JP4619328B2 - 片艶クラフト紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、片艶クラフト紙及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、インク乾燥性等の印刷適性及び製袋適性に優れ、印刷物に黄変、裏移り、滲み等が発生せず、しかも高光沢度で、艶を有しながら表面強度が高く、例えば高速で高繊細なオフセット印刷に好適な片艶クラフト紙、及び該片艶クラフト紙を、製造設備での汚れを発生させずに低コストにて容易に製造し得る方法に関する。
従来、例えば片艶塗工紙等の塗工紙を製造するには、片艶紙等の原紙にオフラインで塗工液を塗工し、平坦化加工を行うのが一般的であったが、塗工液の塗工が煩雑で、しかも別途塗工設備を必要とするため、生産性が低く高価であるという問題があった。
そこで、前記のごとき製造工程での問題を解決するために、種々の技術が開発されている。
例えば特許文献1には、澱粉からなり、必要に応じて無機顔料又は有機顔料を含む表面処理剤を、基材に、その最表面から10μmの浸透深さでスプレー塗工した後、カレンダー加工を施して印刷用紙を製造し、印刷作業性を向上させる技術が開示されている。
しかしながら、前記技術は、一般的な印刷用塗工紙の製造には適用することができるものの、塗工表面をヤンキードライヤーで乾燥するように、ヤンキーマシンに付加してオンマシン塗工する通常の片艶クラフト紙の製造に適用した場合には、表面処理剤が基材中に沈み込んで表面処理層を形成することが困難となったり、製造設備での汚れが発生するといった問題がある。
また例えば特許文献2には、ヤンキードライヤーでの乾燥処理前の湿紙段階で、クラフトパルプを原料とした湿紙にpH8.5〜12の強アルカリ性水溶液を塗工し、艶面のpHを4.3〜5.0の強酸性に調整することで、インクの裏移りが少ない片艶紙を提供する技術が開示されている。
しかしながら、前記技術のように、強アルカリ性水溶液を塗工した場合には、片艶紙の表面繊維が膨潤してしまい、ヤンキードライヤーでの乾燥処理で形成する艶面が損なわれ、光沢が低下するといった問題がある。
このように、印刷適性に優れ、しかも高光沢度で、艶を有しながら表面強度が高い片艶クラフト紙と、該片艶クラフト紙を、製造設備での汚れを発生させずに低コストにて容易に製造し得る方法との開発が待ち望まれている。
特開2005−82906号公報 特開平5−339899号公報
本発明は前記背景技術に鑑みてなされたものであり、インク乾燥性等の印刷適性及び製袋適性に優れ、印刷物に黄変、裏移り、滲み等が発生せず、しかも高光沢度で、艶を有しながら表面強度が高く、例えば高速で高繊細なオフセット印刷に好適な片艶クラフト紙を提供することを目的とし、また該片艶クラフト紙を、製造設備での汚れを発生させずに低コストにて容易に製造し得る方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、JIS P 3401に準拠したクラフト紙であって、クラフトパルプを主原料とした片艶用紙の片面に塗工層が設けられてなり、前記塗工層が、澱粉と軽質炭酸カルシウムとを主成分とした塗工液を固形分で2〜7g/m2塗工して形成されたものであり、片艶用紙の艶面側に設けられた塗工層の紙面pHが6.0〜9.0で、かつ艶面の裏面である非艶面の紙面pHが4.3〜5.9であることを特徴とする、片艶クラフト紙に関する。
また本発明は、
少なくとも湿紙形成工程、プレス工程及びヤンキードライヤーによる乾燥工程を備え、
前記湿紙形成工程と乾燥工程との間で、クラフトパルプを主原料とした片艶用紙の、前記乾燥工程でヤンキードライヤーと接触する側の片面に、塗工液を固形分で2〜7g/m2塗工して塗工層を形成し、
前記塗工層をヤンキードライヤーと接触させて乾燥することを特徴とする、前記片艶クラフト紙の製造方法
に関する。
本発明の片艶クラフト紙は、インク乾燥性等の印刷適性及び製袋適性に優れ、印刷物に黄変、裏移り、滲み等が発生せず、しかも高光沢度で、艶を有しながら表面強度が高く、例えば高速で高繊細なオフセット印刷に好適に使用することができる。また本発明の製造方法によれば、このような優れた片艶クラフト紙を、製造設備での汚れを発生させずに低コストにて容易に製造することができる。
(実施の形態)
本発明の片艶クラフト紙は、JIS P 3401「クラフト紙」にて規格のクラフト紙であり、クラフトパルプを主原料とした片艶用紙(湿紙)の片面に、塗工層が設けられたものである。
