JP4627819B2 - 冬虫夏草茶 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、冬虫夏草を成分の1つとする冬虫夏草茶に関する。
【0002】
【従来の技術】
冬虫夏草は、もともと子嚢菌類麦角菌科フユムシナツクサタケが鱗シ目などの昆虫の幼虫、特にコウモリガに寄生してその体内に菌核・子実体を生じたものをいい、古来より漢方の秘薬として珍重されている。また、日本では昆虫やクモなどに寄生した茸の仲間を冬虫夏草と呼ぶのが一般的であり、セミタケ、ハナサナギタケ、カメムシタケなど、250種が生息するといわれている。
近年の研究によれば、冬虫夏草には、中枢神経への作用(鎮静作用)、免疫系への作用、血管への作用(動脈硬化予防)、滋養強壮作用、血糖降下作用などがあると報告されており、特に制ガン剤としての利用が期待されている。
【0003】
一方、このような冬虫夏草は、古来より薬膳料理として食されたり、薬味酒として飲用されているが、近年では健康志向の高まりにより、冬虫夏草の抽出エキスを健康飲料水に加えたものや顆粒状に加工した健康食品として市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そもそも冬虫夏草が高価なものであったことや、昆虫を母体としている特殊性から、日常的に飲用されるお茶として用いることは考えられていなかった。
【0005】
そこで本発明は、日常的に飲用可能な冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
また、本発明は、風味が良くて飲みやすい冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
また、本発明は、熱湯を注いで数分で飲用される場合にも十分に色素や成分等を抽出することができる冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
また、本発明は、特に昆虫の表皮が有する虫臭さをなくすことができるとともに、茸類の有する風味を残存させることができる冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
また、本発明は、冬虫夏草の有する生臭さを消すとともに、ほんのりとしたまろやかな甘みを有する冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
また、本発明は、飲用者に冬虫夏草が含有していることを視覚的に認識可能な冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
また、本発明は、冬虫夏草の成分が抽出されやすい冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
また、本発明は、熱湯を注ぐだけで手軽に飲用することができる冬虫夏草茶を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、乾燥させ裁断処理によって粉砕した後に火入れ処理を施して虫臭さをなくした冬虫夏草を成分の1つとして用いたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、乾燥させ裁断処理によって粉砕した後に焙じ処理を施して虫臭さをなくした冬虫夏草を成分の1つとして用いたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明による冬虫夏草茶の製造方法は、蚕の蛹の組成成分を主成分とする培地を用いて培養した冬虫夏草を乾燥させ、裁断処理を施した後に火入れ処理を施して虫臭さをなくしたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明による冬虫夏草茶の製造方法は、蚕の蛹の組成成分を主成分とする培地を用いて培養した冬虫夏草から子実体を分離する工程と、子実体を分離した固体に裁断処理を施す工程と、子実体を分離した前記固体に火入れ処理を施して虫臭さをなくす工程とを含むことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項3又は請求項4に記載の冬虫夏草茶の製造方法において、前記火入れ処理に代えて焙じ処理を施すことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明による第1の実施の形態は、冬虫夏草茶として乾燥させ裁断処理によって粉砕した後に火入れ処理を施して虫臭さをなくした冬虫夏草を成分の1つとして用いたものである。本実施の形態によれば、火入れ処理によって特に昆虫の表皮が有する虫臭さをなくすことができるとともに、茸類の有する風味を残存させることができる。
