JP4630426B2 - 静電気障害防止カイロ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱剤を収容したカイロであって、人体等に帯電した静電気を接地体(アース)へ接触させるなどして逃がすことにより帯電圧を下げ、静電気放電による電撃を人体等が受けることを防止する機能をもった静電気障害防止カイロに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、冬季やその他乾燥した季節になると、摩擦などによって静電気が発生して、家屋のドアノブや自動車のドアノブを素手で触ったときに帯電した静電気の放電による電撃を受けることがある。この原因は、人体と触れようとしたドアノブとの間に電位差があって、触れるか接近したときに起こる電気的放電現象により、短時間に両者の間に電流が流れて両者の電位差が中和することにある。
【0003】
一方、使い捨てカイロは、特に冬季での利用が多く、季節的にも静電気障害が発生する時期と重なっている。従来のカイロは、酸化鉄などの空気との接触により酸化反応が開始し発熱する発熱剤を不織布等の袋材に収容したものが提供されている。
【0004】
ところで、このような静電気による障害を防止する従来の技術は、種々のものが提供されている。
【0005】
まず、第1の従来技術としては、静電気防止キーホルダーが挙げられる。
【0006】
次に、第2の従来技術としては、実開昭57−21651号公報に記載されたものがある。この公報に記載された発明は、金属、含金属、金属メッキ、炭素、含炭素質の各種繊維等の如き導伝性繊維を極く少量分で混有せしめたフェルト、不織布、編地、織布とせる布綿体となし、上記布綿体の片側面に粘着性物質あるいは熱溶融性物質で粘着被膜を付与するように塗着してなる制電性接着布が挙げられる。
【0007】
また、第3の従来技術としては、実開昭62−148511号公報に記載されたものがある。この公報に記載の発明は、指先部分5〜50[mm]を炭素繊維類、有機半導体加工繊維類の少なくとも1種からなる織編物で構成したことを特徴とする静電気障害防止手袋が挙げられる。
【0008】
さらに、第4の従来技術としては、特開平10−46001号公報に記載されたものがある。この公報に記載された発明は、アルキレンオキサイド基とエチレン系不飽和結合を有する単量体を構成成分として含むゴム幹重合体に、1種以上のエチレン系不飽和単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体から成る合成樹脂組成物を材料として構成され、1×105〜1×1013[Ω・cm]の範囲の体積固有抵抗率を有する静電気除去性を有する合成樹脂製成形体が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した第1の従来技術に係るキーホルダーは、その内部に高抵抗体を内蔵させる必要があるため、構造が複雑となり、かつ、コストが高いという欠点があった。
【0010】
また、第2の従来技術に係る制電性接着布によれば、接着するだけで空気中に電荷を放出し、蓄積した静電気を減らすものであるが、静電気障害を完全に防止するには不十分であるという欠点があった。
【0011】
さらに、第3の従来技術に係る静電気障害防止手袋によれば、炭素繊維類などの導電性繊維を用いたものであるため、加工がしにくく、かつ、繊維自体の強度がないため破れやすいなどの問題点があった。
【0012】
加えて、第4の従来技術に係る静電気除去性を有する合成樹脂製成形体によれば、樹脂が高価であること、成形物であるため衣類等に貼付した際や携帯した際には違和感があることなどの問題点があった。また、従来のカイロは、静電気障害の発生しやすい時期によく使用されるものであるが、静電気障害防止機能を取り入れたものは存在しなかった。そこで本発明者らは、従来の静電気障害防止機能を持った物品の課題を解決すると同時にカイロはさほど大きいものではないため身につけていても違和感がないこと、及び発熱するため使用者に存在感を認識させる機能も併せ持つことに着目した本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、上述した従来技術の欠点を解消し、通常のカイロとしての機能の他に、身につけていることを忘れないで、しかも、構造が簡単で、かつ低コストで、人体に帯電した静電気を接地体へ接触させるなどして逃がすことにより、帯電圧を下げて静電気による電撃を受けることを防止できる静電気障害防止カイロを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る静電気障害防止カイロは、合成樹脂フィルム、紙、不織布、織布の少なくとも1種以上からなるシート体と、接地体と当該カイロを保持する人である帯電体とが当該カイロを介して通電しやすいように前記シート体の最外層全面に渡り途切れない模様状に導電性物質を塗布して設けられて、当該カイロを前記接地体に近接または接触したときに前記帯電体の帯電電荷を前記接地体に通電し放電する静電気障害防止部材と、前記静電気障害防止部材を最外層に設けた前記シート体により一方面を構成した袋体と、前記袋体に収容した発熱剤と、を具備している。
