JP4916905B2 - 血液成分採取装置 - Google Patents

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Description

本発明は、採血ラインからドナーの血液を採取し、遠心分離器を用いて所定の血液成分を分離する採血工程と、遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程とを実行するように制御される血液成分採取装置に関し、特に、血液ポンプの回転速度が可変である血液成分採取装置に関する。
採血には、血液をそのまま採取する全血採血と、所定の成分のみを取り出す成分採血がある。成分採血では、ドナーから採取した血液を遠心分離することにより所定の成分を抽出し、他の成分についてはドナーに返還する。これにより、必要な成分(血漿や血小板)については全血採血よりも多く採取することができ、しかも他の成分については返還をすることからドナーの負担を軽減することができる。また、このような成分採血を自動的に行うための血液成分採取装置が実用化されている。
血液成分採取装置では、採血ラインからドナーの血液を採取し、遠心分離器を用いて所定の血液成分を分離する採血工程と、前記遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程とが所定の制御部の作用下に血液ポンプ等を回転させることにより自動的に行われる(例えば、特許文献1参照)。また、血液成分採取装置は、抗凝固剤の貯溜部に接続された抗凝固剤ポンプを有し、採血工程で採血ラインに抗凝固剤を送給し、血液と混和させている。これらの血液ポンプ及び抗凝固剤ポンプとしては、チューブに対して側方から作用することのできるローラポンプが一般的に用いられている。ローラポンプは、先端にローラを備えるアームを有し、ローラによってチューブを弾性的に押しつぶしながらアームを回転することにより、内部の液体を送給させることができる。
特許第3221482号公報
血液成分採取装置におけるローラポンプは、工程に応じた適切な送液がなされるように、所定の制御部によって速度が調節される。該制御部では、工程に応じた血液又は血液成分の目標送液量、及び抗凝固剤の目標送剤量が設定され、該目標送液量、目標送剤量をローラポンプの1回転当たりの基準送液量、基準送剤量で除算して回転数を設定している。
一方、送液量、送剤量は各工程で基本となるパラメータであり、できるだけ正確に送給されることが好ましく、特に、採血工程では血液と抗凝固剤とを適正比率で混和させるために血液ポンプと抗凝固剤ポンプの双方が血液及び抗凝固剤を正確に送給されることが望ましい。
これに対して、本願発明者が検証したところ、実際の送液量、送剤量は目標送液量、目標送剤量とは異なっている場合があることが確認された。これにより、例えば抗凝固剤添加率、血液成分分離効果が不安定になるなどの影響がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、血液又は血液成分の送液量を目標送液量に対して正確に一致させることのできる血液成分採取装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、抗凝固剤の送剤量を目標送剤量に対して正確に一致させることのできる血液成分採取装置を提供することを目的とする。
本発明に係る血液成分採取装置は、採血ラインからドナーの血液を採取し、遠心分離器を用いて所定の血液成分を分離する採血工程と、前記遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程とを実行するように制御される血液成分採取装置において、前記採血ラインの圧力を検出する圧力検出手段と、前記採血ラインから前記遠心分離器に血液を供給する速度可変の血液ポンプと、前記血液ポンプの目標送液量を前記血液ポンプの単位周期当たりの基準送液量で除算して血液ポンプ速度指令を求め、前記血液ポンプ速度指令となるように前記血液ポンプを駆動する制御部とを有し、前記制御部は、前記圧力検出手段から得られる前記圧力に基づいて、前記基準送液量を補正して、前記血液ポンプ速度指令を求めることを特徴とする。
このように、圧力検出手段で得られる圧力に基づいて前記基準送液量を補正することにより、実際の送液量の誤差を相当に軽減し、血液又は血液成分の送液量を目標送液量に対して正確に一致させることができる。
なお、遠心分離器による分離工程は、他の工程に対して独立的に行われる必要はなく、例えば採血工程と同時並行的に行っても良い。
また、循環工程とは、採血ラインが処理回路から切り離されている状態で血液成分が処理回路で循環する工程をいい、低速循環、加減速循環及び血小板採取をする工程等を含み得る。
この場合、前記採血工程を実行した後に、前記血液ポンプを駆動して所定の血液成分を処理回路内で循環させる循環工程を実行し、前記循環工程を実行した後に、前記遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程と、残りの血液成分をドナーに返還する返血工程とを実行するように制御され、前記制御部は、前記採血工程と前記循環工程では、前記基準送液量を変更して前記血液ポンプ速度指令を求めるようにしてもよい。
前記基準送液量は、前記返血工程において、前記目標送液量が増大するのに従って、傾斜が小さくなって、値が上昇し、所定値以上では値が減少するように補正するとよい。
前記基準送液量は、前記採血工程において、前記圧力が減少するのに従って、傾斜が大きくなって、値が減少するように補正するとよい。
さらに、前記採血工程において抗凝固剤容器から前記採血ラインに抗凝固剤を供給する速度可変の抗凝固剤ポンプを有し、前記制御部は、前記血液ポンプの目標送液量に対する比率により設定され、前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量を前記抗凝固剤ポンプの単位周期当たりの基準送剤量で除算して抗凝固剤ポンプ速度指令を求め、前記抗凝固剤ポンプ速度指令となるように前記抗凝固剤ポンプを駆動し、前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量に基づいて前記基準送剤量を補正して前記抗凝固剤ポンプ速度指令を求めるようにしてもよい。
これにより、目標送剤量の大小に起因する実際の送剤量との誤差が相当に軽減し、抗凝固剤ポンプによる抗凝固剤の送剤量が目標送剤量に対して正確に一致し、採血工程で血液と抗凝固剤とを適正比率で混和させることができる。
