JP4628085B2 - 抄網支持部材とその製造方法およびこれを用いた抄紙機 - Google Patents

抄網支持部材とその製造方法およびこれを用いた抄紙機 Download PDF

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Description

本発明は抄紙機の抄網に当接し支持する抄紙機の抄網支持部材に関するものである。
従来の抄紙機は長網抄紙機と呼ばれ、走行する抄網が1枚の場合を示したものである。図2に示すと、ロール13によって矢印方向に搬送される抄網12と、抄網12の下方に配置された抄網支持部材11からなり、抄網12の上部にパルプ原料からなるスラリー15を入れたヘッドボックス14を配置して、スラリー15を抄網12に供給するようになっている。そして、抄網支持部材11で抄網12を支持するとともに、スラリー15の脱水をう。
このような抄網支持部材11は低コストという点で超高分子ポリエチレン等のプラスチツク系材料で構成していた。
また、このような抄網支持部材11は通常、ステンレス鋼等で作られた支持台(ボックス)16にボルトで固定されたり、あるいは支持台16に設けたはめ込み部に挿入することによって固定する方法などが採られていた。
しかしながら、パルプ原料中のクレーおよびタルクなどが存在したり、さらに抄網12との当接摺動により短時間で摩耗し、そのために抄網支持部材11を取り外し、表面の研磨修正あるいは交換作業等のメンテナンスを頻繁に行わなければならなかった。
そこで近年は抄網支持部材の材質としてアルミナ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素等を主成分としたセラミックスが多く用いられている。これらのセラミックスで構成した抄網支持部材は耐磨耗性が大きく、その寿命が長いものとなる為、広く使用されるようになっている。また、ヘッドボックス14から噴出されたスラリーは走行する抄網12上の上流側等へ着地した後、上面に勾配のついた抄網支持部材11で脱水が行なわれながら紙層が次第に形成されて行く(特許文献1参照)。
また、抄紙機の全長にわたって継ぎ目のない一体形状の板状体をセラミックス又は樹脂製のベースの上面に貼り付けることも提案されている(特許文献2参照)。
とりわけ抄網12が最初に当接し脱水作業に寄与する先端支持部材の先端部は、鋭角に形成され、その表面は入念な仕上げ加工が施してある(特許文献3参照)。
さらに、工具用の切削刃などに用いるとして、窒化珪素粒子の結晶平均アスペクト比1.7以上にすることで、破壊靱性値を5MPa・m0.5以上となり、刃先に集中した熱によってクラックが生じるのを防止して刃先欠損を防止することが提案されている(特許文献4参照)。
その他、機械的特性、熱的特性を向上させた窒化珪素質焼結体として、粒界相(grain boundary layer)にFe、W、Cr、Mo等の金属珪化物を析出させたものが提案されている(特許文献5〜9参照)。
例えば、特許文献6にはW、Mo、Cu、Mn、FeおよびNbのうち少なくとも1種の金属珪化物の結晶粒子を焼結体中の粒界相に分散させてなるが提案されている。
また、特許文献7には高融点金属−Fe−Si−Oからなる化合物を粒界相に形成させていることが、特許文献8には粒界相にW、Fe等の珪化物、Ti化合物(窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物)からなる粒子を含有し、W、Fe等の珪化物をTi化合物の周囲に凝集させることがそれぞれ記載されている。
特開平6−346396号公報 特開2001−73288号公報 特開平11−81178号公報 特開2003−212659号公報 特開平5−148031号公報 特開2001−206774号公報 特開2001−106576号公報 特開平11−267538号公報
ところが、最近の抄紙機では、生産性の向上といった点から、抄網12の速度が大幅に高速化され、特にフォーマーパート(不図示)における抄網支持部材11への耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐熱変形性等がより一層要求されている。
また、ヘッドボックス14から噴出されたスラリー15はヘッドボックス14の先端を起点に下流に行く程同伴空気層(不図示)を成長させる。一方抄網12にも同伴空気層が成長している。従ってスラリー15の抄網12への着地点において同伴空気層の逃げ場がなくなり、スラリー15の表裏面の凹凸を増長するという問題があった。
また、従来のアルミナ、ジルコニア、窒化珪素などのセラミックスからなる抄網支持部材1では、どれも特性的に劣る項目があった。
引用文献1〜3に示すような窒化珪素質セラミックスを用いた抄網支持部材では、先端部の表面は入念な仕上げ加工が施してあるにもかかわらず、平均結晶粒径が大きいことから、焼結体中に気孔が多数介在することになり、焼結体の曲げ強度や硬度が低下しすぎて平坦度は150〜500μm程度にしか保てず、さらに磨耗等も加わることから抄紙の均一な品質を保つことができなかった。
