JP4623531B2 - 電子機器およびその制御方法、記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器のシステムリセット方法及びその装置、制御プログラムを記録した記録媒体に関し、例えば、複数のマイコンを搭載した分散処理型の電子スチルカメラに適用して好適なシステムリセット方法及びその装置、制御プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子スチルカメラはCCD(Charge Coupled Device)で撮影した画像データをフラッシュメモリ等の記憶デバイスに電子的に記録したり、その場で液晶ディスプレイに表示して確認したりできる点で、既存の銀塩カメラにない優れた利便性を持っており、広く普及している携帯型電子機器の一つである。
【0003】
一般に携帯型電子機器に対しては、小型・軽量であることに加え、さらにバッテリの寿命が長いことが求められるが、大容量バッテリの搭載は小型・軽量の要求に反するため、できるだけ内部の電力消費量を抑えるようなシステム設計が行われる。
【0004】
省電力に有効な電子スチルカメラの設計手法として、以下のものが知られている。すなわち、電子スチルカメラの動作に必要な様々な処理機能のうち、待機状態のみに必要な機能を第1のマイコンに受け持たせるとともに、残りの他の機能を第2のマイコンに受け持たせるというものである。これは、分散処理型の一形態ということができる。待機中は第1のマイコンだけを動作させることにより、少なくとも第2のマイコンの消費電力を抑えることができる。また、第1のマイコンに低電力型のものを用いることにより、省電力性のより一層の向上を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記複数のマイコンを備えた分散処理型の電子スチルカメラにあっては、マイコン暴走時のシステムリセット対策が不十分であり、解決すべき課題があった。
【0006】
ここで、マイコンの暴走とは、定められたプログラムの手順から外れて異常な動作を行うことをいう。異常の原因は様々であるが、例えば、静電気や強い電界あるいは太陽風などの荷電粒子の影響などによって、マイコンのレジスタや主記憶のデータが変化したりすることが考えられる。一般に異常な動作のうち予期できるものについてはプログラム中に所定のエラートラップルーチンを組み込んでおくことにより、ソフトウェアリセットを発生してシステムをリセットすることができる。
【0007】
しかし、全てのエラーをトラップすることは物理的に不可能であるため、マイコンの暴走を完全に防止することはできないうえ、複数のマイコンを備えた場合はそのマイコンの数に比例して暴走の発生確率も当然高くなるから、システムの安定性を維持するためにも暴走時のシステムリセット対策は不可欠であるが、従来のものは、一のマイコンが暴走した場合、他のマイコンでその暴走を自動的に検知してシステムをリセットすることができず、そのため、人為的なリセット操作を行うしか術がなく、手間がかかって面倒であるという問題点があった。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、一のマイコンが暴走した場合、他のマイコンでその暴走を自動的に検知してシステムリセットを掛け得るようにすることができる、電子機器のシステムリセット方法及びその装置、制御プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定の論理状態を周期的に繰り返す信号である通知信号を生成するようにプログラムされた通知信号生成プロセスをターゲットとなるマイコンに周期的に実行させる実行制御手段と、前記ターゲットとなるマイコンが出力する前記通知信号の出力状態が前記所定の論理状態を周期的に繰り返す状態でなくなった場合に前記ターゲットとなるマイコンが正常動作中でないと判断して該マイコンを強制的にリセットする強制リセット手段と、前記ターゲットとなるマイコンからの処理状態信号に基づいて該マイコンの処理負荷の大きさを判定し、重い処理を実行中であれば前記強制リセット手段による前記強制的なリセット動作を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、電子スチルカメラを例にして、図面を参照しながら説明する。
