JP4617037B2 - マンホールとパイプの接続方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明はマンホール(人孔)とパイプ(管きょ)の接続方法に係り、詳しくは既設のマンホールとパイプの接続を、マンホールの内側において耐震化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パイプ(管きょ)とマンホール本体との接続は、古くはマンホールの周壁に開設した削孔部にパイプを差し込み、そのパイプ外周面と削孔部内面との間にモルタル等を充填して固定している。
しかしながら、マンホールとパイプの接続部が固定されていた場合は、地震や地盤の不等沈下に追随できず、前記接続部でパイプが破損、折損するといった事態が生じる。
【0003】
その為、阪神大震災以降、上記した接続構造については耐震化の改修工事が順次行われている。
勿論、新設の管路については、マンホール本体とパイプの接続は、両者の接続部に可撓性をもたせる耐震ジョイント構造が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、マンホール本体とパイプをモルタルで接続した既設の管路を耐震化構造に改修する場合、マンホール本体及びこれに接続されるパイプ部分を新品にと交換するのであれば、新設の場合と同様、工場でマンホール本体の削孔部にゴム継手を予め取り付け、これを現場に搬入してゴム継手にパイプを差し込み、ゴム継手を外側から締付けバンドで締付けて固定する。
しかし、上記した接続作業は、マンホール本体及びこれに接続されるパイプを新品と交換するため、広い範囲を掘り起こさなければならないと共に、接続の作業はマンホール及びパイプの外側で行うため、前記掘り起こしは作業スペースも確保しなければならず、工事が大規模になり、改修工事費が増大するという不具合を有する。
【0005】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、既設のマンホールとパイプの接続部分を耐震構造に改修する作業を、マンホールの内側で完了できる接続方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、マンホールの削孔部に外側からパイプを嵌合し、そのパイプのマンホール内の端部外側に、ゴムソケットの一側部を嵌着固定し、そのゴムソケットの他側部は、該パイプの外径より大で前記削孔部の内径より小径な金属製カラーの内面に拡張バンドで固定し、しかる後、前記金属製カラーを削孔部とパイプとの間に押し込んで前記ゴムソケットを反転させ、次に金属製カラーの外周面と削孔部内面との隙間から緩衝材を注入充填し、最後に前記金属製カラーの外周面と削孔部内面との間に連結部材を注入して両者を連結固定することを特徴とする。
【0007】
上記方法において、金属製カラーの外周面と削孔部内面との隙間からゴムソケットの裏側に注入する緩衝材としては、発泡ウレタンや発泡スチロール等が挙げられる。
又、金属製カラーとマンホールとを連結固定する連結部材としては、注入時液状をなし、充填後ゴム状弾性体に変化する樹脂製シール材、或いは削孔部内面と金属製カラー外面との間の隙間が大きかったり、削孔部内面が不規則(でこぼこ)である場合は、モルタルを充填して固定してもよい。
【0008】
更に、ゴムソケットの端部に金属製カラーを取り付け固定する形態は、前記した金属製カラーの内側にゴムソケットの端部を嵌合し、その端部を拡張バンドで径方向外側に拡張して金属製カラーの内側面に締着固定する形態の他に、ゴムソケットの端部を金属製カラーの外側面に嵌着し、その端部を締付けバンドで金属製カラーに締着する形態でもよい。
また、本接続方法はゴムソケットに取り付けた金属製カラーを削孔部に押し込んで該ゴムソケットを反転させるが、ゴムソケットの反転動作をスムーズに行わせるために、ゴムソケットにおける両側の固着部を除いた中間部の肉厚を薄くしたり、所定箇所に屈曲を助ける溝等の薄肉部を形成する等してもよい。
さらに、本接続方法は、既設のマンホールとパイプの耐震化改修のみならず、新設のマンホールとパイプの接続に使用できるものである。
【0009】
上記の手段によれば、削孔部に挿入されたパイプの端部にゴムソケットを連結固定し、そのゴムソケットの反対側端部に、前記削孔部に嵌合適合する金属製カラーを内嵌め又は外嵌めで連結し、その金属製カラーを削孔部に押し込み、金属製カラーと削孔部との隙間に連結部材を充填して金属製カラーをマンホールに固定するため、上記作業をマンホール内側において完了できる。