本発明による第2の実施の形態は、冬虫夏草茶として乾燥させ裁断処理によって粉砕した後に焙じ処理を施して虫臭さをなくした冬虫夏草を成分の1つとして用いたものである。本実施の形態によれば、焙じ処理によって特に昆虫の表皮が有する虫臭さをなくすことができる。
本発明による第3の実施の形態は、蚕の蛹の組成成分を主成分とする培地を用いて培養した冬虫夏草を乾燥させ、裁断処理を施した後に火入れ処理を施して虫臭さをなくしたものである。本実施の形態によれば、火入れ処理によって特に昆虫の表皮が有する虫臭さをなくすことができるとともに、茸類の有する風味を残存させることができる。また、本実施の形態によれば、裁断処理を施した後に火入れ処理を施すことによって、子実体を焼失することなく、また火入れ処理を均一に行うことができる。
本発明による第4の実施の形態は、蚕の蛹の組成成分を主成分とする培地を用いて培養した冬虫夏草から子実体を分離する工程と、子実体を分離した固体に裁断処理を施す工程と、子実体を分離した固体に火入れ処理を施して虫臭さをなくす工程とを含むものである。本実施の形態によれば、冬虫夏草の子実体の破砕や焼失を少なくすることができる。
本発明による第5の実施の形態は、第3又は第4の実施の形態において、火入れ処理に代えて焙じ処理を施したものである。本実施の形態によれば、焙じ処理によって特に昆虫の表皮が有する虫臭さをなくすことができる。
【0008】
【実施例】
本発明において材料として用いられる冬虫夏草は、子嚢胞子を作るコルジセプス(Cordyceps属)タイプと、裸生の分生胞子を作るイザリア(Isaria属)タイプのいずれでもよい。例えば、コナサナギタケ、サナギタケ、ハナサナギタケ、ウスキサナギタケなどを用いることができる。
【0009】
まず、本発明の冬虫夏草茶に用いる冬虫夏草の培養方法について以下に説明する。
最初に、蚕の蛹の組成成分を主成分とする液体培地を用いた人工培養方法について以下に説明する。
まず、培地の主成分として用いる蚕の蛹は、繭を切って取り出した生きた状態の生蛹の他、繭の段階で乾燥させた乾燥蛹であってもよい。さらには、繰糸後の生蛹や乾燥蛹を用いることもできる。繰糸後の蛹は、粗蛋白質60%、全窒素9%のほか、灰分、グリコーゲンなど冬虫夏草の発育に必要な栄養成分はかなり含まれている。
【0010】
蛹の組成成分を抽出する方法としては、茹でる方法と高圧蒸気滅菌器によって抽出する方法がある。沸騰温度以下で抽出する場合には茹でる方法をとる。高圧蒸気滅菌器を用いる場合には、100℃より高温で抽出することができるので短時間で有効成分を抽出することができる。このようにして抽出した蚕の蛹の抽出液を、適宜水で希釈して培養液とする。高温のもとで蛹の成分を抽出するときには、蛹1に対して2〜5倍の重量の水を用いる。さらに、培養液として用いるときには、この抽出液を5倍から10倍の重量の水で希釈して用いるとよい。なお、希釈をしない場合には、蛹1に対して10〜50倍の重量の水で煮出してもよい。なお、蒸発によって失われる水分量は追加する。
【0011】
上記のようにして抽出した蛹の抽出液に、炭素源、アミノ酸類、ミネラル類、及びビタミン類のうち、冬虫夏草の種類により必要成分を加え、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で15分間滅菌処理を行い、自然冷却後に液体培地として用いる。これらの添加成分は、蛹の抽出液に対して2〜8%程度である。炭素源としては、グルコース、マンノース、マルトース、テクトース、スクロース、デンプンなどがある。またミネラル成分としては、リン、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどがある。
次に、このようにして作った液体培地にあらかじめ分離培養した分離株を植え付け培養する。なお、人工培養によって形成された子嚢胞子や分生胞子を植え付けることによって継代培養を行うこともできる。
この時、培養条件としては、温度を15℃〜25℃、湿度を75%〜95%に保つことが好ましい。
本発明は、このように蚕の蛹の抽出成分を主成分とする培地を用いて培養を行うことにより、昆虫自体の成分を有効に活用しつつ、薬理活性の低下を防止することができ、継続的な培養を安定的に行うことができる。
【0012】
なお、蛹の組成成分を抽出する方法として、茹でる方法と高圧蒸気滅菌器によって抽出する方法について説明したが、これら煮出す方法においては、あらかじめ蛹を粉砕しておくことがさらに好ましい。
