JP4622212B2 - 表示媒体の駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表示媒体の駆動装置に係り、特に、対向配置された第1電極及び第2電極が設けられた表示媒体の前記第1電極及び第2電極の電位を各々切り替えることで前記表示媒体を駆動する表示媒体の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一対の基板間に液晶分子を封入した液晶ディスプレイが知られている。液晶ディスプレイの駆動は、一対の基板に各々設けられた電極間に電圧を印加することによって成され、電圧印加に伴って発生する電界により、基板間に封入された液晶分子の配向状態を変化させることで、液晶ディスプレイに任意の画像を表示することができる。
【0003】
例えば特許文献1には、アクティブマトリクスの液晶ディスプレイを駆動するにあたり、電源では、液晶ディスプレイ駆動用の多数種の電圧をフレーム単位で複数組発生させ、データドライバでは、入力された多数種の電圧の中から複数のフィールドの各フィールド単位で各々異なる電圧を印加する構成が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、記憶手段に記憶された電圧データに対応する選択電圧を生成し、生成した選択電圧を一の走査線に供給することで、当該一の走査線に属する画素のスイッチング素子を導通状態にすると共に、他の走査線にはスイッチング素子を非導通状態にする非選択電圧を供給し、かつデータ線にデータ電圧として点灯電圧又は非点灯電圧を供給し、前記一の走査線に属する各画素を選択電圧とデータ電圧との差に相当する光学濃度に変化させる構成とすることで、表示装置の電圧−濃度特性に応じて電圧データを最適化することを可能とする技術が開示されている。
【0005】
ところで近年、一対の基板間にトナー等の粒子(詳しくは、色及び帯電の極性が異なる複数種類の粒子)を封入した構造の表示媒体が提案されている(特許文献3を参照)。この表示媒体の駆動は、液晶ディスプレイと同様に、一対の基板に各々設けられた電極間に電圧を印加することによって成され、電圧印加に伴って発生する電界により基板間に封入された粒子を移動させることで、表示媒体に任意の画像を表示可能とされている。また、この表示媒体の駆動において、表示面側電極及び背面側電極に各々独立に駆動電位/保持電位を与えることで表示画像の画質を向上させる技術も提案されている(特許文献4を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−046125号公報
【特許文献2】
特開2002−366120号公報
【特許文献3】
特開2001−312225号公報
【特許文献4】
特開2002−084318号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一対の基板間にトナー等の粒子を封入した構造の表示媒体において、高品位の画像を表示するためには、特許文献4にも記載されているように、互いに異なる多数(少なくとも3(又は4)以上)の電位を発生させ、表示媒体の各電極の電位を、互いに異なる多数の電位の中から選択した電位に切り替える必要がある。しかしながら、上記構造の表示媒体は、液晶ディスプレイに比べて電極間に非常に高い電圧を印加する必要があるので、互いに異なる多数の電位の中から特定の電位を選択する多値の選択回路として、高耐圧の半導体素子を多数用いた専用設計の選択回路を用いる必要があり、表示媒体を駆動する駆動装置のコストが嵩むという問題があった。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、1画素当たり3階調以上の画像を表示媒体に表示できる低コストな表示媒体の駆動装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る表示媒体の駆動装置は、所定方向に延びる複数の第1電極と、前記第1電極と対向配置され前記所定方向と交差する方向に延びる複数の第2電極と、少なくとも一部が透光性を有し前記第1電極又は前記第2電極としての透明電極が設けられた表示基板と、前記表示基板と間隙を隔てて対向配置され前記第2電極又は前記第1電極が設けられた背面基板と、前記表示基板と前記背面基板