JP4613971B2 - 樹脂成形方法および樹脂成形品および金型 - Google Patents

樹脂成形方法および樹脂成形品および金型 Download PDF

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Description

本発明は、母材中に充填材が配合された溶融樹脂を原料とする樹脂成形方法および樹脂成形品および金型に関する。
特許文献1には、ウェルド部を意図的に発生させる樹脂成形方法が開示されている。同文献開示の樹脂成形方法によると、樹脂流路に邪魔部材が配置されている。また、樹脂流路に注入される溶融樹脂は、繊維を含有している。樹脂流路において、溶融樹脂の流れは、邪魔部材に衝突して分流する。一旦分流した流動先端同士が再び会合することにより、ウェルド部が形成される。ここで、溶融樹脂中の繊維は、ウェルド部の延在方向に沿って配向する。このため、同文献開示の樹脂成形方法によると、樹脂成形品の、ウェルド部の延在方向に対する引張強度や曲げ強度を向上させることができる。特許文献2、特許文献3にも、特許文献1と同様に、ウェルド部を発生させることにより、溶融樹脂中の繊維を配向させる樹脂成形方法が開示されている。
特開平8−142218号公報 特開2003−231156号公報 特開平10−34762号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献3開示の樹脂成形方法によると、繊維の配向性が不充分であった。すなわち、溶融樹脂の流速は、必ずしも一定ではない。溶融樹脂の流速は、例えば樹脂流路の流路断面積の変化や流路断面形状の変化などにより、変化しやすい。
図46に、従来の樹脂成形方法に用いられる金型の上下方向断面図を示す。図46に示すように、金型100は、ゲート101とキャビティ102とを備えている。ゲート101は、金型100の固定型(図略)に配置されている。ゲート101は、キャビティ102の上下方向略中央に配置されている。ゲート101の断面形状は、略真円状を呈している。このため、ゲート101からキャビティ102内に流入する溶融樹脂の流動先端は、流動先端MF101→流動先端MF102→流動先端MF103→流動先端MF104のように、ゲート101を略中心とする略同心円状にキャビティ102に拡散していく。
ところが、仮に、繊維をキャビティ102の長手方向(図中の上下方向)に配向させたい場合、キャビティ102における溶融樹脂の拡散方向と、所望の繊維配向方向とが、一致しなくなる。このため、所望の繊維配向方向を基準に見ると、溶融樹脂の流速は、ゲート101に最も近い前後方向中央部P101が最も速く、ゲート101に最も遠い前後方向両端部P102が最も遅いことになる。
この場合、キャビティ102に無作為に邪魔部材を配置しても、当該溶融樹脂の流速のばらつきを補正することはできない。それどころか、却って溶融樹脂の流速のばらつきを大きくしてしまうおそれすらある。
溶融樹脂の流速のばらつきが大きいと、邪魔部材の下流側において、分流した溶融樹脂の流動先端が、所望の繊維配向方向(図中の上下方向)に対して略垂直方向(図中の前後方向)に、一列に揃わなくなる。このため、流動先端同士が会合する際、流速差により、繊維の配向性が乱れるおそれがある。
本発明の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、繊維などの充填材の配向性を向上させることができる樹脂成形方法および樹脂成形品および金型を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の樹脂成形方法は、金型を締め、成形機のノズルの下流側に配置されるゲートと、該ゲートの下流側に配置されるキャビティと、を備える樹脂流路を形成し、該樹脂流路に邪魔部材を配置する型締め工程と、該ノズルから、該樹脂流路に、母材と、該母材に分散される異方性の強化用の充填材と、を備える溶融樹脂を注入し、該溶融樹脂の流れを該邪魔部材が邪魔することにより、該邪魔部材の上流側における該溶融樹脂の流速のばらつきを補正すると共に該邪魔部材の下流側にウェルド部を形成し、該ウェルド部の延在方向における該充填材の配向性を向上させる注入工程と、該金型を開き、該溶融樹脂が固化して形成され、該充填材の配向方向に強化された樹脂成形品を取り出す型開き工程と、を有し、該ゲートは、該キャビティにおける該ゲート連通部分の延在方向に対して、交差する方向に該キャビティに連なっていることを特徴とする(請求項1に対応)。
注入工程において、邪魔部材は、邪魔部材の上流側における溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。並びに、一旦分流(溶融樹脂の流れが完全に分離しなくてもよい)した溶融樹脂の流れが再び会合することにより、邪魔部材の下流側にウェルド部を形成することができる。本発明の樹脂成形方法によると、分流した複数の流動先端間の流速差が小さくなる。このため、注入工程における充填材の配向性を向上させることができる。したがって、樹脂成形品を充填材の配向方向に強化することができる。
また、従来、充填材の配向性は、キャビティの型面付近(つまり樹脂成形品の表面付近)が高く、キャビティの内部(つまり樹脂成形品の内部)が低くなる傾向にあった。この点、本発明の樹脂成形方法によると、キャビティの型面付近のみならず、ウェルド部付近においても、充填材の配向性を高くすることができる。このため、キャビティの内部(つまり樹脂成形品の内部)においても、充填材の配向性を高くすることができる。したがって、肉厚の厚い樹脂成形品を成形するのに好適である。また、要求される強度(引張強度や曲げ強度など)が高い樹脂成形品を成形するのに好適である。
また、本発明の樹脂成形方法によると、キャビティに対してゲートを所望の位置に配置することができる。このため、樹脂成形品において応力集中が生じにくい部分に、ゲートカット跡を配置することができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記邪魔部材は、前記樹脂流路の流路方向に対して交差する方向に、複数並設されており、前記溶融樹脂の流れは、該邪魔部材の上流側において、該流路方向の流速が最も速くなる最速部と、該流路方向の流速が最も遅くなる最遅部と、を備え、隣接する一対の該邪魔部材の少なくとも一部間の間隔は、該最速部に最も近い部分の方が、該最遅部に最も近い部分よりも、狭くなるように設定されている構成とする方がよい(請求項2に対応)。
溶融樹脂の流れにおいて最も流速差が大きいのは、最速部と最遅部である。これに対して、複数の邪魔部材のうち、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも一部間の間隔は、最速部に最も近い部分の方が、最遅部に最も近い部分よりも、狭くなるように設定されている。
本構成によると、樹脂流路における邪魔部材配置部分を溶融樹脂の流れが通過する際、最速部の方が、最遅部よりも、大きな流動抵抗を邪魔部材から受けることになる。このため、最大の流速差を持つ最速部の流動先端と最遅部の流動先端とを、邪魔部材の下流側において揃えやすくなる。したがって、注入工程における充填材の配向性を、より向上させることができる。また、樹脂成形品を、充填材の配向方向に、より強化することができる。
(2−1)好ましくは、上記(2)の構成において、隣接する一対の前記邪魔部材の少なくとも一部間の間隔は、該最速部に最も近い部分が最も狭く、該最遅部に最も近い部分が最も広く、なるように設定されている構成とする方がよい。
本構成によると、樹脂流路における邪魔部材配置部分を溶融樹脂の流れが通過する際、最速部が最も大きな流動抵抗を、最遅部が最も小さな流動抵抗を、それぞれ邪魔部材から受けることになる。このため、さらに溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。したがって、注入工程における充填材の配向性を、より向上させることができる。また、樹脂成形品を、充填材の配向方向に、より強化することができる。
(2−2)好ましくは、上記(2)の構成において、前記邪魔部材の少なくとも一部は、該邪魔部材の少なくとも上流端である構成とする方がよい。本構成によると、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも上流端間の間隔は、最速部に最も近い部分の方が、最遅部に最も近い部分よりも、狭くなるように設定されている。樹脂流路における邪魔部材配置部分に溶融樹脂の流れが差し掛かる際、最も早く到達するのが上流端である。このため、隣接する一対の邪魔部材の上流端間の間隔を、最速部に最も近い部分の方が、最遅部に最も近い部分よりも、狭くなるように設定しておくと、最速部の方が、最遅部よりも、邪魔部材間に流れ込みにくくなる。このため、さらに溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。また、上流端において流速差補正が可能になるため、邪魔部材の流路方向長さを短くすることができる。
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記樹脂流路における複数の前記邪魔部材配置部分の、複数の該邪魔部材の並設方向長さは、20mm以上である構成とする方がよい(請求項3に対応)。つまり、本構成は、樹脂流路における複数の邪魔部材配置部分の、邪魔部材が並んでいる方向(流路方向に対して交差する方向)の長さを、20mm以上にするものである。
ここで、樹脂流路における複数の邪魔部材配置部分の、邪魔部材の並設方向長さを20mm以上にしたのは、20mm未満の場合、邪魔部材配置部分の上流側における最速部と最遅部との流速差が比較的小さいため、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも一部間の間隔を調整することによる流速差補正効果を発揮しにくいからである。
(3−1)好ましくは、上記(3)の構成において、前記樹脂流路における複数の前記邪魔部材配置部分の、複数の該邪魔部材の並設方向長さは、25mm以上である構成とする方がよい。この場合、邪魔部材配置部分の上流側における最速部と最遅部との流速差がさらに大きくなりやすい。このため、上記流速差補正効果を、さらに発揮しやすくなる。
(4)好ましくは、上記(1)の構成において、前記邪魔部材は、前記樹脂流路の流路方向に対して交差する方向に、複数並設されていると共に、隣接する一対の該邪魔部材の少なくとも一部間の間隔が、略均等になるように設定されており、該樹脂流路の複数の該邪魔部材の上流側には、複数の該邪魔部材の並設方向に延在し、前記溶融樹脂の流速のばらつきを該邪魔部材に先立って補正する絞り部材の少なくとも上流端が配置されており、該樹脂流路の、該絞り部材付近の流路方向と、該邪魔部材付近の流路方向と、は一致している構成とする方がよい(請求項4に対応)。
本構成によると、上流側から下流側に向かって、絞り部材の上流端、邪魔部材の順に、溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。このため、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも一部間の間隔を略均等にしても、溶融樹脂の流速のばらつきを小さくすることができる。したがって、注入工程における充填材の配向性を、向上させることができる。また、樹脂成形品を、充填材の配向方向に、強化することができる。
(4−1)好ましくは、上記(4)の構成において、前記邪魔部材の少なくとも一部は、該邪魔部材の少なくとも上流端である構成とする方がよい。本構成によると、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも上流端間の間隔は、略均等になるように設定されている。樹脂流路における邪魔部材配置部分に溶融樹脂の流れが差し掛かる際、最も早く到達するのが上流端である。このため、隣接する一対の邪魔部材の上流端間の間隔を略均等にしておけば、邪魔部材の流路方向長さを短くすることができる。
(5)好ましくは、上記(1)の構成において、前記邪魔部材は、前記樹脂流路の流路方向に対して交差する方向に、複数並設されていると共に、隣接する一対の該邪魔部材の少なくとも一部間の間隔が、略均等になるように設定されており、該樹脂流路における複数の該邪魔部材配置部分の、複数の該邪魔部材の並設方向長さは、20mm未満である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
樹脂流路における複数の邪魔部材配置部分の、邪魔部材の並設方向長さが20mm未満の場合、邪魔部材配置部分の上流側における溶融樹脂の流速のばらつきが比較的小さい。このため、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも一部間の間隔を略均等にしても、溶融樹脂の流速のばらつきを小さくすることができる。したがって、注入工程における充填材の配向性を、向上させることができる。また、樹脂成形品を、充填材の配向方向に、強化することができる。
ここで、樹脂流路における複数の邪魔部材配置部分の、邪魔部材の並設方向長さを20mm未満にしたのは、20mm以上の場合、邪魔部材配置部分の上流側における溶融樹脂の流速のばらつきが比較的大きいため、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも一部間の間隔が略均等では、流速のばらつきを補正しにくいからである。
(5−1)好ましくは、上記(5)の構成において、前記樹脂流路における複数の前記邪魔部材配置部分の、複数の該邪魔部材の並設方向長さは、15mm未満である構成とする方がよい。この場合、さらに、邪魔部材配置部分の上流側における溶融樹脂の流速のばらつきが小さくなる。このため、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも一部間の間隔を略均等にしても、溶融樹脂の流速のばらつきを充分小さくすることができる。
(5−2)好ましくは、上記(5)の構成において、前記邪魔部材の少なくとも一部は、該邪魔部材の少なくとも上流端である構成とする方がよい。本構成によると、隣接する一対の邪魔部材の少なくとも上流端間の間隔は、略均等になるように設定されている。樹脂流路における邪魔部材配置部分に溶融樹脂の流れが差し掛かる際、最も早く到達するのが上流端である。このため、隣接する一対の邪魔部材の上流端間の間隔を略均等にしておけば、邪魔部材の流路方向長さを短くすることができる。
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記樹脂流路は、上流側から下流側に向かって流路断面積が大きくなる拡張部を備え、前記邪魔部材は、該拡張部の下流側に配置されている構成とする方がよい(請求項6に対応)。
溶融樹脂の流れは、拡張部を通過する際、拡散する(例えば、前出図46においては、溶融樹脂はゲート101を通過する際、拡散する。)。このため、拡張部の下流側では、流路方向に対して略垂直方向における、溶融樹脂の流速分布がばらつきやすい。
この点、本構成によると、邪魔部材が拡張部の下流側(直下でなくてもよい)に配置されている。このため、拡張部を通過したことによる溶融樹脂の流速のばらつきを、邪魔部材により補正することができる。
(6−1)好ましくは、上記(6)の構成において、前記邪魔部材は、前記拡張部の前記流路方向直下に配置されている構成とする方がよい。本構成によると、拡張部を通過したことによる溶融樹脂の流速のばらつきを、邪魔部材により、迅速に補正することができる。
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記拡張部および前記邪魔部材は、前記ゲートの上流側に配置されている構成とする方がよい(請求項7に対応)。本構成によると、ゲート上流側に拡張部および邪魔部材が配置されている。このため、ゲート下流側に拡張部および邪魔部材を配置する場合と比較して、成形後の樹脂成形品に、拡張部や邪魔部材の形状が発現しにくい。したがって、樹脂成形品の形状設定の自由度が高い。また、本構成によると、樹脂成形品の全体に亘って、充填材の配向性を向上させることができる。このため、樹脂成形品の全体を強化することができる。
(8)好ましくは、上記(7)の構成において、前記拡張部と前記邪魔部材との間には、複数の該邪魔部材の並設方向に延在し、該拡張部を通過する際における前記溶融樹脂の流れの拡散による流速のばらつきを該邪魔部材に先立って補正する絞り部材が配置されており、前記樹脂流路の、該絞り部材付近の流路方向と、該邪魔部材付近の流路方向と、は一致している構成とする方がよい(請求項8に対応)。
本構成によると、溶融樹脂の流れを、複数の邪魔部材に充分行き渡らせることができる。並びに、邪魔部材に先立って、溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。このため、より溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。
(9)好ましくは、上記(7)または(8)の構成において、前記溶融樹脂の流れは、前記ゲートから前記キャビティに流入する際、複数の流れに分流する構成とする方がよい(請求項9に対応)。
(9−1)好ましくは、上記(9)の構成において、前記ゲートは、前記キャビティにおける該ゲート連通部分の延在方向に対して、略垂直に該キャビティに連なっている構成とする方がよい。
本構成によると、キャビティに流入した溶融樹脂の流れを、キャビティの型面(具体的にはゲートが連なる型面と対向する型面)や、キャビティ内に配置されたインサート用の別部材の表面などに、略垂直方向から衝突させることができる。このため、溶融樹脂の流れを、簡単に、二手に分流化することができる。
