JPH08117331A - 血液成分分離装置および血液成分分離移送方法 - Google Patents

血液成分分離装置および血液成分分離移送方法

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JPH08117331A
JPH08117331A JP6287284A JP28728494A JPH08117331A JP H08117331 A JPH08117331 A JP H08117331A JP 6287284 A JP6287284 A JP 6287284A JP 28728494 A JP28728494 A JP 28728494A JP H08117331 A JPH08117331 A JP H08117331A
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plasma
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rotor
platelets
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JP6287284A
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English (en)
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Atsushi Suzuki
篤 鈴木
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】血液成分分離装置1は、遠心ボウル4と、その
回転駆動装置5と、遠心ボウル4に血液及び血漿を導入
する第1のライン2と、遠心分離された血液成分を回収
する第2のライン3と、光学センサー61、62と、制
御手段と、血液貯留部106を有する第3のライン10
と、第1のライン2に設置されたポンプ9とを有する。
この装置1では、血液貯留部106より移送される血液
を遠心ボウル4にて遠心分離し、得られた血漿を血漿バ
ッグ21に貯留しておき、その後、該血漿を第1のライ
ン2を介してローター42の下方より供給して血小板を
浮上させ、該血小板を第2のライン3を介して血小板バ
ッグ17に回収する。該血小板回収工程では、血漿を所
定速度で供給し次いでより低速で供給する単位工程を少
なくとも1回行う。 【効果】短時間で血小板の回収率及び白血球の除去率が
高い血液製剤が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中から所定の血液
成分を分離する血液成分分離装置および血液成分分離移
送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】採血を行う場合、現在では、血液の有効
利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液
を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必
要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者に返還す
る成分採血が行われている。
【0003】このような成分採血において、血小板製剤
を得る場合、供血者から採血した血液を血液成分分離回
路に導入し、該血液成分分離回路に設置された遠心ボウ
ルと呼ばれる遠心分離器により、血漿、白血球、血小板
および赤血球の4成分に分離し、その内の血小板を容器
に回収して血小板製剤とし、残りの血漿、白血球および
赤血球は、供血者に返血することが行われる。
【0004】しかしながら、この方法では、白血球と血
小板との比重がわずかな差であることから、これらの界
面が明確ではなく、よって、回収された血小板中の白血
球(特にリンパ球)の除去率が低くなり、その結果、そ
の血小板製剤を使用した場合に、肝炎、エイズ、GVH
D等の感染の確率が高くなるという問題がある。
【0005】そこで、遠心ボウルの下方より先に得られ
た血漿を供給して血小板を浮上させ、該血小板を回収す
る方法(サージ法)が提案されているが、この方法で
は、血漿の供給速度が一定であり、しかもその供給速度
が200ml/min 以上と速いために、やはり血小板中の
白血球除去率が低く、上記問題が解決されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、遠心
分離により得られた所望の血液成分の収率または該血液
成分中の他の血液成分の除去率が高い血液成分分離装置
および血液成分分離移送方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(11)の本発明により達成される。
【0008】(1) 血液を複数の血液成分に分離する
とともに分離された血液成分を移送する血液成分分離装
置であって、内部に貯血空間を有する回転可能なロータ
ーと、前記貯血空間に連通する流入口および流出口とを
有し、前記ローターの回転により前記流入口より導入さ
れた血液を前記貯血空間内で複数の血液成分に遠心分離
する遠心分離器と、前記流入口に接続された第1のライ
ンと、前記流出口に接続された第2のラインと、前記第
1のラインの途中に設置されたポンプとを有し、前記貯
血空間に分離された血液成分がほぼ満たされた状態で、
前記ローターの回転下で前記ポンプを作動して、前記第
1のラインを介して前記貯血空間に下方より血漿を供給
することにより、血小板を浮上させ、該血小板を前記第
2のラインを介して回収するに際し、血漿を所定速度で
供給し、次いで該速度より低速で血漿を供給する単位工
程を少なくとも1回行うよう作動することを特徴とする
血液成分分離装置。
【0009】(2) 少なくとも前記ポンプの作動を制
御する制御手段を有する上記(1)に記載の血液成分分
離装置。
【0010】(3) 前記第1のラインおよび/または
第2のラインに、流路を開閉し得る流路開閉手段が設置
され、前記制御手段は、前記ポンプの作動とともに前記
流路開閉手段の作動を制御する上記(2)に記載の血液
成分分離装置。
【0011】(4) 前記第1のラインの少なくとも一
