JP4614494B2 - 鋳抜き孔加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳抜き孔の穴加工を精度良く行う鋳抜き孔加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳抜き孔の周囲を切削加工する穴加工の際は、切刃の中心部が前方に突出する中心刃を備えたドリル工具を使用して切削加工している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、切刃の中心部が突状のドリル工具を使用する場合、下穴のない工作物に対してはさほどの問題は生じないものの、鋳抜き孔のような下穴のある工作物を切削加工する場合、切刃の縁部が鋳抜き孔の外周縁部に接触して鋳抜き孔に倣ってドリルの中心が偏位して所望の座標精度を得ることが出来ず、場合によっては工具折損等の不具合が生じることがある。
一方、鋳抜き孔の深部に膜があったり、または袋状の鋳抜き孔を加工する場合、切刃の中心部に突状のないドリルでは切屑の排出が円滑に行われず、切屑づまりによって工具破損等の不具合が生じ易くなるという問題もある。
【0004】
そこで本発明は、特に鋳抜き孔のような下穴のある工作物の下穴周囲を精度良く切削加工出来るようにし、また深部に膜があったり、袋状の鋳抜き孔を加工する際でも切屑の排出が円滑に行われるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、ボディ部の先端に切刃部が形成され、前記切刃部の前面には、ドリルを正面から見た際、軸の直径方向をストレートに横断する形態の切刃が設けられ、前記ドリルを側面から見た際、前記切刃の中心部は角度を持って軸方向前方に突出する中心刃にされるとともに、この中心刃を挟む両側部分は半径方向外側に向けて緩やかに後方に傾斜した後、切刃の中心に対して対称に形成された凹部を介して縁部附近が局部的に突出する外周刃に連なるドリルを用いた鋳抜き孔加工方法であって、前記ドリルの中心を工作物の鋳抜き孔の中心に合わせるとともに鋳抜き孔周囲の座面に前記外周刃を食い込ませ、前記切刃が鋳抜き孔の開口周縁部に当接しないように加工するようにした。
【0006】
このように、切刃の縁部に、凹部と局所的突出部を備えた外周刃を形成すれば、鋳抜き孔を加工する際、外周刃の凹部を鋳抜き孔の外周縁部に位置合わせして、切刃を接触させず、局所的突出部を鋳抜き孔周囲の座面に当接させて食い込ませた状態で加工することが出来、座標ズレを生じにくいようにすることが出来る。
また、切刃の中心に中心刃を形成しているため、例えば鋳抜き孔の深部に膜があっても、袋状の鋳抜き孔の場合でも、切屑を細かく分断して排出することが出来るようになる。
因みに、切刃の形態として、ドリルを正面から見た際、軸の直径方向をストレートに横断する形態にしているため、例えば高価なCBNやダイヤ等を効率良く切刃だけに使用した切刃部を簡単に構成出来るようになる。
【0007】
また請求項2では、先端の切刃部に切削油を供給するためのオイル孔を形成し、このオイル孔を、ボディ部の基端側からボディ部内部を前方に向けて切刃部近傍まで穿孔される軸方向孔と、この軸方向孔の先端部から前方外側に向けて斜め方向に延出した後、逃げ面とランド面の境界部にまたがって外部に開口する斜め孔から構成するようにした。
【0008】
そして軸方向孔から送り込んだ切削油を斜め孔を通して先端部の逃げ面とランド面の境界部の開口から流出させ、切削時の切刃の摩擦を低減させると同時に切削部を冷却し、その後、この切削油を切屑排出溝を通して排出するようにすれば、切屑も一緒に切屑排出溝からスムーズに排出され、切屑づまり等による工具折損等の不具合が抑制される。
