(1)第1実施形態
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態の冷媒サイクルシステムの例を挙げて説明する。
図1に、冷媒サイクルシステム100の冷媒回路図を示す。図2に、ブロック線図を示す。図3に、PH線図を示す。
(1−1)冷媒サイクルシステム100の概略構成
冷媒サイクルシステム100は、室外ユニット1と、室内ユニット4と、が冷媒連絡配管を介して接続されおり、冷媒回路10を備えている。
冷媒回路10は、圧縮機15、四路切換弁16、室外熱交換器17、室外膨張弁18、室内膨張弁46、および、室内熱交換器45が互いに接続されて構成されている。冷媒回路10は、四路切換弁16の接続状態によって冷房運転と暖房運転とを切り換えて実行可能となっている。冷房運転時には、図1に示すように、四路切換弁16が実線で示す接続状態となり、圧縮機15、四路切換弁16、室外熱交換器17、室外膨張弁18、室内膨張弁46、室内熱交換器45、四路切換弁16、圧縮機15の順に冷媒を循環させること冷凍サイクルを行う。暖房運転時には、四路切換弁16が点線で示す接続状態となる。
室外ユニット1内には、上述した圧縮機15、四路切換弁16、室外熱交換器17、室外膨張弁18だけでなく、室外ファン19、室外温度センサ11、吐出冷媒温度センサ12、吐出冷媒圧力センサ13、室外熱交換器温度センサ14が設けられている。室外ユニット1の内部には、さらに、圧縮機駆動モータ15m、室外ファンモータ19m、第1室外CPU1aと、第1室外記憶部1bと、第1室外通信部1cと、が設けられている。室外温度センサ11は、室外熱交換器17を通過する前の室外空気の温度を検知し、第1室外CPU1aに対して当該室外温度の情報を送る。吐出冷媒温度センサ12は、圧縮機15の吐出側を流れる冷媒の温度を検知し、第1室外CPU1aに対して当該吐出冷媒温度の情報を送る。吐出冷媒圧力センサ13は、圧縮機15の吐出側を流れる冷媒の圧力を検知し、第1室外CPU1aに対して当該吐出冷媒圧力の情報を送る。室外熱交換器温度センサ14は、室外熱交換器17の内部を流れる冷媒温度を検知し、第1室外CPU1aに対して、室外熱交換器温度の情報を送る。圧縮機駆動モータ15mは圧縮機15のアクチュエータであり、室外ファンモータ19mは室外ファン19のアクチュエータであり、第1室外CPU1aによって駆動制御される。第1室外通信部1cは、室内ユニット4の第1室内通信部41や、コントローラ9のリモコン通信部91と、伝送ラインを介して接続され、情報のやり取りを行う。第1室外記憶部1bは、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギの関係式、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式等が記憶されており、後述する制御部7が行う省エネ制御において利用される。ここで、図4において、凝縮温度Tcを横軸に取り、室外ファンモータ19mへの入力エネルギPを縦軸に取った場合の関係式を、菱形のプロットを結んだラインとして示す。また、図4において、凝縮温度Tcを横軸に取り、圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPを縦軸に取った場合の関係式を、四角のプロットを結んだラインとして示す。なお、図4において、凝縮温度Tcを横軸に取り、室外ファンモータ19mへの入力エネルギPと圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPとの合計を縦軸に取った場合の関係式を、三角のプロットを結んだラインとして示す。さらに、図4において、凝縮温度Tcを横軸に取り、室外ファンモータ19mの回転数(rpm)を縦軸に取った場合の関係式を、菱形のプロットを結んだラインに対応するようにして、×印のプロットを結んだラインとして示す。この例では、凝縮温度が極小凝縮温度Tcxにおいて、入力エネルギの合計値を極小にすることができるが、以下に述べる能力維持の制約条件等が考慮されるため、目標凝縮温度を極小凝縮温度Tcxにすることができない場合がある。
なお、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギの関係式の特定方法は、特に限定されないが、例えば、以下の「式(1)」のようにして特定することができる。
ここで、dP
外Fan/dNは、室外ファンモータ19mの性能毎によって定まるファン入力特性式(例えば、P
外Fan=C
1N
3+C
2N
2+C
3N)を回転数Nで微分することにより求めることができる。
また、dN/dGaは、室外ファン19の種類毎に定まるファン風量特性式(本実施形態で考慮される範囲では、回転数Nと風量Gaとは比例関係であるとみなすことができる。)を、風量Gaで微分することにより求めることができる。
さらに、dGa/Tcは、熱交換器特性式(熱交換器内を流れる冷媒の温度と熱交換器外を流れる空気の温度との差ΔT×風量Ga∝能力(すなわち、比例係数×熱交換器内を流れる冷媒温度と熱交換器外を流れる空気温度との温度差ΔT×風量Ga)の関係から定まる関係式)を、能力一定(Q=const)の条件のもとで凝縮温度Tcで微分することにより求めることができる。
なお、第1室外記憶部1bには、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギの関係式そのものが記憶されている必要はなく、例えば、上記ファン入力特性式(例えば、P外Fan=C1N3+C2N2+C3N)とファン風量特性式と熱交換器特性式とが第1室外記憶部1bまたは他の場所に記憶されていてもよい(第1情報が記憶されていてもよい。)。そして、制御部7が、これらの式を情報処理することにより、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギの関係式を作成するようにしてもよい。
また、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式の特定方法は、特に限定されないが、例えば、以下の「式(2)」のようにして特定することができる。
ここで、fc(R,Te,Tc)は、圧縮機の駆動周波数R(r/min)、蒸発温度Te、および、凝縮温度Tcをパラメータに含む回帰式として表すことが可能であり、凝縮温度Tcや蒸発温度Teによる微分が可能な式である。なお、この回帰式は、パラメータとして、さらに過熱度SHを用いて表されてもよい。
ここで、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式は、例えば、駆動周波数が大きくなるほど入力エネルギが多く必要になることや、圧縮機15の吸入圧力と吐出圧力との差圧が大きいほど(すなわち、圧縮比が大きくなるほど)、圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギが多く必要になることや、吐出圧力における冷媒の飽和温度が凝縮温度Tcと関係することや、吸入圧力における冷媒の飽和温度が冷媒の蒸発温度Teに関係すること、等を考慮して、当業者が冷凍サイクルとコンピュータを用いた実験を行うことによって適宜定めることができる。ここで、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式は、凝縮温度Tcや蒸発温度Teをパラメータに含む多項式として表すことが可能であり、凝縮温度Tcや蒸発温度Teによる微分が可能な式である。
なお、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式の特定方法についても、特に限定されないが、例えば、以下の「式(3)」のようにして特定することができる。
ここで、fe(R,Te,Tc)は、圧縮機の駆動周波数R(r/min)、蒸発温度Te、および、凝縮温度Tcをパラメータに含む回帰式として表すことが可能であり、凝縮温度Tcや蒸発温度Teによる微分が可能な式である。なお、この回帰式は、パラメータとして、さらに過熱度SHを用いて表されてもよい。
なお、上述したfc(R,Te,Tc)と、fe(R,Te,Tc)とは、同じ回帰式であってもよい。
室内ユニット4内には、上述した室内膨張弁46、室内熱交換器45だけでなく、室内ファン47、室内熱交換器温度センサ44、室内温度センサ49が設けられている。室内ユニット4の内部には、さらに、室内ファンモータ47m、第1室内通信部41、第1室内記憶部42、第1室内CPU43が設けられている。室内熱交換器温度センサ44は、室内熱交換器45の内部を流れる冷媒の温度を検知し、第1室内CPU43に対して当該室内熱交冷媒温度の情報を送る。室内温度センサ49は、室内熱交換器45を通過する前の室内空気の温度を検知し、第1室内CPU43に対して当該室内温度の情報を送る。室内ファンモータ47mは室内ファン47のアクチュエータであり、第1室内CPU43によって駆動制御される。第1室内通信部41は、室外ユニット1の第1室外通信部1cと伝送ラインを介して接続され、各種情報のやり取りを行う。第1室内記憶部42は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギの関係式等が記憶されており、後述する制御部7が行う省エネ制御において利用される。
さらに、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギの関係式の特定方法は、特に限定されないが、例えば、以下の「式(4)」のようにして特定することができる。
ここで、dP
内Fan/dNは、室内ファンモータ47mの性能毎によって定まるファン入力特性式(例えば、P
内Fan=C
4N
3+C
5N
2+C
6N)を回転数Nで微分することにより求めることができる。
また、dN/dGaは、室内ファン47の種類毎に定まるファン風量特性式(本実施形態で考慮される範囲では、回転数Nと風量Gaとは比例関係であるとみなすことができる。)を、風量Gaで微分することにより求めることができる。
さらに、dGa/Teは、室内熱交換器45として採用されている熱交換器の種類毎に定まる熱交換器特性式(熱交換器内を流れる冷媒の温度と熱交換器外を流れる空気の温度との差ΔT×風量Ga∝能力の関係から定まる関係式)を、蒸発温度Teで微分することにより求めることができる。
なお、第1室内記憶部42には、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギの関係式そのものが記憶されている必要はなく、例えば、上記ファン入力特性式(例えば、P内Fan=C4N3+C5N2+C6N)とファン風量特性式と熱交換器特性式とが第1室内記憶部42または他の場所に記憶されていてもよい(第1情報が記憶されていてもよい。)。そして、制御部7が、これらの式を情報処理することにより、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギの関係式を作成するようにしてもよい。
コントローラ9は、第1室外通信部1cと伝送ラインを介して接続されているリモコン通信部91、リモコン記憶部92、リモコンCPU93、液晶表示部である表示出力部94を有している。リモコン記憶部92は、ユーザから入力された設定条件の情報等を格納している。リモコンCPU93は、ユーザから受け付けた各種設置情報等を、伝送ラインを介して第1室外通信部1cに送信させたり、第1室外通信部1cから受信した情報を表示出力部94に文字情報を表示出力させたりする処理を行う。
制御部7は、図2に示すように、室外ユニット1の第1室外CPU1a、第1室外記憶部1bおよび第1室外通信部1cと、室内ユニット4の第1室内通信部41、第1室内記憶部42および第1室内CPU43と、コントローラ9のリモコン通信部91、リモコン記憶部92およびリモコンCPU93と、が互いに伝送ラインを介して接続されることで構成されている。制御部7は、冷媒サイクルシステム100において冷房運転を行う場合には、例えば、図3に示すPH線図のように冷媒の状態を変化させて冷凍サイクルを行う。ここで、制御部7は、圧縮機駆動モータ15mの駆動周波数、室外ファンモータ19mの回転数、室外膨張弁18、室内膨張弁46の弁開度、および、室内ファンモータ47mの回転数を制御する。なお、以下に述べる更新される凝縮温度や蒸発温度の目標値の演算処理は、いずれのCPUにおいて行われてもよいが、例えば、室外ユニット1の第1室外CPU1aが行うことができる。
(1−1−1)冷房運転制御
冷房運転時は、制御部7は、室外膨張弁18を全開状態となるように制御しつつ、室内熱交換器45の出口冷媒(もしくは、圧縮機15の吸入冷媒)の過熱度が一定になるように室内膨張弁46の弁開度を制御している。
また、冷房運転時は、制御部7は、圧縮機15の圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が最新の目標蒸発温度(以下の各制御で述べる更新された目標蒸発温度)になるように駆動周波数の制御を行う。
また、冷房運転時は、制御部7は、室外ファン19の室外ファンモータ19mについて、冷凍サイクルの凝縮温度が最新の目標凝縮温度(以下の各制御で述べる更新された目標凝縮温度)になるように回転数の制御を行う。
さらに、冷房運転時は、制御部7は、室内ファン47の室内ファンモータ47mについて、室内ユニット4について設定された室内温度となるように回転数の制御を行う。
(1−1−2)暖房運転制御
暖房運転時は、制御部7は、室内膨張弁46を全開状態にしつつ、室外熱交換器17の出口冷媒(もしくは、圧縮機15の吸入冷媒)の過熱度が一定になるように室外膨張弁18の弁開度を制御している。
また、暖房運転時は、制御部7は、圧縮機15の圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの凝縮温度が最新の目標凝縮温度(以下の各制御で述べる更新された目標凝縮温度)になるように駆動周波数の制御を行う。
また、暖房運転時は、制御部7は、室外ファン19の室外ファンモータ19mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が最新の目標蒸発温度(以下の各制御で述べる更新された目標蒸発温度)になるように回転数の制御を行う。
さらに、暖房運転時は、制御部7は、室内ファン47の室内ファンモータ47mについて、室内ユニット4について設定された室内温度となるように回転数の制御を行う。
(1−2)凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム100において冷房運転が行われている場合に、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19mが目標蒸発温度になるように制御される点、および、更新される目標凝縮温度Tcを室内熱交換器45での能力を維持できる範囲内に保つ点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図5に、制御部7が行う、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室外ファンモータ19mへの入力エネルギと圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標凝縮温度に更新していく処理が行われる。