部は、前記貯血空間への血液の導入と血漿の導入とに兼
用される上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血
液成分分離装置。
【0012】(5) 前記第2のラインは、それぞれ異
なる血液成分を回収する複数の分岐ラインを有する上記
(1)ないし(4)のいずれかに記載の血液成分分離装
置。
【0013】(6) 内部に貯血空間が形成されたロー
ターを有する遠心分離器を用い、前記貯血空間に血液を
導入し、該血液を遠心分離して複数の血液成分に分離す
るとともに、分離された所定の血液成分を前記ローター
の上部側から排出し、移送する血液成分分離移送方法で
あって、前記ローターの回転下で前記貯血空間に下方よ
り血漿を供給し、血小板を浮上させて回収する工程を有
し、該工程において、血漿を所定速度で供給し、次いで
該速度より低速で血漿を供給する単位工程を少なくとも
1回行うことを特徴とする血液成分分離移送方法。
【0014】(7) 内部に貯血空間が形成されたロー
ターを有する遠心分離器を用い、前記貯血空間に血液を
導入し、該血液を遠心分離して複数の血液成分に分離す
るとともに、分離された所定の血液成分を前記ローター
の上部側から排出し、移送する血液成分分離移送方法で
あって、前記ローターの回転下で前記貯血空間に下方よ
り血漿を供給し、血小板を浮上させて回収する工程を有
し、該工程において、血漿を所定速度で供給し、次いで
該速度より低速で血漿を供給する単位工程を複数回行う
ことを特徴とする血液成分分離移送方法。
【0015】(8) 前記各単位工程における工程開始
時の、前記貯血空間内の所定の血液成分のレベルを一致
させる上記(7)に記載の血液成分分離移送方法。
【0016】(9) 前記血小板を回収する工程におい
て、血漿の供給速度を10〜90ml/min とする上記
(6)ないし(8)のいずれかに記載の血液成分分離移
送方法。
【0017】(10) 前記貯血空間の容積に対する前記
貯血空間内に存在する赤血球層の体積の比率が86〜9
6%に達した状態で、前記血漿の供給を開始する上記
(6)ないし(9)のいずれかに記載の血液成分分離移
送方法。
【0018】(11) センサーにより分離された血液成
分の界面位置を検出し、この検出に基づいて前記血漿の
供給を開始する上記(6)ないし(10)のいずれかに記
載の血液成分分離移送方法。
【0019】
【実施例】以下、本発明の血液成分分離装置および血液
成分分離移送方法を添付図面に示す好適実施例に基づい
て詳細に説明する。
【0020】図1は、本発明の血液成分分離装置の構成
例を示す平面図、図2は、図1に示す血液成分分離装置
の制御系を示すブロック図である。これらの図に示すよ
うに、血液成分分離装置1は、遠心ボウル(遠心分離
器)4と、その回転駆動装置5と、遠心ボウル4に血液
および血漿を選択的に導入する第1のライン2(血液ま
たは血漿導入ライン)と、遠心ボウル4にて分離された
血液成分を回収する第2のライン3(血液成分回収ライ
ン)と、光学センサー61、62と、制御手段7と、血
液貯留部106を有する第3のライン(供血者を想定し
た脱・返血ライン)10と、第1のライン2に設置され
たポンプ9とを有する。
【0021】図1に示すように、第3のライン10は、
主に、チューブ101と、チューブ101の途中にト字
状の分岐コネクタ102を介して接続されたチューブ1
03と、チューブ101、103の先端にそれぞれ接続
された血液バッグ104、105とで構成されている。
両血液バッグ104、105により、血液貯留部106
が構成されている。
【0022】チューブ101の基端は、T字状の分岐コ
ネクタ12を介してチューブ13および20の一端と接
続されている。チューブ101の途中には、チューブ1
01の内部流路を遮断・解放し得る流路開閉手段である
バルブ83が設置されている。
【0023】第1のライン2は、チューブ13およびそ
の一端に接続された分岐コネクタ12により構成されて
いる。チューブ13の他端は、遠心ボウル4の流入口4
3に接続され、チューブ13の途中には、例えばローラ
ポンプよりなる送液用のポンプ9が設置されている。
【0024】図3に示すように、遠心ボウル4は、上端
に流入口43が形成された鉛直方向に伸びる管体41
と、該管体41の回りで回転し、上部45に対し液密に
シールされたローター42とで構成されている。ロータ
ー42の内部には、ローター周壁内面に沿って環状の貯
血空間46が形成されている。この貯血空間46は、図
3中下部から上部に向けてその内外径が漸減するような
形状(テーパ状)をなしている。貯血空間46の下部
は、ローター42の底部に沿って形成されたほぼ円盤状
の流路47を介して管体41の下端開口と連通し、貯血
空間46の上部は、流路48を介して流出口44に連通
している。また、このローター42において、貯血空間
46の容積は、例えば、100〜350ml程度とされ
る。
【0025】このようなローター42は、回転駆動装置
5によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速
度および回転時間)で回転される。この遠心条件によ
り、ローター42内の血液の分離パターン(例えば、分
離する血液成分数)を設定することができる。本実施例
では、図3に示すように、血液がローター42の流路内
で内層より血漿層31、バフィーコート層32および赤
血球層33に分離されるように遠心条件が設定される。
【0026】回転駆動装置5は、図3に示すように、遠
心ボウル4を収納するハウジング51と、脚部52と、
駆動源であるモータ53と、遠心ボウル4を保持する円
盤状の固定台55とで構成されている。
【0027】ハウジング51は、脚部52の上部に載
置、固定されている。また、ハウジング51の下面に
は、ボルト56によりスペーサー57を介してモータ5
3が固定されている。モータ53の回転軸54の先端部
には、固定台55が回転軸54と同軸でかつ一体的に回
転するように嵌入されており、固定台55の上部には、
ローター42の底部が嵌合する凹部551が形成されて
いる。また、遠心ボウル4の上部45は、図示しない固
定部材によりハウジング51に固定されている。
