JP2005177191A - 採血装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】採血に伴うVVR(例えば、採血後の遅発性VVR等)の発症を防止することができる採血装置を提供する。
【解決手段】採血装置1は、血液成分採取回路2を有している。血液成分採取回路2は、遠心分離器20と、採血針29を有し、遠心分離器20の流入口143に接続された第1のライン21と、遠心分離器20の排出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続された第3のライン23と、輸液製剤容器接続用針24dを有し、第2のライン22に接続された第4のライン24と、血漿採取バッグ25と、エアーバッグ27bと、中間バッグ27aと、血小板採取バッグ26と、バッグ28とを備えている。この採血装置1は、輸液製剤を補液し得るように構成されており、採取される血液成分量に応じて、輸液製剤の補液量を設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、採血装置に関するものである。
輸血や自己血輸血を目的とした供血者からの採血が行われている。採血は大きく全血採血と成分採血に分類される。全血採血は、予め抗凝固剤の入ったバッグに供血者からの血液を採取する方法で、この全血採血では、1名から1回に200〜600mL程度の血液(全血)が採取される。成分採血は、遠心分離器や膜分離器を含む回路を用いて供血者から必要な血液成分のみを採取する方法で、この成分採血では、1名から1回に200〜600mL程度の血液(血液成分)が採取される。成分採血では、回路が複雑な分、一時的に体外に取り出されている血液量は、前述の採取量に比べ多くなり、850mLに達することもある。
採血に伴う副作用として血管迷走神経反応(vaso−vagal−reactions:VVR)が知られており、国内の献血の場合、全採血数の約1%の割合で発症することが知られている。この副作用は、時には採血中や採血後に供血者を失神させ、頭部打撲等の怪我を負わせることがある。こういったことから、VVRを引き起こさない採血が求められている。
VVRは、脱血量が多いほど発症リスクが高くなることが知られ、採血後に、供血者に対し、輸液製剤を補液することで発症の予防につながる可能性が示唆されている。
しかし、既存の全血採血装置には、補液量を算出し補液する機能の付いたものはない。
また、成分採血装置では、予め補液量を入力して、補液を行う血漿交換装置や、返血の際、返血量に対し、1:1の割合で生理食塩水を混合し、返血速度を高める装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような従来の採血装置では、補液量が採取した血液量に応じて設定されるわけではないので、補液量が不十分で、VVRが発症してしまうことがあり、また、逆に、補液量が多過ぎてしまうことがある。
特許第2930419号公報
本発明の目的は、採血に伴うVVR(例えば、採血後の遅発性VVR等)の発症を防止(予防)することができる採血装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 供血者から血液を採取する採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを備える血液成分採取回路を有し、
供血者から採取した血液を遠心分離して、前記所定の血液成分を採取し、残りの血液成分を前記供血者へ返還する採血装置であって、
供血者に対し、輸液製剤を補液する補液手段を設け、
採取される血液量または血液成分量に応じて、前記輸液製剤の補液量を設定するように構成されていることを特徴とする採血装置。
(2) 前記補液手段は、分岐部を介して前記遠心分離器の流出口側の流路から分岐し、末端側が輸液製剤の収納された容器側に連通し得る流路を有する上記(1)に記載の採血装置。
(3) 前記補液手段は、分岐部を介して前記遠心分離器の流入口側の流路から分岐し、末端側が輸液製剤の収納された容器側に連通し得る流路を有する上記(1)に記載の採血装置。
(4) 前記残りの血液成分を供血者へ返還する際に前記補液を行うよう構成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の採血装置。
(5) 当該採血装置は、供血者から採取した血液を遠心分離して、前記所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、残りの血液成分を前記供血者へ返還する血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を少なくとも1サイクル行うものであり、
前記血液成分採取操作の最終サイクルにおける前記血液成分返還工程の際に、前記補液を行うように構成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の採血装置。
(6) 供血者から血液を採取する採血手段と、
供血者に対し、輸液製剤を補液する補液手段と、
前記採血手段に連通し、供血者から採取した血液または所定の血液成分を採取する採取バッグとを備える採取回路を有する採血装置であって、
採取される血液量または血液成分量に応じて、前記輸液製剤の補液量を設定するよう構成されていることを特徴とする採血装置。
(7) 当該採血装置は、全血採血装置または成分採血装置である上記(6)に記載の採血装置。
(8) 前記血液の採取終了後に前記補液を行うよう構成されている上記(6)または(7)に記載の採血装置。
(9) 前記採血手段を介して前記補液を行うよう構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の採血装置。
(10) 採取される血液量または血液成分量を検出する検出手段を有し、
前記検出手段による検出結果に基づいて前記設定する補液量を求めるよう構成されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の採血装置。
(11) 前記設定する補液量は、採取される血液量または血液成分量をa、係数をb1としたとき、下記式1により算出されるよう構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の採血装置。
補液量=a×b1(但し、b1は、0.05〜5.0) ・・・(式1)
(12) 前記設定する補液量は、採取される血液量または血液成分量をa、許容採取量をc、係数をb2としたとき、下記式2により算出されるよう構成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の採血装置。
補液量=(a−c)×b2(但し、b2は、0.05〜5.0、許容採取量は、許容採取率と循環血液量との積) ・・・(式2)
本発明によれば、採血において、ドナー(供血者)に対し、輸液製剤を過不足なく補液(輸液)することができ、これにより、例えば、採血後の遅発性VVR等、採血に伴うVVRの発症を防止(予防)することができる。
以下、本発明の採血装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の採血装置の実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す採血装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図であり、図3〜図6は、それぞれ、図1に示す採血装置の作用を説明するためのフローチャートである。
図1に示す採血装置1は、血液を複数の血液成分に分離するとともに分離された血液成分(特に、血小板)を採取するための装置、すなわち、血液成分採取装置(成分採血装置)である。この採血装置1は、内部に貯血空間146を有するローター142と、貯血空間146に連通する流入口143および排出口(流出口)144とを有し、ローター142の回転により流入口143より導入された血液を貯血空間146内で遠心分離する遠心分離器20と、採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続する第1のライン21と、遠心分離器20の排出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続された第3のライン23と、第2のライン22に接続された第4のライン24と、チューブ49および50を介して第1のライン21に接続され、かつチューブ43および44を介して第2のライン22に接続された血漿採取バッグ(採取バッグ)25と、チューブ42を介して第2のライン22に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43および45を介して第2のライン22に接続された中間バッグ(一時貯留バッグ)27aと、チューブ46、47および48を介して中間バッグ27aに接続された血小板採取バッグ(採取バッグ)26と、チューブ51を介して血小板採取バッグ26に接続されたバッグ28とを有する血液成分採取回路(採取回路)2を備えている。
