以下、本発明に係る血液成分採取装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図10を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る血液成分採取装置10は、装置本体12と、該装置本体12に装着される採血キット14とを有する。装置本体12は、箱形の機構本体部15と、該機構本体部15の背面左右から上方に延在する第1支柱16a及び第2支柱16bと、第1支柱16aの上端左側に設けられた重量計18と、第2支柱の上端部に設けられたモニタ20と、第1支柱16aの左側に設けられた複室バッグ126の有無を検出するバッグ検出センサ21と、第2支柱16bの右方に設けられた除菌フィルター114の有無を検出するセンサ23a及び気泡除去用チャンバー112の有無及び抗凝固剤の滴下を検出するセンサ23bとを有する。モニタ20は血液成分採取装置10の入出力装置であり、大型のカラータッチパネル20aと、スピーカ20bとを有し、画像及び音声を用いた簡易な操作が可能である。スピーカ20bはステレオ式である。
機構本体部15は左側の制御機構部22と、右側の遠心分離機構部24とからなる。制御機構部22は、血液成分採取装置10の全体を統括的に制御する制御部26と、血液ポンプ28と、抗凝固剤ポンプ30と、濁度センサ32と、6つの気泡センサ34a、34b、34c、34d、34e、34fと、7つのクランプ(回路切り替え手段)36a、36b、36c、36d、36e、36f、36gと、ドナー圧力センサ38と、システム圧力センサ40とを有する。濁度センサ32及び各気泡センサ34a〜34fとしては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。濁度センサ32と気泡センサ34dは一体的に構成されている。
制御部26は、機構本体部15の内部に設けられている。制御機構部22における制御部26以外の機器は、採血キット14のチューブが装着可能なように上面、前面及び支柱に設けられている。
血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30は、チューブ側面にローラを押圧させながら連続的に転動させることにより内部の血液を押し出すローラポンプ式であり、血液に対して非接触の状態で駆動可能である。また、血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30は、制御部26の作用下に速度及び流体吐出方向が可変である。
濁度センサ32は、挟み込まれたチューブ内を通過する液体の濁度を検出するセンサである。気泡センサ34a〜34fは、挟み込まれたチューブ内を通過する液体に混入している気泡又は液の有無を検出するセンサである。クランプ36a〜36gは、挟み込まれたチューブを両側から押圧して閉じ、又は開放して連通させ、開閉バルブとしての作用を奏する。これらのクランプ36a〜36gは、カセットハウジング42がはめ込み可能なように制御機構部22の上面における一区画に集中配置されている。カセットハウジング42は採血キット14のチューブの多くの部分が一体的に接続された樹脂板であり、該カセットハウジング42を制御機構部22の上面にはめ込むことにより所定のチューブが対応するクランプ36a〜36gによって開閉可能に配置される。
ドナー圧力センサ38は、採血キット14における採血経路系統(採血回路)14a(図4参照)の一部が差し込まれ、採血の圧力を示すドナー圧力Pdを計測するセンサである。システム圧力センサ40は、処理経路系統(又は循環経路系統)14b(図4参照)の一部が差し込まれ、回路内の圧力を示すシステム圧力(回路内圧力)Psを計測するセンサである。なお、装置本体12にセットされた状態の採血キット14におけるチューブの配置は本発明の要旨ではないので、図1においてはチューブの一部を省略して図示している。
図2に示すように、遠心分離機構部24は採血キット14の遠心ボウル(遠心分離器)120が装着され、該遠心ボウル120内に導入された血液を遠心分離する機構部である。遠心ボウル120は、下方に向かって拡径した円錐台形状のロータ50と、該ロータ50の上部に設けられた固定キャップ52とを有する。固定キャップ52は、円形板52aと、中央から上方に突出した円柱体52bと、該円柱体52bの上部及び中央部からそれぞれ横方向に突出した導入口52c及び排出口52dと該円柱体52bの下部から円周方向に突出したフランジ52eとを有する。固定キャップ52は円柱体52bにおける円形板52aの上面とフランジ52eとの間で開閉カバー58cの凹部を介して遠心分離機構部24に固定される。導入口52c及び排出口52dは遠心ボウル120に対して血液等を導入及び排出する部分である。
ロータ50は透明な樹脂板の外側板50aと、内側に設けられた円錐状で白色の反射板50bと、底板50cと、中央部で鉛直方向に延在して導入口52cに連通する管体50dとを有する。外側板50aと反射板50bとの間には血液が導入される貯血空間54が形成されている。貯血空間54は、上方に向けてその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしており、その下部は、ロータ50の底部に沿って形成されたほぼ円盤状の流路を介して管体50dの下端開口に連通し、その上部は、排出口52dに連通している。固定キャップ52とロータ50との間には、ロータ50を気密に維持するとともに回転可能に保持するシール56が設けられている。
