JP4624615B2 - 無電解めっき用触媒液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、容量素子、抵抗器等の電子部品を搭載するための絶縁基体の表面に形成されたメタライズ配線上に選択的に無電解めっきを施すための活性化触媒液に関するものであり、特に酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、ムライト質焼結体などの絶縁材料からなる絶縁基体の表面に形成されたタングステン、モリブデン、モリブデン/マンガン、銅などのメタライズ配線上に選択的に無電解めっきを施すための活性化触媒液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子、容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載された配線基板は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る絶縁基体と、該絶縁基体の上面から下面にかけて形成されたタングステン、モリブデン等の高融点金属材料からなるメタライズ配線層から構成されている。このメタライズ配線層の上に半導体素子、容量素子、抵抗器等の電子部品を搭載すると共に、該電子部品の各電極をメタライズ配線層にワイヤーボンディング、半田などの接続部材を用いて電気的に接続する。
【0003】
メタライズ配線を形成しているタングステン、モリブデン等の金属材料は、半田濡れ性が悪いので、そのままでは電子部品の各電極をメタライズ配線層に前記接続部材を用いて接続することができない。このため、通常、電子部品が前記接続部材を介して接続される領域には、ニッケルめっき層と金めっき層とが順次被着されている。最近は、配線基板、電子部品などが小型軽量化しており、めっき引き出し線の形成が困難であるため、ニッケルめっきおよび金めっきを施す方法として無電解法が多用されつつある。
【0004】
無電解法によりめっきを施すには、このめっきを施す部分にパラジウム等を析出させて活性化させる必要がある。プリント配線基板の様に基板全面に無電解めっきを施す場合は、非常に吸着性の強い錫を基板上に吸着させた後、パラジウムと錫とを置換してパラジウムを析出させることで、パラジウム活性を施すことができる。また、メタライズ配線が銅の場合は、錫や鉛などを介さずにパラジウムと銅とを直接置換して、パラジウム活性を施すことができる。
【0005】
しかしながら、酸化アルミニウム質焼結体などの絶縁基体の表面に形成されたタングステン、モリブデンなどのメタライズ配線の場合、この配線上に選択的に無電解めっきを施すには、メタライズ配線表面を選択的に活性化する必要がある。通常、メタライズ配線のみを選択的に活性化するには、選択性の優れた鉛を含んだ活性化触媒液が用いられている。この活性化触媒液を用いることで、まず、鉛をメタライズ配線上に吸着させた後、この鉛を触媒として作用させてパラジウムを還元し析出させることができる。また、鉛は、触媒液中の不純物の影響を受け難く、パラジウム析出能力が安定して得られるので、鉛を含んだ触媒液は液寿命が長いという特徴を有している。しかしながら、鉛は人体に悪影響を与えるので全世界で鉛の使用が規制される傾向にある。このため、鉛を含まない触媒液の開発が必要とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鉛を含まなくても絶縁基体の表面に形成されたメタライズ配線上に選択的に無電解めっきを施すことができ、かつ従来の鉛を含む活性化触媒液と同等以上の液寿命を有する活性化触媒液を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の無電解めっき用触媒液は、パラジウム塩として水溶性の塩化パラジウムまたは硫酸パラジウムと、無機塩としてピロリン酸カリウムおよび/またはピロリン酸ナトリウムと、錯化剤としてカルボキシル基を持つマロン酸、こはく酸、アジピン酸、マレイン酸、イミノ二酢酸、およびグルタミン酸のうち少なくとも1種の有機酸と、アルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとの混合物とを含むことを特徴とする。ここで、無機塩であるピロリン酸カリウムおよびピロリン酸ナトリウムは、触媒液中でパラジウムに配位してパラジウムを安定化させる作用がある。