さらに、採血装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2の流路の途中を開閉し得る複数(本実施形態では、第1〜第8の8個)の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87、88と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段81〜88を制御するための制御部(制御手段)13と、濁度センサ14と、光学式センサ15と、重量センサ16と、複数(本実施形態では、6個)の気泡センサ31、32、33、34、35、36とを備えている。
そこで、最初に、血液成分採取回路2について説明する。
この血液成分採取回路2は、ドナー(供血者)から血液を採取する採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続し、第1のポンプチューブ21gを備える第1のライン(採血および返血ライン)21と、一端側が遠心分離器20の排出口(流出口)144に接続された第2のライン22と、第1のライン21の採血針29の近くに接続され、第2のポンプチューブ23aを備える第3のライン(抗凝固剤注入ライン)23と、一端側が第2のライン22に接続され、他端側(末端側)に輸液製剤容器接続用針24dが接続された第4のライン(輸液製剤補液(供給)ライン)24と、第1のライン21のポンプチューブ21gより採血針29側に接続されたチューブ50と、チューブ50に接続されたチューブ49と、第2のライン22に接続されたチューブ43と、チューブ43に接続されたチューブ44と、チューブ44および49に接続された血漿採取バッグ25と、第2のライン22に接続されたチューブ42と、チューブ42に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43に接続されたチューブ45と、チューブ45に接続された中間バッグ27aと、中間バッグ27aに接続されたチューブ46と、チューブ46に接続されたチューブ47と、チューブ48と、チューブ48に接続された血小板採取バッグ26と、血小板採取バッグ26に接続されたチューブ51と、チューブ51に接続されたバッグ28とを備えている。エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン21aと、一端側が採血針側第1ライン21aに接続され、他端側が遠心分離器20の流入口143に接続された遠心分離器側第1ライン21bとを有している。採血針29としては、例えば、公知の金属針が使用される。
この採血針側第1ライン21a、遠心分離器側第1ライン21b、後述する第2のライン22、第3のライン23、第4のライン24は、それぞれ、軟質樹脂製チューブ、または、その軟質樹脂製チューブが複数接続されて形成されている。
採血針側第1ライン21aは、採血針29側より、第3のライン23との接続用分岐コネクター21cと、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dと、チューブ50との接続用分岐コネクター21fとを備えている。
また、採血針側第1ライン21aに沿って、採血針29側より、気泡センサ35、36および32が設置されている。この場合、気泡センサ35および36は、分岐コネクター21cとチャンバー21dとの間に配置され、気泡センサ32は、チャンバー21dと分岐コネクター21fとの間に配置されている。
また、チャンバー21dには、チューブ21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側第1ライン21aの内圧の検出等に用いることができる。
一方、遠心分離器側第1ライン21bは、チューブ50との接続用分岐コネクター21fに接続されており、その途中に形成された第1のポンプチューブ21gを有している。
第2のライン22は、その一端側が遠心分離器20の排出口144に接続されている。
この第2のライン22は、遠心分離器20側から、第4のライン24との接続用分岐コネクター(分岐部)22aと、チューブ42および43との接続用分岐コネクター22bとを備えている。
また、第2のライン22に沿って、遠心分離器20側より、濁度センサ14および気泡センサ34が設置されている。この場合、濁度センサ14および気泡センサ34は、遠心分離器20と分岐コネクター22aとの間に配置されている。
また、分岐コネクター22bには、チューブ41を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター22fが接続されている。このラインは、例えば、第2のライン22の内圧の検出等に用いることができる。
第3のライン23は、その一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。
この第3のライン23は、分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23aと、除菌フィルター(異物除去用フィルター)23bと、気泡除去用チャンバー23cと、抗凝固剤容器接続用針23dとを備えている。
また、第3のライン23に沿って、気泡センサ31が設置されている。この気泡センサ31は、分岐コネクター21cと第2のポンプチューブ23aとの間に配置されている。
第4のライン24は、その一端が第2のライン22に設けられた接続用分岐コネクター22aに接続されている。すなわち、第4のライン(流路)24は、分岐コネクター22aを介して第2のライン(流路)22から分岐している。
この第4のライン24は、分岐コネクター22a側より、除菌フィルター(異物除去用フィルター)24bと、気泡除去用チャンバー24cと、輸液製剤容器接続用針24dとを備えている。
輸液製剤容器接続用針24dは、輸液製剤が収納(収容)された容器30に接続され、これにより、容器30内の輸液製剤は、後述するように、輸液製剤容器接続用針24dから第4のライン24、第2のライン22を流れ、遠心分離器20の貯血空間146を経て、されらに、第1のライン21を流れ、採血針29を介してドナーに供給(補液)される。
輸液製剤としては、例えば、代用血漿等の膠質液や、生理食塩水等の晶質液等を用いることができる。膠質液を用いる場合には、その補液量は、晶質液に比べて少ない補液量で済む。
なお、本発明では、第4のライン24は、これに限らず、例えば、その一端が第1のライン21に設けられた図示しない接続用分岐コネクターに接続されていてもよい。すなわち、第4のライン(流路)24は、前記分岐コネクターを介して第1のライン(流路)21から分岐していてもよい。この場合には、遠心分離器20の貯血空間146を介することなく、補液を行うことができる。
また、本発明では、分岐コネクター22aと除菌フィルター24bとの間にポンプチューブを設けて、送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)によって補液を行ってもよい。
血漿採取バッグ(第3の容器)25は、血漿(第2の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。チューブ49の一端は、この血漿採取バッグ25に接続され、その途中に接続用分岐コネクター22dが設けられている。そして、チューブ50の一端は、この分岐コネクター22dに接続され、他端は、分岐コネクター21fに接続されている。
また、チューブ43の一端は、分岐コネクター22bに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22cが設けられている。そして、チューブ44の一端は、この分岐コネクター22cに接続され、他端は、血漿採取バッグ25に接続されている。
また、チューブ46の途中には、そのチューブ46に沿って、気泡センサ33が設置されている。
なお、血漿採取バッグ25、チューブ43および44により、血漿を採取する血漿採取用分岐ラインが構成されている。
血液成分採取バッグである血小板(血小板製剤)採取バッグ(第2の容器)26は、後述する白血球除去フィルター261を通過した後の血小板を含む血漿(第1の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。なお、以下の説明では、血小板を含む血漿(第1の血液成分)を、「濃厚血小板」と言い、血小板採取バッグ26内に採取(貯留)された濃厚血小板を、「血小板製剤」と言う。
チューブ51の一端は、この血小板採取バッグ26に接続され、その他端にはバッグ28が接続されている。
エアーバッグ27bは、空気(エアー)を一時的に収納(貯留)するための容器である。
後述する採血の際は、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)は、このエアーバッグ27b内に移送され、収納される。そして、返血工程(血液成分返還工程)の際、エアーバッグ27b内に収納されている空気は、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻される。これにより、所定の血液成分が、ドナーへ返還される。
チューブ42の一端は、分岐コネクター22bに接続され、他端は、このエアーバッグ27bに接続されている。
中間バッグ(一時貯留バッグ)(第1の容器)27aは、濃厚血小板(第1の血液成分)を一時的に貯留するための容器である。チューブ45の一端は、分岐コネクター22cに接続され、他端は、この中間バッグ27aに接続されている。