【0015】
請求項1記載の発明によれば、通常のカイロとしての機能の他に、人体に帯電した静電気を接地体へ逃がし静電気放電による電撃から人体をまもることができる。
【0016】
請求項2記載の発明では、請求項1において、前記静電気障害防止部材は、前記シート体表面に、導電性物質を含んでなる導電性インクにより設けてなることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2において、前記静電気障害防止材は、前記シート体表面に、導電性インクを印刷により塗布してなることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4記載の発明では、請求項1、2又は3において、前記静電気障害防止材は、前記シート体表面の45〜100[%]の範囲に設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明するが、本発明は当該実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は本発明の実施の形態に係る静電気障害防止カイロを示す断面図である。この図1において、本発明の実施の形態における静電気障害防止カイロ1は、合成樹脂フィルム、紙、不織布、織布の少なくとも1種以上からなるシート体2と、当該シート体2に導電性物質3を塗布して設けられ接地体に近接または接触したときに帯電電荷を通電し放電する静電気障害防止部材4と、前記シート体2を少なくとも一部に用いた偏平袋形状をした袋材5と、当該袋材5に収容してなる発熱剤6とを具備したものである。
【0021】
この袋材5の一方の面は、ナイロン不織布に、カーボンブラックやチタンやステンレスなどの導電性物質3を含有する導電性インク7をグラビア印刷機を用いて印刷した通気性を調整した不織布8を最外層に用い、その内側に低密度ポリエチレン(LDPE)に微細孔を設けたフィルム9を積層し、さらにその内側に熱融着性の良い直鎖状低密度ポリエチレン(L/LDPE)からなる微細孔を設けたフィルム10を積層して形成されたシート体2aにより構成されている。
【0022】
また、前記袋材5の他方の面は、最外層に基材層となる低密度ポリエチレンフィルム11用い、その内側に熱融着性のよい直鎖状ポリエチレンフィルム12を積層してなるシート体2bにより構成されている。この本発明の実施の形態では、静電気障害防止材4として導電性インク7を印刷した不織布8を用いているが、フィルム9及びフィルム11に導電性インク7を直接印刷して両面に静電気障害防止材4を設けてもよい。
【0023】
この静電気障害防止カイロ1に用いられる導電性物質3としては、上述のとおりカーボンブラックやチタンやステンレスなどを用いたが、これに限定されることなく、シート体2に塗布することができるものであればなんでもよい。好ましくは、溶剤に導電性のある金属、金属含有物質、炭素、炭素含有物質などを混合したものが用いられる。さらに好ましくは、炭素含有物質としてカーボンブラックを溶剤に混合したものや、金属含有物質としてアルミナを溶剤に含有させたものを用いればよい。なお、導電性物質の他に顔料や添加剤を加えることもできる。
【0024】
この実施の形態に係る静電気障害防止カイロ1に用いられる導電性物質3の形態としては、導電性インク7を用いるのが好ましい。
【0025】
この実施の形態に係る静電気障害防止カイロ1で用いられる導電性インク7をシート体2に塗布する方法としては、導電性インク7を噴霧し塗布することもできるが、好ましくは、印刷技術を利用して塗布することがよい。印刷する技術としては、特に制限はなく、凸版印刷、グラビア印刷などが用いられる。
【0026】
