JP4621870B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ(3,4−ジ置換チオフェン)およびポリ陰イオンにより構成される複合体と、感放射線性樹脂とを含むネガ型の感放射線性樹脂組成物、それを用いた導電性薄膜のパターン形成方法、ならびに該パターンを有する基板に関する。
透明導電膜は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極、ならびに電磁波シールド材などの基材のコーティングに用いられている。最も広く応用されている透明導電膜は、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)の蒸着膜である。所定のパターンを有するITO膜は、例えば、次のように基板上に形成される。まず、基板上にスパッタリングによりITOの膜を形成し、この表面に、感放射線性樹脂の塗膜を形成する。次いで、フォトマスクを介して光などの放射線の照射を行ない、樹脂を硬化させた後、現像を行ない、次いで露出した部分のITO膜をエッチングにより溶解・除去し、最後に硬化させた樹脂を剥離することにより、所望のパターンを有するITO膜が形成される。しかし、真空および高温を必要とするスパッタリングの装置が必要なこと、工程が煩雑であるなどの問題がある。そのため、ウェットプロセス(塗工法)による簡便なパターニング方法が望まれている。
ウェットプロセスによるパターンの形成方法として、特表2002−500408号公報には、スクリーン印刷法により導電性薄膜の前駆体組成物を含む塗布液組成物で直接パターンを描き、溶剤または分散媒を除去するだけで目的の機能性薄膜のパターンが形成できることが示されている。しかし、その解像度は必ずしも十分ではなく、適用できるコーティング用組成物の粘度にも制約がある。
特開2000−208254号公報には、インクジェットプリント装置によりポリチオフェンをパターニングする方法が示されているが、あらかじめポリチオフェン溶液の垂れを防止するための隔壁を形成する必要があり、さらには、その粘度および表面張力にも制約がある。
本発明の課題は、上記従来の課題を解決することにあり、その目的とするところは、簡易な方法により解像性に優れた導電性薄膜のパターンを形成することの可能なネガ型感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いた導電性薄膜のパターン形成方法、および該方法により得られる導電性薄膜のパターンを有する基板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリチオフェン複合体の水分散体、および特定の感放射線性樹脂を組合せることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、(a)下記一般式(1)
Figure 0004621870
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す)の反復単位からなる陽イオン形態のポリ(3,4−ジ置換チオフェン)とポリ陰イオンとの複合体であるポリチオフェン複合体の水分散体、および(b)水溶性または水分散性の感放射線性樹脂を含む。
好適な実施態様においては、上記感放射線性樹脂のうちの第1の樹脂は、硬化性エポキシ(メタ)アクリレートであり、該硬化性エポキシ(メタ)アクリレートは、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応して得られるポリグリシジルエーテル化合物に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる樹脂である。
好適な実施態様においては、上記感放射線性樹脂のうちの第2の樹脂は、下記一般式(2)
Figure 0004621870
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)で表される化合物と、分子内に水酸基を有する化合物とを強酸触媒の存在下で反応させて得られる樹脂である。
好適な実施態様においては、上記感放射線性樹脂のうちの第3の樹脂は、以下の式(3−I)で示される単位、(3−II)で示される単位、および(3−III)で示される単位を有し:
Figure 0004621870
(式中、Rは、水素またはメチル基であり、分子内の複数のRは、その各々が同一であっても異なっていてもよく、pは1〜10の整数である)、
Figure 0004621870
(式中、Rは、水素またはメチル基であり、Xは、水素、アルカリ金属、およびアンモニウム類からなる群より選択される基であり、分子内の複数のRまたはXは、その各々が同一であっても異なっていてもよい)、
Figure 0004621870
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素またはメチル基であり、分子内の複数のRまたはRは、その各々が同一であっても異なっていてもよい);該感放射線性樹脂中に、該(3−I)の単位が2モル%〜73モル%の割合で、該(3−II)の単位が8モル%〜83モル%の割合で、そして、該(3−III)の単位が15モル%〜80モル%の割合で含有される。
好適な実施態様においては、上記感放射線性樹脂のうちの第4の樹脂は、以下の式(4)
Figure 0004621870
(式中、Yは陰イオンを表す)で表される単位を有する。
好適な実施態様においては、上記樹脂組成物は、さらに光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方を含有する。
