り冷却水を送給するための戻り冷却水管路8が接続され、戻り冷却水管路8は戻り冷却水主管路7に接続されている。
冷却塔6には冷却塔6で冷却された往き冷却水を送給するための往き冷却水主管路9が接続され、往き冷却水主管路9は、熱源1,2の凝縮器1a,2aへ往き冷却水を送給するための往き冷却水管路10,11及び熱源3へ往き冷却水を送給するための往き冷却水管路12に接続されている。冷却塔6はインバータ13aを備えた複数のファン13を備えている。
熱源1,2の蒸発器1b,2b側には、冷却された往き冷水を送給するための往き冷水管路14,15が接続され、往き冷水管路14,15は複数の空調機負荷16側へ往き冷水を送給するための往き冷水主管路18に接続されている。又、熱交換器3の空調機負荷16側には、熱交換器3において冷却されて送出された往き冷水を送給するための往き冷水管路17が接続され、往き冷水管路17は往き冷水主管路18に接続されている。
往き冷水主管路18はヘッダ19に接続され、ヘッダ19には、複数(図示例では3本)の往き冷水分岐管路20を介してヘッダ21が接続されており、ヘッダ21には、複数の往き冷水分岐管路22を介して複数の空調機負荷16の入口側が接続され、各空調機負荷16の出口側には還り冷水分岐管路23が接続され、還り冷水分岐管路23はヘッダ24に接続されている。
ヘッダ24には、各空調機負荷16で冷熱を放出し送出された還り冷水が送給される還り冷水主管路25が接続され、還り冷水主管路25は、熱源1,2の蒸発器1b,2bへ還り冷水を送給するための還り冷水管路26,27及び熱交換器3へ還り冷水を送給するための還り冷水管路28に接続されている。
熱源1に対する往き冷却水管路10には、冷却水流れ方向上流側から下流側へ向けて冷却水入口流量検出器29、冷却水入口温度検出器30、インバータ31aを備えた冷却水ポンプ31が設けられ、熱源1からの戻り冷却水管路4には、冷却水出口温度検出器32が設けられている。
熱源2に対する往き冷却水管路11には、冷却水流れ方向上流側から下流側へ向けて冷却水入口流量検出器33、冷却水入口温度検出器34、インバータ35aを備えた冷却水ポンプ35が設けられ、熱源2からの戻り冷却水管路5には、冷却水出口温度検出器36が設けられている。
熱源3に対する往き冷却水管路12には、冷却水流れ方向上流側から下流側へ向けて、開閉弁37、冷却水入口流量検出器38、冷却水入口温度検出器39、インバータ40aを備えた冷却水ポンプ40が設けられ、熱源3からの戻り冷却水管路8には、冷却水出口
温度検出器41が設けられている。
往き冷却水主管路9の往き冷却水管路12接続部よりも冷却水流れ方向上流側には、冷却水流れ方向上流側から下流側へ向けて、冷却塔6からの全量の冷却水流量を検出する往き冷却水流量検出器42、往き冷却水温度検出器43が設けられている。又、戻り冷却水主管路7の戻り冷却水管路8接続位置よりも冷却水流れ方向下流側には、戻り冷却水温度検出器44が接続されており、更には、往き冷却水主管路9の、冷却水温度検出器43接続位置下流側で且つ往き冷却水管路12接続位置上流側と、戻り冷却水主管路7の、戻り冷却水温度検出器44接続位置上流側で且つ、戻り冷却水管路8接続位置下流側とは、開閉弁45を備えたバイパス管路46により接続されている。
熱源1に対する還り冷水管路26には、冷水流れ方向上流側から下流側へ向けて、冷水入口流量検出器47、冷水入口温度検出器48、インバータ49aを備えた冷水ポンプ49が設けられ、熱源1からの往き冷水管路14には、冷水出口温度検出器50が設けられている。
熱源2に対する還り冷水管路27には、冷水流れ方向上流側から下流側へ向けて、冷水入口流量検出器51、冷水入口温度検出器52、インバータ53aを備えた冷水ポンプ53が設けられ、熱源2からの往き冷水管路15には、冷水出口温度検出器54が設けられている。
熱源3に対する還り冷水管路28には、冷水流れ方向上流側から下流側へ向けて、冷水入口流量検出器55、冷水入口温度検出器56、インバータ57aを備えた冷水ポンプ57が設けられ、熱源3からの往き冷水管路17には、冷水出口温度検出器58、開閉弁69が設けられている。
往き冷水主管路18には、往き冷水管路17接続位置よりも冷水流れ方向下流側に、往き冷水温度検出器59が設けられ、各往き冷水分岐管路20には、インバータ60aを備えた冷水二次ポンプ60が設けられ、還り冷水分岐管路23には空調機負荷16に近接して制御弁61が設けられている。
還り冷水主管路25には、還り冷水管路28接続位置よりも冷水流れ方向上流側に、冷水流れ方向上流側から下流側に向けて、還り冷水流量検出器62、還り冷水温度検出器63が設けられている。なお、図中、64はヘッダ21の圧力検出器、65は中途部に開閉弁66を備えてヘッダ19,21を接続するよう設けらた管路、67は中途部に開閉弁68を備えてヘッダ21,24を接続するよう設けられた管路である。
上記熱源システムに適用される制御システムの概要は図2に示されている。図中、71は熱源システム運転実績を収集することができるCPU等の中央監視装置、72は中央監視装置71からの制御指令により作動する上位コントローラ、73は上位コントローラ72からの制御指令により作動する熱源1用の下位コントローラ、74は上位コントローラ72からの制御指令により作動する熱源2用の下位コントローラ、75は上位コントローラ72からの制御指令により作動する熱源3用の下位コントローラ、76は下位コントローラ73からの制御指令により作動して熱源本体(ガス吸収式冷凍機本体)1’に制御指令を与える熱源本体コントローラ、77は下位コントローラ74からの制御指令により作動して熱源本体(インバータターボ冷凍機本体)2’に制御指令を与える熱源本体コントローラ、70は熱源システム運転実績を収集することができる調整ツールである。
上位コントローラ72、下位コントローラ73,74,75のハードウエアには、オープンネットワーク(LONWORKS(登録商標))対応の汎用コントローラでもクローズドコントローラでも適用することができる。
上位コントローラ72の詳細は図3に示されており、冷房負荷を演算する負荷率演算部78、外気湿球温度演算部79、熱源機器発停制御演算部80、最適値演算部81を備えている。而して、中央監視装置71からの熱源発停指令Cmd、往き冷水温度検出器59で検出した往き冷水温度Tcso、還り冷水温度検出器63で検出した冷水還温度Tcsi、還り冷水流量検出器62で検出した冷水流量割合Vcs、外気温湿度検出器82で検出した外気温度Toは、負荷率演算部78に与えられるようになっている。
又、外気温湿度検出器82で検出した外気温度Toは外気湿球温度演算部79及び熱源機器発停制御演算部80へ与え得るようになっていると共に、外気温湿度検出器82で検出した外気湿度Hoは外気湿球温度演算部79へ与え得るようになっており、中央監視装置71からの省エネ性、環境性、経済性の指定3E評価モードE3moは最適値演算部81へ与え得るようになっている。
負荷率演算部78では、熱源1〜熱源3の何れかが「運転」の場合には、先ず、[数20]により冷房負荷Qtotalを演算し得るようになっている。
[数20]
Qtotal=C1×Vo×(Tcsi−Tcso)×Vcs
ここで、C1(=水比重×水比熱×時間換算)は係数であり、Voは単位時間当たりの冷水設計流量である。
一般に、外気温度が増加すると、冷房負荷も増加する傾向があり、熱源システムでは、その冷房負荷に見合う冷熱量を生成することが熱源制御の主たる目的である。図11に示す熱源運転切替えマップは、この考えを図式的に示した図である。横軸に外気温度Toを、又、縦軸に冷房負荷Qtotalをとる。次に冷房負荷Qtotalを処理するために、熱源1〜熱源3のうちどの熱源を使うのが最も効率的かを検討する。この検討の際には、[数1]〜[数3]で示されるエネルギ評価関数3E(Energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)を用い、冷房負荷Qtotalによっては複数の熱源を運転させる。このようにして、対象熱源システムで想定される全ての冷房負荷に対する熱源運転パターン(組合せと優先順位)を決定する。