また、これらの抄網支持部材を成す窒化珪素質焼結体は、Al、Yなどの金属酸化物を添加して液相焼結したもので、3点曲強度、破壊靭性値、耐熱衝撃性等が十分でないことから、抄網支持部材11の先端部に欠けやクラックが発生しやすく、抄網12の寿命を低下させたり、あるいは抄網12からの脱水作用が小さくなり、抄紙の品質が均一されず、紙質が低下へつながるなどの問題点があった。
また、引用文献4に示すような窒化珪素質セラミックスを用いた場合には、焼結助剤にMgO、Ybを用いており、結果として焼結時に液相を生じ焼結を促進するとともに粒界相を結成するが、その一部が液相から析出する窒化珪素粒子中に固溶して窒化珪素中の欠陥として存在し、また、その平均長軸径は0.45〜0.75μm、平均短軸径は0.2〜0.4μmと著しく小さく、難加工性となることから、加工後の平坦度を確保することは難しかった。
そして、特許文献5の窒化珪素質セラミックスを用いた場合には、機械的強度が十分でないという問題があった。例えば、窒化珪素質セラミックスに圧縮、引張り、ねじり等の力を受けて機械的応力がかかる場合があるが、その際に、粒界相中に金属珪化物を含有させているので、単独の金属珪化物に応力が集中やすい。そのため、応力が集中した金属珪化物が破壊源となって窒化珪素質の結晶と金属珪化物との間に亀裂が生じ、その結果、機械的強度が低下するという問題点を有していた。
また、特許文献5、6の窒化珪素質セラミックスを用いた場合には、Wを含有しない場合、Fe等の不純物の多い窒化珪素出発原料を使用すると、Fe等の不純物の周囲に粒界相が著しく偏析し、その結果機械的特性が劣化した。また、特許文献7の窒化珪素質セラミックスを用いた場合には、粒界相に硬度の小さい高融点金属−Fe−Si−Oからなる化合物を含んでいるため、結果として優れた機械的特性が得られないという問題があった。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであってその目的は、寿命を長くし、しかも長期間にわたって抄紙品質を維持させることができ、近年の高速抄紙機に好適に用いることできる抄網支持部材を提供することにある。
本発明の抄網支持部材は、抄紙機における抄網に当接し支持する部材であって、少なくとも先端部は、窒化珪素の結晶と第1の金属元素であるFeからなる第1の金属珪化物および上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWからなる第2の金属珪化物を含む粒界相とを有し、上記Feを金属元素換算で0.2〜10質量%、上記Wを金属元素換算で0.1〜3質量%含有し、平均アスペクト比5〜10の窒化珪素質セラミックスからなり、幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度が10〜100μmであり、曲率半径が0.1〜0.3mmであることを特徴とする。
また、本発明の抄網支持部材は、上記第1の金属珪化物FeSi であり、上記第2の金属珪化物WSi であり、上記第2の金属珪化物が上記第1の金属珪化物を取り囲む隣接相を有していることを特徴とする。
また、本発明の抄網支持部材の製造方法は、Si粉末と、β化率が40%以下であり、含有するβ型窒化珪素質部のz値が0.5以下である窒化珪素粉末の混合粉末と、第1の金属元素であるFeの化合物からなる平均粒径0.1〜20μmの粉末と、上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWの化合物からなる平均粒径0.1〜30μmの粉末と、焼結助剤とを混合する粉末混合工程と、上記混合粉末有機結合剤を添加混合して造粒した造粒粉体を用いて成形して成形体をる成形工程と、実質的に窒素ガス、アルゴンガス、またはこれらの混合ガスからなる雰囲気中で上記有機結合を脱脂して脱脂体をる脱脂工程と、上記脱脂体を実質的に窒素ガスからなる雰囲気中で窒化体に変換する窒化工程と、上記窒化体を窒素ガスを含有する非酸化性雰囲気中で焼成してセ
ラミックスを作成する焼成工程とを有し、上記窒化工程および上記焼成工程における雰囲気中の窒素ガス分圧が5〜20×10−2N/mであることを特徴とする。
また、本発明の抄紙機は、本発明の抄網支持部材を用いることを特徴とする。
本発明の抄網支持部材によれば、抄紙機における抄網に当接支持する部材であって、少なくとも先端部は、窒化珪素の結晶と第1の金属元素であるFeからなる第1の金属珪化物および上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWからなる第2の金属珪化物を含む粒界相とを有し、上記Feを金属元素換算で0.2〜10質量%、上記Wを金属元素換算で0.1〜3質量%含有し、平均アスペクト比5〜10の窒化珪素質セラミックスからなり、幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度が10〜100μmであり、曲率半径が0.1〜0.3mmであることにより、スラリーと抄網間に形成される空気流を排出できるようにして、抄網へのスラリーの着地条件に拘わらず、空気による湿紙形成への障害を防止でき、刃先の抄網に対する接触状態を最良に保つことで抄網から抄網支持部材への熱の放散を容易にすることにより、抄網支持部材のクラックの発生を防止して高品質の紙を高速度で抄造することを可能にする抄紙機を提供することができる。