ステップS10では、制御部7は、コントローラ9を介して凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御の実行開始の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室外ファンモータ19mと圧縮機駆動モータ15mとを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS11では、制御部7は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度を変化させた場合の室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの変化の傾向を把握する。具体的には、図4に示すように、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式の現状の凝縮温度Tc1における接線の傾き(凝縮温度による一次微分で得られる関係式に対して、現状の凝縮温度Tc1を代入して得られる値)として、P外Fan/dTc(Tc=Tc1)を把握する。
ステップS12では、制御部7は、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度を変化させた場合の圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの変化の傾向を把握する。具体的には、図4に示すように、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの関係式の現状の凝縮温度Tc1における接線の傾き(凝縮温度による一次微分で得られる関係式に対して、現状の凝縮温度Tc1を代入して得られる値)として、dPComp/dTc(Tc=Tc1)を把握する。
ステップS13では、制御部7は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式を凝縮温度によって一次微分することで得られる関係式に対して、現状の凝縮温度Tc1を代入して得られた値(ステップS11で把握した値)と、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの関係式を凝縮温度によって一次微分することで得られる関係式に対して、現状の凝縮温度Tc1を代入して得られた値(ステップS12で把握した値)と、の合計値を算出する。
ステップS14では、制御部7は、ステップS13で得られた合計値に対して、正負を逆にしつつ、所定の定数Kcを乗じて、現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分を算出する。具体的には、以下の「式(5)」に示すように、目標凝縮温度の変化分ΔTcsを把握する。
ここで、P
nowは、室外ファンモータ19mへの入力エネルギと圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの現状の合計値である。dP
Total/dTcは、ステップS13で算出した合計値である。なお、所定の定数Kcは、目標凝縮温度変化速度調整定数であり、予め定められている値である。ここで、正負を逆にするのは、傾きが正である場合には目標凝縮温度を小さくする方向に更新し、傾きが負である場合には目標凝縮温度を大きくする方向に更新させることを意味する。
ステップS15では、制御部7は、ステップS14で把握した目標凝縮温度の変化分ΔTcsを、現状の凝縮温度に加えて、目標凝縮温度を更新させる。
ステップS16では、制御部7は、ステップS15で更新された目標凝縮温度Tc2を実現するように室外ファンモータ19mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mについて、制御部7は、冷凍サイクルの凝縮温度が更新された目標凝縮温度になるように回転数の制御を行う。なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47mは、このように、更新された目標凝縮温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS17では、制御部7は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標凝縮温度Tc2で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS11に戻り、処理を続ける。
(1−3)蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム100において冷房運転が行われている場合に、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、この蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御は、上述した凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御と同時に進行させてもよく、その場合には各省エネ制御の処理タイミングをずらすことが好ましい。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19mが目標蒸発温度になるように制御される点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図6に、制御部7が行う、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室内ファンモータ47mへの入力エネルギと圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標蒸発温度に更新していく処理が行われる。
ステップS20では、制御部7は、コントローラ9を介して蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室内ファンモータ47mと圧縮機駆動モータ15mとを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS21では、制御部7は、室内熱交換器45において要求されている能力が不足しない範囲で、現状から上げることができる蒸発温度の変化分を算出する。
なお、室内熱交換器45において要求されている能力は、室内ユニット4について設定されている設定温度、室内温度センサ49が検知する室内温度、現状の室内ファンモータ47mへの入力エネルギの値、および、室内熱交換器45の熱交換器特性式(より好ましくは、さらに室内ファンモータ47mのファン入力特性式)に基づいて制御部7が算出する。
ステップS22では、制御部7は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内Fanの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入し、その現状の蒸発温度を変化させた場合の室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内Fanの変化の傾向を把握する。具体的には、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギPFanの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き(蒸発温度による一次微分で得られる関係式に対して、現状の蒸発温度を代入して得られる値)を把握する。
ステップS23では、制御部7は、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入し、その現状の蒸発温度を変化させた場合の圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの変化の傾向を把握する。具体的には、蒸発温度に対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き(蒸発温度による一次微分で得られる関係式に対して、現状の蒸発温度を代入して得られる値)を把握する。
ステップS24では、制御部7は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギPFanの関係式を蒸発温度によって一次微分することで得られる関係式に対して、現状の蒸発温度を代入して得られた値(ステップS22で把握した値)と、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの関係式を蒸発温度によって一次微分することで得られる関係式に対して、現状の蒸発温度を代入して得られた値(ステップS23で把握した値)と、の合計値を算出する。
ステップS25では、制御部7は、ステップS24で得られた合計値に対して、正負を逆にしつつ、所定の定数Keを乗じて、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分を算出する。具体的には、以下の「式(6)」に示すように、目標蒸発温度の変化分ΔTesを把握する。
ここで、P
nowは、室内ファンモータ47mへの入力エネルギと圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの現状の合計値である。dP
Total/dTeは、ステップS24で算出した合計値である。なお、所定の定数Keは、目標蒸発温度変化速度調整定数であり、予め定められている値である。ここで、正負を逆にするのは、傾きが正である場合には目標蒸発温度を小さくする方向に更新し、傾きが負である場合には目標蒸発温度を大きくする方向に更新させることを意味する。
ステップS26では、制御部7は、ステップS21で算出した蒸発温度の変化分と、ステップS25で求めた蒸発温度の変化分と、を比較し、より小さい変化分を特定する。これにより、室内熱交換器45において要求されている能力が不足しない範囲で、省エネ化させることが可能な、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分を把握することができる。
ステップS27では、制御部7は、ステップS26で把握した目標蒸発温度の変化分を、現状の蒸発温度に加えて、目標蒸発温度を更新させる。
ステップS28では、制御部7は、ステップS27で更新された目標蒸発温度を実現するように圧縮機駆動モータ15mを制御する。具体的には、圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように駆動周波数の制御を行う。
なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47mは、このように、更新された目標蒸発温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、回転数が変化することになる。
ステップS29では、制御部7は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS21に戻り、処理を続ける。
(1−4)凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム100において冷房運転が行われている場合に、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19mが目標蒸発温度になるように制御される点、および、更新される目標凝縮温度Tcを室内熱交換器45での能力を維持できる範囲内に保つ点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図7に、制御部7が行う、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室外ファンモータ19mへの入力エネルギと室内ファンモータ47mへの入力エネルギと圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標凝縮温度および目標蒸発温度に更新していく処理が行われる。
ステップS30では、制御部7は、コントローラ9を介して凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室外ファンモータ19mと室内ファンモータ47mと圧縮機駆動モータ15mとを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS31では、制御部7は、室内熱交換器45において要求されている能力が不足しない範囲で、現状から上げることができる蒸発温度の変化分を算出する。ここで、室内熱交換器45における能力に余裕が無く、蒸発温度Teを低下させる必要がある場合(能力を増大させる必要がある場合)には、蒸発温度の変化分は負の値として算出される。
なお、室内熱交換器45において要求されている能力は、室内ユニット4について設定されている設定温度と、室内温度センサ49が検知する室内温度と、現状の室内ファンモータ47mへの入力エネルギの値と、に基づいて制御部7が算出する。
ステップS32では、制御部7は、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTeについて、3通りの値を用意する。また、現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分ΔTcについても、3通りの値を用意する。
具体的には、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTeとして、以下のa)〜c)の値を用意する。
a) A(T室内温度−Te)
b)−A(T室内温度−Te)
c) 0
ここで、Aは、1以下の蒸発温度調整定数であり、予め定められた値である(例えば、好まし範囲として0.03〜0.05の範囲に定めてもよい。)。また、Teは、現状の蒸発温度である。T室内温度は、室内温度センサ49が検知する温度である。a)は目標蒸発温度を上げる変化に相当し、b)は目標蒸発温度を下げる変化に相当し、c)は目標蒸発温度を変更しない場合に相当する。
なお、現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分ΔTcとしては、具体的には、以下のe)〜g)の値を用意する。
e) B(Tc−T室外温度)
f)−B(Tc−T室外温度)
g) 0
ここで、Bは、1以下の凝縮温度調整定数であり、予め定められた値である(例えば、好まし範囲として0.03〜0.05の範囲に定めてもよい。)。また、Tcは、現状の凝縮温度である。T室外温度は、室外温度センサ11が検知する温度である。e)は目標凝縮温度を上げる変化に相当し、f)は目標凝縮温度を下げる変化に相当し、g)は目標凝縮温度を変更しない場合に相当する。
ステップS33では、制御部7は、さらに、上記用意した3通りの「現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTe」と、3通りの「現状の凝縮温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTc」と、から定まる9通りの組合せのうち、ステップS31で算出した蒸発温度の変化分を超えてしまう組合せを除外する処理を行う。