の間に封入され両基板の電極間に印加された電圧によって形成される電界に応じて各々移動可能とされた色及び帯電特性が異なる複数種類の粒子群と、を含んで構成された表示媒体の前記第1電極及び前記第2電極の電位を各々切り替えることで前記表示媒体を駆動する駆動装置であって、第1の電位及び第2の電位を発生させる第1の電源と、第1の電位及び第2の電位の一方を基準電位として動作する複数のスイッチング素子から成る第1のスイッチング手段により、前記第1電極及び前記第2電極のうち走査電極として用いる電極の電位を第1の電位又は第2の電位に切り替える第1の電極駆動手段と、第3の電位及び第4の電位を発生させる第2の電源と、第4の電位を基準電位として動作する複数のスイッチング素子から各々成り、データ電極として用いる電極と同数の第2のスイッチング手段を備え、前記第2のスイッチング手段をオンさせることで、前記第1電極及び前記第2電極のうちデータ電極として用いる、前記第2のスイッチング手段に対応する電極の電位を第3の電位に切り替え、前記第2のスイッチング手段をオフさせることで、前記データ電極として用いる、前記第2のスイッチング手段に対応する電極の電位を第4の電位に切り替える第2の電極駆動手段と、前記走査電極として用いる各電極のうちの特定電極の電位を非基準電位に、前記各電極のうちの前記特定電極以外の電極の電位を基準電位に切り替えることを、前記特定電極を順に切り替えながら繰り返すことが、前記第1の電極駆動手段によって行われるように制御する第1の駆動制御手段と、を備え、前記第2の電源は、前記特定電極の電位が非基準電位に維持されている時間中に、前記第3の電位のレベルを複数のレベルへ順次切り替え、前記基準電位は、前記第3の電位としての前記複数のレベル及び前記第4の電位と各々相違しており、前記特定電極との交差位置に存在する各画素のうち、階調値を表すデータが第1の値の画素については、前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオフのまま維持させ、階調値を表すデータが第1の値以外の画素については、前記第3の電位のレベルが前記第1の値以外の値に対応するレベルとなっている期間中にのみ、前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオンさせることが、前記特定電極の切り替えと同期して繰り返されるように、前記第2の電極駆動手段を制御する第2の駆動制御手段を更に備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2の電源は、前記特定電極の電位が非基準電位に維持されている時間中に、前記第3の電位のレベルを第1のレベルから第2のレベルへ切り替え、前記第2の駆動制御手段は、前記特定電極との交差位置に存在する各画素のうち、階調値を表すデータが第1の値の画素については、前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオフのまま維持させ、階調値を表すデータが第2の値の画素については、前記第3の電位のレベルが第1のレベルとなっている期間中にのみ前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオンさせ、階調値を表すデータが第3の値の画素については、前記第3の電位のレベルが第2のレベルとなっている期間中にのみ前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオンさせることが、前記特定電極の切り替えと同期して繰り返されるように、前記第2の電極駆動手段を制御する
ことを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記第1の駆動制御手段及び前記第2の駆動制御手段は、前記走査電極又は前記データ電極として前記第1電極及び前記第2電極の何れを用いるかを切り替え可能とされていることを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記表示媒体は、前記第1電極と前記第2電極の間に印加された電圧に応じて変更された状態を、前記電圧の印加が停止された後も維持する特性を有しており、前記第1の電極駆動手段及び第2の電極駆動手段は、前記第1の電源及び第2の電源と分離可能とされ、前記第1の電源及び第2の電源と分離された状態で前記表示媒体の前記第1電極と前記第2電極を短絡する機能を有していることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明の比較例を説明する。