また、錯化剤であるカルボキシル基を持つ有機酸は、上記と同様に、触媒液中でパラジウムに配位してパラジウムを安定化させる作用を有し、一方で前記無機塩との相互作用によりパラジウムの析出を促進させる作用も有している。また、アルカリ金属水酸化物は、タングステン、モリブデン、マンガン、銅などの金属材料へのパラジウム置換反応を促進させる作用を有する。これにより、触媒液中に鉛を含まなくても、タングステン、モリブデン、マンガン、銅などのメタライズ材質にかかわらず、メタライズ配線上に均一にパラジウムを析出させパラジウム活性を施すことができるので、メタライズ配線上に選択的に無電解めっきを施すことができ、かつ鉛を含む活性化触媒液と同等以上の液寿命を得ることができる。
【0008】
本発明の無電解めっき用触媒液は、前記有機酸が、酸素および/または窒素を配位原子として有し、アンモニウム基を持たないものであるのが好ましい。有機酸がこのような特徴を有していることで、パラジウムに配位する作用と、パラジウムの析出を促進させる作用とがより効果的となる。また、有機酸がアンモニウム基を有すると、パラジウム核の形成が抑制されるので、アンモニウム基を持たないのが好ましい。
【0009】
前記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム単独で、または水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとを混合して用いることができる。このアルカリ金属水酸化物は、メタライズ配線に使用されるタングステン、モリブデン、モリブデン/マンガン、タングステン/銅、モリブデン/銅、タングステン/モリブデン/銅、などのタングステン、モリブデン、マンガン、銅の少なくとも1種を主成分とする金属材料へのパラジウム置換反応を促進させる作用を有する。また、アルカリ金属水酸化物として水酸化リチウムを単独で使用した場合、少量でもパラジウム析出を促進させる効果が高く、めっきのノビが発生し易い。したがって、水酸化リチウムを使用する場合は、水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとの混合物とし、かつ混合物中の水酸化リチウム濃度が水酸化ナトリウム濃度よりも低い方が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の無電解めっき用触媒液は、パラジウム塩として水溶性の塩化パラジウムまたは硫酸パラジウムと、無機塩としてピロリン酸カリウムおよび/またはピロリン酸ナトリウムと、錯化剤としてカルボキシル基を持つ有機酸と、アルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとの混合物とを含む水溶液である。
【0011】
前記パラジウム塩としては、上記したように、水溶性の塩化パラジウムまたは硫酸パラジウムを用いることができ、触媒液中におけるパラジウム濃度は15〜400mg/L程度の範囲であるのが好ましい。パラジウム濃度が過剰に低いと、メタライズ配線上にパラジウムが析出しにくくなる。一方、パラジウム濃度が過剰に高いと、触媒液が不安定になり分解しやすくなるため液寿命が短くなり好ましくない。
【0012】
前記無機塩としては、ピロリン酸カリウムおよびピロリン酸ナトリウムを単独でもしくは混合して用いることができ、カルボキシル基を持つ有機酸とともに、触媒液中でパラジウムに配位してパラジウムを安定化させる作用がある。触媒液中における無機塩の濃度は、0.006〜0.15mol/L程度の範囲であるのが好ましい。無機塩濃度が過剰に低いと、触媒液が不安定になり分解しやすくなるため液寿命が短くなる。一方、無機塩濃度が過剰に高いと、パラジウムが過度に安定化してパラジウムが析出しにくくなるので好ましくない。
【0013】
前記有機酸としては、カルボキシル基を持つ有機酸を使用することができる。また、この有機酸としては、酸素および/または窒素を配位原子として有し、アンモニウム基を持たないものであるのが好ましい。カルボキシル基を持つ有機酸は、触媒液中においてパラジウムに配位してパラジウムを安定化させる作用を有し、一方で前記無機塩との相互作用によりパラジウムの析出を促進させる作用も有している。触媒液中における有機酸の濃度は、0.004〜0.10mol/L程度の範囲であるのが好ましい。有機酸の濃度が過剰に低いと、パラジウムの析出を促進させる効果を得ることができない。一方、有機酸の濃度が過剰に高い場合は、特に特性的に問題は生じないが、液コストが高くなるので好ましくない。