また、上記抄網支持部材の先端部の曲率半径0.1〜0.3mmであることにより、十分な脱水作用を成すことができ、なおかつ抄網支持部材および抄網の双方の寿命を長くすることができる。
また、上記窒化珪素質セラミックスが、窒化珪素の結晶と第1の金属元素であるFeからなる第1の金属珪化物および上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWからなる第2の金属珪化物を含む粒界相とを有した窒化珪素質セラミックスからなることにより、単独の金属珪化物に機械的応力や熱応力が集中するのを抑制し、これにより
、窒化珪素質セラミックスの機械的特性、耐熱衝撃性を向上させることができるのを初めて見出した。すなわち、本件発明によれば、破壊靭性値6.0MPa√m以上、四点曲げ強度800MPa以上、耐熱衝撃性800℃以上と大きくすることができ、抄網支持部材先端部のチッピングや割れ、クラックの発生を少なくできる。
また、第1の金属元素であるFeを金属元素換算で0.2〜10質量%、上記第2の金属元素であるWを金属元素換算で0.1〜3質量%含有することにより、機械的強度と耐摩耗性の機械的特性を同時に向上させることができ、機械的応力を連続して印加した場合の耐疲労破壊特性を向上させることができる。
また、上記第1の金属珪化物FeSi であり、上記第2の金属珪化物WSi であり、上記第2の金属珪化物が上記第1の金属珪化物を取り囲む隣接相を有していることにより、高硬度で大きな耐摩粍性を備えるとともに、摺動性に優れて抄網に対する摩耗が小さくなる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明の抄網支持部材の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の抄網支持部材を用いた抄紙機を示す概略斜視図である。
本発明の抄網支持部材11は、抄紙機における抄網に当接支持する部材であって、ベース1とこれに固着された先端部材2とからなり、先端部材2は上記アルミナ質セラミックスからなり、その先端部3は窒化珪素質セラミックスからなり、鋭角に形成されている。
そして、この抄網支持部材11を図2に示すように支持台16に固着して抄紙機に組み込み、パルプ原料からなるスラリー15を抄網12に供給するとともに、この抄網12をかかる抄網支持部材11上で摺動させ脱水作用を行う。
また、この抄網支持部材11を抄紙機の構成は図2に示す通り、ロール13によって矢印方向に搬送される抄網12と、抄網12の下方に配置された抄網支持部材11からなり、抄網12の上部にパルプ原料からなるスラリー15を入れたヘッドボックス14を配置して、スラリー15を抄網12に供給するようになっている。そして、抄網支持部材11で抄網12を支持するとともに、スラリー15の脱水を行う。
ここで、本発明の抄網支持部材11少なくともその先端部3平均アスペクト比5〜10の窒化珪素質セラミックスからなり、幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度が10〜100μmであることが重要である。
これにより、スラリー15と抄網12との間に形成される空気流の発生を押さえ、同伴空気層の逆流や混合によるスラリー15表裏面の乱れを最小限に抑えることができ、抄網12へのスラリー15の着地条件に拘わらず、空気による湿紙形成への障害を防止でき、また、抄網12から抄網支持部材11への熱の放散を容易にすることにより、抄網支持部材11のクラックの発生を防止して高品質の紙を高速度で抄造することを可能にする抄紙機を提供することができる。
この現象は次のようなことに起因して生じるものと考察される。高速抄紙が行なわれるようになり、抄網12に同伴する空気量、速度が増加するようになった。そして形成された紙表面の平滑度を上げるため、より通気性の低い抄網12が用いられるようになった結果、抄網12の通気抵抗が増大し、同伴空気層の逃げ道の確保が難しくなった。
さらに、スラリー15の表面粗さは速度の2乗に比例して粗くなるので、凹凸間に同伴空気が保持され易くなった。これに対し、抄網12に当接する抄網支持部材11は機械的特性が高いのに平均結晶粒径が15μm以下と小さいことから加工性が良いため、抄網12に対する接触状態を最良に保ち、抄網12との間の同伴空気層を押さえるとともに、抄網12の形状(平坦度)を良好にすることができる。
また、平均アスペクト比が5〜10の窒化珪素質セラミックスからなることにより、針状結晶組織となるため、組織中に発生する強度低下の原因となる欠陥寸法や機械的、熱的残留応力を緩和することで抑えることができ、機械的特性や耐熱衝撃性を著しく向上させることができる。
こで平均アスペクト比が5より小さければ、針状結晶組織十分に形成されていないということであり、逆に、平均アスペクト比が10より大きければ、結晶同士の接合面積が小さくなり機械的、熱的応力を十分緩和することができないため、いずれも機械的特性や耐熱衝撃性を著しく向上させることができない。さらに、このアスペクト比は7〜9とすることがより好ましく、これによりさらに特性を向上させることができる。