〔第1比較例〕
図1には第1比較例に係る画像表示装置10が示されている。画像表示装置10は本発明に係る表示媒体として適用可能な画像表示媒体12を含んで構成されている。
【0020】
図2に示すように、画像表示媒体12は透光性を有する表示側基板14と、該表示側基板14と間隙を隔てて対向配置された背面側基板16を備えている。表示側基板14と背面側基板16の間隙は、図示しない間隙保持部材によって微小かつ一定の間隔に保持されており、この間隙には、互いに異なる極性に帯電している黒粒子18及び白粒子20が封入されている(例えば黒粒子18が正、白粒子20が負に帯電している)。
【0021】
また表示側基板14のうち背面側基板16と対向する面には、第1の方向(図1の左右方向、図2の紙面に垂直な方向)に延びるライン状(帯状)の透明電極22が、第1の方向と直交する第2の方向(図1の上下方向、図2の左右方向)に沿って複数形成されている。また、背面側基板16のうち表示側基板14と対向する面には、第2の方向に延びるライン状の電極24が、第1の方向に沿って複数形成されている。このように、透明電極22及び電極24は画像表示媒体12を単純マトリクス方式で駆動可能に配置されている。
【0022】
画像表示媒体12を単純マトリクス方式で駆動した場合、透明電極22と電極24の交差位置が各々画像表示媒体12の画素として機能し、各交差位置における透明電極22と電極24の間に印加される電圧(によって発生される電界)の大きさに応じて、各交差位置における黒粒子18及び白粒子20の移動、すなわち各交差位置における表示濃度が制御されることになる。なお、以下では透明電極22を「行電極22」、電極24を「列電極24」と称する。
【0023】
また、画像表示装置10は電源装置26、制御装置28、列電極駆動部30及び行電極駆動部32を備えている。なお、電源装置26、制御装置28、列電極駆動部30及び行電極駆動部32は本発明に係る表示媒体の駆動装置に対応しており、列電極駆動部30及び行電極駆動部32は本発明に係る第1の電極駆動手段及び第2の電極駆動手段に対応している。制御装置28は電源装置26に接続されており、電源装置26から供給される電力により作動する。また、電源装置26及び制御装置28はコネクタ33を介して列電極駆動部30及び行電極駆動部32に接続されている。コネクタ33は、電源装置26及び制御装置28に接続されたコネクタ33Aと、列電極駆動部30及び行電極駆動部32に接続されたコネクタ33Bに分離可能とされている。
【0024】
図3に示すように、電源装置26は列電極駆動部30に供給する電位を発生させるための第1電源部26Aと、行電極駆動部32に供給する電位を発生させるための第2電源部26Bを含んで構成されている。なお、第1電源部26A及び第2電源部26Bは本発明に係る第1の電源及び第2の電源に対応している。第1電源部26Aは、列電極24の基準電位VCL(例えば70V)を発生させる基準電位発生部36と、基準電位VCLを接地電位として電位差(VCH−VCL)を発生させることで高圧出力としての電位VCH(例えば210V)を出力する高圧出力部38と、基準電位VCLを接地電位として電位差TTL(例えば5V)を発生させることで信号電源出力としての電位(VCL+TTL)を出力する信号電源出力部40を備えている。第1電源部26Aは列電極駆動部30に接続されており、高圧出力(電位VCH)、GND出力(基準電位VCL)及び信号電源出力(電位(VCL+TTL))を列電極駆動部30に供給する。
【0025】
また、第2電源部26Bは、行電極22の基準電位VRL(例えば130V)を発生させる基準電位発生部42と、基準電位VRLを接地電位として電位差(VRH−VRL)を発生させることで高圧出力としての電位VRH(例えば0V)を出力する高圧出力部44と、基準電位VRLを接地電位として電位差TTL(例えば5V)を発生させることで信号電源出力としての電位(VRL+TTL)を出力する信号電源出力部46を備えている。第2電源部26Bは行電極駆動部32に接続されており、高圧出力(電位VRH)、GND出力(基準電位VRL)及び信号電源出力(電位(VRL+TTL))が行電極駆動部32に供給される。
