以下、本発明の血小板採取装置(血液成分採取装置)を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の血小板採取装置の実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す血小板採取装置が備える遠心分離器駆動装置に遠心分離器が装着された状態の部分破断断面図であり、図3〜図8は、それぞれ、図1に示す血小板採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
図1に示す血小板採取装置(血液成分採取装置)1は、血液を複数の血液成分に分離するとともに分離された血小板を含む血液成分(特に、血小板を含む血漿)を採取するための装置である。この血小板採取装置1は、内部に貯血空間146を有するローター142と、貯血空間146に連通する流入口143および排出口(流出口)144とを有し、ローター142の回転により流入口143より導入された血液を貯血空間146内で遠心分離する遠心分離器20と、採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続する第1のライン21と、遠心分離器20の排出口144に接続された第2のライン22と、第1のライン21に接続された第3のライン23と、チューブ49および50を介して第1のライン21に接続され、かつチューブ43および44を介して第2のライン22に接続された血漿採取バッグ(採取バッグ)25と、チューブ42を介して第2のライン22に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43および45を介して第2のライン22に接続された中間バッグ(一時貯留バッグ)27aと、チューブ46、47および48を介して中間バッグ27aに接続された血小板採取バッグ(採取バッグ)26と、チューブ51を介して血小板採取バッグ26に接続されたバッグ28とを有する血小板採取回路(血液成分採取回路)2を備えている。
さらに、血小板採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21のための第1の送液ポンプ11と、第3のライン23のための第2の送液ポンプ12と、血小板採取回路2の流路の途中を開閉し得る複数(本実施形態では、第1〜第7の7個)の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12および複数の流路開閉手段81〜87を制御するための制御部(制御手段)13と、濁度センサ(血小板濃度センサ)14と、光学式センサ15と、重量センサ16と、複数(本実施形態では、6個)の気泡センサ31、32、33、34、35、36とを備えている。
そこで、最初に、血小板採取回路2について説明する。
この血小板採取回路2は、ドナー(供血者)から血液を採取する採血針(採血手段)29と遠心分離器20の流入口143とを接続し、第1のポンプチューブ21gを備える第1のライン(採血および返血ライン)21と、一端側が遠心分離器20の排出口(流出口)144に接続された第2のライン22と、第1のライン21の採血針29の近くに接続され、第2のポンプチューブ23aを備える第3のライン(抗凝固剤注入ライン)23と、第1のライン21のポンプチューブ21gより採血針29側に接続されたチューブ50と、チューブ50に接続されたチューブ49と、第2のライン22に接続されたチューブ43と、チューブ43に接続されたチューブ44と、チューブ44および49に接続された血漿採取バッグ25と、第2のライン22に接続されたチューブ42と、チューブ42に接続されたエアーバッグ27bと、チューブ43に接続されたチューブ45と、チューブ45に接続された中間バッグ27aと、中間バッグ27aに接続されたチューブ46と、チューブ46に接続されたチューブ47と、チューブ48と、チューブ48に接続された血小板採取バッグ26と、血小板採取バッグ26に接続されたチューブ51と、チューブ51に接続されたバッグ28とを備えている。エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
第1のライン21は、採血針29が接続された採血針側第1ライン21aと、一端側が採血針側第1ライン21aに接続され、他端側が遠心分離器20の流入口143に接続された遠心分離器側第1ライン21bとを有している。採血針29としては、例えば、公知の金属針が使用される。
この採血針側第1ライン21a、遠心分離器側第1ライン21b、後述する第2のライン22、第3のライン23は、それぞれ、軟質樹脂製チューブ、または、その軟質樹脂製チューブが複数接続されて形成されている。
採血針側第1ライン21aは、採血針29側より、第3のライン23との接続用分岐コネクター21cと、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dと、チューブ50との接続用分岐コネクター21fとを備えている。
また、採血針側第1ライン21aに沿って、採血針29側より、気泡センサ35、36および32が設置されている。この場合、気泡センサ35および36は、分岐コネクター21cとチャンバー21dとの間に配置され、気泡センサ32は、チャンバー21dと分岐コネクター21fとの間に配置されている。
また、チャンバー21dには、チューブ21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、例えば、採血針側第1ライン21aの内圧の検出等に用いることができる。
一方、遠心分離器側第1ライン21bは、チューブ50との接続用分岐コネクター21fに接続されており、その途中に形成された第1のポンプチューブ21gを有している。
第2のライン22は、その一端側が遠心分離器20の排出口144に接続されている。
この第2のライン22は、チューブ42および43との接続用分岐コネクター22bとを備えている。
また、第2のライン22に沿って、遠心分離器20側より、濁度センサ14および気泡センサ34が設置されている。この場合、濁度センサ14および気泡センサ34は、遠心分離器20と分岐コネクター22bとの間に配置されている。
また、分岐コネクター22bには、チューブ41を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター22fが接続されている。このラインは、例えば、第2のライン22の内圧の検出等に用いることができる。
第3のライン23は、その一端が第1のライン21に設けられた接続用分岐コネクター21cに接続されている。すなわち、第3のライン(流路)23は、分岐コネクター(分岐部)21cを介して第1のライン(流路)21から分岐している。また、分岐コネクター21cは、採血針29の近傍に位置している(設けられている)。
この第3のライン23は、分岐コネクター21c側より、第2のポンプチューブ23aと、除菌フィルター(異物除去用フィルター)23bと、気泡除去用チャンバー23cと、抗凝固剤容器接続用針23dとを備えている。
また、第3のライン23に沿って、気泡センサ31が設置されている。この気泡センサ31は、分岐コネクター21cと第2のポンプチューブ23aとの間に配置されている。
この第3のライン23の抗凝固剤容器接続用針23dは、抗凝固剤(抗凝固剤液)が収納(収容)された図示しない容器に接続され、これにより、容器内の抗凝固剤は、後述するように、抗凝固剤容器接続用針23dから分岐コネクター21cに向かって第3のライン23を流れ、採血針側第1ライン21aに供給(注入)される。これにより、例えば、第3のライン23を介して、採血針29により採取された血液に抗凝固剤を添加(混合)することができる。
なお、抗凝固剤としては、特に限定されないが、例えば、ACD−A液等を用いることができる。
血漿採取バッグ(第3の容器)25は、血漿(第2の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。チューブ49の一端は、この血漿採取バッグ25に接続され、その途中に接続用分岐コネクター22dが設けられている。そして、チューブ50の一端は、この分岐コネクター22dに接続され、他端は、分岐コネクター21fに接続されている。
また、チューブ43の一端は、分岐コネクター22bに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22cが設けられている。そして、チューブ44の一端は、この分岐コネクター22cに接続され、他端は、血漿採取バッグ25に接続されている。
また、チューブ46の途中には、そのチューブ46に沿って、気泡センサ33が設置されている。
なお、血漿採取バッグ25、チューブ43および44により、血漿を採取する血漿採取用分岐ラインが構成されている。
血液成分採取バッグである血小板(血小板製剤)採取バッグ(第2の容器)26は、後述する白血球除去フィルター261を通過した後の血小板を含む血漿(第1の血液成分)を採取(貯留)するための容器である。なお、以下の説明では、血小板を含む血漿(第1の血液成分)を、「濃厚血小板」と言い、血小板採取バッグ26内に採取(貯留)された濃厚血小板を、「血小板製剤」と言う。