なお、先端部3を成す窒化珪素質セラミックスの平均アスペクト比を5〜10とするには、β化率が40%以下の窒化珪素質粉末であって、含有するβ型窒化珪素質部のz値(z値はβ−Si結晶内へAl、O、N成分が固溶したβ−サイアロンSi6−zAl8−z結晶の係数)が0.5以下である粉末と、添加物成分としてY粉末と、Al粉末と、Fe粉末と、WO粉末とを混合、成形し、窒素分圧50〜300kPa、温度1800℃以下において開気孔率が5%以下となるまで焼成し、その後、相対密度96%以上となるまで緻密化させ、β化率は40%以下、望ましくは10%以下、z値を0.5以下とすることで得られる。
同時に、幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度を10〜100μmとすることにより、先端部3の抄網12に対する接触状態を最良に保つことができ、抄網12との間の同伴空気層を押さえることができ、抄網12の平坦度を良好に保つことができる。
本発明の抄網支持部材11は、幅30〜100mm、長さ1〜10m程度の非常に長尺状であるため、その全長にわたって平坦度を小さいものに保持することは困難である。そのため、上述のように幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度を10〜100μmとすることにより、複数の先端部3を接合することにより得られる抄網支持部材11の平坦度も小さなものとすることができる。なお、上記平坦度は50μm以下とすることがより好ましい。
また、このように長尺の抄網支持部材11を得るためには、先端部3を有する長さ50mm程度の先端部材2を並べて支持台16に接着剤にて貼り付け、先端部3の幅10〜40mm、長さを1〜10m程度とする。この後、最終研削工程としてカップ型のバーチカル研削盤(不図示)にて表面を研削加工し、さらにPVA研磨にて面出しを行う。
なお、上記平坦度の測定には、直定規(長さ0.5〜1m)とダイヤルゲージを用いて測定した。具体的には、直定規の両端を調整式及び固定式支持具に載せ、測定面から等距離になるようにして対角線方向に置き、対角線に沿って測定を繰り返し(繰り返しの対角線の全長が抄網支持部材11の全長に対する対角線の長さとなる)、測定値を中央線の測定値を基準に補正した後、線図に記録する。この2つの対角線によって決まる平面を基準として他の全ての点の測定値を補正し、その補正値の最大値を平坦度とした(ISO TR B 0003、方法8.2.1参照)。
また、本発明の抄網支持部材11は、先端部3の曲率半径0.1〜0.3mmであることが重要である
これにより、十分な脱水作用を成すことができ、かつ抄網支持部材11および抄網12の双方の寿命を長くすることができる。
曲率半径を0.1mm未満とするとチッピングの発生を防ぐことができず、逆に0.3mmを超えると十分な脱水作用を成すことができない。
なお、先端部3の曲率半径を上記のように加工するには、焼成後にダイヤモンド砥石にて機械加工し、その先端部3を所定の角度に仕上げる。
また、本発明の抄網支持部材11における少なくとも先端部3を成す上記窒化珪素質セラミックスが、窒化珪素の結晶と第1の金属元素であるFeからなる第1の金属珪化物および上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWからなる第2の金属珪化物を含む粒界相とを有することが重要である
窒化珪素の結晶としては、主に針状に形成されたものであり、β型窒化珪素結晶またはβ型窒化珪素と同じ結晶構造を有するβ−サイアロン結晶がある。その平均粒径は30μm以下であることが好ましい。この場合の平均粒径は、針状に形成された結晶の長径の平均粒径で示している。これにより、機械的強度等の機械的特性や、耐熱衝撃性等の熱的特性を向上させると同時に、加工性が向上することにより上述のように幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度を10〜100μmとすることができる。
なお、平均粒径は次のような方法で測定する。窒化珪素質セラミックスからなる抄網支持部材11の断面を鏡面研磨し、この鏡面をSEM(走査型電子顕微鏡)写真に撮り、SEM写真に写っている窒化珪素の結晶の長径を測定する方法、X線マイクロアナライザーを併用して窒化珪素の結晶を特定し、その結晶の長径を測定する方法、又は鏡面加工した窒化珪素質焼結体の面にある粒界相を熱処理によるエッチングや化学的エッチング処理により表面から除去後に長径を測定する方法がある。いずれの場合も、測定された複数の長径データを平均化して算出される。
また、粒界相として、第1の金属元素であるFeからなる第1の金属珪化物および上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWからなる第2の金属珪化物を含むことにより、これら金属珪化物は硬質の粒子であるため、耐摩耗性を向上させ、またクラックの伝搬を阻害することにより機械的強度を向上させることができるため、先端部3の平坦度を精度良く加工することができるとともに、長尺状に組み立てた際の平坦度も上記の範囲にすることができる。
なお、金属珪化物として、上記第1、第2の金属珪化物の他に、第1の金属元素と第2の金属元素を含む複数金属成分からなる第3の金属珪化物を有するものであってもよい。
このような窒化硅素質セラミックスからなる抄網支持部材11は、破壊靭性値6.0MPa√m以上、四点曲げ強度800MPa以上となり、脱粒による摩耗を効果的に抑制でき、その結果、耐摩耗性、耐チッピング性が非常に向上し、長寿命化が達成される。また、熱的特性においても耐熱衝撃性が800℃以上と大きく向上し、抄網支持部材先端部の割れ、クラックの発生を少なくできる。