そして、マンホールとパイプはゴムソケットで連結されるため可撓性が保持され、地震や地盤の不等沈下による地盤の変動に対して追随し、マンホールとの接続部におけるパイプの破損を防止すると共に、水密性を維持できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づき説明する。又、以下に説明する実施の形態は、既設の管路を本発明の方法で耐震化に改修する場合であるが、本発明の方法は新設の管路にも採用し得ることは勿論である。
図1は、金属製カラーに対してゴムソケットを内嵌め形式で連結した形態の接続方法を示す図で、その工程について説明する。
【0011】
(1)図1(a)は、マンホール本体1の周壁に形成した削孔部2内にパイプ3が挿入され、そのパイプ3外周面と削孔部2内面との空間4にモルタル5が充填されて、マンホール本体1とパイプ3がモルタル5で連結一体化された既設の管路構造を示し、この接続部を可撓性を有する耐震構造に改修する。
【0012】
(2)先ず、図1(b)に示すように、マンホール本体1とパイプ3を連結一体化するモルタル5を切削(はつる)して、空間4を現出させる。この空間が30mm以下の場合、マンホール本体1の削孔部2の内面も切削して、当初の管外径2’より30mm程度大きくする。
【0013】
(3)次に、図1(c)に示すように、空間4に現出したパイプ3の端部3aの外周面に、可撓性を有するゴムソケット6の一端部6aを嵌合すると共に、その嵌合部を締付けバンド7で締付けて該ゴムソケット6を連結する。又、そのゴムソケット6の他端部6bは、切削した削孔部2の内径より小径で前記パイプ3の外径より大径な金属製カラー8の内側面に拡張バンド9で拡張密着し、金属製カラー8を一体的に固着する。
ここで使用する金属製カラー8は、剛性を有した金属製のリングで、マンホール本体1の周壁の厚さと略同じ幅、または周壁厚さ以上に形成されており、拡張バンド9をセットできる幅が確保されている。尚、金属製カラー8は、マンホール本体1が矩形である場合、一般的な環状体でよいが、マンホール本体1が円形である場合は、マンホール本体の曲面周壁に沿って嵌るように、弓形の環状体に形成する。
更に、パイプ3に金属製カラー8を連結するゴムソケット6は、目的の可撓性を得るためにその長さを、マンホール本体1の周壁の厚さの2倍位とし、金属製カラー8を削孔部内に押し込んだ場合に、該ゴムソケット6が略S字状に屈曲して可撓性を発揮する長さとする。
【0014】
(4)次に、ゴムソケット6に連結した金属製カラー8を、図1(d)に示すようにマンホール本体1の削孔部2の空間4に直線的に押し込むと、ゴムソケット6が固定されている両端部間に径方向の寸法差がある為、前記押し込み動作によりゴムソケット6は反転して略S字状に屈曲し、金属製カラー8は削孔部2内に嵌入される。
【0015】
(5)金属製カラー8を空間4に押し込んだ後、図1(e)に示すように該金属製カラー8の外周面と削孔部2内面との隙間から緩衝材10の発泡ウレタン又は発泡スチロールを前記ゴムソケット6裏側の空間に注入充填する。ここで注入する緩衝材10の発泡ウレタン又は発泡スチロールは、注入後、約30分乃至60分位で硬化するものを使用する。
【0016】
(6)そして、図1(f)に示すように、金属製カラー8の外周面と削孔部2内面との間に、両者を連結固定する連結部材11を注入し、硬化により金属製カラー8をマンホール本体1と連結一体化する。ここで使用する連結部材11としては、樹脂系シール材、モルタル、樹脂系モルタル等が挙げられる。尚、モルタルは、金属製カラー8外周面と削孔部2内面との間の隙間が大きい場合、或いは削孔部の内面が不規則である場合等に好適である。
又、屈曲したゴムソケット6と金属製カラー8とで区画されるマンホール本体1内部側の空間には、ゴムソケット裏側の空間に注入した緩衝材10の発泡ウレタン又は発泡スチロールと同様、発泡ウレタン又は発泡スチロールの緩衝材10’を充填する。
【0017】
上記した接続方法において、ゴムソケット6の端部に金属製カラー8を固着する形態は、金属製カラー8の内側面にゴムソケット6を拡張バンドで9で密着固定した内嵌め形式であるが、金属製カラー8の外側面にゴムソケット6の端部を密着固定する外嵌め形式としてもよい。