(10)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記樹脂成形品は、所望の強度を有する強化部を備え、前記キャビティは、該強化部を成形する強化部用成形部を備え、前記邪魔部材は、該キャビティにおける該強化部用成形部の上流側に配置されている構成とする方がよい(請求項10に対応)。本構成によると、強化部用成形部における充填材の配向性を、より向上させることができる。このため、樹脂成形品の強化部を、より強化しやすい。
(11)好ましくは、上記(1)ないし(10)のいずれかの構成において、前記樹脂流路は、前記邪魔部材の下流側に、流路断面積が変化する変化部を備え、該変化部の下流側には、該変化部を通過することによる前記溶融樹脂の流れの乱れを補正する整流部材が配置されている構成とする方がよい(請求項11に対応)。
変化部においては、流路断面積が変化する。このため、変化部を通過する際、溶融樹脂の流れが乱れる場合がある。溶融樹脂の流れが乱れると、邪魔部材の下流側であるにもかかわらず、溶融樹脂の流速がばらつくおそれがある。したがって、充填材の配向性を向上させにくくなる。
この点、本構成によると、整流部材により、溶融樹脂の流れの乱れを補正することができる。このため、樹脂流路の形状に因らず、充填材の配向性を向上させることができる。したがって、樹脂成形品の形状に因らず、樹脂成形品を強化することができる。
(12)また、上記課題を解決するため、本発明の樹脂成形品は、上記(1)ないし(11)のいずれかの樹脂成形方法により成形され、複数の前記ウェルド部を備えることを特徴とする(請求項12に対応)。
本発明の樹脂成形品は、複数のウェルド部を備えている。充填材の少なくとも一部は、ウェルド部の延在方向に沿って配向している。このため、ウェルド部の延在方向に対する引張強度や曲げ強度などを向上させることができる。
(13)また、上記課題を解決するため、本発明の金型は、上記(1)ないし(11)のいずれかの樹脂成形方法に用いられ、前記樹脂流路と、前記邪魔部材と、を備えてなることを特徴とする(請求項13に対応)。
金型に邪魔部材を配置すると、邪魔部材の上流側における溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。並びに、一旦分流(溶融樹脂の流れが完全に分離しなくてもよい)した溶融樹脂の流れが再び会合することにより、邪魔部材の下流側にウェルド部を形成することができる。本発明の金型によると、分流した複数の流動先端間の流速差が小さくなる。このため、充填材の配向性を向上させることができる。したがって、樹脂成形品を充填材の配向方向に強化することができる。
(14)好ましくは、上記(13)の構成において、前記邪魔部材を有する邪魔部材用スライドコアを備える構成とする方がよい(請求項14に対応)。本構成によると、型開き工程の際、邪魔部材がアンダカットになるおそれが小さい。このため、樹脂成形品を容易に取り出すことができる。
(14−1)好ましくは、上記(14)の構成において、単一の前記邪魔部材用スライドコアが複数の前記邪魔部材を有する構成とする方がよい。こうすると、金型の構造が簡単になる。また、より迅速に、型締め工程、型開き工程を実行することができる。
本発明によると、充填材の配向性を向上させることができる樹脂成形方法および樹脂成形品および金型を提供することができる。
以下、本発明の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型の実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[金型]
まず、本実施形態の金型について説明する。
(金型の構成)
まず、金型の構成について説明する。図1に、本実施形態の金型の型開き状態における斜視図を示す。図2に、同金型の型締め状態における斜視図を示す。図3に、図2のIII−III方向断面図を示す。図4に、図2のIV−IV方向断面図を示す。図5に、図4の枠V内の拡大図を示す。図1〜図5に示すように、金型1は、固定型20と、可動型21と、邪魔部材用スライドコア22U、22Dと、を備えている。
固定型20は、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。固定型20には、スプルー200と、スライドコア用凹部201と、が形成されている。スライドコア用凹部201は、固定型20の左面に凹設されている。スライドコア用凹部201は、上下方向に延在している。スライドコア用凹部201の断面は、矩形状を呈している。
スプルー200は、固定型20の右面の中央よりも上の部分に穿設されている。スプルー200は、固定型20の右面からスライドコア用凹部201の右底面まで、延在している。すなわち、スプルー200とスライドコア用凹部201とは、連通している。スプルー200の左端、つまりスプルー200とスライドコア用凹部201との境界には、拡張部27が配置されている。スプルー200の断面は、略真円状を呈している。スプルー200は、左方から右方に向かって緩やかに尖るテーパ孔状を呈している。スプルー200の右端は、成形機のノズル(図略)に連通している。
可動型21は、クロムモリブデン鋼製であって、矩形板状を呈している。可動型21は、固定型20の左方に配置されている。可動型21は、固定型20に対して、左右方向に離接可能である。可動型21の右面には、キャビティ用凹部210が凹設されている。キャビティ用凹部210は、浅底であり、矩形状を呈している。
邪魔部材用スライドコア22Uは、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。邪魔部材用スライドコア22Uは、固定型20のスライドコア用凹部201に対して、上側から進退可能である。邪魔部材用スライドコア22Uの下面には、絞り部材220Uと、邪魔部材221Uと、が一体に形成されている。
絞り部材220Uは、邪魔部材用スライドコア22Uの下面から、下方に突設されている。絞り部材220Uは、前後方向に延在している。絞り部材220Uの断面は、矩形状を呈している。
邪魔部材221Uは、邪魔部材用スライドコア22Uの下面から、下方に突設されている。邪魔部材221Uは、絞り部材220Uの左方に配置されている。邪魔部材221Uは、矩形板状を呈している。邪魔部材221Uは、左右方向に延在している。邪魔部材221Uは、合計七枚配置されている。七枚の邪魔部材221Uは、前後方向に並設されている。
邪魔部材用スライドコア22Dの材質、構成は、上記邪魔部材用スライドコア22U同様である。また、邪魔部材用スライドコア22Dは、邪魔部材用スライドコア22Uに対して、スプルー200を基準に、上下対称に配置されている。すなわち、邪魔部材用スライドコア22Dは、固定型20のスライドコア用凹部201に対して、下側から進退可能である。邪魔部材用スライドコア22Dの上面には、絞り部材220Dと、七枚の邪魔部材221Dと、が一体に形成されている。絞り部材220Dは上記絞り部材220Uと、七枚の邪魔部材221Dは七枚の上記邪魔部材221Uと、上下方向に対向している。
型開き状態においては、図1に示すように、固定型20を基準に、可動型21が左方に、邪魔部材用スライドコア22Uが上方に、邪魔部材用スライドコア22Dが下方に、それぞれ離間している。
型締め状態においては、図2に示すように、固定型20左面と可動型21右面とが当接している。並びに、固定型20のスライドコア用凹部201に、上方から邪魔部材用スライドコア22Uが、下方から邪魔部材用スライドコア22Dが、それぞれ進入している。図3に示すように、絞り部材220Uと絞り部材220Dとは、上下方向に所定間隔離間して配置されている。七枚の邪魔部材221U下端面と七枚の邪魔部材221D上端面とは、各々当接している。
(邪魔部材間の間隔)
次に、七枚の邪魔部材221U間の間隔について説明する。図5に示すように、隣接する一対の邪魔部材221U(説明の便宜上ハッチングを施す。)間の間隔B2〜B7、およびスライドコア用凹部201前面と邪魔部材221U間の間隔B1、およびスライドコア用凹部201後面と邪魔部材221U間の間隔B8は、不均等になるように設定されている。具体的には、間隔B1〜B8は、(B1=B8)>(B2=B7)>(B3=B6)>(B4=B5)となるように設定されている。なお、間隔B1〜B8は、後述する八つのゲート25のゲート幅に対応する。
同様に、拡張部27の中心A1から間隔B1〜B8の中心までの中心間距離L1〜L8も不均等である。具体的には、中心間距離L1〜L8は、(L1=L8)>(L2=L7)>(L3=L6)>(L4=L5)となっている。すなわち、間隔B1〜B8は、中心間距離L1〜L8が長い、つまり拡張部27から遠いほど、広くなるように設定されている。なお、七枚の邪魔部材221D間の間隔も、七枚の邪魔部材221U間の間隔と同様に設定されている。
(樹脂流路の構成)
次に、金型1に形成される樹脂流路の構成について説明する。樹脂流路90は、図2にハッチングで示すように、型締め状態の金型1の内部に形成されている。樹脂流路90は、前記スプルー200と、ランナー23と、頸部24と、八つのゲート25と、キャビティ26と、を備えている。
ランナー23は、図3に示すように、スライドコア用凹部201の、上下方向に対向する絞り部材220U、220D右方に、形成されている。ランナー23は、前後方向に延在している。ランナー23は、スプルー200の左方に配置されている。ランナー23とスプルー200との境界である拡張部27においては、樹脂流路90の流路断面積(この部分を溶融樹脂は左右方向に流れるから、上下方向(具体的には上下前後に展開する平面方向)の断面積)が、急激に大きくなる。
頸部24は、スライドコア用凹部201の、上下方向に対向する絞り部材220U、220D間に、形成されている。頸部24は、前後方向に延在している。頸部24は、ランナー23の左方に配置されている。頸部24の流路断面積(上下方向の断面積)は、ランナー23の流路断面積(上下方向の断面積)に対して、急激に小さくなる。
八つのゲート25は、スライドコア用凹部201の頸部24左方に配置されている。スライドコア用凹部201の頸部24左方(つまり絞り部材220U、220D左方)には、互いに当接した七枚の邪魔部材221Uおよび七枚の邪魔部材221Dが配置されている。八つのゲート25は、スライドコア用凹部201の頸部24左方空間が、七枚の邪魔部材221Uおよび七枚の邪魔部材221Dで分割されることにより、形成されている。
キャビティ26は、邪魔部材用スライドコア22U、22Dの左面と、可動型21のキャビティ用凹部210と、により形成されている。キャビティ26は、八つのゲート25の左方に配置されている。
このように、型締め状態の金型1の内部には、上流側から下流側に向かって、スプルー200→ランナー23→頸部24→八つのゲート25→キャビティ26と連通する樹脂流路90が形成されている。スプルー200からゲート25までの樹脂流路90の流路方向は、左右方向である。キャビティ26の樹脂流路90の流路方向、つまり所望の充填材配向方向は、キャビティ26の長手方向つまり上下方向である。
[樹脂成形方法]
次に、本実施形態の樹脂成形方法について説明する。本実施形態の樹脂成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。
(型締め工程)
まず、型締め工程について説明する。型締め工程においては、金型1を、図1に示す型開き状態から、図2〜図5に示す型締め状態に、切り替える。具体的には、固定型20に対して、可動型21を左方から当接させる。また、固定型20のスライドコア用凹部201に、上方から邪魔部材用スライドコア22Uを、下方から邪魔部材用スライドコア22Dを、それぞれ進入させる。
型締めにより、金型1の内部には、図2にハッチングで示すように、スプルー200→ランナー23→頸部24→八つのゲート25→キャビティ26と連通する樹脂流路90が区画される。
(注入工程)
次に、注入工程について説明する。注入工程においては、成形機のノズルから、樹脂流路90に、溶融樹脂を注入する。溶融樹脂は、ナイロン66と、ガラス繊維と、を備えている。ナイロン66は、本発明の母材に含まれる。ガラス繊維は、本発明の充填材に含まれる。ガラス繊維は、溶融状態のナイロン66に分散している。成形機のシリンダ温度は約290℃である。また、金型1の温度は約80℃である。
溶融樹脂の流動先端MF1〜MF10は、図3、図4に一点鎖線で模式的に示すように、樹脂流路90内を流動する。すなわち、溶融樹脂は、スプルー200内を、流動先端MF1→流動先端MF2で示すように、右方から左方に流動する。樹脂流路90の流路断面積は、スプルー200左端の拡張部27において、前後方向に急激に拡張する。このため、溶融樹脂は、拡張部27を通過後、流動先端MF3で示すように、拡散しながらランナー23に流入する。
ここで、流動先端MF3は、拡張部27を略中心とする曲面状を呈している。このため、流動先端MF3の流路方向(左右方向)の流速は、ばらついている。すなわち、拡張部27の中心A1直近に、流動先端MF3において流路方向の流速が最も速くなる最速部V1が、配置される。また、拡張部27の口縁に、流動先端MF3において流路方向の流速が最も遅くなる最遅部V2が、配置される。
流動先端MF3において、最速部V1は最も速く、最遅部V2は最も遅く、頸部24に到着する。しかしながら、頸部24においては、流路断面積が上下方向から絞られている。このため、最も速く到着した最速部V1付近(前後方向略中央)の溶融樹脂の一部は、流動先端MF4で示すように、頸部24に堰き止められ、最遅部V2方向つまり前後方向に、回り込む。したがって、頸部24下流側においては、流動先端MF5で示すように、頸部24上流側に対して、最速部V1と最遅部V2との流速差が補正されている。
頸部24を通過した溶融樹脂は、流動先端MF6で示すように、七枚の邪魔部材221Uおよび七枚の邪魔部材221Dにより分割された、八つのゲート25に流れ込む。すなわち、溶融樹脂の流れは、八つに分流する。
ここで、八つのゲート25のゲート幅B1〜B8は、図5に示すように、(B1=B8)>(B2=B7)>(B3=B6)>(B4=B5)となるように設定されている。すなわち、拡張部27の中心A1から遠いほど、ゲート幅が広くなるように設定されている。このため、溶融樹脂の流れが八つのゲート25に流れ込む際、最速部V1付近の方が、最遅部V2付近よりも、大きな流動抵抗を邪魔部材221U、221Dから受けることになる。したがって、八つのゲート25を通過した溶融樹脂は、流動先端MF7で示すように、流速が略同じになっている。
キャビティ26に流入した溶融樹脂は、キャビティ26の延在方向(上下方向)に拡散する。図6に、本実施形態の金型の可動型の型締め状態における右面図を示す。図6に示すように、八つの流動先端MF8は、前後方向に押し合いながら、上下方向に流動する。
ここで、八つの流動先端MF8の流速は、略同じである。このため、八つの流動先端MF8は、流動先端MF9→流動先端MF10で示すように、前方あるいは後方に湾曲することなく、互いに略平行に上下方向に流動する。
分流した流動先端同士の境界には、ウェルド部WLが形成される。図7に、図6の円VII内の拡大図を示す。図7に模式的に示すように、溶融樹脂91のガラス繊維910は、ウェルド部WLの延在方向(上下方向)に沿って配向している。この状態で、溶融樹脂91は、キャビティ26において、冷却、固化される。
(型開き工程)
次に、型開き工程について説明する。型開き工程においては、金型1を、図2〜図7に示す型締め状態から、図1に示す型開き状態に、再び切り替える。具体的には、固定型20に対して、可動型21を左方に離間させる。また、固定型20のスライドコア用凹部201から、上方に邪魔部材用スライドコア22Uを、下方に邪魔部材用スライドコア22Dを、それぞれ退出させる。
図8に、型開き状態の可動型に形成される中間成形品の斜視図を示す。中間成形品92は、樹脂流路90と略同じ形状を呈している。すなわち、中間成形品92は、スプルー固化部200A、ランナー固化部23A、頸部固化部24A、八つのゲート固化部25A、キャビティ固化部26Aを備えている。八つのゲート固化部25Aは、図8中にハッチングで示すように、ゲートカットされる。ゲートカット後のキャビティ固化部26Aが、樹脂成形品となる。
[樹脂成形品]
次に、本実施形態の樹脂成形品について説明する。図9に、本実施形態の樹脂成形品の斜視図を示す。図10に、図9のX−X方向断面図を示す。なお、以下に説明する樹脂成形品93は、模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、樹脂成形品93に、ウェルド部WL、ゲートカット跡GC、高配向部93aと低配向部93bとのコントラストが確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図9に示すように、本実施形態の樹脂成形品93は、上下方向に長い矩形板状を呈している。具体的には、樹脂成形品93の上下方向長さW1は130mmであり、前後方向長さW2は50mmであり、左右方向長さW3は12mmである。
樹脂成形品93の表面には、七本のウェルド部WLと八つのゲートカット跡GCとが形成されている。八つのゲートカット跡GCは、矩形状を呈している。八つのゲートカット跡GCは、樹脂成形品93の右面の上下方向中央よりも上の部分に形成されている。八つのゲートカット跡GCは、前後方向に略一列に並んでいる。八つのゲートカット跡GCの面積を比較すると、前後方向中央の二つのゲートカット跡GCの面積が最も小さくなっている。また、前後方向両端の二つのゲートカット跡GCの面積が最も大きくなっている。
