JP4617618B2 - スペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法および装置 - Google Patents

スペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばGPS(Global Positioning System)衛星信号などのスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工衛星(GPS衛星)を利用して移動体の位置を測定するGPSシステムにおいて、GSP受信機は、4個以上のGPS衛星からの信号を受信し、その受信信号から受信機の位置を計算し、ユーザに知らせることが基本機能である。
【0003】
GPS受信機は、GPS衛星からの信号を復調してGPS衛星の軌道データを獲得し、GPS衛星の軌道および時間情報と受信信号の遅延時間から、自受信機の3次元位置を連立方程式により導き出す。受信信号を得るGPS衛星が4個必要となるのは、GPS受信機内部の時間と衛星の時間とで誤差があり、その誤差の影響を除去するためである。
【0004】
民生用GPS受信機の場合には、GPS衛星(Navstar)からのL1帯、C/A(Clear and Aquisition)コードと呼ばれるスペクトラム拡散信号電波を受信して、測位演算を行う。
【0005】
C/Aコードは、送信信号速度(チップレート)が1.023MHz、符号長が1023のPN(Pseudorandom Noise;擬似ランダム雑音)系列の符号、例えばGold符号で、50bpsのデータを拡散した信号により、周波数が1575.42MHzの搬送波(以下、キャリアという)をBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調した信号である。この場合、符号長が1023であるので、C/Aコードは、PN系列の符号が、図20(A)に示すように、1023チップを1周期(したがって、1周期=1ミリ秒)として、繰り返すものとなっている。
【0006】
このC/AコードのPN系列の符号は、GPS衛星ごとに異なっているが、どのGPS衛星が、どのPN系列の符号を用いているかは、予めGPS受信機で検知できるようにされている。また、後述するような航法メッセージによって、GPS受信機では、どのGPS衛星からの信号を、その地点およびその時点で受信できるかが判るようになっている。したがって、GPS受信機では、例えば3次元測位であれば、その地点およびその時点で取得できる4個以上のGPS衛星からの電波を受信して、スペクトラム逆拡散し、測位演算を行って、自分の位置を求めるようにする。
【0007】
そして、図20(B)に示すように、衛星信号データの1ビットは、PN系列の符号の20周期分、つまり、20ミリ秒単位として伝送される。つまり、データ伝送速度は、50bpsである。PN系列の符号の1周期分の1023チップは、ビットが“1”のときと、“0”のときとでは、反転したものとなる。
【0008】
図20(C)に示すように、GPSでは、30ビット(600ミリ秒)で1ワードが形成される。そして、図20(D)に示すように、10ワードで、1サブフレーム(6秒)が形成される。図20(E)に示すように、1サブフレームの先頭のワードには、データが更新されたときであっても常に規定のビットパターンとされるプリアンブルが挿入され、このプリアンブルの後にデータが伝送されてくる。
【0009】
さらに、5サブフレームで、1フレーム(30秒)が形成される。そして、航法メッセージは、この1フレームのデータ単位で伝送されてくる。この1フレームのデータのうちの始めの3個のサブフレームは、エフェメリス情報と呼ばれる衛星固有の情報である。この情報には、衛星の軌道を求めるためのパラメータと、衛星からの信号の送出時刻とが含まれる。
【0010】
GPS衛星のすべては、原子時計を備え、共通の時刻情報を用いており、GPS衛星からの信号の送出時刻は、原子時計の1秒単位とされている。また、GPS衛星のPN系列の符号は、原子時計に同期したものとして生成される。
【0011】
エフェメリス情報の軌道情報は、数時間ごとに更新されるが、その更新が行われるまでは、同一の情報となる。しかし、エフェメリス情報の軌道情報は、これをGPS受信機のメモリに保持しておくことにより、数時間は、同じ情報を、精度良く使用することができるものである。なお、GPS衛星からの信号の送出時刻は、1秒ごとに更新される。
【0012】
1フレームのデータの残りの2サブフレームの航法メッセージは、アルマナック情報と呼ばれる全ての衛星から共通に送信される情報である。このアルマナック情報は、全情報を取得するために25フレーム分必要となるもので、各GPS衛星のおおよその位置情報や、どのGPS衛星が使用可能かを示す情報などからなる。このアルマナック情報は、数か月ごとに更新されるが、その更新が行われるまでは、同一の情報となる。しかし、このアルマナック情報は、これをGPS受信機のメモリに保持しておくことにより、数か月は、同じ情報を、精度良く使用することができる。
【0013】
GPS衛星信号を受信して、上述のデータを得るためには、まず、キャリアを除去した後、GPS受信機に用意される受信しようとするGPS衛星で用いられているC/Aコードと同じPN系列の拡散符号を用いて、そのGPS衛星からの信号について、C/Aコードの位相同期を取ることによりGPS衛星からの信号を捕捉し、スペクトラム逆拡散を行う。C/Aコードとの位相同期が取れて、逆拡散が行われると、ビットが検出されて、GPS衛星からの信号から時刻情報等を含む航法メッセージを取得することが可能になる。
【0014】
GPS衛星からの信号の捕捉は、C/Aコードの位相同期検索により行われるが、この位相同期検索においては、GPS受信機の拡散符号とGPS衛星からの受信信号の拡散符号との相関を検出し、例えば、その相関検出結果の相関値が予め定めた値よりも大きい時に、両者が同期していると判定する。そして、同期が取れていないと判別されたときには、何らかの同期手法を用いて、GPS受信機の拡散符号の位相を制御して、受信信号の拡散符号と同期させるようにしている。
【0015】
ところで、上述したように、GPS衛星信号は、データを拡散符号で拡散した信号によりキャリアをBPSK変調した信号であるので、当該GPS衛星信号をGPS受信機が受信するには、拡散符号のみでなく、キャリアおよびデータの同期をとる必要があるが、拡散符号とキャリアの同期は独立に行うことはできない。
【0016】
そして、GPS受信機では、受信信号は、そのキャリア周波数を数MHz以内の中間周波数に変換して、その中間周波数信号で、上述の同期検出処理するのが普通である。この中間周波数信号におけるキャリアには、主にGPS衛星の移動速度に応じたドップラーシフトによる周波数誤差と、受信信号を中間周波数信号に変換する際に、GPS受信機内部で発生させる局部発振器の周波数誤差分が含まれる。
【0017】
したがって、これらの周波数誤差要因により、中間周波数信号におけるキャリア周波数は未知であり、その周波数サーチが必要となる。また、拡散符号の1周期内での同期点(同期位相)は、GPS受信機とGPS衛星との位置関係に依存するのでこれも未知であるから、上述のように、何らかの同期手法が必要となる。
【0018】
従来のGPS受信機では、キャリアについての周波数サーチと、スライディング相関器+DLL(Delay Locked Loop)+コスタスループによる拡散符号同期検出手法を用いている。これについて、以下に説明を加える。
【0019】
GPS受信機のPN符号の発生器を駆動するクロックは、GPS受信機に用意される基準周波数発振器を分周したものが、一般に用いられている。この基準周波数発振器としては、高精度の水晶発振器が用いられており、この基準周波数発振器の出力から、GPS衛星からの受信信号を中間周波数信号に変換するのに用いる局部発振信号を生成する。
【0020】
図21は、この周波数サーチを説明するための図である。すなわち、GPS受信機の拡散符号の発生器を駆動するクロック信号の周波数が、ある周波数f1であるときに、拡散符号についての位相同期検索、つまり、拡散符号の位相を1チップずつ順次ずらして、それぞれのチップ位相のときのGPS受信信号と拡散符号との相関を検出し、相関のピーク値を検出することにより、同期が取れる位相を検出するようにする。
【0021】
前記クロック信号の周波数がf1のときにおいて、1023チップ分の位相検索の全てで同期する位相が存在しなければ、例えば基準周波数発振器に対する分周比を変えて、前記駆動クロック信号の周波数を周波数f2に変更し、同様に1023チップ分の位相検索を行う。これを、図21のように、前記駆動クロック信号の周波数をステップ的に変更して繰り返す。以上の動作が周波数サーチである。
【0022】
そして、この周波数サーチにより、同期可能とされる駆動クロック信号の周波数が検出されると、そのクロック周波数で最終的な拡散符号の位相同期検出が行われる。これにより、水晶周波数発振器の発振周波数ずれがあっても、衛星信号を捕捉することが可能になる。
【0023】
しかしながら、拡散符号同期検出方法として上述したような従来からの手法を用いたのでは、原理的に高速同期には不向きで、実際の受信機においては、それを補うため、多チャンネル化してパラレルに同期点を探索する必要が生じる。そして、上記のように拡散符号およびキャリアの同期に時間を要すると、GPS受信機の反応が遅くなり、使用上において不便を生ずる。
【0024】
拡散符号の位相同期検出に関しては、DSP(Digital SignalProcessor)に代表されるハードウエアの能力の向上によって、上述のようなスライディング相関の手法を用いることなく、デジタルマッチドフィルタを用いることにより、符号同期を高速に行う手法が実現している。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、デジタルマッチドフィルタは、トランスバーサルフィルタや高速フーリエ変換(以下、FFT(Fast Fourier Transform)という)を用いたものが知られているが、通常、デジタルマッチドフィルタでの処理単位は拡散符号の1周期である。
【0026】
しかし、拡散符号の1周期分の相関演算結果のみから拡散符号同期検出を行うのでは、検出感度が低いので、従来は、検出感度を上げるため、拡散符号の1周期分毎の相関演算結果の2乗和を積算してゆく方法が用いられている。この方法によれば、相関値の正負の極性に関係なく、相関点での相関値を非相関点での相関値に比して大きくすることができるため、検出感度を上げることができる。
【0027】
しかしながら、2乗和を積算する方法は、ノイズ成分も相殺されずに積算されてしまうので、C/N(搬送波対雑音比)が悪い受信状態では、2乗操作による損失が大きく、検出感度の改善度は低い。
【0028】
そこで、2乗和ではなく、拡散符号の1周期分毎の相関演算結果の線形和を積算することが考えられる。線形和であれば、ランダムに分布するノイズは相殺されて小さくなるからである。
【0029】
ところが、GPS信号の場合、スペクトラム拡散信号は50bpsの航法データを含んでおり、図20に示したように、拡散符号の1周期(1ミリ秒)の20倍(20ミリ秒)をビット遷移周期としている。このため、拡散符号の1周期分毎の相関演算結果の線形和を、20ミリ秒以上の期間に渡って積算したときには、ビット遷移のところから相関値が逆極性となって相殺されてしまい、積算値が小さくなってしまうので、単純に線形和を積算することはできない。
【0030】