遠心分離機構部24は上方のボウル装着部58と、下方のモータ部60とを有する。ボウル装着部58は、遠心ボウル120が配置される空間部を形成するハウジング58aと、遠心ボウル120の底板50cが嵌合するターンテーブル58bと、固定キャップ52の円形板52a及びフランジ52eを固定する透明な開閉カバー58cと、光学式センサ62とを有する。開閉カバー58cは凹部を有しており、フランジ52eを該凹部に嵌め込んで固定する。
モータ部60には、回転軸64aが鉛直上方を指向する向きにモータ64が設けられている。
回転軸64aはターンテーブル58bの底面に接続されており、モータ64の作用下に遠心ボウル120が回転可能となっている。モータ64は、3000〜6000rpm程度の範囲で回転可能であり、目標回転数としては、例えば4200〜5800rpm程度に設定される。これにより、貯血空間54内の血液は内層より血漿層(PPP層)70、バフィーコート層(BC層)72及び赤血球層(CRC層)74に分離される。
光学式センサ62は、光(例えば、レーザ光)を発生する投光器62aと、反射板50bで反射した光を受光する受光器62bと、光路の向きを調整するミラー62cとを有する。投光器62aは貯血空間54を介して反射板50bに対して投光し、反射板50bで反射した光は略同じ経路を戻り、受光器62bにより受光されて受光光量に応じた電気信号に変換される。
このとき、投光光及び反射光は、それぞれ、貯血空間54内の血液成分を透過するが、血漿層70とバフィーコート層72との界面Bの位置に応じて、投光光及び反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光器62bでの受光光量が変動し、出力電圧の変化として検出することができる。なお、光学式センサ62が検出する血液成分の界面としては、界面Bに限られず、例えば、バフィーコート層72と赤血球層74との界面であってもよい。
貯血空間54内の各層70〜74は、それぞれ、血液成分により色が異なっており、赤血球層74は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、計測精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、例えば、750〜800nm程度であるとよい。
図3に示すように、制御部26は、出力用として血液ポンプドライバ76と、抗凝固剤ポンプドライバ78と、モータドライバ80と、クランプドライバ82とを有し、血液ポンプ28、抗凝固剤ポンプ30、モータ64及びクランプ36a〜36gを制御する。血液ポンプドライバ76は、血液ポンプ28の速度及び吐出方向を制御する。同様に、抗凝固剤ポンプドライバ78は、抗凝固剤ポンプ30の速度を制御する。モータドライバ80はモータ64の回転速度を制御する。クランプドライバ82は、クランプ36a〜36gを個別に開閉制御する。
また、制御部26は、各センサの入力制御を行う入力インターフェース84と、モニタ20の入出力を行うモニタインターフェース86とを有する。さらに、制御部26は、各機能部と協動して採血処理動作を制御するモード制御部88と、各センサの入力信号等に基づいて異常の監視を行う異常監視部90と、所定のプログラムやデータの記憶を行う記憶部92と、タイマ94と、外部機器とのデータ通信を行う通信部96とを有する。
異常監視部90は、例えば、システム圧力センサ40から供給されるシステム圧力Psを入力インターフェース84を介して監視し、所定の圧力Pε(図8参照)を超えたときには、モード制御部88に対して割り込み制御等により通知する。モード制御部88では、このような異常信号を受信すると対応するエラー処理を行い、例えば、血液ポンプドライバ76を介して血液ポンプ28を停止させる。さらに、モニタインターフェース86を介してスピーカ20bから警報音を発生するとともに、カラータッチパネル20aにエラーの種類を表示し、操作者に通知する。
なお、システム圧力Psが圧力Pεを超えたときには装置の物理的影響が直ちに発生することはないが、放置すると遠心ボウル120内のシール56の液密性が低下する懸念があるため、事前にエラー処理を行うようにしている。
異常監視部90の各種の異常監視処理は、マルチタスク等の手法に基づいて、モード制御部88の制御とは独立並行的に行われる。制御部26内の機能の一部は、記憶部92に記録されたプログラムを図示しないCPUによって読み込み実行することにより実現される。
図4に示すように、採血キット14は、ドナーから血液を採取及び返還するための採血経路系統14aと、採取した血液を遠心分離又は循環等させる処理経路系統14bとを有する。
採血経路系統14aは、ドナーに穿刺する中空の採血針100と、一端が採血針100に接続されて他端が分岐継手102を介して処理経路系統14bに接続されたチューブ104と、該チューブ104の途中に設けられたチャンバー106と、抗凝固剤が入った抗凝固剤容器107(図1参照)に接続される抗凝固剤容器接続用針108と、一端が分岐継手116に接続されたチューブ110と、該チューブ110の途中に設けられた気泡除去用チャンバー112及び除菌フィルター(異物除去用フィルター)114とを有する。チューブ104とチューブ110は、採血針100の近傍に設けられた分岐継手116により接続されている。