まず、電子スチルカメラの処理機能をいくつかの系統に分けて説明する。
図1は、電子スチルカメラ1の処理機能図である。撮像系1aは被写体の像を撮像して画像信号に変換するもので、絞り機構、CCD、タイミング発生器などを含む。画像処理系1bは撮像系1aからの画像信号をカラー画像信号に変換したり所定の画像形式に変換処理したりするもので、γ補正やホワイトバランス補正などの補正回路およびカラープロセス処理回路ならびに画像形式変換回路などを含む。記録系1cは形式変換された画像データを読み出し可能に記録保持するもので、フラッシュメモリなどの記憶デバイスおよびその周辺回路などを含む。表示系1dは撮影時の構図確認や撮影済み画像およびスルー画像の表示を行うもので、ファインダー用の表示デバイス、画像確認用の数インチ程度の表示デバイスおよびその周辺回路などを含む。キー操作系1eは撮影や画像確認およびシステム設定などの各種キー操作を行うもので、シャッターキーや各種機能キーなどのスイッチ類およびその周辺回路などを含む。その他系1fはその他の処理系を便宜的にまとめたもので、例えば、電源や外部インターフェースなどを含む。なお、以上の系統分類はあくまでも一例であって、これに限定されないことはもちろんである。
【0011】
図2は、上記の各系統の処理を2個のマイコンで分担する場合の概念図である。第1のマイコン2は、例えば、撮像系1a、画像処理系1b、記録系1cおよび表示系1d(但しファインダー部)の処理を担当し、第2のマイコン3は、残りの処理、すなわち、この例では、表示系1d(但しファインダー部を除く)、キー操作系1eおよびその他系1fの処理を担当する。
【0012】
通常の使用時には、第1のマイコン2と第2のマイコン3を共に活性化状態にして上記全ての系統を動作可能にする一方、待機時には、第2のマイコン3のみを活性化状態にして省電力化を図る。第2のマイコン3の担当処理は、要するに、待機状態を維持するために必要な最低限の処理であればよい。したがって、第2のマイコン3には電力消費の少ないものを使用できるから、待機時の省電力性能を向上することができ、バッテリ寿命を延ばすことができる。
【0013】
ここで、本発明の課題は、「一のマイコンが暴走した場合、他のマイコンでその暴走を自動的に検知してシステムリセットを掛けることができる」ようにする点にある。
【0014】
図3は、その課題を達成するための実施形態のシステム概念図である。図において、一点差線で囲まれた二つの図形は、それぞれ一のマイコン(発明の要旨に記載の「ターゲットとなるマイコン」に相当)4と、他のマイコン5を模式的に表している。一のマイコン4および他のマイコン5は、図2の第1のマイコン2および第2のマイコン3に対応する。例えば、第1のマイコン2の暴走を第2のマイコン3で検出する場合、一のマイコン4は第1のマイコン2となり、他のマイコン5は第2のマイコン3となる。あるいは、その逆であれば、一のマイコン4は第2のマイコン3となり、他のマイコン5は第1のマイコン2となる。
【0015】
一のマイコン4で重要な点は、当該マイコン4の動作状態を通知するための通知信号を外部出力することにある。通知信号は、当該マイコン4の正常動作中に、例えば、所定の論理状態(便宜的にHレベルとする。)を周期的に繰り返す信号(所定の時間的変化傾向を有する信号)とすることができ、その通知信号の生成は、予めプログラムされた通知信号生成プロセスを当該マイコン4で周期的(例えば1秒周期)で実行させることにより行ってもよい。一のマイコン4が暴走した場合、上記プロセスの実行がストップして、通知信号の周期的な論理変化が外部観測されなくなるからである。
【0016】
但し、上記の通知信号は、所定の時間的変化傾向を有する信号のみに限定されない。要は、一のマイコン4の正常動作中に、所定の振る舞いまたは所定の時間的変化傾向ないしは所定の値を維持する信号であればよく、これらの信号はいずれも発明の要旨に記載の物理情報に相当する信号(またはコマンド若しくはデータ)である。図において、4aは通知信号プロセス(発明の要旨に記載の物理情報出力手段に相当)を表し、4bは当該プロセスの周期的実行を表し、4cは当該プロセスによって生成された通知信号を表している。
【0017】