また、上記粒界相とは、窒化珪素の結晶粒子間に囲まれる領域を指しており、粒界相中には第1、第2の金属珪化物が単独で存在するものもあれば、隣接相として存在しているものもある。この隣接相とは、第1金属珪化物、第2金属珪化物が隣接している状態で形成しているものであればよく、より好ましくは第1、第2の金属珪化物のうち、一方が他方の一部又は全部を取り囲んでいる包晶として存在する状態である。
ここで、具体的に図3を用いて説明する。
図3は本発明の抄網支持部材11の先端部3における窒化珪素質セラミックスの断面30を鏡面研磨し、この鏡面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した写真の模式図を示している。
上記第1、第2の金属珪化物36、38が粒界相中で隣接相34を形成していると、金属珪化物が単独で存在する場合に比べて、金属珪化物に機械的応力や熱応力が集中するのをより効率よく抑制することができる。これにより、抄網支持部材の機械的特性、耐熱衝撃性を向上させることができる。即ち、隣接相34を形成している第1、第2の金属珪化物36、38は、粒界相に対して占める割合が高くなるため、機械的、熱的応力が加わった場合に応力を集中して受け易い。したがって、単独に存在している第1、第2の金属珪化物36、38に対しては、機械的応力や熱応力がよりかかりにくくなる。
そして、第1、第2の金属珪化物36、38は、窒化珪素に対してそれぞれヤング率が大きく、温度に対する熱膨張係数の変化率が小さいため、隣接相34に応力が集中しても、隣接相34は窒化珪素の結晶が機械的、熱的応力に抗して弾性変形することを促進するものと考えられる。そのため、抄網支持部材11に微細な亀裂が発生しても隣接相34が窒化珪素の結晶の亀裂の進展を抑制することができ、割れやクラックの発生を抑制できる。
特に、上記第1、第2の金属金属珪化物36、38が隣接相34を形成した場合、金属珪化物は部材の表面も微細な結晶で均一に分散することとなり、加工性を良好にするとともに加工面も均一となり、平坦度の向上につながることとなる。
この理由は、次のように考えられる。上記第1の金属珪化物36は、窒化珪素の結晶32の粒界相40に粒成長して偏在しやすい性質を持っており、第1の金属珪化物36が粒成長すると、窒化珪素質セラミックスの機械的強度が小さくなるという問題が起こりやすい。そこで、この粒成長を抑えるために第2の金属珪化物38が第1の金属珪化物36を取り囲む隣接相34を形成し、第1の金属珪化物36を微細な結晶32にして均一に分散させることにより、機械的特性のより優れた部材を得ることができる。
また、隣接相34の含有量は0.01〜10体積%であることが耐熱衝撃性および機械的強度を特に向上させることができるので好ましく、特に好ましくは、0.1〜5体積%、最適には0.1〜1体積%である。
また、上記第1の金属元素であるFe、窒化工程においてSi粉末中に固溶して、Si粉末の窒化反応(N(窒素)がSiへ拡散して窒化珪素を生成する反応)を促進させる。そして、窒化中に上記第1の金属珪化物の前駆体と第2の金属珪化物の前駆体とが一部固溶した微細な隣接相の前駆体を窒化体中に形成させることができ、これによって焼成工程で1の金属珪化物が、第2の金属珪化物に取り囲まれて隣接相を容易に形成することができるためである。
さらに、第2の金属元素として、第1の金属元素よりも融点の高い金属元素とすることで、低融点の第1金属珪化物を高融点の第2金属珪化物が取り囲んで隣接相を形成しやすくなり、Feからなる第1金属珪化物が高温の酸素と反応してFe の金属酸化物を生成し、これが不純物となって脱離等の原因となるのを抑制することができる。
このように、第1の金属元素がFe、第2の金属元素がWであることが重要である
この理由は、第1の金属元素であるFeからなる第1金属珪化物と、第2の金属元素であるWからなる第2金属珪化物は結晶構造が近似しているので、互いに隣接相を著しく形成し易いためである。従って、粒界相に対する隣接相の含有割合が増加し、その結果、機械的特性と熱的特性、特に機械的強度と耐熱衝撃性がさらに向上する。
なお、第1の金属元素であるFeからなる第1金属珪化物としては、FeSi、FeSi、FeSi、FeSi がある。また、第2の金属元素であるWからなる第2金属珪化物としては、WSi、WSi、WSi、WSi がある。さらに、第3金属珪化物としては、FeとWを含む複数金属成分(化合物)、例えば、FとWを含む固溶体であることが好ましい。これらの金属珪化物は、熱力学的に安定しており、機械的応力や熱応力がかかった場合でも相変態を起こしにくいので、相変態に伴う更なる機械的応力や熱応力の増大のおそれがない。
また、第1金属珪化物のFe珪化物としては、FeSi、FeSiのうちの少なくとも1種が好ましく、より好ましくは、FeSiとするのがよい。また、第2金属珪化物のW珪化物は、WSiを含有することが好ましい。