【0014】
前記有機酸がアンモニウム基を有したものである場合、メカニズムは明らかではないが、前記メタライズ配線上においてパラジウム核の析出が抑制され、結果として個々のパラジウム核が大きく成長してしまう。パラジウム核が大きいと、メタライズ配線の剥がれやふくれの原因となる。また、このメタライズ配線上に無電解ニッケルめっきを施した後に熱処理すると、パラジウムがニッケル表面に拡散してくるので、その上に被覆する金めっきのカバーリング性を低下させる。
【0015】
このような有機酸としては、例えばマロン酸CH2(COOH)2、こはく酸HOOC(CH2)2COOH、アジピン酸HOOC(CH2)4COOH、マレイン酸C2H2(COOH)2、酒石酸(CHOH)2(COOH)2、クエン酸C3H4OH(COOH)3、イミノ二酢酸HN(CH2COOH)2、グルタミン酸HOOC・CH2・CH2・CH(NH2)COOHなどが挙げられる。
【0016】
前記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム単独で、または水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとを混合して用いることができる。触媒液中におけるアルカリ金属水酸化物の濃度は、0.075〜0.625mol/L程度の範囲が好ましい。アルカリ金属水酸化物の濃度が過剰に低いと、触媒液のpHが前記金属材料へパラジウムを置換反応させるのに適したpH領域(pH10以上)から外れるので、パラジウムの析出を促進させる効果が低下してしまう。一方、アルカリ金属水酸化物の濃度が過剰に高い場合は、パラジウムの析出を促進させる効果が高くなりすぎて、めっきのノビが発生するため好ましくない。
【0017】
なお、触媒液のpHが4〜7程度の場合でもパラジウムの析出を促進させる効果は得られるが、この場合、触媒液の好適な温度範囲は45〜70℃程度となり、触媒液の好適なパラジウム濃度範囲は30〜400mg/Lとなる。一方、本発明の場合、アルカリ金属水酸化物を添加して触媒液のpHを10以上とすることでパラジウムの析出を促進させる効果が得られるとともに、触媒液の好適な温度範囲は15〜70℃となり、触媒液の好適なパラジウム濃度範囲は15〜400mg/Lとなる。これにより、触媒液をより広い温度範囲およびより広いパラジウム濃度範囲で使用できる。
【0018】
メタライズ配線を形成する絶縁基体は、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体などの電気絶縁材料からなる。この絶縁基体の作製方法を、絶縁基体が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合を例にして説明する。まず、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの原料粉末に適当な有機バインダー、溶剤を添加混合して泥漿状のセラミックスラリーを作製する。ついで、該セラミックスラリーを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法などのシート成形技術を採用してシート状のセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得る。次に、このセラミックグリーンシートに切断加工や打ち抜き加工などを施して適当な形状とするとともにこれを複数枚積層する。最後に、この積層されたセラミックグリーンシートを還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成することによって絶縁基体を作製することができる。
【0019】
前記メタライズ配線は、タングステン、モリブデン、モリブデン/マンガン、タングステン/銅、モリブデン/銅、タングステン/モリブデン/銅、などのタングステン、モリブデン、マンガン、銅の少なくとも1種を主成分とする金属材料により形成されている。
【0020】
前記メタライズ配線は、例えばタングステンなどの金属粉末に適当な有機バインダーや溶剤を添加混合して得た金属ペーストを絶縁基体となる前記セラミックグリーンシートに予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておき、前記したように還元雰囲気中、約1600℃の温度でセラミックグリーンシートと同時焼成することによって、絶縁基体の所定位置に被着形成される。