チューブ51の一端は、この血小板採取バッグ26に接続され、その他端にはバッグ28が接続されている。
エアーバッグ27bは、空気(エアー)を一時的に収納(貯留)するための容器である。
後述する採血の際は、遠心分離器20の貯血空間146内等の血小板採取回路2内の空気(滅菌空気)は、このエアーバッグ27b内に移送され、収納される。そして、返血工程(血液成分返還工程)の際、エアーバッグ27b内に収納されている空気は、遠心分離器20の貯血空間146内に移送され、戻される。これにより、所定の血液成分が、ドナーへ返還される。
チューブ42の一端は、分岐コネクター22bに接続され、他端は、このエアーバッグ27bに接続されている。
中間バッグ(一時貯留バッグ)(第1の容器)27aは、濃厚血小板(第1の血液成分)を一時的に貯留するための容器(貯留部)である。チューブ45の一端は、分岐コネクター22cに接続され、他端は、この中間バッグ27aに接続されている。
また、チューブ46の一端は、この中間バッグ27aに接続され、その他端には、接続用分岐コネクター22eが設けられている。前記チューブ49の他端は、この分岐コネクター22eに接続されている。
また、接続用分岐コネクター22eには、チューブ47の一端が接続され、このチューブ47の途中には、濃厚血小板中から白血球(所定の細胞)を分離除去する白血球除去フィルター(細胞分離フィルター)(濾過器)261が設置されている。
また、チューブ47の他端には、接続用分岐コネクター22gが設けらており、一端が前記血小板採取バッグ26に接続されたチューブ48の他端が、この分岐コネクター22gに接続されている。
また、分岐コネクター22gのポートには、ベントフィルターが設けられたフィルター本体およびキャップを備えたフィルター22hが設置されている。
ここで、チューブ46および47は、中間バッグ27aから白血球除去フィルター261に濃厚血小板を供給する供給用チューブを構成し、また、チューブ48は、白血球除去フィルター261から白血球を分離除去した後の濃厚血小板を排出する(血小板採取バッグ26に供給する)排出用チューブを構成する。
すなわち、チューブ46、47、48、中間バッグ27a、白血球除去フィルター261および血小板採取バッグ26により、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過ラインが構成されている。
これらの中間バッグ27a、白血球除去フィルター261、血小板採取バッグ26および血漿採取バッグ25は、それぞれ、血小板採取装置1を組み立てた状態で、中間バッグ27aが血漿採取バッグ25より低い位置に、白血球除去フィルター261が中間バッグ27aより低い位置に、さらに、血小板採取バッグ26が白血球除去フィルター261より低い位置にセットされる。
また、白血球除去フィルター261としては、例えば、両端に流入口および排出口を有するケーシング内に、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の合成樹脂よりなる織布、不織布、メッシュ、発泡体等の多孔質体を1層または2層以上積層した濾過部材を挿入して構成したもの等を用いることができる。
上述した第1〜第3のライン21〜23の形成に使用される各チューブ、各ポンプチューブ21g、23a、さらに、その他の各チューブ41〜51、21hの構成材料としては、それぞれ、ポリ塩化ビニルが好ましい。
これらのチューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
また、上述した各分岐コネクター21c、21f、22b、22c、22d、22e、22gの構成材料についても、それぞれ、前記チューブで挙げた構成材料と同様のものを用いることができる。
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、それぞれ、後述する各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12により押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
血漿採取バッグ25、血小板採取バッグ26、中間バッグ27a、エアーバッグ27b、バッグ28は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着剤により接着等して袋状にしたものが使用される。なお、前述したように、エアーバッグ27bと中間バッグ27aとは、一体的に形成(一体化)されている。
各バッグ25、26、27a、27b、28に使用される材料としては、それぞれ、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
なお、血小板採取バッグ26に使用されるシート材としては、血小板保存性を向上するためにガス透過性に優れるものを用いることがより好ましい。
このようなシート材としては、例えば、ポリオレフィンやDnDP可塑化ポリ塩化ビニル等を用いること、また、このような素材を用いることなく、上述したような材料のシート材を用い、厚さを比較的薄く(例えば、0.1〜0.5mm程度、特に、0.1〜0.3mm程度)したものが好適である。
このような血小板採取回路2の主要部分は、図示しないが、例えば、カセット式となっている。すなわち、血小板採取回路2は、各ライン(第1のライン21、第2のライン22、第3のライン23)および所定の各チューブを部分的に収納し、かつ部分的にそれらを保持し、言い換えれば、部分的にそれらが固定されたカセットハウジングを備えている。
このカセットハウジングには、第1のポンプチューブ21gの両端および第2のポンプチューブ23aの両端が固定され、これらのポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、カセットハウジングより、各送液ポンプ(例えば、ローラーポンプ等)11、12の形状に対応したループ状に突出している。このため、第1および第2のポンプチューブ21g、23aは、それぞれ、各送液ポンプ11、12への装着が容易である。また、このカセットハウジングには、後述する各流路開閉手段81〜87等が設置される。
血小板採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を複数の血液成分に分離する。
遠心分離器20は、図2に示すように、上端に流入口143が形成された鉛直方向に伸びる管体141と、管体141の回りで回転し、上部145に対し液密にシールされた中空のローター142とを有している。
ローター142には、その周壁内面に沿って環状の貯血空間146が形成されている。この貯血空間146は、図2中下部から上部に向けてその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしており、その下部は、ローター142の底部に沿って形成されたほぼ円盤状の流路を介して管体141の下端開口に連通し、その上部は、排出口(流出口)144に連通している。また、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされ、ローター142の回転軸からの最大内径(最大半径)は、例えば、55〜65mm程度とされる。
このようなローター142は、血小板採取装置1が備える遠心分離器駆動装置10によりあらかじめ設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
本実施形態では、図2に示すように、血液がローター142の貯血空間146内で内層より血漿層131、バフィーコート層132および赤血球層133に分離されるように遠心条件が設定される。
次に、図1に示す血小板採取装置1の全体構成について説明する。
血小板採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、第1のライン21の途中に設置された第1の送液ポンプ11と、第3のライン23の途中に設置された第2の送液ポンプ12と、血小板採取回路2(第1のライン21、チューブ42、チューブ44、チューブ45、チューブ47、チューブ49、チューブ50)の流路の途中を開閉し得る複数の流路開閉手段81、82、83、84、85、86、87と、各種の情報を表示(報知)する表示部(報知手段)17と、遠心分離器駆動装置10、第1の送液ポンプ11、第2の送液ポンプ12、複数の流路開閉手段81〜87および表示部17を制御するための制御部(制御手段)13とを備えている。
さらに、血小板採取装置1は、第2のライン22に装着(設置)された濁度センサ14と、遠心分離器20の近傍に設置された光学式センサ15と、複数の気泡センサ31〜36と、血漿の重量を血漿採取バッグ25ごと重量測定するための重量センサ16とを備えている。