一方、他のマイコン5で重要な点は、一のマイコン4から出力された通知信号を監視(モニタ)し、その信号に基づいて一のマイコン4の動作状態を判定して、異常動作(暴走)を判定した場合にシステムリセット信号を発生して、システムリセット部6に出力することにある。図において、5aは通知信号の監視プロセスを表し、5bは当該プロセスの周期的実行を表し、5cは当該プロセスによる一のマイコン4の動作判定結果を表し、5dは異常動作判定時のシステムリセットの発生プロセスを表し、5eはシステムリセット信号を表す。通知信号の監視プロセス5aとシステムリセットの発生プロセス5dは、発明の要旨に記載のシステムリセット信号発生手段に相当する。なお、他のマイコン5におけるこれらのプロセス(5a、5c、5d)はソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0018】
このような構成によれば、一のマイコン4が暴走すると、通知信号生成プロセス4aの周期的実行が行われなくなるため、通知信号4cはLレベルの状態を維持することになる。その結果、他のマイコン5の通知信号監視プロセス5aで、通知信号4cのLレベル維持状態が検出され、一のマイコン4の暴走が検知される。したがって、他のマイコン5のシステムリセットプロセス5dでシステムリセット信号5eを発生し、このシステムリセット信号5eをシステムリセット部6に出力して、一のマイコン4や他のマイコン5及びその他の周辺回路に対するリセット通知6aを行ってシステムリセットを実行できるから、人為的なリセット操作を行う必要がなくなり、手間をなくして使い勝手を向上できるという特有のメリットが得られる。
【0019】
ところで、上記のように構成した場合、一のマイコン4の処理状態によっては通知信号生成プロセス4aの周期的実行が困難になることがある。例えば、処理負荷が大きい場合などでは、通知信号生成プロセス4aの実行が待たされることがあり、このような場合、一のマイコン4から出力される通知信号4cが長い時間、Lレベルを維持するため、他のマイコン5の通知信号監視プロセス5aで誤った判断がなされ、その結果、不本意なシステムリセットが行われるという動作上の不都合をきたす。
【0020】
図4は、上記実施の形態の改良例であり、かかる不都合を回避するようにしたものである。図において、一点差線で囲まれた二つの図形は、それぞれ一のマイコン(発明の要旨に記載の「ターゲットとなるマイコン」に相当)7と、他のマイコン8を模式的に表している。一のマイコン7および他のマイコン8は、図2の第1のマイコン2および第2のマイコン3に対応する。例えば、第1のマイコン2の暴走を第2のマイコン3で検出する場合、一のマイコン7は第1のマイコン2となり、他のマイコン8は第2のマイコン3となる。あるいは、その逆であれば、一のマイコン7は第2のマイコン3となり、他のマイコン8は第1のマイコン2となる。
【0021】
一のマイコン7で重要な一つの点は、上記実施の形態と同様に、当該マイコン7の動作状態を通知するための通知信号を外部出力することにある。通知信号は、例えば、所定の論理状態(便宜的にHレベルとする。)を周期的に繰り返す信号とすることができ、その通知信号の生成は、予めプログラムされた通知信号生成プロセスを当該マイコン7で周期的(例えば1秒周期)で実行させることにより行ってもよい。一のマイコン7が暴走した場合、上記プロセスの実行がストップして、通知信号の周期的な論理変化が外部観測されなくなるからである。
【0022】
さらに、一のマイコン7で重要な他の一つの点は、当該マイコン7の動作負荷を示す処理状態信号を出力できることにある。この処理状態信号は、例えば、バスサイクルの状態を外部に通知するための信号(具体例はV30または80486アーキテクチャのバスステータス信号)を使用することができる。アドレスバスやデータバスが高い頻度で使用されている場合、当該マイコン7の処理負荷が大きいとみなすことができるからである。但し、処理状態信号はこの例(バスステータス信号)に限定されない。要は、一のマイコン7の実際の処理負荷を概ね表す信号であればよく、例えば、チップ温度信号などであってもよい。
【0023】
図において、7aは通知信号プロセスを表し、7bは当該プロセスの周期的実行を表し、7cは当該プロセスによって生成された通知信号を表している。また、7dは処理状態信号の生成プロセス(またはハードロジック)を表し、7eは当該生成プロセスによって生成された処理状態信号を表す。
