以下、本発明の血液成分採取装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の血液成分採取装置の第1実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す血液成分採取装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図であり、図3〜図4は、それぞれ、図1に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
図1に示す血液成分採取装置1は、血液を複数の血液成分に分離するとともに分離された血液成分(本実施形態では、主に血小板を含む血漿や、血漿)を採取するための装置である。この血液成分採取装置1は、内部に貯血空間146を有するローター142と、貯血空間146に連通する流入口143および排出口(流出口)144とを有し、ローター142の回転により流入口143より導入された血液を貯血空間146内で遠心分離する遠心分離器(血液分離器)20と、採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続する第1のライン21と、遠心分離器20の排出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続された第3のライン23と、チューブ49および50を介して第1のライン21に接続され、かつチューブ43および44を介して第2のライン22に接続された血漿採取バッグ(採取バッグ)25と、チューブ42を介して第2のライン22に接続されたエアーバッグ(空気貯留部)27bと、チューブ43および45を介して第2のライン22に接続された中間バッグ(一時貯留バッグ)27aと、チューブ46、47、52および48を介して中間バッグ27aに接続された血小板採取バッグ(血液成分採取バッグ)26とを有する血小板採取回路(血液成分採取回路)2を備えている。
さらに、血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2の流路の途中を開閉し得る複数(本実施形態では、第1〜第8の8個)の流路開閉手段81〜88と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段81〜88を制御するための制御部(制御手段)13と、濁度センサ(血小板濃度センサ)14と、光学式センサ15と、重量センサ16と、複数(本実施形態では、6個)の気泡センサ31〜36とを備えている。
そこで、最初に、血液成分採取回路2について説明する。
この血液成分採取回路2は、ドナー(供血者)から血液を採取する採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続し、第1のポンプチューブ21gを備える第1のライン(採血および返血ライン)21と、一端側が遠心分離器20の排出口(流出口)144に接続された第2のライン22と、第1のライン21の採血針29の近くに接続され、第2のポンプチューブ23aを備える第3のライン(抗凝固剤注入ライン)23と、第1のライン21のポンプチューブ21gより採血針29側に接続されたチューブ50と、チューブ50に接続されたチューブ49と、第2のライン22に接続されたチューブ43と、チューブ43に接続されたチューブ44と、チューブ44および49に接続された血漿採取バッグ25と、第2のライン22に接続されたチューブ42と、チューブ42に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43に接続されたチューブ45と、チューブ45に接続された中間バッグ27aと、中間バッグ27aに接続されたチューブ46と、チューブ46に接続されたチューブ47と、チューブ47に接続されたチューブ52と、チューブ47に接続されたチューブ51と、チューブ48と、チューブ48とチューブ51とに接続された血小板採取バッグ26とを備えている。エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン21aと、一端側が採血針側第1ライン21aに接続され、他端側が遠心分離器20の流入口143に接続された遠心分離器側第1ライン21bとを有している。採血針29としては、例えば、公知の金属針が使用される。
この採血針側第1ライン21a、遠心分離器側第1ライン21b、後述する第2のライン22、第3のライン23は、それぞれ、軟質樹脂製チューブ、または、その軟質樹脂製チューブが複数接続されて形成されている。
採血針側第1ライン21aは、採血針29側より、第3のライン23との接続用分岐コネクター21cと、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのエアトラップチャンバーであるチャンバー(一時空気貯留部)21dと、チューブ50との接続用分岐コネクター21fとを備えている。
また、採血針側第1ライン21aに沿って、採血針29側より、気泡センサ35、36および32が設置されている。この場合、気泡センサ35および36は、分岐コネクター21cとチャンバー21dとの間に配置され、気泡センサ32は、チャンバー21dと分岐コネクター21fとの間に配置されている。
また、チャンバー21dには、チューブ21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側第1ライン21a(チャンバー21d)の内圧の検出等に用いることができる。
また、フィルター21iには、採血針側第1ライン21a(チャンバー21d)の内圧を検出する圧力センサ(第2の圧力センサ)38が接続されている。
一方、遠心分離器側第1ライン21bは、チューブ50との接続用分岐コネクター21fに接続されており、その途中に形成された第1のポンプチューブ21gを有している。
第2のライン22は、その一端側が遠心分離器20の排出口144に接続されている。
この第2のライン22は、チューブ42および43との接続用分岐コネクター22bとを備えている。
また、第2のライン22に沿って、遠心分離器20側より、濁度センサ14および気泡センサ34が設置されている。この場合、濁度センサ14および気泡センサ34は、遠心分離器20と分岐コネクター22bとの間に配置されている。
また、分岐コネクター22bには、チューブ41を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター22fが接続されている。このラインは、例えば、第2のライン22の内圧の検出等に用いることができる。
また、フィルター22fには、第2のライン22内の内圧を検出する圧力センサ(検出手段)(第1の圧力センサ)37が接続されている。
第3のライン23は、その一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。すなわち、第3のライン(流路)23は、分岐コネクター(分岐部)21cを介して第1のライン(流路)21から分岐している。また、分岐コネクター21cは、採血針29の近傍に位置している(設けられている)。
この第3のライン23は、分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23aと、除菌フィルター(異物除去用フィルター)23bと、気泡除去用チャンバー23cと、抗凝固剤容器接続用針23dとを備えている。
また、第3のライン23に沿って、気泡センサ31が設置されている。この気泡センサ31は、分岐コネクター21cと第2のポンプチューブ23aとの間に配置されている。
この第3のライン23の抗凝固剤容器接続用針23dは、抗凝固剤(抗凝固剤液)が収納(収容)された図示しない容器に接続され、これにより、容器内の抗凝固剤は、後述するように、抗凝固剤容器接続用針23dから分岐コネクター21cに向かって第3のライン23を流れ、採血針側第1ライン21aに供給(注入)される。これにより、例えば、第3のライン23を介して、採血針29により採取された血液に抗凝固剤を添加(混合)することができる。
なお、抗凝固剤としては、特に限定されないが、例えば、ACD−A液等を用いることができる。
血液成分採取バッグである血漿採取バッグ(第3の容器)25は、血漿(第2の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。チューブ49の一端は、この血漿採取バッグ25に接続され、その途中に接続用分岐コネクター22dが設けられている。そして、チューブ50の一端は、この分岐コネクター22dに接続され、他端は、分岐コネクター21fに接続されている。