【0028】このような回転駆動装置5では、モータ5
3を駆動すると、固定台55およびそれに固定されたロ
ーター42が、例えば、回転数3000〜6000rpm
で回転する。
【0029】ハウジング51の内壁には、ローター42
内の分離された血液成分の界面、すなわち、バフィーコ
ート層32と赤血球(濃厚赤血球)層33との界面Bの
位置を光学的に検出する光学センサー61が、取付部材
58により設置、固定されている。この光学センサー6
1としては、ローター42の外周面に沿って上下方向に
走査し得るラインセンサーが用いられる。すなわち、L
EDのような発光素子とフォトダイオードのような受光
素子とが列状に配置され、発光素子から発っせられた光
の血液成分での反射光を受光素子により受光し、その受
光光量を光電変換するように構成されている。分離され
たバフィーコート層32と赤血球層33とで反射光の強
度が異なるため、受光光量すなわち出力電圧が変化した
受光素子に対応する位置が、界面Bの位置として検出さ
れる。
【0030】図1に示すように、遠心ボウル4の流出口
44には、チューブ14の一端が接続され、チューブ1
4の他端は、T字状の分岐コネクタ15を介してチュー
ブ16および18の一端と接続されている。
【0031】チューブ16の他端は、血小板バッグ17
に接続され、チューブ16の途中には、チューブ16内
の流路を開閉するバルブ85が設置されている。また、
チューブ18の他端は、気泡除去用のチャンバー19に
接続され、チューブ18の途中には、チューブ18内の
流路を開閉するバルブ86が設置されている。
【0032】一端が分岐コネクタ12に接続されている
チューブ20の他端は、気泡除去用のチャンバー19に
接続され、チューブ20の途中には、チューブ20内の
流路を開閉するバルブ84が設置されている。
【0033】空気貯留バッグ22は、一連の処理後に血
漿バッグ21内からエアーを排出し、これを貯留するた
めのバッグであり、そのため、血漿バッグ21および空
気貯留バッグ22は、チューブ23により接続されてそ
の内部同士が連通している。また、血漿バッグ21に
は、チューブ24の一端が接続され、チューブ24の他
端は、気泡除去用のチャンバー19に接続されている。
【0034】このような構成において、チューブ14、
16、18、20、23、24、分岐コネクタ15、チ
ャンバー19およびバッグ17、21、22により、第
2のライン3が構成されている。このうち、チューブ1
8、チャンバー19、チューブ23、24およびバッグ
21、22は、血漿を回収するための血漿回収用分岐ラ
インを構成し、チューブ14、16および血小板バッグ
17は、血小板を回収するための血小板回収用分岐ライ
ンを構成する。
【0035】なお、図示されていないが、血漿バッグ2
1は、チューブ24の接続側端部を上方または下方へ選
択的に向けることができる装置にセットされていてもよ
い。
【0036】チューブ14の途中には、チューブ14内
を流れる血液成分中の血小板の濃度を検出し得る光学セ
ンサー62が設置されている。この光学センサー62
は、チューブ14を介して対向配置された投光部(光
源)63および受光部(フォトダイオード)64で構成
されている。投光部63から発せられた光(例えばレー
ザー光)は、チューブ14を透過して受光部64で受光
され、その受光光量に応じた電気信号に変換されるが、
チューブ14内を流れる血液成分中の血小板濃度に応じ
て透過率が変化し、受光部64での受光光量が変動する
ため、この変動を受光部64からの出力電圧の変化とし
て検出することができる。
【0037】前記各バルブ83〜86は、例えば、ソレ
ノイド、電動モーター、またはシリンダ(油圧または空
気圧)等の駆動源で作動し、該駆動源は、後述する制御
手段7からの信号に基づいて作動する。なお、本発明に
おいて、流路開閉手段は、前記バルブ(コック)に限ら
ず、例えば可撓性チューブを挟持してその内腔を閉塞し
得るクレンメであってもよい。
【0038】前記各バッグ17、21、22、104、
105は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材
を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着等)ま
たは接着して袋状にしたものである。
【0039】各バッグ17、21、22、104、10
5を構成するシート材の構成材料としては、例えば、軟
質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。この軟質ポリ塩
化ビニルにおける可塑剤としては、例えば、ジ(エチル
ヘキシル)フタレート(DEHP)、ジ−(n−デシ
ル)フタレート(DnDP)等が使用される。なお、こ
のような可塑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル100重量
部に対し、30〜70重量部程度とするのが好ましい。
【0040】また、各バッグ17、21、22、10
4、105のシート材の他の構成材料としては、ポリオ
レフィン、すなわちエチレン、プロピレン、ブタジエ
ン、イソプレン等のオレフィンあるいはジオレフィンを
重合または共重合した重合体を用いることができ、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体(EVA)、EVAと各種熱可塑性エラス
トマーとのポリマーブレンド等、あるいは、これらを任
意に組み合せたものが挙げられる。さらには、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメ
チルテレフタレート(PCHT)のようなポリエステル
や、ポリ塩化ビニリデンを用いることもできる。
【0041】なお、血小板バッグ17を構成するシート
材は、血小板保存性を向上するために、ガス透過性に優
れるものが好ましく、そのために、例えば、シート材と
して、前記ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビ
ニル等を用いたり、また、シート材の厚さを比較的薄く
(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.