導電性物質3をシート体2の表面に設ける割合は、好ましくは、45[%]〜100[%]の範囲に設定する。45[%]以下であると、接地体と静電気障害防止材、及び静電気障害防止材と帯電体(人体等)との接触可能性が減少するため、接地体に接触させる回数を増やすなどの処置を必要としわずらわしいからである。さらに好ましくは、60[%]〜85[%]の範囲に設定すると放電状態が安定する。85[%]を超えて設けた場合には、接触可能性は100[%]の時とさほど変わらないため、導電性インク7が無駄に使用されることになり経済的でないからである。
【0027】
導電性物質3をシート体2に設ける量としては、塗布された厚みまたは、印刷技術を利用するには版深により表わすことができる。または、単位面積当たりの塗布重量で表すことができる。塗布された厚みもしくは版深としては、好ましくは、0.05[μm]〜200[μm]程度にするとよい。0.05[μm]未満にすると、導電性インク7が途中でとぎれ通電しない場合があるからである。また、200[μm]を超えると、通電性は変化しないため厚みを増やしても経済的でないからである。
【0028】
一方、単位面積当たりの導電性物質の塗布重量(g/m2 )の場合、好ましくは、0.5[g/m2 ]〜30[g/m2 ]がよい。0.5[g/m2 ]未満であると、導電性インクが途中でとぎれ通電しない場合があるからである。また、30[g/m2 ]を超えると通電性はあまり変化しないため塗布量を増やしても経済的でない。
【0029】
この実施の形態に係る静電気障害防止カイロ1に用いられる導電性インク7をシート体2に印刷するパターンとしては、接地体と帯電体(人体)が通電しやすいようにシート体全面に渡り途切れない模様が好ましい。例えば、格子模様、波線模様、直線模様などが挙げられる。シート体2の表面の全体にわたって格子模様で設けると、接地体と帯電体の接触可能性が高いためさらに好ましい。
【0030】
この実施の形態に係る静電気障害防止カイロ1に用いられる発熱剤6としては、特に制限はないが、空気中の酸素と容易に反応し、この反応の際に発熱するものであればよく、例えば還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、いもの鉄粉等が挙げられる。
【0031】
ここで、カイロとしての使用を考慮して、適宜、発熱助剤、電解質溶液を添加するのが好ましく、発熱助剤としては、活性炭を用いるのが好ましい。活性炭としては、ヤシガラ活性炭、木粉炭、石炭、暦青炭、泥炭、コークス炭等が挙げられる。
【0032】
また、シリカ、バーミキュライト、吸水性ポリマー、木粉等の保水剤を加えてもよい。
【0033】
また、吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸塩架橋物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、架橋ポリアルキレンオキシド、水溶性セルロースエーテル、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ペクチン、アクリルスルホン酸系高分子物質、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0034】
また、電解質溶液としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の水溶液が挙げられる。
【0035】
この実施の形態に係る静電気障害防止カイロ1に用いられる発熱剤6を収容する袋材5としては、空気中の酸素と反応して発熱する発熱剤6を使用する際には、通気性の調整されたものが好ましい。なお、袋材5であるので、成形物に比べ人体に装着・携行するには柔軟性があるため違和感なくもてるという利点もあり、柔軟性があると接地放電式にあっては、ドアノブ等と静電気障害防止部材との接触可能性を高めることができる。
【0036】
この袋材5を形成するものとして、既に説明したように、合成樹脂フィルム、紙、不織布、織布などから構成したシート体2を袋形状に形成したものが用いられる。
【0037】
前記シート体2を形成するにあたっては、発熱剤が通気性を必要とするものにあっては紙、不織布、織布などは通気性を有するものが多いため問題ないが、合成樹脂フィルムは、そのままでは一般的に通気性が低い。この通気性の悪いのを防止するには、フィルムに通気性を付与するようにすればよく、延伸および/又は可溶性充填剤の抽出あるいは極細針による穿孔等の方法により通気性を発現するようにしたものが用いられる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、塩酸ゴム等が挙げられるが、これらのうちポリオレフィン系樹脂製のものが延伸等により、均質な通気性フィルムが得られるから好ましい。このポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンなどのホモポリマー、あるいはコポリマー、またはこれらのブレンドポリマーが挙げられるが、特にポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(L/LDPE)が上述の観点より好ましい。
