JPH08141813A - ドリル - Google Patents

ドリル

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Publication number
JPH08141813A
JPH08141813A JP28847794A JP28847794A JPH08141813A JP H08141813 A JPH08141813 A JP H08141813A JP 28847794 A JP28847794 A JP 28847794A JP 28847794 A JP28847794 A JP 28847794A JP H08141813 A JPH08141813 A JP H08141813A
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JP
Japan
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chip
tip
hole
drill
drill body
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Application number
JP28847794A
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English (en)
Inventor
Shinji Kuroda
真司 黒田
Hiroshi Kasuya
博 糟谷
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 中空の円筒軸状のシャンク2とホルダ4から
なるドリル本体1の先端に切刃チップ13が接合されて
切刃14が設けられるとともに、シャンク2内周の中空
部は、切刃14に臨んでドリル本体1の先端に開口し、
その軸線O方向基端側に延びる切屑吸引孔11とされて
いる。また、ドリル本体1の基端部には、ホルダ4の外
周を覆う被覆体5が軸線O回りに相対回転可能に設けら
れ、この被覆体5の内周部24Bとホルダ4の外周との
間には、シャンク2の切屑吸引孔11に連通孔16を介
して連通する凹溝部(切屑吸引空間)28が、軸線Oを
中心とした環状に形成されている。さらに、被覆体5に
は、この凹溝部28に連通して吸引手段に連結可能とさ
れた切屑排出孔29が形成されている。 【効果】 粉体状や剪断状の切屑が生成される穴明け加
工であっても、効率的かつ確実に切屑処理を行うことが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に粉体状あるいは剪
断状の切屑が生成される穴明け加工に用いて最適なドリ
ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】被削材に穴明け加工を行うドリルのう
ち、特に深穴を形成する際には専らガンドリルが用いら
れる。この種のガンドリルにおいては、一般的に軸線回
りに回転されるドリル本体の円柱軸状のシャンクの先端
に円柱状の切刃チップがろう付けにより接合されたもの
が知られており、このドリル本体外周の切刃チップの先
端からシャンクの基端部にかけては切屑排出溝が形成さ
れていて、切刃チップの先端に形成された切刃によって
生成された切屑が、この切屑排出溝を通ってドリル本体
基端側に排出されるようになされている。なお、通常こ
のドリル本体には、その基端部から切刃チップの先端に
かけて切削油剤を供給する供給路が形成されていて、こ
の供給路を介して加工穴の穴底に切削油剤を供給するこ
とにより、加工時に生成された切屑を強制的に排出する
ようにも図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな切屑排出手段を有するガンドリルであっても、例え
ばネズミ鋳鉄に代表される普通鋳鉄の穴加工や焼結前に
成形加工を行う燒結金属の穴加工など、粉体状や剪断状
の切屑が生成されるような穴明け加工の場合には、かか
る切屑が切屑排出溝において詰まりを生じてしまい、切
