JP4627013B2 - 釣り竿及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、竿体の竿尻端面と尻栓の摘まみ部のフランジ面との間にOリングを介在させて、Oリングの弾性変形力を利用して尻栓の緩み止めを行うものもあった。しかし、長年の使用によってOリングに傷みを生じたり、紛失したりすることがあり、改善の余地があった。
請求項1に係る発明の特徴構成は、竿体の竿尻端開口部に尻栓を螺着している釣り竿であって、
尻栓に設けた尻栓側ネジ部と竿尻端部に設けた竿体側ネジ部とを互いに螺合可能に構成するとともに、前記尻栓側ネジ部と竿体側ネジ部との少なくとも一方のネジ部で、その一方のネジ部の一部に、他のネジ部分に比較して摩擦抵抗力の大きなネジ部分を設けるべく、前記竿体の竿尻端部の肉厚内に摩擦抵抗力の大きな弾性シート材を介在させるとともに、前記弾性シート材を介在させた肉厚部分に尻栓取付用のネジ部を刻設しそのネジ部の歯底部分が前記弾性シート材に達し、前記弾性シート材にネジ部の一部分が形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
摩擦抵抗力の大きなネジ部分を設けてあるので、尻栓に摩擦抵抗力が作用し、ネジの緩みが抑止される。
しかも、摩擦抵抗力の大きなネジ部分は一方のネジ部の一部であるので、尻栓を螺合して保持するネジ部の基本的な部分は従来通り元竿等の竿尻端部に形成されたネジ部分が担うこととなるので、尻栓を保持する機能としては低下してはいない。
さらに、ネジ部の全てを摩擦抵抗力の高い材料で構成すると、尻栓の着脱時に高い摩擦抵抗力のために着脱操作がやり難くなるという欠点があるが、本発明の場合には、摩擦抵抗力の高い部分が一部に抑えられているので、着脱操作性の低下も抑えられている。
その結果、緩み難いわりには、着脱時の操作性を損なうことなく、かつ、尻栓の取り付け構造の強度低下を招くことのない、紛失しにくい尻栓取付構造を提供することができた。
したがって、竿体の竿尻端部に形成されるネジ部はその竿尻端部と弾性シート材とに亘って形成されることとなる。
これによって、尻栓と螺合して保持するネジ部分は、竿尻端部に形成されたネジ部分がその機能を担うこととなり、尻栓に対して摩擦保持力を与える部分は、弾性シート材に形成されたネジ部分が担うこととなる。
しかも、弾性シート材は竿尻端部の肉厚内に位置するので、弾性シート材が直接他物と接触する機会は少なく、弾性シート材自体が損傷することも少ない。
請求項2に係る発明の特徴構成は、マンドレルに複数枚のプリプレグシートを巻回して竿体を形成する釣り竿の製造方法であって、複数枚のプリプレグシート同士の間に摩擦抵抗力の大きな弾性シート材を介在させた状態で前記マンドレルに巻回するとともに、巻回して形成した竿体の竿尻端部の内周面に、ネジ部の歯底が前記弾性シート材に達するように尻栓取付用のネジ部を刻設して前記弾性シート材にネジ部の一部分を形成する点にあり、その作用効果は次の通りである。
請求項1で記載したように、摩擦抵抗力の大きな弾性シート材を竿尻端部内に設けてネジの一部を弾性シート材に担わせる構成による作用効果を奏することに加えて、次のような製作上の効果も発揮するものである。
つまり、プリプレグを巻回して竿体を形成する過程で弾性シート材を巻回することができるので、弾性シート材を竿尻端部の肉厚内に装着するのに、竿体を形成する方向を崩す必要がなく、その形成過程に組み込むことができるので、製作上も難点がない。
図1に示すように、竿体としての元竿1の竿尻端部1Aに、装着物としての尻栓3を螺着して釣り竿Aを構成する。
元竿1等の竿体の製作方法を説明する。図2に示すように、マンドレル4に対して複数層のプリプレグ5を巻回して竿素材を構成する。複数層のプリプレグ5は、3層構造になっており、内側層のプリプレグ5Aと外側層のプリプレグ5Cを、円周方向に沿って引き揃え配置された強化繊維a群に対して熱硬化性樹脂を含浸させて形成する。中間層のプリプレグ5Bを、竿の軸線方向に沿って引き揃え配置された強化繊維a群に対して熱硬化性樹脂を含浸させて形成する。