ステップS34では、制御部7は、ステップS33において9通りの組合せの全てが除外されているか否かを判断する。なお、全てが除外される場合としては、例えば、ステップS31において、室内熱交換器45における能力に余裕が無く、蒸発温度Teを低下させる必要があるとして、蒸発温度の変化分が負の値として算出された場合が相当する。9通りの組合せの全てが除外されていると判断した場合には、ステップS35に移行する。また、9通りの組合せのうち除外されている組合せが一部である場合や除外されている組合せが存在しない場合には、ステップS37に移行する。
ステップS35では、制御部7は、現状の蒸発温度を、ステップS31で算出した蒸発温度の変化分だけ変化させて得られる値を、更新された目標蒸発温度とする。そして、制御部7は、圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように、駆動周波数の制御を行い、ステップS36に移行する。なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47mは、このように、更新された目標蒸発温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、回転数が変化することになる。
ステップS36では、制御部7は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS31に戻り、処理を続ける。
ステップS37では、制御部7は、上記9通りの組合せの中から、ステップS34で除外された組合せ以外の残りの組合せについて、入力エネルギの変化分の合計量をそれぞれ算出する。
具体的には、制御部7は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内Fanの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入することで、室内ファンモータ47mに関する現状の接線の傾きを求める。制御部7は、さらに、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入することで、圧縮機駆動モータ15mと蒸発温度との関係に関する現状の接線の傾きを求める。その後、制御部7は、室内ファンモータ47mに関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ15mと蒸発温度との関係に関する現状の接線の傾きと、の合計値である接線の傾きの合計値を求める。さらに、制御部7は、この接線の傾きの合計値に対して、組合せ毎にa)、b)、c)の値を乗じることで、現状の蒸発温度を変化させた場合に想定される入力エネルギの変化量を算出する。
また、制御部7は、凝縮温度Tcについても同様の処理を行う。すなわち、制御部7は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入することで、室外ファンモータ19mに関する現状の接線の傾きを求める。制御部7は、さらに、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入することで、圧縮機駆動モータ15mと凝縮温度との関係に関する現状の接線の傾きを求める。その後、制御部7は、室外ファンモータ19mに関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ15mと凝縮温度との関係に関する現状の接線の傾きと、の合計値である接線の傾きの合計値を求める。さらに、制御部7は、この接線の傾きの合計値に対して、組合せ毎にe)、f)、g)の値を乗じることで、現状の凝縮温度を変化させた場合に想定される入力エネルギの変化量を算出する。
以上によって、ステップS34で除外された組合せ以外の残りの組合せについて、入力エネルギの変化分の合計量をそれぞれ算出する。そして、それらの入力エネルギの変化分の合計量が最小の値となる、蒸発温度の変化分と凝縮温度の変化分との組合せを特定する。
ステップS38では、制御部7は、ステップS37で入力エネルギの変化分の合計量が最小になるとして特定された蒸発温度の変化分と凝縮温度の変化分との組合せを反映させて、目標蒸発温度を更新しつつ、目標凝縮温度も更新する。すなわち、現状の蒸発温度に対して、ステップS37で入力エネルギの変化分の合計量が最小になる組合せとして特定された蒸発温度の変化分を加えて得られる値を、更新された目標蒸発温度とする。また、現状の凝縮温度に対して、ステップS37で入力エネルギの変化分の合計量が最小になる組合せとして特定された凝縮温度の変化分を加えて得られる値を、更新された目標凝縮温度とする。そして、制御部7は、室外ファンモータ19mについて冷凍サイクルの凝縮温度が更新された目標凝縮温度になるように、圧縮機駆動モータ15mについて冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように、それぞれ駆動周波数と回転数の制御を行う。なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47mは、このように、冷凍サイクルの目標蒸発温度および目標凝縮温度が更新された制御が行われることで、結果的に、回転数が変化することになる。
ステップS39では、制御部7は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度および更新された目標凝縮温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS31に戻り、処理を続ける。
(1−5)第1実施形態の特徴
例えば、室外ファン19を駆動させる室外ファンモータ19mの入力エネルギを増大させた場合には、冷凍サイクルにおける高圧側の圧力が低下し、これにより、高圧と低圧との差圧が小さくなるため、圧縮機15における圧縮比が小さくなる。これにより、圧縮機駆動モータ15mにおいて必要となる入力エネルギが減少する。このように、室外ファンモータ19mや圧縮機駆動モータ15m等に対する入力エネルギは、相関があり、入力エネルギを最も小さく抑えることができる運転条件が存在する。
ここで、以上の第1実施形態の冷媒サイクルシステム100では、冷媒状態量を変化させた場合の各アクチュエータの入力エネルギの変化を、予め記憶部等に記憶されている関係式等から把握し、冷媒状態量を変化させた場合の必要入力エネルギの合計量の変化の方向性およびその変化程度に基づいて、省エネ運転が可能な冷媒状態量に目標値を更新させることが可能になっている。
なお、従来のような、あらゆる運転条件に対応する各アクチュエータの制御内容を予め記録させておくようなシステムでは、システムを設計した時点において考慮されていた事項のみを反映できる制御となるため、設計時において、運転条件毎に省エネ効果が最高であると判断して設定していた各アクチュエータの制御内容で固定されることになる。このため、従来のシステムでは、設置環境等に対応した制御内容とすることができず、実際に施工されて運転させた場合に、必ずしも省エネ効果を当初の狙い通りに最適化できるとは限らない。これに対して、上記第1実施形態の冷媒サイクルシステム100では、システムが安定した状態において、現状の入力エネルギを下げるためには、凝縮温度および/または蒸発温度の制御目標値を増大させる制御が良いのか減少させる制御が良いのか、を判断する。すなわち、各安定状態において、現状よりも、より入力エネルギを小さく抑えることが可能な制御の方向性を見つけて、それを更新された目標とする。したがって、冷媒サイクルシステム100では、このような制御を行うことで、省エネ効果がより大きい運転条件を探し続けることができ、実際に施工される状況を踏まえて必要とされる入力エネルギの合計量を小さく抑えた運転状態とすることができる。また、その際に目標値を変更させる対象が凝縮温度や蒸発温度であるため、各アクチュエータの入力エネルギの変動に比べて、変動を小さく抑えることができる(アクチュエータの入力を目標値として制御すると、50%出力から最大出力に変更した場合には、目標値が2倍になってしまい、変動幅が大きいが、凝縮温度や蒸発温度を目標値とすることで1℃増減程度の小さな変動幅に抑えることができる。)。これにより、省エネ効果が得られる運転状態での安定化を、迅速化させることができる。また、このような省エネ制御を行うために必要なデータは、従来のシステムのように、あらゆる運転条件に対応する各アクチュエータの制御内容が予め記録されている場合と比べて、各アクチュエータの特性式やその関連式を記録させておくだけで足りるため、予め特定することが必要な情報量を少なくすることができる。また、凝縮温度や蒸発温度等の冷媒状態量によって、各アクチュエータの入力エネルギを合計した関数を全微分するという簡単な処理だけで、省エネ制御させるための方向性およびその程度を把握できるため、演算処理負荷も低減させることができている。
なお、上記処理を、室内熱交換器45において必要とされる能力の範囲内で行うことも可能になっている。
なお、上記実施形態の冷媒サイクルシステム100では、省エネ運転が可能な冷媒状態量に目標値を更新させる際に、目標値を実際に変えながら運転を行って目標値を変化させた場合の傾向(省エネ性の傾向)を把握するのではなく、実際に目標値を変えた運転を行うのではなく、関係式等に基づいた予測に従って更新している。これにより、目標値を実際に変化させなくても、傾向を予測できるため、効率よく最適運転状態に近づけることができる。
(2)第2実施形態
以下、図面を参照しつつ、本発明の第2実施形態の冷媒サイクルシステムの例を挙げて説明する。
図8に、冷媒サイクルシステム200の冷媒回路図を示す。図9に、ブロック線図を示す。図10に、PH線図を示す。
(2−1)冷媒サイクルシステム200の概略構成
冷媒サイクルシステム200は、上記第1実施形態の冷媒サイクルシステム100の冷媒回路10に対して、室内ユニット5、室内ユニット6が並列に追加された冷媒回路210を備えている。なお、第1実施形態と実質的に同じ部材については、同じ参照符号を付して、説明を省略する。
室外ユニット1内の第1室外記憶部1bには、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式が、室内ユニット4、5、6毎にそれぞれ設けられて格納されている。ここでの関係式の具体的な例は、上記第1実施形態と同様である。
室内ユニット5内には、室内膨張弁56、室内熱交換器55、室内ファン57、室内熱交換器温度センサ54、室内温度センサ59が設けられている。室内ユニット5の内部には、さらに、室内ファンモータ57m、第2室内通信部51、第2室内記憶部52、第2室内CPU53が設けられている。室内熱交換器温度センサ54は、室内熱交換器55の内部を流れる冷媒の温度を検知し、第2室内CPU53に対して当該室内熱交冷媒温度の情報を送る。室内温度センサ59は、室内熱交換器55を通過する前の室内空気の温度を検知し、第2室内CPU53に対して当該室内温度の情報を送る。室内ファンモータ57mは室内ファン57のアクチュエータであり、第2室内CPU53によって駆動制御される。第2室内通信部51は、第1室内ユニット4の第1室内通信部41や、第3室内ユニット6の第3室内通信部61と伝送ラインを介して接続され、各種情報のやり取りを行う。第2室内記憶部52は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ57mへの入力エネルギの関係式等が記憶されており、後述する制御部207が行う省エネ制御において利用される。なお、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ57mへの入力エネルギの関係式の特定方法は、上記実施形態と同様である。
室内ユニット6内には、室内膨張弁66、室内熱交換器65、室内ファン67、室内熱交換器温度センサ64、室内温度センサ69が設けられている。室内ユニット6の内部には、さらに、室内ファンモータ67m、第3室内通信部61、第3室内記憶部62、第3室内CPU63が設けられている。室内熱交換器温度センサ64は、室内熱交換器65の内部を流れる冷媒の温度を検知し、第3室内CPU63に対して当該室内熱交冷媒温度の情報を送る。室内温度センサ69は、室内熱交換器65を通過する前の室内空気の温度を検知し、第3室内CPU63に対して当該室内温度の情報を送る。室内ファンモータ67mは室内ファン67のアクチュエータであり、第3室内CPU63によって駆動制御される。第3室内通信部61は、第2室内ユニット5の第2室内通信部51と伝送ラインを介して接続され、各種情報のやり取りを行う。第3室内記憶部62は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ67mへの入力エネルギの関係式等が記憶されており、後述する制御部207が行う省エネ制御において利用される。なお、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ67mへの入力エネルギの関係式の特定方法は、上記実施形態と同様である。
本実施形態の制御部207は、図9に示すように、室外ユニット1の第1室外CPU1a、第1室外記憶部1bおよび第1室外通信部1cと、室内ユニット4の第1室内通信部41、第1室内記憶部42および第1室内CPU43と、室内ユニット5の第2室内通信部51、第2室内記憶部52および第2室内CPU53と、室内ユニット6の第3室内通信部61、第3室内記憶部62および第3室内CPU63と、コントローラ9のリモコン通信部91、リモコン記憶部92およびリモコンCPU93と、が互いに伝送ラインを介して接続されることで構成されている。制御部207は、冷媒サイクルシステム200において冷房運転を行う場合には、例えば、図10に示すPH線図のように冷媒の状態を変化させて冷凍サイクルを行う。ここで、制御部207は、圧縮機駆動モータ15mの駆動周波数、室外ファンモータ19mの回転数、室外膨張弁18、室内膨張弁46の弁開度、室内ファンモータ47mの回転数、室内膨張弁56の弁開度、室内ファンモータ57mの回転数、室内膨張弁66の弁開度、および、室内ファンモータ67mの回転数を制御する。
(2−1−1)冷房運転制御
冷房運転時は、制御部207は、室外膨張弁18を全開状態となるように制御しつつ、圧縮機15の吸入冷媒の過熱度が同じ値で一定になるように室内膨張弁46、56、66の弁開度をそれぞれ制御している。
また、冷房運転時は、制御部207は、圧縮機15の圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が最新の目標蒸発温度(以下の各制御で述べる更新された目標蒸発温度)になるように駆動周波数の制御を行う。
また、冷房運転時は、制御部207は、室外ファン19の室外ファンモータ19mについて、冷凍サイクルの凝縮温度が最新の目標凝縮温度(以下の各制御で述べる更新された目標凝縮温度)になるように回転数の制御を行う。
さらに、冷房運転時は、制御部207は、室内ファン47の室内ファンモータ47mについて室内ユニット4について設定された室内温度となるように、室内ファン57の室内ファンモータ57mについて室内ユニット5について設定された室内温度となるように、室内ファン67の室内ファンモータ67mについて室内ユニット6について設定された室内温度となるように、それぞれ回転数の制御を行う。
(2−1−2)暖房運転制御
暖房運転時は、制御部207は、室内膨張弁46、56、66を全開状態にしつつ、圧縮機15の吸入冷媒の過熱度が一定になるように室外膨張弁18の弁開度を制御している。