まず、本発明に用いるクラフトパルプ(以下、KPという)について説明する。KPは、機械パルプと比較して、通常繊維長が長く、高強度を確保することができるという利点を有する。かかるKPの種類には特に限定がなく、例えば未晒針葉樹パルプ(以下、NUKPという)、未晒広葉樹パルプ(以下、LUKPという)、晒針葉樹パルプ(以下、NBKPという)、晒広葉樹パルプ(以下、LBKPという)等があげられ、これらの中から1種以上を適宜選択して用いることができる。これらのなかでも、NBKP及びLBKPが好ましく、得られる片艶クラフト紙を、特に強度を必要とする製品に適用することを考慮すると、50〜80質量%のNBKPと20〜50質量%のLBKPとを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明では、前記KPを50質量%以上含んで主原料とするパルプが用いられるが、該KPの他にも、例えば新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙、オフィス古紙、液体容器古紙、乗車券古紙、クラフト古紙等の古紙パルプ等の中から1種以上を適宜選択して用いることができる。
なお本発明においては、前記KPを主原料とし、必要に応じてその他のパルプを混合して抄紙原料(紙料スラリー)を調製するが、該抄紙原料には、例えば内添サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤等の、通常紙に配合される種々の添加剤を、その種類及び配合量を適宜調整して用いることができる。
前記のごとき抄紙原料を、例えばワイヤーパート、プレスパート、塗工設備、ヤンキードライヤー等を備えた通常の湿式抄紙機にて抄紙し、片艶用紙(湿紙)を得ることができる。
片艶用紙の坪量には特に限定がないが、あまりにも少ないと、後述する塗工液が用紙に含浸し過ぎる場合があり、製造設備の汚れが生じ易くなるおそれがあるので、JIS P 8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に記載の方法に準拠して測定して、30g/m2以上、さらには40g/m2以上であることが好ましく、逆にあまりにも多いと、後述するヤンキードライヤーの乾燥能力に余力がなくなり、片艶用紙に塗工液を塗工した後の乾燥能力が低下し、艶(光沢)の低下及び表面強度のムラが生じる恐れがあるので、200g/m2以下、さらには180g/m2以下であることが好ましい。
次に、このような片艶用紙の片面に塗工層を形成する。本発明の製造方法には、少なくとも湿紙形成工程、プレス工程及びヤンキードライヤーによる乾燥工程が備えられており、該湿紙形成工程と乾燥工程との間で、乾燥工程でヤンキードライヤーと接触する側の片艶用紙の片面に、塗工液を塗工する。
本発明に用いられる塗工液は、澱粉と無機顔料とを主成分としたものである。このように澱粉及び無機顔料を主成分とした塗工液を用いることにより、抄紙系内の白水への影響をなくすことができる。
澱粉としては、例えば従来から使用されている、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の変性澱粉、酸化澱粉、陽性澱粉等があげられるが、フィルム形成能(被覆性)が高く、水への溶出率が低い澱粉が好適に用いられる。さらには、チキソトロピック性を有する澱粉が、例えばスプレー塗工による塗工液の塗工時に高流動性を示すが、塗工後には流動性が抑制され、片艶用紙中への塗工液の浸透が抑制される点で好ましい。
前記のごとき好適な澱粉としては、例えば塗工液をスプレー塗工にて塗工する際に、スプレー粒子の粒子径を所望の小ささとするために、比較的低粘度に調整し易い、例えばタピオカ澱粉を変性した、ヒドロキシエチル化澱粉等のエーテル化澱粉や、カルボン酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉といった変性澱粉があげられる。これらエーテル化澱粉及びエステル化澱粉は、被膜性が高く、しかも片艶クラフト紙の製袋時における製袋適性を向上させる効果も発現する。
エーテル化澱粉は、表面強度向上効果があり、比較的表面強度が低くなり易い片艶クラフト紙の製造に好適である。該エーテル化澱粉は、さらにヤンキードライヤーからの剥離性や艶面確保にも効果がある。
前記エーテル化澱粉の中でも、特にヒドロキシエチル化澱粉が好適である。ヒドロキシエチル化澱粉は、オフセット印刷時に紙面が湿し水によって湿潤された場合でも、ヒドロキシエチル基の水素結合による相互作用によって強固に繊維に定着しているので、溶出する澱粉の量が少なく、表面粘着性を低下させることが可能であると考えられる。特に、スラリー(湿式)の状態で処理したヒドロキシエチル化澱粉(湿式)が、塗工液中に同時に含まれる無機顔料との親和性が高く、表面強度を顕著に向上させ、表面強度向上効果と被覆性効果とがともに高いと考えられる。