本図示例においては、外気温度Toの低温側から高温側及び冷房負荷Qtotalの低い側から高い側へ向けて、熱源3によるフリークーリングのみの熱源運転パターンZ1、同じく熱源3によるフリークーリングのみの熱源運転パターンZ2、熱源3によるフリークーリング優先で、熱源(インバータターボ冷凍機)2を後追い運転する熱源運転パターンZ3、熱源2(インバータターボ冷凍機)のみの熱源運転パターンZ4、熱源(ガス吸収式冷凍機)1のみの熱源運転パターンZ5がある。なお、図11に示す熱源運転切替えマップは、実際に熱源システムを運用する前に作成し、負荷率演算部78に組み込まれる。
実際の制御に先立ち図11に示す熱源運転切替えマップを作成するにあたっての検討時には、図11において横軸に外気温度をとっており、外気温湿度検出器82から外気温度Toを使う方法もあるが、通常、冷房負荷パターンはある程度、類型化(パターン化)されるので、例えば、夏期、冬期、中間期等季節によって3パターン程度に分ける。曜日による冷房負荷の違いが予想される場合には、さらに細かく分割する場合もある。この場合、季節が決まれば(或は他のコントローラから指示されれば)、この熱源運転切替えマップを参照することで、どの熱源をどの順番で使えばよいのか一意に決定できる。
而して、実際の制御運転の場合は、冷房負荷Qtotalは、還り冷水温度検出器63からの冷水還温度Tcsi、往き冷水温度検出器59からの往き冷水温度Tcso、還り冷水流量検出器62からの冷水流量割合Vcsを基に、上述したように[数20]により算出されるようになっている。この冷房負荷Qtotalと熱源運転切替えマップから求まる運転すべき熱源との条件より、どの熱源をどの程度の負荷率で運転すべきかは、[数1]〜[数3]に示すエネルギ評価関数3E(Energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)を用いて、後述のように最適な部分負荷率(負荷率)が算出されるようになっている。
又、負荷率演算部78では、冷房時の熱源運転パターンZ5の場合は、熱源1による冷房の負荷率Lp1は[数21]により求められ、熱源運転パターンZ4の場合は、熱源2による冷房の負荷率Lp2は[数22]により求められ、熱源運転パターンZ3の場合は、フリークーリング優先で熱源3が優先的に運転され、熱源2は後追い運転されるため、熱源2による冷房の負荷率Lp2は[数23]で求められ、熱源3による冷房の負荷率Lp3は、[数24]により求められる。更に、熱源運転パターンZ2、熱源運転パターンZ1の場合は熱源3による負荷率Lp3は[数25]、[数26]により求められる。ただし、Qgasoは、熱源1であるガス吸収式冷凍機の定格冷房能力、Qinvoは熱源2であるインバータターボ冷凍機の定格能力、Qfctoutは外気温度Toのときのフリークーリング冷房熱量の上限、Qfcoは熱源3である熱交換器3によりフリークーリングを行なう際の定格能力である。
[数21]
Lp1=(Qtotal/Qgaso)×100
[数22]
Lp2=(Qtotal/Qinvo)×100
[数23]
Lp2=(Qtotal−Qfctout)/Qinvo)×100
[数24]
Lp3=(Qfctout/Qfco)×100
[数25]
Lp3=(Qtotal/Qfco)×100
[数26]
Lp3=(Qtotal/Qfco)×100
而して、負荷率演算部78からは熱源機器発停制御演算部80へ、中央監視装置71からの熱源発停指令Cmdを基に各熱源1,2,3に対する熱源発停指令Cmd1,Cmd2,Cmd3を与え得るようになっていると共に、求めた負荷率Lp1,Lp2,Lp3を与え得るようになっている。
熱源機器発停制御演算部80では、負荷率演算部78からの熱源発停指令Cmdを基とする熱源発停指令Cmd1,Cmd2,Cmd3、及び冷却塔6(図1参照)の冷却塔ファン発停指令Cmdf、並びに負荷率Lp1,Lp2,Lp3を下位コントローラ73,74,75へ与え得るようになっている。而して、熱源発停指令Cmd1,Cmd2,Cmd3が出力される場合は、必ず、冷却塔ファン発停指令Cmdfも連動して出力されるようになっている。負荷率Lp1,Lp2,Lp3が零の場合は熱源発停指令Cmd1,Cmd2,Cmd3は出力されないようになっている。
更に、熱源機器発停制御演算部80からは、各熱源1,2,3の負荷率Lp1,Lp2,Lp3を最適値演算部81へ与え得るようになっている。
熱源機器発停制御演算部80には、図示してないが、制御周期演算部を備えており、熱源1,2,3の負荷率Lp1,Lp2,Lp3を切替える演算周期Tcaluculatを演算し得るようになっている。ここで、この演算を行う演算周期Tcaluculatをどのように決定するかが重要となる。演算周期Tcaluculatが小さいと、熱源1,2の発停を頻繁に行うことになり、発停自体が外乱になることや、各制御機器の寿命を縮めるおそれがある。逆に、演算周期Tcaluculatが大きいと、冷房負荷に追従できなくなり、室内の快適環境を維持できないことや、必要以上に熱量を生成するとエネルギが無駄になる虞がある。
そこで、演算周期Tcaluculatを適切に求めるために、過渡応答の考えを導入する。図12に過渡応答の一般的な経時変化を示す。過渡応答においては、安定した制御系に外乱が発生した場合、安定するまでの時間は、無駄時間Lと時定数Tにより定義できる。これらの値は、実験或は自動的に求まるものとする。そこで、演算周期Tcaluculatを[数27]で定義する。Lは予め定めた時間、C2は調整用のパラメータであり、通常は1より大とする。最終的には、演算周期Tcaluculatは30分程度を目安とする。
[数27]
Tcaluculat=L+C2×T
外気湿球温度演算部79では、外気温湿度検出器82からの乾球温度である外気温度Toと相対湿度である外気湿度Hoとから、外気湿球温度Twbが求められるようになっている。求め方としては空気線図から求めるか、公知の近似式により求める。求められた外気湿球温度Twbは下位コントローラ73,74へ与え得るようになっていると共に、最適値演算部81へ与え得るようになっている。
最適値演算部81では、中央監視装置71から与えられた指定3E評価モードE3mo、及び外気湿球温度演算部79から与えられた外気湿球湿度Twb、並びに熱源機器発停制御演算部80から与えられた、熱源1,2,3の負荷率Lp1,Lp2,Lp3を基に、前述の[数16]、[数17]により各被制御機器の最適値を演算し得るようになっている。
上位コントローラ72及び下位コントローラ73,74における3E評価の入力パラメータ一覧は図21に示す図表のようになる。図21中の太線で囲んだ「操作変数」が最適値演算部81によって求める最適解である。具体的な方法は、熱源システムにおける前述の最適解の求め方を説明したと同様とする。すなわち、最適値演算部81においては、冷水出口温度設定値Tcso_sp1,Tcso_sp2、フリークーリング温度設定値Tcso_sp3、冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp1,ΔTcs_sp2,ΔTcs_sp3、往き冷却水温度設定値Tcto_spが演算され、これらの値は、設定指令として下位コントローラ73,74,75に対し与えられるようになっている。
なお、図21中、「制御時の扱い」における「種類」の「計算値」の項は計算により一義的に決定され、「操作変数」のうち、「下位コントローラへ送信しない」は上位コントローラ72に保持され、「入力パラメータの詳細」のうちの「定義域」に記載されている数値(単位は図表の「単位」の欄参照)が対応する機器に対する実際の指令となる。
下位コントローラ73は熱源1を制御するためのコントローラで、詳細は図4に示されており、冷水ポンプ制御偏差演算部83、冷水ポンプ出力演算部84、最適値演算部85と、熱源1の熱源本体コントローラ制御部86を備えている。
冷水ポンプ制御偏差演算部83では、冷水入口温度検出器48からの冷水入口温度Tcsi1と、冷水出口温度検出器50からの冷水出口温度Tcso1と、上位コントローラ72からの冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp1を基に[数28]により、熱源1の冷水出入口温度差制御偏差Ecs1を演算し得るようになっている。
[数28]
Ecs1=(Tcsi1−Tcso1)−ΔTcs_sp1