最も好ましい組み合わせは、第1金属珪化物としてFeSiと第2金属珪化物としてWSiがよい。この理由としては、WSiとFeSiは共に環境温度が変化したとしても特に安定する相であり、また、両者の結晶構造が特に近似しているためである。そのため、W珪化物の中でも特に隣接相を形成し易く、かつ、FeSiを含む隣接相を窒化珪素質焼結体中に均一に分散させることができる。従って、第1金属珪化物としてFeSiを有し、第2金属珪化物としてWSiを有すると、窒化珪素質セラミックスの機械的特性と熱的特性をさらに向上できる。
また、上記第1の金属元素であるFeを金属元素換算で0.2〜10質量%、上記第2の金属元素であるWを金属元素換算で0.1〜3質量%含有することが重要である。
第1の金属元素であるFeを金属元素換算で0.2〜10質量%とすることで、機械的強度と耐摩耗性の機械的特性を同時に向上させることができる。また、機械的応力を連続して印加した場合の耐疲労破壊特性を向上させることができる。特に高温の環境下でも粒界相の破壊靱性を高くすることができる。また、第2の金属元素であるWを金属元素換算で0.1〜3質量%含有させることで、窒化珪素の結晶と上記第2の金属珪化物との熱膨張の差による窒化珪素質セラミックスのクラック発生を防止し、破壊靱性値等の機械的強度をさらに向上させることができる。
上記第1金属元素であるFeが金属元素換算で0.2質量%未満、第2の金属元素であるWが金属元素換算で0.1質量%未満であると、上記隣接相を形成しにくく、機械的強度を著しく向上させることができない。一方、第1金属元素であるFeが金属元素換算で10質量%を、第2の金属元素であるWが金属元素換算で3質量%をそれぞれ越えると、窒化珪素の結晶と上記第1、第2の金属珪化物との熱膨張の差によってクラックが発生しやすく、機械的強度または破壊靱性値を著しく向上させることができない。
なお、第1の金属珪化物、第2の金属珪化物、隣接相の存在は、微小部X線回折法、X線回折法、X線マイクロアナライザー(例:波長分散型EPMA(Electron Probe Micro−Analyzer))、TEM(透過型電子顕微鏡)等により確認することができる。X線回折法を用いる場合は、X線マイクロアナライザーまたはTEMを併用して測定することが好ましい。
また、珪化物の含有量(体積%)の測定方法を図3に基づいて説明する。セラミックス断面30を鏡面研磨し、鏡面の500μm×500μm程度の部分A内をX線マイクロアナライザーを用いて、Si、W、Fe、Cr、Mn、Cu、Moの各元素の強度をマッピングし、Siを含有する部分の面積Cを測定し、上記部分A内の面積に対する上記面積Cの割合を計算し、この割合を珪化物の含有量(体積%)とする
同様に、隣接相34の含有量は、A内をX線マイクロアナライザーを用いて、Si、W、Fe、Cr、Mn、Cu、Moの各元素の強度をマッピングし、Siを含有しかつWまたはMoのうち少なくとも一方がリッチな第1の部分と、Siを含有しかつFe、Cr、MnおよびCuのうち少なくとも1種がリッチな第2の部分を明らかにし、上記第1の部分と上記第2の部分のいずれか一方が他方を取り囲んでいる部分の面積Bを測定し、上記部分A内の面積に対する上記面積Bの割合を計算し、この割合を隣接相34の含有量(体積%)とする。
隣接相34の平均粒径は30μm以下が好ましく、特に好ましくは1〜5μmである。平均粒径が30μmより大きいと、機械的、熱的応力を隣接相34が十分緩和することができないため、機械的特性や耐熱衝撃性を著しく向上させることができないからである。この場合、隣接相34の平均粒径は、焼結体を走査型電子顕微鏡(SEM)等で拡大して観察し、複数の隣接相34の粒径を測定し平均した値であり、上述の窒化珪素の結晶の平均粒径を測定したのと同じように測定することができる。
また、上記第の金属珪化物および上記第2の金属珪化物は、出発原料、あるいは製造過程で不純物としても混入する場合があるが、最終的に含有される金属珪化物の量が上述の範囲であれば良い。
次に本発明の抄網支持部材の製造方法について説明する。
i粉末と、β化率が40%以下であり、含有するβ型窒化珪素質部のz値が0.5以下である窒化珪素粉末の混合粉末と、第1の金属元素であるFeの化合物からなる平均粒径0.1〜20μmの粉末と、上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWの化合物からなる平均粒径0.1〜30μmの粉末と、焼結助剤とを混合する粉末混合工程と、上記混合粉末有機結合剤を添加混合して造粒した造粒粉体を用いて成形して成形体を得る成形工程と、実質的に窒素ガス、アルゴンガス、またはこれらの混合ガスからなる雰囲気中で上記有機結合を脱脂して脱脂体を得る脱脂工程と、上記脱脂体を実質的に窒素ガスからなる雰囲気中で窒化体に変換する窒化工程と、上記窒化体を窒素ガスを含有する非酸化性雰囲気中で焼成する焼成工程とを有し、上記窒化工程および焼成工程における雰囲気中の窒素ガス分圧が5×10−2〜20×10−2N/mとすることが重要である。
詳細には、先ず出発原料として、Si粉末と窒化珪素粉末の質量比(Si粉末の質量)/(Si粉末と窒化珪素粉末の質量の合計)が0.4〜0.95であることが好ましい。この理由は、この比が0.4より小さいと得られる窒化珪素質セラミックスの寸法精度を高精度に制御することができないからであり、0.95より大きいと肉厚の大きい窒化珪素質セラミックスを窒化する場合、窒化時間が多大となり製造コストが増加するため、共に好ましくないからである。
