JP2001252811A - オイルホール付き穴明け工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮蔽部材等を用いることなくオイル孔を構成
し、加工時に効率良く切削油を供給出来るようにし、ま
た切り屑の排出も円滑に行われるようにする。 【解決手段】 ボディ部２に軸方向に沿った軸方向孔１
１を先端部近傍まで穿孔し、軸方向孔１１の先端部から
前方外側に向けて斜め方向に斜め孔１２を形成してオイ
ル孔１０とし、斜め孔１２の開口部１２Ｈを、逃げ面６
とランド面８の境界部から外部に開口させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、穴明け工具による
穴明け加工時に切削油を効率良く供給する技術に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えばドリル等の穴明け工具にお
いて、切削油を効率良く供給しながら加工する技術とし
て、例えば特開昭５８―１７７２１４号や実開昭５９―
１７３５１２号のような技術が知られており、前者の場
合は逃げ面に導液溝を形成し、この導液溝に導液パイプ
を埋め込んで導液通路とするようにしており、後者の場
合は逃げ面に導液溝を形成し、この溝を細長い板材で覆
って導液通路とするようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記技術の
場合はいずれも逃げ面に導液溝を形成し、これに導液パ
イプを埋め込んだり、一部を板材で覆ったりして導液通
路を形成するようにしており、確実に先端部から油を流
出させるため、溝の一部にパイプや板材等の遮蔽部材を
設ける等の措置を必要とし、また穴明け加工の際、外周
部が被加工物の内壁に接触するとパイプや板材の遮蔽部
材が損傷して切削油が先端部に円滑に供給されなくなる
恐れがある。

【０００４】そこで本発明は、遮蔽部材等を用いること
なくオイル孔を構成し、また加工時に効率良く切削油を
供給出来るようにするとともに、切り屑の排出も円滑に
行われるようにすることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、ボディ部の先端に切刃部が形成され且つこの
切刃部に切削油を供給するためのオイル孔が形成される
オイルホール付き穴明け工具において、オイル孔とし
て、ボディ部の基端側からボディ部内部を前方に向けて
切刃部近傍まで穿孔される軸方向孔と、この軸方向孔の
先端部から前方外側に向けて斜め方向に延出した後、切
刃部の逃げ面とランド面の境界部にまたがって外部に開
口する斜め孔から構成するようにした。

【０００６】そして軸方向孔から送り込んだ切削油を斜
め孔を通して先端部の逃げ面とランド面の境界部の開口
から流出させ、切削時の切刃の摩擦を低減させると同時
に切削部を冷却して工具の寿命を延ばし、加工精度を向
上させる。そして先端側から流出させた切削油を切屑排
出溝を通して排出させるようにすれば、切屑も一緒に切
屑排出溝からスムーズに排出され、切屑づまり等による
不具合、例えば工具折損等の不具合が抑制される。ここ
で穴明け工具としては、ドリルやリーマ等が適用され
る。

【０００７】この際、斜め孔としては、ランド内を貫通
するストレート孔にすることが好ましく、このようにス
トレート孔にすれば、パイプや板材等の遮蔽部材を使用
しなくても通路が確保され、確実に開口部からだけ切削
油を流出させることが出来る。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付
した図面に基づき説明する。ここで図１は本発明に係る
穴明け工具の全体図、図２は図１のＡ方向から見た正面
図、図３は先端部の斜視図である。

【０００９】本発明に係る穴明け工具は、例えば貫通穴
の加工でも、袋穴の加工でもいずれも１本の工具で対応
可能とされ、切屑を手前のスピンドル側から排出出来る
ようにされるとともに、切削油を効果的に供給しつつ円
滑に加工が行えるようにされている。

【００１０】すなわち、図１に示すように、本穴明け工
具１は、ボディ部２の先端にろう付けされる切刃部３を
備えており、この切刃部３は、図２に示すように、薄い
中間のＣＢＮまたはダイヤ層４と、このＣＢＮまたはダ
イヤ層４を左右から挟む超硬合金層５から構成され、中
間のＣＢＮまたはダイヤ層４が切刃Ｋとして構成されて
いる。