本発明の導電性薄膜のパターンの形成方法は、上記樹脂組成物でなる塗布液を基板上に塗布することにより塗膜を形成する工程;該塗膜表面にフォトマスクを介して放射線を照射する工程;および照射後の塗膜を水を含む現像液で現像する工程を包含する。
本発明は、上記方法により形成された導電性薄膜のパターンを有する基板を包含する。
好適な実施態様においては、上記導電性薄膜のパターンを有する基板は、ディスプレイの透明電極、トランジスタの電極、太陽電池の電極、配線材料、有機ELデバイス、有機半導体、または電磁波シールド材である。
従って、本発明により以下の目的が達成される:簡易な方法により解像性に優れた導電性薄膜のパターンを形成することの可能なネガ型感放射線性樹脂組成物を提供すること、該組成物を用いた導電性薄膜のパターン形成方法を提供すること、および該方法により得られる導電性薄膜のパターンを有する基板を提供すること。
図1は、本発明の樹脂組成物を用いて、導電性を有する薄膜のパターンを基板上に形成する工程を示す模式図である。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、(a)ポリチオフェン複合体の水分散体、および(b)水溶性または水分散性の感放射線性樹脂を含有する。以下に、これらについて順次説明を行なう。
I.ポリチオフェン複合体
本発明の組成物に含有されるポリチオフェン複合体は、次の一般式(1)で示される反復単位を有する陽イオン形態のポリ(3,4−ジ置換チオフェン)とポリ陰イオンとの複合体である:
Figure 0004621870
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す)。
上記(1)式において、RおよびRの炭素数1〜4のアルキル基としては、好適にはメチル基、エチル基、n−プロピル基などが挙げられる。RおよびRが一緒になって形成される炭素数1〜4のアルキレン基としては、1,2−アルキレン基、1,3−アルキレン基などが挙げられ、好適にはメチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基が挙げられる。これらのうち、1,2−エチレン基が特に好適である。この炭素数1〜4のアルキル基は置換されていてもよく、置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基などが挙げられる。置換された炭素数1〜4のアルキレン基の具体例としては、1,2−シクロヘキシレン基、2,3−ブチレン基などが挙げられる。このようなアルキレン基の代表例としては、RおよびRが一緒になって形成される、炭素数1〜12のアルキル基で置換された1,2−アルキレン基が挙げられる。このような基は、エテン、プロペン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、スチレンなどのα−オレフィン類を臭素化して得られる1,2−ジブロモアルカン類から誘導される。
上記ポリ陰イオンを構成し得る化合物としては、ポリマー状カルボン酸類(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびポリマレイン酸)、ポリマー状スルホン酸類(例えば、ポリスチレンスルホン酸およびポリビニルスルホン酸)などが挙げられる。これらのカルボン酸類およびスルホン酸類はまた、ビニルカルボン酸またはビニルスルホン酸類と、他の重合可能なモノマー類(例えば、アクリレート類およびスチレンなど)との共重合体であっても良い。ポリ陰イオンを構成し得る化合物としては、ポリスチレンスルホン酸が特に好適である。上記ポリ陰イオンを構成し得る化合物の数平均分子量は、1,000から2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは、2,000から500,000の範囲であり、最も好ましくは、10,000から200,000の範囲である。
上記ポリチオフェン複合体の水分散体は、例えば、特許第2636968号に記載の方法によって製造することができる。さらに好適には、ポリチオフェン複合体の水分散体は、次の方法によって製造され得る。
このポリチオフェン複合体の水分散体の製造方法は、以下の式(1’)で表される3,4−ジ置換チオフェン
Figure 0004621870
(式中、RおよびRは上記(1)式で定義したのと同様である)を、ポリ陰イオンの存在下で、ペルオキソ二硫酸を酸化剤として用いて水系溶媒中で重合させる工程;あるいは、該3,4−ジ置換チオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で酸化剤を用いて、水溶性の無機酸および有機酸からなる群より選択される酸を添加し、反応溶液のpHを低下させて、水系溶媒中で重合させる工程を含む。上記重合工程におけるポリ陰イオンの仕込量は、上記チオフェン100質量部に対して、50から3,000質量部の範囲が好ましく、より好ましくは100から1,000質量部の範囲であり、最も好ましくは、150から500質量部の範囲である。
上記方法に用いられる溶媒は水系溶媒であり、特に好ましくは水である。メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールなどのアルコール;アセトン、アセトニトリルなどの水溶性の溶媒を水に添加して用いてもよい。