また、チューブ43の一端は、分岐コネクター22bに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22cが設けられている。そして、チューブ44の一端は、この分岐コネクター22cに接続され、他端は、血漿採取バッグ25に接続されている。
また、チューブ46の途中には、そのチューブ46に沿って、気泡センサ33が設置されている。
なお、血漿採取バッグ25、チューブ43および44により、血漿を採取する血漿採取用分岐ラインが構成されている。
血液成分採取バッグである血小板(血小板製剤)採取バッグ(第2の容器)26は、後述する白血球除去フィルター261を通過した後の血小板を含む血漿(第1の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。なお、以下の説明では、血小板を含む血漿(第1の血液成分)を、「濃厚血小板」と言い、血小板採取バッグ26内に採取(貯留)された濃厚血小板を、「血小板製剤」と言う。
チューブ51の一端は、この血小板採取バッグ26に接続され、その他端は分岐コネクター22iに接続されている。
エアーバッグ27bは、空気(エアー)を一時的に収納(貯留)するための容器である。
後述する採血の際は、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)は、このエアーバッグ27b内に移送され、収納される。そして、返血工程(血液成分返還工程)の際、エアーバッグ27b内に収納されている空気は、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻される。これにより、所定の血液成分が、ドナーへ返還される。
また、空気除去操作の際は、血小板採取バッグ26内の空気は、このエアーバッグ27b内に移送され、収納(貯留)される。すなわち、エアーバッグ27bが、空気除去操作の際の空気貯留部を兼用する。なお、空気除去操作については、後に詳述する。
チューブ42の一端は、分岐コネクター22bに接続され、他端は、このエアーバッグ27bに接続されている。
中間バッグ(一時貯留バッグ)(第1の容器)27aは、濃厚血小板(第1の血液成分)を一時的に貯留するための容器(貯留部)である。チューブ45の一端は、分岐コネクター22cに接続され、他端は、この中間バッグ27aに接続されている。
また、チューブ46の一端は、この中間バッグ27aに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22eが設けられている。前記チューブ49の他端は、この分岐コネクター22eに接続されている。
また、接続用分岐コネクター22eには、チューブ47の一端が接続され、このチューブ47の他端には、接続用分岐コネクター22iが設けられている。
また、接続用分岐コネクター22iには、チューブ52の一端が接続され、このチューブ52の途中には、濃厚血小板中から白血球(所定の細胞)を分離除去する白血球除去フィルター(細胞分離フィルター)(濾過器)261が設置されている。
また、接続用分岐コネクター22iには、チューブ51の一端が接続され、このチューブ51の他端には、血小板採取バッグ26に接続されている。
このチューブ51が、白血球除去フィルター261を迂回するバイパス流路を構成している。
空気除去操作の際には、血小板採取バッグ26内の空気は、このチューブ51を介して除去される。これにより、血小板採取バッグ26内の空気を容易かつ確実に除去することができる。
また、チューブ52の他端には、接続用分岐コネクター22gが設けられており、一端が前記血小板採取バッグ26に接続されたチューブ48の他端が、この分岐コネクター22gに接続されている。
また、分岐コネクター22gのポートには、ベントフィルターが設けられたフィルター本体およびキャップを備えたフィルター22hが設置されている。
フィルター22hのキャップは、開閉可能に設けられており、キャップを閉じた場合には、分岐コネクター22gと外部とが遮断される。
ここで、チューブ46、47および52は、中間バッグ27aから白血球除去フィルター261に濃厚血小板を供給する供給用チューブを構成し、また、チューブ48は、白血球除去フィルター261から白血球を分離除去した後の濃厚血小板を排出する(血小板採取バッグ26に供給する)排出用チューブを構成する。
すなわち、チューブ46、47、48、52、中間バッグ27a、白血球除去フィルター261および血小板採取バッグ26により、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過ラインが構成されている。
血液成分採取装置1を組み立てた状態で(使用する際)、これらの中間バッグ27a、白血球除去フィルター261、血小板採取バッグ26および血漿採取バッグ25は、それぞれ、中間バッグ27aが血漿採取バッグ25より低い位置に、白血球除去フィルター261が中間バッグ27aより低い位置に、さらに、血小板採取バッグ26が白血球除去フィルター261より低い位置にセットされる。また、血小板採取バッグ26は、空気除去操作の際の血小板採取バッグ26の空気の出口側(チューブ51との接続側)が鉛直方向上方になるように設けられる。これにより血小板採取バッグ26内の空気を容易かつ確実に除去することができる。
また、白血球除去フィルター261としては、例えば、両端に流入口および排出口を有するケーシング内に、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂よりなる織布、不織布、メッシュ、発泡体等の多孔質体を1層または2層以上積層した濾過部材を挿入して構成したもの等を用いることができる。
上述した第1〜第3のライン21〜23の形成に使用される各チューブ、各ポンプチューブ21g、23a、さらに、その他の各チューブ41〜51、21hの構成材料としては、それぞれ、ポリ塩化ビニルが好ましい。
これらのチューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
また、上述した各分岐コネクター21c、21f、22b、22c、22d、22e、22g、22h、22iの構成材料についても、それぞれ、前記チューブで挙げた構成材料と同様のものを用いることができる。
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、それぞれ、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12により押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
血漿採取バッグ25、血小板採取バッグ26、中間バッグ27a、エアーバッグ27bは、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。なお、前述したように、エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
各バッグ25、26、27a、27bに使用される材料としては、それぞれ、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
なお、血小板採取バッグ26に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。
このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いること、また、このような素材を用いることなく、上述したような材料のシート材を用い、厚さを比較的薄く(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.3mm程度)したものが好適である。
このような血液成分採取回路2の主要部分は、図示しないが、例えば、カセット式となっている。すなわち、血液成分採取回路2は、各ライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23)および所定の各チューブを部分的に収納し、かつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジングを備えている。
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を複数の血液成分に分離する。
遠心分離器20は、図2に示すように、上端に流入口143が形成された鉛直方向に伸びる管体141と、管体141の回りで回転し、上部145に対し液密にシールされた中空のローター142とを有している。