制御部13は、第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12のための2つのポンプコントローラ(図示せず)を備え、制御部13と第1の送液ポンプ11および第2の送液ポンプ12とはポンプコントローラを介して電気的に接続されている。
遠心分離器駆動装置10が備える駆動コントローラ(図示せず)は、制御部13と電気的に接続されている。
各流路開閉手段81〜87は、それぞれ、制御部13に電気的に接続されている。
また、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36、表示部17は、それぞれ、制御部13と電気的に接続されている。
制御部13は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御部13には、上述した濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36からの検出信号が、それぞれ、随時入力される。
制御部13は、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、気泡センサ31〜36からの検出信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血小板採取装置1の各部の作動、すなわち、各送液ポンプ11、12の回転、停止、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段81〜87の開閉、遠心分離器駆動装置10の作動および表示部17の駆動をそれぞれ制御する。
なお、この制御部13および後述する濁度センサ14により、最終的に採取される血小板の総数を予測する血小板数予測手段が構成される。
また、制御部13により、最終的に採取される血小板の単位数が目標の単位数に達するか否かを判別する判別手段と、濾過操作(濾過工程)を開始するタイミングを設定する濾過開始タイミング設定手段とが構成される。
また、制御部13および後述する第7の流路開閉手段87により、濾過操作が開始された後、その濾過操作を中断する濾過中断手段が構成される。
第1の流路開閉手段81は、第1のポンプチューブ21gより採血針29側、すなわち、分岐コネクター21fとチャンバー21dとの間において第1のライン21を開閉するために設けられている。
第2の流路開閉手段82は、チューブ50を開閉するために設けられている。第3の流路開閉手段83は、チューブ44を開閉するために設けられている。第4の流路開閉手段84は、チューブ45を開閉するために設けられている。第5の流路開閉手段85は、チューブ42を開閉するために設けられている。第6の流路開閉手段86は、チューブ49を開閉するために設けられている。第7の流路開閉手段87は、チューブ47を開閉するために設けられている。
各流路開閉手段81〜87は、それぞれ、第1のライン21、チューブ50、44、45、42、49、47を挿入可能な挿入部を備え、該挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有している。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
これらの流路開閉手段(クランプ)81〜87は、それぞれ、制御部13からの信号に基づいて作動する。
表示部17は、例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等で構成される。この表示部17は、表示および操作を行なう表示・操作部であってもよく、この場合は、例えば、液晶表示パネル、EL表示パネル等を備えたタッチパネル等で構成される。
遠心分離器駆動装置10は、図2に示すように、遠心分離器20を収納するハウジング201と、脚部202と、駆動源であるモータ203と、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台205とを有している。
ハウジング201は、脚部202の上部に載置、固定されている。また、ハウジング201の下面には、ボルト206によりスペーサー207を介してモータ203が固定されている。
モータ203の回転軸204の先端部には、固定台205が回転軸204と同軸でかつ一体的に回転するように嵌入されており、固定台205の上部には、ローター142の底部が嵌合する凹部が形成されている。
また、遠心分離器20の上部145は、図示しない固定部材によりハウジング201に固定されている。
このような遠心分離器駆動装置10では、モータ203を駆動すると、固定台205およびそれに固定されたローター142が、例えば、回転数3000〜6000rpm程度で回転する。
ハウジング201には、その側部(図2中、左側)に光学式センサ15が設置されている。
この光学式センサ15は、貯血空間146に向って投光するとともにその反射光を受光するように構成されている。
光学式センサ15は、投光部151から光(例えばレーザー光)を照射(投光)し、ローター142の反射面147で反射された反射光を受光部152で受光する。そして、受光部152においてその受光光量に応じた電気信号に変換される。
ここで、光学式センサ15は、片面に反射面を有し、光路を変更する反射板153を有しており、投光部151から照射された光は、反射板153を介して反射面147に照射され、反射面147で反射した光は、反射板153を介して受光部152で受光されるように構成されている。
このとき、投光光および反射光は、それぞれ、貯血空間146内の血液成分を透過するが、血液成分の界面(本実施形態では、血漿層131とバフィーコート層132との界面B)の位置に応じて、投光光および反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光部152での受光光量が変動(変化)し、この変動を受光部152からの出力電圧の変化として検出することができる。
すなわち、光学式センサ15は、受光部152での受光光量の変化に基づき、血液成分の界面の位置を検出することができる。
なお、光学式センサ15が検出する血液成分の界面としては、界面Bに限られず、例えば、バフィーコート層132と赤血球層133との界面であってもよい。
ここで、貯血空間146内の各層131〜133は、それぞれ、血液成分により色が異なっており、特に、赤血球層133は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、光学式センサ15の精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、特に限定されないが、例えば、600〜900nm程度であるのが好ましく、750〜800nm程度であるのがより好ましい。
濁度センサ14は、第2のライン22中を流れる流体の濁度(血小板の濃度)を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度センサ14は、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
この濁度センサ14により、例えば、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度、血漿中の血小板濃度の変化、血漿中への赤血球の混入等を検出することができる。
また、気泡センサ34により、例えば、第2のライン22中を流れる流体の空気から血漿への置換等を検出することができる。
濁度センサ14および各気泡センサ31〜36としては、それぞれ、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等を用いることがきる。
第1のポンプチューブ21gが装着される第1の送液ポンプ11、および、第2のポンプチューブ23aが装着される第2の送液ポンプ12としては、それぞれ、例えば、ローラーポンプなどの非血液接触型ポンプが好適に用いられる。
また、第1の送液ポンプ(血液ポンプ)11としては、いずれの方向にも血液を送ることができるものが使用される。具体的には、正回転と逆回転が可能なローラーポンプが用いられている。
この血小板採取装置1は、ドナー(供血者)からの血液の採取が終了する前(本実施形態では、最終サイクルの1つ前のサイクルの血小板採取操作が終了した際)に、最終的に採取される血小板の総数を予測し、この予測結果に基づいて、最終的に採取される血小板の単位数が目標の単位数に達するか否かを判別する。そして、最終的に採取される血小板の単位数が目標の単位数に達する(血小板の単位割れが生じない)と判別された場合には、中間バッグ27a内に一時的に貯留された濃厚血小板(血小板を含む血液成分)を白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板中の白血球を分離除去する濾過操作(濾過工程)を行なうことに第1の特徴を有する。この濾過操作は、濃厚血小板の中間バッグ27aへの採取が終了する前に、後述する所定のタイミングで開始される。
ここで、血小板の「1単位」は、0.2×1011個である。
また、血小板製剤としては、下記(1)〜(4)の4種類のものがある。