上記方法において、3,4−ジ置換チオフェンの重合反応を行う際の酸化剤としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、無機酸化第二鉄塩、有機酸化第二鉄塩、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、過ホウ酸アルカリ塩、銅塩など。これらのうち、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、およびペルオキソ二硫酸アンモニウムが最も好適である。酸化剤の使用量は、上記3,4−ジ置換チオフェン1当量当たり、1から5当量の範囲が好ましく、より好ましくは、2から4当量の範囲である。
本発明の方法においては、重合時における該重合反応系のpHが低いこと(好ましくは1.5以下であること)が好ましい。そのため、上記の酸化剤の中で、ペルオキソ二硫酸を選択した場合には、これを反応系に加えるのみで、pH調整せずに好適に使用することができる。その他の酸化剤を選択した場合には、酸を加えてpHを調整する必要がある。反応液のpHは、好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.0以下である。
上記酸としては、水溶性の無機酸および有機酸からなる群より選択される酸が使用される。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。
さらに、酸化剤として、必要に応じて触媒量の金属イオン、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、バナジウムイオンなどを添加しても良い。
重合反応によりポリ(3,4−ジ置換チオフェン)が生成する。このポリ(3,4−ジ置換チオフェン)は陽イオンの形態であり、反応系に存在するポリ陰イオンとともに複合体を形成していると考えられる。本明細書では、上記複合体を「ポリ(3,4−ジ置換チオフェン)とポリ陰イオンとの複合体」、「ポリチオフェン複合体」、あるいは単に「複合体」と記載する場合がある。
ポリチオフェン複合体のうち、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体が好適である。特に、上記方法により製造したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体を用いるのが最も好適である。
II.感放射線性樹脂
本発明の組成物に含有される(b)の水溶性または水分散性の感放射線性樹脂は、特に限定されないが、以下に示す樹脂(b.1)〜(b.4)の4つのタイプの樹脂が好適である。
(II−I)樹脂(b.1)
この樹脂は、硬化性エポキシ(メタ)アクリレートであり、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応して得られるポリグリシジルエーテル化合物に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる。
上記ポリヒドロキシ化合物は、特に制限はないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびこれらの混合物が挙げられる。
これらのポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとからポリグリシジルエーテル化合物が得られ、これに(メタ)アクリル酸を反応させることにより、(メタ)アクリル酸に由来する不飽和結合を分子末端に有するポリマー(硬化性エポキシ(メタ)アクリレート)が得られる。硬化性エポキシ(メタ)アクリレートの製造方法についての詳細は、特開2002−194052号公報に記載されている。
(II−II)樹脂(b.2)
この樹脂は、下記一般式(2)
Figure 0004621870
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)で表される化合物((メタ)アクリルアミド誘導体)と、分子内に水酸基を有する化合物とを強酸触媒の存在下で反応させて得られる。
上記(メタ)アクリルアミド誘導体の具体例としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシ(炭素数1〜4)メチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
上記の分子内に水酸基を持つ化合物としては、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。強酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体と分子内に水酸基を有する化合物とから得られる樹脂は、特開2002−341529号公報に記載されている。
(II−III)樹脂(b.3)
この樹脂は、以下の式(3−I)で示される単位、(3−II)で示される単位、および(3−III)で示される単位を有する:
Figure 0004621870
(式中、Rは、水素またはメチル基であり、分子内の複数のRは、その各々が同一であっても異なっていてもよく、pは1〜10の整数である)、
Figure 0004621870
(式中、Rは、水素またはメチル基であり、Xは、水素、アルカリ金属、およびアンモニウム類からなる群より選択される基であり、分子内の複数のRまたはXは、その各々が同一であっても異なっていてもよい)、
Figure 0004621870
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して水素またはメチル基であり、分子内の複数のRまたはRは、その各々が同一であっても異なっていてもよい)。