特に本発明の製造方法では、塗工液を湿紙段階で塗工するので、片艶用紙への被覆性が高く、そもそも表面強度が向上し易い。したがって、フィルム形成能が高い澱粉を含む塗工液は、紙のZ方向への浸透よりも、MD方向やCD方向への広がりの方が顕著であるので、その結果、紙表面の塗工ムラが少なく、紙表面に存在する微細繊維や塗工液中の無機顔料がヤンキードライヤーに直接接触するのを防ぐことができると考えられる。一方、フィルム形成能が低い澱粉を含む塗工液は、湿紙表面に塗工液の被覆(塗工層)を形成し難く、例えばオフセット印刷時に紙面へ付加された湿し水が、容易に紙層に浸透し、オフセットインクの滲みや網点の欠落、塗工層の毀損が生じる恐れがある。
本発明で使用するエステル化澱粉としては、カルボン酸エステル化澱粉が好適である。カルボン酸エステル化澱粉として特に好ましいのは、1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉である。このような特定のカルボン酸エステル化澱粉を用いた場合には、表面強度の向上やヤンキードライヤーからの剥離性の向上に特に効果がある。エステル化澱粉は、前記エーテル化澱粉と同様にフィルム形成能が高く、さらにカルボン酸エステル化澱粉は疎水性が高く、紙の表面自由エネルギーを低下させるで、紙層が水に濡れ難く、吸水性が抑制され、その結果、例えばオフセットインク中の染料(顔料)成分の塗工層中への浸透が抑制され、印刷濃度が向上し、精細な印刷面を得ることができる。中でも、タピオカ澱粉由来のエステル化澱粉が、粘性及び造膜性に優れている点から特に好ましい。
塗工液に含まれる無機顔料としては、例えば炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等があげられ、これらの中から1種以上を適宜選択して用いることができるが、これらの中でも、炭酸カルシウムが、艶面(印刷光沢度)及びインクセット性等の印刷品質に優れる点から好適である。
前記炭酸カルシウムは、他の無機顔料と比べて低価格ながら白色度が高く、粒子形状及び粒子径ともに任意に変更可能であることから好適に用いられる。特に本発明では、例えば累積堆積率が70%以上の軽質炭酸カルシウムが好適である。
軽質炭酸カルシウムとは、石灰石を焼成して得られる生石灰と炭酸ガスとを精製し、生石灰を水に溶解して石灰乳とし、その中に炭酸ガスを吹き込んで製造する炭酸ガス化合法、又は、石灰乳や塩化カルシウム溶液と炭酸ソーダとを反応させて製造する炭酸塩溶液等によって合成される沈降生炭酸カルシウムを示す。該軽質炭酸カルシウムは、合成反応等の条件によって、例えばカルサイト系、アルゴナイト系等の結晶形や、大きさ、形状等を調整することができるので、本発明の片艶クラフト紙を製造するにあたり、最適な形状や粒子系を任意に選択可能であることから好ましく用いられる。
前記カルサイト系の軽質炭酸カルシウムの場合には、通常、その形状が、紡錘状及びそれらが凝集結合したイガ状のものと、立方体状(キュービック状及び団子状)のものとがある。またアラゴナイト系の軽質炭酸カルシウムの場合には、通常、棒状又は針状と呼ばれる形状を有する。
本発明では、特に、アスペクト比が3以上、さらには4以上、また5以下のカルサイト系の軽質炭酸カルシウムを好適に用いることができる。中でも、比較的角が丸くなった形状のものが好ましい。このようなカルサイト系の軽質炭酸カルシウムは、例えばアラゴナイト系の軽質炭酸カルシウムと比較して、特に塗工層を設けた際に、片艶用紙表面を構成するパルプ繊維との親和性が高く、したがって、塗工層の強度低下がより少ない。なお、カルサイト系の軽質炭酸カルシウムは、強度低下が少ない分、表面被覆性がやや低いが、例えば被覆性の高いエステル化澱粉やエーテル化澱粉と組み合わせることにより、塗工液を片艶用紙に塗工した後のヤンキードライヤーでの乾燥にて、艶面及び表面強度を充分に確保することができる。
前記カルサイト系の軽質炭酸カルシウムのアスペクト比があまりにも小さいと、片艶用紙表面のパルプ繊維間に無機粒子が入り込み、片艶用紙表面の平坦性が低下する恐れがある。逆にアスペクト比があまりにも大きいと、例えばスプレー塗工にて塗工液を塗工する際に、ノズル詰まりや液垂れの原因となり易く、塗工層の表面強度も低下する恐れがある。
本発明に最適な軽質炭酸カルシウムは、カルサイト系の紡錘状軽質炭酸カルシウムであり、ヤンキードライヤーによる乾燥とヤンキードライヤー鏡面の写し取りが、他の形状の軽質炭酸カルシウムを用いた場合と比べて高く、目的とする片艶クラフト紙の艶面、表面強度、印刷適性が極めて高くなる。その理由は定かではないが、例えば、紡錘状軽質炭酸カルシウムが特に方向性を有さずに塗工層を形成するので、塗工層が低密度なままで乾燥されるからであると考えられる。