この発明は、以上の点にかんがみ、上述のGPS信号のように、ビット遷移周期が拡散符号の1周期の複数倍であるデータのスペクトラム拡散信号について、拡散符号の同期検出の感度を大幅に改善することができるようにすることを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置は、
拡散符号の1周期の複数倍をビット遷移周期とするデータを、前記拡散符号でスペクトラム拡散したスペクトラム拡散信号について、前記拡散符号の同期検出を行う装置において、
前記拡散符号の1周期の複数倍であって、かつ、前記ビット遷移周期よりも短い単位期間毎に、前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果を線形加算したものに等しい線形加算相関演算結果を得る処理を行う単位期間相関演算線形加算手段と、
前記単位期間相関演算線形加算手段で求められた前記単位期間毎の線形加算相関演算結果の絶対値を計算する絶対値計算手段と、
前記絶対値計算手段で求められた前記単位期間毎の線形加算相関演算結果の絶対値を、複数単位期間分、加算する絶対値加算手段と、
前記絶対値加算手段で得られた前記絶対値の加算値から、相関点を検出する相関点検出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0032】
上述の構成の請求項1の発明においては、データのビット遷移周期よりも短い単位期間においては、2乗和ではなく、線形和を得る。そして、その単位期間毎の線形和の絶対値和を、複数単位期間分積算し、その積算した絶対値和から相関点を検出する。
【0033】
この場合において、データのビット遷移がどこで生じるかは未知であるので、前記単位期間での線形和の演算の過程で相関値の正負の相殺が生じ、特に、ビット遷移が単位期間の中央にくる場合には、相関値の正負の相殺のために完全に相関演算値の線形和は0になってしまう。
【0034】
しかし、請求項1の発明においては、単位期間がビット遷移周期よりも短い期間として設定されているので、ある単位期間において、ビット遷移がその中央にくるようになっている場合には、その単位期間の前後の単位期間では、ビット遷移がその中央にくるようになることは決してない。
【0035】
例えば、請求項2の発明のように、単位期間の長さをビット遷移周期の1/2の時間長とした場合であれば、ある単位期間において、ビット遷移がその中央にくるようになっている場合には、その単位期間の前後の単位期間では、ビット遷移を含まない。このため、それらの前後の単位期間では、ビット遷移による相殺の影響は全く受けない相関演算結果の線形和が得られ、それらの絶対値和により、相関点を検出することで、検出感度の向上を期待することができる。
【0036】
また、請求項8の発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法は、
拡散符号の1周期の複数倍をビット遷移周期とするデータを、前記拡散符号でスペクトラム拡散したスペクトラム拡散信号について、前記拡散符号の同期検出を行う方法において、
前記拡散符号の1周期の複数倍であって、かつ、前記ビット遷移周期以下の長さの単位期間毎に、前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果を線形加算したものに等しい第1の線形加算相関演算結果を得ると共に、
前記単位期間を前半期間と後半期間とに2等分し、前記前半期間または前記後半期間の一方における前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果の線形和に等しい第1の線形和と、前記前半期間または前記後半期間の他方における前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との一方を符号反転させた状態での前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果の線形和に等しい第2の線形和との和に等しい第2の線形加算相関演算結果を、前記単位期間毎に得る単位期間相関演算線形加算工程と、
前記第1の線形加算相関演算結果の絶対値と、前記第2の線形加算相関演算結果の絶対値との和を、複数単位期間分、加算する絶対値加算工程と、
前記絶対値加算工程で得られた前記絶対値の加算値から、相関点を検出する相関点検出工程と、
を備えることを特徴とする。
【0037】
上述の構成の請求項8の発明において、前記第1の線形加算相関演算結果の絶対値と、前記第2の線形加算相関演算結果の絶対値との和は、単位期間とビット遷移位置との位相関係によらず、常に一定となる。このため、絶対値加算工程で、複数単位期間において、前記絶対値和を積算すれば、当該絶対値和は、その複数単位期間数倍となる。
【0038】
したがって、相関点検出工程において相関点を検出するための閾値を設定し易くなり、かつ、検出感度を改善することができる。
【0039】
また、請求項16の発明は、請求項8に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法において、
前記単位期間は、前記ビット遷移周期に等しく選定し、
前記第1の線形加算相関演算結果と、前記第2の線形加算相関演算結果との比から、前記単位期間と前記ビット遷移位置との位相ずれを推定し、この推定した位相ずれにより、前記単位期間と前記ビット遷移位置との位相ずれを補正する
ことを特徴とする。
【0040】
この請求項16においては、単位期間をビット遷移周期に等しく選定し、前記第1の線形加算相関演算結果と、前記第2の線形加算相関演算結果との比から、前記単位期間と前記ビット遷移位置との位相ずれを推定するようにする。そして、推定した位相ずれにより、スペクトラム拡散信号の単位期間と、データのビット遷移位置との位相ずれを補正する。このようにすれば、単位期間内でビット遷移することがなくなるので、単位期間毎の相関値の線形加算は常に最大値を示すようにすることができて、拡散符号同期の検出感度が、さらに向上する。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法の実施の形態を、上述したGPS受信機におけるGPS信号についての拡散符号同期検出に適用した場合について、図を参照しながら説明する。
【0042】
[第1の実施の形態]
図2は、スペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第1の実施の形態としてのGPS受信機の拡散符号同期検出部の構成例を示すブロック図である。この図2において、受信信号r(n)は、図示を省略したが、GPSアンテナにて受信されたGPS衛星からの信号(スペクトラム拡散信号)のキャリアを、中間周波数1.023MHzに低域変換した中間周波信号である。
【0043】
なお、説明を簡略にするため、図2の実施の形態では、受信信号r(n)についてのキャリア同期は取れているものとして説明するが、実際的には、後述するような何らかの方法でキャリア周波数をサーチして、キャリア同期を取る動作が必要である。
【0044】
受信信号r(n)は、まず、A/D変換器1でデジタル信号に変換された後、デジタルマッチドフィルタ2に供給される。このデジタルマッチドフィルタ2には、拡散符号発生部3からの拡散符号の1周期分が供給される。このとき、拡散符号発生部3からは、受信しようとするGPS衛星信号に使用されている拡散符号が出力される。この結果、このデジタルマッチドフィルタ2からは、受信信号と拡散符号との相関結果が得られる。
【0045】
この相関結果は、拡散符号の1周期分の各チップ位相における相関値を示すものとなっており、受信信号r(n)中の拡散符号と、拡散符号発生部3からの拡散符号とが同期している場合には、図3に示すように、1023チップのうちのある一つのチップ位相npでの相関値が、予め定められるスレッショールド値を超えるようなピーク値を示す相関波形が得られる。このピーク値の立つチップ位相が、相関点の位相となる。デジタルマッチドフィルタ2からの出力は、図3に示すような相関結果が、拡散符号の1周期分毎に繰り返すようなものとなる。
【0046】
ただし、前述もしたように、拡散符号の1周期分だけから相関点の検出を行おうとすると、検出感度が悪い。そこで、この実施の形態では、次のようにする。
【0047】
デジタルマッチドフィルタ2からの拡散符号の1周期分毎に繰り返す相関結果は、単位期間線形加算部4に供給される。この単位期間線形加算部4では、拡散符号の1周期の複数倍であって航法データのビット遷移周期である20ミリ秒よりも短い期間として選定される単位期間内において、デジタルマッチドフィルタ2からの拡散符号の1周期分毎に繰り返す相関結果を、各チップ位相の値を同期加算するようにして線形加算する。そして、単位期間線形加算部4では、この線形加算処理を、単位期間のそれぞれにおいて行う。
【0048】
ここで、この実施の形態では、単位期間は、拡散符号の1周期の10倍であって、ビット遷移周期(20ミリ秒)の1/2である10ミリ秒に選定される。
【0049】
この単位期間線形加算部4は、図2に示すように、拡散符号のチップ数Nに等しい段数のレジスタ4RGを備え、このレジスタ4RGに、拡散符号の各チップ位相の相関結果を単位期間分、線形加算したものを蓄積する。つまり、この例の場合には、単位期間は10ミリ秒であるので、単位期間線形加算部4のレジスタ4RGの各チップ位相に対応する段のレジスタでは、当該チップ位相の10個の相関結果を同期加算するものである。
【0050】
この単位期間線形加算部4からの単位期間毎の相関値線形加算結果(拡散符号の1周期分)は、絶対値計算部5に供給されて、単位期間分毎に絶対値化され、絶対値累積加算部6に供給される。この絶対値累積加算部6では、単位期間のM(Mは2以上の整数)倍の期間で、単位期間分毎の相関値線形加算結果の絶対値を累積加算する。そして、絶対値累積加算部6は、その累積加算結果を相関点検出部7に供給する。
【0051】
相関点検出部7では、図3に示したような特性を示す累積加算結果について、予め定めたスレッショールド値と比較し、このスレッショールド値を超えるようなピーク値が検出されたときに、受信信号と拡散符号との同期が取れたとして検出し、前記ピーク値の位相を相関点npとして検知する。
【0052】
なお、基準クロック発生器10からの基準クロックが分周器8に供給されて、受信信号r(n)のサンプル周波数に等しい周波数のクロックCLKが生成され、そのクロックCLKが、A/D変換器1、デジタルマッチドフィルタ2および単位期間線形加算部4に供給される。
【0053】
また、基準クロック発生器10からの基準クロックは、タイミング制御部9に供給され、このタイミング制御部9では、単位期間に同期するタイミング信号が成されて、それぞれ単位期間線形加算部4、絶対値計算部5および絶対値累積加算部6に供給される。
【0054】
[デジタルマッチドフィルタの具体例]
図2のデジタルマッチドフィルタ2は、トランスバーサルフィルタやFFTを用いて構成することができる。図4は、トランスバーサルフィルタを用いたデジタルマッチドフィルタ2の構成例を示すものである。
【0055】
すなわち、図4の例のデジタルマッチドフィルタ2は、拡散符号のチップ数N−1に等しい段数のシフトレジスタ201を備え、A/D変換器1からのデジタル信号Dinが、図4では省略したが分周器8からのクロックCLKによって、このシフトレジスタ201に順次に転送される。
【0056】
そして、デジタル信号Dinおよびシフトレジスタ201の各段のレジスタRGの出力が、係数乗算器202,202,202、…、202でそれぞれ係数乗算された後、総和器203に供給され、総和演算が行われる。総和器203からの総和演算結果は、レベル調整部204で、1/Nに減衰されて、相関結果CRoutとして出力される。