この樹脂中には、上記(3−I)の単位が2モル%〜73モル%の割合で、(3−II)の単位が8モル%〜83モル%の割合で、そして、(3−III)の単位が15モル%〜80モル%の割合で含有される。
この樹脂は、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレートの少なくとも一方とを単位として含有する共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートを所定の割合で付加させることにより得られる。このような樹脂は特開2001−270919号公報に記載されている。
(II−IV)樹脂(b.4)
この樹脂は、以下の式(4)で示される単位を有する。
Figure 0004621870
上記式において、Yは陰イオンを示す。好適なYの例としては、塩化物イオン、臭素化物イオン、ヨウ化物イオン、低級アルコキシ硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられる。このような樹脂は、例えば、特開平8−320553号公報に記載されている。
III.感放射線性樹脂組成物
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記(a)のポリチオフェン複合体の水分散体および(b)の水溶性または水分散性の感放射線性樹脂を含み、必要に応じて、(c)光重合開始剤および光増感剤のうちの少なくとも一方、(d)重合性モノマー、(e)溶媒、(f)上記(b)以外の水溶性ポリマー、(g)水溶性化合物、(h)中和剤、および(i)添加剤を含む。
本発明の樹脂組成物中の、上記(a)のポリチオフェン複合体と(b)の感放射線性組成物の含有割合は特に制限されないが、固形分の質量比で5:95〜95:5が好ましく、さらに好ましくは25:75〜75:25の範囲である。上記複合体の含有量が過少であると十分な導電性が付与できず、逆に、感放射線性樹脂の量が過少であると、導電性は高くなるが、最終的に形成されるパターンの解像度が低下する。本発明の組成物は、水を必須成分として含有する。上記ポリチオフェン複合体の水分散体が水を含有するが、必要に応じてさらに水を組成物中に含有させることができる。
本発明の組成物中に含有され得る上記(c)の光重合開始剤および光増感剤は特に限定されない。光重合開始剤または光増感剤としては、例えば、次の化合物が挙げられる:ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントンなどのチオキサントン類;エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン、アントラキノン−2−スルホン酸塩、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸塩などのアントラキノン類;アセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル類;2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体類;ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどベンゾイン類;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体;ビスアシルフォスフィンオキサイドなど。これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組合せて用いられ得る。
上記(d)の重合性モノマーは、樹脂組成物の感度、および最終的に基板上に形成される薄膜の耐熱性、耐水性、耐溶剤性、および耐擦傷性を向上させる目的で、該組成物中に含有される。このような重合性モノマーは特に制限はないが、例えば、次のモノマーが利用可能である:ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14の化合物)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14の化合物)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、多価カルボン酸(無水フタル酸など)と水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど)とのエステル化物、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル{(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステルなど}、エポキシ化合物の(メタ)アクリル酸付加物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなど)、不飽和有機酸(マレイン酸など)およびそれらの無水物、アクリルアミド類(N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなど)、スチレン類(スチレン、ヒドロキシスチレンなど)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾールなど。これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組合せて用いられ得る。