【0026】
一方、列電極駆動部30は、画像表示媒体12に設けられている列電極24の数と同数のスイッチング素子50を備えており、第1電源部26Aからの高圧出力(電位VCH)及びGND出力(基準電位VCL)は個々のスイッチング素子50に各々供給される。図3ではスイッチング素子50を模式的にスイッチとして示しているが、スイッチング素子50は実際には複数の半導体素子(例えばMOSFET等)から成り、本発明における第2のスイッチング手段の一例である。個々のスイッチング素子50は、第1電源部26Aから供給された信号電源出力を電源とし、GND出力(基準電位VCL)を基準電位として動作し、オン状態では高圧出力(電位VCH)を、オフ状態ではGND出力(基準電位VCL)を出力する。なお、個々のスイッチング素子50には制御装置28から供給された制御信号も入力され、個々のスイッチング素子50のオンオフは制御装置28によって制御される。
【0027】
図4に示すように、列電極駆動部30は画像表示媒体12の背面側基板16に取付けられており、列電極駆動部30の個々のスイッチング素子50は、背面側基板16に形成された個々の列電極24と接続されている。従って、画像表示媒体12の個々の列電極24の電位は、接続されているスイッチング素子50のオンオフの状態に応じて電位VCH又は基準電位VCLに切り替わることになる。
【0028】
また、行電極駆動部32は、画像表示媒体12に設けられている行電極22の数と同数のスイッチング素子52を備えており、第2電源部26Bからの高圧出力(電位VRH)及びGND出力(基準電位VRL)は個々のスイッチング素子52に各々供給される。スイッチング素子52も実際には複数の半導体素子(例えばMOSFET等)から成り、本発明における第1のスイッチング手段の一例である。個々のスイッチング素子52は、第2電源部26Bから供給された信号電源出力を電源とし、GND出力(基準電位VRL)を基準電位として動作し、オン状態では高圧出力(電位VRH)を、オフ状態ではGND出力(基準電位VRL)を出力する。なお、個々のスイッチング素子52には制御装置28から供給された制御信号も入力され、個々のスイッチング素子52のオンオフは制御装置28によって制御される。
【0029】
図4に示すように、行電極駆動部32は画像表示媒体12の表示側基板14に取付けられており、行電極駆動部32の個々のスイッチング素子52は、表示側基板14に形成された個々の行電極22と接続されている。従って、画像表示媒体12の個々の行電極22の電位は、接続されているスイッチング素子52のオンオフの状態に応じて電位VRH又は基準電位VRLに切り替わることになる。
【0030】
次に本第1比較例の作用を説明する。本第1比較例に係る画像表示媒体12において、特定の行電極22と特定の列電極24の間に印加する電圧(電界)の変化に対する、特定の列電極24と特定の行電極22の交差位置の画素の濃度の変化を図5に示す。図5より明らかなように、印加電圧(電界)が±100V以内の範囲内では濃度は変化せず、200V以上の電圧(電界)を印加して濃度を変化させることで、表示画像のコントラストが最大となる。上記の特性に基づき、電源装置26によって発生される基準電位VCL,VRL、電位VCH,VRHは、次の表1のように定められている。
【0031】
【表1】
【0032】
本第1比較例に係る画像表示装置10は、コネクタ33Aとコネクタ33Bを分離することで、電源装置26及び制御装置28と列電極駆動部30及び行電極駆動部32を分離することも可能とされているが、画像表示媒体12に表示させるべき画像を画像表示媒体12に書き込む等の場合には、コネクタ33Aとコネクタ33Bが接続されることで、電源装置26及び制御装置28と列電極駆動部30及び行電極駆動部32とが電気的に接続される。
【0033】
なお、この接続状態において、画像表示媒体12への画像の書き込みが行われていない期間は、列電極駆動部30のスイッチング素子50及び行電極駆動部32のスイッチング素子52が全てオフ状態となっているので、画像表示媒体12の行電極22は基準電位VRLに維持され、列電極24は基準電位VCLに維持される。従って、行電極22と列電極24の交差位置に位置している画像表示媒体12の各画素は、電圧V4(表1参照)が印加されている状態で維持されるので、各画素の表示濃度の変化等が生ずることはない。