【0038】
これら合成樹脂フィルム、織布、不織布を少なくとも1種のシート体2を用いればよいが、好ましくは、不織布と通気性の付与された合成樹脂フィルムを積層してなるシート体2がよい。
【0039】
次に、上記のように構成された静電気障害防止カイロの作用について説明する。
【0040】
静電気を帯電した人が、当該静電気障害防止カイロ1の一端を持ち、静電気障害防止カイロ1の他端を接地体に近接または接触することで、人体帯電圧を下げることができる。
【0041】
通常、人体帯電圧が3000〔V〕以下であれば、痛みを感じる程の電撃を人体が受けることはなくなり、静電気障害をほぼ完全に防止することができる。
【0042】
なお、本発明の実施の形態では、人体帯電圧を3000〔V〕以下に下げることを必須の条件とするものではなく、静電気による電撃を受け難くすることが達成されればよい。ここでは、本発明の実施の形態に係る静電気障害防止カイロ1は、静電気障害防止効果の目安として、好ましくは帯電圧を4000〔V〕以下に、さらに好ましくは3000〔V〕以下に下げることにある。
【0043】
【実施例】
[第1の実施例ないし第8の実施例]
次に、上記実施の形態に係る静電気障害防止カイロ1について具体的に、表1に示す条件で第1の実施例ないし第8の実施例を作成し、静電気障害防止効果について検証してみた。
【0044】
また、これら第1の実施例ないし第8の実施例においては、発熱剤4としては、鉄粉28.3[g]、活性炭3.5[g]、バーミキュライト7.1[g]、水12.7[g]、塩化ナトリウム1.4[g]を混合し調製したものを用いた。
【0045】
静電気障害防止部材4として、導電性インク7の種類、印刷の版の深さ、導電性物質3の濃淡、印刷面積の割合、模様については表1の通りとした。なお、第1の実施例ないし第8の実施例において袋材5の静電気障害防止部材4設けた面の通気度は、ガーレー式通気度測定器による値が14.5[秒]/800[cc]であり、カイロとしては、縦×横が135[mm]×100[mm]の寸法のものを使用した。
【0046】
[第1の比較例および第2の比較例]
また、本発明の効果をより明確にするため第1の比較例および第2の比較例を作成し、これらと第1の実施例ないし第8の実施例との比較を行った。
【0047】
これら第1の比較例および第2の比較例に係るカイロは、静電気障害防止部材4を設けず、導電性物質3を含有しないインクを塗布した以外は、第1の実施例ないし第8の実施例と同様にして作成した。
【0048】
これら第1の比較例および第2の比較例に係るカイロと、第1の実施例ないし第8の実施例の静電気障害防止カイロ1の条件をまとめて表1に記入した。
【0049】
【表1】
なお、図3ないし図7は不織布8に導電性インク7で印刷した形状を示している。ここで、図3は静電気障害防止部材4として不織布8の上に導電性インク7で非常に細かい格子16を印刷したもので、印刷の割合が81.6[%]のものである。図4は静電気障害防止部材4として不織布8の上に導電性インク7でやや粗い格子17を印刷したもので、印刷の割合が69.4[%]のものである。図5は静電気障害防止部材4として不織布8の上に導電性インク7で相当粗い格子18を印刷したもので、印刷の割合が52.3[%]のものである。図6は静電気障害防止部材4として不織布8の上に導電性インク7でさらに粗い格子19を印刷したもので、印刷の割合が41・9[%]のものである。図7は静電気障害防止部材4として不織布8の上に導電性インク7で一番粗い格子20を印刷したもので、印刷の割合が19.0[%]のものである。なお、印刷の版の深さ、印刷の濃淡については表1に示すとおりである。
【0050】
上記したとおり作成した第1の実施例ない第8の実施例に記載した静電気障害防止カイロ1と、第1の比較例および第2の比較例に係るカイロとを用いて、人体に帯電した静電気による障害を防止する試験を図2に示す試験装置21により次のように行った。なお、この試験は、JIS L 1023「繊維製床敷物の性能に関する試験方法」を利用した。
【0051】
