JP4620606B2 - 棒状体繰出容器 - Google Patents

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Description

本発明は、棒状化粧料を始めとした棒状体を繰り出して使用するための棒状体繰出容器に関する。
従来、パイプ部材内に溶融状態の化粧料を注入し冷却固化して棒状化粧料とし、この棒状化粧料を収容したパイプ部材を先筒内に摺動可能に収容すると共に、この先筒の後端に、内部に雌螺子が設けられた本体筒(外筒)を相対回転可能に装着し、この本体筒及び先筒内に突出杆を収容して当該突出杆の後端部に設けられた螺合突起を本体筒の雌螺子に螺合すると共に、突出杆の先端部をパイプ部材の内壁に緊密に嵌挿して棒状化粧料の後端面に当接する構成を具備し、本体筒と先筒とが繰り出し方向に相対回転されると、本体筒の雌螺子及び突出杆の螺合突起により構成された螺合部の螺合作用により突出杆が前進し、この突出杆の前進により、突出杆に緊密に嵌挿するパイプ部材が先ず前進し、このパイプ部材が先筒の先端部内の前進限に達すると、今度は突出杆の先端面に当接している棒状化粧料が前進し、棒状化粧料が使用状態にされる棒状化粧料容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特公昭52−50578号公報
しかしながら、上記容器にあっては、前述のように、螺合部により前進する突出杆によってパイプ部材と棒状化粧料の二部材を順に繰り出す構成であるため、冷却固化により形成される棒状化粧料とパイプ部材との間の隙間、パイプ部材と先筒との間に設けられる隙間に製造誤差等があると、場合によってはパイプ部材より先に棒状化粧料が繰り出されてしまう虞がある。
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、パイプ部材と棒状化粧料を始めとした棒状体が所望に正確に繰り出され、誤動作の無い棒状体繰出容器を提供することを目的とする。
本発明による棒状体繰出容器は、本体と、この本体の先端側に相対回転可能に装着された先筒と、この先筒内に収容されると共に内部に棒状体を摺動可能に収容するパイプ部材と、本体と先筒との相対回転に伴う第一の螺合部の利用により、先筒に対しパイプ部材を前進又は後退させる第一の繰出機構と、本体と先筒との相対回転に伴う第一の螺合部とは別の第二の螺合部の利用により、パイプ部材に対し棒状体を前進させる第二の繰出機構と、を具備し、第二の螺合部のリードに比して第一の螺合部のリードが大きくされることにより、第一の螺合部の螺合作用が第二の螺合部の螺合作用より先に働くことを特徴としている。
このような棒状体繰出容器によれば、本体の先端側に先筒が相対回転可能に装着され、この先筒内に、内部に棒状体を摺動可能に収容したパイプ部材が収容され、本体と先筒との相対回転に伴う第一の螺合部の利用により、先筒に対しパイプ部材が前進し、本体と先筒との相対回転に伴う第二の螺合部の利用により、パイプ部材に対し棒状体が前進してパイプ部材から突出するため、これらの前進動作により棒状体を使用状態とするのが可能とされ、また、本体と先筒との相対回転に伴う第一の螺合部の利用により、先筒に対しパイプ部材が後退するため、パイプ部材を先筒内の収容位置に繰り戻すのが可能とされる。このように、先筒に対しパイプ部材を繰り出す/繰り戻す螺合部と、パイプ部材に対し棒状体を繰り出す螺合部を別々にして備えているため、単一の螺合部を用いると生じる虞のある繰り出し順の逆転が解消され、パイプ部材と棒状体が所望に正確に繰り出される。また、第二の螺合部のリードに比して第一の螺合部のリードが大きくされているため、第一の螺合部の螺合作用を第二の螺合部の螺合作用より先に働かすことができると共に、本体と先筒との繰り出し方向への相対回転により、第一の螺合部の螺合作用が働くパイプ部材が、大きいリードに従い素早く使用位置に繰り出され、さらなる本体と先筒との繰り出し方向への相対回転により、第二の螺合部の螺合作用が働く棒状体用移動体が、小さいリードに従いゆっくりと繰り出され棒状体が適度にパイプ部材から突出して使用状態にされ、使用後には、本体と先筒との繰り戻し方向への相対回転により、パイプ部材が、大きいリードに従い素早く先筒内の収容位置に繰り戻され、その結果、使用性(使いやすさ)が向上される。ここで、リードとは、螺子を一回転した時に軸方向に進む距離のことである。
また、この棒状体繰出容器によれば、棒状体がパイプ部材に収容され保護されていてこれを必要量だけ繰り出して使用するため、細い棒状化粧料を用いることも可能である。
ここで、棒状体は、パイプ部材に密接状態で摺動可能に収容されていると、例えば容器の落下等による衝撃や振動等の外力作用により棒状体が折れた場合でもパイプ部材から抜けることが無く使い続けられる。なお、密接状態とは、パイプ部材に棒状体の全体が密接している状態や、一部分が密接している状態、さらには、近接し殆ど密接状態にあるものも含む。
また、上記作用を好適に奏する棒状体繰出容器の構成としては、具体的には、前進することでパイプ部材内の棒状体を押し出す棒状体用移動体を備え、第一の螺合部は、本体と先筒とが一方向である繰り出し方向/一方向とは反対方向である他方向の繰り戻し方向に相対回転されると先に螺合作用が働き、棒状体用移動体を含むパイプ部材を前進/後退させると共に、パイプ部材が前進限に達すると螺合作用が停止し、第二の螺合部は、パイプ部材が前進限に達し第一の螺合部の螺合作用が停止した状態で本体と先筒とが繰り出し方向にさらに相対回転されると螺合作用が働き、棒状体用移動体を前進させる構成が挙げられる。このような構成によれば、棒状体用移動体の前進により棒状体がパイプ部材内で押し出され摺動して繰り出される構成のため、棒状体が最後まで使い切られる。
また、本体と先筒との繰り出し方向/繰り戻し方向の相対回転による棒状体用移動体を含むパイプ部材の前進/後退により、当該パイプ部材の先端が先筒の先端の開口から出没する構成であると、例えば棒状体を棒状化粧料とした場合に、使用時に先筒の先端の開口から出現し皮膚に接触する可能性があるパイプ部材の先端が、使用後には先筒内に没入して収容されるため、衛生面が向上される。
また、第一の螺合部は、本体と先筒とが繰り戻し方向に相対回転され先に働く当該第一の螺合部の螺合作用により棒状体用移動体を含むパイプ部材が後退し当該パイプ部材が先筒内に収容される所定位置に達すると、螺合が解除されて第二の螺合部の螺合作用が働かないように本体と先筒とを空転させる一方で、この螺合作用が解除された状態で本体と先筒とが繰り出し方向に相対回転されると螺合復帰する構成であるのが好ましい。
このような構成を採用した場合、パイプ部材が前進限に達し棒状体がパイプ部材から突出し使用状態にされた後に、本体と先筒とが繰り戻し方向に相対回転されると、先に働く第一の螺合部の螺合作用により棒状体用移動体を含むパイプ部材が後退し、パイプ部材が先筒内に収容される所定位置へ達すると、第一の螺合部は螺合が解除されて第二の螺合部の螺合作用が働かないように本体と先筒とが空転する。このため、この状態で棒状体用移動体は後退することが無く、棒状体はパイプ部材から突出している状態にある。そして、本体と先筒とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部が螺合復帰し棒状体用移動体を含むパイプ部材が前進する。従って、パイプ部材が前進限に達すると、前述のように棒状体はパイプ部材から突出しているため、棒状体が即座に使用状態にされる。
また、第二の繰出機構は、本体と先筒との他方向の相対回転に伴う第二の螺合部の利用により、パイプ部材に対し棒状体を後退させるようにしても良い。
具体的な構成としては、第一の螺合部は、本体と先筒とが繰り戻し方向に相対回転され先に働く当該第一の螺合部の螺合作用により棒状体用移動体を含むパイプ部材が後退し当該パイプ部材が先筒内に収容される後退限に達すると螺合作用が停止し、第二の螺合部は、パイプ部材が後退限に達し第一の螺合部の螺合作用が停止した状態で本体と先筒とが繰り戻し方向にさらに相対回転されると螺合作用が働いて棒状体用移動体を後退させ、棒状体用移動体と棒状体とは、パイプ部材内において気密に接している構成が挙げられる。このように、棒状体用移動体と棒状体とが、パイプ部材内において気密に接していると、棒状体用移動体と共に当該棒状体用移動体に気密に接する棒状体も後退し、パイプ部材から突出する棒状体の先端部がパイプ部材内へ収容され、当該棒状体の先端部もパイプ部材により保護される。
このように本発明による棒状体繰出容器によれば、先筒に対しパイプ部材を繰り出す/繰り戻す螺合部と、パイプ部材に対し棒状体を繰り出す螺合部を別々にして備え、パイプ部材と棒状体が所望に正確に繰り出されるため、誤動作を無くすことが可能となる。