【0034】
画像表示媒体12に画像を書き込む場合、書込対象の画像を表す画像データ(例えば書込対象の画像の各画素の階調値を2値(例えば白/黒)で表す画像データ)が外部装置(図示省略)から制御装置28に入力される。制御装置28は入力された画像データに基づき、列電極駆動部30の各スイッチング素子50及び行電極駆動部32の各スイッチング素子52を各々オンオフさせることで、単純マトリクス方式により画像表示媒体12に画像を書き込む。
【0035】
すなわち、制御装置28は、まず行電極駆動部32の各スイッチング素子52のうち、特定の行電極22(書込行電極)に接続されたスイッチング素子52のみをオンさせる(他のスイッチング素子52はオフ状態とする)。これにより、特定の行電極22(書込行電極)のみが電位VRHに切り替わり、他の行電極22は基準電位VRLのまま維持される。また制御装置28は、前述の画像データから、書込行電極と各列電極24との交差位置に相当する各画素のデータを抽出し、抽出したデータが表す各画素の階調値(濃度)が白か黒かに応じて、列電極駆動部30の各スイッチング素子50のオンオフを制御する。
【0036】
これにより、接続されているスイッチング素子50がオンされた列電極24は電位VCHに切り替わるので、該列電極24と書込行電極との交差位置に位置している画素に電圧V1(表1参照)が印加されることで黒粒子18及び白粒子20の移動が生じ、該画素の表示濃度が変化する。また、接続されているスイッチング素子50がオフされている列電極24は基準電位VCLとされるので、該列電極24と書込行電極との交差位置に位置している画素には電圧V3(表1参照)が印加されることになり、該画素の表示濃度の変化は生じない。
【0037】
なお、この間、書込行電極以外の各行電極22と各列電極24との交差位置に相当する各画素は、上述のように列電極24は電位VCH又は基準電位VCLとされるものの、行電極22が基準電位VRLのまま維持されているために電圧V2又は電圧V4が印加されることになる(特定の画素への印加電圧の推移の一例を示す図6も参照)ので、前記各画素は表示濃度が変化しない状態で維持される。
【0038】
制御装置28は、特定の行電極22に接続されたスイッチング素子52をオンさせてから所定時間が経過する毎に、書込行電極を別の行電極22に切り替えて上記処理を行うことを繰り返す。これにより、行電極22が単純マトリクス方式における走査電極として用いられ、列電極がデータ電極として用いられることになり、書込対象の画像が画像表示媒体12に書き込まれることになる。なお、制御装置28は請求項3に記載の駆動制御手段に対応している。
【0039】
このように、本第1比較例に係る画像表示装置10では、画像表示媒体12を駆動する(画像を書き込む)ために4種類の電位(基準電位VCL,VRL、電位VCH,VRH)を用いているが、これらの電位のうち基準電位VCL及び電位VCHを列電極駆動部30に、基準電位VRL及び電位VRHを行電極駆動部32に供給し、列電極駆動部30では、基準電位VCLを基準電位として動作するスイッチング素子50により、個々の列電極24の電位を電位VCH又は基準電位VCLに切り替え、行電極駆動部32では、基準電位VRLを基準電位として動作するスイッチング素子52により、個々の行電極22の電位を電位VRH又は基準電位VRLに切り替えているので、画像表示媒体12の行電極22及び列電極24の電位を、単一の電極当り単一のスイッチング素子で切り替えることができ、従来より少数のスイッチング素子で画像表示媒体12を駆動することができる。従って、行電極駆動部32及び列電極駆動部30、ひいては画像表示装置10を低コストで構成することができる。
【0040】
〔第2比較例〕
次に本発明の第2比較例について説明する。なお、第1比較例と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