ローター142には、その周壁内面に沿って環状の貯血空間146が形成されている。この貯血空間146は、図2中下部から上部に向けてその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしており、その下部は、ローター142の底部に沿って形成されたほぼ円盤状の流路を介して管体141の下端開口に連通し、その上部は、排出口(流出口)144に連通している。また、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされ、ローター142の回転軸からの最大内径(最大半径)は、例えば、55〜65mm程度とされる。
このようなローター142は、血液成分採取装置1が備える遠心分離器駆動装置10によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
本実施形態では、図2に示すように、血液がローター142の貯血空間146内で内層より血漿層131、バフィーコート層132および赤血球層133に分離されるように遠心条件が設定される。
次に、図1に示す血液成分採取装置1の全体構成について説明する。
血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21の途中に設置された第1の送液ポンプ11と、第3のライン23の途中に設置された第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2(第1のライン21、チューブ42、44、45、47、49〜51)の流路の途中を開閉し得る複数の流路開閉手段81〜88と、各種の情報を表示(報知)する表示・操作部17と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、複数の流路開閉手段81〜88および表示・操作部17を制御するための制御部(制御手段)13とを備えている。
さらに、血液成分採取装置1は、第2のライン22に装着(設置)された濁度センサ14と、遠心分離器20の近傍に設置された光学式センサ15と、複数の気泡センサ31〜36と、血漿の重量を血漿採取バッグ25ごと重量測定するための重量センサ16と、圧力センサ37、38とを備えている。
制御部13は、第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12のための2つのポンプコントローラ(図示せず)を備え、制御部13と第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12とはポンプコントローラを介して電気的に接続されている。
遠心分離器駆動装置10が備える駆動コントローラ(図示せず)は、制御部13と電気的に接続されている。
各流路開閉手段81〜88は、それぞれ、制御部13に電気的に接続されている。
また、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36、圧力センサ37、38、表示・操作部17は、それぞれ、制御部13と電気的に接続されている。
制御部13は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御部13には、上述した濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36、圧力センサ37、38からの検出信号が、それぞれ、随時入力される。
制御部13は、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36、圧力センサ37、38からの検出信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血液成分採取装置1の各部の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段81〜88の開閉、遠心分離器駆動装置10の作動および表示・操作部17の駆動をそれぞれ制御する。
第1の流路開閉手段81は、第1のポンプチューブ21gより採血針29側、すなわち、分岐コネクター21fとチャンバー21dとの間において第1のライン21を開閉するために設けられている。
第2の流路開閉手段82は、チューブ50を開閉するために設けられている。第3の流路開閉手段83は、チューブ44を開閉するために設けられている。第4の流路開閉手段84は、チューブ45を開閉するために設けられている。第5の流路開閉手段85は、チューブ42を開閉するために設けられている。第6の流路開閉手段86は、チューブ49を開閉するために設けられている。第7の流路開閉手段87は、チューブ47を開閉するために設けられている。第8の流路開閉手段88は、チューブ51を開通するために設けられている。
各流路開閉手段81〜88は、それぞれ、第1のライン21、チューブ50、44、45、42、49、47、51を挿入可能な挿入部を備え、該挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モータ、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有している。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
これらの流路開閉手段(クランプ)81〜88は、それぞれ、制御部13からの信号に基づいて作動する。
なお、第8の流路開閉手段88は、チューブ51を閉鎖しており、必要に応じてチューブ51を開く(開通させる)機能を有するものであれば、特に限定されないが、破断前はその内部流路が閉塞されているが、破断すると内部流路が開通する部材を用いるのが好ましく、具体的には、例えば、テルモ社製、商品名:クリックチップを用いてもよい。
また、第8の流路開閉手段88に代えて、血小板採取バッグ26からチューブ47への流体の流れを可能にし、かつ、その逆方向の流体の流れを阻止する逆止弁(一方向弁)(逆流阻止手段)等を用いてもよい。
表示・操作部17は、例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等を備えたタッチパネルで構成される。
なお、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)である表示部(例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等)と、各操作を行う操作手段である操作部(例えば、、操作ボタン、操作スイッチ、操作ダイヤル等)とを別個に設けてもよい。
遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング201と、脚部202と、駆動源であるモータ203と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台205とを有している。
ハウジング201は、脚部202の上部に載置、固定されている。また、ハウジング201の下面には、ボルト206によりスペーサー207を介してモータ203が固定されている。
モータ203の回転軸204の先端部には、固定台205が回転軸204と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台205の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材によりハウジング201に固定されている。
このような遠心分離器駆動装置10では、モータ203を駆動すると、固定台205およびそれに固定されたローター142が、例えば、回転数3000〜6000rpm程度で回転する。
ハウジング201には、その側部(図2中、左側)に光学式センサ15が設置されている。
この光学式センサ15は、貯血空間146に向って投光するとともにその反射光を受光するように構成されている。
光学式センサ15は、投光部151から光(例えばレーザー光)を照射(投光)し、ローター142の反射面147で反射された反射光を受光部152で受光する。そして、受光部152においてその受光光量に応じた電気信号に変換される。
ここで、光学式センサ15は、片面に反射面を有し、光路を変更する反射板153を有しており、投光部151から照射された光は、反射板153を介して反射面147に照射され、反射面147で反射した光は、反射板153を介して受光部152で受光されるように構成されている。
このとき、投光光および反射光は、それぞれ、貯血空間146内の血液成分を透過するが、血液成分の界面(本実施形態では、血漿層131とバフィーコート層132との界面B)の位置に応じて、投光光および反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光部152での受光光量が変動(変化)し、この変動を受光部152からの出力電圧の変化として検出することができる。