【0057】
係数乗算器202,202,202、…、202には、拡散符号発生部3からの拡散符号の各チップの値(+1または−1)が供給される。この場合、拡散符号発生部3からの拡散符号の1番目のチップは係数乗算器202に、1023番目のチップは係数乗算器202に、というようにして、逆順に、拡散符号の各チップの値が各係数乗算器に供給される。
【0058】
したがって、シフトレジスタ201に拡散符号発生部3からの拡散符号に同期したデジタル信号が取り込まれたチップ位相のときに、総和器203からの相関結果CRoutは、ピークを呈し、他のチップ位相では低レベルとなるようなものとなる。すなわち、総和器203からの相関結果CRoutとして、図3に示したような特性の信号が得られる。
【0059】
次に、FFTを用いた場合のデジタルマッチドフィルタ2の構成例を、図5に示す。
【0060】
この図5の例の場合には、A/D変換器1からのデジタル信号Dinは、バッファメモリ211に書き込まれる。このバッファメモリ211に書き込まれた信号は、拡散符号の1周期分(1023チップ分)ずつ、読み出されてFFT処理部212でFFT処理され、そのFFT結果がメモリ213に書き込まれる。メモリ213から読み出された受信信号のFFT結果は、乗算部214に供給される。
【0061】
一方、拡散符号発生部3からは、そのときに受信対象となっている衛星からの受信信号に使用されている拡散符号と同じ系列の拡散符号が発生する。この拡散符号発生部3からの1周期分(1023チップ)の拡散符号は、FFT処理部215に供給されてFFT処理され、その処理結果がメモリ216に供給される。このメモリ216からは、通常の場合と同様に、FFT結果が低い周波数から順に読み出されて乗算部214に供給される。
【0062】
乗算部214では、メモリ213からの受信信号のFFT結果と、メモリ216からの拡散符号のFFT結果とが乗算され、周波数領域における受信信号と拡散符号との相関の度合いが演算される。そして、その乗算結果は逆FFT処理部217に供給されて、周波数領域の信号が時間領域の信号に戻される。
【0063】
逆FFT処理部217から得られる逆FFT結果は、受信信号と拡散符号との時間領域における相関検出信号となっており、この相関検出信号は、相関点検出部7に供給される。
【0064】
この相関検出信号は、前述のトランスバーサルフィルタを用いたデジタルマッチドフィルタの場合と同様に、拡散符号の1周期分の各チップ位相における相関値を示すものとなっており、受信信号中の拡散符号と、拡散符号発生部3からの拡散符号とが同期している場合には、図3に示すように、1023チップのうちのある一つの位相での相関値が、予め定められるスレッショールド値を超えるようなピーク値を示す相関波形が得られる。このピーク値の立つチップ位相が、相関点の位相となる。
【0065】
この図5の例のデジタルマッチドフィルタの処理の原理は、図22の式(1)に示すように、時間領域での畳み込みのフーリエ変換が周波数領域では乗算になるという定理に基づくものである。
【0066】
この式(1)において、r(n)は時間領域の受信信号、R(k)はその離散フーリエ変換を表す。また、c(n)は拡散符号発生部からの拡散符号、C(k)はその離散フーリエ変換を表す。nは離散時間、kは離散周波数である。そして、F[]は、フーリエ変換を表している。
【0067】
2つの信号r(n)、c(n)の相関関数を改めてf(n)と定義すると、f(n)の離散フーリエ変換F(k)は、図22の式(2)のような関係になる。したがって、r(n)を図1のA/D変換器1からの信号とし、c(n)を拡散符号発生部3からの拡散符号とすれば、r(n)とc(n)の相関関数f(n)は、通常の定義式によらず、前記式(2)により以下の手順で計算できる。
【0068】
・受信信号r(n)の離散フーリエ変換R(k)を計算する。
【0069】
・拡散符号c(n)の離散フーリエ変換C(k)の複素共役を計算する。
【0070】
・R(k)、C(k)の複素共役より、式(2)のF(k)を計算する。
【0071】
・F(k)の逆離散フーリエ変換により相関関数f(n)を計算する。
【0072】
ところで、前述したように、受信信号r(n)に含まれる拡散符号が、拡散符号発生部106からの拡散符号c(n)と一致していれば、上記手順により計算した相関関数f(n)は、図3のように相関点でピークを生ずる時間波形となる。上述したように、この実施の形態では、離散フーリエ変換および逆フーリエ変換に、FFTおよび逆FFTの高速化アルゴリズムを適用したので、定義に基づいて相関を計算するより、かなり高速に計算を行うことができる。
【0073】
なお、図5の例においては、拡散符号発生部3とFFT処理部215とを別々に設けるようにしたが、それぞれのGPS衛星に対応する拡散符号をあらかじめFFTしておいたものをメモリに記憶させておくことで、衛星信号の受信時における拡散符号c(n)のFFT計算を省略することができる。
【0074】
[第1の実施の形態の動作説明]
図1は、上述のような構成の第1の実施の形態における動作説明をするためのタイミングチャートである。
【0075】
前述したように、GPS信号は、キャリアを除くと、50bpsの航法データを1.023MHz、周期1023の拡散符号でスペクトラム拡散された信号で、航法データの1ビットの時間長は20ミリ秒で、1ミリ秒周期の拡散符号が20周期分含まれる。
【0076】
GPS信号は、ノイズ成分の方がはるかに大きい信号であるが、多周期に渡って受信機内部で発生させる拡散符号との相関検出を行うことで、受信感度を向上させることができる。これは、主なノイズ成分の熱雑音がランダムな非周期信号であるのに対し、GPS信号は周期信号であることを利用している。
【0077】
GPS信号は部分的には周期信号ではあるが、図1(A)に示すようなビット遷移を持つ航法データを含む。この航法データは、未知であるので、前述したように、拡散符号の多周期に渡って拡散符号との相関をとると、航法データの正負の信号(「1」、「0」のビット)が相殺し合うために、図3のような相関ピークが検出されない場合がある。
【0078】
これを避けるために、前述したように、拡散符号の1周期(1ミリ秒)毎の相関の絶対値和または2乗和を多周期に渡って加算していく方法があり、この方法によれば航法データに依存しなくなるが、C/N(キャリア対ノイズ電力比)が小さいほど2乗操作による損失が大きく、検出感度の改善度は低い。
【0079】
そこで、この第1の実施の形態では、以下に説明するようにして、検出感度の向上を図っている。
【0080】
まず、図1(B)に示すように、この第1の実施の形態においては、航法データの1ビット期間の半分である拡散符号の10周期長分(10ミリ秒)を単位期間として、この10周期長分の単位期間について、デジタルマッチドフィルタ2により、前述したような、拡散符号の1周期(1ミリ秒)分毎の相関演算結果を順次に得る。
【0081】
次に、単位期間線形加算部4で、図1(C)に示すように、前記の拡散符号の1周期分毎の相関演算結果を、単位期間において線形加算する。
【0082】
次に、単位期間線形加算部4からの、単位期間毎の相関値線形加算結果は、絶対値計算部5で、図1(D)に示すように絶対値化される。
【0083】
そして、それらの絶対値は、絶対値累積加算部6で拡散符号のM周期期間(以下、M区間という)に渡って加算される。そして、そのM周期期間に渡る絶対値の総和が相関値検出部7に供給され、相関点が検出される。
【0084】
この場合、図1(A)に示す航法データのビット遷移位置は未知であるので、通常は、図示のように、単位期間と航法データのビット遷移位置とはタイミング的に位相がずれている。このため、図1(B)における左から2番目および4番目の単位期間のようにビット遷移を含む単位期間では、線形な相関計算の過程で正負の相殺が生じ、特にビット遷移が単位期間の中央にくる場合には完全に相殺して、単位期間内の相関計算結果は0となってしまう。
【0085】
しかし、この実施の形態においては、M区間の複数個の単位期間のうち少なくとも半分はビット遷移を含まないので、航法データがM区間に渡って同じ符号またはビット遷移位置がちょうど単位区間の境界にある最良の場合と、M区間において航法データが「0」と「1」を交互に繰り返し、かつ、ビット遷移が各単位期間の中央にある最悪の場合とにおける検出感度の差は3dBで済む。
【0086】
以上のように、この実施の形態の拡散符号同期検出方法は、簡潔な方法であるが、2乗(絶対値)操作によるロスが少ないため、拡散符号の1周期毎の相関を、単位期間のΜ倍の区間に渡って絶対値和をとる方法に比べて、同期検出感度の改善度は高い。
【0087】
なお、上述の第1の実施の形態では、拡散符号の1周期毎の相関結果について線形加算を行う単位期間を、航法データの1ビット期間の1/2である、拡散符号の10周期長としたが、必ずしも10周期長である必要はない。単位期間の時間長が10周期長より短いと、検出感度の改善度が下がるが、ビット還移位置による相関値のばらつきは少ない。逆に、単位期間の時間長が10周期より長いと、ビット還移位置によるばらつきは大きいが、ビット還移位置によっては検出感度の改善度が高くなる。
【0088】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、相関値線形加算結果を求めるまでの手順が第1の実施の形態とは異なるものである。
【0089】
すなわち、上述の第1の実施の形態では、デジタルマッチドフィルタ2によって拡散符号の1周期分毎の相関演算結果を得、その相関演算結果を、単位期間毎に線形加算するようにしたが、デジタルマッチドフィルタ2で相関演算を行う前に、受信信号r(n)について拡散符号の1周期分毎について線形加算をし、その線形加算結果を、デジタルマッチドフィルタによって相関演算するようにしても、上述と全く同様の作用効果が得られる。第2の実施の形態は、その場合の例である。
【0090】
図6は、第2の実施の形態の場合における拡散符号同期検出装置の構成例を示すブロック図である。
【0091】
すなわち、この第2の実施の形態においては、A/D変換器1からのデジタル信号は、単位期間線形加算部11に供給される。この単位期間線形加算部11では、単位期間分のデジタル信号、つまりこの例の場合には拡散符号の10周期分(10ミリ秒)のデジタル信号について、拡散符号の1周期毎の線形加算を行う。すなわち、単位期間のそれぞれにおいて、拡散符号の10周期分のデジタル信号について、拡散符号の同じチップ位相の10個のデータ同士を同期加算する。
【0092】
したがって、この単位期間線形加算部11からは、拡散符号の1周期分に等しいデータ数の同期加算結果(拡散符号の1周期分のチップ数に等しいデータ)が得られる。この同期加算結果は、デジタルマッチドフィルタ2に供給されて、拡散符号発生部3からの拡散符号との相関演算が行われる。そして、その相関演算結果は、絶対値計算部5に供給される。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0093】
この第2の実施の形態においては、拡散符号の1周期分毎を加算単位とする線形加算をデジタルマッチドフィルタ2の前段階で行う点が第1の実施の形態と異なるが、第1の実施の形態と全く同様の作用効果が得られるものである。
【0094】
なお、この第2の実施の形態でも、単位期間を、航法データの1ビット期間の1/2である拡散符号の10周期長としたが、必ずしも10周期長である必要はないことは、前述の第1の実施の形態と全く同様である。
【0095】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態も、第1の実施の形態の変形例であり、相関値線形加算結果を求めるまでの手順が第1の実施の形態とは異なるものである。