【0024】
一方、他のマイコン8で重要な一つの点は、上記実施の形態と同様に、一のマイコン7から出力された通知信号を監視(モニタ)し、その信号に基づいて一のマイコン7の動作状態を判定して、異常動作(暴走)を判定した場合にシステムリセット信号を発生することにあるが、重要な他の一つの点は、一のマイコン7からの処理状態信号に基づいて、一のマイコン7の処理負荷の大きさを判定し、重い処理を実行中であれば、上記システムリセット信号をマスクすることにある。
【0025】
図において、8aは通知信号の監視プロセスを表し、8bは当該プロセスの周期的実行を表し、8cは当該プロセスによる一のマイコン7の動作判定結果を表し、8dは異常動作判定時のシステムリセットの発生プロセスを表し、8eはシステムリセット信号を表す。また、8fは一のマイコン7からの処理状態信号に基づいて当該マイコン7の処理負荷の大きさを判定する負荷判定プロセスを表し、8hは重い負荷を判定した際にシステムリセット信号8eをマスクするマスクプロセスを表している。通知信号の監視プロセス8a、システムリセットの発生プロセス8d、負荷判定プロセス8f及びマスクプロセス8hは、発明の要旨に記載のシステムリセット信号発生手段に相当し、また、マスクプロセス8hはシステムリセット信号禁止手段に相当する。
【0026】
なお、他のマイコン8におけるこれらのプロセス(8a、8c、8d、8f、8h)はソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0027】
このような構成によれば、一のマイコン7からの通知信号7cが長い時間Lレベルの状態を維持すると、他のマイコン8の通知信号監視プロセス8aで、一のマイコン7が暴走状態にあると仮判定され、システムリセットプロセス8dでシステムリセット信号8eを発生するが、同時並行的に他のマイコン8の負荷判定プロセス8fで、一のマイコン7の処理負荷を判定し、重い処理と判定した場合にシステムリセット信号8eをマスクする一方、そうでない場合に非マスクのシステムリセット信号8iをシステムリセット部9に出力して、一のマイコン7や他のマイコン8及びその他の周辺回路に対するリセット通知9aを行ってシステムリセットを実行することができる。
【0028】
したがって、改良された実施形態によれば、一のマイコン7で重い処理を実行中に、仮に一のマイコン7からの通知信号7cが長い時間、Lレベルの状態を維持したとしても、システムリセット信号8eをマスクして、一のマイコン7や他のマイコン8及びその他の周辺回路に対するリセット通知9aを禁止でき、不本意なシステムリセットが行われないという動作安定上の特有なメリットが得られる。
【0029】
図5は、本発明に係る電子スチルカメラの特にマイコン関係要部を示す構成図である。この図において、メインマイコン部10は前述(図2参照)の第1のマイコン2に相当し、サブマイコン部20は同第2のマイコン3に相当すると共に、電子スチルカメラの各部を、例えば、撮像系1a、画像処理系1b、記録系1c、表示系1d、キー操作系1eおよびその他系1fに系統分けした場合に、メインマイコン部10は、例えば、撮像系1a、画像処理系1b、記録系1cおよび表示系1d(但しファインダー部)の処理を担当し、サブマイコン部20は、残りの処理、この例では、表示系1d(但しファインダー部を除く)、キー操作系1eおよびその他系1fの処理を担当する。なお、各系の符号はそれぞれ図1の符号に対応する。
【0030】
通常の使用時には、メインマイコン部10とサブマイコン部20を共に活性化状態にして上記全ての系統を動作可能にする一方、待機時には、サブマイコン部20のみを活性化状態にして省電力化を図る。サブマイコン部20の担当処理は、要するに、待機状態を維持するために必要な最低限の処理であればよい。したがって、サブマイコン部20には電力消費の少ないものを使用できるから、待機時の省電力性能を向上することができる。
【0031】