また、これら煮出す方法以外に、乾燥蛹を粉砕して滅菌処理を行い、これに滅菌水を加える方法でもよく、このとき単に水だけでなく炭素源、アミノ酸類、ミネラル類、及びビタミン類などの栄養分を適宜加えておくことが好ましい。
このように、蚕の蛹の抽出成分を主成分としつつ、これに炭素源、アミノ酸類、ミネラル類、ビタミン類などの冬虫夏草の培養にさらに好ましい成分を必要に応じて添加することにより、さらに継続的な培養を安定的に行うことができる。
また、上記方法は、液体培地で説明したが、寒天培地であってもよい。
【0013】
次に、無菌蚕を用い、この蛹自体を培地とした人工培養方法について以下に説明する。
ここで無菌蚕とは、人工飼料無菌飼育法で飼育した蚕のことであり、卵表面を消毒し無菌的に孵化させた蚕に、蒸煮滅菌した飼料を与え、無菌装置等を用いて無菌環境下で飼育した蚕のことをいう。ここで、無菌とは本来ウイルスを含めてあらゆる微生物を含まないことではあるが、蚕が自然的に発病するウイルス量は、例えば5齢蚕では3000個以上で、3000個未満では発病しない(「人工飼料無菌飼育法をベースにしたわが国の新しい周年養蚕」京都工芸繊維大学繊維学部学術報告 第16巻別冊 平成4年3月16日発行 松原藤好著)ことからも、ここで言う無菌蚕とは、必ずしもジャームフリー(germ free)蚕とは限らない。すなわち、人工飼料無菌飼育法においても、蚕の体内の微生物までは充分制御されている訳ではないためである。従って、ここで言う無菌蚕とは、蚕の病気を起こす主な病原体を排除しているものを指している。人工飼料無菌飼育法に関しては、「人工飼料無菌飼育の育蚕体系への導入に関する研究」京都工芸繊維大学繊維学部学術報告、第15巻別冊、平成3年3月15日発行、「おからを主成分とした人工飼料による蚕5齢期の無菌飼育」日本蚕糸学雑誌、第60巻、第6号、の他、特願平7−260927号に示されている。
培地として利用するのは、上記のように無菌飼育された蚕が繭を形成した後の蛹である。蛹化直後の初化蛹が最も好ましい。ここで初化蛹とは、複眼が黒く変色する前の状態の蛹のことである。蛹は普通繭に覆われているために、蛹を繭から人工的に取り出す。
そしてこの蛹に、前述の液体培地により培養した冬虫夏草の子実体に形成された子嚢胞子又は分生胞子を直接接種する。このとき培養温度は、15℃〜25℃とし、無菌下で培養を継続する。なお、本発明の人工培養方法においては、例えば5齢期間中など、ある限られた一部の期間清浄育した蚕を利用してもよい。
【0014】
このように本発明は、無菌装置にて人工飼料を用いて飼育した蚕を用いることにより、雑菌の繁殖がなく、冬虫夏草の感染率や子実体の形成率が高く、継続的な培養を安定的に行うことができる。さらに、繭を形成した後の蛹に直接接種するため、幼虫段階に比べて蚕への菌の感染率が高く、培養を安定的に行うことができる。
また本発明は、液体培地にて冬虫夏草を増殖培養し、その後、無菌飼育した蚕の蛹に直接接種することによって継代培養を行うことにより、自然界と同じ状態の養分で培養を行うことができるとともに、培地の安定供給が容易でかつ雑菌の繁殖をなくし、安定した大量生産が可能となる。
【0015】
次に、上記のようにして培養した冬虫夏草を茶として製造するまでの工程について説明する。ここでは無菌人工培養した蚕の蛹を培地とした冬虫夏草について説明する。
まず、子実体を形成するまで培養した冬虫夏草は、椎茸乾燥機などに用いられる温風乾燥機を用いて一次乾燥する。この状態で貯蔵する場合は、真空パック機で真空パックとして保存することができる。
次に、一次乾燥した冬虫夏草を裁断する。
裁断処理は、金属板に孔を開けた打ち抜きふるい板と、この打ち抜きふるい板上に配置した切断枠とによって行う。この裁断方法は、平行ふるい(または振動ふるい)の打ち抜きふるい板の上に切断枠(押し枠)を入れて固定し、孔に目詰まりした茶を打ち抜きふるい板と押し枠との間で切断する切断機を用いて行う。ふるい、切断機などを組み合わせた、いわゆる仕上げ機を用いるのが有利である。冬虫夏草の子実体の裁断を少なくして、その他の部分を有効に裁断するためには、金属板に孔を開けた打ち抜きふるい板が本発明の冬虫夏草茶に特に適している。なお、このような打ち抜き板の代わりに、金網からなるふるい網を用いることもできる。このような打ち抜きふるい板を用いることで、細い棒状体の子実体はさほど粉砕されることなく、孔又は網目から落下し、蛹等の固体部分が主に裁断されることになる。火入れ処理前に粉砕するのは、火入れ処理が均一に行われるようにし、また、抽出を容易にするためである。従って、裁断処理後の冬虫夏草がそのような目的を達するのに適した大きさになるように、網目の大きさなどの条件を選択する。このとき、子実体は細い棒状体であるので成分の抽出効率が高く、必ずしも破砕する必要はなく、逆にあまり細かく破砕するとその後の火入れ処理において、焼失してしまうため、3mm以上の長さとすることが好ましい。これに対して蛹などの菌糸が形成された母体は、子実体と比較して成分の抽出効率がよくないので、5mm以下程度の大きさに破砕するのが好ましい。