冷水ポンプ出力演算部84では、冷水ポンプ制御偏差演算部83からの冷水出入口温度差制御偏差Ecs1が小さくなるよう、PID制御により冷水ポンプインバータ出力Fcs1を求め、上位コントローラ72からの熱源発停指令Cmd1と共に、冷水ポンプ49のインバータ49aへ与え得るようになっている。なお、PID制御用の制御パラメータ(比例帯や積分時間)は下位コントローラ73の不揮発メモリに格納され、運転調整時に初期調整を行い、その後のメンテナンス時等に微調整される。
最適値演算部85では、上位コントローラ72と同様の演算処理を行って冷却水ポンプインバータ出力Fcd1を求め、熱源発停指令Cmd1と共に、冷却水ポンプ31のインバータ39aへ与え得るようになっている。
すなわち、最適値演算部85には、上位コントローラ72からは、負荷率Lp1及び外気温度To並びに指定3E評価モードE3moが与えられると共に、冷却塔6のファン13のインバータ13aから冷却塔ファン割合Fctが与えられ、冷却水入口温度検出器30で検出した冷却水入口温度Tcti1が与えられる。而して、最適値演算部85では、冷却水ポンプインバータ出力Fct1が演算されて、熱源1の熱源発停指令Cmd1と共に、冷却水ポンプ31のインバータ31aに与えられるようになっている。
又、熱源本体コントローラ制御部86では、上位コントローラ72からの冷水出口温度設定値Tcso_sp1が熱源1の熱源発停指令Cmd1と共に、熱源本体コントローラ76へ与えられるようになっている。
下位コントローラ74は熱源2を制御するためのコントローラで、詳細は図5に示されており、冷水ポンプ制御偏差演算部87、冷水ポンプ出力演算部88、最適値演算部89、熱源2の熱源本体コントローラ制御部90を備えている。
冷水ポンプ制御偏差演算部87では、冷水入口温度検出器52からの冷水入口温度Tcsi2と、冷水出口温度検出器からの冷水出口温度Tcso2と、上位コントローラ72からの冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp2を基に[数29]により、冷水出入口温度差制御偏差Ecs2を演算し得るようになっている。
[数29]
Ecs2=(Tcsi2−Tcso2)−ΔTcs_sp2
冷水ポンプ出力演算部88では、冷水ポンプ制御偏差演算部87からの冷水出入口温度差制御偏差Ecs2が小さくなるよう、PID制御により冷水ポンプインバータ出力Fcs2を求め、上位コントローラ72からの熱源2の熱源発停指令Cmd2と共に、冷水ポンプ53のインバータ53aへ与え得るようになっている。なお、PID制御用の制御パラメータ(比例帯や積分時間)は下位コントローラ73の不揮発メモリに格納され、運転調整時に初期調整を行い、その後のメンテナンス時等に微調整される。
最適値演算部89では、上位コントローラ72と同様の演算処理を行って冷却水ポンプインバータ出力Fcd2を求め、熱源2の熱源発停指令Cmd2と共に、冷却水ポンプ35のインバータ35aへ与え得るようになっている。
すなわち、最適値演算部89には、上位コントローラ72からは、負荷率Lp2及び外気温度To並びに指定3E評価モードE3moが与えられると共に、冷却塔6のファン13のインバータ13aから冷却塔ファン割合Fctが与えられ、冷却水入口温度検出器34で検出した冷却水入口温度Tcti2が与えられる。而して、最適値演算部89では、冷却水ポンプインバータ出力Fct2が演算されて、熱源2の熱源発停指令Cmd2と共に、冷却水ポンプ35のインバータ35aに与えられるようになっている。
又、熱源本体コントローラ制御部90では、上位コントローラ72からの冷水出口温度設定値Tcso_sp2が熱源2の熱源発停指令Cmd2と共に、熱源本体コントローラ77へ与えられるようになっている。
下位コントローラ75は熱源3を制御するためのコントローラで、詳細は図6に示されており、冷水ポンプ制御偏差演算部91、冷却水ポンプ制御偏差演算部92、冷却塔ファン制御偏差演算部93、冷水ポンプ出力演算部94、冷却水ポンプ出力演算部95、冷却塔ファン出力演算部96を備えている。
冷水ポンプ制御偏差演算部91では、冷水入口温度検出器56からの冷水入口温度Tcsi3と、冷水出口温度検出器58からの冷水出口温度Tcso3と、上位コントローラ72からの冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp3を基に[数30]により、冷水出入口温度差制御偏差Ecs3を演算し得るようになっている。
[数30]
Ecs3=(Tcsi3−Tcso3)−ΔTcs_sp3
冷却水ポンプ制御偏差演算部92では、冷却水入口温度検出器39からの冷却水入口温度Tcdi3と上位コントローラ72からのフリークーリング温度設定値Tcsf_sp3とから[数31]により、冷水出入口温度差制御偏差Ecs3を演算し得るようになっている。
[数31]
Ect3=Tcdi3−Tcsf_sp3
冷却塔ファン制御偏差演算部93では、往き冷却水温度検出器43からの往き冷却水温度Tctoと上位コントローラ72からの往き冷却水温度設定値Tcto_spとから[数32]により、冷却塔出入口温度差制御偏差Ectを求め得るようになっている。
[数32]
Ect=Tcto−Tcto_sp
冷水ポンプ出力演算部94では、冷水ポンプ制御偏差演算部91で求めた冷水出入口温度差制御偏差Ecs3が小さくなるよう、PID演算制御により冷水ポンプインバータ出力Fcs3を求め、冷水ポンプ57のインバータ57aへ熱源発停指令Cmd3と共に冷水ポンプインバータ出力Fcs3を与え得るようになっている。
冷却水ポンプ出力演算部95では、冷却水ポンプ制御偏差演算部92からの冷水出入口温度差制御偏差Ecs3が小さくなるよう、PID演算制御により冷却水ポンプインバータ出力Fcd3を求め、冷水ポンプ57のインバータ57aへ熱源発停指令Cmd3と共に冷却水ポンプインバータ出力Fct3を与え得るようになっている。
冷却塔ファン出力演算部96では、冷却塔ファン制御偏差演算部93からの冷水出入口温度差制御偏差Ecsが小さくなるよう、PID制御により冷却塔ファンインバータ出力Fctを求め、冷却塔ファンインバータ出力Fctを熱源発停指令Cmd3と共に、冷却塔6のファン13のインバータ13aへ与え得るようになっている。
次に、上記した実施の形態の作動を説明する。
図1に示す熱源システムの運転は、後に詳述するように、外気温度Toを基に冷房負荷Qtotalを求め、冷房負荷Qtotalにより以下のような切換え運転が行なわれるが、先ず冷却水及び冷水の流れについて説明する。
例えば、12月から2月の冬期間のように外気温度Toが低くて、冷房負荷Qtotalも低い場合(図11の熱源運転パターンZ1、Z2の場合)には、ガス吸収式冷凍機である熱源1及びインバータターボ冷凍機である2は停止すると共に、熱交換器である熱源3において冷却塔6で冷却された往き冷却水により冷却した往き冷水を空調機負荷16へ送給してフリークーリングが行なわれる。
すなわち、フリークーリングを行なう際には、冷却水系統においては、開閉弁45は閉止され、開閉弁37,69は開いている。このため、冷却水系統では、冷却塔6で冷却された往き冷却水は、往き冷却水主管路9、往き冷却水管路12を経て熱交換器3へ送給される。冷却塔6においては、ファン13が駆動されて空気が戻り冷却水に吹付けられ、冷却水の一部が蒸発する際の蒸発潜熱により戻り冷却水は冷却される。
一方、冷水系統では、還り冷水主管路25から還り冷水管路28へ送給された還り冷水は、冷水ポンプ57により熱交換器3へ導入され、熱交換器である熱源3において、冷却塔6からの往き冷却水と熱交換して冷却される。
熱源3で冷水を冷却した冷却水は戻り冷却水として、戻り冷却水管路8、戻り冷却水主管路7を経て冷却塔6へ戻され、冷却されて再び往き冷却水として熱交換器3へ循環する。
熱源3で冷却された冷水は往き冷水として往き冷水管路17、往き冷水主管路18を経てヘッダ19へ送給され、ヘッダ19で分配されて各二次冷水ポンプ60から各往き冷水分岐管路20を経てヘッダ21へ導入され、ヘッダ21から往き冷水分岐管路22を経て空調機負荷16の冷却コイルへ送給される。
而して、往き冷水は、空調機負荷16において、空調機負荷16へ導入された外気を冷却して還り冷水分岐管路23へ送出され、還り冷水として還り冷水分岐管路23、ヘッダ24、還り冷水主管路25、還り冷水管路28を経て熱交換器3へ循環する。