なお、本明細書においてアスペクト比とは、顔料の長径と短径の比をいう。
また軽質炭酸カルシウムを用いる場合、その配合量には特に限定がなく、無機顔料全量が軽質炭酸カルシウムであってもよく、例えば全量の30〜90質量%程度であってもよい。
本発明においては、澱粉としてヒドロキシエチル化澱粉又はカルボン酸エステル化澱粉と、無機顔料として軽質炭酸カルシウムとを組み合わせて用いることが、片艶クラフト紙の表面強度、塗工層の乾燥速度及びカラー印刷での繊細性に対する向上効果が特に大きいという点から好ましい。
塗工液中の澱粉と無機顔料との割合にも特に限定がなく、例えば無機顔料100質量部に対して澱粉が6質量部程度以上となるように調整することが好ましい。
なお本発明においては、後述するように、塗工液をスプレー塗工することが好ましいが、該スプレー塗工の際には、スプレー粒子の粒径を小さくすることが望ましい。このようにスプレー粒子の粒径を小さくするには、例えば比較的低粘度に調整し易い前記変性澱粉を用いたり、塗工液中の澱粉の固形分濃度を調整すればよい。
前記澱粉の固形分濃度があまりにも低い場合には、塗工液の塗工量が多くなり、ヤンキードライヤーでの乾燥負荷が大きくなる恐れがあるので、3%以上、さらには4%以上であることが好ましく、逆にあまりにも高い場合には、スプレー塗工設備やその近傍で液垂れや汚損、用具汚れが生じ易くなるので、10%以下、さらには9%以下であることが好ましい。
本発明に用いられる塗工液は、前記澱粉と無機顔料とを50質量%以上含んで主成分としたものであるが、該塗工液には、例えばスチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系共重合体、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤:カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類:カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の、通常の塗工紙用接着剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
さらに塗工液には、例えば分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等の通常使用される各種助剤を適宜配合することもできる。
本発明の片艶クラフト紙の製造方法において、片艶用紙の片面への塗工液の塗工は、湿紙形成工程とヤンキードライヤーでの乾燥工程との間で行われる。
一般的に、カオリン、炭酸カルシウム等の白色顔料と水性バインダーとを主成分とする組成物を塗工した塗工紙は、主にブレードコータ、ゲートロールコータ、メータリングサイズプレス等のコータ類で該組成物を塗工して製造されている。塗工紙を製造するにあたっては、特にコスト面から少ない塗工量でいかに原紙を良好に被覆するかが大きな課題となる。良好な被覆性を得るには、原紙への押し込みが少なく、塗工層を嵩高くすることが肝要である。しかしながら、これらのコータ類を使用した場合、その機構上、塗工液はかなりの量で原紙に押し込まれ、塗工層は嵩高くはなりにくい。
これに対して、カーテンコータでのカーテン塗工やスプレーコータでのスプレー塗工のような、いわゆる非接触型の塗工方式の場合、塗工液は原紙に押し込まれることはなく、塗工層は嵩高になることが知られている。しかしながら、カーテン塗工は自由落下の塗工液被膜を原紙上に設ける方法のため、本発明のようにヤンキードライヤーと接触する側の片艶用紙の片面(艶面に相当する面)に対して、湿紙形成工程とヤンキードライヤーでの乾燥工程との間でカーテン塗工を行うことは、既存の設備では困難であり、設備の大掛かりな改造を伴う。さらにカーテン塗工の際には、粘度や表面張力等、仔細な塗工液調整が必要であり、このようなカーテン塗工を行うことは容易なことではない。以上の点から、本発明においては、スプレー塗工が最適な塗工方法として例示される。
スプレー塗工をする際のスプレー装置には特に限定がなく、一般の塗装等に用いられる公知のスプレー装置を用いることができる。該スプレー装置としては、例えば、塗工液収容部と、エアコンプレッサ、ガスボンベ等の気体供給部と、これら塗工液と気体とを混合して噴射する噴射ノズルとを備えた装置を用いることができる。また、気体を混合せずに塗工液のみを液圧だけで噴霧するスプレー装置でもよい。なお、噴射ノズルの配置や個数等は、片艶用紙の艶面に相当する面に対してできる限り均一にスプレー塗工がなされるように適宜調整される。例えば、紙面から噴射ノズルまでの距離を調整したり、複数の噴射ノズルを紙幅方向又は紙長手方向に並べて配置する手段を採用することができる。