ここで、メインマイコン部10は前記一のマイコン(図3の符号4または図4の符号7参照)に相当し、サブマイコン部20は前記他のマイコン(図3の符号5または図4の符号8参照)に相当する。すなわち、メインマイコン部10(一のマイコン)の暴走をサブマイコン部20(他のマイコン)で検知することが可能なように構成されている。ここで、図面には、メインマイコン部10およびサブマイコン部20のほかに、時計部30とシステムリセット部40が示されており、時計部30は周期的信号(例えばTa秒間隔の信号;便宜的にTa=1とする。)の発生機能を有し、システムリセット部40は各マイコン10、20からの内部リセット信号(RSTa、RSTb、RSTc)に応答してシステム各部をリセットするシステムリセット信号RST_SYSの発生機能を有するものである。
【0032】
<ウォッチドッグタイマーによるシステムリセット>
メインマイコン部10およびサブマイコン部20は、それぞれウォッチドッグタイマー部17、27を内蔵(または外付け)する。ウォッチドッグタイマー部17、27は周知のとおり、数ビットのカウンタとオーバフロー検知回路とで構成されており、システムクロック等の周期信号に同期させてカウンタの値を逐次更新して行き、カウンターの値がオーバフローしたとき(または所定値に達したとき)に内部リセット信号(メインマイコン部10にあってはRSTa、サブマイコン部20にあってはRSTb)を発生するというものである。
【0033】
但し、カウンタの値はソフト的またはハード的に初期化できるようになっており、例えば、初期値からオーバーフロー値(または所定値)に達するまでの時間をTxとすると、少なくともTx以内の時間で定期的にカウンタ値を初期化することにより、内部リセット信号(メインマイコン部10にあってはRSTa、サブマイコン部20にあってはRSTb)の発生を禁止できるようになっている。
【0034】
メインマイコン部10及びサブマイコン部20の「その他部11、26」は、各マイコン10、20の担当処理機能を模式化して表したものであり、「その他部11、26」からウォッチドッグタイマー部17、27に対して出力される信号S1a、S1bは各々の担当処理機能が正常に実行されている間、少なくともTa以内の時間で定期的に発生する、上記カウンタ値の初期化信号である。
【0035】
したがって、これらのウォッチドッグタイマー部17、27を備えたメインマイコン部10及びサブマイコン部20によれば、いずれか一方の担当処理機能が正常に実行されなくなった場合、異常側のウォッチドッグタイマー部(17または27)のカウンタ値が初期化されなくなって、直前の初期化時点からTx時間を経過した時点で、内部リセット信号(メインマイコン部10にあってはRSTa、サブマイコン部20にあってはRSTb)が発生するので、この内部リセット信号に応答させて、システムリセット部40でシステムリセット信号RST_SYSを発生させることができる。
【0036】
図6は、ウォッチドッグタイマーによるシステムリセットの流れ図であり、(a)はメインマイコン部10の内部リセット信号RSTaに関するもの、(b)はサブマイコン部20の内部リセット信号RSTbに関するものである。
これらの流れ図からも理解されるように、メインマイコン部10またはサブマイコン部20のウォッチドッグタイマー(ウオッチドッグタイマー部17、27)は常にオーバフロー前にクリア(初期化または所定値に戻されること)される(ステップS11及びステップS21)が、もし、メインマイコン部10またはサブマイコン部20の各々の担当処理機能が正常に実行されていない場合は、同クリア動作が行われずにオーバフロー(または所定値に到達)するため、メインマイコン部10にあっては内部リセット信号RSTaを、また、サブマイコン部20にあっては内部リセット信号RSTbを発生し、その結果、システムの強制リセットを行うことができる(ステップS12またはステップS22)のである。
【0037】
次に、メインマイコン部10及びサブマイコン部20は、ウォッチドッグタイマー部17、27を利用した上記の内部リセット信号RSTa、RSTbの発生機能に加え、さらに、以下の構成(ソフト的に実現されるものを含む)からなる統合的な内部リセット信号発生機能を備える。
【0038】
すなわち、メインマイコン部10は、さらに、正常動作中信号生成部12、正常動作中信号出力部13、強制リセットマスク部14、正常動作中通信コマンド生成部15及び正常動作中通信コマンド出力部16を有し、サブマイコン部20は、さらに、正常動作中信号入力部21、強制リセット制御部22、正常動作中通信コマンド入力部23、暴走判定部24及び1秒間隔検出部25を有し、これら各部によって、メインマイコン部10の暴走をサブマイコン部20で判定し、その判定結果に基づいて統合的な内部リセット信号RSTcを発生する機能を備える。