春や秋のような中間期において、外気温度To及び冷房負荷Qtotalが所定の高さの場合(図11の熱源運転パターンZ4の場合)は熱交換器3は使用せず、インバータターボ冷凍機である熱源2が運転される。
すなわち、熱源2が運転される際には、開閉弁37,45は閉止され、開閉弁69は閉止している。このため、冷却水系統では、冷却塔6で冷却された冷却水は、往き冷却水主管路9、往き冷却水管路11を経て熱源2の凝縮器2aへ送給され、熱源2を循環する冷媒を冷却し、凝縮させる。冷媒の凝縮により、往き冷却水は昇温される。
一方、冷水系統では、還り冷水主管路25から還り冷水管路27へ送給された還り冷水は、冷水ポンプ53により熱源2の蒸発器2bへ送給され、蒸発器2bにおいて冷媒を蒸発させることにより冷却される。
熱源2の凝縮器2aで冷媒を凝縮させた冷却水は戻り冷却水として、戻り冷却水管路5、戻り冷却水主管路7を経て冷却塔6へ送給され、冷却されて再び往き冷却水として熱源2へ循環する。
熱源2で冷却された冷水は往き冷水として往き冷水管路15、往き冷水主管路18を経てヘッダ19へ送給され、ヘッダ19で分配されて各二次冷水ポンプ60から各往き冷水分岐管路20を経て空調機負荷16へ送給され、空調機負荷16へ導入された循環空気を冷却して還り冷水分岐管路23へ送出され、還り冷水分岐管路23、ヘッダ24、還り冷水主管路25、還り冷水管路27を経て熱源2へ循環する。
夏期の場合のように外気温度To及び冷房負荷Qtotalが高い場合(図11の熱源運転パターンZ5の場合)は熱源3は使用せず、ガス吸収式冷凍機である熱源1とインバータターボ冷凍機である熱源2が運転される。
すなわち、熱源1が運転される際には、開閉弁37,45は閉止され、開閉弁69は閉止している。このため、冷却水系統では、冷却塔6で冷却された冷却水は、往き冷却水主管路9、往き冷却水管路10を経て冷却水ポンプ31により熱源1の凝縮器1aへ送給され、熱源1を循環する冷媒を冷却し、凝縮させる。冷媒の凝縮により、往き冷却水は昇温される。
一方、冷水系統では、還り冷水主管路25から還り冷水管路26へ送給された還り冷水は、冷水ポンプ49により熱源2の蒸発器1bへ送給され、蒸発器1bにおいて冷媒を蒸発させることにより冷却される。
熱源1の凝縮器1aで冷媒を凝縮させた冷却水は戻り冷却水として、戻り冷却水管路4、戻り冷却水主管路7を経て冷却塔6へ送給され、冷却されて再び往き冷却水として熱源1へ循環する。
熱源1で冷却された冷水は往き冷水として往き冷水管路14、往き冷水主管路18を経てヘッダ19へ送給され、ヘッダ19で分配されて各二次冷水ポンプ60から各往き冷水分岐管路20を経て空調機負荷16へ送給され、空調機負荷16へ導入された循環空気を冷却して還り冷水分岐管路23へ送出され、還り冷水分岐管路23、ヘッダ24、還り冷水主管路25、還り冷水管路26を経て熱源1へ循環する。
又、外気温度To及び冷房負荷Qtotalによっては、フリークーリング優先でインバータターボ冷凍機である熱源2が後追い運転されることもある。この場合は、先ず上述したように熱源3が用いられ、所定の状態になった場合に熱源2が運転される。
熱源1,2,3の運転においては、空調機負荷16へ導入される往き冷水の流量は制御弁61により制御される。
熱源1,2,3の何れの運転の場合も、往き冷水温度検出器59により検出した冷水往温度Tcso、還り冷水温度検出器63より検出した冷水還温度Tcsi、還り冷水流量検出器62により検出した冷水流量割合Vcs、外気温湿度検出器82により検出した外気温度To、外気湿度Hoが上位コントローラ72へ与えられる。
又、冷水入口温度検出器48により検出した冷水入口温度Tcsi1、冷水出口温度検出器50により検出した冷水出口温度Tcso1、冷却塔6のファン13のインバータ13aで検出した冷却塔ファン割合Fct、冷却水入口温度検出器30で検出した冷却水入口温度Tcti1は熱源1の下位コントローラ73へ付与される。
更に、冷水入口温度検出器52で検出した冷水入口温度Tcsi2、冷水出口温度検出器54で検出した冷水出口温度Tcso2、冷却塔6のファン13のインバータ13aにより検出した冷却塔ファン割合Fct、冷却水入口温度検出器34で検出した冷却水入口温度Tcti2は、熱源2の下位コントローラ74へ付与される。
又更に、冷水入口温度検出器56で検出した冷水入口温度Tcsi3、冷水出口温度検出器58で検出した冷水出口温度Tcso3、冷却水入口温度検出器39で検出した冷却水入口温度Tcti3、往き冷却水温度検出器43で検出した往き冷却水温度Tctoは、熱源3の下位コントローラ75へ付与される。
以下に熱源制御システムの制御の仕方を詳述する。なお、信号の授受は図7〜図10に示してあり、以下の説明において、図7のNo.におけるIN01〜IN07、OT01〜OT17は、図3のIN01〜IN07、OT01〜OT17に対応し、図8のNo.におけるIN01〜IN10、OT01〜OT06は、図4のIN01〜IN10、OT01〜OT06に対応し、図9のNo.におけるIN01〜IN10、OT01〜OT06は、図5のIN01〜IN10、OT01〜OT06に対応し、図10のNo.におけるIN01〜IN09、OT01〜OT06は、図6のIN01〜IN10、OT01〜OT06に対応している。
上位コントローラ72の負荷率演算部78には、上位コントローラ72から熱源発停指令Cmd、往き冷水温度検出器59からの冷水往温度Tcso、還り冷水温度検出器63
からの冷水往温度Tcso、還り冷水温度検出器63からの冷水還温度Tcsi、還り冷水流量検出器62からの冷水流量割合Vcs、外気温湿度検出器82からの外気温度Toが与えられ、熱源1〜熱源3の何れかが運転の場合には、[数20]により冷房負荷Qtotalが演算されると共に、図11に示す切替えマップに従い、熱源運転パターンZ1〜Z5の何れのパターンになるかが判断され、更に、熱源運転パターンZ1〜Z5に対応して[数19]〜[数24]により負荷率Lp1〜Lp3の何れかが演算され、演算された負荷率Lp1〜Lp3は熱源機器発停制御演算部80へ与えられる。
熱源機器発停制御演算部80へは、負荷率Lp1〜Lp3以外に、熱源機器発停制御演算部80において熱源発停指令Cmdから定まる熱源1〜3の熱源発停指令Cmd1〜Cmd3、及び外気温湿度検出器82からの外気温度Toが与えられ、熱源機器発停制御演算部80からは、熱源1〜3の熱源発停指令Cmd1〜Cmd3、負荷率Lp1〜Lp3、冷却塔ファン発停指令Cmdfが下位コントローラ73〜75の何れかに与えられる。熱源発停指令Cmd1、負荷率Lp1は下位コントローラ73に与えられ、熱源2の熱源発停指令Cmd2、負荷率Lp2は下位コントローラ74に与えられ、熱源発停指令Cmd3、負荷率Lp3は下位コントローラ75に与えられ、冷却塔ファン発停指令Cmdfは下位コントローラ75に与えられる。
上位コントローラ72の外気湿球温度演算部79では、外気温湿度検出器82からの外気温度To及び外気湿度Hoを基に、空気線図或は近似式により外気湿球温度Twbが求められ、求められた外気湿球温度Twbは、下位コントローラ73,74,75に与えられる。
上位コントローラ72の最適値演算部81には、外気湿球温度演算部79から外気湿球温度Twbが与えられると共に、熱源機器発停制御演算部80からの[数21]〜[数26]で定まる負荷率Lp1〜Lp3のうちの何れか、熱源機器発停制御演算部80からの中央監視装置71からの指定3E評価モードE3moが与えられる。而して、熱源機器発停制御演算部80では、予め[数18]により電力消費量Eが、又、[数19]によりガス消費量Gが演算されると共に、[数1]〜[数3]により求められたエネルギ評価関数3E(Energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)の何れかが選択され、且つ、例えば図21の図表を基に熱源1,2の冷水出口温度設定値Tcso_sp1、Tcso_sp2が求められ、熱源3のフリークーリング温度設定値Tcso_sp3が求められ、冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp1、ΔTcs_sp2、ΔTcs_sp3が求められ、往き冷却水温度設定値Tcto_spが求められ、求められたこれらの設定値は、対応する下位コントローラ73,74,75の何れかに与えられる。