また、上記混合粉末有機結合剤を添加混合して造粒した造粒粉体を用いて成形体を作製するのは、成形体を高密度にしかつ成形体内の密度のばらつきを小さくするためである。これによって、焼成中に窒化体の焼結がセラミックス全体にって均一に進行する。
また、実質的に窒素ガス、アルゴンガス、またはこれらの混合ガスからなる雰囲気中で上記有機結合を脱脂して脱脂体をるのは、有機結合剤に含まれる炭素を低減することにより、焼成工程において上記第1の金属珪化物および上記第2の金属珪化物の偏析を抑制し、セラミックス全体に均一に分散させることができるからであると考えられる。
また、上記脱脂は上記成形体を炉内へ載置して行う。この際、実質的に窒素ガス、アルゴンガス、またはこれらの混合ガスからなる雰囲気で上記成形体を脱脂するためには、炉内へ投入する窒素ガス、アルゴンガス、またはこれらの混合ガスの酸素ガス濃度が100ppm以下であることが好ましい。
また、上記脱脂工程においては実質的に窒素ガスからなる雰囲気中で脱脂することが好ましい。ヘリウムや水素などの高価なガスを含む雰囲気中で脱脂すると製造コストが増加するため好ましくない。また、脱脂温度は好ましくは1000℃以下、特に好ましくは500〜900℃である。
ここで、本発明の抄網支持部材を構成するに上記隣接相を含有させるためには、以下のような方法で得ることができる。
隣接相の形成メカニズムは、例えば、第1、第2の金属元素の化合物からなる粒子が互いに隣接しながら窒化されると、第1金属珪化物前駆体、第2金属珪化物前駆体のいずれか一方が他方に固溶した固溶体と、第1、第2の金属珪化物前駆体の何れかが隣接した隣接相前駆体が形成される。この隣接相前駆体は焼成工程で第1、第2の金属珪化物とが隣接した隣接相となる。
具体的には、窒化工程中に第1の金属元素の化合物、第2の金属元素の化合物、第1および第2の金属元素の化合物がそれぞれSi成分と反応し、それぞれ第1金属珪化物前駆体、第2金属珪化物前駆体となり、さらに、それぞれの前駆体が接した隣接相前駆体を形成する。
ここで、第金属珪化物前駆体、第2金属珪化物前駆体、隣接相前駆体とは、非晶質あるいは一部結晶化していない物質を示している。
窒化工程により隣接相前駆体が形成されるのは、原料粉末中に、第1の金属元素の化合物からなる粒子と、第2の金属元素の化合物からなる粒子が互いに固着しているため、互いに固着した粒子が隣接しながら窒化されるからである。原料粉末中にSi粉末を含有させるのは、窒化工程において、第1、第2の金属元素とSiとの反応を促進して隣接相前駆体を形成させるためである。
原料粉末にSi粉末を含まないと、第1、第2の金属元素とSiとの反応促進されないので隣接相前駆体を含む窒化体を得ることができないこのような窒化体に含まれる隣接相前駆体は、焼成工程で結晶化し、隣接相となる。なお、焼結体中の第1、第2の金属元素の含有量が同じ場合でも、特に窒化工程の温度、保持時間を制御することにより隣接相の含有量を制御することができる。
得られた焼結体は、ダイヤモンド砥石にて機械加工し、その先端部の表面粗さ、曲率半径等を所定の値に仕上げて抄網支持部材とする。さらに、単体サイズ長さ50mm程度の抄網支持部材を並べて基材に接着剤にて貼り付け、長さ1000mm程度とし、この後、最終研削工程としてバーチカル研削盤(カップ型)にて表面を研削加工し、さらにPVA研磨にて面出しを行うことにより、幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度が10〜100μm、先端部の曲率半径を0.1〜0.3mmとする。
以下、本発明の実施例を説明する。
本実施例においては、上記先端部材全体を表1に示す種々の主成分を用いて作製した。
先ず、出発原料として、平均粒径7μm、α化率を種々変えた窒化珪素(Si)粉末(Fe含有量500ppm)と、平均粒径5μmのSi粉末(Fe含有量800ppm)と、焼結助剤ならびに金属珪化物源となる金属化合物とを表1に示す割合で秤量し、これらの粉末を窒化珪素質粉砕用メディアを用いて、エタノール中でバレルミルにより粉砕混合した。粉砕混合後、得られたスラリーに有機結合としてPVAを添加混合、スプレードライヤーで造粒後、得られた造粒粉体を1トン/cmの圧力でプレス成形し、その後、3トン/cmの圧力で冷間静水圧成形(CIP)により成形体を得た。
得られた成形体中に含まれる有機結合、600℃で3時間保持して脱脂し、脱脂体を得た。
次に、表面が窒化珪素質から成るカーボン製のこう鉢中に脱脂体を載置し、実質的に窒素からなる窒素分圧中、1100℃で20時間、1200℃で10時間、1260℃で5時間の各ステップ(各ステップ間は昇温速度50℃/時間で昇温)で順次保持することによりSiをα化率90%以上のSiに窒化し、さらに昇温して窒化工程と同じ窒素分圧中1770℃で10時間保持して焼成した。
また、炭化珪素、アルミナ、金属珪化物を含有しない窒化珪素の各セラミックスについても同様な形状の試料を準備した。
各試料は、同一条件でダイヤモンド砥石にて機械加工し、その先端部を表面粗さRa2.0μm、75°の角度で、曲率半径を0.2mmに仕上げた。さらに、長さ50mmの複数の抄網支持部材を並べて基材に接着剤にて貼り付け、長さ1000mmとし、この後、最終研削工程としてバーチカル研削盤(カップ型)にて表面を研削加工し、さらにPVA研磨にて面出しを行い、抄網支持部材試料を作製した。