3mm程度)するのが好ましい。
【0042】血液バッグ104、105の少なくとも一
方の内部には、予め血液が貯留されている。この血液中
には、例えば、ACD−A液、CPD液、CPD1液、
ヘパリンナトリウム液等の抗凝固剤が添加されているの
が好ましい。なお、血液貯留部106に設置される血液
バッグの数は、1または3以上であってもよく、その接
続方法、接続パターンも任意可能である。例えば、実開
平6−26877号公報等に記載されているチューブ接
続装置により、1または2以上の血液バッグを無菌的に
接続、交換して使用することもできる。
【0043】また、血小板バッグ17は、空の状態でも
よいが、例えば、生理食塩水、GAC、PAS、PSM
−1のような血小板保存液が予め入れられていてもよ
い。
【0044】チューブ101、103、13、14、1
6、18、20、23および24の構成材料としては、
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、PETやPBTのようなポリエステル、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエステルエラ
ストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体等
の熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、その中でも
特に、ポリ塩化ビニルが好ましい。各チューブがポリ塩
化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られる
ので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞に
も適するからである。
【0045】また、分岐コネクタ102、12、15の
構成材料についても、前記チューブの構成材料と同様の
ものを用いることができる。
【0046】図2に示すように、血液成分分離装置1
は、例えばマイクロコンピュータで構成される制御手段
7を有し、該制御手段7には、前記ポンプ9、バルブ8
3〜86、光学センサー61、62および回転駆動装置
5がそれぞれ電気的に接続されている。
【0047】光学センサー61からの検出信号(界面位
置検出情報)および光学センサー62からの検出信号
(血小板濃度情報)は、それぞれ、制御手段7へ随時入
力される。制御手段7は、光学センサー61、62から
の各検出信号に基づき、ポンプ9の回転/停止、回転方
向(正転/逆転)および回転数を制御するとともに、必
要に応じ、各バルブ83〜86の開閉および回転駆動装
置5の作動を制御する。
【0048】次に、図1に示す血液成分分離装置1を用
いた本発明の血液成分分離移送方法の好適な実施例につ
いて説明する。
【0049】[1] 血液バッグ104、105内に
は、それぞれ、例えば400mlの採血血液が充填されて
おり、チューブ103をクレンメで閉塞し、バルブ8
3、85を開、その他のバルブを閉とした状態で、ポン
プ9を作動(正転)する。これにより、血液バッグ10
4内の血液は、チューブ101および13を介して移送
され、遠心ボウル4の流入口43より管体41を経てロ
ーター42内に導入される。なお、ポンプ9の回転速度
は、血液吐出量(血液供給速度)が例えば30〜80ml
/min 程度となるように設定される。
【0050】[2] また、前記工程[1]の血液移送
と同時に、回転駆動装置5を作動して、ローター42を
好ましくは3000〜6000rpm (例えば、4800
rpm )で回転する。管体41の下端開口より流出した血
液は、ローター42の回転による遠心力により、流路4
7を外周方向へ向けて放射状に流れ、貯血空間46に集
められ、該貯血空間46において内層より血漿層31、
バフィーコート層32および赤血球層33に分離され
る。
【0051】[3] 前記工程[1]、[2]を継続し
つつ、血漿層31が貯血空間46の上部に到達したら、
バルブ85を閉じ、バルブ86を開く。これにより、ロ
ーター42内の血漿が流出口44よりオーバーフロー
し、チューブ14、18、チャンバー19、チューブ2
4を介して血漿バッグ21内に回収される。
【0052】[4] ローター42内からの血漿の排出
に伴い、バフィーコート層32と赤血球層33との界面
Bも徐々に上昇する。この界面Bは、光学センサー61
により随時検出されており、界面Bが所定レベル(サー
ジ開始レベル)に到達したことが検出されると、制御手
段7は、その検出信号(界面位置検出情報)に基づき、
ポンプ9の回転を停止するよう制御する。これにより、
血液の移送および血漿の回収が終了する。
【0053】なお、前記サージ開始レベルは、貯血空間
46の容積に対する貯血空間46内に存在する赤血球層
33の体積の比率が好ましくは86〜96%、より好ま
しくは92〜94%に達したときのレベルとする。この
比率は、従来に比べ大きい値となっている。すなわち、
以下のサージ工程[5]〜[8]において、血漿の供給
により血小板が遠心力に抗して浮上するが、血漿の供給
速度が従来に比べ低速であるため、バフィーコート層3
2中から血小板が浮上するためには血小板に作用する遠
心力を小さくする必要があり、そのため、前記比率を従
来より大きくしてローター42の回転中心からのバフィ
ーコート層32の距離を小さくする。従って、前記比率
が86%未満であると、サージ工程において血小板の回
収率が低くなる。また、前記比率が96%を超えると、
作用する遠心力が小さ過ぎるため、サージ工程での血漿
供給速度等の条件によっては、血小板が白血球を伴って
浮上し、回収された血小板中の白血球の除去率が低下す
る。
【0054】[5] 続いて、制御手段7の制御によ
り、バルブ84、85を開、その他のバルブを閉とし、
かつ再度ポンプ9を作動(正転)するとともに、血漿バ
ッグ21のチューブ24の接続側端部を下方に向け、血
漿バッグ21内の血漿を、所定の血漿供給速度で、チュ
ーブ24、チャンバー19、チューブ20、13および
管体41を介してローター42内に供給する。管体41
の下端開口より流出した血漿は、ローター42の回転に
よる遠心力により、流路47を外周方向へ向けて放射状
に流れ、貯血空間46の下部を経て貯血空間46内を上
昇する。これにより、バフィーコート層32中の血小板
が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、流路48を経
て流出口44より流出し、チューブ14および16を介