前記基準送剤量は、前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量が増大するのに従って、傾斜が小さくなって、値が上昇し、所定値以上では一定値とするように補正するとよい。
また、本発明に係る血液成分採取装置は、採血ラインからドナーの血液を採取し、遠心分離器を用いて所定の血液成分を分離する採血工程と、所定の血液成分を処理回路内で循環させる循環工程と、前記遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程と、残りの血液成分をドナーに返還する返血工程とを実行するように制御される血液成分採取装置において、前記採血ラインの圧力を検出する圧力検出手段と、前記採血ラインから前記遠心分離器に血液を供給するとともに、前記所定の血液成分を処理回路内で循環させる速度可変の血液ポンプと、前記血液ポンプの目標送液量を前記血液ポンプの単位周期当たりの基準送液量で除算して血液ポンプ速度指令を求め、前記血液ポンプ速度指令となるように前記血液ポンプを駆動する制御部とを有し、前記制御部は、前記採血工程と前記循環工程では、前記基準送液量を変更して前記血液ポンプ速度指令を求めることを特徴とする。
このように、採血工程と循環工程では、基準送液量を変更することにより、血液の粘性と、分離後の血液成分の粘性との差に起因する影響を相当に軽減し、各工程で血液又は血液成分の送液量を目標送液量に対して正確に一致させることができる。
この場合、ポンプの種類及び容量にもよるが、前記循環工程において、前記基準送液量は、前記採血工程における前記基準送液量の1.10〜1.15倍に設定されているとよい。
前記循環工程と前記採取工程とでは、前記基準送液量を同一の値として前記血液ポンプ速度指令を求めるとよい。
本発明に係る血液成分採取装置によれば、ドナー圧力に基づいて基準送液量を補正することにより、実際の層液量の誤差を相当に軽減し、血液又は血液成分の送液量を目標送液量に対して正確に一致させることができる。
また、抗凝固剤ポンプの目標送剤量に基づいて基準送剤量を補正して抗凝固剤ポンプ速度指令を求めることにより、目標送剤量の大小に起因する実際の送剤量の誤差が相当に軽減し、抗凝固剤ポンプによる抗凝固剤の送剤量が目標送剤量に対して正確に一致し、採血工程で血液と抗凝固剤とを適正比率で混和させることができる。
さらに、採血工程と循環工程では、基準送液量を変更することにより、血液の粘性と、分離後の血液成分の粘性との差に起因する影響等を相当に軽減し、各工程で血液又は血液成分の送液量を目標送液量に対して正確に一致させることができる。
以下、本発明に係る血液成分採取装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図8を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る血液成分採取装置10は、装置本体12と、該装置本体12に装着される採血キット14とを有する。装置本体12は、箱形の機構本体部15と、該機構本体部15の背面左右から上方に延在する第1支柱16a及び第2支柱16bと、第1支柱16aの上端左側に設けられた重量計18と、第2支柱の上端部に設けられたモニタ20と、第1支柱16aの右側に設けられた複室バッグ126の有無を検出するバッグ検出センサ21と第2支柱16bの右側に設けられた除菌フィルター114の有無を検出するセンサ23a及び気泡除去用チャンバー112の有無及び抗凝固剤の滴下を検出するセンサ23bとを有する。モニタ20は血液成分採取装置10の入出力装置であり、大型のカラータッチパネル20aと、スピーカ20bとを有し、画像及び音声を用いた簡易な操作が可能である。スピーカ20bはステレオ式である。
機構本体部15は左側の制御機構部22と、右側の遠心分離機構部(分離手段)24とからなる。制御機構部22は、血液成分採取装置10の全体を統括的に制御する制御部26と、血液ポンプ28と、抗凝固剤ポンプ30と、濁度センサ32と、6つの気泡センサ34a、34b、34c、34d、34e、34fと、7つのクランプ36a、36b、36c、36d、36e、36f、36gと、ドナー圧力センサ38と、システム圧力センサ40、光学式センサ62とを有する。濁度センサ32及び各気泡センサ34a〜34fとしては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。濁度センサ32と気泡センサ34dは一体的に構成されている。
遠心分離機構部24は採血キット14の遠心ボウル(遠心分離器)120が装着され、該遠心ボウル120内に導入された血液を遠心分離する機構部である。
遠心ボウル120の設定回転速度としては、例えば4200〜5800rpm程度に設定される。これにより、貯血空間内の血液は内層より血漿層(PPP層)、バフィーコート層(BC層)及び赤血球層(CRC層)に分離される。遠心ボウルの近傍には、血漿層とバフィーコート層との界面(以下、単に界面と呼ぶ。)の位置に応じて変化する透過率から該界面の位置を検出する光学式センサ(図示せず)が設けられている。
制御部26は、機構本体部15の内部に設けられている。制御機構部22における制御部26以外の機器は、採血キット14のチューブが装着可能なように上面、前面及び支柱に設けられている。
血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30は、チューブ側面にローラを押圧させながら連続的に転動させることにより内部の血液を押し出すローラポンプ式であり、血液に対して非接触の状態で駆動可能である。また、血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30は、制御部26の作用下に速度及び流体吐出方向が可変である。血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30の速度制御手順については後述する。
血液ポンプ28は、採血時には所定の正方向(図5における時計方向)に回転することにより血液を引き込む吸引ポンプとして作用し、返血時には逆方向(図5における反時計方向)に回転することにより血液成分をチューブ104に送り出す吐出ポンプとして作用する。