すなわち、光学式センサ15は、受光部152での受光光量の変化に基づき、血液成分の界面の位置を検出することができる。
なお、光学式センサ15が検出する血液成分の界面としては、界面Bに限られず、例えば、バフィーコート層132と赤血球層133との界面であってもよい。
ここで、貯血空間146内の各層131〜133は、それぞれ、血液成分により色が異なっており、特に、赤血球層133は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、光学式センサ15の精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、特に限定されないが、例えば、600〜900nm程度であるのが好ましく、750〜800nm程度であるのがより好ましい。
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度(血小板の濃度)を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度センサ14は、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
この濁度センサ14により、例えば、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度、血漿中の血小板濃度の変化、血漿中への赤血球の混入等を検出することができる。
また、気泡センサ34により、例えば、第2のライン22中を流れる流体の空気から血漿への置換等を検出することができる。
濁度センサ14および各気泡センサ31〜36としては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。
第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11、および、第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、それぞれ、例えば、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適に用いられる。
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
この血液成分採取装置1は、後述する血小板採取操作(血液成分採取操作)の最終サイクルの終了後に、血液成分採取バッグ(血漿採取バッグ25、血小板採取バッグ26)内の空気を移送して除去する空気除去操作を行うことに特徴を有する。
この血液成分採取装置1では、オペレータが表示・操作部17を操作することにより、空気除去操作が開始される。
以下、具体例を挙げて説明する。
この血液成分採取装置1では、採血中(血小板採取操作中)、表示・操作部17に、採血モニター画面が表示される。この場合は、表示・操作部17に例えば、採血に関する各種の情報が表示される。
そして、血小板採取操作の返血工程が終了した時点で、返血工程の終了を示す情報と、PC空気抜きボタンおよびPPP空気抜きボタン(空気除去操作開始ボタン)が表示される。その後、オペレータは、ドナーから採血針29を抜き、採血針側第1ライン21aの採血針29側の近傍をクレンメ24aで閉塞し、第3のライン23の抗凝固剤容器接続用針23d側の近傍をクレンメ24bで閉塞した後に、PC空気抜きボタンを押す(PC空気抜きボタンに触れる)と、自動的に血小板採取バッグ26からの空気除去操作が実行される。
なお、本実施形態では、クレンメ24aで採血針側第1ライン21aを閉塞したが、それに限られず、例えば、クランプ等を用いたり、チューブシーラーで閉塞させたりすることができる(クレンメ24bも同様)。
続いて、オペレータは、血漿採取バッグ25を血液成分採取装置1から取り外して、血漿採取バッグ25の空気の出口側が鉛直方向上方になるように設置してPPP空気抜きボタン(空気除去操作開始ボタン)を押すと、自動的に血漿採取バッグ25からの空気除去操作が実行される。
なお、PC空気抜きボタンおよびPPP空気抜きボタンは、返血工程終了時に、表示・操作部17に同時に表示されてもよいし、一方のボタンが先に表示され、その操作(空気除去操作)が終了した後に、他方のボタンが表示されるように構成されていてもよい。
次に、血液成分採取装置1を用いた血小板採取操作(血液成分採取操作)を、図1、図3〜図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
血液成分採取装置1は、制御部13の制御により、第1の血漿採取工程と、定速血漿循環工程と、第2の血漿採取工程と、加速血漿循環工程と、第3の血漿採取工程と、血小板採取工程と、返血工程(血液成分返還工程)とを有する血小板採取操作(血液成分採取操作)を行うよう作動する。この血小板採取操作は、少なくとも1回行われる。
本実施形態では、血小板採取操作を繰り返して複数回(第1サイクル〜第nサイクル、nは2以上の整数)行うようになっている。
また、最終サイクルの血小板採取操作を行うのに並行して、血液成分採取装置1は、制御部13の制御により、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板中の白血球を分離除去する濾過操作(濾過工程)を行うよう構成されている。
この濾過操作を開始するタイミングは、特に限定されないが、ドナーの拘束時間を短縮する観点からは、この濾過操作を、最終サイクルの血小板採取操作と同時に(特に、血小板採取操作の早い段階の工程において)開始するのが好ましい。なお、本実施形態の血液成分採取装置1では、濾過操作を最終サイクルの血小板採取操作における第2の血漿採取工程の開始と略同時に開始するように構成されているが、フローチャートには、その濾過操作(濾過工程開始)のステップの記載を省略する。
そして、血小板採取操作および濾過操作の終了後、血液成分採取装置は、前述した空気除去操作を行うように構成されている。
[0] まず、最初に、第3のライン23と第1のライン21の採血針29からチャンバー21dまでを、抗凝固剤でプライミングし、その後、ドナー(供血者)の血管に採血針29を穿刺する。
[1] 第1サイクルの血小板採取操作(図3および図4参照)
[11] まず、血液成分採取装置1は、第1の血漿採取工程を行う。第1の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿(PPP)を血漿採取バッグ25内に採取する。
第1の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿(第2の血液成分)の採取を行う(図3のステップS101)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放し、他の流路開閉手段を閉塞した状態で、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは250mL/min以下程度、より好ましくは40〜150mL/min程度、例えば60mL/min)で作動(正転)して、ドナーから採血を開始する。
また、この採血と同時に、制御部13の制御により、第2の送液ポンプ12を作動して、第3のライン23を介して、例えばACD−A液のような抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に混入させる。
このとき、第2の送液ポンプ12の回転速度は、制御部13により、採血血液に対して抗凝固剤が所定比率(好ましくは1/20〜1/6程度、例えば1/10)で混合されるように制御される。
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、第1のライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143より管体141を経てローター142の貯血空間146内に導入される。
このとき、遠心分離器20内の空気(滅菌空気)は、第2のライン22およびチューブ42を介してエアーバッグ27b内に送り込まれる。
また、前記採血と同時にまたはこれと前後して、制御部13は、遠心分離器駆動装置10を作動し、ローター142を所定の回転数で回転するよう制御する。
このローター142の回転により、貯血空間146内に導入された血液は、内側から血漿層(PPP層)131、バフィーコート層(BC層)132、赤血球層(CRC層)133の3層に分離される。
なお、ローター142の回転数としては、好ましくは3000〜6000rpm程度、より好ましくは4200〜5800rpm程度とされる。また、以下の工程において、特に記載しない限り、制御部13は、ローター142の回転数を変更させない。