屑の円滑な排出が阻害されてしまうという問題が生じ
る。しかして、かかる切屑詰まりが生じたまま加工を続
けようとすると、詰まった切屑によって加工穴の内周が
傷つけられて加工面粗度が劣化したり、切屑と加工穴内
周との摩擦抵抗によってドリル本体の回転駆動力が増大
したりしてしまい、場合によってはドリル本体の折損が
引き起こされるおそれもある。
【0004】また、切屑を排出するのに要する切屑の移
動距離は加工穴の深さと等しくなる一方、上記切削油剤
による切屑の強制排出力は、加工穴内において切削油剤
が供給される穴底から遠ざかるほど弱くなる。しかも、
切刃の外径が小さく、従ってドリル本体の外径も小さい
場合には、ドリル本体の剛性を確保するためには切屑排
出溝の絶対的な断面積も小さくならざるを得ない。この
ため、上述のガンドリルによる深穴加工のように、加工
穴の深さが深く、かつその内径が小さい場合には、加工
の進行に伴い加工穴が深くなるに従って、特に穴底から
離れた加工穴の開口部近傍で切屑詰まりが発生し易くな
る。
【0005】本発明は、このような背景の下になされた
もので、粉体状や剪断状の切屑が生成されるような深穴
加工の場合であっても、切屑詰まりが発生するのを防止
することができ、円滑な穴明け加工を行うことが可能な
ドリルを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、か
かる目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転
されるドリル本体の先端に切刃を設けるとともに、この
ドリル本体内に、上記切刃に臨んで該ドリル本体の先端
に開口し、上記軸線方向基端側に延びる切屑吸引孔を形
成し、この切屑吸引孔の基端側に、上記切刃により生成
された切屑を該切屑吸引孔を介して吸引する吸引手段を
連結可能としたことを特徴とする。
【0007】
【作用】このような構成のドリルにおいては、切刃によ
って生成された切屑は、該切刃に臨んで開口する切屑排
出孔からドリル本体内に導かれ、この切屑吸引孔の基端
側に連結される吸引手段によって吸引されて、該切屑排
出孔を通ってドリル本体の基端側へ排出される。従っ
て、特に生成される切屑が粉体状や剪断状などの場合に
は、これを押し出して排出しようとする従来のガンドリ
ル等の切屑排出に比べて、効率的かつ確実に切屑の排出
が促されるので、切屑詰まりの発生を防止することが可
能となる。また、生成された切屑がドリル本体内に形成
された切屑吸引孔を通って吸引、排出されることから、
切屑が加工穴の内周に接触することはなく、このため切
屑によって加工穴が傷つけられたり、切屑と加工穴との
間に摩擦抵抗が生じたりすることもない。
【0008】さらに、吸引手段による吸引力は、切屑吸
引孔の基端側に向かうほど大きくなるので、加工穴の深
さや加工の進行に関わらずに確実に切屑の吸引、排出を
行うことができる。しかも、ドリル本体は切屑吸引孔が
形成されることによって中空状となるため、等しい外
径、断面積ならば、外周に切屑排出溝が形成された従来
のガンドリルなどに比べて高い剛性を確保することがで
きる。逆に、等しい剛性とするならば切屑吸引孔を大き
くすることができ、より円滑な切屑の排出を促すことが
可能となる。
【0009】ここで、回転するドリル本体の切屑吸引孔
に対して吸引手段を連結可能とする手段の一つとして、
上記ドリル本体の基端部に、該ドリル本体を覆う被覆体
を上記軸線回りに相対回転可能に設け、この被覆体と上
記ドリル本体との間に、上記切屑吸引孔に連通する切屑
吸引空間を上記軸線を中心とした環状に形成するととも
に、上記被覆体に、この切屑吸引空間に連通し、かつ上
記吸引手段に連結可能とされた切屑排出孔を形成すると
いう手段が挙げられる。かかる構成のドリルでは、切屑
は、切屑吸引孔から切屑吸引空間を経て、切屑排出孔を
通り吸引手段によって吸引、排出されるが、この切屑吸
引空間は、軸線回りに回転するドリル本体と、これに対
して相対回転可能とされ、すなわちドリル本体の回転に
関わらず固定可能とされる被覆体との間に、上記軸線を
中心とした環状に形成されているので、ドリル本体の回