して血小板バッグ17内に回収される(高速サージ工
程)。
【0055】この高速サージ工程において、制御手段7
は、ポンプ9の回転速度(血漿吐出量)を制御すること
により、ローター42内への血漿の供給速度を好ましく
は10〜90ml/min 程度、より好ましくは40〜70
ml/min 程度に設定する。血漿供給速度が10ml/min
未満では、血小板の回収に要する時間が長くなり、90
ml/min を超えると、血小板とともに白血球の浮上量が
増え、回収された血小板中の白血球の除去率が低下し易
くなる。
【0056】[6] ローター42内からの血小板の流
出に伴い、光学センサー62により検出される血小板濃
度は、上昇傾向を示し、その血小板濃度が所定値に達し
たら、制御手段7の制御により、ポンプ9の回転数を下
げ、ローター42内への血漿の供給速度を低減させる
(低速サージ工程)。
【0057】この低速サージ工程における血漿供給速度
は、好ましくは10〜50ml/min程度、より好ましく
は10〜30ml/min 程度とされる。このような低速サ
ージを行うことにより、バフィーコート層32の乱れが
整えられ、再度白血球と血小板との分離がなされる。な
お、低速サージが進行するに従って、光学センサー62
により検出される血小板濃度は増加し、ピークに達した
後、減少に転じる。
【0058】[7] 光学センサー62により検出され
る血小板濃度が所定値以下となったら、再び前記[5]
と同様の高速サージを行う。すなわち、制御手段7の制
御により、再びポンプ9の回転数を上げ、ローター42
内への血漿の供給速度を増加させる。これにより、バフ
ィーコート層32付近に濃縮されている血小板が流出
し、光学センサー62により検出される血小板濃度は、
再び増加する。
【0059】本工程において、血漿の供給速度は、一定
でも変化してもよく、特に、血漿供給速度を前述した範
囲で連続的または段階的に増加させて行くこともでき
る。なお、本工程の開始時に、バルブ83を所定時間開
き、第3のライン10および第2のライン2を介して少
量(例えば1〜20ml)の全血をローター42内に供給
するのが好ましい。これにより、貯血空間46内のバフ
ィーコート層32のレベルを前記工程[5]と同様のレ
ベルに合わせることができ、より適正なレベル(サージ
開始レベル)で2回目の高速サージを行うことができ
る。
【0060】[8] 光学センサー62により検出され
る血小板濃度が所定値に達したら、再び前記工程[6]
と同様の低速サージを行う。すなわち、制御手段7の制
御により、再びポンプ9の回転数を下げ、ローター42
内への血漿の供給速度を低減させる。これにより、流出
口44、チューブ14および16内に残っている血小板
が血漿により押し出され、血小板バッグ17内に移送さ
れ、回収される。
【0061】その後、前記工程[7]、[8]を1回以
上繰り返し行ってもよい。また、前記工程[8]のみ、
または前記工程[7]、[8]の双方を省略してもよ
い。なお、前記血漿供給速度の変更は、例えば、制御手
段7に内蔵されるタイマーに基づいて行ってもよく、あ
るいは光学センサー62により検出される血小板濃度情
報に応じて行ってもよい。
【0062】また、前記サージ工程[5]〜[8]にお
いて、ローター42の回転数は、それぞれ、前記工程
[1]と同一でも異なっていてもよいが、前記工程
[1]より高回転数とするのが好ましい。
【0063】[9] 光学センサー62により検出され
る血小板濃度が予め設定された基準値以下となったら、
血小板バッグ17への血小板の回収が終了したものとみ
なし、制御手段7の制御により、ポンプ9を停止してロ
ーター42内への血漿の供給を停止し、さらに回転駆動
装置5を停止する。これにより、血小板の回収が終了す
る。
【0064】[10] バルブ83、85を開、その他
のバルブを閉とし、ポンプ9を逆回転する。これによ
り、遠心ボウル4内に残った赤血球、白血球および少量
の血漿が、管体41、チューブ13、101を介して、
血液バッグ104内に返血される。
【0065】また、本工程の後またはその途中で、バル
ブ84、86を開、その他のバルブを閉としてポンプ9
を作動(正転)し、血漿バッグ21内の血漿をチューブ
24、チャンバー19、チューブ20、13を介してロ
ーター42内に入れ、続いて、バルブ83、85を開、
その他のバルブを閉としてポンプ9を逆回転し、血漿バ
ッグ21から移した遠心ボウル4内の血漿を、管体4
1、チューブ13、101を介して、血液バッグ104
内に返血してもよい。
【0066】[11] 分岐コネクタ102と血液バッ
グ104との間のチューブ101の途中を例えば融着に
より封止し、さらにこの封止部を切断、分離する。これ
により、返血用乏血小板血液入りの血液バッグ104が
得られる。血液バッグ104内の乏血小板血液は、必要
に応じ、供血者に返血される。
【0067】[12] チューブ103のクレンメによ
る閉塞を解除し、ポンプ9を作動(正転)して、前記工
程[1]を行い、さらに前記工程[2]〜[10]を行
う。これにより、血液バッグ105内の採血血液に対
し、血小板バッグ17への血小板の回収およびその他の
血液成分の血液バッグ105への返血がなされる。
【0068】[13] チューブ103の途中を例えば
融着により封止し、さらにこの封止部を切断、分離す
る。これにより、返血用乏血小板血液入りの血液バッグ
105が得られる。血液バッグ105内の乏血小板血液
は、必要に応じ、供血者に返血される。
【0069】[14] 血小板バッグ17付近のチュー
ブ16を例えば融着により封止し、さらにこの封止部を
切断、分離することにより、血小板製剤入りの血小板バ
ッグ17が得られる。
【0070】次に、処理時間について説明する。目的量
の血小板を採取するために、前記遠心ボウル4への血液
の供給(採血)、サージによる血小板の回収および残り
の血液成分の返血(これらを1サイクルと呼ぶ)を数回
繰り返し行う。
【0071】前述した従来の方法では、通常、4サイク
ル程度が実施される。このとき、1サイクルに要する時
間は、例えば11〜13分程度であり、よって、総処理
時間は、平均48分程度となる。
【0072】また、前述した従来の方法では、血小板の
回収率は40〜60%程度である(下記表3参照)か
ら、1サイクル当りの血液処理量をAml、単位体積当り
の血小板数をa個/mlとすると、1サイクルで回収され
る血小板数N0 は、
【0073】 N0 =Aml×a個/ml×0.5 ・・・(式1)
【0074】となる。よって、4サイクル実施した場合
の血小板の総数Nは、式1より、