濁度センサ32は、挟み込まれたチューブ内を通過する液体の濁度を検出するセンサである。気泡センサ34a〜34fは、挟み込まれたチューブ内を通過する液体の有無又は気泡を検出するセンサである。クランプ36a〜36gは、挟み込まれたチューブを両側から押圧して閉じ、又は開放して連通させ、開閉バルブとしての作用を奏する。これらのクランプ36a〜36gは、カセットハウジング42がはめ込み可能なように制御機構部22の上面における一区画に集中配置されている。カセットハウジング42は採血キット14のチューブの多くの部分を一体的に集約、配置するための樹脂製部材であり、該カセットハウジング42を制御機構部22の上面にはめ込むことにより所定のチューブが対応するクランプ36a〜36gによって開閉可能に配置される。
ドナー圧力センサ(圧力検出手段)38は、採血キット14における採血経路系統(採血ライン)14a(図3参照)の一部が差し込まれ、採血ラインの圧力を示すドナー圧力Pdを計測するセンサであり、採血時には採血圧力センサとして作用し、返血時には返血圧力センサとして作用する。
システム圧力センサ40は、処理経路系統(処理回路)14b(図3参照)の一部が差し込まれ、回路内の圧力を示すシステム圧力(回路内圧力)Psを計測するセンサである。なお、装置本体12にセットされた状態の採血キット14におけるチューブの配置は本発明の要旨ではないので、図1においてはチューブの一部を省略して図示している。
図2に示すように、制御部26は、出力用として血液ポンプドライバ76と、抗凝固剤ポンプドライバ78と、モータドライバ80と、クランプドライバ82とを有し、血液ポンプ28、抗凝固剤ポンプ30、モータ64及びクランプ36a〜36gを制御する。血液ポンプドライバ76は、血液ポンプ28の速度及び吐出方向を制御する。抗凝固剤ポンプドライバ78は、抗凝固剤ポンプ30の速度を制御する。モータドライバ80はモータ64の回転速度を制御する。クランプドライバ82は、クランプ36a〜36gを個別に開閉制御する。
また、制御部26は、各センサの入力制御を行う入力インターフェース84と、モニタ20の入出力を行うモニタインターフェース86とを有する。さらに、制御部26は、各機能部と協動して採血処理動作を制御するモード制御部88と、各センサの入力信号等に基づいて異常の監視を行う異常監視部90と、所定のプログラムやデータの記憶を行う記憶部92と、タイマ94と、外部機器とのデータ通信を行う通信部96と、血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30の回転速度を制御するポンプ速度制御部98とを有する。ポンプ速度制御部98は、後述する採血時基準送液量補正データ98a(図6参照)及び抗凝固剤基準送剤量補正データ98b(図7参照)を保持している。ポンプ速度制御部98は、後述する採血時基準送液量補正データ98a、返血時基準送液量補正データ98c及び抗凝固剤基準送剤量補正データ98bは、所定の記録部にテーブル形式で記録されている。
制御部26内の機能の一部は、記憶部92に記録されたプログラムを図示しないCPUによって読み込み実行することにより実現される。
図3に示すように、採血キット14は、ドナーから血液を採取及び返還するための採血経路系統14aと、採取した血液を遠心分離又は循環等させる処理経路系統14bとを有する。
採血経路系統14aは、ドナーに穿刺する中空の採血針100と、一端が採血針100に接続されて他端が分岐継手102を介して処理経路系統14bに接続されたチューブ104と、該チューブ104の途中に設けられたチャンバー106と、抗凝固剤が入った抗凝固剤容器107(図1参照)に接続される抗凝固剤容器接続用針108と、一端が該抗凝固剤容器接続用針108に接続されたチューブ110と、該チューブ110の途中に設けられた気泡除去用チャンバー112及び除菌フィルター(異物除去用フィルター)114とを有する。チューブ104とチューブ110は、採血針100の近傍に設けられた分岐継手116により接続されている。
チューブ104(及び後述するチューブ140)は採血、返血に共用であり、採血ライン及び返血ラインとして作用する。
チャンバー106は、チューブ104を通過する血液中の気泡及びマイクロアグリゲートを除去する。チャンバー106の一端にはチューブ104から分岐した短いチューブ118が設けられている。該チューブ118の端部は通気性かつ菌不透過性のフィルター(図示せず)に接続されるとともに、ドナー圧力センサ38に挿入されており、ドナー圧力Pdを計測可能である。
抗凝固剤容器接続用針108に接続された抗凝固剤容器107には、ACD−A液のような抗凝固剤が蓄えられている。チューブ110の一部は抗凝固剤ポンプ30に装着されており、該抗凝固剤ポンプ30の作用下に抗凝固剤容器接続用針108から供給された抗凝固剤はチューブ110(抗凝固剤ライン)及び分岐継手116を介してチューブ104内の血液中に抗凝固剤が混入される。チューブ110の途中には気泡センサ34aが装着される。
チャンバー106と分岐継手102との間には、気泡センサ34b及びクランプ36aが装着される。クランプ36aは分岐継手102の近傍に装着されており、クランプ36aを開くことにより採血経路系統14aと処理経路系統14bは連通する。チューブ104には直列して2つの気泡センサ34e及び34fが装着されており、気泡や空気を確実に検知することができる。
処理経路系統14bは遠心ボウル120と、血漿採取バッグ122と、血小板採取バッグ124と、中間バッグ126aと、エアーバッグ126bと、バッグ128と、白血球除去フィルター130とを有する。
血漿採取バッグ122及び血小板採取バッグ124は、遠心分離等の処理により得られた血漿及び血小板を蓄えるバッグである。血漿採取バッグ122は重量計18(図1参照)のフック18aに懸架され、収納された血漿の重量を計測することができる。血小板採取バッグ124は、機構本体部15の前面に懸架される(図1参照)。
中間バッグ126aは、採取した血小板(濃厚血小板)を一時的に貯留するための容器である。エアーバッグ126bは、回路内の無菌空気を一時的に収納するための容器である。エアーバッグ126bと中間バッグ126aとは、回路的には分離した独立の容器であるが、物理的には一体的であって複室バッグ126を構成している。複室バッグ126はバッグ検出センサ21(図1参照)のフック21aに懸架される。
採血を行う際には、遠心ボウル120の貯血空間内等の空気はエアーバッグ126b内に移送され、収納される。返血工程の際には、エアーバッグ126b内に収納されている空気は、貯血空間内に戻され、所定の血液成分が、ドナーへ返還される。
バッグ128は血小板採取バッグ124に接続されたバッグであり、成分採血の終了後、血小板採取バッグ124内の空気を排出する際に用いられる。