スプレー装置から噴射される塗工液スプレー粒子の粒径は、150μm以下、さらには30〜100μmであることが好ましい。このように、スプレー粒子の粒径を例えば150μm以下とするためには、適切な噴射ノズルを選択したり、澱粉と無機顔料とを主成分とする塗工液の粘度、スプレーの圧力、スプレーの流量等を適切に調整すればよい。例えば、スプレーの圧力を高くしたり、塗工液の粘度を低くした場合には、粒径を小さくすることができる。また、このように塗工液スプレー粒子の粒径を小さくするには、前記したように、澱粉スラリーの粘度を比較的小さくすることが望ましいので、例えば澱粉として変性澱粉を用いたり、澱粉を熱水で加水溶解し、その固形分濃度を3〜10%に調整することが好ましい。
なお、塗工液スプレー粒子の粒径は、レーザー回析原理を用いた測定装置により測定することができる。また、塗工液スプレー粒子の粒径は所定範囲でばらつきがあるが、ここでの粒径とは、ザウタ平均径(全粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ「表面積対体積率」を有する粒径)である。
前記のごとき例えばスプレー粒子の粒径が30〜100μm程度の塗工液を噴霧塗工する液体付与装置としては、例えばローターダンプニング(商品名、ニッカ(株)製)が好適である。該液体付与装置は、複数の回転自在な中空円盤状のロータを所定間隔で一列状に配置するとともに、各ロータに同芯状にプーリを連結固定し、駆動モータにて回転駆動される駆動プーリにて、ベルトを介して各プーリを連動して高速で回転駆動するとともに、各ロータ内に塗工液を供給するように構成されている。これにより、約5000rpm程度の高速で回転するロータ内の液体が遠心力によってロータの外周から噴出する、細かい霧からなる薄膜状の噴霧流が形成され、該各ロータからの噴霧流の幅をシャッタにて規制することで、所定の噴霧塗工幅で一様に噴霧塗工する連続した噴霧塗工流が形成される。このように高速回転するロータにて、遠心力によって、スプレー粒子の粒径が30〜100μm程度、例えば75μm程度の塗工液滴にして噴霧塗工することができるとともに、塗工量を精度よく制御することもできる。なおスプレー粒子の粒径は、該スプレー粒子の飛散領域が広くなり、塗工設備近傍の設備の汚損に繋がるとともに、塗工層の形成が不充分となる恐れをなくすには、30μm以上であることが好ましく、また塗工設備での液垂れが生じたり、塗工量の調整が困難となる恐れをなくすには、100μm以下であることがより好ましい。
なお本発明の製造方法においては、片艶用紙の片面に塗工液を塗工する方法として、前記スプレー塗工に加えて、例えばロールコータを用いたロール転写塗工を併用することも可能である。該ロール転写塗工は、スプレー塗工と同様に、微量の塗工液の塗工に優れ、用紙表面に対して輪郭塗工が可能であり、平坦性を向上することが可能な点で優れている。ロール転写塗工を併用する場合、スプレー塗工の前に予めロール転写塗工を行うことが好ましい。該ロールコータとしては、例えばMasseyコータ、KCMコータ、ゲートロールコータ等を用いることができる。
片艶クラフト紙の製造工程は、少なくとも湿紙形成工程、プレス工程及びヤンキードライヤーによる乾燥工程からなるが、塗工液を、片艶用紙のヤンキードライヤーと接触する側の片面へ塗工して塗工層を形成するのは、湿紙形成工程と乾燥工程との間のうち、湿紙形成工程とプレス工程との間であってもよく、プレス工程と乾燥工程との間であってもよい。
湿紙形成工程とプレス工程との間で塗工液を塗工する場合には、湿紙形成工程後の片艶用紙が湿潤状態であるので、塗工液が紙層中に浸透し難く、塗工液の紙層内への沈み込みを防止することができ、被覆性により優れた塗工層が形成され易いという利点がある。
一方、プレス工程と乾燥工程との間で塗工液を塗工する場合には、片艶用紙に塗工液を塗工した直後にヤンキードライヤーでの乾燥に供するので、紙層内部に塗工液が浸透する前に塗工層が形成され、しかも毛布等の用具、設備での汚れが発生しないという利点がある。
塗工液の塗工量は、ヤンキードライヤーが本質的には乾燥能力が低いことを考慮し、その生産能力をほとんど犠牲にすることなく目的とする片艶クラフト紙を製造することができるように調整され、片艶用紙に対する被覆性を充分に確保するためには、固形分で2g/m2以上、好ましくは3g/m2以上であり、ヤンキードライヤーでの乾燥不良を招かないようにするためには、固形分で7g/m2以下、好ましくは6.5g/m2以下である。