(1)5単位製剤
容量が、100mL±20%、個数が、1×1011〜1.9×1011個
(2)10単位製剤
容量が、200mL±20%、個数が、2×1011〜2.9×1011個
(3)15単位製剤
容量が、250mL±20%、個数が、3×1011〜3.9×1011個
(4)20単位製剤
容量が、250mL±20%、個数が、4×1011個以上
逆に、最終的に採取される血小板の単位数が目標の単位数に達しない(血小板の単位割れが生じる)と判別された場合には、濾過操作を禁止する。
これにより、血小板の単位割れを防止(または軽減)することができる。
また、血小板採取装置1には、この濾過操作の禁止を解除する操作を行なう操作手段である、図示しない操作スイッチ(濾過開始スイッチ)が設けられている。この操作スイッチは、例えば、表示部17をタッチパネルで構成した場合に、その表示部17に表示される。なお、別途、前記操作スイッチを設けてもよいことは、言うまでもない。
また、血小板採取装置1は、最終的に採取される血小板の単位数が目標の単位数に達しないと判別された場合に、警告を行なう報知手段を有している。本実施形態では、表示部17に、最終的に採取される血小板の単位数が目標の単位数に達しない(血小板の単位割れが生じる)旨を示す警告表示がなされるようになっている。なお、警告手段は、これに限らず、例えば、発光部の点灯や点滅、ブザー等の音声等が挙げられる。
また、前記濾過操作が禁止された場合、自動的に血小板採取操作のサイクルが1つ追加される(サイクル数が1つ増加する)ように構成されていてもよく、また、オペレータ(操作者)の操作により血小板採取操作のサイクルを1つ追加し得るように構成されていてもよい。
ここで、本実施形態では、遠心分離器20の貯血空間146から排出され、中間バッグ27aに採取(貯留)される濃厚血小板中の血小板の数をリアルタイムで検出(算出)する。この血小板の数は、濁度センサ14からの出力電圧(PC濃度電圧)、すなわち、濃厚血小板中の血小板の濃度と、第1の送液ポンプ11の回転回数、すなわち、中間バッグ27aへの濃厚血小板の採取量とに基づいて、算出される。
そして、最終サイクル(nサイクル、但し、nは2以上の整数)の1つ前のサイクル((n−1)サイクル)の血小板採取操作が終了した際、すなわち、最終サイクルの初期において、下記のようにして、最終的に採取される血小板の総数を予測し、この予測結果に基づいて、最終的に採取される血小板の数(予測血小板数)が目標の数(目標血小板数)に達するか否かを判別する。
最終的に採取される血小板の総数は、現時点までに消化したサイクルで採取(最終サイクルの1つ前のサイクルまでに採取)された血小板の数(採取済PLT数)に基づいて予測される。すなわち、最終的に採取される血小板の総数の予測値(予測血小板総数)PLT_Zは、下記(1)式から求める。
PLT_Z(個)=[(採取済PLT数)+(設定cy数−動作済cy数)×(予測PLT数/設定cy)]×濾過回収率 ・・・(1)
但し、採取済PLT数(個):現時点までに採取された血小板の数
予測PLT数(個):採血開始前にドナーの血算と動作サイクル数とをオペレータが入力した時に計算される予測採取血小板数
設定cy数:全サイクル数
動作済cy数:現時点までに消化したサイクル数
濾過回収率:白血球除去フィルター261で生じるロスを考慮した回収率であり、中間バッグ27aから供給され、白血球除去フィルター261を経て、血小板採取バッグ26に回収される血小板製剤(濃厚血小板)の、中間バッグ27aから供給される濃厚血小板に対する比率(この値は、例えば、90%程度)
また、下記(2)式から、単位割れ判断に用いる目標血小板数PLT_Kを求める。
PLT_K(個)=[目標血小板単位数の濾過操作前の値への換算値×0.2×1011+単位割れ判断調整定数)]×濾過回収率 ・・・(2)
但し、単位割れ判断調整定数:装置個別に調整するための補正値
そして、最終的に採取される血小板の数(予測血小板数)が目標血小板単位数に達するか否かの判別、すなわち、予測血小板単位数が目標血小板単位数に達するか否かの判別は、前記PLT_Zと、前記PLT_Kとを比較し、下記のようにして行なう。
PLT_Z≦PLT_Kの場合は、予測血小板単位数が目標血小板単位数に達せず、単位割れすると判別(推定)する。
一方、PLT_Z>PLT_Kの場合は、予測血小板単位数が目標血小板単位数に達し、単位割れしないと判別する。
また、この血小板採取装置1は、最終的に採取する濃厚血小板(血小板製剤)の目標量(目標血小板量)に基づいて、濾過操作を開始するタイミングを求め、設定することに第2の特徴を有する。
この場合、目標血小板量に基づいて、濾過操作の所要時間を求め、求まった所要時間に基づいて、濾過操作を開始するタイミングを設定する。
落差による濾過の場合、濾過速度は、主に管路抵抗と落差とで決まり、目標血小板量(目標PC量)の血小板の濾過操作の所要時間(濾過所要時間)は、下記(3)式から求める。
濾過所要時間(分)=目標PC量(mL)/濾過速度(mL/分) ・・・(3)
濾過操作を開始するタイミングは、返血(残りの血液成分の供血者への返還)の終了時と、濾過操作の終了時との時間差ができるだけ小さくなるように設定するのが好ましい。
下記に、一例として、濾過所要時間を3段階に場合分けした場合の具体例(濾過操作を開始するタイミング)を示す。
濾過所要時間(分)≦4.0の場合:返血開始時
4.0<濾過所要時間(分)≦5.5の場合:図5に示すステップS307の加速血漿循環工程開始時
濾過所要時間(分)>5.5の場合:図5に示すステップS305の第2の血漿採取工程中
ここで、前記濾過所要時間(分)>5.5の場合は、下記(4)式から、濾過開始体外循環量を求め、最終サイクルにおける体外循環量が、求めた濾過開始体外循環量になったとき、濾過操作を開始する。
濾過開始体外循環量(mL)=各サイクルの平均体外循環量(mL)−A(mL)−設定採血速度(mL/分)×(ACD比)/(1+ACD比)×(濾過所要時間−5.5) ・・・(4)
但し、A(mL):各サイクルの第3の血漿採取工程(図3に示すステップS109参照)での血漿の採取量の平均値
ACD比:採取される血液に添加(混合)される抗凝固剤に対するその採取される血液の比率(採取される血液の量/抗凝固剤の量)
前記体外循環量および前記血漿の採取量は、第1の送液ポンプ11の1回転当たりの送液量および回転回数に基づいて算出さる。
このように濾過操作を開始するタイミングを設定することにより、濾過操作が終了する前に細胞分離フィルター261の濾過部材が空気で覆われてしまうことを防止することができるとともに、返血の終了する時期に合わせて、濾過操作を終了させることができる。これによって、血小板の単位割れをより確実に防止(または軽減)することができるとともに、血小板採取装置1の占有時間を短縮することができる。
また、この血小板採取装置1では、濾過操作が開始された後、所定の条件を満たす場合、濾過操作を中断する。この濾過操作を中断する条件としては、例えば、下記(1)〜(4)が挙げられ、これらのうちのいずれか1つのみを設定してもよく、また、任意の2つ以上を設定してもよい。なお、濾過操作の再開については、後で説明する。
(1)採取される血液の流量(採血速度)が減少した場合(流量が0の場合も含む)
濾過操作開始後、例えば、K分経過しても加速血漿循環工程に移行しない場合、濾過操作を中断する。
但し、K(分):濾過操作開始時の濃厚血小板の採取量(mL)/40(mL/分)
(2)血小板採取操作のサイクル数が増加した(変更された)場合
濾過操作開始後、血小板採取操作のサイクルが追加された場合は、濾過操作を中断する。
(3)血小板採取操作のサイクル数が減少した(変更された)場合
濾過操作開始後、血小板採取操作のサイクルが削減された場合は、濾過操作を中断する。
(4)最終的に採取する濃厚血小板(血小板製剤)の目標量が低減(変更)された場合
濾過操作開始後、最終的に採取する濃厚血小板(血小板製剤)の目標量が低減された場合は、濾過操作を中断する。
これにより、濾過操作が終了する前に細胞分離フィルター261の濾過部材が空気で覆われてしまうことをより確実に防止することができ、血小板の単位割れをより確実に防止(または軽減)することができる。
次に、血小板採取装置1を用いた血小板採取操作(血液成分採取操作)を、図1、図3〜図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図5および図6に示すフローチャートの制御動作と、図7および図8に示すフローチャートの制御動作とは、同時に行われている。
血小板採取装置1は、制御部13の制御により、第1の血漿採取工程と、定速血漿循環工程と、第2の血漿採取工程と、加速血漿循環工程と、第3の血漿採取工程と、血小板採取工程と、返血工程(血液成分返還工程)とを有する血小板採取操作(血液成分採取操作)を行なうよう作動する。この血小板採取操作は、少なくとも1回行われる。
本実施形態では、血小板採取操作を繰り返して複数回(第1サイクル〜第nサイクル、nは2以上の整数)行なうようになっている。