チャンバー106は、チューブ104を通過する血液中の気泡及びマイクロアグリゲートを除去する。チャンバー106の一端にはチューブ104から分岐した短いチューブ118が設けられている。該チューブ118の端部は通気性且つ菌不透過性のフィルター(図示せず)に接続されるとともに、ドナー圧力センサ38に挿入さており、ドナー圧力Pdを計測可能である。
抗凝固剤容器接続用針108に接続された抗凝固剤容器107には、ACD−A液のような抗凝固剤が蓄えられている。チューブ110は抗凝固剤ポンプ30に装着されており、該抗凝固剤ポンプ30の作用下に抗凝固剤容器接続用針108から供給された抗凝固剤はチューブ110及び分岐継手116を介してチューブ104内の血液中に抗凝固剤が混入される。チューブ110の途中には気泡センサ34aが装着される。
チャンバー106と分岐継手102との間には、気泡センサ34b及びクランプ36aが装着される。クランプ36aは分岐継手102の近傍に装着されており、クランプ36aを開くことにより採血経路系統14aと処理経路系統14bは連通する。チューブ104には直列して2つの気泡センサ34e及び34fが装着されており、気泡を確実に検知することができる。
処理経路系統14bは遠心ボウル120と、血漿採取バッグ122と、血小板採取バッグ124と、中間バッグ126aと、エアーバッグ126bと、バッグ128と、白血球除去フィルター130とを有する。遠心ボウル120は図2に基づいて詳述したので再度の説明は省略する。
血漿採取バッグ122及び血小板採取バッグ124は、遠心分離等の処理により得られた血漿及び血小板を蓄えるバッグである。血漿採取バッグ122は重量計18(図1参照)のフック18aに懸架され、収納された血漿の重量を計測することができる。血小板採取バッグ124は、機構本体部15の前面に懸架される(図1参照)。
中間バッグ126aは、濃厚血小板を一時的に貯留するための容器である。エアーバッグ126bは、空気を一時的に収納するための容器である。エアーバッグ126bと中間バッグ126aとは、回路的には分離した独立の容器であるが、物理的には一体的であって複室バッグ126を構成している。複室バッグ126はバッグ検出センサ21(図1参照)のフック21aに懸架される。
採血を行う際には、遠心ボウル120の貯血空間54内等の空気はエアーバッグ126b内に移送され、収納される。返血工程の際には、エアーバッグ126b内に収納されている空気は、貯血空間54内に戻され、所定の血液成分が、ドナーへ返還される。
バッグ128は血小板採取バッグ124に接続されたバッグであり、成分採血の終了後、血小板採取バッグ124内の空気を排出する際に用いられる。
血漿採取バッグ122、血小板採取バッグ124、中間バッグ126a、エアーバッグ126b及びバッグ128は、それぞれ樹脂製(例えば、軟質ポリ塩化ビニル)の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)又は接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。
なお、血小板採取バッグ124に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いることができる。
白血球除去フィルター130は、中間バッグ126aから血小板採取バッグ124に血液成分を移送する際に、血液成分中の白血球を分離除去するフィルターである。図1から明らかなように、白血球除去フィルター130は、中間バッグ126aより低く、血小板採取バッグ124より高い位置に配置される。
次に、処理経路系統14bの各構成機器を接続するチューブについて説明する。処理経路系統14bの端部である分岐継手102と遠心ボウル120の導入口52cとの間はチューブ140で接続されている。該チューブ140は血液ポンプ28に装着される。したがって、血液ポンプ28を正転させることにより血液を採血経路系統14aから遠心ボウル120内に導入し、又は処理経路系統14b内で所定の循環動作を行うことができる。また、血液ポンプ28を逆転させることにより、所定の血液成分を採血経路系統14aに導出し、ドナーに返還することができる。
遠心ボウル120の排出口52dにはチューブ142が接続されており、該チューブ142は分岐継手144を介して三つ股に分岐してチューブ146、チューブ148及びチューブ150に接続されている。チューブ142は、濁度センサ32及び気泡センサ34dに直列的に接続されている。
チューブ146はエアーバッグ126bに接続されており、その途中はクランプ36eに装着されている。チューブ148の端部は通気性且つ菌不透過性のフィルター(図示せず)に接続されるとともに、システム圧力センサ40に挿入さており、システム圧力Psを計測可能である。
チューブ150の端部は血漿採取バッグ122に接続されており、その途中には分岐継手152が設けられ、チューブ154を介して中間バッグ126aに接続されている。チューブ154はクランプ36dに装着されている。分岐継手152と血漿採取バッグ122との間のチューブ150はクランプ36cに装着されている。