転位置に関わらずに常に切屑吸引孔と切屑排出孔とを連
通せしめることができ、これによって回転するドリル本
体の切屑吸引孔を回転しない吸引手段に連結することが
可能となる。
【0010】また、上述のように中空状となるドリル本
体の先端に切刃を設けるとともに、この切刃に臨んで切
屑吸引孔を開口せしめるには、上記ドリル本体の先端部
を円筒軸状に形成して、その内周部を上記切屑吸引孔と
するとともに、このドリル本体の先端開口縁に、上記軸
線を挟んで互いに反対側に一対の切欠部を形成し、これ
らの切欠部に平板状の切刃チップを接合して、この切刃
チップに上記切刃を設けるようにすればよい。これによ
り、ドリル本体の先端開口縁と、この開口縁に接合され
た平板状の切刃チップの側面との間に、切屑吸引孔が開
口せしめられるとともに、切刃チップはこの先端開口縁
に形成された切欠部に接合されるため、該切刃チップを
ドリル本体に強固に取り付けることが可能となる。
【0011】さらに、このような構成を採った場合に
は、上記ドリル本体の円筒軸状の先端部を、上記切刃チ
ップよりも靱性の高い材質により形成することにより、
加工時にドリル本体に作用する捻り方向の力を、このド
リル本体の靱性によってある程度吸収することが可能と
なり、かかる捻りの力によって中空の円筒軸状のドリル
本体が変形したり、潰れたりするのを未然に防止するこ
とが可能となる。
【0012】さらにまた、切屑を伴って上記吸引手段に
吸引される吸引流体は、例えばドリル本体の外周と加工
穴の内周との間からドリル先端側(穴底側)に流れ込む
空気などであるのだが、このような吸引流体のドリル先
端側への流入を損なうことなく、しかもドリル本体の直
進性を確保するには、上記ドリル本体の先端部外周に環
状のガイド部が設けるとともに、このガイド部の外周
に、上記軸線方向に亙って溝部を形成すればよい。これ
により、ガイド部が加工穴の内周に摺接してドリル本体
が支持され、その直進性が確保される一方、上記吸引流
体はこのガイド部の外周に形成された溝部を通ってドリ
ル先端側へと流入可能となるので、かかるガイド部を設
けることにより加工穴が閉塞されて吸引流体の流入が阻
害されるような事態を防ぐことができる。
【0013】
【実施例】図1ないし図4は、本発明の一実施例を示す
ものである。本実施例において、ドリル本体1は、先端
側に設けられたシャンク2と、このシャンク2の基端側
にドライバ3を介して取り付けられたホルダ4とから構
成されており、このホルダ4の基端部4Aが図示しない
マシニングセンタ等の工作機械の主軸に装着されること
により、軸線O回りに回転して穴明け加工を行うように
なされている。また、このドリル本体1の基端部のホル
ダ4の外周には、該ホルダ4の上記基端部4Aよりも先
端側に被覆体5が取り付けられている。
【0014】上記シャンク2は、合金工具鋼や超硬合金
等の硬質材料から円筒軸状に形成されており、その内周
の中空部が切屑吸引孔11とされている。このシャンク
2の先端の開口縁には、図3に示すように軸線Oを挟ん
で互いに反対側に、一対の切欠部12,12が形成され
ている。これらの切欠部12,12は互いに同形状同大
のもので、シャンク4の先端から軸線O方向に沿って基
端側に向けて延び、側面視において先端側に開口する略
「コ」字状に形成されている。なお、この切欠部12の
幅は、円筒軸状のシャンク4の内径、すなわち上記切屑
吸引孔11の径よりも小さく設定されている。
【0015】これらの切欠部12,12には、本実施例
では図3に示すような野球のホームベース型の略5角形
平板状の切刃チップ13が取り付けられている。この切
刃チップ13は、高速度工具鋼や超硬合金等の硬質材
料、あるいはダイヤモンドやCBNを主成分とする超高
硬度焼結体等の高硬度材料から形成されてなるものであ
り、上記5角形をなす側面13A,13Aの互いに直交
する3辺に囲まれた部分が切欠部12,12に嵌め込ま
れた上で、ろう付け等によりシャンク2の先端に接合さ
れている。
【0016】そして、この切刃チップ13の2つの先端
面13B,13Bと上記側面13A,13Aとの各交差