また、冷却効果により工具の寿命が延び、加工精度も向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る鋳抜き孔加工方法に用いる鋳抜き孔用ドリルの全体図、図2は図1のA方向から見た正面図、図3は先端部の斜視図、図4は切刃部の拡大図、図5は作用図である。
【0010】
本発明に係る鋳抜き孔加工方法に用いる鋳抜き孔用ドリルは、鋳抜き孔を有する工作物に対して精度の良い穴加工を行い、また例えば深部に膜のある鋳抜き孔でも、袋状の鋳抜き孔でも切屑の排出能力が高いドリルとして構成されている。
【0011】
すなわち、図1に示すように、本鋳抜き孔用ドリル1は、ボディ部2の先端にろう付けされる切刃部3を備えており、この切刃部3は、図2に示すように、薄い中間のCBNまたはダイヤ層4と、このCBNまたはダイヤ層4を左右から挟んで一体化させる超硬合金層5から構成され、中間のCBNまたはダイヤ層4が切刃Kとして構成されている。
【0012】
またこのCBNまたはダイヤ層4の切刃Kに隣接する回転方向下流側の先端面には二ヶ所の逃げ面6が形成され、回転方向側には、二条の切屑排出溝7が先端の切刃部3からボディ部2の中間部にかけて形成されている。
また、CBNまたはダイヤ層4は、半径方向については外側端部がランド面8より僅かに外側に突出するとともに、軸方向については、図4に示すように、切刃Kの軸心部分の中心刃Kcが角度を持って前方に突出し、この中心刃Kcを挟んで両側部分は、半径方向外側に向けて緩やかに後方に傾斜した後、凹部を介して縁部附近が局部的に突出する外周刃Keに連なるようにされている。
【0013】
そして実施例の場合、切刃Kの中心刃Kcの刃先角αが150°で、中心刃Kcを挟んで両側部分は軸後方に向けて緩やかに傾斜し、刃先部3の径X=φ12.4に対して、径Y=φ9.4の箇所aが外周刃Keの凹部となり、この凹部の箇所aから軸前方に向けて角度β=3°の緩い角度で前向きに傾斜した後、コーナ部で再び逆方向に傾斜している。
このため、外周刃Keは、凹部の外側に局所的な突状部を備えた形態で構成されている。そしてこの外周刃Keの凹部の箇所aは、鋳抜き孔Hの口径に合わせて形成されており、後述する要領で切刃部3先端を鋳抜き孔Hの中心に位置合わせして加工する際、凹部の箇所aが鋳抜き孔Hの開口縁部附近に位置して、切刃Kが鋳抜き孔Hの開口周縁部に直接当接しないようにされている。
【0014】
ところで、この鋳抜き孔用ドリル1には、切削油を供給するための二本のオイル孔10が設けられており、このオイル孔10は、ボディ部2の内部に穿孔された二本の軸方向孔11と、各軸方向孔11の先端部から前方外側に向けて斜めに延出する斜め孔12から構成され、この斜め孔12は、それぞれの逃げ面6とランド面8の境界部の開口部12Hから外部に開口している。
【0015】
以上のように構成された鋳抜き孔用ドリル1の作用等について、図5に基づき説明する。
【0016】
鋳抜き孔Hが形成された工作物Wに対し、ドリル1で穴明け加工する際、図5に示すように、ドリル1の中心を工作物Wの鋳抜き孔Hの中心に合わせて切刃部3先端を当接させ、軸周りに回転させながら加工する。
【0017】
すると、鋳抜き孔Hの開口周縁部には、外周刃Keの凹部の箇所aが位置して切刃Kが直接当接せず、外側の突起部分が開口部周辺の座面に当接し、この部分を食い込ませた状態で加工することが出来る。
このため、鋳抜き孔Hに倣ってドリル1の位置がずれるような不具合がなく、座標精度を高めた状態で加工することが出来る。
【0018】
一方、図5に示すように、鋳抜き孔Hの深部に膜mがあるような場合、中心刃Kcが膜mの位置まで達すると、中心刃Kcによって切屑が細かく裁断され、切屑排出溝7を通して円滑に排出することが出来る。
【0019】