中間バッグ126aと血小板採取バッグ124との間はチューブ156により接続されており、その途中には白血球除去フィルター130が設けられている。 中間バッグ126aと血小板採取バッグ124との間のチューブ156は、気泡センサ34c及びクランプ36gに装着されている。白血球除去フィルター130の端部には、チューブ156から短く分岐したフィルター160が設けられている。フィルター160はベントフィルター及びキャップからなる。
気泡センサ34cとクランプ36gとの間のチューブ156には分岐継手162が設けられ、チューブ164を介して、血漿採取バッグ122に接続されている。チューブ164の途中には分岐継手166が設けられている。該分岐継手166と分岐継手102との間はチューブ168により接続されている。分岐継手162と分岐継手166との間のチューブ164はクランプ36fに装着されている。チューブ168における分岐継手102の近傍部には、クランプ36bが装着されている。
血小板採取バッグ124とバッグ128はチューブ158により接続されている。
このように構成される採血キット14は予め所定の滅菌処理がなされている。なお、図4においては、採血キット14のチューブが集中配置されたカセットハウジング42、及びチューブの一部とフィルター160とを保持するフィルターカセット170(図1参照)の図示を省略している。
次に、血液成分採取装置10により成分採血を行う手順について図5〜図10を参照しながら説明する。
先ず、図5のステップS1において所定の初期処理を行う。初期処理としては、チューブ110とチューブ104の採血針100からチャンバー106までを抗凝固剤でプライミングし、ドナーの血管に採血針100を穿刺する。この後、モニタ20のカラータッチパネル20aを操作して成分採血処理を開始する。これ以降の手順は主に制御部26の作用下に自動的に行われる。
ステップS2において、成分採血のサイクル数を示すカウンタIを、I←1として初期化する。
ステップS3において第1の血漿採取工程を行う。この第1の血漿採取工程は、遠心ボウル120の貯血空間54内に血液を導入して遠心分離することにより得られる血漿を血漿採取バッグ122内に採取する工程である。
具体的には、血液ポンプ28の回転速度Vを規定の採血速度V1(図8参照)で正転して、ドナーからの採血を継続する。この採血速度V1は、後述する主循環速度V4よりも低速であって、120mL/min以下、より好ましくは40〜100mL/min程度、例えば60mL/minに設定される。
この採血と同時に、抗凝固剤ポンプ30を作動して、チューブ110を介して抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に混入させる。このとき、抗凝固剤ポンプ30の回転速度は、制御部26により、採血血液に対して抗凝固剤が所定比率(例えば1/10)で混合されるように制御される。
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、チューブ104を介して移送され、遠心ボウル120の導入口52cより管体50dを経てロータ50の貯血空間54内に導入される。このとき、遠心ボウル120内の空気は、チューブ142及びチューブ146を介してエアーバッグ126b内に送り込まれる。
貯血空間54内に所定量の血液が導入された状態でロータ50の回転を開始する。つまり、モータ64を駆動し、ロータ50を所定の回転数で回転するよう制御する。ロータ50の回転を開始する際には、例えば、ロータ50の回転数を目標回転数まで急速に増大させてもよく、また、段階的に増大させてもよい。
ロータ50の目標回転数としては、例えば4200〜5800rpm程度とされる。以下、ステップS29までロータ50の回転数は一定に維持される。ロータ50の回転により、貯血空間54内に導入された血液は、内側から血漿層70、バフィーコート層72、赤血球層74の3層に分離される。
なお、第2サイクル以降は、血液ポンプ28と同時に遠心モータ64を駆動する。
ステップS4において、チューブ142に設けられた気泡センサ34dの信号を監視し、チューブ142を流れる流体が空気から血漿に変わったことを検出した後、クランプ36eを閉じるとともにクランプ36cを開放する。すなわち、採血及び抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間54の容量を越える血液(約270mL)が貯血空間54内に導入されると、遠心ボウル120の排出口52dから血漿が流出することから、このタイミングを気泡センサ34dにより検出しクランプ操作を行い、チューブ142及びチューブ150を介して血漿を血漿採取バッグ122内に導入、採取するように切り替える。血漿採取バッグ122に導入された血漿の重量は、重量計18により計測される。
ステップS5において、重量計18から得られる重量信号に基づき、血漿採取バッグ122内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する。血漿が所定量採取されたときには次の定速血漿循環工程(ステップS6〜S9)に移り、所定量未満であるときには採取を継続しながら待機する。血漿の採取量としては、例えば20〜40g程度である。
次に、定速血漿循環工程を行う。定速血漿循環工程は、血漿採取バッグ122内の血漿を貯血空間54を含む循環回路で定速にて循環させる主循環サブ工程と、該主循環サブ工程の前に行われ、主循環サブ工程の直前期間に血漿を低速で循環させる循環準備サブ工程とに分けて行われる。循環準備サブ工程は第1サイクル時のみ行われる。