以下、その外嵌め形式の接続方法を図3及び図4に基づいて説明する。尚、ゴムソケット12の端部12bを金属製カラー8に外嵌め形式で固着する以外は、前記した作業工程と同じ作業であるため、前記した実施の形態で示したと同一部材は、同一の符号を付し説明を省略する。
【0018】
図3(c)及び図4(a)は、パイプ3の端部にゴムソケット12の一側部12aを締付けバンド7で締着固定し、そのゴムソケット12の他側部12bは、パイプ3の外径より大径で削孔部2の内径より小径な金属製カラー8の外側面に嵌着し、その嵌着部を締付けバンド13で締着して連結固定される。
尚、ゴムソケット12は金属製カラー8の外側面に外嵌めするため、該ゴムソケット12の他側部12bの外周面には削孔部2の内面と接触する突条14が突設されており、これにより金属製カラー8を削孔部2内に押し込み操作した時、ゴムソケット12と削孔部内面との接触抵抗が出来るだけ軽減されるようにしてある。
又、新設の場合は、マンホール本体の周壁に削孔機で所定径の削孔を行い、その削孔に上記した手法でセットする。勿論、既設管であっても、前記と同様の削孔ができれば、同様な作業となる。
【0019】
上記説明はパイプ3にゴムソケット6又は12を取り付け、そのゴムソケット6または12の側部に止着した金属製カラー8をマンホール本体1の削孔部2に押し込んで固着するものであるが、推進管とマンホール本体との耐震継手に本発明の方法を応用することができる。以下、その概略を図5(a)、(b)に基づいて説明する。
先ず、ゴムソケット15の大径側15aに金属製カラー16を拡張バンド17で固着し、その金属製カラー16をマンホール本体18の削孔部19内部にモルタル20等で固着する。そして、ゴムソケット15の小径側15bを推進管21の先端に嵌着すると共に、締付バンド22で締付けて推進管とゴムソケット15を連結する。
推進管21とゴムソケット15を連結した後、該推進管21をマンホール本体18側に推進し、削孔部19内に押し込む。それにより、一端がマンホール本体18の削孔部19に金属製カラー16を介して固着されたゴムソケット15は、略S字状に反転し、推進管21の端部を図5(b)の状態に形成される。尚、金属製カラー16内面と推進管21外面との間の隙間には適宜充填材23を注入する。
【発明の効果】
本発明のマンホールとパイプの接続方法は、請求項1、2に記載の構成により、マンホール本体とパイプを可撓性を有するゴムソケットで接続する作業を、マンホールの内側において完了することが出来る。
従って、既設の管路におけるマンホール本体とパイプの接続部を耐震構造に改修する場合、土の掘り起こし等を行うことなく工事を行うことが出来、工期の短縮、工事費を削減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接続方法の一例を示す作業工程図である。
【図2】要部の拡大断面図である。
【図3】ゴムソケットと金属製カラーの他の接続形式における作業工程図である。
【図4】同要部の拡大断面図である。
【図5】他の例を示す要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…マンホール本体 2…削孔部
3…パイプ 4…空間
6…ゴムソケット 7、13…締付けバンド
8…金属製カラー 9…拡張バンド
10、10’…緩衝材 11…連結部材
Claims (2)
- マンホール本体の削孔部に外側からパイプを嵌合し、そのパイプのマンホール本体内の端部外側に、ゴムソケットの一側部を嵌着固定し、そのゴムソケットの他側部は、該パイプの外径より大で前記削孔部の内径より小径な金属製カラーの内面に拡張バンドで固定し、しかる後、前記金属製カラーを削孔部とパイプとの間に押し込んで前記ゴムソケットを屈曲反転させ、次に金属製カラーの外周面と削孔部内面との隙間から緩衝材を注入充填し、最後に前記金属製カラーの外周面と削孔部内面との間に連結部材を注入して両者を連結固定することを特徴とするマンホールとパイプの接続方法。
- 上記ゴムソケットの他側部と金属製カラーの接続を、該金属製カラーの外側面にゴムソケットの端部を嵌着し、そのゴムソケットの端部を締付けバンドで固定することを特徴とする請求項1記載のマンホールとパイプの接続方法。
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