なお、塗工液が塗工された片艶用紙の水分量(ヤンキードライヤー入口での水分量)は、ヤンキードライヤーでの充分な乾燥及び目的とする片艶クラフト紙の表面強度を考慮すると、20〜50質量%に調整することが好ましい。
このようにして塗工液が塗工され、塗工層が形成された片艶用紙の片面は、タッチロールによって加熱されたヤンキードライヤーの表面に強く圧接して張り付けられ、該塗工層が加熱乾燥され、ヤンキードライヤーの表面の平滑さがそのまま塗工層に転写される。その結果、光沢特性が現出した片艶クラフト紙を得ることができる。
かくして得られる本発明の片艶クラフト紙は、塗工層が設けられた艶面の紙面pHが、6.0以上、好ましくは6.5以上であり、9.0以下、好ましくは8.5以下である。このように印刷が施される艶面の紙面pHを中性領域に保持することで、安価な酸性領域用のサイス剤を使用し、片艶用紙のpHが4.3〜5.5の酸性抄紙を行ったとしても、例えばオフセット印刷において、艶面そのもののインク乾燥性等の印刷適性を向上させることができる。
艶面の紙面pHが6.0未満では、例えばオフセットインクの乾燥性が低下し、高速オフセット印刷時に、インク未乾燥による印刷の裏移りや、例えば軽質炭酸カルシウム等の無機顔料の酸化が生じる。逆に艶面の紙面pHが9.0を超えると、アルカリ焼けによる片艶クラフト紙の黄変が生じ、澱粉の劣化が発生して塗工層強度が低下する。
また、本発明の片艶クラフト紙は、艶面の裏面である非艶面の紙面pHが4.3以上、好ましくは4.4以上であり、5.9以下、好ましくは5.5以下である。このように非艶面の紙面pHを酸性〜中性領域に保持することで、高価な中性サイズを使用せずに安価な酸性サイズ剤を使用することできると共に、サイズ効果を得やすく、従来の酸性抄紙技術の延長線上で抄造することができる。
非艶面の紙面pHが4.3未満では、用紙の劣化が早く、紙質強度の低下が生じる。また、薬品の効果が低下し、費用対効果が悪くなる。さらに、設備の補修頻度が増加する危惧がある。逆に非艶面の紙面pHが5.9を超えると、高価な中性サイズ剤を使用せざるを得なくなり、生産コストが高騰するとともに、抄造品種によっては、抄紙機系内のバランスが崩れ、ピッチトラブルやフロック等の設備汚損の問題が生じる。
なお、前記艶面及び非艶面の紙面pHは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.49−2:2000「紙及び板紙−表面pH試験方法−第2部:指示薬法」に規定の方法に準拠して測定したものである。
このように、本発明の片艶クラフト紙は、クラフトパルプからなる片艶用紙の片面に、澱粉及び無機顔料を含んだ特定塗工量の塗工液によって塗工層が形成されており、艶面の紙面pHが中性領域に、非艶面の紙面pHが酸性〜中性領域に保持されているので、インク乾燥性等の印刷適性及び製袋適性に優れ、印刷物に黄変、裏移り、滲み等が発生せず、しかも高光沢度で、艶を有しながら表面強度が高く、例えば高速で高繊細なオフセット印刷に好適に使用することができる。また本発明の製造方法では、湿紙形成工程とヤンキードライヤーによる乾燥工程の間で前記塗工液を塗工するので、このような優れた片艶クラフト紙を、製造設備での汚れを発生させずに低コストにて容易に製造することができる。
次に、本発明の片艶クラフト紙及びその製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜10及び比較例1〜7(片艶クラフト紙の製造)
まず、針葉樹チップ又は広葉樹チップを原料としてクラフト蒸解を行い、N材KP又はL材KPを製造し、原料調整後のJIS P 8123「紙及びパルプのハンター白色度試験方法」に記載の方法に準拠したハンター白色度が85%の漂白パルプを製造した。
次いで、NBKPのフリーネス(カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F))580mL、LBKPのフリーネス(C.S.F)530mLまでダブルリスクリファイナーで叩解し、表1に示す割合で配合した。このパルプ(絶乾パルプ質量)100質量部に対して、硫酸バンド1.8質量部、内添サイズ剤(商品名:ハーサイズ、ハリマ化成(株)製)0.2質量部及び紙力増強剤(商品面:ハーマイド、ハリマ化成(株)製)0.2質量部を添加し、パルプスラリーを得た。