また、チューブ46の一端は、この中間バッグ27aに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22eが設けられている。前記チューブ49の他端は、この分岐コネクター22eに接続されている。
また、接続用分岐コネクター22eには、チューブ47の一端が接続され、このチューブ47の途中には、濃厚血小板中から白血球(所定の細胞)を分離除去する白血球除去フィルター(細胞分離フィルター)261が設置されている。
また、チューブ47の他端には、接続用分岐コネクター22gが設けらており、一端が前記血小板採取バッグ26に接続されたチューブ48の他端が、この分岐コネクター22gに接続されている。
また、分岐コネクター22gのポートには、ベントフィルターが設けられたフィルター本体およびキャップを備えたフィルター22hが設置されている。
ここで、チューブ46および47は、中間バッグ27aから白血球除去フィルター261に濃厚血小板を供給する供給用チューブを構成し、また、チューブ48は、白血球除去フィルター261から白血球を分離除去した後の濃厚血小板を排出する(血小板採取バッグ26に供給する)排出用チューブを構成する。
すなわち、チューブ46、47、48、中間バッグ27a、白血球除去フィルター261および血小板採取バッグ26により、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過ラインが構成されている。
これらの中間バッグ27a、白血球除去フィルター261および血小板採取バッグ26は、採血装置1を組み立てた状態で、白血球除去フィルター261が中間バッグ27aより低い位置に、さらに、血小板採取バッグ26が白血球除去フィルター261より低い位置にセットされる。
また、白血球除去フィルター261としては、例えば、両端に流入口および排出口を有するケーシング内に、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂よりなる織布、不織布、メッシュ、発泡体等の多孔質体を1層または2層以上積層した濾過部材を挿入して構成したもの等を用いることができる。
上述した第1〜第4のライン21〜24の形成に使用される各チューブ、各ポンプチューブ21g、23a、さらに、その他の各チューブ41〜51、21hの構成材料としては、それぞれ、ポリ塩化ビニルが好ましい。
これらのチューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
また、上述した各分岐コネクター21c、21f、22a、22b、22c、22d、22e、22gの構成材料についても、それぞれ、前記チューブで挙げた構成材料と同様のものを用いることができる。
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、それぞれ、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12により押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
血漿採取バッグ25、血小板採取バッグ26、中間バッグ27a、エアーバッグ27b、バッグ28は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。なお、前述したように、エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
各バッグ25、26、27a、27b、28に使用される材料としては、それぞれ、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
なお、血小板採取バッグ26に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。
このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いること、また、このような素材を用いることなく、上述したような材料のシート材を用い、厚さを比較的薄く(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.3mm程度)したものが好適である。
このような血液成分採取回路2の主要部分は、図示しないが、例えば、カセット式となっている。すなわち、血液成分採取回路2は、各ライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23、第4のライン24)および所定の各チューブを部分的に収納し、かつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジングを備えている。
このカセットハウジングには、第1のポンプチューブ21gの両端および第2のポンプチューブ23aの両端が固定され、これらのポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、カセットハウジングより、各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12の形状に対応したループ状に突出している。このため、第1および第2のポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、各送液ポンプ11、12への装着が容易である。また、このカセットハウジングには、後述する各流路開閉手段81〜88等が設置される。
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を複数の血液成分に分離する。
遠心分離器20は、図2に示すように、上端に流入口143が形成された鉛直方向に伸びる管体141と、管体141の回りで回転し、上部145に対し液密にシールされた中空のローター142とを有している。
ローター142には、その周壁内面に沿って環状の貯血空間146が形成されている。この貯血空間146は、図2中下部から上部に向けてその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしており、その下部は、ローター142の底部に沿って形成されたほぼ円盤状の流路を介して管体141の下端開口に連通し、その上部は、排出口(流出口)144に連通している。また、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされ、ローター142の回転軸からの最大内径(最大半径)は、例えば、55〜65mm程度とされる。
このようなローター142は、採血装置1が備える遠心分離器駆動装置10によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
本実施形態では、図2に示すように、血液がローター142の貯血空間146内で内層より血漿層131、バフィーコート層132および赤血球層133に分離されるように遠心条件が設定される。
次に、図1に示す採血装置1の全体構成について説明する。
採血装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21の途中に設置された第1の送液ポンプ11と、第3のライン23の途中に設置された第2の送液ポンプ12と、血液成分採取回路2(第1のライン21、第4のライン24、チューブ42、チューブ44、チューブ45、チューブ47、チューブ49、チューブ50)の流路の途中を開閉し得る複数の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87、88と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段81〜88を制御するための制御部(制御手段)13とを備えている。
さらに、採血装置1は、分岐コネクター22aより遠心分離器20側(上流側)の第2のライン22に装着(設置)された濁度センサ14と、遠心分離器20の近傍に設置された光学式センサ15と、複数の気泡センサ31〜36と、血漿の重量を血漿採取バッグ25ごと重量測定するための重量センサ16とを備えている。
なお、例えば、輸液製剤の重量を容器30ごと重量測定するための重量センサを設けてもよい。
制御部13は、第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12のための2つのポンプコントローラ(図示せず)を備え、制御部13と第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12とはポンプコントローラを介して電気的に接続されている。
遠心分離器駆動装置10が備える駆動コントローラ(図示せず)は、制御部13と電気的に接続されている。
各流路開閉手段81〜88は、それぞれ、制御部13に電気的に接続されている。
また、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、17、気泡センサ31〜36は、それぞれ、制御部13と電気的に接続されている。
制御部13は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御部13には、上述した濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、17、気泡センサ31〜36からの検出信号が、それぞれ、随時入力される。