【0096】
この第3の実施の形態は、デジタルマッチドフィルタ2として、図5に示したようなFFTを利用したデジタルマッチドフィルタを用いる場合において、第1の実施の形態におけるデジタルマッチドフィルタ2の後段の単位期間線形加算部4、あるいは、第2の実施の形態におけるデジタルマッチドフィルタ2の前段の単位期間線形加算部11を省略するものである。
【0097】
図7は、この第3の実施の形態の場合における拡散符号同期検出装置の構成例を示すブロック図である。
【0098】
すなわち、この第3の実施の形態においては、A/D変換器1からのデジタル信号は、図5において点線で囲んだ部分からなるFFTを用いたデジタルマッチドフィルタ12に供給される。
【0099】
前述した第1の実施の形態の場合には、図5について説明したように、メモリ211からは拡散符号の1周期分毎にデジタル信号を読み出し、FFT処理部212に供給するようにしたが、この第3の実施の形態では、FFTを用いたデジタルマッチドフィルタ12においては、単位期間分毎にデジタルデータをメモリ211から読み出し、その読み出した単位期間分毎のデジタルデータをFFT処理部212に供給してFFT演算を実行する。
【0100】
この第3の実施の形態においては、FFT処理部212では、単位期間分毎のデジタル信号についてのFFT演算を行う。単位期間内には、上述の例の場合には拡散符号の10周期分が含まれているので、このFFT処理部212からは、拡散符号の1周期分毎のデジタル信号のFFT演算結果が10周期分累積されたものと同様のFFT演算結果が得られ、そのFFT演算結果がメモリ213に書き込まれることとなる。
【0101】
FFTを用いたデジタルマッチドフィルタ12におけるその後の処理は、図5において説明したのと全く同様であり、逆FFT処理部217から、時間領域に戻された相関演算結果が得られる。そして、この第3の実施の形態においては、このFFTを用いたデジタルマッチドフィルタ12からの相関演算結果が、絶対値計算部5に供給される。
【0102】
以上のようにして、この第3の実施の形態によれば、FFT演算を単位期間分のデジタル信号について行うようにすることにより、図2におけるデジタルマッチドフィルタ2の後段の単位期間線形加算部4、あるいは図6におけるデジタルマッチドフィルタ2の前段の単位期間線形加算部11を省略することができ、構成が簡単になる。
【0103】
なお、この第2の実施の形態でも、単位期間を、航法データの1ビット期間の1/2である拡散符号の10周期長としたが、必ずしも10周期長である必要はないことは、前述の第1の実施の形態と全く同様である。
【0104】
[第4の実施の形態]
上述した第1〜第3の実施の形態の方法は、拡散符号の1周期分毎の相関演算結果を線形加算し、その線形加算結果の絶対値を、M区間に渡って累積加算し、その累積加算結果から、相関点を検出する方法であるので、冒頭で述べたような従来の方法に比べて相関点検出感度の改善度は高い。
【0105】
しかしながら、上述した第1〜第3の実施の形態の方法の場合には、単位期間と、ビット遷移位置との位相関係によって相関計算の結果にばらつきが生じるので、相関点を検出する際に、相関値のピーク値に対するスレッショールド値の設定が難しく、このため、相関の有無を判断する上では扱いにくい。第4の実施の形態は、この問題を解決したものである。
【0106】
図8は、この第4の実施の形態のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置のブロック図である。また、図9は、この図8の装置の動作説明のためのタイミングチャートである。
【0107】
この第4の実施の形態においては、受信信号r(n)(図9(A)参照)から2つの信号系列を生成する。第1の信号系列Aは、受信信号r(n)そのままの信号系列である(図9(B)参照)。
【0108】
この第1の信号系列Aにおいては、A/D変換器1からのデジタル信号は、そのままデジタルマッチドフィルタ21に供給され、前述の第1の実施の形態で説明したようにして、拡散符号発生部3からの拡散符号との相関演算がなされる。そして、その拡散符号の1周期分毎の相関演算結果は、単位期間線形加算部22に供給され、単位期間について、線形加算される。
【0109】
この第4の実施の形態では、単位期間は、航法データの1ビット分、つまり、拡散符号の20周期長とする。
【0110】
単位期間線形加算部22からの線形加算相関演算結果DA(図9(C)参照)は、絶対値計算部23に供給され、絶対値化された後、加算部24に供給される。そして、その加算部24の加算出力Dは、累積加算部25に供給されて、第1の実施の形態と同様に、M区間に渡って累積加算される。その累積加算結果MDは、相関点検出部26に供給される。
【0111】
なお、分周器8からのクロック信号CLKおよびタイミング制御部9からの各種タイミング信号は、前述した第1の実施の形態の場合と同様にして、それぞれの回路ブロックに供給されるが、前述したように、この第4の実施の形態では、単位期間が20ミリ秒であるので、その点が第1の実施の形態の場合とは異なる。
【0112】
以上の第1の信号系列Aについての構成は、加算部24を除くと、前述した第1の実施の形態と同様である。ただし、単位期間が前述の第1の実施の形態では、航法データの1ビット周期の1/2である10ミリ秒であったのに対して、第4の実施の形態では、航法データの1ビット周期の20ミリ秒である点が異なる。
【0113】
しかし、第1の実施の形態の場合と同様に、10ミリ秒毎に線形加算したものを2回加算することにより、第1の信号系列Aについての20ミリ秒毎の線形加算結果を得ることもできる。
【0114】
次に、第2の信号系列Bについての処理を説明する。この第2の信号系列Bにおいては、A/D変換器1からのデジタル信号は、そのままスイッチ回路35の一方の入力端に供給されると共に、符号反転部34を通じて符号反転された後、スイッチ回路35の他方の入力端に供給される。
【0115】
スイッチ回路35は、タイミング制御部9からのスイッチ切換信号SWにより、単位期間の前半期間(10ミリ秒)では一方の入力端に、単位期間の後半期間(10ミリ秒)では他方の入力端に、交互に切り換えられる。したがって、スイッチ回路35からは、受信信号r(n)のデジタル信号が単位期間の後半期間で符号反転された状態の、信号系列Bの信号(図9(D)参照)が得られる。
【0116】
この信号系列Bのデジタル信号は、デジタルマッチドフィルタ31に供給され、前述の第1の実施の形態で説明したようにして、拡散符号発生部3からの拡散符号との相関演算がなされる。そして、その拡散符号の1周期分毎の相関演算結果は、単位期間線形加算部32に供給され、単位期間について、線形加算される。
【0117】
そして、単位期間線形加算部32からの線形加算相関演算結果DB(図9(E)参照)は、絶対値計算部33に供給され、絶対値化された後、加算部24に供給され、絶対値加算部23からの線形加算相関演算結果DAの絶対値と加算される。したがって、この加算部24の加算結果Dは、
D=|DA|+|DB| ・・・[式(3)]
となる。
【0118】
この加算結果Dが累積加算部25でM区間(M≧1)に渡って累積され、その累積結果MDが相関点検出部26に供給される。相関点検出部26では、予め定められたスレッショールド値よりも大きいピーク値が検出できたか否かにより、相関点が検出されたか否かが判別され、前記ピーク値が検出されたときには、そのピーク値が得られたチップ位相が、相関点npとして検出される。
【0119】
この第4の実施の形態において、受信信号r(n)のビット遷移位置と、単位期間との位相ずれを、図9(A)に示すようにhとしたとき、この位相ずれhに対する単位期間線形加算部22および32の線形加算相関演算結果DAおよびDBの値は、図10(A)および(B)に示すようなものとなる。
【0120】
図10は、航法データが1ビット毎に反転する場合を想定したものであり、また、拡散符号の1周期長分での相関値をdとし、M=1とした場合の特性図である。そして、図10(A)は、相関値dが正の場合であり、図10(B)は、相関値dが負の場合である。なお、位相ずれhは、拡散符号の周期数(1周期は1ミリ秒であるので、ミリ秒の単位とすることもできる)で表してある。
【0121】
すなわち、図10に示すように、位相ずれh=0で、単位期間の先頭位置と、航法データのビット遷移位置とが同期しているときには、第1の信号系列Aでは、線形加算相関演算結果DAは、単位期間内における拡散符号の1周期分毎の20個の相関値dは、すべて同じく正または負となるので、
d>0のときには、DA=20|d|
d<0のときには、DA=−20|d|
となる。
【0122】
これに対して、第2の信号系列Bでは、位相ずれh=0のときには、符号反転が単位期間の中央の時点で行われることになるので、単位期間内における拡散符号の1周期毎の20個の相関値dは、正負の数が同数となり、線形加算相関演算結果DBは、相殺されてDB=0となる。
【0123】
また、位相ずれh=10で、単位期間の中央がビット遷移位置となる場合には、第1の信号系列Aでは、ビット反転によって、単位期間内における拡散符号の1周期毎の20個の相関値dは、正負の数が同数となり、線形加算相関演算結果DAは、相殺されてDA=0となる。
【0124】
一方、第2の信号系列Bでは、位相ずれh=10のときには、符号反転が単位期間の中央の時点でビット遷移に同期して行われることになるので、単位期間内における拡散符号の1周期毎の20個の相関値dは、すべて同じく正または負となり、
d>0のときには、DB=−20|d|
d<0のときには、DB=20|d|
となる。
【0125】
また、位相ずれh=20で、単位期間が、航法データの1ビット分ずれてしまった場合には、第1の信号系列Aでは、線形加算相関演算結果DAは、単位期間内における拡散符号の1周期分毎の20個の相関値dは、位相ずれh=0の場合とは正負の極性が反転するが、すべて同じく正または負となり、
d>0のときには、DA=−20|d|
d<0のときには、DA=20|d|
となる。
【0126】
これに対して、第2の信号系列Bでは、位相ずれh=20のときには、符号反転が単位期間の中央の時点で行われることになるので、単位期間内における拡散符号の1周期毎の20個の相関値dは、位相ずれh=0の場合とは正負の極性が反転するが、正負の数が同数となり、線形加算相関演算結果DBは、相殺されてDB=0となる。
【0127】
線形加算相関演算結果DAおよび線形加算相関演算結果DBが、単位期間の先頭位置に対する航法データのビット遷移位置の位相ずれhに対して、この図10のような特性を示すことから、加算部24からの両線形加算相関演算結果DAおよび線形加算相関演算結果DBの絶対値和Dは、一定となる。すなわち、この例の場合には、
D=|DA|+|DB|=20|d|
となる。
【0128】
すなわち、線形加算相関演算結果DAおよび線形加算相関演算結果DBの絶対値和Dは、受信信号r(n)のビット遷移位置と、単位期間との位相ずれhに関係なく、一定値20M|d|となる。したがって、累積加算部25の累積結果MDは、その一定値をM区間分、単純に累積加算した値、つまり、
MD=|DA|+|DB|=20M|d|
となる。
【0129】
このように、この第4の実施の形態によれば、単位期間の先頭位置に対して、ビット遷移位置がどこで生じても、前記絶対値和は相関値dの整数倍となるので、相関点検出部26で、相関の有無を判断するためのスレッショールド値の設定がし易くなる。また、単位期間内で、DAおよびDBは、拡散符号の1周期分毎の相関値を線形加算したものであるので、ノイズ分を除去しながら、相関値を加算したものとなり、相関点の検出感度の向上が期待できる。