【0039】
以下、この内部リセット信号RSTcのことを、便宜的に、統合内部リセット信号RSTcと称し、上記のウォッチドッグタイマーによる内部リセット信号RSTa、RSTbと区別することにする。
【0040】
図からも理解できるように、統合内部リセット信号RSTcは暴走判定部24の出力信号である。暴走判定部24は1秒間隔検出部25からの周期信号(時計部20の時間信号に基づいて生成されたTa間隔の信号;ここでは便宜的に1秒間隔の信号)に同期して動作し、正常動作中信号入力部21、強制リセット制御部22および正常動作中通信コマンド入力部23からの三つの信号S2a〜S2cに基づいて、メインマイコン部10の暴走判定を行い、当該暴走判定時における統合内部リセット信号RSTcの出力を行うと共に、所定条件成立時には統合内部リセット信号RSTcの出力禁止(マスク)を行うというものである。
【0041】
詳しくは、暴走判定部24は、正常動作中信号入力部21からの信号S2aに基づいて、メインマイコン部10の暴走判定(以下「第1の暴走判定」という。)を行い、または、正常動作中通信コマンド入力部23からの信号S2cに基づいて、メインマイコン部10の暴走判定(以下「第2の暴走判定」という。)を行う。そして、これら第1の暴走判定または第2の暴走判定の判定結果が「暴走」の場合に、強制リセット制御部22からの信号S2bを参照して当該信号S2bがアクティブであれば、これら第1の暴走判定または第2の暴走判定の判定結果を無視する一方、インアクティブであれば、当該判定結果に従って統合内部リセット信号RSTcを出力するというものである。
【0042】
<第1の暴走判定>
まず、第1の暴走判定について説明する。正常動作中信号入力部21には、メインマイコン部10の正常動作中信号生成部12で生成された周期的な信号S3が正常動作中信号出力部13を介して入力されている。この信号S3は、時計部30の時間信号に同期したTa間隔(Ta=1秒)の周期信号であり、時計部30が正常に動作し、且つ、メインマイコン部10が正常に動作している限り、当該信号S3の周期性は失われないものである。
【0043】
図7は、信号S3のタイミング図であり、同図(a)は一定の周期(Ta)を保っている場合の図、同図(b)は周期性を失った場合の図である。暴走判定部24における第1の暴走判定は、要するに、信号S3の周期性をモニタして周期性が失われた場合(例えば、同図(b)のようになった場合)に、メインマイコン部10に異常(例えば、暴走)が発生したとみなして判断するというものである。
【0044】
すなわち、図8(a)に示すように、メインマイコン部10は正常動作中信号を生成してサブマイコン部20に出力し(ステップS31)、サブマイコン部20は、その正常動作中信号の周期性をモニタして、メインマイコン部10の動作異常を判定(ステップS32)すると共に、異常判定時にシステムリセットを行うことを可能として(ステップS33)ので、複数のマイコンを備えた分散処理型の電子スチルカメラにおけるマイコン暴走時のシステムリセット対策を講じることができる。
【0045】
<第2の暴走判定>
次に、第2の暴走判定について説明する。正常動作中通信コマンド入力部23には、メインマイコン部10の正常動作中通信コマンド生成部15で生成された周期的な通信コマンドS4が正常動作中通信コマンド出力部16を介して入力されている。この通信コマンドS4は、時計部30の時間信号に同期したTa間隔(Ta=1秒)の周期性を持つ任意のコマンドであり、時計部30が正常に動作し、且つ、メインマイコン部10が正常に動作している限り、当該通信コマンドS4の周期性は失われないものである。
【0046】
暴走判定部24における第2の暴走判定は、要するに、通信コマンドS4の周期性をモニタして周期性が失われた場合に、メインマイコン部10に異常(例えば、暴走)が発生したとみなして判断するというものである。
【0047】