以下、本発明による棒状体繰出容器の好適な実施形態について図1〜図40を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1〜図18は、本発明の第一実施形態を、図19〜図35は、本発明の第二実施形態を、図36〜図38は、本発明の第三実施形態を、図39及び図40は、本発明の第四実施形態を各々示すもので、図1〜図5は、本発明の第一実施形態に係る棒状体繰出容器の各状態を示す各縦断面図、図6〜図8は、先筒を示す各図、図9〜図12は、バネ部材を示す各図、図13及び図14は、棒状体用移動体を示す各図、図15〜図18は、パイプ部材用移動体を示す各図であり、本実施形態の棒状体繰出容器は、棒状体を収容すると共に適宜使用者の操作により繰り出し可能とするものである。
ここでは、棒状体として、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー、リップスティック等を始めとした種々の棒状化粧料、筆記用具等の棒状の芯等を用いることが可能であり、比較的硬めのものや、非常に軟らかい棒状体が用いられる。また、外径が1mm以下の細径芯や10mm以上の太めの棒状体が使用可能である。
図1に示すように、棒状体繰出容器100は、容器の先端側より後側を形成する本体筒(本体)1と、容器の先端側を形成し本体筒1に相対回転可能且つ軸線方向移動不能に連結された先筒3とを外形構成として具備し、以下、容器内に、本体筒1と先筒3とが相対回転されると前進/後退するパイプ部材用移動体5と、棒状体Mを収容して備えパイプ部材用移動体5の前進/後退に伴い前進/後退するパイプ部材4と、パイプ部材4内に嵌挿されて棒状体Mの後端面に当接したピストン6xを先端に備え、パイプ部材用移動体5の前進/後退に伴い前進/後退しパイプ部材4が前進限に達し本体筒1と先筒3とがさらに同方向に相対回転されると前進する棒状体用移動体6と、パイプ部材用移動体5が所定位置に後退すると当該パイプ部材用移動体5を前側に付勢するバネ部材7と、パイプ部材用移動体5の移動を可能とする第一の螺合部8(図2、図3、図5参照)と、棒状体用移動体6の移動を可能とする第二の螺合部9とを概略備えている。
本体筒1は、図1及び図4示すように、有底円筒状に構成され、その先端側の内周面に、先筒3を装着するための環状凸凹部1aを備えている。この本体筒1には、その内周面に、底部から先端側に向かって長尺に延びる突条1fが周方向に沿って多数並設されローレット状に設けられている。この突条1fは、先端から軸線方向途中までの部分の内側(軸線方向)に向かう突出具合に比してこれより後側の部分の内側に向かう突出具合が大きくされ、この突出具合が変化するところが段差面1bとされている。この突条1fの段差面1bは、バネ部材7の後端面を当接させるためのものであり、突条1fの段差面1bより前側の部分1cは、バネ部材7を装着するためのものである。
先筒3は、本体筒1の先端から突出する先端側の摘み部としての大径部3aと、図6〜図8に示すように、大径部3aの後端に外周段差面3bを介し外周面が小径とされて連続する小径部3cと、を備える段付き円筒形状とされている。大径部3aは、先端に向けて次第に外径が細くなる先細り形状とされ、小径部3cは、本体筒1内に挿入可能な大きさとされていると共に、外周段差面3b寄りの外周面に、本体筒1の環状凸凹部1aに軸線方向に係合するための環状凹凸部3dを備えている。また、小径部3cには、環状凹凸部3dより後側の位置の外周面に、Oリング11を装着するための環状溝部3eが設けられている。
図7及び図8に示すように、先筒3の軸線方向に貫通する筒孔は、先端の開口から先端近傍までが、棒状体Mのみが進退する棒状体孔3fとされ、この棒状体孔3fの後端から筒孔の後端部近くまでが、棒状体孔3fより大径とされてパイプ部材4を収容すると共に当該パイプ部材4が進退するパイプ部材孔3gとされ、このパイプ部材孔3gの後端から筒孔の後端までが、パイプ部材用移動体5を収容すると共に当該パイプ部材用移動体5が進退するパイプ部材用移動体孔3hとされている。このパイプ部材用移動体孔3hの前半部には、第一の螺合部(螺合機構)8の一方を構成する雌螺子としての螺旋溝(筒側の螺子)3iが設けられ、後半部の内周面3jと前半部の螺旋溝3iを除く内周面3kとの間の境界部には、内周面3k側を高くする(内周面3k側の内径が小さくなる)段差面3mが形成されている。そして、先筒3の棒状体孔3fとパイプ部材孔3gとの段差面3nが、パイプ部材4の前進限とされている。なお、先筒3の螺旋溝3iの先端を、後述の螺合突起5eの前進限として、パイプ部材4の前進限に対応するものとしても良い。
この先筒3は、図1及び図4に示すように、その環状溝部3eにOリング11を嵌着し、その小径部3cが本体筒1に内挿され、その外周段差面3bが本体筒1の先端面に突き当てられ、その環状凹凸部3dが本体筒1の環状凸凹部1aに係合することで、本体筒1に相対回転可能且つ軸線方向移動不能に装着されている。そして、先筒3の環状溝部3eに嵌着されたOリング11は、本体筒1の内周面に当接し、これにより本体筒1と先筒3との相対回転時に好感覚な回転抵抗が発生する。
バネ部材7は、図9〜図11に示すように、先端の外径小径部7a、この外径小径部7aの後端に続く外径大径部7bを備える段付き円筒部の後端に、軸線方向に伸縮可能なバネ部(パイプ部材側バネ部)7cを連設して成る樹脂による射出成形品とされ、外径小径部7aは、先筒3の後端部の内周面3jを形成する孔に挿入可能な大きさとされている。また、バネ部材7の外径大径部7bには、図9、図11及び図12に示すように、その外周面の対向する位置に、本体筒1の突条1fの段差面1bより前側の部分1c,1c間に進入して本体筒1に回転方向に係合するための突条7d,7dが設けられている。
また、図10〜図12に示すように、バネ部材7の先端近傍から外径大径部7bの略中央に亘る筒孔は、内周に対向して形成した二平面部7e,7eを有する横断面非円形形状とされ、これらの二平面部7e,7eが回り止め部(回り止め機構)50の一方を構成する回り止めとされている。
このバネ部材7は、図1及び図4に示すように、本体筒1に内挿され、その後端面が本体筒1の段差面1bに突き当てられ、その外径小径部7aの前半部が先筒3の後端部の内周面3jを形成する孔に挿入された状態で、その外径大径部7bの突条7dが本体筒1の突条1fの段差面1bより前側の部分1c,1c間に係合することで、本体筒1に回転不能且つ軸線方向摺動自在に係合されている。
パイプ部材用移動体5は、図15〜図18に示すように、短尺円筒状を成し、その外周面に第一の螺合部(螺合機構)8の他方を構成する雄螺子としての螺合突起(パイプ部材側の螺子)5eを一対備えている。また、パイプ部材用移動体5の内周面には、図18に示すように、第二の螺合部(螺合機構)9の一方を構成する雌螺子5jが設けられている。
このパイプ部材用移動体5は、図1及び図4に示すように、先筒3の後部に内挿され、その後端面がバネ部材7の先端面に当接し、その螺合突起5eが先筒3の螺旋溝3iの後端から外れて螺合が解除された状態で先筒3の段差面3mに対してバネ部材7のバネ部7cにより押し付けられた状態とされている。この状態で、バネ部材7の外径大径部7bの先端面と先筒3の後端面との間には、バネ部7cの付勢力により外径大径部7bの先端面が前進するための所定の空間が形成されている。
棒状体用移動体6は、図13に示すように、先端のピストン6xの後端に、軸線方向に長尺な螺子棒6yを連設して成る樹脂による射出成形品とされている。この螺子棒6yは、図13及び図14に示すように、後端から先端部の近傍に亘って外周に対向して形成された二平面部6a,6aと、螺子棒6yの全長に亘って外周に形成された雄螺子6bと、を備えている。従って、螺子棒6yの二平面部6a,6aを有する部分の雄螺子6bは円弧状を成している。また、二平面部6a,6aより前側の雄螺子6bの形成範囲は、棒状体Mの移動長さに対応するものとされている。そして、棒状体用移動体6の雄螺子6bが第二の螺合部(螺合機構)9の他方を構成し、二平面部6a,6aが回り止め部(回り止め機構)50の他方を構成する回り止めとされている。
この棒状体用移動体6は、図1及び図4に示すように、パイプ部材用移動体5及びバネ部材7に内挿され、その二平面部6a,6aがバネ部材7の二平面部7e,7eを挿通すると共に、その雄螺子6bがパイプ部材用移動体5の雌螺子5jに螺合した状態とされている。
そして、パイプ部材用移動体5の螺合突起5e及び先筒3の螺旋溝3iより構成されることになる第一の螺合部8(図2参照)、パイプ部材用移動体5の雌螺子5j及び棒状体用移動体6の雄螺子6bより構成される第二の螺合部9にあっては、図7及び図18に示すように、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされている。従って、第一の螺合部8の螺合作用が第二の螺合部9の螺合作用より先に働く。
パイプ部材4は、図1及び図4に示すように、円筒状を成し、その内部に溶融状態の棒状体形成材料を注入し冷却固化することで棒状体Mが充填されている。この棒状体Mは、パイプ部材4に密接状態で摺動可能に収容されている。なお、ここでいう密接状態とは、パイプ部材4に棒状体Mの全体が密接している状態や、一部分が密接している状態、さらには、近接し殆ど密接状態にあることをいう。