稜線部のうち、ドリル回転方向(図中白抜き矢線方向)
側に位置する交差稜線部に切刃14,14が形成されて
いる。従って、本実施例では、これらの切刃14,14
の基端側に連なる上記側面13A,13Aが該切刃1
4,14のすくい面とされ、これらの側面13A,13
Aと上記切屑吸引孔11との間には、切屑吸引孔11の
先端が切刃14,14に臨むようにして、図2に示すよ
うにドリル先端側から見て半円状に開口することとな
る。なお、切刃チップ13の上記先端面13B,13B
は、切刃14,14が形成された交差稜線部からドリル
回転方向後方側に向かうに従い基端側に向かうように傾
斜して形成されており、これにより該先端面13B,1
3Bには切刃14,14に対して逃げが与えられること
となる。また、切刃チップ13の幅、すなわち上記切刃
14,14の軸線O回りの回転径(切刃14,14の外
径)Dは、シャンク2の外径よりも僅かに大きくなるよ
うに設定されている。
【0017】ここで、この切刃チップ13は、高速度工
具鋼や超硬合金、あるいはダイヤモンドやCBNを主成
分とする超高硬度焼結体等の高硬度材料から形成される
が、例えばシャンク2が超硬合金から形成されている場
合には切刃チップ13は超高硬度焼結体から形成し、シ
ャンク2が合金工具鋼から形成されている場合には切刃
チップ13は高速度工具鋼、超硬合金、あるいは超高硬
度焼結体から形成するというように、シャンク2は切刃
チップ13の材質よりも靱性の高い材質より形成される
のが望ましい。なお、この場合には、切刃チップ13は
シャンク2よりも剛性の高い材質より形成されることと
なる。また、切刃チップ13を超高硬度焼結体から形成
する場合には、これを超硬合金との層状焼結体として形
成し、上記切刃14,14の部分に超高硬度焼結体の層
が位置し、シャンク2の切欠部12,12とのろう付け
部分に超硬合金の層が位置するようにすれば、超高硬度
焼結体へのろう材のぬれ性の悪さによるろう付け不良を
防いで高い接合強度を得ることができる。
【0018】一方、シャンク2の基端側に取り付けられ
るホルダ4は、外観多段円柱状をなすもので、軸線O方
向略中央部に最も拡径したフランジ部4Bを有するとと
もに、先端部には軸線Oに沿って取付穴4Cが形成され
ている。そして、上記シャンク2は、その基端部に外嵌
された円筒状の上記ドライバ3をこの取付穴4Cに嵌挿
させた上で、ホルダ4の先端部外周から取付穴4C内周
に向けてねじ込まれた一対のクランプねじ15,15に
より、ホルダ4に着脱自在に装着されている。なお、こ
れらのクランプねじ15,15は内周側に向かうに従い
基端側に向かう方向に僅かに傾けられてねじ込まれてい
る一方、該クランプねじ15,15の先端が当接するド
ライバ3の外周面には、クランプネジ15,15のねじ
込み方向に直交する当接面3A,3Aが形成されてい
て、クランプねじ15,15をねじ込むことにより、ド
ライバ3およびシャンク2が基端側に引き込まれて取付
穴4Cの底面に押し付けられるようになされている。
【0019】また、この取付穴4Cの底面の中央には連
通孔16が形成されており、ドライバ3を介してシャン
ク2を取付穴4Cに装着した状態で、シャンク2の上記
切屑吸引孔11に連通するようになされている。そし
て、この連通孔16は、取付穴4Cの底面から軸線Oに
沿って僅かに基端側に向かったところで軸線Oに直交す
る4方向に分岐するように形成されており、分岐した4
つの連通孔16…はホルダ4の先端部の外周に周方向に
等間隔に開口せしめられている。
【0020】このホルダ4の外周を被覆する上記被覆体
5は、先端部21と基端部22とを取付ねじ23…によ
って結合した略円筒状の部材であり、その内周部24に
ホルダ4が挿入されるようになされている。ここで、ホ
ルダ4の上記フランジ部4Bの基端側外周部と被覆体5
の基端部22における内周部24Aとの間にはベアリン
グ25が介装されており、これによってホルダ4と被覆
体5、すなわちドリル本体1と被覆体5とは、軸線O回
りに相対的に回転可能とされている。また、このベアリ
ング25の基端側にはカバー26を挟んでリング27が