上記(e)の溶媒としては、水以外の、水と混和する溶剤が挙げられる。そのような溶媒は、特に制限されない。溶媒としては、例えば、次の化合物が挙げられる:メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのエチレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのプロピレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールエーテルアセテート類;N−メチルホルムアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルアセトアミド;ジメチルスルホキシド;アセトン;およびアセトニトリル。これらの化合物は、単独で、あるいは2種以上組合せて用いられ得る。
上記(f)の(b)以外の水溶性ポリマーは、成膜性を向上させる目的で、組成物中に含有される。このような水溶性ポリマーは特に制限はなく、例えば、次の化合物が挙げられる:ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール・ポリアクリレートブロック共重合体、グラフト化ポリビニルアルコールなど)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体、水溶性アルキド樹脂、(メタ)アクリル酸を含む共重合体の塩(ナトリウム塩、アミン塩など)、側鎖にエチレン性二重結合を有する水溶性ポリマーなど。
上記(g)の水溶性化合物は、最終的に得られる薄膜の導電性を向上させる目的で、組成物中に含有される。このような水溶性化合物は、特に制限はなく、以下に挙げるような化合物が挙げられる:N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N−ビニルピロリドンなどのピロリドン系化合物;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド基含有化合物;グリセロール、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコール類;ジメチルスルホキシドなど。
上記(h)の中和剤は、ポリチオフェン複合体と感放射線性樹脂との相溶性を向上させる目的で含有される、塩基性の化合物である。このような中和剤としては、次の化合物が挙げられる:アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど。
上記(i)の添加剤としては、重合禁止剤、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、カップリング剤などが挙げられ、いずれも当該分野で通常利用される化合物あるいは材料を用いることができる。
本発明により、導電性薄膜パターンを基板上に形成するには、例えば図1(A)に示すように、まず、上記本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物でなる塗布液を基板1上に付与し、塗膜(感放射線性樹脂組成物層2)を形成する。基板としては、無機材料でなる基板および有機材料でなる基板のいずれもが利用され得る。無機材料でなる基板としては、シリコンウェハー、ガラス板などがあり;有機材料でなる基板としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらのポリマーを構成するモノマーを重合単位として含有する共重合体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂などの樹脂、あるいは、これらの樹脂のブレンドでなる基板(樹脂製のフィルム、シートなど)が挙げられる。
上記塗布液を基板上に付与するには、スピンコーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、スリットコーティング、ブレードコーティング、スプレーコーティングなどの方法が採用される。形成された塗膜は、通常、加熱し、乾燥させる。このようにして形成された感放射線性樹脂組成物層2の膜厚は、特に限定されないが、0.01〜1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.6μmの範囲である。膜厚が薄すぎると十分な導電性が付与できず、逆に、膜厚が厚すぎると導電性は高くなるが、透明性が低下し、パターンの解像度も低下する。
この樹脂組成物層表面に、目的とする導電性薄膜のパターンとは逆のパターンの遮光層を有するフォトマスク3を載置し、これを介して放射線を照射する(図1(B))。ここで、「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線、プロトンビームなどの総称である。照射前の感放射線性樹脂組成物は水系溶剤に可溶あるいは分散可能であるが、照射された部分(露光部分)21は、硬化して該溶剤に不溶となる(図1(C))。そのため、水系溶媒でなる現像液で現像することにより遮光部分(未露光部分)22を溶解して除去し、目的とする導電性薄膜のパターン20を形成することができる(図1(D))。
上記現像液は、水を必須成分として含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。例えば、現像性を向上する目的で、有機溶剤、有機アミン、無機アルカリ、界面活性剤、消泡剤などが含有され、あるいは、導電性の向上を目的として、有機酸、無機酸などを含有させることもできる。現像方法は、スプレー式、パドル式、浸漬式などで行うことができる。必要に応じて、超音波の照射を併用することができる。