このパイプ部材4は、先筒3のパイプ部材孔3gに内挿されると共にその後端部がピストン6xに嵌挿され、その後端面がパイプ部材用移動体5の先端面に突き当てられている。この状態で、ピストン6xは、パイプ部材4の内周面に緊密に当接した状態とされている。また、この状態で、パイプ部材4の先端面と先筒3におけるパイプ部材4の前進限である段差面3nとの間には、当該パイプ部材4が前進するための所定の空間が形成され、棒状体Mは先筒3内に没入して収容されている。
そして、棒状体繰出容器は、図1に示す初期状態の棒状体繰出容器100として使用者に購買され、パイプ部材用移動体5の螺合突起5e及び先筒3の螺旋溝3iより構成されることになる第一の螺合部8(図2参照)、及び、バネ部材7の二平面部7e及び棒状体用移動体6の二平面部6aより構成される回り止め部50より成る第一の繰出機構と、パイプ部材用移動体5の雌螺子5j及び棒状体用移動体6の雄螺子6bより構成される第二の螺合部9、及び、回り止め部50より成る第二の繰出機構と、を内蔵して成り、使用者により本体筒1と先筒3とが繰り出し方向(一方向)に相対回転されると、第二の螺合部9に比して第一の螺合部8のリードが大きい(粗い)ことから、先筒3とパイプ部材用移動体5とが先に相対回転するため、先筒3の螺旋溝3iの後端から外れて螺合が解除されバネ部材7のバネ部7cにより先筒3の段差面3mに対して押し付けられているパイプ部材用移動体5の螺合突起5eが、先筒3の螺旋溝3iに螺合し第一の螺合部8の螺合作用が作動する。
この繰り出し方向の相対回転が続けられると、前述したように、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、先に第一の螺合部8の螺合作用が働き、棒状体用移動体6の二平面部6a及びバネ部材7の二平面部7eにより構成される回り止め部50との協働により、パイプ部材用移動体5が棒状体用移動体6を伴い前進しこれらに押されてパイプ部材4及び棒状体Mが前進し、パイプ部材4は、図2に示すように、先筒3の先端内の前進限である段差面3nへ前進する。
この時、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、パイプ部材4は、第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く前進限である使用位置に達する。そして、パイプ部材4が前進限である段差面3nに達すると前進が阻止され、第一の螺合部8の螺合作用が停止する。
続けて本体筒1と先筒3とが繰り出し方向へ相対回転されると、第一の螺合部8の螺合作用が停止しているため、第二の螺合部9の螺合作用が働き、回り止め部50との協働により、図3に示すように、ピストン6xがパイプ部材4内を摺動しながら前進し、ピストン6xに押されて棒状体Mが前進し、棒状体Mの先端部が先筒3の開口から出現する。
この時、第一の螺合部8のリードに比して第二の螺合部9のリードが小さくされているため、棒状体用移動体6は第二の螺合部9の小さいリードに従いゆっくりと繰り出され棒状体Mが適度にパイプ部材4から繰り出されて適度に先筒3内から出現し使用状態にされる。
使用後に、本体筒1と先筒3とが繰り戻し方向(一方向とは反対方向である他方向)へ相対回転されると、前述したように、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、先に第一の螺合部8の螺合作用が働き、回り止め部50との協働により、パイプ部材用移動体5が棒状体用移動体6を伴い後退する。
この時、前述したように、ピストン6xはパイプ部材4の内周面に緊密に当接した状態にあるため、ピストン6xはパイプ部材4を伴い後退し、このパイプ部材4の内周面に緊密に当接している棒状体Mを伴い後退し、図4に示すように、パイプ部材4及び棒状体Mの先端部が先筒3の先端の開口から没入する。
この時、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、パイプ部材4は、第一の螺合部8の大きいリードに従い素早く繰り戻される。そして、パイプ部材4が先筒3内の収容位置に繰り戻されると、パイプ部材用移動体5の螺合突起5eが、先筒3の螺旋溝3iの後端から外れて螺合が解除されてバネ部材7のバネ部7cにより先筒3の段差面3mに対して押し付けられる状態とされる。
従って、この状態で、本体筒1と先筒3とが繰り戻し方向にさらに相対回転されても本体筒1と先筒3とは空転し、第二の螺合部9の螺合作用は働くことが無く、棒状体用移動体6は後退せず、棒状体Mはパイプ部材4から突出している状態にある(図4参照)。
そして、図4に示す状態で棒状体Mを使用状態にすべく、使用者により再度本体筒1と先筒3とが繰り出し方向に相対回転されると、先筒3の螺旋溝3iの後端から外れて螺合が解除されバネ部材7のバネ部7cにより先筒3の段差面3mに対して押し付けられているパイプ部材用移動体5の螺合突起5eが、先筒3の螺旋溝3iに螺合復帰し第一の螺合部8の螺合作用が再度作動する。
この繰り出し方向の相対回転が続けられると、前述したように、先に働く第一の螺合部8の螺合作用により棒状体用移動体6を含むパイプ部材4が前進してパイプ部材4が前進限に達し、この時、棒状体Mは前述のようにパイプ部材4から突出しているため、図3に示すように、パイプ部材4から突出している棒状体Mの先端部が、先筒3内から出現し即座に使用状態にされる。
この棒状体Mが先筒3内から出現した時、又は、先筒3内から出現した棒状体Mが使用により消費された時で、棒状体Mの先筒3からの突出具合が小さい場合には、続けて本体筒1と先筒3とを繰り出し方向へ相対回転すれば良く、第一の螺合部8の螺合作用が停止しているため、第二の螺合部9の螺合作用が働き、棒状体Mが繰り出される。そして、使用後は上記と同様の動作となり、このような動作が繰り返される。
このように、本実施形態の棒状体繰出容器100によれば、本体筒1と先筒3との相対回転に伴う第一の螺合部8の利用により、先筒3に対しパイプ部材4が前進し、本体筒1と先筒3との相対回転に伴う第二の螺合部9の利用により、パイプ部材4に対し棒状体Mが前進してパイプ部材4から突出するため、これらの前進動作により棒状体Mが使用状態とされ、また、本体筒1と先筒3との相対回転に伴う第一の螺合部8の利用により、先筒3に対しパイプ部材4が後退するため、パイプ部材4が先筒3内の収容位置に繰り戻される。具体的には、前進することでパイプ部材4内の棒状体Mを押し出す棒状体用移動体6を備え、第一の螺合部8は、本体筒1と先筒3とが繰り出し方向/繰り戻し方向に相対回転されると先に螺合作用が働き、棒状体用移動体6を含むパイプ部材4を前進/後退させると共に、パイプ部材4が前進限に達すると螺合作用が停止し、第二の螺合部9は、パイプ部材4が前進限に達し第一の螺合部8の螺合作用が停止した状態で本体筒1と先筒3とが繰り出し方向にさらに相対回転されると螺合作用が働き、棒状体用移動体6を前進させる構成としているため、単一の螺合部を用いると生じる虞のある繰り出し順の逆転が解消され、パイプ部材4と棒状体Mを所望に正確に繰り出すことが可能とされている。このため、誤動作が無くされている。
また、この棒状体繰出容器100によれば、棒状体Mがパイプ部材4内に充填されて成形されると共に当該棒状体Mがパイプ部材4に収容され保護されていてこれを必要量だけ繰り出して使用するため、棒状体Mを細い棒状体や強度の少ない脆弱な柔らかい棒状体とすることも可能である。
また、棒状体繰出容器100によれば、棒状体Mが、パイプ部材4に密接状態で摺動可能に収容されているため、例えば容器100の落下等による衝撃や振動等の外力作用により棒状体Mが折れた場合でもパイプ部材4から抜けることが無く使い続けられる。
また、棒状体繰出容器100によれば、棒状体用移動体6の前進により棒状体Mがパイプ部材4内で押し出され摺動して繰り出される構成のため、棒状体Mを最後まで使い切ることができる。なお、図5は、棒状体Mを最後まで使い切り棒状体用移動体6を最大に繰り出した時の棒状体繰出容器100を示している。
また、この棒状体繰出容器100によれば、第二の螺合部9のリードに比して第一の螺合部8のリードが大きくされているため、第二の螺合部9より先に第一の螺合部8の螺合作用が確実に働くと共に、本体筒1と先筒3との繰り出し方向への相対回転により、第一の螺合部8の螺合作用が働くパイプ部材4が、大きいリードに従い素早く使用位置に繰り出され、さらなる本体筒1と先筒3との繰り出し方向への相対回転により、第二の螺合部9の螺合作用が働く棒状体用移動体6が、小さいリードに従いゆっくりと繰り出され棒状体Mが適度にパイプ部材4から突出して使用状態にされ、使用後には、本体筒1と先筒3との繰り戻し方向への相対回転により、パイプ部材4が、大きいリードに従い素早く先筒3内の収容位置に繰り戻され、その結果、使用性(使いやすさ)が向上されている。また、第二の螺合部9のリードが小さい(細かい)ため、棒状体Mを誤って出し過ぎることが無い。