図7に示すように、本第2比較例では、第1電源部26Aの基準電位発生部36が基準電位VCL又は基準電位VRLを選択的に発生可能とされ、同様に第2電源部26Bの基準電位発生部42は基準電位VRL又は基準電位VCLを選択的に発生可能とされている。基準電位発生部36及び基準電位発生部42は制御装置28に各々接続されており、基準電位発生部36で基準電位VCLが発生される場合には基準電位発生部42で基準電位VRLが発生され、基準電位発生部36で基準電位VRLが発生される場合には基準電位発生部42で基準電位VCLが発生されるように制御される。
【0042】
また、第1電源部26Aの高圧出力部38は電位差(VCH−VCL)又は(VRH−VRL)を選択的に発生可能とされ、同様に第2電源部26Bの高圧出力部44は電位差(VRH−VRL)又は(VCH−VCL)を選択的に発生可能とされている。高圧出力部38及び高圧出力部44は制御装置28に各々接続されており、基準電位発生部36で基準電位VCLが発生され基準電位発生部42で基準電位VRLが発生される場合には、高圧出力部38で電位差(VCH−VCL)が発生されると共に高圧出力部44で電位差(VRH−VRL)が発生され(この場合、高圧出力として高圧出力部38からは電位VCH、高圧出力部44からは電位VRHが出力される)、基準電位発生部36で基準電位VRLが発生され基準電位発生部42で基準電位VCLが発生される場合には、高圧出力部38で電位差(VRH−VRL)が発生されると共に高圧出力部44で電位差(VCH−VCL)が発生される(この場合、高圧出力として高圧出力部38からは電位VRH、高圧出力部44からは電位VCHが出力される)ように制御される。
【0043】
上述したように、本第2比較例では、第1電源部26Aから列電極駆動部30へ基準電位VRL及び電位VRHが供給され、第2電源部26Bから行電極駆動部32へ基準電位VCL及び電位VCHが供給されるように切り替えることも可能であるので、制御装置28が、基準電位発生部36,42、高圧出力部38,44に対して上記の電位の切り替えを行わせると共に、列電極24が走査電極として用いられ、行電極22がデータ電極として用いられるように、列電極駆動部30のスイッチング素子50及び行電極駆動部32のスイッチング素子52のオンオフを制御することにより、画像表示媒体12に画像を書き込む際の走査方向を切り替えることができる。なお、上記態様は請求項5記載の発明に対応している。
【0044】
〔実施形態〕
次に本発明の実施形態について説明する。なお、第1比較例と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図8に示すように、本実施形態では、第1電源部26Aの高圧出力部38が電位差(VCH1−VCL)又は(VCH2−VCL)を選択的に発生可能とされている(但しVCH2>VCH1であり、例えばVCH2>200V>VCH1>100V) 。高圧出力部38は制御装置28に接続されており、制御装置28は、例として図9にも示すように、表示駆動周期(単一の書込行電極を電位VRHに維持している期間)の1/2に相当する周期で、高圧出力部38で電位差(VCH1−VCL)と電位差(VCH2−VCL)が交互に発生されるように高圧出力部38を制御する。これにより、高圧出力部38からは、表示駆動周期の1/2に相当する周期で、電位VCH1と電位VCH2が交互に出力されることになる。
【0046】
また、本実施形態では、書込対象の画像を表す画像データとして、書込対象の画像の各画素の階調値を3値(例えば白/灰/黒)で表す画像データが制御装置28に入力される。そして制御装置28は、入力された画像データから書込行電極と各列電極24との交差位置に相当する各画素のデータを抽出した後に、抽出したデータが表す各画素の階調値に基づき、階調値が「白」に相当する値の画素については、駆動表示期間中、対応するスイッチング素子50がオフ状態で継続し、階調値が「灰」に相当する値の画素については、駆動表示期間のうち電源部26Aの高圧出力が電位VCH2となっている期間にのみスイッチング素子50がオンし、階調値が「黒」に相当する値の画素については、駆動表示期間のうち電源部26Aの高圧出力が電位VCH1となっている期間にのみスイッチング素子50がオンするように、列電極駆動部30の各スイッチング素子50のオンオフを制御する。これにより、より多階調の画像(1画素当たり3階調の画像)を画像表示媒体12に表示させることができる。なお、上記態様は請求項2、詳しくは請求項4記載の発明に対応している。
【0048】