【0130】
なお、この第4の実施の形態において、デジタルマッチドフィルタ21および31としては、前述の第1〜第3の実施の形態の場合と同様にして、図4に示したようなトランスバーサルフィルタを用いることもできるし、また、図5に示したようなFFT処理を用いる構成とすることもできる。
【0131】
なお、以上の第4の実施の形態の説明では、単位期間は、ビット遷移周期に等しく選定したが、第4の実施の形態は、単位期間は、ビット遷移周期以下であればよい。
【0132】
[第5の実施の形態]
この第5の実施の形態は、第4の実施の形態の変形例であり、第1の実施の形態に対する第2の実施の形態の関係と同様であって、線形加算相関演算結果を求めるまでの手順が第4の実施の形態とは異なるものである。
【0133】
すなわち、上述の第4の実施の形態では、デジタルマッチドフィルタ21および31によって、第1の信号系列Aおよび第2の信号系列Bについて、拡散符号の1周期毎の相関演算を行い、その相関演算結果を、単位期間毎に線形加算するようにしたが、この第5の実施の形態においては、第1の信号系列Aおよび第2の信号系列Bについて、デジタルマッチドフィルタ21および31で相関演算を行う前に、拡散符号の1周期分単位で線形加算をし、その線形加算結果を、デジタルマッチドフィルタ21および31によって相関演算するようにする。
【0134】
図11は、この第5の実施の形態の場合における拡散符号同期検出装置の構成例を示すブロック図である。
【0135】
すなわち、この第5の実施の形態においては、A/D変換器1からの第1の系列Aのデジタル信号は、単位期間線形加算部27に供給される。この単位期間線形加算部27では、単位期間分のデジタル信号、つまりこの例の場合には拡散符号の20周期分(20ミリ秒)のデジタル信号について、拡散符号の1周期毎の線形加算を行う。すなわち、単位期間のそれぞれにおける拡散符号の20周期分のデジタル信号について、拡散符号の同じチップ位相の20個のデータ同士を同期加算する。
【0136】
また、スイッチ回路35からの第2の系列Bのデジタル信号は、単位期間線形加算部36に供給される。この単位期間線形加算部36では、単位期間線形加算部27と同様に、単位期間分のデジタル信号、つまりこの例の場合には拡散符号の20周期分(20ミリ秒)のデジタル信号について、拡散符号の1周期毎の線形加算を行う。すなわち、単位期間のそれぞれにおける拡散符号の20周期分のデジタル信号について、拡散符号の同じチップ位相の20個のデータ同士を同期加算する。
【0137】
そして、これら単位期間線形加算部27および36からの同期加算結果(拡散符号の1周期分のチップ数に等しいデータ)は、デジタルマッチドフィルタ21および31に供給されて、前記同期加算結果について、拡散符号発生部3からの拡散符号との相関演算が行われる。そして、その相関演算結果は、絶対値計算部22および32に供給される。その他の構成は、第4の実施の形態と同様である。
【0138】
この第5の実施の形態においては、拡散符号の1周期分毎を加算単位とする線形加算をデジタルマッチドフィルタ21および31の前段階で行う点が第4の実施の形態と異なるが、第4の実施の形態と全く同様の作用効果が得られるものである。
【0139】
なお、この第5の実施の形態においても、単位期間は、ビット遷移周期に等しく選定する場合に限定されるものではなく、単位期間は、ビット遷移周期以下であればよい。
【0140】
[第6の実施の形態]
この第6の実施の形態も、第4の実施の形態の変形例であり、第1の実施の形態に対する第3の実施の形態の関係と同様であって、線形加算相関演算結果を求めるまでの手順が第4の実施の形態とは異なるものである。
【0141】
この第6の実施の形態は、デジタルマッチドフィルタ21および31として、図5に示したようなFFTを利用したデジタルマッチドフィルタを用いる場合において、第4の実施の形態におけるデジタルマッチドフィルタ21および31の後段の単位期間線形加算部23および33、あるいは、第5の実施の形態におけるデジタルマッチドフィルタ21および31の前段の単位期間線形加算部27および36を省略するものである。
【0142】
図12は、この第6の実施の形態の場合における拡散符号同期検出装置の構成例を示すブロック図である。
【0143】
すなわち、この第6の実施の形態では、第1の信号系列Aのデジタル信号は、図5において点線で囲んだ部分からなるFFTを用いたデジタルマッチドフィルタ28に供給され、そのメモリ211に書き込まれる。また、第2の信号系列Bのデジタル信号は、同様に、FFTを用いたデジタルマッチドフィルタ37に供給され、そのメモリ211に書き込まれる。
【0144】
そして、この第6の実施の形態においては、FFTを用いたデジタルマッチドフィルタ28および37のそれぞれにおいて、単位期間分毎にデジタルデータがメモリ211から読み出され、その読み出された単位期間分毎のデジタルデータがFFT処理部212に供給されて、FFT演算処理される。
【0145】
この第6の実施の形態においては、各デジタルマッチドフィルタ28および37のFFT処理部212では、信号系列Aまたは信号系列Bのそれぞれについて単位期間分毎のデジタル信号についてのFFT演算を行う。単位期間内には、上述の例の場合には、信号系列Aまたは信号系列Bのそれぞれについて拡散符号の20周期分が含まれているので、このFFT処理部212からは、拡散符号の1周期分毎のデジタル信号のFFT演算結果が10周期分累積されたものと同様のFFT演算結果が得られ、そのFFT演算結果がメモリ213に書き込まれることとなる。
【0146】
FFTを用いたデジタルマッチドフィルタ28および37におけるその後の処理は、図5において説明したのと全く同様であり、逆FFT処理部217から、時間領域に戻された相関演算結果が得られる。そして、この第6の実施の形態においては、このFFTを用いたデジタルマッチドフィルタ28および37からの相関演算結果が、それぞれ線形加算相関演算結果DAおよびDBであり、絶対値計算部23および33に供給される。その他は、第4の実施の形態と同様である。
【0147】
以上のようにして、この第6の実施の形態によれば、FFT演算を単位期間分のデジタル信号について行うようにすることにより、図8におけるデジタルマッチドフィルタ21および31の後段の単位期間線形加算部22および32、あるいは図11におけるデジタルマッチドフィルタ21および31の前段の単位期間線形加算部27および36を省略することができ、構成が簡単になる。
【0148】
なお、この第6の実施の形態においても、単位期間は、ビット遷移周期に等しく選定する場合に限定されるものではなく、単位期間の1/2の期間がビット遷移周期以下であればよいので、単位期間は、ビット遷移周期の2倍以下であればよい。
【0149】
[第7の実施の形態]
上述の第4〜第6の実施の形態では、受信信号r(n)のデジタル信号を、単位期間の前半と後半とで符号反転することにより、第2の信号系列Bを生成し、単位期間線形加算相関演算結果DBを求めるようにしたが、受信信号r(n)のデジタル信号を、単位期間の前半と後半とで符号反転する代わりに、拡散符号発生部3からの拡散符号を、単位期間の前半と後半とで符号反転してデジタルマッチドフィルタに供給するようにしても全く同様の作用効果が得られる。
【0150】
第7の実施の形態は、この場合の実施の形態であり、図13は、この第7の実施の形態の場合における拡散符号同期検出装置の構成例を示すブロック図である。
【0151】
すなわち、A/D変換器1からのデジタル信号は、第1の信号系列Aのデジタルマッチドフィルタ41Aに供給される。このデジタルマッチドフィルタ41Aには、拡散符号発生部3からの拡散符号が、そのまま供給される。したがって、このデジタルマッチドフィルタ41Aからは、図8に示した第4の実施の形態における第1の信号系列Aのデジタルマッチドフィルタ21と全く同様の相関演算結果が得られる。
【0152】
そして、このデジタルマッチドフィルタ41Aからの拡散符号の1周期毎の相関演算結果が、単位期間線形加算部22に供給されて、単位期間、この例では、第4の実施の形態と同様に航法データの1ビット期間(20ミリ秒)について線形加算される。そして、この単位期間線形加算部22からの線形加算相関演算結果DAが絶対値計算部23に供給されて絶対値化され、加算部24に供給される。
【0153】
また、A/D変換器1からのデジタル信号は、第2の信号系列Bのデジタルマッチドフィルタ41Bに供給される。このデジタルマッチドフィルタ41Bには、スイッチ回路43からの、単位期間の前半と後半とで符号反転された状態の拡散符号が供給される。
【0154】
すなわち、拡散符号発生部3からの拡散符号は、スイッチ回路43の一方の入力端にそのまま供給されると共に、符号反転部42により符号反転されてスイッチ回路43の他方の入力端に供給される。スイッチ回路43は、タイミング制御部9からの切換信号SWにより、単位期間の前半では一方の入力端に、単位期間の後半では他方の入力端に、交互に接続するように切り換えられる。
【0155】
このようにデジタルマッチドフィルタ41Bに供給される拡散符号が、単位期間の前半と後半とで符号反転された状態となることから、このデジタルマッチドフィルタ41Bでは、図8に示した第4の実施の形態おける第2の信号系列Bのデジタルマッチドフィルタ31と全く同様の相関演算結果が得られる。
【0156】
そして、このデジタルマッチドフィルタ41Aからの拡散符号の1周期毎の相関演算結果が、単位期間線形加算部22に供給されて、単位期間、この例では、第4の実施の形態と同様に航法データの1ビット期間(20ミリ秒)について線形加算される。そして、この単位期間線形加算部22からの線形加算相関演算結果DAが絶対値計算部23に供給されて絶対値化され、加算部24に供給される。
【0157】
同様に、デジタルマッチドフィルタ41Bからの拡散符号の1周期毎の相関演算結果が、単位期間線形加算部32に供給されて、単位期間、この例では、第4の実施の形態と同様に航法データの1ビット期間(20ミリ秒)について線形加算される。そして、この単位期間線形加算部32からの線形加算相関演算結果DBが絶対値計算部33に供給されて絶対値化され、加算部24に供給される。
【0158】
したがって、加算部24からは、第4の実施の形態の場合と全く同様の絶対値和D=|DA|+|DB|が得られる。そして、累積加算部25において、M区間に渡るその累積加算結果MDが求められ、その累積加算結果MDについて相関点検出部26で相関点npの検出が行われる。すなわち、第4の実施の形態の場合と同様の作用効果が得られる。
【0159】
なお、この第7の実施の形態における拡散符号を単位期間の前半と後半とで符号反転させて、第2の信号系列Bの相関演算結果を得る方法を、第5の実施の形態に適用することもできる。
【0160】
すなわち、図示は省略するが、図13におけるA/D変換器1の出力側に1個の1/2単位期間線形加算部を設け、この1/2単位期間線形加算部で、スイッチ回路43での切り換えに同期して、単位期間の前半および後半毎に、つまり1/2単位期間毎に、デジタル信号の拡散符号の各チップに対応するデータを同期加算することにより、デジタル信号を線形加算する。そして、その線形加算結果を、デジタルマッチドフィルタ41Aおよび41Bにそれぞれ供給する。
【0161】
この場合には、デジタルマッチドフィルタ41Aおよび41Bからは、前述の線形加算相関演算結果DAおよびDBに等しい相関演算結果が得られ、単位期間線形加算部22および32は不要となり、デジタルマッチドフィルタ41Aおよび41Bからの相関演算結果は、図13の絶対値計算部23および33に供給されるように構成される。