【0075】 N =4×N0 =2・A・a個 ・・・(式2)
【0076】となる。これに対し、上記本発明の方法で
は、血小板の回収率が70〜90%程度に改善される
(下記表1、2参照)ため、1サイクルで回収される血
小板数N1 は、
【0077】 N1 =Aml×a個/ml×0.8 ・・・(式3)
【0078】となる。このとき、前記式2と同数の血小
板を回収するために必要なサイクル数Cは、式2および
式3より、
【0079】 C =N/N1 =2.5サイクル ・・・(式4)
【0080】となり、よって、3サイクルを実施するこ
とにより、従来の方法で得られる血小板数と同等以上の
血小板が得られることとなる。
【0081】本発明の方法では、低速でサージを行うた
めに、1サイクル当り2分程度時間が延長される。よっ
て、3サイクルでの総処理時間Tは、
【0082】 T =(12+2)分×3サイクル=42分 ・・・(式5)
【0083】となり、前記従来の方法より、6分(1
2.5%)の時間短縮となる。
【0084】以上のように、本発明では、ローター42
内へ血漿を供給して血小板を浮上させ、回収する工程に
おいて、血漿の供給速度を好ましくは10〜90ml/mi
n の範囲に維持しつつ、高速サージから低速サージへ変
更する単位工程を1回以上、好ましくは複数回行うこと
により、血小板の分離、浮上を最適に調整し、よって、
血小板の回収率および白血球の除去率が極めて高い高品
質の血小板製剤が得られる。その結果、所望の血小板数
を得るために必要なサイクル数が減少し、処理時間が短
縮される。
【0085】しかも、光学センサー61により、分離さ
れた血液成分の界面を検出し、それに基づいて血漿供給
の開始(血液供給の終了)のタイミングを制御するた
め、自動化とともにより高精度の制御が可能となり、血
小板の回収率および回収された血小板中の白血球の除去
率がさらに向上する。このようなことから、該血小板製
剤を用いた場合、肝炎、エイズ、GVHD等の感染をよ
り高い確率で防止することができ、安全性が高い。
【0086】次に、本発明を具体的実施例に基づいてさ
らに詳細に説明する。図1および図2に示す構成の血液
成分分離装置を用い、前述した方法により血小板製剤の
作製を行った。各サージ工程の条件は、以下のようにし
た。
【0087】(実施例1)貯血空間46の容積に対する
貯血空間46内に存在する赤血球層33の体積の比率が
94%に到達したときローター42への血液の移送を停
止し、血漿の供給(サージ)を開始した。まず、血漿供
給速度60ml/min で16秒間、続いて血漿供給速度1
4ml/min で54秒間血漿を供給した。次に、血漿供給
速度40〜80ml/min で32秒間、続いて血漿供給速
度14ml/min で18秒間血漿を供給した。ローター4
2の回転数は、サージ開始から12秒までは4800rp
m 、それ以後は、5220rpm とした。
【0088】このサージ工程における光学センサー62
の受光レベル(出力電圧)の経時変化を、ローター回転
数および血漿供給速度の経時変化とともに図4に示す。
同図のグラフでは、受光レベルが低いほど、遠心ボウル
4から流出した血液成分中の血小板濃度が高いことを示
し、血小板の最高濃度で受光レベルは約1.4Vとな
る。
【0089】同図のグラフに示すように、血漿供給開始
から10秒経過した時点で血小板の流出が認められ、遠
心ボウル4を観察したところ、流路48付近で白血球と
血小板とが渾然一体となり、バフィーコート層の乱れを
生じていたが、血漿供給開始から16秒経過した時点で
血漿供給速度を14ml/min に下げたので、バフィーコ
ート層の乱れが整い、遠心力により白血球と血小板とが
分離した状態に戻り、白血球の流出が抑制され、血漿供
給開始から50秒経過した時点で血小板濃度がピークに
達した。その後、血小板濃度が徐々に低下したが、血漿
供給開始から70秒経過した時点で血漿供給速度を40
ml/min に上げ、さらに80ml/min まで断続的に加速
させたので、バフィーコート層付近に濃縮されていた血
小板が流出し、血小板濃度が再び上昇に転じた。血漿供
給開始から92秒経過した時点(赤血球層とバフィーコ
ート層との界面Bが所定レベルに到達)で、再び血漿供
給速度を14ml/min に下げ、これにより白血球の流出
が抑制され、また、流出口44、チューブ14および1
6内に残っている血小板が血漿により押し出され、回収
された。血漿供給開始から120秒経過した時点で、血
漿の供給およびローターの回転を停止した。
【0090】この実施例1に供された血液および回収さ
れた血小板等に関する条件を下記表1に示す。
【0091】また、遠心ボウル4より流出する濃厚血小
板血漿(PC)を6ml毎にサンプリングし、該サンプリ
ング液中の血小板(PLT)、白血球(WBC)および
赤血球(RBC)の数を、血球計数装置(東亜電子社製
SYSMEX K-2000 型)によりカウントした。その結果を
図5のグラフに示す。なお、赤血球のカウント数は、実
質的に0であったので、図5中には示されていない。
【0092】
【表1】
【0093】[考察]表1および図5に示すように、実
施例1では、高速サージおよび低速サージよりなる単位
工程を2回行っているため、血小板の回収率が67.4
%と高く、かつ、回収された濃厚血小板血漿中の白血球
の混入量も600個/μl と極めて少ない。また、図4
のグラフに示すように、受光レベルの最低値が1.4V
であることから、赤血球の混入もないことが確認され
た。
【0094】(実施例2)各サージ工程を次の条件で行
った以外は、実施例1と同様とした。血漿供給速度60
ml/min で13秒間、続いて血漿供給速度14ml/min
で67秒間血漿を供給した。次に、血液供給速度60ml
/min で7秒間全血を供給(供給量7ml)するとともに
血漿供給速度60ml/min で25秒間血漿を供給し、続
いて血漿供給速度14ml/min で25秒間血漿を供給し
た。ローター42の回転数は、サージ開始から10秒ま
では4800rpm 、それ以後は、5220rpmとした。
血漿供給開始から130秒経過した時点で、血漿の供給
およびローターの回転を停止した。
【0095】このサージ工程における光学センサー62
の受光レベル(出力電圧)の経時変化を、ローター回転
数および血漿供給速度の経時変化とともに図6に示す。
また、この実施例2に供された血液および回収された血
小板等に関する条件を下記表2に示す。
【0096】また、遠心ボウル4より流出する濃厚血小
板血漿を7ml毎にサンプリングし、該サンプリング液中
の血小板(PLT)、白血球(WBC)および赤血球