まず、試験に使用する試験装置について説明する。この試験において使用する試験装置21は、図2に示すように、グランドレベル22の上に配置した絶縁板23と、この絶縁板23の上に配置したカーペット24と、グランドレベル上に設けた作業台25と、作業台25の上に配置した絶縁シート26と、絶縁シート26上に配置した電極27と、絶縁シート26上で前記電極板27に対向するプローブ28と、プローブ28に接続され作業台25上に配置された電位計29と、作業台25の上に配置され電位計29の測定結果を記録できる自動記録計30と、前記電極27に接続され先端に人体帯電圧測定用プローブ31を有するリード線32とから構成されている。
【0052】
また、この試験装置21の絶縁板23の近辺には、アースした金属ドアノブ33が配置されている。
【0053】
このような試験装置21を用いて試験を次のようにして行なう。被験者が、図2のように、人体帯電圧測定用プローブ31を持って、100[%]ポリエステル製のカーペット24の上で足踏みをする。すると、靴とカーペット間の摩擦により被験者は徐々に帯電してくる。
【0054】
ここで、例えば3000〔V〕以上に達したところで、足を止めて、第1の実施例ないし第8の実施例に記載した静電気障害防止カイロ1と、第1の比較例および第2の比較例に係るカイロをそれぞれ手に持ち、カイロを接地された金属ドアノブ33に接触させ、その後、金属ドアノブ33を素手でつかんだ時の電撃防止効果があるかを表2に記入した。
【0055】
なお、第1の実施例と第1の比較例について、電圧の変化を図8に示す図に示した。図8(a)は第1の実施例に係る静電気障害防止カイロ1についての電圧の変化であり、図8(b)は第1の比較例に係るカイロについての電圧の変化であり、それぞれ縦軸に人体帯電圧〔V〕を、横軸に時間(作業)をとったものである。
【0056】
図8(a)では、歩行開始して所定の電圧6000[V]になったところで歩行をやめ、静電気障害防止カイロ1を金属ドアノブ33に接触させるとほぼゼロ[V]に移行することがわかる。これに対して、図8(b)では、歩行開始して所定の電圧6000[V]になったところで歩行をやめ、カイロを金属ドアノブ33に接触させてもほとんど電圧が下がらず、かつ、人が金属ドアノブ33に直接触れると一挙にゼロ[V]に移行することがわかる。
【0057】
また、電撃防止効果については、それぞれのカイロを接地された金属ドアノブ33へ接触させた後、接地された金属ドアノブ33を素手でつかんでみた時の状態を観察し、静電気による電撃の受け方を次の通り評価した。
【0058】
ここで、「◎」印は全く電撃を受けなかったことを示す。「○」印は電撃は受けず指先に軽い刺激があったことを示している。「×」印は強い電撃を受けたことを示している。
【0059】
表2からも分かるように、第1の実施例ないし第8の実施例では、静電気障害防止カイロ1で金属ドアノブ33に接触した後に、素手で金属ドアノブ33に接触してもほぼ電撃を受けることがなかった。ただし、第6の実施例、第7の実施例および第8の実施例は、表2に示すように、静電気障害防止カイロ1を金属ドアノブ33に接触させた後に、1500〔V〕、1000〔V〕および800〔V〕の電圧が残っていたが、その後に金属ドアノブ33に直接手を接触させると、電圧に応じて「○」、「○」および「◎」の評価となった。
【0060】
これに対して、第1の比較例および第2の比較例に記載したカイロでは、表2及び図8(b)に示すとおり、金属ドアノブ33に接触しても人体帯電圧は下がらず、その後に直接指で金属ドアノブ33を触れた瞬間、指に強い電撃を受けた。したがって、評価としては、全て「×」となった。
【0061】
【表2】
上記表2のように第1の実施例ないし第5の実施例、および第8の実施例の静電気障害防止カイロ1を用いた方は、人体に帯電した静電気を効果的に除電し、接地体へ静電気障害防止カイロ1を接触させた際には、静電気を接地体へ逃がし、人体へ電撃を与えるということがなかった。
【0062】
また、第6の実施例において、静電気障害防止部材4を設けるために、導電性インク7で印刷した割合が41・9[%]の格子19を印刷したものであっても、表2の第4の実施例の試験結果からも理解できるようにに十分に電撃を防止することができることから、この導電性インク7による印刷は前記シート体2の表面の45[%]〜80[%]の範囲に設けられていれば十分に実用になることが理解できる。
【0063】