上位コントローラ72からの熱源1の熱源発停指令Cmd1が下位コントローラ73に与えられた場合は、熱源1が運転される。すなわち、下位コントローラ73の冷水ポンプ制御偏差演算部83では、冷水入口温度検出器48で検出した冷水入口温度Tcsi1、冷水出口温度検出器50で検出した冷水出口温度Tcso1、上位コントローラ72からの冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp1を基に、[数28]により熱源1の冷水出入口温度差制御偏差Ecs1が演算されて冷水ポンプ出力演算部84へ与えられる。
冷水ポンプ出力演算部84では、冷水出入口温度差制御偏差Ecs1が零となるようPID演算制御により冷水ポンプインバータ出力Fcs1が求められ、求められた冷水ポンプインバータ出力Fcs1は上位コントローラ72からの熱源発停指令Cmd1と共に、冷水ポンプ49のインバータ49aに与えられ、冷水ポンプ49は起動されると共に所定の回転数となるよう制御される。
下位コントローラ73の最適値演算部85では、上位コントローラ72からの負荷率Lp1、外気湿球温度Twb、指定3E評価モードE3mo、冷却塔6のファン13のインバータ13aからの冷却塔ファン割合Fct、冷却水入口温度検出器30からの冷却水入口温度Tcti1、冷水ポンプ出力演算部84からの冷水ポンプインバータ出力Fcs1を基に、上位コントローラ72におけると同様にして、予め[数18]により電力消費量Eが、又、[数19]によりガス消費量Gが演算されると共に、[数1]〜[数3]により求められたエネルギ評価関数3E(Energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)の何れかが選択され、且つ、例えば図21の図表を基に熱源1の冷却水ポンプインバータ出力Fct1が求められ、冷却水ポンプ発停指令Cmdp1と共に、冷却水ポンプ31のインバータ31aに与えられ、冷却水ポンプ31は起動されると共に所定の回転数となるよう制御される。
下位コントローラ74の熱源本体コントローラ制御部86からは、上位コントローラ72からの熱源1の熱源発停指令Cmd1及び冷水出口温度設定値Tcso_sp1が熱源本体コントローラ76に与えられ、熱源1の本体が所定状態に制御される。
上位コントローラ72からの熱源2の熱源発停指令Cmd2が下位コントローラ74に与えられた場合は、熱源2が運転される。すなわち、下位コントローラ74の冷水ポンプ制御偏差演算部87では、冷水入口温度検出器52で検出した冷水入口温度Tcsi2、冷水出口温度検出器54で検出した冷水出口温度Tcso2、上位コントローラ72からの冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp2を基に、[数29]により熱源1の冷水出入口温度差制御偏差Ecs2が演算されて冷水ポンプ出力演算部88へ与えられる。
冷水ポンプ出力演算部88では、冷水出入口温度差制御偏差Ecs2が小さくなるようPID演算制御により冷水ポンプインバータ出力Fcs2が求められ、求められた冷水ポンプインバータ出力Fcs2は上位コントローラ72からの熱源2の熱源発停指令Cmd2と共に、冷水ポンプ53のインバータ53aに与えられ、冷水ポンプ53は起動されると共に所定の回転数となるよう制御される。
下位コントローラ74の最適値演算部89では、上位コントローラ72からの負荷率Lp2、外気湿球温度Twb、指定3E評価モードE3mo、冷却塔6のファン13のインバータ13aからの冷却塔ファン割合Fct、冷却水入口温度検出器34からの冷却水入口温度Tcti2、冷水ポンプ出力演算部88からの冷水ポンプインバータ出力Fcs2を基に、上位コントローラ72におけると同様にして、予め[数18]により電力消費量Eが、又、[数19]によりガス消費量Gが演算されると共に、[数1]〜[数3]により求められたエネルギ評価関数3E(Energy)、経済性評価関数3E(Economy)、環境評価関数3E(Ecology)の何れかが選択され、且つ、例えば図21の図表を基に熱源2の冷却水ポンプインバータ出力Fct2が求められ、冷却水ポンプ発停指令Cmdp2と共に、冷却水ポンプ35のインバータ35aに与えられ、冷却水ポンプ35は起動されると共に所定の回転数となるよう制御される。
下位コントローラ74の熱源本体コントローラ制御部90からは、上位コントローラ72からの熱源2の熱源発停指令Cmd2及び冷水出口温度設定値Tcso_sp2が熱源本体コントローラ77に与えられ、熱源2の本体が所定状態に制御される。
冷水ポンプ制御偏差演算部91では、冷水入口温度検出器56からの冷水入口温度Tcsi3、冷水出口温度検出器58からの冷水出口温度Tcso3、上位コントローラ72
からの冷水出入口温度差設定値ΔTcs_sp3を基に、[数28]により、熱源3の冷水出入口温度差制御偏差Ecs3が演算されて冷水ポンプ出力演算部94へ与えられる。
冷水ポンプ出力演算部94では、冷水出入口温度差制御偏差Ecs3が零となるよう、PID制御演算により冷水ポンプインバータ出力Fcs3が求められ、求められた冷水ポンプインバータ出力Fcs3は上位コントローラ72からの熱源発停指令Cmd3と共に、冷水ポンプ57のインバータ57aに与えられ、冷水ポンプ57は起動されると共に所定の回転数となるよう制御される。
冷却水ポンプ制御偏差演算部92では、冷却水入口温度検出器39からの冷却水入口温度Tcti3及び上位コントローラ72からのフリークーリング温度設定値Tcso_sp3を基に、[数29]により冷却水出入口温度差制御偏差Ect3が求められ、求められた冷却水出入口温度差制御偏差Ect3及び上位コントローラ72からの熱源発停指令Cmd3は、冷却水ポンプ出力演算部95へ与えられる。
冷却水ポンプ出力演算部95では、冷却水出入口温度差制御偏差Ect3が小さくなるようPID演算制御により冷却水ポンプインバータ出力Fct3が求められ、求められた冷却水ポンプインバータ出力Fct3は、上位コントローラ72からの熱源発停指令Cmd3を基に求められた冷却水ポンプ発停指令Cmdp3と共に、冷却水ポンプ40に与えられ、冷却水ポンプ40は起動されると共に所定の回転数となるよう制御される。
冷却塔ファン制御偏差演算部93では、往き冷却水温度検出器43からの往き冷却水温度Tcto及び上位コントローラ72からの往き冷却水温度設定値Tcto_spを基に、[数30]により、冷却塔出入口温度差制御偏差Ectが求められ、求められた冷却塔出入口温度差制御偏差Ect及び上位コントローラ72からの冷却塔ファン発停指令Cmdfは、冷却塔ファン出力演算部96へ与え得るようになっている。
冷却塔ファン出力演算部96では、冷却塔出入口温度差制御偏差Ectが小さくなるようPID演算制御により冷却塔ファンインバータ出力Fctが求められ、求められた冷却塔ファンインバータ出力Fctは、上位コントローラ72からの熱源発停指令Cmd3を基に求められた冷却水ポンプ発停指令Cmdp3と共に、冷却塔6のファン13のインバータ13aに与えられ、冷却塔6のファン13は起動されると共に所定の回転数となるよう制御される。
上記のように熱源システムを制御することにより、簡易且つ正確に空調機器類の制御を行なうことができ、信頼性の高い熱源システム最適運転を行なうことができる。
上記図示例においては、[数25]により演算周期Tcaluculatが求められ、求められたTcaluculatに基き熱源1〜3の発停が行なわれる。このため、熱源1〜3の発停を適切に行なうことができて、熱源1〜3の発停自体が外乱にならず、且つ各制御機器の寿命を延長することができ、しかも室内の環境を快適に維持することができる。
上記図示例においては、学習機能を有する。すなわち、本図示例においては、「学習」とは、高効率運転制御関数と熱源運転切替マップ(図11参照)をより現実の状況に近づくように修正すること、を意味する。本図示例は、通常の調整で十分なPID演算制御パラメータ等は含まない。又、本図示例における調整において、種々の条件(外気条件、室内負荷状況、機器累積稼動運転時間等)が複雑に関係する制御系であるので、コントローラ任せの自動調整手段を取ると、場合によっては不適切な設定を行うことが予想される。そこで、調整値については技術的スキルのある専門のエンジニアによる判断を介在させる手法を採用する。