七本のウェルド部WLは、上下方向に延びる線状を呈している。七本のウェルド部WLは、八つのゲートカット跡GCを、一つずつに区分けしている。このため、上記八つのゲートカット跡GCの面積の相違に応じて、七本のウェルド部WL間の間隔も不均等である。
樹脂成形品93の断面(ただし、カットした断面ではなく、曲げ試験などで破断した破断面)には、図10に示すように、高配向部93aと低配向部93bとが観察される。高配向部93aは、樹脂成形品93の表面付近(つまり前出図2に示す金型1のキャビティ26の型面付近)およびウェルド部WL付近に形成されている。一方、低配向部93bは、樹脂成形品93の内部であって、かつウェルド部WLから離間した部分に形成されている。
高配向部93aにおいては、ガラス繊維が上下方向に良好に配向している。このため、高配向部93aの断面においては、ガラス繊維が毛羽立っている。一方、低配向部93bは、高配向部93aよりも、ガラス繊維の配向性が低い。このため、低配向部93bの断面においては、高配向部93aの断面と比較して、ガラス繊維が毛羽立っていない。
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形品93は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。複数のゲートカット跡GCが形成されている。複数のゲートカット跡GCの面積は不均等である。複数のウェルド部WLが形成されている。互いに隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は不均等である。ウェルド部WL間の間隔の広狭と、ゲートカット跡GCの面積の大小と、は対応している。ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面(破断面)に、少なくとも高配向部93aが観察される。
[作用効果]
次に、本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品93および金型1の作用効果について説明する。本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、邪魔部材221U、221Dが用いられている。邪魔部材221U、221Dは、上流側における溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。並びに、邪魔部材221U、221Dは、下流側にウェルド部WLを形成することができる。このため、流動先端MF8〜MF10間の流速差が小さくなる。したがって、図7に模式的に示すように、注入工程におけるガラス繊維910の配向性を向上させることができる。また、樹脂成形品93をガラス繊維910の配向方向に強化することができる。
また、本実施形態の樹脂成形方法によると、邪魔部材221U、221Dの下流側にウェルド部WLを形成することができる。このため、キャビティ26の型面付近のみならず、ウェルド部WL付近においても、ガラス繊維910の配向性を高くすることができる。したがって、図10に模式的に示すように、樹脂成形品93の内部に高配向部93aを配置することができる。このように、本実施形態の樹脂成形品93は、内部に高配向部93aを備えているため、ガラス繊維910配向方向に対する引張強度や曲げ強度が高い。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、間隔(ゲート幅)B1〜B8は、最速部V1に最も近い部分が最も狭く、最遅部V2に最も近い部分が最も広く、なるように設定されている。
このため、樹脂流路90における邪魔部材221U、221D配置部分(つまりゲート25)を溶融樹脂の流れが通過する際、最速部V1が最も大きな流動抵抗を、最遅部V2が最も小さな流動抵抗を、それぞれ邪魔部材221U、221Dから受けることになる。したがって、邪魔部材221U、221Dの下流側において、流動先端MF8〜MF10を揃えやすくなる。流動先端MF8〜MF10を揃えやすいと、ガラス繊維910の配向性を、より向上させることができる。また、樹脂成形品93を、ガラス繊維910の配向方向に、より強化することができる。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、樹脂流路90における邪魔部材221U、221D配置部分の並設方向(前後方向)長さ、つまりゲート25の前後方向長さは、図9の樹脂成形品93の前後方向長さW2同様に、50mmに設定されている。このため、最速部V1と最遅部V2との流速差が比較的大きい。したがって、邪魔部材221U、221Dは、充分に流速差補正効果を発揮することができる。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、樹脂流路90に拡張部27が配置されている。また、邪魔部材221U、221Dは、拡張部27の下流側に配置されている。
拡張部27の下流側では、前後方向に溶融樹脂が拡散する。このため、前後方向における溶融樹脂の流速分布がばらつきやすい。この点、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、邪魔部材221U、221Dが拡張部27の下流側に配置されている。このため、拡張部27を通過したことによる溶融樹脂の流速のばらつきを、邪魔部材221U、221Dにより補正することができる。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、拡張部27および邪魔部材221U、221Dは、ゲート25の上流側に配置されている。このため、キャビティ26に拡張部27および邪魔部材221U、221Dを配置する場合と比較して、成形後の樹脂成形品93に、拡張部27や邪魔部材221U、221Dの形状が発現しにくい。したがって、樹脂成形品93の形状設定の自由度が高い。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、キャビティ26全体に亘って、言い換えると樹脂成形品93の全体に亘って、ガラス繊維910の配向性を向上させることができる。このため、樹脂成形品93の全体を強化することができる。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、拡張部27と邪魔部材221U、221Dの間に、絞り部材220U、220Dが介在している。このため、拡張部27を通過する際における溶融樹脂の流れの拡散による流速のばらつきを、邪魔部材221U、221Dに先立って補正することができる。したがって、溶融樹脂の流れを、全ての邪魔部材221U、221Dに充分行き渡らせることができる。また、絞り部材220U、220Dと邪魔部材221U、221Dとで溶融樹脂の流速のばらつきを連続的に補正するため、流速のばらつきの補正量がさらに大きくなる。
また、本実施形態の樹脂成形品93には、七本のウェルド部WLが形成されている。ガラス繊維910の少なくとも一部は、図7に模式的に示すように、ウェルド部WLの延在方向(上下方向)に沿って配向している。このため、樹脂成形品93は、上下方向に対する引張強度や曲げ強度が高い。
また、本実施形態の金型1によると、邪魔部材221U、絞り部材220Uが邪魔部材用スライドコア22Uに一体に配置されている。また、邪魔部材221D、絞り部材220Dが邪魔部材用スライドコア22Dに一体に配置されている。このため、これらの部材を別々に配置する場合と比較して、部品点数を少なくすることができる。また、型締め工程、型開き工程を、迅速化することができる。また、型開き工程の際、邪魔部材221U、221D、絞り部材220U、220Dがアンダカットになるおそれがない。このため、樹脂成形品93を容易に取り出すことができる。
また、本実施形態の金型1によると、七枚の邪魔部材221Uが単一の邪魔部材用スライドコア22Uに配置されている。並びに、七枚の邪魔部材221Dが単一の邪魔部材用スライドコア22Dに配置されている。このため、金型1の構造が簡単になる。また、より迅速に、型締め工程、型開き工程を実行することができる。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、ゲート25からキャビティ26に流れ込む溶融樹脂を、上下方向に二手に分流化することができる。このため、樹脂成形品93において応力集中が生じにくい部分に、ゲートカット跡GCを配置することができる。
<第二実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、七枚の邪魔部材の形状、間隔のみである。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
図11に、本実施形態の金型の邪魔部材付近の型締め状態における前後方向断面図(図5に対応している。)を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。図11に示すように、七枚の邪魔部材221Uは、前後方向中央の一枚を除いて、左方から右方に向かって尖るテーパ状を呈している。各邪魔部材221Uの傾斜は、拡張部27の中心A1から離れるほど、大きくなるように設定されている。
隣接する一対の邪魔部材221U右端間の間隔(ゲート25のゲート右端幅)B1〜B8は、(B1=B8)>(B2=B7)>(B3=B6)>(B4=B5)となるように設定されている。これに対して、隣接する一対の邪魔部材221U左端間の間隔(ゲート25のゲート左端幅)C1〜C8は、全て同じになるように設定されている。
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型のように、隣接する一対の邪魔部材221U右端間の間隔(ゲート25のゲート右端幅)B1〜B8を(B1=B8)>(B2=B7)>(B3=B6)>(B4=B5)となるように設定すれば、隣接する一対の邪魔部材221U左端間の間隔(ゲート25のゲート左端幅)C1〜C8の広狭に因らず、溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。
すなわち、隣接する一対の邪魔部材221Uの少なくとも一部間の間隔B1〜B8を、溶融樹脂の流れの最速部に最も近い部分の方が、最遅部に最も近い部分よりも、狭くなるように設定すれば、一対の邪魔部材221U間の間隔が変化する部位があっても(例えば間隔C1〜C8)、溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。
また、本実施形態の樹脂成形品には、前出図9に示すような面積不均等のゲートカット跡は形成されない。ゲートカット跡には、隣接する一対の邪魔部材221U左端間の間隔C1〜C8が反映されるため、面積略均等のゲートカット跡が形成される。本実施形態の樹脂成形品によると、ゲートカット跡の面積は略均等であるものの、内部におけるガラス繊維の配向性は向上している。このため、本実施形態の樹脂成形品は、引張強度や曲げ強度が高い。
<第三実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、邪魔部材がキャビティに配置されている点である。また、ランナー、絞り部材が配置されていない点である。また、ゲートが拡張部を兼ねている点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
[金型]
まず、本実施形態の金型について説明する。
(金型の構成)
まず、金型の構成について説明する。図12に、本実施形態の金型の型開き状態における斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図13に、同金型の型締め状態における斜視図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図14に、同金型の可動型の型締め状態における右面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。図15に、図14の枠XV内の拡大図を示す。図12〜図15に示すように、金型1は、固定型30と可動型31と邪魔部材32U、32Dとを備えている。
固定型30は、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。固定型30には、スプルー300と、ゲート35と、が形成されている。
スプルー300は、固定型30の右面の中央よりも上の部分に穿設されている。スプルー300は、固定型30を左右方向に貫通している。スプルー300の断面は、略真円状を呈している。スプルー300は、左方から右方に向かって緩やかに尖るテーパ孔状を呈している。スプルー300の右端は、成形機のノズル(図略)に連通している。一方、スプルー300の左端には、ゲート35が配置されている。ゲート35の断面は、略真円状を呈している。ゲート35は、本発明の拡張部に含まれる。
可動型31は、クロムモリブデン鋼製であって、矩形板状を呈している。可動型31は、固定型30の左方に配置されている。可動型31は、固定型30に対して、左右方向に離接可能である。可動型31の右面には、キャビティ用凹部310が凹設されている。キャビティ用凹部310は、浅底であり、矩形状を呈している。
邪魔部材32Uは、可動型31のキャビティ用凹部310の底面から、右方に突設されている。邪魔部材32Uは、ゲート35の左上に配置されている。邪魔部材32Uは、矩形板状を呈している。邪魔部材32Uは、上下方向に延在している。邪魔部材32Uは、合計七枚配置されている。七枚の邪魔部材32Uは、前後方向に並設されている。
邪魔部材32Dの構成は、上記邪魔部材32U同様である。また、邪魔部材32Dは、邪魔部材32Uに対して、ゲート35を基準に、上下対称に配置されている。すなわち、邪魔部材32Dは、ゲート35の左下に配置されている。七枚の邪魔部材32Dは七枚の上記邪魔部材32Uと、上下方向に対向している。
型開き状態においては、図12に示すように、固定型30を基準に、可動型31が左方に離間している。型締め状態においては、図13に示すように、固定型30左面と可動型31右面とが当接している。また、邪魔部材32U、32Dも固定型30左面に当接している。
(邪魔部材間の間隔)
次に、七枚の邪魔部材221U間の間隔について説明する。図15に示すように、隣接する一対の邪魔部材32U(説明の便宜上ハッチングを施す。)間の間隔D2〜D7、およびキャビティ用凹部310後面と邪魔部材32U間の間隔D1、およびキャビティ用凹部310前面と邪魔部材32U間の間隔D8は、不均等になるように設定されている。具体的には、間隔D1〜D8は、(D1=D8)>(D2=D7)>(D3=D6)>(D4=D5)となるように設定されている。
並びに、ゲート35の中心A2から間隔D1〜D8の中心までの中心間距離N1〜N8も不均等である。具体的には、中心間距離N1〜N8は、(N1=N8)>(N2=N7)>(N3=N6)>(N4=N5)となっている。すなわち、間隔D1〜D8は、中心間距離N1〜N8が長い、つまりゲート35から遠いほど、広くなるように設定されている。なお、七枚の邪魔部材32D間の間隔も、七枚の邪魔部材32U間の間隔と同様に設定されている。
(樹脂流路の構成)
次に、金型1に形成される樹脂流路の構成について説明する。樹脂流路90は、図13にハッチングで示すように、型締め状態の金型1の内部に形成されている。樹脂流路90は、前記スプルー300と前記ゲート35とキャビティ36とを備えている。
キャビティ36は、固定型30の左面と、可動型31のキャビティ用凹部310と、により形成されている。キャビティ36は、ゲート35の左方に配置されている。キャビティ36の邪魔部材32U配置部分の上方には、強化部用成形部360Uが配置されている。同様に、キャビティ36の邪魔部材32D配置部分の下方には、強化部用成形部360Dが配置されている。
型締め状態の金型1の内部には、上流側から下流側に向かって、スプルー300→ゲート35→キャビティ36と連通する樹脂流路90が形成されている。スプルー300からゲート35までの樹脂流路90の流路方向は、左右方向である。キャビティ36の樹脂流路90の流路方向、つまり所望のガラス繊維配向方向は、キャビティ36の長手方向つまり上下方向である。
[樹脂成形方法]
次に、本実施形態の樹脂成形方法について説明する。本実施形態の樹脂成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。
(型締め工程)
まず、型締め工程について説明する。型締め工程においては、金型1を、図12に示す型開き状態から、図13〜図15に示す型締め状態に、切り替える。具体的には、固定型30に対して、可動型31を左方から当接させる。
型締めにより、金型1の内部には、図13にハッチングで示すように、スプルー300→ゲート35→キャビティ36と連通する樹脂流路90が区画される。
(注入工程)
次に、注入工程について説明する。注入工程においては、成形機のノズルから、樹脂流路90に、溶融樹脂を注入する。溶融樹脂の流動先端MF11〜MF15は、図14に一点鎖線で模式的に示すように、キャビティ36内を流動する。すなわち、溶融樹脂は、キャビティ36内を、ゲート35を中心に、上下方向に流動する。流路断面積は、ゲート35において、前後上下方向に急激に拡張する。このため、溶融樹脂は、ゲート35を通過後、流動先端MF11で示すように、拡散しながらキャビティ36に流入する。
ここで、流動先端MF11は、ゲート35を略中心とする曲面状を呈している。このため、流動先端MF11の流路方向(上下方向)の流速は、ばらついている。すなわち、ゲート35の上下方向に、流動先端MF11において流路方向の流速が最も速くなる最速部V1が、配置される。また、ゲート35の前後方向に、流動先端MF11において流路方向の流速が最も遅くなる最遅部V2が、配置される。