また、最終サイクルの血小板採取操作を行なうのに並行して、血小板採取装置1は、制御部13の制御により、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板中の白血球を分離除去する濾過操作(濾過工程)を行なうよう構成されている。
[0] まず、最初に、第3のライン23と第1のライン21の採血針29からチャンバー21dまでを、抗凝固剤でプライミングし、その後、ドナー(供血者)の血管に採血針29を穿刺する。
[1] 第1サイクルの血小板採取操作(図3および図4参照)
[11] まず、血小板採取装置1は、第1の血漿採取工程を行なう。第1の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿(PPP)を血漿採取バッグ25内に採取する。
第1の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿(第2の血液成分)の採取を行なう(図3のステップS101)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放し、他の流路開閉手段を閉塞した状態で、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは250mL/min以下程度、より好ましくは40〜150mL/min程度、例えば60mL/min)で作動(正転)して、ドナーから採血を開始する。
また、この採血と同時に、制御部13の制御により、第2の送液ポンプ12を作動して、第3のライン23を介して、例えばACD−A液のような抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に混入させる。
このとき、第2の送液ポンプ12の回転速度は、制御部13により、採血血液に対して抗凝固剤が所定比率(好ましくは1/20〜1/6程度、例えば1/10)で混合されるように制御される。
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、第1のライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143より管体141を経てローター142の貯血空間146内に導入される。
このとき、遠心分離器20内の空気(滅菌空気)は、第2のライン22およびチューブ42を介してエアーバッグ27b内に送り込まれる。
また、前記採血と同時にまたはこれと前後して、制御部13は、遠心分離器駆動装置10を作動し、ローター142を所定の回転数で回転するよう制御する。
このローター142の回転により、貯血空間146内に導入された血液は、内側から血漿層(PPP層)131、バフィーコート層(BC層)132、赤血球層(CRC層)133の3層に分離される。
なお、ローター142の回転数としては、好ましくは3000〜6000rpm程度、より好ましくは4200〜5800rpm程度とされる。また、以下の工程において、特に記載しない限り、制御部13は、ローター142の回転数を変更させない。
さらに、前記採血および前記抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間146の容量を越える血液(約270mL)が貯血空間146内に導入されると、貯血空間146内は血液により満たされ、遠心分離器20の排出口144から血漿(PPP)が流出する。
このとき、第2のライン22に設置された気泡センサ34は、第2のライン22中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検出し、制御部13は、この気泡センサ34の検出信号に基づき、第5の流路開閉手段85を閉塞し、かつ、第3の流路開閉手段83を開放するよう制御する。
これにより、第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿を血漿採取バッグ(第3の容器)25内に導入、採取する。
なお、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力される。
次いで、制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図3のステップS102)。
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは10〜150g程度、より好ましくは20〜40g程度とされる。
ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されていない場合には、制御部13は、ステップS101に戻り、再度、ステップS101以降を繰り返す。
また、ステップS102において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[11](第1の血漿採取工程)を終了して、定速血漿循環工程に移行する。
[12] 次に、血小板採取装置1は、定速血漿循環工程を行なう。定速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に通して定速で循環させる。
定速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行なう(図3のステップS103)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉鎖し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは60〜250mL/min程度、例えば200mL/min)で作動(正転)する。
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に一定速度で導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に定速にて循環させる。
次いで、制御部13は、定速血漿循環を開始してから所定時間(好ましくは10〜90秒程度、例えば30秒)が経過したか否かを判断する(図3のステップS104)。
ステップS104において、定速血漿循環を開始してから所定時間が経過していない場合には、制御部13は、ステップS103に戻り、再度、ステップS103以降を繰り返す。
また、ステップS104において、定速血漿循環を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[12](定速血漿循環工程)を終了して、第2の血漿採取工程に移行する。
[13] 次に、血小板採取装置1は、第2の血漿採取工程を行なう。第2の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
なお、この第2の血漿採取工程では、重量センサ16により血漿の採取量を計測するのに代わり、血漿層131とバフィーコート層132との界面Bの位置を検出する以外、前記工程[11](第1の血漿採取工程)と同様の工程を行なう。
第2の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行なう(図3のステップS105)。
なお、このとき、制御部13は、第2の流路開閉手段82を閉塞し、第1の流路開閉手段81を開放するよう制御する。
これにより、貯血空間146内の赤血球量が増加、すなわち、赤血球層133の層厚が増大するのに伴い、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動する。
次いで、制御部13は、光学式センサ15からの検出信号(界面位置検出情報)に基づき、界面Bが所定レベル(第1の位置)に到達したか否かを判断する(図3のステップS106)。
なお、この界面Bの第1の位置としては、第1の光学式センサ15からの検出信号(受光部152からの出力電圧)が、好ましくは1〜2V程度となった時点の位置とされる。
ステップS106において、界面Bが第1の位置に到達していない場合には、制御部13は、ステップS105に戻り、再度、ステップS105以降を繰り返す。
また、ステップS106において、界面Bが第1の位置に到達した場合には、制御部13は、本工程[13](第2の血漿採取工程)を終了して、加速血漿循環工程に移行する。
[14] 次に、血小板採取装置1は、加速血漿循環工程を行なう。加速血漿循環工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
加速血漿循環工程では、まず、制御部13は、血漿の循環を行なう(図3のステップS107)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉鎖し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度が一定の加速度にて増加(増大)するように作動(正転)する。
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に加速させながら循環させる。