ホルダ4の外周に嵌着されている。
【0021】他方、被覆体5の先端部21における内周
部24Bは、ホルダ4のフランジ部4Bよりも先端側の
部分が嵌挿可能な大きさに形成されており、ホルダ4の
外周面に開口する上記連通孔16…は、この被覆体5の
先端部21の内周部24Bに臨んで開口するようになさ
れている。そして、被覆体5の先端部21の内周部24
Bには、軸線O方向においてこのホルダ4の外周面に開
口する連通孔16…の位置に合わせて、該内周部24B
から外周側に凹む凹溝部28が、軸線Oを中心として環
状に周回するように形成されており、本実施例における
切屑吸引空間とされている。従って、シャンク2内の切
屑吸引孔11は、ホルダ4に形成された連通孔16を介
してこの切屑吸引空間とされる凹溝部28に連通せしめ
られることとなる。
【0022】さらに、被覆体5の先端部21には、上記
凹溝部28の底部から軸線Oに直交する方向に被覆体5
の外周面に貫通するように、切屑排出孔29が形成され
ており、該凹溝部28に連通せしめられている。ここ
で、この切屑排出孔29の外周側開口部内縁には雌ねじ
部29Aが形成されており、穴明け加工時には上記工作
機械側に設けられる図示しない吸引装置等の吸引手段の
吸引管が、この雌ねじ部29Aに着脱自在に連結可能と
されている。
【0023】なお、上記凹溝部28の先端側および基端
側には、ホルダ4の外周面と被覆体5の内周部24Bと
の間にシール30,30が介装されていて、それぞれカ
バー31、あるいはシールストッパ32およびリング3
3によって固定されており、凹溝部28の周囲において
ホルダ4と被覆体5の内周部24Bとの間が気密に保持
されるようになされている。ここで、これらのシール3
0,30は、本実施例ではその断面が「コ」字型をなす
環状のテフロンシールであって、凹溝部28の先端側の
シール30にあっては上記断面がなす「コ」字型が先端
側に開口するように、また基端側のシール30にあって
は上記「コ」字型が基端側に開口するようになされてい
る。すなわち、両シール30,30は、その断面がなす
「コ」字型が、凹溝部28とは反対側を向いて開口する
ように配されているのである。
【0024】このような構成のドリルは、上述の通りシ
ャンク2がホルダ3の取付孔4Cに取り付けられた上
で、ホルダ4の基端部4Aが工作機械の主軸に取り付け
られ、このドリル本体1が軸線O回りに回転されつつ該
軸線O方向先端側に送られることにより、シャンク2の
先端に接合された切刃チップ13の切刃14,14によ
って被削材に穴明け加工を行っていく。一方、被覆体5
は、ベアリング25を介してドリル本体1のホルダ4に
対し、軸線O回りに相対回転可能とされているので、ド
リル本体1の回転に関わらず、軸線Oに対する回転位置
を一定としておくことができる。そして、穴明け加工時
には、この被覆体5の上記切屑排出孔29に工作機械側
の上記吸引手段が連結され、凹溝部28および連通孔1
6を介して切屑吸引孔11から空気を吸引し、該切屑吸
引孔11内を負圧とする。
【0025】これにより、切刃14,14によって生成
された切屑は、該切刃14,14に臨んで開口する切屑
吸引孔11の先端から、該切屑吸引孔11内に吸い込ま
れてシャンク2の基端側に送られ、さらに連通孔16…
から被覆体5の凹溝部28内に流れ込む。ここで、ホル
ダ4の外周には4つの連通孔16…が開口しているのに
対し、凹溝部28は被覆体5の内周部24Bとドリル本
体1のホルダ4の外周との間に、軸線Oを中心として環
状に形成されているので、ドリル本体1の回転に関わら
ず、切屑吸引孔11および連通孔16と凹溝部28とは
常に連通した状態が維持され、吸引された切屑は滞留す
ることなくこの凹溝部28へと送り出される。そして、
こうして凹溝部28に収容された切屑は、さらに上記吸
引手段によって吸引されて切屑排出孔29から排出さ
れ、回収された後に適宜処理される。
【0026】このように、上記構成のドリルによれば、
切刃14,14によって生成された切屑は、ドリル本体
1内に形成された切屑吸引孔11から吸引手段によって