流動先端MF11において、最速部V1は最も速く、最遅部V2は最も遅く、邪魔部材32Dに到達する。ここで、間隔D1〜D8は、図15に示すように、(D1=D8)>(D2=D7)>(D3=D6)>(D4=D5)となるように設定されている。すなわち、ゲート35の中心A2から遠いほど、間隔(流路幅)が広くなるように設定されている。このため、溶融樹脂の流れが間隔D1〜D8の八つの流路に流れ込む際、流動先端MF12で示すように、最速部V1付近の方が、最遅部V2付近よりも、大きな流動抵抗を邪魔部材32Dから受けることになる。したがって、八つの流路を通過した溶融樹脂は、流動先端MF13→流動先端MF14で示すように、流速が略同じになっている。
間隔D1〜D8の八つの流路を通過した八つの流動先端MF15は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部360Dを下方向に流動する。
ここで、八つの流動先端MF15の流速は、略同じである。このため、八つの流動先端MF15は、前方あるいは後方に湾曲することなく、互いに略平行に下方向に流動する。分流した流動先端同士の境界には、ウェルド部WLが形成される。溶融樹脂のガラス繊維は、ウェルド部WLの延在方向(上下方向)に沿って配向している。
ゲート35の上方においても、上記ゲート35の下方の場合と同様に、ゲート35からキャビティ36に流入した溶融樹脂は、邪魔部材32Uにより区画される流路を通過し、強化部用成形部360Uを上方向に流動する。この状態で、溶融樹脂は、キャビティ36において、冷却、固化される。
(型開き工程)
次に、型開き工程について説明する。型開き工程においては、金型1を、図13〜図15に示す型締め状態から、図12に示す型開き状態に、再び切り替える。具体的には、固定型30に対して、可動型31を左方に離間させる。その後、ゲートカットを行い、樹脂成形品を得る。
[樹脂成形品]
次に、本実施形態の樹脂成形品について説明する。図16に、本実施形態の樹脂成形品の斜視図を示す。なお、図9と対応する部位については、同じ符号で示す。以下に説明する樹脂成形品94は、模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、樹脂成形品94に、ウェルド部WL、ゲートカット跡GCが確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図16に示すように、本実施形態の樹脂成形品94は、上下方向に長い矩形板状を呈している。樹脂成形品94の上下方向長さW1は130mmであり、前後方向長さW2は50mmであり、左右方向長さW3は12mmである。
樹脂成形品94の表面には、ゲートカット跡GCと、邪魔部材跡940U、940Dと、ウェルド部WLと、が形成されている。樹脂成形品94は、上下一対の強化部941U、941Dを備えている。強化部941Uは強化部用成形部360Uに、強化部941Dは強化部用成形部360Dに、それぞれ対応している。ゲートカット跡GCは、樹脂成形品94の表面の中央よりも上の部分に形成されている。ゲートカット跡GCは、略真円状を呈している。
邪魔部材跡940U、940Dは、ゲートカット跡GCの上下両側に形成されている。邪魔部材跡940Uは、上下方向に延在している。邪魔部材跡940Uは、樹脂成形品94を、左右方向に貫通している。邪魔部材跡940Uは、合計七つ配置されている。七つの邪魔部材跡940Uは、前後方向に並設されている。
邪魔部材跡940Dの構成は、上記邪魔部材跡940U同様である。また、邪魔部材跡940Dは、邪魔部材跡940Uに対して、ゲートカット跡GCを基準に、上下対称に配置されている。七つの邪魔部材跡940Dは七つの上記邪魔部材跡940Uと、上下方向に対向している。ウェルド部WLは、邪魔部材跡940U、940Dを略起点に、上下両側に延在している。ウェルド部WLは、合計十四本形成されている。ウェルド部WL形成部分には、強化部941U、941Dが配置されている。
前後方向に隣接する一対の邪魔部材跡940U、940D間の間隔は、前後方向中央から前後方向両端にかけて、徐々に広くなるように設定されている。同様に、前後方向に隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は、前後方向中央から前後方向両端にかけて、徐々に広くなるように設定されている。樹脂成形品94の強化部941U、941Dの断面(破断面)には、前出図10に示すような高配向部93aと低配向部93bとが観察される。
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形品94は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。単一のゲートカット跡GCが形成されている。ゲートカット跡GCの近傍に邪魔部材跡940U、940Dが形成されている。邪魔部材跡940U、940Dを略起点に、ゲートカット跡GCから離間する方向にウェルド部WLが延在している。互いに隣接する一対の邪魔部材跡940U、940D間の間隔は不均等である。互いに隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は不均等である。邪魔部材跡940U、940D間の間隔の広狭と、ウェルド部WL間の間隔の広狭と、は対応している。強化部941U、941Dの、ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面に、少なくとも高配向部が観察される。
[作用効果]
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品94および金型1は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、邪魔部材32U、32Dは、ゲート35の流路方向直下に配置されている。このため、ゲート35を通過したことによる溶融樹脂の流速のばらつきを、邪魔部材32U、32Dにより、迅速に補正することができる。
また、本実施形態の樹脂成形品94は、強化部941U、941Dを備えている。また、本実施形態の金型1のキャビティ36は、強化部用成形部360U、360Dを備えている。また、強化部用成形部360U、360Dの上流側には、邪魔部材32U、32Dが配置されている。このため、強化部用成形部360U、360Dにおけるガラス繊維の配向性を、向上させることができる。したがって、樹脂成形品94の強化部941U、941Dを、重点的に強化することができる。本実施形態のように、樹脂成形品94の所望の部分だけを強化することもできる。
<第四実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、型締め状態において邪魔部材が可動型に当接していない点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
図17に、本実施形態の金型の型締め状態における上下方向断面図(図3に対応している。)を示す。なお、図12、図13と対応する部位については、同じ符号で示す。図17に示すように、邪魔部材32Uは、固定型30の左面から、左方に突設されている。邪魔部材32Uは、ゲート35の上方に配置されている。邪魔部材32Uは、矩形板状を呈している。邪魔部材32Uは、上下方向に延在している。邪魔部材32Uは、合計七枚配置されている。七枚の邪魔部材32Uは、前後方向に並設されている。
邪魔部材32Dの構成は、上記邪魔部材32U同様である。また、邪魔部材32Dは、邪魔部材32Uに対して、ゲート35を基準に、上下対称に配置されている。すなわち、邪魔部材32Dは、ゲート35の下方に配置されている。七枚の邪魔部材32Dは七枚の上記邪魔部材32Uと、上下方向に対向している。
ここで、邪魔部材32U、32Dの左右方向長さK1は8mmである。これに対して、キャビティ36の左右方向長さK2は、12mmである。このため、邪魔部材32U、32Dの左端と、可動型31のキャビティ用凹部310の底面と、の間には、隙間が介在している。
樹脂成形方法の注入工程において、溶融樹脂の流れの一部は、邪魔部材32U、32Dにより分流し、再び会合する。一方、溶融樹脂の流れの他部は、邪魔部材32U、32Dの左方を通過するため分流しない。このように、溶融樹脂の流れは、言わば部分的に分流する。
図18に、本実施形態の樹脂成形品の斜視図を示す。なお、図16と対応する部位については、同じ符号で示す。以下に説明する樹脂成形品94は、模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、樹脂成形品94に、ウェルド部WL、ゲートカット跡GCが確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図18に示すように、本実施形態の樹脂成形品94は、上下方向に長い矩形板状を呈している。樹脂成形品94の上下方向長さW1は130mmであり、前後方向長さW2は50mmであり、左右方向長さW3は12mmである。
樹脂成形品94の表面には、ゲートカット跡GCと、邪魔部材跡940U、940Dと、ウェルド部WLと、が形成されている。樹脂成形品94は、上下一対の強化部941U、941Dを備えている。邪魔部材跡940U、940Dは、樹脂成形品94の左面にまで到達していない。同様に、ウェルド部WLは、樹脂成形品94の左面にまで到達していない。このため、樹脂成形品94の左面は、綺麗な平滑面状を呈している。樹脂成形品94の強化部941U、941Dの断面(破断面)には、高配向部と低配向部とが観察される。
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形品94は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。単一のゲートカット跡GCが形成されている。ゲートカット跡GCの近傍に、一面(左右面のうち右面)にのみ邪魔部材跡940U、940Dが形成されている。邪魔部材跡940U、940Dを略起点に、ゲートカット跡GCから離間する方向にウェルド部WLが延在している。互いに隣接する一対の邪魔部材跡940U、940D間の間隔は不均等である。互いに隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は不均等である。邪魔部材跡940U、940D間の間隔の広狭と、ウェルド部WL間の間隔の広狭と、は対応している。強化部941U、941Dの、ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面に、少なくとも高配向部が観察される。
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品94および金型1は、構成が共通する部分に関しては、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1のように、邪魔部材32U、32D先端とキャビティ36の型面との間に隙間が介在している場合であっても、ウェルド部WLを形成し、樹脂成形品94のガラス繊維の配向性を向上させることができる。
また、本実施形態の樹脂成形品94によると、邪魔部材跡940U、940Dが樹脂成形品94を左右方向に貫通していない。このため、邪魔部材跡940U、940D形成部分の強度が高い。また、樹脂成形品94の左面を綺麗な平滑面とすることができる。また、強化部941U、941Dにおいて、左側と比較して右側(ウェルド部WL側)を強化することができる。
<第五実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、七枚の邪魔部材が略等間隔に配置されている点である。また、七枚の邪魔部材の左右方向長さが不均等に設定されている点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
図19に、本実施形態の金型の可動型の斜視図を示す。なお、図12、図13と対応する部位については、同じ符号で示す。図20に、図19のXX−XX方向断面図を示す。図19、図20に示すように、隣接する一対の邪魔部材32U間の間隔E2〜E7、およびキャビティ用凹部310前面と邪魔部材32U間の間隔E1、およびキャビティ用凹部310後面と邪魔部材32U間の間隔E8は、略均等になるように設定されている。
一方、邪魔部材32Uの左右方向長さJ1〜J4は、前後方向中央から前後方向両端に向かって、J4>J3>J2>J1となるように設定されている。すなわち、山型になるように設定されている。なお、七枚の邪魔部材32Dも、七枚の邪魔部材32Uと同様に設定されている。
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型は、構成が共通する部分に関しては、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型のように、邪魔部材32U、32Dを山型に配置すると、前後方向両端と比較して、前後方向略中央の方が、流動抵抗が大きくなる。これに対して、ゲート35は、キャビティ36右面上方の前後方向略中央に配置されている。このため、ゲート35に近いほど、言い換えると溶融樹脂の流速が速い部分ほど、邪魔部材32U、32Dから、大きな流動抵抗を受けることになる。したがって、溶融樹脂の流速のばらつきを抑制することができる。また、樹脂成形品におけるガラス繊維の配向性が高くなる。
<第六実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、ゲートがキャビティの上端に開口している点である。また、キャビティに変化部と整流部材が配置されている点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
[金型]
まず、本実施形態の金型について説明する。
(金型の構成)
まず、金型の構成について説明する。図21に、本実施形態の金型の型開き状態における斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図22に、同金型の型締め状態における斜視図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図23に、同金型の可動型の型締め状態における右面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。図21〜図23に示すように、金型1は、固定型40と可動型41と邪魔部材42と整流部材43M、43Dとを備えている。
固定型40は、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。固定型40には、スプルー400と、ゲート45と、が形成されている。スプルー400は、固定型40を左右方向に貫通している。スプルー400の左端には、ゲート45が配置されている。ゲート45は、本発明の拡張部に含まれる。
可動型41は、クロムモリブデン鋼製であって、矩形板状を呈している。可動型41は、固定型40の左方に配置されている。可動型41の右面には、キャビティ用凹部410が凹設されている。キャビティ用凹部410は、浅底部410U、410Dと深底部410Mとを備えている。浅底部410Uはキャビティ用凹部410の上方に、浅底部410Dはキャビティ用凹部410の下方に、それぞれ配置されている。深底部410Mは、浅底部410U、410Dの間に介在している。深底部410Mは、浅底部410U、410Dよりも、深底に形成されている。浅底部410Uと深底部410Mとの境界には変化部411Uが、深底部410Mと浅底部410Dとの境界には変化部411Dが、それぞれ配置されている。
邪魔部材42は、浅底部410Uの底面から、右方に突設されている。邪魔部材42は、ゲート45の左下に配置されている。邪魔部材42は、矩形板状を呈している。邪魔部材42は、上下方向に延在している。邪魔部材42は、合計七枚配置されている。七枚の邪魔部材42は、前後方向に並設されている。
整流部材43Mは、深底部410Mの底面から、右方に突設されている。整流部材43Mは、深底部410Mの上縁付近に配置されている。すなわち、整流部材43Mは、変化部411Uの下方に配置されている。整流部材43Mは、矩形板状を呈している。整流部材43Mは、上下方向に延在している。整流部材43Mは、合計七枚配置されている。七枚の整流部材43Mは、前後方向に並設されている。
整流部材43Dは、浅底部410Dの底面から、右方に突設されている。整流部材43Dは、浅底部410Dの上縁付近に配置されている。すなわち、整流部材43Dは、変化部411Dの下方に配置されている。整流部材43Dは、矩形板状を呈している。整流部材43Dは、上下方向に延在している。整流部材43Dは、合計七枚配置されている。七枚の整流部材43Dは、前後方向に並設されている。
型開き状態においては、図21に示すように、固定型40を基準に、可動型41が左方に離間している。型締め状態においては、図22に示すように、固定型40左面と可動型41右面とが当接している。また、邪魔部材42、整流部材43M、43Dも、固定型40左面に当接している。
(邪魔部材間の間隔および整流部材間の間隔)
次に、七枚の邪魔部材42間の間隔について説明する。隣接する一対の邪魔部材42上端間の間隔は、前出図15同様に、不均等になるように設定されている。また、ゲート45の中心から隣接する一対の邪魔部材42上端間の間隔の中心までの中心間距離も、前出図15同様に、不均等である。すなわち、ゲート45から遠いほど、隣接する一対の邪魔部材42上端間の間隔が広くなるように設定されている。
次に、整流部材43M、43D間の間隔について説明する。隣接する一対の整流部材43M上端間の間隔は、略均等になるように設定されている。同様に、隣接する一対の整流部材43D上端間の間隔も、略均等になるように設定されている。