なお、このとき、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記定速血漿循環より遅い速度(初速:例えば60mL/min)から、一定の加速度にて増加(増大)するように制御する。
この加速条件(加速度)としては、好ましくは1〜10mL/min/sec程度、より好ましくは3〜6mL/min/sec程度とされる。また、加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が所定速度(好ましくは130〜250mL/min程度、例えば155mL/min)に到達したか否かを判断する(図3のステップS108)。
このステップS108は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達するまで継続される。
また、ステップS108において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合、制御部13は、本工程[14](加速血漿循環工程)を終了して、第3の血漿採取工程に移行する。
[15] 次に、血小板採取装置1は、第3の血漿採取工程を行なう。第3の血漿採取工程では、ローター142の貯血空間146内に血液を導入し、血液を遠心分離することにより分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取する。
第3の血漿採取工程では、まず、制御部13は、血漿の採取を行なう(図3のステップS109)。
次いで、制御部13は、第1の送液ポンプ11の1回転当たりの送液量および回転回数に基づき、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取されたか否かを判断する(図3のステップS110)。
なお、この血漿の採取量(所定量)としては、好ましくは2〜30g程度、より好ましくは5〜15g程度とされる。
また、ステップS110において、血漿採取バッグ25内に所定量の血漿が採取された場合には、制御部13は、本工程[15](第3の血漿採取工程)を終了して、血小板採取工程に移行する(図4の1に移行する)。
[16] 次に、血小板採取装置1は、血小板採取工程を行なう。血小板採取工程では、血漿採取バッグ25内の血漿を、貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させ、次いで、第1の加速度より大きい第2の加速度に変更して、この第2の加速度にて加速させながら循環させて、貯血空間146内より血小板を流出させ、濃厚血小板を中間バッグ27a内に採取(貯留)する。
血小板採取工程では、まず、制御部13は、第1の加速度による血漿循環を行なう(図4のステップS111)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81を閉塞し、第2の流路開閉手段82を開放するとともに、第2の送液ポンプ12を停止し、かつ、第1の送液ポンプ11の回転速度を第1の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。
これにより、採血を中断するとともに、血漿採取バッグ25内の血漿をチューブ49、50および第1のライン21を介して貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら導入し、遠心分離器20の排出口144から流出してきた血漿を第2のライン22、チューブ43および44を介して血漿採取バッグ25内に回収する。すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第1の加速度にて加速させながら循環させる。
このとき、貯血空間146内に血漿を第1の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動する。
この第1の加速度としては、好ましくは0.5〜10mL/min/sec程度、より好ましくは1.5〜2.5mL/min/sec程度とされる。なお、第1の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
また、第1の加速度による血漿循環での第1の送液ポンプ11の初速としては、好ましくは40〜150mL/min程度、より好ましくは50〜80mL/min程度とされる。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達するまで、ステップS111を継続する(図4のステップS112)。
なお、この所定の速度、すなわち、第1の加速度による血漿循環が終了するときの第1の送液ポンプ11の回転速度としては、好ましくは100〜180mL/min程度、より好ましくは140〜160mL/min程度とされる。
また、ステップS112において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合には、制御部13は、第2の加速度による血漿循環を行なう(図4のステップS113)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の送液ポンプ11の加速度を、第1の加速度から第2の加速度に変更して、第1の送液ポンプ11の回転速度を第2の加速度にて増加(増大)するよう作動(正転)する。これにより、血漿採取バッグ25内の血漿を貯血空間146内に第2の加速度にて加速させながら循環させる。
このとき、貯血空間146内に血漿を第2の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層133の拡散(層厚の増大)が生じて、界面Bも徐々にローター142の回転軸方向へ移動するとともに、バフィーコート層132中の血小板(PC)が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、ローター142の排出口144へ向って移動する。
この第2の加速度としては、第1の加速度より大きくなるよう設定され、好ましくは3〜20mL/min/sec程度、より好ましくは5〜10mL/min/sec程度とされる。なお、第2の加速度は、一定でなくてもよく、例えば、前記範囲内で段階的または連続的に変化するものであってもよい。
次いで、制御部13は、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達したか否か、すなわち、第1の送液ポンプ11の回転速度が所定速度(好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/min)に到達したか否かを判断する(図4のステップS114)。
ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達していない場合には、制御部13は、ステップS113に戻り、再度、ステップS113以降を繰り返す。
また、ステップS114において、血漿の貯血空間146内への循環速度が所定速度に到達した場合には、制御部13は、血漿循環を継続する(図4のステップS115)。
具体的には、制御部13は、第1の送液ポンプ11の回転速度を、前記ステップS114における所定速度で維持(保持)するよう制御する。これにより、血漿の貯血空間146内への循環速度を、好ましくは120〜300mL/min程度、例えば200mL/minとする。
次いで、制御部13は、ステップS115を開始してから所定時間(好ましくは5〜15秒程度、例えば10秒)が経過したか否かを判断する(図4のステップS116)。
ステップS116において、ステップS115を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(PC濃度電圧)が所定値(好ましくは2.5〜3.5V程度、例えば、3.0V)以下に低下したか否かを判断する(図4のステップS117)。
ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下していない場合には、制御部13は、ステップS115に戻り、再度、ステップS115以降を繰り返す。
ステップS115〜S117を繰り返している間に、ステップS116において、ステップS115を開始してから所定時間が経過した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
また、ステップS117において、濁度センサ14からの出力電圧が所定値以下に低下した場合には、すなわち、ローター142の排出口144から血小板が流出するのに伴い、第2のライン22中を流れる血漿中の血小板濃度が所定値以上に到達した場合には、制御部13は、血小板(PC)の採取を行なう(図4のステップS118)。
具体的には、制御部13は、濁度センサ14の検出信号に基づき、第3の流路開閉手段83を閉塞し、かつ、第4の流路開閉手段84を開放するよう制御する。