制御部13は、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、17、気泡センサ31〜36からの検出信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、採血装置1の各部の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段81〜88の開閉および遠心分離器駆動装置10の作動を制御する。
第1の流路開閉手段81は、第1のポンプチューブ21gより採血針29側、すなわち、分岐コネクター21fとチャンバー21dとの間において第1のライン21を開閉するために設けられている。
第2の流路開閉手段82は、チューブ50を開閉するために設けられている。第3の流路開閉手段83は、チューブ44を開閉するために設けられている。第4の流路開閉手段84は、チューブ45を開閉するために設けられている。第5の流路開閉手段85は、チューブ42を開閉するために設けられている。第6の流路開閉手段86は、チューブ49を開閉するために設けられている。第7の流路開閉手段87は、チューブ47を開閉するために設けられている。
また、第8の流路開閉手段88は、第4のライン24を開閉するために設けられている。
各流路開閉手段81〜88は、それぞれ、第1のライン21、チューブ50、44、45、42、49、47、第4のライン24を挿入可能な挿入部を備え、該挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有している。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
これらの流路開閉手段(クランプ)81〜88は、それぞれ、制御部13からの信号に基づいて作動する。
遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング201と、脚部202と、駆動源であるモータ203と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台205とを有している。
ハウジング201は、脚部202の上部に載置、固定されている。また、ハウジング201の下面には、ボルト206によりスペーサー207を介してモータ203が固定されている。
モータ203の回転軸204の先端部には、固定台205が回転軸204と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台205の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材によりハウジング201に固定されている。
このような遠心分離器駆動装置10では、モータ203を駆動すると、固定台205およびそれに固定されたローター142が、例えば、回転数3000〜6000rpm程度で回転する。
ハウジング201には、その側部(図2中、左側)に光学式センサ15が設置されている。
この光学式センサ15は、貯血空間146に向って投光するとともにその反射光を受光するように構成されている。
光学式センサ15は、投光部151から光(例えばレーザー光)を照射(投光)し、ローター142の反射面147で反射された反射光を受光部152で受光する。そして、受光部152においてその受光光量に応じた電気信号に変換される。
ここで、光学式センサ15は、片面に反射面を有し、光路を変更する反射板153を有しており、投光部151から照射された光は、反射板153を介して反射面147に照射され、反射面147で反射した光は、反射板153を介して受光部152で受光されるように構成されている。
このとき、投光光および反射光は、それぞれ、貯血空間146内の血液成分を透過するが、血液成分の界面(本実施形態では、血漿層131とバフィーコート層132との界面B)の位置に応じて、投光光および反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光部152での受光光量が変動(変化)し、この変動を受光部152からの出力電圧の変化として検出することができる。
すなわち、光学式センサ15は、受光部152での受光光量の変化に基づき、血液成分の界面の位置を検出することができる。
なお、光学式センサ15が検出する血液成分の界面としては、界面Bに限られず、例えば、バフィーコート層132と赤血球層133との界面であってもよい。
ここで、貯血空間146内の各層131〜133は、それぞれ、血液成分により色が異なっており、特に、赤血球層133は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、光学式センサ15の精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、特に限定されないが、例えば、600〜900nm程度であるのが好ましく、750〜800nm程度であるのがより好ましい。
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
この濁度センサ14により、例えば、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度の変化、血漿中への赤血球の混入等を検出することができる。
また、気泡センサ34により、例えば、第2のライン22中を流れる流体の空気から血漿への置換等を検出することができる。
濁度センサ14および各気泡センサ31〜36としては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。
第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11、および、第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、それぞれ、例えば、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適に用いられる。
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
この採血装置1は、ドナーに対し、輸液製剤を補液(輸液)する補液手段(輸液手段)6を有しており、この補液手段6により、ドナーに対し、所定のタイミングで、所定量の輸液製剤を補液する。前記輸液製剤容器接続用針24d等を備えた第4のライン24と、採血針29等を備えた第1のライン21と、第2のライン22と、遠心分離器20の貯血空間146と、第1の送液ポンプ11とにより、補液手段6の主要部が構成される。
ここで、本発明は、採取される(採取した)血液成分量に応じて、ドナーに対して補液する輸液製剤の量(補液量)を設定することに特徴を有する。
この採血装置1では、前記設定する補液量(補液量の設定値)は、採取される血液成分量をa、係数をb1、b2、許容採取量をcとしたとき、下記式1または式2により算出される。
補液量=a×b1(但し、b1は、0.05〜5.0) ・・・(式1)
補液量=(a−c)×b2(但し、b2は、0.05〜5.0) ・・・(式2)
ここで、許容採取量は、許容採取率と循環血液量との積であり、許容採取率は、通常、12%程度である。
また、循環血液量は、ドナーの性別、身長、体重を使って、例えば、藤田・小川の式、Nadlerの式等により推定することができる。
また、上記式2は、採取される血液成分量が許容採取量を超える場合(a>c)にのみ、用いられる。
なお、上記2式の係数b1、b2は、それぞれ、前記範囲内において、オペレータ(操作者)により予め入力され、必要に応じてドナー毎に変更される。また、ドナーの身長、体重、性別等のドナー情報もオペレータにより入力される。
また、採血装置1に、採取される血液成分量(採取量)を検出する検出手段を設け、この検出手段により、採取される血液成分量を検出するのが好ましい。この場合は、検出手段の検出結果に基づいて前記設定する補液量が求められる。すなわち、検出手段により検出される血液成分量を、上記式1または式2に代入して、前記設定する補液量を算出する。前記重量センサ16および制御部13等により、前記検出手段の主要部が構成される。
この採血装置1では、血液成分として、血漿と濃厚血小板とが採取される。血漿の採取量は、重量センサ16により、採取した血漿の重量を血漿採取バッグ25ごと測定し、その測定値に基づいて、制御部13により算出される(検出される)。濃厚血小板の採取量は、制御部13により、第4の流路開閉手段84を開いているときの第1の送液ポンプ11の回転回数を計数し、その計数値に基づいて算出される(検出される)。
また、ドナーへの輸液製剤の補液量の制御は、制御部13により、第8の流路開閉手段88を開いているときの第1の送液ポンプ11の回転回数を計数し、その計数値に基づいて行なわれる。また、前記計数値に基づいて、ドナーへの輸液製剤の補液量、すなわち、容器30から血液成分採取回路2内へ排出された輸液製剤の量(排出量)を算出する(検出される)こともできる。
なお、採取される血液成分量は、通常、予め決まっている(採血装置1に入力される)ので、その採取される血液量に応じて、輸液製剤の補液量を設定するように構成してもよい。この場合も例えば、上記式1または式2を用いて、その設定する補液量を算出することができ、採取される血液成分量は、オペレータにより入力される。