また、パイプ部材4が前進限に達し棒状体Mがパイプ部材4から突出し使用状態にした後に、本体筒1と先筒3とが繰り戻し方向に相対回転されると、先に働く第一の螺合部8の螺合作用により棒状体用移動体6を含むパイプ部材4が後退し、パイプ部材4が先筒3内に収容される所定位置へ達すると、第一の螺合部8の螺合が解除されて第二の螺合部9の螺合作用が働かないように本体筒1と先筒3とが空転し、この空転により棒状体用移動体6が後退しないようにして棒状体Mをパイプ部材4から突出している状態とし、本体筒1と先筒3とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部8が螺合復帰し棒状体用移動体6を含むパイプ部材4が前進する構成としているため、パイプ部材4が前進限に達すると、パイプ部材4からその先端部が突出している棒状体Mが即座に使用状態にされ、使用性(使いやすさ)が一層向上されている。
なお、本実施形態においては、好適であるとして、パイプ部材4内に溶融状態の棒状体形成材料を注入し冷却固化することで、棒状体Mをパイプ部材4内に充填したものとしているが、予め製造された棒状体をパイプ部材4に密接状態で嵌挿し用いることも可能である。この場合には、後述の図32〜図35に示すパイプ部材64を用いるのが好ましい。また、パイプ部材4とパイプ部材用移動体5は、係合により一体化されていても良く、一体成型品であっても良い。
図19〜図23は、本発明の第二実施形態に係る棒状体繰出容器の各状態を示す各縦断面図、図24は、本体筒を示す断面斜視図、図25及び図26は、先筒を示す各図、図27及び図28は、回り止め部材を示す各図、図29は、連結部材を示す断面斜視図、図30は、螺子棒を示す側面図、図31は、ピストンを示す縦断面図、図32〜図35は、図19〜図23中のパイプ部材に代えて用いられるパイプ部材を示す各図である。
この第二実施形態の棒状体繰出容器200は、図19に示すように、容器の一方(図示左側)の先端側を形成する先筒53と、この先筒53より後側を形成する本体筒51と、を外形構成として具備し、以下、容器内に、図22に示すように、本体筒51に先筒53を相対回転可能且つ軸線方向移動不能に連結するための連結部材52と、回り止め部(回り止め機構)を構成する回り止め部材57と、本体筒51と先筒53とが相対回転されると前進/後退するパイプ部材用移動体5と、棒状体Mを収容して備えパイプ部材用移動体5の前進/後退に伴い前進/後退するパイプ部材54と、パイプ部材54内に嵌挿されて棒状体Mの後端面に当接したピストン56xを先端に備え、パイプ部材用移動体5の前進/後退に伴い前進/後退しパイプ部材54が前進限に達し本体筒51と先筒53とがさらに繰り出し方向に相対回転されると前進する一方で、パイプ部材54が後退限に達し本体筒51と先筒53とがさらに繰り戻し方向に相対回転されると後退する棒状体用移動体56と、パイプ部材用移動体5の移動を可能とする第一の螺合部58と、棒状体用移動体56の移動を可能とする第二の螺合部59とを概略備えている。また、図19に示すように、本体筒51の他方側(図示右側)には、ブラシ60を保持したブラシホルダ61を装着して備えている。
そして、この第二実施形態の棒状体繰出容器200が第一実施形態の棒状体繰出容器100と主に違う点は、本体筒51と先筒53との繰り出し方向/繰り戻し方向の相対回転に従ってパイプ部材54の先端が先筒53内から出没すると共に、本体筒51と先筒53との繰り戻し方向の相対回転に従って棒状体Mが繰り戻されるように構成した点である。以下、その構成を詳細に説明する。
本体筒51は、図24に示すように、両端が開放されて成る円筒状に構成されている。この本体筒51は、筒内の略中間位置が中仕切51aで仕切られ、この中仕切51aより両側の筒内に、棒状体Mを有する組立体の後部、ブラシ60を保持したブラシホルダ61の後部を各々収容する空間が画成されている。
この両空間を仕切る中仕切51aには、その中央に、軸線方向外側へ向かう軸体51bが各々設けられ、この軸体51bの外周面には、軸線方向に延びる突条51cが、周方向に沿って等間隔に離間して複数設けられている。棒状体Mを有する組立体側に向かう軸体51bの突条51cは、回り止め部材57を装着するためのものである。また、本体筒51は、両端の開口寄りの内周面に、連結部材52、ブラシホルダ61を各々装着するための環状溝部51dを備えている。
図29に示すように、連結部材52は、略円筒状を成し、その略前半部が先筒53に挿入されると共にその略後半部が本体筒51に挿入されるものである。この連結部材52は、先端側の外周面に環状凸凹部52aと、これより前側の外周面に周方向に多数の凹凸状が並設されて当該凹凸状が軸線方向に延びるローレット52bとを、先筒53を装着するものとして備えると共に、環状凸凹部52aの後側近傍の外周面に環状突部52cを、本体筒51の環状溝部51dに軸線方向に係合するためのものとして備えている。また、この連結部材52には、環状突部52cの後側近傍の外周面に、Oリング71を装着するための環状溝部52dが設けられている。
この連結部材52は、図22に示すように、その環状溝部52dにOリング71を嵌着し、その略後半部が本体筒51に内挿され、その環状突部52cが本体筒51の環状溝部51dに係合することで、本体筒51に回転可能且つ軸線方向移動不能に装着されている。
先筒53は、図25及び図26に示すように、先端に向けて次第に外径が細くなる先細り形状の円筒状に構成されている。この先筒53の軸線方向に貫通する筒孔は、先端の開口から先端近傍までが、パイプ部材54の先端部が進退する第一パイプ部材孔53fとされ、この第一パイプ部材孔53fの後端から筒孔の軸線方向中央より多少後側の位置までが、第一パイプ部材孔53fより大径とされてパイプ部材54の先端部より後側を収容すると共にこれが進退する第二パイプ部材孔53gとされ、この第二パイプ部材孔53gの後端から筒孔の後端への途中までが、第二パイプ部材孔53gより大径とされてパイプ部材用移動体5を収容すると共に当該パイプ部材用移動体5が進退するパイプ部材用移動体孔53kとされ、このパイプ部材用移動体孔53kの後端から筒孔の後端までが、パイプ部材用移動体孔53kより大径とされて連結部材52及び回り止め部材57の前側部分を収容する部材収容孔53jとされている。
パイプ部材用移動体孔53kには、その内周面に、第一の螺合部58の一方を構成する雌螺子としての螺旋溝(筒側の螺子)53iが設けられ、部材収容孔53jには、その前半部の内周面に、周方向に多数の凹凸状が並設されて当該凹凸状が軸線方向に延びるローレット53pが、連結部材52のローレット52bに回転方向に係合するものとして設けられていると共に、その後半部の内周面に、環状凹凸部53qが連結部材52の環状凸凹部52aに軸線方向に係合するものとして設けられている。そして、先筒53の第一パイプ部材孔53fと第二パイプ部材孔53gとの段差面53nが、パイプ部材54の前進限に対応するものとされている。なお、先筒53の螺旋溝53iの先端を、パイプ部材用移動体5の螺合突起5eの前進限として、パイプ部材54の前進限に対応するものとしても良い。
この先筒53は、図22に示すように、その後端部が連結部材52の前半部に外挿され、その後端面が本体筒51の先端面に突き当てられ、その環状凹凸部53qが連結部材52の環状凸凹部52aに係合することで、連結部材52に軸線方向移動不能に装着されると共に、そのローレット53pが連結部材52のローレット52bに係合することで、連結部材52に回転不能に装着されている。従って、先筒53は、連結部材52を介して本体筒51に相対回転可能且つ軸線方向移動不能に装着されている。この状態で、連結部材52の環状溝部52dに嵌着されたOリング71は、本体筒51の内周面に当接し、これにより本体筒51と先筒53との相対回転時に好感覚な回転抵抗が発生する。
回り止め部材57は、図27及び図28に示すように、先端部に鍔部57a有する円筒状に構成され、この鍔部57aは、先筒53のローレット53pの前側に進入する大きさに構成されている。
この回り止め部材57の筒孔は、その先端から後端部近く亘って、内周に対向して形成した二平面部57e,57e有する横断面非円形形状とされ、これらの二平面部57e,57eが回り止め部70の一方を構成する回り止めとされている。
また、回り止め部材57の筒孔の二平面部57e,57eより後側の部分は、二平面部57e,57eを有する横断面非円形形状の孔より大径の横断面円形形状の孔とされ、この横断面円形形状の孔の内周面に、周方向に多数の凹凸状が並設されて当該凹凸状が軸線方向に延びるローレット57cが、本体筒51の突条51cに回転方向に係合するものとして設けられている。
この回り止め部材57は、図22に示すように、その鍔部57aが先筒53の部材収容孔53jに内挿されると共に、その鍔部57aより後側の部分が連結部材52に内挿され、その鍔部57aが、パイプ部材用移動体孔53kと部材収容孔53jとの間の段差面53r(図25及び図26参照)と、連結部材52の先端面との間に挟み込まれた状態で、その後端部のローレット57cが本体筒51の突条51cに係合することで、軸線方向に移動不能とされて本体筒51に回転不能に装着されている。