【0021】
上記のようにして形成された絶縁基体上のメタライズ配線は、半田濡れ性が悪いため、そのままでは電子部品の各電極をメタライズ配線に半田等の前記接続部材を用いて接続することができない。そこで、このメタライズ配線上に無電解めっき層を形成する。
【0022】
このめっき層は、(1)めっき前処理、(2)無電解めっき用触媒液による活性化処理、(3)無電解めっき処理、の各工程を経て形成される。
(1)めっき前処理
めっき前処理は、例えば以下の手順で実施される。
まず、メタライズ配線が形成された前記絶縁基体を液温50〜60℃に温度調節されたアルカリ脱脂液に浸漬して脱脂を行う。この脱脂液は、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ塩と界面活性剤とを主成分とし、表面に付着している油脂等の汚れを除去するとともに、タングステンエッチング液、ガラス(絶縁基体)エッチング液との濡れ性を持たせるものである。この脱脂の後、水道水にて水洗する。ついで、フェリシアン化カリウムと水酸化カリウムとを主成分とする20〜30℃のタングステンエッチング液に所定時間浸漬し、前記焼成により絶縁基体上に飛散した不要なタングステンやタングステンメタライズ配線表面の酸化皮膜を除去する。その後、水道水にて水洗する。ついで、フッ化物を主成分とする20〜30℃のガラスエッチング液に所定時間浸漬することにより、メタライズ配線表面まで上がって来ているガラス相を取り除く。その後、水道水にて水洗する。ついで、例えば20〜30℃の10%塩酸などに浸漬することにより、タングステンメタライズ配線表面の酸化皮膜を取り除き、最後に純水にて水洗する。
【0023】
(2)無電解めっき用触媒液による活性化処理
上記のようにしてめっき前処理されたメタライズ配線は、そのままでは無電解ニッケルめっきや銅めっきなどに対して触媒能力がなく、めっき処理することができない。そこで、このメタライズ配線上を前記した本発明の無電解めっき用触媒液により活性化処理し、メタライズ配線上にパラジウムの触媒核を付与してパラジウム活性を施すことによって、めっき処理が可能となる。
活性化処理は、例えば前記触媒液にメタライズ配線が形成された絶縁基体を浸漬することによって行うことができる。前記触媒液の液温は15〜70℃程度、浸漬時間は3〜10分間程度、触媒液のpHは10以上であるのがよい。この触媒液のpHを調整するには、前記アルカリ金属水酸化物の他、塩酸、硫酸などの酸性の無機塩及びピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウムなどのアルカリ性の無機塩を適量添加すればよい。このような本発明の無電解めっき用触媒液を用いることで、タングステン、モリブデン、マンガン、銅等のメタライズ材質にかかわらず、メタライズ配線上に均一にパラジウムを析出させパラジウム活性を施すことができる。
【0024】
(3)無電解めっき
上記のようにしてパラジウム活性が施されたメタライズ配線上には、通常、無電解ニッケルめっき膜、無電解金めっき膜の順にめっき層が形成される。これらのめっき層およびその形成方法としては、特に限定されず、通常使用されているめっき液およびめっき層の形成方法を用いることができる。
例えば、無電解ニッケルめっき膜は、ニッケルイオンの供給源として硫酸ニッケルを、還元剤としてジメチルアミンボランを用い、これに錯化剤、促進剤(ニッケルとの錯化安定性の異なる(強弱)錯化剤を組み合わせることにより、促進効果が現れる。)としてクエン酸、リンゴ酸、乳酸等の内いずれか2〜3種類の有機酸を、安定剤としてチオ二酢酸等を添加してなる無電解めっき液を用い、そのめっき液を建浴後、アンモニア水等によりpHを約6.5に調整し、60〜65℃に加温してめっきを行うことによってメタライズ配線表面に被着される。その後、メタライズ配線とニッケルめっき層との密着性を向上させるために、水素と窒素との混合還元雰囲気中約600〜1000℃の温度で約10〜30分程度加熱して熱処理を行うのが好ましい。