これにより、第2のライン22、チューブ43および45を介して濃厚血小板を中間バッグ27a内へ導入し、採取(貯留)する。なお、このとき、第7の流路開閉手段87は、閉塞しているため、濃厚血小板は、中間バッグ27a内から流出しない。
また、制御部13は、濁度センサ14からの出力電圧(検出信号)に基づき、中間バッグ27a内の血小板濃度(累積PC濃度)を算出する。なお、この血小板濃度は、PC採取を開始してから上昇を続け、一旦、最高濃度に到達した後、下降に転じる。
次いで、制御部13は、PC採取を開始してから所定時間(好ましくは10〜25秒程度、例えば15秒)が経過したか否かを判断する(図4のステップS119)。
ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過していない場合には、次いで、制御部13は、濁度センサ14の出力電圧(PC濃度電圧)が所定値以下に到達したか否かを判断する(図4のステップS120)。
この濁度センサ14の出力電圧の所定値としては、第2のライン22中を流れる血漿中に赤血球の混入が生じる時点付近の値とされ、好ましくは0.5V以下程度とされる。
ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達していない場合には、次いで、制御部13は、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達したか否かを判断する(図4のステップS121)。
なお、この濃厚血小板の採取量(所定量)としては、好ましくは20〜100mL程度、より好ましくは40〜80mL程度とされる。
ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達しない場合には、制御部13は、ステップS118に戻り、再度、ステップS118以降を繰り返す。
ステップS118〜S121を繰り返している間に、ステップS119において、PC採取を開始してから所定時間が経過した場合、または、ステップS120において、濁度センサ14の出力電圧が所定値以下に到達した場合には、制御部13は、本工程[16](血小板採取工程)を終了して、後述するステップS122に移行する。
また、ステップS121において、中間バッグ27a内の濃厚血小板が所定量に到達した場合には、制御部13は、第5の流路開閉手段85を開放し、この他の全ての流路開閉手段81〜84、86、87を閉塞した状態とし、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[16](血小板採取工程)を終了する。
[17] 次に、血小板採取装置1は、遠心分離器20を停止する工程を行なう。
この工程では、まず、制御部13は、遠心分離器20の減速を行なう(図4のステップS122)。
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転数を減少して、ローター142を減速する。
さらに、制御部13は、遠心分離器20の停止を行なう(図4のステップS123)。
具体的には、制御部13の制御により、遠心分離器駆動装置10の回転を停止して、ローター142を停止する。
[18] 次に、血小板採取装置1は、返血工程を行なう。返血工程では、ローター142の貯血空間146内の血液成分(残りの血液成分)を返血する。
返血工程では、制御部13は、返血を行なう(図4のステップS124)。
具体的には、制御部13の制御により、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を開放するとともに、第1の送液ポンプ11を所定の回転速度(好ましくは20〜120mL/min程度、例えば90mL/min)で作動(逆転)する。
これにより、ローター142の貯血空間146内に残存する血液成分(主に、赤血球、白血球)は、遠心分離器20の流入口143から排出され、第1のライン21(採血針29)を介してドナーに返血(返還)される。
そして、気泡センサ32によって遠心分離器20から排出される空気を検出して、所定の回数だけ第1の送液ポンプ11を回転した後、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[18](返血工程)を終了する。
これにより、第1サイクルの血小板採取操作を終了する。
[2] 最終サイクルではない第2サイクルの血小板採取操作(図3および図4参照)
続いて、第2サイクルの血小板採取操作を行なう。
第2サイクルの血小板採取操作では、下記の通り、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行なう。
[21]〜[28] 前記工程[11]〜[18]と同様の工程をそれぞれ行なう。
これにより、第2サイクルの血小板採取操作を終了する。
なお、最終サイクルではない第3サイクル以降の血小板採取操作も同様である。
[3] 最終サイクルの血小板採取操作(図5および図6参照)
続いて、最終サイクルの血小板採取操作を行なう。
最終サイクルの血小板採取操作では、濃厚血小板から白血球を分離除去する濾過工程を行なうこと以外は、前記第1サイクルの血小板採取操作と同様の工程を行なう。なお、濾過工程については、後に詳述する。
[31]〜[37] 前記工程[11]〜[17]と同様の工程をそれぞれ行なう。
[38] 気泡センサ35または36によって遠心分離器20から排出される空気を検出して、第1の流路開閉手段81および第5の流路開閉手段85を閉塞するとともに、第1の送液ポンプ11を停止して、本工程[38](返血工程)を終了すること以外は、前記工程[18]と同様の工程を行なう。
これにより、最終サイクルの血小板採取操作を終了する。
次に、図7および図8に示すフローチャートに基づいて、濾過操作(濾過工程)およびライン洗浄操作(ライン洗浄工程)について説明する。なお、図7および図8には、主に制御部13の制御動作が示されている。
図7に示すように、最終サイクル(nサイクル)の1つ前のサイクル((n−1)サイクル)の血小板採取操作が終了すると(ステップS501)、予測採取血小板数を演算で求める(ステップS502)。すなわち、前述したように、最終的に採取される血小板の総数PLT_Zを予測する。
次いで、血小板の単位割れが生じるか否かを判断する(ステップS503)。このステップS503では、前述したように、最終的に採取される血小板の総数の予測値(予測血小板総数)PLT_Zと、単位割れ判断に用いる目標血小板数PLT_Kとを比較する。そして、PLT_Z≦PLT_Kの場合は、予測血小板単位数が目標血小板単位数に達せず、単位割れすると判別(推定)し、PLT_Z>PLT_Kの場合は、予測血小板単位数が目標血小板単位数に達し、単位割れしないと判別する。
ステップS503において、血小板の単位割れが生じないと判断した場合には、前述したように濾過操作(濾過工程)を開始するタイミングを求め、設定し、ステップS508に移行する。
一方、ステップS503において、血小板の単位割れが生じると判断した場合には、血小板の単位割れの警告を行なう(ステップS504)。このステップS504では、例えば、表示部17に、血小板の単位割れが生じる旨を示す警告表示がなされる。
次いで、血小板採取操作のサイクルが追加されたか否かを確認し(ステップS505)、サイクルが追加された場合には、最終サイクルの1つ前のサイクルの血小板採取操作を行ない、ステップS501に戻り、再度、ステップS501以降を実行する。
なお、血小板採取操作のサイクルの追加はオペレータが行っても、制御部13が自動的に行ってもよい。
一方、サイクルが追加されない場合には、濾過操作の禁止を解除する操作を行なう濾過開始スイッチがオペレータがオンしたか否かを確認し、濾過開始スイッチがオンしない場合には、ステップS505に戻り、再度、ステップS505以降を実行し、濾過開始スイッチがオンした場合には、前述したように濾過操作を開始するタイミングを求め、ステップS507に移行する。
ステップS507では、現在の時刻が濾過操作を開始するタイミングより前か否かを判断し、現在の時刻が濾過操作を開始するタイミングより前の場合には、濾過操作を開始するタイミングを設定し、ステップS508に移行する。
一方、現在の時刻が濾過操作を開始するタイミングであるか、または濾過操作を開始するタイミングより後の場合には、濾過操作を開始する(ステップS509)。
この濾過操作では、中間バッグ27a内に一時的に採取(貯留)した濃厚血小板を、白血球除去フィルター261に供給して、濃厚血小板の濾過、すなわち、濃厚血小板中の白血球の分離除去を行なう。
また、前記ステップS508では、現在の時刻が濾過操作を開始するタイミングであるか否かを判断し、その設定されている濾過操作を開始するタイミングで前記濾過操作を開始する(ステップS509)。
ステップS509では、第7の流路開閉手段87を開放する。これにより、中間バッグ27a内の濃厚血小板は、落差(自重)により、チューブ46、47、白血球除去フィルター261およびチューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送される。このとき、濃厚血小板は、そのほとんどが、白血球除去フィルター261の濾過部材を通過するが、白血球は濾過部材に捕捉される。このため、血小板製剤中の白血球の除去率を極めて高いものとすることができる。