また、この加工に伴い、基端側の軸方向孔11から切削油を供給するため、逃げ面6とランド面8の境界部の開口部12Hから流出する切削油は、確実に先端まで供給され、加工部の摩擦を低減させつつ加工熱を奪い、切屑排出溝7から排出される切屑の排出作用を高めることが出来る。
【0020】
因みに、本実施例では、切刃Kを構成するため、CBNまたはダイヤ層4を超硬合金層5でサンドイッチ状態にし、このサンドイッチ状態のブロックから所定の形状の切刃部3を切出すようにしているため、切刃Kを容易に構成することが出来、しかも必要な切刃Kの個所にだけ高価なCBNまたはダイヤ層4を用いることが出来るため、効率的である。
【0021】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば切刃Kの中心刃Kcの刃先角αや、外周刃Keの具体的形状等は任意である。
【0022】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る鋳抜き孔加工方法に用いる鋳抜き孔用ドリルは、ドリルの正面視で、軸の直径方向をストレートに横断する形態の切刃を設け、ドリルの側面視で、切刃の中心部を角度を持って軸方向前方に突出する中心刃にするとともに、この中心刃を挟む両側部分を半径方向外側に向けて緩やかに後方に傾斜させ、凹部を介して縁部附近が局所的に突出する外周刃に連ならせるようにしたため、鋳抜き孔を加工する際、鋳抜き孔の外周縁部に切刃を接触させず、鋳抜き孔周囲の座面に局所的突出部を食い込ませた状態で加工することが出来、座標ズレが生じにくい。
また、切刃の中心に中心刃を形成しているため、例えば鋳抜き孔の深部に膜があっても、袋状の鋳抜き孔の場合でも、切屑を細かく分断して排出することが出来る。
しかも、切刃の形態として、ドリルの正面視で径方向をストレートに横断する形態にしているため、例えば高価なCBNやダイヤ等を効率良く使用した切刃を簡単に構成することが出来るようになる。
【0023】
また請求項2のように、先端の切刃部に切削油を供給するためのオイル孔を形成し、逃げ面とランド面の境界部の開口から流出させるようにすれば、切刃の摩擦を低減させて切削部を冷却することが出来、しかも切屑の排出作用も高まって一層好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る鋳抜き孔加工方法に用いる鋳抜き孔用ドリルの全体図
【図2】図1のA方向から見た正面図
【図3】先端部の斜視図
【図4】切刃部の拡大図
【図5】作用図
【符号の説明】
1…鋳抜き孔用ドリル、2…ボディ部、3…切刃部、6…逃げ面、8…ランド面、10…オイル孔、11…軸方向孔、12…斜め孔、12H…開口部、K…切刃、Kc…中心刃、Ke…外周刃。
Claims (2)
- ボディ部の先端に切刃部が形成され、前記切刃部の前面には、ドリルを正面から見た際、軸の直径方向をストレートに横断する形態の切刃が設けられ、前記ドリルを側面から見た際、前記切刃の中心部は角度を持って軸方向前方に突出する中心刃にされるとともに、この中心刃を挟む両側部分は半径方向外側に向けて緩やかに後方に傾斜した後、切刃の中心に対して対称に形成された凹部を介して縁部附近が局部的に突出する外周刃に連なるドリルを用いた鋳抜き孔加工方法であって、前記ドリルの中心を工作物の鋳抜き孔の中心に合わせるとともに鋳抜き孔周囲の座面に前記外周刃を食い込ませ、前記切刃が鋳抜き孔の開口周縁部に当接しないように加工することを特徴とする鋳抜き孔加工方法。
- 請求項1に記載の鋳抜き孔加工方法において、切削油を逃げ面とランド面の境界部の開口から流出させ、先端の切刃部に供給することを特徴とする鋳抜き孔加工方法。
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