また、本実施形態に係る画像表示媒体12は、図5からも明らかなように、行電極22と列電極24の間に印加される電圧が±100Vの範囲内であれば黒粒子18及び白粒子20の移動が発生せず、書き込まれた画像が保存されるが、例えばコネクタ33A,33Bが切り離された状態で静電気等によって行電極22と列電極24の間に±100Vの範囲を越える電圧が印加されると、黒粒子18又は白粒子20の移動が発生し、書き込まれた画像に乱れ等が生ずる可能性がある。このため、コネクタ33A,33Bが切り離され、列電極駆動部30及び行電極駆動部32が第1電源部26A及び第2電源部26Bと分離された状態で、画像表示媒体12の行電極22と列電極24を短絡する機能を列電極駆動部30及び行電極駆動部32に設けることが好ましい。これにより、コネクタ33A,33Bが切り離された状態でも静電気等によって表示画像に乱れ等が生ずることを防止することができる。上記態様は請求項3記載の発明に対応している。
【0049】
また、上記では本発明に係る表示媒体として、各々電極が設けられた一対の基板間に粒子が封入された構成の画像表示媒体12を例に説明したが、本発明に係る表示媒体は、対向する両電極の電位を切り替えることで駆動可能な構造であればよく、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等、公知の各種表示媒体を適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、走査電極として用いる各電極のうちの特定電極の電位を非基準電位に、各電極のうちの特定電極以外の電極の電位を基準電位に切り替えることを、特定電極を順に切り替えながら繰り返すと共に、特定電極の電位が非基準電位に維持されている時間中に、データ電極の電位として用いる第3の電位及び第4の電位のうちの非基準電位である第3の電位のレベルを複数のレベルへ順次切り替え、特定電極との交差位置に存在する各画素のうち、階調値を表すデータが第1の値の画素については、第2の電極駆動手段の対応するスイッチング素子をオフのまま維持させ、階調値を表すデータが第1の値以外の画素については、第3の電位のレベルが前記第1の値以外の値に対応するレベルとなっている期間中にのみ、第2の電極駆動手段の対応するスイッチング素子をオンさせるので、1画素当たり3階調以上の画像を表示媒体に表示できる低コストな駆動装置が得られる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例及び実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。
【図2】図1のII−II線に沿った表示媒体の断面図である。
【図3】電源部及び駆動部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】表示媒体の各電極と駆動部の接続状態を示す平面図である。
【図5】表示媒体における電極間の印加電圧と濃度の関係を示す線図である。
【図6】表示媒体の特定のセル(画素)に印加される電圧の推移の一例を示す線図である。
【図7】電源部及び駆動部の概略構成の他の例を示すブロック図である。
【図8】電源部及び駆動部の概略構成の他の例を示すブロック図である。
【図9】図8の構成における高圧出力の推移を示す線図である。
【符号の説明】
12 画像表示媒体
14 表示側基板
16 背面側基板
18 黒粒子
20 白粒子
22 行電極
24 列電極
26A 電源部
26B 電源部
28 制御装置
30 列電極駆動部
32 行電極駆動部
36 基準電位発生部
38 高圧出力部
42 基準電位発生部
44 高圧出力部
50 スイッチング素子
52 スイッチング素子
Claims (4)
- 所定方向に延びる複数の第1電極と、前記第1電極と対向配置され前記所定方向と交差する方向に延びる複数の第2電極と、少なくとも一部が透光性を有し前記第1電極又は前記第2電極としての透明電極が設けられた表示基板と、前記表示基板と間隙を隔てて対向配置され前記第2電極又は前記第1電極が設けられた背面基板と、前記表示基板と前記背面基板の間に封入され両基板の電極間に印加された電圧によって形成される電界に応じて各々移動可能とされた色及び帯電特性が異なる複数種類の粒子群と、を含んで構成された表示媒体の前記第1電極及び前記第2電極の電位を各々切り替えることで前記表示媒体を駆動する駆動装置であって、