吸引されて排出されるため、粉体状や剪断状の切屑が生
成されるような穴明け加工であっても、かかる切屑を効
率的かつ確実に排出することができ、従来のように切屑
詰まりが発生したりするのを防いで、円滑な穴明け加工
を行うことが可能となる。また、このように切屑がドリ
ル本体1の内部に形成された切屑吸引孔11に導入され
て排出されることから、切屑が加工穴の内周に接触する
ことがなくなるので、従来のドリルにおいて切屑詰まり
が生じた際のように、切屑によって加工穴内周が傷つけ
られたり、加工穴内周との摩擦抵抗によってドリルの回
転駆動力が増大したりするようなこともない。
【0027】しかも、吸引手段による吸引力は、該吸引
手段側に近付くほど、すなわち切屑吸引孔11において
は基端側に向かうほど大きくなる。従って、従来のドリ
ルが切削油剤等によって切屑排出溝に沿って切屑を押し
上げて排出する場合のように、ドリルの基端側でこの切
屑の排出力が弱まって切屑の滞留が生じたりするような
ことはない。このため、加工穴の深さが深い場合など
に、加工の進行に伴ってドリル基端側で切屑詰まりが生
じ易くなったりすることもなく、切屑吸引孔11に導入
された切屑を確実に吸引して排出することが可能とな
る。
【0028】さらに、切屑吸引孔11が軸線Oに沿って
形成されることにより、本実施例ではドリル本体1のシ
ャンク2は中空の円筒軸状に形成されることとなる。こ
のため、シャンクの外周に切屑排出溝が形成された従来
のガンドリルなどに比べ、シャンクの外径および断面積
が等しいならば、高い剛性をシャンク2に与えることが
可能となるので、加工穴が深く、従ってシャンク2も長
くならざるを得ないような場合であっても、該シャンク
2に振れや曲がりが生じたりするのを抑えることがで
き、高精度の加工を行うことが可能となる。また、これ
とは逆に、シャンク2に与えるべき剛性を等しくするな
らば、シャンク2の断面積を小さく、すなわち切屑吸引
孔11の断面を大きくすることができるので、例えば切
刃14,14の外径Dが小さく、従ってシャンク2の外
径も小さくならざるを得ないような場合でも、十分な大
きさの切屑吸引孔11を確保して、より円滑な切屑の排
出を促すことが可能となる。
【0029】一方、本実施例では、ドリル本体1の基端
部のホルダ4に、このホルダ4の外周を覆う被覆体5
が、該ホルダ4、すなわちドリル本体1に対して軸線O
回りに相対回転可能に設けられており、工作機械側の吸
引手段はこの被覆体5に形成された切屑排出孔29に連
結可能とされている。そして、この被覆体5の切屑排出
孔29とドリル本体1の切屑吸引孔11とは、ドリル本
体1のホルダ4外周と被覆体5の内周部24Bとの間に
軸線Oを中心とした環状に形成された凹溝部28(切屑
吸引空間)を介して連通されているので、加工時のドリ
ル本体1の回転に関わらず、吸引手段が連結される被覆
体5は固定された状態としつつ、切屑吸引孔11は該吸
引手段に常に連結された状態としておくことができ、こ
れにより工作機械側には複雑な機構を有さずとも、確実
に切屑の吸引、排出を行うことが可能となる。
【0030】また、本実施例では、ホルダ4の外周と被
覆体5の内周部24Bとの間の、被覆体5の内周部24
B側に切屑吸引空間として凹溝部28が形成されてお
り、これにより切屑吸引孔11から吸引された切屑は、
連通孔16を通って凹溝部28に排出されたところでド
リル本体1の回転に拘束されることがなくなって、速や
かに排出口29から吸引、排出されることになるため、
この切屑がドリル本体1(ホルダ4)と被覆体5との間
に噛み込まれるような事態を防止することができるとい
う利点も奏している。ただし、場合によっては、逆にこ
の切屑吸引空間をドリル本体1(ホルダ3)の外周に形
成したり、あるいはホルダ4の外周と被覆体5の内周部
24Bとの両方に切屑吸引空間を形成したりするように
してもよい。
【0031】さらに本実施例では、この凹溝部28の先
端側と基端側とに該凹溝部28を軸線O方向に挟むよう
に、シール30,30がドリル本体1のホルダ4の外周
と被覆体5の内周との間に介装されており、これにより