得られたパルプスラリーを、ワイヤーパート工程−プレスパート工程−塗工設備−ヤンキードライヤー工程からなるヤンキードライヤー式抄紙機(設計抄速:280m/分、坪量:70g/m2、水分:5.5%製造時)に供給し、表1に示す坪量(JIS P 8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に記載の方法に準拠して測定)の片艶用紙(湿紙)を抄紙した。
次に、前記塗工設備(2流体式スプレーを抄紙機幅方向に等間隔で設けたもの)に供給した、表2に示す組成の塗工液を、前記片艶用紙の片面に表2に示す塗工量にて塗工し、約2〜5μmの厚さの塗工層を形成させた。なお、このときの塗工液スプレー粒子の粒径は約40〜100μmであった。
次に、塗工層が形成された面をヤンキードライヤーに接触させて塗工層を乾燥させ、リールで巻き取って片艶クラフト紙を得た。なお、塗工液を塗工後の片艶用紙の水分量(ヤンキードライヤー入口での水分量)は表2に示す値に調整した。
Figure 0004619328
Figure 0004619328
なお、比較例2及び5では、塗工液の塗工は行わなかった。よって、一方の表面を前記ヤンキードライヤーと接触させ、この接触させた面を艶面として扱った。さらに実施例1〜10においては、片艶クラフト紙の製造過程にて、製造設備での汚れの発生は認められなかった。
得られた片艶クラフト紙について、物性及び特性を各々以下の方法にて調べた。その結果を表3に示す。
(a)紙面pH
艶面及び該艶面の裏面である非艶面について、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.49−2:2000「紙及び板紙−表面pH試験方法−第2部:指示薬法」に規定の方法に準拠して測定した。
(b)白紙光沢度
JIS P 8142「紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(c)白色度
JIS P 8123「紙及びパルプのハンター白色度試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(d)黄変
JIS Z 8729「色の表示方法−L*a*b*表色系及びL*u*v*表色系」に記載の方法に準拠し、片艶クラフト紙サンプルの艶面のb値をカラーアナライザー(分光光度計、グレタグマクベス社製)にて測定した。このサンプルを110℃に加熱したオーブンで48時間加熱処理し、同様にしてb値を測定した。これらの値から、加熱処理前後の色差(ΔE)を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、色差が小さいほど、黄変が少なく優れることを示す。
(評価基準)
◎:色差が5未満である。
○:色差が5以上、7未満である。
△:色差が7以上、10未満である。
×:色差が10以上である。
(e)表面強度
特殊インキ(SMXタックグレード15、東洋インキ製造(株)製)を0.4mL用い、RI型印刷試験機(石川島産業機械(株)製、RII型)にて片艶クラフト紙の艶面に
印刷を行い、裏取りを行った。艶面の剥がれ具合を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:艶面の繊維とられが全くなく、良好な印刷適性を示す。
○:艶面の繊維とられがわずかに認められるが、実用上問題がない。
△:艶面の繊維とられが散見され、実用上問題がある。
×:塗工層の剥がれが多く、使用することができない。
(f)裏移り
ローランドファボリットRZF01型印刷機(デックマンローランド(株)製)にて、赤及び藍の2色インク(タックNo.9、大日本インキ化学工業(株)製)を用いて片艶クラフト紙の艶面にオフセット印刷を5000枚行った。裏移り防止用パウダー(NIKKA−OXY POWDER No.3500、ニッカ(株)製)を0.01g/m2用い、インクは赤、藍の順で、赤3g/m2、藍2.1g/m2を重ねて印刷した。印刷物を重ね合せたまま24時間放置後、裏移りの状態を目視にて観察し、裏移りした印刷物の枚数を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:裏移りが5枚未満である。
○:裏移りが5枚以上、8枚未満である。
△:裏移りが8枚以上、15枚未満である。
×:裏移りが15枚以上である。
(g)インク乾燥性
RI印刷機(石川島産業機械(株)製)を用いて片艶クラフト紙の艶面に印刷し、2時間後、印刷面にキャスト紙をあてがい、このRI印刷機でインクを練らない状態で空通し圧着した。圧着後、キャスト紙上のインクの裏移り状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:インクの裏移りが全くなく、乾燥性に特に優れる。
○:インクの裏移りがほとんどなく、乾燥性に優れる。