血漿採取バッグ122、血小板採取バッグ124、中間バッグ126a、エアーバッグ126b及びバッグ128は、それぞれ樹脂製(例えば、軟質ポリ塩化ビニル)の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。
なお、血小板採取バッグ124に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いることができる。
白血球除去フィルター130は、中間バッグ126aから血小板採取バッグ124に血液成分を移送する際に、血液成分中の白血球を分離除去するフィルターである。図1から明らかなように、白血球除去フィルター130は、中間バッグ126aより低く、血小板採取バッグ124より高い位置に配置される。
次に、処理経路系統14bの各構成機器を接続するチューブについて説明する。処理経路系統14bの端部である分岐継手102と遠心ボウル120の導入口との間はチューブ140で接続されている。該チューブ140の一部は血液ポンプ28に装着される。したがって、血液ポンプ28を正転させることにより血液を採血経路系統14aから遠心ボウル120内に導入し、又は処理経路系統14b内で所定の循環動作を行うことができる。また、血液ポンプ28を逆転させることにより、所定の血液成分を採血経路系統14aに導出し、ドナーに返還することができる。
遠心ボウル120の排出口にはチューブ142が接続されており、該チューブ142は分岐継手144を介して三つ股に分岐してチューブ146、チューブ148及びチューブ150に接続されている。チューブ142は、濁度センサ32及び気泡センサ34dに直列的に接続されている。
チューブ146はエアーバッグ126bに接続されており、その途中はクランプ36eに装着されている。チューブ148の端部は通気性かつ菌不透過性のフィルター(図示せず)に接続されるとともに、システム圧力センサ40に挿入されており、システム圧力Psを計測可能である。
チューブ150の端部は血漿採取バッグ122に接続されており、その途中には分岐継手152が設けられ、チューブ154を介して中間バッグ126aに接続されている。チューブ154はクランプ36dに装着されている。分岐継手152と血漿採取バッグ122との間のチューブ150はクランプ36cに装着されている。
中間バッグ126aと血小板採取バッグ124との間はチューブ156により接続されており、その途中には白血球除去フィルター130が設けられている。
中間バッグ126aと血小板採取バッグ124との間のチューブ156は、気泡センサ34c及びクランプ36gに装着されている。白血球除去フィルター130の端部には、チューブ156から短く分岐したフィルター160が設けられている。フィルター160は菌不透過性のベントフィルター及びキャップからなる。
気泡センサ34cとクランプ36gとの間のチューブ156には分岐継手162が設けられ、チューブ164を介して、血漿採取バッグ122に接続されている。チューブ164の途中には分岐継手166が設けられている。該分岐継手166と分岐継手102との間はチューブ168により接続されている。分岐継手162と分岐継手166との間のチューブ164はクランプ36fに装着されている。チューブ168における分岐継手102の近傍部には、クランプ36bが装着されている。
血小板採取バッグ124とバッグ128はチューブ158により接続されている。
このように構成される採血キット14は予め所定の滅菌処理がなされている。なお、採血キット14には、チューブが集中配置されたカセットハウジング42、及びチューブの一部とフィルター160とを保持するフィルターカセット170(図1参照)が設けられている。
次に、血液成分採取装置10により成分採血を行う主な手順について図4を参照しながら説明する。
先ず、図4のステップS1において所定の初期処理を行う。初期処理としては、チューブ110とチューブ104の採血針100からチャンバー106までを、抗凝固剤でプライミングし、その後、ドナーの血管に採血針100を穿刺する。この後、モニタ20のカラータッチパネル20aを操作して成分採血処理を開始する。これ以降の手順は主に制御部26の作用下に自動的に行われる。
ステップS2(採血工程)において第1の血漿採取工程を行う。この第1の血漿採取工程は、遠心ボウル120の貯血空間内に抗凝固剤が添加された血液を導入して遠心分離することにより得られる血漿を血漿採取バッグ122内に採取する工程である。
ここで、血液(抗凝固剤添加血液)は、チューブ104を介して移送され、遠心ボウル120の導入口よりロータの貯血空間内に導入される。このとき、遠心ボウル120内の空気は、チューブ142及びチューブ146を介してエアーバッグ126b内に送り込まれる。
このとき、クランプ36a、36eは開放しており、その他のクランプは閉塞している。
血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30が駆動すると、遠心ボウル120のロータの回転を開始する。ロータの回転数はステップS8まで一定に維持される。ロータの回転により、貯血空間内に導入された血液は、内側から血漿層、バフィーコート層、赤血球層の3層に分離される。
チューブ142に設けられた気泡センサ34dの信号を監視し、チューブ142を流れる流体が空気から血漿に変わったことを検出した後クランプ36eを閉じるとともにクランプ36cを開放する。貯血空間の容量を越える血液が貯血空間内に導入されると、遠心ボウル120の排出口から血漿が流出することから、このタイミングを気泡センサ34dにより検出してクランプ操作を行い、チューブ142及びチューブ150を介して血漿を血漿採取バッグ122内に導入、採取するように切り替える。血漿採取バッグ122に導入された血漿の重量は、重量計18により計測される。重量計18から得られる重量信号に基づき、血漿採取バッグ122内に所定量の血漿が採取されたことが確認された後ステップS3へ移る。
ステップS3(循環工程)において、定速血漿循環工程を行う。定速血漿循環工程は、血漿採取バッグ122内の血漿を貯血空間を含む処理回路で血液ポンプ28の速度を一定にして循環させる工程である。つまり、クランプ36aを閉じ、クランプ36bを開放するとともに抗凝固剤ポンプ30を停止する。これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ122内の血漿を循環させる経路が形成される。この処理回路は、血漿採取バッグ122からチューブ164、168及び140を介して貯血空間内に至り、遠心ボウル120の排出口から流出してきた血漿をチューブ142及び150を介して血漿採取バッグ122内に回収する経路である。この定速血漿循環工程を所定時間行った後、ステップS4へ移る。