このような構成によって、竿体側ネジ部1aが強化繊維aを切断することはない。
上記したように、元竿1の竿尻端部に設けた竿体側ネジ部1aにおいて弾性シート材9による緩み止め機能が持たされているので、尻栓3と元竿1の竿尻端面との間に介在させていた緩み止め用のOリングが必要ではない。
第1実施形態では、元竿1の竿尻端部の内周面にネジ部1aを刻設する形態を示したが、この第2実施形態においては、元竿1の竿尻端部1Aの外周面にネジ部1aを刻設する形態を示す。
元竿1の竿尻端部1Aに大径の膨出部1Eを形成し、大径膨出部1Eの後端を断付き部を介して小径の取付部に形成し、その取付部の外周面にネジ部1aを形成してある。ネジ部1aを形成した取付部の肉厚内には、図2に示す場合と同様に、弾性シート材9が介在されており、ネジ部1aの歯底近くには、弾性シート材9の一部が刃先によってネジ加工されて、ネジの一部として露出し、尻栓3に対して緩み止め機能を発揮するように構成されている。
(1) 尻栓3の摘まみ部3Bより延出されている本体取付部3Aのネジ部の一部をゴム等で構成してもよい。この場合には、竿体の竿尻端部のネジ部の一部に緩み止め用のネジ部を形成する必要はない。
(2) 他のネジ部分に比較して摩擦抵抗力の大きなネジ部分を設ける構成としては、プリプレグ製の元竿1に形成した竿体側ネジ部1aや金属製等の竿尻側ネジ部3aの一部に、ゴム等を薄くコーティングすることによって、摩擦抵抗力の大きなネジ部分を構成することによってもよい。
(3) 竿体の尻栓3を取り付ける部分に、尻栓3のネジのリード角θと同様の傾斜状態に強化繊維aを配置した内側補助プリプレグ6を設けたが、特に内側補助プリプレグ6として強化繊維aが傾斜するものである必要はなく、強化繊維aの引き揃え方向は軸線方向かまたは円周方向であってもよい。さらに、内側補助プリプレグ6を設ける必要はなく、メインパターン5Aにネジ部1aを形成してもよい。
(4) 上記したような尻栓3の取付構造としては、元竿1の尻栓3に適用するだけでなく、中竿等の竿尻端部に着脱自在に装着する栓体に適用してもよい。
(5) 上記実施形態においては、弾性シート材9等の摩擦抵抗の高い材料をネジ部に施すのに、尻栓側ネジ部3aを尻栓3に施すか又は元竿1の竿尻端部1Aに竿体側ネジ部1aを施すかの、一方だけに施す方法を採っているが、尻栓側ネジ部3aと竿体側ネジ部1aとの両方に施す形態を採ってもよい。
1a 竿体用ネジ部
3 尻栓
3a 尻栓用ネジ部
5 プリプレグシート
9 弾性シート材
Claims (2)
- 竿体の竿尻端開口部に尻栓を螺着している釣り竿であって、
尻栓に設けた尻栓側ネジ部と竿尻端部に設けた竿体側ネジ部とを互いに螺合可能に構成するとともに、前記尻栓側ネジ部と竿体側ネジ部との少なくとも一方のネジ部で、その一方のネジ部の一部に、他のネジ部分に比較して摩擦抵抗力の大きなネジ部分を設けるべく、前記竿体の竿尻端部の肉厚内に摩擦抵抗力の大きな弾性シート材を介在させるとともに、前記弾性シート材を介在させた肉厚部分に尻栓取付用のネジ部を刻設しそのネジ部の歯底部分が前記弾性シート材に達し、前記弾性シート材にネジ部の一部分が形成してある釣り竿。 - マンドレルに複数枚のプリプレグシートを巻回して竿体を形成する釣り竿の製造方法であって、複数枚のプリプレグシート同士の間に摩擦抵抗力の大きな弾性シート材を介在させた状態で前記マンドレルに巻回するとともに、巻回して形成した竿体の竿尻端部の内周面に、ネジ部の歯底が前記弾性シート材に達するように尻栓取付用のネジ部を刻設して前記弾性シート材にネジ部の一部分を形成する釣り竿の製造方法。
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