【００１１】またこのＣＢＮまたはダイヤ層４に隣接す
る回転方向下流側の先端面には二ヶ所の逃げ面６が形成
され、回転方向側には、二条の切屑排出溝７が先端の切
刃部３からボディ部２の中間部にかけて形成されてい
る。また、ＣＢＮまたはダイヤ層４は、半径方向につい
ては外側端部がランド面８より僅かに外側に突出すると
ともに、前面の切刃Ｋは、軸心部分の中心刃Ｋｃが角度
を持って前方に突出し、この中心刃Ｋｃを挟んだ両側部
分は、半径方向外側に向けて緩やかに後方に傾斜した
後、凹部を介して縁部附近が局部的に突出する外周刃Ｋ
ｅに連なっている。

【００１２】ところで、この穴明け工具１には、切削油
を供給するための二本のオイル孔１０が設けられてお
り、このオイル孔１０は、ボディ部２の内部に穿孔され
た二本の軸方向孔１１と、各軸方向孔１１の先端部から
前方外側に向けて斜めに延出する斜め孔１２から構成さ
れ、この斜め孔１２は、それぞれの逃げ面６とランド面
８の境界部の開口部１２Ｈから外部に開口している。

【００１３】そしてこの斜め孔１２は、軸方向孔１１の
先端部と開口部１２Ｈを直線で結ぶランド内のストレー
ト孔として構成され、別途、別部材を用いなくても確実
に開口部１２Ｈから切削油を流出させることが出来るよ
うにされている。

【００１４】以上のように構成された穴明け工具１にお
いて、基端側の軸方向孔１１から切削油を供給しつつ工
具１を軸周りに回転させて先端の切刃Ｋにより穴明け加
工を行う。

【００１５】すると、逃げ面６とランド面８の境界部の
開口部１２Ｈから流出する切削油は、確実に先端まで供
給され、加工部の摩擦を低減させつつ加工熱を奪い、切
屑排出溝７を通して切屑と一緒に排出される。

【００１６】この際、オイル孔を形成するため、別部材
等を使用することなく、確実に開口部１２Ｈから切削油
を流出させることが出来るため、円滑な穴明け加工が可
能である。

【００１７】尚、本発明は以上のような実施形態に限定
されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載し
た事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を
奏するものは本発明の技術的範囲に属する。例えば切刃
部３の具体的構成等は任意である。

【００１８】

【発明の効果】以上のように本発明に係るオイルホール
付き穴明け工具は、穴明け工具のオイル孔として、ボデ
ィ部の基端側からボディ部内部を前方に向けて切刃部近
傍まで穿孔される軸方向孔と、この軸方向孔の先端部か
ら前方外側に向けて斜め方向に延出した後、切刃部の逃
げ面とランド面の境界部にまたがって外部に開口する斜
め孔から構成するようにしたため、確実に先端の切刃部
に切削油を供給することが出来、工具の寿命延長や加工
精度の向上等が図れる。また、切屑もスムーズに排出さ
れ、切屑づまり等による不具合が抑制される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る穴明け工具の全体図

【図２】図１のＡ方向から見た正面図

【図３】先端部の斜視図

【符号の説明】

１…穴明け工具、２…ボディ部、３…切刃部、６…逃げ
面、８…ランド面、１０…オイル孔、１１…軸方向孔、
１２…斜め孔、１２Ｈ…開口部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 祐之 埼玉県狭山市新狭山１丁目10番地１ ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 石橋 智実 埼玉県狭山市新狭山１丁目10番地１ ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 伊藤 正富 埼玉県狭山市新狭山１丁目10番地１ ホン ダエンジニアリング株式会社内 Ｆターム(参考） 3C037 AA02 DD03 DD07

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボディ部の先端に切刃部が形成され且つ
   この切刃部に切削油を供給するためのオイル孔が形成さ
   れるオイルホール付き穴明け工具であって、前記オイル
   孔は、前記ボディ部の基端側からボディ部内部を前方に
   向けて切刃部近傍まで穿孔される軸方向孔と、この軸方
   向孔の先端部から前方外側に向けて斜め方向に延出した
   後、切刃部の逃げ面とランド面の境界部にまたがって外
   部に開口する斜め孔から構成されることを特徴とするオ
   イルホール付き穴明け工具。