(樹脂流路の構成)
次に、金型1に形成される樹脂流路の構成について説明する。樹脂流路90は、図22にハッチングで示すように、型締め状態の金型1の内部に形成されている。樹脂流路90は、前記スプルー400と前記ゲート45とキャビティ46とを備えている。
キャビティ46は、固定型40の左面と、可動型41のキャビティ用凹部410と、により形成されている。キャビティ46は、ゲート45の左方に配置されている。キャビティ46の邪魔部材42配置部分の下方には、強化部用成形部460が配置されている。
型締め状態の金型1の内部には、上流側から下流側に向かって、スプルー400→ゲート45→キャビティ46と連通する樹脂流路90が形成されている。スプルー400からゲート45までの樹脂流路90の流路方向は、左右方向である。キャビティ46の樹脂流路90の流路方向、つまり所望のガラス繊維配向方向は、キャビティ46の長手方向つまり上下方向である。
[樹脂成形方法]
次に、本実施形態の樹脂成形方法について説明する。本実施形態の樹脂成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。
(型締め工程)
まず、型締め工程について説明する。型締め工程においては、金型1を、図21に示す型開き状態から、図22、図23に示す型締め状態に、切り替える。具体的には、固定型40に対して、可動型41を左方から当接させる。
(注入工程)
次に、注入工程について説明する。注入工程においては、成形機のノズルから、樹脂流路90に、溶融樹脂を注入する。溶融樹脂の流動先端MF21〜MF29は、図23に一点鎖線で模式的に示すように、キャビティ46内を流動する。すなわち、溶融樹脂は、キャビティ46内を、ゲート45を起点に、上方から下方に向かって流動する。流路断面積は、ゲート45において、急激に拡張する。このため、溶融樹脂は、ゲート45を通過後、流動先端MF21で示すように、拡散しながらキャビティ46に流入する。
溶融樹脂の流動先端MF22の流路方向(上下方向)の流速は、ばらついている。しかしながら、隣接する一対の邪魔部材42上端間の間隔は、前出図15同様に、不均等になるように設定されている。このため、邪魔部材42配置部分を通過した溶融樹脂は、流動先端MF23→流動先端MF24で示すように、流速が略同じになっている。流動先端MF25は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部460を下方向に流動する。
流路断面積は、変化部411Uにおいて、急激に左方に拡張する。このため、溶融樹脂の流れに、乱れが発生する。しかしながら、変化部411Uの下流側(下側)には、整流部材43Mが配置されている。このため、整流部材43M配置部分を通過することにより、溶融樹脂の流れは、流動先端MF26で示すように、前後方向に略一列になるように整えられる。流動先端MF27は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部460を下方向に流動する。
また、流路断面積は、変化部411Dにおいて、急激に右方に縮小する。このため、溶融樹脂の流れに、乱れが発生する。しかしながら、変化部411Dの下流側(下側)には、整流部材43Dが配置されている。このため、整流部材43D配置部分を通過することにより、溶融樹脂の流れは、流動先端MF28で示すように、前後方向に略一列になるように整えられる。流動先端MF29は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部460を下方向に流動する。このようにして、キャビティ46全体に、溶融樹脂が行き渡る。
流動先端同士の境界には、ウェルド部WLが形成される。溶融樹脂のガラス繊維は、ウェルド部WLの延在方向(上下方向)に沿って配向している。この状態で、溶融樹脂は、キャビティ46において、冷却、固化される。
(型開き工程)
次に、型開き工程について説明する。型開き工程においては、金型1を、図22、図23に示す型締め状態から、図21に示す型開き状態に、再び切り替える。具体的には、固定型40に対して、可動型41を左方に離間させる。その後、ゲートカット(具体的には、邪魔部材42の上方を切断する)を行い、樹脂成形品を得る。
[樹脂成形品]
次に、本実施形態の樹脂成形品について説明する。図24に、本実施形態の樹脂成形品の斜視図を示す。なお、図9と対応する部位については、同じ符号で示す。以下に説明する樹脂成形品95は、模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、樹脂成形品95に、ウェルド部WLが確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図24に示すように、本実施形態の樹脂成形品95は、上下方向に長い矩形板状を呈している。樹脂成形品95の上下方向略中央には、左方に突出する凸部953が形成されている。また、樹脂成形品95の表面には、邪魔部材跡950と、整流部材跡951M、951Dと、ウェルド部WLと、が形成されている。また、樹脂成形品95は、強化部用成形部460に対応する強化部952を備えている。
邪魔部材跡950は、樹脂成形品95の上端に穿設されている。整流部材跡951Mは、凸部953の上端に穿設されている。整流部材跡951Dは、凸部953の下端の下側に穿設されている。ウェルド部WLは、邪魔部材跡950、整流部材跡951M、951Dを略起点に、下方向に延在している。ウェルド部WL形成部分には、強化部952が配置されている。
前後方向に隣接する一対の邪魔部材跡950間の間隔は、前後方向中央から前後方向両端にかけて、徐々に広くなるように設定されている。前後方向に隣接する一対の整流部材跡951M、951D間の間隔は、略均等になるように設定されている。邪魔部材跡950、整流部材跡951M、951Dから延びるウェルド部WL間の間隔も、これら邪魔部材跡950間の間隔、整流部材跡951M間の間隔、整流部材跡951D間の間隔と同様である。樹脂成形品95の強化部952の断面(破断面)には、高配向部と低配向部とが、ウェルド部WLの配置に対応して、観察される。
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形品95は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。邪魔部材跡950が形成されている。互いに隣接する一対の邪魔部材跡950間の間隔は不均等である。邪魔部材跡950を略起点に、ウェルド部WLが延在している。邪魔部材跡950間の間隔の広狭と、邪魔部材跡950を略起点とするウェルド部WL間の間隔の広狭と、は対応している。肉厚が変化する部分(凸部953境界)付近に、整流部材跡951M、951Dが形成されている。整流部材跡951M、951Dを略起点に、ウェルド部WLが延在している。強化部952の、ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面に、少なくとも高配向部が観察される。
[作用効果]
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品95および金型1は、構成が共通する部分に関しては、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、変化部411Uの下流側に整流部材43Mが、変化部411Dの下流側に整流部材43Dが、それぞれ配置されている。このため、変化部411U、411Dを通過させることにより、乱れた溶融樹脂の流れを迅速に補正することができる。したがって、整流部材43M、43Dの下流側におけるガラス繊維の配向性を向上させることができる。また、変化部411U、411D下流側に整流部材43M、43Dを配置すると、樹脂流路90の形状に因らず、ガラス繊維の配向性を向上させることができる。このため、樹脂成形品95の形状に因らず、樹脂成形品95を強化することができる。
<第七実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第六実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、キャビティの左右方向長さではなく前後方向長さが、変化部において変化している点である。また、整流部材が、二列ではなく三列配置されている点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
[金型]
まず、本実施形態の金型について説明する。
(金型の構成)
まず、金型の構成について説明する。図25に、本実施形態の金型の型開き状態における斜視図を示す。なお、図21と対応する部位については、同じ符号で示す。図26に、同金型の型締め状態における斜視図を示す。なお、図22と対応する部位については、同じ符号で示す。図27に、同金型の可動型の型締め状態における右面図を示す。なお、図23と対応する部位については、同じ符号で示す。図25〜図27に示すように、金型1は、固定型50と可動型51と邪魔部材52と整流部材53M、53Da、53Dbとを備えている。
固定型50は、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。固定型50には、スプルー500と、ゲート55と、が形成されている。スプルー500は、固定型50を左右方向に貫通している。スプルー500の左端には、ゲート55が配置されている。ゲート55は、本発明の拡張部に含まれる。
可動型51は、クロムモリブデン鋼製であって、矩形板状を呈している。可動型51は、固定型50の左方に配置されている。可動型51の右面には、キャビティ用凹部510が凹設されている。キャビティ用凹部510は、小幅部510Uと大幅部510Mと扇部510Dとを備えている。小幅部510Uは、キャビティ用凹部510の上方に配置されている。大幅部510Mは、小幅部510Uの下方に配置されている。大幅部510Mは、小幅部510Uよりも、前後方向長さが長い。扇部510Dは、大幅部510Mの下方に配置されている。扇部510Dの前後方向長さは、下方向に行くに従って徐々に長くなるように設定されている。小幅部510Uと大幅部510Mとの境界には変化部511Uが、大幅部510Mと扇部510Dとの境界には変化部511Dが、それぞれ配置されている。大幅部510Mの上端(変化部511Uと連続する部分)には、前後一対のテーパ面512(図27参照)が配置されている。
邪魔部材52は、小幅部510Uの底面から、右方に突設されている。邪魔部材52は、ゲート55の左下に配置されている。邪魔部材52は、矩形板状を呈している。邪魔部材52は、上下方向に延在している。邪魔部材52は、合計七枚配置されている。七枚の邪魔部材52は、前後方向に並設されている。
整流部材53Mは、大幅部510Mの底面から、右方に突設されている。整流部材53Mは、変化部511Uの下方に配置されている。整流部材53Mは、矩形板状を呈している。整流部材53Mは、上下方向に延在している。整流部材53Mは、合計七枚配置されている。七枚の整流部材53Mは、前後方向に並設されている。
整流部材53Daは、扇部510Dの底面から、右方に突設されている。整流部材53Daは、変化部511Dの下方に配置されている。整流部材53Daは、矩形板状を呈している。整流部材53Daは、上下方向(詳しくは扇部510Dの扇中心A3を基準とする径方向)に延在している。整流部材53Daは、合計四枚配置されている。四枚の整流部材53Daは、前後方向(詳しくは扇中心A3を中心とする円弧方向)に並設されている。
整流部材53Dbは、扇部510Dの底面から、右方に突設されている。整流部材53Dbは、整流部材53Daの下方に配置されている。整流部材53Dbは、矩形板状を呈している。整流部材53Dbは、上下方向(詳しくは扇中心A3を中心とする径方向)に延在している。整流部材53Dbは、合計八枚配置されている。八枚の整流部材53Dbは、前後方向(詳しくは扇中心A3を中心とする円弧方向)に並設されている。
型開き状態においては、図25に示すように、固定型50を基準に、可動型51が左方に離間している。型締め状態においては、図26に示すように、固定型50左面と可動型51右面とが当接している。また、邪魔部材52、整流部材53M、53Da、53Dbも、固定型50左面に当接している。
(邪魔部材間の間隔および整流部材間の間隔)
次に、七枚の邪魔部材52間の間隔について説明する。隣接する一対の邪魔部材52上端間の間隔は、前記第六実施形態の邪魔部材42(前出図23参照)同様である。したがって、ここでは説明を割愛する。
次に、七枚の整流部材53M間の間隔について説明する。隣接する一対の整流部材53M間の間隔は、前記第六実施形態の邪魔部材42(前出図23参照)同様である。すなわち、隣接する一対の整流部材53M間の間隔は、不均等になるように設定されている。具体的には、ゲート55から遠いほど、隣接する一対の整流部材53M上端間の間隔が広くなるように設定されている。
次に、整流部材53Da、53Db間の間隔について説明する。隣接する一対の整流部材53Da上端間の間隔は、略均等になるように設定されている。同様に、隣接する一対の整流部材53Db上端間の間隔も、略均等になるように設定されている。
(樹脂流路の構成)
次に、金型1に形成される樹脂流路の構成について説明する。樹脂流路90は、図26にハッチングで示すように、型締め状態の金型1の内部に形成されている。樹脂流路90は、前記スプルー500と前記ゲート55とキャビティ56とを備えている。
キャビティ56は、固定型50の左面と、可動型51のキャビティ用凹部510と、により形成されている。キャビティ56は、ゲート55の左方に配置されている。キャビティ56の邪魔部材52配置部分の下方には、強化部用成形部560が配置されている。
型締め状態の金型1の内部には、上流側から下流側に向かって、スプルー500→ゲート55→キャビティ56と連通する樹脂流路90が形成されている。スプルー500からゲート55までの樹脂流路90の流路方向は、左右方向である。キャビティ56の樹脂流路90の流路方向、つまり所望のガラス繊維配向方向は、キャビティ56の長手方向つまり上下方向である。
[樹脂成形方法]
次に、本実施形態の樹脂成形方法について説明する。本実施形態の樹脂成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。型締め工程および型開き工程は、前記第六実施形態と同様である。したがって、ここでは説明を割愛し、注入工程についてのみ説明する。
注入工程においては、成形機のノズルから、樹脂流路90に、溶融樹脂を注入する。溶融樹脂の流動先端MF31〜MF41は、図27に一点鎖線で模式的に示すように、キャビティ56内を流動する。すなわち、溶融樹脂は、キャビティ56内を、ゲート55を起点に、上方から下方に向かって流動する。流路断面積は、ゲート55において、急激に拡張する。このため、溶融樹脂は、ゲート55を通過後、流動先端MF31で示すように、拡散しながらキャビティ56に流入する。
溶融樹脂の流動先端MF32の流路方向(上下方向)の流速は、ばらついている。しかしながら、隣接する一対の邪魔部材52上端間の間隔は、前出図15同様に、不均等になるように設定されている。このため、邪魔部材52配置部分を通過した溶融樹脂は、流動先端MF33→流動先端MF34で示すように、流速が略同じになっている。流動先端MF35は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部560を下方向に流動する。
流路断面積は、変化部511Uにおいて、急激に前後方向に拡張する。このため、溶融樹脂の流れに、乱れが発生する。しかしながら、変化部511Uの下流側(下側)には、整流部材53Mが配置されている。このため、整流部材53M配置部分を通過することにより、溶融樹脂の流れは、流動先端MF36で示すように、前後方向に略一列になるように整えられる。流動先端MF37は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部560を下方向に流動する。
また、流路断面積は、変化部511Dにおいて、急激に前後方向に縮小する。このため、溶融樹脂の流れに、乱れが発生する。しかしながら、変化部511Dの下流側(下側)には、整流部材53Daが配置されている。このため、整流部材53Da配置部分を通過することにより、溶融樹脂の流れは、流動先端MF38で示すように、前後方向に略一列になるように整えられる。流動先端MF39は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部460を下方向に流動する。
ところで、扇部510Dは、扇中心A3から下方に扇状(二等辺三角形状)に広がっている。このため、流路断面積は、下方に行くに従って徐々に大きくなる。ここで、整流部材53Daの下流側(下側)には、もう一列の整流部材53Dbが配置されている。溶融樹脂の流れが整流部材53Db配置部分を通過することにより、ウェルド部WLが増えてガラス繊維がより配向する。流動先端MF41は、前後方向に押し合いながら、強化部用成形部560を下方向に流動する。このようにして、キャビティ56全体に、溶融樹脂が行き渡る。
流動先端同士の境界には、ウェルド部WLが形成される。溶融樹脂のガラス繊維は、ウェルド部WLの延在方向に沿って配向している。この状態で、溶融樹脂は、キャビティ56において、冷却、固化される。
[樹脂成形品]