両者の間を気密に保って、吸引手段による吸引力が損な
われるのを防ぐことができる。しかも、これらのシール
30,30は、その「コ」字型とされた断面が凹溝部2
8とは反対側に開口するように配設されていて、吸引手
段の吸引力によって凹溝部28側が低圧となった際に、
該凹溝部28側に押し付けられて一層気密性が高められ
るように図られている。従って、本実施例においては、
上述の吸引力の劣化をより確実に防止することができ、
さらに効率的な切屑の処理を促すことが可能となる。
【0032】一方、本実施例では、円筒軸状のシャンク
2の先端縁に一対の切欠部12,12が形成され、これ
らの切欠部12,12に平板状の切刃チップ13が嵌め
入れられた上で接合されていて、この切刃チップ13に
切刃14,14が形成されている。そして、この中空の
シャンク2の内周部が切屑吸引孔11とされるととも
に、該シャンク2先端においてシャンク2の内周部と切
刃チップ13のすくい面とされる側面13A,13Aと
の間から、切刃14,14により生成された切屑を吸引
するようにしているので、切刃14,14に臨んで開口
する切屑吸引孔11を容易に形成することが可能であ
り、しかも切刃チップ13は切欠部12,12に嵌合し
た状態で接合されているので、高い取付強度で強固に切
刃チップ13をシャンク2に取り付けることができる。
【0033】また、本実施例では、この切刃チップ13
を高速度工具鋼、超硬合金、あるいは超高硬度焼結体か
ら形成する一方、シャンク2を合金工具鋼や超硬合金よ
り形成しているが、ここで上述したように、このシャン
ク2の材質として切刃チップ13よりも靱性の高い材質
を選択するようにすれば、加工時にドリル本体1のシャ
ンク2に作用する捻り方向の力を、このシャンク2の靱
性によってある程度吸収することが可能となる。このた
め、特に加工穴の深さが深く、シャンク2の長さも長く
ならざるを得ないような場合であっても、かかる捻りの
力によってシャンク2が折損したり、変形したり、ある
いは潰れたりするような事態を未然に防止することがで
きる。また、その一方で、切刃チップ13は相対的に剛
性の高い材質となるので、切刃14,14には十分な切
刃強度を与えることができる。
【0034】ところで、このシャンク2の長さが長くな
りすぎると、たとえ中空状とすることによって剛性が確
保されたとしても、シャンク2に振れが生じてしまうお
それがある。従って、そのような場合には、シャンク2
の外周に軸線O方向に適宜間隔を開けて、切刃14,1
4の外径Dと略同外径の環状のガイド部を設け、このガ
イド部が加工穴内周に摺接することによってシャンク2
が支持されるようにするのが望ましいのであるが、その
一方で、上記吸引手段により切屑を伴って吸引、排出さ
れる吸引流体は、加工穴の開口部から加工穴内周とシャ
ンク2の外周との間を通ってドリル本体1の先端に流れ
込む空気等であるため、上記ガイド部によって加工穴の
内周とシャンク2の外周との間が閉塞されてしまうと、
この吸引流体がドリル本体1の先端側に十分に供給され
なくなってしまうという不都合が生じる。
【0035】そこで、このようにシャンク2の振れを抑
えるためにシャンク2にガイド部を設ける場合には、例
えば図5に示すように、このガイド部41の外周に軸線
O方向に亙って溝部42…を形成するのが望ましい。こ
のような構成を採ることにより、ガイド部41によって
ドリル本体1のシャンク2の直進性が確保される一方
で、溝部42…を通ってドリル本体1の先端側、すなわ
ち加工穴の穴底側に吸引流体が十分に供給されるので、
切屑の吸引、排出が阻害されるような事態を防止するこ
とが可能となる。なお、図5においてはガイド部41の
外周に複数状の溝部42…を、基端側に向かうに従いド
リル回転方向後方側に向かう螺旋状に形成しているが、
これとは逆に基端側に向かうに従いドリル回転方向側に
向かう螺旋状に形成してもよく、また軸線Oに平行な方
向に形成するようにしてもよい。
【0036】また、切屑を伴って吸引手段により切屑吸
引孔11から吸引される上記吸引流体としては、上述の
加工穴開口部から流入する空気の他に、この加工穴開口