このように、本発明のネガ型の感放射線性樹脂組成物を用いると、所望のパターンを有する導電性薄膜を、ウェットプロセスにより、基板上に高精度で簡便に形成することが可能となる。従来、ウェットプロセスによる導電性薄膜のパターンの形成方法として、スクリーン印刷法、インクジェットプリンティングなどが知られているが、前者は塗布液の粘度調整が必要であることと、得られるパターンの解像度が低いという問題点があり、後者は塗布液の粘度および表面張力に制約があることと、予め塗液の垂れを防止のための隔壁を形成する必要があるという問題点がある。本発明により、このような問題が解決され、上述のように、簡便な方法で解像度のよい導電性薄膜のパターンが形成され得る。
この組成物により得られた導電性薄膜のパターンは、充分な解像度、導電性、および透明性を有している。従って、該パターンを有する基板は、ディスプレイの透明電極、トランジスタの電極、太陽電池の電極、配線材料、有機ELデバイス(パターンが正孔注入層として機能する)、有機半導体、電磁波シールド材などとして広く利用され得る。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。本実施例において「部」はすべて「質量部」を示す。
1.使用材料
本実施例においては、以下の材料を使用した。
1.1基板
PETフィルム(全光線透過率:87.8%)を用いた。
1.2ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体
重量平均分子量が75000のポリスチレンスルホン酸20.8部を含む1,887部の水溶液中に、1質量%硫酸鉄(III)水溶液49部、3,4−エチレンジオキシチオフェン8.8部、および10.9質量%のペルオキソ二硫酸水溶液117部を加えた。この反応混合物を18℃で、23時間攪拌することにより、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体の水分散体を得た。これに、陽イオン交換樹脂154部および陰イオン交換樹脂232部を加えて、2時間攪拌した後、イオン交換樹脂をろ別した。このことにより、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体を1.4質量%の割合で含有する、脱塩された水分散体を得た。
2.導電性薄膜のパターンの解像度
フォトマスクとして、凸版印刷(株)製の「TOPPAN−TEST−CHART−NO1−P/NL7401」を使用した。0.877〜50.000μmの36段階のラインアンドスペースを基準とし、光学顕微鏡観察により、得られたパターンがどのラインアンドスペースの線幅まで解像しているかを評価した。
3.導電性薄膜のパターンの表面抵抗率と全光線透過率
各々の実施例5〜8において、基板上の塗膜にフォトマスクを載置することなく露光を行ない、全面に導電性薄膜を有する基板を得た。この導電性薄膜について表面抵抗率および全光線透過率を測定し、これらを各々導電性薄膜のパターンの表面抵抗率および全光線透過率とした。上記表面抵抗率は、JIS K7194に従い、三菱化学(株)製ロレスタ−GP(MCP−T600)を用いて測定した。全光線透過率は、JIS K7150に従い、スガ試験機(株)製ヘイズコンピュータHGM−2Bを用いて測定した。
(合成例1)樹脂(b.1)の合成
ポリグリシジルエーテルとして、グリセリンのエチレンオキサイド3モル付加物にエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル(エポキシ当量149WPE、全塩素含量0.7質量%)を準備した。攪拌機と温度計を備えた反応器に、このポリグリシジルエーテル250.0g、アクリル酸120.8g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド0.6g、および重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.6gを仕込み、70〜80℃で20時間攪拌することにより、感放射線性樹脂の粘稠溶液を得た。
[実施例1]
上記1.2項で調製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体を含有する、脱塩された水分散体89.6g、N−メチルホルムアミド3.6g、合成例1で得られた感放射線性樹脂の粘稠溶液2.7g、チオキサントン0.1g、および脱塩水4.0gを混合することで、ネガ型感放射線性樹脂組成物の塗布液を得た。
(合成例2)樹脂(b.2)の合成
ペンタエリスリトール68g、N−メチロールアクリルアミド151.5g、およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.25gをフラスコに入れて加熱溶解した後、p−トルエンスルホン酸1.69gを添加し、空気を送りながら1.5時間攪拌した。これに水を加え、アンモニア水で中和して、縮合生成物(40質量%水溶液)を得た。
[実施例2]
上記1.2項で調製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体を含有する、脱塩された水分散体85g、10質量%アンモニア水0.9g、N−メチルホルムアミド3.5g、合成例2で得られた縮合生成物0.59g、ポリビニルアルコールの20%水溶液1.38g、ベンジルジメチルケタール0.017g、メチルハイドロキノン0.001g、メタノール0.96g、およびポリエチレングリコールジアクリレート0.05gを混合することで、ネガ型感放射線性樹脂組成物の塗布液を得た。
(合成例3)樹脂(b.3)の合成