△:インクの裏移りが少し認められ、乾燥性にやや劣る。
×:インクの裏移りが顕著で、乾燥性に劣る。
(h)網点再現性
オフセットカラー印刷機(型番:LITHRONE44、(株)小森コーポレーション製)を使用し、800rpmの印刷速度で、片艶クラフト紙の艶面にテストパターン原稿の印刷を行った。得られたテストパターンの網点印刷部分について、約200倍の拡大ルーペを用いて網点の大きさ、形状及びダブリの状態を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:網点の大きさ及び形状が原稿と同等であり、ダブリが認められない。
○:網点の大きさ及び形状が原稿とほぼ同等であり、ダブリが殆ど認められない。
△:部分的に網点に欠けが生じ、ダブリが認められる。
×:網点の欠け及びダブリが著しい。
(i)製袋適性
自動製袋機(型番:185T、ニューロング社製)を用い、片艶クラフト紙から手提げ袋500個を加工した際の加工作業性(搬送不良及び折不良の有無)を調査し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:搬送不良及び折不良が1回も発生しなかった。
○:搬送不良又は折不良が1回のみ発生した。
△:搬送不良又は折不良が2回以上、10回未満発生した。
×:搬送不良又は折不良が10回以上発生した。
(j)塗工層割れ
前記製袋適性の試験にて得られた手提げ袋について、その折面を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:塗工層割れが全く認められない。
○:塗工層割れがわずかに認められるが、実用上問題がない。
△:塗工層割れが認められ、実用上問題がある。
×:塗工層割れが著しく、実用不可である。
Figure 0004619328
実施例1〜10の片艶クラフト紙は、表3に示すように、片艶用紙の片面に、澱粉及び無機顔料を含んだ塗工液を特定量塗工して塗工層を形成させたものであり、艶面の紙面pHが特定範囲の中性領域に保持され、一方非艶面の紙面pHは特定範囲の酸性〜中性領域に保持されたものである。したがって、実施例1〜10の片艶クラフト紙は、インク乾燥性等の印刷適性及び製袋適性に優れ、印刷物に黄変及び裏移りがほとんど発生せず、また滲みがなく網点再現性に優れ、しかも高光沢度で、艶を有しながら表面強度が高いものである。
これに対して、比較例1〜7の片艶クラフト紙は、塗工層が設けられていなかったり(比較例2、5)、塗工層が設けられているものの塗工液の塗工量が多過ぎるか又は少な過ぎたり(比較例6、7)、艶面及び非艶面の紙面pHが不適切であったり(比較例1、3、4、5)するため、印刷適性や製袋適性、印刷物の黄変、裏移や滲み、光沢度、表面強度等の点で、実施例1〜10の片艶クラフト紙とは反対に、ほとんどの特性に劣るものである。
本発明の製造方法によって、例えば高速で高繊細なオフセット印刷に好適な片艶クラフト紙を、製造設備での汚れを発生させずに低コストにて容易に製造することができる。

Claims (7)

  1. JIS P 3401に準拠したクラフト紙であって、クラフトパルプを主原料とした片艶用紙の片面に塗工層が設けられてなり、前記塗工層が、澱粉と軽質炭酸カルシウムとを主成分とした塗工液を固形分で2〜7g/m2塗工して形成されたものであり、前記片艶用紙の艶面側に設けられた前記塗工層の紙面pHが6.0〜9.0で、かつ前記艶面の裏面である非艶面の紙面pHが4.3〜5.9であることを特徴とする、片艶クラフト紙。
  2. 前記軽質炭酸カルシウムが、カルサイト系の紡錘状軽質炭酸カルシウムである、請求項に記載の片艶クラフト紙。
  3. 前記澱粉が、ヒドロキシエチル化澱粉又はカルボン酸エステル化澱粉である、請求項1又は2に記載の片艶クラフト紙。
  4. 少なくとも湿紙形成工程、プレス工程及びヤンキードライヤーによる乾燥工程を備え、前記湿紙形成工程と乾燥工程との間で、クラフトパルプを主原料とした片艶用紙の、前記乾燥工程でヤンキードライヤーと接触する側の片面に、塗工液を固形分で2〜7g/m2塗工して塗工層を形成し、前記塗工層をヤンキードライヤーと接触させて乾燥することを特徴とする、請求項1に記載の片艶クラフト紙の製造方法。
  5. 湿紙形成工程とプレス工程との間で片艶用紙の片面に塗工液を塗工する、請求項に記載の製造方法。
  6. プレス工程と乾燥工程との間で片艶用紙の片面に塗工液を塗工する、請求項に記載の製造方法。
  7. スプレー塗工にて片艶用紙の片面に塗工液を塗工する、請求項に記載の製造方法。
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