部から切削油剤を供給するようにして、この切削油剤を
単独で、あるいは空気と併用して吸引流体とするように
してもよい。これにより、切刃14,14および被削材
の加工部位の冷却、潤滑等が図られるとともに、切屑吸
引孔11から連通孔16、凹溝部28、切屑排出孔29
を経て吸引手段に至るまでの吸引経路の気密性をさらに
高めることができるので、より一層効率的な切屑吸引を
行うことが可能となる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
粉体状や剪断状の切屑が生成されるような穴明け加工で
あっても、かかる切屑をドリル本体内に形成された切屑
吸引孔を介して吸引して排出することにより、切屑詰ま
りを生じさせることなく、効率的かつ確実に切屑処理を
行うことができる。また、切屑が加工穴の内周に接触す
ることがなくなるため、切屑によって加工穴内周面が傷
つけられたり、摩擦抵抗によってドリル回転駆動力が増
大したりすることもなく、安定した高精度の穴明け加工
を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部破断側面図であ
る。
【図2】図1に示す実施例の先端部の拡大正面図であ
る。
【図3】シャンク2の先端に切刃チップ13を取り付け
る状態を示す図である。
【図4】凹溝部28の先端側のシール30周辺を示す断
面図である。
【図5】シャンク2の外周に設けられるガイド部42の
(イ)断面図、(ロ)側面図である。
【符号の説明】
1 ドリル本体 2 シャンク 4 ホルダ 5 被覆体 11 切屑吸引孔 12 切欠部 13 切刃チップ 14 切刃 16 連通孔 24A,24B 被覆体5の内周部 25 ベアリング 28 凹溝部(切屑吸引空間) 29 切屑排出孔 30 シール 41 ガイド部 42 溝部 O ドリル本体1の回転軸線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転されるドリル本体の先端
    に切刃が設けられるとともに、このドリル本体内には、
    上記切刃に臨んで該ドリル本体の先端に開口し、上記軸
    線方向基端側に延びる切屑吸引孔が形成され、この切屑
    吸引孔の基端側には、上記切刃により生成された切屑を
    該切屑吸引孔を介して吸引する吸引手段が連結可能とさ
    れていることを特徴とするドリル。
  2. 【請求項2】 上記ドリル本体の基端部には、該ドリル
    本体を覆う被覆体が上記軸線回りに相対回転可能に設け
    られ、この被覆体と上記ドリル本体との間には、上記切
    屑吸引孔に連通する切屑吸引空間が上記軸線を中心とし
    た環状に形成されているとともに、上記被覆体には、こ
    の切屑吸引空間に連通し、かつ上記吸引手段に連結可能
    とされた切屑排出孔が形成されていることを特徴とする
    請求項1に記載のドリル。
  3. 【請求項3】 上記ドリル本体の先端部は円筒軸状に形
    成されていて、その内周部が上記切屑吸引孔とされると
    ともに、このドリル本体の先端開口縁には、上記軸線を
    挟んで互いに反対側に一対の切欠部が形成され、これら
    の切欠部に平板状の切刃チップが接合されていて、この
    切刃チップに上記切刃が設けられていることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載のドリル。
  4. 【請求項4】 上記ドリル本体の円筒軸状の先端部は、
    上記切刃チップよりも靱性の高い材質により形成されて
    いることを特徴とする請求項3に記載のドリル。
  5. 【請求項5】 上記ドリル本体の先端部外周には環状の
    ガイド部が設けられているとともに、このガイド部の外
    周には、上記軸線方向に亙って溝部が形成されているこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載のドリル。
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