また、この採血装置1では、輸液製剤の補液は、残りの血液成分(所定の血液成分)をドナーへ返還する際(返血の際)に行われる。
この輸液製剤の補液は、例えば、各サイクルの返血の際にそれぞれ行ってもよく、また、最終サイクルの返血の際に行ってもよいが、特に、最終サイクルの返血の際に行うのが好ましい。補液を最終サイクルの返血の際に行う場合には、採取する血液成分(血液)中に輸液製剤が混入するのを防止することができる。
次に、採血装置1を用いた血液成分採取操作について、血小板採取操作を行なう場合を一例として、図1、図3〜図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
採血装置1は、制御部13の制御により、第1の血漿採取工程と、定速血漿循環工程と、第2の血漿採取工程と、加速血漿循環工程と、第3の血漿採取工程と、血小板採取工程と、返血工程(血液成分返還工程)とを有する血小板採取操作(血液成分採取操作)を行なうよう作動する。この血小板採取操作は、少なくとも1回行われる。
本実施形態では、血小板採取操作を繰り返して複数回(第1サイクル〜第nサイクル、nは2以上の整数)行うようになっている。
また、最終サイクルの返血の際、すなわち、最終サイクルの返血工程(血液成分返還工程)において、採血装置1は、制御部13の制御により、ドナーに返還する血液成分とともに、容器30内に収納されている輸液製剤をドナーに対し補液するよう(補液操作を行なうよう)構成されている。
この補液を開始するタイミングは、特に限定されないが、返血工程の終盤、すなわち、遠心分離器20の貯血空間146内の血液成分の残量が比較的少なくなったとき、例えば、20〜100mL程度のときが好ましい。
さらに、最終サイクルの血小板採取操作を行なうのに並行して、採血装置1は、制御部13の制御により、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板中の白血球を分離除去する濾過操作を行なうよう構成されている。なお、ドナーの拘束時間を短縮する観点からは、この濾過操作を、最終サイクルの血小板採取操作と同時に(特に、血小板採取操作の早い段階の工程において)開始するのが好ましく、本実施形態の採血装置1では、濾過操作を最終サイクルの血小板採取操作における第2の血漿採取工程の開始とほぼ同時に開始するように構成されている。
[0] まず、最初に、第3のライン23と第1のライン21の採血針29からチャンバー21dまでを、抗凝固剤でプライミングし、その後、ドナー(供血者)の血管に採血針29を穿刺する。
[1] 第1サイクルの血小板採取操作(図3および図4参照)
[11] まず、採血装置1は、第1の血漿採取(第1のPPP採取)工程を行なう。第1の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿(PPP)を血漿採取バッグ25内に採取する。
第1の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿(第2の血液成分)の採取を行なう(図3のステップS101)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放し、他の流路開閉手段を閉塞した状態で、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは250mL/min以下程度、より好ましくは40〜150mL/min程度、例えば60mL/min)で作動(正転)して、ドナーから採血を開始する。
また、この採血と同時に、制御部13の制御により、第2の送液ポンプ12を作動して、第3のライン23を介して、例えばACD−A液のような抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に混入させる。
このとき、第2の送液ポンプ12の回転速度は、制御部13により、採血血液に対して抗凝固剤が所定比率(好ましくは1/20〜1/6程度、例えば1/10)で混合されるように制御される。
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、第1のライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143より管体141を経てローター142の貯血空間146内に導入される。
このとき、遠心分離器20内の空気(滅菌空気)は、第2のライン22およびチューブ42を介してエアーバッグ27b内に送り込まれる。
また、前記採血と同時にまたはこれと前後して、制御部13は、遠心分離器駆動装置10を作動し、ローター142を所定の回転数で回転するよう制御する。
このローター142の回転により、貯血空間146内に導入された血液は、内側から血漿層(PPP層)131、バフィーコート層(BC層)132、赤血球層(CRC層)133の3層に分離される。
なお、ローター142の回転数としては、好ましくは3000〜6000rpm程度、より好ましくは4200〜5800rpm程度とされる。また、以下の工程において、特に記載しない限り、制御部13は、ローター142の回転数を変更させない。
さらに、前記採血および前記抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間146の容量を越える血液(約270mL)が貯血空間146内に導入されると、貯血空間146内は血液により満たされ、遠心分離器20の排出口144から血漿(PPP)が流出する。
このとき、第2のライン22に設置された気泡センサ34は、第2のライン22中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検出し、制御部13は、この気泡センサ34の検出信号に基づき、第5の流路開閉手段85を閉塞し、かつ、第3の流路開閉手段83を開放するよう制御する。
これにより、第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿を血漿採取バッグ(第3の容器)25内に導入、採取する。
なお、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力される。
次いで、制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図3のステップS102)。
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは10〜150g程度、より好ましくは20〜40g程度とされる。
ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されていない場合には、制御部13は、ステップS101に戻り、再度、ステップS101以降を繰り返す。
また、ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[11](第1の血漿採取工程)を終了して、定速血漿循環工程に移行する。
[12] 次に、採血装置1は、定速血漿循環(定速PPP循環)工程を行なう。定速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に定速にて循環させる。
定速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行なう(図3のステップS103)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉塞し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは60〜250mL/min程度、例えば200mL/min)で作動(正転)する。
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に一定速度で導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に定速にて循環させる。
次いで、制御部13は、定速PPP循環を開始してから所定時間(好ましくは10〜90秒程度、例えば30秒)が経過したか否かを判断する(図3のステップS104)。
ステップS104において、定速PPP循環を開始してから所定時間が経過していない場合には、制御部13は、ステップS103に戻り、再度、ステップS103以降を繰り返す。
また、ステップS104において、定速PPP循環を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[12](定速血漿循環工程)を終了して、第2の血漿採取工程に移行する。
[13] 次に、採血装置1は、第2の血漿採取(第2のPPP採取)工程を行なう。第2の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
なお、この第2の血漿採取工程では、重量センサ16により血漿の採取量を計測するのに代わり、血漿層131とバフィーコート層132との界面Bの位置を検出する以外、前記工程[11](第1の血漿採取工程)と同様の工程を行なう。
第2の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行なう(図3のステップS105)。