これら実施例からもわかるように、本発明の各実施例における静電気障害防止カイロ1は、通常のカイロとしての機能の他に、簡単な構成で、しかも低コストで人体に帯電した静電気を接地体へ接触させて逃がすことにより帯電圧を下げ、静電気放電による電撃を人体が受けることを防止することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、通常のカイロとしての機能の他に、簡単な構成で、しかも低コストで人体に帯電した静電気を接地体へ接触させるなどして逃がすことにより、帯電圧を下げ、静電気放電による電撃を人体が受けることを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る静電気障害防止カイロを示す断面図である。
【図2】本発明の実施例において、人体に帯電した静電気による障害を防止する試験を行なうための試験装置を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例であって、不織布の上に導電性インクで非常に細かい格子を印刷したもので、印刷の割合が81.6[%]のものを示す平面図である。
【図4】本発明の実施例において静電気障害防止部材として不織布の上に導電性インクでやや粗い格子を印刷したもので、印刷の割合が69.4[%]のものを示す平面図である。
【図5】本発明の実施例において静電気障害防止部材として不織布の上に導電性インクで相当粗い格子を印刷したもので、印刷の割合が52.3[%]のものを示す平面図である。
【図6】本発明の実施例において静電気障害防止部材として不織布の上にさらに粗い格子を印刷したもので、印刷の割合が41・9[%]のものを示す平面図である。
【図7】本発明のの実施例において静電気障害防止部材として不織布の上に導電性インクで一番粗く格子を印刷したもので、印刷の割合が19.0[%]のものを示す平面図である。
【図8】本発明の第1の実施例と第1の比較例による電圧の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 静電気障害防止カイロ
2,2a,2b シート体
3 導電性物質
4 静電気障害防止部材
5 袋材
6 発熱剤
7 導電性インク
8 不織布
9 LDPEフィルム
10 L/LDPEフィルム
11 L/LDPEフィルム
12 LDPEフィルム
16,17,18,19,20 格子
21 試験装置
23 絶縁板
24 カーペット
25 作業台
26 絶縁シート
27 電極
28 プローブ
29 電位計
31 人体帯電圧測定用プローブ
32 リード線
33 金属ドアノブ
Claims (4)
- 合成樹脂フィルム、紙、不織布、織布の少なくとも1種以上からなるシート体と、接地体と当該カイロを保持する人である帯電体とが当該カイロを介して通電しやすいように前記シート体の最外層全面に渡り途切れない模様状に導電性物質を塗布して設けられて、当該カイロを前記接地体に近接または接触したときに前記帯電体の帯電電荷を前記接地体に通電し放電する静電気障害防止部材と、前記静電気障害防止部材を最外層に設けた前記シート体により一方面を構成した袋体と、前記袋体に収容した発熱剤と、を具備してなることを特徴とする静電気障害防止カイロ。
- 前記静電気障害防止部材は、前記シート体表面に、導電性物質を含んでなる導電性インクにより設けてなることを特徴とする請求項1に記載の静電気障害防止カイロ。
- 前記静電気障害防止剤は、前記シート体表面に、導電性インクを印刷により塗布してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電気障害防止カイロ。
- 前記静電気障害防止材は、前記シート体表面積の45〜85「%」の範囲に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の静電気障害防止カイロ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000197361A JP4630426B2 (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | 静電気障害防止カイロ |
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JP2000197361A JP4630426B2 (ja) | 2000-06-29 | 2000-06-29 | 静電気障害防止カイロ |
Publications (2)
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