すなわち、図8(b)に示すように、メインマイコン部10は正常動作中通信コマンドを生成してサブマイコン部20に出力し(ステップS41)、サブマイコン部20は、その正常動作中通信コマンドの周期性をモニタして、メインマイコン部10の動作異常を判定(ステップS42)すると共に、異常判定時にはシステムリセットを行うことを可能とした(ステップS43)ので、これによっても、複数のマイコンを備えた分散処理型の電子スチルカメラにおけるマイコン暴走時のシステムリセット対策を講じることができる。
【0048】
<マスク処理>
上記のとおり、暴走判定部24は、第1の暴走判定または第2の暴走判定でメインマイコン部10の異常を判定したとしても、直ちにシステムリセットを行わない(統合内部リセット信号RSTcを出力しない)。強制リセット制御部22からの信号S2bがインアクティブの場合に統合内部リセット信号RSTcを出力を許容する一方、アクティブの場合には、その判定結果に係わらず、統合内部リセット信号RSTcを出力を禁止(マスク)する。
【0049】
強制リセット制御部22には、メインマイコン部10の強制リセットマスク部14からマスク信号S5が入力されており、このマスク信号S5は、メインマイコン部10の「その他部11」(メインマイコン部10の担当処理機能実行部)から入力する負荷状態信号S6が高負荷状態を示しているときにアクティブになる信号(例えば、前述のバスステータス信号など)である。強制リセット制御部22は、メインマイコン部10からのマスク信号S5がアクティブのときに信号S2bをアクティブにし、マスク信号S5がインアクティブのときに信号S2bをインアクティブにする。
【0050】
したがって、本実施の形態の暴走判定部24によれば、第1の暴走判定または第2の暴走判定でメインマイコン部10の異常(例えば、暴走)を判定したとき、図9に示すように、ターゲットCPU(この場合、メインマイコン部10)の処理負荷が重いか否か、具体的には、信号S2bがアクティブ(メインマイコン部10の処理が重い)であるか否かを判定し(ステップS51、ステップS52)、アクティブであれば、統合内部リセット信号RSTcの出力を禁止(マスク)して(ステップS53)システムリセットを行わないようにすることができる一方、インアクティブであれば、統合内部リセット信号RSTcの出力を許容(RSTaがマスクされている場合はマスクを解除)して(ステップS54)システムリセットを行うことができる。
【0051】
その結果、メインマイコン部10で重い処理を実行中に、万が一、正常動作中信号または正常動作中通信コマンドの周期性喪失を観測した場合でも、誤ったシステムリセットを回避することができ、システム動作の信頼性と安定性の向上を図ることができるという特有のメリットが得られる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、ターゲットとなるマイコンが正常動作中であることを示す所定の信号が該マイコンから出力されなくなった場合に強制リセットをかけることで、該マイコンの異常時に強制リセットをかけることができ、更に、該マイコンの動作状態によっては強制リセット動作を禁止することができるようにしたので、例えば、該マイコンが負荷の重い処理を実行するために前記所定の信号の出力を一時的に中断したような場合に、正常であるにもかかわらず不本意な強制リセットが行われてしまうのを防ぐことができ、システムの信頼性及び安定性の向上を図ることができる。
【0053】
したがって、上記他のマイコンで一のマイコン(ターゲットとなるマイコン)の動作異常(暴走等)を自動的に検知してシステムリセットを掛けることができるから、例えば、複数のマイコンを備えた電子スチルカメラ等の分散処理型電子機器に用いて好適なシステムリセット方法及びその装置を提供することができる。
【0054】
または、さらに、前記マイコンで実行中の処理負荷の軽重を判定し、重い処理負荷を判定したときに、前記システムのリセットを行うための信号の発生を禁止するようにすれば、上記一のマイコン(ターゲットとなるマイコン)からの物理情報に基づく誤った異常判定が行われた場合でも、不本意なシステムリセットを行わないようにすることができ、システムの信頼性及び安定性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子スチルカメラ1の処理機能図である。
【図2】電子スチルカメラ1の各系統の処理を2個のマイコンで分担する場合の概念図である。
【図3】実施形態のシステム概念図である。