また、無電解金めっき膜は、金イオン供給源としてシアン化金カリウム、錯化剤として、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を添加した置換型のめっき液を用い、そのめっき液を建浴後、85〜95℃に加温して、無電解ニッケルめっき膜が被着されたメタライズ配線上に被着される。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜20および参考例1〜12において、本発明の無電解めっき用触媒液を用いた活性化処理および無電解ニッケルめっき処理を行い、得られたサンプルのパラジウム析出状況とニッケルめっき析出状況について評価した。
本実施例で用いた評価用サンプルは、以下のようにして作製した。
<絶縁基体上へのメタライズ配線の形成>
酸化アルミニウムセラミックグリーンシート上に、タングステンのペーストをスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布し、前記セラミックグリーンシートとタングステンペーストとを同時焼成し、タングステンメタライズ配線を形成した。
図1に示すように、酸化アルミニウム質焼結体からなる絶縁基体1は、外寸が50mm角のものを用いた。絶縁基体1上には、10mm角の角パッド2と、直径0.1mm/ピッチ(繰り返し配置間隔)0.2mmの丸パッド3と線巾0.1mm/線長20mm/線間ギャップ0.1mmの配線4とを形成した。
【0027】
次に、無電解めっき用触媒液による活性化処理および無電解めっき処理について説明する。
<めっき前処理>
前記した方法((1)めっき前処理)を用いて絶縁基体およびメタライズ配線のめっき前処理を行った。このとき、アルカリ脱脂液の液温は60℃とした。
【0028】
<無電解めっき用触媒液への浸漬>
得られたタングステンメタライズ配線は、無電解ニッケルのめっきに対して触媒能力がないことから、めっき処理の前に無電解めっき用触媒液に浸漬した。この無電解めっき用触媒液としては、塩化パラジウム、ピロリン酸カリウム、カルボキシル基を有する有機酸、アルカリ金属水酸化物を含むものを使用し、表1〜5に示すような組成に調製した。次に、調製した各触媒液を温度調整(実施例1〜14および参考例7〜12は60℃に調整、実施例15〜20および参考例1〜6は表3、4に示す温度に調整)し、めっき前処理を行ったメタライズ配線を有する絶縁基体を前記触媒液に5〜10分間浸漬した(パラジウム触媒核の付与)。
【0029】
<無電解めっき処理>
上記のようにして活性化処理(パラジウム触媒核の付与)を行った絶縁基体を、液温60℃、pH6.8に調整された無電解Ni−Bめっき液(日本カニゼン社製SB55)に15分間浸漬して無電解ニッケルめっき処理を行った。
【0030】
上記のようにして得られたサンプルは、以下の方法で評価した。
<サンプルの評価方法>
パラジウムの析出状況については、パラジウム触媒核の付与後に走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。
ニッケルめっきの析出状況については、無電解Ni−Bめっき後に肉眼及び10倍の実体顕微鏡を用いて、ニッケルめっきの色、光沢等の外観、めっき欠けを観察した。
【0031】
評価結果を表1〜5に示す。
なお、実施例1〜7は、パラジウム濃度を変化させたときのパラジウムの析出状況およびニッケルめっきの析出状況を評価したものである。実施例8〜14は、アルカリ金属水酸化物濃度を変化させたときのパラジウムの析出状況およびニッケルめっきの析出状況を評価したものである。実施例15〜20は、触媒液の温度を変化させたときのパラジウムの析出状況およびニッケルめっきの析出状況を評価したものである。参考例1〜12は、アルカリ金属水酸化物を添加することによる効果を確認するために、触媒液にアルカリ金属水酸化物を添加しないで、触媒液の温度またはパラジウム濃度を変化させたときのパラジウムの析出状況およびニッケルめっきの析出状況を評価したものである。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0032】
<判定基準(パラジウムの析出状況について)>
表1〜5において、
「◎」は、析出パラジウム粒子径及びその分布状態に問題がないことを表す。
「○」は、部分的なニッケル未析出箇所があるが、処理時間延長で対応でき、実用上問題ないレベルであることを表す。または、析出パラジウム粒子に若干凝集が見られるが、実用上問題ないレベルであることを表す。
「△」は、50%以上のニッケル未析出箇所があることを表す。
【0033】
<判定基準(ニッケルの析出状況について)>
表1〜5において、