高効率運転制御関数の各入力パラメータの係数と熱源運転切替マップ相当のパラメータは、コントローラ内の不揮発性メモリに調整用パラメータの一つとして格納される。調整用パラメータは、専用のPCにより、オープンネットワーク経由で修正可能である。高効率運転制御関数は、各制御機器(冷凍機やファン、ポンプ等)の運転状態を数式化し、更に多変量解析により求めたものである。運転実績データが存在しない設計時においては、メーカ提供のカタログ値あるいは過去の経験に基づくデータや理論値により数式化させているので机上の計算値とも言える。実際の制御機器が全てこの計算値通りの値を示すことはほとんどないと考えられる。この乖離が大きいと、種々の操作変数の最適値演算で求まる最適解も実情と合わなくなり、省エネルギ効果が低下する。同様に、熱源運転切替マップについても実際の運転状況に合うように調整が必要である。
そこで、実際の熱源運転実績データを解析し、より実情に近い修正を行うことで、本来の省エネルギ効果を得ることができると考えられる。熱源運転実績データは、中央監視装置71のデータや調整用ツール70(図2参照)により収集される。Excel VBA(Excelは登録商標)等を使うことによって、自動的にグラフ化高効率運転制御関数の自動生成も可能である。得られた高効率運転制御関数を使って事前に十分な検討(シミュレーション等)を行う。その後、現場にて高効率運転制御関数における操作変数の各入力パラメータの係数を更新する際にも、十分に動作テストを行い、最終調整を実施する。
高効率運転制御関数は、上位コントローラ72及び下位コントローラ73,74夫々に存在するが、運転機器が同一なので、同等の最適値が得られる高効率運転制御関数が求まる。
上述の図示例における特徴部分を列挙すると以下のようになる。
(1)オープンネットワーク(LONWORKS(登録商標 以下においても同様である))に対応するコントローラ利用によるメリット
オープンネットワーク自体は従来公知であるが、本発明の図示例のメリットを説明するうえで、不可欠なので、最初に説明することとする。すなわち、LONWORKS技術は、米国社Echelon者により開発された技術である。国内におけるフィールド制御系オープンネットワークの事実上のデファクトスタンダードとなっている。
Lon(登録商標)とは、Local Operating Networkの略であり、自律分散制御ということである。また、Lonデバイスには、Neuron Chipという専用のCPUを搭載しており、単にネットワークインターフェースとしての機能だけではなく制御機能を持つことを特徴とする。
例えば、熱源コントローラとバルブアクチュエータをLONWORKS対応とすると、物理的にはLONWORKSネットワークにツイストペア線で接続するだけで良い(当然、別途電源線は必要。通常24VAC)。フリートポロジーなので、デイジーチェーン(芋づる接続方式)でも良いので、配線本数が大幅に減少し、リニューアル工事が容易等のメリットがある。物理的な接続が済むと、LONWORKS(登録商標)データベース構築ツール(一般に、米国Ecelon社製のLonMaker(登録商標)或はトルゥーエル社製のB−Track(登録商標))を用いて、バインディングと呼ばれる論理的接続を行う。上位、下位コントローラ72,73,74,75からの開度指示値が、バルブコントローラへ送信されると共に、バルブ開度PV(現在値)や、バルブを通過する流量等の様々なデータを上位、下位コントローラ72,74,75へ送信することができる。
以下に、オープンネットワーク(LONWORKS)対応コントローラ利用によるメリットを列挙する。
(i)制御上必要なデータ以外にも、エネルギ解析用に利用可能なデータ等多種多様なデータを比較的容易に取得できる。制御データとその他の計測値を、BEMSとして収集したり、PC上で実行で動作する調整用ツール70での収集を行い、各種解析が可能である。
(ii)LONWORKSに対応していれば、ベンダ(メーカ)に依存しないので、マルチベンダ方式のシステム構成が可能となり、国内外の様々な機器の中から、最適な機器を選定できる。
(iii)遠隔からの調整やアプリケーションソフトウェアの更新が比較的容易であるので、調整の手間が省けたり、メンテナンスが容易となる。複数のコントローラに対して、調整用パラメータの一括更新や一括取得も可能である。
(iv)低価格でコンパクトなシステム構成が可能である。市販の汎用コントローラが使えるので、従来システムと比較すると大幅なコストダウンとなる。また、コントローラ自体が小型化(従来比の1/7程度等)であることや、省配線により、制御盤が小型化できる。
(v)竣工後に、より性能の良い他社製コントローラがリリースされた場合、ハードウェア自体の移行も比較的容易である。
(2)熱源運転システムにおける操作変数の最適解の算出法
3E評価自体は、他社でも実施していることである。しかし、比較的に操作変数の最適解を探索できる山登り法が適用可能な一次独立結合された関数で簡潔化させ、コントローラの負荷低減と調整時の省力化を両立させた仕組みは現在のところ他にない。例えば、日立プラントの「OH Saver」というシステムでは、制御時にシミュレーションを行いながら操作変数の最適解を求めるというものであり、かなり大がかりなハードが必要であるし、シミュレーションを精度良くするためにはかなりのコストと手間がかかることが予想される。
(3)熱源運転制御機器の数式化における柔軟性
各冷水ポンプ49,53,57、冷却水ポンプ31,35,40や冷却塔6のファン13等の軸動力の回転によるものは、一般的に消費電力は、前述したように回転数(負荷)の3乗に比例することが知られている。負荷が大きい時は、この3乗則が有効であるが、負荷が低い場合でもポンプ(ファン)動力をある値よりも低く出来ないレンジが存在する。そこで、負荷が大きいときには3乗則、負荷が小さいときには一定値をとるような近似式を作成する。このように、理論的な考え方を、現状の動きに合うように(負荷の大小による切替等)柔軟に対応できる数式を導入した。
(4)熱源運転切替マップ(図11参照)による熱源運転パターンZ1〜Z5の切替え
通常の熱源システムの制御では、管理員により季節毎に手動で切替えることも多い。熱源運転切替マップによる運転パターン切替えの基本の考えはこの手動切替えにある。ただし、調整員による手動切替えだと、調整員自信のスキルによって省エネルギ性能が左右されることと、何より調整員に対して負担をかけることになる。そこで、この省エネルギ性能を充分に発揮させる判断を自動化させたものが、熱源運転切替マップによる熱源運転パターンZ1〜Z5の切替えである。外気温度でおおよその季節を判断し、冷房負荷を考慮して、一次エネルギ又は経済性、環境性を最小となるようにし、どの熱源を運転するかという、熟練調整員のノウハウを置き換えたものである。(1)と同様に、オープンネットワーク経由による調整が可能であるので手間もかからない。
(5)熱源機器発停制御周期
通常は経験的に予め設定された制御周期を採用することが一般的と思われる。本システムでは、過渡応答の考えを導入し、外乱を抑制し、かつ追従性を損なわない制御周期を設定する仕組みを調整パラメータの一つとして組み込む。
(6)学習機能による省エネルギ性能向上の容易性
通常はメーカの調整員による初期調整のみで、完了することが多いと考えられる。本システムでは学習機能を用意しているために、比較的容易に、最も現状に見合うような調整が可能である。技術的にはオープンネットワーク対応としたことにより、PCとの親和性が格段にアップしたこと、データ収集が容易になり多くのデータによる多角的な解析により高精度の調整が期待できる。
(7)上位コントローラ72と下位コントローラ73,74,75による機能分散
上位コントローラ72と下位コントローラ73,74,75として、機能分割(機能分散)することによるメリットを以下に示す。
(i)自律分散制御に適したコントローラであるので、一部のコントローラがダウンしても、全体のシステムがダウンすることはない。例えば中央監視装置がダウンしても上位コントローラ72と下位コントローラ73,74,75が活きていれば、多少の障害はあるもののほぼ問題なく制御できる。同様に、上位コントローラ72がダウンした場合、あるいは下位コントローラ73,74,75の一部がダウンしても、ある程度の制御は行える。このように機能分散し、コントローラが自律的な制御が可能であるので、安全強度が高いシステムと言える。