具体的には、先ずステップS6において、サイクル数を示すカウンタIを参照し、I=1であるときにはステップS7へ移り、それ以外のときにはステップS8へ移る。
また、ステップS6においては、定速血漿循環工程の準備としてクランプ36aを閉じ、クランプ36bを開放するとともに抗凝固剤ポンプ30を停止する。これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ122内の血漿を循環させる経路が形成される。この循環回路は、血漿採取バッグ122からチューブ164、168及び140を介して貯血空間54内に至り、遠心ボウル120の排出口52dから流出してきた血漿をチューブ142及び150を介して血漿採取バッグ122内に回収する経路である。
ステップS7においては、循環準備サブ工程を行う。循環準備サブ工程は、例えば、図7に示すようにサブルーチン処理として実行され、第1循環準備サブ工程と第2循環準備サブ工程に分かれる。
図7のステップS101において、第1循環準備サブ工程を行う。すなわち、図8に示すように、血液ポンプ28の回転速度Vを高速準備速度(第2準備速度)V2で正転し、血漿を前記の循環回路内で循環させる。この高速準備速度V2は、後述する低速準備速度(第1準備速度)V3よりも速い速度であって、より好ましくは主循環速度V4よりも速い速度である。具体的には、61mL/min以上、より好ましくは120〜300mL/min程度、例えば240mL/minに設定するとよい。
これにより、循環回路内の空気及び血漿は十分に速い速度で移動を開始する。この際、チューブ164及びチューブ168内に残存していた空気(以下、残存空気という。)は、遠心ボウル120内に導入される。第1循環準備サブ工程では高速準備速度(第2準備速度)V2で血液ポンプ28を回転させることから、残存空気は遠心ボウル120内に素早く導入される。
また、第1循環準備サブ工程では、残存空気が高速で遠心ボウル120に押し込まれるのみであり、図8に示すように、血液ポンプ28の速度の影響によってシステム圧力Psがやや上昇するが、警報レベルPεにまで達することはなく、異常監視部90の監視機能によって警報(又は注意)出力がなされることはない。
ステップS102において、タイマ94からの信号に基づき、第1循環準備サブ工程を開始してから所定時間T1が経過したか否かを判断する。所定時間T1が経過したときにはステップS103へ移り、未経過であるときには循環を継続しながら待機する。この所定時間T1は、高速準備速度V2及び管路長さ等に対応し、残存空気が遠心ボウル120の導入口52cに導入される程度の時間であって、且つ遠心ボウル120の排出口52dから導出されるよりも短い時間として設定されており、例えば、3secに設定される。
ステップS103において、第2循環準備サブ工程を行う。すなわち、図8に示すように、血液ポンプ28の回転速度Vを低速準備速度V3で正転し、血漿を前記の循環回路内で循環させる。この低速準備速度V3は十分に遅い速度であって、例えば、採血速度V1と同じ速度に設定される。つまり、低速準備速度V3は150mL/min以下、より好ましくは40〜150mL/min程度、例えば60mL/minに設定される。このように低速準備速度V3を十分に遅い速度に設定することにより、システム圧力Psの過上昇が防止できる。
すなわち、遠心ボウル120内に導入されていた残存空気は排出口52dから低速で排出され始める。このとき、残存空気は遠心ボウル120の排出口52dから多量の泡となって流出して血漿採取バッグ122に供給され、チューブ142及び150は泡が多く存在することになる。このようにチューブ142及び150に存在する泡は大きな管路抵抗等を生じる。しかしながら、第2循環準備サブ工程では、十分に遅い速度である低速準備速度V3で循環を行っていることから、図8に示すように、システム圧力Psはあまり上昇することがなく、警報レベルPεにまで達することはない。したがって、異常監視部90の監視機能によって警報(又は注意)出力がなされることはない。
仮に、循環準備工程において、図8の仮想線200で示すように、主循環サブ工程と同じ主循環速度V4で血液ポンプ28を駆動すると、残存空気の抵抗等によって大きな負荷が生じ、これに応じてシステム圧力Psは仮想線202で示すように過度に上昇する。上昇の程度にはばらつきがあるが、圧力Pεを超える場合もあり得る。このような場合には異常監視部90の作用によって採血処理を途中停止し、モニタ20に警報を出力することになり、ドナーに不快感を与えかねない。
これに対して、本実施の形態に係る血液成分採取装置10では、主循環サブ工程の直前期間に十分に遅い速度である低速準備速度V3で循環を行っていることから、システム圧力Psの過度の上昇がなく、安定した採血処理が行われる。
ステップS104において、タイマ94からの信号に基づき、第2循環準備サブ工程を開始してから所定時間T2が経過したか否かを判断する。所定時間T2が未経過であるときには循環を継続しながら待機する。この所定時間T2は、低速準備速度V3及び循環回路の長さ等に対応し、残存空気が遠心ボウル120の排出口52dから導出される時刻を含む時間であって、且つ不必要に長くない時間として設定されており、例えば、12secに設定される。所定時間T2が経過したときには、循環準備サブ工程のサブルーチン処理を終了し、図5のステップS8へ移る。