ステップS4(採血工程)において、第2の血漿採取工程を行なう。第2の血漿採取工程では、第1の血漿採取工程と同様に血漿の採取及び遠心分離を行なう。これにより、貯血空間内の赤血球量が増加、すなわち、赤血球層の層厚が増大するのに伴い、血球層を血漿層の界面も徐々に遠心ボウル120の回転軸に近づくので、光学式センサ62からの検出信号に基づいて界面が所定レベルに到達したことを確認した後、ステップS5へ移る。
ステップS5(循環工程)において加速血漿循環工程を行なう。加速血漿循環工程は、血漿採取バッグ122内の血漿を貯血空間内に血液ポンプ28の速度を加速させながら処理回路内で循環させる工程である。血漿の循環速度が所定速度に到達した後、ステップS6へ移る。
ステップS6(採血工程)において第3の血漿採取工程を行う。第3の血漿採取工程では、第1及び第2の血漿採取工程と同様に、血漿の採取を行なう。血漿採取バッグ122内に所定量の血漿が採取されたことが確認された後、ステップS7へ移る。
ステップS7(採取工程)において血小板採取工程を行なう。血小板採取工程は血漿採取バッグ122内の血漿を、貯血空間内で第1の加速度にて血液ポンプ28の速度を加速させながら循環させ、次いで、第1の加速度より大きい第2の加速度に変更し、該第2の加速度にて血液ポンプ28の速度を加速させながら循環させて、貯血空間内より血小板を流出させ、濃厚血小板を中間バッグ126a内に採取(貯留)する工程である。血小板採取工程において所定の操作を行った後、クランプ36a〜36d、36f及び36gを閉じクランプ36eを開放した状態とし、血液ポンプ28を停止する。
ステップS8においてモータ64の回転数を制御してロータを減速及び停止させる。
ステップS9において返血工程を開始する。返血工程はロータの貯血空間内に残存する血液成分(主に、赤血球、白血球及び必要に応じて血漿)をドナーに返血する工程である。つまり、クランプ36a及びクランプ36eを開放するとともに、血液ポンプ28を逆転する。これにより、ロータの貯血空間内に残存する血液成分は遠心ボウル120の導入口から排出され、チューブ104(採血針100)を介してドナーに返血(返還)される。このとき、血漿も返血する場合には一時的にクランプ36cを開放するとともにクランプ36eを閉塞する。
この後、所定の終了条件に基づいて返血工程を終了する。
ステップS10において、所定のサイクル数を終了したか否かを確認し、未終了であるときにはステップS2へ戻り採血、返血等の処理を続行する。
なお、最終サイクル時には、ステップS4で濾過工程を開始する。濾過工程は、中間バッグ126a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター130に供給して、濃厚血小板の濾過、すなわち、濃厚血小板中の白血球の分離除去を行なう工程である。白血球が除去された濃厚血小板は血小板採取バッグ124に貯溜される。
次に、血液ポンプ28の送液機能について説明する。
図5に示すように、血液ポンプ28はいわゆるローラポンプであり、中心軸200と、該中心軸200から反対方向に延在する2つのアーム202と、これらのアーム202の各先端に設けられたローラ204と、円弧壁(ステータとも呼ばれる。)206とを有する。チューブ140は円弧壁206に沿って配設され、ローラ204と円弧壁206によって弾性的に押しつぶされるように構成されている。このような血液ポンプ28は、制御部26の作用下に中心軸200を回転させることにより、ローラ204がチューブ140を弾性的に押しつぶしながら円弧壁206に沿って移動し、チューブ140の内部の液体を送給することができる。
採血工程における血液ポンプ28による送液量[mL/min]は、血液ポンプ速度指令R1[rpm]×1回転(単位周期)当たりの基準送液量K1[mL/rev]で表される。従って、制御部は、基本的には目標送液量Q1c[mL/min]に対して、血液ポンプ速度指令R1をR1←Q1c/K1として求め、中心軸200がR1で回転するように制御をする。
ここで、基準送液量K1は、
K1=A×r×θ+α …(1)
として表される。ここで、Aはチューブ140の断面積であり、rは血液ポンプ28内におけるチューブ140の中心軸200からの距離であり、θ[rad]は円弧壁206の円弧角度である。また、αはローラ204による潰れ代等の機械的ずれ量を補償する補償値である。
また、抗凝固剤ポンプ30は血液ポンプ28と同構成であることから、詳細な説明は省略する。採血工程における血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R1、基準送液量K1、目標送液量Q1cに相当する値を、抗凝固剤ポンプ30に対しては、抗凝固剤ポンプ速度指令R2、基準送剤量K2、目標送剤量Q2cと規定する。
抗凝固剤ポンプ30は血液ポンプ28と同構成であることから、
K2=K1=A×r×θ+α …(2)
である。
返血工程における血液ポンプ28による送液量は、採血工程と同構成であることから、詳細な説明は省略する。採血工程における血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R1、基準送液量K1、目標送液量Q1cに相当する値を、それぞれR、K3、Q3cと規定する。
返血工程における血液ポンプ28は採血工程で用いるものと同一であることから、
K3=K1=A×r×θ+α …(3)
である。
ところで、採血工程における血液ポンプ速度指令R1、抗凝固剤ポンプ速度指令R2、返血工程における血液ポンプ速度指令R3を、単純にR1←Q1c/K1、R2←Q2c/K2、R3←Q3c/K3として設定したのでは、実際の送液量は目標送液量Q1c、Q2c及びQ3cとは異なっている場合があることが本願発明者により確認された。本願発明者がさらに実験、検証等を行った結果、これらのずれは下記の要因の影響を受けていることが判明した。
(a)採血工程における血液ポンプ28の実際の送液量Q1rは、目標送液量Q1cの大小による影響は少ない。これは、送液量Q1rが流れるのはQ1cの設定範囲ではローラに潰されたチューブがローラから離れても、次のローラが来るまでに十分に復元しないためであると考えられる。