なお、本実施例では、子実体と蛹などの母体とをあらかじめ分離することなく裁断処理を行ったが、あらかじめ子実体を分離する工程を設け、子実体を分離した固体に裁断処理を施すようにしてもよい。
【0016】
次に、裁断により粉砕した冬虫夏草に、火入れ処理を施す。火入れとは、一般に、茶を乾燥して貯蔵性を高め、火入れ香という特有の芳香を生成させる工程をいい、裁断前に行ういわゆる「先火」と裁断後に行う「後火」がある。本発明の冬虫夏草茶の場合は、先火または後火のいずれでもよいが、子実体部分と昆虫部分との大きさが不均等であり、均一な処理が困難であるため、後火が適している。
【0017】
火入れ処理は、熱風型、回転ドラム型などの市販の仕上げ機を用いて行うことができる。火入れ条件は、処理する材料の量、できあがりの程度などにより、適宜変更することができるが、一般には、約100〜約150℃の温度で約5〜30分間処理する。なお、より好ましくは120℃程度の温度で火入れすることが好ましい。
なお、150℃程度、又はそれ以上の温度、又は150℃以下の温度でも長時間処理を行うことによって焙じ処理を行ってもよい。焙じた場合にも、火入れ処理と同様に特に昆虫の表皮が有する虫臭さをなくすことができる。ただし、茸類の有する風味を残存させるためには、焙じるよりも火入れ処理とすることが好ましい。
【0018】
完成した冬虫夏草茶は、適量を袋、缶などの容器に入れて保存または提供して、使用時に適量を急須などに入れて熱水で抽出・ろ過するようにしてもよいし、又はやかんなどで煮出してもよい。紙、ナイロンなどの袋に小分けしてティーバッグの形態にし、1定量ずつ抽出できるようにしてもよい。
【0019】
本発明の冬虫夏草茶は、単独でもよいが、1種または2種以上の他の茶材料と組み合わせて、ブレンド茶とすることができる。組み合わせる茶は、熊笹、桑葉、ドクダミ、ほうじ茶、麦、ハトムギなど、嗜好に応じていずれを採用してもよく、各々乾燥し、火入れ処理を施した後に適量をブレンドすることによってブレンド茶を製造することができる。桑葉、ほうじ茶は、冬虫夏草の特有の匂いを消すことができる点で冬虫夏草とのブレンドに適しており、特に、桑葉が好ましい。ブレンドの割合は、目的・好みに応じて適宜選択することができるが、例えば重量比で本発明の冬虫夏草茶を10%以上含ませることができる。
【0020】
次に、冬虫夏草と桑葉とを乾燥重量比で1対3の割合でブレンドした冬虫夏草茶の実施例について説明する。なお、冬虫夏草としてはコナサナギタケを用いた。
一次乾燥したコナサナギタケ800gおよび桑葉2,500gを、打ち抜き板金網をセットした山谷式製茶仕上げ機(株式会社山谷機械製)を用いて裁断した。裁断後の重量は、コナサナギタケ780gおよび桑葉2,380gであった。これを、コナサナギタケと桑葉との乾燥重量比が1:3になるようにブレンドし(コナサナギタケ780g、桑葉2,340g;合計3,120g)、火入れ処理を行った。火入れ処理には、乾燥火入れ機(品温自動排出式排気乾燥火入れ機;株式会社横山製作所製)を用いた。この乾燥火入れ機の庫内温度が50℃になった時点でブレンドした材料を投入し、120℃まで温度が上がった時点で搬出した。このとき、材料を投入してから搬出するまでの時間は約15分であった。なお、火入れ後の茶の重量は2,900gであった。
そして火入れ後の材料を、2gずつナイロン製の通液性の袋体に小分けしてティーバッグの形態にした。
なお、上記実施例では、冬虫夏草と桑葉とを乾燥重量比で1対3の割合でブレンドした場合で説明したが、冬虫夏草に対して桑葉を乾燥重量で1〜3倍の割合でブレンドすることが好ましい。桑葉の乾燥重量が冬虫夏草の乾燥重量より少なくなると、冬虫夏草特有の香りが強くなりすぎ、一方桑葉の乾燥重量が冬虫夏草の乾燥重量の3倍を越えると、冬虫夏草を含有させていることが香りでは判別できなくなる。
【0021】
試験例
熊笹、桑葉、ドクダミ、ほうじ茶、及び冬虫夏草茶(コナサナギタケ茶)について、それぞれを乾燥機で乾燥後(水分率5%程度)、10〜20分火入れ処理を施し(水分率3%程度)、各サンプル1gに、200mlの熱湯を加えて抽出液(茶)を作成し、味、色、香り、嵩について、4人の試験者により官能試験を行った。評価は、「大変良い」(5点)、「良い」(4点)、「普通」(3点)、「悪い」(2点)、「大変悪い」(1点)の5段階で採点した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0004627819