さらに、前記採血および前記抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間146の容量を越える血液(約270mL)が貯血空間146内に導入されると、貯血空間146内は血液により満たされ、遠心分離器20の排出口144から血漿(PPP)が流出する。
このとき、第2のライン22に設置された気泡センサ34は、第2のライン22中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検出し、制御部13は、この気泡センサ34の検出信号に基づき、第5の流路開閉手段85を閉塞し、かつ、第3の流路開閉手段83を開放するよう制御する。
これにより、第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿を血漿採取バッグ(第3の容器)25内に導入、採取する。
なお、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力される。
次いで、制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図3のステップS102)。
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは10〜150g程度、より好ましくは20〜40g程度とされる。
ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されていない場合には、制御部13は、ステップS101に戻り、再度、ステップS101以降を繰り返す。
また、ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[11](第1の血漿採取工程)を終了して、定速血漿循環工程に移行する。
[12] 次に、血液成分採取装置1は、定速血漿循環工程を行う。定速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に通して定速で循環させる。
定速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行う(図3のステップS103)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉鎖し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは60〜250mL/min程度、例えば200mL/min)で作動(正転)する。
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に一定速度で導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に定速にて循環させる。
次いで、制御部13は、定速血漿循環を開始してから所定時間(好ましくは10〜90秒程度、例えば30秒)が経過したか否かを判断する(図3のステップS104)。
ステップS104において、定速血漿循環を開始してから所定時間が経過していない場合には、制御部13は、ステップS103に戻り、再度、ステップS103以降を繰り返す。
また、ステップS104において、定速血漿循環を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[12](定速血漿循環工程)を終了して、第2の血漿採取工程に移行する。
[13] 次に、血液成分採取装置1は、第2の血漿採取工程を行う。第2の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
なお、この第2の血漿採取工程では、重量センサ16により血漿の採取量を計測するのに代わり、血漿層131とバフィーコート層132との界面Bの位置を検出する以外、前記工程[11](第1の血漿採取工程)と同様の工程を行う。
第2の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行う(図3のステップS105)。
なお、このとき、制御部13は、第2の流路開閉手段82を閉塞し、第1の流路開閉手段81を開放するよう制御する。
これにより、貯血空間146内の赤血球量が増加、すなわち、赤血球層133の層厚が増大するのに伴い、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動する。
次いで、制御部13は、光学式センサ15からの検出信号(界面位置検出情報)に基づき、界面Bが所定レベル(第1の位置)に到達したか否かを判断する(図3のステップS106)。
なお、この界面Bの第1の位置としては、第1の光学式センサ15からの検出信号(受光部152からの出力電圧)が、好ましくは1〜2V程度となった時点の位置とされる。
ステップS106において、界面Bが第1の位置に到達していない場合には、制御部13は、ステップS105に戻り、再度、ステップS105以降を繰り返す。
また、ステップS106において、界面Bが第1の位置に到達した場合には、制御部13は、本工程[13](第2の血漿採取工程)を終了して、加速血漿循環工程に移行する。
[14] 次に、血液成分採取装置1は、加速血漿循環工程を行う。加速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
加速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行う(図3のステップS107)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉鎖し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度が一定の加速度にて増加(増大)するように作動(正転)する。
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
なお、このとき、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記定速血漿循環より遅い速度(初速:例えば60mL/min)から、一定の加速度にて増加(増大)するように制御する。
この加速条件(加速度)としては、好ましくは1〜10mL/min/sec程度、より好ましくは3〜6mL/min/sec程度とされる。また、加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が所定速度(好ましくは130〜250mL/min程度、例えば155mL/min)に到達したか否かを判断する(図3のステップS108)。
このステップS108は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達するまで継続される。
また、ステップS108において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合、制御部13は、本工程[14](加速血漿循環工程)を終了して、第3の血漿採取工程に移行する。
[15] 次に、血液成分採取装置1は、第3の血漿採取工程を行う。第3の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
第3の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行う(図3のステップS109)。
次いで、制御部13は、第1の送液ポンプ11の1回転当たりの送液量および回転回数に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図3のステップS110)。
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは2〜30g程度、より好ましくは5〜15g程度とされる。
また、ステップS110において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[15](第3の血漿採取工程)を終了して、血小板採取工程に移行する(図4の1に移行する)。
[16] 次に、血液成分採取装置1は、血小板採取工程を行う。血小板採取工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を、貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させ、次いで、第1の加速度より大きい第2の加速度に変更して、この第2の加速度にて加速させながら循環させて、貯血空間146内より血小板を流出させ、濃厚血小板を中間バッグ27a内に採取(貯留)する。