(b)血液ポンプ28の実際の送液量Q1rは、採血工程において、ドナー圧力Pdの大小によって影響を受ける。これは、ドナー圧力Pdの変化によって血液ポンプ28内のローラ204で圧送する流体量が変化するためである。この変化は、主に採血針100の先端部と血管壁との間の抵抗に起因していると考えられる。
(c)抗凝固剤ポンプ30の実際の送剤量Q2rは、目標送剤量Q2cの大小によって影響を受ける。これは、Q2cが小さいときにローラに潰されたチューブから離れた時、十分に復元し、逆流が起こるためであると考えられる。
(d)血液ポンプ28の実際の送液量Q1rは、工程によって影響を受ける。これは、採血工程では粘性の高い血液を送給するのに対して、循環工程では、分離後の粘性の低い血液成分(主に、血漿)を送給するためであると考えられる。
また、採血工程では、抵抗の大きい採血針100を通過し、長いチューブを通って血液が送給されるのに対して、循環工程(採取工程を含む)では、採血針100を通過せず、比較的短いチューブを通って血漿が送られるため影響があると考えられる。
(e)返血工程における血液ポンプ28の実際の送液量Q3rは、返血工程において、目標送液量Q3cの大小によって影響を受ける。これは、ローラに潰されたチューブがローラから離れた時、十分に元の形に戻り、逆流が起こることや、抵抗の大きい採血針100を通過することに起因していると考えられる。
次に、各工程において行われる血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30の速度制御手順について説明する。以下の制御手順は、上記の現象を補正して送液量Q1r、送剤量Q2rを高精度に設定可能としたものである。
採血工程(ステップS2、S4、S6)における血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R1の第1の設定方法としては、R1←Q1c/K1として設定される。つまり、前記の(a)項のように、血液ポンプ28による実際の送液量Q1rは目標送液量Q1cの大小による影響は少ないため、基準送液量K1をそのまま用いればよい。採血工程における目標送液量Q1cは、例えば60mL/minに設定され、ドナー圧力Pdを参照しながら適宜修正してもよい。
採血工程(ステップS2、S4、S6)における血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R1の第2の設定方法としては、先ず、基準送液量K1を補正する。つまり、基準送液量K1は、ドナー圧力Pdをパラメータとして図6に示す採血時基準送液量補正データ98aを参照することにより補正値K1’に補正される。
採血時基準送液量補正データ98aは、前記の(b)項の影響を補償するための補正値のデータであり、ドナー圧力Pdに基づいて参照される。採血時基準送液量補正データ98aは、ドナー圧力Pdが減少する(絶対値が増大する)に従って、略二次曲線状に傾斜が大きくなって、値が減少するように設定されている。より詳細には、補正値K1’は、ドナー圧力Pdが0mmHgであるときには(1)式で求められる基準送液量K1より僅かに大きく設定され(ほとんど基準送液量K1に等しい)、且つ傾斜は略0であり、ドナー圧力Pdが−20mmHgであるときには基準送液量K1と等しく設定され、その後、ドナー圧力Pdの絶対値が増大するに従って、傾斜が大きくなって、値が減少する。ドナー圧力Pdが−100mmHgであるときの値K1eは、例えば、K1e=(0.95〜0.98)×K1程度に設定される。
ドナー圧力Pdが−20mmHgであるときに、K1=K1’と設定されているのは、この−20mmHgが採血時の一般的なドナー圧力であるためである。
このようにして、ドナー圧力Pdに基づいて補正値K1’を求めた後、血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R1は、R1←Q1c/K1’として設定する。これにより、(b)項の影響が相当に軽減され、血液の実際の送液量Q1rが目標送液量Q1cに正確に一致するようになる。また、送液量Q1rが高精度に設定されることから、採血工程で血液と抗凝固剤とを適正比率で混和させることができる。
この設定方法では、ドナー圧力Pdが平均的な−20mmHgであるときには、K1’=K1として設定されている。ドナーの血流が悪くなり、例えばドナー圧力Pdが−100mmHgに下がると、K1’=K1eに設定される。このように、基準送液量K1の補正値K1’は、採血工程におけるドナー圧力Pdに合わせてリアルタイムに設定変更される。
採血工程(ステップS2、S4、S6)において、抗凝固剤ポンプ30の目標送剤量Q2cは、目標送液量Q1cの1/10(目標送液量に対する比)として設定される。つまり、目標送液量Q1cが、Q1c=60mL/minであるときには、目標送剤量Q2cは、Q2c←6(=60/10)mL/minとして設定される。目標送液量Q1cがリアルタイムで変更される場合には、目標送剤量Q2cも対応してリアルタイムで変更するとよい。
また、基準送剤量K2は、目標送剤量Q2cをパラメータとして図7に示す抗凝固剤基準送剤量補正データ98bを参照することにより補正値K2’に補正される。
抗凝固剤基準送剤量補正データ98bは、前記の(c)項の影響を補償するための補正値のデータであり、目標送剤量Q2cに基づいて参照される。抗凝固剤基準送剤量補正データ98bは、目標送剤量Q2cが増大するに従って、傾斜が小さくなりながら値が上昇し、所定値(図7では約10mL/min)以上では一定値となる。より詳細には、目標送剤量Q2cが0.08mL/minであるときには(2)式で求められる基準送剤量K2よりも僅かに小さい値K2sに設定され、目標送剤量Q2cが5mL/min程度まで急上昇し、5〜10mL/min程度では緩やかに上昇し、10mL/min程度以上では一定値となる。
値K2sは、例えば、K2s=(0.95〜0.99)×K2程度に設定され、一定値K2eは、例えば、K2e=(1.01〜1.10)×K2程度に設定される。
このようにして、目標送剤量Q2cに基づいて補正値K2’を求めた後、抗凝固剤ポンプ30の抗凝固剤ポンプ速度指令R2は、R2←Q2c/K2’として設定する。これにより、(c)項の影響が相当に軽減され、抗凝固剤の実際の送剤量Q2rが目標送剤量Q2cに正確に一致するようになる。また、送剤量Q2rが高精度に設定されることから、採血工程で血液と抗凝固剤とを適正比率で混和させることができる。