【0162】
また、この第7の実施の形態における拡散符号を単位期間の前半と後半とで符号反転させて、第2の信号系列Bの相関演算結果を得る方法を、第6の実施の形態に適用することもできる。
【0163】
すなわち、この例も図示は省略するが、図13におけるデジタルマッチドフィルタ41Aおよび41Bを、それぞれFFTを用いたデジタルマッチドフィルタで構成し、図5および図12を用いて説明したように、これらFFTを用いたデジタルマッチドフィルタにおいて、単位期間分のデジタル信号をFFT演算単位として、拡散符号発生部3からの拡散符号およびスイッチ回路43からの拡散符号との間で相関演算を行うようにする。
【0164】
この例によれば、前述の図11の場合と同様にして、FFT演算を単位期間分のデジタル信号について行うようにすることにより、デジタルマッチドフィルタの前段または後段の単位期間線形加算部を省略することができ、構成が簡単になる。
【0165】
なお、この第7の実施の形態においても、単位期間は、ビット遷移周期に等しく選定する場合に限定されるものではなく、単位期間の1/2の期間がビット遷移周期以下であればよいので、単位期間は、ビット遷移周期の2倍以下であればよい。
【0166】
[第8の実施の形態]
この第8の実施の形態は、上述の線形加算相関演算結果DAおよびDBを得る方法の他の例である。第4〜第7の実施の形態は、いずれも2系統分のデジタルマッチドフィルタを必要としたが、この第8の実施の形態では、1個のデジタルマッチドフィルタで済む構成を提供するものである。
【0167】
図14は、この第8の実施の形態の場合のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置のブロック図である。また、図15は、この第8の実施の形態の動作説明のためのタイミングチャートである。
【0168】
この第8の実施の形態においては、受信信号r(n)が入力された後、デジタルマッチドフィルタ2までの構成は、第1の実施の形態の場合と全く同様であるが、デジタルマッチドフィルタ2からの拡散符号の1周期分毎の相関演算結果は、1/2単位期間線形加算部51に供給される。この第8の実施の形態においても、単位期間は、前述の第4〜第7の実施の形態と同様に、航法データのビット遷移周期である20ミリ秒に設定されている。
【0169】
1/2単位期間線形加算部51では、デジタルマッチドフィルタ2からの相関演算結果を、1/2単位期間分毎、つまり、単位期間の前半期間と後半期間のそれぞれ毎に線形加算し、その線形加算結果を、線形加算結果加算部52および線形加算結果減算部53に供給する。
【0170】
線形加算結果加算部52では、図15(B)および(C)に示すように、単位期間の前半での拡散符号の1周期分毎の相関値の線形加算結果と、単位期間の後半での拡散符号の1周期分毎の相関値の線形加算結果とを加算して、上述の第1の信号系列Aについての線形加算相関演算結果DAを生成する。
【0171】
また、線形加算結果減算部53では、図15(D)および(E)に示すように、単位期間の前半での拡散符号の1周期分毎の相関値の線形加算結果から、単位期間の後半での拡散符号の1周期分毎の相関値の線形加算結果を減算して、上述の第2の信号系列Bについての線形加算相関演算結果DBを生成する。
【0172】
そして、線形加算結果加算部52からの線形加算相関演算結果DAは、絶対値計算部54で絶対値化された後、加算部56に供給される。また、線形加算結果減算部52からの線形加算相関演算結果DBは、絶対値計算部55で絶対値化された後、加算部56に供給される。したがって、この加算部56からは、第1および第2の系列AおよびBの線形加算相関演算結果DAおよびDBの絶対値和Dが得られる。
【0173】
そして、この加算部56からの絶対値和Dは、累積加算部57に供給されて、第4の実施の形態と同様に、M区間に渡って累積加算される。その累積加算結果MDは、相関点検出部57に供給され、予め定められたスレッショールド値を超えるピーク値が検出されることにより相関点npが検出される。
【0174】
この第8の実施の形態によれば、デジタルマッチドフィルタおよび拡散符号の1周期分毎の相関演算結果の線形加算部は、第1の系列Aと第2の系列Bとで共通の一つずつで済むので、装置の構成が簡単になるというメリットがある。
【0175】
なお、この第8の実施の形態においても、単位期間は、ビット遷移周期に等しく選定する場合に限定されるものではなく、単位期間は、ビット遷移周期以下であればよい。
【0176】
[第9の実施の形態]
前述したように、第4〜第8の実施の形態において求められる第1および第2の系列AおよびBの線形加算相関演算結果DAおよびDBは、単位期間と航法データのビット遷移位置との間の位相ずれhに対して、前述の図10に示して説明したような特性を有し、それら線形加算相関演算結果DAおよびDBの絶対値和は、前述しように一定である。
【0177】
しかしながら、C/Nの観点から拡散符号同期の検出感度は一定でなく、単位期間の前半または後半の中間にビット遷移位置がある場合には、ビット遷移がある方の1/2単位区間においては、相関値が相殺されて0になるので、実質的にビット遷移がない方の1/2単位区間だけの相関値と同じになり、単位期間の先頭位置に対してビット遷移位置がずれていない場合に比べて、C/Nは3dB下がり、検出感度も下がる。
【0178】
この問題点を改善するためには、単位期間の先頭位置とビット遷移位置とを一致させるように位相ずれhを補正すればよい。
【0179】
ところで、図10の特性図から、線形加算相関演算結果DAとDBとの比DA/DBは、位相ずれhの各位置に特有の値を持つことが判る。このことから、次の式によって、単位期間の先頭位置からのビット遷移位置の位相ずれhは推定することができる。
【0180】
すなわち、
DA/DB≦0(h≦L/2)のときには、
h=L/2×[1+1/{(DB/DA)−1}]・・・[式(4−1)]
DA/DB≧0(h≧L/2)のときには、
h=L/2×[1+1/{(DB/DA)+1}]・・・[式(4−2)]
とすることができる。ここで、Lは、単位期間の長さである。
【0181】
このことを利用して、この第9の実施の形態では、単位期間の先頭位置とビット遷移位置とを同期させて検出感度を向上させるようにするものである。図16は、この第9の実施の形態の場合のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置のブロック図であり、前述の第8の実施の形態に適用した場合である。
【0182】
すなわち、この第9の実施の形態においては、線形加算結果加算部52からの線形加算相関演算結果DAおよび線形加算結果減算部53からの線形加算相関演算結果DBが、位相ずれh推定部59に供給される。この位相ずれh推定部59には、タイミング制御部9から、累積加算部57に供給されるものと同じタイミング信号が供給される。
【0183】
この位相ずれh推定部59では、上述の[式(4−1)]、[式(4−2)]により、Μ区間内の各単位期間において、各単位期間の先頭位置からのビット遷移位置の位相ずれhを推定する。この位相ずれh推定部59で推定された各単位期間についてのM個の位相ずれh推定値は、図17に示すように、位相ずれhがなくh=0を中心とする分布と、単位期間の先頭位置からずれた真のビット遷移位置に対応する位相ずれhを中心とする分布の、2つの分布に分かれる。
【0184】
そこで、位相ずれh推定部59では、この2つの位相ずれhの分布に関するグループを判別し、0を中心としない方の分布から、単位期間の先頭位置からのビット遷移位置の位相ずれhを推定し、その推定結果に基づいて、タイミング制御部9を制御し、次回からの相関検出では、推定値分だけ受信信号r(n)を取り込むタイミングをずらして、ビット遷移位置が相関検出のための上述の単位期間の先頭位置と一致するようにする。
【0185】
このようにして、ビット遷移位置を補正することで、相関検出のための上述の単位期間を、航法データに同期させるようにすることができ、以後のC/Nの低下を避けることができる。
【0186】
また、C/Nが航法データを復調するに十分なレベルにおいては、位相ずれhの補正後のビット遷移位置は単位期間の先頭位置に一致している、あるいは少しずれている状態となる。したがって、DBは0およびその近傍に分布し、DAは航法データビットの「0」、「1」に応じて、+20|d|およびその近傍、−20|d|およびその近傍に分布する。このため、DAが、+20|d|であるか、−20|d|であるかの正負の符号により、航法データビットが「0」であるか、「1」であるかを判定できる。
【0187】
図18は、この第9の実施の形態における上述の処理の流れを説明するためのフローチャートである。この図18に示すフローチャートの処理は、前述の第4の実施の形態〜第6の実施の形態のように、第1および第2の信号系列AおよびBを受信信号から生成して、それぞれ線形加算相関演算結果DAおよびDB、さらにそれらの絶対値和Dを得るようにする場合である。なお、この例は、拡散符号とキャリアとの同期は取れているものとしている。
【0188】
なお、このフローチャートは、拡散符号同期検出処理を、例えばDSP(Digital Signal Processor)やマイクロコンピュータを用いてソフトウエア処理する場合の処理手順でもある。
【0189】
まず、M区間内の0番目からM−1番目までのM個の単位期間の内、何番目の単位期間の処理であるかの変数mを初期値m=0にセットすると共に、何番目の位相ずれhであるかの変数kを初期値k=0にセットする(ステップS1)。
【0190】
次に、A/D変換部1にてデジタル信号に変換された受信信号r(n)を入力信号として、M区間分、メモリに取り込む(ステップS2)。次に、最初の単位期間(m=0)のデジタル信号について、第1の信号系列Aおよび第2の信号系列Bを生成する(ステップS3)。そして、各系列AおよびBについて、前述したようにして、線形加算相関演算結果DAおよびDBを求め、さらに、それらの絶対値和Dを求める(ステップS4)。
【0191】
そして、求めた当該単位期間における絶対値和Dが、予め定められているスレッショールド値Dthよりも大きい値を有するか否か判別する(ステップS5)。絶対値和Dが、予め定められているスレッショールド値Dthよりも大きい値を有しないと判別されたときには、キャリア同期が外れていると判断して、キャリア同期再捕捉のルーチンに移行する。
【0192】
また、ステップS5で、絶対値和Dが、予め定められているスレッショールド値Dthよりも大きい値を有すると判別したときには、相関値線形加算相関演算結果DAおよびDBの比DB/DAを求め、前述の[式(4−1)]、[式(4−2)]により、位相ずれhを計算する(ステップS6)。そして、線形加算相関演算結果DAの符号が正であるか負であるかを判定し(ステップS7)、その判定結果を航法メッセージのビットデータを判別して処理するルーチンに渡す。
【0193】
次に、ステップS6で求めた位相ずれhの値が、0近傍であるか否か判別する(ステップS8)。その判別の仕方は、図18に記述したように、
h<ε ・・・[式(5)]
あるいは
h>20−ε ・・・[式(6)]
を満足しているかどうかである。ここで、εは、0近傍とみなせるような値であり、例えばε=1.0(ミリ秒)、つまり拡散符号の1周期分程度に設定される。また、式(6)の20−εは、単位期間が拡散符号の1周期の20倍の20ミリ秒であるので、位相ずれが1ビット分近傍の値であること、つまり、単位期間とビット遷移位置との位相ずれhは0になる位置であることを示すものである。
【0194】