パイプ部材用移動体5は、第一実施形態のパイプ部材用移動体5と同じであり、その外周面に第一の螺合部58の他方を構成する雄螺子としての螺合突起(パイプ部材側の螺子)5eを一対備えると共に、その内周面に第二の螺合部59の一方を構成する雌螺子5jを備えている。
このパイプ部材用移動体5は、先筒53のパイプ部材用移動体孔53kに内挿され、その後端面が回り止め部材57の鍔部57aの先端面に当接し、その螺合突起5eが先筒53の螺旋溝53iに螺合する状態とされている。
棒状体用移動体56は、先端のピストン56xと、これより後側の軸線方向に長尺な螺子棒56yとを有する構成とされている。この螺子棒56yには、図30に示すように、その先端にピストン56xを装着するための大径部56cが設けられている。また、この螺子棒56yは、大径部56cより後側が短尺の小径部56dとされていると共にこの小径部56dの後端から螺子棒56yの後端までが小径部56dより大径の軸体56eとされている。この螺子棒56yは、その軸体56eの後端から軸体56eの先端部の近傍に亘って外周に対向して形成された二平面部56a,56a(第一実施形態で説明した二平面部6a,6aと同様なもの;図14参照)と、その軸体56eの後端から軸体56eの先端に亘って外周に形成された雄螺子56bと、を備えている。従って、螺子棒56yの二平面部56a,56aを有する部分の雄螺子56bは円弧状を成している。そして、棒状体用移動体56の雄螺子56bが第二の螺合部59の他方を構成し、二平面部56a,56aが回り止め部70の他方を構成する回り止めとされている。
図31に示すように、ピストン56xは、例えば樹脂やラバー等により円柱状に構成され、その後端面から凹設される凹部56mを備えている。この凹部56mの前側は、螺子棒56yの大径部56cに軸線方向に係合するための大径凹部56nとされている。
このピストン56xは、図22に示すように、螺子棒56yの先端部に外挿され、その大径凹部56nが螺子棒56yの大径部56cに係合することで、螺子棒56yに軸線方向移動不能に装着されている。
このピストン56xを装着して成る棒状体用移動体56は、パイプ部材用移動体5及び回り止め部材57に内挿され、その二平面部56a,56aが回り止め部材57の二平面部57e,57eを挿通すると共に、その雄螺子56bがパイプ部材用移動体5の雌螺子5jに螺合した状態とされている。
そして、パイプ部材用移動体5の螺合突起5e及び先筒53の螺旋溝53iより構成される第一の螺合部58、パイプ部材用移動体5の雌螺子5j及び棒状体用移動体56の雄螺子56bより構成される第二の螺合部59にあっては、図18(第一実施形態のパイプ部材用移動体5参照)及び図26に示すように、第二の螺合部59のリードに比して第一の螺合部58のリードが大きくされている。従って、第一の螺合部58の螺合作用が第二の螺合部59の螺合作用より先に働く。
パイプ部材54は、図20に示すように、先端部が外径小径部54aとされ、この外径小径部54aの後端からパイプ部材54の後端までが、外径小径部54aより大径の外径大径部54bとされる段付き円筒状に構成され、先筒53の第一パイプ部材孔53fと第二パイプ部材孔53gに対応する形状とされている。このパイプ部材54の外径小径部54aの先端から、外径小径部54aと外径大径部54bとの間の段差面54cまでの長さは、先筒53の第一パイプ部材孔53fの長さより長くされている。このパイプ部材54内には、溶融状態の棒状体形成材料を注入し冷却固化することで棒状体Mが充填されている。この棒状体Mは、パイプ部材54に密接状態で摺動可能に収容されている。
このパイプ部材54は、図22に示すように、先筒53の第一、第二パイプ部材孔53f,53gに内挿されると共にその後端部がピストン56xに嵌挿され、その後端面がパイプ部材用移動体5の先端面に突き当てられている。
この状態で、ピストン56xは、パイプ部材54の内周面に緊密に当接すると共に、ピストン56xと棒状体Mとがパイプ部材54内において気密に接した状態とされている。また、この状態で、パイプ部材54の段差面54cと先筒53におけるパイプ部材54の前進限に対応する段差面53nとの間には、当該パイプ部材54が前進するための所定の空間が形成され、棒状体Mは先筒53内に没入して収容されている。
そして、棒状体繰出容器は、図22に示す初期状態の棒状体繰出容器200として使用者に購買され、パイプ部材用移動体5の螺合突起5e及び先筒53の螺旋溝53iより構成される第一の螺合部58、及び、回り止め部材57の二平面部57e及び棒状体用移動体56の二平面部56aより構成される回り止め部70より成る第一の繰出機構と、パイプ部材用移動体5の雌螺子5j及び棒状体用移動体56の雄螺子56bより構成される第二の螺合部59、及び、回り止め部70より成る第二の繰出機構と、を内蔵して成る。なお、図22においては、棒状体Mの先端がパイプ部材54内から出現しているが、初期状態では、図20に示すように、棒状体Mはパイプ部材54に収容され棒状体Mの先端とパイプ部材54の先端はほぼ面一とされている。
そして、使用者により本体筒51と先筒53とが繰り出し方向に相対回転されると、既にパイプ部材用移動体5の螺合突起5eが先筒53の螺旋溝53iに螺合しているため、即座に第一の螺合部58の螺合作用が働く。以降は第一実施形態と同様な動作となり、さらなる繰り出し方向への相対回転により、棒状体用移動体56を含むパイプ部材54は、第一の螺合部58の大きいリードに従い素早く前進し、その段差面54cが、図20に示すように、先筒53の段差面53nに達し、第一の螺合部58の螺合作用が停止する。
この時、パイプ部材54は、その先端が先筒53内から所定長出現する。
続けて本体筒51と先筒53とが繰り出し方向へ相対回転されると、第二の螺合部59の螺合作用が働き、棒状体用移動体56が第二の螺合部59の小さいリードに従いゆっくりと繰り出され、図21に示すように、棒状体Mがパイプ部材54から適度に押し出されて使用状態にされる。
使用後に、本体筒51と先筒53とが繰り戻し方向へ相対回転されると、先に第一の螺合部58の螺合作用が働き、棒状体用移動体56を含むパイプ部材54は、第一の螺合部58の大きいリードに従い素早く後退し、図22に示すように、パイプ部材54及び棒状体Mの先端部が先筒53の先端の開口から没入しパイプ部材54は先筒53内の収容位置に繰り戻され、パイプ部材用移動体5の後端面が回り止め部材57の先端面に突き当たる後退限に達すると、パイプ部材用移動体5の螺合突起5eのそれ以上の後退が阻止され、第一の螺合部58の螺合作用が停止する。従って、使用者により再度本体筒51と先筒53とが繰り出し方向に相対回転され、パイプ部材54が前進限に達すると、棒状体Mは前述のようにパイプ部材54から突出しているため、図21に示すように、パイプ部材54から突出している棒状体Mの先端部が、先筒53内から出現し即座に使用状態にされる。
一方、パイプ部材54が後退限に達し、続けて本体筒51と先筒53とが繰り戻し方向へ相対回転されると、第一の螺合部58の螺合作用が停止しているため、第二の螺合部59の螺合作用が働き、回り止め部70との協働により、棒状体用移動体56を含む棒状体用移動体56が後退する。この時、ピストン56xと棒状体Mとがパイプ部材54内において気密に接した状態とされているため、棒状体Mがピストン56xと共に後退し、棒状体Mの先端部もパイプ部材54内に収容されることになる。
また、図23に示すように、棒状体用移動体56を最大に繰り出すことで棒状体Mを最後まで使い切ることができる。
このように、本実施形態の棒状体繰出容器200によれば、第一実施形態の効果を得ることができるのに加えて、本体筒51と先筒53との繰り出し方向/繰り戻し方向の相対回転による棒状体用移動体56を含むパイプ部材54の前進/後退により、当該パイプ部材54の先端が先筒53内から出没するため、棒状体Mを例えば棒状化粧料とした場合には、使用時に先筒53の先端の開口から出現し皮膚に接触する可能性があるパイプ部材54の先端が、使用後には先筒53内に没入して収容されるため、衛生面が向上される。
また、本実施形態の棒状体繰出容器200によれば、第二の繰出機構が、本体筒51と先筒53との繰り戻し方向の相対回転に伴う第二の螺合部59の利用により、パイプ部材54に対し棒状体Mを後退させるようにしている、具体的には、第一の螺合部58は、本体筒51と先筒53とが繰り戻し方向に相対回転され先に働く当該第一の螺合部58の螺合作用により棒状体用移動体56を含むパイプ部材54が後退し当該パイプ部材54が先筒54内に収容される後退限に達すると螺合作用が停止し、第二の螺合部59は、パイプ部材54が後退限に達し第一の螺合部58の螺合作用が停止した状態で本体筒51と先筒53とが繰り戻し方向にさらに相対回転されると螺合作用が働いて棒状体用移動体56を後退させ、ピストン56xと棒状体Mとが、パイプ部材54内において気密に接しているため、棒状体用移動体56と共に当該ピストン56xに気密に接する棒状体Mも後退し、パイプ部材54から突出する棒状体Mの先端部がパイプ部材54内へ収容され、当該棒状体Mの先端部もパイプ部材54により保護される。