2−ヒドロキシエチルアクリレート43.5g、メタクリル酸130.5g、およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6.8gをプロピレングリコール87.0gに溶解させた後、窒素気流下で、80℃に保持したプロピレングリコール457.4g中に2時間かけて滴下した。そのまま4時間熟成したのち、反応温度を100℃まで上げ、2時間熟成させて透明な粘稠性高分子溶液を得た。この高分子溶液を再度80℃まで冷却し、これにピリジン13.0gと、プロピレングリコール32.0gに溶解させたN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アンモニウム塩0.6gとをそれぞれ添加した後、グリシジルメタクリレート116.0gを30分かけて滴下し、80℃のまま6時間保持して淡赤色の粘稠な高分子溶液を得た。
攪拌機を備えた反応容器に1000mlの酢酸エチルを入れ、これに上記粘稠な高分子溶液100gを滴下した。1時間分散を行った後、ろ別、乾燥して、白色粉末を得た。この白色粉末10.74g、10%NaOH水溶液0.83g、プロピレングリコール17.94g、および脱塩水30.00gを混合し、透明で粘稠な高分子溶液を得た。
[実施例3]
上記1.2項で調製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体を含有する、脱塩された水分散体87g、10質量%アンモニア水0.9g、N−メチルホルムアミド3.5g、合成例3で得られた透明な粘稠性高分子溶液3.0g、脱塩水2.6g、および1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン0.077gを混合、溶解して、ネガ型感放射線性樹脂組成物の塗布液を得た。
[実施例4]
上記1.2項で調製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体を含有する、脱塩された水分散体66.6g、N−メチルホルムアミド2.7g、SPP−H−13(東洋合成工業(株)製ネガ型水溶性感放射線性樹脂、固形分13.4%;樹脂(b.4)に包含される)6.5g、プラスコートRY−2(互応化学工業(株)製界面活性剤)0.7g、および脱塩水23.5gを混合、溶解して、ネガ型感放射線性樹脂組成物の塗布液を得た。
[実施例5]
実施例1で得られた塗布液を、No.8のワイヤーバーを用いてPETフィルム(基板)上に塗布し、100℃で2分間乾燥させた。形成された塗膜上にフォトマスクを載置し、メタルハライドランプを装着したユニキュアシステム(TYPE:UVX−01212S1CS01:ウシオ電機(株)製)を用い、該フォトマスクを介して1,500mJ/cmの露光量でコンタクト露光を行なった。次いで、この塗膜を有する基板を23℃の水に1分間浸漬して、未露光部分(遮光部分)を溶解・除去し、水洗することにより、導電性薄膜のパターンを形成した。
得られた導電性薄膜のパターンの解像度は、50μmであり、表面抵抗率は1,100Ω/□、そして全光線透過率は81.0%であった。
[実施例6]
実施例2で得られた塗布液を、No.12のワイヤーバーを用いてPETフィルム(基板)上に塗布し、60℃で5分間乾燥させた。形成された塗膜上にフォトマスクを載置し、メタルハライドランプを装着したユニキュアシステム(TYPE:UVX−01212S1CS01:ウシオ電機(株)製)を用い、該フォトマスクを介して45mJ/cmの露光量でコンタクト露光を行なった。次いで、この塗膜を有する基板を23℃の水系現像剤(脱塩水86.7質量部、モノエタノールアミン3.3質量部、およびジエチレングリコールモノブチルエーテル10.0質量部の混合液)に1分間浸漬した後、水シャワーにて、未露光部分を溶解・除去し、水洗することにより、導電性薄膜のパターンを形成した。
得られた導電性薄膜のパターンの解像度は、15μmであり、表面抵抗率は580Ω/□、そして全光線透過率は75.0%であった。
[実施例7]
実施例3で得られた塗布液を、No.12のワイヤーバーを用いてPETフィルム(基板)上に塗布し、60℃で3分間乾燥させた。形成された塗膜上にフォトマスクを載置し、メタルハライドランプを装着したユニキュアシステム(TYPE:UVX−01212S1CS01:ウシオ電機(株)製)を用い、該フォトマスクを介して45mJ/cmの露光量でコンタクト露光を行なった。次いで、この塗膜を有する基板を23℃の水系現像剤(脱塩水86.7質量部、モノエタノールアミン3.3質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル10.0質量部、および60質量%硝酸水5.0質量部の混合液)に1分間浸漬した後、水シャワーにて、未露光部分を溶解・除去し、水洗することにより、導電性薄膜のパターンを形成した。
得られた導電性薄膜のパターンの解像度は、10μmであり、表面抵抗率は580Ω/□、そして全光線透過率は75.1%であった。
[実施例8]
実施例4で得られた塗布液を、No.8のワイヤーバーを用いてPETフィルム(基板)上に塗布し、100℃で2分間乾燥させた。形成された塗膜上にフォトマスクを載置し、メタルハライドランプを装着したユニキュアシステム(TYPE:UVX−01212S1CS01:ウシオ電機(株)製)を用い、該フォトマスクを介して500mJ/cmの露光量でコンタクト露光を行なった。次いで、この塗膜を有する基板を23℃の水に1分間浸漬して、未露光部分を溶解・除去し、水洗することにより、導電性薄膜のパターンを形成した。
得られた導電性薄膜のパターンの解像度は、30μmであり、表面抵抗率は1,200Ω/□、そして全光線透過率は84.3%であった。
(比較例1)