(RBC)の数を、前記血球計数装置によりカウントし
た。その結果を図7のグラフに示す。なお、赤血球のカ
ウント数は、実質的に0であったので、図7中には示さ
れていない。
【0097】
【表2】
【0098】(比較例1)貯血空間46の容積に対する
貯血空間46内に存在する赤血球層33の体積の比率が
80%に到達したときローター42への血液の移送を停
止し、血漿の供給を開始し、かつ、血漿の供給を血漿供
給速度220ml/min で40秒間行った以外は、実施例
1と同様とした。
【0099】この比較例1に供された血液および回収さ
れた血小板等に関する条件を下記表3に示す。
【0100】また、遠心ボウル4より流出する濃厚血小
板血漿を6ml毎にサンプリングし、該サンプリング液中
の血小板(PLT)、白血球(WBC)および赤血球
(RBC)の数を、前記血球計数装置によりカウントし
た。その結果を図8のグラフに示す。
【0101】
【表3】
【0102】[考察] (I) 白血球の混入について 表2および図7に示すように、実施例2では、高速サー
ジおよび低速サージよりなる単位工程を2回行っている
ため、血小板の回収率が78%と高く、かつ回収された
濃厚血小板血漿中の白血球の混入量も1000個/μl
と少ない。
【0103】これに対し、表3に示すように、比較例1
では、血漿供給速度が高速でかつ一定であるため、血小
板の回収率が低く、しかも回収された濃厚血小板血漿中
の白血球の混入量が3100個/μl と多い。
【0104】実施例2では、血小板数は、169×10
4 個/μlであるから、1サイクルで得られた濃厚血小
板血漿51ml中の血小板数は、0.86×1011個とな
る。10単位PC(2×1011個以上)の血小板製剤を
得るためには、3サイクルの処理が必要であり、よっ
て、3サイクルでの血小板製剤中に混入する白血球総数
W1は、
【0105】 NW1 =1000個/μl ×51ml×3サイクル =1.5×108 個 ・・・(式6)
【0106】となる。これに対し、比較例1では、血小
板数は、115×104 個/μlであるから、4サイク
ルで得られた濃厚血小板血漿223ml中の血小板数は、
2.6×1011個(10単位PC)となる。よって、4
サイクルでの血小板製剤中に混入する白血球総数N
W2は、
【0107】 NW2 =3100個/μl ×223ml=6.9×108 個 ・・・(式7)
【0108】となり、実施例2における白血球総数NW1
の4.6倍となる。
【0109】また、比較例1では、図8に示すように、
遠心ボウル4より流出する血小板の濃度がピークに達し
た頃から、白血球の濃度が増大し始めるので、血小板の
みを選択的に回収することができず、回収された血小板
中の白血球濃度が高い。そして、これを回避するために
は、ある時点でサージを終了させなければならないが、
このサージ終了のタイミングは、諸条件により毎回異な
り、しかもそのタイミングの検出および制御には、高精
度を要するため、回収された血小板中の白血球濃度にバ
ラツキが生じ易い。
【0110】(II) 処理時間について 前述したように、実施例2では、3サイクルの処理で1
0単位PCが得られ、それに要する総処理時間T1 は、
【0111】 T1 =(12分+2分10秒)×3サイクル=42.5分 ・・・(式8)
【0112】となる。これに対し、比較例1では、4サ
イクルの処理で10単位PCが得られ、それに要する総
処理時間T2 は、
【0113】 T2 =(12分+40秒)×4サイクル=50.7分 ・・・(式9)
【0114】となる。よって、式8および式9より、実
施例1により10単位PCの血小板製剤を製造した場
合、比較例1に比べ、処理時間を8.2分(16.2
%)短縮することができる。
【0115】以上、本発明を各実施例に基づいて説明し
たが、本発明の装置および方法に用いられる回路構成等
は、図示のものに限定されず、例えば、前記第3のライ
ン10は、供血者の血管に穿刺する穿刺針を有する脱・
返血ラインであってもよい。また、前記血漿回収用分岐
ラインおよび前記血小板回収用分岐ラインのいずれか一
方がない構成であってもよい。また、バルブのような流
路開閉手段が、チューブ13または24の途中に設けら
れていてもよい。また、第2のライン3または第3のラ
イン10にポンプが設けられていてもよい。
【0116】なお、本発明の血液成分分離装置および血
液成分分離移送方法は、前述した血小板製剤の製造に使
用される場合に限らず、その他の血液製剤の製造や、血
液成分の洗浄等に適用することができる。
【0117】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の血液成分分
離装置および血液成分分離移送方法によれば、血漿の供
給速度を減速する単位工程を少なくとも1回、特に複数
回行うことにより、分離された血液成分をより高精度で
移送、回収することが可能となり、特に、成分採血に適
用した場合、短い処理時間で、血小板等の採取目的とす
る血液成分の回収率および白血球(特にリンパ球)の除
去率が極めて高い高品質の血液製剤が得られる。その結
果、肝炎、エイズ、GVHD等の感染をより高い確率で
防止することができ、安全性が高い。
【0118】特に、血漿の供給速度を10〜90ml/mi
n の範囲で行い、さらには、遠心分離器のローター内に
形成された貯血空間の容積に対する前記貯血空間内に存
在する赤血球層の体積の比率が86〜96%、特に92
〜94%に達した状態で、血漿の供給を開始する場合に
は、得られた血液製剤中の血小板の回収率および白血球
の除去率がさらに向上する。
【0119】また、センサーにより分離された血液成分
の界面位置を検出し、この検出に基づいて血漿の供給を
開始する場合には、適正な血漿供給開始のタイミングを
自動的に検知することができ、上記効果がより顕著とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液成分分離装置の構成例を模式的に
示す平面図である。
【図2】図1に示す血液成分分離装置の制御系を示すブ
ロック図である。
【図3】本発明における遠心ボウルおよび回転駆動装置
の構成例を示す部分断面正面図である。
【図4】本発明の実施例におけるサージ工程(血小板回
収工程)での、流出した血液成分中の血小板濃度(光学
センサーの受光レベル)、ローター回転数および血漿供
給速度の経時変化を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例におけるサージ工程(血小板回