次に、本実施形態の樹脂成形品について説明する。図28に、本実施形態の樹脂成形品の斜視図を示す。なお、図24と対応する部位については、同じ符号で示す。以下に説明する樹脂成形品96は、模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、樹脂成形品96に、ウェルド部WLが確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図28に示すように、本実施形態の樹脂成形品96は、小幅部963(小幅部510Uに対応)と大幅部964(大幅部510Mに対応)と扇部965(扇部510Dに対応)とを備えている。また、樹脂成形品96の表面には、邪魔部材跡960と、整流部材跡961M、961Da、961Dbと、ウェルド部WLと、が形成されている。また、樹脂成形品96は、強化部用成形部560に対応する強化部962を備えている。
邪魔部材跡960は、小幅部963の上端に穿設されている。整流部材跡961Mは、大幅部964の上端に穿設されている。整流部材跡961Daは、扇部965の上端に穿設されている。整流部材跡961Dbは、整流部材跡961Daの下方に穿設されている。ウェルド部WLは、邪魔部材跡960、整流部材跡961M、961Da、961Dbを略起点に、下方向に延在している。ウェルド部WL形成部分には、強化部962が配置されている。
前後方向に隣接する一対の邪魔部材跡960間の間隔、および前後方向に隣接する一対の整流部材跡961M間の間隔は、前後方向中央から前後方向両端にかけて、徐々に広くなるように設定されている。前後方向に隣接する一対の整流部材跡961Da間の間隔、および前後方向に隣接する一対の整流部材跡961Db間の間隔は、略均等になるように設定されている。邪魔部材跡960、整流部材跡961M、961Da、961Dbから延びるウェルド部WL間の間隔も、これら邪魔部材跡960間の間隔、整流部材跡961M間の間隔、整流部材跡961Da間の間隔、整流部材跡961Db間の間隔を反映している。樹脂成形品96の強化部962の断面(破断面)には、高配向部と低配向部とが、ウェルド部WLの配置に対応して、観察される。
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形品96は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。邪魔部材跡960が形成されている。互いに隣接する一対の邪魔部材跡960間の間隔は不均等である。邪魔部材跡960を略起点に、ウェルド部WLが延在している。邪魔部材跡960間の間隔の広狭と、邪魔部材跡960を略起点とするウェルド部WL間の間隔の広狭と、は対応している。幅が変化する部分付近に、整流部材跡961M、961Daが形成されている。整流部材跡961M、961Da、961Dbを略起点に、ウェルド部WLが延在している。強化部962の、ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面に、少なくとも高配向部が観察される。
[作用効果]
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品96および金型1は、構成が共通する部分に関しては、第六実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1のように、隣接する一対の整流部材53M間の間隔を、溶融樹脂の流速のばらつきに応じて不均等にしてもよい。こうすると、さらにガラス繊維の配向性が向上する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1のように、キャビティ56の左右方向長さではなく、前後方向長さが変化する部分(変化部511U、511D)の下流側に、整流部材53M、53Daを配置してもよい。また、整流部材53Daの下流側に、さらに整流部材53Dbを連設してもよい。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、図27に示すように、大幅部510Mの上端(変化部511Uと連続する部分)に、前後一対のテーパ面512が配置されている。このため、溶融樹脂の流れが、前後方向に拡張しやすい。したがって、前後両端の二枚の整流部材53Mにまで、溶融樹脂の流れを回り込ませることができる。
整流部材53M、53Da、53Dbを適切に配置すると、樹脂流路90の形状に因らず、ガラス繊維の配向性を向上させることができる。このため、樹脂成形品96の形状に因らず、樹脂成形品96を強化することができる。
<第八実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、邪魔部材が左右方向に立設されているのではなく、前後方向に立設されている点である。また、隣接する一対の邪魔部材間の間隔が略均等に設定されている点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
[金型]
まず、本実施形態の金型について説明する。
(金型の構成)
まず、金型の構成について説明する。図29に、本実施形態の金型の型開き状態における斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図30に、同金型の型締め状態における斜視図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図31に、図30のXXXI−XXXI方向断面図を示す。図32に、図31の枠XXXII内の拡大図を示す。図29〜図32に示すように、金型1は、固定型60と、可動型61と、邪魔部材用スライドコア62F、62Rと、を備えている。
固定型60は、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。固定型60には、スプルー600と、ゲート65と、が形成されている。スプルー600は、固定型60の右面の中央よりも上の部分に穿設されている。スプルー600は、固定型60を左右方向に貫通している。スプルー600の左端には、ゲート65が配置されている。ゲート65は、本発明の拡張部に含まれる。
可動型61は、クロムモリブデン鋼製であって、矩形板状を呈している。可動型61は、固定型60の左方に配置されている。可動型61は、固定型60に対して、左右方向に離接可能である。可動型61の右面には、キャビティ用凹部610が凹設されている。キャビティ用凹部610は、浅底であり、矩形状を呈している。
可動型61の前壁には、矩形状のスライドコア用凹部611Fが形成されている。スライドコア用凹部611Fは、前後方向に延在している。スライドコア用凹部611Fは、キャビティ用凹部610に連通している。
一方、可動型61の後壁には、矩形状のスライドコア用凹部611Rが形成されている。スライドコア用凹部611Rは、前後方向に延在している。スライドコア用凹部611Rは、キャビティ用凹部610に連通している。また、スライドコア用凹部611Rは、スライドコア用凹部611Fと、前後方向に対向している。
邪魔部材用スライドコア62Fは、クロムモリブデン鋼製であって、直方体のブロック状を呈している。邪魔部材用スライドコア62Fは、可動型61のスライドコア用凹部611Fに対して、前方から進退可能である。邪魔部材用スライドコア62Fの後面には、邪魔部材620FU、620FDが一体に形成されている。
邪魔部材620FUは、邪魔部材用スライドコア62Fの後面上方に配置されている。邪魔部材620FUは、矩形板状を呈している。邪魔部材620FUは、前後方向に延在している。邪魔部材620FUは、合計三枚配置されている。三枚の邪魔部材620FUは、左右方向に並設されている。
邪魔部材620FDは、邪魔部材用スライドコア62Fの後面下方に配置されている。邪魔部材620FDは、矩形板状を呈している。邪魔部材620FDは、前後方向に延在している。邪魔部材620FDは、合計三枚配置されている。三枚の邪魔部材620FDは、左右方向に並設されている。また、三枚の邪魔部材620FDと三枚の邪魔部材620FUとは、上下方向に対向している。
邪魔部材用スライドコア62Rの材質、構成は、上記邪魔部材用スライドコア62F同様である。また、邪魔部材用スライドコア62Rは、邪魔部材用スライドコア62Fに対して、スプルー600を基準に、前後対称に配置されている。すなわち、邪魔部材用スライドコア62Rは、可動型61のスライドコア用凹部611Rに対して、後方から進退可能である。邪魔部材用スライドコア62Rの前面には、三枚の邪魔部材620RU、三枚の邪魔部材620RDが一体に形成されている。三枚の邪魔部材620RUは三枚の邪魔部材620FUと、三枚の邪魔部材620RDは三枚の邪魔部材620FDと、前後方向に対向している。
型開き状態においては、図29に示すように、固定型60を基準に、可動型61が左方に離間している。また、可動型61を基準に、邪魔部材用スライドコア62Fが前方に、邪魔部材用スライドコア62Rが後方に、それぞれ離間している。
型締め状態においては、図30に示すように、可動型61のスライドコア用凹部611Fに前方から邪魔部材用スライドコア62Fが、スライドコア用凹部611Rに後方から邪魔部材用スライドコア62Rが、それぞれ進入している。並びに、固定型60左面と可動型61右面とが当接している。三枚の邪魔部材620FU後端面と三枚の邪魔部材620RU前端面とは、各々当接している。また、三枚の邪魔部材620FD後端面と三枚の邪魔部材620RD前端面とは、各々当接している。
(邪魔部材間の間隔)
次に、三枚の邪魔部材620RU間の間隔について説明する。図32に示すように、隣接する一対の邪魔部材620RU(説明の便宜上ハッチングを施す。)間の間隔H2、H3、および固定型60左面と邪魔部材620RU間の間隔H1、およびキャビティ用凹部610底面と邪魔部材620RU間の間隔H4は、略均等になるように設定されている。
一方、ゲート65の中心A4から間隔H1〜H4の中心までの中心間距離G1〜G4は不均等である。具体的には、中心間距離G1〜G4は、G1<G2<G3<G4となっている。すなわち、中心間距離G1〜G4の長短に因らず、間隔H1〜H4は略均等になるように設定されている。なお、他の邪魔部材620RD、620FU、620FD間の間隔も、邪魔部材620RU間の間隔と同様に設定されている。
(樹脂流路の構成)
次に、金型1に形成される樹脂流路の構成について説明する。樹脂流路90は、図30にハッチングで示すように、型締め状態の金型1の内部に形成されている。樹脂流路90は、前記スプルー600と前記ゲート65とキャビティ66とを備えている。
キャビティ66は、固定型60の左面と、可動型61のキャビティ用凹部610と、邪魔部材用スライドコア62Fの後面と、邪魔部材用スライドコア62Rの前面と、により形成されている。キャビティ66は、ゲート65の左方に配置されている。キャビティ66の邪魔部材620FU、620RU配置部分の上方には、強化部用成形部660Uが配置されている。同様に、キャビティ66の邪魔部材620FD、620RD配置部分の下方には、強化部用成形部660Dが配置されている。
型締め状態の金型1の内部には、上流側から下流側に向かって、スプルー600→ゲート65→キャビティ66と連通する樹脂流路90が形成されている。スプルー600からゲート65までの樹脂流路90の流路方向は、左右方向である。キャビティ66の樹脂流路90の流路方向、つまり所望のガラス繊維配向方向は、キャビティ66の長手方向つまり上下方向である。
[樹脂成形方法]
次に、本実施形態の樹脂成形方法について説明する。本実施形態の樹脂成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。
(型締め工程)
まず、型締め工程について説明する。型締め工程においては、金型1を、図29に示す型開き状態から、図30〜図32に示す型締め状態に、切り替える。具体的には、可動型61のスライドコア用凹部611Fに前方から邪魔部材用スライドコア62Fを進入させる。並びに、可動型61のスライドコア用凹部611Rに後方から邪魔部材用スライドコア62Rを進入させる。続いて、固定型60に対して、邪魔部材用スライドコア62F、62Rが組み付けられた可動型61を、左方から当接させる。
(注入工程)
次に、注入工程について説明する。注入工程においては、成形機のノズルから、樹脂流路90に、溶融樹脂を注入する。
溶融樹脂の流動先端MF51〜MF58は、図31に一点鎖線で模式的に示すように、樹脂流路90内を流動する。すなわち、溶融樹脂は、スプルー600内を、流動先端MF51→流動先端MF52→流動先端MF53で示すように、右方から左方に流動する。樹脂流路90の流路断面積は、ゲート65において、急激に拡張する。このため、溶融樹脂は、ゲート65を通過後、流動先端MF54→流動先端MF55で示すように、拡散しながらキャビティ66に流入する。
図32に示すように、中心間距離G1〜G4がG1<G2<G3<G4となっているにもかかわらず、間隔H1〜H4は略均等になるように設定されている。しかしながら、キャビティ66における邪魔部材620FU、620FD、620RU、620RD配置部分の、邪魔部材620FU、620FD、620RU、620RDの並設方向(左右方向)長さZ1は、12mmに設定されている。このため、流動先端MF56で示すように、邪魔部材620RD上流端における、溶融樹脂の流速のばらつきは小さい。
邪魔部材620RD配置部分を通過した溶融樹脂は、流動先端MF57→流動先端MF58で示すように、強化部用成形部660Dを下方に流動する。そして、溶融樹脂は、キャビティ66の下端に行き渡る。同様に、邪魔部材620RU配置部分を通過した溶融樹脂は、強化部用成形部660Uを上方に流動する。そして、溶融樹脂は、キャビティ66の上端に行き渡る。分流した流動先端同士の境界には、ウェルド部WLが形成される。この状態で、溶融樹脂は、キャビティ66において、冷却、固化される。
(型開き工程)
次に、型開き工程について説明する。型開き工程においては、金型1を、図30〜図32に示す型締め状態から、図29に示す型開き状態に、再び切り替える。具体的には、固定型60に対して、可動型61を左方に離間させる。そして、可動型61のスライドコア用凹部611Fから、前方に邪魔部材用スライドコア62Fを退出させる。並びに、可動型61のスライドコア用凹部611Rから、後方に邪魔部材用スライドコア62Rを退出させる。その後、ゲートカットを行い樹脂成形品が得られる。
[樹脂成形品]
次に、本実施形態の樹脂成形品について説明する。図33に、本実施形態の樹脂成形品の斜視図を示す。なお、図9と対応する部位については、同じ符号で示す。以下に説明する樹脂成形品97は模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、樹脂成形品97に、ウェルド部WL、ゲートカット跡GCが確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図33に示すように、本実施形態の樹脂成形品97は、上下方向に長い矩形板状を呈している。具体的には、樹脂成形品97の上下方向長さW1は130mmであり、前後方向長さW2は50mmであり、左右方向長さW3は12mmである。なお、左右方向長さW3は、図32のキャビティ66の左右方向長さZ1(=12mm)に対応している。
樹脂成形品97の表面には、ゲートカット跡GCと、邪魔部材跡970U、970Dと、ウェルド部WLと、が形成されている。樹脂成形品97は、上下一対の強化部971U、971Dを備えている。強化部971Uは強化部用成形部660Uに、強化部971Dは強化部用成形部660Dに、それぞれ対応している。ゲートカット跡GCは、樹脂成形品97の表面の中央よりも上の部分に形成されている。ゲートカット跡GCは、略真円状を呈している。
邪魔部材跡970U、970Dは、樹脂成形品97を前後方向に貫通している。邪魔部材跡970Uは、合計三つ配置されている。三つの邪魔部材跡970Uは、左右方向に並設されている。同様に、邪魔部材跡970Dは、合計三つ配置されている。三つの邪魔部材跡970Dは、左右方向に並設されている。ウェルド部WLは、邪魔部材跡970U、970Dを略起点に、上下両側に延在している。ウェルド部WL形成部分には、強化部971U、971Dが配置されている。
左右方向に隣接する一対の邪魔部材跡970U、970D間の間隔は、略均等である。同様に、左右方向に隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は、略均等である。樹脂成形品97の強化部971U、971Dの断面(破断面)には、ウェルド部WLの配置に対応して、高配向部と低配向部とが観察される。
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形品97は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。単一のゲートカット跡GCが形成されている。ゲートカット跡GCの近傍に、ゲートカット跡GCが形成されている面と略平行に延在する邪魔部材跡970U、970Dが形成されている。邪魔部材跡970U、970Dを略起点に、ゲートカット跡GCから離間する方向にウェルド部WLが延在している。互いに隣接する一対の邪魔部材跡970U、970D間の間隔は略均等である。互いに隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は略均等である。強化部971U、971Dの、ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面に、少なくとも高配向部が観察される。
[作用効果]