また、暖房運転時は、制御部207は、圧縮機15の圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの凝縮温度が最新の目標凝縮温度(以下の各制御で述べる更新された目標凝縮温度)になるように駆動周波数の制御を行う。
また、暖房運転時は、制御部207は、室外ファン19の室外ファンモータ19mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が最新の目標蒸発温度(以下の各制御で述べる更新された目標蒸発温度)になるように回転数の制御を行う。
さらに、暖房運転時は、制御部207は、室内ファン47の室内ファンモータ47mについては室内ユニット4について設定された室内温度となるように、室内ファン57の室内ファンモータ57mについては室内ユニット5について設定された室内温度となるように、室内ファン67の室内ファンモータ67mについては室内ユニット6について設定された室内温度となるように回転数の制御を行う。
(2−2)凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム200において冷房運転が行われている場合に、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19mが目標蒸発温度になるように制御される点、および、更新される目標凝縮温度Tcを室内熱交換器45、55、65での能力を維持できる範囲内に保つ点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図11に、制御部207が行う、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室外ファンモータ19mへの入力エネルギと圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標凝縮温度に更新していく処理が行われる。
ステップS40では、制御部207は、コントローラ9を介して凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御の実行開始の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室外ファンモータ19mと圧縮機駆動モータ15mとを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS41では、制御部207は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式について、室外熱交換器17での能力Qを一定に維持する条件下で凝縮温度による一次微分の関係式を求める。一次微分の関係式の求め方は、特に限定されないが、例えば、dN/dGaは定数とみなし、能力Q=比例定数K×冷媒と空気の温度差ΔT×風量Gaの関係から定まるGa=Q/(K×(Tc−T))の式を用いてdGa/dTcを求めることで、室外熱交換器17での能力Qを一定に維持する条件下での凝縮温度による一次微分の関係式を求めることができる。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度を変化させた場合の室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの変化の傾向を把握する。具体的には、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式の現状の凝縮温度における接線の傾き(凝縮温度による一次微分で得られる関係式に対して、現状の凝縮温度Tc1を代入して得られる値)として、dP外Fan/dTcを把握する。
ステップS42では、制御部207は、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、室外熱交換器17での能力Qを一定に維持する条件下で凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度を変化させた場合の圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの変化の傾向を把握する。具体的には、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの関係式の現状の凝縮温度Tc1における接線の傾き(凝縮温度による一次微分で得られる関係式に対して、現状の凝縮温度Tc1を代入して得られる値)として、dPComp/dTcを把握する。
ステップS43では、制御部207は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式を凝縮温度によって一次微分することで得られる関係式に対して、現状の凝縮温度を代入して得られた値(ステップS41で把握した値)と、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの関係式を凝縮温度によって一次微分することで得られる関係式に対して、現状の凝縮温度を代入して得られた値(ステップS42で把握した値)と、の合計値を算出する。
ステップS44では、制御部207は、ステップS43で得られた合計値に対して、正負を逆にしつつ、所定の定数Kcを乗じて、現状の凝縮温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTcsを算出する(第1実施形態と同様)。
ステップS45では、制御部207は、ステップS44で把握した目標凝縮温度の変化分ΔTcsを、現状の凝縮温度に加えて、目標凝縮温度を更新させる。
ステップS46では、制御部207は、更新された目標凝縮温度を実現するように室外ファンモータ19mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mについて、制御部207は、冷凍サイクルの凝縮温度が更新された目標凝縮温度になるように回転数の制御を行う。なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標凝縮温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS47では、制御部207は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標凝縮温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS41に戻り、処理を続ける。
(2−3)蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム200において冷房運転が行われている場合に、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、この蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御は、上述した凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御と同時に進行させてもよく、その場合には各省エネ制御の処理タイミングをずらすことが好ましい。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19mが目標蒸発温度になるように制御される点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図12に、制御部207が行う、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室内ファンモータ47mへの入力エネルギと、室内ファンモータ57mへの入力エネルギと、室内ファンモータ67mへの入力エネルギと、圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標蒸発温度に更新していく処理が行われる。
ステップS50では、制御部207は、コントローラ9を介して蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室内ファンモータ47m、室内ファンモータ57m、室内ファンモータ67m、および、圧縮機駆動モータ15mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS51では、制御部207は、室内熱交換器45において要求されている能力が不足しない範囲で、現状から上げることができる蒸発温度の変化分ΔTeを算出する。
なお、室内熱交換器45において要求されている能力は、室内ユニット4について設定されている設定温度、室内温度センサ49が検知する室内温度、現状の室内ファンモータ47mへの入力エネルギの値、および、室内熱交換器45の熱交換器特性式(より好ましくは、さらに室内ファンモータ47mのファン入力特性式)に基づいて制御部207が算出する。
制御部207は、同様にして、室内熱交換器55において要求されている能力が不足しない範囲で、現状から上げることができる蒸発温度の変化分ΔTeを算出する。なお、室内熱交換器55において要求されている能力は、室内ユニット5について設定されている設定温度、室内温度センサ59が検知する室内温度、現状の室内ファンモータ57mへの入力エネルギの値、および、室内熱交換器55の熱交換器特性式(より好ましくは、さらに室内ファンモータ57mのファン入力特性式)に基づいて制御部207が算出する。
制御部207は、さらに、室内熱交換器65において要求されている能力が不足しない範囲で、現状から上げることができる蒸発温度の変化分ΔTeを算出する。なお、室内熱交換器65において要求されている能力は、室内ユニット6について設定されている設定温度、室内温度センサ69が検知する室内温度、現状の室内ファンモータ67mへの入力エネルギの値、および、室内熱交換器65の熱交換器特性式(より好ましくは、さらに室内ファンモータ67mのファン入力特性式)に基づいて制御部207が算出する。
さらに、制御部207は、各室内ユニット4、5、6について算出した、現状から上げることができる蒸発温度の変化分ΔTeの各値の中から、最も低い値を選んで、ΔTesaとする。ここで、現状から上げることができる蒸発温度の変化分ΔTeの値が最も小さいΔTesaを特定することで、室内ユニット4、5、6のいずれにおいても能力不足が生じないことを確保している。
ステップS52では、制御部207は、各室内ユニット4、5、6の室内ファンモータ47m、57m、67mへの入力エネルギの変化傾向(接線の傾き)の総和を求める。
まず、制御部207は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内1Fanの関係式(例えば、P内1Fan=y1N3+y2N2+y3N)について、室内熱交換器45での能力Qを一定に維持する条件下で蒸発温度Teによる一次微分の関係式を求め、現状の蒸発温度を代入し、その現状の蒸発温度を変化させた場合の室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内1Fanの変化の傾向(蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内1Fanの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き)を把握する。
制御部207は、同様にして、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ57mへの入力エネルギP内2Fanの関係式(例えば、P内2Fan=y4N3+y5N2+y6Nであって、P内1Fanと全く同じであっても異なっていてもよい)について、室内熱交換器55での能力Qを一定に維持する条件下で蒸発温度Teによる一次微分の関係式を求め、現状の蒸発温度を代入し、その現状の蒸発温度を変化させた場合の室内ファンモータ57mへの入力エネルギP内2Fanの変化の傾向(蒸発温度Teに対する室内ファンモータ57mへの入力エネルギPFanの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き)を把握する。
制御部207は、さらに、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ67mへの入力エネルギP内3Fan(例えば、P内3Fan=y7N3+y8N2+y9Nであって、P内1FanやP内2Fanのいずれかと全く同じであっても異なっていてもよい)の関係式について、室内熱交換器65での能力Qを一定に維持する条件下で蒸発温度Teによる一次微分の関係式を求め、現状の蒸発温度を代入し、その現状の蒸発温度を変化させた場合の室内ファンモータ67mへの入力エネルギP内3Fanの変化の傾向(蒸発温度Teに対する室内ファンモータ67mへの入力エネルギP内3Fanの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き)を把握する。
制御部207は、上記室内ユニット4、5、6毎に求めた接線の傾きの値を合計することで、総和を求める。
ステップS53では、制御部207は、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、蒸発温度Teによる一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入し、現状の蒸発温度を変化させた場合の圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの変化の傾向(蒸発温度に対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギPCompの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き)を把握する。
ステップS54では、制御部207は、ステップS52で把握した値と、ステップS53で把握した値と、の合計値を算出する。
ステップS55では、制御部207は、ステップS54で得られた合計値に対して、正負を逆にしつつ、所定の定数Keを乗じて、上記第1実施形態と同様に、現状の蒸発温度から更新する目標蒸発温度への変化分ΔTesbを算出する。
ステップS56では、制御部207は、ステップS51で算出した蒸発温度の変化分ΔTesaと、ステップS55で求めた蒸発温度の変化分ΔTesbと、を比較し、より小さい変化分を特定する。これにより、各室内ユニット4、5、6において要求されている能力が不足しない範囲で、省エネ化させることが可能な、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTesを把握することができる。
ステップS57では、制御部207は、ステップS56で把握した目標蒸発温度の変化分ΔTesを、現状の蒸発温度に加えて、目標蒸発温度を更新させる。
ステップS58では、制御部207は、ステップS57で更新された目標蒸発温度を実現するように圧縮機駆動モータ15mを制御する。具体的には、圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように、駆動周波数の制御を行う。
なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるようにの制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるようにの制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるようにの制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標蒸発温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS59では、制御部207は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS51に戻り、処理を続ける。
(2−4)凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム200において冷房運転が行われている場合に、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19mが目標蒸発温度になるように制御される点および、更新される目標凝縮温度Tcを室内熱交換器45、55、65での能力を維持できる範囲内に保つ点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図13に、制御部207が行う、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室内ファンモータ47mへの入力エネルギと、室内ファンモータ57mへの入力エネルギと、室内ファンモータ67mへの入力エネルギと、圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギと、室外ファンモータ19mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標凝縮温度および目標蒸発温度に更新していく処理が行われる。
ステップS60では、制御部207は、コントローラ9を介して凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室外ファンモータ19m、室内ファンモータ47m、室内ファンモータ57m、室内ファンモータ67m、および、圧縮機駆動モータ15mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS61では、制御部207は、上記蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御のステップS51と同様に、現状から上げることができる蒸発温度の変化分ΔTeの各室内ユニット4、5、6の値の中から、最も低い値を選んで、ΔTesaとする。なお、室内熱交換器45、55、65における能力に余裕が無く、蒸発温度Teを低下させる必要がある場合(能力を増大させる必要がある場合)には、蒸発温度の変化分は負の値として算出される。
ステップS62では、制御部207は、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTeについて、3通りの値を用意する。また、現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分ΔTcについても、3通りの値を用意する。
具体的には、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTeとして、以下のh)〜j)の値を用意する。
h) A(T平均室温−Te)
i)−A(T平均室温−Te)
j) 0
ここで、Aは、1以下の蒸発温度調整定数であり、予め定められた値である(例えば、好まし範囲として0.03〜0.05の範囲に定めてもよい。)。また、Teは、現状の目標蒸発温度である。T平均室温は、室内温度センサ49が検知している温度と、室内温度センサ59が検知している温度と、室内温度センサ69が検知している温度と、の平均値である。h)は目標蒸発温度を上げる変化に相当し、i)は目標蒸発温度を下げる変化に相当し、j)は目標蒸発温度を変更しない場合に相当する。
なお、現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分ΔTcとしては、具体的には、以下のk)〜m)の値を用意する。
k) B(Tc−T室外温度)
l)−B(Tc−T室外温度)
m) 0
ここで、Bは、1以下の凝縮温度調整定数であり、予め定められた値である(例えば、好まし範囲として0.03〜0.05の範囲に定めてもよい。)。また、Tcは、現状の目標凝縮温度である。T室外温度は、室外温度センサ11が検知する温度である。k)は目標凝縮温度を上げる変化に相当し、l)は目標凝縮温度を下げる変化に相当し、m)は目標凝縮温度を変更しない場合に相当する。
ステップS63では、制御部207は、さらに、上記用意した3通りの「現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTe」と、3通りの「現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分ΔTc」と、から定まる9通りの組合せのうち、ステップS61で算出した蒸発温度の変化分ΔTesaを超えてしまう組合せを除外する処理を行う。
ステップS64では、制御部207は、ステップS63において9通りの組合せの全てが除外されているか否かを判断する。9通りの組合せの全てが除外されていると判断した場合には、ステップS65に移行する。また、9通りの組合せのうち除外されている組合せが一部である場合や除外されている組合せが存在しない場合には、ステップS67に移行する。
ステップS65では、制御部207は、現状の蒸発温度を、ステップS61で算出した蒸発温度の変化分ΔTesaだけ変化させて得られる値を、更新された目標蒸発温度とする。そして、制御部207は、圧縮機駆動モータ15mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように、駆動周波数の制御を行い、ステップS66に移行する。なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標蒸発温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS66では、制御部207は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS61に戻り、処理を続ける。
ステップS67では、制御部207は、上記9通りの組合せの中から、ステップS64で除外された組合せ以外の残りの組合せについて、入力エネルギの変化分の合計量をそれぞれ算出する。
具体的には、制御部207は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内1Fanの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入することで、室内ファンモータ47mに関する現状の接線の傾きを求める。この処理を、室内ファンモータ57m、および、室内ファンモータ67mについても同様に行う。制御部207は、さらに、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入することで、圧縮機駆動モータ15mと蒸発温度との関係に関する現状の接線の傾きを求める。その後、制御部207は、室内ファンモータ47mに関する現状の接線の傾きと、室内ファンモータ57mに関する現状の接線の傾きと、室内ファンモータ67mに関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ15mと蒸発温度との関係に関する現状の接線の傾きと、の合計値である接線の傾きの合計値を求める。さらに、制御部207は、この接線の傾きの合計値に対して、組合せ毎にh)、i)、j)の値を乗じることで、現状の蒸発温度から変化させた場合に想定される入力エネルギの変化量を算出する。
また、制御部207は、凝縮温度Tcについても同様の処理を行う。すなわち、制御部207は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外Fanの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入することで、室外ファンモータ19mに関する現状の接線の傾きを求める。制御部207は、さらに、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入することで、圧縮機駆動モータ15mと凝縮温度との関係に関する現状の接線の傾きを求める。その後、制御部207は、室外ファンモータ19mに関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ15mと凝縮温度との関係に関する現状の接線の傾きと、の合計値である接線の傾きの合計値を求める。さらに、制御部207は、この接線の傾きの合計値に対して、組合せ毎にk)、l)、m)の値を乗じることで、現状の凝縮温度から変化させた場合に想定される入力エネルギの変化量を算出する。
以上によって、ステップS64で除外された組合せ以外の残りの組合せについて、入力エネルギの変化分の合計量をそれぞれ算出する。そして、それらの入力エネルギの変化分の合計量が最小の値となる、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTeと現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分ΔTcとの組合せを特定する。
ステップS68では、制御部207は、ステップS67で入力エネルギの変化分の合計量が最小になるとして特定された蒸発温度の変化分ΔTeと凝縮温度の変化分ΔTcとの組合せを反映させて、目標蒸発温度を更新しつつ、目標凝縮温度も更新する。すなわち、現状の蒸発温度に対して、ステップS67で入力エネルギの変化分の合計量が最小になる組合せとして特定された蒸発温度の変化分ΔTeを加えて得られる値を、更新された目標蒸発温度とする。また、現状の凝縮温度に対して、ステップS67で入力エネルギの変化分の合計量が最小になる組合せとして特定された凝縮温度の変化分ΔTcを加えて得られる値を、更新された目標凝縮温度とする。そして、制御部207は、室外ファンモータ19mについて冷凍サイクルの凝縮温度が更新された目標凝縮温度になるように、圧縮機駆動モータ15mについて冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように、それぞれ駆動周波数と回転数の制御を行う。
なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標蒸発温度および目標凝縮温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS69では、制御部207は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度および更新された目標凝縮温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS61に戻り、処理を続ける。
(2−5)第2実施形態の特徴
以上の第2実施形態の冷媒サイクルシステム200では、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2実施形態の冷媒サイクルシステム200では、室内ユニット4、5、6が複数台設けられている場合であっても、予め特定することが必要な情報量を少なくしつつ、演算処理負荷の低減化も可能にし、実際に施工される状況を踏まえて必要とされる入力エネルギの合計量を小さく抑えた運転状態での安定化を迅速化させることができる。
なお、上記処理を、室内熱交換器45、室内熱交換器55、および、室内熱交換器65において必要とされる能力の範囲内で行うことも可能になっている。
また、通常、室内ユニットの数が少なく、例えば室内ユニットが1台だけのシステムでは、圧縮機駆動モータ15mで消費される入力エネルギが、システム内での全ての入力エネルギの大部分を占めている。このため、室内ユニット4の内部で消費される入力エネルギを問題とすることなく、圧縮機駆動モータ15mで消費される入力エネルギの省エネ化に特化した制御であっても、省エネ効果を得やすい。これに対して、第2実施形態の冷媒サイクルシステム200では、室内ユニット4、5、6が複数設けられる。このため、室内ユニットが1台のみであって室内ファンモータが1つだけのシステムと比べて、システム内での全ての入力エネルギのうち、複数の室内ユニット4、5、6の複数の室内ファンモータ47m、57m、67mで消費される入力エネルギの割合が高くなっている。したがって、上記のように、圧縮機駆動モータ15mと室内ファンモータ47m、57m、67mと室外ファンモータ19mとの合計の入力エネルギを小さく抑える制御を行った場合には、省エネ効果が得られやすい。
(3)第3実施形態
以下、図面を参照しつつ、本発明の第3実施形態の冷媒サイクルシステムの例を挙げて説明する。
図14に、冷媒サイクルシステム300の冷媒回路図を示す。図15に、ブロック線図を示す。図16に、PH線図を示す。
(3−1)冷媒サイクルシステム300の概略構成
冷媒サイクルシステム300は、上記第2実施形態の冷媒サイクルシステム200の冷媒回路210に対して、室外ユニット2が並列に追加された冷媒回路310を備えている。なお、第1実施形態や第2実施形態と実質的に同じ部材については、同じ参照符号を付して、説明を省略する。
室外ユニット2内には、圧縮機25、四路切換弁26、室外熱交換器27、室外膨張弁28、室外ファン29、室外温度センサ21、吐出冷媒温度センサ22、吐出冷媒圧力センサ23、室外熱交換器温度センサ24が設けられている。室外ユニット2の内部には、さらに、圧縮機駆動モータ25m、室外ファンモータ29m、第2室外CPU2aと、第2室外記憶部2bと、第2室外通信部2cと、が設けられている。室外温度センサ21は、室外熱交換器27を通過する前の室外空気の温度を検知し、第2室外CPU2aに対して当該室外温度の情報を送る。吐出冷媒温度センサ22は、圧縮機25の吐出側を流れる冷媒の温度を検知し、第2室外CPU2aに対して当該吐出冷媒温度の情報を送る。吐出冷媒圧力センサ23は、圧縮機25の吐出側を流れる冷媒の圧力を検知し、第2室外CPU2aに対して当該吐出冷媒圧力の情報を送る。室外熱交換器温度センサ24は、室外熱交換器27の内部を流れる冷媒温度を検知し、第2室外CPU2aに対して、室外熱交換器温度の情報を送る。圧縮機駆動モータ25mは圧縮機25のアクチュエータであり、室外ファンモータ29mは室外ファン29のアクチュエータであり、第2室外CPU2aによって駆動制御される。第2室外通信部2cは、室外ユニット1の第1室外通信部1cと伝送ラインを介して接続され、情報のやり取りを行う。第2室外記憶部2bは、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ29mへの入力エネルギの関係式、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギの関係式、室内ユニット4、5、6毎の蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式等が記憶されており、後述する制御部307が行う省エネ制御において利用される。ここでの関係式の具体的な例は、上記第1実施形態や第2実施形態と同様である。