【図4】実施の形態の改良例を示すシステム概念図である。
【図5】本発明に係る電子スチルカメラの特にマイコン関係要部を示す構成図である。
【図6】ウォッチドッグタイマーによるシステムリセットの流れ図である。
【図7】信号S3のタイミング図である。
【図8】正常動作中信号または正常動作中通信コマンドに基づくシステムリセットの流れ図である。
【図9】システムリセットマスク処理の流れ図である。
【符号の説明】
4 一のマイコン(ターゲットとなるマイコン)
4a 通知信号プロセス(物理情報出力手段)
5a 通知信号の監視プロセス(システムリセット信号発生手段)
5d システムリセットの発生プロセス(システムリセット信号発生手段)
7 一のマイコン(ターゲットとなるマイコン)
8a 通知信号の監視プロセス(システムリセット信号発生手段)
8d システムリセットの発生プロセス(システムリセット信号発生手段)
8f 負荷判定プロセス(システムリセット信号発生手段)
8h マスクプロセス(システムリセット信号発生手段、システムリセット信号禁止手段)
10 メインマイコン部(ターゲットとなるマイコン)
Claims (5)
- 所定の論理状態を周期的に繰り返す信号である通知信号を生成するようにプログラムされた通知信号生成プロセスをターゲットとなるマイコンに周期的に実行させる実行制御手段と、
前記ターゲットとなるマイコンが出力する前記通知信号の出力状態が前記所定の論理状態を周期的に繰り返す状態でなくなった場合に前記ターゲットとなるマイコンが正常動作中でないと判断して該マイコンを強制的にリセットする強制リセット手段と、
前記ターゲットとなるマイコンからの処理状態信号に基づいて該マイコンの処理負荷の大きさを判定し、重い処理を実行中であれば前記強制リセット手段による前記強制的なリセット動作を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。 - 前記禁止手段は、前記ターゲットとなるマイコンが出力する前記通知信号から該マイコンが負荷の重い処理を実行中であることを判定して前記強制リセット手段による前記強制的なリセット動作を禁止することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 前記電子機器は、第1のマイコンと第2のマイコンとを含む複数のマイコンで構成され、
前記第1のマイコンが前記ターゲットとなるマイコンであるとした場合に、前記第2のマイコンが前記強制リセット手段および前記禁止手段を実行することを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。 - 所定の論理状態を周期的に繰り返す信号である通知信号を生成するようにプログラムされた通知信号生成プロセスをターゲットとなるマイコンに周期的に実行させる実行制御工程と、
前記ターゲットとなるマイコンが出力する前記通知信号の出力状態が前記所定の論理状態を周期的に繰り返す状態でなくなった場合に前記ターゲットとなるマイコンが正常動作中でないと判断して該マイコンを強制的にリセットする強制リセット工程と、
前記ターゲットとなるマイコンからの処理状態信号に基づいて該マイコンの処理負荷の大きさを判定し、重い処理を実行中であれば前記強制リセット手段による前記強制的なリセット動作を禁止する禁止工程と、
を含むことを特徴とする電子機器の制御方法。 - 電子機器が備えるコンピュータを、
所定の論理状態を周期的に繰り返す信号である通知信号を生成するようにプログラムされた通知信号生成プロセスをターゲットとなるマイコンに周期的に実行させる実行制御手段と、
前記ターゲットとなるマイコンが出力する前記通知信号の出力状態が前記所定の論理状態を周期的に繰り返す状態でなくなった場合に前記ターゲットとなるマイコンが正常動作中でないと判断して該マイコンを強制的にリセットする強制リセット手段と、
前記ターゲットとなるマイコンからの処理状態信号に基づいて該マイコンの処理負荷の大きさを判定し、重い処理を実行中であれば前記強制リセット手段による前記強制的なリセット動作を禁止する禁止手段と、
して機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
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