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品97および金型1は、構成が共通する部分に関しては、第三実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、図32に示すように、中心間距離G1〜G4がG1<G2<G3<G4となっているにもかかわらず、間隔H1〜H4は略均等になるように設定されている。キャビティ66の左右方向長さが短い場合(具体的には20mm未満の場合)は、邪魔部材620FU、620FD、620RU、620RD上流側における溶融樹脂の流速のばらつきが小さいため、間隔H1〜H4を略均等に設定しても、ガラス繊維の配向性を向上させることができる。
<第九実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、樹脂成形品がエンジンマウントである点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
[金型]
まず、本実施形態の金型について説明する。
(金型の構成)
まず、金型の構成について説明する。図34に、本実施形態の金型の型開き状態における斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。また、固定型20は、左面付近のみを示す。図35に、同金型の可動型の型締め状態における斜視図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図36に、同可動型の型締め状態における右面図を示す。なお、図6と対応する部位については、同じ符号で示す。
図34〜図36に示すように、金型1は、固定型20と、可動型21と、邪魔部材用スライドコア22U、22Dと、凹部用スライドコア280F、280Rと、ナット固定用スライドコア281と、を備えている。
固定型20および可動型21は、クロムモリブデン鋼製であって、共に、直方体のブロック状を呈している。固定型20の左面と可動型21の右面とが当接することにより、固定型20と可動型21との間に、第一ランナー290とスライドコア用凹部291とキャビティ292と前方凹部293Fと後方凹部293Rと下方凹部294とが形成されている。
キャビティ292は、固定型20左面および可動型21右面の、略中央に配置されている。可動型21の右面からは突起295Lが突設されている。突起295Lは、キャビティ292内に配置されている。型締め状態において、突起295Lの先端は、固定型20の左面に当接している。突起295Lには、弾性部材296が装着されている。すなわち、キャビティ292内には、弾性部材296が配置されている。具体的には、弾性部材296は、ゴム製の本体296aと、金属製の円筒部296bと、を一体的に備えている。突起295Lは、円筒部296bに挿入されている。
前方凹部293Fはキャビティ292の前方に、後方凹部293Rはキャビティ292の後方に、それぞれ連なっている。前方凹部293Fには凹部用スライドコア280Fが、後方凹部293Rには凹部用スライドコア280Rが、それぞれ前後方向に移動可能に収容されている。
下方凹部294は、キャビティ292の下方に連なっている。下方凹部294には、ナット固定用スライドコア281が、上下方向に移動可能に収容されている。ナット固定用スライドコア281の上面には、前記一対の突起282が配置されている。突起282には、ナット283が環装されている。
スライドコア用凹部291は、キャビティ292の前上方に配置されている。スライドコア用凹部291には、邪魔部材用スライドコア22U、22Dが、後上方から前下方に移動可能に収容されている。
ここで、スライドコア用凹部291、邪魔部材用スライドコア22U、22Dの形状、構成は、前出図1〜図5に示す、第一実施形態のスライドコア用凹部201、邪魔部材用スライドコア22U、22Dの形状、構成と同様である。したがって、ここでは説明を割愛する。
固定型20には、左右方向に延在するスプルー200が穿設されている。すなわち、スプルー200の左端は、固定型20の左面に開口している。第一ランナー290は、当該スプルー200の左端と、スライドコア用凹部291の長手方向略中央と、を連結している。
(樹脂流路の構成)
次に、金型1に形成される樹脂流路の構成について説明する。樹脂流路90は、型締め状態の金型1の内部に形成されている。樹脂流路90は、スプルー200と、第一ランナー290と、第二ランナー299と、頸部24と、八つのゲート25と、キャビティ292と、を備えている。
第二ランナー299は、第一ランナー290の下端に連通している。第一ランナー290と第二ランナー299との境界である拡張部27においては、樹脂流路90の流路断面積(この部分を溶融樹脂は前上方から後下方に流れるから、当該方向に対して略垂直方向の断面積)が、急激に大きくなる。
頸部24および八つのゲート25は、邪魔部材用スライドコア22U、22D間に配置されている。ここで、頸部24、八つのゲート25の形状、構成は、前出図1〜図5に示す、第一実施形態の頸部24、八つのゲート25の形状、構成と同様である。したがって、ここでは説明を割愛する。
このように、型締め状態の金型1の内部には、上流側から下流側に向かって、スプルー200→第一ランナー290→第二ランナー299→頸部24→八つのゲート25→キャビティ292と連通する樹脂流路90が形成されている。キャビティ292の樹脂流路90の流路方向、つまり所望の充填材配向方向は、キャビティ292の延在方向、つまり弾性部材296を中心とする円周方向である。
[樹脂成形方法]
次に、本実施形態の樹脂成形方法について説明する。本実施形態の樹脂成形方法は、型締め工程と注入工程と型開き工程とを有している。
(型締め工程)
まず、型締め工程について説明する。型締め工程においては、金型1を、図34に示す型開き状態から、図35、図36に示す型締め状態に、切り替える。具体的には、まず、突起295Lに弾性部材296を装着する。次いで、固定型20に対して、可動型21を左方から当接させる。それから、スライドコア用凹部291内において、邪魔部材用スライドコア22U、22Dを当接させる。また、前方凹部293F内において、凹部用スライドコア280Fを後方に移動させる。また、後方凹部293R内において、凹部用スライドコア280Rを前方に移動させる。また、下方凹部294内において、ナット283装着済みのナット固定用スライドコア281を上方に移動させる。
(注入工程)
次に、注入工程について説明する。注入工程においては、成形機のノズルから、樹脂流路90に、溶融樹脂を注入する。溶融樹脂は、ナイロン66と、ガラス繊維と、を備えている。ナイロン66は、本発明の母材に含まれる。ガラス繊維は、本発明の充填材に含まれる。ガラス繊維は、溶融状態のナイロン66に分散している。成形機のシリンダ温度は約290℃である。また、金型1の温度は約80℃である。
溶融樹脂は、樹脂流路90内を流動する。樹脂流路90の流路断面積は、拡張部27において、急激に拡張する。このため、溶融樹脂は、拡張部27を通過後、拡散しながら第二ランナー299に流入する。第二ランナー299に流入した溶融樹脂の流速は、ばらついている。しかしながら、溶融樹脂の流速のばらつきは、頸部24を通過することにより、補正される。並びに、溶融樹脂の流速のばらつきは、七枚の邪魔部材221Uおよび七枚の邪魔部材221Dにより分割された、八つのゲート25を通過することにより、補正される。
八つのゲート25を通過することにより、八つに分流した溶融樹脂は、キャビティ292に流れ込む。キャビティ292に流れこんだ溶融樹脂は、弾性部材296に衝突し、さらに後上方向と前下方向との二手に分流する。そして、溶融樹脂は、キャビティ292全体に行き渡る。溶融樹脂は、キャビティ292において、冷却、固化される。
(型開き工程)
次に、型開き工程について説明する。型開き工程においては、金型1を、図35、図36に示す型締め状態から、図34に示す型開き状態に、再び切り替える。具体的には、まず、スライドコア用凹部291内において、邪魔部材用スライドコア22U、22Dを離間させる。また、前方凹部293F内において、凹部用スライドコア280Fを前方に移動させる。また、後方凹部293R内において、凹部用スライドコア280Rを後方に移動させる。また、下方凹部294内において、ナット283装着済みのナット固定用スライドコア281を下方に移動させる。次いで、固定型20に対して、可動型21を左方に離間させる。その後、ゲートカットが施され、エンジンマウントが完成する。
[樹脂成形品]
次に、本実施形態のエンジンマウントについて説明する。図37に、本実施形態のエンジンマウントの斜視図を示す。なお、図9と対応する部位については、同じ符号で示す。以下に説明するエンジンマウント70は、模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、エンジンマウント70に、ウェルド部WL、ゲートカット跡GC、高配向部と低配向部とのコントラストが確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図37に示すように、本実施形態のエンジンマウント70は、ブラケット700と弾性部材296とを一体的に備えている。エンジンマウント70の上下方向長さW1は110mmであり、前後方向長さW2は100mmであり、左右方向長さW3は50mmである。エンジンマウント70は、車両のエンジンを車体に固定するのに用いられる。エンジンマウント70により、エンジンの振動が車体に伝わるのを抑制することができる。
ブラケット700の表面には、七本のウェルド部WLと八つのゲートカット跡GCとが形成されている。八つのゲートカット跡GCは、左右方向に略一列に並んでいる。八つのゲートカット跡GCの面積を比較すると、左右方向中央の二つのゲートカット跡GCの面積が最も小さくなっている。また、左右方向両端の二つのゲートカット跡GCの面積が最も大きくなっている。
七本のウェルド部WLは、弾性部材296を中心とする周状に延在している。七本のウェルド部WLは、八つのゲートカット跡GCを、一つずつに区分けしている。このため、上記八つのゲートカット跡GCの面積の相違に応じて、七本のウェルド部WL間の間隔も不均等である。
エンジンマウント70の断面(ただし、カットした断面ではなく、引張試験などで破断した破断面)には、高配向部と低配向部とが観察される(前出図10参照)。高配向部は、ブラケット700の表面付近(つまり金型1のキャビティ292の型面付近)およびウェルド部WL付近に形成されている。一方、低配向部は、エンジンマウント70の内部であって、かつウェルド部WLから離間した部分に形成されている。
高配向部においては、ガラス繊維が良好に配向している。このため、高配向部の断面においては、ガラス繊維が毛羽立っている。一方、低配向部は、高配向部よりも、ガラス繊維の配向性が低い。このため、低配向部の断面においては、高配向部の断面と比較して、ガラス繊維が毛羽立っていない。
以上説明したように、本実施形態のエンジンマウント70は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。複数のゲートカット跡GCが形成されている。複数のゲートカット跡GCの面積は不均等である。複数のウェルド部WLが形成されている。互いに隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は不均等である。ウェルド部WL間の間隔の広狭と、ゲートカット跡GCの面積の大小と、は対応している。ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面(破断面)に、少なくとも高配向部が観察される。
[作用効果]
本実施形態の樹脂成形方法およびエンジンマウント70および金型1は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。また、本実施形態のエンジンマウント70によると、ブラケット700の強度延いてはエンジンマウント70の強度を向上させることができる。
<第十実施形態>
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と、の相違点は、七枚の邪魔部材が略等間隔に並置されている点である。したがって、ここでは主に相違点についてのみ説明する。
図38に、本実施形態の金型の型開き状態における斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図39に、同金型の型締め状態における斜視図を示す。なお、図2と対応する部位については、同じ符号で示す。図40に、図39のXL−XL方向断面図を示す。
図38〜図40に示すように、七枚の邪魔部材221Uは、前後方向に略等間隔に配置されている。七枚の邪魔部材221Uは、頸部24つまり絞り部材220Uの上流端(右端)の下流側(左側)に配置されている。七枚の邪魔部材221Uに仕切られて、八つのゲート25が区画されている。八つのゲート25のゲート幅(前後方向長さ)は、略均等である。
図41に、本実施形態の樹脂成形品の斜視図を示す。なお、図9と対応する部位については、同じ符号で示す。なお、図41に示す樹脂成形品93は、模式的なものであり、樹脂成形方法やその後の処理によっては、樹脂成形品93に、ウェルド部WL、ゲートカット跡GC、高配向部と低配向部とのコントラスト(前出図10参照)が確認できない場合もある。また、ウェルド部WLの延在方向や延在区間が異なる場合もある。
図41に示すように、本実施形態の樹脂成形品93は、上下方向に長い矩形板状を呈している。具体的には、樹脂成形品93の上下方向長さW1は130mmであり、前後方向長さW2は50mmであり、左右方向長さW3は12mmである。
樹脂成形品93の表面には、七本のウェルド部WLと八つのゲートカット跡GCとが形成されている。八つのゲートカット跡GCは、矩形状を呈している。八つのゲートカット跡GCは、樹脂成形品93の右面の上下方向中央よりも上の部分に形成されている。八つのゲートカット跡GCは、前後方向に略一列に並んでいる。八つのゲートカット跡GCの面積は略均等である。
七本のウェルド部WLは、上下方向に延びる線状を呈している。七本のウェルド部WLは、八つのゲートカット跡GCを、一つずつに区分けしている。七本のウェルド部WL間の間隔は略均等である。
樹脂成形品93の断面(ただし、カットした断面ではなく、曲げ試験などで破断した破断面)には、前出図10に示すような、高配向部と低配向部とが観察される。高配向部は、樹脂成形品93の表面付近(つまり前出図39に示す金型1のキャビティ26の型面付近)およびウェルド部WL付近に形成されている。一方、低配向部は、樹脂成形品93の内部であって、かつウェルド部WLから離間した部分に形成されている。
高配向部においては、ガラス繊維が上下方向に良好に配向している。このため、高配向部の断面においては、ガラス繊維が毛羽立っている。一方、低配向部は、高配向部よりも、ガラス繊維の配向性が低い。このため、低配向部の断面においては、高配向部の断面と比較して、ガラス繊維が毛羽立っていない。
以上説明したように、本実施形態の樹脂成形品93は、以下の特徴のうち少なくとも一つを有している。複数のゲートカット跡GCが形成されている。複数のゲートカット跡GCの面積は略均等である。複数のウェルド部WLが形成されている。互いに隣接する一対のウェルド部WL間の間隔は略均等である。ウェルド部WLの延在方向に対して略垂直方向の断面(破断面)に、少なくとも高配向部が観察される。
本実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品93および金型1は、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型と同様の作用効果を有する。
また、本実施形態の樹脂成形方法および金型1によると、上流側から下流側に向かって、絞り部材220U、220Dの上流端、邪魔部材221Uの順に、二段階に溶融樹脂の流速のばらつきを補正することができる。このため、前後方向に隣接する一対の邪魔部材221U間の間隔を略均等にしても、溶融樹脂の流速のばらつきを小さくすることができる。したがって、注入工程におけるガラス繊維の配向性を、向上させることができる。また、樹脂成形品93を、ガラス繊維の配向方向に、強化することができる。
<その他>
以上、本発明の樹脂成形方法および樹脂成形品および金型の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、第三実施形態の樹脂成形方法および金型1(図12〜図16参照)と、第八実施形態の樹脂成形方法および金型1(図29〜図33参照)と、を組み合わせて実施してもよい。図42に、第三実施形態と第八実施形態とを組み合わせた場合の樹脂成形品の斜視図を示す。
図42に示すように、樹脂成形品98には、邪魔部材跡980U、980D、981U、981Dが形成されている。なお、ウェルド部は省略して示す。邪魔部材跡980U、980Dは、樹脂成形品98を左右方向に貫通している。邪魔部材跡980U、980Dは、前後方向に並置されている。邪魔部材跡981U、981Dは樹脂成形品98を前後方向に貫通している。邪魔部材跡981U、981Dは、左右方向に並置されている。本実施形態の樹脂成形品98の断面(破断面)には、略格子状に高配向部が観察される(図10参照)。
溶融樹脂の母材の種類は特に限定しない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどを用いることができる。
また、溶融樹脂の充填材の種類も特に限定しない。例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、金属繊維、炭化珪素繊維、ワラストナイト、ウイスカー、カオリナイト、タルク、マイカ、モンモリロナイト、クレー、カーボンナノチューブなどを用いることができる。