【0023】
他の材料を用いた茶と比較すると、コナサナギタケ茶は、味については際立った特徴はなく、色は薄めであった。香りについて低い評価があるのは、茸特有の臭さのためであった。
上記のコナサナギタケ茶の欠点を補うものとしては、桑葉、ほうじ茶が適していた。特に、桑葉と組み合わせると、ほんのりとしたまろやかな甘みが加わり、コナサナギタケの茸臭さが消えるのみでなく、味も改良された。また、コナサナギタケの培養を蚕で行うことから、桑葉とコナサナギタケとのブレンドは、桑葉、蚕、冬虫夏草という一連のつながりがあるとのことで、ストーリー性という観点での評価点が高くついている。
従って、冬虫夏草茶を他のサンプル茶とブレンドする場合には、桑葉との組み合わせが最適であった。
【0024】
なお、冬虫夏草の子実体は、菌糸が形成された蛹や培地よりも色素等の抽出効率がよいため、この子実体を冬虫夏草茶の成分として用いることで、煎じることなく熱湯を注ぐだけで冬虫夏草茶を飲用することができる。また、冬虫夏草の子実体は、赤みを帯びた色素を有するため、3mm以上の子実体を用いることで視覚的にも冬虫夏草の存在を認識することができる。このとき、冬虫夏草の子実体は、火入れ処理や焙じ処理を施すことで香りを加えて茸特有のにおいを消すことができるが、菌糸が形成される蚕の蛹や、蚕の蛹などの抽出エキスからなる培地と異なり昆虫としての特有の虫臭さはないために、必ずしも火入れや焙じる処理を施さなくてもよい。
また、微粉末に粉砕した冬虫夏草や水に溶解可能な顆粒、細粒、又はタブレット状に加工した冬虫夏草成分を用いることで熱湯を注ぐだけで冬虫夏草成分を有効に飲用することができる。このとき、冬虫夏草成分を含有させた顆粒、細粒、又はタブレットをそれ自体で用いてもよいし、他の茶成分を収納したテイーバック内に収納してもよい。また、顆粒状や細粒状に加工したものを水分に溶融可能なカプセル中に収納してもよい。またシロップ状として用いることもできる。
なお、粉砕した冬虫夏草を用いる場合には、粉砕後に火入れ処理を施すことによって昆虫としての特有の虫臭さを消すことができるが、特に微粉末した場合には、火入れによって焼失する量が増えてしまうため、火入れ等の処理を施さないか、あるいは微粉末する前工程で火入れ処理することが有効である。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、日常的に手軽に飲用可能な冬虫夏草茶を提供することができる。
また、本発明による冬虫夏草茶は、蚕の蛹の組成成分を主成分とする培地を用いて培養した冬虫夏草を用いることで、生産的にも成分的にも安定した冬虫夏草茶を供給することができる。
また、本発明による冬虫夏草茶は、色素等の抽出効率がよい子実体を用いることで、熱湯を注いで数分で飲用される場合にも十分に色素や成分等を抽出することができる。
また、本発明による冬虫夏草茶は、火入れ処理によって特に昆虫の表皮が有する虫臭さをなくすことができるとともに、茸類の有する風味を残存させることができる。
また、本発明による冬虫夏草茶は、桑葉をさらに含むことで冬虫夏草のお茶としての評価の低い、香りや色合い等を桑葉によって補うことができ、冬虫夏草の有する生臭さを消すことができるとともに、ほんのりとしたまろやかな甘みを加えることができる。

Claims (5)

  1. 乾燥させ裁断処理によって粉砕した後に火入れ処理を施して虫臭さをなくした冬虫夏草を成分の1つとして用いたことを特徴とする冬虫夏草茶。
  2. 乾燥させ裁断処理によって粉砕した後に焙じ処理を施して虫臭さをなくした冬虫夏草を成分の1つとして用いたことを特徴とする冬虫夏草茶。
  3. 蚕の蛹の組成成分を主成分とする培地を用いて培養した冬虫夏草を乾燥させ、裁断処理を施した後に火入れ処理を施して虫臭さをなくしたことを特徴とする冬虫夏草茶の製造方法。
  4. 蚕の蛹の組成成分を主成分とする培地を用いて培養した冬虫夏草から子実体を分離する工程と、子実体を分離した固体に裁断処理を施す工程と、子実体を分離した前記固体に火入れ処理を施して虫臭さをなくす工程とを含むことを特徴とする冬虫夏草茶の製造方法。
  5. 前記火入れ処理に代えて焙じ処理を施すことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の冬虫夏草茶の製造方法。
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