「◎」は、めっきのノビなどの不具合が見られないことを表す。
「○」は、パッド3や配線4において、一部めっきノビが見られるが実用上問題ないレベルであることを表す。
「△」は、パッド2、3や配線4などにおいてめっきのノビが見られ、ショートなどの不具合が生じる可能性が高く、実用上問題があることを表す。
備考:無機塩としてピロリン酸塩単体もしくはその水和物を用いることができ、水への溶解度により、濃度上限が制限される場合がある。
【0034】
表1〜5に示すように、実施例1〜20および参考例1〜12の各条件により活性化処理およびニッケルめっきを施した全てのサンプルは、実用上問題のないレベルのものが得られた。
また、実施例15〜20と参考例1〜6とを比較すると、アルカリ金属水酸化物を添加している実施例15〜20の方が、好適な触媒液温度の範囲がより広いことがわかる。
さらに、実施例1〜7と参考例7〜12とを比較すると、アルカリ金属水酸化物を添加している実施例1〜7の方が、好適なパラジウム濃度の範囲がより広いことがわかる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、鉛を含まない無電解めっき用触媒液を用いて活性化処理することによって、絶縁基体の表面に形成されたメタライズ配線上に選択的に無電解めっきを施すことができ、かつ鉛を含む活性化触媒液と同等以上の液寿命を得ることができるので、地球環境に優しい半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載された配線基板を供給することができるという効果がある。さらに、本発明によれば、アルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとの混合物とを含む無電解めっき用触媒液を用いて活性化処理することによって、メタライズ配線に使用される金属材料へのパラジウムの置換反応を促進させることができるとともに、触媒液をより広い温度範囲およびより広いパラジウム濃度範囲で使用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において用いた評価用サンプルを示す概略図である。
【符号の説明】
1 絶縁基体
2 角パッド
3 丸パッド
4 配線
Claims (6)
- パラジウム塩として水溶性の塩化パラジウムまたは硫酸パラジウムと、無機塩としてピロリン酸カリウムおよび/またはピロリン酸ナトリウムと、錯化剤としてカルボキシル基を持つマロン酸、こはく酸、アジピン酸、マレイン酸、イミノ二酢酸、およびグルタミン酸のうち少なくとも1種の有機酸と、アルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムと水酸化リチウムとの混合物とを含むことを特徴とする無電解めっき用触媒液。
- 前記有機酸が、酸素および/または窒素を配位原子として有し、アンモニウム基を持たない請求項1記載の無電解めっき用触媒液。
- 前記触媒液中のパラジウムの濃度が15〜400mg/Lである請求項1または2記載の無電解めっき用触媒液。
- 前記触媒液中の無機塩の濃度が0.006〜0.15mol/Lである請求項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき用触媒液。
- 前記触媒液中の有機酸の濃度が0.004〜0.10mol/Lである請求項1〜4のいずれかに記載の無電解めっき用触媒液。
- 前記触媒液中のアルカリ金属水酸化物の濃度が0.075〜0.625mol/Lである請求項1〜5のいずれかに記載の無電解めっき用触媒液。
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JPH06145994A (ja) * | 1992-11-09 | 1994-05-27 | Hitachi Chem Co Ltd | 選択的無電解ニッケルめっき用触媒溶液及びこの溶液を用いた無電解ニッケルめっき方法 |
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2001
- 2001-09-26 JP JP2001293485A patent/JP4624615B2/ja not_active Expired - Lifetime
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