また、充填材の形状も特に限定しない。図43(a)に示すように、繊維タイプの充填材800を用いてもよい。また、図43(b)に示すように、薄板タイプの充填材801を用いてもよい。また、図43(c)に示すように、楕円球タイプの充填材802を用いてもよい。すなわち、充填材の形状は、異方性を有していればよい。
また、邪魔部材の形状も特に限定しない。図44(a)に示すように、断面略真円状の邪魔部材810を用いてもよい。また、図44(b)に示すように、断面長円状の邪魔部材811を用いてもよい。また、図44(c)に示すように、断面水滴状の邪魔部材812を用いてもよい。また、これらの邪魔部材810〜812を、整流部材として用いてもよい。好ましくは、邪魔部材、整流部材の長手方向と流路方向とを略一致させる方がよい。こうすると、注入工程における溶融樹脂の注入圧により、邪魔部材、整流部材に不具合が生じるおそれが小さい。また、邪魔部材、整流部材の配置数、金型が開いている際の分割数も特に限定しない。また、金型の材質も特に限定しない。また、金型におけるゲートの位置、形状、配置数も特に限定しない。
また、本実施形態の樹脂成形方法の成形条件も特に限定しない。例えば、成形機のシリンダ温度や金型温度などは、使用する溶融樹脂の特性や樹脂成形品のスペックなどに応じて、適宜設定すればよい。また、キャビティ内に邪魔部材を配置する場合、成形後の樹脂成形品に、邪魔部材が残っていてもよい。こうすると、金型の構造が簡単になる。
また、第十実施形態においては、絞り部材220U、220Dの左縁(下流端)に沿って邪魔部材221Uを配置したが、前出図1に示すように、絞り部材220U、220Dの下流側に独立して邪魔部材221Uを配置してもよい。
<試験1>
まず、本発明の樹脂成形品に対して行った曲げ強度測定試験について説明する。
[サンプル]
実施例1のサンプルは、第一実施形態の樹脂成形品93(図9参照)である。サンプルの大きさも樹脂成形品93同様である。すなわち、上下方向長さW1は130mmであり、前後方向長さW2は50mmであり、左右方向長さW3は12mmである。
実施例2のサンプルは、第三実施形態の樹脂成形品94(図16参照)である。サンプルの大きさは、実施例1のサンプルと同じである。
実施例3のサンプルは、第八実施形態の樹脂成形方法に準拠して成形した樹脂成形品である。図45に、実施例3のサンプルの斜視図を示す。なお、図33と対応する部位については、同じ符号で示す。図45に示すように、樹脂成形品99には、邪魔部材跡990U、990Dが形成されている。邪魔部材跡990Uは、左右方向に二つ並設されている。同様に、邪魔部材跡990Dは、左右方向に二つ並設されている。実施例3のサンプルの大きさは、実施例1のサンプルと同じである。
実施例4のサンプルは、第四実施形態の樹脂成形品94(図18参照)である。サンプルの大きさは、実施例1のサンプルと同じである。
実施例5のサンプルは、第十実施形態の樹脂成形品93(図41参照)である。サンプルの大きさは、実施例1のサンプルと同じである。
比較例1のサンプルは、従来の樹脂成形方法により成形した樹脂成形品である。すなわち、邪魔部材を用いずに成形した樹脂成形品である。このため、比較例のサンプルには、ウェルド部や邪魔部材跡が形成されていない。比較例1のサンプルの大きさは、実施例1のサンプルと同じである。
[試験方法]
曲げ強度の測定は、三点曲げ試験により行った。支持台、圧子は、JIS K 7171のものを使用した。支点間距離は、80mmとした。試験速度は、2mm/分とした。なお、実施例、比較例の各サンプルは、各図の右面が上面になるように、支持台にセットした。また、ゲートカット跡GCを圧子からずらしてセットした。並びに、ウェルド部WLが形成されている部分が、圧子に対応するようにセットした。
[試験結果]
試験結果を、表1に示す。
Figure 0004613971
表1に示すように、比較例1の曲げ強度を100%として、実施例1の曲げ強度は119%だった。また、実施例2の曲げ強度は116%だった。また、実施例3の曲げ強度は114%だった。また、実施例4の曲げ強度は111%だった。また、実施例5の曲げ強度は124%だった。
試験結果から、実施例1〜5は、いずれも比較例1よりも曲げ強度が10%以上も高いことが判った。また、実施例5(図41参照)、つまり前後方向にウェルド部WLが略等間隔に並設され、邪魔部材跡が形成されていないサンプルの曲げ強度が一番高いことが判った。また、実施例1(図9参照)、つまり前後方向にウェルド部WLが不均等な間隔に並設され、邪魔部材跡が形成されていないサンプルの曲げ強度が二番目に高いことが判った。また、実施例2(図16参照)、つまり前後方向にウェルド部WLが不均等な間隔に並設され、邪魔部材跡が左右方向に貫通しているサンプルの曲げ強度が三番目に高いことが判った。また、実施例3(図45参照)、つまり左右方向(板厚方向)にウェルド部WL、邪魔部材跡990U、990Dが略等間隔に並設されたサンプルの曲げ強度が四番目に高いことが判った。また、実施例4(図18参照)、つまり前後方向にウェルド部WLが不均等な間隔に並設され、邪魔部材跡が左右方向に貫通していないサンプルの曲げ強度が五番目に高いことが判った。
<試験2>
次に、本発明の樹脂成形品に対して行った破壊強度測定試験について説明する。
[サンプル]
実施例6のサンプルは、第九実施形態のエンジンマウント70(図37参照)である。サンプルの大きさもエンジンマウント70同様である。すなわち、上下方向長さW1は110mmであり、前後方向長さW2は100mmであり、左右方向長さW3は50mmである。
比較例2のサンプルは、従来の樹脂成形方法により成形したエンジンマウントである。すなわち、邪魔部材用スライドコア22U、22Dを用いずに、通常の一点ゲートを用いて成形したエンジンマウントである。このため、比較例2のサンプルには、ウェルド部が形成されていない。また、比較例2のサンプルには、単一のゲートカット跡が形成されている。比較例2のサンプルの寸法は、実施例6のサンプルと同じである。
[試験方法および試験結果]
破壊強度の測定は、以下の手順で行った。まず、エンジンマウント70を治具に固定した。次いで、金属製の丸棒を、円筒部296bに挿入した。それから、当該丸棒を、図37における上方に引っ張った。丸棒の上昇速度は、20mm/minとした。エンジンマウント70が破壊した際の応力を、破壊強度とした。比較例2の破壊強度を100%として、実施例6の破壊強度は117%だった。試験結果から、実施例6は、比較例2よりも破壊強度が高いことが判った。
第一実施形態の金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の型締め状態における斜視図である。 図2のIII−III方向断面図である。 図2のIV−IV方向断面図である。 図4の枠V内の拡大図である。 同金型の可動型の型締め状態における右面図である。 図6の円VII内の拡大図である。 型開き状態の可動型に形成される中間成形品の斜視図である。 第一実施形態の樹脂成形品の斜視図である。 図9のX−X方向断面図である。 第二実施形態の金型の邪魔部材付近の型締め状態における前後方向断面図である。 第三実施形態の金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の型締め状態における斜視図である。 同金型の可動型の型締め状態における右面図である。 図14の枠XV内の拡大図である。 第三実施形態の樹脂成形品の斜視図である。 第四実施形態の金型の型締め状態における上下方向断面図である。 第四実施形態の樹脂成形品の斜視図である。 第五実施形態の金型の可動型の斜視図である。 図19のXX−XX方向断面図である。 第六実施形態の金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の型締め状態における斜視図である。 同金型の可動型の型締め状態における右面図である。 第六実施形態の樹脂成形品の斜視図である。 第七実施形態の金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の型締め状態における斜視図である。 同金型の可動型の型締め状態における右面図である。 第七実施形態の樹脂成形品の斜視図である。 第八実施形態の金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の型締め状態における斜視図である。 図30のXXXI−XXXI方向断面図である。 図31の枠XXXII内の拡大図である。 第八実施形態の樹脂成形品の斜視図である。 第九実施形態の金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の可動型の型締め状態における斜視図である。 同可動型の型締め状態における右面図である。 第九実施形態のエンジンマウントの斜視図である。 第十実施形態の金型の型開き状態における斜視図である。 同金型の型締め状態における斜視図である。 図39のXL−XL方向断面図である。 第十実施形態の樹脂成形品の斜視図である。 第三実施形態と第八実施形態とを組み合わせた場合の樹脂成形品の斜視図である。 (a)は繊維タイプの充填材の斜視図である。(b)は薄板タイプの充填材の斜視図である。(c)は楕円球タイプの充填材の斜視図である。 (a)は断面略真円状の邪魔部材の斜視図である。(b)は断面長円状の邪魔部材の斜視図である。(c)は断面水滴状の邪魔部材の斜視図である。 実施例3のサンプルの斜視図である。 従来の樹脂成形方法に用いられる金型の左右方向断面図である。
符号の説明
1:金型。
20:固定型、200:スプルー、200A:スプルー固化部、201:スライドコア用凹部、21:可動型、210:キャビティ用凹部、22U:邪魔部材用スライドコア、22D:邪魔部材用スライドコア、220U:絞り部材、220D:絞り部材、221U:邪魔部材、221D:邪魔部材、23:ランナー、23A:ランナー固化部、24:頸部、24A:頸部固化部、25:ゲート、25A:ゲート固化部、26:キャビティ、26A:キャビティ固化部、27:拡張部、280F:凹部用スライドコア、280R:凹部用スライドコア、281:ナット固定用スライドコア、282:突起、283:ナット、290:第一ランナー、291:スライドコア用凹部、292:キャビティ、293F:前方凹部、293R:後方凹部、294:下方凹部、295L:突起、296:弾性部材、296a:本体、296b:円筒部、299:第二ランナー。
30:固定型、300:スプルー、31:可動型、310:キャビティ用凹部、32U:邪魔部材、32D:邪魔部材、35:ゲート(拡張部)、36:キャビティ、360U:強化部用成形部、360D:強化部用成形部。
40:固定型、400:スプルー、41:可動型、410:キャビティ用凹部、410U:浅底部、410M:深底部、410D:浅底部、411U:変化部、411D:変化部、42:邪魔部材、43M:整流部材、43D:整流部材、45:ゲート(拡張部)、46:キャビティ、460:強化部用成形部。
50:固定型、500:スプルー、51:可動型、510:キャビティ用凹部、510U:小幅部、510M:大幅部、510D:扇部、511U:変化部、511D:変化部、512:テーパ面、52:邪魔部材、53M:整流部材、53Da:整流部材、53Db:整流部材、55:ゲート(拡張部)、56:キャビティ、560:強化部用成形部。
60:固定型、600:スプルー、61:可動型、610:キャビティ用凹部、611F:スライドコア用凹部、611R:スライドコア用凹部、62F:邪魔部材用スライドコア、62R:邪魔部材用スライドコア、620FU:邪魔部材、620FD:邪魔部材、620RU:邪魔部材、620RD:邪魔部材、65:ゲート(拡張部)、66:キャビティ、660U:強化部用成形部、660D:強化部用成形部。
70:エンジンマウント、700:ブラケット。
800〜802:充填材、810〜812:邪魔部材。
90:樹脂流路、91:溶融樹脂、910:ガラス繊維(充填材)、92:中間成形品、93:樹脂成形品、93a:高配向部、93b:低配向部、94:樹脂成形品、940U:邪魔部材跡、940D:邪魔部材跡、941U:強化部、941D:強化部、95:樹脂成形品、950:邪魔部材跡、951M:整流部材跡、951D:整流部材跡、952:強化部、953:凸部、96:樹脂成形品、960:邪魔部材跡、961M:整流部材跡、961Da:整流部材跡、961Db:整流部材跡、962:強化部、963:小幅部、964:大幅部、965:扇部、97:樹脂成形品、970U:邪魔部材跡、970D:邪魔部材跡、971U:強化部、971D:強化部、98:樹脂成形品、980U:邪魔部材跡、980D:邪魔部材跡、981U:邪魔部材跡、981D:邪魔部材跡、99:樹脂成形品、990U:邪魔部材跡、990D:邪魔部材跡。
GC:ゲートカット跡、MF1〜MF15:流動先端、MF21〜MF29:流動先端、MF31〜MF41:流動先端、MF51〜MF58:流動先端、V1:最速部、V2:最遅部、WL:ウェルド部。

Claims (14)

  1. 金型を締め、成形機のノズルの下流側に配置されるゲートと、該ゲートの下流側に配置されるキャビティと、を備える樹脂流路を形成し、該樹脂流路に邪魔部材を配置する型締め工程と、
    該ノズルから、該樹脂流路に、母材と、該母材に分散される異方性の強化用の充填材と、を備える溶融樹脂を注入し、該溶融樹脂の流れを該邪魔部材が邪魔することにより、該邪魔部材の上流側における該溶融樹脂の流速のばらつきを補正すると共に該邪魔部材の下流側にウェルド部を形成し、該ウェルド部の延在方向における該充填材の配向性を向上させる注入工程と、
    該金型を開き、該溶融樹脂が固化して形成され、該充填材の配向方向に強化された樹脂成形品を取り出す型開き工程と、
    を有し、
    該ゲートは、該キャビティにおける該ゲート連通部分の延在方向に対して、交差する方向に該キャビティに連なっている樹脂成形方法。
  2. 前記邪魔部材は、前記樹脂流路の流路方向に対して交差する方向に、複数並設されており、
    前記溶融樹脂の流れは、該邪魔部材の上流側において、該流路方向の流速が最も速くなる最速部と、該流路方向の流速が最も遅くなる最遅部と、を備え、
    隣接する一対の該邪魔部材の少なくとも一部間の間隔は、該最速部に最も近い部分の方が、該最遅部に最も近い部分よりも、狭くなるように設定されている請求項1に記載の樹脂成形方法。
  3. 前記樹脂流路における複数の前記邪魔部材配置部分の、複数の該邪魔部材の並設方向長さは、20mm以上である請求項2に記載の樹脂成形方法。
  4. 前記邪魔部材は、前記樹脂流路の流路方向に対して交差する方向に、複数並設されていると共に、隣接する一対の該邪魔部材の少なくとも一部間の間隔が、略均等になるように設定されており、
    該樹脂流路の複数の該邪魔部材の上流側には、複数の該邪魔部材の並設方向に延在し、前記溶融樹脂の流速のばらつきを該邪魔部材に先立って補正する絞り部材の少なくとも上流端が配置されており、
    該樹脂流路の、該絞り部材付近の流路方向と、該邪魔部材付近の流路方向と、は一致している請求項1に記載の樹脂成形方法。
  5. 前記邪魔部材は、前記樹脂流路の流路方向に対して交差する方向に、複数並設されていると共に、隣接する一対の該邪魔部材の少なくとも一部間の間隔が、略均等になるように設定されており、
    該樹脂流路における複数の該邪魔部材配置部分の、複数の該邪魔部材の並設方向長さは、20mm未満である請求項1に記載の樹脂成形方法。
  6. 前記樹脂流路は、上流側から下流側に向かって流路断面積が大きくなる拡張部を備え、
    前記邪魔部材は、該拡張部の下流側に配置されている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の樹脂成形方法。
  7. 前記拡張部および前記邪魔部材は、前記ゲートの上流側に配置されている請求項6に記載の樹脂成形方法。
  8. 前記拡張部と前記邪魔部材との間には、複数の該邪魔部材の並設方向に延在し、該拡張部を通過する際における前記溶融樹脂の流れの拡散による流速のばらつきを該邪魔部材に先立って補正する絞り部材が配置されており、
    前記樹脂流路の、該絞り部材付近の流路方向と、該邪魔部材付近の流路方向と、は一致している請求項7に記載の樹脂成形方法。
  9. 前記溶融樹脂の流れは、前記ゲートから前記キャビティに流入する際、複数の流れに分流する請求項7または請求項8に記載の樹脂成形方法。
  10. 前記樹脂成形品は、所望の強度を有する強化部を備え、
    前記キャビティは、該強化部を成形する強化部用成形部を備え、
    前記邪魔部材は、該キャビティにおける該強化部用成形部の上流側に配置されている請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の樹脂成形方法。
  11. 前記樹脂流路は、前記邪魔部材の下流側に、流路断面積が変化する変化部を備え、
    該変化部の下流側には、該変化部を通過することによる前記溶融樹脂の流れの乱れを補正する整流部材が配置されている請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の樹脂成形方法。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の樹脂成形方法により成形され、複数の前記ウェルド部を備える樹脂成形品。
  13. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の樹脂成形方法に用いられ、前記樹脂流路と、前記邪魔部材と、を備えてなる金型。
  14. 前記邪魔部材を有する邪魔部材用スライドコアを備える請求項13に記載の金型。
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