本実施形態の制御部307は、図15に示すように、室外ユニット1の第1室外CPU1a、第1室外記憶部1bおよび第1室外通信部1cと、室外ユニット2の第2室外CPU2a、第2室外記憶部2bおよび第2室外通信部2cと、室内ユニット4の第1室内通信部41、第1室内記憶部42および第1室内CPU43と、室内ユニット5の第2室内通信部51、第2室内記憶部52および第2室内CPU53と、室内ユニット6の第3室内通信部61、第3室内記憶部62および第3室内CPU63と、コントローラ9のリモコン通信部91、リモコン記憶部92およびリモコンCPU93と、が互いに伝送ラインを介して接続されることで構成されている。制御部307は、冷媒サイクルシステム300において冷房運転を行う場合には、例えば、図16に示すPH線図のように冷媒の状態を変化させて冷凍サイクルを行う。ここで、制御部307は、圧縮機駆動モータ15mの駆動周波数、室外ファンモータ19mの回転数、室外膨張弁18、圧縮機駆動モータ25mの駆動周波数、室外ファンモータ29mの回転数、室外膨張弁28、室内膨張弁46の弁開度、室内ファンモータ47mの回転数、室内膨張弁56の弁開度、室内ファンモータ57mの回転数、室内膨張弁66の弁開度、および、室内ファンモータ67mの回転数を制御する。
(3−1−1)冷房運転制御
冷房運転時は、制御部307は、室外膨張弁18を全開状態となるように制御しつつ、圧縮機15および圧縮機25の吸入冷媒の過熱度が同じ値で一定になるように室内膨張弁46、56、66の弁開度をそれぞれ制御している。
また、冷房運転時は、制御部307は、圧縮機15の圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機25の圧縮機駆動モータ25mについて冷凍サイクルの蒸発温度が最新の目標蒸発温度(以下の各制御で述べる更新された目標蒸発温度)になるように、それぞれ駆動周波数の制御を行う。
また、冷房運転時は、制御部307は、室外ファン19の室外ファンモータ19mおよび室外ファン29の室外ファンモータ29mについて、冷凍サイクルの凝縮温度が最新の目標凝縮温度(以下の各制御で述べる更新された目標凝縮温度)になるように、それぞれ回転数の制御を行う。
さらに、冷房運転時は、制御部307は、室内ファン47の室内ファンモータ47mについて室内ユニット4について設定された室内温度となるように、室内ファン57の室内ファンモータ57mについて室内ユニット5について設定された室内温度となるように、室内ファン67の室内ファンモータ67mについて室内ユニット6について設定された室内温度となるように、それぞれ回転数の制御を行う。
(3−1−2)暖房運転制御
暖房運転時は、制御部307は、室内膨張弁46、56、66を全開状態にしつつ、圧縮機15の吸入冷媒の過熱度および圧縮機25の吸入冷媒の過熱度が同じ値で一定になるように、室外膨張弁18および室外膨張弁28の弁開度をそれぞれ制御する。
また、暖房運転時は、制御部307は、圧縮機15の圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機25の圧縮機駆動モータ25mについて、冷凍サイクルの凝縮温度が最新の目標凝縮温度(以下の各制御で述べる更新された目標凝縮温度)になるように、それぞれ駆動周波数の制御を行う。
また、暖房運転時は、制御部307は、室外ファン19の室外ファンモータ19mおよび室外ファン29の室外ファンモータ29mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が最新の目標蒸発温度(以下の各制御で述べる更新された目標蒸発温度)になるように、それぞれ回転数の制御を行う。
さらに、暖房運転時は、制御部307は、室内ファン47の室内ファンモータ47mについては室内ユニット4について設定された室内温度となるように、室内ファン57の室内ファンモータ57mについては室内ユニット5について設定された室内温度となるように、室内ファン67の室内ファンモータ67mについては室内ユニット6について設定された室内温度となるように、それぞれ回転数の制御を行う。
(3−2)凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム300において冷房運転が行われている場合に、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15m、25mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19m、29mが目標蒸発温度になるように制御される点、および、更新される目標凝縮温度Tcを室内熱交換器45、55、65での能力を維持できる範囲内に保つ点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図17に、制御部307が行う、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室外ファンモータ19mへの入力エネルギと、室外ファンモータ29mへの入力エネルギと、圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギと、圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標凝縮温度に更新していく処理が行われる。
ステップS70では、制御部307は、コントローラ9を介して凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御の実行開始の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室外ファンモータ19m、室外ファンモータ29m、圧縮機駆動モータ15m、および、圧縮機駆動モータ25mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mおよび室外ファンモータ29mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機駆動モータ25mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS71では、制御部307は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外1Fanの関係式(例えば、P外1Fan=x1N3+x2N2+x3N)について、室外熱交換器17での能力Qを一定に維持する条件下で凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度から変化させた場合の室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外1Fanの変化の傾向(凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外1Fanの関係式の現状の凝縮温度における接線の傾き)を把握する。
制御部307は、同様に、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ29mへの入力エネルギP外2Fanの関係式(例えば、P外2Fan=x4N3+x5N2+x6Nであって、P外1Fanと全く同じであっても異なっていてもよい)について、室外熱交換器27での能力Qを一定に維持する条件下で凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度から変化させた場合の室外ファンモータ29mへの入力エネルギP外2Fanの変化の傾向(凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ29mへの入力エネルギP外2Fanの関係式の現状の凝縮温度における接線の傾き)を把握する。
そして、制御部307は、室外ファンモータ19mに関する上記接線の傾きの値と、室外ファンモータ29mに関する上記接線の傾きの値と、の合計値を算出する。これにより、全ての室外ファンモータ19m、29mについて、入力エネルギの凝縮温度による微分値の合計値を得る。
ステップS72では、制御部307は、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、室外熱交換器17での能力Qを一定に維持する条件下で凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度から凝縮温度を変化させた場合の圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギP1Compの変化の傾向(凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギP1Compの関係式の現状の凝縮温度における接線の傾き)を把握する。
制御部307は、同様に、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギの関係式について、室外熱交換器27での能力Qを一定に維持する条件下で凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入し、その現状の凝縮温度から変化させた場合の圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギP2Compの変化の傾向(凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギP2Compの関係式の現状の凝縮温度における接線の傾き)を把握する。
そして、制御部307は、圧縮機駆動モータ15mに関する上記接線の傾きの値と、圧縮機駆動モータ25mに関する上記接線の傾きの値と、の合計値を算出する。これにより、全ての圧縮機駆動モータ15m、25mについて、入力エネルギの凝縮温度による微分値の合計値を得る。
ステップS73では、制御部307は、ステップS71で得た合計値と、ステップS72で得た合計値と、の合計値を算出する。
ステップS74では、制御部307は、ステップS73で得られた合計値に対して、正負を逆にしつつ、所定の定数Kcを乗じて、現状の凝縮温度から更新される目標凝縮温度への変化分ΔTcsを算出する(第1実施形態と同様)。
ステップS75では、制御部307は、ステップS74で把握した目標凝縮温度の変化分ΔTcsを、現状の凝縮温度に加えて、目標凝縮温度を更新させる。
ステップS76では、制御部307は、更新された目標凝縮温度を実現するように室外ファンモータ19mおよび室外ファンモータ29mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mおよび室外ファンモータ29mについて、制御部307は、冷凍サイクルの凝縮温度が更新された目標凝縮温度になるように回転数の制御を行う。
なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標凝縮温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS77では、制御部307は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標凝縮温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS71に戻り、処理を続ける。
(3−3)蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム300において冷房運転が行われている場合に、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、この蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御は、上述した凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御と同時に進行させてもよく、その場合には各省エネ制御の処理タイミングをずらすことが好ましい。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15m、25mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19m、29mが目標蒸発温度になるように制御される点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図18に、制御部307が行う、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御のフローチャートを用いて示す。
この制御では、室内ファンモータ47mへの入力エネルギと、室内ファンモータ57mへの入力エネルギと、室内ファンモータ67mへの入力エネルギと、圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標蒸発温度に更新していく処理が行われる。
ステップS80では、制御部307は、コントローラ9を介して蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室内ファンモータ47m、室内ファンモータ57m、室内ファンモータ67m、および、圧縮機駆動モータ15mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mおよび室外ファンモータ29mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機駆動モータ25mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS81では、制御部307は、上記第2実施形態の蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御のステップS51と同様の処理を行う。
ステップS82では、制御部307は、上記第2実施形態の蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御のステップS52と同様の処理を行って、接線の傾きの総和を求める。
ステップS83では、制御部307は、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、蒸発温度Teによる一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入し、その現状の蒸発温度から変化させた場合の圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギP1Compの変化の傾向(蒸発温度に対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギP1Compの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き)を把握する。