血小板採取工程では、まず、制御部13は、第1の加速度による血漿循環を行う(図4のステップS111)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉塞し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度を第1の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。
これにより、採血を中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させる。
このとき、貯血空間146内に血漿を第1の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動する。
この第1の加速度としては、好ましくは0.5〜10mL/min/sec程度、より好ましくは1.5〜2.5mL/min/sec程度とされる。なお、第1の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
また、第1の加速度による血漿循環での第1の送液ポンプ11の初速としては、好ましくは40〜150mL/min程度、より好ましくは50〜80mL/min程度とされる。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達するまで、ステップS111を継続する(図4のステップS112)。
なお、この所定の速度、すなわち、第1の加速度による血漿循環が終了するときの第1の送液ポンプ11の回転速度としては、好ましくは100〜180mL/min程度、より好ましくは140〜160mL/min程度とされる。
また、ステップS112において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合には、制御部13は、第2の加速度による血漿循環を行う(図4のステップS113)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の送液ポンプ11の加速度を、第1の加速度から第2の加速度に変更して、第1の送液ポンプ11の回転速度を第2の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第2の加速度にて加速させながら循環させる。
このとき、貯血空間146内に血漿を第2の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動するとともに、バフィーコート層132中の血小板(PC)が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、ローター142の排出口144へ向って移動する。
この第2の加速度としては、第1の加速度より大きくなるよう設定され、好ましくは3〜20mL/min/sec程度、より好ましくは5〜10mL/min/sec程度とされる。なお、第2の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が所定速度(好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/min)に到達したか否かを判断する(図4のステップS114)。
ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達していない場合には、制御部13は、ステップS113に戻り、再度、ステップS113以降を繰り返す。
また、ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合には、制御部13は、血漿循環を継続する(図4のステップS115)。
具体的には、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記ステップS114における所定速度で維持(保持)するよう制御する。これにより、血漿の貯血空間146内への循環速度を、好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/minとする。
次いで、制御部13は、ステップS115を開始してから所定時間(好ましくは5〜15秒程度、例えば10秒)が経過したか否かを判断する(図4のステップS116)。
ステップS116において、ステップS115を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(PC濃度電圧)が所定値(好ましくは2.5〜3.5V程度、例えば、3.0V)以下に低下したか否かを判断する(図4のステップS117)。
ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下していない場合には、制御部13は、ステップS115に戻り、再度、ステップS115以降を繰り返す。
ステップS115〜S117を繰り返している間に、ステップS116において、ステップS115を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
また、ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下した場合には、すなわち、ローター142の排出口144から血小板が流出するのに伴い、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度が所定値以上に到達した場合には、制御部13は、血小板(PC)の採取を行う(図4のステップS118)。
具体的には、制御部13は、濁度センサ14の検出信号に基づき、第3の流路開閉手段83を閉塞し、かつ、第4の流路開閉手段84を開放するよう制御する。
これにより、第2のライン22、チューブ43および45を介して濃厚血小板を中間バッグ27a内へ導入し、採取(貯留)する。なお、このとき、第7の流路開閉手段87は、閉塞しているため、濃厚血小板は、中間バッグ27a内から流出しない。
また、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(検出信号)に基づき、中間バッグ27a内の血小板濃度(累積PC濃度)を算出する。なお、この血小板濃度は、PC採取を開始してから上昇を続け、一旦、最高濃度に到達した後、下降に転じる。
次いで、制御部13は、PC採取を開始してから所定時間(好ましくは10〜25秒程度、例えば15秒)が経過したか否かを判断する(図4のステップS119)。
ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14の出力電圧(PC濃度電圧)が所定値以下に到達したか否かを判断する(図4のステップS120)。
この濁度センサ14の出力電圧の所定値としては、第2のライン22中を流れる血漿中に赤血球の混入が生じる時点付近の値とされ、好ましくは0.5V以下程度とされる。
ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達していない場合には、次いで、制御部13は、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達したか否かを判断する(図4のステップS121)。
なお、この濃厚血小板の採取量(所定量)としては、好ましくは20〜100mL程度、より好ましくは40〜80mL程度とされる。
ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達しない場合には、制御部13は、ステップS118に戻り、再度、ステップS118以降を繰り返す。
ステップS118〜S121を繰り返している間に、ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過した場合、または、ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
また、ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達した場合には、制御部13は、第5の流路開閉手段85を開放し、この他の全ての流路開閉手段81〜84、86、87、88を閉塞した状態とし、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[16](血小板採取工程)を終了する。
[17] 次に、血液成分採取装置1は、遠心分離器20を停止する工程を行う。
この工程では、まず、制御部13は、遠心分離器20の減速を行う(図4のステップS122)。
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転数を減少して、ローター142を減速する。
さらに、制御部13は、遠心分離器20の停止を行う(図4のステップS123)。