なお、棒状体用移動体56の先端側外周やピストン56xの外周にラバー製のOリングを巻装し一層の気密化を図るようにしても良い。また、パイプ部材54とパイプ部材用移動体5は、係合により一体化されていても良く、一体成型品であっても良い。
また、第一実施形態において、棒状体用移動体は、第二実施形態のように先端部のピストンを螺子棒に装着した構成であっても良く、また、第二実施形態において、第一実施形態のようにピストンと螺子棒とを一体化しても良い。
また、連結部材52と本体筒51とを嵌着自在として、棒状体Mの消費後にレフィルとして取り替え可能としたり、異なる色調や太さの棒状体を反対側の端部に取り付けたり、ブラシ等の塗布具と自由に組み合わせることができる。
ところで、この第二実施形態では、好適であるとして、パイプ部材54内に溶融状態の棒状体形成材料を注入し冷却固化することで、棒状体Mをパイプ部材54内に充填したものとしているが、予め製造された棒状体をパイプ部材に密接状態で嵌挿し用いることも可能である。この場合のパイプ部材は、図32〜図35に示すものを用いるのが好ましい。
図32は、図19〜図23中のパイプ部材に代えて用いられるパイプ部材を示す側面図、図33は、図32に示すパイプ部材の上面図、図34は、図32に示すパイプ部材の断面斜視図、図35は、図33に示すパイプ部材の右側面図である。
図32〜図35に示すように、このパイプ部材64が、パイプ部材54と違う点は、その外径大径部64bの後端からその先端側の外径小径部64aの先端近くまで延び内外を連通するスリット64nを備えると共に、その先端部及び後端部を除く内周面で周方向に沿って三等配の位置に、軸線方向に延びる張り出し部64cを備えた点である。この張り出し部64cは、その張り出し面が平坦面とされ、予め製造されて内挿される棒状体M1に密接して当該棒状体M1を支持するためのものである。このパイプ部材64は、棒状体M1が内挿されるとスリット64nにより内径が広がり当該棒状体M1の内挿が可能となると共にその弾性力により棒状体M1を締め付ける構成とされている。そして、他の構成はパイプ部材54と同様である。
従って、棒状体M1が、パイプ部材64に内挿されると張り出し部64cに嵌挿されることになって張り出し部64cと密接し、パイプ部材64に密接状態で摺動可能に収容される。このため、その作用・効果は、パイプ部材54の場合と概ね同様となる。この場合にあっても、棒状体M1がパイプ部材64に収容され保護されていてこれを必要量だけ繰り出して使用するため、棒状体Mを細い棒状化粧料とすることが可能である。なお、このパイプ部材64にあっては、張り出し部64cがあり、ピストン56xと棒状体M1とがパイプ部材64内において気密に接することが難しいため、パイプ部材64が後退限に達してから棒状体用移動体56の後退に伴って棒状体M1を後退させるのは難しい。
なお、第一実施形態において、第二実施形態のようにパイプ部材が先筒から出没する構成としても良く、また、第二実施形態において、第一実施形態のようにパイプ部材が先筒から出現しない構成としても良い。
図36は、本発明の第三実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図、図37は、 使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が前進し使用状態とした時の棒状体繰出容器を示す縦断面図、図38は、棒状体の先端部及びその近傍の拡大図であり、図36は、棒状体繰出容器の初期状態を示している。
図36に示すように、第三実施形態の棒状体繰出容器300にあっては、本体筒81は、その底部に立設され、外周面に回り止め部80の一方を構成する複数の突条81cを有して横断面非円形形状とされた軸体81bを備えると共に、筒内に円筒状の先筒押え部材82を軸線方向移動不能に装着して成る。
先筒83は、その後端の鍔部83aの前側の面が先筒押え部材82の後端面に押し当てられて当該先筒押え部材82のバネ部82dにより後側に付勢され、その鍔部83aが先筒押え部材82と本体筒81の突条81fとの間に挟まれるようにして、本体筒81に対し先筒押え部材82を介して相対回転可能に装着されている。従って、先筒83と本体筒81には、より良い回転抵抗が発生する。
棒状体用移動体86は、円筒状を成し、その外周面に第二の螺合部89の一方を構成する雄螺子86bを備えると共に、その先端部にピストン86xを備え、本体筒81の軸体81bに外挿されて、回り止め部80の他方を構成する内周面の複数の突条86dが、本体筒81の軸体81bの突条81cに回転方向に係合することで、本体筒81に回転不能且つ軸線方向移動可能に装着されている。
パイプ部材用移動体85は、段付き円筒状を成して後部に軸線方向に伸縮可能なバネ部85dを備え、先筒83に内挿されると共に棒状体用移動体86に外挿されて、第二の螺合部89の他方を構成する内周面の雌螺子85jが、第二の螺合部89の一方を構成する棒状体用移動体86の外周面の雄螺子86bに螺合し、この状態で、そのバネ部85dの後端面が本体筒81の底部に当接し、第一の螺合部88の一方を構成する外周面の螺合突起85eが、第一の螺合部88の他方を構成する先筒83の内周面の螺旋溝83iの後端から外れて螺合が解除された状態で先筒83の段差面83mに対してバネ部85dにより押し付けられた状態とされている。なお、第一の螺合部88及び回り止め部80により第一の繰出機構が構成され、第二の螺合部89及び回り止め部80により第二の繰出機構が構成されている。
この状態で、パイプ部材用移動体85の第二の螺合部89に対応する外周面にはOリング91が装着され、このOリング91の弾性力によって、スリットにより割られているパイプ部材用移動体85の第二の螺合部89に対応する部分が締め付けられ、これにより、第二の螺合部89の作動抵抗が上げられ、パイプ部材用移動体85の螺合突起85e及び先筒83の螺旋溝83iより構成されることになる(図36では螺合が解除されて螺合待機状態にある)第一の螺合部88の作動抵抗に比して高くされている。従って、第一の螺合部88の螺合作用が第二の螺合部89の螺合作用より先に働く。
また、第一の螺合部88(図2参照)、第二の螺合部89にあっては、第二の螺合部89のリードに比して第一の螺合部88のリードが大きくされている。
パイプ部材84は、大径の円筒状に構成され、内部に大径の棒状体M2を密接状態で摺動可能に収容して成る。この棒状体M2は、パイプ部材84内に溶融状態の棒状体形成材料を注入し冷却固化することでパイプ部材84内に充填したものであっても、予め製造された棒状体をパイプ部材84に密接状態で嵌挿したものであっても良い。なお、パイプ部材84内に溶融状態の棒状体形成材料を注入し冷却固化することでパイプ部材84内に充填したものとする場合には、棒状体繰出容器300を組み立て後、加熱溶融した棒状体をパイプ部材84の先端から充填し冷却後先端を仕上げる(整える)方法と、組み立てる前のパイプ部材84の先端を密閉し後端から加熱溶融した棒状体を充填し冷却後、容器に装着する方法とを採用できる。
そして、パイプ部材84は、先筒83に内挿されると共にピストン86xに外挿されて、その後部の係合部84aがパイプ部材用移動体85の係合部85aに係合することで、パイプ部材用移動体85に回転不能且つ軸線方向移動不能に装着されて当該パイプ部材用移動体85と一体化され、この状態で、先筒83内に収容されている。また、この状態で、ピストン86xは、パイプ部材84の内周面に緊密に当接した状態とされている。なお、キャップ95により先筒83は覆われ保護されている。
このような構成を有する棒状体繰出容器300によれば、図36に示す初期状態において、使用者により本体筒81と先筒83とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部88の作動抵抗に比して第二の螺合部89の作動抵抗が大きいことから先筒83とパイプ部材用移動体85とが先に相対回転するため、先筒83の螺旋溝83iの後端から外れて螺合が解除されバネ部85dにより先筒83の段差面83mに対して押し付けられているパイプ部材用移動体85の螺合突起85eが、先筒83の螺旋溝83iに螺合し第一の螺合部8の螺合作用が作動する。
以降は、第一実施形態と同様な動作となり、さらなる繰り出し方向への相対回転により、棒状体用移動体86を含むパイプ部材84が、第一の螺合部88の大きいリードに従い素早く前進し、図37に示すように、パイプ部材用移動体85の螺合突起85eが、パイプ部材84の前進限に対応する先筒83の螺旋溝83iの先端83fに達すると、第一の螺合部88の螺合作用が停止する。なお、ここでは、パイプ部材84の先端が、先筒83内から所定長出現するようにしているが、第一実施形態のように先筒83内に収容されていても良い。