ステップS8において、位相ずれhが0近傍でないと判別したときには、単位期間の先頭位置は、ビット遷移位置に対して位相ずれhがあると判断して、その位相ずれhを、hとしてメモリに保存すると共に、kの値を1だけインクリメントする(ステップS9)。そして、次のステップS10に進み、M区間のすべての単位期間について上述の処理を行ったか否か判別する。
【0195】
また、ステップS8において、位相ずれhが0近傍であると判別したときには、単位期間の先頭位置は、ビット遷移位置に同期していると判断してステップS9を飛ばしてステップS10に進み、M区間のすべての単位期間について上述の処理を行ったか否か判別する。
【0196】
ステップS10で、M区間内のすべての単位期間については、いまだ上述の処理を終了していないと判別したときには、単位期間の番号の変数mをm+1として(ステップS11)、次の単位期間を指定した後、ステップS3に戻り、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0197】
また、ステップS10で、M区間内のすべての単位期間について上述の処理を行ったと判別したときには、ステップSでメモリに保存したk個の位相ずれh〜hk−1の分布状況から、図17に示した関係を用いて、位相ずれhを推定する(ステップS12)。
【0198】
そして、推定した位相ずれhを用いて、単位期間として取り込むデジタル信号のサンプリング点を補正し(ステップS13)、単位期間の先頭位置と、ビット遷移位置とが同期するようにする。その後、ステップS1に戻り、次のM区間について、上述と同様の処理を繰り返す。
【0199】
以上のようにして、この第9の実施の形態では、単位期間の先頭位置と航法データのビット遷移位置が同期するので、拡散符号同期の検出感度の向上が図れるだけでなく、線形加算相関演算結果DAの正負の符号から、航法データの復調が可能になるという効果がある。
【0200】
なお、図18のフローチャートの処理例では、受信信号をM区間記憶してから処理しているが、受信信号をM区間記憶することなく、単位区間毎に処理を行ってもよい。
【0201】
この第9の実施の形態においても、単位期間の長さに関しては、前述の第4〜第8の実施の形態の場合と同様である。
【0202】
[第10の実施の形態]
以上の実施の形態の方法によれば、スペクトラム拡散信号の拡散符号同期の検出感度(GPS受信機の受信感度に対応)は向上するが、検出感度と処理時間とはトレードオフの関係にある。すなわち、検出感度向上のために相関を、拡散符号の多周期に渡って検出すると、処理時間は必然的に長くなる方向に向かう。
【0203】
上述の実施の形態は、キャリア同期が事前になされていることが前提であったが、キャリア周波数が未知の場合には、キャリアを同期させる過程が必要になって、何らかの形でキャリア周波数をサーチする操作が入る。そして、サーチ時の各周波数毎に相関値を調べることになるので、サーチ回数が多い場合は、GPS受信機としての反応が悪くなるおそれがある。
【0204】
この第10の実施の形態は、検出感度の向上と、処理速度の高速化を同時に満たすことができるようにしたものである。この第10の実施の形態の場合のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置のブロック図を、図19に示す。この図19の例は、図2に示した第1の実施の形態の装置に、この第10の実施の形態を適用したものである。
【0205】
この第10の実施の形態においては、図19に示すように、A/D変換器1からの受信信号r(n)のデジタル信号は、例えばそのM区間分がメモリ71に記憶される。このときの書き込みのためのクロックは、上述の実施の形態と同様に、GPS信号のチップレート1.023MHzに応じた周波数の、分周器8からのクロックCLKである。
【0206】
そして、この第10の実施の形態においては、メモリ71から読み出して、後段のデジタルマッチドフィルタ2に転送するのは、GPS信号のチップレート1.023MHzより高速な転送速度の高速クロックCLKaとする。すなわち、基準クロック発生器10からの基準クロックは分周器76に供給され、この分周器76で高速クロックCLKaが生成され、メモリ71およびデジタルマッチドフィルタ2に供給される。
【0207】
メモリ71から読み出されたデータは、キャリア同期のための乗算器72に供給される。この乗算器72には、数値制御型可変周波数発振器(以下、NCOという)からなるクロック発生器74からのI,Qの2相のクロックが、I/Q選択部75で時分割的に交互に選択されて、供給される。クロック発生器74には、基準クロック発生器10からの基準クロックが供給されている。
【0208】
また、キャリア制御部73が設けられ、このキャリア制御部73からの制御信号により、NCO74の発振周波数が制御される。キャリア制御部73は、後述するように、相関点検出部7からの相関点検出結果に応じた制御信号により制御される。
【0209】
キャリア同期が取れているときには、乗算器72からは、キャリア分が除去されたデジタル信号が得られ、それがデジタルマッチドフィルタ2に供給される。このデジタルマッチドフィルタ2の後段の相関点検出部7までの構成は、図2を用いて前述したのと全く同様に構成される。
【0210】
そして、この第10の実施の形態においては、相関点検出部7からの相関点検出結果に応じた制御信号がキャリア制御部73に供給される。この場合、キャリア制御部73は、相関点検出部7からの制御信号により、相関点検出部7でスレッショールド値を超えるピーク値の存在により相関点が検出されるまでは、NCO74のクロック周波数を、アップ方向あるいはダウン方向に可変制御し、相関点検出部7で相関点npが検出されたときには、NCO74の出力クロックの周波数をそのときの周波数に保持する。
【0211】
以上のようにして、この第10の実施の形態においては、A/D変換部1とデジタルマッチドフィルタ2との間にメモリ71を設け、メモリ71から読み出したデータについては、高速クロックCLKaを用いて高速処理を行うようにしたので、デジタルマッチドフィルタ2での相関演算処理や、線形加算処理などの処理時間を短縮することができる。例えば、デジタルマッチドフィルタ2のハード上の能力に余裕があることを前提に転送速度を10倍にすると、処理時間を1/10に短縮できる。なお、キャリアのサーチは、キャリア周波数の設定を変える毎に受信信号を更新する必要はなく、メモリに記憶した同じデータを使って行うことができる。
【0212】
なお、以上の第10の実施の形態の説明は、第1の実施の形態に適用した場合であるが、第10の実施の形態は、第2〜第9の実施の形態にも適用できることは言うまでもない。
【0213】
[その他の変形例]
以上の実施の形態の説明では、デジタルマッチドフィルタや線形加算部、絶対値計算部、累積加算部、相関点検出部は、それぞれ別個のハードウエアとして構成するように説明したが、それらの各部の全部を一つのDSPによって構成してもよい。また、それらの各部の一部をDSPによって構成することも勿論できる。また、それらの各部の全部または一部を、ソフトウエア処理により構成することもできる。
【0214】
なお、以上の実施の形態の説明では、GPS衛星からの受信信号の場合に、この発明を適用したが、この発明は、GPS衛星からの信号に限らず、拡散符号でデータをスペクトラム拡散した信号の拡散符号同期捕捉を行う場合のすべてに適用可能である。
【0215】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、スペクトラム拡散信号の拡散符号同期の検出感度を大幅に改善することができる。したがって、例えば、この発明をGPS受信機に適用すれば、受信感度が改善され、アンテナの小型化、受信エリアの拡大等の効果が期待できる。
【0216】
また、この発明によれば、従来の手法であるスライディング相関器が同期するまで原理的に時間を要するのに対し、デジタルマッチドフィルタを用いた高速なDSP等の活用による処理時間の大幅な短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法の第1の実施の形態の要部動作を説明するための図である。
【図2】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図3】相関検出出力のスペクトラムの例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態において用いられるデジタルマッチドフィルタの構成例を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態において用いられるデジタルマッチドフィルタの他の構成例を示すブロック図である。
【図6】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第2の実施の形態のブロック図である。
【図7】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第3の実施の形態のブロック図である。
【図8】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第4の実施の形態のブロック図である。
【図9】第4の実施の形態における要部の動作説明のための図である。
【図10】第4の実施の形態の要部を説明するための図である。
【図11】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第5の実施の形態のブロック図である。
【図12】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第6の実施の形態のブロック図である。
【図13】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第7の実施の形態のブロック図である。
【図14】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第8の実施の形態のブロック図である。
【図15】第8の実施の形態における要部の動作説明のための図である。
【図16】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第9の実施の形態のブロック図である。
【図17】第9の実施の形態の要部の説明に用いる図である。
【図18】第9の実施の形態における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図19】この発明によるスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置の第10の実施の形態のブロック図である。
【図20】GPS衛星からの信号の構成を示す図である。
【図21】従来のキャリアおよび拡散符号の同期処理を説明するための図である。
【図22】この発明の実施の形態の説明に用いる図である。
【符号の説明】
1…A/D変換器、2…デジタルマッチドフィルタ、3…拡散符号発生部、4,11…単位期間線形加算部、5…絶対値計算部、6…絶対値累積加算部、7…相関点検出部、12…FFTを用いたデジタルマッチドフィルタ

Claims (18)

  1. 拡散符号の1周期の複数倍をビット遷移周期とするデータを、前記拡散符号でスペクトラム拡散したスペクトラム拡散信号について、前記拡散符号の同期検出を行う装置において、
    前記拡散符号の1周期の複数倍であって、かつ、前記ビット遷移周期よりも短い単位期間毎に、前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果を線形加算したものに等しい線形加算相関演算結果を得る処理を行う単位期間相関演算線形加算手段と、