なお、濃厚血小板の中間バッグ27a内から血小板採取バッグ26への移送は、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
次いで、濾過操作を中断(その1)するか否かを判断する(ステップS510)。このステップS510では、採血速度が低下したか否かを判断し、採血速度が低下した場合には、第7の流路開閉手段87を閉鎖して濾過操作を中断する(ステップS515)。
次いで、第1の加速度による血漿循環(図6のステップS311参照)に移行したか否かを判断し(ステップS516)、第1の加速度による血漿循環に移行すると、第7の流路開閉手段87を開放し、濾過操作を再開し(ステップS517)、ステップS514に移行する。
一方、ステップS510において、採血速度が低下していないと判断した場合には、濾過操作を中断(その2)するか否かを判断する(ステップS511)。このステップS511では、最終的に採取する濃厚血小板(血小板製剤)の目標量が低減されたか否かを判断し、低減された場合には、第7の流路開閉手段87を閉鎖して濾過操作を中断する(ステップS518)。
次いで、ステップS508に戻り、前述したように、新たに、濾過操作を開始(再開)するタイミングを求め、設定し、再度、ステップS508以降を実行する。
一方、ステップS511において、最終的に採取する濃厚血小板(血小板製剤)の目標量が低減されていないと判断した場合には、濾過操作を中断(その3)するか否かを判断する(ステップS512)。このステップS512では、血小板採取操作のサイクルが削減されたか否かを判断し、削減された場合には、第7の流路開閉手段87を閉鎖して濾過操作を中断する(ステップS518)。
次いで、ステップS508に戻り、前述したように、新たに、濾過操作を開始(再開)するタイミングを求め、設定し、再度、ステップS508以降を実行する。
一方、ステップS512において、血小板採取操作のサイクルが削減されていないと判断した場合には、濾過操作を中断(その4)するか否かを判断する(ステップS513)。このステップS513では、血小板採取操作のサイクルが追加されたか否かを判断し、追加された場合には、第7の流路開閉手段87を閉鎖して濾過操作を中断する(ステップS519)。
このように、本実施形態の血小板採取装置1は、濾過操作を開始後に濾過操作を禁止(中断)することができる。
なお、濾過操作を中断した場合には、オペレータが濾過再開ボタンを押すことで、手動で濾過を再開させることもできる。濾過操作が再開すると、停止ボタンが表示部(タッチパネル)17に表示され、再び濾過操作を中断させることもできる。
次いで、ステップS501に戻り、再度、ステップS501以降を実行する。
一方、ステップS513において、血小板採取操作のサイクルが追加されていないと判断した場合には、濾過操作を続行し、ステップS514に移行する。
ステップS514では、気泡センサ33により空気が検出されたか否かを判断し、空気が検出されない場合には、ステップS510に戻り、再度、ステップS510以降を実行し、空気が検出された場合には、図8に示すように、第7の流路開閉手段87を閉鎖して濾過操作を終了し、第6の流路開閉手段86を開放してライン洗浄操作(ライン洗浄工程)を開始する(ステップS520)。
このライン洗浄操作では、血漿採取バッグ25内から所定量の血漿を濾過ラインに供給し(濾過ラインへの血漿供給(PPP供給)を行ない)、その血漿により濾過ラインを洗浄する。
ステップS520において、第7の流路開閉手段87を閉塞するとともに第6の流路開閉手段86を開放すると、血漿採取バッグ25内の血漿は、落差(自重)により、チューブ49、46を経て、中間バッグ27a内に移送(供給)される。
次いで、血漿採取バッグ25内からから所定量の血漿が中間バッグ27aに移送したか否か、すなわち、血漿採取バッグ25内の血漿が所定量減少したか否かを判断する(ステップS521)。なお、前述したように、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御部13に入力され、制御部13は、重量センサ16からの情報(重量信号)に基づき、このステップS521の判断を行なう。
ステップS521において、血漿採取バッグ25内の血漿が所定量減少したと判断した場合には、第6の流路開閉手段86を閉塞するとともに第7の流路開閉手段87を開放する(ステップS522)。これにより、中間バッグ27a内の血漿は、落差(自重)により、チューブ46、47、白血球除去フィルター261、チューブ48を経て、血小板採取バッグ26内に移送され、貯留される。
この際、白血球除去フィルター261内およびチューブ48の流路内に残留する血小板(白血球を分離除去した後の濃厚血小板)は、血漿とともに血小板採取バッグ26内に回収されるので、濾過による血小板の損失を抑えることができる。
しかも、一旦、血漿を中間バッグ27aに供給することにより、中間バッグ27a内、チューブ46、47の流路内に残留する濃厚血小板(第1の血液成分)は白血球除去フィルター261を介して回収される(洗い出される)ので、血小板の損失をより小さくすることができる。
また、この血漿の供給量により、血小板製剤(血小板採取バッグ26内の血液成分)の総量が調整されるようにすることが好ましい。これにより、血小板製剤の総量が製剤規格に対し過剰になることを予防するとともに、別途、血小板製剤の総量を調整する操作を省略することができる。
このような血漿の供給量としては、好ましくは5〜200mL程度、より好ましくは10〜100mL程度とされる。
なお、血漿の血漿採取バッグ25内から中間バッグ27aへの移送、血漿の血漿の中間バッグ27a内から血小板採取バッグ26への移送は、それぞれ、ポンプを用いて行なうようにしてもよい。
次いで、気泡センサ33により空気が検出されたか否かを判断し(ステップS523)、空気が検出されると、ライン洗浄操作が終了する。これにより、別途行われる血小板採取操作が終了している時、オペレータは、血小板採取回路2を取り外すことが可能となる。
なお、ライン洗浄操作の終了後も第7の流路開閉手段87は開放状態を保ち、落差により血小板が血小板採取バッグ26に回収される。
ここで、この血小板採取装置1では、血小板採取操作のサイクル数の設定により、採取する血小板の単位数を設定するようになっているので、最終サイクルの血小板採取操作をすべて行なってしまうと、過剰数の血小板が採取されてしまう可能性がある。
そこで、採取される血小板の数(採取数)を検出し、最終サイクルの血小板採取操作において、血小板の採取数が、多過ぎる場合(予め設定されたしきい値に達した場合)は、途中で濃厚血小板の採取を終了するように構成するのが好ましい。例えば、10単位製剤を得ようとする場合は、血小板が12単位程度採取されたときに、濃厚血小板の採取を終了するように構成する。
これにより、過剰数の血小板の採取を防止することができ、確実に、目的の血小板製剤(例えば、10単位製剤を得ようとする場合は、その10単位製剤)を得ることができるとともに、確実に、目的の単位数だけ、血小板を採取することができる。
なお、血小板採取操作は、複数回行なう場合に限定されず、例えば、1回のみ行なってもよい。
また、血小板採取回路2の構成も、適宜設定可能であり、図示の構成に限定されない。
以上説明したように、この血小板採取装置1によれば、自動的に濾過操作を開始することができ、かつ、血小板の単位割れを防止(または軽減)することができる。
また、濾過操作の開始のタイミングの調整により、濾過操作の終了時期(終了時刻)を任意に設定することができる。これにより、濾過操作が終了する前に細胞分離フィルター261の濾過部材が空気で覆われてしまうことを防止することができるとともに、返血の終了する時期に合わせて、濾過操作を終了させることができる。これによって、血小板の単位割れを防止(または軽減)することができるとともに、血小板成分採血の際の血小板採取装置1の占有時間を短縮することができる。
また、濾過操作を自動的に中断することができるので、濾過操作が終了する前に細胞分離フィルター261の濾過部材が空気で覆われてしまうことをより確実に防止することができ、血小板の単位割れをより確実に防止(または軽減)することができる。
そして、この血小板採取装置1では、血液より分離、採取された濃厚血小板中から、白血球除去フィルター261により白血球を分離除去するため、白血球の混入が極めて低い血小板製剤を得ることができる。
以上、本発明の血小板採取装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
また、本発明では、光学式センサは、図示のものに限定されず、例えば、ラインセンサ等であってもよい。
また、本発明では、細胞分離フィルター(濾過器)により分離除去する細胞も、白血球に限定されない。
また、本発明の血小板採取装置の方式は、間欠式に限らず、例えば、連続式であってもよい。