続けて本体筒81と先筒83とが繰り出し方向へ相対回転されると、棒状体用移動体86が第二の螺合部89の小さいリードに従いゆっくりと繰り出され、棒状体M2が適度にパイプ部材84から押し出されて使用状態にされる(図38参照)。
使用後に、本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向へ相対回転されると、先に第一の螺合部88の螺合作用が働き、棒状体用移動体86を含むパイプ部材84は、第一の螺合部58の大きいリードに従い素早く後退し、パイプ部材84及び棒状体M2の先端部が先筒83の先端の開口から没入しパイプ部材84は先筒83内の収容位置に繰り戻されて、図36に示すように、パイプ部材用移動体85の螺合突起85eが、先筒83の螺旋溝83iの後端から外れて螺合が解除されてバネ部85dにより先筒83の段差面83mに対して押し付けられる状態とされる。
従って、この状態で、本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向にさらに相対回転されても本体筒81と先筒83とは空転し、第二の螺合部89の螺合作用は働くことが無く、棒状体用移動体86は後退せず、棒状体M2はパイプ部材84から突出している状態にある。
そして、図36に示す状態から棒状体M2を使用状態にすべく、使用者により再度本体筒81と先筒83とが繰り出し方向に相対回転されると、以降は前述したのと同様な動作となる。
このような第三実施形態の棒状体繰出容器300にあっても、前述した先の実施形態と同様な効果を得ることができるというのはいうまでもない。
なお、第一の螺合部88を螺合復帰させる他の構成としては、パイプ部材用移動体85のバネ部85dを無くすと共に、本体筒81の底部にパイプ部材用移動体85を前側に付勢するバネを設ける構成が挙げられる。また、パイプ部材用移動体85のバネ部85dをバネ性の無い円筒部に代え、棒状体繰出容器300が図36に示す初期状態にあってパイプ部材用移動体85の円筒部の後端面が本体筒81の底部に当接しパイプ部材84が後退限に達している時に、パイプ部材用移動体85の螺合突起85eが先筒83の螺旋溝83iに収容されている構成を採用しても良い。この構成によれば、パイプ部材用移動体85の円筒部の後端面が本体筒81の底部に当接しパイプ部材84が後退限に達している状態で、本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向にさらに相対回転されると、先筒83が先筒押え部材82のバネ部82dの付勢力に抗して前側に移動し、これにより、パイプ部材用移動体85の螺合突起85eが先筒83の螺旋溝83iの後端から外れて螺合が解除され、この状態で、先筒83の鍔部83aが先筒押え部材82のバネ部82dにより後方へ付勢され、パイプ部材用移動体85の螺合突起85eが、前述したパイプ部材用移動体85のバネ部85dによる場合と同様に、先筒83の段差面83mに対して押し付けられることになる。従って、本体筒81と先筒83とが繰り出し方向に相対回転されると、第一の螺合部88の螺合復帰が可能となる。
また、このように、パイプ部材用移動体85のバネ部85dをバネ性の無い円筒部に代えると共に、棒状体繰出容器300が図36に示す初期状態にあってパイプ部材用移動体85の円筒部の後端面が本体筒81の底部に当接しパイプ部材84が後退限に達している時に、パイプ部材用移動体85の螺合突起85eが、先筒83の螺旋溝83i内に収容される構成に加えて、先筒押え部材82のバネ部82dをバネ性の無い円筒部に代える構成とすると、第一の螺合部88が既に構成されているため、本体筒81と先筒83とが繰り出し方向へ相対回転されると、パイプ部材84が即座に前進する。一方、パイプ部材84を前進限に繰り出し棒状体M2を繰り出して使用状態にした状態から本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向へ相対回転され、棒状体用移動体86を含むパイプ部材84が先筒83内の収容位置に繰り戻されて、パイプ部材用移動体85の円筒部の後端面が本体筒81の底部に突き当たる後退限に達すると第一の螺合部88の螺合作用が停止し、続けて本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向へ相対回転されると、第一の螺合部88の螺合作用が停止しているため、第二の螺合部89の螺合作用が働き、回り止め部80との協働により、棒状体用移動体86が後退する。
この時、ピストン86xと棒状体M2とがパイプ部材84内において気密に接した状態であれば、棒状体M2が棒状体用移動体86と共に後退する。従って、棒状体M2の先端部もパイプ部材84内に収容され保護することができる。因みに、先筒83の後端の鍔部83aの前側の面と先筒押え部材82の後側の面との間に、先筒83と本体筒81の相対回転時により良い回転抵抗が発生するようにOリングを配置するのが好ましい。
図39は、本発明の第四実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図、図40は、 使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が前進し使用状態とした時の棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、図39は、棒状体繰出容器の初期状態を示している。
この第四実施形態の棒状体繰出容器400が図36〜図38に示す棒状体繰出容器300と主に違う点は、ピストン96xの周りにも棒状体M3が充填されている点である。具体的には、このピストン96xは、前半部の外径が後半部の外径に比して小径で先端が閉じられている段付き円筒形状に構成され、前半部の外径小径部96aの全体の周り及び後半部の外径大径部96bの先端部の周りZに棒状体M3が充填されている。この棒状体M3は、パイプ部材84内に溶融状態の棒状体形成材料を注入し冷却固化することでパイプ部材84内に充填されている。従って、ピストン96xと棒状体M3とは、パイプ部材84内において気密に接した状態にある。
また、この第四実施形態の棒状体繰出容器400が図36〜図38に示す棒状体繰出容器300と違う点は、本体筒81と先筒83との繰り戻し方向の相対回転に従って棒状体M3を繰り戻すことができるように、パイプ部材用移動体85のバネ部85dを、バネ性の無い円筒部85mに代えると共にこの円筒部85mを軸線方向に短くし、棒状体繰出容器400が図39に示す初期状態にあって、パイプ部材用移動体85の後部側の内周に設けられている円環状段差面85kが、本体筒81の底部から立設する円筒部81dの先端面に当接しパイプ部材84が後退限に達している時に、パイプ部材用移動体85の螺合突起85eが先筒83の螺旋溝83iに収容されるように構成した点である。
このような構成を有する棒状体繰出容器400によれば、使用者により本体筒81と先筒83とが繰り出し方向に相対回転されると、既にパイプ部材用移動体85の螺合突起85eが先筒83の螺旋溝83iに螺合しているため、即座に第一の螺合部88の螺合作用が働く。以降は、繰り出し/繰り戻しとも図36〜図38に示す棒状体繰出容器300と同様な動作となる。
そして、使用者により本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向に相対回転され、パイプ部材用移動体85の段差面85kが本体筒81の円筒部81dの先端面に当接しパイプ部材84が後退限に達している状態で、本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向にさらに相対回転されると、第一の螺合部88の螺合作用が停止し、続けて本体筒81と先筒83とが繰り戻し方向へ相対回転されると、第一の螺合部88の螺合作用が停止しているため、第二の螺合部89の螺合作用が働き、回り止め部80との協働により、棒状体用移動体86が後退する。
この時、ピストン96xと棒状体M3とがパイプ部材84内において気密に接した状態にあるため、パイプ部材84内の減圧作用(密閉状態を保つ作用)により、棒状体M3が引き戻され棒状体用移動体86と共に図39の状態まで後退することができる。
因みに、ピストンの周りにも棒状体を充填することで、ピストンと棒状体とをパイプ部材内において気密に接する状態とし、棒状体用移動体の後退に伴って棒状体を後退させる構成に関しては、単一の螺合部により棒状体、パイプ部材を繰り出し/繰り戻せる例えば特公昭52−50578号公報に記載のような繰り出し/繰り戻し機構を有する容器に対しても適用可能である。