ペンタエリスリトールトリアクリレート1.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン0.03g、およびプラスコートRY−2(互応化学工業(株)製界面活性剤)0.5gを激しく攪拌して混合した。この混合液を攪拌しながら、上記1.2項で調製したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体を含有する、脱塩された水分散体80.0gおよびN−メチルホルムアミド3.0gを加えて混合し、ネガ型感放射線性樹脂組成物の塗布液を得た。
(比較例2)
比較例1で得られた塗布液を、No.8のワイヤーバーを用いてPETフィルム(基板)上に塗布し、100℃で2分間乾燥させた。形成された塗膜上にフォトマスクを載置し、メタルハライドランプを装着したユニキュアシステム(TYPE:UVX−01212S1CS01:ウシオ電機(株)製)を用い、該フォトマスクを介して3,000mJ/cmの露光量でコンタクト露光を行なった。次いで、この塗膜を有する基板を23℃の水に1分間浸漬して、未露光部分を溶解・除去し、水洗することにより、導電性薄膜のパターンを形成した。
得られた導電性薄膜のパターンは、用いたフォトマスク最大パターンの50μmでさえ解像できなかった。表面抵抗率は1,800Ω/□、そして全光線透過率は80.0%であった。
本発明によれば、所望のパターンを有する導電性薄膜を、基板上に高精度で簡便に形成することが可能なネガ型の感放射線性樹脂組成物が得られる。この組成物により得られた導電性薄膜のパターンは、充分な解像度、導電性、および透明性を有している。従って、該パターンを有する基板は、ディスプレイの透明電極、トランジスタの電極、太陽電池の電極、配線材料、有機ELデバイス、有機半導体、電磁波シールド材などとして広く利用され得る。

Claims (5)

  1. (a)下記一般式(1)
    Figure 0004621870
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素または炭素数1〜4のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって任意に置換されてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す)の反復単位からなる陽イオン形態のポリ(3,4−ジ置換チオフェン)とポリ陰イオンとの複合体であるポリチオフェン複合体の水分散体、および
    (b)水溶性または水分散性の感放射線性樹脂、
    を含む、ネガ型感放射線性樹脂組成物であって、該感放射線性樹脂が、
    (b.1)硬化性エポキシ(メタ)アクリレートであり、該硬化性エポキシ(メタ)アクリレートが、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応して得られるポリグリシジルエーテル化合物に、(メタ)アクリル酸を反応させて得られる樹脂;
    (b.2)下記一般式(2)
    Figure 0004621870
    (式中、R は水素原子またはメチル基を表し、R は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)で表される化合物と、分子内に水酸基を有する化合物とを強酸触媒の存在下で反応させて得られる樹脂;
    (b.3)以下の式(3−I)で示される単位、(3−II)で示される単位、および(3−III)で示される単位を有する樹脂:
    Figure 0004621870
    (式中、R は、水素またはメチル基であり、分子内の複数のR は、その各々が同一であっても異なっていてもよく、pは1〜10の整数である)、
    Figure 0004621870
    (式中、R は、水素またはメチル基であり、Xは、水素、アルカリ金属、およびアンモニウム類からなる群より選択される基であり、分子内の複数のR またはXは、その各々が同一であっても異なっていてもよい)、
    Figure 0004621870
    (式中、R およびR は、それぞれ独立して水素またはメチル基であり、分子内の複数のR またはR は、その各々が同一であっても異なっていてもよい)であって、
    該樹脂中に、該(3−I)の単位が2モル%〜73モル%の割合で、該(3−II)の単位が8モル%〜83モル%の割合で、そして、該(3−III)の単位が15モル%〜80モル%の割合で含有される、樹脂;および
    (b.4)以下の式(4)
    Figure 0004621870
    (式中、Y は陰イオンを表す)で表される単位を有する樹脂;
    からなる群より選択される、
    樹脂組成物
  2. さらに光重合開始剤および光増感剤の少なくとも一方を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物でなる塗布液を基板上に塗布することにより塗膜を形成する工程;該塗膜表面にフォトマスクを介して放射線を照射する工程;および照射後の塗膜を水を含む現像液で現像する工程を包含する、導電性薄膜のパターンの形成方法。
  4. 請求項に記載の方法により形成された導電性薄膜のパターンを有する基板。
  5. ディスプレイの透明電極、トランジスタの電極、太陽電池の電極、配線材料、有機ELデバイス、有機半導体、または電磁波シールド材である、請求項に記載の導電性薄膜のパターンを有する基板。
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