第1の電位及び第2の電位を発生させる第1の電源と、
第1の電位及び第2の電位の一方を基準電位として動作する複数のスイッチング素子から成る第1のスイッチング手段により、前記第1電極及び前記第2電極のうち走査電極として用いる電極の電位を第1の電位又は第2の電位に切り替える第1の電極駆動手段と、
第3の電位及び第4の電位を発生させる第2の電源と、
第4の電位を基準電位として動作する複数のスイッチング素子から各々成り、データ電極として用いる電極と同数の第2のスイッチング手段を備え、前記第2のスイッチング手段をオンさせることで、前記第1電極及び前記第2電極のうちデータ電極として用いる、前記第2のスイッチング手段に対応する電極の電位を第3の電位に切り替え、前記第2のスイッチング手段をオフさせることで、前記データ電極として用いる、前記第2のスイッチング手段に対応する電極の電位を第4の電位に切り替える第2の電極駆動手段と、
前記走査電極として用いる各電極のうちの特定電極の電位を非基準電位に、前記各電極のうちの前記特定電極以外の電極の電位を基準電位に切り替えることを、前記特定電極を順に切り替えながら繰り返すことが、前記第1の電極駆動手段によって行われるように制御する第1の駆動制御手段と、
を備え、
前記第2の電源は、前記特定電極の電位が非基準電位に維持されている時間中に、前記第3の電位のレベルを複数のレベルへ順次切り替え、
前記基準電位は、前記第3の電位としての前記複数のレベル及び前記第4の電位と各々相違しており、
前記特定電極との交差位置に存在する各画素のうち、階調値を表すデータが第1の値の画素については、前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオフのまま維持させ、階調値を表すデータが第1の値以外の画素については、前記第3の電位のレベルが前記第1の値以外の値に対応するレベルとなっている期間中にのみ、前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオンさせることが、前記特定電極の切り替えと同期して繰り返されるように、前記第2の電極駆動手段を制御する第2の駆動制御手段を更に備えたことを特徴とする表示媒体の駆動装置。 - 前記第2の電源は、前記特定電極の電位が非基準電位に維持されている時間中に、前記第3の電位のレベルを第1のレベルから第2のレベルへ切り替え、
前記第2の駆動制御手段は、前記特定電極との交差位置に存在する各画素のうち、階調値を表すデータが第1の値の画素については、前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオフのまま維持させ、階調値を表すデータが第2の値の画素については、前記第3の電位のレベルが第1のレベルとなっている期間中にのみ前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオンさせ、階調値を表すデータが第3の値の画素については、前記第3の電位のレベルが第2のレベルとなっている期間中にのみ前記第2の電極駆動手段の対応する前記第2のスイッチング手段をオンさせることが、前記特定電極の切り替えと同期して繰り返されるように、前記第2の電極駆動手段を制御することを特徴とする請求項1記載の表示媒体の駆動装置。 - 前記第1の駆動制御手段及び前記第2の駆動制御手段は、前記走査電極又は前記データ電極として前記第1電極及び前記第2電極の何れを用いるかを切り替え可能とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の表示媒体の駆動装置。
- 前記表示媒体は、前記第1電極と前記第2電極の間に印加された電圧に応じて変更された状態を、前記電圧の印加が停止された後も維持する特性を有しており、
前記第1の電極駆動手段及び第2の電極駆動手段は、前記第1の電源及び第2の電源と分離可能とされ、前記第1の電源及び第2の電源と分離された状態で前記表示媒体の前記第1電極と前記第2電極を短絡する機能を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の表示媒体の駆動装置。
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