なお、第三、第四実施形態において、第一の螺合部88の螺合作用が第二の螺合部89の螺合作用より確実に先に働くように、Oリング91により、第一の螺合部88の作動抵抗に比して第二の螺合部89の作動抵抗を上げるようにしているが、作動抵抗を上げる他の構成としては、例えば、材質を異ならせたり、螺子の接触抵抗を異ならせる等が挙げられる。また、第二の螺合部89の作動抵抗を上げるさらに他の構成としては、例えば、ピストン86xの軸線方向の摺動抵抗による構成も挙げられる。また、本実施形態のように、第二の螺合部89のリードに比して第一の螺合部88のリードを大きくしていれば、第一の螺合部88の螺合作用が第二の螺合部89の螺合作用より先に働くことになる。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、雄螺子、雌螺子は、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであっても良く、また、螺合突起は、連続する螺子山であっても良い。
本発明の第一実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図である。 本発明の第一実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進した時の状態図である。 本発明の第一実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が前進し使用状態とした時の状態図である。 本発明の第一実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の使用後の操作によりパイプ部材が最大に後退した時の状態図である。 本発明の第一実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が最大に前進した時の状態図である。 図1〜図5中の先筒を示す側面図である。 図6に示す先筒の縦断面図である。 図6に示す先筒の縦断斜視図である。 図1〜図5中のバネ部材を示す斜視図である。 図9に示すバネ部材の縦断面図である。 図10のXI-XI矢視図である。 図11に示すバネ部材の左側面図である。 図1〜図5中の棒状体用移動体を示す側面図である。 図13のXIV-XIV矢視図である。 図1〜図5中のパイプ部材用移動体を示す斜視図である。 図15に示すパイプ部材用移動体の側面図である。 図16に示すパイプ部材用移動体の左側面図である。 図16に示すパイプ部材用移動体の縦断面図である。 本発明の第二実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図である。 本発明の第二実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進した時の状態図である。 本発明の第二実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が前進し使用状態とした時の状態図である。 本発明の第二実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の使用後の操作によりパイプ部材が最大に後退した時の状態図である。 本発明の第二実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が最大に前進した時の状態図である。 図19〜図23中の本体筒を示す断面斜視図である。 図19〜図23中の先筒を示す縦断面図である。 図19〜図23中の先筒を示す断面斜視図である。 図19〜図23中の回り止め部材を示す断面斜視図である。 図27に示す回り止め部材の右側面図である。 図19〜図23中の連結部材を示す断面斜視図である。 図19〜図23中の棒状体用移動体を構成する螺子棒を示す側面図である。 図19〜図23中の棒状体用移動体を構成するピストンを示す縦断面図である。 図19〜図23中のパイプ部材に代えて用いられるパイプ部材を示す側面図である。 図32に示すパイプ部材の上面図である。 図32に示すパイプ部材の断面斜視図である。 図33に示すパイプ部材の右側面図である。 本発明の第三実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図である。 本発明の第三実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が前進し使用状態とした時の状態図である。 図37に示す棒状体繰出容器の棒状体の先端部及びその近傍の拡大図である。 本発明の第四実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図である。 本発明の第四実施形態に係る棒状体繰出容器を示す縦断面図であり、使用者の操作によりパイプ部材が最大に前進し続いて棒状体用移動体が前進し使用状態とした時の状態図である。
符号の説明
1,51,81…本体筒(本体)、3,53,83…先筒、3i,53i,83i…先筒の螺旋溝(第一の螺合部)、3n,53n,83f…パイプ部材の前進限、4,54,64,84…パイプ部材、5,85…パイプ部材用移動体、5e,85e…パイプ部材用移動体の螺合突起(第一の螺合部)、5j,85j…パイプ部材用移動体の雌螺子(第二の螺合部)、6,56,86…棒状体用移動体、6b,56b,86b…棒状体用移動体の雄螺子(第二の螺合部)、6x,56x,86x,96x…ピストン、7c,85d…パイプ部材側バネ部、8,58,88…第一の螺合部(第一の繰出機構)、9,59,89…第二の螺合部(第二の繰出機構)、50,70,80…回り止め部(第一、第二の繰出機構)、100,200,300…棒状体繰出容器、M,M2,M3…棒状体。

Claims (7)

  1. 本体と、
    この本体の先端側に相対回転可能に装着された先筒と、
    この先筒内に収容されると共に内部に棒状体を摺動可能に収容するパイプ部材と、
    前記本体と前記先筒との相対回転に伴う第一の螺合部の利用により、前記先筒に対し前記パイプ部材を前進又は後退させる第一の繰出機構と、
    前記本体と前記先筒との相対回転に伴う前記第一の螺合部とは別の第二の螺合部の利用により、前記パイプ部材に対し前記棒状体を前進させる第二の繰出機構と、を具備し、
    前記第二の螺合部のリードに比して前記第一の螺合部のリードが大きくされることにより、前記第一の螺合部の螺合作用が前記第二の螺合部の螺合作用より先に働くことを特徴とする棒状体繰出容器。
  2. 前記棒状体は、前記パイプ部材に密接状態で摺動可能に収容されていることを特徴とする請求項1記載の棒状体繰出容器。
  3. 前進することで前記パイプ部材内の前記棒状体を押し出す棒状体用移動体を備え、
    前記第一の螺合部は、前記本体と前記先筒とが一方向である繰り出し方向/前記一方向とは反対方向である他方向の繰り戻し方向に相対回転されると先に螺合作用が働き、前記棒状体用移動体を含む前記パイプ部材を前進/後退させると共に、前記パイプ部材が前進限に達すると螺合作用が停止し、
    前記第二の螺合部は、前記パイプ部材が前進限に達し前記第一の螺合部の螺合作用が停止した状態で前記本体と前記先筒とが前記繰り出し方向にさらに相対回転されると螺合作用が働き、前記棒状体用移動体を前進させることを特徴とする請求項1又は2記載の棒状体繰出容器。
  4. 前記本体と前記先筒との前記繰り出し方向/前記繰り戻し方向の相対回転による前記棒状体用移動体を含む前記パイプ部材の前進/後退により、当該パイプ部材の先端が前記先筒の先端の開口から出没することを特徴とする請求項3記載の棒状体繰出容器。
  5. 前記第一の螺合部は、前記本体と前記先筒とが前記繰り戻し方向に相対回転され先に働く当該第一の螺合部の螺合作用により前記棒状体用移動体を含む前記パイプ部材が後退し当該パイプ部材が前記先筒内に収容される所定位置に達すると、螺合が解除されて前記第二の螺合部の螺合作用が働かないように前記本体と前記先筒とを空転させる一方で、
    この螺合作用が解除された状態で前記本体と前記先筒とが前記繰り出し方向に相対回転されると螺合復帰することを特徴とする請求項3又は4記載の棒状体繰出容器。
  6. 前記第二の繰出機構は、前記本体と前記先筒との前記他方向の相対回転に伴う前記第二の螺合部の利用により、前記パイプ部材に対し前記棒状体を後退させることを特徴とする請求項3又は4の何れか一項に記載の棒状体繰出容器。
  7. 前記第一の螺合部は、前記本体と前記先筒とが前記繰り戻し方向に相対回転され先に働く当該第一の螺合部の螺合作用により前記棒状体用移動体を含む前記パイプ部材が後退し当該パイプ部材が前記先筒内に収容される後退限に達すると螺合作用が停止し、
    前記第二の螺合部は、前記パイプ部材が後退限に達し前記第一の螺合部の螺合作用が停止した状態で前記本体と前記先筒とが前記繰り戻し方向にさらに相対回転されると螺合作用が働いて前記棒状体用移動体を後退させ、
    前記棒状体用移動体と前記棒状体とは、前記パイプ部材内において気密に接していることを特徴とする請求項記載の棒状体繰出容器。
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