なお、このとき、制御部13は、第2の流路開閉手段82を閉塞し、第1の流路開閉手段81を開放するよう制御する。
これにより、貯血空間146内の赤血球量が増加、すなわち、赤血球層133の層厚が増大するのに伴い、界面Bも徐々に上昇(ローター142の回転軸方向へ移動)する。
次いで、制御部13は、光学式センサ15からの検出信号(界面位置検出情報)に基づき、界面Bが所定レベル(第1の位置)に到達したか否かを判断する(図3のステップS106)。
なお、この界面Bの第1の位置としては、第1の光学式センサ15からの検出信号(受光部152からの出力電圧)が、好ましくは1〜2V程度となった時点の位置とされる。
ステップS106において、界面Bが第1の位置に到達していない場合には、制御部13は、ステップS105に戻り、再度、ステップS105以降を繰り返す。
また、ステップS105において、界面Bが第1の位置に到達した場合には、制御部13は、本工程[13](第2の血漿採取工程)を終了して、加速血漿循環工程に移行する。
[14] 次に、採血装置1は、加速血漿循環(加速PPP循環)工程を行なう。加速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
加速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行なう(図3のステップS107)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉塞し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度が一定の加速度にて増加(増大)するように作動(正転)する。
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
なお、このとき、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記定速PPP循環より遅い速度(初速:例えば60mL/min)から、一定の加速度にて増加(増大)するように制御する。
この加速条件(加速度)としては、好ましくは1〜10mL/min/sec程度、より好ましくは3〜6mL/min/sec程度とされる。また、加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が最高速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が最高速度(好ましくは130〜250mL/min程度、例えば155mL/min)に到達したか否かを判断する(図3のステップS108)。
このステップS108は、血漿の貯血空間146内への循環速度が最高速度に到達するまで継続される。
また、ステップS108において、血漿の貯血空間146内への循環速度が最高速度に到達した場合、制御部13は、本工程[14](加速血漿循環工程)を終了して、第3の血漿採取工程に移行する。
[15] 次に、採血装置1は、第3の血漿採取(第3のPPP採取)工程を行なう。第3の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
第3の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行なう(図3のステップS109)。
次いで、制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図3のステップS110)。
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは2〜30g程度、より好ましくは5〜15g程度とされる。
また、ステップS110において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[15](第3の血漿採取工程)を終了して、血小板採取工程に移行する(図4の1に移行する)。
[16] 次に、採血装置1は、血小板採取(PC採取)工程を行なう。血小板採取工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を、貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させ、次いで、第1の加速度より大きい第2の加速度に変更して、この第2の加速度にて加速させながら循環させて、貯血空間146内より血小板を流出させ、濃厚血小板を中間バッグ27a内に採取(貯留)する。
血小板採取工程では、まず、制御部13は、第1の加速度による血漿循環(PPP循環)を行なう(図4のステップS111)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉塞し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度を第1の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。
これにより、採血を中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させる。
このとき、貯血空間146内に血漿を第1の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々に上昇(ローター142の回転軸方向へ移動)する。
この第1の加速度としては、好ましくは0.5〜10mL/min/sec程度、より好ましくは1.5〜2.5mL/min/sec程度とされる。なお、第1の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
また、第1の加速度によるPPP循環での第1の送液ポンプ11の初速としては、好ましくは40〜150mL/min程度、より好ましくは50〜80mL/min程度とされる。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達するまで、ステップS111を継続する(図4のステップS112)。
なお、この血漿の循環速度、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度としては、好ましくは100〜180mL/min程度、より好ましくは140〜160mL/min程度とされる。
また、ステップS112において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合には、制御部13は、第2の加速度による血漿循環(PPP循環)を行なう(図4のステップS113)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の送液ポンプ11の加速度を、第1の加速度から第2の加速度に変更して、第1の送液ポンプ11の回転速度を第2の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第2の加速度にて加速させながら循環させる。
このとき、貯血空間146内に血漿を第2の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々に上昇(ローター142の回転軸方向へ移動)するとともに、バフィーコート層132中の血小板(PC)が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、ローター142の排出口144へ向って移動する。
この第2の加速度としては、第1の加速度より大きくなるよう設定され、好ましくは3〜20mL/min/sec程度、より好ましくは5〜10mL/min/sec程度とされる。なお、第2の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が最高速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が最高速度(好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/min)に到達したか否かを判断する(図4のステップS114)。
ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が最高速度に到達していない場合には、制御部13は、ステップS113に戻り、再度、ステップS113以降を繰り返す。
また、ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が最高速度に到達した場合には、制御部13は、血漿循環継続(PPP循環継続)を行なう(図4のステップS115)。
具体的には、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記ステップS115における最高速度で維持(保持)するよう制御する。これにより、血漿の貯血空間146内への循環速度を、好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/minとする。
次いで、制御部13は、PPP循環継続を開始してから所定時間(好ましくは5〜15秒程度、例えば10秒)が経過したか否かを判断する(図4のステップS116)。