なお、第2循環準備サブ工程の終了条件は所定時間T2の経過という条件にかかわらず、例えば、システム圧力Psをリアルタイムで監視しながら、該システム圧力Psがピーク値を示した後に所定圧力まで低下したことをもって終了条件としてもよい。
このように、循環準備サブ工程は第1サイクル時のみ行われるが、第1サイクル時に循環回路内の空気は血漿採取バッグ122に集められていることから、第2サイクル以降は循環回路内に残存空気がなく、その後空気が循環回路内に流入することはない。したがって、システム圧力Psが過度に上昇することはない。また、循環準備サブ工程は第1サイクル目のみ行われるようにすることにより、第2サイクル以降の採血時間を短縮することができる。
なお、循環準備サブ工程は、図9に示す変形例のように行ってもよい。
すなわち、ステップS201において、図10に示すように、血液ポンプ28の回転速度Vを低速準備速度V3で正転し、血漿を前記の循環回路内で循環させる。これにより、前記のステップS103と同様に残存空気が排出口52dから低速で排出され始めるが、十分に遅い速度である低速準備速度V3で循環を行っていることから、図10に示すように、システム圧力Psはあまり上昇することがなく、警報レベルPεにまで達することはない。つまり、図10の仮想線200で示すように、血液ポンプ28を主循環速度V4で正転させることによる過上昇圧力202が発生することはなく、異常監視部90の監視機能によって警報(又は注意)出力がなされることはない。
ステップS202において、タイマ94からの信号に基づき、循環準備サブ工程を開始してから所定時間T4が経過したか否かを判断する。所定時間T4が未経過であるときには循環を継続しながら待機する。この所定時間T4は、低速準備速度V3及び管路長さ等に対応し、残存空気が遠心ボウル120の排出口52dから導出される時刻を含む時間であって、且つ不必要に長くない時間として設定されており、例えば、23secに設定される。所定時間T4が経過したときには、変形例に係る循環準備サブ工程のサブルーチン処理を終了し、図5のステップS8へ移る。
このような変形例に係る循環準備工程では、血液ポンプ28の回転速度Vを低速準備速度V3で作動し続けることにより、速度の切り替えが不要で制御手順が簡便である。
図5に戻り、ステップS8において、定速血漿循環工程の主循環サブ工程を行い、血液ポンプ28の回転速度Vを主循環速度V4(図8参照)で正転する。主循環速度V4は、採血速度V1及び低速準備速度V3よりも速い速度であって、好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/minに設定するとよい。
ステップS9において、タイマ94からの信号に基づき、主循環サブ工程を開始してから所定時間(好ましくは10〜90sec程度、例えば30sec)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過したときにはステップS10へ移り、未経過であるときには循環を継続しながら待機する。
このように、ステップS8及びS9において血漿を循環させることにより、バフィーコート層の濃縮を抑制し、粘度が過度に上昇することを防ぐとともに、赤血球層74に埋もれていた血小板をバフィーコート層72に集めることができる。
ステップS10において最終サイクルであるか否かを確認する。すなわち、サイクル数を示すカウンタIと、予め設定された最終サイクル数を示すパラメータN(Nは1以上の整数)とを比較し、I=NであるときにはステップS11へ移り、それ以外(I<N)のときにはステップS12へ移る。
ステップS11においては、濾過工程を行う。濾過工程は、中間バッグ126a内に一時的に採取した濃厚血小板を、白血球除去フィルター130に供給して、濃厚血小板の濾過、すなわち、濃厚血小板中の白血球の分離除去を行う工程である。具体的には、クランプ36gを開放し、中間バッグ126a内の濃厚血小板を落差(自重)によりチューブ156及び白血球除去フィルター130を経て、血小板採取バッグ124内に移送する。このとき、濃厚血小板は、そのほとんどが白血球除去フィルター130の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。なお、濃厚血小板の中間バッグ126a内から血小板採取バッグ124への移送は、所定のポンプを用いて行うようにしてもよい。また、クランプ36gは、手動によりチューブ156の流路の途中を開閉し得るクレンメ等で置き替えてもよい。
ステップS12において、第2の血漿採取工程を行う。第2の血漿採取工程では、クランプ36bを閉じてクランプ36aを開放することにより採取した血液を遠心ボウル120へ導入し、第1の血漿採取工程(ステップS3、S4)と同様に血漿の採取及び遠心分離を行う。これにより、貯血空間54内の赤血球量が増加、すなわち、赤血球層74の層厚が増大するのに伴い、界面Bも徐々に上昇(ロータ50の回転軸方向へ移動)する。このとき、遠心ボウル120内は血液で満たされているので、エアーバッグ126bに空気を入れる工程は省略できる。
ステップS13において、光学式センサ62からの検出信号に基づいて界面Bが所定レベルに到達したか否かを判断する。界面Bが所定レベルに達しているときにはステップS14へ移り、未達であるときには血液の採取、遠心分離及び界面Bのレベルの計測を継続しながら待機する。