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転を停止して、ローター142を停止する。
[18] 次に、血液成分採取装置1は、返血工程を行う。返血工程では、ローター142の貯血空間146内の血液成分(残りの血液成分)を返血する。
返血工程では、制御部13は、返血を行う(図4のステップS124)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放するとともに、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは20〜120mL/min程度、例えば90mL/min)で作動(逆転)する。
これにより、ローター142の貯血空間146内に残存する血液成分(主に、赤血球、白血球)は、遠心分離器20の流入口143から排出され、第1のライン21(採血針29)を介してドナーに返血(返還)される。
そして、気泡センサ32によって遠心分離器20から排出される空気を検出して、所定の回数だけ第1の送液ポンプ11を回転した後、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[18](返血工程)を終了する。
これにより、第1サイクルの血小板採取操作を終了する。
[2] 最終サイクルではない第2サイクルの血小板採取操作(図3および図4参照)
続いて、第2サイクルの血小板採取操作を行う。
第2サイクルの血小板採取操作では、下記の通り、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行う。
[21]〜[28] 前記工程[11]〜[18]と同様の工程をそれぞれ行う。
これにより、第2サイクルの血小板採取操作を終了する。
なお、最終サイクルではない第3サイクル以降の血小板採取操作も同様である。
[3] 最終サイクルの血小板採取操作(図3および図4参照)
続いて、最終サイクルの血小板採取操作を行う。
最終サイクルの血小板採取操作では、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過工程を行うこと以外は、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行う。なお、濾過工程については、後に詳述する。
[31]〜[37] 前記工程[11]〜[17]と同様の工程をそれぞれ行う。
[38] 気泡センサ35または36によって遠心分離器20から排出される空気を検出して、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[38](返血工程)を終了すること以外は、前記工程[18]と同様の工程を行う。
これにより、最終サイクルの血小板採取操作を終了する。
次に、濾過工程について説明する。
本実施形態では、第2の血漿採取工程を行うのとほぼ同時に、制御部13は、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板の濾過、すなわち、濃厚血小板中の白血球の分離除去を行う。
具体的には、ステップS105の前に、制御部13の制御により、第7の流路開閉手段87を開放して濾過工程を開始する(図示せず)。なお、濾過工程を開始するタイミングは、これに限定されないことは、言うまでもない。
これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板を、落差(自重)により、チューブ46、47、52、白血球除去フィルター261およびチューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送する。このとき、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
なお、濃厚血小板の中間バッグ27a内から血小板採取バッグ26への移送は、ポンプを用いて行うようにしてもよい。
また、第7の流路開閉手段87は、制御部13の制御により作動するものに代わり、手動によりチューブ47の流路の途中を開閉し得るクレンメや、前述のクリックチップ等であってもよい。
また、濾過工程終了後に、フィルター22hのキャップを開くことにより、チューブ48内に残存する血小板をより確実に血小板採取バッグ26に採取することもできる。
本実施形態の血液成分採取装置1は、血小板採取操作(血液成分採取操作)の最終サイクルおよび濾過工程の終了後に、血液成分採取バッグ26内の空気を移送して除去する第1の空気除去操作を行う。第1の空気除去操作では、制御部13の制御により、2段階の工程で血液成分採取バッグ26内の空気をエアーバッグ27bへと移送する。第1工程(第1段階)では、送液ポンプ11を作動(逆転)して、血液成分採取バッグ26内の空気をチャンバー21dに移送し、チャンバー21dに貯留する。第2工程(第2段階)では、送液ポンプ11を前記と逆方向に作動(正転)してチャンバー21d内の空気をエアーバッグ27bへと移送し、エアーバッグ27bに貯留する。この血液成分採取装置1では、第1の送液ポンプ11が血液成分採取バッグ26内の空気を除去するポンプ(空気除去手段)を兼用する。
第1の空気除去操作における第1工程では、まず、制御部13は、第1の流路開閉手段81、第4の流路開閉手段84、第7の流路開閉手段87、第8の流路開閉手段88を開放するとともに、その他の流路開閉手段を閉塞し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは30〜150mL/min程度、例えば60mL/min)で作動(逆転)する。
これにより、血小板採取バッグ26内の空気は、チューブ51、47、46、中間バッグ27a、チューブ45、43、第2のライン22、遠心分離器20および遠心分離器側第1ライン21bを経て採血針側第1ライン21aのチャンバー21dに移送され、このチャンバー21d内の圧力が増大していき、このチャンバー21dにて圧縮された状態で貯留(保存)される。
なお、この際、採血針側第1ライン21aの採血針29側は、クレンメ24aにより閉塞され、第3のライン23の抗凝固剤容器接続用針23d側は、クレンメ24bにより閉塞されているため、空気は外部に放出されることがない。
また、この第1工程では、圧力センサ37で第2のライン22内の内圧をモニターすることにより、血小板採血バッグ26内の空気が除去されたことを検出する。圧力センサ37によって検出される値は、血小板採取バッグ26内に空気が充分に残っている間は、ほぼ一定であり、血小板採取バッグ26がしぼんでくるにつれて徐々に大気圧から低下していく。血小板採取バッグ26内の空気が無くなると、血小板採取バッグ26内の血小板(血液成分)が吸い上げられるため、圧力が急激に減少し(陰圧が急激に強くなり)、圧力センサ37によって検出される値が急激に減少(変化)する。予め閾値として所定値が設定されており、制御部13は、圧力センサ37によって検出される値が前記閾値(または閾値以下)になった場合、血小板採取バッグ26内の空気が除去されたと判断して、第1の送液ポンプの作動を停止し、本工程(第1工程)を終了する。
次に、血液成分採取装置1は、第2工程を行う。
制御部13は、第4の流路開閉手段84、第7の流路開閉手段87および第8の流路開閉手段88を閉塞し、第5の流路開閉手段85を開放するとともに、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは30〜150mL/min程度、例えば60mL/min)で作動(正転)する。
これにより、チャンバー21d内の空気は、遠心分離器側第1ライン21b、遠心分離器20、第2のライン22およびチューブ42を経てエアーバッグ27bに移送され、貯留(保存)される。
また、第2工程では、圧力センサ38で採血針側第1ライン21a(チャンバー21d)の圧力を検出することにより、チャンバー21d内の圧力が略大気圧になることを検出する。圧力センサ38によって検出される値は、最初は大気圧値より大きい値であるが、徐々に小さくなり(漸減し)、やがて大気圧と略等しい値(略一定)になる。予め大気圧と略等しい値が閾値として設定されており、制御部13は、圧力センサ38によって検出される値が前記閾値(または閾値以下)になった場合、チャンバー21dの圧力が略大気圧と等しくなり、チャンバー21d内の空気がエア−バッグ27bに移送されたと判断して、第1の送液ポンプの作動を停止し、本工程(第2工程)を終了する。
次に、血液成分採取装置1は、血漿採取バッグ25内の空気を移送して除去する第2の空気除去操作を行う。第2の空気除去操作は、制御部13の制御により、血漿採取バッグ25内の空気をエアーバッグ27bへと移送する。