これらの各試料について試料断面を鏡面研磨し、X線マイクロアナライザー(日本電子株式会社製JXA−8600M)によって任意の500μm×500μmの領域(部分A)内でW珪化物またはMo珪化物のうち少なくとも1つの金属からなる金属珪化物が、Fe、Cr、Mn、Cu珪化物の何れかよりなる第の金属珪化物、およびCu珪化物のうち少なくとも1つからなる金属珪化物と隣接相を形成しているかどうかを確認した。
また、隣接相の結晶構造をTEM、微少部X線回折装置、X線マイクロアナライザーを用いて調べた。さらに、セラミックス中に含まれる隣接相の含有量(体積%)を次のように測定した。セラミックス断面を鏡面研磨し、鏡面の500μm×500μm程度の部分A内をX線マイクロアナライザーを用いて、3000倍で試料の鏡面(面積A)を観察した。そして、Si、W、Fe、Cr、Mn、Cu、Moの各元素の強度をカラーで表示し、Siを含有しかつFe、Cr、MnおよびCuのうち少なくとも1種が観察面の他の部分よりも相対的に多い第1の部分と、Siを含有しかつWまたはMoのうち少なくとも一方が観察面の他の部分よりも相対的に多い第2の部分とを明らかにし、第2の部分が上記第1の部分と互いに接している隣接相の面積Bを測定し、上記部分A内の面積に対する上記面積Bの割合を計算し、この割合を隣接相の含有量(体積%)とした。結果を表1に示す。
Figure 0004628085
そして、各試料の幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度を、ISO TR B
0003、方法8.2.1に記載の方法により測定し、中心を基準にして長さ100m
m当りに発生した欠けの個数を同時に測定した。結果は表2に示す通りである。
Figure 0004628085
表2から明らかなとおり、アスペクト比5〜10、幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度が10〜100μmの窒化硅素質セラミックスからなる試料No.4〜14は、平均欠け発生個数の結果から、耐チッピング性が他の試料(No.1〜3、15〜19)に比し、優れていることがわかる。
また、試料No.4〜14の中でも、第の金属珪化物としてFeSiを、第2の金属珪化物としてWSiを有することで隣接相を多く形成している試料No.5〜は、他の試料(No.49〜14)に比較して強度、耐磨耗性が向上することにより平均欠け個数が少なくできることがわかる。
本発明の抄紙機用抄網支持部材の斜視図である。 抄紙機の概略を示す説明図である。 本発明の抄紙機用抄網支持部材のSEM写真の模式図である。
符号の説明
1:ベース、
2:先端部材、
3:先端部、
11:抄網支持部材、
12:抄網、
13:ロール、
14:ヘッドボックス、
15:スラリー、
16:支持台、
30:断面、
32:結晶、
34:隣接相
36:第1の金属珪化物、
38:第2の金属珪化物、
40:粒界相
42:第3金属珪化物

Claims (4)

  1. 抄紙機における抄網に当接支持する部材であって、少なくとも先端部は、窒化珪素の結晶と第1の金属元素であるFeからなる第1の金属珪化物および上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWからなる第2の金属珪化物を含む粒界相とを有し、上記Feを金属元素換算で0.2〜10質量%、上記Wを金属元素換算で0.1〜3質量%含有し、平均アスペクト比5〜10の窒化珪素質セラミックスからなり、幅30mm、長さ1000mm当たりの平坦度が10〜100μmであり、曲率半径が0.1〜0.3mmであることを特徴とする抄網支持部材。
  2. 上記第1の金属珪化物がFeSiであり、上記第2の金属珪化物がWSiであり、上記第2の金属珪化物が上記第1の金属珪化物を取り囲む隣接相を有していることを特徴とする請求項1に記載の抄網支持部材。
  3. Si粉末と、β化率が40%以下であり、含有するβ型窒化珪素質部のz値が0.5以下である窒化珪素粉末の混合粉末と、第1の金属元素であるFeの化合物からなる平均粒径が0.1〜20μmの粉末と、上記第1の金属元素よりも融点の高い第2の金属元素であるWの化合物からなる平均粒径が0.1〜30μmの粉末と、焼結助剤とを混合する粉末混合工程と、上記混合粉末に有機結合剤を添加混合して造粒した造粒粉体を用いて成形して成形体を得る成形工程と、実質的に窒素ガス、アルゴンガス、またはこれらの混合ガスからなる雰囲気中で上記有機結合剤を脱脂して脱脂体を得る脱脂工程と、上記脱脂体を実質的に窒素ガスからなる雰囲気中で窒化体に変換する窒化工程と、上記窒化体を窒素ガスを含有する非酸化性雰囲気中で焼成して窒化硅素質セラミックスを得る焼成工程とを有し、上記窒化工程および焼成工程における雰囲気中の窒素ガス分圧が5×10−2〜20×10−2N/mであることを特徴とする請求項1または2に記載の抄網支持部材の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の抄網支持部材を用いることを特徴とする抄紙機。
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