収工程)での、流出した各血液成分の濃度の経時変化を
示すグラフである。
【図6】本発明の実施例におけるサージ工程(血小板回
収工程)での、流出した血液成分中の血小板濃度(光学
センサーの受光レベル)、ローター回転数および血漿供
給速度の経時変化を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例におけるサージ工程(血小板回
収工程)での、流出した各血液成分の濃度の経時変化を
示すグラフである。
【図8】比較例におけるサージ工程(血小板回収工程)
での、流出した各血液成分の濃度の経時変化を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 血液成分分離移送装置 2 第1のライン 3 第2のライン 4 遠心ボウル 41 管体 42 ローター 43 流入口 44 流出口 45 上部 46 貯血空間 47、48 流路 5 回転駆動装置 51 ハウジング 52 脚部 53 モータ 54 回転軸 55 固定台 551 凹部 56 ボルト 57 スペーサー 58 取付部材 61、62 光学センサー 63 投光部 64 受光部 7 制御手段 83〜86 バルブ 9 ポンプ 10 第3のライン 101 チューブ 102 分岐コネクタ 103 チューブ 104、105 血液バッグ 106 血液貯留部 12 分岐コネクタ 13、14 チューブ 15 分岐コネクタ 16 チューブ 17 血小板バッグ 18 チューブ 19 チャンバー 20 チューブ 21 血漿バッグ 22 空気貯留バッグ 23、24 チューブ 31 血漿層 32 バフィーコート層 33 赤血球層 B 界面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液を複数の血液成分に分離するととも
    に分離された血液成分を移送する血液成分分離装置であ
    って、 内部に貯血空間を有する回転可能なローターと、前記貯
    血空間に連通する流入口および流出口とを有し、前記ロ
    ーターの回転により前記流入口より導入された血液を前
    記貯血空間内で複数の血液成分に遠心分離する遠心分離
    器と、 前記流入口に接続された第1のラインと、 前記流出口に接続された第2のラインと、 前記第1のラインの途中に設置されたポンプとを有し、 前記貯血空間に分離された血液成分がほぼ満たされた状
    態で、前記ローターの回転下で前記ポンプを作動して、
    前記第1のラインを介して前記貯血空間に下方より血漿
    を供給することにより、血小板を浮上させ、該血小板を
    前記第2のラインを介して回収するに際し、 血漿を所定速度で供給し、次いで該速度より低速で血漿
    を供給する単位工程を少なくとも1回行うよう作動する
    ことを特徴とする血液成分分離装置。
  2. 【請求項2】 内部に貯血空間が形成されたローターを
    有する遠心分離器を用い、前記貯血空間に血液を導入
    し、該血液を遠心分離して複数の血液成分に分離すると
    ともに、分離された所定の血液成分を前記ローターの上
    部側から排出し、移送する血液成分分離移送方法であっ
    て、 前記ローターの回転下で前記貯血空間に下方より血漿を
    供給し、血小板を浮上させて回収する工程を有し、該工
    程において、血漿を所定速度で供給し、次いで該速度よ
    り低速で血漿を供給する単位工程を少なくとも1回行う
    ことを特徴とする血液成分分離移送方法。
  3. 【請求項3】 内部に貯血空間が形成されたローターを
    有する遠心分離器を用い、前記貯血空間に血液を導入
    し、該血液を遠心分離して複数の血液成分に分離すると
    ともに、分離された所定の血液成分を前記ローターの上
    部側から排出し、移送する血液成分分離移送方法であっ
    て、 前記ローターの回転下で前記貯血空間に下方より血漿を
    供給し、血小板を浮上させて回収する工程を有し、該工
    程において、血漿を所定速度で供給し、次いで該速度よ
    り低速で血漿を供給する単位工程を複数回行うことを特
    徴とする血液成分分離移送方法。
  4. 【請求項4】 前記各単位工程における工程開始時の、
    前記貯血空間内の所定の血液成分のレベルを一致させる
    請求項3に記載の血液成分分離移送方法。
  5. 【請求項5】 前記血小板を回収する工程において、血
    漿の供給速度を10〜90ml/min とする請求項2ない
    し4のいずれかに記載の血液成分分離移送方法。
  6. 【請求項6】 前記貯血空間の容積に対する前記貯血空
    間内に存在する赤血球層の体積の比率が86〜96%に
    達した状態で、前記血漿の供給を開始する請求項2ない
    し5のいずれかに記載の血液成分分離移送方法。
  7. 【請求項7】 センサーにより分離された血液成分の界
    面位置を検出し、この検出に基づいて前記血漿の供給を
    開始する請求項2ないし6のいずれかに記載の血液成分
    分離移送方法。
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JPH08117331A true JPH08117331A (ja) 1996-05-14

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JP6287284A Pending JPH08117331A (ja) 1994-10-26 1994-10-26 血液成分分離装置および血液成分分離移送方法

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JP (1) JPH08117331A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6752777B1 (en) * 1997-06-16 2004-06-22 Terumo Kabushiki Kaisha Blood component collecting apparatus
WO2006035801A1 (ja) * 2004-09-30 2006-04-06 Arkray, Inc. 遠心分離装置およびこれを備えた分析装置
JP2007111306A (ja) * 2005-10-21 2007-05-10 Terumo Corp 血液成分採取装置

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