制御部307は、同様にして、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギの関係式について、蒸発温度Teによる一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入し、その現状の蒸発温度から変化させた場合の圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギP2Compの変化の傾向(蒸発温度に対する圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギP2Compの関係式の現状の蒸発温度における接線の傾き)を把握する。
制御部307は、以上により、圧縮機駆動モータ15mに関する上記接線の傾きの値と、圧縮機駆動モータ25mに関する上記接線の傾きの値と、の合計値を算出する。これにより、全ての圧縮機駆動モータ15m、25mについて、入力エネルギの蒸発温度による微分値の合計値を得る。
ステップS84では、制御部307は、ステップS82で把握した値と、ステップS83で把握した値と、の合計値を算出する。
ステップS85では、制御部307は、ステップS84で得られた合計値に対して、正負を逆にしつつ、所定の定数Keを乗じて、上記第1実施形態と同様に、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTesbを算出する。
ステップS86では、制御部307は、ステップS81で算出した蒸発温度の変化分ΔTesaと、ステップS85で求めた蒸発温度の変化分ΔTesbと、を比較し、より小さい変化分を特定する。これにより、各室内ユニット4、5、6において要求されている能力が不足しない範囲で、省エネ化させることが可能な、現状の蒸発温度から更新される目標蒸発温度への変化分ΔTesを把握することができる。
ステップS87では、制御部307は、ステップS86で把握した目標蒸発温度の変化分ΔTesを、現状の蒸発温度に加えて、目標蒸発温度を更新させる。
ステップS88では、制御部307は、ステップS87で更新された目標蒸発温度を実現するように圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機駆動モータ25mを制御する。具体的には、圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機駆動モータ15mの両方について、冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度で同一になるように、それぞれ駆動周波数の制御を行う。なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標蒸発温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
そして、制御部307は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS81に戻り、処理を続ける。
(3−4)凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御
以下、冷媒サイクルシステム300において冷房運転が行われている場合に、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御の例を説明する。なお、暖房運転では、圧縮機駆動モータ15m、25mが目標凝縮温度になるように制御され、室外ファンモータ19m、29mが目標蒸発温度になるように制御される点、および、更新される目標凝縮温度Tcを室内熱交換器45、55、65での能力を維持できる範囲内に保つ点以外は、以下の冷房運転における制御と同様であるため、説明を省略する。
図19に、制御部307が行う、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御のフローチャートを示す。
この制御では、室内ファンモータ47mへの入力エネルギと、室内ファンモータ57mへの入力エネルギと、室内ファンモータ67mへの入力エネルギと、圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギと、圧縮機駆動モータ25mへの入力エネルギと、室外ファンモータ19mへの入力エネルギと、室外ファンモータ29mへの入力エネルギとの合計値を、現在よりも少なくすることができる目標凝縮温度および目標蒸発温度に更新していく処理が行われる。
ステップS90では、制御部307は、コントローラ9を介して凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御の指示を受け付けた場合に、予め定めた定格運転条件に従うように、室内ファンモータ47m、室内ファンモータ57m、室内ファンモータ67m、圧縮機駆動モータ15m、圧縮機駆動モータ25m、室外ファンモータ19m、および、室外ファンモータ29mを制御する。具体的には、室外ファンモータ19mおよび室外ファンモータ29mは、凝縮温度が、初期の目標凝縮温度になるように、回転数の制御が行われる。また、圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機駆動モータ25mは、蒸発温度が、初期の目標蒸発温度となるように、駆動周波数の制御が行われる。
ステップS91では、制御部307は、上記第2実施形態の蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御のステップS51と同様に、現状から上げることができる蒸発温度の変化分ΔTeの各室内ユニット4、5、6の値の中から、最も低い値を選んで、ΔTesaとする。
ステップS92では、制御部307は、上記第2実施形態の凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teの両方を好適化することによる省エネ制御のステップS62と同様に、目標蒸発温度の変化分ΔTeについて、3通りの値を用意する。また、目標凝縮温度の変化分ΔTcについても、3通りの値を用意する。なお、T室外気温については、室外温度センサ11が検知する温度と、室外温度センサ21が検知する温度と、の平均の温度として制御部307が求める。
ステップS93では、制御部307は、さらに、上記用意した3通りの目標蒸発温度の変化分ΔTeと、3通りの目標凝縮温度の変化分ΔTcと、から定まる9通りの組合せのうち、ステップS91で算出した蒸発温度の変化分ΔTesaを超えてしまう組合せを除外する処理を行う。
ステップS94では、制御部307は、ステップS93において9通りの組合せの全てが除外されているか否かを判断する。9通りの組合せの全てが除外されていると判断した場合には、ステップS95に移行する。また、9通りの組合せのうち除外されている組合せが一部である場合や除外されている組合せが存在しない場合には、ステップS97に移行する。
ステップS95では、制御部307は、現状の蒸発温度を、ステップS91で算出した蒸発温度の変化分ΔTesaだけ変化させて得られる値を、更新された目標蒸発温度とする。そして、制御部307は、圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機駆動モータ25mについて、冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように、それぞれ駆動周波数の制御を行い、ステップS96に移行する。
なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標蒸発温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS96では、制御部307は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS91に戻り、処理を続ける。
ステップS97では、制御部307は、上記9通りの組合せの中から、ステップS94で除外された組合せ以外の残りの組合せについて、入力エネルギの変化分の合計量をそれぞれ算出する。
具体的には、制御部307は、蒸発温度Teに対する室内ファンモータ47mへの入力エネルギP内1Fanの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入することで、室内ファンモータ47mに関する現状の接線の傾きを求める。制御部307は、この処理を、室内ファンモータ57m、および、室内ファンモータ67mについても同様に行う。制御部307は、さらに、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、蒸発温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の蒸発温度を代入することで、圧縮機駆動モータ15mと蒸発温度との関係に関する現状の接線の傾きを求める。制御部307は、この処理を、圧縮機駆動モータ25mについても同様に行う。その後、制御部307は、室内ファンモータ47mに関する現状の接線の傾きと、室内ファンモータ57mに関する現状の接線の傾きと、室内ファンモータ67mに関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ15mと蒸発温度との関係に関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ25mと蒸発温度との関係に関する現状の接線の傾きと、の合計値である接線の傾きの合計値を求める。さらに、制御部307は、この接線の傾きの合計値に対して、組合せ毎にh)、i)、j)の値を乗じることで、目標蒸発温度を変化させた場合に想定される入力エネルギの変化量を算出する。
また、制御部307は、凝縮温度Tcについても同様の処理を行う。すなわち、制御部307は、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19mへの入力エネルギP外1Fanの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入することで、室外ファンモータ19mに関する現状の接線の傾きを求める。制御部307は、この処理を、室外ファンモータ29mについても同様に行う。制御部307は、さらに、凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式について、凝縮温度による一次微分の関係式を求める。その後、求められた一次微分の関係式に対して、現状の凝縮温度を代入することで、圧縮機駆動モータ15mと凝縮温度との関係に関する現状の接線の傾きを求める。制御部307は、この処理を、圧縮機駆動モータ25mについても同様に行う。その後、制御部307は、室外ファンモータ19mに関する現状の接線の傾きと、室外ファンモータ29mに関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ15mと凝縮温度との関係に関する現状の接線の傾きと、圧縮機駆動モータ25mと凝縮温度との関係に関する現状の接線の傾きと、の合計値である接線の傾きの合計値を求める。さらに、制御部307は、この接線の傾きの合計値に対して、組合せ毎にk)、l)、m)の値を乗じることで、目標凝縮温度を変化させた場合に想定される入力エネルギの変化量を算出する。
以上によって、ステップS94で除外された組合せ以外の残りの組合せについて、入力エネルギの変化分の合計量をそれぞれ算出する。そして、それらの入力エネルギの変化分の合計量が最小の値となる、蒸発温度の変化分ΔTeと凝縮温度の変化分ΔTcとの組合せを特定する。
ステップS98では、制御部307は、ステップS97で入力エネルギの変化分の合計量が最小になるとして特定された蒸発温度の変化分ΔTeと凝縮温度の変化分ΔTcとの組合せを反映させて、目標蒸発温度を更新しつつ、目標凝縮温度も更新する。すなわち、現状の蒸発温度に対して、ステップS97で入力エネルギの変化分の合計量が最小になる組合せとして特定された蒸発温度の変化分ΔTeを加えて得られる値を、更新された目標蒸発温度とする。また、現状の凝縮温度に対して、ステップS97で入力エネルギの変化分の合計量が最小になる組合せとして特定された凝縮温度の変化分ΔTcを加えて得られる値を、更新された目標凝縮温度とする。そして、制御部307は、室外ファンモータ19mおよび室外ファンモータ29mについて冷凍サイクルの凝縮温度が更新された目標凝縮温度になるように、圧縮機駆動モータ15mおよび圧縮機駆動モータ25mについて冷凍サイクルの蒸発温度が更新された目標蒸発温度になるように、それぞれ駆動周波数の制御を行う。
なお、室内ユニット4について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン47の室内ファンモータ47m、室内ユニット5について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン57の室内ファンモータ57m、室内ユニット6について設定された室内温度となるように制御が行われている室内ファン67の室内ファンモータ67mは、このように、更新された目標蒸発温度および目標凝縮温度となるように冷凍サイクルが制御されることで、結果的に、それぞれの回転数が変化することになる。
ステップS99では、制御部307は、冷凍サイクルの運転状態を、更新された目標蒸発温度および更新された目標凝縮温度で安定化させるために、所定時間待機(ここでは、5分間)する。その後、ステップS91に戻り、処理を続ける。
(3−5)第3実施形態の特徴
以上の第3実施形態の冷媒サイクルシステム300では、上記第1、2実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第3実施形態の冷媒サイクルシステム300では、室内ユニット4、5、6が複数台設けられており且つ室外ユニット1、2が複数台設けられている場合であっても、予め特定することが必要な情報量を少なくしつつ、演算処理負荷の低減化も可能にし、実際に施工される状況を踏まえて必要とされる入力エネルギの合計量を小さく抑えた運転状態での安定化を迅速化させることができる。
なお、上記処理を、室内熱交換器45、室内熱交換器55、および、室内熱交換器65において必要とされる能力の範囲内で行うことも可能になっている。
(4)他の実施形態
本発明の実施形態は、上記実施形態1〜3実施形態に限られるものではなく、例えば、以下の実施形態も本発明の実施形態に含まれる。
(4−1)
上記第1〜第3実施形態では、凝縮温度もしくは蒸発温度に対するアクチュエータの入力エネルギの関数の一次微分により、現状の凝縮温度もしくは現状の蒸発温度における接線の傾きに着目して、入力エネルギを低減させることが可能な目標凝縮温度もしくは目標蒸発温度に更新する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明の実施形態としては、これに限られず、例えば、現状の凝縮温度もしくは現状の蒸発温度について、現状の値からの所定の微小増減幅に対する入力エネルギの変化に着目して、入力エネルギを低減させることが可能な目標凝縮温度もしくは目標蒸発温度に更新するようにしてもよい。
(4−2)
上記第1〜第3実施形態では、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御、および、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の全てを選択的に実行可能な例を挙げて説明した。