第2の空気除去操作では、前述したように、オペレータは血漿採取バッグ25を血液成分採取装置1から外し、血漿採取バッグ25の空気の出口側が鉛直方向上方になるように設置してPPP空気抜きボタン(空気除去操作開始ボタン)を押すと、自動的に血漿採取バッグ25からの空気除去操作が実行される。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81、第2の流路開閉手段82および第5の流路開閉手段85を開放するとともに他の流路開閉手段を閉じ、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは30〜150mL/min程度、例えば、60mL/minで作動(正転)する。
これにより、血漿採取バッグ25内の空気は、チューブ49、50、遠心分離器側第1ライン21b、遠心分離器20および第2のライン22、チューブ42を経てエアーバッグ27bに移送され、貯留(保存)される。
そして、圧力センサ38で採血針側第1ライン21a(チャンバー21d)の圧力の急激な低下を検出することにより、血漿採取バッグ25内から空気が除去されたことを検出して第2の空気除去操作を終了する。
なお、白血球除去フィルター261のバブルポイントが比較的低ければ、前記第1の空気除去操作において、白血球除去フィルター261を介して血小板採取バッグ26内の空気を移送することができる。この場合、バイパス流路は、なくてもよい。
なお、血小板採取操作は、複数回行う場合に限定されず、例えば、1回のみ行ってもよい。
また、血小板採取回路2の構成も、適宜設定可能であり、図示の構成に限定されない。
以上説明したように、この血液成分採取装置1によれば、自動的に空気除去操作を行うことができる。また、この空気除去操作により、血小板採取操作の終了後、容易、迅速かつ確実に血小板採取バッグ26および血漿採取バッグ25内の空気を除去することができる。これによって、採取した血小板採取バッグ(血液成分採取バッグ)26内の血小板(血液成分)の機能の低下を抑え、血漿採取バッグ25を凍結したときの破損のリスクを下げることができる。
また、血液成分採取回路2が、白血球除去フィルター261を迂回するチューブ51(バイパス流路)を有することにより、簡易な構成で、確実に血小板採取バッグ26から空気を除去することができる。
また、空気除去操作を行うに際して、また、第1の送液ポンプ11が、空気を移送するポンプを兼用するため、空気移送用のポンプを別途設ける必要がない。また、エアーバッグ27bが空気貯留部を兼用するため、血小板採取バッグ26内の空気を移送するバッグ(移送先)を別途設ける必要がない。これにより、構成が簡易になり、装置の大型化、回路の複雑化を防止することができる。
そして、この血液成分採取装置1では、血液より分離、採取された濃厚血小板中から、白血球除去フィルター261により白血球を分離除去するため、白血球の混入が極めて低い血小板製剤を得ることができる。
次に、本発明の血液成分採取装置の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の血液成分採取装置の第2実施形態を示す平面図である。
以下、第2実施形態の血液成分採取装置1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の血液成分採取装置1は、血小板採取バッグ26からエアーバッグ27bに移送する流路(移送ルート)が第1実施形態と異なっている。
本実施形態の第1の空気除去操作では、制御部13の制御により、一工程で血液成分採取バッグ26内の空気をエアーバッグ27bへ移送する。
図7に示すように、第2実施形態の血液成分採取装置1では、チューブ51の一端は分岐コネクター21fに接続され、他端は、血小板採取バッグ26に接続されている。また、分岐コネクター21fとして第1実施形態の分岐コネクター21fより、分岐数が1つ多いものを用いる。
また、フィルター21iには、採血針側第1ライン21aの内圧を検出する第1の圧力センサとして圧力センサ38が接続されている。
次に、本実施形態の空気除去操作における動作を説明する。
制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81、第5の流路開閉手段85および第8の流路開閉手段88を開放するとともに、他の流路開閉手段を閉塞し、第1の送液ポンプを所定の回転速度(好ましくは30〜150mL/min程度、例えば、60mL/min)で作動(正転)する。これにより、血小板採取バッグ26内の空気は、遠心分離器側第1ライン21b、第2のライン22およびチューブ42を介してエアーバッグ27b内に送り込まれる。
また、本工程では、圧力センサ38で採血針側第1ライン21a(チャンバー21d)の圧力を検出することにより、血小板採血バッグ26内から空気が除去されたことを検出する。圧力センサ38によって検出される値は、血小板採取バッグ26内に充分に空気が残っている間は、ほぼ一定であり、バッグがしぼんでくるにつれて徐々に大気圧から低下していく。血小板採取バッグ26内の空気が無くなると、血小板採取バッグ26内の血小板(血液成分)が吸い上げられるため、圧力が急激に減少し(陰圧が急激に強くなり)、圧力センサ38によって検出される値が急激に減少(変化)する。予め閾値として所定値が設定されており、制御部13は、圧力センサ38によって検出される値が前記閾値(または閾値以下)になった場合、血小板採取バッグ26内の空気が除去されたと判断して、第1の送液ポンプの作動を停止し、本工程を終了する。
なお前記第1の空気除去操作の際、採血針側第1ライン21aの採血針29側は、クレンメ24aにより閉塞され、第3のライン23の抗凝固剤容器接続用針23d側は、クレンメ24bにより閉塞されているため、採血針側第1のライン21側には空気は移送されない。
この血液成分採取装置1によれば、前述した第1実施形態の血液成分採取装置1と同様の効果が得られる。
そして、この血液成分採取装置1では、1回の工程で血小板採取バッグ26内の空気をエアーバッグ27bに移送することができるため、制御が簡素化される、工程数が簡素化される、空気除去操作に費やす時間の短縮が図れる等の利点があり、より効率のよい移送が可能となる。
以上、本発明の血液成分採取装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、オペレータの判断により、第1の空気除去操作と第2の空気除去操作のいずれか一方を選択できるように構成してもよい。
また、本発明では、光学式センサは、図示のものに限定されず、例えば、ラインセンサ等であってもよい。
また、本発明では、細胞分離フィルター(濾過器)により分離除去する細胞も、白血球に限定されない。
また、本発明の血液成分採取装置は、血小板製剤や血漿製剤を得るのに適用する場合に限られず、例えば、血液中から白血球製剤、赤血球製剤等を製造する場合に適用してもよい。
また、本発明の血液成分採取装置の方式は、間歇式(単針式)に限らず、例えば、連続式(二針式)であってもよい。
また、本発明では、空気除去操作により空気が除去される血液成分採取バッグは、血小板採取バッグ、血漿採取バッグに限られない。
また、前記各実施形態では、血小板採取バッグ26内の空気が除去されたことを検出する検出手段として圧力センサ37を用いたが、それに限られず、例えば、気泡センサのようなチューブ内の気/液分離面を検出するセンサを用いてもよい。このセンサ(気泡センサ)としては、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることができる。この場合、このセンサは、血小板採取バッグ26の近傍、例えば、チューブ51の途中に設置されるのが好ましく、さらにチューブ51の途中であって、血小板採取バッグ26の近傍に設置されるのがより好ましい。
この場合、前記センサでチューブ51内の液体を検出することにより、血小板採血バッグ26内から空気が除去されたことを検出する。前記センサは、血小板採取バッグ26内に空気が残っている間は、略一定の値を示すが、血小板採取バッグ26内の空気が無くなると、血小板採取バッグ26内の血小板(血液成分)が吸い上げられるため、気/液分離面を検出し、前記センサによって検出される値が急激に変化する。予め閾値として所定値が設定されており、制御部13は、圧力センサ37によって検出される値が前記閾値になった場合、血小板採取バッグ26内の空気が除去されたと判断して、第1の送液ポンプの作動を停止する。
また、前記各実施形態では、第1の送液ポンプ11が血小板採取バッグ26内の空気を除去するポンプを兼用したが、それに限られず、例えば、空気を除去するポンプを別個に設けてもよい。
また、前記各実施形態では、空気除去手段としてポンプを用いたが、それに限られず、正方向、逆方向の両方向に空気を送ることができるものであれば特に限定されない。