ステップS14において加速血漿循環工程を行う。加速血漿循環工程は、血漿採取バッグ122内の血漿を貯血空間54内に加速させながら循環させる工程である。
具体的には、クランプ36aを閉じるとともにクランプ36bを開放する。また、抗凝固剤ポンプ30を停止させるとともに血液ポンプ28の回転速度が一定の加速度にて増加(増大)するように正転させる。これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ122内の血漿を循環回路内で加速させながら循環させる。この際の循環回路は、前記の定速血漿循環工程における経路と同じである。
なお、このとき、血液ポンプ28の回転速度を、前記定速血漿循環工程より遅い速度(初速:例えば60mL/min)から、一定の加速度にて増加(増大)するように制御する。加速条件(加速度)としては、例えば3〜6mL/min/sec程度とされる。加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的又は連続的に変化するものであってもよい。
ステップS15において、血漿の貯血空間54内への循環速度が所定速度に到達したか否かを確認する。つまり、血液ポンプ28の回転速度が、所定速度に達したときにはステップS16へ移り、未達であるときには循環を継続しながら待機する。この際の閾値としての所定速度は、例えば155mL/minである。
ステップS16において第3の血漿採取工程を行う。第3の血漿採取工程では、第1及び第2の血漿採取工程と同様に、血漿の採取を行う。
ステップS17において、ステップS5と同様に、血漿採取バッグ122内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断し、血漿が所定量採取されたときには血小板採取工程(ステップS18〜S29)へ移り、所定量未満であるときには採取を継続しながら待機する。この際の所定量は、例えば5〜15g程度である。
次に、血小板採取工程(ステップS18〜S29)を行う。血小板採取工程は血漿採取バッグ122内の血漿を貯血空間54内で第1の加速度にて加速させながら循環させ、次いで、第1の加速度より大きい第2の加速度にて加速させながら循環させて、貯血空間54内より血小板を流出させ、濃厚血小板を中間バッグ126a内に採取(貯留)する工程である。
図6のステップS18においては、第1の加速度による血漿循環を行う。具体的には、クランプ36aを閉じるとともにクランプ36bを開放する。また、抗凝固剤ポンプ30を停止するとともに血液ポンプ28の回転速度を第1の加速度にて増加(増大)するよう正転する。これにより、採血を中断するとともに、血漿採取バッグ122内の血漿を循環回路内で第1の加速度にて加速させながら循環させる。この際の循環回路は、前記の定速血漿循環工程における経路と同じである。この第1の加速度による循環処理により、赤血球層74の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々にロータ50の回転軸方向へ移動する。
第1の加速度としては、例えば1.5〜2.5mL/min/sec程度とされる。第1の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的又は連続的に変化するものであってもよい。また、血液ポンプ28の初速としては、例えば40〜100mL/min程度とされる。
ステップS19において、血漿の貯血空間54内への循環速度が所定速度に到達したか否かを確認する。つまり、血液ポンプ28の回転速度が、所定速度に達したときにはステップS16へ移り、未達であるときには循環を継続しながら待機する。この際の所定速度は、例えば140〜160mL/min程度とされる。
ステップS20において、第2の加速度による血漿循環を行う。具体的には、血液ポンプ28の加速度を、第1の加速度から第2の加速度に変更して、血液ポンプ28の回転速度を第2の加速度にて増加(増大)するよう正転する。これにより、血漿採取バッグ122内の血漿を貯血空間54内で第2の加速度にて加速させながら循環させる。第2の加速度としては、第1の加速度より大きくなるよう設定され、例えば5〜15mL/min/sec程度とされる。なお、第2の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的又は連続的に変化するものであってもよい。
この第2の加速度による循環処理により、赤血球層74の拡散が生じて、界面Bも徐々にロータ50の回転軸方向へ移動するとともに、バフィーコート層72中の血小板が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、ロータ50の排出口52dへ向って移動する。
ステップS21において、血漿の貯血空間54内への循環速度が所定速度に到達したか否かを判断し、所定速度に達しているときにはステップS23へ移り、未達であるときにはステップS22へ移る。この際の所定速度は、例えば250mL/min程度とされる。
ステップS22において、濁度センサ32から得られるPC濃度電圧値が所定値以下に低下したか否かを判断する。該PC濃度電圧値が所定値以下であるときにはステップS25へ移り、所定値を超えるときにはステップS21へ戻り、循環を継続する。なお、血液ポンプ28の回転速度が所定値に達していなくても、ステップS22で血小板の流出を検出した場合には、ステップS25へ移る。