しかし、本発明の実施形態としては、これに限られず、例えば、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御、および、凝縮温度Tcおよび蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御の少なくともいずれか1つを実施可能となるように構成されていてもよい。
そして、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御と、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御とを同時に行う場合には、冷房運転時には、先に蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御を行うことで更新された蒸発温度Teの目標値でシステムが安定化するのを待って(例えば、蒸発温度の変化が所定時間内に所定量以下である等)、引き続き、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御を行い、更新された凝縮温度Tcの目標値でシステムが安定化するのを待って、再度、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御を行い、これを繰り返す制御を行うことが好ましい。
なお、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御と、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御とを同時に行う場合には、暖房運転時には、先に凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御を行うことで更新された凝縮温度Tcの目標値でシステムが安定化するのを待って(例えば、凝縮温度の変化が所定時間内に所定量以下である等)、引き続き、蒸発温度Teを好適化することによる省エネ制御を行い、更新された蒸発温度Teの目標値でシステムが安定化するのを待って、再度、凝縮温度Tcを好適化することによる省エネ制御を行い、これを繰り返す制御を行うことが好ましい。
(4−3)
上記第1〜第3実施形態では、圧縮機やファン等のアクチュエータに関して、蒸発温度もしくは凝縮温度に対する入力エネルギの変化に着目して省エネ制御を行う場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明の実施形態としては、これに限られない。例えば、圧縮機やファン等のアクチュエータに関して、蒸発圧力、凝縮圧力、過熱度、過冷却度、乾き度の少なくともいずれか1つに対する入力エネルギの変化に着目して省エネ制御を行うようにしてもよい。
(4−4)
上記第1〜第3実施形態では、室外熱交換器17、27に対して流体としての空気を供給する熱源側流体供給部としての室外ファン19、29や、室内熱交換器45、55、65に対して流体としての空気を供給する利用側流体供給部としての室内ファン47、57、67を例に挙げて説明した。
しかし、本発明の実施形態としては、空気を送るものに限られない。例えば、冷凍システムにおいて、室外ファンや室内ファンの代わりに、二次冷媒を送るための流体供給部が採用されていてもよい。また、給湯システムにおいて、室外ファンや室内ファンの代わりに、水を送るポンプ(流体供給部)が採用されていてもよい。
(4−5)
上記第1〜第3実施形態では、関係式を冷媒状態量で一次微分して得られる式に代入する値として、現状の冷媒状態量の値を採用することで、冷媒状態量を変化させた場合の傾向を把握している例を挙げて説明した。
なお、上記冷媒状態量の現状値に限られず、例えば、所定の安定化条件を満たす等によって、現状の冷媒状態量の目標値を達成することができていると判断された場合に、関係式を冷媒状態量で一次微分して得られる式に対して、その時点での冷媒状態量の目標値を代入することにより、冷媒状態量を変化させた場合の傾向を把握するようにしてもよい。
(4−6)
上記第1〜第3実施形態では、冷媒状態量の例として蒸発温度や凝縮温度を更新する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明の実施形態としては、これに限られない。例えば、蒸発圧力や、凝縮圧力を更新する場合であってもよい。
(4−7)
上記実施形態では、目標凝縮温度の変化分ΔTcsを求める際に「式(5)」で示す式を用いる例、および、目標蒸発温度の変化分ΔTesを求める際に「式(6)」で示す式を用いる場合を例に挙げて説明した。
しかし、目標凝縮温度の変化分ΔTcsを求める際に、凝縮温度Tcと外気温との差分の二乗を乗じることで、Kcを無次元パラメータとしてもよい。
また、目標蒸発温度の変化分ΔTesを求める際に、蒸発温度Teと外気温との差分の二乗を乗じることで、Keを無次元パラメータとしてもよい。
(4−8)
上記第3実施形態では、凝縮温度Tcに対する室外ファンモータ19m、29mへの入力エネルギの関係式の特定方法において、「dP外Fan/dN」の項を用いる場合において、「dP外Fan/dN」が、室外ファンモータ19m、29mの性能毎によって定まるファン入力特性式を回転数Nで微分して得られる項として説明した。すなわち、室外ファンモータ19mの性能によって定まるファン入力特性式であるP外1Fan=x1N3+x2N2+x3Nから「dP外1Fan/dN外1Fan」を求め、室外ファンモータ29mの性能によって定まるファン入力特性式であってP外1Fanとは別の式であるP外2Fan=x4N3+x5N2+x6Nから「dP外2Fan/dN外2Fan」を求める場合を例に挙げて説明した。
これに対して、「dP外1Fan/dN外1Fan」や「dP外2Fan/dN外2Fan」は、室外ファンモータ19mについて予め特別に定められている入力特性式および室外ファンモータ29mについて予め特別に定められている入力特性式から求めるのではなく、現在の入力値と、現在の入力値に対応する現在の回転数(ファンの状態を示す値)を各室外ファンモータ19m、29mについて制御部が把握できるように構成し、把握した現在の入力値と現在の回転数から「dP外1Fan/dN外1Fan」および「dP外2Fan/dN外2Fan」を求めるようにしてもよい。
これにより、室外ファンモータ19mの入力特性式や当該入力特性式を作成するための情報や、室外ファンモータ29mの入力特性式や当該入力特性式を作成するための情報を予めいずれかの記憶部において記憶させておく必要が無く、これらの各入力特性式や各入力特性式を作成するための情報を事前に求める作業も必要無くなる。なお、このように現在の回転数や入力等の値を用いた方法であっても、目標凝縮温度Tcや目標蒸発温度Teの最適温度を探求できることは上記実施形態と同様である。
具体的には、上記実施形態で説明したような具体的な係数の値が定められた入力特性式を各ファン1つ1つについて予め有しておくのではなく、例えば、「ファン駆動力が一般に回転数の3乗にほぼ比例すること(第2情報)」と、「各室外ファンモータ19m、29mについて制御部が把握する現在の入力値と対応する現在の回転数」と、を用いて、「dP外1Fan/dN外1Fan」および「dP外2Fan/dN外2Fan」を求めるようにしてもよい。
ここで、「ファン駆動力が一般に回転数の3乗にほぼ比例すること」は、特に限定されるものではなく、回転数の3次関数として表してもよい。例えば、ファンの入力が回転数の3乗に比例すること(P外Fan=CaN3:Caは任意の定数)であってもよいし、ファンの入力が回転数の3乗の定数倍と回転数の2乗の定数倍と回転数の1乗の定数倍の和で表せること(P外Fan=CbN3+CcN2+CdN:Cb、Cc。Cdは任意の定数)であってもよい。
ファンの入力が回転数の3乗に比例すること(P外Fan=CaN3:Caは任意の定数)を用いて、「dP外1Fan/dN外1Fan」および「dP外2Fan/dN外2Fan」を求める場合には、例えば、以下のようにして求めることができる。すなわち、ファンについて、現在の入力値Pとそれに対応する現在の回転数Nを制御部が把握できる構成とすることで、以下のようにして、「dP外Fan/dN」を算出することができる。ここで、P外Fan=CaN3(Caは任意の定数)を回転数Nで微分すると、以下の「式(7)」ようになる。
ここで、制御部が把握している室外ファンモータ19mの現在の入力値P
外1Fanおよび現在の回転数N
外1FanをP
外Fan=C
aN
3の一般式に代入すると、P
外1Fan=C
a×N
外1Fan 3となる。これにより、室外ファンモータ19mの入力特性式の定数C
aは、定数C
a=P
外1Fan/N
外1Fan 3に定まる。したがって、室外ファンモータ19mの「dP
外1Fan/dN」は、式(7)に定数C
aを代入することで、以下の「式(8)」のように求まる。
また、同様に、制御部が把握している現在の入力値P
外2Fanおよび現在の回転数N
外2Fanを(別のアクチュエータである室外ファンモータ29mの値)をP
外Fan=C
aN
3の一般式に代入すると、P
外2Fan=C
a×N
外2Fan 3となる。これにより、室外ファンモータ29mについては、定数C
a=P
外2Fan/N
外2Fan 3と定まる。したがって、室外ファンモータ29mの「dP
外2Fan/dN」は、式(7)に定数C
aを代入することで、以下の「式(9)」のように求まる。
以上のようにして、室外ファンモータ19m、29mの入力特性式を予め記憶していない場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、ここでは、ファンの入力値および回転数として現在の値を用いて「dP外1Fan/dN外1Fan」や「dP外2Fan/dN外2Fan」を求めている。したがって、冷凍サイクルシステムを構築当初に定めた個別の入力特性式を記憶させておく場合と比較して、冷凍サイクルシステムを構築してからの時間経過に伴う経年変化の影響を反映させた処理を行うことが可能になるとともに、実際の状況により沿わせることが可能になっている。例えば、ファンがフィルタと共に用いられる場合(例えば、室内ファン)には、フィルタの使用状況によって目詰まり度合いが異なると、ファンの回転数が同じ状況であっても、ファンの入力値が異なる場合があるが、上述の現在の値を用いた処理では、このような違いを反映させることが可能になる。また、例えば、ファンがダクト型室内機において用いられる場合には、設置環境に応じてダクト長さが異なることがあるため、設置する前に予めファンの入力特性式を定めてしまっている場合には、ファンの回転数とファンの入力の関係を実際に設置された状態でのダクトの長さに対応させることができない。これに対して、上述の現在の値を用いた処理では、設置後の実際のダクト長さを反映させることが可能になる。
なお、制御部が室外ファンモータ19m、29mの入力値を把握するための手段は、特に限定されないが、例えば、各ファンのインバータの1次電流情報および/または2次電流情報の取得手段であってもよい。
(4−9)
上記第2実施形態では、蒸発温度Teに対する、室内ファンモータ47m、57m、67mへの入力エネルギの関係式の特定方法において、「dP内Fan/dN」の項を用いる場合において、「dP内Fan/dN」が、室内ファンモータ47m、57m、67mの性能毎によって定まるファン入力特性式を回転数Nで微分して得られる項として説明した。すなわち、室内ファンモータ47mの性能によって定まるファン入力特性式であるP内1Fan=y1N3+y2N2+y3Nから「dP内1Fan/dN内1Fan」を求め、室内ファンモータ57mの性能によって定まるファン入力特性式であるP内2Fan=y4N3+y5N2+y6NであってP内1Fanとは異なる式から「dP内2Fan/dN内2Fan」を求め、室内ファンモータ67mの性能によって定まるファン入力特性式であるP内3Fan=y7N3+y8N2+y9NであってP内1FanともP内2Fanとも異なる式から「dP内3Fan/dN内3Fan」を求める場合を例に挙げて説明した。
これに対して、「dP内1Fan/dN内1Fan」や「dP内2Fan/dN内2Fan」や「dP内3Fan/dN内3Fan」は、室内ファンモータ47mの入力特性式と室内ファンモータ57mの入力特性式と室内ファンモータ67mの入力特性式から求めるのではなく、現在の入力値と現在の回転数を各室内ファンモータ47m、57m、67mについて制御部が把握できるように構成し、把握した現在の入力値および現在の回転数から「dP内1Fan/dN内1Fan」や「dP内2Fan/dN内2Fan」や「dP内3Fan/dN内3Fan」を求めるようにしてもよい。
具体的には、上記実施形態で説明したような具体的な係数の値が定められた入力特性式を予め有しておくのではなく、例えば、「ファン駆動力が一般に回転数の3乗にほぼ比例すること(第2情報)」と、「各室内ファンモータ47m、57m、67mについて制御部が把握する現在の回転数と入力」と、を用いて、「dP内1Fan/dN内1Fan」、「dP内2Fan/dN内2Fan」および「dP内3Fan/dN内3Fan」を求めるようにしてもよい。
なお、具体的な求め方は、上記(4−8)で説明した内容と実質的に同様である。
(4−10)
上記(4−8)では、「dP外1Fan/dN外1Fan」および「dP外2Fan/dN外2Fan」を、室外ファンモータ19m、29mの各入力特性式から求めるのではなく、現在の入力値および現在の回転数からを求める場合を説明した。また、上記(4−9)では、「dP内1Fan/dN内1Fan」、「dP内2Fan/dN内2Fan」および「dP内3Fan/dN内3Fan」を、室内ファンモータ47m、57m、67mの各入力特性式から求めるのではなく、現在の入力値および現在の回転数からを求める場合を説明した。
これに対して、例えば、上記第3実施形態のように、室外ファンモータが複数設けられ且つ室内ファンモータも複数設けられているシステムにおいて、「dP外1Fan/dN外1Fan」、「dP外2Fan/dN外2Fan」、「dP内1Fan/dN内1Fan」、「dP内2Fan/dN内2Fan」および「dP内3Fan/dN内3Fan」の全てを、各入力特性式から求めるのではなく、各室外ファンモータと各室内ファンモータ入力値と回転数から求めるようにしてもよい。
なお、具体的な求め方は、上記(4−8)、(4−9)で説明した内容と実質的に同様である。
(4−11)
上記実施形態では、「dPComp/dTe」が、圧縮機の駆動周波数R(r/min)、蒸発温度Te、および、凝縮温度Tcをパラメータに含む回帰式として、予め特定された凝縮温度Tcに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式、および、蒸発温度Teに対する圧縮機駆動モータ15mへの入力エネルギの関係式が第1室外記憶部1b等に記憶されている場合を例に挙げて説明した。
これに対して、例えば、圧縮機への現在の入力値およびその入力値に対応する現在の圧縮機の状態(回転数や差圧等)を用いることで回帰式を得ることができる情報(第2情報)を第1室外記憶部1bに記憶させているのであれば、第1室外記憶部1bには、上記圧縮機駆動モータ15mに対応する入力特性式そのものが記憶されている必要はない。
(4−12)
上記第1〜第3実施形態および他の実施形態(4−1)〜(4−11)に記載の例を適宜組み合わせて構成される実施形態についても、当然に、本発明に含まれる。