ステップS116において、PPP循環継続を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(PC濃度電圧)が所定値(好ましくは2.5〜3.5V程度、例えば、3.0V)以下に低下したか否かを判断する(図4のステップS117)。
ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下していない場合には、制御部13は、ステップS115に戻り、再度、ステップS115以降を繰り返す。
ステップS115〜S117を繰り返している間に、ステップS116において、PPP循環継続を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
また、ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下した場合には、すなわち、ローター142の排出口144から血小板が流出するのに伴い、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度が所定値以上に到達した場合には、制御部13は、血小板(PC)の採取を行なう(図4のステップS118)。
具体的には、制御部13は、濁度センサ14の検出信号に基づき、第3の流路開閉手段83を閉塞し、かつ、第4の流路開閉手段84を開放するよう制御する。
これにより、第2のライン22、チューブ43および45を介して濃厚血小板を中間バッグ27a内へ導入し、採取(貯留)する。なお、このとき、第7の流路開閉手段87は、閉塞しているため、濃厚血小板は、中間バッグ27a内から流出しない。
また、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(検出信号)に基づき、中間バッグ27a内の血小板濃度(累積PC濃度)を算出する。なお、この血小板濃度は、PC採取を開始してから上昇を続け、一旦、最高濃度に到達した後、下降に転じる。
次いで、制御部13は、PC採取を開始してから所定時間(好ましくは10〜25秒程度、例えば15秒)が経過したか否かを判断する(図4のステップS119)。
ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14の出力電圧(PC濃度電圧)が所定値以下に到達したか否かを判断する(図4のステップS120)。
この濁度センサ14の出力電圧の所定値としては、第2のライン22中を流れる血漿中に赤血球の混入が生じる時点付近の値とされ、好ましくは0.5V以下程度とされる。
ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達していない場合には、次いで、制御部13は、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達したか否かを判断する(図4のステップS121)。
なお、この濃厚血小板の採取量(所定量)としては、好ましくは20〜100mL程度、より好ましくは40〜80mL程度とされる。
ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達しない場合には、制御部13は、ステップS118に戻り、再度、ステップS118以降を繰り返す。
ステップS118〜S121を繰り返している間に、ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過した場合、または、ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
また、ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達した場合には、制御部13は、第5の流路開閉手段85を開放し、この他の全ての流路開閉手段81〜84、86〜88を閉塞した状態とし、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[16](血小板採取工程)を終了する。
[17] 次に、採血装置1は、遠心分離器20を停止する工程を行なう。
この工程では、まず、制御部13は、遠心分離器20の減速を行なう(図4のステップS122)。
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転数を減少して、ローター142を減速する。
さらに、制御部13は、遠心分離器20の停止を行なう(図4のステップS123)。
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転を停止して、ローター142を停止する。
[18] 次に、採血装置1は、返血工程を行なう。返血工程では、ローター142の貯血空間146内の血液成分(残りの血液成分)を返血する。
返血工程では、制御部13は、返血を行なう(図4のステップS124)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放するとともに、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは20〜120mL/min程度、例えば90mL/min)で作動(逆転)する。
これにより、ローター142の貯血空間146内に残存する血液成分(主に、赤血球、白血球)は、遠心分離器20の流入口143から排出され、第1のライン21(採血針29)を介してドナーに返血(返還)される。
そして、気泡センサ32によって遠心分離器20から排出される空気を検出して、所定の回数だけ第1の送液ポンプ11を回転した後、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[18](返血工程)を終了する。
これにより、第1サイクルの血小板採取操作を終了する。
[2] 最終サイクルではない第2サイクルの血小板採取操作(図3および図4参照)
続いて、第2サイクルの血小板採取操作を行なう。
第2サイクルの血小板採取操作では、下記の通り、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行なう。
[21]〜[28] 前記工程[11]〜[18]と同様の工程をそれぞれ行なう。
これにより、第2サイクルの血小板採取操作を終了する。
なお、最終サイクルではない第3サイクル以降の血小板採取操作も同様である。
[3] 最終サイクルの血小板採取操作(図5および図6参照)
続いて、最終サイクルの血小板採取操作を行なう。
最終サイクルの血小板採取操作では、下記の通り、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過工程を行なうことと、輸液製剤の補液を行なうこと以外は、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行なう。
[31]、[32] 前記工程[11]、[12]と同様の工程をそれぞれ行なう。
[33] 前記工程[13]と同様の工程を行なう。
また、本工程[33](第2の血漿採取工程)を行なうのとほぼ同時に、制御部13は、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板の濾過、すなわち、濃厚血小板中の白血球の分離除去を行なう。
具体的には、ステップS305の前に、制御部13の制御により、第7の流路開閉手段87を開放して濾過工程を開始する(図5のステップS30P)。
これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板を、落差(自重)により、チューブ46、47、白血球除去フィルター261およびチューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送する。このとき、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
なお、濃厚血小板の中間バッグ27a内から血小板採取バッグ26への移送は、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
また、第7の流路開閉手段87は、制御部13の制御により作動するものに代わり、手動によりチューブ47の流路の途中を開閉し得るクレンメ等であってもよい。
[34]〜[37] 前記工程[14]〜[17]と同様の工程をそれぞれ行なう。
[38] 前記工程[18]と同様の工程(返血工程)とともに、補液工程(輸液工程)を行なう(返血・補液工程を行なう)。返血工程では、ローター142の貯血空間146内の血液成分(残りの血液成分)を返血し、補液工程では、容器30内に収納されている輸液製剤を補液する。すなわち、本工程[38](返血・補液工程)では、ドナーに返還する血液成分とともに、容器30内に収納されている輸液製剤を所定量、ドナーに対し補液する。
返血工程では、制御部13は、返血を行なう(図6のステップS324)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放するとともに、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは20〜120mL/min程度、例えば90mL/min)で作動(逆転)する。
これにより、ローター142の貯血空間146内に残存する血液成分(主に、赤血球、白血球)は、遠心分離器20の流入口143から排出され、第1のライン21(採血針29)を介してドナーに返血(返還)される。