次に、循環工程(ステップS3、S5)及び採取工程(ステップS7)における血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R1の設定方法としては、先ず、基準送液量K1を補正値K1cに変更する。補正値K1cは、基準送液量K1よりも大きい値であり、例えばK1c=(1.10〜1.15)×K1程度に設定される。この補正値K1cは、前記の(d)項の影響を補償するための補正値である。
この後、血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R1は、R1←Q1c/K1cとして設定する。これにより、(d)項の影響が相当に軽減され、血液の実際の送液量Q1rが目標送液量Q1cに正確に一致するようになる。
循環工程では、採血経路系統(採血ライン)14a(図3参照)はクランプ36aによって切り離されており、ドナー圧力Pdの影響はなく、前記の(b)項の現象については考慮する必要がない。また、循環工程では、加減速を行い、目標送液量Q1cが大きく変化するが、前記の(a)項で示したように、目標送液量Q1cによる実際の送液量Q1rへの影響は少ない。結局、循環工程では、血液ポンプ速度指令R1を求める式、R1←Q1c/K1cにおいて補正値K1cを固定的に用いることができる。
返血工程(ステップS9)における血液ポンプ28の血液ポンプ指令R3は、まず、基準送液量K3を補正する。つまり、基準送液量K3は、目標送液量Q3cをパラーメタとして図8に示す返血時基準送液量補正データ98cを参照することより補正値K3’に補正される。
返血時基準送液量補正データ98cは、前記の(e)項の影響を補償するための補正値のデータであり、目標送液量Q3cに基づいて参照される。返血時基準送液量補正データ98cは、目標送液量Q3cが増大するに従って、傾斜が小さくなりながら値が上昇し、所定値(図8では約10mL/min)以上では直線的に下降する。
詳細には、目標送液量Q3cが2mL/minであるときには(3)式で求められる基準送液量K3よりも僅かに大きい値K3sに設定され、目標送液量Q3cが8mL/min程度まで急上昇し、8〜10mL/程度では緩やかに上昇し、10mL/min程度以上では直線的に下降する。
値K3sは、例えばK3s=(1.01〜1.30)×K3程度に設定され、目標送液量Q3cが10mL/min以上のときの傾きK3gは−0.001〜−0.005程度に設定される。
このようにして、目標送液量Q3cに基づいて補正値K3’を求めた後、血液ポンプ28の血液ポンプ速度指令R3は、R3←Q3c/K3’として設定する。これにより(e)項の影響が相当に軽減され、実際の送液量Q3rが目標送液量Q3cに正確に一致するようになる。また、送液量Q3rが高精度に実行されることから、返血工程でクエン酸反応予防操作(血液ポンプ速度制御)を確実に実行することができる。
この設定方法では、目標送液量Q3cが90mL/minであるときには、K3’=K3として設定されている。ドナーの血管抵抗が大きくなり、例えば目標送液量Q3cが20mL/minに上がると、K3’=K3eに設定される。このように、基準送液量K3の補正値K3’は、返血工程における目標送液量Q3cに合わせてリアルタイムに設定変更される。
上述したように、本実施の形態に係る血液成分採取装置10によれば、ドナー圧力Pdに基づいて基準送液量K1を補正することにより、ドナー毎の影響が相当に軽減し、血液又は血液成分の送液量を目標送液量Q1rに対して正確に一致させることができる。
また、採血工程と循環工程では、基準送液量K1と補正値K1cとを変更することにより、血液の粘性と、分離後の血液成分の粘性との差に起因する影響等を相当に軽減し、各工程で血液又は血液成分の実際の送液量Q1rを目標送液量Q1cに対して正確に一致させることができる。
さらに、工程毎、回路毎に別のポンプを設ける必要がなく、抗凝固剤の送給以外は、血液ポンプ28だけで血液又は血液成分を正確な流量で送給することができる。
なお、採血時基準送液量補正データ98a及び抗凝固剤基準送剤量補正データ98bは、実験、シミュレーション等により求めることができる。採血工程における採血時基準送液量補正データ98a、返血時基準送液量補正データ98c及び抗凝固剤基準送剤量補正データ98bは、テーブル形式に限らず、近似式、実験式等の形式で記録されていてもよい。
採血時基準送液量補正データ98a、抗凝固剤基準送剤量補正データ98b及び、返血時基準送液量補正データ98cは、補正値K1’、K2’及びK3’がそのまま記録されていてもよいし、基準送液量K1及び基準送剤量K2を1とした倍率値が記録されていてもよい。倍率値による記録では、容量の異なる血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30に対しても容易に適用可能である。
また、採血時基準送液量補正データ98a、抗凝固剤基準送剤量補正データ98b及び返血時基準送液量補正データ98cは、図6、図7及び図8に示すものに限らず、例えば、回路構成、内部を流れる液体の種類、温度、チューブの材質や内外径、チューブの使用時間、ポンプの構成(ローラ及びステータの径や材質、ローラとステータとのギャップ)等のうち1つ以上が関連して独自の式となるので、個々のポンプシステム毎に基準送液量K1、基準送剤量K2をポンプ1回転当たりの関係を実験、シミュレーション等によって調べて適用してもよい。この適用には、最小二乗法による回帰式を用いるとよい。適用する式(又はテーブル等)は単一であるである必要はなく、複数の式(又はテーブル等)から構成されていてもよい。基準送液量K1、基準送剤量K2とドナー圧力Pd等との2つ以上の因子の影響を受けるときには、重回帰して式を求めてもよい。
血液ポンプ28及び抗凝固剤ポンプ30は、必ずしもローラポンプに限定されるものではなく、例えば、ダイヤフラムポンプであってもよい。
また、循環工程、濾過工程、返血工程のうち一部又は全てを行わないものであってもよい。さらに、各工程で用いられる血液ポンプは、兼用されていなくてもよく、専用又は一部専用として用いてもよい。
本発明に係る血液成分採取装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本実施の形態に係る血液成分採取装置を示す斜視図である。 制御部のブロック構成図である。 採血キットの回路図である。 血液成分採取装置で行われる成分採血の手順を示すフローチャートである。 採血工程における血液ポンプの概略平面図である。 採血時基準送液量補正データの内容を示すグラフである。 抗凝固剤ポンプ基準送剤量補正データの内容を示すグラフである。 返血時基準送液量補正データの内容を示すグラフである。