    前記単位期間相関演算線形加算手段で求められた前記単位期間毎の線形加算相関演算結果の絶対値を計算する絶対値計算手段と、
    前記絶対値計算手段で求められた前記単位期間毎の線形加算相関演算結果の絶対値を、複数単位期間分、加算する絶対値加算手段と、
    前記絶対値加算手段で得られた前記絶対値の加算値から、相関点を検出する相関点検出手段と、
    を備えることを特徴とするスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  2. 前記単位期間は、前記ビット遷移周期の1/2の時間長とすることを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  3. 前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算は、デジタルマッチドフィルタを用いて行う
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  4. 前記単位期間相関演算線形加算手段は、前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果を、前記単位期間において線形加算する手段からなる
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  5. 前記単位期間相関演算線形加算手段は、前記単位期間のそれぞれにおいて、前記スペクトラム拡散信号を、前記拡散符号の1周期分毎に、前記拡散符号の各チップ位相について同期加算することにより線形加算し、その線形加算結果の前記拡散符号の1周期分の信号と前記拡散符号との相関演算を行う手段からなる
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  6. 前記単位期間相関演算線形加算手段は、前記単位期間分の前記スペクトラム拡散信号についてフーリエ変換を行ったものと、前記拡散符号をフーリエ変換したものとの相関演算を行う手段からなる
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  7. 前記拡散符号同期検出の対象であるスペクトラム拡散信号を、前記絶対値加算手段で加算する複数単位期間分蓄えるメモリを備えると共に、
    前記スペクトラム拡散信号を、前記メモリへの書き込み時よりも高速で読み出して前記相関演算を行い、前記相関点の検出の処理を高速化する
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  8. 拡散符号の1周期の複数倍をビット遷移周期とするデータを、前記拡散符号でスペクトラム拡散したスペクトラム拡散信号について、前記拡散符号の同期検出を行う装置において、
    前記拡散符号の1周期の複数倍であって、かつ、前記ビット遷移周期の2倍よりも短い時間を単位期間毎に、前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果を線形加算したものに等しい第1の線形加算相関演算結果を得ると共に、
    前記単位期間を前半期間と後半期間とに2等分し、前記前半期間または前記後半期間の一方における前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果の線形和に等しい第1の線形和と、前記前半期間または前記後半期間の他方における前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との一方を符号反転させた状態での前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果の線形和に等しい第2の線形和との和に等しい第2の線形加算相関演算結果を、前記単位期間毎に得る単位期間相関演算線形加算手段と、
    前記第1の線形加算相関演算結果の絶対値と、前記第2の線形加算相関演算結果の絶対値との和を、複数単位期間分、加算する絶対値加算手段と、
    前記絶対値加算手段で得られた前記絶対値の加算値から、相関点を検出する相関点検出手段と、
    を備えることを特徴とするスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  9. 前記単位期間は、前記ビット遷移周期に等しく選定する
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  10. 前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算は、デジタルマッチドフィルタを用いて行う
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  11. 前記単位期間相関演算線形加算手段では、
    前記スペクトラム拡散信号がそのままの状態である第1の信号系列と、前記スペクトラム拡散信号を前記単位期間の前記前半期間と後半期間とで符号を反転させた第2の信号系列を生成し、
    前記拡散符号の1周期単位での前記第1の信号系列の前記スペクトラム拡散信号と、前記拡散符号との相関演算結果を、前記単位期間において線形加算して、前記単位期間毎の第1の線形加算相関演算結果を得ると共に、
    前記拡散符号の1周期単位での前記第2の信号系列の前記スペクトラム拡散信号と、前記拡散符号との相関演算結果を、前記単位期間において線形加算して、前記単位期間毎の第2の線形加算相関演算結果を得る、
    ことを特徴とする請求項10に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  12. 前記単位期間相関演算線形加算手段では、
    前記スペクトラム拡散信号がそのままの状態である第1の信号系列と、前記スペクトラム拡散信号を前記単位期間の前記前半期間と後半期間とで符号を反転させた第2の信号系列を生成し、
    前記単位期間のそれぞれにおいて、前記第1の信号系列の前記スペクトラム拡散信号を、前記拡散符号の1周期分毎に、前記拡散符号の各チップ位相について同期加算することにより線形加算し、その線形加算結果の前記拡散符号の1周期分の信号と前記拡散符号との相関演算を行うことにより、前記第1の線形加算相関演算結果を得ると共に、
    前記単位期間のそれぞれにおいて、前記第2の信号系列の前記スペクトラム拡散信号を、前記拡散符号の1周期分毎に、前記拡散符号の各チップ位相について同期加算することにより線形加算し、その線形加算結果の前記拡散符号の1周期分の信号と前記拡散符号との相関演算を行うことにより、前記第2の線形加算相関演算結果を得る
    ことを特徴とする請求項10に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  13. 前記単位期間相関演算線形加算手段では、
    前記スペクトラム拡散信号がそのままの状態である第1の信号系列と、前記スペクトラム拡散信号を前記単位期間の前記前半期間と後半期間とで符号を反転させた第2の信号系列を生成し、
    前記単位期間分の前記第1の信号系列の前記スペクトラム拡散信号についてフーリエ変換を行ったものと、前記拡散符号をフーリエ変換したものとの相関演算を行うことにより、前記第1の線形加算相関演算結果を得ると共に、
    前記単位期間分の前記第2の信号系列の前記スペクトラム拡散信号についてフーリエ変換を行ったものと、前記拡散符号をフーリエ変換したものとの相関演算を行うことにより、前記第2の線形加算相関演算結果を得る
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  14. 前記単位期間相関演算線形加算手段では、
    前記単位期間の前半期間で前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果の線形和を求めると共に、前記単位期間の後半期間で前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果の線形和を求め、
    前記前半期間における前記線形和と前記後半期間における前記線形和との和として、前記単位期間毎の第1の線形加算相関演算結果を得ると共に、
    前記後半期間における前記線形和と前記後半期間における前記線形和との差として、前記単位期間毎の第2の線形加算相関演算結果を得る
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  15. 前記相関点検出手段では、前記第1の線形加算相関演算結果の絶対値と、前記第2の線形加算相関演算結果の絶対値との和を、前記単位期間の複数個分の期間に渡って検出し、当該単位期間の複数個分の期間の前記絶対値和に基づいて相関点を検出するものであって、
    前記拡散符号同期検出の対象であるスペクトラム拡散信号を、前記絶対値和を求める複数単位期間分毎にメモリに蓄え、
    前記メモリから前記スペクトラム拡散信号を、前記メモリへの書き込み時よりも高速で読み出して前記相関演算を行い、前記相関点の検出の処理を高速化する
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  16. 前記単位期間は、前記ビット遷移周期に等しく選定し、
    前記第1の線形加算相関演算結果と、前記第2の線形加算相関演算結果との比から、前記単位期間と前記ビット遷移位置との位相ずれを推定し、この推定した位相ずれにより、前記単位期間と前記ビット遷移位置との位相ずれを補正する
    ことを特徴とする請求項に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  17. 前記相関点検出手段では、前記第1の線形加算相関演算結果の絶対値と、前記第2の線形加算相関演算結果の絶対値との和を、前記単位期間の複数個分の期間に渡って検出し、当該単位期間の複数個分の期間の前記絶対値和に基づいて相関点を検出するものであって、
    前記拡散符号同期検出の対象であるスペクトラム拡散信号を、前記絶対値和を求める複数単位期間分毎にメモリに蓄え、
    前記メモリから前記スペクトラム拡散信号を、前記メモリへの書き込み時よりも高速で読み出して前記相関演算を行い、前記相関点の検出の処理を高速化する
    ことを特徴とする請求項16に記載のスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出装置。
  18. 拡散符号の1周期の複数倍をビット遷移周期とするデータを、前記拡散符号でスペクトラム拡散したスペクトラム拡散信号について、前記拡散符号の同期検出を行う方法において、
    前記拡散符号の1周期の複数倍であって、かつ、前記ビット遷移周期よりも短い単位期間毎に、前記スペクトラム拡散信号と前記拡散符号との相関演算結果を線形加算したものに等しい線形加算相関演算結果を得る処理を行う単位期間相関演算線形加算工程と、
    前記単位期間相関演算線形加算工程で求められた前記単位期間毎の線形加算相関演算結果の絶対値を計算する絶対値計算工程と、
    前記絶対値計算工程で求められた前記単位期間毎の線形加算相関演算結果の絶対値を、複数単位期間分、加算する絶対値加算工程と、
    前記絶対値加算工程で得られた前記絶対値の加算値から、相関点を検出する相関点検出工程と、
    を備えることを特徴とするスペクトラム拡散信号の拡散符号同期検出方法。
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