補液工程では、制御部13は、補液を行なう(図6のステップS325)。
具体的には、制御部13の制御により、所定のタイミングで、第8の流路開閉手段88を開放するとともに、第5の流路開閉手段85を閉塞する。
これにより、容器30内に収納されている輸液製剤は、その容器30から排出され、第4のライン24、第2のライン22、ローター142の貯血空間146、第1のライン21(採血針29)を介してドナーに補液される。すなわち、輸液製剤は、返還される血液成分とともに、ドナーに供給される。
この輸液製剤の補液量は、前述したように、採取される血液成分量に応じて設定される。
ここで、制御部13は、容器30から排出された輸液製剤の量(排出量)が、設定されている輸液製剤の補液量に達した場合は、第5の流路開閉手段85を開放し、第8の流路開閉手段88を閉塞して、容器30からの輸液製剤の排出を停止する。すなわち、制御部13は、第8の流路開閉手段88を開放するとともに第5の流路開閉手段85を閉塞したときから、第1の送液ポンプ11の回転回数を計数し、この計数値が、設定されている補液量分の輸液製剤が容器30から排出される回転回数に達したとき、第5の流路開閉手段85を開放し、第8の流路開閉手段88を閉塞する。
そして、気泡センサ35または36によって遠心分離器20から排出される空気を検出した後、第1の流路開閉手段81、第5の流路開閉手段85および第8の流路開閉手段88を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[38](返血・補液工程)を終了する。
これにより、最終サイクルの血小板採取操作を終了する。
なお、血小板採取操作は、複数回行なう場合に限定されず、例えば、1回のみ行なってもよい。
また、血液成分採取回路2の構成も、適宜設定可能であり、図示の構成に限定されない。
以上説明したように、この採血装置1によれば、採血において、ドナー(供血者)に対し、適量の輸液製剤を補液(輸液)することができ、これにより、例えば、採血後の遅発性VVR等、採血に伴うVVRの発症を防止(予防)することができる。
また、採取される血液成分量を検出する検出手段を有しているので、その検出結果に基づいて、採取される血液成分量に応じた適切な補液量を求めることができる。これにより、容易、正確かつ確実に、適切な補液量を設定することができる。
また、この採血装置1では、血液より分離、採取された濃厚血小板中から、白血球除去フィルター261により白血球を分離除去するため、白血球の混入が極めて低い血小板製剤を得ることができる。
なお、本発明の採血装置は、血小板製剤を得るのに適用する場合に限らず、例えば、血液中から血漿製剤、白血球製剤、赤血球製剤等を製造する場合に適用してもよく、また、細胞分離フィルターにより分離除去する細胞も、白血球に限定されない。
また、本発明の採血装置は、所定の血液成分を採取する血液成分採取装置(成分採血装置)に限定されず、例えば、血液(全血)を採取する全血採血装置に適用することもできる。
全血採血装置の場合は、血液の採取終了後に、ドナー(供血者)に対し、前述した輸液製剤の補液(輸液)を行う。
また、採取される(採取した)血液量に応じて、ドナーに対して補液する輸液製剤の量(補液量)を設定する。前記設定する補液量(補液量の設定値)は、採取される血液量をaとする他は、前記と同様にして、上記式1または式2により算出される。
この場合も、採血装置に、採取される血液量(採取量)を検出する検出手段を設け、この検出手段により、採取される血液量を検出するのが好ましい。
以上、本発明の採血装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
例えば、本発明では、光学式センサは、図示のものに限定されず、例えば、ラインセンサ等であってもよい。
本発明の採血装置の第1実施形態を示す平面図である。 図1に示す採血装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図である。 図1に示す採血装置の作用を説明するためのフローチャートである。 図1に示す採血装置の作用を説明するためのフローチャートである。 図1に示す採血装置の作用を説明するためのフローチャートである。 図1に示す採血装置の作用を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 採血装置
2 血液成分採取回路
10 遠心分離器駆動装置
11 第1の送液ポンプ
12 第2の送液ポンプ
13 制御部
14 濁度センサ
15 光学式センサ
151 投光部
152 受光部
153 反射板
16 重量センサ
20 遠心分離器
21 第1のライン
21a 採血針側第1ライン
21b 遠心分離器側第1ライン
21c 分岐コネクター
21d チャンバー
21f 分岐コネクター
21g ポンプチューブ
21h チューブ
21i フィルター
22 第2のライン
22a 分岐コネクター
22b 分岐コネクター
22c 分岐コネクター
22d 分岐コネクター
22e 分岐コネクター
22f フィルター
22g 分岐コネクター
22h フィルター
23 第3のライン
23a ポンプチューブ
23b 除菌フィルター
23c 気泡除去用チャンバー
23d 抗凝固剤容器接続用針
24 第4のライン
24b 除菌フィルター
24c 気泡除去用チャンバー
24d 輸液製剤容器接続用針
25 血漿採取バッグ
26 血小板採取バッグ
261 白血球除去フィルター
27a 中間バッグ
27b エアーバッグ
28 バッグ
29 採血針
30 容器
31〜36 気泡センサ
41〜51 チューブ
6 補液手段
81〜88 第1〜第8の流路開閉手段
131 血漿層
132 バフィーコート層
133 赤血球層
141 管体
142 ローター
143 流入口
144 排出口
145 上部
146 貯血空間
147 反射面
201 ハウジング
202 脚部
203 モータ
204 回転軸
205 固定台
206 ボルト
207 スペーサー
S101〜S124 ステップ
S301〜S325、S30P ステップ

Claims (9)

  1. 供血者から血液を採取する採血手段と、
    前記採血手段により採取された血液を遠心分離する遠心分離器と、
    前記遠心分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグとを備える血液成分採取回路を有し、
    供血者から採取した血液を遠心分離して、前記所定の血液成分を採取し、残りの血液成分を前記供血者へ返還する採血装置であって、
    供血者に対し、輸液製剤を補液する補液手段を設け、
    採取される血液量または血液成分量に応じて、前記輸液製剤の補液量を設定するように構成されていることを特徴とする採血装置。
  2. 前記残りの血液成分を供血者へ返還する際に前記補液を行うよう構成されている請求項1に記載の採血装置。
  3. 当該採血装置は、供血者から採取した血液を遠心分離して、前記所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、残りの血液成分を前記供血者へ返還する血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を少なくとも1サイクル行うものであり、
    前記血液成分採取操作の最終サイクルにおける前記血液成分返還工程の際に、前記補液を行うように構成されている請求項1に記載の採血装置。
  4. 供血者から血液を採取する採血手段と、
    供血者に対し、輸液製剤を補液する補液手段と、
    前記採血手段に連通し、供血者から採取した血液または所定の血液成分を採取する採取バッグとを備える採取回路を有する採血装置であって、
    採取される血液量または血液成分量に応じて、前記輸液製剤の補液量を設定するよう構成されていることを特徴とする採血装置。
  5. 当該採血装置は、全血採血装置または成分採血装置である請求項4に記載の採血装置。
  6. 前記血液の採取終了後に前記補液を行うよう構成されている請求項4または5に記載の採血装置。
  7. 採取される血液量または血液成分量を検出する検出手段を有し、
    前記検出手段による検出結果に基づいて前記設定する補液量を求めるよう構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の採血装置。
  8. 前記設定する補液量は、採取される血液量または血液成分量をa、係数をb1としたとき、下記式1により算出されるよう構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の採血装置。
    補液量=a×b1(但し、b1は、0.05〜5.0) ・・・(式1)
  9. 前記設定する補液量は、採取される血液量または血液成分量をa、許容採取量をc、係数をb2としたとき、下記式2により算出されるよう構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の採血装置。
    補液量=(a−c)×b2(但し、b2は、0.05〜5.0、許容採取量は、許容採取率と循環血液量との積) ・・・(式2)
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