(ii)何らかの障害が発生した場合、比較的切り分けがしやすい。また、そのような場合に、異常と思われるコントローラのみを切り離すことで、システム全体が停止する危険性が少ない。
(iii)一部の機能追加を行う場合、対象となるコントローラに対する限定的なソフトウェア更新で済む。
(iv)ハードウェアの寿命や故障が発生した場合のメンテナンスが容易である。
なお、本発明の熱源システム最適運転制御方法及び装置においては、冷房用として説明したが、暖房用の熱源に対しても応用可能であること、更に、説明を簡略化するために、二次ポンプは省略してあるが、通常は二次ポンプも考慮するものとすること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の熱源システム最適運転制御装置の実施の形態の一例を示し、熱源システムの冷水及び冷却水が循環するラインを示す概要図である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される各種コントロールの接続関係の概要を示す概要図である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される上位コントローラのブロック図である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される熱源がガス吸収式冷凍機である場合の下位コントローラのブロック図である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される熱源がインバータターボ冷凍機である場合の下位コントローラのブロック図である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される熱源が熱交換器である場合の下位コントローラのブロック図である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される上位コントローラにおける信号の流れを説明するための図表である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される熱源がガス吸収式冷凍機である場合の下位コントローラにおける信号の流れを説明するための図表である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される熱源がターボ冷凍機である場合の下位コントローラにおける信号の流れを説明するための図表である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される熱源が熱交換器である場合の下位コントローラにおける信号の流れを説明するための図表である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される外気温度と冷房負荷との関係を示すグラフである。 本発明の熱源システム最適運転制御装置に適用される熱源を運転する際の演算周期のグラフである。 一般のシステムの最適化を図るための手法の一般的なやり方を説明するためのブロック図である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置の理論的基本である制御変数と出力との関係を表すグラフである。 本発明の熱源システム最適運転制御装置において、各ポンプやファンの消費電力を求める際の関数の入力と出力との関係を表す図表である。 本発明の熱源システム最適運転制御装置を実現するために、予め、熱源本体、各ポンプ、ファンの動力や熱源のガス等を求めるためのブロック図である。 図16に示すブロック図において、ポンプ等回転体の回転数割合から動力を求める際の回転数割合と動力の関係を示すグラフである。 図16に示すブロック図において、外気湿球温度から各熱源の冷却水出口温度を求める際の、外気湿球温度と冷却水出口温度との関係を示すグラフである。 図16に示すブロック図において、熱源がガス吸収式冷凍機及びインバータターボ冷凍機である場合の負荷率と成績係数との関係を示すグラフである。 図16に示すブロック図において、熱源がガス吸収式冷凍機である場合の負荷率とガス消費量との関係を示すグラフである。 本発明の熱源システム最適運転制御装置において、上位コントローラ及び下位コントローラで適用する3E評価の入力パラメータを示す図表である。
符号の説明
1 熱源(ガス吸収式冷凍機)(第一の熱源)
2 熱源(インバータターボ冷凍機)(第二の熱源)
3 熱源(フリークーリング用熱交換器)(第三の熱源)
6 冷却塔
13 ファン
16 空調機負荷
31 冷却水ポンプ
31a インバータ
35 冷却水ポンプ
35a インバータ
40 冷却水ポンプ
40a インバータ
49 冷水ポンプ
49a インバータ
53 冷水ポンプ
53a インバータ
57 冷水ポンプ
57a インバータ
72 上位コントローラ
73 下位コントローラ
74 下位コントローラ
75 下位コントローラ
81 最適値演算部(上位最適値演算部)
85 最適値演算部(下位最適値演算部)
89 最適値演算部(下位最適値演算部)

Claims (5)

  1. ガスをエネルギ源とする吸収式冷凍機である第一の熱源(1)、及び、電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)、及び、冷却塔(6)により熱交換可能な外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である第三の熱源(3)からなる3つ以上の熱源と、
    前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
    及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機であるインバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
    及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)
    及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)
    を備えた前記第一の熱源(1)と該第一の熱源(3)に付随する補機、及び第二の熱源(2)と該第二の熱源(2)に付随する補機、及び第三の熱源(3)と該第三の熱源(3)に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
    計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
    前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源(1)、及び第二の熱源(2)、及び第三の熱源(3)ごとの下位コントローラ(73)、(74)、(75)を備え、
    前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO排出とガスCO排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp1)、(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)、(35)、(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。
  2. ガスをエネルギ源とする吸収式冷凍機である第一の熱源(1)、及び、電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)からなる2つ以上の熱源と、
    前記第一の熱源(1)に付随する補機である、インバータ(31a)を備えた冷却水ポンプ(31)及びインバータ(49a)を備えた冷水ポンプ(49)、
    及び、前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
    及び、前記各冷却水ポンプ(31)(35)により前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