ステップS23において、タイマ94からの信号に基づき、循環速度が所定速度に到達したときから所定時間(例えば10sec)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過したときにはステップS29へ移り、未経過であるときにはステップS21の回転速度を維持しつつステップS24へ移る。
ステップS24において、ステップS22と同様に、濁度センサ32から得られるPC濃度電圧値が所定値以下に低下したか否かを判断する。該PC濃度電圧値が所定値以下であるときにはステップS25へ移り、所定値を超えるときにはステップS23へ戻る。
ステップS25において、血小板の採取を行う。具体的には、濁度センサ32の検出信号に基づき、クランプ36cを閉じるとともにクランプ36dを開放する。これにより、チューブ142、150及び154を介して濃厚血小板を中間バッグ126a内へ導入し、採取(貯留)する。
また、濁度センサ32からの出力電圧(検出信号)に基づき、中間バッグ126a内の血小板濃度(累積PC濃度)を算出する。この血小板濃度は、PC採取を開始してから上昇を続け、一旦、最高濃度に到達した後、下降に転じる。
ステップS26において、タイマ94からの信号に基づき、血小板の採取を開始してから所定時間(例えば15sec)が経過したか否かを判断する。所定時間が経過したときにはステップS29へ移り、未経過であるときにはステップS27へ移る。
ステップS27において、濁度センサ32から得られるPC濃度電圧値が所定値以上に上昇したか否かを判断する。該PC濃度電圧値が所定値以上であるときにはステップS29へ移り、所定値を下回るときにはステップS28へ移る。
ステップS28において、中間バッグ126a内の濃厚血小板の増加量が所定量に到達したか否かを判断し、到達しているときにはステップS29へ移り、未達であるときにはステップS25へ戻る。この採取量(所定量)としては、例えば30〜80mL程度とされる。なお、中間バッグ126a内の濃厚血小板の採取量は、血液ポンプ28の回転数と1回転当たりの送液量から算出される。
ステップS29において、中間バッグ126aの濃厚血小板の量が所定量に達したか否かを確認する。この血小板の量は全サイクルの合計値であって、閾値としての所定量は、該閾値はPC製剤の単位数によって異なり、例えば20〜315mLに設定される。濃厚血小板の量が所定量に達しているときにはステップS30へ移り、未達であるときにはステップS25へ戻る。
ステップS30において、血小板採取終了処理を行う。すなわち、クランプ36eを開放し、この他のクランプ36a〜36d及び36fを閉じた状態とし、血液ポンプ28を停止する。なお、濾過中にはクランプ36gは開いた状態でよい。
ステップS31においてモータ64の回転数を制御してロータ50を減速及び停止させる。
ステップS32において返血工程を開始する。返血工程はロータ50の貯血空間54内に残属する血液成分(主に、赤血球、白血球)をドナーに返血する工程である。具体的には、クランプ36a及びクランプ36eを開放するとともに、血液ポンプ28を所定の回転速度(例えば90mL/min)で逆転する。これにより、残存する血液成分は遠心ボウル120の導入口52cから排出され、チューブ104(採血針100)を介してドナーに返血(返還)される。
ステップS33において、気泡センサ34bによって遠心ボウル120から排出される空気を監視する。気泡センサ34bによって空気が検出されない間は返血を継続し、空気が検出されたときにはステップS34へ移る。
ステップS34において返血終了処理を行う。すなわち、所定の回数だけ血液ポンプ28を回転した後、クランプ36a及びクランプ36eを閉じるとともに、血液ポンプ28を停止する。
最終サイクルでは、気泡センサ34fにより空気を検出した後にクランプ36a及びクランプ36eを閉じるとともに血液ポンプ28を停止する。
ステップS35においてサイクル数の確認を行う。すなわち、ステップS10と同様にカウンタIとパラメータNとを比較し、I=NであるときにはステップS36へ移り、それ以外のときにはパラメータIを、I←I+1としてインクリメントして(ステップS37)ステップS3へ戻り、次のサイクルに移る。
ステップS36においては採血処理を終了し、カラータッチパネル20aやスピーカ20bから所定の終了出力を行い、オペレータに終了を知らせる。
上述したように、本実施の形態に係る血液成分採取装置10によれば、循環工程の開始時に循環準備サブ工程を設け、主循環サブ工程の直前期間に低速準備速度V3で運転することにより血漿の移動速度が遅くなり、泡が混入していてもシステム圧力Psが過度に上昇することが防止され、エラーの発生がなく安定した採血処理が可能となる。
これによって、ドナーに対して精神的影響や不快感を与えることがなく、快適な採血が実現される。また、採血が途中で中止されることがなく、採血した血液が有効に利用される。
さらに、循環準備サブ工程は、循環回路内の残存空気が貯血空間54から流出する期間にほぼ一致するように設定されているため、循環準備サブ工程が必要以上に長く行われることがなく、採血時間を短くすることができ、しかも、システム圧力Psの過上昇をより確実に防止することができる。
本発明に係る血液成分採取装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。