符号の説明
10…血液成分採取装置 14…採血キット
14a…採血経路系統 14b…処理経路系統(処理回路)
26…制御部 28…血液ポンプ
30…抗凝固剤ポンプ 38…ドナー圧力センサ
40…システム圧力センサ 98…ポンプ速度制御部
98a…採血時基準送液量補正データ 98b…抗凝固剤基準送剤量補正データ
98c…返血時基準送液量補正データ 100…採血針
107…抗凝固剤容器 108…抗凝固剤容器接続用針
120…遠心ボウル
R1、R3…血液ポンプ速度指令 R2…抗凝固剤ポンプ速度指令
K1、K3…基準送液量 K2…基準送剤量
K1’、K2’、K3’、K1c…補正値 Pd…ドナー圧力

Claims (8)

  1. 採血ラインからドナーの血液を採取し、遠心分離器を用いて所定の血液成分を分離する採血工程と、前記遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程とを実行するように制御される血液成分採取装置において、
    前記採血ラインの圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記採血ラインから前記遠心分離器に血液を供給する速度可変の血液ポンプと、
    前記採血工程において抗凝固剤容器から前記採血ラインに抗凝固剤を供給する速度可変の抗凝固剤ポンプと、
    前記血液ポンプの目標送液量を前記血液ポンプの単位周期当たりの基準送液量で除算して血液ポンプ速度指令を求め、前記血液ポンプ速度指令となるように前記血液ポンプを駆動し、且つ前記血液ポンプの目標送液量に対する比率により設定され、前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量を前記抗凝固剤ポンプの単位周期当たりの基準送剤量で除算して抗凝固剤ポンプ速度指令を求め、前記抗凝固剤ポンプ速度指令となるように前記抗凝固剤ポンプを駆動する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記圧力検出手段から得られる前記圧力に基づいて、前記基準送液量を補正して、前記血液ポンプ速度指令を求めるとともに、
    前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量に基づいて前記基準送剤量を補正して前記抗凝固剤ポンプ速度指令を求めることを特徴とする血液成分採取装置。
  2. 請求項1記載の血液成分採取装置において、
    前記採血工程を実行した後に、前記血液ポンプを駆動して所定の血液成分を処理回路内で循環させる循環工程を実行し、前記循環工程を実行した後に、前記遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程と、残りの血液成分をドナーに返還する返血工程とを実行するように制御され、
    前記制御部は、前記採血工程と前記循環工程では、前記基準送液量を変更して前記血液ポンプ速度指令を求めることを特徴とする血液成分採取装置。
  3. 請求項2記載の血液成分採取装置において、
    前記基準送液量は、前記返血工程において、前記目標送液量が増大するのに従って、返血時の前記基準送液量の補正値の傾斜が小さくなって、値が上昇し、所定値以上では値が減少するように補正されることを特徴とする血液成分採取装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の血液成分採取装置において、
    前記基準送液量は、前記採血工程において、前記圧力が減少するのに従って、採血時の前記基準送液量の補正値の傾斜が大きくなって、値が減少するように補正されることを特徴とする血液成分採取装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の血液成分採取装置において、
    前記基準送剤量は、前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量が増大するのに従って、前記抗凝固剤の前記基準送剤量の補正値の傾斜が小さくなって、値が上昇し、所定値以上では一定値とするように補正されることを特徴とする血液成分採取装置。
  6. 採血ラインからドナーの血液を採取し、遠心分離器を用いて所定の血液成分を分離する採血工程と、所定の血液成分を処理回路内で循環させる循環工程と、前記遠心分離器を用いて分離された特定の血液成分を採取する採取工程と、残りの血液成分をドナーに返還する返血工程とを実行するように制御される血液成分採取装置において、
    前記採血ラインの圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記採血ラインから前記遠心分離器に血液を供給するとともに、前記所定の血液成分を処理回路内で循環させる速度可変の血液ポンプと、
    前記採血工程において抗凝固剤容器から前記採血ラインに抗凝固剤を供給する速度可変の抗凝固剤ポンプと、
    前記血液ポンプの目標送液量を前記血液ポンプの単位周期当たりの基準送液量で除算して血液ポンプ速度指令を求め、前記血液ポンプ速度指令となるように前記血液ポンプを駆動し、且つ前記血液ポンプの目標送液量に対する比率により設定され、前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量を前記抗凝固剤ポンプの単位周期当たりの基準送剤量で除算して抗凝固剤ポンプ速度指令を求め、前記抗凝固剤ポンプ速度指令となるように前記抗凝固剤ポンプを駆動する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記採血工程と前記循環工程では、前記基準送液量を変更して前記血液ポンプ速度指令を求めるとともに、
    前記抗凝固剤ポンプの目標送剤量に基づいて前記基準送剤量を補正して前記抗凝固剤ポンプ速度指令を求めることを特徴とする血液成分採取装置。
  7. 請求項2又は記載の血液成分採取装置において、
    前記循環工程において、前記基準送液量は、前記採血工程における前記基準送液量の1.10〜1.15倍に設定されていることを特徴とする血液成分採取装置。
  8. 請求項又は記載の血液成分採取装置において、
    前記循環工程と前記採取工程とでは、前記基準送液量を同一の値として前記血液ポンプ速度指令を求めることを特徴とする血液成分採取装置。
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