    を備えた前記第一の熱源(1)と前記第一の熱源に付随する補機、及び第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
    計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp1、Lp2)を演算して熱源発停指令(Cmd1)、(Cmd2)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第一の熱源(1)及び第二の熱源(2)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、(Tcso_sp2)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
    前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(31)(35)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第一の熱源、及び第二の熱源ごとの下位コントローラ(73)、(74)を備え、
    前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp1)、Tcso_sp2)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp1)、(ΔTcs_sp2)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、又は電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 排出とガスCO 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第一の熱源(1)及び、第二の熱源(2)の負荷率(Lp1)、(Lp2)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(31)(35)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。
  3. 電力をエネルギ源とするターボ冷凍機である第二の熱源(2)、及び、冷却塔(13)により熱交換可能な外気冷熱をエネルギ源とするフリークーリング用熱交換器である第三の熱源(3)からなる2つ以上の熱源と、
    前記第二の熱源(2)に付随する補機である、インバータ(35a)を備えた冷却水ポンプ(35)及びインバータ(53a)を備えた冷水ポンプ(53)、
    及び、前記第三の熱源(3)に付随する補機である、フリークーリング用熱交換器と冷却塔(6)との間に冷却水を搬送するインバータ(40a)を備えた冷却水ポンプ(40)及びフリークーリング用熱交換器と負荷側との間に冷却水を搬送するインバータ(57a)を備えた二次側冷水ポンプ(57)、
    及び、前記各冷却水ポンプ(35)(40)により第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)との間で冷却水を循環される冷却塔(6)、
    を備えた前記第二の熱源(2)と前記第二の熱源に付随する補機、及び第三の熱源(3)と前記第三の熱源に付随する補機、及び冷却塔(6)により構成される熱源システムにおいて、
    計測された冷水往温度(Tcso)、冷水還温度(Tcsi)、冷水流量割合(Vcs)から演算される冷房負荷(Qtotal)と、熱源システムを運用する前に作成された熱源運転切替マップから求まる運転すべき熱源の条件と、から各熱源の負荷率(Lp2、Lp3)を演算して熱源発停指令(Cmd2)、(Cmd3)を出力し、且つ、計測された外気温湿度から演算される外気湿球温度(Twb)に基づき第二の熱源(2)及び第三の熱源(3)を出る冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)と、前記冷却塔(6)から出てくる冷却水温度設定値(Tcto_sp)を出力する上位コントローラ(72)と、
    前記上位コントローラ(72)から信号を受け、前記各冷却水ポンプ(35)(40)のうち、所定の冷却水ポンプのインバータ出力を演算する第二の熱源、及び第三の熱源ごとの下位コントローラ(74)、75)を備え、
    前記上位コントローラ(72)には、前記各熱源の冷水出口温度設定値(Tcso_sp2)、(Tcso_sp3)又は冷却塔出口温度設定値(Tcto_sp)又は冷水出入口温度差設定値(ΔTcs_sp2)、(ΔTcs_sp3)を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である各熱源や各補機の合計エネルギ消費量、または電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 排出とガスCO 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2、Lp3)及び前記外気湿球温度(Twb)を入力パラメータとして多変量解析を行って、前記第二の熱源(2)及び、第三の熱源(3)の負荷率(Lp2)、(Lp3)や外気湿球温度(Twb)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、計測または演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数の最適値を出力する上位最適値演算部を有しており、該上位最適値演算部からの最適値により前記各冷却水ポンプ(35)(40)のインバータ制御を行ない得るよう構成したことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の熱源システム最適運転制御装置において、
    前記冷却塔(6)はインバータ(13a)を備えたファン(13)を有し、
    前記下位コントローラには、前記所定の冷却水ポンプのインバータ出力を操作変数として横軸にとり、電力一次エネルギとガス一次エネルギの係数換算総和である第一の熱源(1)又は第二の熱源(2)又は第三の熱源(3)や、各補機類の合計エネルギ消費量、又は電力料金とガス料金の係数換算の前記エネルギ消費量総和である経済性、又は電力CO 排出とガスCO 排出の係数換算の前記エネルギ消費量総和である環境性の何れかを縦軸にとって、前記外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合または冷却塔出口温度(Tcto_sp)をパラメータとして多変量解析を行って、外気湿球温度(Twb)又は冷却塔ファンのインバータ割合(Fct)又は冷却塔出口温度(Tcto_sp)ごとの高効率運転制御関数を求めておき、
    計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導かれる前記操作変数である前記冷却水ポンプのインバータ出力の最適値を出力する下位最適値演算部を備えたことを特徴とする熱源システム最適運転制御装置。
  5. 高効率運転制御関数をE=aE×Lp+bE×Twb+cE×Vct+dE×ΔTct+eE×Fct+fE×Tcs+gE×ΔTcs+CE、
    G=aG×Lp+bG×Twb+cG×Vct+dG×ΔTct+eG×Fct+fG×Tcs+gG×ΔTcs+CG
    (ここで、aE、bE、cE、dE、eE、fE、gE、CE、aG、bG、cG、dG、eG、fG、gG、CGは、制御パラメータ係数であり、Lpは熱源の負荷率、Twbは外気湿球温度、Vctは冷却水流量、ΔTctは冷却水入口温度、Fctは冷却塔ファン割合、Tcsは冷水出口温度、ΔTcsは冷水出入口温度差を示し、これら式の項のうち、受けた請求項に無い項にはついては、その項に対する制御パラメータ係数は0を代入する。)
    として最適値演算部に保存し、計測又は演算された前記パラメータを代入してその時々の高効率運転制御関数の縦軸最低値から導く請求項1乃至請求項4の何れかに記載の熱源システム最適運転制御装置。
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